JP2022051549A - 1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール、その誘導体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 工程数を減らし、高収率かつ温和な条件で効率的に1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール及びその誘導体を製造する新規な方法を提供する。【解決手段】 アルケニルアルコールと1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドとを、塩基及びラジカル開始剤の存在下にて反応させて1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルカノールを得、次いで還元反応させることにより、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを製造する方法。【選択図】 なし

Description

本開示は機能性材料の製造原料又は合成中間体として有用な、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール及びその誘導体の製造方法に関する。
従来、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール類を製造する方法として、5,5,6,6-テトラフルオロ-6-ブロモヘキセンにトリフルオロボラン・ジエチルエーテル錯体と水素化ホウ素ナトリウムを作用させ、続いて、アルカリ性条件下、過酸化水素を作用させることによる、5,5,6,6-テトラフルオロ-6-ブロモヘキサノールを製造する例が知られている(非特許文献1)。また、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタンと酢酸アリルをUV照射下で5日間反応させ、続いて水酸化ナトリウムで処理して、5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロペンタン-1-オールを35%の収率で得る方法(非特許文献2)が知られている。さらに、出発原料として安価に入手可能である1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドにマロン酸ジアルキルエステルを作用させることで、炭素鎖を伸ばし、加水分解を伴って、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカン酸へと誘導し、これを還元することにより、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを収率57%で得る方法(特許文献1)が知られている。
特開2008-297234号公報
Journal of Organic Chemistry 1999年、第64巻、5993頁~5999頁 Journal of The American Chemical Society 1999年、第121巻、2110頁~2114頁
しかしながら、これまで知られている製造方法では、製造工程が長く、過酷な反応条件により、特に製造効率の観点で問題が多く、改善が求められていた。例えば、特許文献1に開示されている塩化チオニルを用いる方法は、有害な塩化水素や二酸化硫黄ガスの漏洩を防ぐ特殊設備が必要である。
また、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール類の製造において、特定の不純物が生成する場合がある。本発明者らはその含有量が特定の値を上回ることで、製造原料又は合成中間体としてのコストと品質保証のバランスの面で問題が生じることを見出した。
本開示は、工程数を減らし、高収率かつ温和な条件で効率的に1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール及びその誘導体を製造する新規な方法を提供すること、並びに不純物の含有量が少ない1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール及びその誘導体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の問題点を鑑み、鋭意検討を行った結果、特定の反応条件を採用することで、目的とする1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール及びその誘導体を、工程数を抑え、工業的に適用可能な温和な反応条件で効率的に製造できることを見出した。特に、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドに、塩基及びラジカル開始剤の存在下、アルケニルアルコールをラジカル付加することにより、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールをワンポットで製造する方法(第1工程)により、工程数を短縮した。また、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの誘導体は、この1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを用いて合成することが可能であることを見出した。
より具体的には、一般式[2]
Figure 2022051549000001
[一般式[2]中、mは1~4の整数を表す。]で表されるアルケニルアルコールと、一般式[3]
Figure 2022051549000002
[一般式[3]中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。一般式[3]中、lは0~4の整数を表す。]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドとを、塩基及びラジカル開始剤の存在下にて反応させることにより、一般式[4]
Figure 2022051549000003
[一般式[4]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールが高収率で得られることを見出した。
次いで第2工程において、上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを還元反応させて、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを得られることを見出し、上記課題を解決することができた。
本開示の反応では、必要な原料はいずれも安価であり、各段階とも操作は簡便であり、特に第2工程の還元反応は幅広く工業的に使用されており、操作上の負担も少なく実施できるため、目的とする1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを工業的規模で製造する上で、従来の手段よりもはるかに有利である。
すなわち、本開示は、下記2工程を含むことによる一般式[1]
Figure 2022051549000004
[一般式[1]中、nは3~10の整数を表す。]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの製造方法(第1の製造方法)である。
第1工程:一般式[2]
Figure 2022051549000005
[一般式[2]中、mは1~4の整数を表す。]で表されるアルケニルアルコールと、一般式[3]
Figure 2022051549000006
[一般式[3]中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。一般式[3]中、lは0~4の整数を表す。]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドとを、塩基及びラジカル開始剤の存在下にて反応させることにより、一般式[4]
Figure 2022051549000007
[一般式[4]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを製造する工程。
第2工程:第1工程で得られた、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを還元反応させることにより、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを製造する工程。
本開示の製造方法によると、少ない工程数で簡便な操作により、高純度の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを製造することができる。
本開示は、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールに関する。
一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールは新規化合物であり、本開示の第1の製造方法における第1工程で製造される。
本開示は、6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オールに関する。
6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オールは新規化合物であり、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールの一つである。
