JP2022036819A - 電動車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022036819000001
【課題】運転者が求める操作感を実現しつつ、ドライバビリティの悪化を抑制すること。
【解決手段】運転者によるシフト装置およびクラッチペダルの操作により選択された変速段モードにおけるトルク特性に基づいて電動機のトルクを制御する手動変速走行モードと、運転者によるシフト装置およびクラッチペダルの操作を必要とせずに電動機のトルクを制御する電動走行モードとを実行可能な電動車両の制御装置であって、電動車両が停車中で前記電動機が停止しているときに、シフト装置がニュートラルポジションにある状態において、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつクラッチペダルが踏み込まれた場合、手動変速走行モードの制御状態で電動機を起動させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、電動車両の制御装置に関する。
特許文献1には、電動機を動力源とする電動車両の制御装置において、変速感を演出するために、車速、アクセル開度、ブレーキ踏み込み量に応じて、電動機のトルクを変動させる制御を実行することが開示されている。
特開2018-166386号公報
特許文献1に記載された構成では、運転席にクラッチペダルやシフトレバーが存在しないため、運転者自身による変速操作が介在しない疑似的な変速制御となる。そのため、MT車両を操作するような運転の楽しさを求める運転者に対しては違和感を与えてしまう。そこで、運転者が求める操作感を実現するために、クラッチペダルとシフトレバーとを電動車両に設けることが考えられる。
また、この電動車両では、クラッチペダルおよびシフトレバーの操作に応じて変速制御を実行する手動変速走行モードと、クラッチペダルおよびシフトレバーの操作を必要とせずに変速制御を実行する電動走行モードとを、運転者自らの切り替え操作によって切り替えることが可能である。しかしながら、走行モードの切り替え操作に関して、運転者が操作を煩わしいと感じ、ドライバビリティが悪化する虞がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、運転者が求める操作感を実現しつつ、ドライバビリティの悪化を抑制することができる電動車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、走行用の電動機と、前記電動機の回転速度に対するトルク特性が段階的に異なる複数の変速段モードのうちのいずれか一つの変速段モードを選択するシフト装置と、運転者により操作されるクラッチペダルと、を備える電動車両において、前記運転者による前記シフト装置および前記クラッチペダルの操作により選択された前記変速段モードにおける前記トルク特性に基づいて前記電動機のトルクを制御する手動変速走行モードと、前記運転者による前記シフト装置および前記クラッチペダルの操作を必要とせずに前記電動機のトルクを制御する電動走行モードとを実行可能な制御装置であって、前記電動車両が停車中で前記電動機が停止しているときに、前記シフト装置がニュートラルポジションにある状態において、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつ前記クラッチペダルが踏み込まれた場合、前記手動変速走行モードの制御状態で前記電動機を起動させることを特徴とする。
本発明では、電動車両が停車中に、運転者がMT車両のエンジン始動操作を行うようにして車両を操作することにより、電動機を起動させることができる。その際、運転者による走行モードの切り替え操作なしに、手動変速走行モードに制御される。そのため、運転者は、MT車両のような操作感で電動車両を操作することができる。これにより、運転者が求める操作感を実現しつつ、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。
