JP2022052322A - 水中油型乳化調味料及びその製造方法 - Google Patents

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Yuichiro Kawakita
章人 小野田
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Abstract

【課題】風味が損なわれることなく、酸化臭の発生が抑制された水中油型乳化調味料及びその製造方法の提供。【解決手段】ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を含有する水中油型乳化調味料であって、ビタミンCの含有量が、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%であり、かつγ-オリザノール又はその塩の含有量が、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%である、乳化調味料。【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型乳化調味料及びその製造方法に関する。詳細には、酸化臭の発生が抑制された水中油型乳化調味料及びその製造方法に関する。また、本発明は、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制方法、及び水中油型乳化調味料の酸化臭抑制剤に関する。
ドレッシング、マヨネーズ等の水中油型乳化調味料は、含有する油脂等の酸化進行を防いで、酸化臭の発生を抑えるため、従来より、酸素透過性の低い包材の開発や、製造中の溶存酸素濃度の制御、包材ヘッドスペースの窒素置換等の対策が進められてきた(非特許文献1、2)。しかし、これらの対策が行われて製造された水中油型乳化調味料であっても、製造後の保存中等に酸化が進行し、酸化臭が発生する場合がある。また、一般にドレッシング等は、一回使い切りでない製品として販売、提供されることが少なくなく、そのような製品は、製造中の酸素遮断を徹底しても、消費者等において一度開封されると、その後は酸素との接触を防ぐことはできず、酸化が進行して酸化臭が発生する場合がある。
一方、海外諸国においてマヨネーズの酸化防止剤として多用されているエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム等は、我が国の食品添加物の使用基準では缶詰又は瓶詰食品以外の食品への使用は認められておらず、ドレッシング等の水中油型乳化調味料に用いることのできる効果的な酸化防止方法が求められていた。
また、従来、食品や飲料の酸化防止方法として、水相に親水性酸化防止剤を添加し、油相に親油性酸化防止剤を添加してなるO/W型乳化物を、飲料原料に混合すること(特許文献1)、非水溶性酸化防止剤、水溶性酸化防止剤及び乳化剤を含む劣化防止剤を、食品に含有させること(特許文献2)、ビタミンC及びα-リポ酸含有組成物を高度不飽和脂肪酸含有食品に添加すること(特許文献3)等が提案されている。しかし、ビタミンC並びにγ-オリザノール又はその塩を組み合わせることは、特許文献1~3のいずれにも記載されていない。
特開平9-173030号公報 特開2010-47769号公報 特開2006-333792号公報
オレオサイエンス、2005年、第5巻、第10号、第473~479頁 食品と開発、2016年、vol.51、No.7、第11、12頁
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、風味が損なわれることなく、酸化臭の発生が抑制された水中油型乳化調味料及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討し、ビタミンC並びにγ-オリザノール又はその塩について、それぞれ単体で酸化臭抑制効果を奏し得るものの、当該効果が期待できる濃度域では、異風味(鉄臭、バニラ臭)が生じることを知見した。本発明者らは、更に検討を重ね、ビタミンC並びにγ-オリザノール又はその塩を所定量で組み合わせることで、水中油型乳化調味料の風味を異風味により損なうことなく、酸化臭の発生を抑制し得ることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を含有する水中油型乳化調味料であって、
ビタミンCの含有量が、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%であり、かつ
γ-オリザノール又はその塩の含有量が、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%である、乳化調味料。
[2]前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、[1]記載の乳化調味料。
[3]前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、[1]又は[2]記載の乳化調味料。
[4]ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を添加することを含み、
ビタミンCの添加は、水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量が、当該乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%となるように行われ、かつ、
γ-オリザノール又はその塩の添加は、水中油型乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量が、当該乳化調味料に対して0.002~0.7重量%となるように行われる、水中油型乳化調味料の製造方法。
[5]前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、[4]記載の製造方法。
[6]前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、[4]又は[5]記載の製造方法。
[7]ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を水中油型乳化調味料に添加することを含み、
ビタミンCの添加は、前記乳化調味料におけるビタミンCの含有量が、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%となるように行われ、かつ、
