JP2022026394A - 射出成形用金型、樹脂成形体の製造方法、および、樹脂成形体 - Google Patents

射出成形用金型、樹脂成形体の製造方法、および、樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

Figure 2022026394000001
【課題】成形体の離型を容易にすることのできる射出成形用金型、樹脂成形体の製造方法、および、樹脂成形体を提供する。
【解決手段】射出成形用金型20のキャビティ部30は、基準面31から窪む凹部または基準面31から突出する凸部である複数の微細構造成形部32と、基準面31と複数の微細構造成形部32とを含む構造体よりも、離型方向RDと直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含むタブ用凹部34とを有している。基準面31において、複数の微細構造成形部32は10nm以上100μm以下の間隔で並び、複数の微細構造成形部32は、基準面31から離型方向RDとは異なる方向に延びる微細構造成形部32を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、射出成形用金型、当該金型を用いた樹脂成形体の製造方法、および、樹脂成形体に関する。
反射防止等を目的とした微細な凹凸構造を表面に有する樹脂成形体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来から、樹脂成形体の製法の1つとして、射出成形が広く用いられている。射出成形では、金型内に溶融した樹脂が充填され、樹脂の固化後に、固化物である成形体が金型から離型される。金型は、例えば、雌型と雄型とを備え、雌型と雄型との組み合わせによって、樹脂の充填される空間が区画される。雌型は、成形対象の形状に対応する凹部を有しており、離型に際しては、予め定められた1つの方向である離型方向に沿って、成形体から雌型が引き離される。
特開2018-185391号公報
ところで、上述した凹凸構造を有する樹脂成形体を射出成形によって製造しようとする場合、凹凸構造を構成する凸部や凹部の延びる方向によっては、その製造が困難であるという問題がある。図8は、こうした樹脂成形体の一例を示す。
図8が示すように、樹脂成形体100は、複数の凸部110と、複数の凸部110が並ぶ微細構造面120とを備えている。微細構造面120は、曲面であり、各凸部110は、各凸部110の位置での微細構造面120の法線方向に沿って、微細構造面120から突き出ている。したがって、複数の凸部110には、互いに異なる方向に延びる凸部110が含まれる。
複数の凸部110に、離型方向とは異なる方向に延びる凸部110が含まれていると、成形体の離型が困難になる。例えば、図8における中央部の凸部110Aの延びる方向に沿った方向が、離型方向RDとされるとき、離型に際して、凸部110の形成のための凹部210を有する金型200は、離型方向RDに沿って成形体から引き離される。このとき、微細構造面120の端部に位置する凸部110Bのように、離型方向RDと異なる方向に延びる凸部110Bは、凹部210に対してその開口方向とは異なる方向に引かれることになるため、凹部210から抜け難い。
金型を複数のブロックに分割し、各ブロックを、各ブロックの位置での凸部の延びる方向に沿って、成形体から引き離す方法であれば、凸部が金型から抜け難くなることは抑えられる。しかしながら、金型を、互いに異なる方向に動かすことが可能な複数のブロックから構成しようとすれば、金型の構造が複雑になるため、金型のコストの増大を招く。そして、こうした金型を用いた製造方法では、離型の工程も複雑になる。また、複数の凸部の延びる方向が多方向に分散している場合には、この方向の分散に合わせて金型を多数に分割することは困難である。さらに、2つのブロックの境界を挟んで隣り合う凹部を微小な間隔で形成することは困難であるため、複数のブロックが組み合わされた金型を用いて、複数の凸部がその全体に渡って微小な配置間隔で並ぶ凹凸構造を形成することには無理がある。
したがって、単一の離型方向の金型を用いた射出成形において、成形体の離型性を高めることのできる技術の開発が望まれている。
本発明は、微細な凹凸構造を有する成形体の離型を容易にすることのできる射出成形用金型、樹脂成形体の製造方法、および、樹脂成形体を提供することを目的とする。
上記課題を解決する射出成形用金型は、第1型と第2型とを備え、前記第1型と前記第2型との対向によって、樹脂が充填されるキャビティ部を形成する射出成形用金型であって、成形体の離型に際して、前記第1型が前記成形体に対して相対的に動かされる1つの方向が離型方向であり、前記キャビティ部は、基準面から窪む凹部または前記基準面から突出する凸部である複数の微細構造成形部と、前記基準面と前記複数の微細構造成形部とを含む構造体よりも、前記離型方向と直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含むタブ用凹部と、を有し、前記第1型が前記構造体を備え、前記基準面において、前記複数の微細構造成形部は10nm以上100μm以下の間隔で並び、前記複数の微細構造成形部は、前記基準面から前記離型方向とは異なる方向に延びる前記微細構造成形部を含む。
上記構成によれば、キャビティ部に充填された溶融樹脂の固化に際して、タブ用凹部によって成形されるタブ部の動きがタブ用凹部に規制されることにより、微細構造成形部によって成形される微細構造部がタブ部に向かう方向に、すなわち、微細構造部が微細構造成形部から離れる方向に成形収縮が起こる。したがって、樹脂の固化工程において微細構造部を微細構造成形部から引き離すことが可能であるため、樹脂成形体の離型が容易になる。
上記射出成形用金型において、前記基準面から前記微細構造成形部が延びる方向が延伸方向であり、前記複数の微細構造成形部は、前記離型方向と前記延伸方向とのなす角が2°以上70°以下である前記微細構造成形部を含んでもよい。