本開示は、一般式[6]
Figure 2022051549000008
[一般式[6]中、nは上記定義に同じ。]で表される1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールである。
本開示は、一般式[7]
Figure 2022051549000009
[一般式[7]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される化合物の含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールである。
本開示は、一般式[8]
Figure 2022051549000010
[一般式[8]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される化合物の含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールである。
本開示は、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールの含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールである。
本開示は、下記2工程を含むことによる一般式[10]
Figure 2022051549000011
[一般式[10]中、nは上記定義に同じ。Rは炭素数3~20の脂環式有機基を表す。ここで、該脂環式有機基の水素原子の一部又は全部が炭素数1~6の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基で置換されていてもよい。]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルの製造方法(第2の製造方法)である。
第3工程:一般式[4]
Figure 2022051549000012
[一般式[4]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールと、炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸とをエステル化反応させることにより、一般式[9]
Figure 2022051549000013
[一般式[9]中、m、l及びRは前記定義に同じ。]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを製造する工程。
第4工程:上記第3工程で得られた、一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを還元反応させることにより、一般式[10]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルを製造する工程。
本開示の製造方法によると、少ない工程数で簡便な操作により、高純度の脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルを製造することができる。
本開示は、一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルに関する。
一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルは新規化合物であり、本開示の製造方法における第3工程で製造される。
本開示は、1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニルに関する。
1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニルは新規化合物であり、一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルの一つである。
本開示によれば、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドから、少ない工程で簡便に、しかも良好な収率で、機能性材料の製造原料又は合成中間体として有用な、ブロモテトラフルオロアルカノール及びその誘導体を工業的規模で製造する方法を提供できる。また、得られたブロモテトラフルオロアルカノール及びその誘導体は不純物の含有量が少なく、製造原料又は合成中間体として、コストと品質保証のバランスに優れる。
以下、本開示を詳細に説明する。本開示は以下の実施態様に限定されるものではなく、本開示の趣旨を損なわない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜実施することができる。
本開示の第1の製造方法は、上記一般式[2]で表されるアルケニルアルコールと上記一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドを塩基及びラジカル開始剤の存在下にて反応させ、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを製造する工程(第1工程)、第1工程で得られた上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを還元反応させることにより、上記一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを製造する工程(第2工程)を含む。
より詳細には、第1工程では、上記一般式[2]で表されるアルケニルアルコールと上記一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドを反応させ、下記一般式[5]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドアルコールを経由して、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを製造する。
Figure 2022051549000014
まず、本開示の第1の製造方法の第1工程について説明する。
本開示の第1の製造方法の出発原料である、上記一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドは、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタン、1-ブロモ-2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタン、1,3-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-プロパン、1-ブロモ-3-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-プロパン、1-ブロモ-3-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-プロパン、1,4-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン、1-ブロモ-4-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン、1-ブロモ-4-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン、1,5-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ペンタン、1-ブロモ-5-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ペンタン、1-ブロモ-5-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ペンタン、1,6-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ヘキサン、1-ブロモ-6-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ヘキサン又は1-ブロモ-6-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ヘキサンが好ましい。上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドは、1種又は2種以上を用いることができる。
上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドとしては、一般式[3]中のXがヨウ素であるものが好適である。
上記一般式[2]で表されるアルケニルアルコールは、2-プロペノール、3-ブテノール、4-ペンテノール又は5-ヘキセノールが好ましい。上記アルケニルアルコールは、1種又は2種以上を用いることができる。
第1工程では、上記一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライド及び上記一般式[2]で表されるアルケニルアルコールを含む極性溶媒中に、塩基及びラジカル開始剤水溶液を滴下することが好ましい。