γ-オリザノール又はその塩の添加は、前記乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量が、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%となるように行われる、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制方法。
[8]前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、[7]記載の酸化臭抑制方法。
[9]前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、[7]又は[8]記載の酸化臭抑制方法。
[10]ビタミンCと、γ-オリザノール又はその塩とが組み合わせられている、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制剤であって、
前記乳化調味料におけるビタミンCの含有量を、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%とし、かつ
前記乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量を、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%とするために用いられる、剤。
[11]前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、[10]記載の剤。
[12]前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、[10]又は[11]記載の剤。
本発明によれば、風味が損なわれることなく、酸化臭の発生が抑制された水中油型乳化調味料及びその製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、水中油型乳化調味料の風味を損なうことなく、酸化臭の発生を抑制し得る、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制方法、及び水中油型乳化調味料の酸化臭抑制剤も提供できる。
本発明の水中油型乳化調味料(以下、「本発明の乳化調味料」とも称する)は、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を含有することを特徴の一つとする。
本発明において「乳化調味料」とは、乳化構造を有する調味料を意味し、「水中油型乳化調味料」とは、水相を外相(連続相)とし、油相を内相(分散相)とする水中油型の乳化構造(水相中に油滴粒子が均一分散した乳化構造)を有する調味料を意味する。また、乳化調味料等における「調味料」とは、食品に対して、調味(味つけ)の目的で使用される食品をいう。ここでいう「食品」とは、経口的に摂取され得るものを広く包含する概念であり、特に断りのない限り、いわゆる食べ物の他、飲料、食品添加物等も包含される。本発明の乳化調味料は、例えば、日本農林規格(JAS規格)で定義される半固体状ドレッシング(例、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング、マヨネーズタイプ調味料等)、乳化液状ドレッシング等のドレッシング等として提供され得るが、これらに制限されず、ドレッシングのJAS規格に適合しないドレッシング(例、ドレッシングタイプ調味料、サラダ用調味料等のドレッシング類)、ソース、たれ等であってもよい。
本発明において「ビタミンC」とは、遊離のL-アスコルビン酸、食品として許容され得るL-アスコルビン酸の塩及び食品として許容され得るL-アスコルビン酸のエステルの総称であり、具体例としては、遊離のL-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カリウム、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いても二種以上を併用してもよい。本発明において用いられるビタミンCは、水溶性のものが好ましい。
本発明において用いられるビタミンCは特に制限されないが、例えば、ビタミンCを含有する素材からビタミンCを単離せずに、当該素材をそのまま用いてよい。ビタミンCを含有する素材は特に制限されないが、例えば、レモン果汁等のかんきつ類の果汁等が挙げられる。あるいは、本発明において用いられるビタミンCは、ビタミンCを含有する素材(例、かんきつ類の果汁等)から、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって、抽出、精製されたものであってもよい。また、本発明において用いられるビタミンCは、自体公知の方法(例えば、化学合成法、発酵法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものであってもよく、市販品を用いてもよい。
本発明において「γ-オリザノール」とは、米油、米糠油及び米胚芽油に豊富に含まれる物質であり、各種トリテルペンアルコール(例、シクロアルテノール、24-メチレンシクロアルタノール、シクロブラノール等)のフェルラ酸エステル及び各種ステロール(例、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール等)のフェルラ酸エステルの総称である(CAS登録番号:11042-64-1)。γ-オリザノールを構成し得る成分としては、例えば、シクロアルテノールフェルラ酸エステル、24-メチレンシクロアルタノールフェルラ酸エステル、シクロブラノールフェルラ酸エステル、β-シトステロールフェルラ酸エステル、カンペステロールフェルラ酸エステル、スチグマステロールフェルラ酸エステル等が挙げられる。γ-オリザノールは、これらの成分を複数含むものが一般的であるが、本発明において用いられるγ-オリザノールは、これらの成分の一種のみを含むものであってよく、これらの成分の二種以上を含むものであってもよい。
