JP4867314B2 - コンセプト設計支援装置,コンセプト設計支援プログラム及びコンセプト設計支援方法 - Google Patents
コンセプト設計支援装置,コンセプト設計支援プログラム及びコンセプト設計支援方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4867314B2 JP4867314B2 JP2005341103A JP2005341103A JP4867314B2 JP 4867314 B2 JP4867314 B2 JP 4867314B2 JP 2005341103 A JP2005341103 A JP 2005341103A JP 2005341103 A JP2005341103 A JP 2005341103A JP 4867314 B2 JP4867314 B2 JP 4867314B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- common
- concept
- elements
- limiting
- restriction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Information Retrieval, Db Structures And Fs Structures Therefor (AREA)
Description
まず、「システム」という言葉を定義する。システムとは、ある特定の入力があるときに、ある特定の結果をもたらす入力結果間に存在する処理系あるいは秩序である。ある固有のシステムを、ある値に規定することによって、特定の事象(現象)が実現される(複数の制限要素によって規定されるシステムに相当)。そして、固有のシステムは、あらゆるものの処理、或いは、あらゆるものに秩序を与えるものではなく、数、範囲、性質といった限定された中で機能する。従って、事象の種類が同じものであっても、これら限定が互いに異なる様々なものが存在する場合、それぞれに対応したシステムが存在する。さらに、事象の種類に応じて、これらを統一的に取り扱う上位システムが存在する。
実施例1は、複雑な現象を規定する共通概念の抽出を行った後、共通概念を構成するパラメータとそれ以外のパラメータを様々に変化させ、設計者が求める現象に当てはまる構造を抽出する。この共通概念の抽出には、現象(以下、特性)とそれを実現するあるシステムのとるパラメータ(以下、制限要素)の組合せ(以下、サンプリング)をいくつか準備しておく必要がある。そして、これらの特性をいくつかに分類し、制限要素を比較することによって、全ての現象を最もよく説明できる共通概念を抽出する。
ステップ〔1〕 サンプリングを準備する部位
ステップ〔2〕 特性を分類する部位
ステップ〔3〕 制限要素を比較し共通概念を抽出する部位
ステップ〔4〕 特性の値あるいは範囲を設定する部位
ステップ〔5〕 共通概念を構成する制限要素の変更と共通概念以外の制限要素の変更及びこれらシステム応答の抽出部位
ステップ〔6〕 構造の可否を判断する部位
の6つのステップで構成されている。このように、共通概念を用いて全く新しい構造を探索することができるため、効率的で抜け漏れが無く新しい構造であっても、その結果どのような応答になるのかを予測することが可能である。
ステップ〔1〕のサンプリングの準備の段階では、現在までに把握している対象とする現象のサンプリングを用意すればよい。しかしながら、比較の対象となるサンプリングに偏りがある場合、その結果抽出される共通概念は、ある特性に偏ったものとなるため、全ての現象を説明できるとは言えない場合が多い。従って、特性に偏りが生じていないサンプリングを準備する必要がある。これからサンプリングを準備しようとする場合、サンプリングに偏りが生じないように、全通りの制限要素の組合せについて、あるいは直行表などを用いた制限要素の組合せを準備し、これに対する特性の応答を調査すればよい。
