JP2022047960A - 硬化性樹脂フィルム、ロール体、積層構造体及び多層プリント配線板 - Google Patents

硬化性樹脂フィルム、ロール体、積層構造体及び多層プリント配線板 Download PDF

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悠子 川原
Yuko Kawahara
隆幸 松川
Takayuki Matsukawa
達史 林
Tatsuji Hayashi
康成 日下
Yasunari Kusaka
かずほ 内田
Kazuho Uchida
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】硬化性樹脂フィルムの柔軟性を高めることができ、かつ硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性を高めることができる硬化性樹脂フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、下記式(X)で表されるピーク強度比が0.95以下である。ピーク強度比=P2/P1 ・・・(X)P1:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値P2:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値【選択図】図1

Description

本発明は、硬化可能な硬化性樹脂フィルムに関する。また、本発明は、上記硬化性樹脂フィルムを用いたロール体、積層構造体及び多層プリント配線板に関する。
従来、半導体装置、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂材料が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂材料が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。また、上記絶縁層を形成するために、上記樹脂材料がフィルム化された樹脂フィルムが用いられることがある。上記樹脂材料及び上記樹脂フィルムは、ビルドアップフィルムを含む多層プリント配線板用の絶縁材料等として用いられている。
下記の特許文献1には、エポキシ樹脂(A)と、イミダゾール化合物(b1)及びカルボン酸無水物(b2)の塩(B)とを含有する樹脂組成物が開示されている。特許文献1には、この樹脂組成物の硬化物を、多層プリント配線板等の絶縁層として用いることができることが記載されている。
特開2018-62570号公報
プリント配線板等の電子部品における絶縁層の材料として、Bステージフィルムなどの硬化可能な樹脂フィルム(硬化性樹脂フィルム)が用いられている。上記硬化性樹脂フィルムは、例えば、配線回路層の表面に硬化性樹脂フィルムを配置した後、該硬化性樹脂フィルムを硬化させて用いられる。硬化性樹脂フィルムを硬化させることにより、絶縁層が形成される。
ところで、硬化性樹脂フィルムは、巻き芯の外周に巻かれてロール体の状態で保管されることがある。しかしながら、硬化性樹脂フィルムの柔軟性が低い場合には、巻き跡が生じることがある。
また、従来の硬化性樹脂フィルムでは、硬化物の熱寸法安定性が低いことがある。
従来の硬化性樹脂フィルムでは、硬化性樹脂フィルムの柔軟性を高めつつ、硬化物の熱寸法安定性を高めることは困難である。
本発明の目的は、硬化性樹脂フィルムの柔軟性を高めることができ、かつ硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性を高めることができる硬化性樹脂フィルムを提供することである。また、本発明は、上記硬化性樹脂を用いたロール体、積層構造体及び多層プリント配線板を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、硬化性樹脂フィルムであって、下記式(X)で表されるピーク強度比が0.95以下である、硬化性樹脂フィルムが提供される。
ピーク強度比=P2/P1 ・・・(X)
P1:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
P2:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記式(X)で表されるピーク強度比が0.7未満である。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記P1が0.5以上である。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記P2が0.5以下である。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在する。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の3倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在する。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、環状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在し、かつ直鎖状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在し、前記環状炭化水素骨格に由来するピークと、前記直鎖状炭化水素骨格に由来するピークとがそれぞれ、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークである。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記硬化性樹脂フィルムは、熱硬化性化合物を含み、前記熱硬化性化合物が、イミド骨格を有する熱硬化性化合物を含む。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記硬化性樹脂フィルムは、熱硬化性化合物を含み、前記熱硬化性化合物が、ビスマレイミド化合物を含む。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物を含む。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記硬化性樹脂フィルムは、硬化剤を含み、前記硬化剤が、活性エステル化合物を含む。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記硬化性樹脂フィルムは、無機充填材を含み、硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が50重量%以上である。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムのある特定の局面では、前記硬化性樹脂フィルムの硬化物の25℃以上150℃以下における平均線膨張係数が35ppm/℃未満である。
本発明の広い局面によれば、巻き芯と、上述した硬化性樹脂フィルムとを備え、前記硬化性樹脂フィルムが、前記巻き芯の外周に巻かれている、ロール体が提供される。
本発明の広い局面によれば、金属層を表面に有する積層対象部材と、上述した硬化性樹脂フィルムとを備え、前記硬化性樹脂フィルムが、前記金属層の表面上に積層されている、積層構造体が提供される。
本発明に係る積層構造体のある特定の局面では、前記金属層の材料が銅である。
本発明の広い局面によれば、回路基板と、前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、上述した硬化性樹脂フィルムの硬化物である、多層プリント配線板が提供される。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、上記式(X)で表されるピーク強度比が0.95以下である。本発明に係る硬化性樹脂フィルムでは、上記の構成が備えられているので、硬化性樹脂フィルムの柔軟性を高めることができ、かつ硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る硬化性樹脂フィルムを用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。 図2(a)は、実施例1で得られた硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルであり、図2(b)は、実施例1で得られた硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルである。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、硬化可能な樹脂フィルムである。本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、下記式(X)で表されるピーク強度比が0.95以下である。
ピーク強度比=P2/P1 ・・・(X)
P1:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した上記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
P2:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した上記硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
本発明に係る硬化性樹脂フィルムでは、上記の構成が備えられているので、硬化性樹脂フィルムの柔軟性を高めることができ、かつ硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、柔軟性が高いので、例えば、ロール体とされた場合でも、巻き跡が生じにくい。また、本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、柔軟性が高いので、例えば、硬化性樹脂フィルムを所定の大きさに切断したときに、切り屑の発生(チッピング)が生じにくい。
上記硬化性樹脂フィルムは、加熱により硬化可能な硬化性樹脂フィルムであることが好ましい。上記硬化性樹脂フィルムは、加熱して用いられる硬化性樹脂フィルムであることが好ましい。上記硬化性樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明では、硬化性樹脂フィルムと、硬化性樹脂フィルムの硬化物とをそれぞれ、固体NMRにより測定する。
上記固体NMRスペクトルは、具体的には、以下の条件で測定し、以下の条件で関数処理することに得られる。
<固体NMRの測定条件>
核磁気共鳴装置 :JEOL社製「ECZ-400R」
温度 :室温
観測核 :13C
観測周波数 :100.5253MHz
プローブ :8mmCPMASプローブ
基準物質 :アダマンタン(外部基準:28.46ppm)
パルス幅 :6.64μsec
取り込み時間 :40.63msec
パルス繰り返し時間 :60sec
マジック角回転数 :5kHz
積算回数 :2048回
