しかしながら、複数のプレート状部材を重ね合わせ方向に圧接させて貼り合わせる方法の場合、各プレート状部材の重ね合わせ面を含む外面形状は圧接させるのに適した平坦面形状にしなければならず、形状の自由度が低い。また、例えば、チューブを複数のプレート状部材に接続しようとする場合、チューブ側が円筒状であるのに対して、プレート状部材側が多角形となってしまい、形状が合わない。また、プレート状部材の重ね合わせによる段差などの影響もあって、円筒状のチューブと複数のプレート状部材との間に微小隙間が形成され易くなり、リークの原因となるおそれがあった。
本発明の解決課題は、複数のプレート状部材で構成される新規な微小流路形成部材を提供することにある。本発明の1つの態様では、複数のプレート状部材の重ね合わせ面を含む外面形状の形状自由度を向上させることができる。本発明の1つの態様では、流路におけるリーク等の接続異常を生じ難くできる。
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
第1の態様は、複数のプレート状部材の重ね合わせ構造とされて重ね合わせ面間に血液又は薬液が流れる微小流路が形成された微小流路形成部材であって、前記複数のプレート状部材が相互に重ね合わされて圧接されることで貼り合わされており、該複数のプレート状部材の重ね合わせ面には、相互に重ね合わされることで該複数のプレート状部材を重ね合わせ方向と直交する方向で位置決めする傾斜面がそれぞれ設けられていると共に、前記微小流路の端部が該複数のプレート状部材の少なくとも1つを貫通するトンネル構造とされて、該傾斜面が該微小流路の端部の周壁に設けられているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、貼り合わされる複数枚のプレート状部材の少なくとも一枚にトンネル構造とされた微小流路の端部が予め形成されることから、当該微小流路の端部が形成された部分におけるプレート状部材の貼り合わせ面を含む外面形状は、圧着というプレート状部材の貼り合わせ方法によって制限されることなく設計することができる。
一枚のプレート状部材により形成されるトンネル構造の流路の壁部に傾斜面を設けることにより、傾斜面の重ね合わせ部分に対しても重ね合わせ方向の圧力を作用させて、プレート状部材間の確実な貼り合わせを実現できる。即ち、それらプレート状部材が圧接によって貼り合わされる際に、プレート状部材を重ね合わせ方向と平行に広がる段差部によって位置決めしようとすると、当該段差部に圧力が有効に作用せず、プレート状部材が段差部において貼り合わされないおそれがある。そこで、プレート状部材の重ね合わせ方向に対して傾斜する傾斜面を設けることにより、傾斜面の重ね合わせ部分に対しても重ね合わせ方向の圧力を作用させて、プレート状部材間の貼り合わせを傾斜面においても実現した。その結果、プレート状部材の重ね合わせ面間に形成される微小流路において、流体密性が確保される。
プレート状部材の各傾斜面が相互に重ね合わされることによって、重ね合わされたプレート状部材が重ね合わせ方向と直交する面方向で位置決めされる。これにより、プレート状部材が適切な重ね合わせ状態で圧接されて貼り合わされることから、プレート状部材のずれなどが生じ難い。
微小流路の端部がプレート状部材を貫通するトンネル構造とされていることにより、例えば、1つのプレート状部材に形成された溝を当該プレート状部材に貼り合わされる他のプレート状部材で覆うことによって微小流路の端部が形成されている場合に比べて、微小流路の端部の周壁に貼り合わせによる段差などが形成され難い。それ故、例えば、微小流路の端部にチューブなどの別の器具を接続する場合に、接続部分において血液又は薬液のリーク等の接続異常を生じ難くできる。
第2の態様は、第1の態様に記載された微小流路形成部材において、トンネル構造とされた前記微小流路の端部の少なくとも一部が、前記プレート状部材において別の器具に接続される接続部に設けられているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、接続部が複数のプレート状部材に跨って形成される場合に比して、重ね合わせによる段差などが接続部の表面に形成され難く、接続部の表面を滑らかな形状とし易い。それ故、例えば、別の器具としての外部管路が接続部に接続される場合に、接続部と外部管路の重ね合わせ面間における液漏れなどが低減され得る。
第3の態様は、第2の態様に記載された微小流路形成部材において、前記接続部が外方に向かって突出して設けられているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、接続部が外方に突出していることによって、外部管路等の別の器具を容易に接続することができる。例えば、外部管路の接続部側の端部が弾性を有するチューブで構成される場合には、外部管路を接続部に外挿状態で嵌め合せることによって、接続部と外部管路の間に隙間が形成され難い。
第4の態様は、第2又は第3の態様に記載された微小流路形成部材において、前記接続部が設けられた前記プレート状部材において、前記傾斜面は、該接続部に向かって該プレート状部材が次第に厚肉となる向きに傾斜して設けられているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、接続部が突出するプレート状部材の端部の厚さを大きくすることができて、接続部を大きく確保することができる。これにより、接続部の内孔を含んで構成される微小流路の端部を大きな自由度で設計することが可能になる。
第5の態様は、第2~第4の何れか1つの態様に記載された微小流路形成部材において、前記微小流路が、前記複数のプレート状部材の重ね合わせ面間において非円形の断面形状で形成されている一方、前記接続部の内孔が該微小流路よりも円形に近い断面形状で形成されているものである。