ステップ〔2〕の特性を分類する部位では、階層的クラスタリングを利用する。クラスタリングとは、異なる性質のもの同士が混ざり合っている集団の中から、効率的に意味のある体系に組織立てるために、互いに似たものを集めて集落(以下、クラスター)を作るという、対象を分類する方法の総称である。このうち、階層的クラスタリングは、グループが入れ子を構成するように階層を生成していく方法である。本実施例1では、「似たもの」として、「特性の傾向の類似度」を基準にクラスタリングした。
(3.2)
(II)類似度最大(あるいは類似度最小)のクラスター対を結合する。
(3.3)
ここでGqとGrをgから取り除き、G'=Gq∪Grをgに追加する。この際、クラスター数を一つ減らす。
(3.4)
このときクラスターGに対する重心M(G)を式(3.5)のようにおくと、その各構成要素は式(3.6)で表される。
(3.5)
(3.6)
ここで、クラスターGにおける重心と各個体との距離の差の二乗和E(G)を式(3.7)のように定義すると、異なる2つのクラスターGi,Gj間の距離の差は式(3.8)のように表せる。従って、AHCの(II)のクラスターの結合則は式(3.9)で表されるように、ΔEが最小となるGq,Grを選択することになる。
(3.7)
(3.8)
(3.9)
一方、AHC(III)の類似度d(G',Gi)の再計算は、結合する前のd(Gq,Gi),d(Gr,Gi)を用いて表せる。d(Gi,Gj)=ΔE(Gi,Gj)と定義すると、初期クラスターGi={xi}に対して、式(3.10)のように表せる。
(3.10)
ここで、G'=Gq∈Grのとき
(3.11)
以上のように,AHCの(III)の再計算は、個体間の類似度を参照することなく、クラスター間の類似度のみを用いて再計算がなされる。図6に以上のアルゴリズムに基づくクラスターの生成方法を、図7に階層的クラスタリングの例を示す。
(A)サンプリングをクラスター化し、クラスターp,q.r・・・を生成する。図6中、小さな円に相当するものである。
(B)各クラスタの重心を計算する。
(C)類似度の小さい(距離の近い)クラスターを結合する。図5中、クラスターpとクラスターqを結合し、新たなクラスターtを生成する。
(D)結合したクラスターtの重心を計算する。
(E)類似度の小さい(距離の近い)クラスターを結合する。
(F)上記(C)〜(E)をクラスターが1つになるまで繰り返す。
尚、上記(A)のステップでは、クラスターでなくとも、クラスタリングする前の点情報でもよく特に限定しない。
ステップ〔3〕に示す、制限要素を比較し共通概念を抽出する部位では、分類された階層ごとに存在する制限要素間の関係と特性との因果関係を抽出した後、全ての階層に共通する因果関係を見つける。ここで見つかった共通する因果関係を共通概念と呼んでいる。
分類された現象階層ごとに存在する制限要素と現象の物理的因果関係を抽出する。現象が示す特徴は、様々な制限要素が関係し合いながら実現されるという獏全とした言い方しかできない。しかしながら、このことは、言い換えると、現象は制限要素同士の関係を変えながら、さまざまな関係形態を経て実現されている。これを、現象の実現に至る制限要素のネットワークとするならば、このネットワークこそが因果関係であると考えることができる。ここで、このネットワークを「因果ネットワーク」と呼ぶことにする。
(5.2)
式(5.2)を全ての支点間に適用させることにより、現象に至るまでの全ての因果ネットワークを、他の制限要素の影響を含んだつながりの強さと共に抽出することができる(図7参照)。これを、全ての階層の現象クラスターに適用させることで、複雑な現象から徐々に簡単な現象に階層化される現象過程を、因果ネットワークの変化と共に把握することが可能となる。
複雑な現象は、物理的特徴を基準としながら徐々に単純な現象に分割されていくという階層構造を成している。従って、これに伴い因果ネットワークも階層を追って変化していくと考えられる。ある階層における単体の現象を決定付ける要因と、その複雑さを決定付ける要因とは、階層をたどることによって、それぞれ全ての階層の単体の現象に共通する因果ネットワークと、対象の現象とその上下階層の現象との間に存在する異質な因果ネットワークであると定義できる。
(5.3)
この階層の共通な因果ネットワークの1つが経路pだとすると、その相関係数の感度Sは、式(5.3)から式(5.4)のように表せる.