測定モード :シングルパルス(DD/MAS)法
試料量 :約400mg
<関数処理条件>
関数処理ソフト:JEOL Delta
処理1:exp 50Hz
処理2:trapezoid P3 30%
処理3:trapezoid P4 40%
処理4:zerofill 倍数4
処理5:フーリエ変換
<位相補正>
位相0次補正
位相1次補正
なお、固体NMRスペクトルを得るために用いられる上記硬化性樹脂フィルムの硬化物は、硬化性樹脂フィルムを130℃で60分間加熱した後に190℃で90分間加熱して得られる硬化物である。但し、硬化性樹脂フィルムの実際の使用時における該硬化性樹脂フィルムの加熱条件は特に限定されない。硬化性樹脂フィルムの実際の使用時には、該硬化性樹脂フィルムは、130℃で60分間加熱した後に190℃で90分間加熱する条件以外の加熱条件で加熱されてもよい。
本明細書において、上記「100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した上記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトル」を、「固体NMRスペクトル(1)」と記載することがある。また、本明細書において、上記「100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した上記硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトル」を、「固体NMRスペクトル(2)」と記載することがある。
したがって、上記P1は、固体NMRスペクトル(1)において、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値であり、上記P2は、固体NMRスペクトル(2)において、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値である。
本発明の効果を発揮する観点から、上記硬化性樹脂フィルムでは、上記式(X)で表されるピーク強度比(P2のP1に対する比(P2/P1))が、0.95以下である。
上記硬化性樹脂フィルムでは、上記式(X)で表されるピーク強度比(P2のP1に対する比(P2/P1))が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、好ましくは0.7未満、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下である。上記ピーク強度比が上記下限以上及び上記上限未満又は上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記P1は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上である。上記P1が上記下限以上であると、硬化性樹脂フィルムの柔軟性をより一層高めることができる。
上記P2は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.35以下である。上記P2が上記上限以下であると、硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
固体NMRスペクトル(1)を得るために用いられる上記100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値は、芳香族骨格に由来するピーク強度の最大値であることが好ましい。固体NMRスペクトル(2)を得るために用いられる上記100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値は、芳香族骨格に由来するピーク強度の最大値であることが好ましい。したがって、固体NMRスペクトル(1)は、100ppm以上200ppm以下における芳香族骨格に由来するピーク強度の最大値で規格化した上記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルであることが好ましい。固体NMRスペクトル(2)は、100ppm以上200ppm以下における芳香族骨格に由来するピーク強度の最大値で規格化した上記硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルであることが好ましい。
上記P1において、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値は、脂肪族骨格に由来するピーク強度の最大値であることが好ましく、脂肪族炭化水素骨格に由来するピーク強度の最大値であることがより好ましい。上記P2において、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値は、脂肪族骨格に由来するピーク強度の最大値であることが好ましく、脂肪族炭化水素骨格に由来するピーク強度の最大値であることがより好ましい。
固体NMRスペクトル(1)において、環状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在するか、又は、直鎖状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在することが好ましい。固体NMRスペクトル(1)において、環状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在し、かつ直鎖状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記環状炭化水素骨格としては、シクロヘキサン環骨格、シクロペンタン環骨格、シクロヘキセン環骨格、ノルボルナン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、及びアダマンタン骨格等が挙げられる。上記環状炭化水素骨格は、シクロヘキサン環骨格であることが好ましい。
上記直鎖状炭化水素骨格としては、アルキル基を有する骨格、アルケニル基を有する骨格及びアルカンジイル基を有する骨格等が挙げられる。上記アルキル基は、分岐が存在してもよい。上記直鎖状炭化水素骨格は、アルキル基を有する骨格又はアルカンジイル基を有する骨格であることが好ましく、アルキル基を有する骨格であることがより好ましい。
固体NMRスペクトル(1)において、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在することが好ましい。固体NMRスペクトル(1)において、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の2倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在することがより好ましく、3倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在することが更に好ましい。固体NMRスペクトル(1)において、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の15倍以下のピーク強度を有するピークが2本以上存在することが好ましく、10倍以下のピーク強度を有するピークが2本以上存在することがより好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの柔軟性をより一層高めることができる。
固体NMRスペクトル(1)において、上記環状炭化水素骨格に由来するピークと、上記直鎖状炭化水素骨格に由来するピークとがそれぞれ、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークであることが好ましい。固体NMRスペクトル(1)において、上記環状炭化水素骨格に由来するピークと、上記直鎖状炭化水素骨格に由来するピークとがそれぞれ、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の2倍以上のピーク強度を有するピークであることがより好ましく、3倍以上のピーク強度を有するピークであることが更に好ましい。固体NMRスペクトル(1)において、上記環状炭化水素骨格に由来するピークと、上記直鎖状炭化水素骨格に由来するピークとがそれぞれ、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の15倍以下のピーク強度を有するピークであることが好ましく、10倍以下のピーク強度を有するピークであることがより好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの柔軟性をより一層高めることができる。
なお、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度とは、ピークが存在しない部分(ピークとして検出されない部分)と、ピークが存在する部分とを含めた強度の平均値である。また、0ppm以上50ppm以下のスペクトルの平均強度は、ベースライン補正をした後、0ppmから50ppmの範囲で1ppm間隔のピーク強度において、負の値がある場合、最小の値がゼロになるように、ベースラインを並行に移動させ、その後、それらをプロットし、それらの強度を平均し算出する。ベースライン並行移動後のピーク強度に対して、比(ピーク強度/0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度)が算出される。
上記硬化性樹脂フィルムは、例えば、熱硬化性化合物を含む樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得ることができる。
以下、本発明に係る硬化性樹脂フィルム及び樹脂組成物に用いられる各成分の詳細、並びに本発明に係る硬化性樹脂フィルムの用途などを説明する。
硬化物の熱線膨張係数及び誘電正接を小さくする観点及び上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点からは、上記硬化性樹脂フィルム及び上記樹脂組成物は、非芳香族の環状骨格を有する化合物を含むことが好ましい。上記非芳香族の環状骨格を構成する原子は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、又はケイ素原子であることが好ましく、炭素原子であることが最も好ましい。炭素原子により構成された上記非芳香族の環状骨格は、シクロヘキサン環骨格、ジシクロペンタジエン環骨格、又はノルボルネン環骨格であることが好ましい。上記非芳香族の環状骨格を有する化合物は、ノルボルナンジアミンに由来する骨格、シクロヘキサンジアミンに由来する骨格、トリシクロデカンジアミンに由来する骨格、ダイマージアミンに由来する骨格、又はトリマートリアミンに由来する骨格を有する化合物であることが好ましい。
