JP2022033470A - 設計支援装置および設計支援方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品を共有する複数の機種を含む製品群の設計を支援する設計支援装置および設計支援方法を提供する。
【解決手段】設計支援装置1は、部品を共有する複数の機種を含む製品群に関する構成情報21、品目情報22、工程別作業時間情報23、工程順序情報24、および生産計画情報25を互いに対応付けた組合せデータを生成する組合せデータ生成部2と、前記組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、各工程間の各部品の安全在庫台数を算出するとともに、前記組合せデータおよび前記各工程間の各部品の安全在庫台数に基づき、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出する生産工程シミュレーション部3と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】設計支援装置1は、部品を共有する複数の機種を含む製品群に関する構成情報21、品目情報22、工程別作業時間情報23、工程順序情報24、および生産計画情報25を互いに対応付けた組合せデータを生成する組合せデータ生成部2と、前記組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、各工程間の各部品の安全在庫台数を算出するとともに、前記組合せデータおよび前記各工程間の各部品の安全在庫台数に基づき、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出する生産工程シミュレーション部3と、を備える。
【選択図】図1
Description
本開示は、製品の設計を支援する設計支援装置および設計支援方法に関するものである。
市場における需要の変動が大きい空調機器等の分野では、需要の変動に素早く対応して製品を供給できるようにしながら、かつ、過剰な在庫の発生を抑え在庫量を適正に管理することが求められる。そのためには、受注~生産着手~出荷までの生産リードタイムを短縮したハイサイクル生産が必要である。ハイサイクル生産を実現するためには、生産工程の効率化が不可欠であるが、設計済みの製品について生産工程を効率化するのには限界がある。そのため、製品の企画・設計段階から生産リードタイムを考慮に入れ、効率的な生産工程を実現可能な、すなわち生産しやすい製品を設計することが求められる。
一方、特許文献1には、手作業を含む複数の生産工程の稼働率、サイクルタイム、作業時間及び良品率の稼働情報を取り込み、生産工程シミュレーターを用いて、人手作業を含む複数の生産工程の工程設計及び人員配置計画を含む生産計画を作成する、生産計画作成システム及び生産工程の効率化支援方法が開示されている。
一方、特許文献1には、手作業を含む複数の生産工程の稼働率、サイクルタイム、作業時間及び良品率の稼働情報を取り込み、生産工程シミュレーターを用いて、人手作業を含む複数の生産工程の工程設計及び人員配置計画を含む生産計画を作成する、生産計画作成システム及び生産工程の効率化支援方法が開示されている。
ところで、複数の機種からなる製品群を設計する場合、複数の機種の間でモジュール又は部品の共通化を行うことが一般的である。また、複数の機種からなる製品群の企画・設計においては、個別の機種ごとではなく、製品群全体として効率的な生産工程を実現可能な製品群を設計することが望まれる。
しかしながら、製品群の企画・設計段階において、モジュール又は部品を共有する複数の機種を含む製品群全体としての生産しやすさを定量的に評価する方法は知られておらず、製品群全体としての生産しやすさを考慮して製品群の設計を行うことは困難であった。
また、特許文献1の技術は、生産工程のシミュレーションにより最適なライン設計、すなわち生産工程設計及び人員配置計画の作成を目的としたものであり、製品設計の支援を目的としたものではない。
しかしながら、製品群の企画・設計段階において、モジュール又は部品を共有する複数の機種を含む製品群全体としての生産しやすさを定量的に評価する方法は知られておらず、製品群全体としての生産しやすさを考慮して製品群の設計を行うことは困難であった。
また、特許文献1の技術は、生産工程のシミュレーションにより最適なライン設計、すなわち生産工程設計及び人員配置計画の作成を目的としたものであり、製品設計の支援を目的としたものではない。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、モジュール又は部品を共有する複数の機種を含む製品群の設計において、効率的な生産工程を実現可能な製品群の設計を支援する設計支援装置および設計支援方法を提供することを目的とするものである。
