JP2022039955A - 強化ガラスの応力測定装置、強化ガラスの応力測定方法、強化ガラス - Google Patents

強化ガラスの応力測定装置、強化ガラスの応力測定方法、強化ガラス Download PDF

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秀治 折原
Hideji Orihara
芳男 折原
Yoshio Orihara
聡司 大神
Soji Ogami
和也 石川
Kazuya Ishikawa
盛輝 大原
Moriteru Ohara
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Abstract

【課題】強化ガラスの表面付近の応力分布の測定精度を向上可能な、強化ガラスの応力測定装置を提供する。【解決手段】複数の異なる波長の光を出射する機能を備えた光源と、強化ガラス200の圧縮応力層を有する表面層内を伝播した前記光を前記強化ガラス200の外へ出射させ、前記強化ガラス200の表面に対し平行及び垂直に振動する二種の光成分を臨界角で生じる二種の境界線に変換する光変換部材40と、撮像素子60とを備え、前記撮像素子60は、前記強化ガラス200、光取出し部材30、前記撮像素子60の互いの位置関係を保った状態で撮像し、位置測定手段で測定した複数の異なる波長の光における前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置に基づいて、前記強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、強化ガラスの応力測定装置、強化ガラスの応力測定方法、強化ガラスに関する。
携帯電話やスマートフォン等の電子機器において、表示部や、筐体本体にガラスが用いられることが多い。近年の電子機器の薄型化・軽量化に伴い、電子機器に用いるガラスにも薄板化が要求されている。ガラスは板厚が薄くなると強度が低くなる。そこで、ガラスの強度を上げるために、ガラス表面にイオン交換による表面層(イオン交換層)を形成し圧縮応力を発生させることにより強度を上げた、所謂化学強化ガラスを使用し、光学的手法にて、表面の応力値を測定し、正しく強化されているかを確認し、市場に出荷するのが一般的であった。
強化ガラスの表面層の応力を測定する技術としては、例えば、強化ガラスの表面層の屈折率が内部の屈折率より高い場合に、光導波効果と光弾性効果とを利用して、表面層の圧縮応力を非破壊で測定する技術(以下、非破壊測定技術とする)を挙げることができる。この非破壊測定技術では、単色光を強化ガラスの表面層に入射して光導波効果により複数のモードを発生させ、各モードで光線軌跡が決まった光を取出し、凸レンズで各モードに対応する輝線に結像させる。なお、結像させた輝線は、モードの数だけ存在する。
又、この非破壊測定技術では、表面層から取出した光は、出射面に対して、光の振動方向が水平と、垂直の二種の光成分についての輝線を観察できるように構成されている。そして、次数の一番低いモード1の光は表面層の一番表面に近い側を通る性質を利用し、二種の光成分のモード1に対応する輝線の位置から、夫々の光成分についての屈折率を算出し、その二種の屈折率の差とガラスの光弾性定数から強化ガラスの表面付近の応力を求めている(例えば、特許文献1参照)。
一方、上記の非破壊測定技術の原理を元に、モード1とモード2に対応する輝線の位置から、外挿でガラスの最表面での応力(以下、表面応力値とする)を求め、かつ、表面層の屈折率分布は直線的に変化すると仮定し、輝線の総本数から、圧縮応力層の深さを求める方法が提案されている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。
又、上記の表面導波光を利用した測定技術により測定した表面応力値と圧縮応力層の深さを元に、ガラス内部の引張応力CTを定義し、CT値で強化ガラスの強度を管理する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、引張応力CTを『CT=(CS×DOL)/(t×1000-2×DOL)』(式0)で計算している。ここで、CSは表面応力値(MPa)、DOLはナトリウムがカリウムにイオン交換されたことによる圧縮応力層の深さ(単位:μm)、tは板厚(単位:mm)である。
一般的に外力が加わらなければ、応力の総和は0である。従って、化学強化により形成された応力を深さ方向に積分した値が、化学強化されていない中心部分でバランスをとるように略均等に引張応力が発生する。
しかし、化学強化ガラスも強度向上と性能向上のため、多様になっており、従来の応力測定方法では十分な評価ができなくなっている。
例えば、リチウム含有ガラスをカリウム、ナトリウムの二種のイオンと交換し、応力分布を制御した強化ガラスや、透明な結晶化ガラスをイオン交換した化学強化ガラス等がある。
リチウム含有ガラスの化学強化ガラスでは、従来の光学的な応力測定装置では、リチウムとナトリウムがカリウムに交換された表面付近の応力層を評価することはできるが、リチウムがナトリウムに交換された内部の応力層を評価することができない。そのため、カリウムにイオン交換された圧縮応力層の深さDOLにおいて、圧縮応力はゼロにならず、圧縮応力がゼロになる深さDOC(単位:μm)は、表面の導波光を利用した応力測定装置では測定できない。
この2つの応力層の影響などにより応力分布が大きく屈曲する位置のガラス深さ(DOL_TP)よりもガラス表層側の応力分布を測定し、ガラス表層側の応力分布の測定結果(測定画像)に基づいて、DOL_TPよりもガラス深層側の応力分布を予測する方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この方法では、DOL_TPよりもガラス深層側の応力分布の実測を行わないため、測定再現性が悪いという問題がある。
結晶化ガラスにおいては、特に表示部に使用するには透明でなければならないため、ここで使用する結晶化ガラスは、結晶粒が可視光の波長より十分小さな結晶化ガラスであり、可視域においては、透明である。そのため、従来の光学的な応力測定装置で、化学強化工程で形成される表面の応力を測定できる。
そのため、多様化した化学強化ガラスの品質を維持するためには、深部までの応力の分布や、結晶化ガラスにおける結晶状態等を測定管理する必要がある。
近年、イオン交換がしやすく、化学強化工程で、短時間で、表面応力値が高く、応力層の深さが深くできるガラスとして、リチウム・アルミノシリケート系のガラスが注目されている。
このガラスを高温の硝酸ナトリウムと硝酸カリウムの混合溶融塩に浸漬して、化学強化処理を施す。ナトリウムイオン、カリウムイオンとも、溶融塩中の濃度が高いために、ガラス中のリチウムイオンとイオン交換するが、ナトリウムイオンの方がガラス中へ拡散しやすいために、まず、ガラス中のリチウムイオンと溶融塩中のナトリウムイオンが交換される。
ここで、ガラスの屈折率は、ナトリウムイオンがリチウムイオンとイオン交換されるとより低く、カリウムイオンが、リチウムイオン、或いはナトリウムイオンとイオン交換されるとより高くなる。つまり、ガラス中のイオン交換されていない部分に比べて、ガラス表面付近のイオン交換された領域はカリウムイオン濃度が高く、更に深いイオン交換された領域になるとナトリウムイオン濃度が高くなる。そのため、イオン交換されたガラスの最表面付近は、屈折率が深さとともに下がるが、ある深さからイオン交換されていない領域まで、深さとともに屈折率が高くなる特徴を持っている。
そのため、前述の表面の導波光を利用した応力測定装置では、最表面の応力値、或いは、応力分布だけで、深い部分の応力分布を測定することができず、応力層の深さ、CT値、全体の応力分布を知ることができなかった。その結果、適正な化学強化条件を見つけ出すための開発ができず、又、製造の品質管理ができなかった。
又、アルミノシリケートガラスやソーダガラスを風冷強化した後に化学強化した場合、化学強化された部分は前述の表面の導波光を利用した応力測定装置で応力分布或いは応力値を測定できる。しかし、化学強化がされておらず風冷強化だけがされた部分は屈折率変化が小さく、前述の表面の導波光を利用した応力測定装置では測定できない。その結果、応力層の深さ、CT値、全体の応力分布を知ることができなかった。その結果、適正な化学強化条件を見つけ出すための開発ができず、又、製造の品質管理ができなかった。
これらの課題の解決のためレーザ光の散乱光を利用した強化ガラスの応力分布を測定できる応力測定装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。これによれば、屈折率の深さ方向の分布によらず、強化ガラスの応力分布を表面から深い部分まで測定が可能となっている。この応力測定装置は、レーザ光の偏光位相差を、レーザ光の波長に対して1波長以上可変する偏光位相差可変部材と、偏光位相差を可変されたレーザ光が強化ガラスに入射されたことにより発する散乱光を、所定の時間間隔で複数回撮像し、複数の画像を取得する撮像素子とを有している。そして、複数の画像を用いて散乱光の周期的な輝度変化を測定し、輝度変化の位相変化を算出し、位相変化に基づき強化ガラスの表面からの深さ方向の応力分布を算出できる。
特開昭53-136886号公報 特開2016-142600号公報 特表2011-530470号公報 米国特許公開2016/0356760 国際公開第2018/056121号
Yogyo-Kyokai-Shi(窯業協会誌)87{3}1979
近年、折り畳みスマートフォン等に利用するカバーガラスは、例えば、厚みが50μm以下である。このような薄いガラスとしては強化ガラスが用いられるが、強化ガラスへの化学強化の深さは、例えば、10μm以下であり、原理的にガラス板厚が薄くなるほど化学強化の深さを深くすることができない。又、強化ガラスとして広く用いられるリチウムを含有するアルミノシリケートガラスにおいても、リチウムをナトリウムで置換する化学強化を行うと置換される深さが深いため引張エネルギーが大きくなりやすい傾向にある。そのため、リチウムをナトリウムで置換する化学強化に引き続いて、または同時に、ナトリウムとカリウムの化学強化を行う場合、表面の圧縮応力は上げつつも引張エネルギーを抑制するためにカリウムイオン濃度が高い化学強化された表面層は浅くなる傾向にある。又、結晶化ガラスでの化学強化では、もともと結晶化ガラスの強度が強いことから、表面の傷対策に重点がおかれ、引張エネルギーを抑制するため最表面部分のみを化学強化することが多い。このように、ナトリウムとカリウムの化学強化による置換深さを浅くすることで引張エネルギーを抑制する傾向がある。
