JP2022032543A - ケーブル - Google Patents

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祐己 桑嶋
Hiroki Kuwajima
広明 和田
Hiroaki Wada
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Abstract

【課題】ロボットの可動部などに用いられることにより、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合でも、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルを提供すること。【解決手段】心線と、前記心線を被覆する被覆材と、を備える電線、前記電線を収容するシース部材、および、前記シース部材を収容するカバーを備えるケーブルであって、前記シース部材および前記カバーのいずれか一方または両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有するケーブルを提供する。【選択図】 図1

Description

本開示は、ケーブルに関する。
スカラロボット等に使用される耐捻回ケーブルとして、特許文献1では、複数の電線が撚り合されてなる集合体と、前記集合体の外周を覆うテープ部材と、前記テープ部材で覆われた前記集合体を被覆するシース部材とを備え、前記シース部材の引張降伏応力が3.5MPa以上10MPa以下であり、且つ、前記集合体の撚り合せ方向と前記テープ部材の巻き付け方向とが同方向であることを特徴とする耐捻回ケーブルが提案されている。
特開2019-204591号公報
本開示では、ロボットの可動部などに用いられることにより、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合でも、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルを提供することを目的とする。
本開示によれば、心線と、前記心線を被覆する被覆材と、を備える電線、前記電線を収容するシース部材、および、前記シース部材を収容するカバーを備えるケーブルであって、前記シース部材および前記カバーのいずれか一方または両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有するケーブルが提供される。
上記ケーブルにおいて、前記シース部材および前記カバーの両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有することが好ましい。
上記ケーブルは、前記シース部材に収容された介在をさらに備えることが好ましい。
上記ケーブルにおいて、前記介在が、溶融加工性フッ素樹脂を含有することが好ましい。
上記ケーブルにおいて、前記介在が、チューブ状であることが好ましい。
また、本開示によれば、心線と、前記心線を被覆する被覆材と、を備える電線、介在、および、前記電線および前記介在を収容するシース部材を備えるケーブルであって、前記介在が、溶融加工性フッ素樹脂を含有するケーブルが提供される。
上記ケーブルにおいて、前記介在が、チューブ状であることが好ましい。
上記ケーブルにおいて、前記シース部材が、溶融加工性フッ素樹脂を含有することが好ましい。
上記ケーブルにおいて、前記シース部材を収容するカバーをさらに備えることが好ましい。
上記ケーブルにおいて、前記被覆材が、溶融加工性フッ素樹脂を含有することが好ましい。
上記ケーブルにおいて、前記溶融加工性フッ素樹脂が、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体であることが好ましい。
上記ケーブルにおいて、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体におけるテトラフルオロエチレン単位とエチレン単位とのモル比(テトラフルオロエチレン単位/エチレン単位)が20/80以上90/10以下であることが好ましい。
本開示のケーブルは、ロボットケーブルとして好適に用いることができる。
本開示によれば、ロボットの可動部などに用いられることにより、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合でも、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルを提供することができる。
図1は、第1の実施形態に係るケーブルの構成を示す模式断面図である。 図2は、第2の実施形態に係るケーブルの構成を示す模式断面図である。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<第1の実施形態>
本開示の第1の実施形態に係るケーブルは、電線、シース部材およびカバーを備えており、シース部材およびカバーのいずれか一方または両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する。
従来のケーブルでは、ロボットの可動部などに用いられることにより、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合に、ケーブルが接する他の部材とケーブルとが擦れたり、シース部材とカバーとが擦れたりして、シース部材またはカバーが損傷し、これらが断線したり、シース部材またはカバーが摩耗して、発塵したりする問題がある。
本開示の第1の実施形態に係るケーブルにおいては、シース部材およびカバーのいずれか一方または両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有することから、ケーブルの柔軟性および機械強度、ケーブルの滑り性、シース部材とカバーとの滑り性ならびにシース部材と電線との滑り性が向上する。結果として、ケーブルをロボットの可動部などに用いることにより、ケーブルが繰り返し屈曲されたり、ケーブルが繰り返し捻回されたりした場合でも、ケーブルが断線しにくく、ケーブルからの発塵(摩耗)が抑制される。
また、第1の実施形態に係るケーブルにおいて、カバーが溶融加工性フッ素樹脂を含有する場合には、ケーブルが接する他の部材に対するケーブルの滑り性が向上するばかりでなく、ケーブルに優れた水蒸気バリア性、耐油性、耐薬品性などを付与することができる。
さらに、カバーが溶融加工性フッ素樹脂を含有する場合には、2つのフッ素樹脂シートが接合することにより形成される接合部の強度が向上して、ケーブルが繰り返し屈曲されたり、ケーブルが繰り返し捻回されたりした場合でも、ケーブルの接合部が剥離しにくい。