本態様の微小流路形成部材のように、複数のプレート状部材の重ね合わせ面間に形成される微小流路は、例えば多角形断面形状や半円形状などの非円形の断面形状の方が、円形の断面形状よりも複数のプレート状部材の重ね合わせ面間に形成し易く、製造が容易になり得る。
接続部の内孔は、円形に近い断面形状とされることにより、成形時の熱収縮などに起因する変形による部材寸法精度の低下が抑えられ得る。また、肉厚を均一にすることで外周面の断面形状を円形状に精度良く成形することができ、その結果、接続部に外部管路を外挿状態で接続する場合に、接続部分に隙間が形成され難い。
第2~第5の何れか1つの態様において、好適には、前記接続部の外周面形状と内周面形状の少なくとも一方が円形とされる。これによれば、接続部の外周面形状と内周面形状の少なくとも一方を円形としたことにより、外部管路の内腔と微小流路の接続が容易となる。しかも、例えば嵌入や圧入などによる外部管路と接続部の接続に際して、矩形の接続部において問題になり易い角部や辺部の隙間を防止し得て、外部管路と接続部との間において隙間が抑えられ得る。これにより、外部管路の内腔と微小流路とを含む流路において、外部空間に対する密閉性の向上が図られている。その結果、当該流路を流れる液体の予期しない漏れや、液体の外気への接触に起因する酸化等の問題などを防止することができる。
また、第2~第5の何れか1つの態様において、好適には、前記接続部が前記複数のプレート状部材のうちの1つに一体的に形成される。これによれば、接続部が複数のプレート状部材に跨って形成される場合に比して、重ね合わせによる段差などが接続部の表面に形成され難く、接続部の表面を滑らかな形状とし易い。それ故、例えば、外部管路が接続部に接続される場合に、接続部分における液漏れなどが低減され得る。
第6の態様は、第1~第5の何れか1つの態様に記載された微小流路形成部材において、前記複数のプレート状部材がシクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーの少なくとも一方によって形成されているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、複数のプレート状部材は、重ね合わせ面を表面処理して圧接させることにより、重ね合わせ面が化学的に結合されて相互に貼り合わされる。これにより、接着や溶着などによる貼り合わせに比して、接着剤や溶融した樹脂材料などが微小流路に入ることによる微小流路の形状変化や閉塞が防止される。
しかも、シクロオレフィンポリマーとシクロオレフィンコポリマーは、何れも成形時の流動性が高く、金型からの形状転写性に優れていることから、微小流路を精度よく成形することができる。
第7の態様は、第1~第6の何れか1つの態様に記載された微小流路形成部材において、前記複数のプレート状部材の重ね合わせ面には、位置決め凸部と位置決め凹部の少なくとも各一方が前記微小流路から離れた位置に設けられており、該位置決め凸部が該位置決め凹部に挿入されることで該複数のプレート状部材が重ね合わせ方向と直交する方向で位置決めされているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、傾斜面の重ね合わせによる位置決め作用に加えて、位置決め凸部が位置決め凹部の内面に係止されることによる位置決め作用も発揮されることから、複数のプレート状部材を重ね合わせ方向と直交する方向でより効果的に位置決めすることができる。
第8の態様は、第1~第7の何れか1つの態様に記載された微小流路形成部材において、前記複数のプレート状部材の重ね合わせ面における前記傾斜面を外れた部分が、該複数のプレート状部材の重ね合わせ方向と略直交して広がる平坦面とされているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、複数のプレート状部材の重ね合わせ面が傾斜面と平坦面で構成されることによって、複数のプレート状部材が圧接によって広い範囲で貼り合わされる。なお、本態様において、複数のプレート状部材の重ね合わせ面は、傾斜面以外の全体が厳密に平坦面である必要はなく、例えば、第7の態様に示す位置決め凸部と位置決め凹部のような凹凸等が適宜に形成され得る。
第9の態様は、第1~第8の何れか1つの態様に記載された微小流路形成部材において、前記傾斜面が略一定の傾斜角度で広がる平面とされているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、複数のプレート状部材を相互に圧接する際に、傾斜面の全体に略一定の圧力が作用することから、傾斜面の全体を略一様に貼り合わせることができる。これにより、傾斜面における部分的な貼り合わせ不良などが生じ難く、微小流路の流体密性がより優れた信頼性をもって確保されることになる。
第10の態様は、第1~第9の何れか1つの態様に記載された微小流路形成部材において、前記複数のプレート状部材の重ね合わせ方向と直交する面に対する前記傾斜面の傾斜角度が1°~45°の範囲に設定されているものである。
本態様の微小流路形成部材によれば、傾斜面の傾斜角度が1°以上とされることにより、複数のプレート状部材の重ね合わせ方向と直交する方向における位置決め作用が有効に発揮される。傾斜面の傾斜角度が45°以下とされることにより、傾斜面において重ね合わせ方向の圧力が有効に及ぼされて、複数のプレート状部材が傾斜面において貼り合わされる。