(5.4)
また、階層iに含まれる各クラスターの経路pにおける相関係数の全変動Stは式(5.5)で表せる。
(5.5)
また、この経路pの相関係数の変動Sβは、各クラスターを分割するユークリッド距離dim,平均ユークリド距離をdi-とすると、式(5.6)で表される。
(5.6)
従って、経路pにおける誤差分散Veは式(5.7)で表せる。
(5.7)
従って、階層iに含まれる各クラスターの経路pにおける相関係数のSN比ηは式(5.8)で表せる。
(5.8)
共通概念は全ての現象を説明できる共通の因果ネットワークであるため、全ての共通の経路において式(5.4)で表される感度Sが大きく、かつ式(5.8)で表されるSN比ηが大きい階層が共通概念の抽出に適した階層となる。ただし、共通概念抽出の階層は、樹形図の最上層から下層に向けて探索したとき、分岐を起こす最大ユークリッド距離以下で構成される階層で検討を行わなければならない。
ステップ〔4〕に示す特性の値あるいは範囲の設定では、共通概念を用いて導出される構造が満たすべき特性の値、あるいは満たすべき特性の範囲を設計者が予め決定しておく。ここで、特性は1つ以上であってもよい。この場合、設定された特性に最適な構造の抽出となる。後者の場合、特性の範囲あるいはその組み合わせに対して、個々の制限要素がある範囲を持った形で構造が抽出される。この場合、構造が存在する設計空間の抽出となるが、この後、特性が最適になる構造を導き出す最適化を行うことも可能である。ここでは、目的に応じて特性を設定する。
ステップ〔5〕に示す共通概念を構成する制限要素の変更と共通概念以外の制限要素の変更及びこれらシステムの特性抽出では、共通概念に基づく構造のサンプリングを求める部位である。まず、共通概念を構成する制限要素の変更を行う。ここでは、抽出された共通概念の持つ制限要素の値、あるいは範囲、制限要素同士の関係の傾向など、共通概念の因果関係を踏襲した上で、制限要素の変更を行う。これにより、結果として得られるシステムの特性の性質(傾向)が補償される。
抽出された共通概念は、特性に対する因果関係を表す制限要素の値の組み合わせ、或いは範囲の組み合わせ、制限要素同士の関係の傾向、及びこれらの組み合わせなどで表されている。共通概念が制限要素の値のみによる組み合わせの場合、これを変更することはできない。また、共通概念が制限要素の範囲で表現されている場合、この範囲内で例えば直交表や乱数を用いてモデル生成を行えばよい。
(4.1)
モデルの生成は一様乱数を用いて行う。従って、一様乱数によって生成したモデルをdrand、共通概念を構成する制限要素で表現されたモデルをxc、閾値を満たさないモデルをxoとすると、新しく生成したモデルとこれらの距離は式(4.2)で表される。
(4.2)
次に、共通概念を構成する制限要素のモデルxcに極端に似たモデルを採用しない制限則を適用させる。例えば、ユークリッド距離が0.01以下のとき、2つの個体はほぼ同一であるという認識をさせたい場合、共通概念モデルxc対し、新しく生成されたモデルxrandは式(4.3)の制限則に従うものを採用する。ここで採用する新しいモデルは、式(4.3)を満たす最小距離のモデルを1つ採用する。尚、制限則の値を変更することで、モデルの生成を大きく変更することができるため、目的に応じて設計者が決定することができる。また、共通概念モデルがいくつかある場合、同じモデルの生成を防ぐために、その他の共通概念モデルと生成されたモデルを用い、式(4.3)を計算し、適合しない場合は採用しない。
(4.3)
以下に、モデル生成のアルゴリズムを説明する。また、モデル生成のイメージ図を図11に示す。
(i)共通概念を構成する制限要素のモデルを用意する。
(ii)乱数を用いてモデルを生成させ、式(4.2)で距離を計算し、式(4.3)を満たすモデルを選択する。またこのとき生成されたモデルと共通概念モデルとの距離を記憶しておく。
(iii)再度、共通概念を基準に乱数を用いてモデル生成させ、式(4.2)で距離を計算する。式(4.3)の制限則とする最小距離を(ii)の距離に置き換え、これを満たすモデルを選択する。ここで、選択されたモデルと共通概念モデルとの距離を記憶しておく。
(iv)以後、上記(i)〜(iii)を繰り返す。
ステップ〔6〕に示す構造の可否判断では、ステップ〔4〕で設定した特性の値に一致しているかどうか、あるいは設定した特性の範囲内に属しているかどうかの判断と既存構造との比較を行い、同じ構造ではないか否かを判断する。ここで、一致していない、あるいは範囲に入っていない場合は、その構造を採用し、既存構造と同じであるという場合は、その構造を採用しない。この処理を通して最後に残った構造が、所望の応答を満たす新構造である。
以下、上記実施例1に基づいて、具体的な態様に適用した例を示す。ここでは、自動車のサスペンションの一形式であるマルチリンクサスペンションを取り上げる。図12にマルチリンクサスペンションの構造を示す。ここで、取り扱う特性とは、タイヤがストロークしたときのキャンバー角度の変化であり、制限要素とは、マルチリンクサスペンションの各リンクの取り付け点(以下、ジオメトリ)である(図12のM1〜M5参照)。
