JP2008171237A - サプライチェーンの効率的管理支援方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サプライチェーンにおいて急な販売数増加の販売計画変動が生じても、資材、仕掛品の欠品による生産遅延及び製品在庫の不足による出荷遅延を防止し、また資材、仕掛品及び製品の不要な在庫を防止するとともに在庫金額を最小とする、サプライチェーンの効率的管理支援方法を提供する。
【解決手段】サプライチェーンでの販売計画変動時に、変動販売計画、変動生産計画、製品情報及び生産情報を基に、シミュレーションデータを作成する。次に、サプライチェーンをモデル化したサプライチェーンモデルで、前記シミュレーションデータに基づき、シミュレーションを行い、販売計画変動時に欠品を起こさない、且つ在庫金額が最小となる、複数の業務領域での在庫形態とその在庫数の安全在庫設定値を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、資材調達から販売までの生産工程を含むサプライチェーンにおいて、販売計画に変動が生じても、販売計画に支障を生じさせることのない資材及び製品の在庫の最適化に関する。
製品が顧客に届くまでには、資材(以下、部品ともいう)の調達から顧客に届けるまでの複数の業務領域、例えば、資材調達・生産・販売といった各業務領域が存在し、各業務領域における業務活動の連携を通じて一連の業務活動が行われる。このような一連の業務活動の連鎖、所謂サプライチェーンを効率化することが重要な問題として研究されている。
このような複数の業務領域が存在するサプライチェーンの効率化に際しては、生産量及び納期等の生産情報、調達・生産・物流・販売等の形態及びそれらの拠点ついての情報等、複数の観点から考慮することが必要になる。このようなことは、一般的にサプライチェーンマネジメント(SCM)と呼ばれている。
このようなことからサプライチェーンの効率化のために、サプライチェーンモデルを作成しシミュレーターでシミュレーションを行いサプライチェーンの効率化図る方法の開発が行われてきている。
また、前記サプライチェーンにおいては、そのチェーンの中に物の流れ、情報等の捕捉に弱い部分、例えば在庫数量が不明確等、があるとサプライチェーンが崩れる恐れがある。したがって、資材の調達から顧客に届けるまでの資材の調達・生産・販売といった業務活動の物と情報の流れを最適化するためには、サプライチェーン内の全ての業務でリアルタイムで物の流れが捉えられている必要がある。そのため、企業の基幹業務を対象に、ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージと呼ばれる情報システム・パッケージの導入が進められてきている。
前記ERPパッケージとは統合業務パッケージであり、販売・生産・物流・財務等の企業活動全般にわたる業務を全社的に統合した企業情報システムのパッケージソフトウェアである。各部門毎に別々に構築されていたシステムを統合し、相互に参照・利用できるようにしようというもので、財務会計や人事等のデータの一元管理、システムのバージョンアップや保守点検の容易化、他部門の作業のリアルタイムな参照等も可能になるものである。
また、前記サプライチェーンにおいては、需要(受注)に応じて販売・生産計画を立案し、社外や他工場(以下、サプライヤーと言う)から資材を調達し、生産工程で生産活動が行われる。前記資材の調達に際し、一般的に資材発注確定情報以外に、調達を円滑に行うため、調達側(発注側)よりサプライヤーに将来の資材発注見込み情報(フォーキャスト情報)が通知される。前記フォーキャスト情報は、所定期日に資材発注確定情報へと変更される。これにより、サプライヤーは、将来の生産計画を立てることができ、過剰在庫や欠品の発生を抑制することが可能となる。
しかしながら、前記需要は一定で推移するとは限らず、販売計画に変動が生じる場合がある。これにより、フォーキャスト情報から資材発注確定情報への変更時に、生産変動が生じる。このため、特に販売計画の増加変動に対して、資材の欠品による生産遅延及び製品在庫の不足による出荷遅延を防ぎつつ、資材及び製品の不要な在庫の発生を防ぎ、在庫金額を最小とすることが望まれている。
これに対し、過去のフォーキャスト情報とこれに対応する受注実績から前記過去のフォーキャスト情報の誤差、前記誤差の平均値及び前記誤差の標準偏差を算出し、現在のフォーキャスト情報を補正することにより、発注量を算出することが開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
