JP2022053167A - ステッピングモータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022053167000001
【課題】ステッピングモータの振動/静止角度誤差を抑制でき、かつ回転座標系を用いた簡単な構成で高精度な駆動を実現する。
【解決手段】ステッピングモータ1を駆動するための装置は、制御ユニット60、PWMインバータ51および電流検出器52A,52Bを含む。位置角度指令に応じて回転するdp-qp回転座標系が定義される。制御ユニットは、相電流を座標変換してdp軸,qp軸検出電流を生成する相電流座標変換器87と、トルクの揺らぎを抑制する補償指令を生成する補償指令生成器81と、補償指令を座標変換してdp軸,qp軸補償指令を生成する補償指令座標変換器82と、dp軸,qp軸基本電流指令に補償指令を重ね合わせてdp軸,qp軸電流指令を生成する加算器83,84と、dp軸,qp軸電流指令とdp軸,qp軸検出電流との比較結果に応じて、PWMインバータに制御指令を与える制御指令生成器(85,86,88)とを含む。
【選択図】図16

Description

この発明は、ステッピングモータを駆動するための駆動装置に関する。
特許文献1は、ステッピングモータを駆動するための駆動装置を開示している。この装置は、指令パルスを指令角度に変換する角度演算器を備え、その指令角度で定義される回転座標系を決定する。回転座標系は、互いに直交するdp軸およびqp軸によって規定され、これらのdp軸およびqp軸は、指令角度の変化に応じて回転する。dp軸電流指令をモータ通電電流振幅に相当する値とし、qp軸電流指令をゼロとする。一方、ロータの相電流を検出し、これを前述の回転座標系に座標変換して、回転座標系電流(検出電流)を得る。これらの回転座標系電流をdp軸電流指令およびqp軸電流指令に一致させるように、ステッピングモータの各相の電流が制御される。ロータの磁束方向をd軸とし、その直交方向をq軸とするd-q回転座標系と、指令角度によって定義されるdp-qp回転座標系との間には角度のずれがあり、それに応じて、qp軸電流指令に対する回転座標系電流のqp軸成分との間には偏差が生じる。この偏差に応じたトルクが発生して、ロータが歩進回転する。このようなステッピングモータ駆動装置は、ロータ角度または発生トルクに応じてq軸電流を制御する操作が不要であり、構成が簡単で安価な高精度マイクロステップ駆動の機能を実現できる、と説明されている。
ステッピングモータを正弦波的な電流で駆動するとき(たとえばマイクロステップ駆動するとき)、回転振動が生じる条件がある。具体的には、ロータ慣性および負荷慣性の和と、モータ発生トルクとによって、固有振動数が定まる。この固有振動数に対して、モータ駆動のための正弦波電流周波数が2分の1倍または4分の1倍となる回転速度のときに、回転振動が発生する。
また、ステッピングモータにおいては、一定電流で巻線を励磁してモータを停止させるときに、停止位置が理論的な停止位置からずれる現象が起きる。これを「静止角度誤差」という。
このような回転振動および静止角度誤差の問題は、ハイブリッド型ステッピングモータ、とくに小型のハイブリッド型ステッピングモータおいてとくに顕著に現れる。また、ステータ小歯間および/またはロータ小歯間に磁石を挿入したスロットマグネット型のステッピングモータにおいても、同様に、回転振動および静止角度誤差の問題が顕著である。
特許文献2は、励磁電流を三角波のパルスによるマイクロステップ駆動により形成し、その三角波のパルスをフーリエ変換して得られる高調波の3次成分および5次成分を変化させて振動を抑制する手法を開示している。
特許文献3は、モータの逆起電力高調波によって振動が発生すると指摘し、励磁位相の補償によって逆起電力高調波を抑制する手法を開示している。
非特許文献1は、モータの振動の原因がコギングトルクにあると指摘し、励磁位相の補償によってコギングトルクを抑制する手法を開示している。
特許第3503894号公報 特開2003-9592号公報 特表2019-516339号公報
竹村英孝、外3名、「ステッピングモータ駆動系のコギングトルク補償器による制振に関する研究」、日本機械学会論文集(C編)78巻785号(2012-1)、p.74-81
この発明の一実施形態は、上記の先行技術とは異なる着眼点に基づいて、ステッピングモータの振動を抑制することができ、かつ回転座標系を用いた簡単な構成で高精度な駆動を実現できるステッピングモータ駆動装置を提供する。
また、この発明の一実施形態は、ステッピングモータの静止角度誤差を低減でき、かつ回転座標系を用いた簡単な構成で高精度な駆動を実現できるステッピングモータ駆動装置を提供する。
この発明の一実施形態は、位置角度指令に応じてステッピングモータを駆動するためのステッピングモータ駆動装置を提供する。ステッピングモータ駆動装置は、前記ステッピングモータの相電流を検出する電流検出器と、前記ステッピングモータの巻線に電流を通電するインバータと、前記インバータを制御する制御ユニットと、を含む。前記位置角度指令に応じて回転し、互いに直交するdp軸およびqp軸によって規定される回転座標系が定義される。前記制御ユニットは、前記電流検出器が検出する相電流を前記位置角度指令に基づいて前記回転座標系のdp軸成分およびqp軸成分に変換してdp軸検出電流およびqp軸検出電流を生成する相電流座標変換器と、前記ステッピングモータのトルクの揺らぎを抑制するために前記ステッピングモータに印加すべき電流波形を表すトルク補正波形に従うトルク補正指令を生成するトルク補正指令生成器と、前記トルク補正指令生成器が生成するトルク補正指令を前記位置角度指令に基づいて前記回転座標系のdp軸成分およびqp軸成分に変換してdp軸トルク補正成分およびqp軸トルク補正成分を生成するトルク補正指令座標変換器と、前記回転座標系に従うdp軸基本電流指令およびqp軸基本電流指令に前記トルク補正指令座標変換器が生成するdp軸トルク補正成分およびqp軸トルク補正成分をそれぞれ重ね合わせてdp軸電流指令およびqp軸電流指令を生成する加算器と、前記加算器が生成するdp軸電流指令およびqp軸電流指令と、前記相電流座標変換器が生成するdp軸検出電流およびqp軸検出電流とをそれぞれ比較し、その比較結果に応じて、前記インバータに制御指令を与える制御指令生成器とを含む。
この構成によれば、位置角度指令に基づいて回転座標系が定義される。そして、トルクの揺らぎを抑制するトルク補正波形に従うトルク補正指令を位置角度指令に基づいて前記回転座標系に座標変換してdp軸トルク補正成分およびqp軸トルク補正成分が得られる。これらをdp軸基本電流指令およびqp軸基本電流指令にそれぞれ重ね合わせてdp軸電流指令およびqp軸電流指令が得られる。一方、ステッピングモータの相電流が電流検出器によって検出され、その相電流が位置角度指令に基づいて前記回転座標系のdp軸検出電流およびqp軸検出電流に座標変換される。そして、dp軸電流指令およびqp軸電流指令とdp軸検出電流およびqp軸検出電流とがそれぞれ比較され、その比較結果に応じて、インバータに制御指令が与えられる。その結果、位置角度指令に対応し、かつトルクの揺らぎを抑制するように、ステッピングモータの巻線に電流が通電され、ステッピングモータが駆動される。こうして、トルクの揺らぎに起因する振動を抑制することができ、かつ回転座標系を用いた簡単な構成で高精度な駆動を実現できる。
この発明の一実施形態では、前記dp軸基本電流指令が前記ステッピングモータに通電すべき電流振幅を表し、前記qp軸基本電流指令がゼロを表す。
この発明の一実施形態では、前記トルク補正波形が、リラクタンストルクの揺らぎを抑制するリラクタンストルク補正波形成分を含む。この構成により、リラクタンストルクの揺らぎに起因する振動を抑制することができる。
本願の出願人は、ステッピングモータの回転振動および静止角度誤差の起源が、モータ電流値によってトルクのロータ角度依存性の波形(θ-T波形)が励磁位相に対して揺らぎを起こすことで説明できることを発見している。とくに、ステッピングモータに関する従来の学説では無視できるとされてきたリラクタンストルクの和がθ-T波形の揺らぎに影響することを発見した。そこで、この発明の一実施形態は、リラクタンストルクの揺らぎ(より正確には、励磁位相に依存する揺らぎ)を抑制するリラクタンストルク補正波形成分を用いることにより、回転振動を抑制でき、併せて静止角度誤差を改善することができる。すなわち、リラクタンストルク補正波形成分を用いた補正を行うことにより、リラクタンストルク波形(θ-T波形)の励磁位相に対する揺らぎを抑制または防止できる。とくに、リラクタンストルクが無視できないステッピングモータについて、オープンループでステッピングモータを駆動する場合に、振動の少ない滑らかな駆動を実現できる。
前記ステッピングモータ駆動装置は、前記ステッピングモータをオープンループの定電流制御によって駆動するものであってもよい。オープンループの制御とは、位置フィードバックおよび速度フィードバックのいずれも伴わない制御であってもよい。
この発明の一実施形態では、前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの電気角周期の基本正弦波の2倍の周波数を有し前記基本正弦波と位相を整合させた原波形を前記基本正弦波と同符号または異符号に全波整流した波形を有する。位相の整合は、厳密に位相が整合していることを意味するものではない。むろん、厳密に位相が整合していてもよいが、実際上は、微少な位相ずれを意図的に導入することによって、振動低減効果が向上する場合があり得る。したがって、ここでの位相の整合とは、リラクタンストルクの励磁位相に依存する揺らぎを抑制できる範囲内での位相ずれを許容する趣旨である。
この発明の一実施形態では、前記原波形が、正弦波状の波形である。
この発明の一実施形態では、前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの自己インダクタンスの角度微分の振幅が当該ステッピングモータの相互インダクタンスの角度微分の振幅よりも大きいときには、前記原波形を前記基本正弦波と同符号に全波整流した波形を有し、前記自己インダクタンスの角度微分の振幅が前記相互インダクタンスの角度微分の振幅よりも小さいときには、前記原波形を前記基本正弦波と異符号に全波整流した波形を有する。
この発明の一実施形態では、前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの自己インダクタンスの角度微分の振幅および相互インダクタンスの角度微分の振幅の比を用いて算出される波形を有する。
この発明の一実施形態では、前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータに供給されるモータ電流に応じて変化する波形を有する。
この発明の一実施形態では、前記トルク補正波形が、マグネットトルクの電流に対する非線形性を補償するためのマグネットトルク補正波形成分を含む。
マグネットトルクの電流に対する非線形性は、モータの回転振動の一因となり得る。そこで、マグネットトルク補正波形成分によって制御電流波形を補正することにより、モータの回転振動および静止角度誤差を一層改善できる。このような、マグネットトルクの非線形性に関する電流補正は、とりわけハイブリッド型のステッピングモータにおいて効果的である。
この発明の一実施形態では、前記マグネットトルク補正波形成分が、前記ステッピングモータに供給されるモータ電流に応じて変化する波形を有する。