本発明においてγ-オリザノールの塩は、食品として許容され得るものであれば特に制限されないが、例えば、無機酸(例、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸等)との塩;有機酸(例、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸等)との塩;無機塩基(例、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニア等)との塩;有機塩基(例、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等)との塩等が挙げられる。
本発明において用いられるγ-オリザノール又はその塩は特に制限されないが、例えば、γ-オリザノール又はその塩を含有する素材からγ-オリザノール又はその塩を単離せずに、当該素材をそのまま用いてよい。γ-オリザノール又はその塩を含有する素材は特に制限されないが、例えば、米油、米糠油、米胚芽油等の食用植物油脂等が挙げられる。あるいは、本発明において用いられるγ-オリザノール又はその塩は、γ-オリザノール又はその塩を含有する素材(例、食用植物油脂等)から、自体公知の方法(例えば、pH調整法、吸着による方法等)又はそれに準ずる方法で、抽出、精製されたものであってもよい。また、本発明において用いられるγ-オリザノール又はその塩は、自体公知の方法(例えば、化学合成法等)又はこれに準ずる方法によって製造したものであってもよく、市販品を用いてもよい。
本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量は、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは0.00001重量%以上であり、より好ましくは0.00005重量%以上であり、特に好ましくは0.0001重量%以上である。また、本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量は、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは0.01重量%以下であり、より好ましくは0.008重量%以下であり、更に好ましくは、0.005重量%以下であり、特に好ましくは0.003重量%以下である。本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量が、上述の範囲内であることにより、異風味の発生を抑えて、効果的に酸化臭の発生を抑制できる。
本発明において、食品として許容され得るL-アスコルビン酸の塩、食品として許容され得るL-アスコルビン酸のエステルが、ビタミンCとして用いられる場合、その量には、遊離のL-アスコルビン酸に換算したものが用いられる。
本発明の乳化調味料の原材料には、ビタミンCを含有するもの(例、レモン果汁等のかんきつ類の果汁等)が用いられ得る。そのような原材料を本発明の乳化調味料が含有する場合、当該原材料に由来するビタミンCの量も、本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量に算入される。
本発明において、乳化調味料の原材料(例、かんきつ類の果汁等)に含まれるビタミンCの量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定される。
本発明の乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量は、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは0.002重量%以上であり、より好ましくは0.004重量%以上であり、更に好ましくは0.02重量%以上であり、特に好ましくは0.2重量%以上である。また、本発明の乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量は、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは0.7重量%以下であり、より好ましくは0.6重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以下である。本発明の乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量が、上述の範囲内であることにより、異風味の発生を抑えて、効果的に酸化臭の発生を抑制できる。
本発明において、γ-オリザノールの塩が用いられる場合、その量には、遊離体に換算したものが用いられる。
本発明の乳化調味料の原材料には、γ-オリザノール又はその塩を含有するもの(例、米油、米糠油、米胚芽油等の食用植物油脂等)が用いられ得る。そのような原材料を本発明の乳化調味料が含有する場合、当該原材料に由来するγ-オリザノール又はその塩の量も、本発明の乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量に算入される。
本発明において、乳化調味料の原材料(例、米油、米糠油、米胚芽油等の食用植物油脂等)に含まれるγ-オリザノール又はその塩の量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定される。
本発明の乳化調味料は、ビタミンCを水相に含有することが好ましい。また本発明の乳化調味料は、γ-オリザノール又はその塩を油相に含有することが好ましい。
本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量とγ-オリザノール又はその塩の含有量との重量比(ビタミンCの含有量:γ-オリザノール又はその塩の含有量)は、異風味の発生を抑えて、効果的に酸化臭の発生を抑制できることから、好ましくは1:1~5000であり、より好ましくは1:10~3500であり、特に好ましくは1:20~3000である。
本発明の乳化調味料は、卵黄を含有するものであってよいが、本発明の乳化調味料における卵黄の含有量は生換算で、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下であり、最も好ましくは7重量%以下である。いかなる理論に拘泥するものでもないが、本発明の乳化調味料が卵黄を含有する場合、当該卵黄に由来する鉄イオンがビタミンCによって還元され得、このことが異風味(鉄臭)の発生の一因と推測される。本発明の乳化調味料における卵黄の含有量が、上述の所定の量であることにより、異風味(鉄臭)の発生を特に効果的に抑え得る。本発明の乳化調味料が卵黄を含有する場合、十分な乳化作用を得る観点から、本発明の乳化調味料における卵黄の含有量は生換算で、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは3重量%以上である。