また、製品の追加可能製造量を算出し、追加製造で使用する時期における資源の資源量に基づいて、前記時期に対する前記資源の追加発注量を決定する追加発注量算出手段で追加発注量を算出し、部材発注を行うことが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、生産要望に対して、管理対象期間を定め、累計値管理による制約を掛けるなどして、急遽増産する場合の上限値を定めて、資材先行手配(フォーキャスト情報)と生産数確定の管理を行うことが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2006−39802号公報 特開2006−155361号公報 特開2006−113748号公報
特許文献1は、現在のフォーキャスト情報を補正し、発注量を算出することにより、受注側では高精度な受注予測を行うことができ、これにより、欠品の発生や過剰な在庫の発生を効果的に抑制することを図るものである。しかし、急な発注の変更等の場合に欠品の発生の有無の予測がつかず、欠品が生ずることがあった。
特許文献2は、追加発注量算出手段で追加発注量を算出し、部材発注を行うことで不要な在庫をできるだけ減らしつつ部材を確保し、さらに製品の需要変動にも対応できることを図るものである。しかし、追加発注量、即ち追加製造可能数量の算出のみであり、追加製造可能数量以上の急な発注の変更が生じた場合に、欠品の生ずることがあった。
特許文献3は生産予定数の累計、部品手配数累計を用いて、急遽増産する場合の上限値を定めて、部品先行手配(フォーキャスト情報)と生産数確定の管理を行うものである。
しかしながら、このような累計値管理よる制約を掛けたとしても、急遽増産に対応するために、以下の対応が行われる。資材調達業務領域(以下、資材調達部門ともいう)では、納入リードタイムの長い資材(部品)、所謂長納期部品については、安全在庫を持つことになる。生産業務領域(以下、生産部門ともいう)では、生産リードタイムの長い製品については、工程で仕掛品及び製品を安全在庫として持つことになる。一方、販売業務領域(以下、販売部門ともいう)では、生産部門での資材欠品による製品納期遅れが生じた場合の対応策として、製品を安全在庫として持つことになる。
このように管理対象期間を定め累計値管理による制約を掛けるなどしても、累計管理値の上限値に耐えられるように、サプライチェーンの各部門毎にそれぞれ独自に対応した安全在庫を持つ構造は変わらず、サプライチェーン全体では過剰な在庫数となる場合が多い。それにともない、在庫金額も増大する。
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、急な販売数増加の販売計画変動が生じても資材、仕掛品の欠品による生産遅延及び製品在庫の不足による出荷遅延を防止し、また資材、仕掛品及び製品の不要な在庫を防止するとともに在庫金額を最小として、サプライチェーンの効率化を図る効率的管理支援方法を提供することを目的とする。
上記目的は、以下の方法により達成される。
1.資材の発注情報が将来の資材発注見込み情報(フォーキャスト情報)から資材発注確定情報へと移行する、且つまた販売計画変動により生産変動の生ずることがある生産計画を含む、資材調達から生産を経て販売に至る複数の業務領域からなる一連のサプライチェーンをモデル化したサプライチェーンモデルを設定し、コンピューター上に再現してシミュレーションを行い、サプライチェーンの効率化を図るサプライチェーンの効率的管理支援方法において、
前記サプライチェーンをモデル化したサプライチェーンモデルをコンピューター上に設定するステップと、
前記サプライチェーンの販売計画に変動が生じた場合に、変動販売計画を立案し販売計画変動情報として格納手段に格納するステップと、
前記変動販売計画に基づき、変動生産計画を立案し、生産計画変動情報として格納手段に格納するステップと、
製品情報、生産情報が格納されているERP(Enterprise Resource Planning)パッケージから前記製品情報及び前記生産情報を、前記格納手段から前記変動販売計画及び前記変動生産計画を、取り出すとともに、前記製品情報、前記生産情報、前記変動販売計画、前記変動生産計画を基に、シミュレーションデータを作成するシミュレーションデータ作成手段で前記シミュレーションデータを作成し、前記格納手段に格納するステップと、
