JP7158017B2 - 応力測定装置、応力測定方法 - Google Patents

応力測定装置、応力測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、応力測定装置、応力測定方法に関する。
携帯電話やスマートフォン等の電子機器において、表示部や、筐体本体にガラスが用いられることが多い。このようなガラスには、ガラス強度を上げるために、ガラス表面にイオン交換による表面層(イオン交換層)を形成することにより強度を上げた、所謂化学強化ガラスが使用されている。
表面層は、少なくともガラス表面側に存在しイオン交換による圧縮応力が発生している圧縮応力層を含み、ガラス内部側に該圧縮応力層に隣接して存在し引張応力が発生している引張応力層を含んでもよい。
化学強化ガラスの表面層の応力を測定する技術としては、例えば、化学強化ガラスの表面層の屈折率が内部の屈折率より高い場合に、光導波効果と光弾性効果とを利用して、表面層の圧縮応力を非破壊で測定する技術(以下、非破壊測定技術とする)が挙げられる。この非破壊測定技術では、単色光を化学強化ガラスの表面層に入射して光導波効果により複数のモードを発生させ、各モードで光線軌跡が決まった光を取出し、凸レンズで各モードに対応する輝線に結像させる。なお、結像させた輝線は、モードの数だけ存在する。
又、この非破壊測定技術では、表面層から取出した光は、出射面に対して、光の振動方向が水平と垂直の二種の光成分についての輝線を観察できるように構成されている。そして、次数の一番低いモード1の光は表面層の一番表面に近い側を通る性質を利用し、二種の光成分のモード1に対応する輝線の位置から、それぞれの光成分についての屈折率を算出し、その二種の屈折率の差とガラスの光弾性定数から化学強化ガラスの表面付近の応力を求めている(例えば、特許文献1参照)。
又、化学強化ガラスの表面層の応力分布の測定に関し、上記の非破壊測定技術の原理を元に、全てのモードに対応する輝線の位置に基づいてガラスの表面からの屈折率分布を求め、更に、光弾性効果に基づいて応力分布を求める方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭53-136886号公報 特開2016-142600号公報 国際公開第2018/056121号
Yogyo-Kyokai-Shi(窯業協会誌)87{3}1979
近年、イオン交換がしやすく、化学強化工程で、短時間で、表面応力値が高く、応力層の深さが深くできるガラスとして、リチウム・アルミノシリケート系のガラスが注目されている。
このガラスは1回目は高温のNaNOの溶解塩、2回目は高温のKNOの溶融塩に浸漬する2回の化学強化処理を施すことで、1回目の化学強化処理で表面から深い領域まで、LiイオンがNaイオンに、2回目の化学強化処理により表面付近の領域のみ、Liイオン、或は一度Naイオンに交換されたイオンが、Kイオンとイオン交換する。KイオンはLiイオンやNaイオンよりイオン半径が大きいため、表面に強い圧縮応力を生じ、Naイオンはガラス中へ拡散しやすいために、深い領域まで圧縮応力を生じさせ、ガラスの強度を大きくしている。
ここで、ガラスの屈折率は、LiイオンがNaイオンにイオン交換されると低くなり、LiイオンがKイオンにイオン交換されると高くなる。つまり、ガラス中のイオン交換されていない部分に比べて、ガラス表面領域のKイオンに交換された領域では屈折率が高くなり、それより深いNaイオンに交換された領域では屈折率が低くなる。
そのため、背景技術で説明した表面の導波光を利用した応力測定装置では、最表面の応力値及び表面領域の応力分布は測定できるが、それより深い領域の応力分布を測定することができず、応力層の深さ、深い領域の応力分布を知ることができなかった。その結果、適正な化学強化条件を見つけ出すための開発ができず、又、製造の品質管理ができなかった。
一方、化学強化ガラスの応力分布を測定するためにレーザの散乱光を利用した応力測定装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この応力測定装置では、屈折率分布に関係なく化学強化ガラス内部の応力を測定することができる。
しかし、この応力測定装置は、レーザのスポット径が空間分解能を決め、その値は10μm程度である。そのため、ガラスの最表面から深さ10μm程度までの領域では応力値の精度が低く、特に表面付近をLiイオンをKイオンに置換した化学強化ガラスでは、表面近傍の深さが10μm程度の領域で応力値が大きく変化する。そのため、ガラスの強度を予測する重要な値である最表面の応力値CSの誤差が大きくなってしまう。
又、この欠点を補うために、表面付近は導波光を利用した応力測定装置で測定し、それより深い領域はこのレーザ散乱光を利用した応力測定装置で測定し、2つの応力分布データを合成し、全体の応力分布を得ることも提案されている。
しかし、上記の提案では、2種類の応力測定装置を用いて2回の応力測定を行う必要があり、大掛かりな測定となる。又、レーザの散乱光を利用する応力測定装置は、リタデーションを時間的に変化させ、動画で画像を得て測定を行うために、合計の測定時間はかなり長時間であり、測定装置の費用が高く、短時間当たりの処理能力が低い。従って、開発に用いる場合には問題ないが、生産で全数検査を行う場合は、大きな負担となる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、短時間で全深さの応力分布を予測可能な生産性の高い化学強化ガラスの応力測定装置を提供することを目的とする。
本応力測定装置は、リチウムイオンを含むガラスの、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点までの第1領域ではリチウムイオンをカリウムイオンに置換し、前記イオン濃度遷移点以深の第2領域ではリチウムイオンをナトリウムイオンに置換した化学強化ガラスの応力測定装置であって、前記化学強化ガラス内に、光源からの光を入射させる光供給部材と、前記化学強化ガラス内を伝播した光を、前記化学強化ガラス外へ出射させる光取出し部材と、前記光取出し部材を介して出射した光に含まれる、前記化学強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、夫々が2本以上の輝線を有する二種の輝線列に変換する光変換部材と、前記二種の輝線列を撮像する撮像素子と、前記撮像素子で得られた画像から前記二種の輝線列の夫々の2本以上の輝線の位置、及び前記第1領域の応力分布の終点の位置、を測定する位置測定手段と、前記位置測定手段の測定した前記輝線の位置、及び前記第1領域の応力分布の終点の位置、に基づいて、前記第1領域の応力分布を算出する応力分布算出手段と、前記応力分布算出手段が算出した前記第1領域の応力分布、及び予め測定した化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布、に基づいて、測定対象である化学強化ガラスの前記第2領域の応力分布を推定する応力分布推定手段と、前記第1領域の応力分布と前記第2領域の応力分布とを合成し、前記第1領域と前記第2領域の全体の応力分布を算出する合成手段と、を有し、前記応力分布推定手段は、化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布を下記の式(9)に示す近似関数で表現し、前記第1領域の応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足するように前記近似関数の係数を求め、前記第2領域の応力分布を推定することを特徴とする。