上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点からは、上記硬化性樹脂フィルム及び上記樹脂組成物は、環状炭化水素骨格を有する化合物を含むことが好ましく、直鎖状炭化水素骨格を有する化合物を含むことも好ましく、環状炭化水素骨格を有しかつ直鎖状炭化水素骨格を有する化合物を含むことがより好ましい。上記環状炭化水素骨格を有する化合物は、環状炭化水素骨格を有する熱硬化性化合物であってもよく、環状炭化水素骨格を有する熱可塑性化合物であってもよい。上記直鎖状炭化水素骨格を有する化合物は、直鎖状炭化水素骨格を有する熱硬化性化合物であってもよく、直鎖状炭化水素骨格を有する熱可塑性化合物であってもよい。上記環状炭化水素骨格を有しかつ直鎖状炭化水素骨格を有する化合物は、環状炭化水素骨格を有しかつ直鎖状炭化水素骨格を有する熱硬化性化合物であってもよく、環状炭化水素骨格を有しかつ直鎖状炭化水素骨格を有する熱可塑性化合物であってもよい。
上記環状炭化水素骨格としては、シクロヘキサン環骨格、シクロペンタン環骨格、シクロヘキセン環骨格、ノルボルナン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、及びアダマンタン骨格等が挙げられる。上記環状炭化水素骨格は、シクロヘキサン環骨格であることが好ましい。
上記直鎖状炭化水素骨格としては、アルキル基を有する骨格、アルケニル基を有する骨格及びアルカンジイル基を有する骨格等が挙げられる。上記直鎖状炭化水素骨格は、アルキル基を有する骨格又はアルカンジイル基を有する骨格であることが好ましく、アルキル基を有する骨格であることがより好ましい。上記アルキル基には、分岐が存在してもよい。
上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点からは、上記硬化性樹脂フィルム100重量%中、又は、上記樹脂組成物100重量%中、上記環状炭化水素骨格を有する化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記環状炭化水素骨格を有する化合物の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記環状炭化水素骨格を有する化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御することができる。
上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点及び硬化性樹脂フィルムの伸び特性を高める観点からは、上記硬化性樹脂フィルム及び上記樹脂組成物は、直鎖を有する基を有する化合物を含むことが好ましい。上記直鎖を有する基は、6個以上の原子が直鎖状に連なった基であることが好ましい。上記直鎖を有する基は、不飽和結合を有していてもよい。上記直鎖を有する基としては、アルキル基、アルカンジイル基等が挙げられる。上記直鎖を構成する原子は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子であることが好ましく、炭素原子であることが最も好ましい。炭素原子により構成された上記直鎖を有する基は、アルキル基、又はアルカンジイル基であることが好ましい。上記アルキル基は、アルキル基の途中に酸素原子が入ることにより、エーテル基を有するアルキル基であってもよい。直鎖を有する基を有する化合物は、1,6-ジアミノヘキサンに由来する骨格、1,4-ブタンジオールビス(3-アミノプロピル)エーテルに由来する骨格、1,1,12-ジアミノドデカンに由来する骨格、モノマーモノアミンに由来する骨格、又はダイマージアミンに由来する骨格、トリマートリアミンに由来する骨格を有する化合物であることが好ましい。
上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点からは、上記硬化性樹脂フィルム100重量%中、又は、上記樹脂組成物100重量%中、上記直鎖を有する基を有する化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記直鎖を有する基を有する化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは7.5重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記直鎖を有する基を有する化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御することができる。
[熱硬化性化合物]
上記硬化性樹脂フィルムは、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記樹脂組成物は、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビニル化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、ポリアリレート化合物、ジアリルフタレート化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物、マレイミド化合物又はビニル化合物を含むことが好ましく、エポキシ化合物又はマレイミド化合物を含むことがより好ましく、エポキシ化合物を含むことが更に好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの可とう性、凹凸表面への埋め込み性を高めることができ200℃以下で良好に硬化させることができ、また、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
また、上記熱硬化性化合物は、イミド骨格又はアミド骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、イミド骨格を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましく、ビスマレイミド化合物を含むことが更に好ましい。この場合には、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができ、また、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。
上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点、並びに硬化性樹脂フィルムの難燃性及び熱寸法安定性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、芳香族骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記芳香族骨格としては、フェニル骨格、ナフタレン骨格、及びフルオレン骨格等が挙げられる。
上記硬化性樹脂フィルム100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記芳香族骨格を有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記芳香族骨格を有する熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御することができる。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記芳香族骨格を有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは25重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記芳香族骨格を有する熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御することができる。
<エポキシ化合物>
上記エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を用いることができる。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましく、ナフタレン骨格又はフェニル骨格を有するエポキシ化合物を含むことがより好ましく、芳香族骨格を有するエポキシ化合物であることが更に好ましく、ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物であることが特に好ましい。この場合には、硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ耐熱性、難燃性及び熱寸法安定性を高めることができる。
硬化物の誘電正接をより一層低くし、かつ熱線膨張係数(CTE)を良好にする観点からは、上記エポキシ化合物は、25℃で液状のエポキシ化合物と、25℃で固形のエポキシ化合物とを含むことが好ましい。
上記25℃で液状のエポキシ化合物の25℃での粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。
上記エポキシ化合物の粘度を測定する際には、例えば動的粘弾性測定装置(レオロジカ・インスツルメンツ社製「VAR-100」)等が用いられる。
上記エポキシ化合物の分子量は1000以下であることがより好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%、無機充填材の含有量が50重量%以上であっても、絶縁層の形成時に流動性が高い樹脂フィルムが得られる。このため、硬化性樹脂フィルムを回路基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
上記エポキシ化合物の分子量は、上記エポキシ化合物が重合体ではない場合、及び上記エポキシ化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記エポキシ化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは25重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
<マレイミド化合物>
上記マレイミド化合物として、従来公知のマレイミド化合物を使用可能である。上記マレイミド化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記マレイミド化合物は、ビスマレイミド化合物であってもよい。また、上記マレイミド化合物は、脂肪族マレイミド化合物であってもよく、芳香族マレイミド化合物であってもよい。
上記マレイミド化合物としては、N-フェニルマレイミド及びN-アルキルビスマレイミド等が挙げられる。
硬化物の熱寸法安定性をより一層高める観点及び硬化物の誘電正接をより一層低くする観点からは、上記マレイミド化合物は、ビスマレイミド化合物を含むことが好ましく、ビスマレイミド化合物であることがより好ましい。
上記ビスマレイミド化合物は、イミド結合を有する構造単位を有することが好ましい。上記ビスマレイミド化合物は、イミド結合を有する構造単位を、繰り返し構造単位として有することがより好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの硬化物の誘電正接をより一層低くすることができ、かつ該硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