図1は、実施形態における電動車両を模式的に示すスケルトン図である。 図2は、制御装置の構成を説明するための機能ブロック図である。 図3は、仮想エンジン出力トルクの算出マップを示す図である。 図4は、トルク伝達ゲインの算出マップを示す図である。 図5は、ギヤ比の算出マップを示す図である。 図6は、運転者によって実行される疑似的な手動変速操作の手順を示す操作フロー図である。 図7は、複数の変速段モードに対応するモータのトルク特性の一例を示す図である。 図8は、モータの起動判定フローを示すフローチャート図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における電動車両の制御装置について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、実施形態における電動車両を模式的に示すスケルトン図である。図1に示すように、電動車両10は、走行用の動力源として、モータ2を備えている。モータ2は、例えば三相交流モータである。モータ2の出力軸3は、ギヤ機構4を介してプロペラシャフト5の一端に接続されている。プロペラシャフト5の他端は、デファレンシャルギヤ6を介して、車両前方のドライブシャフト7に接続されている。電動車両10は、前車輪としての駆動輪8と後車輪としての従動輪12を備えている。駆動輪8は、ドライブシャフト7の両端にそれぞれ設けられる。プロペラシャフト5には、シャフト回転速度Npを検出するための回転速度センサ40が配置されている。
電動車両10は、バッテリ14と、インバータ16と、制御装置50と、を備えている。バッテリ14は、モータ2の駆動に利用する電気エネルギを蓄える。インバータ16は、例えばパルス幅変調処理(PWM:Pulse Width Modulation)を行うことによってバッテリ14に蓄えられている直流電流を三相交流電流に変換する。このインバータ16は、制御装置50から入力される目標駆動トルクに基づいて、モータ2の駆動トルクを制御する機能を有している。つまり、モータ2は制御装置50によって制御される。
また、電動車両10は、運転者が電動車両10に対する動作要求を入力するための動作要求入力装置として、加速要求を入力するためのアクセルペダル22と、制動要求を入力するためのブレーキペダル24と、を備えている。アクセルペダル22には、アクセル開度Pap(%)を検出するためのアクセルポジションセンサ32が設けられている。また、ブレーキペダル24には、ペダル踏込量を検知するブレーキポジションセンサ34が設けられている。アクセルポジションセンサ32およびブレーキポジションセンサ34により検知された信号は、それぞれ制御装置50に出力される。
さらに、電動車両10は、変速用の動作要求入力装置として、シフトレバー26と、クラッチペダル28とを備えている。ただし、この電動車両10は、モータ2により駆動される車両であり、動力源としてのエンジンを備えていないため、MT車両が備える変速機およびクラッチ機構を備えていない。そのため、シフトレバー26およびクラッチペダル28には、実際の変速機およびクラッチ機構を機械的に操作する機能に換えて、以下の機能が与えられている。
シフトレバー26は、モータ2の回転速度に対するトルク特性が段階的に規定された複数の変速段モードの中から運転者が1つの変速段モードを選択するためのシフト装置として機能する。ここでの複数の変速段モードは、MT車両のギヤ段(変速段)を模擬したシフトモードであり、例えば1速(1st),2速(2nd),3速(3rd),4速(4th),5速(5th),6速(6th),およびニュートラル(N)の各変速段モードを含んでいる。各変速段モードのトルク特性は、例えば図7に示すように、MT車両のギヤ段を模擬したトルク特性にプリセットされている。ただし、これらの各変速段モードは、あくまでもMT車両のギヤ段を模擬的に再現したものであるため、実際の固定ギヤ比に対応させるためのトルク特性の制約はない。つまり、複数の変速段モードのそれぞれのトルク特性は、モータ2の出力範囲内であれば自由にプリセットすることができる。
シフトレバー26は、MT車両が備えるシフトレバーを模擬した構造を有している。シフトレバー26の配置および操作感は、実際のMT車両と同等である。シフトレバー26は、トルク特性の異なる複数の変速段モードに対応した各ポジションが設けられている。シフトレバー26には、変速段モードの位置を表すシフトポジションGpを検知するシフトポジションセンサ36が設けられている。シフトポジションセンサ36により検知された信号は、制御装置50に出力される。
クラッチペダル28は、MT車両が備えるクラッチペダルを模擬した構造を有したクラッチ装置として機能する。クラッチペダル28は、運転者がシフトレバー26を操作する際に踏み込まれる。クラッチペダル28の配置および操作感は、実際のMT車両と同等である。クラッチペダル28には、クラッチペダル28の操作量であるクラッチペダル踏込量Pc(%)を検出するためのクラッチポジションセンサ38が設けられている。クラッチポジションセンサ38により検知された信号は、制御装置50に出力される。
