JP2022042074A - ガス拡散電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス拡散性および燃料電池の発電性能の向上が可能なガス拡散電極を提供する。【解決手段】ガス拡散電極は、シート状の多孔質基材と、前記多孔質基材の一方の面に接して配置されている微細多孔質層と、を備える。前記多孔質基材のうちの前記微細多孔質層を構成する部材を含んだ複合層の厚さは、前記多孔質基材の全体の厚さに対する割合が15%以下であり、前記微細多孔質層の表面は、前記表面の面積に対する10μm以上の深さを有する凹部の面積の総和の割合が10%以下である。【選択図】図1
Description
本開示は、燃料電池に用いられるガス拡散電極に関する。
燃料電池のガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)には、供給されるガスを拡散させる機能(ガス拡散性)と、触媒層で生成された水を効率良く排出する機能(排水性)と、触媒層で発生した電気を導電する機能(導電性)と、を有することが望まれる。これらの機能を有するGDLに用いられるガス拡散電極としては、多孔質構造を有する導電性の基材に、基材の孔よりも小さな径の孔を有する微細多孔質層(マイクロポーラス層、以下「MPL」とも呼ぶ)が形成された構造のものが知られている。例えば、特許文献1には、MPLの厚さを100%とした際の、基材中へ染み込んだMPLの厚さの割合を50%以上90%以下としたガス拡散電極が開示されている。
しかしながら、染み込みの割合が大きくなると、ガス拡散電極の面内透気度が小さくなりガス拡散性が低下することになり、このガス拡散電極を用いた燃料電池の発電性能の低下を招く可能性がある。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、ガス拡散電極が提供される。このガス拡散電極は、シート状の多孔質基材と、前記多孔質基材の一方の面に接して配置されている微細多孔質層と、を備える。前記多孔質基材のうちの前記微細多孔質層を構成する部材を含んだ複合層の厚さは、前記多孔質基材の全体の厚さに対する割合が15%以下であり、前記微細多孔質層の表面は、前記表面の面積に対する10μm以上の深さを有する凹部の面積の総和の割合が10%以下である。
上記形態のガス拡散電極によれば、多孔質基材のうちの微細多孔質層を含んだ構造を有する部分の厚さが多孔質基材の全体の厚さに対して15%以下であるので、ガス拡散電極の面内透気度の低下を抑制してガス拡散性を向上させることができ、このガス拡散電極を用いた燃料電池の発電性能を向上させることができる。また、微細多孔質層の表面の面積に対する10μm以上の深さを有する凹部の面積の総和の割合が10%以下であるので、微細多孔質層の表面の凹凸が少なく、触媒電極膜の触媒電極との接触性を向上させることができ、このガス拡散電極を用いた燃料電池の発電電性能を向上させることができる。
上記形態のガス拡散電極によれば、多孔質基材のうちの微細多孔質層を含んだ構造を有する部分の厚さが多孔質基材の全体の厚さに対して15%以下であるので、ガス拡散電極の面内透気度の低下を抑制してガス拡散性を向上させることができ、このガス拡散電極を用いた燃料電池の発電性能を向上させることができる。また、微細多孔質層の表面の面積に対する10μm以上の深さを有する凹部の面積の総和の割合が10%以下であるので、微細多孔質層の表面の凹凸が少なく、触媒電極膜の触媒電極との接触性を向上させることができ、このガス拡散電極を用いた燃料電池の発電電性能を向上させることができる。
本開示は、上記形態のガス拡散電極だけでなく、上記形態のガス拡散電極を備える膜電極接合体や燃料電池の形態で実現することができる。また、上記形態のガス拡散電極や膜電極接合体、燃料電池の製造方法の形態で実現することもできる。
図1は、一実施形態のガス拡散電極の模式図である。このガス拡散電極10は、導電性の多孔質基材11と、多孔質基材11の一方の面に形成された導電性の微細多孔質層(MPL)12と、を有する。多孔質基材11は、導電性および多孔質性を有するシート状の基材であり、撥水性樹脂により撥水処理されている。MPL12は、多孔質基材11よりも微細な気孔を有している。MPL12は、導電性微粒子がバインダー(撥水性樹脂)によって結着された構造を有している。なお、多孔質基材11に用いられるシート状の基材、および、MPL12を構成する導電性微粒子とバインダー、については後述する。