図1は、第1の実施形態に係るケーブルの構成を示す模式断面図である。図1に示すケーブル10は、少なくとも1本の電線11と、シース部材12と、カバー13とを備えており、シース部材12およびカバー13の両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有している。
ケーブル10が備える3本のシース部材12には、それぞれ、1本、4本または6本の電線11が収容されているが、シース部材12に収容される電線の数は、特に限定されず、1~10本であってよい。
電線11は、心線11aと、心線11aを被覆する被覆材11bとを備えている。心線11aは、1本の線材であってもよいし、複数の線材が撚り合わされた撚り線であってもよいし、撚り線が圧縮されることにより得られる圧縮導体であってもよい。心線11aの材料としては、銅、アルミ等の金属導体材料を用いることができる。また、銀、スズ、ニッケルなどの異なる金属でめっきされた銅材料も用いることができる。
心線11aを被覆する被覆材11bは、非フッ素樹脂、非フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムなどにより形成することができる。被覆材11bは、たとえば、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などにより形成することができる。また、被覆材11bは、図1に示すように単層であってもよいが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。
一実施形態において、被覆材11bは、溶融加工性フッ素樹脂を含有する。被覆材を溶融加工性フッ素樹脂により形成することによって、シース部材12に対する電線11の滑り性が向上し、摩擦が低減して、断線が一層防止され、摩耗による発塵が一層抑制される。
図1に示すように、シース部材12は、少なくとも1本の電線11を収容するように構成されており、カバー13に収容されるように構成されている。シース部材12は、図1に示すように単層であるが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。しかしながら、溶融加工性フッ素樹脂が機械強度、滑り性および耐クラック性に優れるものであることから、シース部材12が溶融加工性フッ素樹脂を含有する単層の構成を有するものであっても、ケーブルの断線を十分に防止し、ケーブルからの発塵を十分に抑制できる。
図1に示すように、カバー13は、少なくとも1本のシース部材12を収容するように構成されている。カバー13は、図1に示すように単層であってもよいが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。しかしながら、溶融加工性フッ素樹脂が機械強度、滑り性および耐クラック性に優れるものであることから、カバー13が溶融加工性フッ素樹脂を含有する単層の構成を有するものであっても、ケーブルの断線を十分に防止し、ケーブルからの発塵を十分に抑制できる。
カバー13は、2つの溶融加工性フッ素樹脂シートが接合部14により接合されることにより一体化されており、接合部14は、電線11およびシース部材12を収容可能な中空部から突出するように設けられている。図1に示す接合部14では、溶融加工性フッ素樹脂同士が熱融着されて、2つの溶融加工性フッ素樹脂シートが接合されているが、接合部14はこれと異なる構成を備えるものであってもよい。
また、図1に示すカバー13の表面は平滑に構成されているが、カバー13の表面に凹凸を設けたり、コルゲートを施したりして、耐屈曲性をさらに向上させてもよい。また、図1においては、シース部材12の中空部に空間が存在するが、空間に樹脂などを充填してもよい。また、図1に示すように、シース部材12に収容される介在15を設けてもよい。介在15を設けることにより、シース部材12を適切な形状とすることができ、ケーブル10が屈曲されたり、捻回されたりした場合でも、シース部材12を潰れにくいものとすることができ、ケーブル10の形状を容易に保つことができる。
第1の実施形態として、シース部材12とカバー13とが摺動可能に設けられている形態を説明したが、別の実施形態においては、シース部材12とカバー13とが接着していてもよい。シース部材12とカバー13とが接着していることにより、シース部材12とカバー13との摩擦を無くすことができるとともに、シース部材12同士の滑り性は維持することができるので、断線が一層防止され、摩耗による発塵が一層抑制される。
<第2の実施形態>
本開示の第2の実施形態に係るケーブルは、電線、介在およびシース部材を備えており、介在が、溶融加工性フッ素樹脂を含有している。
従来のケーブルでは、ロボットの可動部などに用いられることにより、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合に、電線と介在とが擦れたり、介在とシース部材とが擦れたりして、電線、介在またはシース部材が損傷し、これらが断線したり、電線、介在またはシース部材が摩耗して、発塵したりする問題がある。
第2の実施形態に係るケーブルは、介在を備えるものであることから、シース部材を適切な形状とすることができ、ケーブルが屈曲されたり、捻回されたりした場合でも、シース部材を潰れにくいものとすることができ、ケーブルの形状を容易に保つことができる。
さらに、本開示の第2の実施形態に係るケーブルにおいては、介在が溶融加工性フッ素樹脂を含有することから、介在の柔軟性および機械強度、介在と電線との滑り性ならびに介在とシース部材との滑り性が向上する。結果として、ケーブルをロボットの可動部などに用いることにより、ケーブルが繰り返し屈曲されたり、ケーブルが繰り返し捻回されたりした場合でも、ケーブルが断線しにくく、ケーブルからの発塵(摩耗)が抑制される。
図2は、第2の実施形態に係るケーブルの構成を示す模式断面図である。図2に示すケーブル20は、複数の電線11と、複数の介在15と、シース部材12とを備えており、介在15がシース部材12に収容されている。
図2に示すように、シース部材12の中空部の中心に介在15(中心介在)を配置してもよいし、中心介在の周囲に配置された電線11の空間を埋めるように、介在15を配置してもよい。
介在15は、中空部を有しないロッド状の介在であってもよいし、チューブ状の介在であってもよい。図2に示すように、チューブ状の介在15を配置すると、ケーブルの柔軟性を損なうことなく、シース部材12を適切な形状とすることができ、ケーブル20の形状を容易に保つことができる。