この発明の一実施形態では、前記マグネットトルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの電気角周期の基本正弦波に重畳されたときに当該基本正弦波のピーク部の振幅を増幅する波形を有している。
この発明の一実施形態では、前記ステッピングモータは、ハイブリッド型またはスロットマグネット型である。
この発明の一実施形態では、前記トルク補正指令生成器が、互いに直交するα軸およびβ軸によって規定される2相固定座標系での電流波形を表すトルク補正波形に従うトルク補正指令を生成するものである。そして、前記トルク補正指令座標変換器における座標変換が、前記2相固定座標系から前記回転座標系への変換である。
この発明の一実施形態では、前記制御指令生成器が、前記dp軸電流指令および前記qp軸電流指令と前記dp軸検出電流および前記qp軸検出電流とをそれぞれ比較してdp軸電圧指令およびqp軸電圧指令を生成する電圧指令生成器と、前記電圧指令生成器が生成するdp軸電圧指令およびqp軸電圧指令に対して、前記位置角度指令に基づき、前記回転座標系から前記ステッピングモータの複数の相によって規定されるモータ固定座標系に変換する座標変換を行って前記ステッピングモータの各相の相電圧指令を生成する電圧指令座標変換器とを含む。
この発明により、前述の先行技術とは異なる着眼点に基づいて、ステッピングモータの振動を抑制することができ、かつ回転座標系を用いた簡単な構成で高精度な駆動を実現できるステッピングモータ駆動装置を提供できる。また、ステッピングモータの静止角度誤差を低減でき、かつ回転座標系を用いた簡単な構成で高精度な駆動を実現できるステッピングモータ駆動装置を提供できる。
図1は、理想的なマグネットトルクのθ-T波形を示す波形図である。 図2は、マグネットトルク、インダクタンスおよびその角度微分とロータ角度との関係を示す波形図である。 図3Aおよび図3Bは、ステッピングモータの状態と自己インダクタンスとの関係を説明するための図である。 図4Aは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの角度微分の振幅が等しい場合のリラクタンストルクに関するθ-T波形を示す波形図である。 図4Bは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの角度微分の振幅が等しくない場合のリラクタンストルクに関するθ-T波形を示す波形図である。 図5Aおよび図5Bは、リラクタンストルクの励磁位相に応じたθ-T波形の揺らぎを抑制するための電流波形を説明するための波形図である。 図5Cおよび図5Dは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの角度微分の振幅の大小関係による重畳波形の反転を説明するための波形図である。 図6は、電流補正によって、リラクタンストルクのθ-T波形の揺らぎを解消できることを説明するための波形図である。 図7は、ハイブリッド型ステッピングモータのトルク-電流特性を示す特性図である。 図8は、マグネットトルクの電流に対する非線形性を補償するための電流補正の一例を説明するための波形図である。 図9は、マグネットトルクの電流に対する非線形性を補償するための電流補正の一例を説明するための波形図である。 図10は、2相ハイブリッド型ステッピングモータの構造例を説明するための斜視図である。 図11は、前記ハイブリッド型ステッピングモータのステータおよびロータの構造を説明するための分解斜視図である。 図12は、ステータを回転軸線に沿って見た構成を示す図である。 図13は、ステッピングモータの制御および駆動に関する電気的構成例を説明するためのブロック図である。 図14は、2相α-β固定座標系と、ロータの回転角度に従うd-q回転座標系との関係を説明するための図である。 図15は、位置指令角度に従う指令座標系であるdp-qp回転座標系とd-q回転座標系との関係を説明するための図である。 図16は、ステッピングモータの制御に関する制御ブロック例を示す。 図17は、補償指令生成器の機能的な構成例を説明するためのブロック図である。 図18は、リラクタンストルク補正波形の具体例を示す波形図である。 図19は、マグネットトルク補正波形の具体例を示す波形図である。 図20は、リラクタンストルク補正波形およびマグネットトルク補正波形を合成した合成補正波形の具体例を示す波形図である。 図21は、前記合成波形を回転座標系に座標変換して得られるdp軸補正波形およびqp軸補正波形の具体例を示す波形図である。 図22は、基本電流指令をdp軸補正波形およびqp軸補正波形で補正して得られるdp軸電流指令およびqp軸電流指令の波形の具体例を示す波形図である。 図23は、前記ステッピングモータの回転振動の計測例を示す図である。 図24は、前記ステッピングモータの回転振動の計測例を示す図である。 図25は、2相スロットマグネット型ステッピングモータの構造例を説明するための斜視図である。 図26は、前記スロットマグネット型ステッピングモータのステータおよびロータの構造を説明するための分解斜視図である。 図27は、前記スロットマグネット型ステッピングモータのロータ歯およびステータ歯を拡大して示す部分拡大断面図である。 図28Aおよび図28Bは、ギャップ比4倍および8倍のスロットマグネット型ステッピングモータのθ-T波形を磁気解析で得た結果を示す図である。 図29Aおよび図29Bは、ギャップ比4倍のスロットマグネット型ステッピングモータの自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの解析結果を示す図である。 図30Aおよび図30Bは、ギャップ比4倍のスロットマグネット型ステッピングモータのトルク解析結果を示す図である。 図31Aおよび図31Bは、ギャップ比8倍のスロットマグネット型ステッピングモータの自己インダクタンスおよび相互インダクタンスを解析した結果を示す図である。 図32Aおよび図32Bは、ギャップ比8倍のスロットマグネット型ステッピングモータのトルク解析結果を示す図である。 図33は、d軸を定格電流で励磁するときのA相正弦波電流およびB相正弦波電流の波形の例を示す波形図である。 図34は、スロットマグネット型ステッピングモータのインダクタンス解析結果から求めたインダクタンスの角度微分値を示す波形図である。 図35は、スロットマグネット型ステッピングモータに関して計算および解析によってそれぞれ求めたリラクタンストルクのθ-T波形を重ねて示す波形図である。 図36は、スロットマグネット型ステッピングモータに関する回転振動の計測例(無補正時)を示す図である。 図37は、スロットマグネット型ステッピングモータに関する回転振動の計測例(電流補正時)を示す図である。 図38は、スロットマグネット型ステッピングモータについてのモータ電流の実測値を示す波形図である。 図39Aおよび図39Bは、スロットマグネット型ステッピングモータをフルステップ駆動したときの静止角度誤差の測定結果を示す図である。 図40Aおよび図40Bは、スロットマグネット型ステッピングモータをマイクロステップ駆動したときの静止角度誤差の測定結果を示す図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
本願出願人は、モータ電流値によって、トルクのロータ角度依存性(θ-T特性)が励磁位相に対して揺らぎを起こす現象が生じ、それにより、回転振動および/または静止角度誤差の悪化が説明できることを見出した。とくに、発生トルクに対する電流値の非線形性が、ロータ角度とトルクとの関係を表すθ-T波形の揺らぎに影響し、かつ従来のステッピングモータに関する学説では無視できるとされてきたリラクタンストルクもθ-T波形の揺らぎに影響することを見出した。これらの発見に基づき、この出願は、以下に説明する実施形態を提供する。
具体的には、この実施形態は、リラクタンストルク波形が、励磁位相に対して揺らぎを起こさないような電流波形を与えることで、回転振動の低減および/または静止角度誤差の改善を図る。それにより、リラクタンストルクが無視できないタイプのモータをオープンループで駆動する場合に、振動のない滑らかな駆動を実現する。
[理想的な場合のマグネットトルクに関する考察]
モータインダクタンスの角度依存性が小さい同期型モータ、たとえば表面磁石型モータやハイブリッド型ステッピングモータ、一部の埋め込み磁石型モータでは、モータが発生するトルクは磁石によるものが支配的になる。磁石によるトルクは、「マグネットトルク」と呼ばれる。
2相モータの場合のマグネットトルクTは、A相およびB相のθ-T波形の合成によって表すことができる。A相のθ-T波形は、A相電流Iとロータ位置(具体的にはロータ角度θ)の関数sin(θ)との積I・sin(θ)を用いて表すことができ、B相のθ-T波形は、B相電流Iとロータ位置の関数cos(θ)との積I・cos(θ)を用いて表すことができる。したがって、マグネットトルクTは、次式(1)のとおり、それらの和で表すことができる。ただし、トルク定数は1とした。
=I・sin(θ)+I・cos(θ) (1)
ステッピングモータの場合は、マグネットトルクと電流との関係が線形でないことが知られている。そこで、電流の二次の項を導入し、その係数をpとおくと、次式(2)のように書くことができる。理想的なマグネットトルクの場合には、p=0であり、上式(1)のとおりになる。
=I(1-pI2 A)sin(θ)+I(1-pI2 B)cos(θ) (2)
ここで、理想的なマグネットトルクの場合、すなわちp=0の場合を考える。また、電流が角速度ωの理想的な正弦波波形で時間的に変動する場合を考えることとし、I(t)=cos(ωt)、I(t)=-sin(ωt)とおく(ただし、tは時間を表す)。すると、上記式(2)は次のとおりになる。
Figure 2022053167000002
この場合のθ-T波形を図1に示す。具体的には、ω=1とし、t=0,π/4,π/2のときのθ-T波形を示す。
図1から、θ-T波形は、形を保ったままで並行移動しており、任意の一定負荷において、トルクの脈動が起こらないことが分かる。したがって、トルク脈動を起因とする回転方向の加振力は働かないので、モータの回転による振動は発生しない。
[リラクタンストルクに関する考察]
磁石がない場合でも、コイルによって生じる磁束によって鉄心間に電磁力が生じる。その電磁力による吸引によってトルクが発生する。これを「リラクタンストルク」という。リラクタンストルクは、モータインダクタンスのθ依存性を起源とする。リラクタンストルクTは、磁気エネルギーの和をU、A相およびB相の自己インダクタンスをL,L、相互インダクタンスをMとしたときに、次のように書ける。
Figure 2022053167000003
たとえば、ハイブリッド型のステッピングモータは、複数の小歯(ロータ歯)を周上に一定の小歯ピッチで等間隔配置したロータと、これに対向配置されたステータとを備えている。より具体的には、ロータは、回転軸まわりに小歯ピッチの半分だけずらした2つのロータセグメントを備え、この2つのロータセグメントが回転軸に固定されている。一方のロータセグメントはS極に磁化され、他方のロータセグメントはN極に磁化されている。各ロータセグメントの周上に、一定の小歯ピッチで、複数(たとえば50個)の小歯が等間隔に配置されている。ステータは、ロータと同じ小歯ピッチで配置された複数の小歯(ステータ歯)を有する複数の主極を備えている。
