JP2022039003A - 乗降用手すり - Google Patents

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Abstract

【課題】乗降用手すりとしての機能を損なうことなく除菌できる乗降用手すりを得る。【解決手段】車両10の乗降口16の周辺に設けられた支持部材36に支持されるとともに、一部の区間が除去されることで非環状とされた外パイプ32と、外パイプ32の内部に支持され、一部の区間を外パイプ32から露出させた環状の内パイプ34と、内パイプ34の外周面を被覆可能に形成されるとともに、外パイプ32の内部に設けられた駆動装置により内パイプ34及び外パイプ32の軸方向に移動可能とされたシート部材50と、外パイプ32の内部に設けられ、紫外線を照射することでシート部材50を除菌する除菌装置と、を備えた乗降用手すり30とする。【選択図】図2

Description

本発明は、乗降用手すりに関する。
つり革の持ち手の上部に遮光性のカバーを設けるとともに、そのカバーの内部に紫外線を照射可能な発光素子を設け、カバーで覆われている持ち手の上部に紫外線を照射することで、周方向に回転可能な持ち手を除菌するようにしたつり革の除菌装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2020-063050号公報
つり革の場合、乗客は下から手を伸ばして、そのつり革を掴むので、上記のようなカバーを常時備えた除菌装置でも成立する。しかしながら、バス等の乗降口の周辺に設けられている乗降用手すりの場合、乗降客は色々な方向から、その乗降用手すりを掴むので、上記のようなカバーを常時備えた除菌装置であると、乗降用手すりを掴むのが困難になり、乗降用手すりとしての本来の機能が損なわれてしまう。
そこで、本発明は、乗降用手すりとしての機能を損なうことなく除菌できる乗降用手すりを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の乗降用手すりは、車両の乗降口の周辺に設けられた支持部材に支持されるとともに、一部の区間が除去されることで非環状とされた外パイプと、前記外パイプの内部に支持され、一部の区間を前記外パイプから露出させた環状の内パイプと、前記内パイプの外周面を被覆可能に形成されるとともに、前記外パイプの内部に設けられた駆動装置により前記内パイプ及び前記外パイプの軸方向に移動可能とされたシート部材と、前記外パイプの内部に設けられ、紫外線を照射することで前記シート部材を除菌する除菌装置と、を備えている。
請求項1に記載の発明によれば、車両に対して乗降客が乗降する際には、乗降用手すりのシート部材を乗降客が把持する。ここで、シート部材は、駆動装置により軸方向に移動可能とされ、かつ除菌装置により紫外線が照射されて除菌可能とされている。したがって、乗降客が乗降用手すりのシート部材を把持しないときに、そのシート部材を軸方向に移動させつつ除菌することができる。このように、乗降用手すりは、その機能を損なうことなく除菌可能となる。
また、請求項2に記載の乗降用手すりは、請求項1に記載の乗降用手すりであって、前記駆動装置は、前記乗降口がドアによって閉鎖される度に駆動して前記シート部材を前記軸方向へ所定量移動させる。
請求項2に記載の発明によれば、乗降口がドアによって閉鎖される度にシート部材が軸方向へ所定量移動する。つまり、乗降口がドアによって閉鎖される度にシート部材が除菌される。したがって、乗降客が乗降時に把持するシート部材は常に除菌された状態となっており、乗降客は安心してシート部材を把持することが可能となる。
また、請求項3に記載の乗降用手すりは、請求項1又は請求項2に記載の乗降用手すりであって、前記駆動装置は、前記シート部材に対して摺動抵抗を有して前記外パイプの周方向に等間隔に配置された少なくとも3個1組の回転部材で構成され、前記軸方向に所定の間隔を空けて少なくとも2組設けられている。
請求項3に記載の発明によれば、駆動装置が、シート部材に対して摺動抵抗を有して外パイプの周方向に等間隔に配置された少なくとも3個1組の回転部材で構成されており、軸方向に所定の間隔を空けて少なくとも2組設けられている。したがって、シート部材は、スムーズに軸方向へ移動される。
また、請求項4に記載の乗降用手すりは、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の乗降用手すりであって、前記内パイプの外径は、前記外パイプの内部に配置されている部分が、前記外パイプから露出されている部分よりも小さくなっている。
