JP2010055466A - セットベース設計手法を用いた製品最適化設計支援システム - Google Patents

セットベース設計手法を用いた製品最適化設計支援システム Download PDF

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Abstract

【課題】製品ファミリの共通の構成要素にした場合、製品に求める設計の評価指標(性能、コストなど)がどのように変わるかを評価指標に適した評価グラフを選択して分析・評価することができる製品最適化設計支援システムを提供する。
【解決手段】製品ファミリモデリングツール10で製品ファミリモデルを生成する。製品ファミリ案選択ツール20では、膨大な数のファミリ案の中から絞り込んだファミリ案1〜4などを抽出する。製品ラインアップモデリングツール30では、製品ファミリ案選択ツール20で抽出された一つの製品ファミリ案1(25)について複数のラインアップ案として構成グラフ表現された製品ラインアップ1(35),製品ラインアップ2(36),・・,製品ラインアップ4(37)を抽出する。製品ファミリ案評価ツール40では、設定された評価指標に基づく評価値が算出され、算出された評価値をレーダーチャート49に表示してバランス評価する。
【選択図】図9

Description

本発明は、製品ファミリにおいて、製品を構成する構成要素(部品、コンポーネント、モジュールなど)を様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求めるセットベース設計手法などを用いて製品ファミリの共通の構成要素にした場合、製品に求める設計評価指標、生産性・コスト評価指標などがどのように変わるのかを評価指標に適した評価グラフを選択可能にして分析・評価し、製品ファミリにおける最適な構成要素および又は最適な属性(形状・寸法、材質、電気・物理特性)仕様となる組合せを見つける製品最適化設計支援システムに関する。
製造業を取り巻く現状は、市場のグローバル化、ライフスタイルの多様化など、社会的にも経済的にも大きく変化する時代を迎えており、製造業は、顧客ニーズに柔軟に対応しながら、製品を効率よく開発しなければ熾烈な企業競争に勝ち抜くことはできない状況になっている。そのような状況下にあって製造業の製品設計において製品を顧客ニーズに柔軟に対応しながら製品を開発するための手法の一つとして「製品のファミリ化」という考え方が知られている。「製品のファミリ化」とは、複数の製品において部品を共通化(モジュール化、或いは、プラットフォーム化)することで開発コストを抑えながら、各製品に固有の部分を独自に開発し、製品の多様化を確保していこうとする考え方である。一般に「製品ファミリ」とは、共通の部品やアセンブリを用いた製品群(これについて必要ならば参考文献1 Otto:「A Method for Architecting Product Platforms」,Research in Engineering Design , Vol.12, 2000.参照)と定義されており、そして、その共通の部品やアセンブリは「プラットフォーム」とも呼ばれる。
今日知られているコンピュータを用いた主な設計支援はCAD(Computer Aided Design)やCAE(Computer Aided Engineering)といったものであるが、これらを「製品のファミリ化」のツールには利用することはできない。なぜならCADやCAEは、製品開発の下流の設計支援に用いられており、製品開発の上流に位置する「製品のファミリ化」の設計支援には不向きであり、新たな設計支援ツールの開発が待望されている。
また「モジュール化」は、製品を構成する部品群をある観点でモジュールにまとめることであり、複数の製品において、共通となるモジュールを考えて設計することもまた「製品のファミリ化」においては重要なことである。
このように「製品のファミリ化」は、複数の製品について、共通の部品化(プラットフォーム化、モジュール化)と、個々の製品で独自のオプションとなる部品やモジュールを定めていくという考え方であるが、「製品のファミリ化」を支援する有効なツールが現状では見当たらない。
図15は、非特許文献1及び非特許文献2に開示される従来の製品最適化設計支援システムの概要を示す図である。図15において従来の製品最適化設計支援システムは、オブジェクト指向言語である、Visual Works Release 7.3 (CINCOM<登録商標>の SmallTalk )を使用して実現された、製品ファミリモデル設計ツール501と、部品・インタフェイス共用化ツール502と、プラットフォームモジュール設計ツール503と、製品ファミリ案評価ツール504とで構成され、これらはマルチウィンドウで表示されて実行可能にされる。
製品ファミリモデル設計ツール501は、定義されたコモンアーキテクチャの下、リンクで共通化関係が記述された製品グラフ表現される製品ファミリモデルを設計する。製品グラフは複数の製品について機能面から同一のグラフに纏めて表現したものである(図19参照)。部品・インタフェイス共用化ツール502は、部品とインタフェイス(関係)の共用化(共通化と同義)を支援する。その際、部品の共用化ツリー(Unification Tree)は、想定される部品組合せのすべてについて自動計算することで上記製品ファミリモデルから生成され、部品の共用化に伴う各製品ファミリ案がこのウィンドウ画面に提供される。
プラットフォームモジュール設計ツール503は、上記で提供された製品ファミリ案についてのプラットフォーム化とモジュール化を支援する。プラットフォーム化ツリー(Platformization Tree)が上述した部品共用化ツリーと同様に自動計算で生成され、すべてのモジュールのリストがこのウィンドウ画面上に提供される。また想定される製品ファミリモジュール構造も提供される。このウィンドウ画面で個々の製品ファミリ案についてプラットフォーム化とモジュール化が検討され、それらについての評価指標に係る情報(例えば、後述するModularityの値など)が付加される。製品ファミリ案評価ツール504は、評価指標に係る情報が付加された製品ファミリプラン(案)をx軸,y軸にコストとバラエティ数を配置する評価指標軸でグラフ表現可能にしてウィンドウ画面に表示する。設計者は製品ファミリ戦略に適合する製品ファミリプラン(案)をこのウィンドウ画面で選択する。適合する製品ファミリプラン(案)が見つからなければモデル設計をやり直して適合する製品ファミリプラン(案)が見つかるまでこのスパイラルを循環させる。
図16は、製品ファミリモデル、製品ファミリプラン(案)、製品ラインアップ、および、製品ラインアップモジュール化案における各モデルの階層を示す図である。図16に示すように、製品ファミリモデル511は複数の製品ファミリ案512を持ち、製品ファミリ案512はそれぞれ複数の製品ラインアップ513を持ち、製品ラインアップ513はそれぞれ複数の製品ラインアップモジュール化案514を持つ。
図17は、図15の製品ファミリ案評価ツールにおける評価グラフを示す図である。図17はx軸,y軸にそれぞれ評価指標のコストとバラエティ数を配置し、プラン(案)1〜プラン(案)8を当該座標にプロットして評価するものである。図17において設計者が製品ファミリ戦略で低バラエティ・コスト重視を採用すればプラン(案)5を選択し、また、設計者が製品ファミリ戦略で低コスト・バラエティ重視を採用すればプラン(案)1を選択する。なおコストには設計変更(設変)コスト、インタフェイス変更コスト、ラインアップ総製造コストを含ませることができ、また予測売上げを考慮したラインアップ重要度をy軸の評価指標にすることもできる。
図18は、従来の製品最適化設計支援システムの動作の流れを示すフローチャートである。ステップS101における「製品ファミリ案の仮定」は、製品ファミリモデルとして設計の対象となる製品グラフを導出する処理である。製品は部品の組合せから成り、製品を構成する一つ一つの部品について、オプション(部品の代替案)を考えることから始まり、各オプションについて、オプションによって製品を構成する際の、部品間接続関係の検討・保証を設計アーキテクチャに基づいて行うことで、複数の製品を準備することができる。ここでいう、部品間接続関係の保証とは、部品間の実体接続が保証されていること、及び、製品全体としての意図される機能・性能を部品間の接続によって損なわれないこと、などを意味している。