本発明において、卵黄の「生換算」の含有量は、当該含有量を算出するための卵黄の重量として、卵黄の水分含量を48.2重量%としたときの当該卵黄の総重量を用いることにより算出される。
本発明において用いられる卵黄は、食品に一般的に用いられ得るものであれば特に制限されず、例えば、家禽類の殻付卵(例、鶏卵等)を割卵して卵殻を取り除いた卵内容物(全卵)から、卵白を分離して得られる生卵黄、当該生卵黄に自体公知の加工処理(例、殺菌処理、冷凍処理、濾過処理、乾燥処理、酵素処理、脱糖処理、脱コレステロール処理、加糖処理、加塩処理等)又はそれに準ずる処理を施して得られる加工卵黄等が挙げられる。また、卵黄として、卵白を分離していない全卵や、全卵に上述の自体公知の加工処理又はそれに準ずる処理を施して得られる加工全卵等を用いてもよい。本発明の乳化調味料が、全卵、加工全卵等を含有する場合、その卵黄部分の量を、本発明の乳化調味料における卵黄の含有量に算入する。
本発明の乳化調味料が卵黄を含有する場合、本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量と卵黄の含有量(生換算)との重量比(ビタミンCの含有量:卵黄の含有量)は、異風味(鉄臭)の発生を効果的に抑え得ることから、好ましくは1:100~500000であり、より好ましくは1:1000~350000であり、特に好ましくは1:2000~300000である。
本発明の乳化調味料において、油相を構成する成分(以下、「油相成分」とも称する)は、食品に添加可能な親油性の物質であれば特に制限されず、例えば、食用油脂、親油性のある着香料、香味油等が挙げられる。
食用油脂としては、例えば、キャノーラ油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油等の食用植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、羊脂、鯨油等の食用動物油脂等が挙げられるが、好ましくは食用植物油脂である。また、上述の食用油脂をエステル交換したエステル交換油、上述の食用油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。食用油脂は精製されたもの(例、サラダ油等)であってよい。これらの食用油脂は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の乳化調味料において、水相を構成する成分(以下、「水相成分」とも称する)は、乳化調味料の種類等に応じて適宜決定すればよく、特に制限されないが、例えば、水、食酢、かんきつ類の果汁、食塩、砂糖類、醤油、味噌、卵白、調味料、酸味料、乳化剤、増粘剤、澱粉、香料、着色料、香辛料、香辛料抽出物等が挙げられる。
水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水等が挙げられるが、これらに制限されず、食品製造用水として適合するものを用い得る。
食酢としては、醸造酢を用いてもよいし、合成酢を用いてもよい。醸造酢としては、例えば、米酢(純米酢、玄米酢等)、米黒酢、麦芽酢、ハトムギ酢等の穀物酢等、ぶどう酢、りんご酢、柿酢等の果実酢が用いられる。また、合成酢としては、例えば、蒸留酢、濃縮酢等が挙げられる。これらの食酢は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
かんきつ類の果汁としては、例えば、レモン果汁、ユズ果汁、ベニユ果汁、ハナユ果汁、無核ユズ果汁、ユコウ果汁、スダチ果汁、カボス果汁、ダイダイ果汁、ライム果汁、シークワーサー果汁等が挙げられる。これらのかんきつ類の果汁は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
砂糖類としては、例えば、砂糖(上白糖、グラニュー糖)、ぶどう糖、果糖、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖、砂糖混合高果糖液糖、水あめ等が挙げられる。これらの砂糖類は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
調味料としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系調味料;イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸系調味料;たんぱく加水分解物等が挙げられる。これらの調味料は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の乳化調味料を構成する水相の量は特に制限されないが、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは10~50重量%であり、より好ましくは15~35重量%であり、特に好ましくは20~30重量%である。
本発明の乳化調味料を構成する油相の量は特に制限されないが、本発明の乳化調味料に対して、好ましくは50~90重量%であり、より好ましくは65~85重量%であり、特に好ましくは70~80重量%である。
本発明の乳化調味料のpHは、通常3以上であり、好ましくは、3.5以上であり、より好ましくは、3.8以上である。本発明の乳化調味料のpHは、通常5以下である。
一態様として、本発明の乳化調味料は、日本農林規格(JAS規格)に適合するマヨネーズであってよい。本発明は、上述する通り、かんきつ類の果汁(例、レモン果汁等)等のビタミンCを含有する素材を、そのまま用いてよく、また、食用植物油脂(例、米油、米糠油、米胚芽油等)等のγ-オリザノール又はその塩を含有する素材を、そのまま用いてよい。JAS規格に適合するマヨネーズは、使用できる原材料が限定されるが、かんきつ類の果汁及び食用植物油脂は、いずれもJAS規格に適合するマヨネーズの原材料として使用できる。したがって、ビタミンCとして、例えば、かんきつ類の果汁(例、レモン果汁等)等を、γ-オリザノール又はその塩として、例えば、食用植物油脂(例、米油、米糠油、米胚芽油等)等をそれぞれ使用し、JAS規格のマヨネーズの規格に従って製造することにより、本発明の乳化調味料は、JAS規格に適合するマヨネーズとして提供され得る。