本発明によれば、複数のプレート状部材で構成される新規な微小流路形成部材を提供することができる。本発明の1つの態様では、複数のプレート状部材の重ね合わせ面を含む外面形状の形状自由度を向上させることができる。本発明の1つの態様では、流路におけるリーク等の接続異常を生じ難くできる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1~5には、第1の実施形態としての微小流路形成部材10が示されている。微小流路形成部材10は、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わされて貼り合わされた構造を有している。以下の説明において、原則として、上下方向とは、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14の重ね合わせ方向である図1中の上下方向を言う。
第1のプレート状部材12は、図6にも示すように、略角丸四角板形状とされた本体部16と、本体部16から突出する流入側接続部18a及び流出側接続部18bとを備えている。本体部16は、第2のプレート状部材14と重ね合わされる重ね合わせ面20が、第1の平坦面22と第1の傾斜面24を含んで構成されている。
第1の平坦面22は、第1のプレート状部材12の厚さ方向(上下方向)に対して、略直交して広がる平面とされている。第1のプレート状部材12の第1の平坦面22には、四隅部分において開口する位置決め凹部26が設けられている。位置決め凹部26は、後述する凹溝28から離れた外周側に配されている。
第1の傾斜面24は、第1の平坦面22を接続部18a,18bが設けられた先端側(図1中の左側)に外れた本体部16の先端部に設けられており、先端側に向かって上傾している。これにより、本体部16は、第1の傾斜面24の形成部分において、接続部18a,18bが突出する先端側に向かって次第に厚肉となっている。本体部16は、第1の傾斜面24の形成部分の厚さ寸法が、第1の平坦面22の形成部分の厚さ寸法以上とされている。本実施形態の第1の傾斜面24は、略一定の傾斜角度で傾斜する平面とされている。尤も、例えば、傾斜角度が徐々に変化する凸状又は凹状の湾曲面や、傾斜角度が段階的に変化する折れ面などであっても良い。
第1の傾斜面24の第1の平坦面22の延長(図1中の一点鎖線)に対する傾斜角度θ(図1参照)は、1°≦θ≦45°の範囲に設定されることが望ましい。より好適には、第1の傾斜面24の傾斜角度θは、5°≦θ≦30°の範囲に設定される。本実施形態では、第1の傾斜面24の傾斜角度θが25°とされている。
本体部16には、凹溝28が形成されている。凹溝28は、第1の平坦面22に開口している。凹溝28は、非円形断面を有しており、本実施形態では略矩形断面とされている。凹溝28は、略一定の断面形状で延びている。凹溝28は、略U字状に折り返して延びており、両端部が何れも第1の傾斜面24側に位置している。
本体部16には、流入側トンネル状流路30aと流出側トンネル状流路30bが形成されている。トンネル状流路30a,30bは、本体部16における第1の傾斜面24の形成部分を貫通して形成されている。トンネル状流路30a,30bは、凹溝28の両端部の各一方に連通されている。トンネル状流路30a,30bは、互いに平行に設けられて、略直線的に延びている。トンネル状流路30a,30bは、後述する微小流路56よりも円形に近い断面形状で形成されており、本実施形態では略円形断面とされている。
流入側接続部18aは、本体部16に一体形成されており、図7,8に示すように、本体部16から長さ方向(図1中の左右方向)で外側へ突出している。流入側接続部18aは、外周面形状と内周面形状の少なくとも一方が略円形とされており、本実施形態では、図9に示すように、外周面形状と内周面形状の両方が略円形とされた円筒形状とされている。これにより、流入側接続部18aの内孔32aは、後述する微小流路56よりも円形に近い断面形状で形成されている。流入側接続部18aの内孔32aは、一方の端部が流入側接続部18aの先端において外部に開放されていると共に、他方の端部が流入側トンネル状流路30aに連通されている。
なお、流入側接続部18aは、外周面が略円筒形状とされて、板状の部分から先端側へ突出していることによって、意匠的な纏まりのある部分として認識される。また、流入側接続部18aは、後述する流入側外部管路58aを接続するという特定の機能を有する部分であって、外周面が略円筒形状とされていることにより、流入側外部管路58aの外挿による接続に際して接続部分における隙間の形成を防いで血液の漏れを防止するという効果を奏する。更に、流入側接続部18aは、板材の貼り合わせによって形成されたプレート状部に対して、略円筒形の外周面形状という特別な意匠を具備することによって、看取する者の注意を引き、看取する者に美感を起こさせるに足りる。流出側接続部18bも同様である。
流出側接続部18bは、流入側接続部18aと略同じ円筒形状とされている。流出側接続部18bは、本体部16に一体形成されており、流入側接続部18aと同じ方向へ向かって本体部16から突出している。流出側接続部18bの内孔32bは、一方の端部が流出側接続部18bの先端において外部に開放されていると共に、他方の端部が流出側トンネル状流路30bに連通されている。接続部18a,18bは、互いに異なる形状やサイズであっても良い。なお、接続部18a,18bの外周面形状は、接続対象となる別の器具の形状に応じて変更可能であり、例えば、ねじを形成したり、たけのこ状の形状としたりすることもできる。