請求項4に記載の発明によれば、内パイプの外径は、外パイプの内部に配置されている部分が、外パイプから露出されている部分よりも小さくなっている。したがって、シート部材は、外パイプの内部を軸方向に移動し易い。また、逆に言えば、内パイプの外径は、外パイプから露出されている部分が、外パイプの内部に配置されている部分よりも大きくなっているため、外パイプから露出されている部分の内パイプの外周面を被覆しているシート部材を乗降客が把持し易い。
また、請求項5に記載の乗降用手すりは、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の乗降用手すりであって、前記内パイプは、前記外パイプの内周面に前記軸方向に沿って1列に配置された複数のブラケットによって前記外パイプの内部に支持されており、前記シート部材は、ファスナー機構により、前記外パイプから露出している部分では筒状とされ、前記外パイプの内部に配置されている部分では前記ブラケットを回避可能なように非筒状とされている。
請求項5に記載の発明によれば、ファスナー機構により、シート部材が、外パイプから露出している部分では筒状とされ、外パイプの内部に配置されている部分ではブラケットを回避可能なように非筒状とされている。したがって、シート部材は、外パイプの内部を軸方向にスムーズに移動し易い。また、乗降客は、内パイプに触れずに、除菌されたシート部材のみを把持することが可能となる。
また、請求項6に記載の乗降用手すりは、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の乗降用手すりであって、前記支持部材は、車体上下方向を軸方向として前記外パイプを回動可能に支持しており、前記外パイプは、ドアが前記乗降口を開放させる動作に伴って、前記支持部材の回転軸を中心に回動することで、車外へ向けて突出され、ドアが前記乗降口を閉鎖する動作に伴って、前記支持部材の回転軸を中心に回動することで、車内へ収容されるように構成されている。
請求項6に記載の発明によれば、外パイプは、ドアが乗降口を開放させる動作に伴って車外へ向けて突出され、ドアが乗降口を閉鎖する動作に伴って車内へ収容される。つまり、この乗降用手すりは、格納姿勢を取ったときに、車内(車室側)へ向けて突出することがない。したがって、乗降用手すりにより乗車スペースが制限されるのが抑制される。
以上のように、本発明によれば、乗降用手すりとしての機能を損なうことなく、その乗降用手すりを除菌することができる。
本実施形態に係る乗降用手すりを備えたバスを示す斜視図である。 本実施形態に係る乗降用手すりを示す斜視図である。 本実施形態に係る乗降用手すりのレール部材がスライド可能に保持するスライド部材を示す斜視図である。 スライド部材がレール部材に保持されたときの状態を示す図2のX-X線矢視断面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりに設けられた発光素子及び駆動モーターへの給電用のケーブルを示す斜視図である。 本実施形態に係る乗降用手すりの先端部側の内部構造を示す図2のY-Y線矢視断面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりの下部側の内部構造を示す図2のZ-Z線矢視断面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりのシート部材側を示す底面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりの格納姿勢を示す背面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりの格納姿勢を示す平面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりの展開姿勢を示す背面図である。 本実施形態に係る乗降用手すりの展開姿勢を示す平面図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、本実施形態に係る乗降用手すり30は、車両としての乗合自動車の一例である小型のバス(自動運転バスに代表されるMaaS(Mobility as a Service)車も含む)10に対して好適に設けられる(図1参照)。