上記範囲の延伸方向を有する微細構造部は、従来の構成によっては微細構造成形部からの離型が困難である。一方で、上記タブ用凹部を有する射出成形用金型であれば、上述のように、樹脂の固化工程において微細構造部を微細構造成形部から引き離すことが可能であることから、離型性が高められることの有益性が高い。
上記射出成形用金型において、前記基準面から前記微細構造成形部が延びる方向が延伸方向であり、前記基準面は曲面であり、前記基準面の法線方向の変化に従って、前記基準面に並ぶ前記複数の微細構造成形部の前記延伸方向が変化してもよい。
樹脂成形用金型が上記構成を有する場合、従来の構成では金型からの微細構造部の離型が極めて困難であり、金型の分割も適用し難い。したがって、上記タブ用凹部の採用により離型性が高められることの有益性が高い。
上記射出成形用金型において、前記キャビティ部は、前記構造体と前記タブ用凹部との間に、前記離型方向に沿って延びる基部用凹部を有してもよい。
上記構成によれば、基部用凹部が設けられない場合と比較して、タブ部から微細構造部までの長さが大きくなるため、離型方向において微細構造部が収縮により移動する長さの増大が可能である。その結果、成形収縮によって微細構造部の全体が微細構造成形部から引き離されやすくなる。
上記射出成形用金型において、前記タブ用凹部は、前記第1型と前記第2型との境界を含む部分に位置してもよい。
上記構成によれば、型開きに際してタブ部を支持しつつ第1型から樹脂成形体を離型することが容易である。したがって離型を円滑に進めることができる。
上記課題を解決する樹脂成形体の製造方法は、上記射出成形用金型を用いた樹脂成形体の製造方法であって、溶融させた熱可塑性樹脂を前記キャビティ部に充填することと、前記キャビティ部に充填した前記熱可塑性樹脂を冷却により固化させることと、前記熱可塑性樹脂の固化物である前記成形体に対して前記第1型を前記離型方向に沿って相対的に移動させて、前記成形体を離型することと、を含む。
上記製法によれば、上記射出成形用金型の利用により、樹脂の固化工程での成形収縮時に微細構造部を微細構造成形部から引き離すことができるため、樹脂成形体の離型が容易になる。
上記製造方法において、前記熱可塑性樹脂の冷却は、前記構造体に対して前記タブ用凹部の位置する側から行われてもよい。
上記製法によれば、キャビティ部に充填された溶融樹脂において、微細構造部とは反対側から固化と共に収縮が進み、固化が進行している部分に他の部分が引っ張られる。そして、微細構造部は、固化の進行後と比較して柔軟性が高いときに、タブ部に向かって引き上げられる。したがって、微細構造成形部からの微細構造部の離脱が促進される。
上記課題を解決する樹脂成形体は、射出成形された樹脂成形体であって、凸部または凹部である複数の微細構造部と、前記複数の微細構造部が並ぶ曲面である微細構造面と、を備え、前記微細構造面において、すべての前記微細構造部は10nm以上100μm以下の間隔で並び、前記複数の微細構造部は、前記微細構造面から互いに異なる方向に延びる複数の前記微細構造部を含む。
従来の構成では、金型を複数のブロックに分割したとしても、隣り合うブロックの境界では微細構造成形部の間隔を100μm以下に形成することが困難であるため、射出成形によって上記樹脂成形体を製造することには無理があった。これに対し、上記射出成形用金型を用いた射出成形であれば、すべての微細構造部が10nm以上100μm以下の間隔で並ぶ樹脂成形体の製造が可能である。したがって、微小な間隔の凹凸構造を有しながら離型が容易である樹脂成形体が実現できる。
上記樹脂成形体において、前記微細構造面から前記微細構造部が延びる方向が延伸方向であり、前記微細構造面の法線方向の変化に従って、前記微細構造面に並ぶ前記複数の微細構造部の前記延伸方向が変化してもよい。
樹脂成形体が上記構成を有する場合、従来の構成では金型からの微細構造部の離型が極めて困難であり、金型の分割も適用し難い。したがって、上記射出成形用金型を用いた射出成形により離型性が高められることの有益性が高い。
上記樹脂成形体にて、前記微細構造面と前記複数の微細構造部とを含む構造体よりも、当該構造体の厚さ方向と直交する方向において外側に突き出した部分を含むタブ部をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、タブ部の動きが金型によって規制されることにより、微細構造部がタブ部に向かう方向に成形収縮が起こる。したがって、樹脂の固化工程において微細構造部を金型から引き離すことが可能であるため、樹脂成形体の離型が容易になる。
本発明によれば、射出成形において、成形体の離型を容易にすることができる。
樹脂成形体の一実施形態について、樹脂成形体の断面構造を示す図。 射出成形用金型の一実施形態について、射出成形用金型の断面構造を示す図。 樹脂成形体の製造方法の一実施形態について、充填工程を示す図。 樹脂成形体の製造方法の一実施形態について、固化工程を示す図。 樹脂成形体の製造方法の一実施形態について、離型工程を示す図。 変形例の樹脂成形体の断面構造を示す図。 変形例の樹脂成形体の断面構造を示す図。 従来の樹脂成形体および射出成形用金型の構成を示す図。
図面を参照して、射出成形用金型、樹脂成形体の製造方法、および、樹脂成形体の一実施形態を説明する。なお、図面においては、理解を容易にするために、射出成形用金型および樹脂成形体が有する微細凹凸構造の大きさを誇張して示している。
[樹脂成形体]
図1を参照して、本実施形態の射出成形用金型を用いた射出成形によって製造される樹脂成形体の構成を説明する。
図1が示すように、樹脂成形体10は、曲面である微細構造面11と、微細構造面11上に並ぶ複数の凸部12とを備えている。凸部12は、微細構造部の一例である。凸部12は、当該凸部12が位置する部分での微細構造面11の法線方向に沿って、微細構造面11から突き出ている。すなわち、凸部12が延びる方向である延伸方向SDpは、当該凸部12が位置する部分での微細構造面11の法線方向に沿った方向である。なお、延伸方向SDpは、凸部12における底面の中心から、凸部12の先端に向かう方向である。底面の中心は、例えば、底面の重心である。