上記マレイミド化合物は、ダイマージアミンに由来する骨格を有していてもよく、有していなくてもよい。上記式(X)で表されるピーク強度比を良好に制御する観点からは、上記マレイミド化合物は、ダイマージアミンに由来する骨格を有するマレイミド化合物であることが好ましく、ダイマージアミンに由来する骨格を有するビスマレイミド化合物であることがより好ましい。
上記マレイミド化合物は、芳香族環を有していてもよく、有していなくてもよい。上記マレイミド化合物は、芳香族環を有することが好ましい。
上記マレイミド化合物では、マレイミド骨格における窒素原子と、芳香族環とが結合していることが好ましい。
本発明の効果を効果的に発揮する観点からは、上記マレイミド化合物の分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは3000以上、特に好ましくは3500以上、好ましくは30000未満、より好ましくは20000未満、更に好ましくは15000未満、特に好ましくは12000未満である。
上記マレイミド化合物の分子量は、上記マレイミド化合物が重合体ではない場合、及び上記マレイミド化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記マレイミド化合物の分子量は、上記マレイミド化合物が重合体である場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記脂肪族マレイミド化合物の市販品としては、例えば、Designer Molecules Inc.製「BMI-3000」及び「BMI-1700」等が挙げられる。
上記芳香族マレイミド化合物の市販品としては、例えば、大和化成工業社製「BMI-4000」及び「BMI-5100」、並びに日本化薬社製「MIR-3000」が挙げられる。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記マレイミド化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは7.5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。上記マレイミド化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
<ビニル化合物>
上記ビニル化合物として、従来公知のビニル化合物を使用可能である。上記ビニル化合物は、少なくとも1個のビニル基を有する有機化合物である。上記ビニル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル化合物としては、スチレン化合物、アクリレート化合物、及びジビニル化合物等が挙げられる。上記ジビニル化合物としては、ジビニルベンジルエーテル化合物等が挙げられる。上記ビニル化合物は、脂肪族骨格を有するジビニル化合物であってもよく、ジビニルエーテル化合物であってもよい。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ビニル化合物の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは7.5重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。上記ビニル化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
[充填材]
上記硬化性樹脂フィルムは、充填材を含むことが好ましい。上記樹脂組成物は、充填材を含むことが好ましい。上記充填材としては、有機充填材及び無機充填材等が挙げられる。上記充填材は、絶縁性充填材であることが好ましい。上記充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機充填材としては、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等からなる粒子状物が挙げられる。上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。上記有機充填材としてフッ素樹脂粒子を用いることにより、硬化性樹脂フィルムの硬化物の比誘電率をより一層低くすることができる。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びダイヤモンド等が挙げられる。
上記充填材は、無機充填材であることが好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの硬化物の誘電正接をより一層小さくすることができ、かつ該硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記無機充填材は、アルミナ及び窒化ホウ素等の熱伝導率が10W/mK以上である無機充填材であることが好ましい。この場合には、放熱性を高めることができる。
凹凸表面に対する埋め込み性を高め、かつ熱寸法安定性を高める観点からは、上記無機充填材は、異方性を有する無機充填材であることが好ましい。
上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることがさらに好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与することができる。特に、無機充填材としてシリカを用いることにより、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、また、硬化物の誘電正接がより一層低くなる。また、硬化物の誘電率を良好にすることができる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
熱伝導率を高め、かつ絶縁性を高める観点からは、上記無機充填材はアルミナであることが好ましい。
上記無機充填材は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材が球状である場合には、上記無機充填材のアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。上記無機充填材が表面処理されていることにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。また、上記無機充填材が表面処理されていることにより、硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン、及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記充填材である有機充填材の平均粒径は1μm以下であることが好ましい。上記有機充填材の平均粒径が上記上限以下であると、エッチング後の表面粗度を小さくし、かつメッキピール強度を高めることができ、また、絶縁層と金属層との密着性をより一層高めることができる。上記有機充填材の平均粒径は、50nm以上であってもよい。
上記充填材である無機充填材の平均粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは500nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、エッチング後の表面粗度を小さくし、かつメッキピール強度を高めることができ、また、絶縁層と金属層との密着性をより一層高めることができる。
上記充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記充填材の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。上記硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記充填材の含有量は、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。
上記硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記有機充填材の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。上記硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記有機充填材の含有量は、好ましくは75重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。上記有機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記有機充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記有機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。
上記硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上、特に好ましくは68重量%以上である。上記硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記無機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。さらに、この無機充填材の含有量であれば、硬化物の熱膨張率を低くすることと同時に、スミア除去性を良好にすることも可能である。
[硬化剤]
上記硬化性樹脂フィルムは、硬化剤を含むことが好ましい。上記樹脂組成物は、硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサジン硬化剤)、カルボジイミド化合物(カルボジイミド硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、ホスフィン化合物、ジシアンジアミド、及び酸無水物等が挙げられる。上記硬化剤は、上記エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
上記硬化剤は、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物及び酸無水物の内の少なくとも1種の成分を含むことが好ましい。上記硬化剤は、フェノール化合物、活性エステル化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びカルボジイミド化合物の内の少なくとも1種の成分を含むことがより好ましく、活性エステル化合物を含むことがさらに好ましい。この場合には、硬化性樹脂フィルムの硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。
誘電正接をより一層低くする観点から、上記硬化性樹脂フィルムがエポキシ化合物を含む場合に、上記硬化剤は、フェノール化合物と活性エステル化合物とを含むことが好ましい。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD-2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH-7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH-7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA-1356」及び「LA-3018-50P」)等が挙げられる。