上記のような化学強化の深さが浅い強化ガラスの応力分布を、導波光を利用した応力測定装置で測定する場合、発生する輝線の本数が非常に少なく、場合によっては、1本(後述のモード1)しか発生しない強化ガラスもある。輝線の本数を増やす方法として、導波光光源の波長を短くする方法が有効だが、波長が350nmよりも短くなると光学ガラスや強化ガラスの多くは透過率が低下してしまい、測定装置の光学系が機能しなかったり、導波光が観測できなかったりするため、輝線の本数を増やす方法には限界がある。そのため、化学強化のきわめて浅い強化ガラスの表面付近の応力分布は今までは正確に測定できず、品質管理ができないため、そのような製品も実現されていなかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、強化ガラスの表面付近の応力分布の測定精度を向上可能な、強化ガラスの応力測定装置を提供することを目的とする。
本強化ガラスの応力測定装置は、複数の異なる波長の光を出射する機能を備えた光源と、強化ガラスの圧縮応力層を有する表面層内に、前記光源からの光を入射させる光供給部材と、前記表面層内を伝播した前記光を、前記強化ガラスの外へ出射させる光取出し部材と、前記光取出し部材を介して出射した前記光に含まれる、前記強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は前記強化ガラスと前記光供給部材との屈折率差により臨界角で生じる二種の境界線、に変換する光変換部材と、前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を撮像する撮像素子と、前記撮像素子で得られた前記複数の異なる波長の光による、夫々の画像から、前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置を測定する位置測定手段と、を備え、前記撮像素子は、前記強化ガラス、前記光取出し部材、前記光変換部材、及び前記撮像素子の互いの位置関係を保った状態で、前記複数の異なる波長の光による前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を、同時或いは別々に撮像し、前記位置測定手段で測定した複数の異なる波長の光における前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置に基づいて、前記強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力を算出する。
開示の技術によれば、強化ガラスの表面付近の応力分布の測定精度を向上可能な、強化ガラスの応力測定装置を提供できる。
第1実施形態に係る応力測定装置を例示する図である。 色消しレンズを使用したときの効果を示す図である。 モードについて説明する図である。 強化ガラスの表面層の屈折率分布を例示する図である。 複数のモードが存在する場合の各モードの光線軌跡を説明した図である。 複数のモードに対応する輝線列を例示する図である。 強化ガラスとプリズムとの間での光源からの光の軌跡の一例を示す図である。 2つの波長の輝線列の例(その1)である。 輝線並びを撮像素子で撮像した例である。 撮像素子の移動について説明する図である。 2つの波長の輝線列の例(その2)である。 輝線列の重ね合わせについて説明する図(その1)である。 輝線列の重ね合わせについて説明する図(その2)である。 ガラス内部の光線軌跡を例示する図である。 2種類の輝線列の画像と輝度曲線を示す図である。 標準的な強化ガラスの365nmと589nmの輝線列である。 輝線が1本の場合の輝線と境界線の位置を示す図である。 応力測定装置1の測定方法を例示するフローチャートである。 応力測定装置1の演算部70の機能ブロックを例示する図である。 例1と例2で得られた輝線列の写真である。 例3と例6で得られた輝線列の写真である。 第2実施形態に係る応力測定装置を例示する図である。 第2実施形態に係る応力測定装置の光源を例示する図である。 第2実施形態に係る応力測定装置の光学系の配置を例示する図である。 第3実施形態に係る応力測定装置を例示する図である。 分割型の偏光フィルタ111を例示する図である。 分割型のバンドパスフィルタ112を例示する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る応力測定装置を例示する図である。図1に示すように、応力測定装置1は、光源10A及び10Bと、光導入部材15と、光供給部材20と、光取出し部材30と、光変換部材40と、偏光部材50と、撮像素子60と、演算部70とを有する。
200は、被測定体となる強化ガラスである。強化ガラス200は、例えば、化学強化法や風冷強化法等により強化処理が施されたガラスであり、表面210側に屈折率分布を持つ圧縮応力層を有する表面層を備えている。
光源10A及び10Bは、複数の異なる波長の光を出射する機能を備えた光源である。具体的には、光源10A及び10Bは、互いに波長の異なる光源であり、光導入部材15により、光源10A及び10Bの何れの光源からの光も、光供給部材20を介して強化ガラス200の表面層に光線Lとして入射するように配置されている。干渉を利用するため、光源10A及び10Bの波長は、夫々、単純な明暗表示になる単波長であることが好ましい。
光導入部材15としては、例えば、ハーフミラーやダイクロイックミラーを用いることができる。光導入部材15としてダイクロイックミラーを用いた場合は、透過効率或いは反射効率を高くできる。
光源10A及び10Bは、電気的方法により、何れか一方のみが点灯するように制御されている。又、機械的なシャッター等を用いて、光源10A及び10Bの何れか一方の光のみを透過させても良い。光源10A及び10Bからの光を同じ光軸で、光供給部材20に照射し、かつ切り替えられることが可能であれば、光源10Aと光源10Bの位置を機械的に移動させる等のように、他の方法を用いても良い。
光源10A及び10Bの一方の波長は、他方の波長の1.5~2.5倍であることが好ましい。光源10A及び10Bの一方の波長を他方の波長の1.5~2.5倍に設定するのは、後述するが、2つの波長の輝線列の内、片方の波長の輝線列をもう片方の波長の輝線列に当てはめるときに、輝線列の密度が低い、次数の低いモードの輝線において、例えば、長波長のモード1の輝線を短波長の輝線列に当てはめる場合、短波長の輝線列のモード1とモード2の中間付近に位置させることができ、精度の高い屈折率分布、あるいは応力分布を得るためである。
光源10Aとしては、例えば、容易に単波長の光が得られるNaランプを用いることができ、この場合の波長は589nmである。この場合、光源10Bの波長は、例えば、400nm以下であることが好ましい。例えば、光源10Bとしては、Naランプより短波長である水銀ランプを用いることができる。この場合の波長は、例えば水銀I線である365nmである。但し、水銀ランプは多くの輝線があるので、365nmラインだけを透過させるバンドパスフィルタを通して使用することが好ましい。
又、光源10A及び10BとしてLED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。近年、多くの波長のLEDが開発されているが、LEDのスペクトル幅は半値幅で10nm以上あり、単波長性が悪く、温度により波長が変化する。そのため、LEDのスペクトル幅より狭いバンドパスフィルタを通して使用することが好ましい。
光源10A及び10BをLEDにバンドパスフィルタを通した構成にした場合、Naランプや水銀ランプほど単波長性はないが、紫外域から赤外域まで任意の波長を使うことができる点で好適である。なお、光源10A及び10Bの波長は、応力測定装置1の測定の基本原理には影響しないため、上に例示した波長以外の光源を用いても構わない。すなわち、光源10A及び10Bの波長は、589nm及び365nmには限定されない。
光供給部材20及び光取出し部材30は、被測定体である強化ガラス200の表面210に光学的に接触した状態で載置されている。光供給部材20は、光源10A及び10Bからの光を強化ガラス200の圧縮応力層を有する表面層内に入射させる機能を備えている。光取出し部材30は、強化ガラス200の表面層内を伝播した光を強化ガラス200の外に出射させる機能を備えている。
光供給部材20及び光取出し部材30としては、例えば、光学ガラス製のプリズムを用いることができる。この場合、強化ガラス200の表面210において、光線がこれらプリズムを介して光学的に入射及び出射するために、これらプリズムの屈折率は強化ガラス200の屈折率よりも大きくする必要がある。
又、強化ガラス200から光取出し部材30に出射するときの出射角は、強化ガラス200とプリズムの屈折率差による臨界角とほぼ等しい。効率よく強化ガラス200に光を入出射するために、臨界角を60±15°にする必要があり、60±5°がより好ましい。又、各プリズムの傾斜面において、入射光及び出射光が略垂直に通過するような角度を選ぶことが望ましい。
例えば、光源10Aの波長が589nm、プリズムの傾斜角が60°、強化ガラス200の屈折率が1.51の場合は、プリズムの屈折率は1.74とすることができる。
又、光取出し部材30であるプリズムの2つの波長間の屈折率比率は、強化ガラス200の2つの波長間の屈折率比率と同じであることが好ましい。すなわち、光源10Aの波長が589nmで光源10Bの波長が365nmの場合、プリズムの589nmと365nmでの屈折率比率が、強化ガラス200の屈折率比率と同じであることが好ましい。光源10Aを用いた場合と光源10Bを用いた場合で、後述の境界線の位置をほぼ同じ位置にできるからである。
光供給部材20及び光取出し部材30として、プリズムに代えて、同様の機能を備えた他の部材を用いてもよい。又、光供給部材20及び光取出し部材30を一体構造としてもよい。又、安定に光学的な接触をさせるために、光供給部材20及び光取出し部材30と強化ガラス200の間に、光供給部材20及び光取出し部材30の屈折率と強化ガラス200の屈折率の間の値となる屈折率の液体(ゲル状でもよい)を充填してもよい。
光取出し部材30から出射された光の方向には撮像素子60が配置されており、光取出し部材30と撮像素子60との間に、光変換部材40と偏光部材50が挿入されている。
光変換部材40は、光取出し部材30を介して出射した光に含まれる、強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は強化ガラス200と光供給部材20との屈折率差により臨界角で生じる二種の境界線、に変換する機能を備えている。光変換部材40としては、例えば、凸レンズを用いることができるが、同様の機能を備えた他の部材を用いてもよい。
又、光変換部材40として凸レンズを用いる場合、光源10A及び10Bの各々の波長において、焦点距離が同じである組み合わせレンズ(色消しレンズ)を使用することが望ましい。
焦点距離は通常100mm~300mmが使われる。焦点距離は撮像素子60の一度に撮像できる輝線列の幅に係り、焦点距離が小さいと広い幅で輝線列が一度に撮像できるが、細かな輝線列を分解して撮像しにくくなる。焦点距離が大きいとその逆であり、この焦点距離の範囲は、通常の強化ガラスを測定するに必要な最適値である。
図2は、色消しレンズを使用したときの効果を示す図である。図2(a)は、色収差のあるレンズを用い、589nmで最適にピントを合わせ、365nmでレンズ位置を動かなさいときの輝線列の写真である。図2(b)は、2つの波長で焦点距離が同じになるようにした組み合わせレンズ(色消しレンズ)で、同じく589nmで最適にピントを合わせたときの365nmの波長での画像である。
図2(a)では、焦点距離が4%小さい365nmの輝線列の画像ではピントが合っていなく、正確な輝線位置を測定することが難しい。これに対して、図2(b)では、組み合わせレンズ(色消しレンズ)を用いたことで焦点距離の差は0.25%となり、589nm及び365nmの何れの波長でもピントが合っており、正確な輝線位置を測定できる。このように、2波長の焦点距離の差は±3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下と小さくすることが好ましい。
図1の説明に戻り、偏光部材50は、強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分のうち一方を選択的に透過する機能を備えている光分離手段である。偏光部材50としては、例えば、回転可能な状態で配置された偏光板等を用いることができるが、同様の機能を備えた他の部材を用いてもよい。ここで、強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行に振動する光成分はS偏光であり、垂直に振動する光成分はP偏光である。
なお、強化ガラス200と光取出し部材30との境界面は、光取出し部材30を介して強化ガラス200の外に出射した光の出射面と垂直である。そこで、光取出し部材30を介して強化ガラス200の外に出射した光の出射面に対して垂直に振動する光成分はS偏光であり、平行に振動する光成分はP偏光であると言い換えてもよい。
撮像素子60は、光変換部材40により変換された二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線を撮像する機能を備えている。なお、撮像素子60は、強化ガラス200、光取出し部材30、光変換部材40、及び撮像素子60の互いの位置関係を保った状態で、複数の異なる波長の光による二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線を、同時或いは別々に撮像する。
撮像素子60は、光取出し部材30から出射され、光変換部材40及び偏光部材50を経由して受光した光を電気信号に変換する。より詳しくは、撮像素子60は、例えば、受光した光を電気信号に変換し、画像を構成する複数の画素毎の輝度値を画像データとして、演算部70に出力できる。撮像素子60としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の素子を用いることができるが、同様の機能を備えた他の素子を用いてもよい。
演算部70は、撮像素子60から画像データを取り込み、画像処理や数値計算をする機能を備えている。演算部70は、これ以外の機能(例えば、光源の光量や露光時間を制御する機能等)を有する構成としてもよい。演算部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリ等を含むように構成できる。
この場合、演算部70の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。演算部70のCPUは、必要に応じてRAMからデータを読み出したり、格納したりできる。但し、演算部70の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、演算部70は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。演算部70としては、例えば、パーソナルコンピュータを用いることができる。
応力測定装置1では、光源10A或いは光源10Bから、光供給部材20を通して強化ガラス200の表面層に入射した光線Lは表面層内を伝播する。そして、光線Lが表面層内を伝播すると、光導波効果によりモードが発生し、幾つかの決まった経路を進んで光取出し部材30により、強化ガラス200の外へ取出される。
そして、光変換部材40及び偏光部材50により、撮像素子60上に、モード毎にP偏光及びS偏光の輝線となって結像される。撮像素子60上に発生したモードの数のP偏光及びS偏光の輝線の画像データは、演算部70へと送られる。演算部70では、撮像素子60から送られた画像データから、撮像素子60上のP偏光及びS偏光の輝線の位置を算出する。
そして、2つの波長の光源10A及び10Bは切り替えられ、夫々の波長での画像データから、夫々の光源の波長での、撮像素子60上のP偏光、S偏光の輝線の位置を算出する。又、2つの波長の光源10A及び10B、夫々のP偏光、S偏光での画像間で、強化ガラス200、光取出し部材30、光変換部材40、及び撮像素子60の互いの位置関係は維持されている。
このような構成により、応力測定装置1では、光源10A及び10Bの波長の夫々のP偏光及びS偏光の輝線の位置に基づいて、強化ガラス200の表面層における表面から深さ方向の、P偏光及びS偏光の夫々の屈折率分布を算出できる。又、算出したP偏光及びS偏光の夫々の屈折率分布の差と、強化ガラス200の光弾性定数とに基づいて、強化ガラス200の表面層における表面から深さ方向の応力分布を算出できる。
画像データからの輝線位置、屈折率分布算出、応力分布算出等の計算処理は、2つの波長での画像データを一旦記録し、記録された2つの波長での画像データから、その後の計算処理をしても良い。
以下、応力測定装置1における屈折率分布の測定及び応力分布の測定に関し、より詳しく説明する。
(モードと輝線)
図3及び図4等を参照し、強化ガラス200の表面層に光線を入射したときの、光線の軌跡とモードについて説明する。
図3において、強化ガラス200は、表面210から深さ方向に屈折率分布を有している。図3において表面210からの深さをxとし、深さ方向の屈折率分布をn(x)とすると、深さ方向の屈折率分布n(x)は、例えば、図4に示す曲線のようになる。つまり、強化ガラス200では、化学強化等により表面210の屈折率は高く、深くなるにつれ低くなり、圧縮応力層が終了する深さ(圧縮応力層の最深部)で元のガラスの屈折率と同じになり、それより深い部分では一定(元のガラスの屈折率)となる。
このように、強化ガラス200の表面層では、内部方向に進むにつれ屈折率が低くなる。そのため、図3において、表面210に対して浅い角度で入射した光線Lは(図3の例では、強化ガラス200より大きな屈折率を持つ光供給部材20を介して入射している)、光線軌跡が徐々に表面210と平行に近づき、最深点xtで深さ方向から表面210の方向に反転する。そして光線軌跡が反転した光線は、入射した点から反転する点までの光線軌跡の形状と相似な形状で表面210へと向かい、表面210で少なくとも一部は反射し、再び強化ガラス200の内部へ進む。
再び強化ガラス200の内部に進んだ光線は、それまでの光線軌跡と同じ形状の軌跡を通り深さxtで反転して表面210に戻り、これを繰り返し、光線は表面210と最深点xtとの間を往復しつつ進んでいく。そして、表面210から幅xtである限定された空間を光が進行していくため、光は有限値の離散的なモードとしてだけ伝播し得る。
すなわち、複数のある決まった経路の光線だけが、強化ガラス200の表面層を伝わることができる。この現象は光導波効果と呼ばれており、光ファイバー内に光線が進む原理でもある。表面210を光導波効果により伝わる光のモード、及びそのモードの光線軌跡は、表面210から深さ方向の屈折率分布で決まる。
図5は、複数のモードが存在する場合の各モードの光線軌跡を説明した図である。図5の例では、モード1、モード2、及びモード3の3つのモードを示しているが、更に高次のモードを有してもよい。次数の一番低いモード1は、光線軌跡が表面210で反射するときの表面210との角度が一番浅い(出射余角が一番小さい)。又、モード毎に光線軌跡の最深点が異なり、モード1の最深点xt1は一番浅い。モードの次数が大きくなるにつれ、表面210での反射するときの表面210となす角度は大きくなる(出射余角が大きくなる)。又、モード2の最深点xt2はモード1の最深点xt1よりも深く、モード3の最深点xt3はモード2の最深点xt2よりも更に深くなる。