他の一態様として、本発明の乳化調味料は、日本農林規格(JAS規格)のマヨネーズの規格に適合しない調味料であってよい。JAS規格のマヨネーズの規格に適合しない調味料は特に制限されないが、例えば、マヨネーズタイプ調味料等が挙げられる。本発明において「マヨネーズタイプ調味料」とは、JAS規格に適合するマヨネーズと同様又は類似の食味、食感、性状を有するが、成分組成(例、原材料、油脂含有率等)は、JAS規格のマヨネーズの規格に適合していない調味料(例、サラダクリーミードレッシング、半固体状ドレッシング等のドレッシング等)をいう。JAS規格のマヨネーズの規格に適合しない調味料として提供される本発明の乳化調味料は、ビタミンC並びにγ-オリザノール又はその塩として、これらを含有する素材の他、単離されたビタミンC並びにγ-オリザノール又はその塩、ビタミンC並びにγ-オリザノール又はその塩の市販品等を使用できる。
本発明の乳化調味料の製造方法は、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を添加することを含むこと以外は特に制限されず、本発明の乳化調味料は、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて製造し得る。例えば、ビタミンCが添加された水相成分の混合物を、ホモミキサー等の一般的な乳化機で撹拌しつつ、γ-オリザノール又はその塩が添加された食用油脂を注加して乳化させること等によって製造し得る。
ビタミンCは、水中油型乳化調味料の水相に含有されるように添加することが好ましい。ビタミンCを水中油型乳化調味料の水相に含有させるには、例えば、水相成分の混合物と油相成分の混合物とを乳化する前に、予めビタミンCを水相成分の混合物に添加し、その後に、当該水相成分の混合物と油相成分の混合物とを乳化すること等によって、ビタミンCを水中油型乳化調味料の水相に含有させ得る。
また、γ-オリザノール又はその塩は、水中油型乳化調味料の油相に含有されるように添加することが好ましい。γ-オリザノール又はその塩を水中油型乳化調味料の油相に含有させるには、例えば、水相成分の混合物と油相成分の混合物とを乳化する前に、予めγ-オリザノール又はその塩を油相成分の混合物に添加し、その後に、当該油相成分の混合物と水相成分の混合物とを乳化すること等によって、γ-オリザノール又はその塩を水中油型乳化調味料の油相に含有させ得る。
本発明の乳化調味料の製造には、乳化食品の製造に使用され得る装置を制限なく用いることができる。当該装置は、特に限定されないが、回転式の乳化機が好ましく、例えば、上述のホモミキサー及びコロイドミルの他、スティックミキサー、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等が挙げられる。
本発明の乳化調味料は、風味が異風味により損なわれることなく、酸化臭の発生が抑制され得る。
本発明における「酸化臭」は、水中油型乳化調味料の酸化が進行するにつれて強くなる不快な臭いであり、具体的には、一般にもどり臭と言われるような油脂劣化特有の酸化した不快な臭いである。また、本発明における「異風味」は、水中油型乳化調味料がビタミンC、γ-オリザノール又はその塩を含有することに起因して発生する不快な風味(臭い、味)であり、具体的には、鉄臭、バニラ臭、バニラ様の甘味等が挙げられる。酸化臭及び異風味の有無や程度は、後述の実施例に示されるように、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
本発明は、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制方法も提供する(以下、単に「本発明の酸化臭抑制方法」とも称する)。本発明の酸化臭抑制方法は、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を、水中油型乳化調味料に添加することを含む。
本発明の酸化臭抑制方法において用いられるビタミンC、並びに、γ-オリザノール又はその塩は、いずれも上述の本発明の乳化調味料に関して説明したものと同様であり、好適な態様も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法において、ビタミンCの添加は、水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量が、上述の本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量と同様の量となるように行われ、好適な量も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法において、γ-オリザノール又はその塩の添加は、水中油型乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量が、上述の本発明の乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量と同様の量となるように行われ、好適な量も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法において、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩の添加は、水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量とγ-オリザノール又はその塩の含有量との重量比が、上述の本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量とγ-オリザノール又はその塩の含有量との重量比と同様の範囲となるように行われ、好適な範囲も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法は、ビタミンCが水中油型乳化調味料の水相に含有されるように添加することが好ましい。また本発明の酸化臭抑制方法は、γ-オリザノール又はその塩が水中油型乳化調味料の油相に含有されるように添加することが好ましい。