前記サプライチェーンモデルで、前記シミュレーションデータに基づき、シミュレーターで販売計画変動に対応したシミュレーションを行い、販売計画変動時に欠品を起こさない、且つ在庫金額が最小となる、前記複数の業務領域での在庫形態とその在庫数の安全在庫設定値を算出するステップと、を有することを特徴とするサプライチェーンの効率的管理支援方法。
2.前記複数の業務領域は、資材調達業務領域、生産業務領域、販売業務領域であることを特徴とする1に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
3.前記在庫形態は、資材を組み立て製品とする間の、資材、仕掛品、製品の形態であることを特徴とする1または2に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
4.前記製品情報は、製品に使用する資材とその資材の数量、製品の工程表及び構成のデータを含むことを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
5.前記生産情報は、製品の生産量と納期の生産計画情報、資材の在庫情報と発注情報と納期情報と価格情報、製品在庫情報を含むことを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
6.前記シミュレーションに際し、格納手段に格納された前記サプライチェーンの拠点の情報・通信環境の状態に関する情報・通信環境情報と物流の状態に関する物流情報とを取り出し加味して、シミュレーションを行うことを特徴とする1乃至5の何れか1項に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
上記により、サプライチェーンで販売計画変動が生じた場合に対応する安全在庫の最適化を、各部門個別ではなく、サプライチェーン全体として行うことができ、資材、仕掛品及び製品の欠品や過剰在庫を効果的に抑制し、在庫金額を最小とすることができる。
また、サプライヤーは、ERPパッケージより、前記シミュレーションの結果の情報を得ることが可能となり、将来の生産計画を立てることができ、急な販売計画変動による生産変動が生じても過剰在庫や欠品の発生を抑制することが可能となる。
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は、フォーキャスト情報(以下、フォーキャストともいう)及び資材発注確定情報(以下、発注確定ともいう)の推移の例を表すテーブルである。図3では、発注間隔、フォーキャスト発信間隔及び納入リードタイムを1週間とした例である。これらの間隔は、製品及び資材の種類によって適宜設定されるものであり、例えば2週間であったり、1か月であったりする。また間隔はそれぞれ異なっていてもよい。また、図3では発注確定をPO、フォーキャストをFCと記す。
当初の受注により立案された生産計画に従い、発注予定1週に発注確定のPO1が発注されるとともに、フォーキャストのFC1が発信される。PO1は、2週に納入される。2週には、FC2がPO2に変更され発注されるとともに、フォーキャストのFC2が発信される。PO2は、3週に納入される。以下、同様に推移する。図3は、納入が9週で完了する例である。
図3の例では、前記発注は1週間毎に前記生産計画に基づいてMRP(Material Requirement Planning)等によって資材所要量計画が作成され行われる。
図1は、資材の発注情報がフォーキャストから発注確定へと移行する、且つ販売計画変動により生産変動の起こることがある生産計画を含む、資材調達から生産工程を経て顧客(製品出荷先)に至る製品のサプライチェーンの効率化を図る効率的管理支援方法の一実施の形態を示すブロック図である。
前述のように、前記サプライチェーンは、一般的に複数の業務領域からなり、前記業務領域の連鎖で構成される。本実施の形態では、前記業務領域を資材調達業務領域(資材調達部門)、精算業務領域(生産部門)及び販売業務領域(販売部門)に区分している。
前記資材調達部門は、サプライヤーから資材の調達をし、納入された資材の管理を行う。前記生産部門は、生産工程内の資材の管理、製品の生産及び工場出荷前の製品の管理を行う。前記販売部門は、工場出荷後の製品の物流、管理及び販売を行う。前記区分は、本実施の形態に限定されるものではなく、資材の調達及び生産の形態、製品の仕様、物流形態、販売形態等により適宜区分されるものである。また、前記区分の範囲は、本実施の形態では業務領域で区分したが、各組織毎あるいは各拠点毎としてもよい。