ケーブル20が備えるシース部材12には、6本の電線11が収容されているが、シース部材12に収容される電線の数は、特に限定されず、1~10本であってよい。
電線11は、心線11aと、心線11aを被覆する被覆材11bとを備えており、その構成は、第1の実施形態に係るケーブルが備える電線と同様とすることができる。
一実施形態において、被覆材11bは、溶融加工性フッ素樹脂を含有する。被覆材を溶融加工性フッ素樹脂により形成することによって、シース部材に対する電線の滑り性および介在に対する電線の滑り性が向上し、摩擦が低減して、断線が一層防止され、摩耗による発塵が一層抑制される。
図2に示すように、シース部材12は、少なくとも1本の電線を収容するように構成されている。シース部材12は、非フッ素樹脂、非フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムなどにより形成することができる。シース部材12は、たとえば、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などにより形成することができる。シース部材12は、図2に示すように単層であってもよいが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。
一実施形態において、シース部材12は、溶融加工性フッ素樹脂を含有する。シース部材12を溶融加工性フッ素樹脂により形成することによって、電線11および介在15に対するシース部材12の滑り性およびシース部材12同士の滑り性が向上し、摩擦が低減して、断線が一層防止され、摩耗による発塵が一層抑制される。また、ケーブルが接する他の部材に対するケーブルの滑り性が向上し、ケーブルに優れた水蒸気バリア性、耐油性、耐薬品性などを付与することができる。
シース部材12は、図2に示すように単層であるが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。しかしながら、溶融加工性フッ素樹脂が機械強度、滑り性および耐クラック性に優れるものであることから、シース部材12が溶融加工性フッ素樹脂を含有する単層の構成を有するものであっても、ケーブルの断線を十分に防止し、ケーブルからの発塵を十分に抑制できる。
図2においては、シース部材12の中空部に空間が存在するが、空間に樹脂などを充填してもよい。
第2の実施形態に係るケーブルは、シース部材を収容するカバーをさらに備えることができる。ケーブルがカバーを備えることによって、複数のシース部材をカバーに収容して一体化することができ、シース部材を保護することができる。
図1は、第2の実施形態に係るケーブル20がカバー13を備える場合の一例を示している。図1に示すように、カバー13は、少なくとも1本のシース部材12を収容するように構成されている。カバー13は、非フッ素樹脂、非フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムなどにより形成することができる。カバー13は、たとえば、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などにより形成することができる。カバー13は、図1に示すように単層であってもよいが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。
一実施形態において、カバー13は、溶融加工性フッ素樹脂を含有する。カバー13を溶融加工性フッ素樹脂により形成することによって、シース部材12に対するカバー13の滑り性が向上し、摩擦が低減して、断線が一層防止され、摩耗による発塵が一層抑制される。また、ケーブルが接する他の部材に対するケーブルの滑り性が向上し、ケーブルに優れた水蒸気バリア性、耐油性、耐薬品性などを付与することができる。
カバー13は、図1に示すように単層であるが、2層以上の層構成を有する積層体により構成してもよい。しかしながら、溶融加工性フッ素樹脂が機械強度、滑り性および耐クラック性に優れるものであることから、カバー13が溶融加工性フッ素樹脂を含有する単層の構成を有するものであっても、ケーブルの断線を十分に防止し、ケーブルからの発塵を十分に抑制できる。
<溶融加工性フッ素樹脂>
本開示で用いる溶融加工性フッ素樹脂について説明する。
本開示で用いる溶融加工性フッ素樹脂は、部分結晶性フルオロポリマーであり、フッ素ゴムではなく、フルオロプラスチックスである。本開示において、溶融加工性とは、押出機および射出成形機などの従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01~500g/10分であることが通常である。
フッ素樹脂のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.5~100g/10分であり、より好ましくは1~50g/10分であり、さらに好ましくは2~40g/10分である。
MFRは、ASTM D-1238に準拠して、直径2.1mmで長さが8mmのダイにて、荷重5kg、フッ素樹脂の一般的な成形温度である約230~350℃の範囲の任意の温度(例えば、297℃)で測定する。
フッ素樹脂の融点は、特に限定されないが、好ましくは100~324℃であり、より好ましくは160~270℃である。上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
フッ素樹脂としては、たとえば、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、TFE/エチレン共重合体〔ETFE〕、TFE/エチレン/HFP共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体〔ECTFE〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、CTFE/TFE共重合体、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕、TFE/ビニリデンフルオライド(VdF)共重合体〔VT〕、ポリビニルフルオライド〔PVF〕、TFE/VdF/CTFE共重合体〔VTC〕、TFE/HFP/VdF共重合体などが挙げられる。
本開示において、フッ素樹脂の各単量体単位の含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
