JP2022024937A - ビオチン及びその製造方法、並びに、ビオチン・アミン類塩の製造方法 - Google Patents

ビオチン及びその製造方法、並びに、ビオチン・アミン類塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】純度の高いビオチン及びその製造方法、並びに、ビオチン・アミン類塩の製造方法を提供する。【解決手段】一実施形態によると、ビオチン・アミン類塩の製造方法が提供される。この製造方法は、ビオチン若しくはその塩及びエピビオチン若しくはその塩を含む第1混合物と、アミン類とを接触させて、ビオチン及びアミン類の塩を含む第2混合物を得ることを含む。他の実施形態によると、ビオチンの製造方法が提供される。この製造方法は、実施形態に係る方法で得られたビオチン及びアミン類の塩と酸とを接触させて、ビオチンを含む第3混合物を得ることを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ビオチン及びその製造方法、並びに、ビオチン・アミン類塩の製造方法に関する。
ビオチンは、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンである(非特許文献1)。ビオチンは、糖尿病予防効果、皮膚疾患改善効果、ビオチン欠乏症改善効果等を有すると期待され、医薬品及び飼料添加剤等としての需要が高まっている。ビオチンは、下記式(1)で表され、d-ビオチンとも称される。
Figure 2022024937000001
下記に示すとおり、ビオチン(BIOF)は、例えば、ウレイド体(URD)から、7つの工程を経て合成される(特許文献1)。
Figure 2022024937000002
ここで、ビオチンは、上記式(1)で表されるd-ビオチン以外に、7つの類似体を有している(非特許文献2)。d-ビオチンを合成する過程においては、例えば、下記式(2)で表されるl-ビオチン等の類似体が生成物に含まれることがある。これらd-ビオチン以外の類似体は、生理活性を有さないため、生成物から取り除かれることが望まれる。
Figure 2022024937000003
d-ビオチン及びl-ビオチンの混合物を精製し、d-ビオチンの純度を高める方法が開示されている(非特許文献3)。
国際公開第2018/025722号
Pierre J. de Clercq, "Biotin: A Timeless Challenge for Total Synthesis" Chemical Reviews, 1997, Vol. 97, No. 6. Toru YAMANO, Isao AOKI, and Kunio TAKANOHASHI "Direct Optical Resolution of (±)-Biotin and (±)-Epibiotin by a Reserved-Phase High-Performance Liquid Chromatography" J. Nutr. Sci. Vitaminol., 39, 419-423, 1993. DONALD E. WOLF, RALPH MOZINGO, STANTON A. HARRIS, R. CHRISTIAN ANDERSON AND KARL FOLKERS "Biotin. VI. Resolution of dl-Biotin" CONTRIBUTION FROM THE RESEARCH LABORATORIES, MERCK AND Co., INC. RECEIVED AUGUST 17, 1945.
本発明の目的は、純度の高いビオチン及びその製造方法、並びに、ビオチン・アミン類塩の製造方法を提供することにある。
一実施形態によると、ビオチン・アミン類塩の製造方法が提供される。この製造方法は、ビオチン若しくはその塩及びエピビオチン若しくはその塩を含む第1混合物と、アミン類とを接触させて、ビオチン及びアミン類の塩を含む第2混合物を得ることを含む。
他の実施形態によると、ビオチンの製造方法が提供される。この製造方法は、実施形態に係る方法で得られたビオチン及びアミン類の塩と酸とを接触させて、ビオチンを含む第3混合物を得ることを含む。
他の実施形態によると、高速液体クロマトグラフィーの面積百分率による純度が、99.93%以上であるビオチンが提供される。
実施形態によると、純度の高いビオチン及びその製造方法、並びに、ビオチン・アミン類塩の製造方法が提供される。
実施形態に係る製造方法は、ビオチン若しくはその塩及びエピビオチン若しくはその塩を含む第1混合物と、アミン類とを接触させて、ビオチン及びアミン類の塩を含む第2混合物を得ることを含む。
また、他の実施形態に係る製造方法は、実施形態に係る方法で得られたビオチン及びアミン類の塩と酸とを接触させて、ビオチンを含む第3混合物を得ることを含む。
以下、ビオチン及びアミン類の塩を、ビオチン・アミン類塩とも称する。また、エピビオチン及びアミン類の塩を、エピビオチン・アミン類塩とも称する。
上述したように、中間体を経てビオチンを合成する場合、ビオチンを含む生成物は、不純物としてジアステレオマー等の類似体を含むことがある。ジアステレオマーの中でも、下記式(3)で表されるエピビオチンは、生成物からの除去が特に難しい不純物である。