第1工程で用いられる塩基は特別な限定はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を挙げることができる。また、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができる。また、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸塩を挙げることができる。また、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコラートを挙げることができる。また、アルカリ土類金属塩類としてはMg,Ca等のアルカリ土類金属の炭酸塩等を挙げることができる。また、マグネシウムエトキシド、カルシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコラートを挙げることができる。アルカリ金属アルコラートやアルカリ土類金属アルコラートは、市販のメタノール溶液等に希釈されたものを使用することもできる。これらのうち、反応性や経済性、及び取り扱い易さから水酸化ナトリウムが最も好ましいが、強塩基1種以上を含む2種以上の塩基を併用してもよい。
また、塩基の添加量は一般式[3]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドに対して、通常0.5~10倍モル、好ましくは1.0~3倍モルである。0.5倍モル未満では脱ハロゲン化が不十分となる場合があり、10倍モルを超えて添加しても更なる効果は得られにくい。
第1工程で用いられるラジカル開始剤は、ラジカルを発生するような化合物であれば特に限定されない。このような化合物としては例えば、2,2’-アゾビスプロパン、2,2’-ジクロロ-2,2’-アゾビスプロパン、1,1’-アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’-アゾビスイソブタン、2,2’-アゾビスイソブチルアミド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオン酸メチル、2,2’-ジクロロ-2,2’-アゾビスブタン、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、2-(4-メチルフェニルアゾ)-2-メチルマロノジニトリル、4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸、3,5-ジヒドロキシメチルフェニルアゾ-2-マリルマロノジニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルバレロニトリル、4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸ジメチル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’-アゾビス-2-プロピルブチロニトリル、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’-アゾビス-1-シクロヘプタンニトリル、1,1’-アゾビス-1-クロロフェニルエタン、1,1’-アゾビス-1-フェニルエタン、1,1’-アゾビスクメン、4-ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4-ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’-アゾビス-1,2-ジフェニルエタン、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)、1,1’-アゾビス-1-クロロ-1-フェニルプロパン、1,1’-アゾビス-1-クロロ-1-(p-メチルフェニル)エタン、1,1’-アゾビス-1-クロロ-1-フェニルブタン、1,1’-アゾビス-1-プロピノキシ-1-フェニルエタン、1,1’-アゾビス(1-イソプロポキシ-1-フェニルエタン)、1,1’-アゾビス-1-ピバロキシ-1-フェニルエタン、1,1’-アゾビス-1-アセトキシ-1-フェニルプロパン、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-(p-メチルフェニル)エタン)、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-(p-クロロフェニル)エタン)、1,1’-アゾビス-1-アセトキシ-1-フェニルブタン、2,2’-アゾビス-2-アセトキシ-3,3’-ジメチルブタン、2,2’-アゾビス-2-アセトキシ-4-メチルペンタン、2,2’-アゾビス(2-プロピノキシ-3,3’-ジメチルブタン)、2,2’-アゾビス-2-プロピノキシ-4-メチルペンタン、2,2’-アゾビス-2-イソブチロキシ-3,3’-ジメチルブタン、2,2’-アゾビス-2-イソブチロキシ-4-メチルペンタン、2,2’-アゾビス-2-ピバロキシ-3,3’-ジメチルブタン、2,2’-アゾビス-2-アセトキシプロパン、2,2’-アゾビス-2-アセトキシブタン、2,2’-アゾビス-2-アセトキシ-3-メチルブタン、2,2’-アゾビス-2-プロピノキシプロパン、2,2’-アゾビス-2-プロピノキシブタン、2,2’-アゾビス-2-プロピノキシ-3-メチルブタン、2,2’-アゾビス-2-ピバロキシ-4-メチルペンタン、2,2’-アゾビス-2-ベンゾイロキシ-3,3’-ジメチルブタン、2,2’-アゾビス-2-ベンゾイロキシ-4-メチルペンタン、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’アゾビス(2-アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン)水和物、2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノブタン)二塩酸塩などを挙げることができる。
また、ラジカル開始剤としては無機酸塩も挙げられ、無機酸塩としては、亜ジチオン酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩が挙げられる。亜ジチオン酸塩としては、亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウムあるいはハイドロサルファイトとも称す)等が挙げられ、亜硫酸水素塩としては、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられ、亜硫酸塩としては、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。ラジカル開始剤は1種又は2種以上を用いることができる。
ラジカル開始剤としては、安価で、水溶性であり、廃棄が容易であることから、好ましくは亜ジチオン酸ナトリウムである。
また、ラジカル開始剤の添加量は一般式[3]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドに対して、通常0.01~3倍モル、好ましくは0.1~0.5倍モルの範囲から適宜選択される。
第1工程において用いられる極性溶媒は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、スルホキシド類、ニトリル類、エーテル類、アミン類、アミド類、ニトロ化合物等が挙げられる。極性溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。これらの内、好ましい極性溶媒は、アセトニトリル等のニトリル類、ジグライム、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類である。特に好ましくはアセトニトリルである。
また、これらの極性溶媒は必要に応じ、水又は異なる極性溶媒と混合して用いてもよい。極性溶媒の使用量は、一般式[3]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドに対して、通常0.1~10倍質量、好ましくは0.3~3倍質量の範囲から適宜選択される。
反応温度は-20℃から100℃が好ましく、より好ましくは、-5℃から使用する溶媒の還流温度程度であるが、更に好ましくは0℃から40℃である。反応時の圧力は特に限定されず、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよい。また、反応時間は1~24時間程度が好ましいが、ガスクロマトグラフィー(GC)や核磁気共鳴装置(NMR)などの分析機器を使用し、一般式[5]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドアルコールが消費された時点を反応の終点とすることが好ましい。
反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。雰囲気は特に限定されず、空気、不活性雰囲気等いずれであってもよい。
第1工程で使用する一般式[2]のアルケニルアルコールは、一般式[3]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドに対して、通常0.5~10倍モルであり、好ましくは0.8~2倍モルである。0.5モル未満では、未反応の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドが増加し、経済的に不利である。10倍モルを超えると、未反応のアルケニルアルコールが増加し、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールの収率が低下して、経済的に不利になり好ましくない。