フッ素樹脂としては、溶融押出成形により容易に成形することができることから、なかでも、TFE/エチレン共重合体〔ETFE〕、TFE/エチレン/HFP共重合体、エチレン/CTFE共重合体〔ECTFE〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕およびCTFE/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、TFE/エチレン共重合体〔ETFE〕、TFE/エチレン/HFP共重合体およびCTFE/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、TFE/エチレン共重合体〔ETFE〕およびTFE/エチレン/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。また、これらのフッ素樹脂は、熱融着によりカバーの接合部を容易に形成することができることからも好ましい。
フッ素樹脂は、各フッ素樹脂の本質的性質を損なわない範囲の量で、その他の単量体に基づく重合単位を有するものであってもよい。その他の単量体としては、たとえば、TFE、HFP、エチレン、プロピレン、PAVE、パーフルオロアルキルエチレン、ハイドロフルオロオレフィン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロ(アルキルアリルエーテル)等から適宜選択することができる。
TFE/HFP共重合体は、TFE/HFPが質量比で、80~97/3~20であることが好ましく、84~92/8~16であることがより好ましい。
TFE/HFP共重合体は、TFEとHFPとからなる2元共重合体であってもよいし、更に、TFE及びHFPと共重合可能なコモノマーからなる3元共重合体(例えば、TFE/HFP/PAVE共重合体)であってもよい。
TFE/HFP共重合体は、PAVEに基づく重合単位を含むTFE/HFP/PAVE共重合体であることも好ましい。
TFE/HFP/PAVE共重合体は、TFE/HFP/PAVEが質量比で、70~97/3~20/0.1~10であることが好ましく、81~92/5~16/0.3~5であることがより好ましい。
TFE/PAVE共重合体は、TFE/PAVEが質量比で、90~99/1~10であることが好ましく、92~97/3~8であることがより好ましい。
上記ETFEとしては、TFE単位とエチレン単位とのモル比(TFE単位/エチレン単位)が20/80以上90/10以下である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は37/63以上85/15以下であり、さらに好ましいモル比は38/62以上80/20以下である。上記ETFEは、TFE、エチレン、並びに、TFEおよびエチレンと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、下記式
CH=CXRf、CF=CFRf、CF=CFORf、CH=C(Rf
(式中、XはHまたはF、Rfはエーテル結合を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す。)で表される単量体が挙げられ、なかでも、CF=CFRf、CF=CFORfおよびCH=CXRfで表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、HFP、CF=CF-ORf(式中、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)およびRfが炭素数1~8のフルオロアルキル基であるCH=CXRfで表される含フッ素ビニルモノマーからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、HFPが更に好ましい。また、TFEおよびエチレンと共重合可能な単量体としては、イタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。上記ETFEは、TFEおよびエチレンと共重合可能な単量体単位が、0.1~10モル%であることが好ましく、0.1~5モル%であることがより好ましく、0.2~4モル%であることが特に好ましい。
TFE/エチレン共重合体は、HFPに基づく重合単位を含むTFE/エチレン/HFP共重合体であることも好ましい。TFE/エチレン/HFP共重合体は、TFE/エチレン/HFPがモル比で、40~65/30~60/0.5~20であることが好ましく、40~65/30~60/0.5~10であることがより好ましい。
上記ETFEの融点は、好ましくは140~324℃未満であり、より好ましくは160~320℃であり、さらに好ましくは195~320℃である。
上記ETFEは、297℃で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは1~100g/10分であり、より好ましくは1~50g/10分であり、特に好ましくは2~30g/10分である。
上記ETFEとして、特開2019-90013号公報に記載のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を用いることも好適である。
上記エチレン/CTFE共重合体(ECTFE)は、エチレン単位とCTFE単位とを含む共重合体であって、エチレン単位とCTFE単位の合計に対して、エチレン単位が46~52モル%であり、CTFE単位が54~48モル%であることが好ましい。ECTFEは、エチレン単位とCTFE単位のみからなる2元共重合体であってもよいし、さらに、エチレンおよびCTFEと共重合可能な単量体(例えば、フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)誘導体)に基づく重合単位を含むものであってもよい。
エチレンおよびCTFEと共重合可能な単量体に基づく重合単位の含有量は、エチレン単位とCTFE単位と上記共重合可能な単量体に基づく重合単位との合計に対して、0.01~5モル%であることが好ましい。
ECTFEのMFRは、好ましくは0.01~100g/10分である。ECTFEのMFRの測定は、温度230℃、荷重2.16kgで行われる。
CTFE/TFE共重合体としては、CTFE単位、TFE単位およびこれらと共重合可能な単量体(α)に由来する単量体(α)単位を含むものが特に好ましい。