Figure 0007158017000001
但し、式(9)において、A3及びA4は、第2領域の代表的な応力分布を近似関数で表現したときの係数、
ks、Am5は、応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足することを条件として算出される係数、
kpは、実験的に求める値で0.3以上0.8以下の数値、である。
開示の技術によれば、短時間で全深さの応力分布を予測可能な生産性の高い化学強化ガラスの応力測定装置を提供できる。
第1の実施の形態に係る応力測定装置を例示する図である。 ガラス中のKイオン、Naイオン、Liイオンの表面からの濃度分布の一例である。 図2のイオン濃度分布を持つ化学強化ガラスの屈折率分布の一例である。 モードについて説明する図である。 複数のモードが存在する場合の各モードの光線軌跡を説明する図である。 複数のモードに対応する輝線列を例示する図である。 実際の輝線の写真の一例である。 ガラス内部の光線軌跡を現した図である。 イオン濃度遷移点までの応力分布を求める方法について説明する図(その1)である。 イオン濃度遷移点までの応力分布を求める方法について説明する図(その2)である。 代表的な第2領域の応力分布の一例である。 代表的な第2領域の応力分布を測定可能な応力測定装置の一例である。 第2領域の応力分布のばらつきについて説明する図である。 応力測定装置1を用いた応力測定方法を例示するフローチャートである。 応力測定装置1の演算部70の機能ブロックを例示する図である。 応力測定装置1を用いて取得した応力分布の一例である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る応力測定装置を例示する図である。図1に示すように、応力測定装置1は、光源10と、光供給部材20と、光取出し部材30と、光変換部材40と、偏光部材50と、撮像素子60と、演算部70とを有する。
200は、応力測定装置1の被測定体となる化学強化ガラスである。化学強化ガラス200は、リチウム(Li)イオンを含むガラスの、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点までの第1領域ではリチウム(Li)イオンをカリウム(K)イオンに置換し、イオン濃度遷移点以深の第2領域ではリチウム(Li)イオンをナトリウム(Na)イオンに置換した化学強化ガラスである。化学強化ガラス200は、表面210側に屈折率分布を有する表面層を備えている。化学強化ガラス200の詳細については、(Liガラスについて)の項で詳しく後述する。
光源10は、光供給部材20から化学強化ガラス200の表面層に光線Lを入射するように配置されている。干渉を利用するため、光源10の波長は、単純な明暗表示になる単波長であることが好ましい。
光源10としては、例えば、容易に単波長の光が得られるNaランプを用いることができ、この場合の波長は589.3nmである。又、光源10として、Naランプより短波長である水銀ランプを用いてもよく、この場合の波長は、例えば水銀I線である365nmである。但し、水銀ランプは多くの輝線があるので、365nmラインだけを透過させるバンドパスフィルタを通して使用することが好ましい。
又、光源10としてLED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。近年、多くの波長のLEDが開発されているが、LEDのスペクトル幅は半値幅で10nm以上あり、単波長性が悪く、温度により波長が変化する。そのため、バンドパスフィルタを通して使用することが好ましい。
光源10をLEDにバンドパスフィルタを通した構成にした場合、Naランプや水銀ランプほど単波長性はないが、紫外域から赤外域まで任意の波長を使うことができる点で好適である。なお、光源10の波長は、応力測定装置1の測定の基本原理には影響しないため、上に例示した波長以外の光源を用いても構わない。
又、応力測定装置1の被測定体となる化学強化ガラス200では、表面の浅い層のみを測定するために、365nmのような短い波長の光源を使うことが望ましい。
光源10は、切り替え可能な互いに波長の異なる複数の光源を含んでいてもよい。この場合、光源10が含む複数の光源の中から、化学強化ガラスの種類に応じて好適な波長の光源を選択し、使い分けることができる。これにより、化学強化ガラスの種類によらず、精度の良い応力測定が可能となる。
光供給部材20及び光取出し部材30は、被測定体である化学強化ガラス200の表面210に光学的に接触した状態で載置されている。光供給部材20は、光源10からの光を化学強化ガラス200内に入射させる機能を備えている。光取出し部材30は、化学強化ガラス200の表面層を伝播した光を化学強化ガラス200の外に出射させる機能を備えている。
光供給部材20及び光取出し部材30としては、例えば、光学ガラス製のプリズムを用いることができる。この場合、化学強化ガラス200の表面210において、光線がこれらプリズムを介して光学的に入射及び出射するために、これらプリズムの屈折率は化学強化ガラス200の屈折率よりも大きくする必要がある。又、各プリズムの傾斜面において、入射光及び出射光が略垂直に通過するような屈折率を選ぶ必要がある。
例えば、プリズムの傾斜角が60°で、化学強化ガラス200の屈折率が1.52の場合は、プリズムの屈折率は1.72とすることができる。なお、光供給部材20及び光取出し部材30として、プリズムに代えて、同様の機能を備えた他の部材を用いてもよい。又、光供給部材20及び光取出し部材30を一体構造としてもよい。又、安定に光学的な接触をさせるために、光供給部材20及び光取出し部材30と化学強化ガラス200の間に、光供給部材20及び光取出し部材30の屈折率と化学強化ガラス200の屈折率の間の値となる屈折率の液体(ゲル状でもよい)を充填することもある。
光取出し部材30から出射された光の方向には撮像素子60が配置されており、光取出し部材30と撮像素子60との間に、光変換部材40と偏光部材50が挿入されている。
光変換部材40は、光取出し部材30から出射された光線を輝線列に変換して撮像素子60上に集光する機能を備えている。光変換部材40としては、例えば、凸レンズを用いることができるが、同様の機能を備えた他の部材を用いてもよい。
偏光部材50は、化学強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分のうち一方を選択的に透過する機能を備えている光分離手段である。偏光部材50としては、例えば、回転可能な状態で配置された偏光板等を用いることができるが、同様の機能を備えた他の部材を用いてもよい。ここで、化学強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行に振動する光成分はS偏光であり、垂直に振動する光成分はP偏光である。
なお、化学強化ガラス200と光取出し部材30との境界面は、光取出し部材30を介して化学強化ガラス200の外に出射した光の出射面と垂直である。そこで、光取出し部材30を介して化学強化ガラス200の外に出射した光の出射面に対して垂直に振動する光成分はS偏光であり、平行に振動する光成分はP偏光であると言い換えてもよい。