第1工程は、上記一般式[2]で表されるアルケニルアルコールと上記一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドを反応させ、下記一般式[5]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドアルコールに変換し、続いて、上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドアルコールを脱ハロゲン化水素反応させて上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを製造する工程であってもよい。
Figure 2022051549000015
[一般式[5]中、X、m及びlは上記定義に同じ。]
上記脱ハロゲン化水素反応は、特に操作を必要とせず進行するが、反応を促進するため上述の強塩基を追加してもよい。
得られた一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを含む反応液は、水洗した後、常法に従って、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、蒸留、もしくは再結晶を行うことにより分離精製する。こうして一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールが得られる。第1工程で得た一般式[4]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを含む反応混合物は精製をせず、第2工程の原料としてそのまま使用することもできるが、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを精製単離しておくと、第2工程以降での不純物処理の負担が著しく低減されるので、この時点で精製しておくことが好ましい。
次に第2工程について説明する。第2工程は、第1工程で得られた、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを還元反応することにより、上記一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを製造する工程である。
一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを還元する方法は特に限定されず、水素化(水添反応)、ヒドラジン還元、ヒドリド還元、ジイミド還元等が挙げられるが、水素化またはヒドラジン還元が好ましい。
第2工程で使用する水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはNi、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒が挙げられる。水添触媒の使用量は、一般式[4]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールに対して、好ましくは0.01~0.15倍質量の範囲から適宜選択される。
水添反応は一般的に0~200℃で行うことが好ましく、より好ましくは20~50℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.2から15MPaが好ましく、より好ましくは0.3から10MPa、更に好ましくは0.4から5MPaが推奨される(絶対圧。以下、本明細書にて同じ)。また、水添反応時間は通常3分~30時間、好ましくは1時間~23時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
水添反応の好ましい実施態様は、1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを不活性有機溶媒に溶解した溶液において行われる。ここで言う「不活性有機溶媒」とは、溶媒が水添反応のいかなる関与体とも反応しないものを意味する。好適な溶媒は、例えばn-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類の単独もしくは混合物である。また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類も使用することができる。
水添反応は、一般的には上記被水添物溶液を水素又は不活性雰囲気下、所定の温度に保持し撹拌下又は不撹拌下にて水添触媒を添加し、ついで水素ガスを導入して所定圧に加圧することによって実施される。不活性雰囲気とは、例えばヘリウム、アルゴン等の水添反応のいかなる関与体とも反応しない雰囲気を意味する。空気や酸素は触媒成分を酸化するため触媒の失活を招くので好ましくない。また窒素は水添反応時触媒毒として作用し、水添活性を低下させる場合もあるので水添反応中は反応器内を水素ガス単独の雰囲気とすることが最も好適である。
得られた上記一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを含む反応液は、触媒を取り除いた後、常法に従って、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、蒸留、もしくは再結晶を行うことにより分離精製する。こうして上記一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールが得られる。
本開示は、また、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールに関する。上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールは、本開示の第1の製造方法における第1工程で得られる化合物である。上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールは、本開示の第1の製造方法により初めて合成された新規化合物である。
上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールとしては、5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロ-2-ペンテン-1-オール、6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オール、7-ブロモ-6,6,7,7-テトラフルオロ-4-ヘプテン-1-オール、8-ブロモ-7,7,8,8-テトラフルオロ-5-オクテン-1-オール、9-ブロモ-8,8,9,9-テトラフルオロ-6-ノネン-1-オール、10-ブロモ-9,9,10,10-テトラフルオロ-7-デセン-1-オール、11-ブロモ-10,10,11,11-テトラフルオロ-8-ウンデセン-1-オール、又は、12-ブロモ-11,11,12,12-テトラフルオロ-9-ドデセン-1-オールが挙げられる。
上記6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オールも本開示の一形態である。
本開示の第1の製造方法によれば、一般式[6]
Figure 2022051549000016
[一般式[6]中、nは上記定義に同じ。]で表される1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール、一般式[7]
Figure 2022051549000017
[一般式[7]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される化合物、一般式[8]
Figure 2022051549000018
[一般式[8]中、m及びlは上記定義に同じ。]で表される化合物、又は、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを不純物として含む、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールが得られる。このような不純物を含む一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールも、本開示の一形態である。
本開示の一形態において、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール中の、一般式[6]で表される1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの含有量は0GC面積%を超えて、8GC面積%以下、好ましくは0GC面積%を超えて、3GC面積%以下、さらに好ましくは0GC面積%を超えて、1GC面積%以下であり、一般式[7]で表される化合物の含有量は0GC面積%を超えて、8GC面積%以下、好ましくは0GC面積%を超えて、3GC面積%以下、さらに好ましくは0GC面積%を超えて、1GC面積%以下であり、一般式[8]で表される化合物の含有量は0GC面積%を超えて、8GC面積%以下、好ましくは0GC面積%を超えて、3GC面積%以下、さらに好ましくは0GC面積%を超えて、1GC面積%以下であり、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールの含有量は0GC面積%を超えて、8GC面積%以下、好ましくは0GC面積%を超えて、3GC面積%以下、さらに好ましくは0GC面積%を超えて、1GC面積%以下である。