多孔質基材11のうち、MPL12との境界領域は、MPL12を含んだ構造を有する部分(以下、「複合層」と呼ぶ)13となっている。複合層13は、後述する製造方法によって多孔質基材11上にMPL12を形成した際に発生する部分であって、多孔質基材11にMPL形成用の部材を塗布した際に部材が染み込んだ部分である。多孔質基材11の全体の厚さDbに対する複合層13の厚さDmの割合(100・Dm/Db)は15%以下の構造を有している。なお、以下ではこの割合を、単に「複合層割合」とも呼ぶ。ガス拡散電極10は、この構造を有することにより、後述するように、ガス拡散性を向上させることができ、このガス拡散電極10をガス拡散層として用いた膜電極接合体および燃料電池の発電性能を向上させることができる。
また、MPL12の表面14は、表面14の面積に対する10μm以上の深さを有する凹部の面積の総和の割合(以下、「表面凹部面積率」とも呼ぶ)が10%以下の構造を有している。ガス拡散電極10は、この構造を有することにより、MPL12の表面14の凹凸が少なく、後述するように、触表面の平滑性を高めて触媒電極膜の触媒電極との接触性を向上させることができ、このガス拡散電極10をガス拡散層として用いた膜電極接合体および燃料電池の発電性能を向上させることができる。
図2は、ガス拡散電極の製造方法の一例を示す説明図である。ガス拡散電極10は、図2に示したガス拡散電極製造装置100によって作製可能である。
ガス拡散電極製造装置100は、繰出ロール110と、複数のロール120,130と、巻取ロール140と、撥水部材塗工部200と、乾燥炉300と、MPL部材塗工部400と、焼成炉500と、を備える。繰出ロール110は、多孔質基材11に対応する基材W1を繰り出す。基材W1は、多孔質基材11と同一の材料であり、長尺シート状である。複数のロール120,130は、繰出ロール110から巻取ロール140までのロールツーロール方式による連続搬送を実現するためのものである。ロールの数は、図中では2つであるが、これに限らず、他の数としてもよい。繰出ロール110から巻取ロール140までの連続搬送の過程において、基材W1が、搬送方向MDに沿って配置された撥水部材塗工部200、乾燥炉300、MPL部材塗工部400、焼成炉500に順に送り込まれることにより、各部に対応する撥水部材塗工工程、乾燥工程、MPL部材塗工工程、焼成工程が順に実行される。
多孔質基材11に対応する長尺シート状の基材W1としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス、カーボン不織布等の炭素繊維を含むカーボンファイバによる多孔質性の基材を用いることができる。なお、本例では、厚さ140~160[μm]で気孔率60~90[%]のカーボンペーパーを用いるものとした。
撥水部材塗工部200は、塗工ヘッド210を備える。撥水部材塗工部200は、塗工ヘッド210として用いられたヘッド、例えば、スロットダイヘッドやリップダイヘッド等に応じたスロットダイ塗工やリップダイ塗工等の塗工を行う。塗工ヘッド210は、搬送中の基材W1の表面に対して吐出口の向きが交差(本実施形態では、直交)するように配置されており、撥水処理部材を基材W1の表面に向けて吐出する。これにより、基材W1に撥水部材が塗布される。撥水部材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系の高分子材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン等が利用可能である。そして、これらの材料のうち、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
乾燥炉300は、撥水部材を塗布済みの基材W2を乾燥処理する。これにより、撥水処理された基材W3が作製される。なお、撥水部材塗工部200において塗布された撥水部材は、その塗工面から基材W1内へ浸透するので、基材W1の表面および内部に対して撥水部材を分布させて撥水性を付与する撥水処理が施された基材W3が作製される。
MPL部材塗工部400は、塗工ヘッド410を備える。図3は、塗工ヘッド410を拡大して示す説明図である。MPL部材塗工部400は、塗工ヘッド410としてスロットダイヘッドを用いたスロットダイコーターであり、スロットダイ塗工を行なう。塗工ヘッド410は、搬送中の基材W3の表面に対して吐出口の向きが交差(本実施形態では、直交)し、ギャップd1を有するように設置されており、MPL部材Pmplを基材W3の表面に向けて吐出する。具体的には、タンク(不図示)に貯留したMPL部材Pmplをポンプ(不図示)によって圧送することにより、塗工ヘッド410からMPL部材Pmplを基材W3の表面に向けて吐出し、基材W3にMPL部材Pmplを塗布し、基材W3に塗膜CFを形成する。塗布の目付量は0.8~4.0[mg/cm2]である。なお、塗工ヘッド410には、基材W3に対してギャップd1が設けられる。このギャップd1は、塗工ヘッド410から吐出されるMPL部材Pmplによって基材W3に圧力が加わるのを抑制して、後述するように、基材W3へのMPL部材Pmplの染み込みにより形成される複合層の割合(複合層割合)が15%以下で表面凹部面積率が10%以下を可能とする距離となるように設定される。具体的には、塗工ヘッド410に対する基材W3の相対的な移動速度が大きいほど小さく、例えば、基材移動速度が4.5m/min、8m/min、25m/minで、ギャップd1が600μm、350μm、200μmのように設定される。