単量体(α)としては、CTFEおよびTFEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、エチレン(Et)、VdF、CF=CF-ORf(式中、Rfは、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CX=CX(CF(式中、X、XおよびXは同一もしくは異なって、水素原子またはフッ素原子;Xは、水素原子、フッ素原子または塩素原子;nは、1~10の整数)で表されるビニル単量体、CF=CF-OCH-Rf(式中、Rfは、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体などがあげられ、なかでも、PAVE、上記ビニル単量体およびアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVEおよびHFPからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
PAVEとしては、CF=CF-ORf(式中、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましく、たとえば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などがあげられ、なかでも、PMVE、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PPVEがさらに好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1~3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF-OCH-CFCFがより好ましい。
CTFE/TFE共重合体における、CTFE単位とTFE単位との比率は、好ましくは、CTFE単位が15~90モル%であり、TFE単位が85~10モル%であり、より好ましくは、CTFE単位が15~50モル%であり、TFE単位が85~50モル%であり、さらに好ましくは、CTFE単位が15~25モル%であり、TFE単位が85~75モル%である。
CTFE/TFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位との合計が90~99.9モル%であり、単量体(α)単位が0.1~10モル%であるものが好ましい。単量体(α)単位が0.1モル%未満であると、成形性、耐環境応力割れ性および耐燃料クラック性に劣りやすく、10モル%を超えると、燃料バリア性、耐熱性、機械物性に劣る傾向にある。
CTFE/TFE共重合体としては、CTFE/TFE/PAVE共重合体が特に好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などが挙げられ、なかでも、PMVE、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PPVEがより好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
CTFE/TFE共重合体の融点は、特に限定されないが、160~270℃であることが好ましい。
CTFE/TFE共重合体のメルトフローレート(MFR)としては、好ましくは0.5~100g/10分であり、より好ましくは1~50g/10分であり、さらに好ましくは2~40g/10分である。CTFE/TFE共重合体のMFRの測定は、温度297℃、荷重5kgで行われる。
フッ素樹脂は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合など、従来公知の重合方法により得ることができる。重合において、温度、圧力などの各条件、重合開始剤、連鎖移動剤、その他の添加剤は、フッ素樹脂の組成や量に応じて適宜設定することができる。
重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)などのパーオキシカーボネート類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、たとえば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などの水溶性ラジカル重合開始剤などを使用できる。これらのなかでも、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)が好ましい。
連鎖移動剤としては、反応系内で分散性および均一性が良好である点で、炭素数1~4の水溶性アルコール、炭素数1~4の炭化水素および炭素数1~4のフッ化炭化水素、および過硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。連鎖移動剤は、メタン、エタン、n-ブタン、イソブタン、メタノール、n-プロピルアルコール、HFC-134a、HFC-32、ジコハク酸パーオキサイド、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましく、n-プロピルアルコール、メタノールおよびイソブタンからなる群より選択される少なくとも1つであることがさらに好ましい。
本開示で用いる溶融加工性フッ素樹脂は、炭素数10個あたり3個以上の反応性官能基を有してもよい。特に、シース部材およびカバーのいずれか一方または両方が、炭素数10個あたり3個以上の反応性官能基を有する溶融加工性フッ素樹脂を含有する場合には、シース部材とカバーとを接着させることが可能となり、シース部材とカバーとの摩擦を無くすことができるとともに、シース部材同士の滑り性は維持することができるので、断線が一層防止され、摩耗による発塵が一層抑制される。さらには、ケーブルが繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合でも、シース部材とカバーとが剥離しにくく、断線の防止効果および発塵の抑制効果を長期間にわたって維持することができる。
反応性官能基を有するフッ素樹脂は、ポリマーの主鎖末端および/または側鎖に、反応性官能基を有することがより好ましく、反応性官能基としては、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示において、「カルボニル基」は、炭素-酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、-C(=O)-で表されるものに代表される。上記カルボニル基を含む反応性官能基としては特に限定されず、たとえばカーボネート基、カルボン酸ハライド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合(-C(=O)O-)、酸無水物結合(-C(=O)O-C(=O)-)、イソシアネート基、アミド基、イミド基(-C(=O)-NH-C(=O)-)、ウレタン結合(-NH-C(=O)O-)、カルバモイル基(NH-C(=O)-)、カルバモイルオキシ基(NH-C(=O)O-)、ウレイド基(NH-C(=O)-NH-)、オキサモイル基(NH-C(=O)-C(=O)-)など、化学構造上の一部としてカルボニル基を含むものが挙げられる。
アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基などにおいては、その窒素原子に結合する水素原子は、たとえばアルキル基などの炭化水素基で置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、導入が容易である点、フッ素樹脂が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点から、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましく、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合がより好ましい。
なかでも、国際公開第99/45044号に記載のカーボネート基および/またはカルボン酸ハライド基を有するものが特に好ましい。
反応性官能基を有するフッ素樹脂は、ポリマーの主鎖末端または側鎖のいずれかに反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端および側鎖の両方に反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に反応性官能基を有する場合、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。上記反応性官能基は、エーテル結合をも有する場合、該反応性官能基をさらに主鎖中に有するものであってもよい。
反応性官能基を有するフッ素樹脂は、主鎖末端に反応性官能基を有する重合体からなるものが、機械物性、耐油・耐薬液性を著しく低下させない理由で、または、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
上記反応性官能基の数は、隣接する層の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力と隣接する層との接着方法などの違いにより適宜選択すればよい。
主鎖末端および/または側鎖末端にある反応性官能基の数としては、炭素数10個あたり、好ましくは3個以上であり、好ましくは800個以下である。反応性官能基が炭素数10個あたり3個未満であると、接着性が低下することがある。より好ましい下限は15個、さらに好ましい下限は30個、特に好ましい下限は50個であり、最も好ましい下限は80個である。反応性官能基数の上限は、生産性の観点からたとえば300個とすることがより好ましく、200個とすることが更に好ましい。
上記末端の反応性官能基の数は、フッ素樹脂の粉末をその融点より50℃高い成形温度、5MPaの成形圧力にて圧縮成形することにより得られる厚み0.05~0.20mmのフィルムシートを、赤外分光光度計を用いて赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して反応性官能基の特性吸収の種類を決定し、各差スペクトルから次式により算出する個数である。
末端基の個数(炭素数10個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端反応性官能基の補正係数を表1に示す。
Figure 2022032543000002
表1の補正係数は、炭素数10個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定された値である。
上記反応性官能基を主鎖および/または側鎖の末端に導入する方法としては、反応性官能基含有の単量体(β)を共重合して導入する方法、反応性官能基を有するまたは生ずる化合物を重合開始剤として用いる方法、反応性官能基を有するまたは生ずる化合物を連鎖移動剤として用いる方法、フッ素ポリマーに高分子反応で反応性官能基を導入する方法、これらの方法を併用する方法などが例示できる。
共重合で反応性官能基を導入する場合の反応性官能基含有の単量体(β)としては、フッ素樹脂を与える単量体と共重合可能な単量体で上記反応性官能基を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、たとえば次のものが例示できる。
上記単量体(β)の第1としては、国際公開第2005/100420号に記載の脂肪族不飽和カルボン酸類が挙げられる。不飽和カルボン酸類は、重合性の炭素-炭素不飽和結合を1分子中に少なくとも1個有し、かつ、カルボニルオキシ基(-C(=O)-O-)を1分子中に少なくとも1個有するものが好ましい。
上記脂肪族不飽和カルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよい。脂肪族不飽和モノカルボン酸としては、たとえば(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの炭素数3~6の不飽和脂肪族モノカルボン酸類が挙げられる。
上記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物またはシトラコン酸無水物などの炭素数3~6の不飽和脂肪族ポリカルボン酸類が挙げられる。
上記単量体(β)の第2としては、式:
CX =CY-(Rf-Z
(式中、Zは、前記反応性官能基;XおよびYは、同一または異なって、水素原子もしくはフッ素原子;Rfは、炭素数1~40のアルキレン基、炭素数1~40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2~40の含フッ素アルキレン基またはエーテル結合を有する炭素数2~40の含フッ素オキシアルキレン基;nは、0または1)で表される不飽和化合物が挙げられる。
共重合により導入される反応性官能基含有の単量体(β)単位の含有率は、0.05モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましい。多すぎると、加熱溶融時にゲル化や加硫反応が発生しやすいため、単量体(β)単位の含有率の上限としては5モル%が好ましく、3モル%がさらに好ましい。
反応性官能基を有するフッ素樹脂は、ポリマーの主鎖末端または側鎖末端にヘテロ環基またはアミノ基を有するものであってもよい。
ヘテロ環基とは、そのヘテロ環部位の環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよい。ヘテロ環基の中では、オキサゾリル基が好ましい。
アミノ基とは、アンモニア、第一級または第二級アミンから水素を除去した1価の官能基である。具体的には、例えば、式:
-NR
(式中、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~20の1価の有機基である。)で表される基である。アミノ基の具体例としては、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NH(CHCH)、-N(C、-NH(C)などが挙げられる。
本開示で用いる溶融加工性フッ素樹脂は、次の関係式を充足するものであることが好ましい。
MFR値(g/min)×MIT値(回)×215℃での破断伸び(%)≧2.5×10
MFR値は、メルトインデクサーを用い、溶融加工性フッ素樹脂の融点より高い温度(たとえば、TFE/エチレン/HFP共重合体では265℃)、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出する溶融加工性フッ素樹脂の質量により測定することができる。
MIT値は、MIT耐揉疲労試験機(東洋精機製作所製)を用い、ASTM D-2176に準拠した条件下で折り曲げを繰り返し、破断するまでの回数により測定することができる。
破断伸びは、オートグラフAG-1KNIS(株式会社島津製作所製)を用いてASTM D1708-02aに準拠し、マイクロダンベルのサンプル形状(厚み50μm)を用いて、215℃で引張速度を100mm/分に設定して測定することができる。
本開示のケーブルが備えるカバーは、カバーの内面の摩擦係数が0.1以下であることが好ましく、カバーの内外両面の摩擦係数が0.1以下であることがより好ましい。摩擦係数が上記範囲内にあることにより、カバーの摺動性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
カバーの摩擦係数は、ボールオンディスク型のSRV摩擦摩耗試験機により、室温、50Hzの条件で、測定することができる。
本開示のケーブルが備えるカバーは、80℃の温水に200日間浸漬した後の引張強さ保持率が70%以上であることが好ましい。引張強さ保持率が上記範囲内にあることにより、カバーの耐久性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
カバーの引張強さ保持率は、浸漬試験前のカバーの最大点強度に対する、80℃の温水に200日間浸漬した後のカバーの最大点強度の比率(%)である。カバーの最大点強度は、テンシロン(オリエンテック社製)を用い、室温において引張速度100mm/分にて、カバーを打ち抜いて作製したミクロダンベルを引っ張ることにより測定することができる。
本開示のケーブルが備えるシース部材は、引張弾性率が1500MPa以下であることが好ましい。引張弾性率が上記範囲内にあることにより、シース部材の柔軟性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
本開示のケーブルが備えるシース部材は、引張弾性率が100MPa以上であることが好ましい。引張弾性率が上記範囲内にあることにより、シース部材の耐潰れ性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
シース部材の引張弾性率は、テンシロン(オリエンテック社製)を用い、室温において引張速度100mm/分にて、シース部材を打ち抜いて作製したミクロダンベルを引っ張ることにより測定することができる。
本開示のケーブルが備えるシース部材は、シース部材の内面の摩擦係数が0.1以下であることが好ましく、シース部材の内外両面の摩擦係数が0.1以下であることがより好ましい。シース部材の摩擦係数が上記範囲内にあることにより、シース部材の滑り性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
シース部材の摩擦係数は、ボールオンディスク型のSRV摩擦摩耗試験機により、室温、50Hzの条件により測定することができる。
一実施形態において、本開示のケーブルが備えるカバーとシース部材とは、摺動可能に設けられる。別の一実施形態において、本開示のケーブルが備えるカバーとシース部材とは接着している。カバーに複数本のシース部材が収容されている場合、カバーと全てのシース部材とが接着していてもよいし、カバーと一部のシース部材とが接着しており、カバーと残りのシース部材とが接着していなくてもよい。たとえば、カバーと1本のシース部材とが接着しており、カバーと残りの1本または数本のシース部材とが接着していない構成とすることができる。カバーと一部のシース部材とが接着していることにより、カバーとシース部材との摩擦を低減することができ、カバーと接着していない残りのシース部材は、不具合が生じた際に、シース部材に収容された電線とともに、容易に取り換えることができる。この実施形態におけるカバーとシース部材との接着強度は、5N/cm以上であることが好ましい。接着強度が上記範囲内にあることにより、カバーとシース部材との摩擦がなくなり、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。さらには、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合でも、シース部材とカバーとが剥離しにくく、断線の防止効果および発塵の抑制効果を長期間にわたって維持することができる。
カバーとシース部材との接着強度(N/cm)は、ケーブルから、カバーとシース部材が接着している部分を切り出しサンプルを作製し、サンプルの最も接着の弱い部分を剥離し、テンシロン(オリエンテック社製)を用いて180度の剥離試験を行うことにより測定することができる。
本開示のケーブルが備える介在は、引張弾性率が1500MPa以下であることが好ましい。引張弾性率が上記範囲内にあることにより、介在の柔軟性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
本開示のケーブルが備える介在は、引張弾性率が100MPa以上であることが好ましい。引張弾性率が上記範囲内にあることにより、介在の耐潰れ性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
介在の引張弾性率は、テンシロン(オリエンテック社製)を用い、室温において引張速度100mm/分にて、介在を打ち抜いて作製したミクロダンベルを引っ張ることにより測定することができる。
本開示のケーブルが備える介在は、介在の外面の摩擦係数が0.1以下であることが好ましく、介在の内外両面の摩擦係数が0.1以下であることがより好ましい。シース部材の摩擦係数が上記範囲内にあることにより、介在の滑り性を向上させることができ、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されるケーブルが得られる。