本発明の酸化臭抑制方法において、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を水中油型乳化調味料に添加する時期は特に限定されないが、例えば、水中油型乳化調味料の製造中等が挙げられる。水中油型乳化調味料を製造する前の原材料に対し、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を添加してもよい。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料は、例えば、日本農林規格(JAS規格)で定義される半固体状ドレッシング(例、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング、マヨネーズタイプ調味料等)、乳化液状ドレッシング等のドレッシング等であってよいが、これらに制限されず、ドレッシングのJAS規格に適合しないドレッシング(例、ドレッシングタイプ調味料、サラダ用調味料等のドレッシング類)、ソース、たれ等であってもよい。
一態様として、本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料は、日本農林規格に適合するマヨネーズであってよい。
他の一態様として、本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料は、日本農林規格のマヨネーズの規格に適合しない調味料(例、マヨネーズタイプ調味料等)であってよい。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料は、元から(すなわち本発明の酸化臭抑制方法におけるビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩の添加前から)ビタミンC、並びに/あるいは、γ-オリザノール又はその塩を含有するものであってよいが、当該水中油型乳化調味料が、元からビタミンCを含有する場合、元から含有されるビタミンCの含有量は、0.01重量%未満であることが好ましく、0.00001重量%未満であることがより好ましい。また、当該水中油型乳化調味料が、元からγ-オリザノール又はその塩を含有する場合、元から含有されるγ-オリザノール又はその塩の含有量は、0.7重量%未満であることが好ましく、0.002重量%未満であることがより好ましい。尚、当該水中油型乳化調味料が、元からビタミンC、γ-オリザノール又はその塩を含有する場合、本発明の酸化臭抑制方法におけるビタミンC、γ-オリザノール又はその塩の添加量が、元から含有されるビタミンC、γ-オリザノール又はその塩の含有量に応じて適宜調整されることは、言うまでもない。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料に元から含有されるビタミンC、γ-オリザノール又はその塩の含有量は、当該水中油型乳化調味料の原材料の配合割合から算出され得る。また、当該含有量は、高速液体クロマトグラフィーによっても測定され得る。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料は、卵黄を含有するものであってよい。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料が卵黄を含有する場合、当該乳化調味料における卵黄の含有量(生換算)は、上述の本発明の乳化調味料が卵黄を含有する場合の卵黄の含有量(生換算)と同様であり、好適な範囲も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料が卵黄を含有する場合、ビタミンCの添加は、水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量と卵黄(生換算)の含有量との重量比が、上述の本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量と卵黄の含有量(生換算)との重量比と同様の範囲となるように行われ、好適な範囲も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料の油相成分、水相成分は、上述の本発明の乳化調味料における油相成分、水相成分と同様である。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料を構成する水相の量、油相の量は、それぞれ上述の本発明の乳化調味料を構成する水相の量、油相の量と同様であり、好適な量も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料のpHは、上述の本発明の乳化調味料のpHと同様であり、好適な範囲も同様である。
本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料の製造方法は特に制限されず、自体公知の手法又はそれに準ずる手法を、適宜組み合わせて製造し得る。また、本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料は、市販品であってもよい。
本発明の酸化臭抑制方法によれば、水中油型乳化調味料の風味を異風味(例、鉄臭、バニラ臭等)により損なうことなく、酸化臭の発生を抑制し得る。
本発明は、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制剤(本明細書において「本発明の剤」と称する場合がある)も提供する。本発明の剤は、ビタミンCと、γ-オリザノール又はその塩とが組み合わせられていることを、特徴の一つとする。
本発明の剤において用いられるビタミンC、並びに、γ-オリザノール又はその塩は、いずれも上述の本発明の乳化調味料に関して説明したものと同様であり、好適な態様も同様である。
本発明の剤は、一態様として、ビタミンCを含有する製剤と、γ-オリザノール又はその塩を含有する製剤とが、別々の容器、包材、袋等に収容された上で、これらを組み合わせて提供(例、流通、販売等)され得る。ビタミンCを含有する製剤、並びにγ-オリザノール又はその塩を含有する製剤は、それぞれビタミンCのみからなるもの、並びに、γ-オリザノール又はその塩のみからなるものであってよいが、これらに加えて、ビタミンC、γ-オリザノール又はその塩以外の成分(例、賦形剤、水、調味料等)を含有してもよい。ビタミンCを含有する製剤、並びに、γ-オリザノール又はその塩を含有する製剤の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
本発明の剤は、一態様として、ビタミンC、並びに、γ-オリザノール又はその塩を含有する単一の組成物であってもよい。当該組成物は、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩のみからなるものであってよいが、これらに加えて、ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩以外の成分(例、賦形剤、水、調味料等)を含有してもよい。当該組成物の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