2相のステッピングモータは、A相と、A相に対して90度位相のずれたB相と、A相に対して180度位相のずれた/A相と、B相に対して180度位相のずれた/B相とを有する。ステータは、A相、B相、/A相および/B相の電流が印加される巻線をそれぞれ施した複数の主極を有し、各主極上にロータに対向するステータ歯が配置されている。A相の主極上のステータ歯とロータ歯とが正対しているとき、B相の主極上のステータ歯はロータ歯に対して4分の1ピッチ(電気角90度)だけずれており、/A相の主極上のステータ歯はロータ歯に対して4分の2ピッチ(電気角180度)だけずれており、/B相の主極上のステータ歯はロータ歯に対して4分の3ピッチ(電気角270度)だけずれている。
A相をN極に励磁し、/A相をS極に励磁した状態を考える。このときのマグネットトルクTは、図2(a)に示すように、ロータ角度θの正弦波関数で表すことができる。図3Aに示すように、A相のステータ主極Sの小歯とロータR(より具体的にはS極ロータセグメント)の小歯とが正対する状態が励磁安定点(電気角0度)であり、/A相のステータ主極S/Aの小歯はロータR(より具体的にはS極ロータセグメント)の小歯に対して2分の1ピッチ(電気角180度)だけずれている。このときのA相自己インダクタンスLは最小である。この状態から、ロータRを電気角で90度(ロータ歯数が50の場合には機械角で1.8度)回転させた図3Bの状態のときに、マグネットトルクTが最大になる。このときのA相自己インダクタンスLは最大である。よって、A相自己インダクタンスLの位相は、図2(b)のとおりであると仮定できる。すなわち、A相自己インダクタンスLは、マグネットトルクTの正弦波波形の2倍の周期の正弦波状に変動する。すると、A相自己インダクタンスLの角度微分dL/dθの位相は、図2(c)の通りであると仮定できる。つまり、マグネットトルクTの正弦波波形の2倍の周期の正弦波波形に従って変動すると仮定できる。B相自己インダクタンスLおよび相互インダクタンスMについても同様に考察することにより、次式の関係を導き出せる。
Figure 2022053167000004
そこで、自己インダクタンスLおよびLの角度微分の振幅をLΔと置き、相互インダクタンスMの角度微分の振幅をMΔと置くと、リラクタンストルクT(t,θ)は、次式のように書ける。
Figure 2022053167000005
MΔ=LΔのとき、電流波形が理想的な正弦波の場合のリラクタンストルクTは、図4Aのとおりである。同図には、t=0,π/8,π/4,3π/8,π/2のときのリラクタンストルクTに関するθ-T波形を示す。マグネットトルクTと同じ向き、同じ速度で、θ-T波形が波形を保ったままで動くことがわかる。したがって、MΔ=LΔのときは、理想的な正弦波電流でモータを回転させれば、マグネットトルクTおよびリラクタンストルクTを合わせたトータルトルクの波形は時間的に不変であり、かつその波形の並進速度が一様(具体的には、ωが一定であれば一定の並進速度)になる。したがって、モータの挙動は振動的にならない。
一方、MΔ=LΔ/2のとき、電流波形が理想的な正弦波の場合のリラクタンストルクTは、図4Bのとおりである。同図には、t=0,π/8,π/4,3π/8,π/2のときのリラクタンストルクTに関するθ-T波形を示す。リラクタンストルクTが時間的に揺らいでいることがわかる。それに応じてトータルトルクも時間的に揺らぐから、加振力が発生する。しかも、図4Bから、等間隔の時間t=0,π/8,π/4,3π/8,π/2にそれぞれ対応するθ-T曲線においてトルクが零となる点の間隔が等しくない。このことは、無負荷のときでも加振力が生じ、それに応じた振動が発生することを示唆している。
そこで、振幅パラメータLΔ,MΔの任意の値に対して、リラクタンストルクTのθ-T波形が時間的に不変となるモータ電流を求める。そのためには、リラクタンストルクTが、tおよびθの2変数関数T(t,θ)ではなく、マグネットトルクTと同様に、(ωt-θ)でくくられる1変数関数T(ωt-θ)で表せればよい。すなわち、T(t,θ)=T(ωt-θ)と表すことができればよい。これは、任意の時刻tでの波形が、時刻t=0での波形を変えずにωtだけ移動したものになることを表す。このような解を与える微分方程式として、移流方程式が知られており、これを当てはめると次のとおりである。
Figure 2022053167000006
前述の式(6)を式(7)の左辺に代入すると、次のとおりである。
Figure 2022053167000007
これが任意のθで零になる必要があることから、次式が得られる。
Figure 2022053167000008
これにより、次式を得る。
Figure 2022053167000009
これらを連立して、次式が得られる。
Figure 2022053167000010
これらを解くと、次のとおりとなる。ただし、A,A,δ,δは定数である。
=Acos(2ωt+δ) (15)
-I =Acos(2ωt+δ) (16)
これらをIについて解くと、次式が得られる。
Figure 2022053167000011
同様に、Iについて解くと、次式が得られる。
Figure 2022053167000012
式(17),(18)のI,Iを式(6)に代入して、リラクタンストルクTを求め、T=-αsin(2(ωt-θ))となるように未定係数を決めると、次の通りである。
Figure 2022053167000013
これを式(17),(18)に代入することにより、A相電流IおよびB相電流Iは、次のように求まる。
Figure 2022053167000014
およびIは実数なので、根号の中は常に正である必要があり、かつ電流一周期での正味の電流が零になる解は、次のとおりである。
Figure 2022053167000015
MΔ=LΔ/2のときのA相電流IおよびB相電流Iの波形を図5Aの曲線512および図5Bの曲線522にそれぞれ示す。ただし、ω=1、LΔ=1とした。上式(22),(23)において、αはリラクタンストルクの振幅となるので、ここではα=1と置く。電流の振幅は、およそ√(2α/LΔ)になる。
MΔ=LΔのときのA相電流I(=√(2α/LΔ)・cosωt)およびB相電流I(=-√(2α/LΔ)・sinωt)の波形を図5Aの曲線510および図5Bの曲線520にそれぞれ示す。これらは、正弦波の波形となる。図5Aの曲線510に示す正弦波電流波形とA相電流Iの波形(曲線512)との差分を「重畳波形」と呼び、図5Aに曲線511で示す。曲線510の正弦波電流波形に対して曲線511の重畳波形を重畳することで、曲線512に示す、A相電流Iの波形が得られる。同様に、図5Bの曲線520に示す正弦波電流波形とB相電流Iの波形(曲線522)との差分を「重畳波形」と呼び、図5Bに曲線521で示す。曲線520の正弦波電流波形に対して曲線521の重畳波形を重畳することで、曲線522に示す、B相電流Iの波形が得られる。重畳波形(曲線511,521)は、LΔ=MΔのときに相当する正弦波電流波形(曲線510,520)に対して、2倍周期の正弦波状波形を正弦波電流(曲線510,520)と同じ符号に整流した波形となる。
図6に、MΔ=LΔ/2の場合におけるリラクタンストルクTに関するθ-T波形を示す。同図には、t=0,π/8,π/4,3π/8,π/2のときのリラクタンストルクTに関するθ-T波形を示す。リラクタンストルクTの波形は、正弦波電流でのモータ駆動に対応する図4Bの場合とは異なり、時間的に形状が変化しないことがわかる。
モータを励磁するとき、インダクタンスの角度微分の振幅LΔおよびMΔは、モータ電流に依存する。したがって、モータ電流に依存する振幅LΔおよびMΔの変動も含めて、モータに供給する各相の電流を計算することが好ましい。しかし、現実のアプリケーションでは、式(22),(23)の根号処理が煩雑でもあることから、振幅LΔおよびMΔをそれぞれ定数とおいた基本重畳波形をテーブル化しておき、モータ電流に応じてその基本重畳波形の振幅を調整することによって、モータの電気角周期の基本正弦波(図5A,5Bの曲線510,520)に重畳すべき重畳波形(図5A,5Bの曲線511,521)を作成してもよい。その場合でも、ステッピングモータの低振動化は充分に達成できる。LΔ<MΔのときには、重畳波形の符号を反転させることによって、対応することができる(図5A,5Bの曲線511a,521a参照)。
このように重畳波形は、式(22),(23)等から導かれるとおりの厳密な波形を有している必要は必ずしもない。図5Aおよび図5Bの曲線511,521に表れているように、重畳波形は、モータの電気角周期の基本正弦波(曲線510,520)の2倍の周波数を有する高調波の波形を原波形として、この原波形を基本正弦波と同符号に全波整流した波形を有している。重畳波形の全波整流前の波形(原波形)を考えると、正弦波状であるが、厳密な正弦波の波形ではない。したがって、重畳波形は、正確には、基本正弦波の高調波的な波形(原波形)を基本正弦波と同符号に全波整流した波形ということができる。もっとも、重畳波形としては、基本正弦波の2倍の周波数を有する厳密な高調波の波形を基本正弦波と同符号に全波整流した波形を用いることもでき、その場合でも、一定の振動低減効果を期待できる。
LΔ<MΔのときには、図5Aおよび図5Bの曲線511,522の場合とは重畳波形の符号を反転させる(図5A,5Bの曲線511a,521a参照)ので、その場合の重畳波形は、基本正弦波の2倍の周波数を有する高調波の波形(正確には高調波的な波形)を基本正弦波と異符号に全波整流した波形を有している。
LΔとMΔの大小関係が反転したときに、重畳波形が反転する理由を説明する。
A相電流Iを表す上記式(22)において、LΔ/MΔ=βとおいて、二重根号内の第2項を1次のマクローリン展開すると、式(22)の二重根号は次のように表せる。
Figure 2022053167000016
第1項はβ=1のときの解で周期ωtの正弦波となり、第2項がβ=1からずれる分の補正項となる。β=1.1(MΔ<LΔ)、β=0.9(LΔ<MΔ)のときの第2項を、図5Cに実線および点線でそれぞれ図示する。図5Cにおいて実線で示すβ=1.1(MΔ<LΔ)のときの波形が、図5Aに曲線511で示す重畳波形に対応している。図5Cにおいて点線で示すβ=0.9(LΔ<MΔ)のときの波形は、β=1.1(MΔ<LΔ)のときの波形(実線)に対して反転している。このときの波形が、図5Aに曲線511aで示す重畳波形(曲線511の反転波形)に対応している。
B相電流についても同様に考えると、B相電流Iを表す上記式(23)において、LΔ/MΔ=βとおいて、二重根号内の第2項を1次のマクローリン展開すると、式(23)の二重根号は次のように表せる。
Figure 2022053167000017
β=1.1(MΔ<LΔ)、β=0.9(LΔ<MΔ)のときの第2項を、図5Dに実線および点線でそれぞれ図示する。図5Dにおいて実線で示すβ=1.1(MΔ<LΔ)のときの波形が、図5Bに曲線521で示す重畳波形に対応している。図5Dにおいて点線で示すβ=0.9(LΔ<MΔ)のときの波形は、β=1.1(MΔ<LΔ)のときの波形(実線)に対して反転している。このときの波形が、図5Bに曲線521aで示す重畳波形(曲線521の反転波形)に対応している。
以上より、LΔとMΔの大小関係が反転したときに、重畳波形を反転させれば対応が可能であることが分かる。
[非線形性を考慮した場合のマグネットトルク]