トンネル状流路30a,30bと接続部18a,18bの内孔32a,32bを有する第1のプレート状部材12は、例えば、以下のような金型34を用いて成形される。即ち、図10に示すように、第1のプレート状部材12の第1の傾斜面24よりも基端側が、厚さ方向に分割された基端分割金型36,38によって成形される。更に、第1のプレート状部材12は、第1の傾斜面24が設けられた部分と接続部18a,18bが、厚さ方向に移動可能で第1の傾斜面24を成形する先端分割金型40と、長さ方向に移動可能なスライド金型42と、スライド金型42に対して長さ方向に移動可能なピン金型44,44とによって成形される。
スライド金型42は、本体部16の先端面と第1の傾斜面24に対する裏面とを成形すると共に、長さ方向に延びる円筒形状の貫通孔45,45を備えている。この貫通孔45,45の中央に接続部18a,18bの内孔32a,32bを成形するピン金型44,44が先端側から挿入されており、ピン金型44,44の基端側の端面が基端分割金型36における凹溝28の成形部分に長さ方向で突き当てられている。
そして、基端分割金型36,38と、先端分割金型40と、スライド金型42と、ピン金型44,44とを組み合わせた金型34の内部に形成されるキャビティ46に合成樹脂材料を充填して成形することにより、第1のプレート状部材12が形成される。
接続部18a,18bは、貫通孔45,45の壁内面によって外周面が成形されることから、接続部18a,18bの外周面にパーティングラインは形成されない。接続部18a,18bの内孔32a,32bは、ピン金型44,44によって成形されることから、接続部18a,18bの内周面にもパーティングラインは形成されない。
第2のプレート状部材14は、上下方向視において第1のプレート状部材12の本体部16と略対応する形状とされている。第2のプレート状部材14は、第1のプレート状部材12に比して薄肉とされている。第2のプレート状部材14において、第1のプレート状部材12と重ね合わされる重ね合わせ面48は、第2の平坦面50と第2の傾斜面52を含んで構成されている。
第2の平坦面50は、第2のプレート状部材14の厚さ方向である上下方向に対して、略直交して広がる平面とされている。第2のプレート状部材14の第2の平坦面50には、四隅部分において突出する位置決め凸部54が設けられている。位置決め凸部54は、後述する第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14の重ね合わせ状態において、第1のプレート状部材12の位置決め凹部26と対応する位置に設けられている。
第2の傾斜面52は、第2の平坦面50を外れた長さ方向(図1中の左右方向)の先端部に設けられており、長さ方向の先端側(図1中の左側)に向かって上傾している。これにより、第2のプレート状部材14は、第2の傾斜面52の形成部分において、先端側に向かって次第に薄肉となっている。本実施形態の第2の傾斜面52は、略一定の傾斜角度で傾斜する平面とされているが、例えば、傾斜角度が徐々に変化する湾曲面や、傾斜角度が段階的に変化する折れ面などであっても良い。第2の傾斜面52は、第1の傾斜面24と対応する形状や傾き、位置で形成されている。第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わされた状態において、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52は略隙間なく重ね合わされることが望ましい。
第2の傾斜面52の第2の平坦面50の延長(図1中の一点鎖線)に対する傾斜角度θ(図1参照)は、第1の傾斜面24の傾斜角度と略同じとされている。第2の傾斜面52の傾斜角度θは、1°≦θ≦45°の範囲に設定されることが望ましい。より好適には、第2の傾斜面52の傾斜角度θは、5°≦θ≦30°の範囲に設定される。本実施形態では、第2の傾斜面52の傾斜角度θは25°とされている。
第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14は、好適には、透明乃至は半透明とされている。そして、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14の間に形成される微小流路56(後述)が、外部から視認可能とされる。特に、微小流路56に対する血液や薬液などの液体の浸入を外部から目視で確認できることが望ましい。尤も、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14は、必ずしも全体が透明乃至は半透明である必要はなく、微小流路56の全体を外部から目視できる必要もない。第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14は、不透明であっても良い。
第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14は、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)などの合成樹脂によって形成されている。好適には、成形時の転写性などに優れたCOPやCOCが採用される。
COPとCOCの少なくとも一方によって形成された第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14は、必要に応じて表面処理された重ね合わせ面20,48が重ね合わされた状態で、加熱されつつ相互に押し付ける方向の圧縮力を及ぼされて圧接されることにより、化学的な結合によって相互に固着される。重ね合わせ面20,48の表面処理としては、例えば、光を照射することによる光表面活性処理が好適に採用され得る。即ち、例えば所定波長の紫外光を重ね合わせ面20,48に照射することにより、重ね合わせ面20,48に親水性の表面改質層が形成される。そして、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わせ面20,48を重ね合わせた状態で加熱プレスされることにより、重ね合わせ面20,48の表面改質層が相互に固着して、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が貼り合わされる。なお、重ね合わせ面20,48の表面処理としては、光による表面改質の他、プラズマによる表面改質なども適宜に採用され得る。