また、電動車両10は、走行モードを切り替えるための動作要求入力装置として、走行モード切替部42を備えている。走行モード切替部42は、電動車両10の運転席に着座している運転者が操作することにより、車両の走行モードを切り替える運転切替装置である。走行モード切替部42としては、例えば車両内部のインストルメントパネルに設置される切替ボタンを用いることができる。または、運転者の声を認識する音声認識装置を用いることもできる。このように、走行モード切替部42は運転者による走行モードの切り替え操作を受け付ける。そして、走行モード切替部42が運転者により操作されたことを検知すると、その検知信号は、制御装置50に出力される。
この電動車両10では、制御装置50の制御によって複数の走行モードを実現することが可能である。複数の走行モードには、手動変速走行モードと電動走行モードとが含まれる。手動変速走行モードは、運転者によるシフトレバー26およびクラッチペダル28の操作に応じてモータ2の駆動トルクが制御される走行モードである。電動走行モードは、シフトレバー26とクラッチペダル28の操作によらずにモータ2の駆動トルクが制御される通常の電動走行モード(通常EVモード)である。すなわち、電動走行モードは自動変速走行モードである。そのため、電動走行モードでは、運転者によるシフトレバー26およびクラッチペダル28の操作を必要とせず、運転者によるアクセルペダル22およびブレーキペダル24の操作に応じてモータ2の駆動トルクが制御される。このように、手動変速走行モードではMT車両のような操作感を実現し、電動走行モードではAT車両のような操作感を実現することが可能である。
制御装置50はECU(Electronic Control Unit)である。制御装置(以下、ECUという)50の処理回路は、入出力インタフェース52と、メモリ54と、CPU56とを備えている。入出力インタフェース52は、電動車両10に取り付けられた各種センサからセンサ信号を取り込むとともに、電動車両10が備える各種アクチュエータに対して操作信号を出力する。ECU50が信号を取り込むセンサには、上述した各種センサのほか、電動車両10の制御に必要な各種のセンサが含まれる。ECU50が操作信号を出すアクチュエータには、上述したモータ2等の各種アクチュエータが含まれる。メモリ54には、電動車両10を制御するための各種の制御プログラム、最新のシフトポジションGp、マップ等が記憶されている。CPU56は、制御プログラム等をメモリ54から読み出して実行し、取り込んだセンサ信号に基づいて操作信号を生成する。
ECU50により行われる電動車両10の制御には、駆動輪8に伝達されるトルクを制御するトルク制御が含まれる。ここでのトルク制御では、プロペラシャフト5に伝達されるモータ駆動トルクTpがモータ要求駆動トルクTpreqとなるように、モータ2の駆動トルクを制御する。つまり、ECU50は、電動車両10が備えるトルク制御部として機能する。
このECU50は、モータ2のトルク制御において、電動車両10の走行状態が仮想のエンジンおよび変速機を搭載したMT車両により実現されていると仮定した演算を行う。そのために、ECU50は、変速機から出力される変速機出力トルクTgoutを算出し、算出された変速機出力トルクTgoutをモータ要求駆動トルクTpreqとして使用する。なお、以下の説明では、電動車両10に仮想的に搭載されたエンジンを「仮想エンジン」と記載し、仮想エンジンのエンジン出力トルクを「仮想エンジン出力トルクTeout」と記載し、仮想エンジンの回転速度を「仮想エンジン回転速度Ne」と記載する。
図2は、制御装置の構成を説明するための機能ブロック図である。ECU50は、モータ2のトルク制御に関連する機能ブロックとして、仮想エンジン回転速度算出部500と、仮想エンジン出力トルク算出部502と、トルク伝達ゲイン算出部504と、クラッチ出力トルク算出部506と、ギヤ比算出部508と、変速機出力トルク算出部510と、判定部512とを備えている。
例えば電動車両10の走行中、ECU50は、運転状態に基づいて仮想エンジン回転速度Neを動的に演算している。具体的には、ECU50は、プロペラシャフト5のシャフト回転速度Npと、シフトポジションGpに対応するギヤ比(変速比)rと、クラッチペダル踏込量Pc等から演算されるクラッチ機構のスリップ率slipとを用いた下式(1)から、走行中の仮想エンジン回転速度Neを逆算する。