ここで、光線の所定面に対する入射角は、入射する光線と所定面の法線とのなす角である。これに対し、光線の所定面に対する入射余角は、入射する光線と所定面とのなす角である。すなわち、光線の所定面に対する入射角がθであれば、光線の所定面に対する入射余角はπ/2-θである。又、光線の所定面に対する出射角と出射余角との関係についても同様である。
なお、図5では入射光を1本の光線で表しているが、入射光はある広がりを持っている。その広がりを持った光も、夫々同じモードでは表面210から出射する光の余角は同じである。そして、生じたモード以外の光は打ち消し合うため、表面210からは各モードに対応した光以外は出射しない。
又、図1において、光供給部材20、光取出し部材30、及び強化ガラス200は奥行き方向には同じ形状である。そのため、光変換部材40で集光された光は、光変換部材40の焦点面である撮像素子60に、そのモードに対応した光が奥行き方向に輝線となって結像される。
そして、モード毎に出射余角が異なるため、図6に示すように、輝線がモード毎に順に並び、輝線列となる。なお、輝線列は通常は明線の列となるが、図1における光供給部材20と光取出し部材30が接し一体になっている場合、出射光に対して光源からの直接光が参照光として作用し、暗線の列となる場合もある。しかし、明線の列となる場合も暗線の列となる場合も、各線の位置は全く同じである。
このように、輝線は、モードが成り立つときに明線又は暗線で発現する。参照光の明暗により輝線の干渉色が変わる場合があっても、本実施形態に係る屈折率分布や応力分布の計算には全く影響がない。そこで、本願では、明線であっても暗線であっても便宜上輝線と表現する。
ところで、表面層内を伝わった光線が屈折して強化ガラス200の外に出射される際の出射余角は、その光線の表面層内での光線軌跡の最深点での強化ガラス200の屈折率、すなわち実効屈折率nnに等しい屈折率を持つ媒質が光取出し部材30に接していたときの臨界屈折光のそれに等しい。各モードでの最深点は、そのモードでの光線が全反射する点とも解釈できる。
ここで、あるモード間の実効屈折率nnの差Δnと輝線間の距離ΔSとの関係は、光変換部材40の焦点距離f、光取出し部材30の屈折率np、強化ガラス200の屈折率ngとすると、下記の式1(数1)及び式2(数2)の関係がある。
Figure 2022039955000002
Figure 2022039955000003
従って、撮像素子60上である一点の実効屈折率の位置が分かれば、観測される輝線の位置から、その輝線に対応する各モードの実効屈折率、すなわち、強化ガラス200の表面層内での光線軌跡の最深点での屈折率を求めることができる。
(撮像素子上の輝線の位置)
撮像素子60上の輝線の位置は、プリズムの屈折率、レンズの焦点距離、輝線の実効屈折率で決まる。図7は、強化ガラスとプリズムとの間での光源からの光Lの軌跡の一例を示す図である。図7で、ある輝線の実効屈折率をnrとしたとき、プリズムの傾斜面の角度をα、撮像素子60の中心と光が強化ガラス200を出射する点を結んだ線(光軸)とプリズム表面の垂線との角をβとすると、下記の式3(数3)の関係が成り立つ。
Figure 2022039955000004
前述のように、αは通常ほぼ60°である。すなわち、撮像素子とレンズを結ぶ光軸の方向をこの角度で設置すると、撮像素子の中心に位置する輝線の実効屈折率nnがnrとなる。又、撮像素子中心からずれている輝線の実効屈折率nnはこのnrとその結像位置の差ΔSを求めることで式1および式2よりΔn(=nn-nr)から求めることができる。
(異なる波長の輝線の位置)
本実施形態では、2つの異なる波長を使用するが、輝線の撮像素子上の位置は夫々の波長で異なる。ある波長での輝線の位置は、強化ガラスの屈折率、強化ガラスのイオン濃度による屈折率変化率、波長の違いによる光路差の違い、光弾性定数の違い、プリズムの屈折率等により決まる。これらの値は、波長が異なると夫々異なるため、光源からの光が同じ入射角度で入射しても、光線軌跡は異なり、光路差も異なるために、モードが成り立つ条件も異なり、輝線の発生する位置が異なる。
図8は、2つの波長の輝線列の例(その1)である。図8の上側は光源波長が589nmの場合の例、図8の下側は光源波長が365nmの場合の例であり、夫々、P偏光である。図8の各々の左端の破線SF1及びSF2は、表面の仮想のモード0であり、モード1、モード2より表面に外挿した位置である。図8の各々の右端の破線BP1及びBP2は、輝度が急激に変化する境界位置であり、強化ガラス200と光供給部材20の屈折率差により臨界角で生じる境界線である。又、その境界線の位置に相当する実効屈折率は強化ガラスの強化が及ばない深い部分の屈折率に相当し、それは強化される前のガラスの屈折率、即ちngに等しい。なお、Li含有AlSi系ガラスをNaNOとKNOにより化学強化した場合、ngはKの拡散深さにおけるガラス屈折率ng'と等しい。ng'は、別の実験などにより求めても良い。
一方、光源10Aでの実効屈折率がngである境界線位置が、撮像素子の撮像範囲にある場合を考えると、式2はnpとngの比で決まり、また、式3も、前述でプリズムの傾斜面において、入出射光が略垂直に通過するような角度を選ぶことが望ましいとしており、そのような条件においては、式3のβの値もnpとnrの比、即ちnpとngの比が支配的である。そのため、光源10Aから光源10Bに切り替えて光源の波長を変えた場合、式3から、プリズムの2つの波長間の屈折率比率が、強化ガラスの2つの波長間の屈折率比率と同じであれば、光源10Bでの波長においても、境界線の位置はほぼ同じになる。
しかし、前述したように、プリズムの屈折率は、強化ガラスの屈折率より大きくする必要があり、プリズムとして強化ガラスと全く同じ屈折率比率のガラスを選択することは工業的に難しい。2つの波長間の屈折率比率が異なる場合、図8に示すように、光源10Aと光源10Bで、破線BP1及びBP2で示す境界位置がずれる。このずれの程度が大きいと、同じ画角に入らないことがある。
よって、強化ガラス、プリズム、レンズ、及び撮像素子の互いの位置関係を一定にしたまま、2つの光源の波長での輝線列を全て撮像素子60の画面に入れるには、強化ガラスとプリズムの屈折率比率を、ある値以下にする必要がある。2つの波長における強化ガラスとプリズムの屈折率をnλ1、nλ2として、2つの波長間での屈折率比率を式4(数4)のようにvとする。
Figure 2022039955000005
そして、強化ガラス、プリズム(光取出し部材)の屈折率比率をvg、vpとすると、式5(数5)はその許容差を計算する式であり、撮像素子の幅をW、輝線列の幅をSとすると、vgとvpの差|vp-vg|が式5を満足することが好ましい。
Figure 2022039955000006
式5の左辺及び中央の式は、撮像素子上における輝線列の位置ずれの許容値を式2より屈折率に変換した式である。式5は、中央の式および右辺に記載されたnrおよびnp、ngに、少なくとも一方の波長の値を代入した場合に成り立てばよく、二つの波長での値それぞれでも成り立つことがより好ましい。右辺は式3より、nr/npが微小量変化したときの、βの変化の近似式である。プリズムに、この式5を満足するような硝材を選択すれば、光源の異なる波長においても、輝線列が、全て撮像素子で撮像できる。式5のvpはその硝材のアッベ数から算出することができ、市販されている光学ガラスでは通常アッベ数は公開されている。なお、輝線列の幅Sとして、境界位置からモード1までの幅を用いればよい。
図9は、輝線列を撮像素子で撮像した例であり、図9(a)は式5を満足しない場合の例、図9(b)は式5を満足している場合の例である。図9(a)に示すように、式5を満足していない場合、片方の波長(図9(a)では589nm)の輝線列が一部だけしか撮像されていてなく、解析をすることができない。
このような場合、通常は図10に示すように、撮像素子の位置を式3で計算される角度βへ近づけるように移動する。例えば、図10の実線矢印から、破線矢印の角度になるように、レンズ、撮像素子を機械的に移動することで、全ての輝線列が撮像できるようになる。
しかし輝線位置の測定は1μm以下の精度が必要であり、撮像素子をその精度で動かすことは、非常に難しい。そのため、適切な撮像素子の幅や、レンズ焦点距離、プリズムの屈折率、屈折率比率を選び、一度に輝線列を全て画像に入れることが好ましい。又、2つの波長の光源10A及び10Bで、強化ガラス、プリズム、レンズ、及び撮像素子の互いの位置関係を維持した状態で撮像する場合、レンズは、2つの波長での焦点距離が同じになるようにした、組み合わせレンズ(色消しレンズ)を使うことが好ましい。色消しレンズを使用した場合の効果については、図2を参照して説明した通りである。
(輝線位置の異なる波長の画像への変換方法)
図11は、2つの波長の輝線列の例(その2)である。図11は、2つの波長の光源10A及び10Bで、プリズムと強化ガラスとの屈折率比率がほぼ同じで、強化ガラス、光取出し部材であるプリズム、光変換部材であるレンズ、及び撮像素子の互いの位置関係を維持した状態での夫々の波長での輝線列を示している。図11において、光源10Aの波長は365nm、光源10Bの波長は589nmである。
図11より、波長の短い365nmの輝線列の方が輝線の本数が多く密になっている。これは、波長が短くなり、干渉条件の周期が短くなっているためである。なお、破線SF1及びSF2、破線BP1及びBP2の意味については、図8の場合と同様である。
図11において、破線BP1及びBP2で示す境界位置は、プリズムと強化が及ばないガラス中央部の屈折率で決まる臨界角に相当する屈折率の位置であるが、強化されているガラスにおいては、強化による深さ方向の屈折率分布で、強化が及ばない強化ガラス中央部の屈折率となる点は、強化の最大深さとも理解できる。
異なる波長では、同じモードの輝線でも、その輝線の実効屈折率及び、その深さは異なるが、表面と、強化の及ぶ一番深い位置すなわち、境界位置の深さは強化ガラスで決まっているので波長により変わらない。