撮像素子60は、光取出し部材30から出射され、光変換部材40及び偏光部材50を経由して受光した光を電気信号に変換する機能を備えている。より詳しくは、撮像素子60は、例えば、受光した光を電気信号に変換し、画像を構成する複数の画素毎の輝度値を画像データとして、演算部70に出力することができる。撮像素子60としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の素子を用いることができるが、同様の機能を備えた他の素子を用いてもよい。
演算部70は、撮像素子60から画像データを取り込み、画像処理や数値計算をする機能を備えている。演算部70は、これ以外の機能(例えば、光源10の光量や露光時間を制御する機能等)を有する構成としてもよい。演算部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリ等を含むように構成することができる。
この場合、演算部70の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。演算部70のCPUは、必要に応じてRAMからデータを読み出したり、格納したりできる。但し、演算部70の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、演算部70は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。演算部70としては、例えば、パーソナルコンピュータを用いることができる。
応力測定装置1では、光源10から光供給部材20を通して化学強化ガラス200の表面層に入射した光線Lは表面層内を伝播する。そして、光線Lが表面層内を伝播すると、光導波効果によりモードが発生し、幾つかの決まった経路を進んで光取出し部材30により、化学強化ガラス200の外へ取出される。
そして、光変換部材40及び偏光部材50により、撮像素子60上に、モード毎にP偏光及びS偏光の輝線となって結像される。撮像素子60上に発生したモードの数のP偏光及びS偏光の輝線の画像データは、演算部70へと送られる。演算部70では、撮像素子60から送られた画像データから、撮像素子60上のP偏光及びS偏光の輝線の位置を算出する。
このような構成により、応力測定装置1では、P偏光及びS偏光の輝線の位置に基づいて、化学強化ガラス200の表面層における表面から深さ方向の、P偏光及びS偏光の夫々の屈折率分布を算出することができる。又、算出したP偏光及びS偏光の夫々の屈折率分布の差と、化学強化ガラス200の光弾性定数とに基づいて、化学強化ガラス200の表面層における表面から深さ方向の応力分布を算出することができる。
以下、応力測定装置1における屈折率分布の測定及び応力分布の測定に関し、より詳しく説明する。
(Liガラスについて)
応力測定装置1の被測定体となる化学強化ガラス200(すなわち、Liイオンを含むガラスの、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点までの第1領域ではLiイオンをKイオンに置換し、イオン濃度遷移点以深の第2領域ではLiイオンをNaイオンに置換した化学強化ガラス)について、詳しく説明する。
図2は、ガラス中のKイオン、Naイオン、Liイオンの表面からの濃度分布の一例である。強化層においては、表面層付近はLiイオンはKイオンに、それより深い領域はLiイオンがNaイオンに置換されている。図2における深さAは、イオン濃度がKイオンが支配的な領域からNaイオンが支配的な領域に移り変わる深さで、イオン濃度遷移点である。
それぞれのイオン半径はLi<Na<Kであり、Liが一番小さく、Kが一番大きい。そのため、表面付近のKイオンに置換された表面付近は強い圧縮応力が発生し、それより深い領域のNaに置換された領域は、比較的弱い圧縮応力を発生する。又、NaイオンはKイオンに比べ拡散しやすいため、より深い領域まで置換され、結果、表面付近に非常に強い圧縮応力を発生させることができ、かつ、非常に深い領域まで比較的弱い圧縮応力を発生させることができる。
このようなイオン濃度分布は、1回目はNaNOの溶融塩、2回目はKNOの溶融塩を2回に分けた化学強化工程で、更に、1回目は比較的低い温度で長時間、2回目は高い温度で短時間、化学強化工程を施すことで得られる。
又、NaNO、KNOを混合した溶融塩を使うことで、1回の化学強化工程で得ることもできる。
図3は、図2のイオン濃度分布を持つ化学強化ガラスの屈折率分布の一例である。
Liイオンに対し、Kイオンは屈折率が高く、Naイオンは屈折率が低いという性質がある。そのため、図3のように、イオン濃度遷移点Aから表面方向、及びイオン濃度遷移点Aからガラス内部の方向に屈折率が高くなり、イオン濃度遷移点Aで屈折率が一番低くなる。
次に、応力測定装置1における屈折率分布の測定及び応力分布の測定に関し詳しく説明する。
(モードと輝線)
まず、図4及び図5を参照し、化学強化ガラス200の表面層に光線を入射したときの、光線の軌跡とモードについて説明する。
図4において、化学強化ガラス200は、表面210から深さ方向に屈折率分布を有している。図4において表面210からの深さをxとし、深さ方向の屈折率分布をn(x)とすると、深さ方向の屈折率分布n(x)は、先に説明した図3に示す曲線のようになる。この屈折率曲線の中で表面からイオン濃度遷移点Aまでについて考える。
表面からイオン濃度遷移点Aまでの第1領域では、内部方向に進むにつれ屈折率が低くなる。そのため、図4において、表面210に対して浅い角度で入射した光線Lは(図4の例では、化学強化ガラス200より大きな屈折率を持つ光供給部材20を介して入射している)、光線軌跡が徐々に表面210と平行に近づき、最深点xtで深さ方向から表面210の方向に反転する。そして光線軌跡が反転した光線は、入射した点から反転する点までの光線軌跡の形状と相似な形状で表面210へと向かい、表面210で少なくとも一部は反射し、再び化学強化ガラス200の内部へ進む。そして、再び化学強化ガラス200の内部に進んだ光線は、それまでの光線軌跡と同じ形状の軌跡を通り深さxtで反転して表面210に戻り、これを繰り返し、光線は表面210と最深点xtとの間を往復しつつ進んでいく。そして、表面210から幅xtである限定された空間を光が進行していくため、光は有限値の離散的なモードとしてだけ伝播し得る。
すなわち、複数のある決まった経路の光線だけが、化学強化ガラス200の表面層を伝わることができる。この現象は光導波効果と呼ばれており、光ファイバー内に光線が進む原理でもある。表面210を光導波効果により伝わる光のモード、及びそのモードの光線軌跡は、表面210から深さ方向の屈折率分布で決まる。
しかし、入射した光線Lの入射する角度により、反転する前にイオン濃度遷移点Aの深さに達すると、それ以深の領域では屈折率分布が逆になるため、反転することができず、そのまま更に深い方向へ進む。すなわち、導波光が得られるのは表面からイオン濃度遷移点Aまで深さの第1領域である。又、入射する角度での境目はイオン濃度遷移点Aでの屈折率の臨界角と同じである。この後は表面からイオン濃度遷移点Aまでの深さの第1領域で得られる導波光について説明する。
図5は、表面からイオン濃度遷移点Aまでの深さの第1領域で、複数のモードが存在する場合の各モードの光線軌跡を説明する図である。図5の例では、モード1、モード2、及びモード3の3つのモードを示しているが、更に高次のモードを有してもよい。
