JP2022035992A - 積層体およびこれを用いたデバイス並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機材料を含む層とシロキサン化合物および金属酸化物を含む層との積層体において、前記有機材料を含む層とシロキサン化合物および金属酸化物を含む層とが剥がれにくい積層体を提供する。【解決手段】有機材料を含む層(1)と、前記有機材料を含む層(1)に接して、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、前記シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)に接して、前記金属酸化物を含む層(3)と、を有する積層体によって上記課題を解決した。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体およびこれを用いたデバイス並びにこれらの製造方法に関する。
従来、常温で基材表面にセラミックス層を形成する方法としてエアロゾルデポジッション法(AD法)が知られている。AD法はセラミックスコーティングを施す基材としてステンレス鋼や鉄などの金属材料やガラスが一般であるが、近年、樹脂材料へのセラミックスコーティング技術が開発されている(特許文献1~2)。
樹脂材料へのセラミックコーティングが樹脂ケースや窓材などへのハードコーティングを目的とするとき、樹脂基材に対するセラミック材料の接着性が十分であることが必要とされる。また、セラミックコーティング膜はバルクセラミックの性能に見合う強靱性が求められる。こうした樹脂材料へのセラミックコーティング技術を工業製品へ適応するとき、接着性とコーティング表面の強靱性を高める課題が残されていた。
この樹脂材料がOPC、OLED、OPVのような有機電子デバイスの表面材料であるとき、これらの基材にセラミックスコーティングを行うことでデバイスの機能が消失することは許容されない。また、コーティングしたセラミックス材料が基材から容易に除去されることも許容されない技術課題となる。
有機電子デバイスとして最も成熟されたものにOPCを挙げることができる。設計自由度が高く、簡単な設備で製造できるためOPCは全感光体の100%近くを占めている。しかし、OPCの耐久寿命はアモルファスシリコン感光体のような無機感光体と比べると一段も二段も短い。その分だけ多くの数量のOPCが廃棄され、そして生産されている。
最近、10年に一度の災害といった気候変動が常態化し、その元凶とも言えるCOの排出量は社会課題として削減すべき重大な問題である。デバイスの脆弱性故に莫大な数量の廃棄と生産によってもたらされるCO排出量は最早、放置することはできず、他のデバイスに対しても高耐久で長寿命化技術の適用が必要である。
本発明の目的は、有機材料を含む層、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層および金属酸化物を含む層の積層体において、前記金属酸化物を含む層が高い強度を有し、耐久性に優れる積層体を提供することにある。
上記課題は、下記構成1)により解決される。
1)有機材料を含む層(1)と、
前記有機材料を含む層(1)に接して、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、
前記シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)に接して、前記金属酸化物を含む層(3)と、
を有する積層体。
本発明によれば、有機材料を含む層、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層および金属酸化物を含む層の積層体において、前記金属酸化物を含む層が高い強度を有し、耐久性に優れる積層体を提供することができる。
本発明の感光体の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。 エアロゾルデポジッション装置を説明するための概略図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明の画像形成方法および画像形成装置の実施形態を説明するための図である。 本発明の積層体の断面写真の一例である。 本発明の積層体断面の炭素の分布を表す一例である。 本発明の積層体断面の珪素の分布を表す一例である。 本発明の積層体断面のアルミニウムの分布を表す一例である。 積層体断面の下塗り層の様相を表す一例である。
以下、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
本発明の積層体は、有機材料を含む層(1)と、前記有機材料を含む層(1)に接して、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、前記シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)に接して、前記金属酸化物を含む層(3)と、を有する。
AD法による有機材料へのセラミックスコーティングを施すとき、有機材料のエロージョンを制御することに加え、有機材料とセラミックス材料との接着性が重要となる。接着性はアンカリングと称するセラミック材料が基材へ食い込むことにより界面に凹凸形状を形成することで楔のような作用を期待することが多い。このときセラミックスに由来する強度はこの接着性に影響を受けることがある。
有機材料に直接AD法を適用するとエアロゾル粉体の衝突によるエロージョンばかりが進行するため、エアロゾル粉体のデポジッションを成長する下塗り層を設けると良い。
下塗り層はシロキサン化合物を用いるのが良く、本発明の実施例に用いる材料がこのデポジッションの促進に有利である。
デバイスの実用化に際して上記接着性の改良は特に重要な課題となる。この課題に対し、アンカリングと称する僅かな凹凸形成を下塗り層全体に亘らせることが有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。図10はこの態様の一例を表す電子顕微鏡による断面写真である。有機デバイスであるOPCの上に下塗り層と薄皮の様なセラミックス層が形成されている。この図10を対象にエネルギー分散形X線分析装置(EDS)による元素分析を行った結果を図11~図13に示す。この図の順に、炭素、珪素、およびアルミニウムの分布を表している。炭素はOPC表面の有機材料に由来するものであり、珪素は下塗り層の塗料に含まれるシロキサン化合物に由来するものであり、アルミニウムはAD法で成膜したセラミックス層の材料であるアルミン酸銅に由来するものである。アルミニウムが下塗り層全体に分布していることが判る。
電子顕微鏡写真の観察条件を工夫することでこれらの分布を観察することも可能である。図14はその一例を表し、下塗り層と有機材料の界面にセラミックス層材料が局在している様相が観察される。
本発明の積層体は、光電変換素子、有機感光体(OPC)、画像形成方法、画像形成装置、有機EL素子(OLED)、有機薄膜太陽電池(OPV)等に好適に適用される。
本発明の積層体は、上述のように、有機材料を含む層(1)と、前記有機材料を含む層(1)に接して、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、前記シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)に接して、前記金属酸化物を含む層(3)と、を有するものであるが、例えば上記の素子のうちOPCは、支持体上に光電変換層としての有機材料を含む層(1)と、下塗り層としてのシロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、セラミックス膜としての金属酸化物を含む層(3)と、を含み、かつ前記下塗り層はシロキサン化合物を含むことを特徴とする。
まず最初に、本発明の積層体の適用例を、OPC(以下、本発明の感光体と呼ぶことがある)を例に取り説明するが、本発明は下記形態に制限されるものではない。
(感光体)
感光体において、光電変換層は感光層として構成し、支持体は導電性支持体として構成することが好ましい。また、本発明の感光体は有機感光体であることが好ましい。
図1は、本発明の感光体の一実施形態を説明するための模式断面図である。
図1において、感光体1は、導電性の支持体201上に感光層202(上記層(1))を設け、さらにその上に下塗り層208(上記層(2))および表面層209(上記層(3))を順次設けてなる。上述のように、本発明の感光体1は、表面層209がセラミックス膜であり、かつ下塗り層208がシロキサン化合物を含むことを特徴としている。