本開示に係る設計支援装置は、部品を共有する複数の機種を含む製品群の設計を支援する設計支援装置であって、前記製品群に関する構成情報、品目情報、工程別作業時間情報、工程順序情報、および生産計画情報を互いに対応付けた組合せデータを生成する組合せデータ生成部と、前記組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、各工程間の各部品の安全在庫台数を算出するとともに、前記組合せデータおよび前記各工程間の各部品の安全在庫台数に基づき、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出する生産工程シミュレーション部と、を備える。
本開示によれば、モジュール又は部品を共有する複数の機種を含む製品群において、効率的な生産工程を実現可能な製品群の設計を支援する設計支援装置および設計支援方法を提供することができる。
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る設計支援装置1の構成を示すブロック図である。また、図2は、開発対象である製品群の製品構成の一例を示す図である。
図1は、本開示の実施の形態1に係る設計支援装置1の構成を示すブロック図である。また、図2は、開発対象である製品群の製品構成の一例を示す図である。
本実施の形態では、図2に示すような一部のモジュール又は部品を共有する複数の機種を含む製品群の設計を行う場合を例に、以下の説明を行う。図2に示す製品群は、一部のモジュール又は部品を共有する複数の機種である、製品001および製品002を含む。製品001は、構成部品として部品Kおよび部品Wを有する。この場合、製品001が親部品、部品Kおよび部品Wが子部品となる。また、部品Kは、構成部品として部品Xおよび部品Mを有する。この場合、部品Kが親部品、部品Xおよび部品Mが子部品となる。また、製品001がレベル0、その子部品である部品Kがレベル1、部品Kの子部品である部品Xがレベル2、のように製品構成の階層が設定されている。
図1に示すように、本実施の形態の設計支援装置1は、組合せデータ生成部2、生産工程シミュレーション部3、評価部4、および目標値設定部5を備える。
組合せデータ生成部2は、設計した製品群に関する構成情報21、品目情報22、工程別作業時間情報23、工程順序情報24、および生産計画情報25を互いに紐づけして組合せデータ26を生成するものである。
構成情報21は、部品仕様における親子関係を示す情報であり、BOMデータとも呼ばれるものである。図2の製品構成に基づく構成情報21の一例を図3に示す。構成情報21には、例えば親部品:製品001-子部品:部品K1のように、親部品情報と子部品情報が対になって登録されている。また、親部品に対して同じ種類の子部品が複数必要となる場合は、子部品の必要個数を登録してもよい。
品目情報22は、製品または部品の区分、および、各製品・部品を製造または購入する上で必要となる情報を登録したものである。品目情報22の一例を図4に示す。品目情報には、例えば、製品および各部品に関する番号、品目名、調達期間、単価、購入先、発注ロット台数など、製品および部品を製造、または部品を購入する上で必要な情報と、製品と部品とを判別するための情報が登録されている。
工程別作業時間情報23は、製品または部品を生産する上で、各工程でかかる作業時間に関する情報である。工程別作業時間情報23の一例を図5に示す。工程別作業時間情報23には、例えば、各工程の標準的な作業時間である標準時間TSや、生産ラインの朝の生産ライン立ち上げや機種切り替えなどの段取りに要する段取り時間などが登録される。
工程順序情報24は、その製品または部品が完成するまでの工程ルートに関する情報である。工程順序情報24には、品目名と工程名およびその順序が対応付けて登録される。なお、部品によっては工程ルートに複数の工程が含まれる場合があるが、簡単のためここでは考慮しないこととする。工程順序情報24の一例を図6に示す。図6では、製品001に対して工程Z、部品Aに対して工程A、のように登録されている。
生産計画情報25は、どの製品を、いつ、何台、生産するかを管理する情報である。生産計画情報25の一例を図7に示す。生産計画情報25には、例えば、生産する製品、生産日付、生産台数などが登録される。なお、後述するように、出荷前の製品倉庫の安全在庫の算出においては、生産計画情報25として、顧客からの受注情報を用いてもよい。当該受注情報には、出荷する製品、出荷日付、出荷台数などが登録されるが、これらは生産計画情報25における、生産する製品、生産日付、生産台数に対応する。また、製品群の企画・設計段階では実際の生産計画が存在しないことが多いが、その場合は、仮想的な生産計画情報を登録してもよい。また、仮想的な生産計画情報の設定にあたっては、過去に実際に生産した旧モデルの生産計画情報を参考にしてもよい。これにより、より現実に即したシミュレーションが可能となる。
生産工程シミュレーション部3は、組合せデータ生成部2で生成された組合せデータ26に基づき生産工程のシミュレーションを行い、製品群全体としての生産しやすさの指標値を算出するものである。本実施の形態においては、生産しやすさの指標値として、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を用いる。一般に、製品群全体としての生産リードタイムが短く、安全在庫金額が小さいほど、その製品群は生産しやすいと考えられる。
ここで、安全在庫について説明する。企業活動においては適正に在庫を保持することが重要であるが、適正在庫は一般に、サイクル在庫と安全在庫との和で表される。サイクル在庫とは、生産計画から次の生産計画までの1サイクルの生産計画において最低限必要な在庫量のことである。一方、安全在庫とは、計画通りに販売や生産が進まず多少変動があったとしても対応できるように備えとして持つべき在庫量のことである。安全在庫は、欠品による販売機会損失と過剰在庫に伴うキャッシュフローのリスクといった、相反する要素のバランスを考慮して設定される。安全在庫は、製品設計の影響、すなわち製品の構成や生産しやすさの影響を受けて変化する。一方、サイクル在庫は、もっぱら販売計画された数量によって定まるものであり、製品設計の影響を受けない。本実施の形態は製品設計の支援を目的としたものであるから、サイクル在庫と安全在庫のうち安全在庫のみを取り扱うこととする。
製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額の算出について説明する。
始めに、前記組合せデータに基づき、生産着手から出荷までの生産フローを設定する。生産フローの一例を図8に示す。当該生産フローは、生産着手から出荷までの間に、レベル3の部品を製造する工程A、レベル2の部品を製造する工程B、レベル1の部品を製造する工程C、およびレベル0の製品を製造する工程Zを含む。
始めに、前記組合せデータに基づき、生産着手から出荷までの生産フローを設定する。生産フローの一例を図8に示す。当該生産フローは、生産着手から出荷までの間に、レベル3の部品を製造する工程A、レベル2の部品を製造する工程B、レベル1の部品を製造する工程C、およびレベル0の製品を製造する工程Zを含む。
次に、生産フローの各工程間の各部品の安全在庫を算出する。まず、生産フローの先頭工程である工程Aと、工程Aの後工程である工程Bとの間の各部品の安全在庫を算出する場合について説明する。例えば、工程AB間の工程Aから構成情報のレベル3の部品A、部品Bの2種類を出庫して工程Bでレベル2の部品を生産する場合は、部品Aおよび部品Bに対して各部品別に安全在庫台数を算出する。
工程AB間の部品Aの安全在庫Iaは、部品Aの標準偏差σaと、安全在庫係数αと、前工程からの部品の供給間隔LTの正の平方根とを積算して算出される(式1参照)。なお、ここでは、後工程の引き取り数のばらつきは正規分布であり欠品許容率は5%であるとの仮定に基づき、安全在庫係数αは一律1.65とする。
部品Aの標準偏差σaは、工程Bの毎日の生産計画数Xと、安全在庫の算出対象期間の生産計画数の合計を稼働日数で割った平均値すなわち一日あたり平均生産計画数Xiとの差の2乗の合計を、安全在庫の算出対象期間の工程Bの稼働日nで割った値の正の平方根で表される(式2参照)。なお、安全在庫の算出対象期間は例えば1か月とする。
また、前工程からの部品の供給間隔LTは、工程Aのみの生産リードタイムと同義であり、工程Aの標準的な作業時間TSAに部品aの生産ロット数Maを乗算し、生産ラインの朝の生産ライン立ち上げや機種切り替えなどの段取り時間DAを加えたものである(式3参照)。
上記の式1~3により、工程AB間の部品Aの安全在庫台数Iaが算出される。同様の計算を、工程AB間の他の部品、および他の工程間の各部品について行い、各工程間の各部品の安全在庫台数Iをそれぞれ算出する。
なお、部品が購入品である場合は、式1において、前工程からの部品の供給間隔LTの代わりに、当該部品の調達期間を用いる。また、出荷前の製品倉庫における製品の安全在庫台数を算出する場合は、式2の計算において生産計画数の代わりに顧客からの受注情報を用いることで算出することができる。