図1において、データベース1は、前述の各種データ及び情報を格納する格納手段であり、ERPパッケージ2のデータ、情報も中継プログラム5及びシミュレーションデータ作成手段であるデータ変換部6を介して、必要に応じ取り込まれる。また、後述の、データ変換部6で作成されたシミュレーションデータも取り込まれる。なお、ERPパッケージ2のデータ、情報の内、データ変換部6で用いないデータ、情報は、データ変換部6を介さず中継プログラム5を介して直接データベース1に取り込んでもよい。
ERPパッケージ2は統合業務パッケージであり、統合データベースを有し、製品情報、生産情報等が格納される。前記製品情報は製品に使用する資材とその資材の数量、製品の工程表及び構成のデータ等から、生産情報は製品の生産量、生産リードタイム、納期、資材の納入ルート、納入リードタイム、在庫、発注、納期、価格の各情報、製品在庫情報等からなる。本実施の形態では、ERPパッケージ2として、SAP社のSAP(R/3)(登録商標)が好ましく用いられる。
以下、ERPパッケージ2をSAP(R/3)(登録商標)とも記す。
販売計画作成部4は、需要(受注)に応じて販売計画を作成する。販売計画作成部4は、前記販売部門内の、例えば、販売管理部門に設けられる。前記販売計画は、生産計画作成部3に伝達される。
生産計画作成部3は、前記販売計画を基に、資材調達上、生産工程上、物流上の各制約条件を考慮して生産計画を作成する。資材調達上の制約条件は、部品生産能力、資材の納入リードタイム、サプライヤーとの間の資材発注契約等がある。前記生産工程上の制約条件は、生産リードタイム、工程の最大生産能力、工程の生産能力切り換え条件等がある。物流上の制約条件は、製品の納入リードタイム、物流能力、倉庫在庫能力等がある。生産計画作成部3は、前記生産部門内の、例えば、生産管理部門に設けられる。
前記販売計画及び前記生産計画は、中継プログラム5及びデータ変換部6を介してデータベース1、ERPパッケージ2に入力される。
当初販売計画に変動が生じると、販売計画作成部4で変動販売計画が立案され、生産計画作成部3に伝達される。生産計画作成部3は、前記変動生産計画及び前記制約条件を基に変動生産計画を作成する。前記変動販売計画及び前記変動生産計画は、データ変換部6に取り入れられる。
データ変換部6は、前記変動販売計画及び前記変動生産計画と、ERPパッケージ2に格納されている前記製品情報及び前記生産情報と、を基にシミュレーションデータを作成する。前記シミュレーションデータは、例えば、納入リードタイム毎に資材を分類したデータ、製品を構成するユニット毎に使用する資材を分類したデータ、前記ユニット毎のユニットに組み上げる生産リードタイム、前記ユニットで在庫する場合の仕掛かり形態のパターンとその在庫金額等のデータ、発注部品と在庫部品及びユニット在庫の組み合わせパターンとその場合の製品の生産リードタイム、製品物流リードタイム、等のサプライチェーンのシミュレーションに用いる各種データである。前記シミュレーションデータは、データベース1に入力される。ここで前記ユニットとは、部品を一定レベルまで組み上げた仕掛品を指す。
データ変換部6を設け、前記データ変換部6をERPパッケージ2、生産計画作成部3及び販売計画作成部4と結びつけることにより、最新の情報を用いてシミュレーションデータを作成することができる。例えば、設計変更が生じてERPパッケージ2のデータが修正された場合等においても、常にERPパッケージ2の最新のデータに基づきデータ変換部6でシミュレーションデータを作成することができる。また、予めシミュレーションデータを作成することにより、後述のシミュレーション実行時に、シミュレーションデータを作成する負荷を軽減することができ、迅速なシミュレーションを行うことができる。
サプライチェーンモデルは、データベース1に格納されたサプライチェーンの構成等の情報を基に、モデル作成部7でコンピューター上に、前記シミュレーションデータに基づき設定される。
前記サプライチェーンモデルは、実際のサプライチェーンを模擬的にコンピューター上に仮想サプライチェーンとして再現したものである。実際のサプライチェーンの物の流れ、各作業等をコンピューター上に模擬的に再現することができる。
シミュレーション条件設定部8で、シミュレーション期間、例えば販売変動により生産変動発生後のどの期間までシミュレーションを行うか等、また初期在庫の設定、単位期間の生産量の設定等のパラメータの設定、等のシミュレーション条件の設定を行う。
シミュレーション部9で、前記シミュレーションデータ及び前記シミュレーション条件に基づき、シミュレーターで前記設定されたサプライチェーンモデルを用い、シミュレーションが行われる。
前記シミュレーションにより、販売計画変動時に、サプライチェーン全体において、販売計画変動に対応できる、即ち資材、仕掛品の欠品による生産遅延及び製品在庫の不足による出荷遅延を防止できる、資材、仕掛品及び製品の、在庫金額が最小となる安全在庫数を算出する。即ち、サプライチェーンを構成する複数の部門(業務領域)全体で、販売計画変動に対応できる、在庫金額が最小となる、在庫形態とその在庫数を算出する。また、前記安全在庫数と、その在庫金額である安全在庫金額は、安全在庫設定値として設定される。
ここで、前記安全在庫数を在庫金額を考慮することなく算出した場合は、安全在庫数の在庫金額が最小とならない場合が生ずる。これは、資材として在庫を持つか、仕掛品として在庫を持つか、製品として在庫を持つか、で金額が異なる場合が生ずるからである。従って、前記安全在庫数に在庫形態を組み入れ金額に換算して、最小金額になるように算出する。
上記により、サプライチェーンで販売計画変動が生じた場合に対応できる安全在庫の最適化を、各部門個別ではなく、サプライチェーン全体として行うことができ、各部門での資材、仕掛品及び製品の欠品や過剰在庫を効果的に抑制し、在庫金額を最小とすることができる。
前記シミュレーションデータは、前述のように常にERPパッケージ2、生産計画作成部3及び販売計画作成部4の最新のデータに基づきデータ変換部6で作成される。このため、実際の系に近い、且つ精度の高いシミュレーションが可能になる。
前記シミュレーションに際し、データベース1より前記サプライチェーンを構成する拠点の情報・通信環境の状態に関する情報・通信環境情報と、物流の状態に関する物流情報と、を取り出し加味して、シミュレーションを行うことが好ましい。これにより、更に実際の系に近い、且つ精度の高いシミュレーションが可能になる。
結果評価部10で、前記シミュレーションの結果(安全在庫数、安全在庫金額)を評価検討し、更に条件を変えてシミュレーションする必要のある場合は、再度シミュレーション条件設定部8で条件を設定してシミュレーションを行うことができる。これにより、評価の範囲を広げることが可能になる。
前記シミュレーション結果の情報は、安全在庫設定値としてフィードバックされ、データベース1に格納され、更にデータ変換部6及び中継プログラム5を介してERPパッケージ2に転送し反映される。なお、データ変換部6を介さず、データベース1から直接中継プログラム5を介してEPパッケージ2に転送してもよい。
ERPパッケージ2に転送された前記シミュレーション結果はサプライチェーン11に取り込まれ、実際の資材の資材所要量計画作成、発注確定、フォーキャストに反映される。
図2は、図1に示すサプライチェーンの効率化支援方法を用いてサプライチェーンの効率化を図るフローチャートの一例を示す。データベース1にはERPパッケージ2から必要なデータ、情報が取り込まれているものとする。
ステップS101で、販売計画作成部4で変動販売計画が作成される。
ステップS102で、生産計画作成部3でステップS101で作成された変動販売計画に基づき、変動生産計画が作成される。
ステップS103で、データ変換部6で前記変動販売計画及び前記変動生産計画と、ERPパッケージ2の製品情報及び生産情報のデータを基に、シミュレーションデータが作成される。
ステップS104で、モデル作成部7でデータベース1に格納されたサプライチェーンの構成等の情報を基にコンピューター上にサプライチェーンをモデル化したサプライチェーンモデルが作成される。前記サプライチェーンモデルは、ステップS103で作成されたシミュレーションデータに基づき、発注部品、在庫部品、ユニット在庫及び製品在庫を含む組み合わせパターンで、複数作成される。
ステップS105で、シミュレーション条件設定部8でシミュレーションの条件が担当者により設定される。前記シミュレーションの条件の設定は、シミュレーション期間、初期在庫の設定、単位期間の生産量の設定等パラメータの設定、等である。
ステップS106で、シミュレーション部9で前記サプライチェーンモデルを用いたシミュレーションを行い、シミュレーション結果として、販売計画変動に対応できる、資材、仕掛品及び製品の在庫金額が最小となる安全在庫数を算出する。
ステップS107で、結果評価部10で前記シミュレーションの結果(安全在庫設定値)を評価検討する。更に条件を変えてシミュレーションする必要のある場合は(ステップS107;NO)、ステップS105で再度条件を設定してシミュレーションを行う。再シミュレーション不要の場合は(ステップS107;YES)、ステップS108でシミュレーションの結果をデータベース1に格納する。