したがって、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPをバス10の車体上方向、矢印FRをバス10の車体前方向、矢印LHをバス10の車体左方向、矢印RHをバス10の車体右方向とする。そして、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車体上下方向の上下、車体前後方向の前後、車体左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。
図1に示されるように、バス10における車体12の左側壁(一方の側壁)で、かつ前後方向略中央部には、側面視で矩形状を成す乗降口16が形成されている。そして、このバス10には、その乗降口16を開閉するドアとしてのスライドドア20が設けられている。
スライドドア20は、側面視で上下方向の長さが前後方向の長さよりも長い矩形状の前側の半扉20Fと後側の半扉20Rとで構成されている。そして、前側の半扉20Fと後側の半扉20Rとが互いに離間する方向及び接近する方向へ、バス10の外壁面12Aに沿って同期してスライド(移動)することにより、乗降口16を開放及び閉鎖可能に構成されている。
なお、乗降口16の閉鎖時に互いに接触する半扉20F、20Rの前後方向内側端面(換言すれば、半扉20Fの後端面と半扉20Rの前端面)には、それぞれ上下方向全体に亘ってゴム等の弾性体22(図10参照)が取り付けられている。つまり、半扉20F、20Rは、互いの弾性体22を弾性変形させつつ接触させることにより、乗降口16を閉鎖するようになっている。
また、図1に示されるように、乗降口16の下方側における車体12(例えばフロアパネルの下方側)には、車外へ突出可能なスロープ18が収納されている。スロープ18は、平板状に形成されており、電動によって引き出され、かつ収納されるように構成されている。そして、図11に示されるように、引き出されたスロープ18は、その引出方向先端部が路面Gに支持されることにより、所定の傾斜角度θ1で配置されるようになっている。
また、図1に示されるように、スライドドア20(半扉20F及び半扉20R)がスライド(移動)して乗降口16が開放されたときには、乗降口16の上下方向(高さ方向)における所定位置から、金属製(例えばアルミニウム製)の乗降用手すり30が車幅方向外側へ向けて突出されるようになっている。
具体的に説明すると、図2に示されるように、乗降用手すり30は、一部の区間が除去されることで非環状(軸方向と直交する方向から見て略「C」字状)とされた円筒状の外パイプ32と、外パイプ32の内部に支持された状態で設けられることで、一部の区間を外パイプ32から露出させた環状の内パイプ34と、を備えている。つまり、外パイプ32から露出している内パイプ34の長さは、外パイプ32の内部に配置されている内パイプ34の長さよりも短い。なお、外パイプ32の内部構造については、後で詳述する。
図2に示されるように、内パイプ34は、外パイプ32の上部から斜め下方側へ延在している。つまり、内パイプ34は、水平方向に対して傾斜して配置されるようになっており、外パイプ32とで直角三角形状を成すようになっている。そして、図11に示されるように、水平方向に対する内パイプ34の傾斜角度θ2は、スロープ18の傾斜角度θ1とほぼ同じ傾斜角度になっている。
図2、図4、図5に示されるように、外パイプ32の下部32Bにおける外周面の一部は、バス10における乗降口16の周辺(例えば図2に示されるピラー14の内壁面)に設けられた支持部材としてのレール部材36の一方の側壁36Aに溶接等によって固着されている。
レール部材36は、上下方向が長辺となる四角筒状(断面長方形状)に形成されており(図4参照)、水平方向が長手方向とされて延在している。そして、レール部材36の長手方向一端部が、上下方向を軸方向としてピラー14の内壁面に回動可能に支持されている。
すなわち、金属製の蝶番24の一端部24Aが、レール部材36の長手方向一端面36Cに溶接等によって強固に取り付けられており、その蝶番24の他端部24Bが、ピラー14の内壁面に複数のボルト等によって強固に取り付けられている。これにより、乗降用手すり30は、後述するスライド部材40でも支持されるレール部材36を介して、蝶番24の回転軸24Cを中心に平面視で90度以上回動可能になっている。
また、レール部材36の長手方向一端面36Cには、給電用のケーブル26の挿入口(図示省略)が形成されている。ケーブル26は、バス10に搭載されているバッテリ(図示省略)から、ピラー14の内部を通るようにして配線されている。そして、ケーブル26は、ピラー14の内壁面に形成された供給口(図示省略)からレール部材36の挿入口へ挿入され、更にレール部材36の供給口(図示省略)から外パイプ32の挿入口(図示省略)へ挿入されている。つまり、ケーブル26は、外パイプ32の内部へ配線されている。