本発明の剤の製造は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法により行い得る。
本発明の剤は、水中油型乳化調味料に添加されて用いられ得る。
本発明の剤が添加される水中油型乳化調味料は、上述の本発明の酸化臭抑制方法が用いられる水中油型乳化調味料と同様であり、好適な態様も同様である。
本発明の剤は、本発明の剤が添加された水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量を、上述の本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量と同様の量とするために用いられ得る。
本発明の剤は、本発明の剤が添加された水中油型乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量を、上述の本発明の乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量と同様の量とするために用いられ得る。
本発明の剤は、本発明の剤が添加された水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量とγ-オリザノール又はその塩の含有量との重量比を、上述の本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量とγ-オリザノール又はその塩の含有量との重量比と同様の範囲とするために用いられ得る。
本発明の剤が添加される水中油型乳化調味料が卵黄を含有する場合、本発明の剤は、本発明の剤が添加された水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量と卵黄の含有量(生換算)との重量比を、上述の本発明の乳化調味料におけるビタミンCの含有量と卵黄の含有量(生換算)との重量比と同様の範囲とするために用いられ得る。
本発明の剤を水中油型乳化調味料に添加する方法は特に限定されず、本発明の剤の形態や、本発明の剤を添加する水中油型乳化調味料の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。本発明の剤を水中油型乳化調味料に添加する時期は特に限定されないが、例えば、水中油型乳化調味料の製造中等が挙げられる。水中油型乳化調味料を製造する前の原材料に対し、本発明の剤を添加してもよい。
本発明の剤は、ビタミンCが水中油型乳化調味料の水相に含有されるように添加することが好ましい。また本発明の酸化臭抑制方法は、γ-オリザノール又はその塩が水中油型乳化調味料の油相に含有されるように添加することが好ましい。
本発明の剤によれば、水中油型乳化調味料の風味を異風味(例、鉄臭、バニラ臭等)により損なうことなく、酸化臭の発生を抑制し得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1~7、比較例1~9、コントロールの水中油型乳化調味料(マヨネーズ)の作製]
下表1~3に示す水相の原材料のうち、食酢以外の原材料(加塩卵黄、グルタミン酸ナトリウム、食塩、グラニュー糖、ビタミンC、クエン酸、水)を、下表1~3に示す配合割合(単位:重量部)で混合した。また、下表1~3に示す油相の原材料(菜種油、γ-オリザノール、ビタミンE)を、下表1~3に示す配合割合で混合した。食酢以外の水相の原材料の混合物をポリビーカーに投入した後、乳化の直前に食酢を混合し、得られた混合物をTKホモミキサー(プライミクス株式会製)を使用して撹拌しつつ、油相の原材料の混合物をゆっくりと注加して乳化させ(撹拌速度:約10000rpm、撹拌時間:約2分間)、実施例1~7、比較例1~9、コントロールの水中油型乳化調味料(マヨネーズ)をそれぞれ1kgずつ作製した。尚、各水中油型乳化調味料の製造中の溶存酸素濃度は、一定になるよう制御された。また、各水中油型乳化調味料のpHは、3.8~4.1であった。
下表1~3に示す原材料のうち、γ-オリザノール及びビタミンEは、オリザ油化株式会社製のものを、ビタミンCは、小林薬品工業株式会社製のものを、クエン酸は、磐田化学工業株式会社製のものを、それぞれ使用した。菜種油、加塩卵黄、グルタミン酸ナトリウム、食塩、グラニュー糖及び食酢は、いずれも食品用として市販されているものを使用し、水は、水道水を浄水器に通したものを用いた。
Figure 2022052322000001
Figure 2022052322000002
Figure 2022052322000003
[保存試験]
実施例1~7、比較例1~9、コントロールの水中油型乳化調味料を、それぞれ200gずつボトルに充填して密封し、44℃で7日間保存した。当該保存の後、各水中油型乳化調味料を常温(25℃)に戻し、異風味(鉄臭、バニラ臭)及び酸化臭の有無、程度について官能評価を実施した。
官能評価は、7名の専門パネルが各水中油型乳化調味料を食し、異風味(鉄臭、バニラ臭)及び酸化臭の有無、程度について、下記の基準に基づいて0.5点刻みで評点付けし、7名の評点の平均点を算出することにより行った。当該平均点が、3点未満である場合を合格、3点以上である場合を不合格とし、異風味(鉄臭、バニラ臭)及び酸化臭の評価の全てが合格(平均点が3点未満)である場合、総合評価「〇」とし、少なくとも一つが不合格(平均点が3点以上)である場合、総合評価「×」とした。7名の専門パネルは、異風味(鉄臭、バニラ臭)及び酸化臭の各評価基準について、評点が0.5点変動するには、異風味(鉄臭、バニラ臭)及び酸化臭がどの程度変動すればよいのか等がパネル間で共通となるよう、予め訓練された。
[異風味(鉄臭、バニラ臭)の評価基準]
0点:異風味が感じられない
1点:異風味がほとんど感じられない
2点:異風味がわずかに感じられる
3点:異風味がやや感じられる
4点:異風味が感じられる
5点:異風味がかなり感じられる
[酸化臭の評価基準]
0点:酸化臭が感じられない
1点:酸化臭がほとんど感じられない
2点:酸化臭がわずかに感じられる
3点:酸化臭がやや感じられる
4点:酸化臭が感じられる
5点:酸化臭がかなり感じられる
結果を下表4~6に示す。尚、表4~6には、卵黄(生換算)、ビタミンC、クエン酸、γ-オリザノール、ビタミンEの含有量(単位:重量%)をそれぞれ併記した。また、下表7は、総合評価の結果をマトリックス形式で表したものである。