第1のプレート状部材12の第1の傾斜面24と、第2のプレート状部材14の第2の傾斜面52とが、相互に重ね合わされることにより、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わせ方向と直交する方向で位置決めされている。本実施形態では、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52が長さ方向(図1中の左右方向)の片側に設けられており、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が長さ方向で位置決めされている。
なお、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14を重ね合わせ方向と直交する方向で位置決めするために、重ね合わせ方向と略平行な段差面を設けると、段差面には圧接方向の力が作用し得ない。それ故、段差面間が十分な強度で固着されないおそれがあると共に、段差面間の流体密性が十分に確保されないおそれがある。また、傾斜面24,52や段差面などの位置決め構造がないと、第1のプレート状部材と第2のプレート状部材が、平坦な重ね合わせ面の形状に限定されることとなり、重ね合わせ方向の圧接に際して、重ね合わせ方向と直交する方向で相対変位して、正しい位置で貼り合わされないおそれがある。
本実施形態では、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わされることによって、第1のプレート状部材12の位置決め凹部26に第2のプレート状部材14の位置決め凸部54が挿入される。そして、位置決め凸部54が位置決め凹部26の内面に係止されることにより、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わせ方向と直交する方向において位置決めされる。なお、位置決め凹部26と位置決め凸部54は、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14の重ね合わせ方向において面積が十分に小さい。それ故、位置決め凹部26と位置決め凸部54の形成部分が固着されていなくても、第1,第2のプレート状部材12,14の固着強度に影響し難い。例えば、位置決め凹部26に挿入された位置決め凸部54をレーザーで溶融させる、或いは、位置決め凹部26と位置決め凸部54の間に接着剤を介在させるなどして、位置決め凸部54が位置決め凹部26の内面に固着されていても良い。
第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14を位置決めする第1,第2の傾斜面24,52が、重ね合わせ方向に対して傾斜していることにより、重ね合わせ方向に及ぼされる圧縮力が第1,第2の傾斜面24,52の重ね合わせ部分にも作用する。これにより、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が、第1,第2の傾斜面24,52の重ね合わせ部分においても圧接されて有効に固着される。それ故、後述する微小流路56の端部がトンネル状流路30a,30bとされていても、凹溝28とトンネル状流路30a,30bとの接続部分において、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が相互に固着されていることで流体密性が確保される。
第1の傾斜面24及び第2の傾斜面52の傾斜角度θが1°以上とされていることにより、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52の重ね合わせによる位置決め作用を有効に発揮させることができる。また、第1,第2の傾斜面24,52が幅広となり過ぎたり、トンネル状流路30a,30bが長くなりすぎたりすることも避けられる。第1の傾斜面24及び第2の傾斜面52の傾斜角度θが45°以下とされていることにより、第1,第2の平坦面22,50の重ね合わせ方向である上下方向に及ぼされる外力(圧縮力)を、第1,第2の傾斜面24,52の重ね合わせ部分にもより効率的に作用させることができる。更に、傾斜角度θが45°以下とされていることにより、第1,第2の傾斜面24,52の重ね合わせによる位置決め作用も一層有効に得ることができる。従って、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が、相互に位置決めされた状態で、第1,第2の傾斜面24,52を含む広い範囲において有効に貼り合わされる。
第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が重ね合わされて固着されることにより、第1のプレート状部材12に設けられた凹溝28の開口が、第2のプレート状部材14によって覆蓋される。これにより、図4,5に示すように、微小流路形成部材10の内部には、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14の重ね合わせ面20,48間において、微小流路56が形成されている。凹溝28が略矩形断面とされていることから、凹溝28の開口を第2のプレート状部材14の第2の平坦面50で覆って形成された微小流路56は、図4に示すように、非円形の断面形状で形成されており、本実施形態では略矩形断面とされている。