ステップ109で、前記シミュレーションの結果をデータベース1からERPパッケージ2に転送し、ERPパッケージ2のデータ、情報に反映させる。
上記により、サプライチェーン11で販売計画変動が生じた場合に、各業務領域(各部門)の個別最適化ではなくサプライチェーン全体の最適化を行うことができ、資材及び製品の欠品や過剰在庫を効果的に抑制し、在庫金額を最適にすることができる。
また、サプライヤーは、ERPパッケージ2より、前記シミュレーションの結果の情報を得ることが可能となり、将来の生産計画を立てることができ、急な販売計画変動による生産変動が生じても過剰在庫や欠品の発生を抑制することが可能となる。
本発明に係るサプライチェーンの効率的管理支援方法の一例を示すブロック図である。 本発明に係るサプライチェーンの効率化を図るフローチャートの一例を示す。 フォーキャスト情報及び資材発注確定情報の推移を示す図である。
符号の説明
1 データベース
2 ERPパッケージ
3 生産計画作成部
4 販売計画作成部
5 中継プログラム
6 データ変換部
7 モデル作成部
8 シミュレーション条件設定部
9 シミュレーション部
10 結果評価部
11 サプライチェーン

Claims (6)

  1. 資材の発注情報が将来の資材発注見込み情報(フォーキャスト情報)から資材発注確定情報へと移行する、且つまた販売計画変動により生産変動の生ずることがある生産計画を含む、資材調達から生産を経て販売に至る複数の業務領域からなる一連のサプライチェーンをモデル化したサプライチェーンモデルを設定し、コンピューター上に再現してシミュレーションを行い、サプライチェーンの効率化を図るサプライチェーンの効率的管理支援方法において、
    前記サプライチェーンをモデル化したサプライチェーンモデルをコンピューター上に設定するステップと、
    前記サプライチェーンの販売計画に変動が生じた場合に、変動販売計画を立案し販売計画変動情報として格納手段に格納するステップと、
    前記変動販売計画に基づき、変動生産計画を立案し、生産計画変動情報として格納手段に格納するステップと、
    製品情報、生産情報が格納されているERP(Enterprise Resource Planning)パッケージから前記製品情報及び前記生産情報を、前記格納手段から前記変動販売計画及び前記変動生産計画を、取り出すとともに、前記製品情報、前記生産情報、前記変動販売計画、前記変動生産計画を基に、シミュレーションデータを作成するシミュレーションデータ作成手段で前記シミュレーションデータを作成し、前記格納手段に格納するステップと、
    前記サプライチェーンモデルで、前記シミュレーションデータに基づき、シミュレーターで販売計画変動に対応したシミュレーションを行い、販売計画変動時に欠品を起こさない、且つ在庫金額が最小となる、前記複数の業務領域での在庫形態とその在庫数の安全在庫設定値を算出するステップと、を有することを特徴とするサプライチェーンの効率的管理支援方法。
  2. 前記複数の業務領域は、資材調達業務領域、生産業務領域、販売業務領域であることを特徴とする請求項1に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
  3. 前記在庫形態は、資材を組み立て製品とする間の、資材、仕掛品、製品の形態であることを特徴とする請求項1または2に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
  4. 前記製品情報は、製品に使用する資材とその資材の数量、製品の工程表及び構成のデータを含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
  5. 前記生産情報は、製品の生産量と納期の生産計画情報、資材の在庫情報と発注情報と納期情報と価格情報、製品在庫情報を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
  6. 前記シミュレーションに際し、格納手段に格納された前記サプライチェーンの拠点の情報・通信環境の状態に関する情報・通信環境情報と物流の状態に関する物流情報とを取り出し加味して、シミュレーションを行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のサプライチェーンの効率的管理支援方法。
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