なお、レール部材36の挿入口は、ケーブル26に嵌められたゴム製で蛇腹状のブーツ28で覆われるようになっている。また、蝶番24、ピラー14の供給口とレール部材36の挿入口との間で露出するケーブル26の一部及びブーツ28は、ピラー14に取り付けられる矩形箱状のカバー体48(図2参照)によってカバーされる構成になっている。
図2に示されるように、レール部材36は、スライドドア20の例えば半扉20Fの前後方向内側端部に取り付けられたスライド部材40(図3参照)をスライド可能に保持するようになっている。具体的に説明すると、レール部材36の他方の側壁(後述する展開姿勢のときに前方側を向き、後述する格納姿勢のときに車幅方向外側を向く側壁)36Bの上下方向略中央部には、その内部と連通するスリット部38が延在方向(長手方向)に沿って所定の長さで形成されている。
一方、図3に示されるように、スライド部材40は、側面視で略「T」字状に形成されている。すなわち、スライド部材40は、平面視で湾曲板状とされた本体部42と、本体部42の先端から上下方向に突出した(上下方向を軸方向とした)略円柱状の嵌入部44と、本体部42の嵌入部44とは反対側の基端に形成された平板状の固定部46と、を有している。
そして、このスライド部材40は、固定部46が半扉20Fに取り付けられる前に、レール部材36に取り付けられるようになっている。具体的には、レール部材36のスリット部38に、スライド部材40の嵌入部44を横にして(軸方向を水平方向にして)通し、90度回動させる。これにより、図4に示されるように、スライド部材40の嵌入部44が、レール部材36から外れることなく、そのレール部材36の長手方向にスライド可能に嵌められるようになっている。
したがって、スリット部38の幅(上下方向の間隙)は、嵌入部44の外径よりも大きくなっており、スライド部材40の本体部42の幅(側面視で嵌入部44の軸方向に沿った方向の長さ)と同じか、それよりも若干大きく形成されている。そして、スライド部材40は、その嵌入部44をレール部材36に嵌めた後、その固定部46が半扉20Fの前後方向内側端部にネジ止め等によって取り付けられるようになっている。これにより、レール部材36は、スライド部材40でも支持される構成になっている。
図2、図6~図8に示されるように、内パイプ34の外径は、外パイプ32の内部に配置されている部分が、外パイプ32から露出されている部分(一部の区間)よりも小さくなっている。なお、外パイプ32から露出されている部分の内パイプ34の外径は、外パイプ32の内径から少なくとも後述するシート部材50の厚みを減算した大きさとされている。
また、外パイプ32の開口側一端部32D及び開口側他端部32Eの内部に配置されている内パイプ34の外径は徐々に小さくなる形状となっている。そして、その小径とされた内パイプ34は、外パイプ32の内周面に軸方向に沿って1列に配置された複数(例えば基部32A内に1個、下部32B内に2個、先端部32C内に1個)のブラケット33によって外パイプ32の内部に支持されている。
図6、図7に示されるように、各ブラケット33は、軸方向の断面で略「U」字状に形成された一対の本体部33Aが、その開放側を互いに反対方向に向けた状態で、平板状の連結部33Bによって一体的に接合されて構成されている。そして、内パイプ34(外パイプ32)の径方向における各ブラケット33の一方のフランジ部33Cは、外パイプ32の内周面の一部に溶接等によって固着され、各ブラケット33の他方のフランジ部33Dは、内パイプ34の外周面の一部に溶接等によって固着されている。
したがって、各ブラケット33の一方(径方向外側)のフランジ部33Cは、外パイプ32の内周面に沿った円弧状に形成され、各ブラケット33の他方(径方向内側)のフランジ部33Dは、内パイプ34の外周面に沿った円弧状に形成されている。そして、各ブラケット33により、内パイプ34が外パイプ32の内部に同軸的に配置される構成になっている。
また、外パイプ32の内周面側で、かつ内パイプ34の外周面側には、その内パイプ34全体の外周面を被覆可能に形成されたシート部材50が設けられている。シート部材50は、乗降客が把持する部位であり、撥水性及び抗菌性を有する繊維材又は医療用手袋に使われるゴム材など、比較的伸縮性の低い材料で成形されている。
そして、シート部材50は、外パイプ32の内部に設けられた駆動装置62により、内パイプ34及び外パイプ32の軸方向に移動可能とされている。具体的に説明すると、駆動装置62は、内パイプ34の外周面に支持されたシート部材50に対して摺動抵抗(摩擦)を有する(内パイプ34の外周面とでシート部材50を挟んで移動させる)3個1組の回転部材としてのゴム製のロール(以下「ゴムロール」という)64と、各ゴムロール64をそれぞれ一方向に回転させる駆動モーター66と、で構成されている。
各駆動モーター66は、外パイプ32の内周面にブラケット(図示省略)を介して支持されている。そして、各駆動モーター66の各回転軸66Aが各ゴムロール64の軸心部に同軸的に固定されている。これにより、各ゴムロール64が各駆動モーター66の回転駆動力によって一方向へ同期して回転する構成になっている。なお、3個1組のゴムロール64は、外パイプ32の周方向に等間隔に配置されている。また、ゴムロール64は、周方向に少なくとも3個設けられていればよく、4個以上設けられていてもよい。また、ゴムロール64は、その外周面に凹凸がない方が好ましい。
また、3個1組のゴムロール64及び駆動モーター66で構成される駆動装置62は、外パイプ32の軸方向に所定の間隔を空けて少なくとも2組設けられていればよい。すなわち、この駆動装置62は、例えば外パイプ32の基部32A内と先端部32C内とに少なくとも設けられていればよい。図6には、先端部32C内に設けられた駆動装置62が示されている。
また、図8に示されるように、シート部材50は、その下面に軸方向に沿って設けられたファスナー機構52により、外パイプ32から露出している部分では筒状とされ、外パイプ32の内部に配置されている部分では各ブラケット33を回避可能なように非筒状とされている。
すなわち、シート部材50の下面には、軸方向に沿ってエレメント54が設けられており、そのエレメント54には、一対のスライダー56が互いに逆向きにされて(エレメント54を噛み合わせる側を対向させて)設けられている。そして、各スライダー56は、外パイプ32の開口側一端部32D及び開口側他端部32Eの内周面にそれぞれブラケット(図示省略)を介して固定されている。
したがって、シート部材50が、図8の矢印で示す軸方向に移動すると、その移動方向下流側のスライダー56Aによって相対的にエレメント54の噛み合いが解除され、シート部材50が各ブラケット33を回避して軸方向へ移動可能となる構成になっている(図6、図7参照)。
そして、シート部材50が軸方向に移動すると、その移動方向上流側のスライダー56Bによって相対的にエレメント54が噛み合わされるようになっており、外パイプ32から露出している部分(一部の区間)では、内パイプ34の外周面を周方向全体に亘って被覆する構成になっている。
また、図7に示されるように、外パイプ32の下部32Bにおける内部には、軸方向に移動するシート部材50の外周面に紫外線を照射することで、そのシート部材50を除菌する除菌装置60が設けられている。除菌装置60は、外パイプ32の内周面に取り付けられた複数(例えば3個)の紫外線発光素子(以下、単に「発光素子」という)58で構成されている。
各発光素子58は、外パイプ32の下部32Bにおける内周面に、軸方向に所定の間隔を空けて、例えば千鳥状に配置されている。すなわち、各発光素子58は、外パイプ32の下部32Bの軸方向及び周方向で互いに異なる位置で、かつ軸方向から見たときに周方向で等間隔となる位置に設けられている。
これにより、外パイプ32の内部を軸方向に移動するシート部材50の外周面に対して万遍なく紫外線を照射できる構成になっている。なお、各駆動モーター66及び各発光素子58へは、外パイプ32の内部へ配線されたケーブル26によって給電されるようになっている。
また、各発光素子58の点灯及び消灯と各駆動モーター66の回転及び停止は、バス10に設けられた制御装置(図示省略)によって制御されるようになっている。具体的に説明すると、乗降口16がスライドドア20によって閉鎖されたことを制御装置が認識すると、その制御装置が、各発光素子58へ給電する信号を出して各発光素子58を点灯させるとともに、各駆動モーター66へ給電する信号を出してシート部材50を内パイプ34及び外パイプ32の軸方向へ所定量だけ移動させるようになっている。
ここで言う所定量とは、少なくとも軸方向に移動させる前に外パイプ32から露出していたシート部材50の一部を、外パイプ32の内部へ収容するまで移動させる量のことを指す。換言すれば、ここで言う所定量とは、外パイプ32の内部で紫外線が照射されて除菌されたシート部材50の一部を、外パイプ32から露出している部分(一部の区間)の内パイプ34の外周面が完全に被覆されるまで移動させる量のことを指す。