このステップS101では、製品を構成する部品・サブシステムを複数準備し、様々なオプション(部品の代替案)の組合せで複数の製品を構成することで、製品ファミリモデルを生成する。このステップS101における操作イメージとして設計者は、製品を構成する部品・サブシステムを準備して、部品・サブシステムの組合せによる製品ファミリモデルを同一グラフ上に表現する。
ステップS102における「製品ファミリ案の導出」は、生成された製品ファミリモデルから製品ファミリ案を導出する処理である。製品ファミリは複数の製品から構成されるものであるから、ある企業(設計者)が製品ファミリを検討したいと考えた場合、製品ファミリ全体で共通して使える部品、すなわちプラットフォームを設計しようと考える。というのも、プラットフォームの利用による共通部品を複数の製品に用いることで、量産効果による部品製造コストの低減や、オプションの組合せによってユーザの様々なニーズにきめ細かく対応できる製品設計が可能となるからである。そこでこのステップS102では、ある製品ファミリ案について、プラットフォームを設計するという意図の下、部品の共用化(汎用化ともいう)という操作を行う。部品の共用化とは、機能の一致する2つの部品について、それらの部品を代替する新たな部品を考えることである。部品の共用化によって設計される新たな部品については、元の2つの部品とは機能が一致しているが、性能の一致についてまでは保証されない。このステップS102で、設計者は、新たに設計される共用化部品に対して設計意図を記述することで、共用化部品を含む製品がどのような機能・性能を示すかをあらかじめ記述することができる。またこのような部品を設計/製造する際にかかるコストもあらかじめ推定することもできると考えると、設計者は、共用化の検討を行いたい2つの部品間について、共用化にかかるコストを記述することができる。製品ファミリ案を選択する際に、設計者は、部品の共用化を行わない元の製品ファミリ、及び、部品の共用化を行った後の製品ファミリの2つの製品ファミリの比較検討を行い、ターゲットとする市場に対してより好ましい製品ファミリ案を選択し製品を投入するはずであるので、製品ファミリに含まれる複数の部品間について、繰り返し共用化の検討を行い、製品ファミリの候補となりうる案を数多く計算する。このステップS102における処理をまとめると、ステップS101で生成した製品ファミリモデルについて、部品の共用化を行い、製品ファミリがどのように変化するか検討する。そして変化前、変化後、それぞれを一つの製品ファミリ案と捉え、様々な順序で部品の共用化を行うことにより、複数の製品ファミリ案を生成する。このステップS102における操作イメージとしては、製品ファミリモデルから新たな製品ファミリ案を複数生成し、次のステップに引き継ぐ。
次にステップS103における「ラインアップの導出」は、製品ファミリ案の階層からラインアップの階層へと深化する処理である。図16に示したように製品ファミリ案は、複数のラインアップにより構成される。ステップS102で導出された様々な製品ファミリ案は、それぞれ複数のラインアップを個々に持つ。このステップS103で設計者は、複数の製品ファミリ案について、個々に持ちうるラインアップの組合せを自動計算する。個々のラインアップはそれ自体で製品単体を表すことになるので、設計者は、個々のラインアップに対してその製品が持つ機能や製品の達成する性能、マーケットにおける製品の位置付けなどを考えて評価する。このステップS103における処理をまとめると、ステップS102で得られた様々な製品ファミリ案に対して、個々の製品ファミリ案から導出される各ラインアップを計算し、各ラインアップについて、製品ファミリを決定する際の指針(評価)となる情報を記述する。
ステップS104における「ラインアップの検討・評価」は、図16に示したように製品ファミリ案の下位階層でラインアップの一つ一つの案を評価することである。製品ファミリ案の選択や、ラインアップのモジュール構造の検討を行うためには、ラインアップから得られる様々な情報を、設計者が評価決定を行えるような情報に変換する必要があるために、例えば、各部品の製造コストの情報から各ラインアップの製造コストの計算を行ったり、各々のラインアップの持ちうるモジュール構造の検討・評価を行う。つまりこのステップS104では、設計者が製品ファミリ案の選択やラインアップのモジュール構造の検討を行うために、上記ステップS103で計算したラインアップの一つ一つについて検討・評価を行う。
ステップS105における「ラインアップモジュール構造の検討・評価」は、ステップS104で行ったラインアップの検討(ラインアップの持つ各部品の材料や部品寿命等の属性の検討、及び、部品間の情報の伝達関係の検討)を元にラインアップの持ちうる様々なモジュール構造案を計算し、評価を行う処理である。ラインアップの持ちうるモジュール構造案(モジュール化案)については、製品ファミリグラフ(図19、図20参照)のリンクをカットして構築されるカットセットを計算によって求める。カットセットは、製品機能を保証するモジュール間のインタフェイスが必要となる箇所を表現し、かつ製品の組立・分解の対象となるものである。そして計算された各製品ファミリグラフのカットセットによる案を、モジュール化案として考え、それぞれのモジュール化案の評価を行う。モジュール化案の評価については、例えばModularity(これについて必要ならば参考文献2 瀬合 健一:「モジュール性を考慮した製品ファミリ構造決定法に関する研究」東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士論文,2001.参照)を用いて評価する。またラインアップにおけるすべての生産台数について製品コスト(設計費、設備費、材料費、組立費など)を算出して評価するのも良い。
ステップS106における「製品ファミリ案の選択」は、ラインアップのレベルから、その結果を製品ファミリ案のレベルに反映させる処理である。このステップS106では、個々のラインアップの評価結果を、それぞれの製品ファミリ案に反映させる。すなわち、それぞれの製品ファミリ案の個々のラインアップの情報から、製品ファミリ案同士の比較が行えるような情報への変換を行う。個々のラインアップが持つ情報(例えば、ラインアップ製造コスト、ラインアップ売上期待値などの情報)から、製品ファミリ全体での比較が行える情報(例えば、ファミリ全体としての製造コスト、ファミリ全体のラインアップの数や重要度といった情報)に変換して、評価結果を設計者に返す。返された評価結果を元に設計者は、どの製品ファミリ案を選択すべきかを考える。ファミリ案の選択は、評価結果について、xy座標平面を考え、x軸にある評価結果、y軸に他の評価結果を入れ、各製品ファミリ案をプロットすることにより行う。設計者は、xy座標平面の各軸に値を入れられた評価結果を検討することで、製品ファミリ案を選択する。
ステップS107で設計者は意図した製品ファミリはあるかを判断する。意図した製品ファミリがなければ、ステップS108に進み、製品ファミリ案の変更を行ってステップS102に戻り、再びステップS102〜S107の処理を実行し、意図した製品ファミリがあるまでこれを繰り返す。そしてステップS109でもって設計を終了する。
図19は、2製品とその製品要素の製品ファミリグラフ表現を示す図である。すなわち、ノードA-1〜ノードA-4からなる第一の製品と、ノードB-1〜B-4からなる第二の製品がエリア毎に対応するノードが纏められ且つノード間をリンクで結線して関係を表すようにされる。各エリアは機能が纏まりのある一つの単位として設定されるものである。図中、たとえば、エリア521にはノード522とノード523が示され、またエリア524にはノード525とノード526が示され、さらにエリア531にはノード533とノード534が示されている。なお、ノード523とノード526間にはリンク527があることを一例として示している。
図20は、共用化(共通化)を行った製品要素を用いた製品群の製品ファミリモデルを表現する図である。すなわち図19におけるエリア531内のノードA-1とノードB-1に対して、それらを代替する製品要素を設計して、つまり共用化(共通化)して新たな製品要素ABを使って製品ファミリモデルを表現したものである。これは機能の共通する製品要素を新たな製品要素に置き換えることにより製品ファミリモデルが変更され、このノードのマージ(一つに纏める)操作によって部品の共用化(共通化)を表現する。具体的には、図19に示すエリア531のノード533とノード534が、図20ではマージされたノード532として表される。