すなわち、モード0の仮想の輝線の実効屈折率の深さ、これは表面からの深さが0μmであるが、その表面と境界位置からの実効屈折率の深さは、365nm、589nmとも同じである。これより、589nmの輝線の位置を365nmの輝線列の中に置き換えるには、次のようにすればよい。
すなわち、図12で示すように、589nmでのモード0の輝線位置(破線SF1)、境界の輝線位置(破線BP1)を365nmのモード0の輝線位置(破線SF2)、境界の輝線位置(破線BP2)に合わせ、589nmのモード0以外のモードの輝線位置は、同比率で、365nmの輝線列の画像の位置に重ね合わせる。589nmでの輝線を365nmの輝線列の画像に当てはめたときの輝線列を図13に示す。
一方、2つの波長での各モードの条件である干渉する光路差の式は、365nmでの光路差をL365、モード数をN、589nmでの光路差をL589、モード数をN'とすると、この後の説明にある式8より、それぞれ式6(数6)のようになる。
Figure 2022039955000007
例えば、589nmのモードN'の光線経路を、同じ光線経路を通る365nmでのモードに当てはめたとき、365nmでのモード数を実数とした拡張モード数Mで表現すると、L365=L589から、拡張モード数Mは、式7(数7)のようになる。
Figure 2022039955000008
すなわち、元の589nmのモード1の輝線は、365nmの画像上では、拡張モード数Mで表現すると、M=1.32となる。
そうすると、図13の輝線列の拡張したモード数Mは、左から順に1、1.32、2、2.95、3、・・・となる。365nm、589nmでのモード数、589nmの輝線列を365nmの輝線列に重ね合わせた時の拡張モード数Mとの対応を表1に示す。
Figure 2022039955000009
(屈折率分布の算出)
本実施形態では、下記の式8(数8)を用いて屈折率分布を算出する。本実施形態では2つの波長の輝線から屈折率分布を算出するが、ここでは、説明を容易にするため、ある1つの波長での輝線からの算出方法について、説明する。式8は、非特許文献1に記載された技術情報等に基づいて、発明者らが導出したものである。非特許文献1では、屈折率分布は直線的に変化すると仮定し、光の進む経路を円弧に近似している。一方、本実施形態では、任意の屈折率分布でのモードの成り立つ条件を得るために、屈折率分布を任意の分布n(x)としている。
式3において、θは微小な距離drを直線で進む光線の出射余角、n0は強化ガラス表面の屈折率、Θは強化ガラスに入射した光線の出射余角、λは強化ガラスに入射する光線の波長、Nはモードの次数(例えば、モード1ならN=1)である。又、G1は光線が強化ガラスに入射する点、F2は光線が反転する最深点(xt)、G2はF2で反転した光線が再び強化ガラスに到達する点であり、モード毎に異なる。なお、左辺の第1項は表面層内を伝播する光に関する項、左辺の第2項は表面210を伝播する光に関する項である。
Figure 2022039955000010
式8を用いて、次数が隣接するモードの最深点の間では、強化ガラス200の屈折率変化率が一定であると仮定し、次数の最も低いモードから順に、夫々のモードの最深点の深さを計算し、全体の屈折率分布を求めることができる。
例えば、図5において、各モードの最深部xt1、xt2、xt3・・・の深さでの表面層の屈折率すなわち実効屈折率をn1、n2、n3・・・とする。又、表面210-xt1の間、xt1-xt2の間、xt2-xt3の間、・・・の屈折率変化率は直線であるとし、その屈折率変化率をα1、α2、α3・・・とする。
あるモードnでの光線軌跡は、そのモードの最深点xtnより浅い部分を通るため、表面からxtnまでの屈折率分布が決まっていれば、そのモードnでの光線軌跡は一意に決まる。全てのモードのxtが分かっているのであれば、屈折率分布は一意に決まるが、式8より、解析的にはもちろんのこと、数値計算においても、直接一度に屈折率分布を求めることは困難である。
そこで、まず、表面210に一番近い部分を通るモード1とモード2を使い、α1、α2、及びxt1、xt2を求める。そうすると、モード3では、xt1、xt2が既知で、不明なパラメータはxt3だけとなるため、容易にxt3を求めることができる。同様に、モード4、5・・・と順にxt4、xt5・・・を求めれば、全てのモードに対応した最深点のxtnを求めることができる。そして、表面210から深さ方向の屈折率分布を求めることができる。
図14は、ガラス内部の光線軌跡を例示する図である。図14を参照して、屈折率分布を計算する具体的な方法について説明する。まず、光線追跡法を使い、式8の左辺を求める。図14において、x方向(縦方向)は強化ガラス200の深さ方向、y方向(横方向)は強化ガラス200の表面210に水平な方向である。又、深さxでの屈折率はn(x)である。なお、Hは表面210の法線である。
ここで、光供給部材20の屈折率を1.72とし、光供給部材20から入射余角Ψで表面210に入射する光線Lを考える。又、入射点の座標を(x0、y0)とする。なお、x0=0である。このとき、強化ガラス200の内部に入射した光線Lは、出射余角θ1で屈折し進む。このとき、Ψとθ1にはスネルの式が成り立つ。
次に、強化ガラス200の内部では光線Lの軌跡は曲線であるが、ある微小な距離drは直線で進むと仮定する(距離drは波長の1/10から1/100程度が望ましい)。つまり、光線は出射余角θ1の方向にdrだけ直線で進むとする。このとき、x方向の移動量dx1=dr・sinθ1、y方向の移動量dy1=dr・cosθ1となる。又、移動した点の座標(x1、y1)=(dr・sinθ1、y0+dr・cosθ1)となる。
この部分的な光線軌跡の始点の座標(x0=0、y0)での屈折率はn(0)、終点の座標(x1、y1)での屈折率はn(x1)であるが、この光線軌跡内では始点の屈折率で一定とし、終点で屈折率がn(x1)に変わるとする。そうすると、次の光線軌跡はスネルの法則にしたがい、出射余角θ2へ角度を変え進む。出射余角θ2で進む光はdrだけ直線で進み、更に出射余角θ3(図示せず)に方向を変えて進んでいく。これを、繰り返し光線軌跡を追って全体の光線軌跡を求める。
このとき、dr進む毎に、式8の左辺の第1項を計算する。例えば、座標(x0=0、y0)~座標(x1、y1)の部分では、第1項はdr・cosθ1・n(0)であり容易に計算できる。他のdrについても同様にして計算できる。そして、dr毎に求めた第1項を光線軌跡が表面210に戻るまで加算していくと、式8の左辺第1項が全て求まる。又、このとき、この光線軌跡のy方向に進む距離Σdyが分かる。式8においてdG1G2=Σdy、Θ=θ1であるから式8の左辺第2項が求まり、式8左辺が全て求まる。
次に、屈折率分布を計算する方法を説明する。まず、非特許文献1にも示されているように、モード1とモード2の輝線の位置から、表面210の屈折率とモード2の最深点が求まる。これにより、3つの点、表面210(x=0)、モード1の最深点(xt1)、モード2の最深点(xt2)の値と、その点の屈折率n0、n1、n2が分かる。但し、表面がモード1とモード2の外挿なので、この3点は直線である。
次に、モード3での最深点xt3を適当な値に仮定すると、xt3までの屈折率分布が定義でき、上記計算方法にて、この分布での式8の左辺が計算できる。すなわちxt3を唯一のパラメータとして式8の左辺が計算でき、又、右辺はモードの次数で決まり、モード3では2.75λとなる。
その後、xt3をパラメータとし二分法やニュートン法等の非線形方程式の計算手法を用いることで、xt3を容易に求めることができる。そして、xt3まで求めたら、次のモード4の輝線位置から、xt4が求まり、全ての輝線について同様の計算を繰り返すことで、全体の屈折率分布を算出できる。
(応力分布の算出)
強化ガラスは面内に強い圧縮応力があるため、P偏光の光の屈折率とS偏光の光の屈折率は、光弾性効果により応力の分だけずれる。すなわち、強化ガラス200の表面210に面内応力が存在すると、P偏光とS偏光で、屈折率分布が異なって、モードの発生のしかたも異なり、輝線の位置も異なる。
従って、P偏光とS偏光での輝線の位置が分かれば、P偏光とS偏光の夫々の屈折率分布を逆に計算できる。そこで、P偏光とS偏光の屈折率分布の差と強化ガラス200の光弾性定数とに基づいて、強化ガラス200の表面210から深さ方向の応力分布σ(x)を算出できる。
具体的には、下記の式9(数9)を用いて、応力分布を算出できる。式9で、kcは光弾性定数であり、ΔnPS(x)はP偏光とS偏光の屈折率分布の差である。P偏光の屈折率分布n(x)とS偏光の屈折率分布n(x)は夫々離散的に得られるので、夫々の点の間を直線近似したり、複数の点を使って近似曲線を算出したりすることで、任意の位置において応力分布を得ることができる。
Figure 2022039955000011
なお、測定された応力分布において、カリウムに置換された最深の応力層深さがDOL値である。カリウム交換だけが行われた場合、計算された一番深い点での応力値がCT値である。
しかし、CT値、DOL値については、P偏光とS偏光の微小な屈折率差から求めるため、特に屈折率の変化が小さい部分(屈折率分布の傾斜が緩やかになるゼロクロス付近)では、P偏光とS偏光の屈折率差が小さくなり測定誤差が大きくなる。そこで、算出された圧縮応力層の応力分布を強化ガラス200の深さ方向に積分した値が、強化ガラス200の内部の引張応力と釣り合うように、式10(数10)を用いてCT値を算出してもよい。
ここで、CS(x)とは、図14に示した強化ガラス200の深さ方向の位置xにおける圧縮応力値である。例えば、積分範囲を強化ガラス200の表面210から中央までとし、積分結果がゼロとなるようにCT値を決定できる。その際、応力0点となる深さをDOL値として算出してもよい。
Figure 2022039955000012