また、その所定量の移動(移動後の停止も含む)は、制御装置が、各駆動装置62における3個1組のゴムロール64が1回転することによって軸方向に移動させるシート部材50の量を踏まえ、各駆動モーター66の回転数を制御することによって行われる。そして、次に乗降口16がスライドドア20によって開放されることを制御装置が認識すると、その制御装置が、各発光素子58への給電を停止する信号を出して各発光素子58を消灯させるようになっている。
以上のこと(シート部材50を内パイプ34及び外パイプ32の軸方向へ所定量だけ移動させるための駆動モーター66の駆動及び発光素子58の点灯)を乗降口16がスライドドア20によって閉鎖される度に繰り返すことにより、乗降客が乗降時に把持していたシート部材50の一部が常に紫外線によって殺菌(除菌)される構成になっている。なお、各発光素子58の消灯は、次に乗降口16がスライドドア20によって開放されるときではなく、乗降口16がスライドドア20によって閉鎖された状態で、かつ所定の時間が経過した後であってもよい。
以上のような構成とされた本実施形態に係る乗降用手すり30において、次にその作用について説明する。
図9、図10に示されるように、乗降口16が、スライドドア20(半扉20F、20R)によって閉鎖されているときには、乗降用手すり30は、平面視で、そのスライドドア20(図示の場合は半扉20F)にほぼ沿って配置される。具体的には、スライドドア20が乗降口16を閉鎖した状態では、スライド部材40がレール部材36に沿って先端部32C側へスライドしており、シート部材50(内パイプ34)及びレール部材36をスライドドア20に沿って配置させる格納姿勢を取る。
つまり、この乗降用手すり30は、格納姿勢を取ったときには、そのシート部材50(内パイプ34)及びレール部材36が車内(車室側)へ向けて突出することがない。したがって、特に小型のバス10において、乗降用手すり30が設けられていても、その乗車スペースが制限されるのを抑制することができる(乗車スペースを極力確保することができる)。
一方、図11、図12に示されるように、乗降口16が、スライドドア20(半扉20F、20R)によって開放されているときには、乗降用手すり30は、平面視で、車外へ向けて突出される。具体的には、スライドドア20が乗降口16を開放した状態では、スライド部材40がレール部材36に沿って基部32A側へスライドしており、シート部材50(内パイプ34)及びレール部材36を車外(車幅方向外側)へ向けて突出させる展開姿勢を取る。
したがって、乗降客は、バス10に対して乗降する際に、そのシート部材50(内パイプ34)を把持することができ、それによって、バス10に対する乗降がし易くなる(姿勢を安定させて乗降することができる)。特に、降車時は、一方の片足を下ろす瞬間に他方の片足立ちになるため、進行方向前側にシート部材50(内パイプ34)があると、力を入れ易くなって、より姿勢を安定させ易くなる。
また、そのシート部材50(内パイプ34)は、基部32Aの上部から斜め下方側へ延在している。したがって、例えば乗降口16の下部にスロープ18が設けられているバス10の場合、そのスロープ18の傾斜角度θ1とシート部材50(内パイプ34)の傾斜角度θ2とをほぼ揃えられる(背面視で略平行にすることができる)。よって、乗降客がスロープ18を利用して乗降する際に、身体の高さの変化に合わせて手指の高さも変化させることができるため、シート部材50(内パイプ34)を把持しつつ乗降し易くなる(姿勢をより一層安定させて乗降することができる)。
なお、乗降用手すり30が展開姿勢を取ったとき、半扉20Fの前後方向内側端面に取り付けられている弾性体22とシート部材50(内パイプ34)との間には、手指が挿入可能な隙間が充分に確保されるようになっている。そのため、シート部材50(内パイプ34)を把持しつつ乗降する際に、その弾性体22との間に手指が挿入されても(手指が弾性体22に接触したとしても)、その手指が傷付くおそれがない。つまり、乗降客の安全性は確保される。
また、乗降口16がスライドドア20によって閉鎖されたことが制御装置に認識されたときには、その制御装置の制御により、各駆動モーター66が回転駆動され、シート部材50が内パイプ34及び外パイプ32の軸方向に所定量だけ移動するとともに、各発光素子58が点灯される。
ここで、各発光素子58は、外パイプ32の下部32Bにおける内周面に、軸方向に所定の間隔を空けた千鳥状に配置されている(軸方向及び周方向で互いに異なる位置で、かつ軸方向から見たときに周方向で等間隔となる位置に設けられている)。そのため、シート部材50を軸方向に移動させつつ各発光素子58が点灯されると、外パイプ32の下部32B内に収容されたシート部材50へ紫外線が軸方向及び周方向に万遍なく照射される。