微小流路56の両端部は、第1のプレート状部材12に設けられたトンネル状流路30a,30bを介して、第1のプレート状部材12に設けられた接続部18a,18bの内孔32a,32bに連通されている。これにより、微小流路形成部材10の内部に形成された微小流路56は、接続部18a,18bにおいて外部に開放されている。このように、微小流路56は、中間部分が凹溝28の開口を第2のプレート状部材14を覆って形成されていると共に、両端部分がトンネル状流路30a,30b及び接続部18a,18bの内孔32a,32bによって構成されたトンネル構造とされている。微小流路56は、両端部分が接続部18a,18bに設けられている。
トンネル状流路30a,30b及び接続部18a,18bの内孔32a,32bが、第1のプレート状部材12にトンネル構造で予め形成されている。それ故、トンネル状流路30a,30bの形成部分における第1のプレート状部材12の重ね合わせ面20の形状は、圧接による貼り合わせという第1,第2のプレート状部材12,14の貼り合わせ方法によって制限されることなく、大きな自由度で設計することができて、重ね合わせ面20の当該部分に第1の傾斜面24を設けることができる。
流入側接続部18aと流出側接続部18bには、図2に示すように、別の器具としての流入側外部管路58aと流出側外部管路58bが接続される。外部管路58a,58bは、少なくとも接続部18a,18bへの接続側の端部が可撓性を有するチューブ60a,60bとされている。チューブ60a,60bは、好適には弾性を有しており、弾性的な拡径変形が許容されることが望ましい。そして、チューブ60a,60bが接続部18a,18bに外挿状態で嵌着されることにより、外部管路58a,58bが接続部18a,18bに対して隙間なく接続される。
特に、接続部18a,18bが円形の外周面形状を有していることから、円形断面とされたチューブ60a,60bの内周面が接続部18a,18bの外周面に対して隙間なく密着し易くなっている。接続部18a,18bの外周面は、パーティングラインが形成されておらず、凹凸の少ない滑らかな筒状面とされており、接続部18a,18bの外周面の凹凸による隙間の形成も回避される。
外部管路58a,58bの内腔は、微小流路56よりも断面積が大きくされている。従って、例えば、微小流路56が外部管路58a,58bの流量を制限するオリフィス通路とされており、微小流路形成部材10が流量制御部としての機能を有している。
なお、例えば、流入側接続部18aに流入側外部管路58aが接続されると共に、流出側接続部18bが開放状態又は略封鎖状態とされて、血液などの液体が毛細管現象によって流入側接続部18aの開口から微小流路56に浸入するようにしても良い。このような構造の微小流路形成部材は、例えば、小動物から所定量の血液を採取するための採血具として好適に用いられ得る。
本実施形態に従う微小流路形成部材10によれば、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が貼り合わされる際に、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52が重ね合わされることで、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が長さ方向で相互に位置決めされる。
さらに、第1のプレート状部材12の位置決め凹部26に第2のプレート状部材14の位置決め凸部54が挿入されることによって、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が幅方向(図2中の上下方向)でも位置決めされる。
また、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52は、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14が貼り合わされる際の圧縮力の入力方向に対して傾斜している。それ故、圧縮力の分力が第1の傾斜面24と第2の傾斜面52の重ね合わせ方向に作用して、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52が相互に押し付けられる。これにより、第1の傾斜面24と第2の傾斜面52が圧接によって有効に貼り合わされて、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14がより広い範囲で貼り合わされる。特に、凹溝28とトンネル状流路30a,30bの境界付近において、第1のプレート状部材12と第2のプレート状部材14がしっかりと貼り合わされることにより、微小流路56における液漏れが効果的に防止される。
図11には、第2の実施形態としての微小流路形成部材70が示されている。微小流路形成部材70は、全体として略角丸四角板形状を有しており、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74が重ね合わされて貼り合わされた構造を有している。以下の説明において、第1の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。また、上下方向とは、原則として、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74の重ね合わせ方向である図11中の紙面直交方向を言う。