図21は、図19に示した製品ファミリグラフ表現の具体例を示す図である。図21は第一の製品としてのフラッシュ付きカメラと第二の製品としてのフラッシュなしカメラの例を一つの製品ファミリグラフ表現したものである。各エリア(四辺形表現)にはカメラを構成する要素毎に機能名及び部品名が列記されている。
図22は、全製品ファミリ案を表現する製品ファミリ構成グラフを示す図である。図示例はフラッシュ付きカメラにおけるもので、図中左部に示される製品ファミリ構成グラフでは、一つのノードがそれぞれの製品ファミリ案を示し、元の製品ファミリ案と共用化(共通化)という操作によって得られる製品ファミリ案との間にリンクが記述される。図中右部上は製品ファミリプラン4、図中右部下は製品ファミリプラン8における製品ファミリ案の具体例を製品ファミリグラフ表現により示す。製品ファミリグラフ表現の図中、例えば、ボディ1・ボディ2という記述は、マージされたノードを示すものであり、これにより部品の共用化が検討されたことを示している。またマージがなされる可能性があるノード間には破線が引かれている。
そんな中、設計結果を評価する手法として、特許文献1には、基板設計及びパターン設計を評価するための総合評価値を求める場合、評価実行装置が単に各々評価指標の評価値を総和することにより総合評価値を求めることが開示されている。
また特許文献2には、設計変数範囲を設定し、設定した設計変数範囲を分割し、分割した設計変数範囲に対応する要求性能の選好度、性能値の可能性又はロバスト性を算出することで、セットベース設計に有効な手法で設計支援を行う設計支援方法が開示されている。
特開平11−328250号公報(段落[0127],[0128]、図42) 特開2006−031488号公報 Tsuyoshi Koga ,Kazuhiro Aoyama "Module design based on interface integration to maximize product variety and minimize family cost "INTERNATIONAL CONFERENCE ON ENGINEERING DESIGN, ICED’07/674 , pp1-pp12 , 28-31 AUGUST, 2007 ,PARIS ,FRANCE 古賀 毅, 難波 利暁, 青山 和浩, 斎藤 岳:「製品ライフサイクル・シナリオを考慮したプラットフォームモジュール構造の設計手法に関する研究」日本機械学会 第16回 設計工学・システム部門講演会 講演論文集, 名古屋, No.06-33, ISSN 1348-0286, pp.63-66, 2006年11月
非特許文献1及び非特許文献2に開示される従来の製品最適化設計支援システムは、製品ファミリ案を評価する評価指標としてコストとラインアップ数を設定し、これらの評価指標に評価値を2次元の平面グラフに表示して、コストが小で、ラインアップ数が多い製品ファミリ案を抽出するものである。しかしながら従来の製品最適化設計支援システムは、評価指標としてコスト小やラインアップ数の多さ以外に多くの評価指標、たとえば、性能、コスト、顧客満足度、共通構成要素数、機能/特性、信頼性、品質、環境適合性(リサイクル,リユース)などについての評価指標で総合評価できるようになっていない。このような多くの評価指標で総合評価できれば、性能、顧客満足度、機能/特性、信頼性などを考慮した製品を市場ニーズに合わせて提供することができるようになる。
上記特許文献1は、評価実行装置で各々評価指標の評価値を総和することにより総合評価値を求めるようにしているが、総合評価といっても高得点の評価指標があればその評価指標が重要視された評価結果になる恐れがある。
また上記特許文献2に開示されるセットベース設計に有効な手法による設計支援方法には、分割した設計変数範囲に対応する要求性能の選好度、性能値の可能性又はロバスト性を算出しているものの、製品をシリーズ化、ファミリ化した中におけるコンポーネントの共通化に伴って複数の製品ファミリ案を評価すること、また複数の製品ファミリ案を評価した中から最適な製品ファミリ案を抽出すること、にはなんらの言及もなされていない。
本発明は、様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求めるセットベース設計手法などを用いて製品ファミリの共通の構成要素にした場合、製品に求める設計の評価指標(性能、コストなど)がどのように変わるかを評価指標に適した評価グラフを選択して分析・評価することができる製品最適化設計支援システムを提供することを目的とするものである。
本発明は、製品を構成する構成要素を、様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求めるセットベース設計手法などを用いて製品ファミリの共通の構成要素とした場合、該共通の構成要素と製品の他構成要素との組合せにより形成される共通化案のそれぞれに応じて、製品に求める評価指標がどのように変わるかをそれらの評価指標の変化結果を通して各共通化案を評価し、評価した各共通化案の中から製品の最適な構成要素及び又は最適な属性仕様を有する共通化案を見出す製品最適化設計支援システムであって、
前記評価指標の変化結果を見るために、顧客ニーズをセットベース設計における幅広い集合として捉え、性能,コスト,顧客満足度,共通構成要素数,機能/特性,信頼性,品質,環境適合性などを評価指標としその中から複数の評価指標を予め定義する評価指標定義手段と、
定義された前記複数の評価指標を使用し、前記各共通化案のすべてについて少なくとも前記顧客満足度を顧客が要求した性能の達成度としてファジィ集合におけるメンバシップ関数で規定した上で計算により求め、その結果を分析することで前記顧客ニーズを満たす共通化案を絞り込み、絞り込んだ前記共通化案の評価値を計算し、当該評価値を保存する評価値計算・保存手段と、
評価グラフにおける表示の内容及び軸に関する情報を保持する表示内容・軸情報保持手段と、
該表示内容・軸情報保持手段にアクセスして表示の内容及び軸を選択し、選択した表示の内容及び軸に対応して前記評価値計算・保存手段に保存された評価値を表示する評価結果表示手段と、
該評価結果表示手段に表示された前記評価グラフの評価値を分析して各共通化案の中から設計者の意図する評価指標値に最も適合した共通化案を最適な共通化案として抽出する最適共通化案抽出手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求めるセットベース設計手法などを用いて製品ファミリの共通の構成要素にした場合、製品に求める設計の評価指標(性能、コスト、顧客満足度、共通構成要素数、機能/特性、信頼性、品質、環境適合性(リサイクル,リユース)など)がどのように変わるのかを設計者が評価指標に適した評価グラフを選択し、さらに、設計者が選択した評価グラフにおける表示の内容及び軸を選択し、選択した表示の内容及び軸に対応して計算された評価値を表示して分析・評価するとともに、設計者の意図する評価指標値に最も適合した共通化案を抽出することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムは、上記した図15の従来の製品最適化設計支援システムを参考にして構築されたものであるが、本発明の実施形態では、構成をより明確化している。すなわち、製品ファミリモデリングツール10において、製品構成定義部11、共通化関係設定部12、コモンアーキテクチャを定義するファミリエリア設定部13、評価指標値設定部14、制約条件設定部15を備え、これらの定義部11、設定部11〜15で予め定義・設定のうえ製品構成定義等情報格納部16を経てデータベース(DB)60に情報を格納するようにしている。具体的には製品構成定義部11は、実体、接続、関係(インタフェイス)、属性などを製品構成として予め定義する。例えば、図3に示す製品例の製品構成について図4ないし図6を参照しながら定義する。共通化関係設定部12は、構成要素(部品、コンポーネント、モジュールなど)や属性についてどのような観点で共通化(共用化)するかを設定する。またコモンアーキテクチャを定義するファミリエリア設定部13は、個々の製品ファミリエリア内に置くべき統一機能(類似機能)について構成要素をエリア内に設定する。そして評価指標値設定部14は、製品を評価する評価指標にしたがって評価指標値を設定し抽出された製品ファミリ案や製品ラインアップ案を評価できるようにする。さらに制約条件設定部15は、共通化(共用化)における制約条件を設定する。そして製品構成定義等情報格納部16は、上記各設定部12〜15や定義部11で設定・定義した情報をデータベース60に転送するために格納する。本実施形態における製品ファミリモデリングツール10は、このような構成を備えた上で製品ファミリモデルをウィンドウ画面で生成し、生成した製品ファミリモデルをデータベース60に格納する。生成された製品ファミリモデルのイメージは図9左上部に示されるものとなるが、これについては後で説明する。