図12に示したマルチリンクサスペンションのジオメトリを、図14のジオメトリ範囲内で直行表L81に従って振り、振られた各ジオメトリ値に従って機構計算を行い、キャンバー角度を算出し、サンプリングを用意する。ここで得られる全てのサンプリングのキャンバー角度を図15に示す。
上記(サンプリングの準備)において用意したサンプリングを特性すなわちキャンバー角度で分類する。図16に、分類の結果得られる特性の樹形図を示す。また、図17に、分類されたある階層におけるグループ(以下、クラスター)の特性を示す。
上記(特性の分類)で得られた分類結果から、上述の共通概念の抽出の方法に従い、共通概念を抽出する階層を特定する。特定された階層に存在するそれぞれのクラスターの制限要素同士の因果ネットワークを上述の共通概念の抽出の方法に従い抽出する。この結果得られた制限要素同士の因果ネットワークを、制限要素表記手段を用い表記する。
目指すキャンバー角度の値の変化を図24に示すように設定した。上記共通概念の抽出で説明したように、図24に示す特性は図20に示す特性と類似した範囲となる。よって、図24に示す特性の傾向を達成するための共通概念を構成する制限要素の関係は、図21に示すように、横に細長い三角形を構成するようなジオメトリの関係を踏襲すればよいこととなる。
図25に共通概念を基準とした距離モデルの一例を示す。ここでは、実線が共通概念であるジオメトリの関係を示し、点線が距離モデル生成方法を用いて生成された距離モデルである。尚、ジオメトリの自由度、すなわちサスペンションリンクの取り付け点の数は任意に設定した。
上記距離モデルに、条件としてトー剛性が高く、上記特性の値の設定において設定した図24のキャンバー角度の値の変化に一致し、かつ、取り合げたマルチリンクサスペンションと同一構造でないサスペンション構造を抽出した。抽出した構造を図26に示す。図26のサスペンションは、マルチリンクサスペンションよりも車体側の取り付け点の自由度が1つ多い構造である。これにより、既存のサスペンションシステムよりもトー剛性が高く、かつ、所望のキャンバー角度特性を満たす新しいサスペンション構造を抽出することができる。尚、抽出した新しいサスペンション構造は、少なくともキャンバー角度について成立するものであり、実車適用を行う場合には、取り上げる特性の種類は更に多くなることは言うまでもない。
(4)複数の制限要素によって規定されるシステムに対し、入力と出力の関係を表す特性の集合があるとき、前記集合を特性の傾向に基づいて分類し、分類された特性に対応する制限要素を表記し、表記されたある分類に対する制限要素を、表記された他の分類に対する制限要素と比較することとした。すなわち、傾向に基づいて分類された特性を、この特性を規定する制限要素間で比較することで、傾向を規定する制限要素を把握することが可能となり、分類の技術的意味を把握することができる。
ステップ〔1〕 各システムにおいてサンプリングを準備する部位
ステップ〔2〕 各システムにおいて特性を分類する部位
ステップ〔3〕 各システムにおいて制限要素を比較し共通概念を抽出する部位
ステップ〔4〕 各システムに共通する抽象概念を抽出する部位
ステップ〔5〕 閾値を設定する部位
ステップ〔6〕 抽象概念を構成する制限要素の変更と抽象概念以外の制限要素の変更及びこれらシステム応答の抽出部位
ステップ〔7〕 ステップ〔6〕を満たすサンプリングを抽出する部位
ステップ〔8〕 構造の可否を判断する部位
の8つのステップで構成されている。上記各ステップのうち、ステップ〔1〕〜〔3〕及びステップ〔6〕及びステップ〔8〕は、2つのシステムで実行する点は異なるものの、各システムにおいて実行する内容自体は実施例1で説明した内容と基本的に同じ作業を繰り返すことになるため説明を省略する。
ステップ〔4〕では抽象概念を抽出する。この処理は、ステップ〔3〕において抽出した2つのシステムにおける共通概念を比較することによって抽出する。具体的には、2つの共通概念に共通する強い因果ネットワークを抽象概念としている。図29は2つの共通概念を比較して、この2つに共通する抽象概念を抽出する例を表す概略図である。
ステップ〔5〕では閾値を設定する。この閾値の設定では、抽象概念を用いて導出される構造が確実に実用可能であるために、応答の値、あるいは示す応答の範囲が取るべき値を予め設定者が設定しておくものである。
ステップ〔6〕では抽象概念に基づく構造のサンプリングを求める。まず、抽象概念を構成する制限要素の変更を行う。ここでは、抽象概念の因果関係を踏襲すると共に、後述するステップ〔8〕で選択して得られた制限要素の値、或いは範囲、制限要素同士の関係の傾向などを踏襲し変更を行う。これにより、結果として得られるシステムの応答の性質(傾向)が補償される。尚、抽象概念を構成する制限要素の自由度の変更も、因果関係及びステップ〔8〕の関係を維持できるのであれば可能である。次に、抽象概念以外の制限要素の変更を行う。ここでは、ステップ〔8〕で選択して得られた抽象概念以外の制限要素の値、あるいは範囲、制限要素同士の関係の傾向などを踏襲し、変更を加える。