Figure 2022024937000004
生成物におけるエピビオチンの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による面積百分率は、およそ5%にも及ぶため、ビオチンの純度を低下させる要因ともなり得る。このエピビオチンを除去するために、例えば、中和晶析処理や活性炭処理等の精製処理を繰り返し行うと、ビオチンの収率が低下するという問題も生じ得る。
そこで、エピビオチンを生成物から効率的に除去し、ビオチンの純度を高める方法が望まれている。本発明者らが鋭意研究した結果、ビオチン及びエピビオチンを含む混合物とアミン類とを接触させて、ビオチン・アミン類塩を造塩した後、このビオチン・アミン類塩と酸とを接触させてビオチンの脱塩処理を行うことにより、純度の高いビオチンが得られることを見出した。
すなわち、ビオチン及びエピビオチンは弱酸であるため、塩基性の高いアミン類と接触させることにより、ビオチン・アミン類塩とエピビオチン・アミン類塩とが生成し得る。ビオチン・アミン類塩とエピビオチン若しくはエピビオチン・アミン類塩とは、特定溶媒への溶解度が異なる。この溶解度の差の大きさは、その他のビオチン・塩基塩とエピビオチン・塩基塩との特定溶媒への溶解度の差よりも大きい。したがって、ビオチン・アミン類塩及びエピビオチン若しくはエピビオチン・アミン類塩を、一方の塩の溶解度が高く、他方の塩の溶解度が低い溶媒と接触させることにより、溶解度の高い塩の溶液と、溶解度の低い塩の固体とを得られる。これにより、ビオチン・アミン類塩とエピビオチン若しくはエピビオチン・アミン類塩とをより高精度で分離できる。分離したビオチン・アミン類塩と酸とを接触させることにより、ビオチンを単離できる。
この方法によると、生成物からエピビオチンを高精度で除去できるため、ビオチンの純度を高められる。したがって、生成物の精製処理を複数回行うことなく、純度の高いビオチンを高収率で得ることができる。このようにして得られたビオチンは、エピビオチンの含有量が少ないため、例えば、HPLCの面積百分率による純度が99.93%以上の超高純度を達成できる。
以下、本発明の詳細を説明する。
(第1混合物)
第1混合物は、ビオチン若しくはその塩と、エピビオチン若しくはその塩とを含む。第1混合物は、典型的には固形物である。第1混合物におけるビオチンのHPLCの面積百分率による純度は、一例によると、90%以上99.93%未満である。また、第1混合物におけるエピビオチンのHPLCの面積百分率による純度は、一例によると、0.01%以上5%以下である。なお、ビオチン塩及びエピビオチン塩は、HPLC測定において、ビオチン及び塩基、並びに、エピビオチン並びに塩基に乖離し得る。したがって、第1混合物にビオチン塩及びエピビオチン塩が含まれている場合、ビオチン塩に含まれるビオチン及びエピビオチン塩に含まれるエピビオチンは、それぞれ、HPLC測定においてビオチン及びエピビオチンとして計上される。
第1混合物は、上述したビオチン合成の7つの工程における第7工程(Stage 7)で得られた生成物であり得る。すなわち、上述したビオチン合成の7つの工程における第6工程において、ビニルスルフィド体(DVE)を、N,N’-ジベンジルビオチン(HVC)へと還元する際に、N,N’-ジベンジルビオチンのエピマーが副生すると考えられる。このN,N’-ジベンジルビオチンのエピマーについて、第7工程において脱保護反応を行うことにより、エピビオチンが生成すると考えられる。なお、第1混合物は、第7工程で得られた生成物を、中和晶析処理や活性炭処理等の精製処理を施した後の生成物であってもよい。また、第1混合物は、市販のビオチンであってもよい。
第1混合物の製造方法の一例は、下記のとおりである。
先ず、下記式(4)に示すビニルスルフィド体(以下、ビニルスルフィド体とも称する)を準備する。ビニルスルフィド体としては、例えば、公知の方法で合成したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
Figure 2022024937000005
このビニルスルフィド体を公知の方法で還元することにより、下記式(5)に示すN,N’-ジベンジルビオチンを含む生成物を得る。この生成物は、副生したN,N’-ジベンジルビオチンのエピマーを含む。
Figure 2022024937000006
この生成物と酸とを混合することにより、N,N’-ジベンジルビオチン及びそのエピマーの脱ベンジル化反応を生じさせて、ビオチン及びエピビオチンを含む生成物を得る。第1混合物としては、このようにして得られた生成物を用いてもよく、精製処理後の生成物を用いてもよい。生成物の精製処理は複数回行ってもよい。
精製処理は、中和晶析処理、活性炭処理等を含む。中和晶析処理は、ビオチン及びエピビオチンとアミン類以外の塩基とを接触させてビオチン塩及びエピビオチン塩を生成した後、これらの塩の水溶液を酸性にして生じた固体を濾過することを繰り返すことにより、不純物を除去する方法である。アミン類以外の塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。このビオチン塩及びエピビオチン塩の混合物を、第1混合物として用いてもよい。活性炭処理は、第1混合物と活性炭とを混合することにより、第1混合物から不純物を除去する方法である。