次に、製品群全体の安全在庫金額の算出について説明する。上記式1~3により各工程間の各部品の安全在庫台数を算出したが、製品の生産フローにおいては複数種類の異なる部品が混在しており、台数のままでは全体としての安全在庫の評価がしにくいため、全体評価がしやすいように在庫を金額化する。具体的には、工程AB間の部品Aの安全在庫台数Iaに、品目情報から参照した部品aの単価を乗算することにより、工程AB間の部品Aの安全在庫金額を算出する。そして、工程AB間の各部品の安全在庫金額の合計を、工程AB間の安全在庫金額JABとする。数式化すると下記式4のように表される。
同様の計算を、生産着手から出荷までの各工程間で繰り返し行い、各工程間の安全在庫金額を算出する。そして、各工程間の安全在庫金額を合計することで、製品群全体としての安全在庫金額を算出することができる。
また、製品群全体の安全在庫金額の内訳として、部品安全在庫金額と製品安全在庫金額とを区分して算出してもよい。部品と製品に区分することにより、当該安全在庫金額の評価結果に基づいて製品設計を見直す際に、改善ターゲットの抽出が容易となる。
次に、製品群全体の生産リードタイムの算出について説明する。まず、各製品の生産リードタイムを算出する。各製品の生産リードタイムは、各レベルの部品の供給におけるボトルネック工程の生産リードタイムの合計に、その生産リードタイムを算出した工程経路にある工程間安全在庫を時間換算して加えることで算出する。
ボトルネック工程とは、生産ラインにおいてもっとも時間がかかっている、生産能力や生産効率が低い工程のことを指す。ボトルネック工程の生産能力や生産効率を改善・解消することで、ライン自体の生産効率が向上する。図2の製品構成においては、部品Kと部品Wとが同じレベル1にあり、図8の生産フローに示す工程Zにおいて、部品Kおよび部品Wとが組み合わされて製品001が生産される。部品Kと部品Wとは直列的な関係ではなく並行して生産されるため、部品Kを生産する工程と部品Wを生産する工程のどちらか長いほうがレベル1の部品の供給におけるボトルネック工程となり、当該ボトルネック工程の生産リードタイムが、レベル1の部品の生産リードタイムとなる。
工程間安全在庫の時間換算について説明する。ここでは日数に換算し、生産リードタイムを一律日単位で計算することとする。工程間安全在庫を日数に換算するには、各工程間の安全在庫台数を次工程の出庫数、すなわち生産計画台数で割ることで算出する。工程間安全在庫を時間換算して生産リードタイムに加算することにより、製品の生産しやすさを定量的に比較することが可能となる。
以上のようにして算出した各製品の生産リードタイムに基づき、製品群全体の生産リードタイムを算出する。例えば、各製品の生産リードタイムの平均値をとることで、製品群全体の生産リードタイムを算出することができる。ただし、必ずしも平均値をとる必要はなく、例えば最小値や最大値をとるなど他の算出方法を採用してもよい。
以上のように、生産工程シミュレーション部3は、組合せデータ生成部で生成された組合せデータ26に基づき、生産工程のシミュレーションを行い、製品群全体としての生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出する。これにより、開発した製品群の製品群全体としての生産しやすさを定量的に評価することが可能となる。
評価部4は、生産工程シミュレーション部3において算出した製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を目標値と比較し、目標値への達成度を評価するものである。評価結果の一例を図9に示す。図9に示すように、生産工程シミュレーション部3により算出した製品群全体としての生産リードタイムおよび安全在庫金額と目標値との差分をとることで、目標値への達成度を評価する。なお、達成度の評価形式は特に限定されず、例えば、差分をとることに代えて達成度をパーセンテージで表してもよい。
以上のように、生産工程シミュレーション部3により算出した製品群全体としての生産リードタイムおよび安全在庫金額の目標値への達成度を評価部4で評価することにより、設計した製品群の製品群全体としての生産しやすさをより具体的に評価することができる。
目標値設定部5は、評価部4で用いるための製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額の目標値を設定するものである。ここでは、図10に示すように、生産リードタイムと安全在庫金額(部品)、安全在庫金額(製品)、安全在庫金額(部品+製品)の4つの目標値を設定することとする。目標値の設定方法は特に限定されないが、目標値の信頼性、および根拠を明確にするため、自社の経理情報や他社情報からベンチマーク値を収集・集計し、当該ベンチマーク値を参照して各目標値を設定することができる。以下、目標値設定の一例について説明する。