これにより、乗降口16がスライドドア20によって閉鎖される以前に乗降客が把持していたシート部材50の外周面が、乗降客がシート部材50を把持しないときにおいて、順次軸方向(下部32B内)へ送られつつ殺菌(除菌)される。しかも、このようなシート部材50に対する殺菌が、乗降口16がスライドドア20によって閉鎖される度に実行される。したがって、バス10に対して次に乗降する乗降客は、常に除菌されて清潔に保たれた状態の(清潔な面に入れ替えられた状態の)シート部材50(内パイプ34)を把持することができる。
そして特に、バス10に乗車している乗客は、シート部材50の軸方向への移動を見知することができるため、そのシート部材50が殺菌(除菌)されていることを認識することができる。したがって、バス10に乗車している乗客は、シート部材50(内パイプ34)を把持することに対する安心感を得ることができ、気兼ねなく(安心して)シート部材50(内パイプ34)を把持することができる。よって、バス10に対する降車時の安全性をより一層高めることができる。
また、駆動装置62が、内パイプ34の外周面に支持されたシート部材50に対して摺動抵抗(摩擦)を有する(内パイプ34の外周面とでシート部材50を挟んで送り出す)3個1組のゴムロール64で構成されている。そして、その3個1組のゴムロール64を備えた駆動装置62が、外パイプ32の軸方向に所定の間隔を空けて少なくとも2組設けられている。したがって、シート部材50は、スムーズに内パイプ34及び外パイプ32の軸方向へ移動される。
また、内パイプ34の外径は、外パイプ32の内部に配置されている部分が、外パイプ32から露出されている部分(一部の区間)よりも小さくなっている。そのため、内パイプ34の外径が、外パイプ32の軸方向全体に亘って外パイプ32から露出されている部分の外径と同一とされている場合に比べて、シート部材50は、外パイプ32の内部を軸方向に移動し易い。
また、逆に言えば、内パイプ34の外径は、外パイプ32から露出されている部分(一部の区間)が、外パイプ32の内部に配置されている部分よりも大きくなっている。つまり、この内パイプ34は、外パイプ32から露出されている部分の剛性が、外パイプ32の内部に配置されている部分の剛性よりも高い。そのため、外パイプ32から露出されている部分の内パイプ34の外周面を被覆しているシート部材50を乗降客が把持し易い(力を入れ易い)。
更に、ファスナー機構52により、シート部材50は、外パイプ32から露出している部分では筒状とされ、外パイプ32の内部に配置されている部分では、ブラケット33を回避可能なように非筒状とされている。したがって、シート部材50は、外パイプ32の内部を軸方向にスムーズに移動し易い。また、乗降客は、内パイプ34の外周面に触れずに、除菌されたシート部材50のみを把持することができる。
また、除菌装置60は、外パイプ32の内部に設けられている。そのため、除菌装置が外パイプ32の外部に設けられている場合に比べて、シート部材50(内パイプ34)を色々な方向から把持することができる。このように、シート部材50に紫外線を照射可能な除菌装置60が設けられる構成であっても、乗降用手すり30としての機能が損なわれることがない。
各発光素子58の点灯後、次に乗降口16がスライドドア20によって開放されることが制御装置に認識されると、その制御装置の制御により、各発光素子58が消灯される。したがって、乗降口16がスライドドア20によって開放されているときにも、各発光素子58が点灯した状態を維持する構成に比べて、バッテリの消耗を抑制することができる。
また、乗降用手すり30は、スライドドア20の一方の半扉(例えば半扉20F)側のみに設けられる構成に限定されるものではない。乗降用手すり30は、スライドドア20の一方の半扉(例えば半扉20F)側と他方の半扉(例えば半扉20R)側の両方に設けられる構成とされていてもよい。
但し、この場合には、半扉20F側に設けられる乗降用手すり30に対して、半扉20R側に設けられる乗降用手すり30は、上下方向にずれて配置される。乗降用手すり30は、その構造上、半扉20F側に設けられているレール部材36の他端部(外パイプ32の先端部32C)が、半扉20R側へ突出し、半扉20R側に設けられているレール部材36の他端部(外パイプ32の先端部32C)が、半扉20F側へ突出するからである。