次数の一番低いモード1は、光線軌跡が表面210で反射するときの表面210との角度が一番浅い(出射余角が一番小さい)。又、モード毎に光線軌跡の最深点が異なり、モード1の最深点xt1は一番浅い。モードの次数が大きくなるにつれ、表面210での反射するときの表面210となす角度は大きくなる(出射余角が大きくなる)。又、モード2の最深点xt2はモード1の最深点xt1よりも深く、モード3の最深点xt3はモード2の最深点xt2よりも更に深くなる。但し、最深点がイオン濃度遷移点Aの深さより深くなるモードは存在しない。
ここで、光線の所定面に対する入射角は、入射する光線と所定面の法線とのなす角である。これに対し、光線の所定面に対する入射余角は、入射する光線と所定面とのなす角である。すなわち、光線の所定面に対する入射角がθであれば、光線の所定面に対する入射余角はπ/2-θである。又、光線の所定面に対する出射角と出射余角との関係についても同様である。
なお、図5では入射光を1本の光線で表しているが、入射光はある広がりを持っている。その広がりを持った光も、夫々同じモードでは表面210から出射する光の余角は同じである。そして、生じたモード以外の光は打ち消し合うため、表面210からは各モードに対応した光以外は出射しない。
又、図1において、光供給部材20、光取出し部材30、及び化学強化ガラス200は奥行き方向には同じ形状である。そのため、光変換部材40で集光された光は、光変換部材40の焦点面である撮像素子60に、そのモードに対応した光が奥行き方向に輝線となって結像される。
そして、モード毎に出射余角が異なるため、図6に示すように、輝線がモード毎に順に並び、輝線列となる。なお、輝線列は通常は明線の列となるが、図1における光供給部材20と光取出し部材30が接し一体になっている場合、出射光に対して光源からの直接光が参照光として作用し、暗線の列となる場合もある。しかし、明線の列となる場合も暗線の列となる場合も、各線の位置は全く同じである。
このように、輝線は、モードが成り立つときに明線又は暗線で発現する。参照光の明暗により輝線の干渉色が変わる場合があっても、本実施の形態に係る屈折率分布や応力分布の計算には全く影響がない。そこで、本願では、明線であっても暗線であっても便宜上輝線と表現する。
ところで、表面層内を伝わった光線が屈折して化学強化ガラス200の外に出射される際の出射余角は、その光線の表面層内での光線軌跡の最深点での化学強化ガラス200の屈折率、すなわち実効屈折率nnに等しい屈折率を持つ媒質が光取出し部材30に接していたときの臨界屈折光のそれに等しい。各モードでの最深点は、そのモードでの光線が全反射する点とも解釈できる。
また、イオン濃度遷移点Aの深さとなる出射余角より大きな角度で入射する光は全て、ガラス表面には戻ってこないため、光取出し部材30からの光は無く暗くなる。この位置より、イオン濃度遷移点Aでの屈折率も知ることもができる。
図7は、実際の輝線の写真の一例である。図7において上半分は二つの光成分のうちP偏光の輝線画像、下半分はS偏光の輝線画像である。P偏光は化学強化ガラス200の表面に対して偏光が垂直、S偏光は水平となっている。これは輝線の暗線となる場合の写真であるが、P偏光及びS偏光のそれぞれにおいて、輝線列の最後に、このイオン濃度遷移点Aで明るさが暗くなる部分が現れる。この点を臨界点とする。
ここで、あるモード間の実効屈折率nnの差Δnと輝線間の距離ΔSとの関係は、光変換部材40の焦点距離f、光取出し部材30の屈折率np、化学強化ガラス200の屈折率ngとすると、下記の式(1)及び式(2)の関係がある。
Figure 0007158017000002
Figure 0007158017000003
従って、撮像素子60上である一点の実効屈折率の位置が分かれば、観測される輝線の位置から、その輝線に対応する各モードの実効屈折率、すなわち、化学強化ガラス200の表面層内での光線軌跡の最深点での屈折率を求めることができる。又、輝度が変わる位置からイオン濃度遷移点Aでの屈折率も求めることができる。
(屈折率分布の算出)
本実施の形態では、下記の式(3)を用いて屈折率分布を算出する。式(3)は、非特許文献1に記載された技術情報等に基づいて、発明者らが導出したものである。非特許文献1では、屈折率分布は直線的に変化すると仮定し、光の進む経路を円弧に近似している。一方、本実施の形態では、任意の屈折率分布でのモードの成り立つ条件を得るために、屈折率分布を任意の分布n(x)としている。
式(3)において、θは微小な距離drを直線で進む光線の出射余角、n0は化学強化ガラス表面の屈折率、Θは化学強化ガラスに入射した光線の出射余角、λは化学強化ガラスに入射する光線の波長、Nはモードの次数(例えば、モード1ならN=1)である。又、G1は光線が化学強化ガラスに入射する点、F2は光線が反転する最深点(xt)、G2はF2で反転した光線が再び化学強化ガラスに到達する点であり、モード毎に異なる。なお、左辺の第1項は表面層内を伝播する光に関する項、左辺の第2項は表面210を仮想的に伝播する光に関する項である。
Figure 0007158017000004
式(3)を用いて、次数が隣接するモードの最深点の間では、化学強化ガラス200の屈折率変化率が一定であると仮定し、次数の最も低いモードから順に、夫々のモードの最深点の深さを計算し、全体の屈折率分布を求めることができる。
例えば、図5において、各モードの最深部xt1、xt2、xt3・・・の深さでの表面層の屈折率すなわち実効屈折率をn1、n2、n3・・・とする。又、表面210-xt1の間、xt1-xt2の間、xt2-xt3の間、・・・の屈折率変化率は直線であるとし、その屈折率変化率をα1、α2、α3・・・とする。
あるモードnでの光線軌跡は、そのモードの最深点xtnより浅い部分を通るため、表面からxtnまでの屈折率分布が決まっていれば、そのモードnでの光線軌跡は一意に決まる。全てのモードのxtが分かっているのであれば、屈折率分布は一意に決まるが、式(3)より、解析的にはもちろんのこと、数値計算においても、直接一度に屈折率分布を求めることは困難である。
そこで、まず、表面210に一番近い部分を通るモード1、2を使い、α1、α2、及びxt1、xt2を求める。そうすると、モード3では、xt1、xt2が既知で、不明なパラメータはxt3だけとなるため、容易にxt3を求めることができる。同様に、モード4、5・・・と順にxt4、xt5・・・を求めれば、全てのモードに対応した最深点のxtnを求めることができる。そして、表面210から深さ方向の屈折率分布を求めることができる。
図8は、ガラス内部の光線軌跡を現した図である。図8を参照して、屈折率分布を計算する具体的な方法について説明する。まず、光線追跡法を使い、式(3)の左辺を求める。図8において、x方向(縦方向)は化学強化ガラス200の深さ方向、y方向(横方向)は化学強化ガラス200の表面210に水平な方向である。又、深さxでの屈折率はn(x)である。なお、Hは表面210の法線である。
ここで、光供給部材20の屈折率を1.72とし、光供給部材20から入射余角Ψで表面210に入射する光線Lを考える。又、入射点の座標を(x0、y0)とする。なお、x0=0である。このとき、化学強化ガラス200の内部に入射した光線Lは、出射余角θ1で屈折し進む。このとき、Ψとθ1にはスネルの式が成り立つ。