MPL部材Pmplは、基材W3の一方の面に微細多孔質層(MPL)を形成するための塗液であり、導電性微粒子、バインダー(撥水性樹脂)、溶媒、増粘剤、および必要に応じて分散剤を混合分散させたペースト状のものである。なお、以下の説明では、MPL部材Pmplは、導電性微粒子、バインダー、分散剤、増粘剤、および溶媒を混合分散させたペーストであるとして説明する。導電性微粒子としては、平均粒径が20~150[nm]のカーボン、例えば、導電性に優れ、比表面積が大きいカーボンブラックが用いられ、特に、導電性が高いアセチレンブラックが好ましい。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系の高分子材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられる。そして、これらの材料のうち、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。溶媒としては、特に制限されず、水、メタノール、エタノール等の種々の溶媒が用いられる。分散剤である界面活性剤も、特に制限されず、エステル型やエーテル型、エステル・エーテル型等の種々の非イオン系界面活性剤等の種々の界面活性剤が用いられる。増粘剤としては、炭素骨格を基本とした高分子材料、例えば、重合ポリマー系増粘剤が用いられる。なお、本例では、MPL部材Pmplは、カーボンとしてアセチレンブラック、溶媒として水を用い、カーボンおよびバインダー等の固形分が15~25[%]、ペースト中の固形分に対して、5~10[wt%]の分散剤及び0.1~1[wt%]の増粘剤を含む、ものとした。増粘剤量の数値0.1~1[wt%]は、MPL部材Pmplの糸引き長[mm]が2~16[mm]程度となるように調整可能な数値であって、複合層割合が15%以下で表面凹部面積率が10%以下となるように調整可能な数値である。
焼成炉500は、MPL部材が塗工済みの基材W4を加熱することによって、塗工済の基材W4に対して、乾燥および焼成処理を実行する。これにより、長尺シート状のガス拡散層である基材W5が作製される。作製された基材W5は、巻取ロール140によって巻き取られる。そして、巻き取られた基材W5を裁断装置により所望形状に裁断することにより、所望形状のガス拡散電極を作製することができる。
実施形態の製造方法により作製したガス拡散電極(以下、「実施例のガス拡散電極」とも呼ぶ)、および、比較形態の製造方法により作製したガス拡散電極(以下、「比較例のガス拡散電極」とも呼ぶ)について、以下で説明するように評価を行った。
なお、比較例のガス拡散電極としては、MPL部材の塗工を実施形態のようにスロットダイコーターで行うのではなく、リップコーターで行ったもの(比較例1)と、バキューム付スロットダイコーターで行ったもの(比較例2)を例とした。
MPL部材は、比較例においても、実施形態におけるMPL部材と同じものを用いた。MPL部材の導電性材料として平均粒径が35[nm]のアセチレンブラックを用い、バインダーとしてPTFEを用い、溶媒として水を用いた。また、MPL部材は、カーボンとしてアセチレンブラック、溶媒として水を用い、カーボンおよびバインダー等の固形分が15~25[%]、ペースト状の部材全体に対して、5~10[wt%]の分散剤及び0.1~1[wt%]の増粘剤を含む、ものとした。
作製したガス拡散電極について、基材の撥水性、複合層の厚さ(複合層割合)、表面凹部面積率、面内透気度、表面平滑性の測定を行なうとともに、作成したガス拡散電極を組み込んだ燃料電池を作製して発電性能の測定を行った。
図4は、ガス拡散電極をガス拡散層として用いた燃料電池の概略構成を示す説明図である。燃料電池600は、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)50と、アノード側セパレータ60と、カソード側セパレータ70と、を備えている。アノード側セパレータ60とカソード側セパレータ70とは、MEA50を挟み込むように配置されている。