図2は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図2の感光体1は、感光層が電荷発生層(CGL)203と、電荷輸送層(CTL)204とから構成される機能分離型タイプのものである。
図3は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図3の感光体1は、図2に示す機能分離型タイプの感光体において、支持体201と電荷発生層(CGL)203との間に、下引き層205を設けたものである。
図4は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図4の感光体1は、図3に示す機能分離型タイプの感光体において、電荷輸送層(CTL)204上に保護層206を設けたものである。
図5は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図5の感光体1は、図4に示す機能分離型タイプの感光体において、支持体201と下引き層205との間に、中間層207を設けたものである。
なお本発明の感光体は、上記各実施形態に制限されず、例えば、図6に示すように、導電性の支持体201上に、中間層207、電荷発生層203、電荷輸送層204、下塗り層208及び表面層209をこの順に設け、感光体1としてもよい。
本発明の感光体は、有機感光体の有する優れた帯電性を有し、表面層がセラミックス膜であることから、無機感光体に匹敵する優れた耐摩耗性を有し、さらに下塗り層がシロキサン化合物を含むことから優れたガスバリア性を有し、このことから耐久性に優れるとともに、画像品質にも優れる。
とくに、感光体がシロキサン化合物を含む下塗り層を有することにより、ガス透過性が大きく強度の弱い感光層を緻密な無機膜で覆うことができ、ガスバリア性が高められる。更に、本発明における下塗り層は、有機材料と比べて力学的強度が非常に高く、感光体の耐摩耗性を格段に高めることができる。
<感光層>
前記感光層としては、複層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
<<複層型感光層>>
前記複層型感光層は、上述したように、電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有し、更に必要に応じて、その他の層を有してなる。
-電荷発生層-
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機系材料と有機系材料とのいずれかを用いることができる。例えば、結晶セレン、アモルファス-セレン、セレン-テルル、セレン-テルル-ハロゲン、セレン-ヒ素化合物、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、カルバゾール骨格、トリフェニルアミン骨格、ジフェニルアミン骨格、フルオレノン骨格のずれかを有するアゾ顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法、溶液分散系からのキャスティング法等が挙げられる。
前記電荷発生層塗工液に用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記電荷発生層の厚みは、通常、0.01~5μmが好ましく、0.05~2μmがより好ましい。
-電荷輸送層-
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送物質または増感色素を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質、高分子電荷輸送物質、などが挙げられる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、2,4,7-トリニトロ-9-フルオレノン、1,3,7-トリニトロジベンゾチオフェン-5,5-ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、α-フェニルスチルベン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。例えば、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体などが例示される。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが用いられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
増感色素としては、公知の金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物等が挙げられる。
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質または増感色素及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質または増感色素及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の厚みは、5~100μmが好ましく、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5~30μmがより好ましい。
<<単層型感光層>>
前記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂としては、前記積層型感光層と同様な材料を用いることができる。
キャスティング法により単層型感光層を設ける場合、多くの場合、かかる単層型感光層は、電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、前記単層型感光層には、更に必要により、可塑剤、バインダー樹脂を含有することができる。前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層と同様のバインダー樹脂を用いることができ、その他として、前記電荷発生層と同様のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
前記単層型感光層の厚みは、5~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましい。前記厚みが5μm未満であると帯電性が低下することがあり、100μmを超えると感度の低下をもたらすことがある。
<支持体>
前記支持体としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性を有するものを用いることができる。支持体としては、例えば、導電体又は導電処理をした絶縁体が好適であり、例えば、Al、Ni等の金属、又はそれらの合金;ポリエステル、ポリカーボネート等の絶縁性基体上にAl等の金属、あるいはIn、SnO等の導電材料の薄膜を形成したもの;樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙、などが挙げられる。
前記支持体の形状、大きさとしては、特に制約はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できる。
前記支持体と前記感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。前記下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
前記下引き層は、一般に樹脂を主成分とする。これらの樹脂は例えば、ポリビニルアルコール、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド-メラミン樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1~10μmが好ましく、1~5μmがより好ましい。
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることがある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン-ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができる。
本発明の感光体においては、必要に応じて前記支持体上に、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために中間層を設けてもよい。該中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド-メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
<下塗り層>