次に、化学強化ガラス200の内部では光線Lの軌跡は曲線であるが、ある微小な距離drは直線で進むと仮定する(距離drは波長の1/10から1/100程度が望ましい)。つまり、光線は出射余角θ1の方向にdrだけ直線で進むとする。このとき、x方向の移動量dx1=dr・sinθ1、y方向の移動量dy1=dr・cosθ1となる。又、移動した点の座標(x1、y1)=(dr・sinθ1、y0+dr・cosθ1)となる。
この部分的な光線軌跡の始点の座標(x0=0、y0)での屈折率はn(0)、終点の座標(x1、y1)での屈折率はn(x1)であるが、この光線軌跡内では始点の屈折率で一定とし、終点で屈折率がn(x1)に変わるとする。そうすると、次の光線軌跡はスネルの法則にしたがい、出射余角θ2へ角度を変え進む。出射余角θ2で進む光はdrだけ直線で進み、更に出射余角θ3(図示せず)に方向を変えて進んでいく。これを、繰り返し光線軌跡を追って全体の光線軌跡を求める。
このとき、dr進む毎に、式(3)の左辺の第1項を計算する。例えば、座標(x0=0、y0)~座標(x1、y1)の部分では、第1項はdr・cosθ1・n(0)であり容易に計算できる。他のdrについても同様にして計算できる。そして、dr毎に求めた第1項を光線軌跡が表面210に戻るまで加算していくと、式(3)の左辺第1項が全て求まる。又、このとき、この光線軌跡のy方向に進む距離Σdyが分かる。式(3)においてdG1G2=Σdy、Θ=θ1であるから式(3)の左辺第2項が求まり、式(3)の左辺が全て求まる。
次に、屈折率分布を計算する方法を説明する。まず、非特許文献1にも示されているように、モード1とモード2の輝線の位置から、表面210の屈折率とモード2の最深点が求まる。これにより、3つの点、表面210(x=0)、モード1の最深点(xt1)、モード2の最深点(xt2)の値と、その点の屈折率n0、n1、n2が分かる。但し、表面がモード1とモード2の外挿なので、この3点は直線である。
次に、モード3での最深点xt3を適当な値に仮定すると、xt3までの屈折率分布が定義でき、上記計算方法にて、この分布での式(3)の左辺が計算できる。すなわちxt3を唯一のパラメータとして式(3)の左辺が計算でき、又、右辺はモードの次数で決まり、モード3では2.75λとなる。
その後、xt3をパラメータとし二分法やニュートン法等の非線形方程式の計算手法を用いることで、xt3を容易に求めることができる。そして、xt3まで求めたら、次のモード4の輝線位置から、xt4が求まり、全ての輝線について同様の計算を繰り返すことで、全体の屈折率分布を算出することができる。
(応力分布の算出)
化学強化ガラスは面内に強い圧縮応力があるため、P偏光の光の屈折率とS偏光の光の屈折率は、光弾性効果により応力の分だけずれる。すなわち、化学強化ガラス200の表面210に面内応力が存在すると、P偏光とS偏光で、屈折率分布が異なって、モードの発生のしかたも異なり、輝線の位置も異なる。
従って、P偏光とS偏光での輝線の位置が分かれば、P偏光とS偏光の夫々の屈折率分布を逆に計算することができる。そこで、P偏光とS偏光の屈折率分布の差と化学強化ガラス200の光弾性定数とに基づいて、化学強化ガラス200の表面210から深さ方向の応力分布σ(x)を算出することができる。
具体的には、下記の式(4)を用いて、応力分布を算出することができる。式(4)で、kcは光弾性定数であり、ΔnPS(x)はP偏光とS偏光の屈折率分布の差である。P偏光の屈折率分布n(x)とS偏光の屈折率分布n(x)は夫々離散的に得られるので、夫々の点の間を直線近似したり、複数の点を使って近似曲線を算出することで任意の位置において応力分布を得ることができる。
Figure 0007158017000005
又、この近似した直線や曲線を図7の臨界点の屈折率、すなわち、イオン濃度遷移点Aでの屈折率まで外挿することで、表面からイオン濃度遷移点Aまでの第1領域での屈折率分布及び応力分布を知ることができる。
すなわち、第1領域の応力分布の終点(臨界点)の位置は、輝線の位置に基づいて算出した応力分布をイオン濃度遷移点Aの屈折率位置まで外挿することにより得ることができる。
イオン濃度遷移点Aまでの応力分布を求める方法について図9及び図10を使い具体的な説明をする。図9は、二つの光成分における輝線の画像を模式的に示した図であり、輝線列の右側に暗部との境界がある。この境界が臨界点である。上半分は二つの光成分の内P偏光での輝線、下半分はS偏光での輝線である。
図9の例では、輝線はそれぞれ4本である。図10は、この輝線列から算出した輝線毎の深さと実効屈折率、すなわち、そのモードでの光線軌跡の最深点の深さと、その深さでの屈折率である。P偏光、S偏光でのそれぞれの輝線毎に△及び○で表示している。これらの点をP偏光、S偏光毎に、最小二乗法により2次曲線での近似関数を求めた曲線をそれぞれ実線で表している。
一方、図9の臨界点を示す境界の位置も、輝線同様、位置から屈折率を求めることができる。それぞれの2つの曲線上での臨界点の屈折率を▽、□で示す。この臨界点は、先に説明したとおり、イオン濃度遷移点Aである。従って、▽、□の点の深さはイオン濃度遷移点Aの深さとなり、P偏光、S偏光とも、図10のそれぞれの近似曲線の表面から臨界点の位置である▽、□までの曲線がそれぞれ、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点Aまでの第1領域の屈折率分布となる。
更に、この2つの曲線の差と化学強化ガラスの光弾性定数とから、表面からイオン濃度遷移点Aまでの応力分布が得られる。
このように、第1領域の応力分布の終点(臨界点)の位置は、輝線の位置に基づいて算出した応力分布をイオン濃度遷移点の屈折率位置まで外挿することにより得ることができる。
又、第1領域の応力分布は、次のようにして求めてもよい。すなわち、P偏光及びS偏光の臨界点の実効屈折率は、それぞれの光成分でのイオン濃度遷移点Aの深さでの屈折率である。そして、その屈折率の差は、イオン濃度遷移点Aで応力により発生した屈折率差のため、光弾性定数からイオン濃度遷移点Aでの応力を求めることもできる。先の2つの2次曲線の差と光弾性定数から応力分布を算出し、この応力分布曲線の表面から、2つの境界の差から求めたイオン濃度遷移点Aでの応力値までを第1領域の応力分布としてもよい。
このように、第1領域の応力分布の終点(臨界点)の位置は、輝線の位置より算出した応力分布を、二種の光成分でのイオン濃度遷移点の屈折率差と光弾性定数より得られる応力値まで外挿することにより得ることもできる。
なお、ここの説明では近似曲線として二次関数を使用したが、より高次のべき乗多項式や、誤差関数、或いは1次関数を使用してもよい。
このように、応力測定装置1を用いることで、LiイオンがKイオンに置換された、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点Aまでの第1領域において、応力分布を測定することが可能である。
(イオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力測定)
次に、応力測定装置1を用いて、イオン濃度遷移点A以深の第2領域、すなわち、LiイオンがNaイオンに置換された領域の応力分布を推定する方法について説明する。
図11は、予め、1回目の化学強化工程と同等の条件で、同等のガラスに化学強化を施し、その直後に応力分布を測定したものであり、代表的な第2領域の応力分布の一例である。