上記構成においては、微細構造面11における法線方向の変化に従って、微細構造面11に並ぶ凸部12の延伸方向SDpが変化する。例えば、微細構造面11が球面の一部である場合のように、微細構造面11上の位置の変化に伴って、微細構造面11の法線方向が徐々に変化するとき、凸部12の並びに沿って、凸部12の延伸方向SDpが徐々に変化する。複数の凸部12のうち、延伸方向SDpが、微細構造面11と複数の凸部12とを備える構造体15の厚さ方向TDとは異なる凸部12について、延伸方向SDpと厚さ方向TDとのなす角は、例えば、2°以上70°以下である。この角度が10°を超えると、従来の構成では凸部12が金型から抜け難くなるため成形体の製造が困難となり、この角度が20°を超えると、従来の構成では成形体の製造が著しく困難となる。
凸部12の形状は特に限定されない。凸部12の形状は、例えば、円錐形状、角錐形状、円錐台形状、角錘台形状、円柱状、角柱状、半球状等である。複数の凸部12から構成される凹凸構造が、光の反射防止のための構造である場合には、複数の凸部12が位置する領域の基部領域から頂部領域に向けて、実質的な屈折率が緩やかに変化するように、凸部12の形状が設定されていることが好ましい。すなわち、上記基部領域から上記頂部領域に向けて、空間中に占める凸部12の体積の割合が徐々に小さくなることが好ましい。
各凸部12について、延伸方向SDpに沿った凸部12の大きさである高さHpは、例えば、100nm以上3μm以下である。各凸部12について、延伸方向SDpと直交する方向に沿った凸部12の大きさである幅Wpは、例えば、100nm以上3μm以下である。
微細構造面11上において、複数の凸部12は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。互いに隣り合う凸部12間の距離である配置間隔Ppは、10nm以上100μm以下である。なお、配置間隔Ppは、互いに隣り合う凸部12における底面の中心間の距離である。
樹脂成形体10は、さらに、基部13と、タブ部14とを備えている。基部13は、構造体15から厚さ方向TDに沿って延びている。言い換えれば、構造体15に対して基部13の延設される方向が、厚さ方向TDである。基部13およびタブ部14は、厚さ方向TDにおいて、微細構造面11に対し、凸部12の群とは反対側に位置し、構造体15とタブ部14との間に基部13が位置する。すなわち、厚さ方向TDにおいて、タブ部14は、基部13に対して構造体15と反対側に位置する。
タブ部14は、基部13から、厚さ方向TDと直交する方向に張り出している。言い換えれば、タブ部14は、構造体15よりも、厚さ方向TDと直交する方向において外側に突き出している。なお、タブ部14は、基部13および構造体15の外周領域の全体に渡って設けられていてもよいし、基部13および構造体15の外周領域の一部に設けられていてもよい。タブ部14が上記外周領域の一部に設けられる場合、タブ部14は、上記外周領域の周方向に沿って配置された複数の部分から構成されることが好ましい。
増厚長Ltpは、厚さ方向TDにおいて最もタブ部14に近い凸部12とタブ部14との間の、厚さ方向TDに沿った長さである。厚さ方向TDにおける基部13の長さが大きいほど、増厚長Ltpは大きくなる。
突出長Lepは、厚さ方向TDと直交する方向において、タブ部14のなかで構造体15よりも突き出ている部分の長さである。すなわち、突出長Lepは、厚さ方向TDと直交する方向において最も端に位置する凸部12の端部と、タブ部14の端部との間の、厚さ方向TDと直交する方向に沿った長さである。
本体長Ldpは、厚さ方向TDと直交する方向における構造体15の最大の長さである。すなわち、本体長Ldpは、厚さ方向TDと直交する方向にて両端に位置する凸部12の端部間の、厚さ方向TDと直交する方向に沿った長さである。
上述のように、微細構造面11および複数の凸部12を備える構造体15と、基部13と、タブ部14とを備える樹脂成形体10は、射出成形を用いて熱可塑性樹脂から一体に形成された構造物である。
[射出成形用金型]
図2を参照して、樹脂成形体10の製造に用いられる射出成形用金型の構成を説明する。
図2が示すように、射出成形用金型20は、第1型21と、第2型22とを備えている。第1型21と第2型22とは、互いに対向するように配置されて型閉じされる。第1型21と第2型22との対向によって、樹脂が充填されるキャビティ部30が形成される。
第1型21と第2型22とは、例えば、一方が固定金型であり、他方が可動金型である。離型に際し、第1型21は、成形体に対して1つの離型方向RDに沿って相対的に動かされる。例えば、第1型21が可動金型であって、第1型21が動かされることにより成形体から第1型21が引き離されてもよいし、第1型21が固定金型であって、成形体が動かされることにより成形体が第1型21から引き離されてもよい。そして、離型方向RDに沿った成形体に対する第1型21の相対移動が可能に構成されていれば、型開きに際しての第1型21と第2型22との動きは特に限定されない。
キャビティ部30は、構造体15の形成のための凹部である主構造用凹部35と、基部13の形成のための凹部である基部用凹部33と、タブ部14の形成のための凹部であるタブ用凹部34とを含む。主構造用凹部35は、微細構造面11の形成のための面である基準面31と、凸部12の形成のための凹部である微細構造用凹部32とを含む構造体である。微細構造用凹部32は、微細構造成形部の一例である。
主構造用凹部35と基部用凹部33とは、第1型21に備えられている。タブ用凹部34は、第1型21と第2型22とに跨って備えられている。例えば、図2においては、第2型22に形成されている凹部の開口部が第1型21によって閉じられることにより、タブ用凹部34が構成される例を示している。これに代えて、第1型21に形成された凹部の開口部が第2型22によって閉じられることにより、タブ用凹部34が構成されてもよいし、第1型21と第2型22との各々に形成された凹部の開口部同士が対面するようにこれらの凹部が対向させられることにより、タブ用凹部34が構成されてもよい。要は、タブ用凹部34は、第1型21と第2型22との境界を含む部分に位置していればよい。