第1のプレート状部材72は、図12に示すように、略角丸四角板形状を有する本体部76と、本体部76の1つの辺部から突出する流入側接続部18aと、本体部76の他の1つの辺部から突出する流出側接続部18bとを備えている。本体部76における第2のプレート状部材74との重ね合わせ面78は、接続部18a,18bが設けられた2つの辺部において第1の傾斜面80とされていると共に、第1の傾斜面80を外れた部分が第1の平坦面82とされている。
第1の傾斜面80は、接続部18a,18bが突出する2つの辺部において、外方(図11中の左方及び下方)に向かって本体部76が次第に厚肉となる方向に傾斜している。第1の傾斜面80は、2方向にそれぞれ略一定の傾斜角度で傾斜しており、2つの平面からなる形状とされている。本体部76における第1の傾斜面80の形成部分には、トンネル構造で貫通する流入側トンネル状流路30aと流出側トンネル状流路30bが形成されている。換言すれば、第1の傾斜面80は、流入側トンネル状流路30aと流出側トンネル状流路30bの周壁外面の一部に設けられている。流入側トンネル状流路30aが流入側接続部18aの内孔32aに連通されていると共に、流出側トンネル状流路30bが流出側接続部18bの内孔32bに連通されている。
第1の平坦面82は、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74の重ね合わせ方向に対して略直交して広がっている。第1の平坦面82には、凹溝84が開口している。本実施形態の凹溝84は、図11に破線で示すように、第1の平坦面82の周方向に延びている。凹溝84の一方の端部は、流入側トンネル状流路30aを介して、流入側接続部18aの内孔32aに連通されている。凹溝84の他方の端部は、流出側トンネル状流路30bを介して、流出側接続部18bの内孔32bに連通されている。
第2のプレート状部材74は、図12に示すように、上下方向視において、第1のプレート状部材72の本体部76と対応する略角丸四角形とされている。第2のプレート状部材74における第1のプレート状部材72の本体部76との重ね合わせ面86は、2つの辺部が第2の傾斜面88とされていると共に、第2の傾斜面88を外れた部分が第2の平坦面90とされている。
第2の傾斜面88は、2つの辺部において外周に向けて第2のプレート状部材74が薄肉となる方向に傾斜している。第2の傾斜面88は、2方向に向かってそれぞれ略一定の傾斜角度で傾斜しており、2つの平面からなる形状とされている。第2の傾斜面88は、第1のプレート状部材72の第1の傾斜面80に対応する形状や傾斜角度とされており、第1の傾斜面80に対して略隙間なく重ね合わせることが可能とされている。
第2の平坦面90は、第1の平坦面82と略対応する形状とされており、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74の重ね合わせ方向に対して略直交して広がっている。
第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74は、重ね合わせ面78,86が相互に重ね合わされて貼り合わされている。第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74は、貼り合わされる際に重ね合わせ方向で相互に押し付けられる。
第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74は、重ね合わされた状態において、相互に重ね合わされた第1の傾斜面80と第2の傾斜面88によって、重ね合わせ方向と直交する方向で相互に位置決めされている。本実施形態では、第1の傾斜面80と第2の傾斜面88の重ね合わせによって、図11中の上下方向と左右方向の直交2方向において位置決め作用が発揮されるようになっている。また、図11中の上下方向と左右方向の各片側にのみ第1,第2の傾斜面80,88が設けられていることから、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74の製造上の寸法誤差などは許容される。
第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74が、重ね合わされた状態で貼り合わされることによって、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74の重ね合わせ面間に微小流路92が形成される。微小流路92は、第1のプレート状部材72の凹溝84の開口が第2のプレート状部材74によって覆われることにより形成されている。微小流路92の両端部は、トンネル状流路30a,30bを介して、接続部18a,18bの内孔32a,32bに連通されている。
本実施形態の微小流路形成部材70によれば、第1の傾斜面80と第2の傾斜面88の重ね合わせによって、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74が重ね合わせ方向と直交する全方位において位置決めされる。これにより、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74を適切な相対位置に位置決めしつつ、より広い範囲で固着することができる。特に、前記実施形態のような位置決め凹部26と位置決め凸部54を設けることなく、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74を面方向の全方位において位置決めすることもできる。