Ne=Np×(1/r)×slip・・・(1)
なお、仮想エンジンから出力されたエネルギのうち、プロペラシャフト5へのトルク伝達に使用されない運動エネルギが、仮想エンジン回転速度Neの上昇に使用されたと仮定することができる。そこで、仮想エンジン回転速度Neは、運動エネルギをベースとした運動方程式に基づいて動的に算出する方法でもよい。
また、MT車両を想定した際、MT車両のアイドリング中は、エンジン回転速度を一定回転速度に維持するアイドルスピードコントロール制御(ISC制御)が行われる。そこで、ECU50は、仮想エンジンでのISC制御を考慮して、例えばシャフト回転速度Npが0(ゼロ)であり、かつアクセル開度Papが0%であるときは、仮想エンジンがアイドリング中であることを想定して、仮想エンジン回転速度Neを所定のアイドリング回転速度(例えば1000rpm)として出力する。算出された仮想エンジン回転速度Neは、仮想エンジン出力トルク算出部502に出力される。
仮想エンジン出力トルク算出部502は、仮想エンジン出力トルクTeoutを算出する処理を実行する。仮想エンジン出力トルク算出部502には、アクセル開度Papと仮想エンジン回転速度Neが入力される。ECU50のメモリ54は、仮想エンジン回転速度Neに対する仮想エンジン出力トルクTeoutがアクセル開度Pap毎に規定されたマップを記憶している。そのマップの一例が図3に示されている。仮想エンジン出力トルク算出部502では、図3に示すマップを用いて、入力されたアクセル開度Papと仮想エンジン回転速度Neに対応する仮想エンジン出力トルクTeoutが算出される。算出された仮想エンジン出力トルクTeoutは、クラッチ出力トルク算出部506に出力される。
トルク伝達ゲイン算出部504は、トルク伝達ゲインkを算出する処理を実行する。トルク伝達ゲインkは、仮想エンジンに接続されたクラッチ機構を操作するためのクラッチの踏込量に応じたトルク伝達度合を演算するためのゲインである。トルク伝達ゲイン算出部504には、クラッチペダル踏込量Pcが入力される。ECU50のメモリ54は、クラッチペダル踏込量Pcに対するトルク伝達ゲインkが規定されたマップを記憶している。そのマップの一例が図4に示されている。トルク伝達ゲインkは、図4に示すように、クラッチペダル踏込量Pcがpc0からpc1の範囲では1となり、クラッチペダル踏込量PcがPc1からPc2の範囲では、クラッチペダル踏込量Pcが増大するほど0に向かって徐々に減少し、クラッチペダル踏込量PcがPc1からPc2の範囲では0となるように規定されている。ここで、Pc0はクラッチペダル踏込量Pcが0%の位置に対応し、Pc1はPc0からの踏み込み時の遊び限界の位置に対応し、Pc3はクラッチペダル踏込量Pcが100%の位置に対応し、Pc2はPc3からの戻し時の遊び限界の位置に対応している。トルク伝達ゲイン算出部504では、図4に示すマップを用いて、入力されたクラッチペダル踏込量Pc対応するトルク伝達ゲインkが算出される。算出されたトルク伝達ゲインkは、クラッチ出力トルク算出部506に出力される。
クラッチ出力トルク算出部506は、クラッチ出力トルクTcoutを算出する処理を実行する。クラッチ出力トルクTcoutは、仮想エンジンに接続されたクラッチ機構から出力されるトルクである。トルク伝達ゲイン算出部504には、仮想エンジン出力トルクTeoutとトルク伝達ゲインkが入力される。クラッチ出力トルク算出部506では、仮想エンジン出力トルクTeoutにトルク伝達ゲインkを乗算する下式(2)を用いて、クラッチ出力トルクTcoutが算出される。算出されたクラッチ出力トルクTcoutは、変速機出力トルク算出部510に出力される。
Tcout=Teout×k・・・(2)
なお、実際のクラッチ機構は、バネやダンパ等の減衰装置を含むことが多い。このため、クラッチ出力トルクTcoutは、各々の特性を加味して動的な伝達トルクを算出してもよい。
ギヤ比算出部508は、ギヤ比rを算出する処理を実行する。ギヤ比rは、複数の変速段モードに対応するモータ2のトルク特性であり、変速機のギヤ比を模擬したものである。ギヤ比算出部508には、シフトポジションGpが入力される。ECU50のメモリ54は、シフトポジションGpに対するギヤ比rが規定されたマップを記憶している。そのマップの一例が図5に示されている。ギヤ比rは、図5に示すように、シフトポジションGpがハイギヤであるほどギヤ比rが低くなるように規定されている。ギヤ比算出部508では、図5に示すマップを用いて、入力されたシフトポジションGp対応するギヤ比rが算出される。算出されたギヤ比rは、変速機出力トルク算出部510に出力される。