なお、GC面積%は、GC(ガスクロマトグラフィー)によって得られたピークの合計面積のうち、定量目的成分の面積の割合を表示した値である。
なお、測定の対象化合物を検出するための技術的な観点から、定量限界を含有量の下限としてもよい。例えば、27質量ppmを下限としてもよい。27質量ppmは、後述の実施例に記載のGC分析条件における定量限界である。
本開示の一形態である一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールは、上記一般式[6]で表される1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール、上記一般式[7]で表される化合物、一般式[8]で表される化合物、及び、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールの2種以上を含んでいてもよい。
本開示の第2の製造方法は、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールと、炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸とを反応させることにより、一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを製造する工程(第3工程)、第3工程で得られた、上記一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを還元反応させることにより、上記一般式[10]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルを製造する工程(第4工程)を含む。
上記一般式[10]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルは、上記一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの誘導体である。
Figure 2022051549000019
まず、本開示の第2の製造方法の第3工程について説明する。
本開示の第2の製造方法の出発原料である、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールは、上述の第1の製造方法の第1工程で得られる化合物である。上記1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールは、1種又は2種以上を用いることができる。
上記炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸は、カルボキシ基以外の水素原子の一部又は全部が炭素数1~6の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基で置換されていてもよい。上記炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸としては、例えば、炭素数3~20の脂環式炭化水素のカルボン酸が挙げられ、具体例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、ノルボルネンカルボン酸、カンフルカルボン酸、メチルシクロペンタンカルボン酸、エチルシクロペンタンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、メチルアダマンタンカルボン酸、エチルアダマンタンカルボン酸、メチルノルボルネンカルボン酸、エチルノルボルネンカルボン酸、メチルカンフルカルボン酸、エチルカンフルカルボン酸等を挙げることができる。
第3工程では、上記一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールと炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸の混合物に酸触媒及び溶媒を加えて、エステル化反応を行うことが好ましい。
上記エステル化反応は従来公知の方法及び条件で行うことができる。酸触媒としては特に限定されず、酸を用いることが出来る。酸としては、カルボン酸やスルホン酸等の有機酸や、塩酸や硫酸等の無機酸(鉱酸)を挙げることが出来る。有機酸は、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸及びこれらの水和物等が挙げられる。酸触媒の使用量は、一般式[4]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールに対して、好ましくは0.001から10倍モル、より好ましくは0.01から1倍モルである。
エステル化反応を行う溶媒としては特に限定されず、例えばへキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、キシレン、クメン等の炭化水素類等が挙げられる。共沸により脱水が可能である観点から、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンが好ましい。溶媒の使用量は、例えば一般式[4]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールに対して、通常0.1~10倍質量、好ましくは0.5~5倍質量の範囲から適宜選択される。
反応温度は、一般的には-50℃から溶媒の沸点温度が好ましく、室温から溶媒の沸点温度がより好ましい。反応時の圧力は特に限定されず、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよい。また、反応時間は1~24時間程度が好ましい。
第3工程で使用する一般式[4]の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールは、炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸1モルに対して、通常1~100モル、好ましくは1.0~10モルである。
次に第4工程について説明する。第4工程は、上記第3工程で得られた、上記一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを還元反応させることにより、上記一般式[10]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルを製造する工程である。
一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを還元する方法は特に限定されず、第1の製造方法の第2工程における還元と同様の方法で行うことができる。水素化またはヒドラジン還元が好ましい。
第4工程で使用する水添触媒の種類や使用量は、第1の製造方法の第2工程で例示したもの等が挙げられる。第4工程における反応温度、圧力、反応時間、プロセス、溶媒、雰囲気等は、第1の製造方法の第2工程における条件と同様である。
このようにして上記一般式[10]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルが得られる。
本開示は、また、上記一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルに関する。上記脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルは、本開示の第2の製造方法における第3工程で得られる化合物である。上記脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルは、本開示の第2の製造方法により初めて合成された新規化合物である。
上記一般式[9]におけるRは、炭素数3~20の脂環式有機基を表す。ここで、該脂環式有機基の水素原子の一部又は全部が炭素数1~6の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基で置換されていてもよい。上記炭素数3~20の脂環式有機基としては、例えば、炭素数3~20の脂環式炭化水素基が挙げられ、具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、カンホロイル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、ノルボルニルメチル基、ノルボルニルエチル基、カンホロイルメチル基、カンホロイルエチル基等を挙げることができる。
上記一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルの具体例としては、例えば、1-アダマンタンカルボン酸-5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロ-2-ペンテニル、1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニル、1-アダマンタンカルボン酸-7-ブロモ-6,6,7,7-テトラフルオロ-4-ヘプテニル、1-アダマンタンカルボン酸-8-ブロモ-7,7,8,8-テトラフルオロ-5-オクテニル、1-アダマンタンカルボン酸-9-ブロモ-8,8,9,9-テトラフルオロ-6-ノネニル、1-アダマンタンカルボン酸-10-ブロモ-9,9,10,10-テトラフルオロ-7-デケニル、1-アダマンタンカルボン酸-11-ブロモ-10,10,11,11-テトラフルオロ-8-ウンデケニル、1-アダマンタンカルボン酸-12-ブロモ-11,11,12,12-テトラフルオロ-9-ドデケニル等が挙げられる。