ここでは、1つの波長での輝線列から屈折率、応力の深さ方向の分布についての算出方法を説明したが、2つの波長による輝線列から屈折率分布を算出するには、表1の片方の波長の輝線列に他方の波長の輝線列を重ね合わせたときの、拡張モード数の順に計算していく。そのとき、式に用いるモード数として拡張モード数Mを使用することで、同様に、屈折率、応力の深さ方向の分布について算出できる。そして、2つの波長での輝線の合計は、1つの波長での輝線の数より大幅に増えるために、正確な分布が得られる。
(輝線位置の異なる波長の画像への変換方法)
屈折率分布、応力分布の計算に、輝線の位置、境界線の位置を測定するが、輝線は輝度曲線がピーク或いはバレーのため、精度よく位置を測定できる。一方、輝度に傾斜がある部分が境界線の位置であるが、画像から境界線の位置を測定する方法として、輝度曲線の傾斜部分の傾斜が最大の位置を境界とするのが一般的である。しかし、光源10A及び10Bの輝度の均一性などで、境界部分の輝度傾斜は異なり、必ずしも再現よく、境界位置を測定できない。
又、一番右の輝線がたまたま境界に近い場合には、特に正確な境界位置を測定することが難しい。図15は、2種類の輝線列の画像と輝度曲線を示す図である。図15(a)では一番右の輝線(矢印BL1で示す部分)と境界位置が離れているが、図15(b)では、たまたま、一番右の輝線(矢印BL2で示す部分)が境界位置に非常に近くなっている。
図15に示す2つの輝線列の輝度分布を比較すると、図15(a)では、境界の部分の輝度が急峻に変化しており、容易に境界位置を測定できるが、図15(b)では、輝線が境界に隣接しているため、輝線の輝度曲線と境界の輝度曲線が重なっており、正確に境界位置を測定することは難しい。
本実施形態では、2つの波長の輝線をどちらかの波長の輝線列に合成するのに、夫々の輝線の位置を境界からの相対位置を測定する。しかし、前述のように、2つの波長、P偏光、S偏光で、夫々、輝線位置がずれると、合成したときに、2つの波長の輝線の位置関係がずれ、合成した輝線列から屈折率分布、或いは、応力分布を算出する際に、大きな誤差の原因となる。
複数の異なる波長の光における二種の輝線列の位置、二種の輝線の位置、及び/又は二種の境界線の位置に基づいた強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力分布を算出する際に、予め、測定する強化ガラスと同じ組成の強化ガラスで測定したデータを参照してもよい。
例えば、変換して挿入される方の境界位置だけを使用し、予め、測定する強化ガラスと同じ組成のガラスで適度な強化を施した強化ガラスを使い測定した標準的な倍率と、強化ガラスとプリズムの2つの波長での屈折率から計算した境界位置差を使い、輝線位置の変換を行う。そして、変換する方の波長の輝線列は、挿入される波長の輝線列の境界位置から、プリズムと強化ガラスの夫々の2つの波長での屈折率を基に、変換する方の境界位置を計算で求め、その位置を変換する方の境界位置として、輝線位置の変換と挿入を行う。
この標準ガラスは、強化がある程度強く、かつ深い条件が望ましい。そして、モード1及び2が発生する浅い部分において、応力がほぼ直線になるように、飽和しない条件であることが望ましい。
(標準的な倍率と境界位置差の測定例)
図16は、標準的な倍率と、波長間での境界位置差を測定するための、標準的な強化ガラスの365nmと589nmの輝線列である。
図16は、上から順に、365nmのP偏光、365nmのS偏光、589nmのP偏光、589nmのS偏光の輝線列の画像で、全て、強化ガラス、プリズム、レンズ、及び撮像素子の互いの位置関係は維持されている。
又、破線SF(365nm)及びSF(589nm)は、夫々のモード1、モード2の輝線から求めた、表面の仮想のモード0の輝線の位置である。これは、非特許文献1による方法で求めることができる。
次に、P偏光、S偏光の夫々において、365nmと589nmの夫々のモード0から境界までの距離を測定し、夫々の比を求める。図16にはS偏光について仮想モード0から境界までの距離を図示してあり、d365、d589は夫々の波長のS偏光における、仮想モード0から境界までの距離である。そして、この比をとり、倍率riU、riLとする。P偏光、S偏光では、その倍率riU、riLは若干異なる。これは、強化によって生じたガラス内部応力の光弾性効果による差である。境界位置差dreは、P偏光、S偏光で、365nmと589nmとの境界線の位置の差を測定し、P偏光、S偏光での結果の平均を境界位置差として用いる。
又、これらの標準的な強化ガラスでの倍率、境界位置差は、複数の標準的な強化ガラスを測定して平均をとることで、より精度の高い値を測定できる。
(1つの境界位置から他の境界位置の算出方法)
本実施形態ではプリズム、強化ガラス、レンズ、及び撮像素子の互いの位置関係が一定であることを前提に、2つの波長、P偏光、S偏光の4種の境界位置の内、画像から1つの境界位置を基に、上記の方法で求めた標準的な倍率、距離差を使い、残りの境界位置を計算で求める。
ここでは、上記の365nmと589nmの波長での例を使い、測定対象の強化ガラスのP偏光の境界位置を測定する。その境界位置から上記で求めた境界位置差dre分ずらした位置が589nmのP偏光の境界位置となる。
又、S偏光の境界位置は、ほぼP偏光と同じなので、P偏光の境界位置を使用しても良い。又、CT値分、S偏光の境界位置を補正することでより精度を上げることができる。補正量は、上記標準的な強化ガラスからCS値、CT値を測定しておき、そのCS値とCT値との比率を基に、S偏光のモード1の輝線位置と仮の境界位置の距離から推測できる。4つの境界位置が定まったら、上述した方法にて、屈折率分布、応力分布を計算できる。
(輝線1本の場合の応力の測定方法)
図17は、夫々の光源での波長において、輝線が1本の場合の輝線と境界線の位置を示す図である。輝線は夫々の波長で1本であるが、上記と同様の方法で、異なる波長の輝線画像へ挿入する。そして、片方の波長の輝線画像に挿入した計2本の輝線位置から、表面での仮想の輝線位置を算出する。
波長が589nmと365nmの場合、589nmの輝線を365nmの輝線の画像に重ねた場合、この2本の輝線のモード数は、1と1.32である。従来の1つの波長でのモード1と2から仮想のモード0の輝線位置を外挿で求めたように、今回はモード1とモード1.32の輝線で、仮想のモード0を求めればよい。
表面の仮想の輝線位置Vは、表面に近い輝線位置をA、その次に近い輝線位置をBとすると、式11(数11)より外挿できる。kwは、2つの波長により決まる定数であり、365nmと589nmとの組み合わせでは、kw=2.56である。
Figure 2022039955000013
この外挿した表面のモード0の位置のP偏光とS偏光での差と光弾性定数から、表面の応力を算出する。更に、表面の仮想のモード0の屈折率、拡張モード数1.32の実効屈折率を使い、式12(数12)から、モード1.32の深さが求まる。これらにより、表面付近の屈折率の深さ方向の傾きが計算できる。全体の屈折率の傾きが直線であると仮定して、境界の屈折率までの距離を計算し、これがカリウム置換による圧縮層の深さDOLに相当する。なお、式12は、深さ方向の屈折率分布が直線の場合の、実効屈折率がnであるモードNの輝線の最深点の深さdを算出する式である。
Figure 2022039955000014
(測定のフロー)
次に、図18及び図19等を参照しながら測定のフローについて説明する。図18は、応力測定装置1の測定方法を例示するフローチャートである。図19は、応力測定装置1の演算部70の機能ブロックを例示する図である。
まず、ステップS501では、強化ガラス200の圧縮応力層を有する表面層内に、光源10Aからの第1の波長の光を、光供給部材20を介して入射させる(第1の光供給工程)。次に、ステップS502では、光源10Aによる強化ガラス200の表面層内を伝播した第1の波長の光を、光取出し部材30を介して強化ガラス200の外へ出射させる(第1の光取出工程)。
次に、ステップS503では、光取出し部材30を介して強化ガラス200の外へ出射した第1の波長の光に含まれる、強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、光変換部材40により二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線に変換する(第1の光変換工程)。なお、P偏光とS偏光で境界線の位置も異なるため、二種の境界線に変換する。
次に、ステップS504では、撮像素子60は、第1の光変換工程により変換された第1の波長による二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線を撮像する(第1の撮像工程)。
次に、ステップS505では、演算部70の位置測定手段71は、第1の撮像工程において撮像素子60で得られた光源10Aからの光による画像から、二種の輝線列の位置、二種の輝線の位置、及び/又は二種の境界線の位置を測定する(第1の位置測定工程)。
次に、ステップS506では、光源を切り替え、強化ガラス200の表面層内に光源10Bからの第2の波長の光を、光供給部材20を介して入射させる(第2の光供給工程)。次に、ステップS507では、光源10Bによる強化ガラス200の表面層内を伝播した第2の波長の光を強化ガラス200の外へ出射させる(第2の光取出工程)。
次に、ステップS508では、光取出し部材30を介して強化ガラス200の外へ出射した第2の波長の光に含まれる、強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、光変換部材40により二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線に変換する(第2の光変換工程)。なお、P偏光とS偏光で境界線の位置も異なるため、二種の境界線に変換する。
次に、ステップS509では、撮像素子60は、第2の光変換工程により変換された第2の波長による二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線を撮像する(第2の撮像工程)。