基準面31と、微細構造用凹部32と、基部用凹部33と、タブ用凹部34との各々の形状、大きさ、配置は、離型方向RDに沿った方向を厚さ方向TDとした場合の、形成対象の樹脂成形体10の微細構造面11、凸部12、基部13、タブ部14の各々の形状、大きさ、配置に対応している。
すなわち、基準面31は曲面であり、複数の微細構造用凹部32は、基準面31から窪んでいる。そして、基準面31における法線方向の変化に従って、基準面31に並ぶ微細構造用凹部32の延伸方向SDrが変化する。延伸方向SDrは、微細構造用凹部32が延びる方向であって、微細構造用凹部32の開口面の中心から、微細構造用凹部32の底に向かう方向である。開口面の中心は、例えば、開口面の重心である。複数の微細構造用凹部32には、離型方向RDに対して傾斜した方向に延びる微細構造用凹部32、すなわち、延伸方向SDrが離型方向RDに対して傾斜した微細構造用凹部32が含まれる。延伸方向SDrが離型方向RDに対して傾斜している微細構造用凹部32において、延伸方向SDrと離型方向RDとのなす角は、例えば、2°以上70°以下である。
各微細構造用凹部32について、延伸方向SDrに沿った微細構造用凹部32の大きさである深さHrは、例えば、100nm以上3μm以下である。各微細構造用凹部32について、延伸方向SDrと直交する方向に沿った微細構造用凹部32の大きさである幅Wrは、例えば、100nm以上3μm以下である。互いに隣り合う微細構造用凹部32間の距離である配置間隔Prは、10nm以上100μm以下である。なお、配置間隔Prは、互いに隣り合う微細構造用凹部32における開口面の中心間の距離である。
基部用凹部33とタブ用凹部34とは、基準面31に対し、微細構造用凹部32の群と反対側に位置し、主構造用凹部35とタブ用凹部34との間に基部用凹部33が位置する。基部用凹部33は離型方向RDに沿って延び、主構造用凹部35およびタブ用凹部34の各々と連通している。タブ用凹部34は、離型方向RDと直交する方向に張り出しており、主構造用凹部35よりも、離型方向RDと直交する方向において外側に突き出して窪んでいる。
増厚長Ltrは、離型方向RDにおいて最もタブ用凹部34に近い微細構造用凹部32とタブ用凹部34との間の、離型方向RDに沿った長さである。
突出長Lerは、離型方向RDと直交する方向において、タブ用凹部34のなかで主構造用凹部35よりも突き出ている部分の長さである。すなわち、突出長Lerは、離型方向RDと直交する方向において最も端に位置する微細構造用凹部32の端部と、タブ用凹部34の端部との間の、離型方向RDと直交する方向に沿った長さである。
本体長Ldrは、離型方向RDと直交する方向における主構造用凹部35の長さである。すなわち、本体長Ldrは、離型方向RDと直交する方向にて両端に位置する微細構造用凹部32の端部間の、離型方向RDと直交する方向に沿った長さである。
なお、図示していないが、射出成形用金型20は、スプルー、ランナー、ゲート等、溶融樹脂のキャビティ部30への流路を有している。また、射出成形用金型20は、冷却のための流体の流路や型開きを行うためのエジェクタ機構を備えていてもよい。
第1型21と第2型22との各々は、単一の部材から構成されていてもよいし、複数の部材から構成されていてもよい。各凹部の形成には、例えば、電鋳が利用される。例えば、第1型21の主構造用凹部35は、複数の凸部からなる凹凸構造を有するシートが曲面に貼り付けられた構造体を母型として用いて、ニッケル電鋳加工を行い、母型を除去することにより形成される。
[樹脂成形体の製造方法]
図3~図5を参照して、射出成形用金型20を用いた樹脂成形体10の製造方法を説明しつつ、本実施形態の作用を説明する。
樹脂成形体の製造方法は、充填工程と、固化工程と、離型工程とを含む。
充填工程では、型閉じされた射出成形用金型20に対し、射出成形機から溶融された熱可塑性樹脂が射出される。これにより、図3が示すように、キャビティ部30が、溶融樹脂40によって充填される。
続いて、固化工程では、溶融樹脂40が冷却されることにより、溶融樹脂40が固化される。例えば、射出成形用金型20の温度が、熱可塑性樹脂が固化する温度に制御されることにより、溶融樹脂40が冷却される。溶融樹脂40の固化物が樹脂成形体10である。
ここで、固化工程では、溶融樹脂40の冷却による体積の収縮、すなわち成形収縮が生じる。図4が示すように、タブ部14が離型方向RDと直交する方向に張り出していることにより、基部13および構造体15が凸部12の先端の位置する方向に収縮しようとしても、タブ部14における構造体15に近い方の面である対象面16がタブ用凹部34の内壁に当接してタブ部14がタブ用凹部34に引っ掛かるため、収縮は進まない。それゆえ、基部13および構造体15は、タブ部14の位置する方向に向けて収縮するようになる。こうしてタブ部14の付近を中心として収縮が生じ、基部13および構造体15は、タブ部14に引っ張られるように収縮する。その結果、離型方向RDに沿った方向においては、基部13および構造体15は、微細構造用凹部32から離れる方向に動き、凸部12が微細構造用凹部32から抜け出る。
従来のように、離型工程にて成形体と金型とが引き離されるときに凸部12を微細構造用凹部32から引き抜こうとする場合、離型方向RDと異なる方向に延びる凸部12は、微細構造用凹部32の開口方向とは異なる1つの方向に強く引っ張られるため、微細構造用凹部32から抜け難い。これに対し、成形収縮は、離型方向RDに沿った方向と共に離型方向RDと直交する方向等の他の方向にも起こり、また、成形体内で徐々に生じる。そのため、成形収縮によって微細構造用凹部32から抜け出る凸部12には、1つの方向のみに大きな引張力がかかることは抑えられ、凸部12は収縮しながら徐々に微細構造用凹部32から抜け出る。したがって、凸部12を微細構造用凹部32から離脱させることが可能である。