上記1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニルも本開示の一形態である。
以下、本開示の実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール及び不純物の濃度(含有量ということがある。測定サンプルが濃縮物や蒸留物のときは、純度ということがある)は、ガスクロマトグラフ分析装置を用いて下記の条件で分析した。実施例1では、6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オールの相対保持時間を1.00とした場合に、相対保持時間が3.12以下の成分のガスクロマトグラフィーチャート総面積を100GC面積%として、各成分のGC面積%濃度を求めた。他の成分の相対保持時間は、それぞれ6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オールが1.05、5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロ-3-メチル-1-オールが0.99、5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロ-3-イソヘキセン-1-オールが0.92、5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オールが0.75である。
(ガスクロマトグラフィー分析条件)
測定試料:6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オール 1.0μL
装置:GC-2010(島津製作所製)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
使用カラム:DB-5 長さ30m×内径0.25mm(Agilent製)
分析条件:注入温度250℃、検出温度280℃
キャリアガス:ヘリウム
カラム流量:1.05mL/分
カラム温度:50℃で5分保持、100℃まで25℃/分で昇温、100℃で7分保持、280℃まで25℃/分で昇温、280℃で10分保持
[実施例1]
(第1工程)新規6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オールの製造
Figure 2022051549000020
1L四つ口フラスコに三日月型の攪拌羽を設置し、イオン交換水(50.0g,0.5倍質量/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)、1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン(100g,0.326mol)、3-ブタン-1-オール(25.92g,0.359mol,1.1倍モル/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)、アセトニトリル(150g,1.5倍質量/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)を混合し、メカニカルスターラーを用いて攪拌し、冷却した。別容器に、イオン交換水(300.1g,3.0倍質量/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)、水酸化ナトリウム(26.13g,0.651mol,2.0倍モル/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)、亜ジチオン酸ナトリウム(16.74g,0.0815mol,0.25倍モル/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)を混合し、10℃まで冷却した。これを水溶液Aとした。内温0.8℃で、滴下ポンプを用い、内温が25℃を超えないように、水溶液Aを115分かけて滴下した。滴下終了後、3時間攪拌後、トルエン(299.4g,3.0倍質量/1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン)を加え、15分攪拌した後、全量を分液ロートへ移液し15分静定した。二層分離後、上層(有機層492.5g)、下層(水層469.8g)を分液した。上層に亜硫酸ナトリウム水溶液(水150.5gに亜硫酸ナトリウム12.33gを溶解し調製)を添加し、水洗を行った。有機層を濃縮し、減圧蒸留(90-91℃/1.9kPa)により、目的物である新規6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オール(以下、C6-OLE-OHと表記する)73.3g(収率95%,純度99.1GC面積%)を無色~淡黄色液体として得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;2.35(d、7.2Hz、2H)、3.62(d、7.6Hz、3H)、4.86(s、7.2Hz、1H)、5.68(dd、13.2Hz、25.6Hz、1H)、6.39(m、1H)((CHSi=0ppm)。
19F-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;-66.9(s、2F)、-110.3(s、2F)(CFCl=0ppm)。
(第2工程)6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オールの製造
Figure 2022051549000021
300mL耐圧反応容器に、メタノール(100.15g,2.0倍質量/C6-OLE-OH)、2wt%Pd/活性炭(N.E.ケムキャット製、50質量%含水品)(1.50g,0.03倍質量/C6-OLE-OH)、上記で得られたC6-OLE-OH50.0gを投入した。水浴下、Nで3回、Hで3回加圧パージし、300rpmで撹拌しながら、H加圧を開始した。0.8MPaまで加圧した。15時間攪拌後、残りのHをパージし、Nで3回加圧パージした。反応液は濾過助剤であるセライト(富士フイルム和光純薬製No.503A)(5.0g,0.1倍質量/C6-OLE-OH)を敷き詰めた加圧濾過器で濾過し、メタノール(50.01g,1.0倍質量/C6-OLE-OH)でふりかけ洗浄した。得られた濾液を濃縮し、減圧蒸留(110-112℃/1.6kPa)により、目的物である6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オール42.3g(収率90%,純度99.5GC面積%)を無色液体として得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;1.57-1.67(m、4H)、1.98-2.10(m、2H)、3.60(t、6.1Hz、2H)((CHSi=0ppm)。
19F-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;-66.1(s、2F)、-112.6(s、2F)(CFCl=0ppm)。
なお、目的物である6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オール以外に、6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オールが0.10GC面積%、5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロ-3-メチルペンタン-1-オールが0.14GC面積%、5-ブロモ-4,4,5,5-テトラフルオロ-3-メチレンペンタン-1-オールが0.11GC面積%、5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オールが0.05GC面積%含まれていた。
[比較例1]
(第1工程)2-(4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブチル)-マロン酸ジエチルエステルの製造
Figure 2022051549000022
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム320g(60%ミネラルオイル含有品)(7.17mol)のジメチルホルムアミド1900mLに添加し、マロン酸ジエチル1208g(7.17mol)を氷浴下で添加した。1時間攪拌後、この溶液に1-ブロモ-4-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン2400g(7.17mol)を反応液が100℃以下になるよう制御しながら添加した。1時間攪拌後、1N塩酸水溶液を1000mL添加し、ジイソプロピルエーテルで抽出した。有機層を濃縮し、減圧蒸留(115-116℃/0.53kPa)により、目的物である2-(4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブチル)-マロン酸ジエチルエステル1940g(収率74%、純度89GC面積%)を淡黄色液体として得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;1.23(t、7.1Hz、6H)、2.05-2.18(m、2H)、2.20-2.40(m、2H)、3.59(t、7.0Hz、1H)、4.00-4.22(m、4H)((CHSi=0ppm)。