前記下塗り層は、シロキサン化合物を含むものであり、シロキサン化合物は、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を架橋させてなるものである。
シロキサン化合物はセラミックス膜からなる表面層を感光体表面に定着させることができるとともにガスバリア性を高め、更に耐摩耗性を格段に高めることができる。
-シロキサン化合物-
前記シロキサン化合物は、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を架橋させてなり、更に必要に応じて触媒、架橋剤、オルガノシリカゾル、シランカップリング剤、アクリルポリマー等の重合体などを含むことができる。
前記架橋は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱架橋が好ましい。
前記水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物としては、例えば、アルコキシシリル基を有する化合物、アルコキシシリル基を有する化合物の部分加水分解縮合物、又はこれらの混合物などが挙げられる。
前記アルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、などが挙げられる。なお、これらの化合物に、エポキシ基、メタクリロイル基、又はビニル基を導入したものも使用可能である。
前記アルコキシシリル基を有する化合物の部分加水分解縮合物は、前記アルコキシシリル基を有する化合物に所定量の水、触媒等を添加して反応させる公知の方法により製造可能である。
前記シロキサン化合物の原料としては、市販品を用いることができ、具体的には、GR-COAT(ダイセル化学工業社製)、Glass Resin(オーエンスコーニング社製)、ヒートレスグラス(大橋化学工業社製)、NSC(日本精化社製)、ガラス原液GO150SX、GO200CL(ファイングラステクノロジー社製)、アルコキシシリル化合物にアクリル樹脂やポリエステル樹脂を共重合したものとして、MKCシリケート(三菱化学社製)、シリケート/アクリルワニスXP-1030-1(大日本色材工業社製)、X-40-9250(信越化学株式会社製)、KR-401(信越化学株式会社製)などが挙げられる。なお、シロキサン化合物の原料を硬化性シロキサン樹脂と称することがある。
中でも、本発明の効果向上の観点から、前記シロキサン化合物は、下記構造を含むことが好ましい。
Figure 2022035992000002
下塗り層の厚さは、0.01μm以上4.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上4.0μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上2.5μm以下であることがさらに好ましい。また、0.1μm以上であることが好ましい。これらの中でも、0.01μm以上2.5μm以下であることが特に好ましい。
なお、下塗り層に含まれる金属酸化物は、AD法におけるエアロゾル粉体に由来するものである。
<表面層>
本発明の感光体における表面層は、セラミックス膜からなる。
前記セラミックス膜を構成するセラミックスは、一般に、金属を焼成して得られる金属酸化物である。前記セラミックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物などが挙げられる。前記セラミックスは、透明導電性酸化物を含むことが好ましく、透明導電性酸化物としては、セラミックス半導体であることが好ましい。また、透明導電性酸化物はデラフォサイトやペロブスカイトを含むことが好ましく、デラフォサイトは銅アルミニウム酸化物、銅クロム酸化物、銅ガリウム酸化物を含むことが好ましい。ペロブスカイトは、有機化合物と無機化合物の複合物質であり、以下の一般式(1)で表わすことができる。
XαYβMγ ・・・一般式(1)
上記の一般式(1)において、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。また、例えば、Xはハロゲンイオン、Yはアルキルアミン化合物イオン、Mは金属イオンなどとすることができる。
<セラミックス半導体>
前記セラミックス半導体とは、セラミックスの中でも酸素欠損等で通常の電子配置に一部欠陥を有するものを指し、前記電子配置の欠陥によって特定条件下で導電性が発現する化合物の総称である。本発明における表面層は、金属酸化物含有層であることが好ましく、前記金属酸化物含有層とは、前記電子配置の欠陥によって特定条件下で導電性が発現する特徴を有し、且つセラミックス半導体成分が間隔を置かずに緻密に配置された層であり、有機化合物を含まない層と定義する。前記金属酸化物含有層は、デラフォサイトを含むことが好ましい。さらに、本発明においては、正孔又は電子のいずれかの電荷の移動性を有することが好ましい。前記金属酸化物含有層の電界強度2×10-4V/cmにおける電荷移動度としては、1×10-6cm/Vsec以上が好ましい。本発明においては電荷移動度が高いほど好ましい。ここで、前記電荷移動度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて一般的な測定方法を適宜選択することができ、例えば、特開2010-183072号公報に記載されている手順でサンプル作製と測定を行う方法が挙げられる。また、前記金属酸化物含有層の厚みを含めたバルク抵抗としては、1×1013Ω未満が好ましい。
-デラフォサイト-
前記デラフォサイト(以下、「p型半導体」、「p型金属化合物半導体」と称することがある)としては、p型半導体としての機能があれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p型金属酸化物半導体、一価の銅を含むp型化合物半導体、その他のp型金属化合物半導体などが挙げられる。前記p型金属酸化物半導体としては、例えば、CoO,NiO,FeO,Bi,MoO,MoS,Cr、SrCu,CaO-Alなどが挙げられる。前記一価の銅を含むp型化合物半導体としては、例えば、CuI,CuInSe,CuO,CuSCN,CuS,CuInS,CuAlO,CuAlO,CuAlSe,CuGaO,CuGaS,CuGaSeなどが挙げられる。前記その他のp型金属化合物半導体としては、例えば、GaP,GaAs,Si,Ge,SiCなどが挙げられる。
なお本発明の効果向上の観点から、デラフォサイトは銅アルミニウム酸化物であることが好ましく、該銅アルミニウム酸化物はCuAlOであることがさらに好ましい。
[セラミックス膜の作製]
前記セラミックス膜の作製方法(成膜方法)としては、特に制限はなく、目的に応じて、一般に用いられている無機材料の成膜方法を適宜選択することができ、例えば、気相成長法、液相成長法、固相成長法などが挙げられる。前記気相成長法としては、例えば、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)とに分類される。前記物理的気相成長法としては、例えば、真空蒸着、電子ビーム蒸着、レーザブレーション法、レーザブレーションMBE、MOMBE、反応性蒸着、イオンプレーティング、クラスタイオンビーム法、グロー放電スパッタリング、イオンビームスパッタリング、反応性スパッタリングなどが挙げられる。前記化学的気相成長法としては、例えば、熱CVD法、MOCVD、RFプラズマCVD、ECRプラズマCVD、光CVD、レーザCVDなどが挙げられる。前記液相成長法としては、例えば、LPE法、電気メッキ法、無電界メッキ法やコーティング法などが挙げられる。前記固相成長法としては、例えば、SPE、再結晶法、グラフォエピタキシ、LB法、ゾルゲル法、エアロゾルデポジッション(AD)法などが挙げられる。
これらの中でも、電子写真感光体のような比較的大面積領域に均質な膜を製膜できるということや、電子写真感光体特性に影響を与えないようにする点で、AD法が好ましい。
-エアロゾルデポジッション(AD)法-
前記エアロゾルデポジッション(AD)法とは、予め準備された微粒子、乃至超微粒子をガスと混合してエアロゾル化し、ノズルを通して製膜対象物(基板)に噴射して被膜を形成する技術である。前記AD法の特徴として、常温環境での製膜が可能であり、原材料の結晶構造をほぼ維持した状態で製膜を行えることから光電変換デバイス(特に、電子写真感光体)上での製膜に適している。
前記エアロゾルデポジッション法によってセラミックス膜を形成する方法について説明する。
図7は、エアロゾルデポジッション装置を説明するための概略図である。
図7に示すガスボンベ111には、エアロゾルを発生させるための不活性な気体が貯蔵されている。ガスボンベ111は、配管112aを介してエアロゾル発生器113に連結され、配管112aは、エアロゾル発生器113の内部に引き出されている。エアロゾル発生器113の内部には、本発明におけるセラミックス膜を形成するための材料である、一定量の粒子120が投入される。エアロゾル発生器113に連結されるもう1つの配管112bは成膜チャンバー114の内部で噴射ノズル115に接続される。