次に製品ファミリ案選択ツール20では、製品ファミリ案抽出部21がデータベース60に格納された製品ファミリモデルを読み出し、製品ファミリモデルに基づいてすべての製品ファミリ案を抽出する。製品ファミリ案を抽出する前に、市場の要求を満たす製品案(許容製品)を提供する観点から製品の各性能とコンポーネントの各性能の関係(これについては後で図4を用いて説明する)を利用して様々な製品案の性能の検討を行う。そのため製品ファミリを構成するすべてのコンポーネントによるすべての組み合わせについてその製品案の顧客満足度(これについては後で説明する)を大まかに評価し、上述した制約条件から実現不可能な製品については案から除外する。
ここで、顧客の製品に対する要求性能を考慮したセットベース設計と顧客満足度について説明する。通常、マーケティングなどから得られる顧客ニーズは、一般に言語であいまいに表現されるため、製品への要求性能をポイント値で表現することはできず、そのためセットベース設計を取り入れなければ要求性能を満たす製品を設計することはできない。一般に、セットベース設計とは、従来のポイント値で規定するポイントベース設計に対して、様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求める手法(これについて必要ならば参考文献3 Yoon-Eui Nahm,石川晴男:「初期段階におけるセットベース多目的設計最適化」自動車技術会シンポジウム,2004 および参考文献4 松田信之,古賀 毅,青山和浩:「設計テンプレートを活かしたニーズの変化に柔軟な製品ファミリ展開手法」第17回設計工学・システム部門講演会講演論文集,No.07-22,2007 参照)である。この手法では設計解と要求性能を規定する諸量をそれぞれ集合で与えるので、様々な不確実性を考慮することができる。
また顧客満足度は、各製品の性能と市場における顧客ニーズを比較したときに、どの程度各製品の性能が顧客ニーズを満たしているかを示す指標となるものである。顧客ニーズは、市場調査結果をもとにJIS Q 9025 : 2003 に規定される QFD(Quality Function Deployment :品質機能展開)による分析等で、製品の性能値の幅に落とし込むことができる。そして、性能値の幅を顧客ニーズを満たす上限と下限とし、さらに十分に顧客ニーズを満たすと考えられる性能値の上限を顧客満足度1と定義する。これらは図7に示すようにメンバシップ関数により表現される。
市場における一応の顧客満足度が得られた許容製品群からなる製品ファミリ案は、各許容製品群の全組み合わせであるため、設計者が製品ファミリ案を検討するためには、製品ファミリ案の巨視的な分析(後述する)を行い、製品ファミリ案を選別して絞り込む。このようにして絞り込んだ製品ファミリ案それぞれをコンポーネント単位で評価し、それぞれの製品ファミリ内の各製品のコンポーネントの構成を比較し、モジュール化の可能性を検証し、必要であればコンポーネントの設計変更や新規コンポーネントの導入を視野に入れたコンポーネントの共通化を検討したうえで、さらに製品ファミリ案の選別を図り、設計者が詳細な分析が行える数まで絞り込む。この絞り込みのためにクラスタリングを利用することができる。これについては後述する。
製品ファミリ案表示部22は、抽出された製品ファミリ案をノードで表現しノード間における関係をリンクで結んで全ファミリ案を表現する全ファミリ案構成グラフ(図22左部参照)としてツリー状のネットワークグラフで表示する。ファミリ案構成表示部23は、上記ネットワークグラフで表示された各製品ファミリ案について共通化した構成要素又は共通化しない構成要素が分かるような製品ファミリ構成グラフ(図19、図20、図22右部参照)にしてウィンドウ画面中に小分けして表示可能にする。図9右上部に構成グラフで表現されたファミリ案をイメージとして示す。これについては後で説明する。製品ファミリ案格納部24は、上記した表示部22,23に表示されたネットワークグラフ又は構成グラフで表現された製品ファミリ案についての情報(共用化、インタフェイス、属性などのデータ)をデータベース60に転送するために格納する。
製品ラインアップモデリングツール30では、ラインアップ案抽出部31がデータベース60から上記製品ファミリ案についての情報を読み出し、製品ファミリ案選択ツール20で抽出された一つの製品ファミリ案について製品ラインアップ案をすべて抽出する。そして抽出したすべての製品ラインアップ案についてその製品ラインアップ案を後で評価できるように、評価指標値設定部14で設定された評価指標値、例えば、製品コストを算出してその値を記述する。この場合、製品コストには、設計費、設備費、材料費、組立て費などを含ませることができる。
各製品ラインアップ案表示部32は、上記製品ファミリ案選択ツール20で抽出された一つの製品ファミリ案毎に抽出されたすべての製品ラインアップ案をリスト化し、リスト化した製品ラインアップ案を製品ファミリ案全体として表示する。ラインアップ案構成表示部33は、上記製品ファミリ案選択ツール20で構成グラフ表現された一つの製品ファミリ案について抽出されるすべての製品ラインアップ案を構成グラフで表現する。図9右下部にそのイメージを示す。これについては後で説明する。製品ファミリ案選択ツール20で構成グラフ表現された一つの製品ファミリ案についてのラインアップ案すべての抽出が済めば、また製品ファミリ案選択ツール20に戻り次の製品ファミリ案のラインアップ案すべての抽出を行い、これを何回か循環させてすべての製品ファミリ案についてのラインアップ案すべての抽出を行う。そして、ラインアップ案格納部34は、上記した表示部32,33に表示されたラインアップ案におけるリストおよび構成グラフ表現された各ラインアップ案についての情報(共用化、インタフェイス、属性などのデータ)をデータベース60に転送するために格納する。
製品ファミリ案評価ツール40では、データベース60から上記製品ファミリ案及び対応するラインアップ案についての構成情報を読み出し、この情報をファミリ案及び対応するラインアップの構成情報セット部41にセットする。各ラインアップについて評価指標値算出部42は、あらかじめ設定された評価指標に基づいて各製品ファミリ案のそれぞれに対応する各ラインアップについて評価値を算出する。そのために評価指標値算出部42と構成情報セット部41とを循環させながら処理を進める。そしてそれが済めば、今度は各製品ファミリ案の評価値算出部43で、あらかじめ設定された評価指標に基づく各製品ファミリ案の評価値を算出する。そのために評価指標値算出部43と構成情報セット部41とを循環させながら処理を進める。
評価結果表示(グラフ)選択部44は、表示画面の内容、表示軸選択部45から表示画面の内容(表示するグラフの種類、例えばレーダーチャート、クラスター分析、バブルチャートなど)及び表示軸(2次元表示軸、3次元表示軸、レーダーチャート表示軸など)についての選択結果を取得し、選択した表示画面の内容及び表示軸でグラフ表示できるように評価指標値算出部42,43の処理で得られた評価値を取り込む。そして取り込んだ内容をファミリ案評価結果表示部46において表示する。ファミリ案評価結果表示部46は表示に当たって表示画面の内容、表示軸選択部45から表示に係る情報を取得する。最適なファミリ案算出部47は、後述する総合評価値の算出式に基づいて各ファミリア案(共通化案)を評価してその中から最適なファミリ案を抽出する。最適なファミリ案に係るラインアップ案、ファミリ案格納部48は、最適なファミリ案算出部47で算出した最適なファミリ案およびそれに対応するラインアップ案をデータベース60に転送するために格納する。図9左下部にそのイメージを示す。ここまでの流れで最適なファミリ案が抽出されるが、設計者が設計解として満足し得ない場合も想定されるため上記した製品ファミリモデリングツール10に戻ってやり直すこともできる。