上記活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に脂肪族鎖、脂肪族環又は芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物は、例えばカルボン酸化合物又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物又はチオール化合物との縮合反応によって得られる。活性エステル化合物の例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022047960000002
上記式(1)中、X1は、脂肪族鎖を含む基、脂肪族環を含む基又は芳香族環を含む基を表し、X2は、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。
上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。さらに、上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。熱寸法安定性及び難燃性をより一層高める観点からは、上記活性エステル化合物は、2個以上の芳香族骨格を有する活性エステル化合物であることが好ましい。硬化物の誘電正接を低くし、かつ硬化物の熱寸法安定性を高める観点から、活性エステル化合物の主鎖骨格中にナフタレン環を有することがより好ましい。
上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC-8000L」、「HPC-8000-65T」、「EXB-9416-70BK」、「EXB8100-65T」、「HPC-8150-62T」及び「EXB-8」等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT-30」及び「PT-60」)、並びにビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA-230S」、「BA-3000S」、「BTP-1000S」及び「BTP-6020S」)等が挙げられる。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記シアネートエステル化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記シアネートエステル化合物の含有量は、好ましくは85重量%以下、より好ましくは75重量%以下である。上記シアネートエステル化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記ベンゾオキサジン化合物としては、P-d型ベンゾオキサジン、及びF-a型ベンゾオキサジン等が挙げられる。
上記ベンゾオキサジン化合物の市販品としては、四国化成工業社製「P-d型」等が挙げられる。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ベンゾオキサジン化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記ベンゾオキサジン化合物の含有量は、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記ベンゾオキサジン化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
上記カルボジイミド化合物は、下記式(2)で表される構造単位を有する化合物である。下記式(2)において、右端部及び左端部は、他の基との結合部位である。上記カルボジイミド化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
Figure 2022047960000003
上記式(2)中、Xは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基に置換基が結合した基、アリーレン基、又はアリーレン基に置換基が結合した基を表し、pは1~5の整数を表す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよく、異なっていてもよい。
好適な一つの形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、又はシクロアルキレン基に置換基が結合した基である。
上記カルボジイミド化合物の市販品としては、日清紡ケミカル社製「カルボジライト V-02B」、「カルボジライト V-03」、「カルボジライト V-04K」、「カルボジライト V-07」、「カルボジライト V-09」、「カルボジライト 10M-SP」、及び「カルボジライト 10M-SP(改)」、並びに、ラインケミー社製「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、及び「ハイカジル510」等が挙げられる。
上記酸無水物としては、テトラヒドロフタル酸無水物、及びアルキルスチレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
上記酸無水物の市販品としては、新日本理化社製「リカシッド TDA-100」等が挙げられる。
上記エポキシ化合物100重量部に対する上記硬化剤の含有量は、好ましくは70重量部以上、より好ましくは85重量部以上であり、好ましくは150重量部以下、より好ましくは120重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高め、残存未反応成分の揮発をより一層抑制できる。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上であり、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性により一層優れ、熱寸法安定性をより一層高めることができる。
[硬化促進剤]
上記硬化性樹脂フィルムは、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂組成物を速やかに硬化させたり、硬化性樹脂フィルムを速やかに硬化させたりすることで、硬化物における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物等のアニオン性硬化促進剤、アミン化合物等のカチオン性硬化促進剤、リン化合物及び有機金属化合物等のアニオン性及びカチオン性硬化促進剤以外の硬化促進剤、並びに過酸化物等のラジカル性硬化促進剤等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4-ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記硬化剤が上記活性エステル化合物を含む場合には、上記硬化促進剤はジメチルアミノピリジンを含むことが好ましい。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン化合物等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記過酸化物としてはジクミルペルオキシド、及びパーヘキシル25B等が挙げられる。
硬化温度をより一層低く抑え、硬化物の反りを効果的に抑える観点からは、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤を含むことが好ましく、上記イミダゾール化合物を含むことがより好ましい。
過酸化物である硬化促進剤とアニオン性硬化促進剤とを併用してもよい。特にビニル化合物とエポキシ化合物とが併用される場合に、上記の2種の硬化促進剤を用いることにより、より一層良好な硬化物が得られる場合がある。
硬化温度をより一層低く抑え、硬化物の反りを効果的に抑える観点からは、上記硬化促進剤100重量%中、上記アニオン性硬化促進剤の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは100重量%(全量)である。したがって、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤であることが最も好ましい。
上記熱硬化性化合物として上記ビニル化合物を用いる場合、ラジカル硬化が進行するため、上記硬化促進剤は、上記ラジカル性硬化促進剤を含むことが好ましく、ジクミルペルオキシド、又は2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3であることがさらに好ましい。硬化性樹脂フィルムをプレキュア後に効率的に硬化させる場合には、1分間半減期温度が170℃以上200℃以下であるラジカル性硬化促進剤がより好ましい。1分間半減期温度が170℃以上200℃以下であるラジカル性硬化促進剤の市販品としては、日油社製「パーへキシン25B」等が挙げられる。
上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂組成物及び硬化性樹脂フィルムが効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、硬化性樹脂フィルムの保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[熱可塑性樹脂]
上記硬化性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂フィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が濡れ拡がり難くなる。
上記硬化性樹脂フィルムに含まれているフェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂を使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鉄住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
ハンドリング性、低粗度でのメッキピール強度及び絶縁層と金属層との密着性を高める観点から、上記熱可塑性樹脂は、ポリイミド樹脂(ポリイミド化合物)であることが好ましい。
保存安定性により一層優れた硬化性樹脂フィルムを得る観点からは、上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上であり、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。上記硬化性樹脂フィルム中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、又は、上記樹脂組成物中の充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化性樹脂フィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、硬化性樹脂フィルムの形成がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