本開示のケーブルが備えるシース部材および介在は、たとえば、溶融加工性フッ素樹脂の押出成形により製造することができる。
本開示のケーブルが備えるカバーの製造方法としては、たとえば、溶融加工性フッ素樹脂の押出成形により、2枚のフィルムを作製した後、2枚のフィルムを重ね合わせて、シース部材を収容するための中空部が形成されるようにして、2枚のフィルムの端部同士を融着させる方法などが挙げられる。
また、カバーにシース部材を収容した状態で、2枚のフィルムの端部同士を融着させる際に、または、融着させた後に、カバーおよびシース部材を適切な温度で熱処理することによって、カバーとシース部材とを熱融着させて、両者が接着しているケーブルを製造することもできる。この際、シース部材同士が融着しない条件で熱処理することもでき、このような熱処理によって、シース部材同士の摺動性を確保してもよい。
本開示のケーブルは、ロボットの可動部などに用いられることにより、繰り返し屈曲されたり、繰り返し捻回されたりした場合でも、断線しにくく、発塵(摩耗)が抑制されることから、工作機械や産業用ロボットなどのロボットに用いられるロボットケーブルとして好適に利用することができる。また、本開示のケーブルは、ロボット以外にも、自動車、産業機器、各種設備などに用いるケーブルとして好適に利用することができる。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
つぎに本開示の実施形態について実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1および比較例1~2
これらの実施例および比較例では、次の材料を用いる。
フッ素樹脂1
TFE/エチレン/パーフルオロ(1,1,5-トリハイドロ-1-ペンテン)共重合体
TFE/エチレン/パーフルオロ(1,1,5-トリハイドロ-1-ペンテン)=56.1/41.7/2.2(モル%)
融点:247℃
メルトフローレート(265℃):12.4g/10分
フッ素樹脂2
非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレン
実施例1では、ケーブルのカバーおよびシース部材をフッ素樹脂1により形成する。カバーは、フッ素樹脂1のシートが、中空部から突出するように設けられた接合部により接合されることにより一体化されている。接合部においては、カバーを構成するフッ素樹脂1同士が強固に接着している。シース部材は、フッ素樹脂1で被覆された銅線を4本収容している。さらに、接合部を形成する際にフッ素樹脂1のシートの端部のみが加熱されたことにより、カバーとシース部材とは接着していない。
また、実施例1のケーブルが備えるカバーは、摩擦係数(内外両面)が0.1以下であり、80℃の温水に200日間浸漬した後の引張強さ保持率が70%以上であり、滑り性および耐久性に優れている。
実施例1のケーブルが備えるシース部材は、引張弾性率が100~1500MPaであり、柔軟性および耐潰れ性に優れている。実施例1のケーブルが備えるシース部材は、摩擦係数(内外両面)が0.1以下であり、滑り性に優れている。
比較例1~2では、ケーブルのシース部材およびカバーを表2に示す非フッ素樹脂により構成する以外は、実施例1と同様の構成とする。
これらのケーブルを以下の基準により評価する。
<断線>
〇:ケーブルを繰り返し曲げても断線が発生しない。
×:ケーブルを繰り返し曲げると、電線、シース部材およびカバーのいずれかが断線する。
<粉塵>
〇:ケーブルを繰り返し曲げても、カバー内に粉塵が観られない。
×:ケーブルを繰り返し曲げると、カバー内に粉塵が観られる。
結果を表2に示す。
Figure 2022032543000003
10 ケーブル
11 電線
11a 心線
11b 被覆材
12 シース部材
13 カバー
14 接合部
15 介在

Claims (13)

  1. 心線と、前記心線を被覆する被覆材と、を備える電線、
    前記電線を収容するシース部材、および、
    前記シース部材を収容するカバー
    を備えるケーブルであって、
    前記シース部材および前記カバーのいずれか一方または両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する
    ケーブル。
  2. 前記シース部材および前記カバーの両方が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する請求項1に記載のケーブル。
  3. 前記シース部材に収容された介在をさらに備える請求項1または2に記載のケーブル。
  4. 前記介在が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する請求項3に記載のケーブル。
  5. 前記介在が、チューブ状である請求項3または4に記載のケーブル。
  6. 心線と、前記心線を被覆する被覆材と、を備える電線、
    介在、および、
    前記電線および前記介在を収容するシース部材
    を備えるケーブルであって、
    前記介在が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する
    ケーブル。
  7. 前記介在が、チューブ状である請求項6に記載のケーブル。
  8. 前記シース部材が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する請求項6または7に記載のケーブル。
  9. 前記シース部材を収容するカバーをさらに備える請求項6~8のいずれかに記載のケーブル。
  10. 前記被覆材が、溶融加工性フッ素樹脂を含有する請求項1~9のいずれかに記載のケーブル。
  11. 前記溶融加工性フッ素樹脂が、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体である請求項1~10のいずれかに記載のケーブル。
  12. エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体におけるテトラフルオロエチレン単位とエチレン単位とのモル比(テトラフルオロエチレン単位/エチレン単位)が20/80以上90/10以下である請求項11に記載のケーブル。
  13. ロボットケーブルとして用いられる請求項1~12のいずれかに記載のケーブル。
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