ステップ〔7〕では、ステップ〔5〕で設定された閾値を満たすサンプリングの干渉チェック処理を実行する。この干渉チェック処理とは、物理的にあり得ない構造は計算自体が不可能であるため、こういったノイズを予め省いておくことで、計算の効率を向上させるものである。
ステップ〔8〕では、閾値を満たすか否かを判断し、かつ、基準となる2つのシステムのいずれとも同一構造でないか否かを判断する。閾値を満たしつつ、同一構造でない構造が抽出されたときは、本制御フローを終了する。
次に、実施例2のコンセプトを具体的に適用した具体例を説明する。自動車のサスペンション形式であるマルチリンクサスペンションとダブルウィッシュボーンサスペンションを取り上げる。図12にマルチリンクサスペンションの構造を示す。また、図30にダブルウィッシュボーンサスペンションの構造を示す。ここで取り扱う特性は、タイヤがストロークしたときのキャンバー角度の変化であり、制限要素とは、マルチリンクサスペンション及びダブルウィッシュボーンサスペンションの各リンクの取り付け点(ジオメトリ)である。
図12(マルチリンクサスペンション)及び図30(ダブルウィッシュボーンサスペンション)に示すサスペンションのジオメトリを、それぞれ図14(マルチリンクサスペンション),図32(ダブルウィッシュボーンサスペンション)のジオメトリ範囲内で直交表L81に従って振り、振られた各ジオメトリ値に従って機構計算を行い、キャンバー角度変化を算出し、サンプリングを用意する。ここで得られる全てのサンプリングのキャンバー角度をそれぞれ図15(マルチリンクサスペンション),図33(ダブルウィッシュボーンサスペンション)に示す。
用意されたサンプリングを特性すなわちキャンバー角度変化で分類(階層的クラスタリング)する。それぞれ図16(マルチリンクサスペンション),図34(ダブルウィッシュボーンサスペンション)に分類の結果得られる特性の樹形図を示す。また、図17(マルチリンクサスペンション),図35(ダブルウィッシュボーンサスペンション)に、分類されたある階層におけるグループ(以下、クラスター)の特性を示す。尚、ある階層とは、共通概念抽出に適した階層において、共通概念となる共通の因果ネットワークは、式(5.4)で表される相関係数の感度が大きい経路pがそれに該当する。このことから、共通概念を抽出した例である。
上記特性の分類によって得られた分類結果から、上記ステップ〔3〕で説明した方法に従い共通概念を抽出する階層を特定し、特定された階層に存在するそれぞれのクラスターの制限要素同士の因果ネットワークを抽出する。この結果得られた制限要素同士の因果ネットワークを、制限要素表記手段を用いて表記する。それぞれ図18(マルチリンクサスペンション)及び図36(ダブルウィッシュボーンサスペンション)に制限要素同士の因果ネットワークのいくつかの例を示す。この表記方法では、そのクラスターが示す特性の特徴を実現するのに非常に影響力の高い制限要素同士の繋がりが実線で示してあり、次に影響力の高い制限要素同士の繋がりを点線で示してある。したがって、共通概念の抽出とは、ここで得られた同じ形式のクラスターの制限要素の表記を比較し、共通する因果ネットワークを見つけることが、それにあたる。図19(マルチリンクサスペンション)及び図37(ダブルウィッシュボーンサスペンション)は、抽出された共通概念の因果ネットワークを表す図である。
以上の観点から、2つのサスペンションシステムを比較することとした。ここで、2つのサスペンションシステムは自由度が異なるため、自由度が共通になるように、自由度の大きい方を自由度の小さな方に縮退させる。具体的には、ダブルウィッシュボーンサスペンションのUpper_FrontとUpper_Rearを合わせ、マルチリンクサスペンションのUpper_Inner相当に縮退させる。図40はダブルウィッシュボーンサスペンションの因果ネットワークをマルチリンクサスペンションの因果ネットワークに縮退させた関係を表す図である。
次に、図41に示すように閾値を設定した。すなわち、ストローク量に対するキャンバー角度特性が図41に示す斜線領域内に収まることとした。
上記閾値の設定により閾値を満たすサンプリングを、準備されたサンプリングの中から抽出する。
図42に抽象概念を基準とした距離モデルの一例を示す。ここでは、実線が抽象概念であるジオメトリの関係を示し、点線が距離モデルである。尚、ジオメトリの自由度、すなわちサスペンションリンクの取り付け点の数は任意に設定した。ここで生成された距離モデルに従い実際の計算モデル作成を行い、構造解析を実施し、応答であるキャンバー角度を求める。尚、自由度を任意に設定した場合、意味のない自由度については構造解析が進むに連れて徐々に0に収束するため、任意に設定したとしても特に問題はない。
このとき、上記距離モデルに、条件としてトー剛性が高く、上記特性の値の設定において設定した図41のキャンバー角度の値の変化に一致し、かつ、取り合げたマルチリンクサスペンション及びダブルウィッシュボーンサスペンションと同一構造でないサスペンション構造を抽出した。抽出した構造を図42に示す。図42のサスペンションは、マルチリンクサスペンションよりも車体側の取り付け点の自由度が1つ多い構造である。尚、基本的な構造は実施例1で抽出した構造と同じであるが、キャンバー角特性が異なるため、ジオメトリ等は実施例1とは異なる値に設定されている。