変速機出力トルク算出部510は、変速機出力トルクTgoutを算出する処理を実行する。変速機出力トルクTgoutは、変速機から出力されるトルクである。変速機出力トルク算出部510には、クラッチ出力トルクTcoutとギヤ比rが入力される。変速機出力トルク算出部510では、クラッチ出力トルクTcoutにギヤ比rを乗算する下式(3)を用いて、変速機出力トルクTgoutが算出される。
Tgout=Tcout×r・・・(3)
判定部512は、手動変速走行モードでモータ2を起動するか否かを判定する処理を実行する。すなわち、この判定部512は、モータ2の起動タイミングと同時に走行モードを手動変速走行モードに設定するか否かを判定する。つまり、ECU50は、運転者がMT車両のような操作感で、モータ2を起動し、かつ手動変速走行モードに設定するか否かを判定することができる。
このようにECU50は、トルク制御において、仮想エンジン出力トルク算出部502、トルク伝達ゲイン算出部504、クラッチ出力トルク算出部506、ギヤ比算出部508、および変速機出力トルク算出部510における処理を順に実行する。そして、算出された変速機出力トルクTgoutは、モータ要求駆動トルクTpreqとしてインバータ16へ出力される。インバータ16では、モータ駆動トルクTpが算出されたモータ要求駆動トルクTpreqに近づくように、モータ2への指令値を制御する。トルク制御では、このような処理が所定の制御周期で繰り返し実行されることにより、モータ駆動トルクTpがモータ要求駆動トルクTpreqに制御される。
電動車両10の運転者は、手動変速走行モードを選択した状態で、運転中の任意のタイミングで手動変速動作を行う。図6は、運転者によって実行される疑似的な手動変速動作の手順を示す動作フロー図である。図6に示すように、電動車両10において運転者が疑似的な手動変速動作を行う場合、運転者は、まずクラッチペダル28踏み込む(ステップS101)。クラッチペダル踏込量PcがPc1を超えると、クラッチペダル踏込量Pcが大きくなるにつれてクラッチ出力トルクTcoutが0に向かって変化する。そして、クラッチペダル踏込量PcがPc2を超えると、クラッチ出力トルクTcoutが0になる。このようなクラッチペダル28の踏み込み動作によれば、クラッチペダル28の踏み込み動作に対応してモータ駆動トルクTpが0に向かって変化するので、運転者は、MT車両のクラッチペダルを踏み込んだときにトルクが抜ける感覚を実感することができる。
次に、運転者は、クラッチペダル28を踏み込んだ状態でシフトレバー26を操作する(ステップS102)。例えば、シフトレバー26の変速段モードが1速から2速に操作される。このようなクラッチペダル28の踏み込みを伴うシフトレバー26の操作によれば、運転者は、MT車両の手動変速動作に近い感覚(操作感)を得ることができる。
その後、運転者は、クラッチペダル28を戻す(ステップS103)。クラッチペダル踏込量PcがPc3を下回ると、クラッチペダル踏込量Pcが小さくなるにつれてクラッチ出力トルクTcoutが仮想エンジン出力トルクTeoutに向かって変化する。そして、クラッチペダル踏込量PcがPc1を下回ると、クラッチ出力トルクTcoutが仮想エンジン出力トルクTeoutになる。このようなクラッチペダル28の戻し動作によれば、クラッチペダル28の戻し動作に対応してモータ駆動トルクTpが現在のモードが反映されたモータ駆動トルクTpに向かって変化するので、運転者は、MT車両のクラッチペダルを戻したときのトルクが繋がる感覚を実感することができる。
このように、電動車両10によれば、クラッチペダル28の操作に応じてトルクが変化するので、運転者は手動変速動作によるMT車両の独特の変速感を疑似的に体感することができる。
また、電動車両10では、運転者が求める操作感を実現するとともに、走行モード切り替え操作の煩雑さを解消するために、MT車両のような操作を受け付けることにより、手動走行モードでモータ2を起動することができる。
図8は、モータの起動判定フローを示すフローチャート図である。なお、図8に示す制御は、モータ2が停止している状態においてECU50によって繰り返し実行される。