次に、ステップS510では、演算部70の位置測定手段71は、第2の撮像工程において撮像素子60で得られた光源10Bからの光による画像から、二種の輝線列の位置、二種の輝線の位置、及び/又は二種の境界線の位置を測定する(第2の位置測定工程)。
次に、ステップS511では、輝線列重な合わせ手段72は、2つの波長での夫々の二種の輝線列の夫々の輝線の位置で、一方の波長の輝線列を変換し、他方の輝線列に挿入し、重ね合わせる(輝線列重ね合わせ工程)。
次にステップS512では、屈折率分布算出手段73は、重ね合わせた二種の光成分の輝線列より、夫々に対応した強化ガラス200の表面から深さ方向にわたる屈折率分布を算出する(屈折率分布算出工程)。
次にステップS513では、応力分布算出手段74は、二種の光成分の屈折率分布の差とガラスの光弾性定数とに基づいて、応力分布算出手段にて強化ガラス200の表面から深さ方向にわたる応力分布を算出する(応力分布等算出工程)。
なお、演算部70は、図19の構成に加えて、CT値を算出するCT値算出手段や、DOL値を算出するDOL値算出手段等を備えていてもよい。この場合、応力分布算出手段74が算出した応力分布に基づいて、CT値やDOL値を算出できる。
以上のように、本実施形態に係る応力測定装置及び応力測定方法では、撮像素子60は、強化ガラス200、光取出し部材30、光変換部材40、及び撮像素子60の互いの位置関係を保った状態で、複数の異なる波長の光による二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は二種の境界線を、同時或いは別々に撮像する。そして、位置測定手段71は、撮像素子60で得られた複数の異なる波長の光による夫々の画像から、二種の輝線列の位置、二種の輝線の位置、及び/又は二種の境界線の位置を測定する。更に、応力分布算出手段74は、位置測定手段71で測定した複数の異なる波長の光における二種の輝線列の位置、二種の輝線の位置、及び/又は二種の境界線の位置に基づいて、強化ガラス200の表面から深さ方向にわたる応力分布を算出する。これにより、輝線の本数が非常に少なく、場合によっては輝線が1本しか発生しないような化学強化の深さが浅い強化ガラスであっても、実質的な輝線の本数を増やせるため、強化ガラスの表面付近の応力分布の測定精度を向上可能である。
Figure 2022039955000015
表2は、本実施形態の適切なプリズムの屈折率比率を説明する表であり、AGC社製の強化ガラスであるDTガラス(Dragontrail)の測定を例にしている。
強化ガラス(DTガラス)の365nmの屈折率は1.53、589nmの屈折率は1.509であり、屈折率比率(365nm/589nm)は1.0139である。又、この強化ガラスの最大の強化条件、すなわち、ガラス中のNaイオンを殆ど全てKイオンに置換した場合の屈折率の変化、すなわち輝線の屈折率範囲は、365nm、589nmとも0.01程度である。これより、撮像が必要な屈折率の範囲(輝線範囲下限~輝線範囲上限)は、365nmで1.53~1.54、589nmで1.509~1.519である。又、式5の左辺は0.0056である。
なお、使用した応力測定装置において、焦点距離は166mmであり、撮像素子の撮像部分の幅は3.45μm(1画素サイズ)×1800画素数=6.210mmである。これらは、従来の導波光を利用した強化ガラスの応力測定装置で一般的に使われている仕様である。
例1は、強化ガラスとプリズムの屈折率比率が式5を満たさず、適正でない場合の例である。例1では、プリズムとして、従来多く使われているオハラ製のS-LAL10を使用している。
例1のプリズムを使った場合、測定できる屈折率の範囲は、ぎりぎり365nmの輝線列を撮像できるようにした場合でも、式1、2、3より、365nmで1.53~1.5484、589nmで1.4988~1.5169であり、589nmでは必要な屈折率範囲を撮像できない。又、屈折率比率の差は0.0070で、式5を満たしていない。
一方、例2では、プリズムとしてオハラ製のS-LAL18を使用している。例2のプリズムの硝材では、589nmの測定ができる屈折率範囲は1.5014~1.5194となっており、必要な屈折率範囲を撮像できる。又、屈折率比率の差は、0.0052であり、式5を満足している。
図20は、例1と例2の条件で、ほぼ最大に強化をしたDTガラスの輝線列の写真である。図20(a)は例1の写真、図20(b)は例2の写真である。
図20(b)に示すように、例2では、365nm、589nmの輝線列が全て撮像されている。これに対して図20(a)に示すように、例1では、589nmの輝線列が半分程度しか撮像されていない。なお、輝線数が少ない時の方が本発明の効果が大きいが、輝線列のずれを分かり易くするために、図20では輝線数が多いサンプルの写真を載せてある。
前述のように、本実施形態に係る応力測定装置及び応力測定方法では、強化ガラス200、光取出し部材30、光変換部材40、及び撮像素子60の互いの位置関係を保った状態で、複数の異なる波長の光による撮像を行う。そして、複数の異なる波長の光による夫々の画像に基づいて、強化ガラス200の表面から深さ方向にわたる応力分布を算出することで、輝線の本数が非常に少ない場合であっても、強化ガラスの表面付近の応力分布の測定精度を向上可能である。
更に、例2のように式5を満足することが好ましく、これにより、更に優れた応力測定装置及び応力測定方法を実現できる。すなわち、どのような強化条件においても、2つの波長での全ての輝線列を、光学系を固定した状態で撮像することができ、2つの波長による輝線列から精度の高い応力測定が可能となる。
第1実施形態に記載の応力測定方法によれば、例えば、CS値が400MPa以上である強化ガラスや、導波光で観察されるDOL値が3μm以下である強化ガラスにおいても応力の算出が可能である。
Figure 2022039955000016
表3は、Na含有AlSi系ガラス(例3、4、6)とLi含有AlSi系ガラス(例5、7)を評価したときの評価結果である。又、図21は、例3と例6で得られた輝線列の写真であり、図21(a)は例3の写真、図21(b)は例6の写真である。
Na含有AlSi系ガラスはKNO 100% 380℃の溶融塩に15分浸漬して洗浄後と、KNO 100% 380℃の溶融塩に3分浸漬して洗浄後に評価した。Li含有AlSi系ガラスは、KNO 100% 400℃の溶融塩に60分浸漬して冷却後に洗浄してから、KNO 100% 380℃の溶融塩で10分浸漬して冷却後に洗浄してから評価した。
評価方法は、例3~5は特許文献2に記載の方法(以降、従来方法とする)、例6及び7は第1実施形態に記載の方法(以降、本願方法とする)で評価した。その結果、例3では従来方法で評価できたが、例4と例5はP偏光とS偏光の輝線の本数が足りずに従来方法では評価できなかった。一方、本願方法では輝線の最低本数が1本でも評価できるため、例6及び7では、表面の圧縮応力値(CS値)とNaをKに置換したことによるカリウム交換による圧縮層の深さ(DOL)を導出できた。この結果、従来方法では評価できなかったガラスの品質管理ができるようになった。
破線BP1は、P偏光とS偏光で確認され、この屈折率差をΔnPS(DOL)とすると、カリウムにイオン交換された圧縮応力層の深さDOLの応力σ(DOL)と相関があり、式(9)でその応力を算出できる。ただし、ガラスに含有したリチウムがナトリウムに交換されている場合、σ(DOL)=f(ΔnPS(DOL))のように別の関数で表しても良い。同様に、破線BP2からσ(DOL)を導出できる。
破線BP1及びBP2から得られた2つのσ(DOL)の平均値を利用することで、高精度なσ(DOL)を利用可能となる。
また、ガラスに含有したリチウムがナトリウムに交換されている場合、そのナトリウムイオンによる応力分布σ(x)はσ(DOL)と相関があるため、二つのσ(DOL)の平均値や差を利用することで、ナトリウムイオンによる応力分布σ(x)を高精度に予測可能となる。
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、第1実施形態とは光源の形態が異なる応力測定装置の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図22は、第2実施形態に係る応力測定装置を例示する図である。図22に示すように、応力測定装置2において、光源10Cは異なる2つの波長の光を出射する機能を備えている。2つの異なる波長の光は、電気的に同時でも、別々でも照射できる機能をもっている。
図23は、第2実施形態に係る応力測定装置の光源を例示する図である。光源10Cは、隣接して配置された、互いに異なる波長の光を出射する複数の発光素子を含む。具体的には、発光素子として、互いに異なる波長の光を出射可能なLEDチップ101A及び101Bを基板103上に近接して搭載している。LEDチップ101AとLEDチップ101Bとの距離は、短いほど良いが、チップの大きさから1mm程度である。
図24に示すように、LEDチップ101A及び101Bの後段には、例えば、コンデンサーレンズ104が配置され、その後段に、2波長のバンドパスフィルタ105が配置されている。
このように、光源の形態は、特に限定されず、互いに異なる波長の光を生成できれば、いかなる形態であってもよい。
〈第3実施形態〉
第3実施形態では、第2実施形態とは光源の形態が異なる応力測定装置の例を示す。なお、第3実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図25は、第3実施形態に係る応力測定装置を例示する図である。第3実施形態に係る応力測定装置3は、第2実施形態の構成に加え、撮像素子60の前段に、分割型の偏光フィルタ111と分割型のバンドパスフィルタ112とを有している。これにより、1回の撮影で2つの波長の夫々のP偏光、S偏光の輝線画像を一度に取得できる。なお、第2実施形態とは異なり、光源10Cの後段にバンドパスフィルタは備えなくてよい。