次に、他の実施例について説明する。上記実施例では、因果ネットワークを表記する際、制限要素を多角形上に配置した構成としたが、例えば、平行に配置された属性軸上に配置してもよい。図44は他の実施例を表す概略図である。あるシステムに対して制限要素A,B,C,Dが存在する場合を想定する。このとき、システムに対する入力と出力の関係を表す特性をクラスターAとクラスターBに分類する。次に、2次元平面上に平行に配置された属性軸を設定し、この属性軸上に各クラスターAとクラスターBの制限要素存在領域(分散)を重ね合わせて表記する。図44中、実線で囲まれる範囲がクラスターAの制限要素の存在範囲、点線で囲まれる範囲がクラスターBの制限要素の存在範囲である。このとき、クラスターAとクラスターBとが重なる斜線領域が相関の強い因果ネットワークを表すようにしてもよい。
t クラスター(クラスターp+クラスターq)
M1,M2,M3,M4,M5 ジトメトリ(マルチリンクサスペンション)
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7 ジオメトリ(ダブルウィッシュボーンサスペンション)
Claims (9)
- 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムがあるとき、
該システムの前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを複数発生させるサンプリング発生手段と、
前記サンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングする階層的クラスタリング手段と、
前記クラスタリングされた各クラスターの制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較する比較手段と、
前記比較手段で比較した結果から、前記制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素及び/又は各クラスター間で共通しない制限要素を抽出する抽出手段と、
を備えたことを特徴とするコンセプト設計支援装置。 - 請求項1に記載のコンセプト設計支援装置において、
前記システムは複数のシステムであることを特徴とするコンセプト設計支援装置。 - 請求項1または2に記載のコンセプト設計支援装置において、
前記抽出手段により抽出された共通する制限要素以外の制限要素の値及び/又は数を任意に変更し、新たなシステムを探索する新システム探索手段と、
を備えたことを特徴とするコンセプト設計支援装置。 - 請求項3に記載のコンセプト設計支援装置において、
前記新システム探索手段は、前記共通する制限要素を共通範囲内で変更することを特徴とするコンセプト設計支援装置。 - 請求項3または4に記載のコンセプト設計支援装置において、
前記新システム探索手段は、前記共通する制限要素の傾向を維持して変更することを特徴とするコンセプト設計支援装置。 - 請求項2ないし5いずれか1つに記載のコンセプト設計支援装置において、
前記比較手段は、異なるシステムの間で制限要素を比較するときは、制限要素の多いシステムを、制限要素の小さいシステムに縮退させて比較することを特徴とするコンセプト設計支援装置。 - 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムがあるとき、
コンピュータを、
前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを複数発生させるサンプリング発生部と、
前記サンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングする階層的クラスタリング部と、
前記クラスタリングされた各クラスターの制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較する比較部と、
前記比較部で比較した結果から、前記制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素及び/又は各クラスター間で共通しない制限要素を抽出する抽出部と、
として機能させることを特徴とするコンセプト設計支援プログラム。 - 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムの前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングした結果を表示する階層的クラスタリング表示手段と、
前記クラスタリングされた各クラスターの制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較可能に表示する比較表示手段と、