第1の傾斜面80及び第2の傾斜面88は、第1のプレート状部材72の本体部76及び第2のプレート状部材74の周方向で隣り合う2辺に設けられており、他の2辺には設けられていない。これにより、例えば、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74に寸法や形状の誤差がある場合には、第2のプレート状部材74が第1のプレート状部材72に対して第1,第2の傾斜面80,88のない2辺側へ適宜に移動する。それ故、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74に寸法や形状の誤差があっても、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74が浮き上がることなく略密着した状態で重ね合わされる。
また、トンネル構造とされた微小流路92の両端部(トンネル状流路30a,30b)を異なる2方向に延びるように形成することができる。これにより、微小流路92の経路の設計自由度を大きくすることができると共に、外部管路58a,58bの取り回しの自由度も大きく得られる。
なお、本実施形態では、2方向に傾斜する傾斜面として、直交2方向に傾斜する第1,第2の傾斜面80,88を例示したが、例えば、直交しない2方向に傾斜するように第1,第2の傾斜面80,88を設定することもできる。要するに、第1のプレート状部材72と第2のプレート状部材74において第1,第2の傾斜面80,88が設けられる周方向で隣り合う2辺は、必ずしも略直角をなしていなくても良く、鋭角や鈍角をなす2辺に傾斜面を設けることもできる。なお、第1,第2の傾斜面80,88は、必ずしも平面を組み合わせた形状に限定されず、湾曲面や折れ面を採用することもできる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態に示した微小流路56,92の経路や断面形状は、特に限定されるものではない。
前記実施形態では、流入側トンネル状流路30aと流出側トンネル状流路30bを有する微小流路56を例示したが、例えば、採血具に用いられる微小流路形成部材では、流出側トンネル状流路30bは設けられていなくても良い。その際、流出側トンネル状流路30bに代えて、例えば少なくとも一方のプレート状部材を板厚方向に貫通する開放孔を、必要に応じてフィルタ等を介して外部に開放させて形成することができる。この場合には、血圧や毛細管現象によって微小流路56に血液が導入されて、外部に流出することなく保持される。また、微小流路の両端が外部流路に接続される場合に、微小流路は、少なくとも一方の端部がトンネル構造とされていれば良い。
前記実施形態では、第1,第2のプレート状部材12,14において、第1のプレート状部材12だけにトンネル状流路30a,30bが形成されている例を示したが、例えば、複数のプレート状部材にトンネル状流路を形成することもできる。この場合に、各トンネル状流路は、複数のプレート状部材に跨ることなく、それぞれ1つのプレート状部材を貫通するように形成される。
前記実施形態のような第1のプレート状部材12の本体部16から外方へ向かって突出する接続部18は、必須ではない。例えば、トンネル状流路30に外部管路58の端部が挿入されて接続されるようにしても良い。また、接続部18は、第1のプレート状部材12に一体形成されていなくても良く、第1のプレート状部材12に対して別部品として後付けされて設けられていても良い。
接続部18は、円筒形状に限定されない。例えば、外部管路58が外挿状態で接続される場合には、内周面を円形以外の断面形状としても、接続部分での液密性を確保することができる。同様に、外部管路58が内挿状態で接続される場合には、外周面を円形以外の断面形状としても、接続部分での液密性を確保することができる。なお、接続部18は、内周面と外周面の両方が円形以外の断面形状とされていても良い。
前記実施形態の微小流路形成部材10は、2枚のプレート状部材12,14が重ね合わされた構造を有していたが、例えば、3枚以上のプレート状部材が重ね合わされて貼り合わされるようにもできる。また、互いに重ね合わされる複数のプレート状部材は、平面視においても同一の形状や大きさである必要はない。更にまた、1つのプレート状部材の一方の面に対して複数のプレート状部材を重ね合わせることも可能である。
プレート状部材12,14の平面視の形状は、略四角形に限定されない。プレート状部材の平面視の形状は、例えば、円形乃至は楕円形、四角以外の多角形、その他の異形などであっても良い。
プレート状部材12,14の重ね合わせ面20,48は、全体が傾斜面24,52とされていても良い。この場合には、例えば傾斜面24,52の傾斜角度を段階的に変化させるなどして、傾斜面24,52の重ね合わせによる位置決めが有効に実現されるようにすることが望ましい。
前記実施形態の第1の傾斜面24は、第1のプレート状部材12における本体部16の辺部の全長に亘って設けられていたが、例えば、辺部の一部に部分的に設けられていても良い。同様に、第2の傾斜面52は、第2のプレート状部材14の辺部の一部に部分的に設けられていても良い。
プレート状部材12,14の重ね合わせ面20,48間に形成される微小流路の具体的形状や構造も限定されない。例えば複数本の独立した微小流路を形成したり、流路長さ方向の途中で分岐や合流等する微小流路を形成することも可能であるし、流路長さ方向で断面積が変化するような微小流路を形成することも可能である。また、そのような各種流路態様に応じて、複数の外部流路の接続部を適宜の構造で設けることが可能であり、トンネル構造の接続部と併せて、トンネル構造を有しない接続部も採用することが可能である。
第1,第2のプレート状部材は12,14の形成材料は、COPとCOCに限定されず、例示したような各種の合成樹脂材料が適宜に採用され得る。また、第1,第2のプレート状部材12,14の貼り合わせは、採用される樹脂材料などに応じて適切な方法が選択されるものであり、例えば、接着や溶着などの各種公知の方法で貼り合わされ得る。