このように、半扉20R側に設けられる乗降用手すり30が、半扉20F側に設けられる乗降用手すり30に対して上下方向にずれていると、身長の異なる乗降客が、自分の身長に合ったシート部材50(内パイプ34)を選択して把持することができるメリットがある。なお、当然ながら、各乗降用手すり30の位置に合わせて、半扉20F、20Rにそれぞれ取り付けられるスライド部材40の位置も上下方向にずれて配置される。
以上、本実施形態に係る乗降用手すり30について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る乗降用手すり30は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、乗降用手すり30を回動可能に支持する支持部材は、図示のレール部材36に限定されるものではなく、ケーブル26の配線を阻害せず、かつスライド部材40をスライド可能に保持可能になっていれば、任意の構成(形状)を採用して構わない。
また、シート部材50を内パイプ34及び外パイプ32の軸方向に移動させる回転部材も、ゴムロール64に限定されるものではない。回転部材は、内パイプ34の外周面に支持されたシート部材50に対して摺動抵抗(摩擦)を有する構成であれば、例えば回転ギア(図示省略)等で構成されていてもよい。また、除菌装置60は、複数の発光素子58で構成されるものに限定されるものではなく、紫外線を照射可能に構成されていれば、どのような構成のものでもよい。
また、各駆動モーター66の駆動及び各発光素子58の点灯は、制御装置がスライドドア20の閉鎖を認識したことをトリガーとする構成に限定されるものではなく、例えばバス10の運転手による、スライドドア20を閉鎖するスイッチ操作をトリガーとする構成としてもよい。但し、制御装置がスライドドア20の閉鎖を認識したことをトリガーとする構成であると、運転手が乗車していない自動運転バスに適用することが可能となる。
10 バス(車両)
16 乗降口
20 スライドドア(ドア)
30 乗降用手すり
32 外パイプ
33 ブラケット
34 内パイプ
36 レール部材(支持部材)
50 シート部材
52 ファスナー機構
60 除菌装置
62 駆動装置
64 ゴムロール(回転部材)

Claims (6)

  1. 車両の乗降口の周辺に設けられた支持部材に支持されるとともに、一部の区間が除去されることで非環状とされた外パイプと、
    前記外パイプの内部に支持され、一部の区間を前記外パイプから露出させた環状の内パイプと、
    前記内パイプの外周面を被覆可能に形成されるとともに、前記外パイプの内部に設けられた駆動装置により前記内パイプ及び前記外パイプの軸方向に移動可能とされたシート部材と、
    前記外パイプの内部に設けられ、紫外線を照射することで前記シート部材を除菌する除菌装置と、
    を備えた乗降用手すり。
  2. 前記駆動装置は、前記乗降口がドアによって閉鎖される度に駆動して前記シート部材を前記軸方向へ所定量移動させる請求項1に記載の乗降用手すり。
  3. 前記駆動装置は、前記シート部材に対して摺動抵抗を有して前記外パイプの周方向に等間隔に配置された少なくとも3個1組の回転部材で構成され、前記軸方向に所定の間隔を空けて少なくとも2組設けられている請求項1又は請求項2に記載の乗降用手すり。
  4. 前記内パイプの外径は、前記外パイプの内部に配置されている部分が、前記外パイプから露出されている部分よりも小さくなっている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の乗降用手すり。
  5. 前記内パイプは、前記外パイプの内周面に前記軸方向に沿って1列に配置された複数のブラケットによって前記外パイプの内部に支持されており、
    前記シート部材は、ファスナー機構により、前記外パイプから露出している部分では筒状とされ、前記外パイプの内部に配置されている部分では前記ブラケットを回避可能なように非筒状とされている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の乗降用手すり。
  6. 前記支持部材は、車体上下方向を軸方向として前記外パイプを回動可能に支持しており、
    前記外パイプは、ドアが前記乗降口を開放させる動作に伴って、前記支持部材の回転軸を中心に回動することで、車外へ向けて突出され、ドアが前記乗降口を閉鎖する動作に伴って、前記支持部材の回転軸を中心に回動することで、車内へ収容されるように構成されている請求項1~請求項5の何れか1項に記載の乗降用手すり。
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