(ビオチン若しくはその塩)
ビオチンは、下記式(1)で表され、d-ビオチンとも称される。
Figure 2022024937000007
ビオチン塩は、弱酸であるビオチンと塩基とを反応させることにより生じ得る。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。ビオチン塩の具体例は、ビオチン・ナトリウム塩、及びビオチン・カリウム塩を含む。塩基は、無機化合物であることが好ましい。
ビオチン及びビオチン塩の何れを用いても、アミン類と接触させることにより、ビオチン・アミン類の塩を得られる。なお、ビオチン若しくはその塩は、ビオチン及びビオチン塩の混合物であってもよい。
(エピビオチン若しくはその塩)
エピビオチンは、下記式(3)で表され、d-エピビオチンとも称される。エピビオチンは、l-エピビオチンを含み得る。
Figure 2022024937000008
エピビオチンは、弱酸であるエピビオチンと塩基とを反応させることにより生じ得る。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。エピビオチン塩の具体例は、エピビオチン・ナトリウム塩、及びエピビオチン・カリウム塩を含む。塩基は、無機化合物であることが好ましい。
エピビオチン及びエピビオチン塩の何れを用いても、アミン類と接触させることにより、エピビオチン・アミン類の塩を生成し得る。なお、エピビオチン若しくはその塩は、エピビオチン及びエピビオチン塩の混合物であってもよい。
(アミン類)
アミン類は、アミン、アミン誘導体、及びアルカロイドを含む。アミン類は、ビオチンと接することにより塩を生成できる。アミン類は、例えば、下記式(6)で表される。
Figure 2022024937000009
上記式(6)において、R、R、及びRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又は複素環である。アルキル基、アラルキル基、又は複素環の炭素数は、1以上30以下であることが好ましい。R、R、及びRの少なくとも2つ以上がアルキル基、アラルキル基、又は複素環である場合、それらは互いに結合して環を形成していてもよい。
アミン類としては、アルギニン、キニジン、及びジシクロヘキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらのアミン誘導体から得られるビオチン・アミン類塩とエピビオチン・アミン類塩とは、溶媒への溶解度の差が大きいため、ビオチンの純度をより高め易い。アミン類としては、アルギニンを用いることがより好ましい。アルギニンは、L体であってもD体であってもよいが、L-アルギニンを用いることが好ましい。
アミン類として、L-アルギニン等の毒性の低い物質を用いた場合、低毒性、かつ安全性の高いビオチン・アミン類塩を得られる。このようなビオチン・アミン類塩は、ビオチンと同様に、医薬品及び飼料添加剤等として用い得る。
1モルのビオチン若しくはその塩に対するアミン類の量は、0.5モル以上2モル以下であることが好ましく、1.0モル以上1.5モル以下であることがより好ましい。
(ビオチン・アミン類塩の製造方法)
ビオチン・アミン類塩は、例えば、下記式(7)で表される。下記式(7)において、R、R、及びRは、上記式(6)のものと同一である。
Figure 2022024937000010
第1混合物とアミン類とを接触させることにより、ビオチン・アミン類塩を含む第2混合物が得られる。ビオチン・アミン類塩の合成は、反応溶媒を用いない固相法で行ってもよく、反応溶媒を用いた液相法で行ってもよい。効率を高める点からは、ビオチン・アミン類塩の合成は、液相中で行うことが好ましい。
第1混合物とアミン類との接触は、例えば、-40℃以上100℃以下の環境下で行う。接触温度は、好ましくは、-30℃以上80℃以下であり、より好ましくは-20℃以上60℃以下である。他の例によると、第1混合物とアミン類との接触は、50℃以上80℃以下の環境下で行う。第1混合物とアミン類との接触を高温下で行うと、第2混合物の流動性が高まり、ビオチン・アミン類塩の収率が高まる傾向にある。
第1混合物とアミン類とは、接触させた後、攪拌されることが好ましい。攪拌時間は、例えば、30秒以上72時間以下とし、好ましくは、1分以上48時間以下とし、より好ましくは、3分以上24時間以下とする。また、第1混合物とアミン類とは、接触後、30℃以上80℃以下に加熱されてもよい。加熱することにより、結晶格子中の不要な溶媒を除去できる。