成膜チャンバー114の内部において、基板ホルダ117には、噴射ノズル115に対向するように基板116が保持される。ここでは、基板116としてアルミニウム箔(正極集電体)が用いられる。成膜チャンバー114には、成膜チャンバー114内の真空度を調整するための排気ポンプ118が配管112cを介して接続される。
図示は省略するが、基板ホルダ117を横方向(基板ホルダ117において噴射ノズル115に対向する平面内の横方向)に移動させ、噴射ノズル115を縦方向(基板ホルダ117において噴射ノズル115に対向する平面内の縦方向)に一定速度で移動させる機構を備える。基板ホルダ117を横方向に、かつ噴射ノズル115を縦方向に移動させながら成膜を行うことにより、基板116の上に、所望の面積のセラミックス膜を形成することができる。
セラミックス膜を形成する工程では、まず、圧空バルブ119を閉じ、排気ポンプ118で成膜チャンバー114からエアロゾル発生器113までを真空引きする。次に、圧空バルブ119を開くことにより、配管112aを通じてガスボンベ111内の気体をエアロゾル発生器113に導入し、粒子120を容器内に撒き上げ、気体中に粒子120が分散した状態のエアロゾルを発生させる。発生したエアロゾルは、配管112bを通じてノズル115より基板116に向けて高速で噴射される。圧空バルブ119を開いた状態で0.5秒間経過すると、次の0.5秒間は圧空バルブ119を閉じる。その後、再び圧空バルブ119を開き、0.5秒間の周期で圧空バルブ119の開閉を繰り返す。ガスボンベ111からの気体の流量は2リットル/分間、成膜時間は7時間とし、圧空バルブ119が閉じている時の成膜チャンバー114内の真空度を10Pa程度とし、圧空バルブ119が開いている時の成膜チャンバー114内の真空度を100Pa程度とする。
エアロゾルの噴射速度は、ノズル115の形状、配管112bの長さや内径、ガスボンベ111のガス内圧、排気ポンプ118の排気量(成膜チャンバー114の内圧)などにより制御される。例えば、エアロゾル発生器113の内圧を数万Paとし、成膜チャンバー114の内圧を数十から数百Paとし、ノズル115の開口部の形状を内径1mmの円形状とした場合、エアロゾル発生器113と成膜チャンバー114との内圧差により、エアロゾルの噴射速度を数百m/秒間とすることができる。成膜チャンバー114の内圧を5Pa~100Paに、エアロゾル発生器113の内圧を50,000Paに保てば、空孔率5%~30%のセラミックス膜を形成することができる。この条件でエアロゾルを供給する時間を調整することにより、セラミックス膜の平均厚みを調整することができる。
セラミックス膜の厚さは、0.1μm~10μmが好ましく、0.5μm~5.0μmがさらに好ましい。
加速されて運動エネルギーを得たエアロゾル中の粒子120が基板116である感光体に衝突して、衝撃エネルギーで細かく破砕される。そして、これらの破砕粒子が基板(感光体)116に接合されること、及び破砕粒子同士が接合されることにより、電荷輸送層の上にセラミックス膜が順次形成される。
成膜は複数回のラインパターン及び感光体ドラムの回転によって形成される。ドラムホルダ117や噴射ノズル115を基板(感光体)116の表面における縦方向及び横方向にスキャンさせながら、所望の面積のセラミックス膜を形成する。
(有機EL素子)
次に、本発明の光電変換素子を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の一例について説明する。なお、上記の説明は本実施形態の有機EL素子にも適用可能である。ただし、本実施形態の有機EL素子については、下記に説明がある場合、下記の説明を優先する。
本発明の有機EL素子は、表面層がセラミックス膜であることから、ガスバリア機能、特に水分バリア機能を有し、優れた耐久性を有する。さらに下塗り層がシロキサン化合物を含むことからガスバリア性が向上し、耐久性がさらに優れるとともに、表示画像の品質を向上させることができる。とくに、有機EL素子がシロキサン化合物を含む下塗り層を有することにより、ガス透過性が大きく強度の弱い有機EL層を緻密な無機膜で覆うことができ、ガスバリア性が高められる。
図8は、本発明の有機EL素子の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態の有機EL素子50Cは、支持体51、陰極52、電子注入層53、電子輸送層54、発光層55、正孔輸送層56、下塗り層57、表面層58、陽極59がこの順に設けられた積層構造である。なお、本発明では耐久性に有利な有機EL素子の逆層構成を標準的な素子構成と見なすが、この構成に限定されるものではない。
<支持体>
本実施形態の有機EL素子において、支持体51は基板として構成してもよい。支持体は絶縁性基板からなることが好ましい。支持体としては、例えばプラスチックやフィルム状の基板でもよい。
支持体51の主面51a上にはバリア膜が配置されていてもよい。前記バリア膜は、例えば、ケイ素、酸素及び炭素からなる膜、又は、ケイ素、酸素、炭素及び窒素からなる膜とすることができる。前記バリア膜の材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などが挙げられる。バリア膜の平均厚みとしては100nm以上10μm以下が好ましい。
<有機EL層>
本実施形態の有機EL素子において、光電変換層は有機EL層として構成してもよい。
有機EL層は、例えば発光層を含み、陽極及び陰極に印加された電圧に応じてキャリアの移動及びキャリアの結合などの発光層の発光に寄与する機能部である。有機EL層は、例えば、電子注入層53、電子輸送層54、発光層55、正孔輸送層56等を含んで構成することができる。なお、場合により、陰極や陽極などの電極を含めて有機EL層と称してもよい。
<電子注入層>
陰極52から電子親和力の小さい有機材料で形成する電子輸送層54への電子注入の障壁を低くする層として電子注入層53を設けることができる。電子注入層53に用いる材料としては、例えばマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、ケイ素、チタン、亜鉛を含む金属酸化物、ポリフェニレンビニレン、ヒドロキシキノリン、ナフタルイミド誘導体等が挙げられる。
電子注入層53の平均厚さは、5~1000nmが好ましく、10~30nmがより好ましい。厚さ測定は、分光エリプソメトリーや表面粗さ計、顕微鏡画像解析により測定できる。
<電子輸送層>
電子輸送層54の材料として用いることができる低分子化合物の例としては、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、テトラカルボン酸無水物、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、シロール誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、Alq3のような金属錯体、ピリジン誘導体が好ましい。
電子輸送層54の平均厚さは、10~200nmであることが好ましく、40~100nmがより好ましい。厚さ測定は、分光エリプソメトリーや表面粗さ計、顕微鏡画像解析により測定できる。
<発光層>
発光層55は陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後発光する層である。発光層55を形成する高分子材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン系化合物、ポリフルオレン系化合物、ポリカルバゾール系化合物等が挙げられる。
発光層55を形成する低分子材料としては、例えばトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4-メチル-8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq3)、8-ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq2)、(1,10-フェナントロリン)-トリス-(4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-ブタン-1,3-ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)3(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィンプラチナム(II)の金属錯体、ビス[2-(o-ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール]亜鉛(II)(ZnBTZ2)、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)-ピリジン]ベリリウム(Bepp2)などの金属錯体、トリス[3-メチル-2-フェニルピリジン]イリジウム(III)(Ir(mpy)3)などの金属錯体、ジスチリルベンゼン誘導体、フェナントレン誘導体、ペリレン系化合物、カルバゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、クマリン系化合物、ペリノン系化合物、オキサジアゾール系化合物、キナクリドン系化合物、ピリジン系化合物、スピロ化合物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