微細構造用凹部32からの凸部12の離脱を促進させるためには、溶融樹脂40が、離型方向RDにおいて、凸部12の先端とは反対側から冷却されることが好ましい。すなわち、溶融樹脂40の冷却は、基準面31に対してタブ用凹部34の位置する側から行われることが好ましい。例えば、タブ用凹部34の周囲から射出成形用金型20の冷却を通じて溶融樹脂40が冷却される。これにより、溶融樹脂40において、タブ部14の付近から固化と共に収縮が進み、固化が進行している部分に他の部分が引っ張られる。そして、凸部12は、固化が進行する前に、すなわち、固化の進行後と比較して柔軟性が高いときに、タブ部14に向かって引き上げられる。したがって、微細構造用凹部32からの凸部12の離脱が促進される。
なお、基準面31に対してタブ用凹部34の位置する側であれば、例えば、基部用凹部33の周囲から射出成形用金型20および溶融樹脂40が冷却される場合であっても、微細構造用凹部32の周囲から冷却される場合と比較すると、微細構造用凹部32からの凸部12の離脱の促進は可能である。
こうした冷却の制御は、射出成形用金型20内に流される冷却水等の流体の流れの制御により行われればよい。
固化工程において、成形収縮により凸部12の少なくとも基部が微細構造用凹部32から抜け出れば、凸部12の全体が微細構造用凹部32内に位置する状態で固化が完了する場合と比較して、離型工程における樹脂成形体10の離型は容易になる。ただし、樹脂成形体10の離型性をより高めるためには、固化工程での成形収縮によって凸部12の全体が微細構造用凹部32から抜け出ることが好ましい。すなわち、凸部12が収縮により移動する長さである収縮長が、微細構造用凹部32の深さHrよりも大きいことが好ましい。
収縮の前後で、離型方向RDにおけるタブ部14の対象面16の位置は変わらず、対象面16に向けて収縮が生じるため、離型方向RDにおいてタブ部14から凸部12が離れている程、離型方向RDに沿った収縮長は大きくなる。したがって、最もタブ部14に近い凸部12の位置での離型方向RDに沿った収縮長である収縮長Δdmが、微細構造用凹部32の深さHrよりも大きければ、複数の凸部12のすべてが、固化工程での成形収縮によって微細構造用凹部32から抜け出ると言える。
収縮長Δdmは、射出成形に用いられる熱可塑性樹脂の線膨張係数Cと、射出成形用金型20の増厚長Ltrと、固化工程における溶融樹脂40の温度変化Δtとを用いて、下記式(1)によって求められる。
Δdm=C×Δt×Lt ・・・式(1)
例えば、アクリル樹脂を用いて樹脂成形体10を形成する場合において、射出直後の溶融樹脂40の温度が140℃、射出成形用金型20の温度が80℃に設定され、増厚長Ltrが10mm、微細構造用凹部32の深さHrが300nmであるとする。この場合、Δtは60℃である。アクリル樹脂の線膨張係数Cは約5×10-5/℃であるため、上記式(1)により、収縮長Δdmは約30μmであると算出される。したがって、収縮長Δdmは深さHrよりも十分に大きいため、固化工程での成形収縮によって各凸部12の全体を各微細構造用凹部32から抜け出させることが可能である。
なお、タブ用凹部34の突出長Lerは、成形収縮が生じてもタブ部14がタブ用凹部34から抜け出ずにタブ用凹部34内に留められる長さであればよい。具体的には、突出長Lerは、本体長Ldrの5%以上であることが好ましい。なお、成形収縮に起因して、タブ部14の突出長Lepは、射出成形用金型20の突出長Lerよりも僅かに小さくなり、構造体15の本体長Ldpは、射出成形用金型20の本体長Ldrよりも僅かに小さくなる。
また、射出成形用金型20の増厚長Ltrは、上記式(1)に基づき、収縮長Δdmが、微細構造用凹部32の深さHrよりも大きくなるように定められればよい。射出成形に用いられる一般的な熱可塑性樹脂の線膨張係数を考慮すると、増厚長Ltrは、0.1mm以上であることが好ましい。樹脂成形体10の増厚長Ltpは、成形収縮に起因して、射出成形用金型20の増厚長Ltrよりも僅かに小さくなる。
図5が示すように、離型工程では、第1型21が樹脂成形体10に対して相対的に離型方向RDに動かされる。第2型22もまた、第1型21よりも前もしくは後に樹脂成形体10から取り外される。これにより、樹脂成形体10が射出成形用金型20から離型される。上述のように、固化工程において、成形収縮により各凸部12は各微細構造用凹部32から抜け出ているため、微細構造用凹部32が凸部12に引っ掛かることが抑えられ、離型が円滑に進む。
本実施形態の製造方法によれば、樹脂成形体10が備えるすべての凸部12は、単一の離型方向RDに沿って成形体から引き離される金型である第1型21によって形成される。離型に際して互いに異なる方向に動かされる複数のブロックに分割される金型から複数の凸部12を形成する場合、互いに隣接するブロックにて最も近い微細構造用凹部32間の距離を100μm以下とすることは困難であり、すなわち、ブロックの境界部分では、互いに隣り合う凸部12間の距離を100μm以下に形成することはできない。これに対し、本実施形態においては、こうした金型の分割による制約を受けないため、すべての凸部12において配置間隔Ppが100μm以下である樹脂成形体10の形成が可能である。
また、一般に、成形体のなかで、互いに隣接するブロックの境目と接していた部分には、当該境目に形成される微小な段差に起因したスジ状の成形痕が形成される。これに対し、本実施形態の樹脂成形体10の構造体15は、こうした金型の分割に起因した成形痕を有さない。すなわち、微細構造面11は、単一の金型である第1型21が有する基準面31から形成された連続面である。
なお、樹脂成形体10から形成される最終的な樹脂製品においては、タブ部14、もしくは、タブ部14と基部13とが、除去されてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、樹脂成形体10がタブ部14を有していることにより、基部13および構造体15がタブ部14に向けて収縮するため、固化工程にて凸部12が微細構造用凹部32から抜け出る。それゆえ、射出成形用金型20からの樹脂成形体10の離型が容易である。
また、樹脂成形体10が基部13を有していることにより、樹脂成形体10が基部13を有さない場合と比較して、タブ部14から凸部12までの長さが大きくなるため、凸部12が収縮により移動する長さ、すなわち収縮長Δdmの増大が可能である。その結果、固化工程にて凸部12の全体が微細構造用凹部32から抜け出やすくなるため、離型性がより高められる。
[タブ部の変形例]
タブ部14の変形例について説明する。タブ部14は、厚さ方向TDと直交する方向に延びる上述の形状に限らず、構造体15よりも、厚さ方向TDと直交する方向において外側に突き出した部分を含む形状を有していればよい。同様に、タブ用凹部34は、基準面31と微細構造用凹部32とを含む構造体である主構造用凹部35よりも、離型方向RDと直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含んでいればよい。
例えば、タブ部14において、厚さ方向TDにて構造体15に近い方の面である対象面16は、厚さ方向TDと直交する方向に沿った面に限らず、厚さ方向TDに対して傾斜した面であってもよい。図6は、傾斜した対象面16を有する樹脂成形体50の例を示す。図6において、厚さ方向TDに対する対象面16の角度θは、0°<θ<90°を満たす角度である。そして、対象面16は、タブ部14の外周縁に近いほど、厚さ方向TDにおいて構造体15から離れる。なお、先の図1に示した樹脂成形体10においては、対象面16の角度θは90°である。
図6では、厚さ方向TDにおけるタブ部14の幅がタブ部14の外周縁に向けて小さくなる形態を示している。これに限らず、タブ部14は、一定の幅のまま、厚さ方向TDに対して傾斜した方向に延びてもよい。あるいは、タブ部14の幅は外周縁に向けて大きくなってもよい。いずれの場合であれ、タブ部14は、構造体15よりも、厚さ方向TDと直交する方向において外側に突き出した部分を含む形状を有していればよい。すなわち、タブ部14は、図中にて構造体15の端を示す基準線A1よりも厚さ方向TDと直交する方向において外側に飛び出している部分を含んでいればよい。同様に、タブ用凹部34は、主構造用凹部35よりも、離型方向RDと直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含み、形成対象のタブ部14の形状に対応した形状の凹部であればよい。
また、厚さ方向TDに対する対象面16の傾斜角度は一定でなくてもよい。さらに、タブ部14が、基部13を含んで構造体15から連続して延びる形状を有していてもよい。図7に示す樹脂成形体60においては、タブ部14が構造体15から連続して延び、対象面16の傾斜角度が徐々に変化している。対象面16は、タブ部14の外周縁に近いほど、厚さ方向TDにおいて構造体15から離れる。対象面16、すなわち、構造体15から延びる面の厚さ方向TDに対する角度θは、タブ部14の外周縁に向けて単調増加することが好ましい。言い換えれば、上記角度θは、構造体15から離れるに連れて大きくなることが好ましい。図7では、上記角度θを構造体15に近い位置からθ1、θ2、θ3で示しており、θ1<θ2<θ3が満たされている。
樹脂成形体60においては、上記角度θは連続的に変化しているが、上記角度θは非連続的に変化してもよい。すなわち、上記単調増加は広義の単調増加を意味し、上記角度θが減少しなければよい。例えば、先の図1に示した樹脂成形体10においては、構造体15から延びる面の厚さ方向TDに対する角度θは、基部13において0°で一定であり、タブ部14において90°で一定である。また、先の図6に示した樹脂成形体50においては、上記角度θは、基部13において0°で一定であり、タブ部14において0°を超え90°より小さい角度で一定である。これらは、上記角度θが非連続的に変化する例であるが、いずれの場合も、上記角度θは、構造体15から離れる方向に単調増加している。
上記角度θが単調増加する場合、上記角度θが最大となる点であって構造体15から最も離れた点と、厚さ方向TDにおいてタブ部14に最も近い凸部12との間の厚さ方向TDに沿った長さが増厚長Ltpである。同様に、射出成形用金型20においては、タブ用凹部34のなかで離型方向RDにて主構造用凹部35に近い方の面の離型方向RDに対する角度を角度θとしたとき、当該角度θが最大となる点であって主構造用凹部35から最も離れた点と、離型方向RDにおいて最もタブ用凹部34に近い微細構造用凹部32との間の、離型方向RDに沿った長さが増厚長Ltrである。この射出成形用金型20の増厚長Ltrが、収縮長Δdmの増大、すなわち、凸部12が収縮により移動する長さの増大に寄与する長さであり、樹脂成形体の増厚長Ltpは、射出成形用金型20の増厚長Ltrに準じた長さになる。
なお、上記角度θが単調増加とは異なるように変化する場合、具体的には、タブ部14において、構造体15から延びる面の厚さ方向TDに対する角度θが、構造体15から離れるに連れて増加した後に減少する場合であっても、タブ部14が設けられていることにより成形収縮によって離型性が高められる効果は得られる。例えば、タブ部14は複数の段を有する形状であってもよい。ただし、こうした場合、増厚長Ltpは、上記角度θが最初に減少する直前の点、すなわち、構造体15からの上記角度θの単調増加が続いている範囲において上記角度θが最大となる点であって構造体15から最も離れた点と、厚さ方向TDにおいてタブ部14に最も近い凸部12との間の厚さ方向TDに沿った長さである。射出成形用金型20の増厚長Ltrも、上記増厚長Ltpに対応する部分の長さとなる。したがって、樹脂成形体において収縮長Δdmの増大に寄与する部分の割合を高める観点では、上記角度θが常に単調増加する形状をタブ部14が有していることが好ましい。