MEA50は、触媒電極膜(CCM:Catalyst Coated Membrane)20と、CCM20のアノード側の面に配置されたアノード側ガス拡散層(GDL)30と、CCM20のカソード側の面に配置されたカソード側ガス拡散層(GDL)40と、を備えている。なお、CCM20をMEAと呼び、MEA50は膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)と呼ぶこともできる。
CCM20は、電解質膜21と、電解質膜21のアノード側の面に形成されたアノード側触媒層22と、電解質膜21のカソード側の面に形成されたカソード側触媒層23と、を備えている。電解質膜21は、高分子電解質材料(例えば、フッ素樹脂)により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。アノード側触媒層22およびカソード側触媒層23は、触媒(例えば、白金等)が導電性物質として機能する炭素系粒子(例えば、カーボンブラック等)に担持された触媒担持カーボンと、電解質膜21と同様の電解質成分と、から構成される。
アノード側GDL30は、アノード側多孔質基材層31およびアノード側微細多孔質層(MPL)32を有し、アノード側触媒層22の外側に、アノード側MPL32が接するように形成されている。カソード側GDL40も、カソード側多孔質基材層41およびカソード側MPL42を有し、カソード側触媒層23の外側に、カソード側MPL42が接するように形成されている。
アノード側セパレータ60およびカソード側セパレータ70は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成型した金属板によって構成することができる。アノード側セパレータ60の表面は凸凹形状となっており、アノード側ガス拡散層30のアノード側多孔質基材層31との間には、燃料ガスが流れる燃料ガス流路61が形成されている。同様に、カソード側セパレータ70とカソード側ガス拡散層40のカソード側多孔質基材層41との間には、酸化ガスが流れる酸化ガス流路71が形成されている。なお、アノード側セパレータ60は、互いに平行な複数の溝から成る凸凹形状を有しているが、これに限らず、アノード側セパレータ60とアノード側多孔質基材層31との間に燃料ガスの流路を形成可能な任意の形状とすることができる。また、カソード側セパレータ70についても同様に、カソード側セパレータ70とカソード側多孔質基材層41との間に酸化ガスの流路を形成可能な任意の形状とすることができる。
なお、実施例のガス拡散電極の評価のための燃料電池は、燃料電池600のカソード側GDL40として、実施形態の製造方法により作製したガス拡散電極10を用いたものである。また、比較例のガス拡散電極の評価のための燃料電池は、燃料電池600のカソード側GDL40を比較形態の製造方法により作製したガス拡散電極としたものである。なお、どちらの燃料電池も、アノード側GDL30、CCM20、アノード側セパレータ60およびカソード側セパレータ70には共通の部材を使用するものとした。
図5は、実施例のガス拡散電極と比較例1,2のガス拡散電極の測定結果を比較して示す表である。
発電性能としては、燃料電池の温度70℃、カソードガス(酸化ガス)の相対湿度100%、アノードガス(燃料ガス)の相対湿度80%、出力電流3.5A/cm2の動作条件における出力電圧を測定した。測定した電圧の値が大きいほど発電性能は高くなる。比較例1のガス拡散電極を「1」として、比較例2のガス拡散電極は「1」であり、実施例のガス拡散電極は「1.1」は、10%程度発電性能が良くなっていることを確認した。また、基材撥水性としては、一般的な純粋の接触角により評価される。比較例1および比較例2のガス拡散電極の基材撥水性は低く、実施例の基材撥水性は高い、ことを確認した。
また、ガス拡散性、及び表面平滑性すなわち触媒層との密着性については、以下のように大きな違いがあることがわかった。
触媒層との密着性に対応する表面凹部面積率は、1~2[MPa]でガラスなどの十分表面粗さが小さい平面と接触させて面圧を上げた時の平面と接触しない部分の平面への投影面積の割合に相当し、表面凹部面積率が10%以上のものは、触媒層との密着性が低い(×)と判断され、10%以下のものは密着性が高い(〇)と判断され、5%以下のものは密着性が非常に高い(◎)と判断される。また、面内透気度は、単位面積、単位圧力差及び単位時間当たり透過する空気の平均流量であり、ガス拡散性を示すものである。面内透気度は、50[10-12m3/(Pa・sec)]以下のものはガス拡散性が低い(×)と判断され、50[10-12m3/(Pa・sec)]を超えるものはガス拡散性が高い(〇)と判断される。なお、この面内透気度は、複合層厚さDmの割合(複合層割合:100・Dm/Db)と相関があり、複合層割合が小さいほど、面内透気度は大きくなる。