代表的な第2領域の応力分布の測定は、例えば、図12に示す応力測定装置2を用いて行うことができる。図12に示すように、応力測定装置2は、レーザ光源110と、偏光部材120と、偏光位相差可変部材130と、光供給部材140と、光変換部材150と、撮像素子160と、演算部170と、光波長選択部材180とを有する。なお、応力測定装置1は、応力測定装置2の構成を含む応力測定部を有しても構わない。すなわち、応力測定装置1は、応力測定装置2の機能を備えていてもよい。
レーザ光源110は、半導体レーザ等であり、光供給部材140から化学強化ガラス200の表面層にレーザ光Lを入射するように配置されている。
偏光部材120は、必要に応じて、レーザ光源110と偏光位相差可変部材130との間に挿入される。具体的には、レーザ光源110の出射するレーザ光Lが偏光でない場合、レーザ光源110と偏光位相差可変部材130との間に偏光部材120が挿入される。レーザ光源110の出射するレーザ光Lが偏光である場合、偏光部材120は挿入されても、挿入されなくてもよい。
偏光位相差可変部材130は、レーザ光源110と光供給部材140との間に挿入されており、レーザ光の偏光位相差をレーザ光の波長に対して1波長以上可変する機能を有する。
光供給部材140は、化学強化ガラス200の表面210に光学的に接触した状態で載置されている。光供給部材140は、レーザ光源110からの光を化学強化ガラス200に入射させる機能を備えており、例えば、光学ガラス製のプリズムを用いることができる。
撮像素子160は、偏光位相差を可変されたレーザ光が化学強化ガラスに入射されたことにより発する散乱光を、所定の時間間隔で複数回撮像し、複数の画像を取得する機能を有する。
光変換部材150は、撮像素子160とレーザ光Lの間に、レーザ光Lによる散乱光LSの画像を撮像素子160に結像するようが挿入されているレンズである。
演算部170は、複数の画像を用いて散乱光の周期的な輝度変化を測定し、輝度変化の位相変化を算出し、位相変化に基づき化学強化ガラスの表面からの深さ方向の応力分布を算出する機能を有する。
レーザ光Lと撮像素子160との間に、誘電体膜を多層にしたバンドパスフィルタやショートパスフィルタ等である光波長選択部材180を挿入してもよい。光波長選択部材180を挿入することにより、レーザ光Lより発生した蛍光光や外来光を除去し、散乱光LSだけを撮像素子160に集めることができる。
このように、応力測定装置2は、レーザの散乱光を利用した応力測定装置であり、表面付近は精度が悪く全体の応力を正確に測定することはできないが、イオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力は精度良く測定できる。なお、応力測定装置2の詳細については、特許文献3に記載されている。
この代表的な第2領域の応力分布を測定する際に、ガラス組成、化学強化工程のバラつきや不均一さを考慮し、複数のサンプルを抜き取り、測定し平均化された応力分布を使うことが望ましい。
平均化する方法として、分布データの各深さ毎の応力値をそれぞれ平均し、全体の平均的な応力分布を得、代表的な第2領域の応力分布とすることができる。
通常、化学強化工程での応力分布は、Kイオン、Naイオンの拡散で形成されるため、応力分布Sttmは式(5)の誤差関数と定数の組み合わせで表すことができる。式(5)において、xは表面からの深さで、定数項A5はガラス全体で応力バランスを取るために、応力分布が引張り応力側にシフトしているための項である。
Figure 0007158017000006
代表的な第2領域の応力分布を式(5)を使い、最小二乗法により、係数を求め、近似関数を得る。
又、応力分布を平均化する別な方法として、それぞれ測定された応力分布の近似関数の係数の平均から、分布の平均を取ることもできる。
更に、分布データ中、特異な点の値、例えば、ガラス表面、深さ100μmの点、ガラス中点、或いは、応力が0となる点などの値を平均化し、全体の分布を関数で復元し平均的な応力分布とすることもできる。又、代表的な応力分布は平均値ではなく、中央値、最頻値等を使っても良い。
ここで得られた、平均の応力分布関数は、代表的な応力分布であり、実際は、ガラスの組成のバラつき、化学強化液であるKNOやNaNOの溶融塩の温度の不均一性、液の劣化、循環の不均一性等で、個々のガラスの強化の度合いは違いが生じる。そのため、代表的な応力分布関数を元に、個々のガラスの第2領域の応力分布を予想する必要がある。
まず、強化度合いをやバラつきを考慮した応力の関数を補正係数ksを導入し、式(5)を変形し、式(6)を仮定する。
Figure 0007158017000007
但し、式(6)において、A3及びA4は、第2領域の代表的な応力分布を近似関数で表現したときの係数である。又、式(6)において、ks、Am5は、第1領域の応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足することを条件として算出される係数である。
より詳しくは、ksは、強化の度合いやバラつきのための補正係数である。ks=0.8、1.0.1.2の場合の応力分布の違いを図13に示す。ks=1では図13の例では実線で表されており、式(5)と同じになり、代表的な応力分布となる。ks<1の場合、図13の例ではks=0.8で短破線で表している。これは、強化度合いが低い場合で、例えば、化学強化液の劣化、温度が低い場合などである。ks>1の場合、図13の例ではks=1.2で長破線で表している。これは、強化度合いが強い場合で、例えば、強化温度が高い場合である。
又、Am5は、全体として応力のバランスを取る項である。この補正係数は、個々のガラスの厚みと、応力測定装置1で測定された、表面からイオン濃度遷移点Aまでの第1領域の応力分布とガラス厚みで決定することができる。すなわち、イオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力分布を知ることができる。
(イオン濃度遷移点A以深の第2領域の補正方法)
後述の応力分布推定手段73は、例えば、化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布を近似関数で表現し、第1領域の応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足するように近似関数の係数を求め、第2領域の応力分布を推定することができる。これについて、以下に詳しく説明する。
補正係数ks、Am5を求めるために、次の2つの条件(条件1及び条件2)を考える。条件1:式(6)で表されるイオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力分布は、先に測定された第1領域の応力分布の終点を通る。条件2:表面からガラス中点(ガラス厚みの1/2の深さの点)までの応力分布の積分値は、応力バランスから、0となる(応力バランスがとれる)。
応力測定装置1で測定されたデータの終点の値、すなわちイオン濃度遷移点Aに相当する深さと応力値をxtp、ytpとし、条件1を式で表すと式(7)のようになり、条件2を式で表すと式(8)のようになる。
Figure 0007158017000008
Figure 0007158017000009
fsmは、表面からイオン濃度遷移点Aまでの第1領域における応力の積分値で、応力測定装置1で測定した応力分部データを数値積分して得ることが可能である。