図2は、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムの動作を説明するためのフローチャートである。個々の製品はそれぞれコンポーネントの組み合わせで構成され、同時に製品の機能はコンポーネントの性能の組み合わせによって実現されるため、コンポーネントと製品の関係について、製品の機能を実現する各コンポーネントとその性能、製品の各性能とコンポーネントの各性能の関係、製品を実際に設計・製造する上での制約条件などを明らかにするとともに市場調査等から得た市場における各製品に対する顧客ニーズと、各顧客ニーズに対する各製品の性能値を加えて製品ファミリ戦略を具体化する(ステップS1)。次に、製品ファミリ案を導出する前に市場の要求を満たす製品案(許容製品)を考える必要があり、前述の作業で製品の各性能とコンポーネントの各性能の関係が得られているので、これを利用して様々な製品案の性能の検討を行う。これにあたり可能な限り多くの設計案を検討したいために、製品ファミリを構成するすべてのコンポーネントによるすべての組み合わせについてその製品案の顧客満足度を大まかに評価し、上述した制約条件から実現不可能な製品については設計案から除外する。詳細な顧客満足度の評価はこの段階では行う必要がなく後で行う(ステップS2)。
市場調査等がすべての顧客を対象にしてなされると購買層が分散されるため、不特定多数の顧客を共通のニーズを持って類似した購買行動をとる市場セグメントに分け、そして各市場セグメントに照準を合わせたマーケティングを実施する。したがって、各市場セグメントから一応の顧客満足度が得られた許容製品群はそれぞれのセグメントのニーズを満たした製品案であるから、各セグメントから製品案を一つずつ選んだ組み合わせによって製品ファミリ案を導出できる(ステップS3)。
次に、上記で選んだ製品ファミリ案は、各許容製品群の全組み合わせであるため、設計者が製品ファミリ案を検討するためには、製品ファミリ案の巨視的な分析を行い、製品ファミリ案を選別して絞り込む(ステップS4)。膨大な数に上る製品ファミリ案の中にはコンポーネントが類似した構成かつ各製品の性能の近いものが多く含まれている可能性があり、それらを分類してプラットフォームを考えることもできる。なお、市場セグメントごとに許容される製品の性能幅が異なり、市場セグメントによって許容製品群の大きさが大きく異なる可能性があるため、製品ファミリ案を構成する各製品の主要な性能値による分類を行う。このように膨大な数に上る製品ファミリ案を巨視的な分析を行うことで、どのような構成が優れた傾向にあるのか、逆に、どのような構成だとうまくいかないのか、などの分析結果を得る。
設計者はステップS4における分析および分類された製品ファミリ案群の中から、優れた傾向にある製品ファミリ案群を選別する(ステップS5)。ここでの製品ファミリ案の評価は、製品ファミリ案の顧客満足度、コスト、および、共通コンポーネントの多さから判断する。評価指標である顧客満足度、コスト、および、共通コンポーネントの多さのうちどれを重視するかは、設計者の性質や設計者の考察、また得られた分布等に基づいて総合的に設計者が判断し、その製品ファミリにとって最も利益を生むと考えられる製品ファミリ案群を選別する。なお製品ファミリ案の分析(ステップS4)と選別(ステップS5)は、設計者が個々の案を検討できるような数に案が絞れるまで繰り返し実行する。
次いで、選別された製品ファミリ案群それぞれをコンポーネント単位で評価する。それぞれの製品ファミリ案における各製品のコンポーネントの構成を比較し、モジュール化の可能性を検証し、必要であればコンポーネントの設計変更や新規コンポーネントの導入を視野に入れたコンポーネントの共通化を検討する(ステップS6)。
コンポーネントのモジュール化および共通化を行うことによって設計解が満足であるかを判定する(ステップS7)。満足であれば各製品ファミリ案の評価に進む(ステップS9)。しかし満足でなければ、コンポーネントの再設計を行う(ステップS8)。コンポーネントの再設計を繰り返し行えるようにすることで、より高度なモジュール化および共通化についての設計解を得ることができる。
また各製品ファミリ案の評価(ステップS9)では、いま一度、製品ファミリ案を顧客満足度、コスト、および、共通コンポーネントの多さで評価し、製品ファミリ戦略として十分に優れているかを検証する。導出した様々な製品ファミリ案に対してこれらの操作を繰り返し行い、製品モジュールの性質や企業の事業戦略により合致した製品ファミリ案およびモジュール構造を決定する。莫大な数の製品ファミリ案すべてを巨視的に分析しているので、急な事業戦略の変更などといった製品ファミリの評価基準に影響する事象に柔軟に対応することができる。なお上記のような各製品ファミリ案の評価に加えて、各種の評価グラフを使用するとともに総合評価式を用いて最適なファミリ案を算出する。これについては後述する。
図3は、本発明の製品最適化設計支援システムが対象とした製品例を示す図である。図示製品は、電動ドリルドライバーの構造を示すもので、市場調査などから当該製品に対する顧客ニーズが「締め付けトルク」,「重量」,「連続使用(駆動)時間」の3項目にあることを掴み、「締め付けトルク」,「重量」,「連続使用(駆動)時間」に影響を及ぼすコンポーネントとして、電動ドリルドライバーを特徴付ける、筐体70、モーター71、ギアボックス72、電池73、および、制御装置74を抽出する。本発明ではこの電動ドリルドライバーの製品ファミリを例にして製品最適化設計支援システムを説明することにする。
図4は、図3に示す製品の製品性能とコンポーネントの関係を示す図である。ただし、図4に示す電動ドリルドライバーの各コンポーネントの数値は特定の電動ドリルドライバーについてのもので、すべての電動ドリルドライバーにおける製品の数値を示しているものではない。図4に示すように、製品の性能はコンポーネントの性能に分解することができ、製品の性能とコンポーネントの性能の関係は図4に示す矢印で関係を示すとともに一般に詳細設計でも用いられる数式によっても表現する。コンピュータ上で設計支援する場合には、製品の性能とコンポーネントの性能の関係式をあらかじめ入力しておき、コンポーネントの性能から製品の性能を計算して出力することができる。
図5は、図3に示す製品(電動ドリルドライバー)のグラフ表現を示す図である。製品についてモジュール化を考えるとき、コンポーネントの構造が必要であり、図5はコンポーネントの構造の表現として、製品要素をノード、製品要素間の関係をリンクで表すグラフによって製品を表現する。各ノードは楕円形で示され、各ノードを結ぶ線がリンクを表している。
図6は、図3に示す製品のコンポーネントをノードに纏めた製品ファミリのグラフ表現を示す図である。製品ファミリは製品の集合によって表現され、製品はコンポーネントの集合によって表現されるため、製品ファミリもコンポーネントの集合によって表現され得る。図6はコンポーネントの集合によって表現された製品ファミリを示すものである。製品ファミリ内で同じ働きを持つコンポーネントは一緒にされ、一つのノードに纏めて表現される。例えば、motor(モーター)1〜5は一つのノードに纏められており、ノードの記号としては、図3に示したコンポーネント名(モーター:71)と同じ記号を付している。他のノードについても同様である。こうすることで、製品ファミリ案の生成は、このノード内のコンポーネントの組み合わせを考えることによって生成され、図6の製品ファミリ例では、3×4×5=720種類も生成される。したがって、図3の製品についてさらに他のコンポーネントを加える、あるいは、コンポーネント数が図示例よりも多い製品になれば何万、何百万の数の製品ファミリ案が生成されることになり、これらすべての製品ファミリ案を考慮に入れて最適な製品ファミリ案を見つけ出す作業を支援するのが本発明の狙いである。
図7は、メンバシップ関数により定義されるファジィ集合を表現する図である。セットベース設計では、顧客の幅広い要求性能や要求仕様を満たしているかを表現するためにメンバシップ関数を用いる。メンバシップ関数は“度合”と呼ばれ、ファジィ集合に属する“度合”を示している。例えば顧客ニーズは完全に満足である他に少し不満もある状態も存在する。これを完全に満足である状態を満足度1とすると、満足度は0から1まで連続の値をとることになり、ファジィ集合をもってこのような状態を表現することができる。
上述した電動ドリルドライバーを例にとると、図7では、電動ドリルドライバーの質量(mass)を、要求性能(性能に対する顧客ニーズ)としての軽さ(取扱い易さ)の{大、中、小}のファジィ集合で表現したもので、メンバシップ関数の値(グレード:grade)が0から1値を連続的にとり、1に近いほど属する度合(顧客満足度)が高くなることを示している。