Figure 2022052322000004
Figure 2022052322000005
Figure 2022052322000006
Figure 2022052322000007
表4~7に示される結果から明らかなように、コントロールの水中油型乳化調味料は、酸化臭がかなり感じられるものであった。ビタミンCを0.05重量%含有する比較例1の水中油型乳化調味料は、酸化臭は抑えられていたが、異風味(鉄臭)がかなり感じられるものであった。また、ビタミンCを0.002重量%含有する比較例2の水中油型乳化調味料、及びビタミンCを0.0002重量%含有する比較例3の水中油型乳化調味料は、いずれも酸化臭が十分に抑えられていなかった。これらの結果から、ビタミンCは、単体で酸化臭抑制効果を奏し得るものの、当該効果が期待できる濃度域では、異風味(鉄臭)が生じることが確認された。
また、γ-オリザノールを0.5重量%含有する比較例5の水中油型乳化調味料は、酸化臭が若干抑えられていたが、異風味(バニラ臭)がやや感じられた。当該結果から、γ-オリザノール又はその塩も、単体で酸化臭抑制効果が期待できる濃度域では、異風味(バニラ臭)が生じると考えられた。
一方、ビタミンCを0.00002~0.002重量%含有し、かつγ-オリザノールを0.005~0.5重量%含有する実施例1~7の水中油型乳化調味料は、いずれも酸化臭が十分に抑制され、また異風味も許容可能な程度に抑えられていた。これらの結果から、ビタミンC及びγ-オリザノール又はその塩を所定量で組み合わせることで、水中油型乳化調味料の風味を異風味により損なうことなく、保存による酸化臭の発生を抑制し得ることが確認された。
ビタミンC及びビタミンE(米油に豊富に含まれるアミノ酸)を含有する比較例7、8の水中油型乳化調味料、並びに、クエン酸(レモン果汁に豊富に含まれる有機酸)及びγ-オリザノールを含有する比較例9の水中油型乳化調味料は、いずれも酸化臭が十分に抑えられていなかった。
本発明によれば、風味が損なわれることなく、酸化臭の発生が抑制された水中油型乳化調味料及びその製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、水中油型乳化調味料の風味を損なうことなく、酸化臭の発生を抑制し得る、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制方法、及び水中油型乳化調味料の酸化臭抑制剤も提供できる。

Claims (12)

  1. ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を含有する水中油型乳化調味料であって、
    ビタミンCの含有量が、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%であり、かつ
    γ-オリザノール又はその塩の含有量が、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%である、乳化調味料。
  2. 前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、請求項1記載の乳化調味料。
  3. 前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、請求項1又は2記載の乳化調味料。
  4. ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を添加することを含み、
    ビタミンCの添加は、水中油型乳化調味料におけるビタミンCの含有量が、当該乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%となるように行われ、かつ、
    γ-オリザノール又はその塩の添加は、水中油型乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量が、当該乳化調味料に対して0.002~0.7重量%となるように行われる、水中油型乳化調味料の製造方法。
  5. 前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、請求項4記載の製造方法。
  6. 前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、請求項4又は5記載の製造方法。
  7. ビタミンC、並びにγ-オリザノール又はその塩を水中油型乳化調味料に添加することを含み、
    ビタミンCの添加は、前記乳化調味料におけるビタミンCの含有量が、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%となるように行われ、かつ、
    γ-オリザノール又はその塩の添加は、前記乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量が、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%となるように行われる、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制方法。
  8. 前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、請求項7記載の酸化臭抑制方法。
  9. 前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、請求項7又は8記載の酸化臭抑制方法。
  10. ビタミンCと、γ-オリザノール又はその塩とが組み合わせられている、水中油型乳化調味料の酸化臭抑制剤であって、
    前記乳化調味料におけるビタミンCの含有量を、前記乳化調味料に対して0.00001~0.01重量%とし、かつ
    前記乳化調味料におけるγ-オリザノール又はその塩の含有量を、前記乳化調味料に対して0.002~0.7重量%とするために用いられる、剤。
  11. 前記乳化調味料における卵黄の含有量が、前記乳化調味料に対して20重量%以下である、請求項10記載の剤。
  12. 前記乳化調味料が、日本農林規格に適合するマヨネーズ、又はマヨネーズタイプ調味料である、請求項10又は11記載の剤。
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