発光層55の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmがより好ましい。厚さ測定は分光エリプソメトリーや表面粗さ計、顕微鏡画像解析により測定できる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層56に用いられる材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9-(p-ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1-ビス-(4-ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α-フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。他にポリアリールアミン、フルオレン-アリールアミン共重合体、フルオレン-ビチオフェン共重合体、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。これらの正孔輸送物質は1種単独でも2種以上の混合物としてまた、他の化合物との混合物として用いることもできる。
正孔輸送層56の平均厚さは、10~150nmが好ましく、40~100nmがより好ましい。
<下塗り層>
下塗り層57としては、上記と同様とすることができる。下塗り層57はシロキサン化合物を含む。なお、本実施形態における下塗り層57はシリコーンハードコートとして構成してもよい。
<表面層>
表面層58としては、上記と同様とすることができる。本実施形態においても、表面層58はセラミックス膜である。表面層58は図示されるように、有機EL素子の側面に形成されていてもよいが、これに限られるものではない。
有機EL素子におけるセラミックス膜及びその作製方法としては、上記の他、適宜変更して適用することができる。例えば、セラミックス膜上に陽極を形成するようにしてもよい。また、セラミックス膜は有機EL層を埋設するように陰極上に設けられてもよい。また、セラミックス膜は有機EL層等の側面を覆うように形成してもよい。本実施形態におけるセラミックス膜を設けることにより、有機EL素子にガスバリア機能、特に水分バリア機能を付与することができる。
<陰極>
陰極52としては、例えば、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体あるいはこれらの合金等が用いられる。さらに陰極上に電極保護膜としてLiF等を陰極の場合と同様の方法で形成してもよい。他にITO、IZO、FTO、アルミニウムが好ましく用いられる。陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
陰極52の平均厚さとしては、10~500nmが好ましく、100~200nmがより好ましい。厚さ測定は、分光エリプソメトリーや表面粗さ計、顕微鏡画像解析により測定できる。
<陽極>
陽極59としては、例えば金、銀、アルミニウム、ITO、ZnO等が好ましく用いられる。陽極から発光を取り出す場合、透過率は10%以上が好ましい。陽極のシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。厚さ測定は、分光エリプソメトリーや表面粗さ計、顕微鏡画像解析により測定できる。また、真空蒸着により形成する場合、水晶振動子膜厚計を用いることができる。陽極59の平均厚さとしては10~1000nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。
(画像形成方法および画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、感光体の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程とを少なくとも有する画像形成方法であって、前記感光体が、本発明の感光体であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記感光体が、本発明の感光体であることを特徴とする。
本発明の画像形成方法および画像形成装置は、更に必要に応じて、その他の工程および手段を有してなる。なお、前記帯電手段と、前記露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
以下では、本発明の画像形成方法および画像形成装置の実施形態についてその一例をあげて説明する。
図9は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、感光体1の周りに、帯電手段3、露光手段5、現像手段6、転写手段10などが配置される。まず、帯電手段3により、感光体1が平均的に帯電される。帯電手段3としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、露光手段5により、均一に帯電された感光体1上に静電潜像が形成される。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、現像手段6により、感光体1上に形成された静電潜像が可視化される。この現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法などが挙げられる。感光体1に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、転写手段10により、感光体1上で可視化されたトナー像がローラ8により送り出された記録媒体9上に転写される。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。転写手段10としては、転写チャージャ、バイアスローラー等を用いる静電転写方式;粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式;磁気転写方式などが利用可能である。
更に必要に応じて、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12を用いてもよい。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。また、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするために、ファーブラシ14、クリーニングブレード15等のクリーニング手段が用いられ、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他のクリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。また、感光体1上の潜像が取り除くために除電手段2を用いてもよい。除電手段2としては、除電ランプ、除電チャージャなどが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、「部」とあるのは特記しない限り質量部を意味する。
(実施例1)
以下の手順により、100μmのポリエステルフィルム(テオネックス Q51-A4-100μm、帝人株式会社製)上に下記下塗り層用塗工液をドクターブレードで塗布した後130℃で5分間乾燥した。このときの下塗り層の平均厚みは1μmであった。
(下塗り層塗工液)
・シロキサン化合物含有塗料(NSC-3101、日本精化株式会社)100部
・トリメチルエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)3部
次に、このフィルム表面に図7に示すような装置を用いてAD法で表面層を形成した。成膜に供する金属酸化物は高純度アルミナ粒子(タイミクロンTM-DAR、大明化学工業株式会社)を用いた。
AD法による成膜条件は次の通りである。
(成膜条件)