そうすると、未知数がksとAm5の2つである2元の連立方程式となるから、解の範囲も容易に予測がつく。例えば、積分は数値積分を使い、2分法、挟み撃ち法等の方程式の数値解析法により容易に数値解を得ることができる。又、導関数が存在しないため、導関数に数値微分を使うことで、ニュートン法による解法も可能である。
これらの数値解析法により、求まった解ks、Am5を式(2)に当てはめた関数が個々のガラスのイオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力分布となる。
この結果から、表面からイオン濃度遷移点Aまでの第1領域は応力測定装置1で測定した応力分布、イオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力分布はこの解より得られる推定した応力分布であり、両方を合成することで全体の応力分布を得ることができる。
応力測定装置1の表面付近の応力分布を誤差関数での近似関数にし、関数での合成を行い、全体の応力分布を得ることもできる。
又、式(6)を式(9)に拡張すると、より精度の高い予測が可能ある。kpは、実験的に求める値で0.3以上0.8以下の数値である。kpは、ガラスの組成や、化学強化工程で決まる係数であり、実験的にkpを求めることで、より正確に第2領域の応力分布を予測することができる。
Figure 0007158017000010
(測定のフロー)
図14は、応力測定装置1を用いた応力測定方法を例示するフローチャートである。図15は、応力測定装置1の演算部70の機能ブロックを例示する図である。
まず、ステップS501では、化学強化ガラス200内に、光源10からの光を入射させる(光供給工程)。次に、ステップS502では、化学強化ガラス200内を伝播した光を、光取出し部材30を介して、化学強化ガラス200外へ出射させる(光取出工程)。
次に、ステップS503では、光変換部材40及び偏光部材50は、化学強化ガラス200の外へ出射した光に含まれる、化学強化ガラス200と光取出し部材30との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分(P偏光とS偏光)を、夫々が2本以上の輝線を有する二種の輝線列に変換する(光変換工程)。
次に、ステップS504では、撮像素子60は、光変換工程により変換された二種の輝線列を撮像する(撮像工程)。次に、ステップS505では、演算部70の位置測定手段71は、撮像工程で得られた画像から二種の輝線列の夫々の2本以上の輝線の位置、及び臨界点の位置、を測定する(位置測定工程)。
次に、ステップS506では、演算部70の応力分布算出手段72は、位置測定工程で測定した輝線の位置、及び臨界点の位置、に基づいて、第1領域の応力分布を算出する(応力分布算出工程)。
なお、ステップS505及びS506では、撮像工程で撮像された輝線列の中の全ての輝線を用いることができるが、撮像工程で撮像された輝線列の中の一部の輝線を用いても構わない。例えば、撮像工程で得られた二種の輝線列が各々4本の輝線を有していれば、ステップS505及びS506では、二種の輝線列の各々について、4本の輝線全てを用いてもよいし、4本の輝線の中の3本や2本を用いてもよい。
次に、ステップS507では、演算部70の応力分布推定手段73は、応力分布算出工程で算出した第1領域の応力分布、及び予め測定した化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布、に基づいて、測定対象である化学強化ガラスの第2領域の応力分布を推定する(応力分布推定工程)。具体的な推定方法については、前述の通りである。
次に、ステップS508では、演算部70の合成手段74は、第1領域の応力分布と第2領域の応力分布とを合成し、第1領域と第2領域の全体の応力分布を算出する(合成工程)。例えば、図16に示した応力分布を得ることができる。図16において、実線部分は第1領域(表面から深さ方向にイオン濃度遷移点Aまでの領域)の応力分布であり、ステップS506で算出した部分である。又、破線部分は第2領域(イオン濃度遷移点A以深の領域)の応力分布であり、ステップS507で推定した部分である。
このように、応力測定装置1は、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点Aまでの第1領域の応力分布を算出すると共に、イオン濃度遷移点A以深の第2領域の応力分布を、予め測定した化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布に基づいて推定する。これにより、化学強化ガラスの製造工程において、第2領域の応力分布を測定する必要がなくなるため、全深さの応力分布を短時間で予測できる。すなわち、応力測定装置1は、短時間で全深さの応力分布を予測可能な生産性の高い化学強化ガラスの応力測定装置である。なお、通常、第1領域の測定時間は数秒程度、第2領域の測定時間は数10秒程度であるから、第2領域の応力分布を測定しないことによる生産性向上効果は絶大である。
応力測定装置1を用いた応力測定方法は、測定対象となる化学強化ガラスと、予め測定した化学強化ガラスについて、ガラスの組成や化学強化の条件が大きく異なっていない場合に適用が可能である。特に、同等の条件で作製された大量の化学強化ガラスのデータを予め取得できる場合には、強化塩の劣化や、不均一性、温度の精度、ガラス組成の精度等で応力分布が変化する場合等でも、測定対象となる化学強化ガラスの全体の応力分布を精度よく取得することができる。
なお、測定対象となる化学強化ガラスと、予め測定した化学強化ガラスについて、ガラスの組成や化学強化の条件が大きく異なる場合には、1つの代表的な第2領域の応力分布を元にした修正では、十分な精度が得られない場合がある。そのような場合は、複数の代表的な第2領域の応力分布を条件毎に用意して使い分けることで、より精度の高い応力分布の測定が可能となる。
又、光源10は、切り替え可能な互いに波長の異なる複数の光源を含んでいてもよい。この場合、光源10を複数の異なる波長に切り替え、それぞれの異なる波長での輝線位置を測定し、測定された輝線位置から、それぞれの波長で測定される応力分布を算出し、合成することで、より精度の高い応力分布を得ることができる。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上記の各実施の形態では、光源を応力測定装置の構成要素として説明したが、応力測定装置は光源を有していない構成としてもよい。この場合、応力測定装置は、例えば、光供給部材20と、光取出し部材30と、光変換部材40と、偏光部材50と、撮像素子60と、演算部70とを有する構成とすることができる。光源は、応力測定装置の使用者が適宜なものを用意して使用することができる。
又、光供給部材20に二種の光成分(P偏光及びS偏光)を入射する構成としてもよい。この場合には、光取出し部材30から撮像素子60までの光路上に偏光部材50を配置する必要はない。
1、2 応力測定装置
10 光源
20 光供給部材
30 光取出し部材
40 光変換部材
50 偏光部材
60 撮像素子
70 演算部
71 位置測定手段
72 応力分布算出手段
73 応力分布推定手段
74 合成手段
110 レーザ光源
120 偏光部材
130 偏光位相差可変部材
140 光供給部材
150 光変換部材
160 撮像素子
170 演算部
180 光波長選択部材
200 化学強化ガラス
210 化学強化ガラスの表面

Claims (6)