図8は、全製品ファミリ案をクラスタリングした結果を共通化度と顧客満足度でマッピングした例を示す図である。図3に示す電動ドリルドライバーの場合、すべてのコンポーネントの組み合わせを計算すると約140万通りの製品ファミリア案が存在する。それゆえ、設計者が製品ファミリ案についての詳細を逐一検討することは不可能であり、優れた傾向にある製品ファミリ案を見つけ出すために全製品ファミリ案をクラスタリングによってその傾向を分析する。そして設計者は、膨大な製品ファミリ案から優れた傾向にある製品ファミリ案群を見出し、詳細な設計の検討を始める。この場合、Kohonenによって提唱されたSOM(自己組織マップ)を用いてクラスタリングする。実際にはViscovery(登録商標) SOMine を使用してクラスタリングする。図8(a)は、悪い傾向を示すクラスター分布であり、図8(b)は、優れた傾向を示すクラスター分布を示している。そして設計者は、図8(b)に示す優れた傾向にあるクラスターに含まれる製品ファミリ案を選別し、製品ファミリ案の詳細な分析に設計を進める。このような分析を行って図2に示したステップS6に進むことになる。なお、クラスタリング法には上述したSOM以外にいろいろな方式がある。たとえば階層的手法、分割最適化手法があるが、設計者がクラスタリングにより何を得ようとするのかによってどの手法を選択するかを決めればよい。また階層的手法の中にもいろいろな手法があるが、ここではクラスタリング自体を主題とするものではないのでこれ以上の説明を省く。
図9は、図1に示した本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムの動作を説明するイメージ図である。図9に示される各ウィンドウ画面は、一例としてWindows(登録商標)などで通常使用されているマルチウィンドウ形式のものである。図1を適宜参照しながら説明すると、図9に示される製品ファミリモデリングツール10においては、機能1と機能2とが接続(コネクタ(図中の丸印))を介してリンクで結ばれ且つ当該接続(コネクタ)に属性(図示例では六角形内に)が記述され、そして機能1内にはそれぞれ属性(図示例では六角形内に記述される)が付随する部品1a,1bが共通化の候補(破線リンクで共通化対象を記述、丸印でコネクタを表示)として記述され、また機能2内にはそれぞれ属性(図示例では六角形内に記述される)が付随する部品2a,2bが共通化の候補(破線リンクで共通化対象を記述、丸印でコネクタを表示)として記述され、さらに機能1及び機能2における属性とリンクに関係付けられて記述される因子モデル(この因子モデルは、部品因子IF,伝達因子MF、評価因子からなるニューラルネットで表現されている)に接続されて製品ファミリモデルが生成される。
図9に示される製品ファミリ案選択ツール20においては、生成された製品ファミリモデルに基づいて膨大な数の製品ファミリ案が生成され、そしてこの生成された製品ファミリ案について上記で説明した手法により製品ファミリ案が絞り込まれる。その結果、例えば図示例のような構成グラフ表現されたファミリ案1(25)、ファミリ案2(26)を含むファミリ案1〜4などが抽出されたことを示している。ここまでの処理において抽出されたファミリ案1〜4などは、上述した説明における、優れた傾向にある製品ファミリ案に相当するものである。なお図示例では、ノードは楕円形で示され、一つしか示されていないノードは既に共通化されたノードを表し、未だ共通化されていないが2つのノード同士は共通化が検討されるノードであり、その関係が破線で示されている。
図9に示される製品ラインアップモデリングツール30においては、製品ファミリ案選択ツール20で抽出された一つの製品ファミリ案1(25)についてその詳細を分析するために複数のラインアップ案が検討され、検討されたラインアップ案として構成グラフ表現された製品ラインアップ1(35),製品ラインアップ2(36),・・,製品ラインアップ4(37)が抽出されたことを示している。製品ファミリ案選択ツール20と製品ラインアップモデリングツール30との間において、この操作が製品ファミリ案選択ツール20で抽出されたすべての製品ファミリ案について循環して実施され、製品ファミリ案選択ツール20で抽出されたすべての製品ファミリ案に対する製品ラインアップ案がそれぞれの製品ファミリ案に応じて抽出される。
図9に示される製品ファミリ案評価ツール40においては、製品ファミリ案選択ツール20と製品ラインアップモデリングツール30とで抽出された、すべての製品ファミリ案およびそれに対応する製品ラインアップについて、図1で説明したように指定された評価指標に基づく評価値が算出される。この場合、算出された評価値を分析・評価するために相応しい評価結果の表示選択があらかじめ設計者によりなされており、それにしたがって評価値を分析・評価するために相応しい評価グラフに表示する。図中、設計者は、算出された評価値をレーダーチャート49に表示してバランス評価する、またクラスター分析図50でクラスタリングの結果を表示し分析・評価する、或いは、評価指標をバブルグラフ51に表現して市場カバー性を分析・評価する例が示される。本発明の実施形態では、図1にも示したように製品ファミリモデリングツール10の評価指標値設定部14において評価指標の値を予め定義しておくため、その評価指標の値を表示するに相応しい評価グラフを評価グラフの表示内容及び軸に関する情報を保持する手段(製品ファミリモデリングツール10の表示軸選択部45参照)から選択し、その評価グラフに算出した指標評価値をプロットして製品ファミリ案、製品ラインアップ案の最適案を抽出可能にしている(これについては後述する)。
図10Aは、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムで使用する分析・評価グラフの第1の具体例を示す図である。図10Aに示す第1の具体例では、レーダーチャートを構成する評価軸として時計周りに評価指標1、評価指標2、・・、評価指標7を順に配置し当該評価軸に値をプロットしてバランス評価するものであり、当該レーダーチャートで共通化案1〜5の中で最もバランス評価の良い共通化案を最適な共通化案とみなすものである。なお、レーダーチャートを構成する評価軸は、例示した評価指標1〜7に限定されるものではない。バランス評価の算出手法については後述する。
図10Bは、図10Aに示す分析・評価グラフの第1の具体例に表示するために用いられるデータ例を示す表である。図10Bの表には、共通化案1〜5のそれぞれについて評価指標1〜評価指標7における値が記述され、これらの値が評価指標1〜評価指標7の各評価軸上にプロットされてバランス評価の対象となる。
図11は、図10Aに示す分析・評価グラフの第1の具体例における評価指標の位置を変えて表示した分析・評価グラフであり、図10Aと同様、レーダーチャートでバランス評価する第1の具体例の変形である。図11に示す変形例では、レーダーチャートを構成する評価軸として時計周りに評価指標7、評価指標4、評価指標6、評価指標2、評価指標5、評価指標1、評価指標3を順に配置し当該評価軸に値をプロットしてバランス評価するものであり、当該レーダーチャートで共通化案1〜5の中で最もバランス評価の良い共通化案を図10Aと同様に最適な共通化案とみなすものである。その際、バランス評価に使用するデータは図10Bに挙げられているものを使用する。
ここで図10Aに示す分析・評価グラフと図11に示す分析・評価グラフとを比較してみると、レーダーチャートの形状が異なるのが分かる。これはレーダーチャート上で隣り合う評価指標軸が異なることから生じるもので、図10Bに挙げられているデータを共通して使用する以上、共通化案1〜5の中で最もバランス評価の良い共通化案は本来同じにならなければならない筈である。しかし両者で形状が異なるためバランス評価が同じものになるとは限らない。これをなくすために本発明では、以下に示すバランス評価手法を採って最適なバランス評価を呈する共通化案を抽出する。
すなわち、共通化案 i の評価指標 j についての評価指標値を e(ij)とし、この評価指標値の正規化を以下の式7に示すように行う。
次に、各案(各共通化案)の目的評価指標(設計に求める評価指標)値のバランス度を算出するために、共通化案i の評価指標値バランス度b(i) (大きいほどよい)を以下の式8で算出する。
図10A及び図11に示したような評価指標の並び順の相違によるバランス評価が異ならないようにするために上記評価指標値バランス度b(i)の正規化を式9のように行う。
これによって正規化した評価指標値バランス度B(i) の値の範囲は0〜1に納まる。