[溶剤]
上記硬化性樹脂フィルムは、溶剤を含まないか又は含む。上記樹脂組成物は、溶剤を含まないか又は含む。上記溶剤の使用により、樹脂組成物の粘度を好適な範囲に制御でき、樹脂組成物の塗工性を高めることができ、硬化性樹脂フィルムを好適に得ることができる。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N-メチル-ピロリドン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
上記溶剤の多くは、上記樹脂組成物をフィルム状に成形するときに、除去されることが好ましい。従って、上記溶剤の沸点は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂組成物中の上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂組成物の塗工性などを考慮して、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
上記硬化性樹脂フィルム100重量%中、上記溶剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
上記硬化性樹脂フィルムがBステージフィルムである場合には、上記Bステージフィルム100重量%中、上記溶剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記硬化性樹脂フィルムは、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、及び揺変性付与剤等を含んでいてもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
(硬化性樹脂フィルムの他の詳細)
上記樹脂組成物をフィルム状に成形することにより硬化性樹脂フィルムが得られる。上記硬化性樹脂フィルムは、Bステージフィルム(Bステージ化物)であることが好ましい。
樹脂組成物をフィルム状に成形して、硬化性樹脂フィルムを得る方法としては、以下の方法が挙げられる。押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法。溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法。従来公知のその他のフィルム成形法。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50℃~150℃で1分間~10分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである硬化性樹脂フィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記硬化性樹脂フィルムは、プリプレグでなくてもよい。上記硬化性樹脂フィルムがプリプレグではない場合には、ガラスクロス等に沿ってマイグレーションが生じなくなる。また、硬化性樹脂フィルムをラミネート又はプレキュアする際に、表面にガラスクロスに起因する凹凸が生じなくなる。
上記硬化性樹脂フィルムは、金属箔又は基材フィルムと、該金属箔又は該基材フィルムの表面に積層された硬化性樹脂フィルムとを備える積層フィルムの形態で用いることができる。上記金属箔は銅箔であることが好ましい。
上記積層フィルムの上記基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のオレフィン樹脂フィルム、並びにポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記基材フィルムの表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
硬化性樹脂フィルムの硬化度をより一層均一に制御する観点からは、上記硬化性樹脂フィルムの厚さは、好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下である。上記硬化性樹脂フィルムを回路の絶縁層として用いる場合、上記硬化性樹脂フィルムにより形成された絶縁層の厚さは、回路を形成する導体層(金属層)の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁層の厚さは、好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下である。
上記硬化性樹脂フィルムは、巻かれて、硬化性樹脂フィルムのロール体とされてもよい。ロール体は、巻き芯と、上記硬化性樹脂フィルムとを備える。ロール体では、上記硬化性樹脂フィルムが、巻き芯の外周に巻かれている。
上記硬化性樹脂フィルムの硬化物の23℃及び周波数5.8GHzでの誘電正接(Df)は、好ましくは3.00×10-3以下、より好ましくは2.75×10-3以下、さらに好ましくは2.50×10-3以下、特に好ましくは2.30×10-3以下、最も好ましくは2.10×10-3以下である。上記誘電正接(Df)は、2.10×10-3以上であってもよく、2.30×10-3以上であってもよい。
上記硬化物の誘電正接(Df)は、具体的には、以下のようにして測定される。
硬化性樹脂フィルムを加熱して、硬化性樹脂フィルムの硬化物を得る。なお、誘電正接(Df)を測定するために用いられる上記硬化性樹脂フィルムの硬化物は、硬化性樹脂フィルムを130℃で60分間加熱して仮硬化させた後、190℃で90分間加熱して得られる硬化物であることが好ましい。得られた硬化物を幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して10枚を重ね合わせる。関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数5.8GHzにて誘電正接を測定する。
上記硬化性樹脂フィルムの硬化物の25℃以上150℃以下における平均線膨張係数(CTE)は、好ましくは50ppm/℃未満、より好ましくは40ppm/℃以下、さらに好ましくは35ppm/℃以下、さらに一層好ましくは30ppm/℃以下、特に好ましくは25ppm/℃以下、最も好ましくは22ppm/℃以下である。上記平均線膨張係数(CTE)は、17ppm/℃以上であってもよく、19ppm/℃以上であってもよい。
上記硬化物の平均線膨張係数(CTE)は、より具体的には、以下のようにして測定される。
硬化性樹脂フィルムを加熱して、硬化性樹脂フィルムの硬化物を得る。なお、平均線膨張係数(CTE)を測定するために用いられる上記硬化性樹脂フィルムの硬化物は、硬化性樹脂フィルムを130℃で60分間加熱して仮硬化させた後、190℃で90分間加熱して得られる硬化物であることが好ましい。得られた硬化物を3mm×25mm大きさに裁断する。熱機械的分析装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重33mN及び昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25℃~150℃までの平均線膨張係数(ppm/℃)を算出する。
(半導体装置、プリント配線板、銅張積層板及び多層プリント配線板)
上記硬化性樹脂フィルムは、半導体装置において半導体チップを埋め込むモールド樹脂を形成するために好適に用いられる。
上記硬化性樹脂フィルムは、液晶ポリマー(LCP)の代替用途、ミリ波アンテナ用途、再配線層用途、低誘電基板用途に好適に用いられる。また、上記硬化性樹脂フィルムは、上記用途に限らず、配線形成用途全般として、好適に用いられる。
上記硬化性樹脂フィルムは、絶縁材料として好適に用いられる。上記硬化性樹脂フィルムは、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記硬化性樹脂フィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
上記硬化性樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属層を表面に有する積層対象部材を積層できる。上記硬化性樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属層を表面に有する積層対象部材を積層して、積層構造体を得ることができる。上記積層構造体は、金属層を表面に有する積層対象部材と、上述した硬化性樹脂フィルムとを備え、上記硬化性樹脂フィルムが、上記金属層の表面上に積層されている。上記硬化性樹脂フィルムと上記金属層を表面に有する積層対象部材とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記硬化性樹脂フィルムを、金属層を表面に有する積層対象部材に積層可能である。
上記金属層の材料は銅であることが好ましい。
上記金属層を表面に有する積層対象部材は、銅箔等の金属箔であってもよい。
上記硬化性樹脂フィルムは、銅張積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された硬化性樹脂フィルムとを備える銅張積層板が挙げられる。
上記銅張積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1μm~50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記硬化性樹脂フィルムの硬化物と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
上記硬化性樹脂フィルムは、多層基板を得るために好適に用いられる。
上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記硬化性樹脂フィルムにより形成されている。また、多層基板の絶縁層が、積層フィルムを用いて、上記積層フィルムの上記硬化性樹脂フィルムにより形成されていてもよい。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ、特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された硬化性樹脂フィルムとを備える銅張積層板を用いて、上記硬化性樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記硬化性樹脂フィルムを用いて形成される。上記多層基板は、上記硬化性樹脂フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
本発明に係る硬化性樹脂フィルムは、プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられ、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するためにより好適に用いられる。
上記多層プリント配線板は、例えば、回路基板と、上記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の上記絶縁層間に配置された金属層とを備える。上記絶縁層の内の少なくとも1層が、上記硬化性樹脂フィルムの硬化物である。