19F-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;-66.2(s、2F)、-112.0(brt、18Hz、2F)(CFCl=0ppm)。
(第2工程)6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン酸の製造
Figure 2022051549000023
上記で得られた2-(4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブチル)-マロン酸ジエチルエステル1940g(5.29mol)に15%水酸化ナトリウム水溶液7000g(26.4mol)を添加し、2時間加熱還流させた。室温(約20℃)まで冷却後、氷浴下濃塩酸(36%)を2900g(29.1mol)添加し、ジイソプロピルエーテルで抽出した。溶媒を留去した後、残渣を170℃に加熱し、目的物である6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン酸1338g(収率95%)を褐色液体として得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;1.86-1.99(m、2H)、2.05-2.24(m、2H)、2.42-2.52(m、2H)、((CHSi=0ppm)。
19F-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;-66.2(s、2F)、-112.6(br dd、18Hz、15Hz、2F)(CFCl=0ppm)。
(第3工程)6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサノイルクロリドの製造
Figure 2022051549000024
窒素雰囲気下、上記で得られた6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン酸1300g(4.87mol)に塩化チオニル780g(6.33mol)を添加し、50℃で4時間攪拌した。減圧蒸留(110℃/1kPa)により、目的物である6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサノイルクロリド1223g(収率88%、純度91GC面積%)を淡黄色液体として得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;1.05-1.97(m、2H)、2.09-2.24(m、2H)、3.02(t、7.1Hz、2H)、((CHSi=0ppm)。
19F-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;-66.4(brs、2F)、-112.6(br dd、21Hz、9Hz、2F)(CFCl=0ppm)。
(第4工程)6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オールの製造
Figure 2022051549000025
窒素雰囲気下、上記で得られた6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサノイルクロリド500g(1.75mol)をエチレングリコールジメチルエーテル1500mLに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム53g(1.40mol)を添加した。50℃で2時間攪拌後、反応液を希硫酸水溶液に添加し、ジイソプロピルエーテルで抽出した。溶媒留去後、減圧蒸留(113℃/3.8kPa)により、目的物である6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキサン-1-オール332g(収率94%、純度99.3GC面積%)を無色透明液体として得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;1.57-1.67(m、4H)、1.98-2.10(m、2H)、3.60(t、6.1Hz、2H)((CHSi=0ppm)。
19F-NMR(重溶媒;CDCl)、δppm;-66.1(s、2F)、-112.6(s、2F)(CFCl=0ppm)。
実施例1の手法は全収率85.5%であった。比較例1(特許文献1)で示した4段階での製法は全収率58.5%であり、20%以上の差異がある結果となった。
実施例2
(第3工程)1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニルの製造
Figure 2022051549000026
撹拌子付き100mL三口ナスフラスコに、室温で、実施例1の第1工程で得られたC6-OLE-OHを10.1g(0.040mol)、1-アダマンタンカルボン酸(東京化成工業製)を7.9g(0.044mol、1.1倍モル/C6-OLE-OH)、p-トルエンスルホン酸一水和物(富士フイルム和光純薬製)を0.38g(0.002mol、0.05倍モル/C6-OLE-OH)、トルエンを35.9g(3.6倍質量/C6-OLE-OH)加え、110℃まで加温し15時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、蒸留水洗を1回行い、エバポレーターで濃縮し、黄色溶液として1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニル(以下、Br-C6-OLE-Adと表記する)を14.5g(収率88%)得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(Acetone-d6):6.53ppm(m,1H)、5.95ppm(q,J=15.6Hz,1H)、4.21ppm(t,J=6.4Hz,2H)、2.61ppm(m,2H)、1.99ppm(s,3H)、1.87ppm(m,6H)、1.72ppm(dd,J=12.0Hz,8.8Hz,6H)
19F-NMR(Acetone-d6):-67.2ppm(d,J=6.0Hz,2F)、-109.8ppm(s,2F)
(第4工程)1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキシルの製造
Figure 2022051549000027
撹拌子付き100mLオートクレーブに室温(約20℃)で、上記で得られたBr-C6-OLE-Adを5.0g(0.01mol)、2%Ptカーボン粉末(含水品58%、N.E.ケムキャット製)を0.3g(0.06倍質量/Br-C6-OLE-Ad)、メタノールを10.2g(2.0倍質量/Br-C6-OLE-Ad)加え、水素雰囲気下(1.0MPa)で約20℃で20時間撹拌した。反応液をセライトろ過後、エバポレーターで濃縮し、黄色溶液として1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロヘキシル(以下、Br-C6-Adと表記する)を3.2g(収率77%)得た。H-及び19F-NMRを下に示す。
H-NMR(Acetone-d6):4.12ppm(t,J=6.0Hz,2H)、2.27ppm(m,2H)、1.99ppm(s,3H)、1.89ppm(m,6H)、1.75ppm(m,10H)
19F-NMR(Acetone-d6):-66.9ppm(s,2F)、-112.8ppm(t,J=6.0Hz,2F)
エステル基を有するオレフィンであるBr-C6-OLE-Adを還元しても、エステル部位が保持されたまま目的の生成物が得られた。

Claims (14)

  1. 下記2工程を含むことによる一般式[1]
    Figure 2022051549000028
    [一般式[1]中、nは3~10の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの製造方法。
    第1工程:一般式[2]
    Figure 2022051549000029
    [一般式[2]中、mは1~4の整数を表す。]
    で表されるアルケニルアルコールと、一般式[3]
    Figure 2022051549000030
    [一般式[3]中、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。一般式[3]中、lは0~4の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドとを、塩基及びラジカル開始剤の存在下にて反応させることにより、一般式[4]
    Figure 2022051549000031
    [一般式[4]中、m及びlは前記定義に同じ。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを製造する工程。
    第2工程:第1工程で得られた、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを還元反応させることにより、一般式[1]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールを製造する工程。