図26は、分割型の偏光フィルタ111を例示する図である。図26に示す偏光フィルタ111は、二種の光成分のうち境界面に平行に振動する光成分を透過させる領域と、境界面に垂直に振動する光成分を透過させる領域とを有する光分離手段であり、撮像素子60とバンドパスフィルタ112との間に配置されている。具体的には、偏光フィルタ111は、中心線で、偏光方向が水平である水平偏光板111aと、偏光方向が垂直である垂直偏光板111bとに分割されている。図26において、矢印は偏光方向を示している。
図27は、分割型のバンドパスフィルタ112を例示する図である。図27に示すバンドパスフィルタ112は、光源から出射される2つの波長の一方又は他方を透過させ、かつ単色性を上げるための光分離手段であり、4つの領域112a~112dに分割されている。バンドパスフィルタ112は、複数の波長の光源の光のうち、一方の波長λaのみを透過する領域112a及び112cと、他方の波長λbのみを透過させる領域112b及び112dとを有する。
領域112a及び112bは水平偏光板111aに対応する領域であり、領域112c及び112dは垂直偏光板111bに対応する領域である。すなわち、バンドパスフィルタ112の領域112aを透過した一方の波長λaの光、及びバンドパスフィルタ112の領域112bを透過した他方の波長λbの光は、水平偏光板111aに入射する。又、バンドパスフィルタ112の領域112cを透過した一方の波長λaの光、及びバンドパスフィルタ112の領域112dを透過した他方の波長λbの光は、垂直偏光板111bに入射する。
このように、応力測定装置3は、偏光フィルタ111及びバンドパスフィルタ112を備えることで、一回の撮像で、2つの波長のP偏光、S偏光の輝線画像を撮像できる。
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
1、2、3 応力測定装置
10A、10B、10C 光源
15 光導入部材
20 光供給部材
30 光取出し部材
40 光変換部材
50 偏光部材
60 撮像素子
70 演算部
71 位置測定手段
72 輝線列重な合わせ手段
73 屈折率分布算出手段
74 応力分布算出手段
101A、101B LEDチップ
103 基板
104 コンデンサーレンズ
105、112 バンドパスフィルタ
111 偏光フィルタ
111a 水平偏光板
111b 垂直偏光板
112a、112b、112c、112d 領域
200 強化ガラス
210 表面

Claims (13)

  1. 複数の異なる波長の光を出射する機能を備えた光源と、
    強化ガラスの圧縮応力層を有する表面層内に、前記光源からの光を入射させる光供給部材と、
    前記表面層内を伝播した前記光を、前記強化ガラスの外へ出射させる光取出し部材と、
    前記光取出し部材を介して出射した前記光に含まれる、前記強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は前記強化ガラスと前記光供給部材との屈折率差により臨界角で生じる二種の境界線、に変換する光変換部材と、
    前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を撮像する撮像素子と、
    前記撮像素子で得られた前記複数の異なる波長の光による、夫々の画像から、前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置を測定する位置測定手段と、を備え、
    前記撮像素子は、前記強化ガラス、前記光取出し部材、前記光変換部材、及び前記撮像素子の互いの位置関係を保った状態で、前記複数の異なる波長の光による前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を、同時或いは別々に撮像し、
    前記位置測定手段で測定した複数の異なる波長の光における前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置に基づいて、前記強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力を算出することを特徴とする強化ガラスの応力測定装置。
  2. 前記複数の異なる波長のうち少なくとも一つの波長で、式5を満足することを特徴とする請求項1に記載の強化ガラスの応力測定装置。
    Figure 2022039955000017
    但し、式5において、k1:パラメータ、f:光変換部材の焦点距離、np:光取出し部材の屈折率、ng:強化ガラスの屈折率、W:撮像素子の幅、S:輝線列の幅、vp:複数の異なる波長における光取出し部材の屈折率比率、vg:複数の異なる波長における強化ガラスの屈折率比率、である。
  3. 前記光変換部材は、前記複数の波長において、焦点距離の差が±3%以下である組み合わせレンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化ガラスの応力測定装置。
  4. 前記光源の一方の波長は、他方の波長の1.5~2.5倍であること特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の強化ガラスの応力測定装置。
  5. 前記複数の異なる波長の光における前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置に基づいて前記強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力分布を算出する際に、予め、測定する強化ガラスと同じ組成の強化ガラスで測定したデータを参照することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の強化ガラスの応力測定装置。
  6. 前記光源は、隣接して配置された、互いに異なる波長の光を出射する複数の発光素子を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の強化ガラスの応力測定装置。
  7. 前記撮像素子の前段に、前記複数の波長の光源の光のうち、一方の波長のみを透過する領域と、他方の波長のみを透過させる領域と、を有する第1の光分離手段を有する請求項1乃至6の何れか一項に記載の強化ガラスの応力測定装置。
  8. 前記撮像素子と前記第1の光分離手段との間に、前記二種の光成分のうち前記境界面に平行に振動する光成分を透過させる領域と、前記境界面に垂直に振動する光成分を透過させる領域と、を有する第2の光分離手段を有する請求項7に記載の強化ガラスの応力測定装置。
  9. 強化ガラスの圧縮応力層を有する表面層内に、第1の波長の光を、光供給部材を介して入射させる第1の光供給工程と、
    前記表面層内を伝播した前記第1の波長の光を、光取出し部材を介して前記強化ガラスの外へ出射させる第1の光取出し工程と、
    前記強化ガラスの外へ出射した前記第1の波長の光に含まれる、前記強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、光変換部材により二種の輝線列、二種の輝線、及び/又は前記強化ガラスと前記光供給部材との屈折率差により臨界角で生じる二種の境界線、に変換する第1の光変換工程と、
    前記第1の波長による前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を撮像素子で撮像する第1の撮像工程と、
    前記第1の撮像工程で得られた前記第1の波長の光による画像から、前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置を測定する第1の位置測定工程と、
    前記表面層内に、第2の波長の光を、前記光供給部材を介して入射させる第2の光供給工程と、
    前記表面層内を伝播した前記第2の波長の光を、前記光取出し部材を介して前記強化ガラスの外へ出射させる第2の光取出し工程と、
    前記強化ガラスの外へ出射した前記第2の波長の光に含まれる、前記強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線に変換する第2の光変換工程と、
    前記第2の波長による前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を前記撮像素子で撮像する第2の撮像工程と、
    前記第2の撮像工程で得られた前記第2の波長の光による画像から、前記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置を測定する第2の位置測定工程と、を備え、
    前記第1及び前記第2の撮像工程では、前記強化ガラス、前記光取出し部材、前記光変換部材、及び前記撮像素子の互いの位置関係を保った状態で、複数の異なる波長の光による前記二種の輝線列、前記二種の輝線、及び/又は前記二種の境界線を、同時或いは別々に撮像し、
    前記第1及び前記第2の位置測定工程で測定した複数の異なる波長の光における記二種の輝線列の位置、前記二種の輝線の位置、及び/又は前記二種の境界線の位置に基づいて、前記強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力を算出することを特徴とする強化ガラスの応力測定方法。
  10. 前記第1の波長の光と前記第2の波長の光のどちらを使っても、前記二種の光成分により観察される輝線の最低本数が1本の前記強化ガラスの表面から深さ方向にわたる応力を算出することを特徴とする請求項9に記載の強化ガラスの応力測定方法。
  11. 前記第1の波長と前記第2の波長のどちらかが400nm以下であることを特徴とする請求項10に記載の強化ガラスの応力測定方法。
  12. 請求項10又は11に記載の強化ガラスの応力測定方法で応力を算出したとき、導波光で観察されるDOL値が3μm以下であることを特徴とする強化ガラス。
  13. 請求項10又は11に記載の強化ガラスの応力測定方法で応力を算出したとき、CS値が400MPa以上であることを特徴とする強化ガラス。
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