図1は、本発明の一実施形態に係る硬化性樹脂フィルムを用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
図1に示す多層プリント配線板11では、回路基板12の上面12aに、複数の絶縁層13~16が積層されている。絶縁層13~16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数の絶縁層13~16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13~15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13~16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層プリント配線板11では、絶縁層13~16が、上記硬化性樹脂フィルムの硬化物により形成されている。本実施形態では、絶縁層13~16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13~16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層プリント配線板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層プリント配線板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記硬化性樹脂フィルムは、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、さらに硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記硬化性樹脂フィルムを予備硬化させることにより得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30℃~85℃で1分間~30分間、硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50℃~85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、さらに硬化物と金属層との接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
硬化物の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは10nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。この場合には、硬化物と金属層との接着強度が高くなり、さらに絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。さらに、導体損失を抑えることができ、信号損失を低く抑えることができる。上記算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
(デスミア処理)
上記硬化性樹脂フィルムを予備硬化させることにより得られた硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60μm~80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、硬化物の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物等の化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記硬化性樹脂フィルムの使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さが十分に小さくなる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
(熱硬化性化合物)
ビフェニル型エポキシ化合物(日本化薬社製「NC-3000L」)
グリシジルアミン型エポキシ化合物(三菱ケミカル社製「630」)
レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX-201」)
ナフトールアラルキル型エポキシ化合物(新日鉄化学社製「ESN-475V」)
ポリブタジエン型エポキシ化合物(ダイセル社製「PB-3600」)
ビスマレイミド化合物(下記の合成例1に従って合成)
<合成例1>
500mLのナスフラスコに、100gのトルエンと、36gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、6gのメタンスルホン酸とを入れた。次いで、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「PRIAMINE1075」)6.6g(16mmol)と、トリシクロデカンジアミン12.5g(64mmol)とを添加した。次いで、ビフェニル酸二無水物17.7g(60mmol)を少しずつ添加した。ディーンスターク装置にナスフラスコを取り付け、3.5時間加熱還流した。このようにして、両末端にアミンを有しかつ複数のイミド骨格を有する化合物を得た。縮合時に排出される水分を除去し、室温に戻した後、無水マレイン酸4.42g(45mmol)を加えて撹拌し、同様に加熱し反応させた。このようにして、両末端にマレイミド骨格を有する化合物を得た。有機層を、水とエタノールとの混合溶媒で洗浄した後、混合溶媒を除去し、トルエン溶液を得た。次いで、メタノールにトルエン溶液を添加して生成物の再沈殿を行った。次いで、真空オーブンで乾燥させ、シクロヘキサン環を有するビスマレイミド化合物を得た。
(無機充填材)
シリカ含有スラリー(シリカ75重量%:アドマテックス社製「SC4050-HOA」、平均粒径1.0μm、アミノシラン処理、シクロヘキサノン25重量%)
(硬化剤)
活性エステル化合物1含有液(DIC社製「HPC-8000L」、固形分65重量%)
活性エステル化合物2含有液(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62重量%)
活性エステル化合物3(DIC社製「EXB-8」、固形分100重量%、低分子活性エステル化合物)
フェノール化合物含有液(DIC社製「LA-1356」、固形分60重量%)
カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製「カルボジライト V-03」、表では、「V-03」と略記)
ベンゾオキサジン化合物(JFEケミカル社製「JBZ-BP100N」)
(硬化促進剤)
ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業社製「DMAP」、アニオン性硬化促進剤)
2-フェニル-4-メチルイミダゾール(四国化成工業社製「2P4MZ」、アニオン性硬化促進剤)
(熱可塑性樹脂)
フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000」)
ポリイミド化合物(ポリイミド樹脂、下記の合成例2に従って合成、分子量20000)
<合成例2>
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサノン600gを入れた。次いで、1,12-ドデカンジアミン(東京化成社製)30.1gと、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(東京化成社製)21.3gと、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「PRIAMINE1075」)61.5gと、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(東京化成社製)35.8gとを入れた。これらの成分を撹拌した後、反応容器中の溶液を60℃まで加熱した。次いで、ピロメリット酸二無水物(東京化成製)136.1gを少しずつ添加した。その後、アニソール500gを添加し、撹拌しながら、150℃で6時間かけてイミド化反応を行い、ポリイミド化合物含有溶液を得た。得られたポリイミド化合物の分子量(重量平均分子量)は20000であった。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.04であった。
(分子量の測定)
マレイミド化合物及びポリイミド化合物の分子量は、以下のようにして求めた。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定:
島津製作所社製高速液体クロマトグラフシステムを使用し、テトラヒドロフラン(THF)を展開媒として、カラム温度40℃、流速1.0ml/分で測定を行った。検出器として「SPD-10A」を用い、カラムはShodex社製「KF-804L」(排除限界分子量400,000)を2本直列につないで使用した。標準ポリスチレンとして、東ソー社製「TSKスタンダードポリスチレン」を用い、重量平均分子量Mw=354,000、189,000、98,900、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,050、500の物質を使用して較正曲線を作成し、分子量の計算を行った。
(実施例1)
樹脂組成物の作製:
容器内に、表1に示す配合量のシリカ含有スラリーと、熱硬化性化合物と、硬化剤とを入れ、ディスパーで33℃で2時間撹拌を行った。均一な混合状態とした後、表1に示す配合量の硬化促進剤を入れ、ディスパーで1時間撹拌を行った。この撹拌中の温度は、25℃から昇温し、最終的に33℃になるように設定した。次いで、表1に示す配合量の熱可塑性樹脂を入れ、ディスパーで33℃で30分撹拌を行った。得られたワニスを25℃で24時間静置して、養生を行い、樹脂組成物を得た。
硬化性樹脂フィルムの作製:
アプリケーターを用いて、離型処理されたPETフィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂組成物を塗工した後、100℃のギヤオーブン内で2分30秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが40μmである硬化性樹脂フィルム(Bステージフィルム)が積層されている積層フィルム(PETフィルムと硬化性樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
(実施例2)
樹脂組成物の作製:
容器内に、表1に示す配合量のシリカ含有スラリーと、ビスマレイミド化合物以外の熱硬化性化合物と、硬化剤とを入れ、ディスパーで33℃で2時間撹拌を行った。均一な混合状態とした後、表1に示す配合量の硬化促進剤を入れ、ディスパーで1時間撹拌を行った。この撹拌中の温度は、25℃から昇温し、最終的に33℃になるように設定した。次いで、表1に示す配合量のビスマレイミド化合物と熱可塑性樹脂とを入れ、ディスパーで33℃で30分撹拌を行った。得られたワニスを25℃で24時間静置して、養生を行い、樹脂組成物を得た。