  1. リチウムイオンを含むガラスの、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点までの第1領域ではリチウムイオンをカリウムイオンに置換し、前記イオン濃度遷移点以深の第2領域ではリチウムイオンをナトリウムイオンに置換した化学強化ガラスの応力測定装置であって、
    前記化学強化ガラス内に、光源からの光を入射させる光供給部材と、
    前記化学強化ガラス内を伝播した光を、前記化学強化ガラス外へ出射させる光取出し部材と、
    前記光取出し部材を介して出射した光に含まれる、前記化学強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、夫々が2本以上の輝線を有する二種の輝線列に変換する光変換部材と、
    前記二種の輝線列を撮像する撮像素子と、
    前記撮像素子で得られた画像から前記二種の輝線列の夫々の2本以上の輝線の位置、及び前記第1領域の応力分布の終点の位置、を測定する位置測定手段と、
    前記位置測定手段の測定した前記輝線の位置、及び前記第1領域の応力分布の終点の位置、に基づいて、前記第1領域の応力分布を算出する応力分布算出手段と、
    前記応力分布算出手段が算出した前記第1領域の応力分布、及び予め測定した化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布、に基づいて、測定対象である化学強化ガラスの前記第2領域の応力分布を推定する応力分布推定手段と、
    前記第1領域の応力分布と前記第2領域の応力分布とを合成し、前記第1領域と前記第2領域の全体の応力分布を算出する合成手段と、を有し、
    前記応力分布推定手段は、化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布を下記の式(9)に示す近似関数で表現し、前記第1領域の応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足するように前記近似関数の係数を求め、前記第2領域の応力分布を推定することを特徴とする応力測定装置。
    Figure 0007158017000011
    但し、式(9)において、A3及びA4は、第2領域の代表的な応力分布を近似関数で表現したときの係数、
    ks、Am5は、応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足することを条件として算出される係数、
    kpは、実験的に求める値で0.3以上0.8以下の数値、である。
  2. 前記第1領域の応力分布の終点は、前記輝線の位置に基づいて算出した応力分布を前記イオン濃度遷移点の屈折率位置まで外挿することにより得ることを特徴とする請求項に記載の応力測定装置。
  3. 前記第1領域の応力分布の終点は、前記輝線の位置より算出した応力分布を、前記二種の光成分での前記イオン濃度遷移点の屈折率差と光弾性定数より得られる応力値まで外挿することにより得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の応力測定装置。
  4. 前記化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布を測定する応力測定部を有し、
    前記応力測定部は、
    レーザ光の偏光位相差を、前記レーザ光の波長に対して1波長以上可変する偏光位相差可変部材と、
    前記偏光位相差を可変されたレーザ光が化学強化ガラスに入射されたことにより発する散乱光を、所定の時間間隔で複数回撮像し、複数の画像を取得する撮像素子と、
    前記複数の画像を用いて前記散乱光の周期的な輝度変化を測定し、前記輝度変化の位相変化を算出し、前記位相変化に基づき前記化学強化ガラスの表面からの深さ方向の応力分布を算出する演算部と、を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の応力測定装置。
  5. リチウムイオンを含むガラスの、表面から深さ方向にイオン濃度遷移点までの第1領域ではリチウムイオンをカリウムイオンに置換し、前記イオン濃度遷移点以深の第2領域ではリチウムイオンをナトリウムイオンに置換した化学強化ガラスの応力測定方法であって、
    前記化学強化ガラス内に、光源からの光を入射させる光供給工程と、
    前記化学強化ガラス内を伝播した光を、光取出し部材を介して、前記化学強化ガラス外へ出射させる光取出し工程と、
    前記化学強化ガラスの外へ出射した光に含まれる、前記化学強化ガラスと前記光取出し部材との境界面に対して平行及び垂直に振動する二種の光成分を、夫々が2本以上の輝線を有する二種の輝線列に変換する光変換工程と、
    前記二種の輝線列を撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程で得られた画像から前記二種の輝線列の夫々の2本以上の輝線の位置、及び前記第1領域の応力分布の終点の位置、を測定する位置測定工程と、
    前記位置測定工程で測定した前記輝線の位置、及び前記第1領域の応力分布の終点の位置、に基づいて、前記第1領域の応力分布を算出する応力分布算出工程と、
    前記応力分布算出工程で算出した前記第1領域の応力分布、及び予め測定した化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布、に基づいて、測定対象である化学強化ガラスの前記第2領域の応力分布を推定する応力分布推定工程と、
    前記第1領域の応力分布と前記第2領域の応力分布とを合成し、前記第1領域と前記第2領域の全体の応力分布を算出する合成工程と、を有し、
    前記応力分布推定工程では、化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布を下記の式(9)に示す近似関数で表現し、前記第1領域の応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足するように前記近似関数の係数を求め、前記第2領域の応力分布を推定することを特徴とする応力測定方法。
    Figure 0007158017000012
    但し、式(9)において、A3及びA4は、第2領域の代表的な応力分布を近似関数で表現したときの係数、
    ks、Am5は、応力分布の終点を通り、応力バランスがとれることを満足することを条件として算出される係数、
    kpは、実験的に求める値で0.3以上0.8以下の数値、である。
  6. 前記化学強化ガラスの代表的な第2領域の応力分布を測定する応力測定工程を有し、
    前記応力測定工程は、
    レーザ光の偏光位相差を、前記レーザ光の波長に対して1波長以上可変する偏光位相差可変工程と、
    前記偏光位相差を可変されたレーザ光が化学強化ガラスに入射されたことにより発する散乱光を、所定の時間間隔で複数回撮像し、複数の画像を取得する撮像工程と、
    前記複数の画像を用いて前記散乱光の周期的な輝度変化を測定し、前記輝度変化の位相変化を算出し、前記位相変化に基づき前記化学強化ガラスの表面からの深さ方向の応力分布を算出する演算工程と、を有することを特徴とする請求項に記載の応力測定方法。
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