次に、各案(各共通化案)対応に評価指標値重要度の補正後の値を算出する。ここで評価指標値重要度の補正後の値をr(i)とし、また評価指標jの重要度(重み:weight)をw(j)(但し、w(j)は設定により得られる情報)とすると、評価指標値重要度の補正後の値r(i)は以下の式10により算出する。
そしてつぎに各案(各共通化案)対応の総合評価値を算出する。すなわち、各案(各共通化案)対応の総合評価値、すなわち共通化案 i の総合評価値をS(i)とすると、S(i)は以下の式11により算出される。
この共通化案 i の総合評価値S(i)は、評価指標の並び順と無関係なものとなる。
この総合評価値S(i)を基に各案(各共通化案)の中から最適な共通化案を抽出することになるが、最適な共通化案は、総合評価値が最大となる共通化案を解として抽出する。すなわち、最適共通化案 (i)を以下の式12により抽出する。
ここで、定数βが持つ物理的意味としては、1の場合にはバランスを無視する、また2の場合にはバランスを重視する(最大2倍の重み)、また4の場合にはバランスを非常に重視する(最大4倍の重み)として、本発明のようなバランス評価においては、通常、βを3程度に設定してバランスを十分重視したうえで最適共通化案を得るようにしている。
図12は、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムで使用する分析・評価グラフの第2の具体例を示す図である。図12に示す第2の具体例は、クラスター分析した結果を用いて上述した製品ファミリ案を評価するものであり、図中には、評価指標として定義した属性、例えば、性能、機能性、コストを製品ファミリ案1〜製品ファミリ案12についてクラスター分析し、クラスター分析した中から設計者が重視する属性にコストを選び、そのコストを更に細分化した評価指標で評価する例を示している。すなわち、重視する評価指標が加工コストなら製品ファミリ案5及び製品ファミリ案10が評価・抽出され、また重視する評価指標が組立コストなら製品ファミリ案7及び製品ファミリ案11が評価・抽出され、さらに重視する評価指標が設変(設計変更)コストなら製品ファミリ案2が評価・抽出されることを示している。
図13は、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムで使用する分析・評価グラフの第3の具体例を示す図である。図13に示す第3の具体例は、横軸にスピード(メリハリ−円滑)を市場カバー性の一方の評価指標に選択し、縦軸にサイズ(コンパクト−大型)を市場カバー性の他方の評価指標に選択し、4つの事象に製品ファミリ案Aと製品ファミリ案Bの各ラインアップ案を2次元のバブルグラフに表して評価するものである。なお、市場カバー性の各評価指標の値をそれぞれバブルの中心座標に置き、市場カバー性の大きさ(例えば、出荷予定数)はバブル径の大小によって表現することができる。このように、図13の第3具体例は、2次元のバブルグラフで市場カバー性を評価できることを示し、設計者が意図した市場カバー性を有する製品ファミリ案を抽出することができる。
図14Aは、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムにおける、不完全情報利用による分析・評価を説明する図(その1)である。すなわち、図14Aの上半において、製品構成部品の属性と目的評価指標(設計に求める指標)間の因果関係をニューラルネットワークで表現し、部品属性因子160には、IF1(161)とIF2(162)が用意され、これに対して評価因子180には「性能」181と「製造コスト」182が設計に求める指標として設けられ、その間の伝達因子170には、MF1(171)とMF2(172)が介在される例が示されている。
また図14Aの下半において、不完全情報がファジィ集合で表現される場合における、上述した各因子160〜180の表現例が示されている。この場合、ファジィ集合は、通例のように、三角形や台形でそれぞれの集合が表現される。そして図示されているように、IF1(161)のファジィ集合は、一例として、大,中,小の3つに分けられ且つ35〜23の間に評価値が設定され、IF2(162)は、丸〜三角までの滑らかさの有無で表現され、MF1(171)とMF2(172)のファジィ集合は、大,小の2つに分けられ且つ100〜0の間に評価値が設定され、また「性能」181のファジィ集合は、大,中,小の3つに分けられ且つ60〜20の間に評価値が設定される。「製造コスト」182のファジィ集合は、大,中,小の3つに分けられ且つ80〜20の間に評価値が設定される(図14B下部参照)。
このように不完全情報をファジィ集合で表現する理由は、一つには、部品の属性をピンポイントの数値で表現できないケース、二つには、部品の属性が目的評価因子に及ぼす影響について数値で表現できないケース、に相当しているからである。そしてファジィ推論によって上記部品の属性が目的評価因子に及ぼす影響関係をロジックで可能にし、その結果、数値による評価値データが得られる。
図14Bは、本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムにおける、不完全情報利用による分析・評価を説明する図(その2)である。すなわち、図14Bの上半において、ファジィ規則(ルール)の例が示され、このルールに準拠して図14Bの下半では、IF1(161)とIF2(162)からなる部品属性因子160に「事実」(IF1=31, IF2=○)が与えられた場合の評価因子180の推論値を求める計算例が示されている。この計算例においてはファジィ規則中の(a),(b),(c),(g),(h)が適用されると共に、推論値の計算に当たっては重心法が用いられている。そして評価因子180からは「性能=50」181及び「製造コスト=32」182が評価値として得られることを示しており、この評価値があらかじめ設定した目的評価指標(設計に求める指標)値の範囲内に納まる値であることを確認できる。
このようにして推論で得た数値による評価値データを、上記した式8,式11のバランス評価および総合評価の計算式に代入すること、そしてそこから最終的に最適な共通化案の算出を行うために使用する。つまり、ファジィ集合の表現及びファジィ推論を用いて、不完全情報である「製品属性」情報と不完全情報である「影響関係」情報を利用して数値による影響結果値を得るとともにそれらを使用して「バランス評価」の算出、「総合評価」の算出、「最適共通化案」の抽出をすることができる。
以上の説明において評価指標として、性能,コスト,顧客満足度,共通構成要素数,機能について詳しく説明したが、これらの評価指標に止まらず、他の評価指標を、たとえば、機能/特性,信頼性,品質,環境適合性(リサイクル,リユース)などを評価指標として設定しても良い。
本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムの動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の製品最適化設計支援システムが対象とした製品例を示す図である。 図3に示す製品の製品性能とコンポーネントの関係を示す図である。 図3に示す製品のグラフ表現を示す図である。 図3に示す製品のコンポーネントをノードに纏めた製品ファミリのグラフ表現を示す図である。 メンバシップ関数により定義されるファジィ集合を表現する図である。 全製品ファミリ案をクラスタリングした結果を共通化度と顧客満足度でマッピングした例を示す図である。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムにおける動作イメージを示す図である。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムで使用する分析・評価グラフの第1の具体例を示す図である。 図10Aに示す分析・評価グラフの第1の具体例に表示するために用いられるデータ例を示す表である。 図10Aに示す分析・評価グラフの第1の具体例における評価指標の位置を変えて表示した分析・評価グラフである。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムで使用する分析・評価グラフの第2の具体例を示す図である。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムで使用する分析・評価グラフの第3の具体例を示す図である。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムにおける、不完全情報利用による分析・評価を説明する図(その1)である。 本発明の実施形態に係る製品最適化設計支援システムにおける、不完全情報利用による分析・評価を説明する図(その2)である。 従来の製品最適化設計支援システムの概要を示す図である。 従来の製品ファミリモデル、製品ファミリプラン(案)、製品ラインアップ、および、製品ラインアップモジュール化案における各モデルの階層を示す図である。 図15の製品ファミリ案評価ツールにおける評価グラフを示す図である。 従来の製品最適化設計支援システムにおける動作の流れを説明するフローチャートである。 従来の2製品とその製品要素の製品ファミリグラフ表現を示す図である。 従来の共用化(共通化)を行った製品要素を用いた製品群の製品ファミリモデルを表現する図である。 図19に示した製品ファミリグラフ表現の具体例を示す図である。 従来の全製品ファミリ案を表現する製品ファミリ構成グラフを示す図である。