前記比較表示手段で比較した結果から、前記制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素及び/又は各クラスター間で共通しない制限要素を抽出した結果を表示する抽出結果表示手段と、
を備えたことを特徴とするコンセプト設計支援表示装置。 - 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムがあるとき、
コンピュータが、
前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを複数発生させるステップと、
前記サンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングするステップと、
前記クラスタリングされた各クラスターの制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較するステップと、
前記比較するステップで比較した結果から、前記制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素及び/又は各クラスター間で共通しない制限要素を抽出するステップと、
を実行することを特徴とするコンセプト設計支援方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005341103A JP4867314B2 (ja) | 2005-11-25 | 2005-11-25 | コンセプト設計支援装置,コンセプト設計支援プログラム及びコンセプト設計支援方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005341103A JP4867314B2 (ja) | 2005-11-25 | 2005-11-25 | コンセプト設計支援装置,コンセプト設計支援プログラム及びコンセプト設計支援方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007148692A JP2007148692A (ja) | 2007-06-14 |
JP4867314B2 true JP4867314B2 (ja) | 2012-02-01 |
Family
ID=38210053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005341103A Expired - Fee Related JP4867314B2 (ja) | 2005-11-25 | 2005-11-25 | コンセプト設計支援装置,コンセプト設計支援プログラム及びコンセプト設計支援方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4867314B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4815887B2 (ja) * | 2005-06-17 | 2011-11-16 | 日産自動車株式会社 | 情報処理装置及び情報処理用表示装置 |
CA2988181C (en) * | 2008-08-29 | 2020-03-10 | Primal Fusion Inc. | Systems and methods for semantic concept definition and semantic concept relationship synthesis utilizing existing domain definitions |
JP2012243225A (ja) * | 2011-05-23 | 2012-12-10 | Ntt Comware Corp | クラスタリング装置、クラスタリング方法およびクラスタリングプログラム |
JP6303579B2 (ja) * | 2014-02-19 | 2018-04-04 | 日産自動車株式会社 | 情報処理装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004030413A (ja) * | 2002-06-27 | 2004-01-29 | Fujitsu Ltd | 最適化処理装置 |
JP4993428B2 (ja) * | 2005-09-22 | 2012-08-08 | 日産自動車株式会社 | 最適化システム、最適化方法、最適化プログラム、及びプログラム媒体 |
-
2005
- 2005-11-25 JP JP2005341103A patent/JP4867314B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007148692A (ja) | 2007-06-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3179407B1 (en) | Recognition of a 3d modeled object from a 2d image | |