比較例1のガス拡散電極は、表面凹部面積率が1.3%と非常に小さく、表面の平滑性すなわち触媒層との密着性は非常に高い(◎)。しかしながら、複合層割合は90%と非常に大きいため、面内透気度が5.9[10-12m3/(Pa・sec)]と非常に小さくなり、ガス拡散性が低い(×)。すなわち、比較例1のガス拡散電極は、表面の平滑性すなわち触媒層との密着性は非常に高いが、ガス拡散性が低い。
また、比較例2のガス拡散電極は、複合層割合が6.3%と非常に小さいため、面内透気度が64[10-12m3/(Pa・sec)]と大きくなり、ガス拡散性が十分に高い(◎)。しかしながら、凹部面積率が67%と大きく、表面の平滑性すなわち触媒層との密着性が非常に低い(×)。すなわち、比較例2のガス拡散電極は、ガス拡散性は非常に高いが、表面の平滑性すなわち触媒層との密着性が低い。
実施例のガス拡散電極は、複合層割合が7.0%と非常に小さいため、面内透気度が59[10-12m3/(Pa・sec)]と大きくなり、ガス拡散性が十分に高い(◎)。また、表面凹部面積率が5%と非常に小さく、表面の平滑性すなわち触媒層との密着性も非常に高い(◎)。すなわち、実施例のガス拡散電極は、ガス拡散性および表面の平滑性すなわち触媒層との密着性の両方が非常に高くなっていることを確認した。
以上のことから、ガス拡散性及び表面の平滑性すなわち触媒層との密着性の両方が高いガス拡散電極としては、複合層割合が7.0%以下で、凹部表面面積率が5.0%以下であることが求められる。
ここで、上記したように、面内透気度は50[10-12m3/(Pa・sec)]超であれば、ガス拡散性は高いと考えられる。単純に、複合層割合に比例して面内透気度は小さくなるものと考えると、面内透気度を50[10-12m3/(Pa・sec)]超とする複合層割合は20%未満に対応することが、単純計算により求められる。そこで、ばらつき等の種々の変動を考慮して、複合層割合が15%以下であれば、ガス拡散性の高いガス拡散電極を得ることができると考えられる。
また、上記のように、表面凹部面積率は10%以下であれば、一般的に、表面の平滑性すなわち触媒層との密着性が高いガス拡散電極を得ることができると考えられる。
従って、ガス拡散性および表面の平滑性すなわち触媒層との密着性の両方を確保できる高いガス拡散電極としては、複合層の厚さの割合が15%以下で、表面凹部面積率が10%以下であればよい。
なお、上記実施形態で説明したガス拡散電極製造装置では、移動する基材に対して、固定設置されたスロットダイヘッドをスロットダイコーターにより、MPL部材を塗工する構成を例として説明したが、基材に対して、スロットダイヘッドを走査させてMPL部材を塗工する構成としてもよい。
本開示は、上述の実施形態や実施形態、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、開示の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…ガス拡散電極、11…多孔質基材、13…複合層、14…表面、20…触媒電極膜(CCM)、21…電解質膜、22…アノード側触媒層、23…カソード側触媒層、30…アノード側ガス拡散層(GDL)、31…アノード側多孔質基材層、32…アノード側微細多孔質層(MPL)、40…カソード側ガス拡散層(GDL)、41…カソード側多孔質基材層、42…カソード側微細多孔質層(MPL)、50…膜電極接合体(MEA)、60…アノード側セパレータ、61…燃料ガス流路、70…カソード側セパレータ、71…酸化ガス流路、100…ガス拡散電極製造装置、110…繰出ロール、120…ロール、130…ロール、140…巻取ロール、200…撥水部材塗工部、210…塗工ヘッド、300…乾燥炉、400…MPL部材塗工部、410…塗工ヘッド、500…焼成炉、600…燃料電池、CF…塗膜、Pmpl…MPL部材、MD…搬送方向、W1…基材、W2…基材、W3…基材、W4…基材、W5…基材
Claims (1)
- ガス拡散電極であって、
シート状の多孔質基材と、
前記多孔質基材の一方の面に接して配置されている微細多孔質層と、
を備え、
前記多孔質基材のうちの前記微細多孔質層を構成する部材を含んだ複合層の厚さは、前記多孔質基材の全体の厚さに対する割合が15%以下であり、
前記微細多孔質層の表面は、前記表面の面積に対する10μm以上の深さを有する凹部の面積の総和の割合が10%以下である、ガス拡散電極。
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