ECU50は、手動変速走行モードでのモータ起動条件が成立したか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201では、電動車両10が停車中に、シフトレバー26がニュートラルポジション(Nレンジ)に位置する状態において、ブレーキペダル24が踏み込まれ、かつクラッチペダル28が踏み込まれたか否かが判定される。手動変速走行モードでのモータ起動条件とは、電動車両10が停車中であること、シフトレバー26がニュートラルポジションに位置すること、運転者によるブレーキペダル24の踏み込みがあること、運転者によるクラッチペダル28の踏み込みがあること、これら全てを満たす場合のことである。
手動変速走行モードでのモータ起動条件が成立しない場合(ステップS201:No)、この制御ルーチンは終了する。
手動変速走行モードでのモータ起動条件が成立した場合(ステップS201:Yes)、ECU50は、手動変速走行モードでモータ2を起動する(ステップS202)。ステップS202では、モータ2を起動するとともに、運転者による走行モード切替部42への切り替え操作なしに、手動変速走行モードに設定する。要するに、モータ2の起動操作が手動変速走行モードの設定操作を兼ねることになる。また、モータ2の起動状態は、走行用の駆動トルクを出力可能な準備状態である。このステップS202の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
以上説明した通り、実施形態によれば、手動変速走行モードでのモータ起動が可能になるため、運転者が求める操作感を実現するとともに、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。
なお、モータ2を起動する前に走行モード切替部42を操作可能な場合には、走行モードが電動走行モードと手動変速走行モードとのどちらに選択された状態であっても、上述したステップS202の処理を実施することにより、モータ起動と手動変速走行モードの設定とが併せて行われる。つまり、走行モード切替部42により電動走行モードが選択された状態で、ステップS202の処理を実施すると、走行モードが電動走行モードから手動変速走行モードに自動で切り替わることになる。そのため、ステップS202の処理を実施する際、電動車両10に設けられたカーナビ装置やオーディオ装置などから、走行モードが手動変速走行モードに設定されたことを示す情報を運転者に報知する。さらに、ECU50の制御により、電動車両10のコントロールパネルに、現在設定されている走行モードが手動変速走行モードか電動走行モードかを識別できる情報を表示する。
また、手動走行モードでのモータ起動条件は、運転者がブレーキペダル24を踏み込んでいることにより電動車両10が停止している場合を含んでもよい。すなわち、手動変速走行モードでのモータ起動条件は、既に停車中の電動車両10において、ブレーキペダル24が踏み込まれていない状態からブレーキペダル24が踏み込まれた状態に移行した場合に限定されない。
2 モータ
10 電動車両
22 アクセルペダル
24 ブレーキペダル
26 シフトレバー(シフト装置)
28 クラッチペダル(クラッチ装置)
32 アクセルポジションセンサ
36 シフトポジションセンサ
38 クラッチポジションセンサ
42 走行モード切替部
50 制御装置(ECU)
512 判定部

Claims (1)

  1. 走行用の電動機と、
    前記電動機の回転速度に対するトルク特性が段階的に異なる複数の変速段モードのうちのいずれか一つの変速段モードを選択するシフト装置と、
    運転者により操作されるクラッチペダルと、
    を備える電動車両において、
    前記運転者による前記シフト装置および前記クラッチペダルの操作により選択された前記変速段モードにおける前記トルク特性に基づいて前記電動機のトルクを制御する手動変速走行モードと、前記運転者による前記シフト装置および前記クラッチペダルの操作を必要とせずに前記電動機のトルクを制御する電動走行モードとを実行可能な制御装置であって、
    前記電動車両が停車中で前記電動機が停止しているときに、前記シフト装置がニュートラルポジションにある状態において、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつ前記クラッチペダルが踏み込まれた場合、前記手動変速走行モードの制御状態で前記電動機を起動させる
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
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