マグネットトルクが電流に対して非線形性を有している場合の電流補正について考える。ステッピングモータにおいて、電流に対してトルクが非線形でない現象が生じることが知られている。図7に、2相ハイブリッド型ステッピングモータのトルク-電流特性の一例を示す。入力電流に対するトルクの特性は、非線形なトルクカーブを描く。このトルクカーブに対して二次多項式でフィッティングし、一次の係数をトルク定数k、二次の係数をp・kとおくと、電流に対する非線形性を含んだマグネットトルクは、式(1)にトルク定数を考慮して、次のように表せる。
Figure 2022053167000018
これをリラクタンストルクの場合と同様の手順で解くと、次のとおりである。
Figure 2022053167000019
カルダノの公式より、x-px-q=0の解の一つは、次のとおりである。
Figure 2022053167000020
解くべき3次方程式(22)との比較から、係数を次のように置いて解を求めると、式(27),(28)が得られる。ただし、δ=δまたはδである。
Figure 2022053167000021
ここで、前述の理想的なマグネットトルクの場合の電流位相の類推から、マグネットトルクを正弦波とするために、δ=0、δ=-π/2と取っている。
式(24)のIおよびIに式(27),(28)のIcompおよびIcompをそれぞれ代入すると、次式が得られる。
=αk(cos(ωt)sin(θ)-sin(ωt)cos(θ))=-αksin(ωt-θ) (29)
αは入力電流の振幅となる。判別式D<0のとき、すなわち、次式の関係のときに解が虚部を持つ。
Figure 2022053167000022
最終的な電流解は、次式のとおりであり、実部Reと虚部Imとを足し合わせて連続的な形になる。
=Re(Icomp)+Im(Icomp) (31)
=Re(Icomp)+Im(Icomp) (32)
例として、図7の場合の電流補正を考える。トルク定数は、k=0.2745(N・m/A)、トルクの2次の係数はp=0.095(N・m/A)となる。D=0のときの励磁電流αは、次式のとおりであり、このときの電流波形は、図8の曲線802のようになる。現象論的には、1相励磁のときのトルクの減少を補うために電流ピーク部の電流値が増やされる状態になって、励磁電流波形は三角波に近づくと解釈できる。
Figure 2022053167000023
図8の曲線800は、補正前の正弦波電流波形(α・sinωt)を示す。ただし、ω=1とした。曲線802と曲線800との差分に対応する重畳波形を曲線801で示す。曲線800の正弦波電流波形に対して曲線801の重畳波形を重ね合わせることにより、曲線802の補正電流波形が得られる。
D>0となる場合の例として、励磁電流α=1.8(A)のときの補正電流波形を図9の曲線902に示す。図9の曲線900は、補正前の正弦波電流波形(α・sinωt)を示す。曲線902と曲線900との差分に対応する重畳波形を曲線901で示す。曲線900の正弦波電流波形に対して曲線901の重畳波形を重ね合わせることにより、曲線902の補正電流波形が得られる。励磁電流が増えることで、ピーク部の電流値をさらに増やす必要があることがわかる。
マグネットトルクの非線形性を補償するための重畳波形(曲線801,901)は、正弦波電流波形(曲線800,900)のピーク部の振幅を増幅する波形を有している。
一つの具体例として、2相ハイブリッド型ステッピングモータに前述の補正を適用する場合について説明する。ハイブリッド型ステッピングモータでは、前述のリラクタンストルクを補正する電流補正によって低い振動レベルを達成できる。そして、さらにマグネットトルクの非線形項の補正のための電流補正を組み合わせれば、一層低い振動レベルを達成できる。
図10は、2相ハイブリッド型ステッピングモータの構造例を説明するための斜視図である。ステッピングモータ1は、ステータ2と、ロータ3と、モータフランジ4と、ブラケット5と、一対の軸受6,7とを含む。
ステータ2は、ステータ鉄心21および巻線22を含む。ステータ鉄心21の両端にモータフランジ4およびブラケット5がそれぞれ固定され、これらがモータケース8を構成している。
モータケース8の内部にロータ3が回転軸線10まわりに回転可能に配置されている。ロータ3は、回転軸線10に沿って配置された回転軸30と、回転軸30に支持されたロータ鉄心31とを含む。回転軸30は、一対の軸受6,7により回転自在に支持されている。一方の軸受6はモータフランジ4に装着されており、他方の軸受7はブラケット5に装着されている。
図11は、ステータ2およびロータ3の構造を説明するための分解斜視図である。ロータ3は、回転軸線10に沿って配置された回転軸30(図10参照)と、回転軸30に支持されたディスク状の永久磁石40と、永久磁石40の両側に固定された一対のロータセグメント(鉄心)41,42とを含む。永久磁石40は、回転軸線10に沿って磁化されている。この永久磁石40が一対のロータセグメント41,42によって挟持されている。
各ロータセグメント41,42の周面には、多数(たとえば50個)の極歯(小歯。ロータ歯)33が回転軸線10周りの周方向11に沿って所定のロータ歯ピッチで等間隔に形成されている。各ロータ歯33は、回転軸線10に平行に延びる突条を形成している。ロータ歯33は、回転軸線10に対して若干傾斜した突条を成していてもよい。
一対のロータセグメント41,42は、実質的に同様の構成を有している。そして、ロータ歯ピッチの半分であるハーフピッチだけずらして、回転軸30に固定されている。したがって、回転軸線10に沿って見たときに、一方のロータセグメント41のロータ歯33の間に他方のロータセグメント42のロータ歯33が位置している。
図12は、ステータ2(ステータ鉄心21)を回転軸線10に沿って見た構成を示す。ステータ2は、回転軸線10に沿ってみたときに、略四角形枠状に形成されている。ステータ2は、ロータ3が配置されるロータ収容空間32を中央に区画している。ロータ収容空間32は、回転軸線10を中心とした円筒形に形成されている。ステータ2は、枠状のバックヨーク27と、このバックヨーク27から回転軸線10に向かって突出した複数個(この例では8個)の主極28(磁極)とを有している。複数の主極28は、回転軸線10周りの周方向11に沿って間隔を空けて配置されている。各主極28は、回転軸線10に平行な突条を形成している。
各主極28は、基端部がバックヨーク27と結合された支柱部28aと、支柱部28aの先端側に結合された対向部28bとを有している。対向部28bは、ロータ収容空間32に臨んでおり、すなわち、ロータ3に対向しており、支柱部28aに対して周方向11の両側に延びている。これにより、各主極28は、周方向11に隣接する他の主極28との間に巻線スロット29を形成している。これらの巻線スロット29に巻線22(図10参照)が配置されている。より具体的には、各主極28に巻線22が巻装され、その巻線22は隣り合う主極28の間の巻線スロット29に収容されている。対向部28bは、ロータ3に対向する対向面を有している。この対向面には、回転軸線10に向かって突出した複数のステータ歯23(小歯)が形成されている。各ステータ歯23は回転軸線10に沿う突条からなる。複数のステータ歯23は、周方向11に沿って所定のステータ歯ピッチで等間隔に配置されている。ロータ歯33が回転軸線10に対して傾斜して配置される場合には、それに応じて、ステータ歯23も回転軸線10に対して傾斜して配置される。
図13は、ステッピングモータの制御および駆動に関する電気的構成例を説明するためのブロック図である。直流電源50からの電力が駆動回路部55を介してステッピングモータ1に供給される。駆動回路部55は、ステッピングモータ駆動装置の一例であり、PWMインバータ51、電流検出器52A,52Bおよび制御ユニット60を含む。PWMインバータ51は、直流電源50からの電力をステッピングモータ1のA相巻線22AおよびB相巻線22Bに供給する。PWMインバータ51は、制御ユニット60によって制御される。PWMインバータ51は、ステッピングモータ1の複数相の巻線22A,22Bに対応した複数相のブリッジ回路511と、ブリッジ回路511を構成するスイッチング素子(パワーデバイス)をオン/オフするPWM(パルス幅変調)制御信号を生成するパルス幅変調パターン発生器512とを備えている。制御ユニット60は、PWMインバータ51に対してA相電圧指令およびB相電圧指令を与える。パルス幅変調パターン発生器512は、電圧指令に応じたPWM制御信号を生成する。電流検出器52A,52Bは、ステッピングモータ1のA相巻線22AおよびB相巻線22Bにそれぞれ流れる相電流(モータ電流)を検出する。
制御ユニット60は、電流検出器52A,52Bの検出信号を監視して、ステッピングモータ1を定電流制御するように動作する。より詳しくは、制御ユニット60は、位置フィードバックおよび速度フィードバックのいずれも無いオープンループ定電流制御によって、ステッピングモータ1を駆動する。制御ユニット60は、典型的には、プロセッサ61(CPU)およびメモリ62を備えており、プロセッサ61がメモリ62に格納されたプログラムを実行することによって、複数の機能を実現するように構成されている。メモリ62は、一つまたは複数の記憶メディアで構成することができる。メモリ62は、書込み可能で、かつ電源遮断時にもデータ保持が可能な記憶メディアを含むことが好ましい。プロセッサ61は、メモリ62との間でデータのやり取りを行いながら、演算を行い、かつPWMインバータ51を制御するための電圧指令を生成する。プロセッサ61は、外部から与えられるか、または内部生成される駆動電流振幅指令および位置角度指令に応じて、PWMインバータ51を制御して、当該駆動電流振幅指令および位置角度指令に対応したステッピングモータ1の駆動(より具体的にはマイクロステップ駆動)を達成する。
制御ユニット60は、A相巻線22AおよびB相巻線22Bにそれぞれ正弦波状で電気角90度の位相差を有する電流iα,iβを通電するベクトル制御によってマイクロステップ駆動を実現する。
図14は、互いに直交するα軸およびβ軸によって規定される2相固定座標系であるα-β座標系とd-q回転座標系との関係を示す。d-q回転座標系は、ステッピングモータ1のロータの磁束方向をd軸とし、それに直交する方向をq軸として定義され、ロータの回転角θ(電気角)に応じて回転する回転座標系である。A相巻線22AおよびB相巻線22Bに、電気角で90度の位相差を有し、電気角λに応じて正弦波状に変化する電流iα,iβが通電される。iα=iα1、iβ=iβ1のとき、α軸から角度λだけ回転した合成電流ベクトルiが得られる。この合成電流ベクトルiをd軸およびq軸に投影すると、ロータの回転角θに応じたd軸電流成分id1およびq軸電流成分iq1が得られる。そして、q軸電流成分iq1に比例するモータトルクが発生する。
制御ユニット60は、位置角度指令に応じて回転する回転座標系を用いるベクトル制御によってステッピングモータ1を制御する。この回転座標系は、互いに直交する座標軸であるdp軸およびqp軸によって規定され、これらの座標軸は位置角度指令に応じて回転する。この回転座標系を、以下では「dp-qp回転座標系」という。