いずれの場合であれ、上述のように、タブ部14が、構造体15よりも、厚さ方向TDと直交する方向において外側に突き出した部分を含む形状を有していれば、凸部12の位置する方向へのタブ部14の移動がタブ用凹部34に規制されるため、成形収縮時に凸部12を微細構造用凹部32から離す方向に収縮させることができる。同様に、タブ用凹部34は、主構造用凹部35よりも、離型方向RDと直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含み、形成対象のタブ部14の形状に対応した形状の凹部であればよい。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)樹脂成形体が備えるタブ部14は、微細構造面11と複数の凸部12とを含む構造体15よりも、構造体15の厚さ方向TDと直交する方向において外側に突き出した部分を含んでいる。射出成形用金型20が備えるタブ用凹部34は、基準面31と複数の微細構造用凹部32とを含む構造体よりも、離型方向RDと直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含んでいる。
上記構成によれば、タブ部14の動きがタブ用凹部34に規制されることにより、構造体15においては、凸部12がタブ部14に向かう方向に、すなわち、凸部12が微細構造用凹部32から離れる方向に成形収縮が起こる。したがって、樹脂の固化工程において凸部12を微細構造用凹部32から引き離すことが可能であるため、樹脂成形体の離型が容易になる。
(2)複数の凸部12には、離型方向RDと延伸方向SDpとのなす角が2°以上70°以下である凸部12が含まれ、複数の微細構造用凹部32には、離型方向RDと延伸方向SDrとのなす角が2°以上70°以下である微細構造用凹部32が含まれる。上記範囲の延伸方向SDpを有する凸部12は、従来の構成によっては微細構造用凹部32から引き抜きにくい。一方で、上記実施形態および変形例の構成が適用されることによって、凸部12を微細構造用凹部32から引き離すことが可能である。したがって、上記実施形態および変形例の構成の適用によって離型性が高められることの有益性が高い。
(3)樹脂成形体において、微細構造面11の法線方向の変化に従って、微細構造面11に並ぶ複数の凸部12の延伸方向SDpが変化する。射出成形用金型20において、基準面31の法線方向の変化に従って、基準面31に並ぶ複数の微細構造用凹部の延伸方向SDrが変化する。樹脂成形体および射出成形用金型20が上記構成を有する場合、従来の構成では金型からの凸部12の離型が極めて困難であり、金型の分割も適用し難い。したがって、上記実施形態および変形例の構成の適用により離型性が高められることの有益性が高い。
(4)樹脂成形体が、構造体15とタブ部14との間に厚さ方向TDに沿って延びる基部13を備え、射出成形用金型20が、主構造用凹部35とタブ用凹部34との間に、離型方向RDに沿って延びる基部用凹部33を有する。上記構成によれば、基部13および基部用凹部33が設けられない場合と比較して、タブ部14から凸部12までの長さが大きくなるため、離型方向RDにおいて凸部12が収縮により移動する長さの増大が可能である。その結果、成形収縮によって凸部12の全体が微細構造用凹部32から抜け出やすくなる。
(5)第1型21と第2型22との境界を含む部分にタブ用凹部34が位置しているため、型開きに際してタブ部14を支持しつつ第1型21から樹脂成形体を離型することが容易である。したがって離型を円滑に進めることができる。
(6)樹脂成形体において、すべての凸部12が、10nm以上100μm以下の間隔で並んでいる。従来の構成では、金型を複数のブロックに分割したとしても、隣り合うブロックの境界では微細構造用凹部32の間隔を100μm以下に形成することが困難であるため、射出成形によって上記樹脂成形体を製造することには無理があった。これに対し、上記実施形態および変形例の構成であれば、すべての凸部12が10nm以上100μm以下の間隔で並ぶ樹脂成形体の製造が可能である。したがって、微小な間隔の凹凸構造を有しながら離型が容易である樹脂成形体が実現できる。
(7)樹脂成形体の製造方法は、溶融させた熱可塑性樹脂を射出成形用金型20のキャビティ部30に充填する充填工程と、キャビティ部30に充填した熱可塑性樹脂を冷却により固化させる固化工程と、熱可塑性樹脂の固化物である成形体に対して第1型21を離型方向RDに沿って相対的に移動させて、成形体を離型する離型工程とを含む。そして、タブ用凹部34を有する射出成形用金型20の利用により、固化工程での成形収縮時に凸部12を微細構造用凹部32から引き離すことができるため、樹脂成形体の離型が容易になる。
(8)樹脂成形体の製造方法において、熱可塑性樹脂の冷却が、基準面31に対してタブ用凹部34の位置する側から行われる。上記構成によれば、溶融樹脂40において、凸部12の先端とは反対側から固化と共に収縮が進み、固化が進行している部分に他の部分が引っ張られる。そして、凸部12は、固化の進行後と比較して柔軟性が高いときに、タブ部14に向かって引き上げられる。したがって、微細構造用凹部32からの凸部12の離脱が促進される。
[他の変形例]
上記実施形態および変形例は、以下のように変更して実施することが可能である。
・複数の凸部12のなかに、離型方向RDと異なる方向に延びる凸部12があれば、従来の構成では金型からの凸部12の離型が困難であるという課題が生じる。例えば、複数の凸部12に延伸方向SDpが互いに異なる凸部12が含まれる場合には、少なくともいずれかの延伸方向SDpは離型方向RDとは異なる方向になるため、上記課題が発生する。それゆえ、上記実施形態および変形例の構成の適用により、離型性が高められるという効果が得られる。
したがって、形成対象の樹脂成形体においては、複数の凸部12に、延伸方向SDpが互いに異なる凸部12が含まれていれば、複数の凸部12の延伸方向SDpは微細構造面11の法線方向の変化に従って変化していなくてもよいし、延伸方向SDpは微細構造面11の法線方向とは異なる方向であってもよいし、微細構造面11は曲面でなくてもよい。さらには、延伸方向SDpが離型方向RDと異なる方向であれば、複数の凸部12の延伸方向SDpは一定であってもよい。同様に、射出成形用金型20においては、複数の微細構造用凹部32に延伸方向SDrが離型方向RDとは異なる微細構造用凹部32が含まれていれば、複数の微細構造用凹部32の延伸方向SDrは基準面31の法線方向の変化に従って変化していなくてもよいし、複数の微細構造用凹部32の延伸方向SDrは一定であってもよいし、基準面31は曲面でなくてもよい。
ただし、微細構造面11が曲面であって、複数の凸部12の延伸方向SDpが微細構造面11の法線方向の変化に従って変化する場合には、従来の構成では金型からの凸部12の離型が極めて困難であり、金型の分割も適用し難い。したがって、上記実施形態および変形例の構成の適用により離型性が高められることの有益性が高い。なお、複数の凸部12の延伸方向SDpが微細構造面11の法線方向の変化に従って変化していれば、延伸方向SDpは微細構造面11の法線方向と完全に一致する方向でなくてもよい。基準面31および微細構造用凹部32の延伸方向SDrについても同様である。
・樹脂成形体の微細構造面11における凹凸構造は、微細構造面11から突出する複数の凸部12から構成される凹凸構造に限らず、微細構造面11から窪む複数の凹部から構成される凹凸構造であってもよい。すなわち、微細構造面11に並ぶ微細構造部は、凹部であってもよい。微細構造部が凹部であっても、離型方向RDと異なる方向に延びる凹部があれば、従来の構成では金型からの凹部の離型が困難であるという課題が生じる。それゆえ、上記実施形態および変形例の構成の適用により、離型性が高められるという効果が得られる。微細構造部である凹部の深さ、幅、配置間隔、延伸方向には、上述した凸部12の高さHp、幅Wp、配置間隔Pp、延伸方向SDpの構成が適用できる。
微細構造部が凹部である場合、射出成形用金型20は、微細構造成形部として、微細構造用凹部32に代えて、基準面31から突き出た凸部を有する。微細構造成形部である凸部の高さ、幅、配置間隔、延伸方向には、微細構造用凹部32の深さHr、幅Wr、配置間隔Pr、延伸方向SDrの構成が適用できる。
・樹脂成形体の微細構造面11における凹凸構造の機能は特に限定されない。凹凸構造は、光の反射防止のために設けられた構造であってもよいし、他の目的で設けられた構造であってもよい。
TD…厚さ方向、RD…離型方向、SDp,SDr…延伸方向、10,50,60,100…樹脂成形体、11…微細構造面、12,110…凸部、13…基部、14…タブ部、15…構造体、20…射出成形用金型、21…第1型、22…第2型、30…キャビティ部、31…基準面、32…微細構造用凹部、33…基部用凹部、34…タブ用凹部、35…主構造用凹部、200…金型、210…凹部。

Claims (10)

  1. 第1型と第2型とを備え、前記第1型と前記第2型との対向によって、樹脂が充填されるキャビティ部を形成する射出成形用金型であって、
    成形体の離型に際して、前記第1型が前記成形体に対して相対的に動かされる1つの方向が離型方向であり、
    前記キャビティ部は、
    基準面から窪む凹部または前記基準面から突出する凸部である複数の微細構造成形部と、
    前記基準面と前記複数の微細構造成形部とを含む構造体よりも、前記離型方向と直交する方向において外側に突き出して窪む部分を含むタブ用凹部と、を有し、
    前記第1型が前記構造体を備え、前記基準面において、前記複数の微細構造成形部は10nm以上100μm以下の間隔で並び、前記複数の微細構造成形部は、前記基準面から前記離型方向とは異なる方向に延びる前記微細構造成形部を含む
    射出成形用金型。
  2. 前記基準面から前記微細構造成形部が延びる方向が延伸方向であり、
    前記複数の微細構造成形部は、前記離型方向と前記延伸方向とのなす角が2°以上70°以下である前記微細構造成形部を含む
    請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. 前記基準面から前記微細構造成形部が延びる方向が延伸方向であり、
    前記基準面は曲面であり、前記基準面の法線方向の変化に従って、前記基準面に並ぶ前記複数の微細構造成形部の前記延伸方向が変化する
    請求項1または2に記載の射出成形用金型。
  4. 前記キャビティ部は、前記構造体と前記タブ用凹部との間に、前記離型方向に沿って延びる基部用凹部を有する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の射出成形用金型。
  5. 前記タブ用凹部は、前記第1型と前記第2型との境界を含む部分に位置する
    請求項1~4のいずれか一項に記載の射出成形用金型。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の射出成形用金型を用いた樹脂成形体の製造方法であって、
    溶融させた熱可塑性樹脂を前記キャビティ部に充填することと、
    前記キャビティ部に充填した前記熱可塑性樹脂を冷却により固化させることと、
    前記熱可塑性樹脂の固化物である前記成形体に対して前記第1型を前記離型方向に沿って相対的に移動させて、前記成形体を離型することと、を含む
    樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂の冷却は、前記構造体に対して前記タブ用凹部の位置する側から行われる
    請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法。
  8. 射出成形された樹脂成形体であって、
    凸部または凹部である複数の微細構造部と、
    前記複数の微細構造部が並ぶ曲面である微細構造面と、を備え、
    前記微細構造面において、すべての前記微細構造部は10nm以上100μm以下の間隔で並び、前記複数の微細構造部は、前記微細構造面から互いに異なる方向に延びる複数の前記微細構造部を含む
    樹脂成形体。
  9. 前記微細構造面から前記微細構造部が延びる方向が延伸方向であり、
    前記微細構造面の法線方向の変化に従って、前記微細構造面に並ぶ前記複数の微細構造部の前記延伸方向が変化する
    請求項8に記載の樹脂成形体。
  10. 前記微細構造面と前記複数の微細構造部とを含む構造体よりも、当該構造体の厚さ方向と直交する方向において外側に突き出した部分を含むタブ部をさらに備える
    請求項8または9に記載の樹脂成形体。
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