生産リードタイムのベンチマーク値は、他社情報に基づいて算出される。他社情報は、例えば、設計対象の製品群と同等のスペックを保有する他社製品に関する情報であり、市場情報として収集することができる。他社情報の一例を図11に示す。図11に示すように、ここでは、社名、シェア、年間出荷数、納期情報、代表機種、代表機種単価、仕様を設定している。このうち、納期情報の平均値を算出し、その平均値を生産リードタイムのベンチマーク値とする。なお、平均値のかわりに最短値を用いてもよい。
また、安全在庫金額のベンチマーク値は、自社の経理情報に基づいて算出される。経理情報は、製品企画時の棚残目標値に基づいて算出する。経理情報の一例を図12に示す。図12に示すように、ここでは、売上高、部品残、製品残、その他棚残、棚残合計、棚残回転率を登録している。経理情報のうち、棚残回転率は棚卸資産の回転効率を表す重要な財務指標で、1年間の売上高を棚卸資産で割った値であり、製品の販売が効率よく行われているかを見る効率性分析指標である。
以上のように、目標値設定部5を用いて目標値を設定することにより、評価部における評価の妥当性を向上することができる。
次に、本実施の形態の設計支援装置を用いた設計支援方法について説明する。
本実施の形態の設計支援方法は、組合せデータを生成するステップST1と、ST1で生成された組合せデータに基づき生産工程をシミュレーションして製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムを算出するステップST2と、製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムの目標値を設定するステップST3と、ステップST2で算出された製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムを、ステップST3で設定した目標値と比較し、目標値への達成度を評価するステップST4と、を含む。
本実施の形態の設計支援方法は、組合せデータを生成するステップST1と、ST1で生成された組合せデータに基づき生産工程をシミュレーションして製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムを算出するステップST2と、製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムの目標値を設定するステップST3と、ステップST2で算出された製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムを、ステップST3で設定した目標値と比較し、目標値への達成度を評価するステップST4と、を含む。
ステップST1では、設計した製品群に関する構成情報21、品目情報22、工程別作業時間情報23、工程順序情報24、および生産計画情報25が組合せデータ生成部2に入力される。組合せデータ生成部2は、各情報を互いに紐づけして組合せデータ26を生成する。
ステップST2では、ステップST1で生成した組合せデータが生産工程シミュレーション部3に入力される。生産工程シミュレーション部3は、当該組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、製品群全体としての安全在庫金額および生産リードタイムを算出する。算出方法は既に説明したとおりである。
ステップST3では、目標値設定部5は、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額の目標値を設定する。ここでは、図10に示すように、目標値設定部5は、生産リードタイムと安全在庫金額(部品)、安全在庫金額(製品)、安全在庫金額(部品+製品)の4つの目標値を設定することとする。既に説明したように、例えば他社情報および自社の経理情報が目標値設定部5に入力される。目標値設定部5は、入力された他社情報に基づき生産リードタイムの目標値を設定し、入力された経理情報に基づき安全在庫金額の目標値を設定することができる。
ステップST4では、ステップST2で算出された製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額と、ステップST3で設定した目標値とが評価部4へ入力される。評価部4は、両者を比較することにより、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額の目標値への達成度を評価する。
ステップST4で得られた評価結果は、設計者へ向けて出力される。設計者は、当該評価結果を確認することにより、現在設計している製品群の生産しやすさを定量的に確認することが可能となる。そして、設計者は当該評価結果を踏まえて設計の見直しを行い、設計見直し後の製品群に対して再度ステップST1~4を実施し、生産しやすさを定量評価する。このように、ステップST1~4による評価と、評価結果を踏まえた設計の見直しとを繰り返すことにより、生産しやすい最適な製品群を設計することが可能となる。