符号の説明
10 製品ファミリモデリングツール
11 製品構成定義部
12 共通化関係設定部
13 ファミリエリア設定部
14 評価指標値設定部
15 制約条件設定部
16 製品構成定義等情報格納部
20 製品ファミリ案選択ツール
21 製品ファミリ案抽出部
22 製品ファミリ案表示部
23 ファミリ案構成表示部
24 製品ファミリ案格納部
25 製品ファミリ案1
26 製品ファミリ案2
30 製品ラインアップモデリングツール
31 ラインアップ案抽出部
32 各製品ラインアップ表示部
33 各製品ラインアップ構成表示部
34 製品ラインアップ案格納部
35 製品ラインアップ1
36 製品ラインアップ2
37 製品ラインアップ4
40 製品ファミリ案評価ツール
41 ファミリ案及び対応するラインアップの構成情報セット部
42 各ラインアップについて指定された評価指標値算出部
43 各製品ファミリ案の評価値算出部
44 評価結果表示選択(グラフ)部
45 表示画面の内容、表示軸選択部
46 ファミリ案評価結果表示部
47 最適なファミリ案算出部
48 最適なファミリ案に係るラインアップ案、ファミリ案格納部
49 レーダーチャート
50 クラスター分析図
51 バブルグラフ
60 データベース(DB)

Claims (6)

  1. 製品を構成する構成要素を、様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求めるセットベース設計手法などを用いて製品ファミリの共通の構成要素とした場合、該共通の構成要素と製品の他の構成要素との組合せにより形成される共通化案のそれぞれに応じて、製品に求める評価指標がどのように変わるかをそれらの評価指標の変化結果を通して各共通化案を評価し、評価した各共通化案の中から製品の最適な構成要素及び又は最適な属性仕様を有する共通化案を見出す製品最適化設計支援システムであって、
    前記評価指標の変化結果を見るために、顧客ニーズをセットベース設計における幅広い集合として捉え、性能,コスト,顧客満足度,共通構成要素数,機能/特性,信頼性,品質,環境適合性などを評価指標としその中から複数の評価指標を予め定義する評価指標定義手段と、
    定義された前記複数の評価指標を使用し、前記各共通化案のすべてについて少なくとも前記顧客満足度を顧客が要求した性能の達成度としてファジィ集合におけるメンバシップ関数で規定した上で計算により求め、その結果を分析することで前記顧客ニーズを満たす共通化案を絞り込み、絞り込んだ前記共通化案の評価値を計算し、当該評価値を保存する評価値計算・保存手段と、
    評価グラフにおける表示の内容及び軸に関する情報を保持する表示内容・軸情報保持手段と、
    該表示内容・軸情報保持手段にアクセスして表示の内容及び軸を選択し、選択した表示の内容及び軸に対応して前記評価値計算・保存手段に保存された評価値を表示する評価結果表示手段と、
    該評価結果表示手段に表示された前記評価グラフの評価値を分析して各共通化案の中から設計者の意図する評価指標値に最も適合した共通化案を最適な共通化案として抽出する最適共通化案抽出手段と、
    を備えることを特徴とする製品最適化設計支援システム。
  2. 前記評価結果表示手段は、前記表示内容・軸情報保持手段にアクセスして表示の内容及び軸としてクラスター分析を評価グラフに選択した場合には、前記各共通化案についてクラスター分析に合致した評価指標値を摘出して前記評価グラフに表示し、
    前記最適共通化案抽出手段は、前記評価グラフに表示されたクラスター分析された各共通化案の中から設計者の意図する評価指標値に最も適合した共通化案を最適な共通化案として抽出することを特徴とする請求項1に記載の製品最適化設計支援システム。
  3. 前記評価結果表示手段は、前記表示内容・軸情報保持手段にアクセスして表示の内容及び軸としてバブルチャートを評価グラフに選択した場合には、前記各共通化案についてバブルチャート分析に合致した評価指標値を摘出して前記評価グラフに表示し、
    前記最適共通化案抽出手段は、前記評価グラフに表示されたバブルチャート分析された各共通化案の中から設計者の意図する評価指標値に最も適合した共通化案を最適な共通化案として抽出することを特徴とする請求項1に記載の製品最適化設計支援システム。
  4. 前記評価結果表示手段は、前記表示内容・軸情報保持手段にアクセスして表示の内容及び軸としてレーダーチャートを評価グラフに選択した場合には、前記各共通化案についてレーダーチャート分析に合致した評価指標値を摘出して前記評価グラフに表示し、
    前記最適共通化案抽出手段は、前記評価グラフに表示されたレーダーチャート分析された各共通化案の中から設計者の意図する評価指標値に最も適合した共通化案を最適な共通化案として抽出することを特徴とする請求項1に記載の製品最適化設計支援システム。
  5. 前記レーダーチャート分析に合致した評価指標値を摘出して前記評価グラフに表示しバランス度分析・評価するために、前記最適共通化案抽出手段は、
    共通化案 i の評価指標 j についての評価指標値を e(ij)とし、該評価指標値e(ij)を式1により正規化する手段と、
    前記各共通化案の目的評価指標値のバランス度を算出するために、共通化案 i の評価指標値バランス度b(i)を式2により算出する手段と、
    前記評価指標値バランス度b(i)を式3により正規化して正規化評価指標値バランス度B(i)を算出する手段と、
    前記各共通化案対応の評価指標jの重要度w(j)を定義し、当該評価指標重要度w(j)の補正係数r(i)を式4により算出する手段と、
    前記各共通化案対応の総合評価値を算出するために、共通化案 i の総合評価値S(i)を式5により算出する手段と、
    前記総合評価値が最大となる共通化案を式6より抽出して最適な共通化案を取得する最適共通化案取得手段と、
    を有することを特徴とする請求項4に記載の製品最適化設計支援システム。
  6. 製品を構成する構成要素を、様々な不確実性を考慮しながら幅広い集合としての設計解を求めるセットベース設計手法などを用いて製品ファミリの共通の構成要素とした場合、該共通の構成要素と製品の他構成要素との組合せにより形成される共通化案のそれぞれに応じて、製品に求める評価指標がどのように変わるかをそれらの評価指標の変化結果を通して各共通化案を評価し、評価した各共通化案の中から製品の最適な構成要素及び又は最適な属性仕様を有する共通化案を見出す製品最適化設計支援システムであって、
    前記評価指標の変化結果を見るために予め複数の評価指標を定義する評価指標定義手段と、
    定義された前記複数の評価指標についてファジィ集合で情報表現した因子からなる因果関係を記述する因子モデルに入力し、当該因子モデルに前記各共通化案の情報を入力し前記因子モデルの各因子を経て目的指標因子から出力されるファジィ推論値を得るファジィ推論値獲得手段と、
    該ファジィ推論値獲得手段から得たファジィ推論値を用いてバランス評価を行うバランス評価手段と、
    前記ファジィ推論値獲得手段から得たファジィ推論値を用いて総合評価を行う総合評価手段と、
    前記バランス評価手段及び前記総合評価手段の出力を元に最適な共通化案を抽出する最適共通化案抽出手段と、
    を備えていることを特徴とする製品最適化設計支援システム。
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