・アルミナ粒子の水分量:0.2%以下(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-50℃以下
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:12L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:200Pa
・ノズルと被膜サンプルの角度:60度
・ノズルと被膜サンプルの距離:15mm
・塗工速度:200mm/min
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例2)
実施例1におけるAD法による表面層の成膜条件を次の通り変えた以外は実施例1と同様にしてフィルムを製造した。
(成膜条件)
・アルミナ粒子の水分量:0.2%以下(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-50℃以下
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:5L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:50Pa
・ノズルと被膜サンプルの角度:80度
・ノズルと被膜サンプルの距離:5mm
・塗工速度:200mm/min
・塗工回数:6回(3往復)
(比較例1)
実施例1における下塗り層塗工液について、トリメチルエトキシシランを用いなかった以外は実施例1と同様にして保護フィルムを製造した。
(実施例3)
-電子写真感光体の製造例-
以下の手順により、図6に示すように、導電性支持体201上に、中間層207、電荷発生層203、電荷輸送層204、下塗り層208及び金属酸化物含有層からなる表面層209をこの順に有する実施例3の電子写真感光体を製造した。
-中間層の形成-
アルミニウム製の導電性支持体(外径100mm)に、下記の中間層用塗工液を、浸漬法により塗工し、中間層を形成した。170℃で30分間乾燥した後の中間層の平均厚みは3μmであった。
(中間層用塗工液)
・酸化亜鉛粒子(MZ-300、テイカ株式会社製): 350部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸: 1.5部
(TCI-D1947、東京化成工業株式会社製)
・ブロック化イソシアネート: 60部
(スミジュール(登録商標)3175、固形分濃度75質量%、住化バイエルウレタン株式会社製)
・ブチラール樹脂20質量%を2-ブタノンで溶解させた溶解液: 225部
(BM-1、積水化学工業株式会社製)
・2-ブタノン: 365部
-電荷発生層の形成-
得られた中間層上に、下記の電荷発生層塗工液を浸漬塗工し、電荷発生層を形成した。
電荷発生層の平均厚みは0.2μmであった。
(電荷発生層用塗工液)
・Y型チタニルフタロシアニン: 6部
・ブチラール樹脂(エスレックBX-1、積水化学工業社製): 4部
・2-ブタノン(関東化学株式会社製): 200部
-電荷輸送層の形成-
得られた電荷発生層上に下記の電荷輸送層用塗工液1を浸積塗工し、電荷輸送層を形成した。
135℃で20分間乾燥した後の電荷輸送層の平均厚みは22μmであった。
(電荷輸送層用塗工液1)
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート: 10部
(パンライトTS-2050、帝人株式会社製)
・下記構造式の低分子電荷輸送物質: 10部
Figure 2022035992000003
・テトラヒドロフラン: 80部
-下塗り層の形成-
得られた電荷輸送層上に、下記の下塗り層用塗工液をリングコート塗工法で下塗り層を形成した。120℃で20分間乾燥した後の下塗り層の平均厚みは1μmであった。
(下塗り層用塗工液)
・シロキサン化合物含有塗料:NSC-5506(日本精化株式会社製)180部
・トリメチルエトキシシラン(東京化成株式会社製)6部
・ポリシラン(OGSOL SI-10-10、大阪ガスケミカル株式会社製)15部
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社製)180部
-金属酸化物含有層の形成-
(金属酸化物粉末の製造)
酸化銅(I)(NC-803、日本化学工業株式会社製)2kgとアルミナ(AA-03、住友化学株式会社製)1.43kgを混合し、1,100℃で40時間加熱し、銅アルミニウム酸化物を得た。これを乾式分散機(ドライスターSDA1、アシザワ・ファインテック株式会社製)により粉砕を行い、粉砕条件を変えることで、累積粒度D50が0.8μm、1.0μm、2.1μm、4.3μm、および6.6μmの銅アルミニウム酸化物粉体を得た。粉体粒度はレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(MT-3300EX、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、圧力0.2MPaの条件下の乾式モードで測定した。
次に、下塗り層表面にAD法により上の銅アルミニウム酸化物粉体(累積粒度D50が4.3μm)を用いて金属酸化物含有層を形成した。
AD法による金属酸化物含有層の成膜は次の条件で行った。
(成膜条件)
・銅アルミニウム酸化物粉体の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-50℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:5L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:55Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:80度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例4)
実施例3における下塗り層用塗工液と金属酸化物含有層の形成を以下の条件に変えた以外は実施例3と同様にして電子写真感光体を製造した。
(下塗り層用塗工液)
・シロキサン化合物含有塗料:NSC-5506(日本精化株式会社製)60部
・トリメチルエトキシシラン(東京化成株式会社製)3部
・ポリシラン(OGSOL SI-10-10、大阪ガスケミカル株式会社製)5部
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社製)60部
下塗り層表面にAD法により上の銅アルミニウム酸化物粉体(累積粒度D50が2.1μm)を用いて金属酸化物含有層を形成した。
AD法による金属酸化物含有層の成膜は次の条件で行った。
(成膜条件)
・銅アルミニウム酸化物粉体の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-55℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:4L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:50Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:80度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例5)
実施例4における金属酸化物含有層の形成を以下の条件に変えた以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を製造した。
-金属酸化物含有層の形成-
(金属酸化物粉末の製造)
高純度アルミナ粒子(タイミクロンTM-DAR、大明化学工業株式会社)500gとチタン酸バリウム(関東化学株式会社製)500gをターブラーミキサーで混合したものを乾式分散機(ドライスターSDA1、アシザワ・ファインテック株式会社製)により粉砕を行い、累積粒度D50が0.8μmの金属酸化物混合粉体を得た。
次に、下塗り層表面にAD法により上の混合粉体を用いて金属酸化物含有層を形成した。
AD法による金属酸化物含有層の成膜は次の条件で行った。
(成膜条件)
・金属酸化物混合粉体の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-55℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:4L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:50Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:80度