従来、複数の機種を含む製品群の企画・設計において、どのモジュール又は部品を共通化するかの判断は、設計者の過去の経験に基づいて判断されることが多かった。しかしながら、当該判断において製品群全体としての生産しやすさが十分に考慮されていないため、機種数に比例した部品点数増加、モジュール粒度のばらつきなどにより部品および製品在庫金額が増加する問題があった。また、設計者の経験に依存するため、誰でも同じように設計作業を行うことができないといった問題があった。これに対し、本実施の形態の設計支援装置によれば、設計者が現在設計している製品群における部品構成の中でどの部品またはモジュールを複数の製品間で共通化すれば生産しやすくなるのかがわかるようになり、生産しやすい製品群を設計することが可能となる。また、設計者の経験に依存しないので、誰でも同じように設計作業を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態では、目標値設定部および評価部を設け、算出された製品群全体の生産リードタイム又は安全在庫金額とあらかじめ設定された目標値とを比較して目標値への達成度を評価し、その評価結果を出力するようにしたが、目標値設定部および評価部を設けずに、算出した製品群全体の生産リードタイム又は安全在庫金額を直接設計者へ向けて出力するようにしても良い。この場合も、例えば設計見直し前後の値を比較することにより、対象の製品群の生産しやすさを定量的に評価することが可能である。
以上説明したように、本実施の形態の設計支援装置は、部品を共有する複数の機種を含む製品群に関する構成情報、品目情報、工程別作業時間情報、工程順序情報、および生産計画情報を互いに対応付けた組合せデータを生成する組合せデータ生成部と、前記組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、各工程間の各部品の安全在庫台数を算出するとともに、前記組合せデータおよび前記各工程間の各部品の安全在庫台数に基づき、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出する生産工程シミュレーション部と、を備える。これにより、開発した製品群の製品群全体としての生産しやすさを定量的に評価することが可能となる。そのため、部品を共有する複数の機種を含む製品群の企画・設計の段階において、効率的な生産工程を実現可能な製品群を設計するための支援を行うことが可能となる。
以上、各実施の形態に基づいて本開示を説明したが、本開示は各実施の形態に限定されるものではない。また、各実施の形態を、適宜、組み合わせたり、変形や省略したりすることも、本開示の範囲に含まれる。
1 設計支援装置、 2 組合せデータ生成部、 21 構成情報、 22 品目情報、23 工程別作業時間情報、 24 工程順序情報、 25 生産計画情報、 26 組合せデータ、 3 生産工程シミュレーション部、 4 評価部、 5 目標値設定部
Claims (3)
- 部品を共有する複数の機種を含む製品群の設計を支援する設計支援装置であって、
前記製品群に関する構成情報、品目情報、工程別作業時間情報、工程順序情報、および生産計画情報を互いに対応付けた組合せデータを生成する組合せデータ生成部と、
前記組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、各工程間の各部品の安全在庫台数を算出するとともに、前記組合せデータおよび前記各工程間の各部品の安全在庫台数に基づき、製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出する生産工程シミュレーション部と、を備えた設計支援装置。 - 前記製品群全体の生産リードタイム又は前記製品群全体の安全在庫金額と、あらかじめ設定された目標値とを比較し、前記製品群全体の生産リードタイム又は前記製品群全体の安全在庫金額の目標値への達成度を評価する評価部を備えた、請求項1に記載の設計支援装置。
- 部品を共有する複数の機種を含む製品群の設計を支援する設計支援方法であって、
前記製品群に関する構成情報、品目情報、工程別作業時間情報、工程順序情報、および生産計画情報を互いに対応付けた組合せデータを生成するステップと、
前記組合せデータに基づき生産工程のシミュレーションを行い、各工程間の各部品の安全在庫台数を算出するとともに、前記組合せデータおよび前記各工程間の各部品の安全在庫台数に基づき、前記製品群全体の生産リードタイムおよび安全在庫金額を算出するステップと、を備えた設計支援方法。
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