  2. 前記一般式[2]で表されるアルケニルアルコールが、2-プロペノール、3-ブテノール、4-ペンテノール及び5-ヘキセノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの製造方法。
  3. 前記一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドが、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタン、1-ブロモ-2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-エタン、1,3-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-プロパン、1-ブロモ-3-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-プロパン、1-ブロモ-3-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-プロパン、1,4-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン、1-ブロモ-4-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン、1-ブロモ-4-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ブタン、1,5-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ペンタン、1-ブロモ-5-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ペンタン、1-ブロモ-5-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ペンタン、1,6-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ヘキサン、1-ブロモ-6-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロ-ヘキサン及び1-ブロモ-6-ヨード-1,1,2,2-テトラフルオロ-ヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの製造方法。
  4. 前記第1工程において、ラジカル開始剤が亜ジチオン酸ナトリウムである請求項1~3のいずれか1項に記載の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの製造方法。
  5. 前記第1工程において、一般式[2]で表されるアルケニルアルコールと、一般式[3]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドとを、塩基及びラジカル開始剤の存在下にて反応させることにより、一般式[5]
    Figure 2022051549000032
    [一般式[5]中、X、m及びlは前記定義に同じ。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドアルコールに変換し、続いて、一般式[5]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルキルハライドアルコールを脱ハロゲン化水素反応させて、一般式[4]で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールを製造する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの製造方法。
  6. 一般式[4]
    Figure 2022051549000033
    [一般式[4]中、mは1~4の整数を表し、lは0~4の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコール。
  7. 6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセン-1-オール。
  8. 一般式[6]
    Figure 2022051549000034
    [一般式[6]中、nは3~10の整数を表す。]
    で表される1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノールの含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]
    Figure 2022051549000035
    [一般式[1]中、nは前記定義に同じ。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール。
  9. 一般式[7]
    Figure 2022051549000036
    [一般式[7]中、lは0~4の整数を表し、mは1~4の整数を表す。]
    で表される化合物の含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]
    Figure 2022051549000037
    [一般式[1]中、nは3~10の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール。
  10. 一般式[8]
    Figure 2022051549000038
    [一般式[8]中、lは0~4の整数を表し、mは1~4の整数を表す。]
    で表される化合物の含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]
    Figure 2022051549000039
    [一般式[1]中、nは3~10の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール。
  11. 一般式[4]
    Figure 2022051549000040
    [一般式[4]中、mは1~4の整数を表し、lは0~4の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールの含有量が0GC面積%を超えて、8GC面積%以下である、一般式[1]
    Figure 2022051549000041
    [一般式[1]中、nは3~10の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルカノール。
  12. 下記2工程を含むことによる一般式[10]
    Figure 2022051549000042
    [一般式[10]中、nは3~10の整数を表す。Rは炭素数3~20の脂環式有機基を表す。ここで、該脂環式有機基の水素原子の一部又は全部が炭素数1~6の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基で置換されていてもよい。]
    で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルの製造方法。
    第3工程:一般式[4]
    Figure 2022051549000043
    [一般式[4]中、mは1~4の整数を表し、lは0~4の整数を表す。]
    で表される1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロ-アルケニルアルコールと、炭素数3~20の脂環式有機カルボン酸とをエステル化反応させることにより、一般式[9]
    Figure 2022051549000044
    [一般式[9]中、m、l及びRは前記定義に同じ。]
    で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを製造する工程。
    第4工程:第3工程で得られた、一般式[9]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステルを還元反応させることにより、一般式[10]で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルキルエステルを製造する工程。
  13. 一般式[9]
    Figure 2022051549000045
    [一般式[9]中、mは1~4の整数を表し、lは0~4の整数を表す。Rは炭素数3~20の脂環式有機基を表す。ここで、該脂環式有機基の水素原子の一部又は全部が炭素数1~6の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基で置換されていてもよい。]
    で表される脂環式有機カルボン酸1-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロアルケニルエステル。
  14. 1-アダマンタンカルボン酸-6-ブロモ-5,5,6,6-テトラフルオロ-3-ヘキセニル。
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