・ノズルと感光体ドラムの距離:5mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
(比較例2)
実施例3における下塗り層用塗工液と金属酸化物含有層の形成を以下の条件に変えた以外は実施例3と同様にして電子写真感光体を製造した。
(下塗り層用塗工液)
・シロキサン化合物含有塗料:NSC-5506(日本精化株式会社製)60部
・ポリシラン(OGSOL SI-10-10、大阪ガスケミカル株式会社製)5部
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社製)60部
下塗り層表面にAD法により上の銅アルミニウム酸化物粉体(累積粒度D50が0.8μm)を用いて金属酸化物含有層を形成した。
AD法による金属酸化物含有層の成膜は次の条件で行った。
(成膜条件)
・銅アルミニウム酸化物粉体の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-52℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:12L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:200Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:60度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例6)
以下の手順により、図8に示す有機EL素子を作製した。実施例1で用いたポリエステルフィルムの樹脂面上に、SiO層を下引き層として用いて、スパッタ法により表面抵抗15Ω/□となるインジウム-スズ酸化物(ITO)を成膜することで陰極52を形成した。次いで、基板を中性洗剤、酸素系洗浄剤、イソプロピルアルコールで順次洗浄した。
次に、ITZOをターゲットとして1×10-4Paの真空条件でアルゴンと酸素を導入してスパッタリングを施し、20nmの電子注入層53を設けた。次いで、アセトンおよびイソプロピルアルコールで10分間の超音波洗浄を行い、窒素ガスを吹き付けて乾燥し、UVオゾン洗浄を10分間行った。
次いで、真空蒸着装置で電子輸送層54としてトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を20nm、発光層55として下記構造式(B)を15nm真空蒸着した。
Figure 2022035992000004
次いで、更にその上に、厚さ20nmの下記構造式(C)の正孔輸送材料を真空蒸着して正孔輸送層56を形成した。このようにして、電子注入層53、電子輸送層54、発光層55、正孔輸送層56を有する有機EL層を形成した。
Figure 2022035992000005
次に、厚み100nmの下記組成の下塗り層用塗工液をインクジェット方式で成膜して下塗り層57を形成した。
(下塗り層用塗工液)
・シロキサン化合物含有塗料:NSC-5506(日本精化株式会社製)180部
・トリメチルエトキシシラン(東京化成株式会社製)6部
・ポリシラン(OGSOL SI-10-10、大阪ガスケミカル株式会社製)15部
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社製)100部
・シクロヘキサノン(関東化学株式会社製)80部
インクジェットはリコーインダストリー社製インクジェットヘッドGEN3E2を用いた。描画周波数310Hz、ヘッドと基板との間の距離は1mmとした。また、パルス電圧を20Vとした。成膜後120℃の真空乾燥処理を1時間施した。
次いでエアロゾルデポジッション法により厚さ50nmの銅アルミ酸化物(CuAlO)を成膜して表面層58を形成した。更にスパッタ法により厚さ150nmのITO膜からなる陽極59を形成し、有機EL素子を得た。
以上、実施例1~実施例6および比較例1~2の物品を一部切り取り、集束イオンビーム加工装置(Quanta 3D、FEI社製)により試料の平滑断面だし加工を行い、電子顕微鏡(Ultra-55、Carl Zeiss社製)およびエネルギー分散型X線分析装置(NORAN System Six、サーモフィッシャー社製)EDSマッピングの観察をした。電子顕微鏡の観察条件は加速電圧:2.0kV、倍率10,000倍、インレンズ検出器による観察を標準条件とした。これらの観察から下塗り層に含む金属酸化物の分布を評価した。
実施例1~実施例6および比較例1~2の積層体における表面層に対してスクラッチ試験を行った。スクラッチ試験はスクラッチ試験機(CSR-2000、レスカ株式会社製)を用いて、スタイラス径5μm、スクラッチ速度10μm/s、励振レベル50μm、設定加重10mNの設定により、キズ幅50μmのキズをつけた。スクラッチ試験で得られる摩擦力に相当する信号出力の屈曲点における荷重の大きさを評価した。
結果を表1に記す。なお表1において基材とは下塗り層直下の層(セラミックス膜とは反対側の層)を意味する。
Figure 2022035992000006
シロキサン化合物を含む下塗り層に金属酸化物が均質または基材界面に多く分布するものは何れもスクラッチ評価に優れた特性が得られる。
<電子写真感光体の評価>
上述の通り作製した実施例3~5、比較例2の電子写真感光体について、下記評価を実施した。各電子写真感光体に関する評価結果を表2に示す。
<NO暴露後の画像評価>
最初に、NO雰囲気に電子写真感光体を一定時間静置することで電子写真感光体表面にNOを吸着させる。本暴露条件としては電子写真感光体の表面近傍における吸着サイトにNO吸着が飽和している条件を種々の電子写真感光体を用いて検討した結果、40ppmの濃度に制御したチャンバー内で24時間暴露することが好ましいことが判明したため、暴露条件としては、NO濃度:40ppm雰囲気、暴露時間:24時間とした。
また、NO暴露後の画像評価には画像出力時の初期空転プロセスをなくすように改造したRicoh Pro C9110(株式会社リコー製)改造機を使用し、Proトナーブラック C9100を用い、用紙としてA3サイズのコピー用紙(PODグロスコート、王子製紙株式会社製)を用いて画像評価を行った。出力画像としては、評価用のパターンを0枚、500,000枚、及び5,000,000枚印刷したタイミングで1200dpi、縦横4ドット毎に黒と白の連続パターンのドット画像を形成するハーフトーン出力を3枚連続で行い、3枚の出力画像のドット再現状態を目視及び顕微鏡で確認し、下記評価基準に基づき評価した。
〔評価基準〕
5:3枚の出力画像のドット再現状態は初期のプリント画質と変化なく、問題なし
4:3枚の出力画像のドット再現状態は初期のプリント画質から僅かに劣るものの目視では変化が認められず、問題なし
3:3枚の出力画像のドット再現状態に僅かに変化があるが、実使用上問題ないレベル
2:3枚の出力画像のドット再現状態に僅かなにじみが認められる
1:3枚の出力画像のドット再現状態に明らかな濃度変化が認められる
Figure 2022035992000007
シロキサン化合物を含む下塗り層に金属酸化物が均質または基材界面に多く分布するものは何れも画像評価に優れた特性が得られる。
また、プラスチックフィルムまたは感光層と、下塗り層との界面近傍における金属酸化物の含有量が、前記界面と逆の面の近傍の金属酸化物の含有量よりも多い場合、セラミックス膜の優れた強度および耐久性が得られる。また当該形態は、AD法の条件を種々調節することにより得ることができる。
(実施例7)
以下の手順により、板厚1.0mmのポリカーボネートシート(テクノロイC000ポリカーボネート樹脂シート、住化アクリル販売)上に下記下塗り層用塗工液をドクターブレードで塗布した後80℃で20分間乾燥した後、120℃で20分間乾燥した。このときの下塗り層の平均厚みは3μmであった。
(下塗り層塗工液)
・ シリコーン塗料(X-40-9250、信越化学株式会社)380部
・ 触媒(DX-9740、信越化学株式会社)20部
・ シクロペンタノン(東京化成工業株式会社)444部
・ テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社)1556部
次に、このシート表面に図7に示すような装置を用いてAD法で表面層を形成した。
成膜に供する金属酸化物は高純度アルミナ粒子(タイミクロンTM-DAR、大明化学工業株式会社)を用いた。
AD法による成膜条件は次の通りである。
(成膜条件)
・アルミナ粒子の水分量:0.2%以下(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-50℃以下
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:5L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:50Pa
・ノズルと被膜サンプルの角度:60度
・ノズルと被膜サンプルの距離:15mm
・塗工速度:200mm/min
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例8)
実施例7における下塗り層塗工液を次の通り変え、表面層(金属酸化物含有層)の形成を以下の条件に変えた以外は実施例7と同様にしてシートを製造した。
(下塗り層塗工液)
・シリコーン塗料(KR-401、信越化学株式会社)400部
・シクロペンタノン(東京化成工業株式会社)444部
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社)1556部
(成膜条件)
・アルミナ粒子の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-55℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:12L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:200Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:60度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例9)
実施例3における下塗り層用塗工液と金属酸化物含有層の形成を以下の条件に変えた以外は実施例3と同様にして電子写真感光体を製造した。
(下塗り層塗工液)
・シリコーン塗料(X-40-9250、信越化学株式会社)76部
・触媒(DX-9740、信越化学株式会社)4部
・ポリシラン(OGSOL SI-10-40、大阪ガスケミカル株式会社製)20部
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社製)400部
下塗り層表面にAD法により上の銅アルミニウム酸化物粉体(累積粒度D50が2.1μm)を用いて金属酸化物含有層を形成した。
AD法による金属酸化物含有層の成膜は次の条件で行った。
(成膜条件)
・銅アルミニウム酸化物粉体の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-50℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:5L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:50Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:80度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
(実施例10)
実施例9における下塗り層用塗工液と金属酸化物含有層の形成を以下の条件に変えた以外は実施例9と同様にして電子写真感光体を製造した。
(下塗り層塗工液)
・シリコーン塗料(X-40-9250、信越化学株式会社)76部
・触媒(DX-9740、信越化学株式会社)4部
・下記構造の電荷輸送性物質 20部
Figure 2022035992000008
・テトラヒドロフラン(三菱ケミカル株式会社製)400部
(成膜条件)
・銅アルミニウム酸化物粉体の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・粉体を容器へ仕込むときの露点温度:-52℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:12L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:200Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:60度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
実施例7から実施例10の積層体における表面層に対してスクラッチ試験を行った。スクラッチ試験はスクラッチ試験機(CSR-2000、レスカ株式会社製)を用いて、スタイラス径5μm、スクラッチ速度10μm/s、励振レベル50μm、設定加重10mNの設定により、キズ幅50μmのキズをつけた。スクラッチ試験で得られる摩擦力に相当する信号出力の屈曲点における荷重の大きさを評価した。
結果を表3に記す。なお表3において基材とは下塗り層直下の層(セラミックス膜とは反対側の層)を意味する。
Figure 2022035992000009
シロキサン化合物を含む下塗り層に金属酸化物が均質に分布するものは何れもスクラッチ評価に優れた特性が得られる。
<電子写真感光体の評価>
上述の通り作製した実施例9~10の電子写真感光体について、実施例3と同じ評価を実施した。各電子写真感光体に関する評価結果を表4に示す。
Figure 2022035992000010
シロキサン化合物を含む下塗り層に金属酸化物が均質または基材界面に多く分布するものは何れも画像評価に優れた特性が得られる。
また、プラスチックフィルムまたは感光層と、下塗り層との界面近傍における金属酸化物の含有量が、前記界面と逆の面の近傍の金属酸化物の含有量よりも多い場合、セラミックス膜の優れた強度および耐久性が得られる。また当該形態は、AD法の条件を種々調節することにより得ることができる。
1 感光体
2 除電手段
3 帯電手段
5 露光手段
6 現像手段
7 転写前チャージャ
8 ローラ
9 記録媒体
10 転写手段
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
50C 有機EL素子
51 支持体
52 陰極
53 電子注入層
54 電子輸送層
55 発光層
56 正孔輸送層
57 下塗り層
58 表面層
59 陽極
111 ガスボンベ
112a 配管
112b 配管
112c 配管
113 エアロゾル発生器
114 成膜チャンバー
115 噴射ノズル
116 基板(感光体)
117 基板ホルダ
118 排気ポンプ
119 圧空バルブ
120 粒子
201 支持体
202 感光層
203 電荷発生層
204 電荷輸送層
205 下引き層
206 保護層
207 中間層
208 下塗り層
209 表面層
国際公開WO2017/199968号パンフレット 国際公開WO2018/194064号パンフレット

Claims (8)

  1. 有機材料を含む層(1)と、
    前記有機材料を含む層(1)に接して、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、
    前記シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)に接して、前記金属酸化物を含む層(3)と、
    を有する積層体。
  2. 前記有機材料を含む層(1)とシロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)とは界面を形成し、前記界面近傍における前記金属酸化物の含有量が、前記界面と逆の面の近傍の前記金属酸化物の含有量よりも多い、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記金属酸化物がデラフォサイト、ペロブスカイトのいずれか一つを含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記有機材料が、電荷輸送物質または増感色素である請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記シロキサン化合物が下記構造を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
    Figure 2022035992000011
  6. 支持体と、前記支持体上に請求項1~5のいずれかに記載の積層体を備えることを特徴とするデバイス。
  7. 有機材料を含む層(1)と、前記有機材料を含む層(1)に接して、シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)と、前記シロキサン化合物および金属酸化物を含む層(2)に接して、前記金属酸化物を含む層(3)と、を有する積層体の製造方法であって、
    前記層(1)上に前記層(2)を設けた後、前記層(2)上に前記層(3)をエアロゾルデポジッション法により設けることを特徴とする積層体の製造方法。
  8. 支持体上に、請求項1~5のいずれかに記載の積層体を設置する工程を有することを特徴とするデバイスの製造方法。

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