硬化性樹脂フィルムの作製:
実施例1と同様にして、積層フィルム(PETフィルムと硬化性樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
(実施例3)
樹脂組成物の作製:
表1に示す配合組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
硬化性樹脂フィルムの作製:
実施例1と同様にして、積層フィルム(PETフィルムと硬化性樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
(比較例1)
容器内に、表1に示す配合量の熱硬化性化合物と、硬化剤と、熱可塑性樹脂と、溶剤(シクロヘキサノン)とを入れ、ディスパーで33℃で2時間撹拌を行った。次いで、表1に示す配合量のシリカ含有スラリーを入れ、ディスパーで30分撹拌を行った。均一な混合状態とした後、表1に示す配合量の硬化促進剤を入れ、ディスパーで1時間撹拌を行った。この撹拌中の温度は、25℃から昇温し、最終的に33℃になるように設定した。次いで、表1に示す配合量の熱可塑性樹脂を入れ、ディスパーで33℃で30分撹拌を行った。得られたワニスを25℃で24時間静置して、養生を行い、樹脂組成物を得た。
硬化性樹脂フィルムの作製:
実施例1と同様にして、積層フィルム(PETフィルムと硬化性樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
(評価)
(1)固体NMRスペクトル
得られた硬化性樹脂フィルムを、130℃で60分間加熱して仮硬化させた後、190℃で90分間加熱して、硬化性樹脂フィルムの硬化物を得た。硬化性樹脂フィルム及び硬化性樹脂フィルムの硬化物をそれぞれ、核磁気共鳴装置(JEOL社製「ECZ-400R」)を用いて、上述した固体NMRの測定条件、関数処理条件及びベースライン補正条件で測定及び解析し、以下を求めた。
1)P1:固体NMRスペクトル(1)において、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
2)P2:固体NMRスペクトル(2)において、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
3)ピーク強度比:P2のP1に対する比(P2/P1)
4)固体NMRスペクトル(1)において、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークの本数
なお、図2は、実施例1で得られた固体NMRスペクトル(100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化したスペクトル)である。図2(a)は、実施例1で得られた硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルである。図2(b)は、実施例1で得られた硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルである。
また、固体NMRスペクトル(1)において、41.47ppmで検出されたピークはシクロヘキシルの化学シフト値であり、26.64ppm、24.76ppmで検出されたピークは、アルキル直鎖の化学シフト値と帰属した。
(2)硬化性樹脂フィルムの柔軟性
巻き芯(径:3インチ)を用意した。巻き芯の外周に、幅500mmの硬化性樹脂フィルムを10m巻き取り、ロール体を作製した。得られたロール体を3時間室温で保管した後、48時間冷凍庫で保管した。保管後、硬化性樹脂フィルムを巻き芯から巻き出した。巻き出した硬化性樹脂フィルムを2時間放置した後、巻き跡の生じる長さを観察した。
[硬化性樹脂フィルムの柔軟性の判定基準]
○:巻き跡の生じる長さが3m未満
△:巻き跡の生じる長さが3m以上6m未満
×:巻き跡の生じる長さが6m以上
(3)硬化性樹脂フィルムのチッピング
硬化性樹脂フィルムに、5cmカッターナイフで切り込みを入れ、切り込み部を金属顕微鏡(オリンパス社製「STM6」)で観察し、フィルムの破片の数を数えた。
[硬化性樹脂フィルムのチッピングの判定基準]
〇:フィルムの破片が5個以下
△:フィルムの破片が5個を超え20個以下
×:フィルムの破片が20個を超える
(4)硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性(平均線膨張係数(CTE))
得られた厚さ40μmの硬化性樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、硬化物を得た。得られた硬化物を3mm×25mmの大きさに裁断した。熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重33mN及び昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25℃~150℃までの平均線膨張係数(ppm/℃)を算出した。
[硬化性樹脂フィルムの硬化物の熱寸法安定性の判定基準]
○○:平均線膨張係数が25ppm/℃以下
○:平均線膨張係数が25ppm/℃を超え27ppm/℃以下
×:平均線膨張係数が27ppm/℃を超える
(5)硬化性樹脂フィルムの硬化物の誘電正接(Df)
得られた厚さ40μmの硬化性樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、硬化物を得た。得られた硬化物を幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して10枚を重ね合わせて、関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数5.8GHzにて誘電正接を測定した。
[硬化性樹脂フィルムの硬化物の誘電正接の判定基準]
〇:誘電正接が4.0×10-3未満
△:誘電正接が4.0×10-3以上6.0×10-3未満
×:誘電正接が6.0×10-3以上
組成及び結果を下記の表1に示す。
Figure 2022047960000004
11…多層プリント配線板
12…回路基板
12a…上面
13~16…絶縁層
17…金属層

Claims (17)

  1. 硬化性樹脂フィルムであって、
    下記式(X)で表されるピーク強度比が0.95以下である、硬化性樹脂フィルム。
    ピーク強度比=P2/P1 ・・・(X)
    P1:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
    P2:100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの硬化物の固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるピーク強度の最大値
  2. 前記式(X)で表されるピーク強度比が0.7未満である、請求項1に記載の硬化性樹脂フィルム。
  3. 前記P1が0.5以上である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂フィルム。
  4. 前記P2が0.5以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  5. 100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  6. 100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の3倍以上のピーク強度を有するピークが2本以上存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  7. 100ppm以上200ppm以下におけるピーク強度の最大値で規格化した前記硬化性樹脂フィルムの固体NMRスペクトルにおいて、環状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在し、かつ直鎖状炭化水素骨格に由来するピークが0ppm以上50ppm以下に存在し、
    前記環状炭化水素骨格に由来するピークと、前記直鎖状炭化水素骨格に由来するピークとがそれぞれ、0ppm以上50ppm以下におけるスペクトルの平均強度の1.5倍以上のピーク強度を有するピークである、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  8. 熱硬化性化合物を含み、
    前記熱硬化性化合物が、イミド骨格を有する熱硬化性化合物を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  9. 熱硬化性化合物を含み、
    前記熱硬化性化合物が、ビスマレイミド化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  10. 前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物を含む、請求項8又は9に記載の硬化性樹脂フィルム。
  11. 硬化剤を含み、
    前記硬化剤が、活性エステル化合物を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  12. 無機充填材を含み、
    硬化性樹脂フィルム中の溶剤を除く成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が50重量%以上である、請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  13. 前記硬化性樹脂フィルムの硬化物の25℃以上150℃以下における平均線膨張係数が35ppm/℃未満である、請求項1~12のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルム。
  14. 巻き芯と、
    請求項1~13のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルムとを備え、
    前記硬化性樹脂フィルムが、前記巻き芯の外周に巻かれている、ロール体。
  15. 金属層を表面に有する積層対象部材と、
    請求項1~13のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルムとを備え、
    前記硬化性樹脂フィルムが、前記金属層の表面上に積層されている、積層構造体。
  16. 前記金属層の材料が銅である、請求項15に記載の積層構造体。
  17. 回路基板と、
    前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、
    複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、
    複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、請求項1~13のいずれか1項に記載の硬化性樹脂フィルムの硬化物である、多層プリント配線板。
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