図15にdp-qp回転座標系(指令座標系)とd-q回転座標系(ロータ座標系)との関係を示す。dp-qp回転座標系のdp軸およびqp軸は、d-q回転座標系のd軸およびq軸にそれぞれ対応している。そして、位置角度指令θとロータの回転角θとの相違に応じて、dp-qp回転座標系とd-q回転座標系との間には、角度差δが生じる。たとえば、制御ユニット60は、位置角度指令θを生成し、dp軸電流指令idp を電流振幅値とし、qp軸電流指令iqp をゼロとする。すると、dp軸は、α軸に対して角度θをなし、dp軸成分のみを持つ指令電流ベクトルiが生成される。この指令電流ベクトルiをd軸およびq軸に投影すると、d軸電流成分iおよびq軸電流成分iが得られる。それにより、q軸電流成分iに比例するモータトルクが発生する。
一方、A相巻線22AおよびB相巻線22Bの相電流iα,iβを検出し、それらをdp-qp回転座標系に座標変換してdp軸電流成分idpおよびqp軸電流成分iqpを得る。そして、dp軸電流成分idpをdp軸電流指令idp (=電流振幅値)に一致させ、qp軸電流成分iqpをqp軸電流指令iqp (=0)させるように電流フィードバック制御を行うと、位置角度指令θに対してモータ負荷と均衡する偏角を持つ位置でロータが停止する。
したがって、位置角度指令θをステップ角Δθずつ変化させることにより、ロータをステップ角Δθずつ歩進回転させることができる。ステップ角Δθは、ステッピングモータ1の構造によって定まる基本ステップ角よりも小さな角度であり得、それによって、マイクロステップ駆動を実現できる。
図16は、ステッピングモータ1の駆動に関連する制御ユニット60の機能的な構成を説明するためのブロック図である。図16に示す制御ユニット60内の各部の機能は、プロセッサ61がメモリ62に格納されたプログラムを実行することによってソフトウェア的に実現されてもよい。また、それらの機能の一部または全部が電気/電子回路を含むハードウェアで実現されてもよい。
制御ユニット60は、位置角度指令θおよび駆動電流振幅指令に応じて、ステッピングモータ1を駆動する。駆動電流振幅指令は、dp軸基本電流指令ibasedp として取り扱われる。qp軸基本電流指令ibaseqp は、制御ユニット60の外部から与えられてもよいが、この実施形態では、一定のqp軸基本電流指令ibaseqp (典型的には、ゼロ)が用いられるので、外部からの入力はない。
制御ユニット60は、補償指令生成器81、補償指令座標変換器82、第1加算器83、第2加算器84、dp軸電流制御器85、qp軸電流制御器86、相電流座標変換器87、電圧指令座標変換器88を備えている。dp軸電流制御器85、qp軸電流制御器86よび電圧指令座標変換器88は、PWMインバータ51に制御指令を与える制御指令生成器を構成している。
補償指令生成器81は、トルク補正指令生成器の一例である。補償指令生成器81は、α-β座標系での補償指令(トルク補正指令)を生成する。補償指令座標変換器82は、トルク補正指令座標変換器の一例である。補償指令座標変換器82は、補償指令生成器81が生成する補償指令をdp-qp回転座標系の値に座標変換して、dp軸補償指令iCdpおよびqp軸補償指令iCqpを生成する。これらは、それぞれ、dp軸トルク補正成分およびqp軸トルク補正成分の一例である。座標変換は、位置角度指令θに基づいて行われる。第1加算器83は、dp軸基本電流指令ibasedp にdp軸補償指令iCdpを重ね合わせることにより、トルクの揺らぎを補償するために補正されたdp軸電流指令idp を生成する。dp軸電流指令idp は、dp軸電流制御器85に与えられる。第2加算器84は、qp軸基本電流指令ibaseqp にqp軸補償指令iCqpを重ね合わせることにより、トルクの揺らぎを補償するために補正されたqp軸電流指令iqp を生成する。qp軸電流指令iqp は、qp軸電流制御器86に与えられる。
A相電流検出器52AおよびB相電流検出器52Bによってそれぞれ検出されたA相電流iαおよびB相電流iβは、相電流座標変換器87に入力される。相電流座標変換器87は、A相電流iαおよびB相電流iβをdp-qp回転座標系の値に変換して、dp軸検出電流であるdp軸電流idpおよびqp軸検出電流であるqp軸電流iqpを生成する。座標変換は、位置角度指令θに基づいて行われる。dp軸電流idpはdp軸電流制御器85に与えられる。qp軸電流iqpはqp軸電流制御器86に与えられる。上記の座標変換は、次式(34)によって表される。
Figure 2022053167000024
dp軸電流制御器85は、dp軸電流指令idp とdp軸電流idpとを比較し、その比較結果に応じたdp軸電圧指令Vdp を生成する電圧指令生成器である。より具体的には、dp軸電流指令idp に対するdp軸電流idpの偏差が求められる。その偏差に対して増幅等の演算を行ってdp軸電圧指令Vdp が求められる。
同様に、qp軸電流制御器86は、qp軸電流指令iqp とqp軸電流iqpとを比較し、その比較結果に応じたqp軸電圧指令Vqp を生成する電圧指令生成器である。より具体的には、qp軸電流指令iqp に対するqp軸電流iqpの偏差が求められる。その偏差に対して増幅等の演算を行ってqp軸電圧指令Vqp が求められる。
電圧指令座標変換器88は、dp軸電流制御器85およびqp軸電流制御器86がそれぞれ生成するdp軸電圧指令Vdp およびqp軸電圧指令Vqp をα-β座標系の値に座標変換して、A相電圧指令VαおよびB相電圧指令Vβを生成する。この座標変換は、位置角度指令θに基づいて行われる。A相電圧指令VαおよびB相電圧指令この場合の座標変換は、次式によって表される。βは、PWMインバータ51に与えられる。この場合の座標変換は、次式(35)によって表される。
Figure 2022053167000025
PWMインバータ51に備えられたパルス幅変調パターン発生器512は、A相電圧指令VαおよびB相電圧指令Vβに応じたPWM制御信号(電流制御信号)を生成する。前記PWM制御信号によって、PWMインバータ51のブリッジ回路511に備えられたスイッチング素子が制御される。
図17は、補償指令生成器81の具体的な構成例を説明するためのブロック図である。補償指令生成器81は、係数設定器73と、A相補償値演算部70Aと、B相補償値演算部70Bとを含む。A相補償値演算部70Aは、A相リラクタンストルク補正波形発生器71A、A相マグネットトルク補正波形発生器72A、およびA相加算器76Aを含む。B相補償値演算部70Bも同様に、B相リラクタンストルク補正波形発生器71B、B相マグネットトルク補正波形発生器72B、およびB相加算器76Bを含む。
A相リラクタンストルク補正波形発生器71Aは、リラクタンストルクに関するA相電流の補正のためのA相リラクタンストルク補正波形(リラクタンストルク補正波形成分)を生成する。このリラクタンストルク補正波形は、図5Aに曲線511として示した重畳波形である。同様に、B相リラクタンストルク補正波形発生器71Bは、リラクタンストルクに関するB相電流の補正のためのB相リラクタンストルク補正波形(リラクタンストルク補正波形成分)を生成する。このリラクタンストルク補正波形は、図5Bに曲線521として示した重畳波形である。リラクタンストルク補正波形発生器71A,71Bは、それぞれ、重畳波形のための基本補正波形を表すテーブルを備えていてもよく、このようなテーブルはメモリ62に格納しておくことができる。基本補正波形は、様々な位置角度指令θに対応する基本補正値を格納したテーブルの形式で表現できる。基本補正波形に対して、係数設定器73が設定するリラクタンストルク補正係数を乗じることによって、前記重畳波形(曲線511,512)に相当するリラクタンストルク補正波形が生成される。より具体的には、リラクタンストルク補正波形発生器71A,71Bは、リラクタンストルク補正波形上において位置角度指令θに対応する値をリラクタンストルク補正値として生成する。A相リラクタンストルク補正波形およびB相リラクタンストルク補正波形の具体例を図18の曲線180A,180Bにそれぞれ示す。
A相マグネットトルク補正波形発生器72Aは、マグネットトルクの非線形項に関するA相電流の補正のためのA相マグネットトルク補正波形(マグネットトルク補正波形成分)を生成する。同様に、B相マグネットトルク補正波形発生器72Bは、マグネットトルクの非線形項に関するB相電流の補正のためのB相マグネットトルク補正波形(マグネットトルク補正波形成分)を生成する。これらのマグネットトルク補正波形は、図8および図9に曲線801,901として示した重畳波形に相当する。マグネットトルク補正波形発生器72A,72Bは、係数設定器73が設定するマグネットトルク補正係数に応じて、前記重畳波形(曲線801,901)に相当するマグネットトルク補正波形を生成する。マグネットトルク補正波形発生器72A,72Bは、それぞれ、重畳波形のための基本補正波形を表すテーブルを備えていてもよく、このようなテーブルはメモリ62に格納しておくことができる。基本補正波形は、様々な位置角度指令θに対応する基本補正値を格納したテーブルの形式で表現できる。基本補正波形に対して、係数設定器73が設定するマグネットトルク補正係数を乗じることによって、前記重畳波形(曲線801,901)に相当するマグネットトルク補正波形が生成される。より具体的には、マグネットトルク補正波形発生器72A,72Bは、マグネットトルク補正波形上において位置角度指令に対応する値をマグネットトルク補正値として生成する。A相マグネットトルク補正波形およびB相マグネットトルク補正波形の具体例を図19の曲線190A,190Bにそれぞれ示す。
係数設定器73は、dp軸電流指令idp (駆動電流振幅指令)に基づいて、様々な係数を生成する。具体的には、係数設定器73は、dp軸電流指令idp に基づいて、リラクタンストルク補正波形発生器71A,71Bが生成するリラクタンストルク補正波形の振幅を定めるためのリラクタンストルク補正係数を形成する。dp軸電流指令idp に基づいてリラクタンストルク補正係数が形成されることにより、モータ電流に応じて、リラクタンストルクの揺らぎの影響を低減するための適切なリラクタンストルク補正波形を生成できる。リラクタンストルク補正係数は、具体的には、(LΔ/MΔ-1)×√(α/LΔ)に相当する。(LΔ/MΔ-1)(上記式(22a)(23a)における(β-1)に相当)が掛けられることにより、インダクタンスの角度微分の振幅LΔおよびMΔの大小関係に応じて、リラクタンストルク補正係数の符号が反転する。たとえば、リラクタンストルク補正波形発生器71A,71Bが、図5Aおよび図5Bの曲線511,521の重畳波形に相当する基本補正波形を生成する場合には、LΔ≧MΔのときに正のリラクタンストルク補正係数が生成され、LΔ<MΔのときに負のリラクタンストルク補正係数が生成される。
インダクタンスの角度微分の振幅LΔおよびMΔは、モータ電流に依存して変動するが、電流に応じて変動する値は、個々のステッピングモータ1の設計によって定まる。したがって、モータ電流に応じて変動するLΔおよびMΔの値は、ステッピングモータ1の設計に基づく解析、またはステッピングモータ1を作製した後の測定に基づいて、予め求めることができる。その求められたLΔおよびMΔの値に基づいて、モータ電流に対して変動するリラクタンストルク補正係数の値を求めることができるので、それを予めテーブル化しておけばよい。それにより、モータ電流に対して適切に変化するリラクタンストルク補正係数を生成できる。もちろん、モータ電流に対するLΔおよびMΔのテーブルを作成しておき、そのテーブルに基づいて、駆動電流振幅指令(モータ電流と実質的に一致する)に対応するリラクタンストルク補正係数を演算によって求めてもよい。
係数設定器73は、さらに、マグネットトルクの非線形項の補正のためのマグネットトルク補正係数をdp軸電流指令idp (駆動電流振幅指令)に基づいて生成する。具体的には、係数設定器73は、式(27),(28)のαおよびpをマグネットトルク補正係数として生成して、マグネットトルク補正波形発生器72A,72Bに供給する。マグネットトルク補正波形発生器72A,72Bは、供給されたマグネットトルク補正係数に基づいて、マグネットトルク補正波形(図8および図9の重畳波形801,901に相当)を生成する。
A相リラクタンストルク補正波形およびA相マグネットトルク補正波形が、加算器76Aで重ね合わせられて、A相合成補正波形が生成される。より具体的には、A相合成補正波形上において位置角度指令θに対応する値がA相トルク補償値iとして生成される。同様に、B相リラクタンストルク補正波形およびB相マグネットトルク補正波形が、加算器76Bで重ね合わせられて、B相合成補正波形が生成される。具体的には、B相合成補正波形上において位置角度指令θに対応する値がB相トルク補償値iとして生成される。
A相トルク補償値iおよびB相トルク補償値iが、補償指令座標変換器82において、位置角度指令θに基づいてdp-qp回転座標系の成分に座標変換されることにより、dp軸補償指令iCdpおよびqp軸補償指令iCqpが生成される。この場合の座標変換は、次式(36)によって表される。
Figure 2022053167000026
A相合成補正波形およびB相合成補正波形の例を図20に曲線200A,200Bでそれぞれ示す。また、これらをdp-qp回転座標系に変換して得られるdp軸補正波形およびqp軸補正波形の例を図21に曲線210d,210qでそれぞれ示す。さらに、図22には、dp軸基本電流指令ibasedp をdp軸補正波形で補正して得られるdp軸電流指令idp の波形を曲線220dで示し、qp軸基本電流指令ibaseqp をqp軸補正波形で補正して得られるqp軸電流指令iqp の波形を曲線220qで示す。
なお、リラクタンストルクに関する電流補正の特徴と、マグネットトルクの非線形項に関する電流補正の特徴は、いずれか一方のみを備え、それらの他方が省かれてもよい。リラクタンストルクに関する電流補正の特徴が省かれる場合には、図17の構成において、リラクタンストルク補正波形発生器71A,71Bおよび加算器76A,76Bを省けばよい。マグネットトルクの非線形項に関する電流補正の特徴が省かれる場合には、図17の構成において、マグネットトルク補正波形発生器72A,72Bおよび加算器76A,76Bを省けばよい。
図10~図22に示した構成における回転振動の計測例を図23および図24に示す。計測対象のステッピングモータ1は、取付角寸法28mm、モータ長32mm、励磁最大静止トルク0.1N・m、ロータ慣性モーメント9.2×10-7kg・m、ロータ歯数50枚の2相ハイブリッド型ステッピングモータである。図23の曲線230は、前述のリラクタンストルクおよびマグネットトルクに関する電流補正を行わなかった場合における回転速度と回転振動レベルとの関係を示す。図23の曲線231は、前述のリラクタンストルクおよびマグネットトルクに関する電流補正を行った場合の回転速度と回転振動レベルとの関係を示す。図24の曲線241,242はいずれも前述の電流補正を行った場合の回転速度と回転振動レベルとの関係を示し、曲線241は定格電流で運転した場合の測定結果を示し、曲線242は運転電流を定格電流の50%とした場合の測定結果を示す。
図23の曲線230で示す補正無しの場合では、回転速度が60rpmおよび120rpm付近での回転振動が大きいことがわかる。このときの振動の周波数成分は200Hzがピークとなり、これがロータの固有振動数である。回転速度が60rpmのとき、モータ電流基本波の周波数は50Hzであり、回転速度が120rpmのときは、モータ電流基本波の周波数は100Hzとなる。60rpm付近の振動は電流基本波の周波数がロータの固有振動数の4分の1(4次振動)になったときに発生していることが分かる。また、120rpm付近の振動は電流基本波の周波数がロータの固有振動の2分の1(2次振動)になったときに発生していることがわかる。
図23の曲線231に表れているように、電流補正をかけることにより、回転振動レベルが大幅に低減していることがわかる。また、図24に示すように、運転電流に応じて電流補正値を変えることにより、運転電流が変わっても振動が低減されていることがわかる。
別の具体例として、スロットマグネット型ステッピングモータに前述の補正を適用する場合について説明する。スロットマグネット型ステッピングモータでは、前述のリラクタンストルクを補正する電流補正によって低い振動レベルを達成できる。マグネットトルクの非線形項の補正のための電流補正は、スロットマグネット型ステッピングモータでは、必ずしも必要ではなく、これを省略しても、低い振動レベルを達成できる。
図25は、スロットマグネット型ステッピングモータの構造例を示す。便宜上、図10等に示した構成の対応部分に同一参照符号を用いるが、これは同一参照符号の各部が実質的に同一であることを意味するものではない。
ステッピングモータ1は、ステータ2と、ロータ3と、モータフランジ4と、ブラケット5と、一対の軸受6,7とを含む。
ステータ2は、ステータ鉄心21および巻線22を含む。ステータ鉄心21の両端にモータフランジ4およびブラケット5がそれぞれ固定され、これらがモータケース8を構成している。
モータケース8の内部にロータ3が回転軸線10まわりに回転可能に配置されている。ロータ3は、回転軸線10に沿って配置された回転軸30と、回転軸30に支持されたロータ鉄心31とを含む。回転軸30は、一対の軸受6,7により回転自在に支持されている。一方の軸受6はモータフランジ4に装着されており、他方の軸受7はブラケット5に装着されている。
図26は、ステータ2およびロータ3の構造を説明するための分解斜視図である。
ロータ鉄心31の外周面には、所定の歯ピッチでロータ歯33が周方向11に等間隔に形成されている。各ロータ歯33は、回転軸線10に平行に延びている。ただし、ロータ歯33は、回転軸線10に対して傾斜していてもよい。
隣接するロータ歯33の間にロータスロット34が形成されている。ロータスロット34内には、ロータスロットマグネット35が挿入されている。ロータスロットマグネット35は、ロータスロット34に沿って棒状に延びた硬磁性挿入物(典型的には永久磁石片)である。ロータスロットマグネット35は、たとえば接着剤でロータスロット34内に固定されている。
ステータ鉄心21は、枠状のバックヨーク27と、複数の主極28とを備えている。複数の主極28は、バックヨーク27からロータ鉄心31に向かって延びており、ロータ鉄心31を取り囲むように周方向11に間隔を空けて配置されている。それにより、複数の主極28は、回転軸線10を中心とした略円筒状のロータ収容空間32を区画している。各主極28に巻線22(図25参照。図26では図示省略)が巻回されている。
各主極28は、バックヨーク27と結合された支柱部28aと、支柱部28aの先端側に結合された対向部28bとを有している。対向部28bは、ロータ収容空間32に臨んでおり、したがって、ロータ鉄心31に対向している。対向部28bは、支柱部28aに対して周方向11の両側に延びている。これにより、各主極28は、周方向11に隣接する他の主極28との間に巻線スロット29を形成している。これらの巻線スロット29に巻線22が配置されている。対向部28bは、ロータ鉄心31に対向する対向面を有している。この対向面には、回転軸線10に向かって突出した複数のステータ歯23が形成されている。複数のステータ歯23は、周方向11に沿って、所定の歯ピッチで等間隔に配置されている。各ステータ歯23は、ロータ歯33と整合するように、回転軸線10に沿って延びている。ロータ歯33が回転軸線10に対して傾斜して配置される場合には、それに応じて、ステータ歯23も回転軸線10に対して傾斜して配置される。
隣接するステータ歯23の間には、ステータスロット24が形成されている。ステータスロット24内には、ステータスロットマグネット25が挿入されている。ステータスロットマグネット25は、ステータスロット24に沿って棒状に延びた硬磁性挿入物(典型的には永久磁石片)である。ステータスロットマグネット25は、たとえば接着剤でステータスロット24内に固定されている。
ロータスロットマグネット35およびステータスロットマグネット25は、回転軸線10からの放射方向に磁化されている。回転軸線10からの放射方向とは、回転軸線10に直交する方向をいう。ロータスロットマグネット35は、したがって、ロータスロット34の深さ方向に磁化されている。また、ステータスロットマグネット25は、ステータスロット24の深さ方向に磁化されている。回転軸線10からの放射方向に関して、ロータスロットマグネット35の磁化方向とステータスロットマグネット25の磁化方向とは同方向である。したがって、ロータスロットマグネット35とステータスロットマグネット25とが対向するとき、互いに対向するロータスロットマグネット35の磁極とステータスロットマグネット25の磁極とは、逆極性の磁極である。
図27は、ロータ歯33とステータ歯23とを拡大して示す部分拡大断面図である。
ロータ歯33は、移動方向である周方向11を横切る交差方向に延びる突条である。ロータ歯33は、回転軸線10に直交する切断面内において略一定の幅で放射方向に沿って外方(回転軸線10から離反する方向)に向かって突出している。ロータ歯33は、回転軸線10から離れる方向に向いた頂面33aを有している。頂面33aは、回転軸線10のまわりの周方向11に沿っている。回転軸線10に直交する切断面内において、複数のロータ歯33は実質的に合同な断面形状を有しており、一定のロータ歯ピッチPrで等間隔に配置されている。隣接するロータ歯33の間に形成されるロータスロット34は、それらのロータ歯33によってそれぞれ規定される一対の互いにほぼ平行な側面34b,34cと、それらの側面34b,34cの間に形成された底面34aとによって規定され、略矩形の断面形状を有している。底面34aは、回転軸線10まわりの周方向11に沿っている。ロータスロット34の底面34aからロータ歯33の頂面33aまでの距離、すなわち、ロータ歯33の高さを「ロータ歯丈Hr」という。
ロータスロットマグネット35は、硬磁性材料からなり、回転軸線10に沿って延びる棒状の挿入物(典型的には永久磁石片)である。この実施形態では、ロータスロットマグネット35は、回転軸線10に直交する断面が略矩形である。ロータスロットマグネット35は、ロータスロット34の底面34aに対向する底面35aと、底面35aに対して回転軸線10とは反対側に位置する頂面35d(対向面)と、それらの間に形成された一対の側面35b,35cとを有している。底面35aおよび頂面35dと側面35b,35cとの間は、円弧状断面をなす曲面で面取りされている。ロータスロットマグネット35の底面35aは、たとえば接着剤によって、ロータスロット34の底面34aに結合(固定)されている。
ロータスロットマグネット35の頂面35dは、ステータ2に対向する対向面である。この実施形態では、頂面35dは、複数のロータ歯33の外周面(頂面33a)を連ねて規定される仮想円筒面よりも回転軸線10側に後退した位置にある。すなわち、底面35aと頂面35dとの間の距離である磁石厚(ロータ磁石厚)MTrは、ロータスロット34の深さ(=ロータ歯丈Hr)よりも小さい。それにより、ロータスロットマグネット35の全体が、ロータスロット34内に収容されている。頂面35dは、当該仮想円筒面に実質的に平行である。厳密には、頂面35dは平面であってもよく、この平面は、対応するロータスロット34の開口縁を繋いでできる平面と平行であってもよい。この実施形態では、複数のロータスロット34にそれぞれ挿入される複数のロータスロットマグネット35は、実質的に同形同大である。
ステータ歯23は、移動方向である周方向11を横切る交差方向に延びる突条である。ステータ歯23は、ロータ歯33に平行に延びている。ステータ歯23は、回転軸線10に直交する切断面内において略一定の幅で放射方向に沿って内方(回転軸線10に近づく方向)に向かって突出している。ステータ歯23は、回転軸線10側に向いた頂面23aを有している。頂面23aは、回転軸線10のまわりの周方向11に沿っている。回転軸線10に直交する切断面内において、複数のステータ歯23は実質的に合同な断面形状を有しており、一定のステータ歯ピッチPsで等間隔に配置されている。隣接するステータ歯23の間に形成されるステータスロット24は、それらのステータ歯23によってそれぞれ規定される一対の互いにほぼ平行な側面24b,24cと、それらの側面24b,24cの間に形成された底面24aとによって規定され、略矩形の断面形状を有している。底面24aは、回転軸線10まわりの周方向11に沿っている。ステータスロット24の底面24aからステータ歯23の頂面23aまでの距離、すなわち、ステータ歯23の高さを「ステータ歯丈Hs」という。
ステータスロットマグネット25は、硬磁性材料からなり、回転軸線10に沿って延びる棒状の挿入物(典型的には永久磁石片)である。この実施形態では、ステータスロットマグネット25は、回転軸線10に直交する断面が略矩形である。ステータスロットマグネット25は、ステータスロット24の底面24aに対向する底面25aと、底面25aに対して回転軸線10側に位置する頂面25d(対向面)と、それらの間に形成された一対の側面25b,25cとを有している。底面25aおよび頂面25dと側面25b,25cとの間は、円弧状断面をなす曲面で面取りされている。ステータスロットマグネット25の底面25aは、たとえば接着剤によって、ステータスロット24の底面24aに結合(固定)されている。
ステータスロットマグネット25の頂面25dは、ロータ3に対向する対向面である。この実施形態では、頂面25dは、複数のステータ歯23の内周面(頂面23a)を連ねて規定される仮想円筒面よりも回転軸線10から離れる方向に後退した位置にある。すなわち、底面25aと頂面25dとの間の距離である磁石厚(ステータ磁石厚)MTsは、ステータスロット24の深さ(=ステータ歯丈Hs)よりも小さい。それにより、ステータスロットマグネット25の全体が、ステータスロット24内に収容されている。頂面25dは、当該仮想円筒面に実質的に平行である。厳密には、頂面25dは平面であってもよく、この平面は、対応するステータスロット24の開口縁を繋いでできる平面と平行であってもよい。この実施形態では、複数のステータスロット24にそれぞれ挿入される複数のステータスロットマグネット25は、実質的に同形同大である。
ロータスロットマグネット35およびステータスロットマグネット25は、実質的に、同形同大であってもよい。
ロータ歯33とステータ歯23とが対向するとき、それらの間には、それらの対向方向、すなわち放射方向(スロット34,24の深さ方向)に関して一定のギャップ(隙間)が形成される。このギャップを「鉄ギャップΔF」という。ロータスロット34とステータスロット24とが対向するとき、ロータスロットマグネット35とステータスロットマグネット25との間に、それらの対向方向、すなわち放射方向(スロット34,24の深さ方向)に関して一定のギャップが形成される。このギャップを「磁石ギャップΔM」という。
スロットマグネット型ステッピングモータは、通常、ハイブリッド型ステッピングモータと比べて保持トルクが大幅に向上する。その一方、自己インダクタンスと相互インダクタンスとの比が磁石の形状や配置に依存して大きく変わることで、回転振動と静止角度誤差が悪化する。とくに、ステータ2とロータ3(ロータコア)との間のエアギャップである鉄ギャップΔF(鉄間ギャップ)に対する、ステータスロットマグネット25とロータスロットマグネット35との間のエアギャップである磁石ギャップΔM(磁石間ギャップ)の比(以下「ギャップ比ΔM/ΔF」という。)が大きく作用する。
図28Aおよび図28Bは、スロットマグネット型ステッピングモータのθ-T波形を磁気解析で得た結果である。電流について正弦波を仮定し、特定の電気角π/8,π/4,3π/8で励磁したときのトルクのロータ角度依存性を求めた。図28Aおよび図28Bでは、波形の揺らぎを視覚的にわかりやすくするため、トルクのゼロ点を電気角度のゼロ点に合わせて表してある。解析対象は、取付角寸法60mm、モータ長40mm、ロータ慣性モーメント370×10-7kg・m、ロータ歯数50枚の2相スロットマグネット型ステッピングモータとした。スロットマグネット型モータは磁石厚MTr,MTsを変えることで、特性の大きく異なる2つのモータを対象とした。一つは、ギャップ比ΔM/ΔFが4倍のものであり、その特性を図28Aに示す、もう一つは、ギャップ比ΔM/ΔFが8倍のものであり、その特性を図28Bに示す。前者は保持トルクが2.0N・mであり、後者は1.3N・mである。同体格のハイブリッド型ステッピングモータの保持トルクは、たとえば1.1N・mである。
図28Aおよび図28Bの比較から、ギャップ比ΔM/ΔFが8倍のスロットマグネット型モータでは、励磁する位相によって波形の揺らぎ方が大きく異なっていることがわかる。これが回転振動の増加と静止角度誤差の悪化を招く。
図29Aは、ギャップ比ΔM/ΔFが4倍のスロットマグネット型モータについて、無励磁状態でロータをゆっくり回転したときの自己インダクタンスLおよび相互インダクタンスMの解析結果を示す。図29Bは、同じモータについて、d軸電流を定格電流値とし、q軸電流をゼロとした状態で、ロータをゆっくり回転したときの自己インダクタンスLおよび相互インダクタンスMの解析結果を示す。図30Aは、図28A(無励磁状態)に対応するトルクの解析結果を示す。また、図30Bは、図28B(d軸定格電流励磁)に対応するトルクの解析結果を示す。無励磁時(図30A)のトルクは、ディテントトルクとなる。
図29Aおよび図29Bから、自己インダクタンスLおよび相互インダクタンスMは、1電気角について2θの角度依存性を持ち、とくに定格電流でd軸励磁した場合は、無励磁時と比べて相互インダクタンスMの振幅が大きくなることがわかる。インダクタンスL,Mの角度微分値がリラクタンストルクに比例するが、インダクタンスL,Mが正弦波と見なせる場合は、インダクタンスL,Mの振幅は、それらの角度微分値の振幅と概ね等しい。すなわち、概ね、インダクタンス自体の振幅がリラクタンストルクに作用すると考えてよい。そこで、式(6)で用いるLΔおよびMΔには、自己インダクタンスLの振幅および相互インダクタンスMの振幅の値をそれぞれ用いる。図30Bから、定格電流励磁時にトルクリップルが発生していることがわかる。これは図28Aおよび図28Bにおいて、理想的な安定点でのトルクがゼロでないことに対応し、これが加振力となる。
図31Aは、ギャップ比ΔM/ΔFが8倍のスロットマグネット型モータについて、無励磁状態でロータをゆっくり回転したときの自己インダクタンスLおよび相互インダクタンスMを解析した結果を示す。図31Bは、同じモータについて、d軸電流を定格電流値とし、q軸電流をゼロとした状態でロータをゆっくり回転したときの自己インダクタンスLおよび相互インダクタンスMの解析結果を示す。図32Aは、図32A(無励磁状態)に対応するトルクの解析結果を示す。また、図32Bは、図32B(d軸定格電流励磁)に対応するトルクの解析結果を示す。無励磁時(図32A)のトルクは、ディテントトルクとなる。
ギャップ比ΔM/ΔFが4倍のスロットマグネット型モータと比べて、無励磁時の自己インダクタンスLと相互インダクタンスMの比が大きく異なることがわかる。ディテントトルクはギャップ比ΔM/ΔFが4倍のモータと比べて小さいが、励磁時のトルクリップルは2倍程度となる。これは理想的な正弦波で駆動した場合に、ギャップ比ΔM/ΔFが8倍のモータの方が、振動が大きいことを示唆する。また、ディテントトルクが回転振動に直接的な影響を及ぼしていないことも示唆する。
d軸を定格電流で励磁するときのA相正弦波電流およびB相正弦波電流は、図33のとおりである。ギャップ比ΔM/ΔFが8倍のスロットマグネット型モータのインダクタンスの解析結果(図31B)から角度微分値を求めると、図34に示すように、A相自己インダクタンスLの角度微分値dL/dθ、B相自己インダクタンスLの角度微分値dL/dθ、および相互インダクタンスMの角度微分値dM/dθが得られる。これに基づき、式(4)よりリラクタンストルクTを求め、トルク解析結果(図32B)と比較すると、図35のとおりである。式(4)より計算した値と、トルク解析結果とは、絶対値も含めてほぼ一致することがわかる。これにより、トルクリップルの成分は、リラクタンストルクによるものと言える。
現実的には図31Bのように、インダクタンスL,Mは、モータに依存して、幾分かの高調波を含む波形となる。図31Bの場合では、自己インダクタンスLは当該自己インダクタンスLの周期の2倍周期の高調波成分を含む波形となっており、相互インダクタンスMは当該相互インダクタンスMの周期の3倍周期の高調波成分を含む波形となっている。このような高調波成分によって、インダクタンスL,Mの角度微分波形も正弦波から崩れることになる。したがって、式(17),(18)において、高調波の含まれ方によっては、インダクタンスの角度微分の振幅LΔ,MΔ(すなわち、係数A,A)と高調波電流位相成分のδ,δとを実効的に変えることが望ましい。より具体的には、ステッピングモータ1の電気角周期の基本正弦波に対してリラクタンストルク補正波形の位相を完全に一致させるよりも、幾分かの微小な位相ずれを設定した状態での位相整合の方が、より優れた振動抑制効果を得られる場合がある。
スロットマグネット型ステッピングモータを駆動するための電気的構成は、ハイブリッド型ステッピングモータの場合と同様であり、図13~図22を参照して説明したとおりである。スロットマグネット型ステッピングモータにおいても、ハイブリッド型ステッピングモータの場合と同様に、リラクタンストルクに関する電流補正、および/またはマグネットトルクの非線形項に関する電流補正を行うことにより、振動を低減できる。ただし、マグネットトルクの非線形項に関する電流補正は、ハイブリッド型ステッピングモータに比較すると、必要性は少ないので、この補正は重要性が低く、省いてもよい。
回転振動の計測例を図36および図37に示す。計測対象のステッピングモータ1は、取付角寸法60mm、モータ長40mm、ロータ慣性モーメント370×10-7kg・m、ロータ歯数50枚の2相スロットマグネット型ステッピングモータ(図25~図27参照)、および同体格のハイブリッド型ステッピングモータ(図10~図12参照)である。2相スロットマグネット型ステッピングモータについては、ギャップ比ΔM/ΔFが4倍のもの、およびギャップ比ΔM/ΔFが8倍のものについての計測結果を示す。
図36は、前述のリラクタンストルクおよびマグネットトルクに関する電流補正を行わなかった場合(無補正の正弦波で駆動した場合)における回転速度と回転振動レベルとの関係を示す。図37は、前述のリラクタンストルクに関する電流補正を行い、マグネットトルクに関する電流補正を省いた場合の回転速度と回転振動レベルとの関係を示す。