JP6975558B2 (ja) | モフォロジー基準によるデータベースの照会 | |
Poirson et al. | Eliciting user perceptions using assessment tests based on an interactive genetic algorithm | |
WO2005086036A2 (en) | Multi-tier and multi-domain distributed system for rapid product configuration and design and corresponding method | |
US8504331B2 (en) | Aerodynamic model identification process for aircraft simulation process | |
CN112861384B (zh) | 一种基于catia的静电除尘器三维模型构建方法 | |
JP7411977B2 (ja) | 機械学習支援方法及び機械学習支援装置 | |
Hagg et al. | Prototype discovery using quality-diversity | |
Zhang et al. | Data-driven design strategy in fused filament fabrication: status and opportunities | |
JP4867332B2 (ja) | パレート新領域探索装置,パレート新領域探索プログラムが記録された媒体,パレート新領域探索表示装置及びパレート新領域探索方法 | |
JP4867314B2 (ja) | コンセプト設計支援装置,コンセプト設計支援プログラム及びコンセプト設計支援方法 | |
WO2018083512A1 (en) | Process and system for providing a machining method for manufacturing a feature in a part | |
Chiba et al. | High-fidelity multidisciplinary design optimization of aerostructural wing shape for regional jet | |
JP4815887B2 (ja) | 情報処理装置及び情報処理用表示装置 | |
Kwon et al. | Multiobjective evolutionary optimization for feature-based simplification of 3D boundary representation models | |
JP2008003819A (ja) | 交互作用検出装置,交互作用検出用プログラムが記録された媒体及び交互作用検出方法 | |
JP4997761B2 (ja) | パレート新領域探索装置,パレート新領域探索プログラム,パレート新領域探索表示装置及びパレート新領域探索方法 | |
JP2008059106A (ja) | サンプリング生成装置、サンプリング生成プログラムが記録された媒体及びサンプリング生成方法 | |
JP5299471B2 (ja) | 情報処理用プログラム及び情報処理方法 | |
JP4867334B2 (ja) | パレート新領域探索装置,パレート新領域探索プログラムが記録された媒体,パレート新領域探索表示装置及びパレート新領域探索方法 | |
Yousif et al. | Shape clustering using k-medoids in architectural form finding | |
JP4956779B2 (ja) | 最適化支援装置、最適化支援プログラム、最適化支援表示装置及び最適化支援方法 | |
WO2017122467A1 (ja) | モデル作成支援システム、モデル作成支援方法、及びモデル作成支援プログラム | |
Gerzen | Analysis and applications of variational sensitivity information in structural optimisation | |
US11741154B2 (en) | 3D clustering navigation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080926 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110510 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110621 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111018 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111031 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |