JP2022052895A - 抗糖化作用剤、AGEs形成抑制作用剤及び飲食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性の高い天然物の中からAGEs形成抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗糖化作用剤、AGEs形成抑制作用剤及び飲食品を提供する。【解決手段】パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物、及びライチ抽出物を有効成分として含有する抗糖化作用剤ならびにAGEs形成抑制作用剤。前記パイナップル抽出物、前記スターフルーツ抽出物、及び前記ライチ抽出物を、固形分換算の質量基準で1:1:1~100:1:1の配合比で含有する前記抗糖化作用剤ならびに前記AGEs形成抑制作用剤。前記抗糖化作用剤ならびに前記AGEs形成抑制作用剤を配合してなる飲食品。【選択図】なし
Description
本発明は、抗糖化作用剤、AGEs形成抑制作用剤及び飲食品に関する。
糖質は、ヒトを初めとする生物においてエネルギー源として非常に重要である。一方で、糖質は、タンパク質と糖化反応(グリケーション)を起こすことが知られている。糖化反応は、糖質のカルボニル基とタンパク質等のアミノ基との非酵素的な反応を第一段階とし、シッフ塩基からアマドリ化合物を経て最終的に最終糖化生成物(Advanced glycation end products、以下、「AGEs」ということがある。)を形成する一連の反応である。糖化反応により、タンパク質が非酵素的に糖により修飾されるため、これにより当該タンパク質の変性やタンパク質間の架橋等が起こり、その結果、タンパク質の機能を低下させる。
糖化反応は、コラーゲン等の細胞外マトリックス構成タンパク質を修飾・構造変化させることにより直接的な障害を引き起こすほか、糖化タンパク質をリガンドする受容体により認識されることで細胞応答を引き起こす等のおそれがある。特に、血液中のグルコース濃度が高い糖尿病患者にとって、糖化反応の影響は深刻である。糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症等の糖尿病合併症は、タンパク質の糖化がその一因であることが知られている。また、血管壁における糖化反応は、内皮細胞の障害や変性タンパク質の蓄積等により動脈硬化の進展をもたらすことが知られている。
また、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分は、骨や皮膚等の組織における乾燥重量の過半を占めている。そのような組織においてコラーゲンが糖化され異常に架橋された状態となると、種々の疾病や病変等が生じ得る。例えば、骨や軟骨組織においてコラーゲンが糖化され異常に架橋された状態になると骨粗鬆症や変形性関節症等を発症することがあり、皮膚においてコラーゲンが糖化され異常に架橋された状態になると弾力性の低下、黄色化等によるくすみ等を生じることがある。また、異常に架橋したコラーゲンはコラゲナーゼによる分解を受けにくいため、コラゲナーゼ等の発現が誘導されると正常なコラーゲンまで分解されてしまう等の問題が生じてしまう。
このため、糖化反応を何らかの形で抑制する、すなわちAGEsの形成を抑制することは、上述した疾患、すなわち糖尿病合併症、動脈硬化、骨粗鬆症、変形性関節症等の予防又は治療に有用であると考えられる。また、糖化反応の抑制、AGEsの形成抑制は、皮膚の弾力性低下やくすみ等の予防又は改善にも効果があるものと考えられる。
従来、AGEs形成抑制作用を有するものとして、マンゴー抽出物(特許文献1参照)、桜抽出物(特許文献2参照)、ソルビトール(特許文献3参照)等が知られている。
本発明は、安全性の高い天然物の中からAGEs形成抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗糖化作用剤、AGEs形成抑制作用剤及び飲食品を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物、及びライチ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤を提供する。
上記抗糖化作用剤及び上記AGEs形成抑制作用剤において、前記パイナップル抽出物、前記スターフルーツ抽出物、及び前記ライチ抽出物を、固形分換算の質量基準で1:1:1~100:1:1の配合比で含有していればよい。
また、本発明は、上記抗糖化作用剤又は上記AGEs形成抑制作用剤を配合してなることを特徴とする飲食品を提供する。
本発明によれば、安全性の高い天然物の中からAGEs形成抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗糖化作用剤、AGEs形成抑制作用剤及び飲食品を提供することができる。
本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤は、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物を有効成分として含有する。
本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤は、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物を有効成分として含有する。
本実施形態における上記有効成分としての混合物を構成するパイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物は、それぞれ、抽出原料としてのパイナップル(学名:Ananas sativus)、スターフルーツ(学名:Averrhoa carambola)、ライチ(学名:Litchi chinensis)を用いた抽出処理を介して得られるものである。
パイナップル(学名:Ananas sativus)は、米国、フィリピン、マレーシア、ブラジル、オーストラリア等で栽培しているパイナップル科アナナス属に属する多年生の植物であり、これらの地域から容易に入手され得る。抽出原料として使用し得るパイナップルの構成部位としては、果肉、果芯部(芯)等のパイナップル可食部であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パイナップル可食部の圧搾後の残渣、即ち、パイナップル果汁を採取した後に残留した繊維質(パイナップルパルプ)が好ましい。
パイナップル抽出物は、パイナップル可食部を溶媒により抽出することにより得られたものが好ましく、パイナップル可食部の圧搾後の残渣を溶媒により抽出することにより得られたものがより好ましい。パイナップル可食部を溶媒に投入し、室温又は加熱還流下で任意の装置を用いて抽出することによりパイナップル抽出物を容易に得ることができる。
パイナップル抽出物を抽出する方法としては、パイナップル可食部に含まれる脂溶性成分を溶媒に溶出させることが可能であれば、特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができる。また、抽出処理の際には、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下において任意の装置を使用することができる。具体的には、例えば、エタノール水溶液等の溶媒を満たした処理槽に、パイナップル可食部を圧搾した後の残渣(パイナップルパルプ)等の抽出原料を投入し、必要に応じて適宜攪拌しながら、還流抽出器で80℃にて2時間加熱抽出し、熱時濾過して脂溶性成分を溶出した後、エバポレーターを用いて減圧下で濃縮し、更に同様の濾過処理を行い、目的とするパイナップル抽出物を得る方法等が挙げられる。なお、この方法の抽出条件は、抽出原料等に応じて適宜調整し得るが、抽出溶媒量は、抽出原料としてのパイナップル可食部に対して5倍量~20倍量(質量比)が好ましく、抽出時間は1時間~3時間が好ましく、抽出温度は20℃~95℃が好ましい。
パイナップル抽出物は、パイナップルから抽出されたグルコシルセラミド(ヒドロキシ脂肪酸誘導体)として、下記構造式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体を主成分として含有していてもよく、他のヒドロキシ脂肪酸誘導体を含有していてもよい。本実施形態に係るパイナップル抽出物は、下記構造式(1)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体以外に下記構造式(2)~(5)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体の少なくともいずれかをさらに含有することが好ましい。
上記式(2)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体は、グルコシル基と、脂肪酸として炭素数18の直鎖α-ヒドロキシ酸と、スフィンゴイド塩基として2-アミノ-8-オクタデシジエン-1,3-ジオールからなる、化学式C42H79NO9のヒドロキシ脂肪酸誘導体である。
上記式(3)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体は、グルコシル基と、脂肪酸として炭素数24の直鎖α-ヒドロキシ酸と、スフィンゴイド塩基として2-アミノ-4-オクタデセン-1,3,4-トリオールからなる、化学式C49H95NO10のヒドロキシ脂肪酸誘導体である。
上記式(4)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体は、グルコシル基と、脂肪酸として炭素数25の直鎖α-ヒドロキシ酸と、スフィンゴイド塩基として2-アミノ-4-オクタデセン-1,3,4-トリオールからなる、化学式C50H97NO10のヒドロキシ脂肪酸誘導体である。
上記式(5)で表されるヒドロキシ脂肪酸誘導体は、グルコシル基と、脂肪酸として炭素数26の直鎖α-ヒドロキシ酸と、スフィンゴイド塩基として2-アミノ-4-オクタデセン-1,3,4-トリオールからなる、化学式C51H99NO10のヒドロキシ脂肪酸誘導体である。
ヒドロキシ脂肪酸誘導体の同定方法としては、特に制限はなく、常法により行うことができる。例えば、TCL分析により、単糖をもった糖脂質であるモノヘキソシルセラミド(CMH)の分子骨格を有することを確認し、次いで、MALDI-TOFMS分析等の質量分析によって測定した分子量と、先の分子骨格情報から、分子構造を推定する。続いて、ヒドロキシ脂肪酸誘導体を加水分解することにより、構成単位であるグルコシル基と、脂肪酸と、スフィンゴイド塩基とに分解し、脂肪酸部分及びスフィンゴイド塩基部分についてそれぞれ構造解析を行い、推定した分子構造情報と併せて、ヒドロキシ脂肪酸誘導体の分子構造を決定することができる。なお、脂肪酸部分及びスフィンゴイド塩基部分の同定方法としては、GC-MS分析等の質量分析により行うことができる。
パイナップル抽出物におけるヒドロキシ脂肪酸誘導体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも10質量%であることが好ましく、少なくとも20質量%であることがより好ましい。
スターフルーツ(学名:Averrhoa carambola)は、カタバミ科ゴレンシ属に属し、新鮮な果実は食用にされる。スターフルーツは、沖縄、中国東南部や雲南その他熱帯各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手され得る。抽出原料として使用し得るスターフルーツの構成部位としては、特に制限はなく、例えば、葉部、幹部、花部、蕾部、果実部、種子部、根部、またはこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
ライチ(学名:Litchi chinensis)は、ムクロジ科レイシ属に属する常緑高木であって、中国やタイ等で古くから栽培されており、これらの地域から容易に入手され得る。抽出原料として使用し得るライチの構成部位としては、特に制限はなく、例えば、葉部、幹部、花部、蕾部、果実部、果皮部、種子部、根部、またはこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは種子部である。
上記パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物に含まれるAGEs形成抑制作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出等に一般に用いられている抽出方法によって上記抽出原料から得られる抽出物を混合することで、AGEs形成抑制作用を有する混合物を得ることができる。
上記抽出物には、抽出処理によって抽出原料から得られる抽出液、抽出液の希釈液もしくは濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
上記抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま、または粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出に用いられる溶媒としては、水、親水性有機溶媒、またはこれらの混合物等が挙げられ、室温または溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。AGEs形成抑制作用を有する上記混合物を得るための抽出物は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に得ることができる。
抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1~90容量部を混合することが好ましい。水と脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1~40容量部を混合することが好ましい。水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール1~90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温または還流加熱下で抽出することができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に各抽出原料を投入し、必要に応じて撹拌しながら、30分~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去することにより抽出物を得ることができる。得られた抽出液から抽出溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥することにより乾燥物が得られる。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には50~95℃で1~4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40~80℃で30分~4時間程度である。
以上のようにして得られた抽出液は、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
なお、得られた各抽出液をそのまま混合しても本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤を調製することができるが、当該各抽出液から得られる濃縮液または乾燥物を混合して抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤を調製するほうが好ましい。乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。
また、各抽出原料は特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、大量に使用するものでない場合には、未精製のままでも実用上支障はない。精製は、例えば活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
なお、本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤の有効成分である、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物は、それぞれの抽出物を混合して得られるものであってもよいし、抽出原料としてのパイナップル、スターフルーツ及びライチの混合物を上記抽出処理に供して得られる抽出物であってもよい。
以上のようにして得られるパイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物は、優れたAGEs形成抑制作用を有しているため、その作用を利用して抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤の有効成分として用いられ得る。
本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤の有効成分としての上記混合物において、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物、及びライチ抽出物の配合比(混合比)は、特に制限はなく、目的等に応じて適宜決定されればよいが、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の配合比(固形分換算の質量基準)が1:1:1~100:1:1であることが好ましい。特に、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の配合量が、パイナップル抽出物の配合量に対して相対的に多くなると、抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤において優れたAGEs形成抑制作用が奏される傾向にあるため、上記配合比は、1:1:1~10:1:1であることが好ましく、1:1:1~3:1:1であることが特に好ましい。
本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤は、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物を製剤化したものであってもよい。
上記混合物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。上記混合物を製剤化したAGEs形成抑制作用剤の形態としては、例えば、軟膏剤、外用液剤等が挙げられる。
本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤は、例えば、パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物及びライチ抽出物の混合物が有するAGEs形成抑制作用を通じて、例えばコラーゲン等の細胞外マトリックスにおけるAGEsの形成を抑制することができ、これによる種々の用途(例えば、糖尿病合併症、動脈硬化、骨粗鬆症、変形性関節症等の予防、治療又は改善用途等)に用いることができる。ただし、本実施形態に係るAGEs形成抑制作用剤は、これらの用途以外にもAGEs形成抑制作用を発揮する意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤は、優れたAGEs形成抑制作用を有するため、飲食品等に配合するのに好適である。
飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口または消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態に係る「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する組成物を幅広く含むものである。本実施形態における飲食品は、当該飲食品又はその容器や包装、その販促物等に上記抽出物の混合物が有する抗糖化作用またはAGEs形成抑制作用が表示されているものであってもよいし、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品、栄養機能食品)、医薬部外品又は医薬品であってもよい。
上記抽出物の混合物、又は上記抽出物の混合物から製剤化した抗糖化作用剤またはAGEs形成抑制作用剤を飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1~1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象飲食品が顆粒状、錠剤状又はカプセル状の形態である場合、上記抽出物の混合物、又は上記抽出物の混合物から製剤化した抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤の添加量は、添加対象飲食品に対して通常0.1~100質量%であり、好ましくは5~100質量%である。
上記抽出物の混合物又は上記抽出物の混合物から製剤化した抗糖化作用剤又はAGEs形成抑制作用剤を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液および調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等が挙げられ、これらの飲食品に上記抽出物の混合物又はTie2活性化作用剤を配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
なお、本実施形態に係る抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤はヒトに対して好適に適用されるものであるが、AGEs形成抑制効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することも可能である。
以下、試験例等を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、下記試験例等に何ら制限されるものではない。
〔被験試料1の調製〕
パイナップル果実抽出物(丸善製薬社製)、スターフルーツ葉抽出物(丸善製薬社製)、及びライチ種子抽出物(オリザ油化社製)を1:1:1の比率(固形分換算の質量基準)で配合した混合物をジメチルスルホキシドに溶解して、混合物濃度300μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:100μg/mL)、75μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:25μg/mL)及び18.75μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:6.25μg/mL)の被験試料1を準備した。
パイナップル果実抽出物(丸善製薬社製)、スターフルーツ葉抽出物(丸善製薬社製)、及びライチ種子抽出物(オリザ油化社製)を1:1:1の比率(固形分換算の質量基準)で配合した混合物をジメチルスルホキシドに溶解して、混合物濃度300μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:100μg/mL)、75μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:25μg/mL)及び18.75μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:6.25μg/mL)の被験試料1を準備した。
〔被験試料2の調製〕
パイナップル果実抽出物(丸善製薬社製)、スターフルーツ葉抽出物(丸善製薬社製)、及びライチ種子抽出物(オリザ油化社製)を10:1:1の比率(固形分換算の質量基準)で配合した混合物をジメチルスルホキシドに溶解して、混合物濃度120μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:100μg/mL)、30μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:25μg/mL)及び7.5μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:6.25μg/mL)の被験試料2を準備した。
パイナップル果実抽出物(丸善製薬社製)、スターフルーツ葉抽出物(丸善製薬社製)、及びライチ種子抽出物(オリザ油化社製)を10:1:1の比率(固形分換算の質量基準)で配合した混合物をジメチルスルホキシドに溶解して、混合物濃度120μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:100μg/mL)、30μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:25μg/mL)及び7.5μg/mL(パイナップル果実抽出物濃度:6.25μg/mL)の被験試料2を準備した。
〔被験試料3の調製〕
パイナップル果実抽出物(丸善製薬社製)をジメチルスルホキシドに溶解して、パイナップル果実抽出物濃度100μg/mL、25μg/mL及び6.25μg/mLの被験試料3を準備した。
パイナップル果実抽出物(丸善製薬社製)をジメチルスルホキシドに溶解して、パイナップル果実抽出物濃度100μg/mL、25μg/mL及び6.25μg/mLの被験試料3を準備した。
〔試験例〕AGEs形成抑制作用試験
被験試料1~3について、下記の方法によりAGEs形成抑制作用の試験を実施した。
被験試料1~3について、下記の方法によりAGEs形成抑制作用の試験を実施した。
96wellのI型コラーゲンコートプレート(AGC社製)にPBS(-)にて調製した0.2mol/LのD(-)-リボース及び各濃度の被験試料の混合液を100μL添加し、37℃で20日間静置し、AGEsを形成させた。このとき、陰性対照としてPBS(-)のみを添加したもの、陽性対照として、D(-)-リボースのみを添加したものを同様に静置した。
抗AGEs抗体を用いたELISA法によりAGEs量を測定することにより評価した。測定結果から、下記式によりAGEs形成抑制率(%)を算出した。結果を表1に示す。
AGEs形成抑制率(%)=[(B-C)/(B-A)]×100
式中の「A」は、陰性対照の波長405nmにおける吸光度を表し、「B」は、陽性対照の波長405nmにおける吸光度を表し、式中の「C」は、被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度を表す。
式中の「A」は、陰性対照の波長405nmにおける吸光度を表し、「B」は、陽性対照の波長405nmにおける吸光度を表し、式中の「C」は、被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度を表す。
表1に示す結果から、パイナップル果実抽出物、スターフルーツ葉抽出物及びライチ種子抽出物の混合物は、AGEs形成抑制作用を有することが確認された。また、被験試料1及び被験試料2の結果から、当該混合物におけるスターフルーツ葉抽出物及びライチ種子抽出物の含有量が、パイナップル果実抽出物の含有量に対して相対的に多いほうが、優れたAGEs形成抑制作用を奏することが確認された。
本発明の抗糖化作用剤及びAGEs形成抑制作用剤は、優れたAGEs形成抑制作用を有するので、飲食品(例えば、サプリメント、飲料等)、医薬品(例えば、皮膚外用剤、内服薬等)、医薬部外品の原材料として好適に利用できる。
Claims (5)
- パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物、及びライチ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗糖化作用剤。
- 前記パイナップル抽出物、前記スターフルーツ抽出物、及び前記ライチ抽出物を、固形分換算の質量基準で1:1:1~100:1:1の配合比で含有することを特徴とする請求項1に記載の抗糖化作用剤。
- パイナップル抽出物、スターフルーツ抽出物、及びライチ抽出物を有効成分として含有することを特徴とするAGEs形成抑制作用剤。
- 前記パイナップル抽出物、前記スターフルーツ抽出物及び前記ライチ抽出物を、固形分換算の質量基準で1:1:1~100:1:1の配合比で含有することを特徴とする請求項3に記載のAGEs形成抑制作用剤。
- 請求項1若しくは請求項2に記載の抗糖化作用剤、又は請求項3若しくは請求項4に記載のAGEs形成抑制作用剤を配合してなることを特徴とする飲食品。
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