図38には、ギャップ比ΔM/ΔFが8倍のスロットマグネット型ステッピングモータについてのモータ電流の実測値を示す。図38には、補正前の基本電流波形(正弦波。図5Aおよび図5Bの曲線510,520に対応)、これに重畳するリラクタンストルク補正電流波形(図5Aおよび図5Bの曲線511,521に対応)、および補正後の電流波形(図5Aおよび図5Bの曲線512,522に対応)を示す。補正後の電流波形は、基本電流波形にリラクタンストルク補正電流波形を重畳して得られる波形である。ただし、リラクタンストルク補正電流波形は、モータ電流に応じて振幅を調整して重畳されている。
無補正の正弦波電流で駆動する場合(図36)は、ギャップ比ΔM/ΔFが4倍および8倍のスロットマグネット型ステッピングモータ、ならびにハイブリッド型ステッピングモータのいずれにおいても、二次および四次の回転振動が顕著に表れている。それに対して、電流補正を行った場合(図37)には、いずれのモータにおいても、振動が大きく低減していることが分かる。
図39Aおよび図39Bは、ギャップ比ΔM/ΔFが4倍のスロットマグネット型モータをフルステップ駆動(1.8°/パルス)したときの静止角度誤差の測定結果である。図39Aは、停止電流を定格電流とした場合の測定結果を示し、図39Bは、停止電流を定格電流の50%とした場合の測定結果を示す。各図において、前述のリラクタンストルクに関する電流補正を行った場合および行わなかった場合のそれぞれの測定結果を示す。従来、フルステップ駆動の静止角度誤差は小歯の機械精度で決まると考えられていた。しかし、リラクタンストルクを考えると、この限りではなく、フルステップ駆動時の静止角度誤差も電流補正によって改善することができる。また、図39Aおよび図39Bから、停止電流が異なっても電流補正による静止角度誤差改善の効果が得られることに変わりがないことが分かる。
図40Aおよび図40Bは、マイクロステップ駆動(0.36°/パルス)でスロットマグネット型ステッピングモータを駆動したときの静止角度誤差の測定結果である。図40Aは、停止電流を定格電流とした場合の測定結果を示し、図40Bは、停止電流を定格電流の50%とした場合の測定結果を示す。各図において、前述のリラクタンストルクに関する電流補正を行った場合および行わなかった場合のそれぞれの測定結果を示す。マイクロステップ駆動の場合でも電流補正の効果があり、停止電流を変えても静止角度誤差改善の効果が保たれることが分かる。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することができる。たとえば、2相ステップモータを駆動する例について主として説明したが、3相以上の相数のステッピングモータにもこの発明を適用することができる。たとえば、3相ステッピングモータを駆動する場合には、図16の構成において、PWMインバータをU相、V相およびW相の巻線に対応した構成とし、電圧指令座標変換器88とPWMインバータ51との間に、α-β座標系(2相固定座標系)からUVW座標系(3相固定座標系)に変換する座標変換器を設ける。さらに、U相、V相およびW相の電流をそれぞれ検出する電流検出器と相電流座標変換器87との間に、UVW座標系(3相固定座標系)からα-β座標系(2相固定座標系)に変換する座標変換器を設ければよい。同様にして、他の相数のステッピングモータのための駆動装置を構成することができる。
また、前述の実施形態では、qp軸基本電流指令ibaseqp をゼロとする例を示したが、qp軸基本電流指令ibaseqp をゼロ以外の一定値または変化する値としてもよい。qp軸基本電流指令ibaseqp がゼロ以外の値をとるときには、dp軸基本電流指令ibasedp およびqp軸基本電流指令ibaseqp を合成して得られる電流ベクトルの大きさが駆動電流振幅と等しくなるようにdp軸基本電流指令ibasedp およびqp軸基本電流指令ibaseqp を定めればよい。駆動電流振幅(qp軸基本電流指令ibaseqp がゼロのときにはdp軸基本電流指令ibasedp )は、一定値である必要がなく、たとえば、ステップ角Δθだけ歩進回転した後の位置保持のときに、駆動電流振幅を小さくすることにより、省電力化を図ることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 ステッピングモータ
2 ステータ
22,22A,22B 巻線
25 ステータスロットマグネット
30 回転軸
31 ロータ鉄心
35 ロータスロットマグネット
40 永久磁石
41 ロータセグメント
42 ロータセグメント
50 直流電源
51 PWMインバータ
512 パルス幅変調パターン発生器
52A A相電流検出器
52B B相電流検出器
55 駆動回路部
60 制御ユニット
70A A相補償値演算部
70B B相補償値演算部
71A A相リラクタンストルク補正波形発生器
71B B相リラクタンストルク補正波形発生器
72A A相マグネットトルク補正波形発生器
72B B相マグネットトルク補正波形発生器
73 係数設定器
76A A相加算器
76B B相加算器
81 補償指令生成器
82 補償指令座標変換器
83 第1加算器
84 第2加算器
85 dp軸電流制御器
86 qp軸電流制御器
87 相電流座標変換器
88 電圧指令座標変換器

Claims (14)

  1. 位置角度指令に応じてステッピングモータを駆動するためのステッピングモータ駆動装置であって、
    前記ステッピングモータの相電流を検出する電流検出器と、
    前記ステッピングモータの巻線に電流を通電するインバータと、
    前記インバータを制御する制御ユニットと、を含み、
    前記位置角度指令に応じて回転し、互いに直交するdp軸およびqp軸によって規定される回転座標系が定義され、
    前記制御ユニットは、
    前記電流検出器が検出する相電流を前記位置角度指令に基づいて前記回転座標系のdp軸成分およびqp軸成分に変換してdp軸検出電流およびqp軸検出電流を生成する相電流座標変換器と、
    前記ステッピングモータのトルクの揺らぎを抑制するために前記ステッピングモータに印加すべき電流波形を表すトルク補正波形に従うトルク補正指令を生成するトルク補正指令生成器と、
    前記トルク補正指令生成器が生成するトルク補正指令を前記位置角度指令に基づいて前記回転座標系のdp軸成分およびqp軸成分に変換してdp軸トルク補正成分およびqp軸トルク補正成分を生成するトルク補正指令座標変換器と、
    前記回転座標系に従うdp軸基本電流指令およびqp軸基本電流指令に前記トルク補正指令座標変換器が生成するdp軸トルク補正成分およびqp軸トルク補正成分をそれぞれ重ね合わせてdp軸電流指令およびqp軸電流指令を生成する加算器と、
    前記加算器が生成するdp軸電流指令およびqp軸電流指令と、前記相電流座標変換器が生成するdp軸検出電流およびqp軸検出電流とをそれぞれ比較し、その比較結果に応じて、前記インバータに制御指令を与える制御指令生成器とを含む、ステッピングモータ駆動装置。
  2. 前記dp軸基本電流指令が前記ステッピングモータに通電すべき電流振幅を表し、前記qp軸基本電流指令がゼロを表す、請求項1に記載のステッピングモータ駆動装置。
  3. 前記トルク補正波形が、リラクタンストルクの揺らぎを抑制するリラクタンストルク補正波形成分を含む、請求項1または2に記載のステッピングモータ駆動装置。
  4. 前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの電気角周期の基本正弦波の2倍の周波数を有し前記基本正弦波と位相を整合させた原波形を前記基本正弦波と同符号または異符号に全波整流した波形を有する、請求項3に記載のステッピングモータ駆動装置。
  5. 前記原波形が、正弦波状の波形である、請求項4に記載のステッピングモータ駆動装置。
  6. 前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの自己インダクタンスの角度微分の振幅が当該ステッピングモータの相互インダクタンスの角度微分の振幅よりも大きいときには、前記原波形を前記基本正弦波と同符号に全波整流した波形を有し、前記自己インダクタンスの角度微分の振幅が前記相互インダクタンスの角度微分の振幅よりも小さいときには、前記原波形を前記基本正弦波と異符号に全波整流した波形を有する、請求項4または5に記載のステッピングモータ駆動装置。
  7. 前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの自己インダクタンスの角度微分の振幅および相互インダクタンスの角度微分の振幅の比を用いて算出される波形を有する、請求項3~6のいずれか一項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  8. 前記リラクタンストルク補正波形成分が、前記ステッピングモータに供給されるモータ電流に応じて変化する波形を有する、請求項3~7のいずれか一項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  9. 前記トルク補正波形が、マグネットトルクの電流に対する非線形性を補償するためのマグネットトルク補正波形成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  10. 前記マグネットトルク補正波形成分が、前記ステッピングモータに供給されるモータ電流に応じて変化する波形を有する、請求項9に記載のステッピングモータ駆動装置。
  11. 前記マグネットトルク補正波形成分が、前記ステッピングモータの電気角周期の基本正弦波に重畳されたときに当該基本正弦波のピーク部の振幅を増幅する波形を有している、請求項9または10に記載のステッピングモータ駆動装置。
  12. 前記ステッピングモータが、ハイブリッド型またはスロットマグネット型である、請求項1~11のいずれか一項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  13. 前記トルク補正指令生成器が、互いに直交するα軸およびβ軸によって規定される2相固定座標系での電流波形を表すトルク補正波形に従うトルク補正指令を生成するものであり、
    前記トルク補正指令座標変換器における座標変換が、前記2相固定座標系から前記回転座標系への変換である、請求項1~12のいずれか一項に記載のステッピングモータ駆動装置。
  14. 前記制御指令生成器が、
    前記dp軸電流指令および前記qp軸電流指令と前記dp軸検出電流および前記qp軸検出電流とをそれぞれ比較してdp軸電圧指令およびqp軸電圧指令を生成する電圧指令生成器と、
    前記電圧指令生成器が生成するdp軸電圧指令およびqp軸電圧指令に対して、前記位置角度指令に基づき、前記回転座標系から前記ステッピングモータの複数の相によって規定されるモータ固定座標系に変換する座標変換を行って前記ステッピングモータの各相の相電圧指令を生成する電圧指令座標変換器とを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のステッピングモータ駆動装置。
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