第1混合物とアミン類との接触は、第1反応溶媒存在下で行われることが好ましい。すなわち、第1混合物と第1反応溶媒とを混合して、第1混合液を得た後、この第1混合液とアミン類とを接触させて、第2混合物を得ることを更に含むことが好ましい。第1反応溶媒としては、ビオチン若しくはその塩、エピビオチン若しくはその塩、及びアミン類を溶解可能なものを用いることが好ましい。第1反応溶媒としては、例えば、水、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、メタノール、エタノール、及び2-プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第1反応溶媒としては、水を用いることが好ましい。水は、蒸留水、精製水、純水、超純水、水道水、又はこれらの混合物を含む。
1gの第1混合物に対する第1反応溶媒の量は、例えば、1mL以上30mL以下であり、好ましくは、10mL以上20mL以下である。他の例によると、1gの第1混合物に対する第1反応溶媒の量は、好ましくは2mL以上30mL以下であり、より好ましくは、3mL以上10mL以下である。
第1混合物とアミン類との接触を第1反応溶媒存在下で行った場合、生成するビオチン・アミン類塩及びエピビオチン・アミン類塩は、反応溶媒中に溶解又は溶媒和した状態にあり得る。
第2混合物において、ビオチン及びアミン類の塩が生成していることは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光分析により確認できる。
(ビオチン・アミン類塩の分離方法)
第2混合物には、ビオチン・アミン類塩以外に、エピビオチン及びそのアミン類塩が含まれ得る。したがって、第2混合物から、ビオチン・アミン類塩のみを分離することが好ましい。第2混合物からビオチン・アミン類塩を分離する方法としては、ビオチン・アミン類塩を選択的に溶解させる若しくは選択的に析出させる溶媒と、第2混合物とを混合することが挙げられる。操作が容易であることから、第2混合物とビオチン・アミン類塩を選択的に析出させる溶媒(以下、析出溶媒ともいう)とを接触させて、ビオチン・アミン類塩の析出物を得ることが好ましい。
析出溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸、酢酸エチル、及び酢酸メチルからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いる。析出溶媒としては、その選択性が高いことから、2-プロパノール及びアセトンからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。ビオチンの純度を高め易いという点からは、2-プロパノールを用いることが好ましく、ビオチン・アミン類塩の収率を高めるという点からは、2-プロパノールとアセトンとの混合溶媒を用いることが好ましい。混合溶媒において、2-プロパノールの体積V1とアセトンの体積V2との体積比V2/V1は、1以上20以下であることが好ましく、2以上10以下であることがより好ましい。なお、第1反応溶媒を用いる場合、第1反応溶媒と析出溶媒とは、互いに異なる溶媒であることが好ましい。
1gの第1混合物に対する析出溶媒の量は、例えば、1mL以上200mL以下であり、好ましくは、1mL以上150mL以下であり、より好ましくは、20mL以上100mL以下である。他の例によると、1gの第1混合物に対する析出溶媒の量は、5mL以上50mL以下であり、好ましくは、10mL以上30mL以下である。
第1反応溶媒を用いる場合、第1反応溶媒の体積V3に対する前記析出溶媒の体積V4の比V4/V3は、例えば、0.1以上20以下である。比V4/V3は、1以上10以下であることが好ましく、2以上7以下であることがより好ましい。比V4/V3が大きいと、ビオチン・アミン類塩の収率が高まる傾向にある。一方、比V4/V3が小さいと、ビオチン・アミン類塩に含まれるエピビオチン若しくはその塩の量が低下する傾向にある。なお、第1反応溶媒及び析出溶媒として複数種類の溶媒を用いる場合、第1反応溶媒の体積V3及び析出溶媒の体積V4とは、それぞれ、複数種類の溶媒の合計体積を意味する。
第2混合物と析出溶媒との混合温度は、例えば、-40℃以上100℃以下とし、好ましくは、-30℃以上80℃以下とし、より好ましくは、-20℃以上50℃以下とし、更に好ましくは、0℃以上30℃以下とする。他の例によると、第2混合物と析出溶媒との混合温度は、40℃以上100℃以下であり、好ましくは、60℃以上90℃以下である。第2混合物と析出溶媒との混合を高温下で行うと、第2混合物の流動性が高まり、ビオチン・アミン類塩の収率が高まる傾向にある。なお、上記混合温度まで加熱若しくは冷却した第2混合物に、析出溶媒を混合した後、得られた混合物を更に加熱してもよい。
第2混合物と析出溶媒とを混合した後、例えば、1分以上72時間以下にわたって攪拌してもよい。攪拌時間は、好ましくは、5分以上48時間以下であり、より好ましくは、10分以上24時間以下である。
なお、析出溶媒は複数回に分けて第2混合物に加えてもよい。例えば、第1の析出溶媒を第2混合物に加えて一定時間攪拌した後、これに更に第2の析出溶媒を加えて一定時間攪拌してもよい。第1の析出溶媒と第2の析出溶媒とは、互いに異なる種類のものを用いてもよく、同一種類のものを用いてもよい。ビオチン・アミン類塩の収率を高めるという点からは、第1の析出溶媒として2-プロパノールを加えた後、第2の析出溶媒としてアセトンを加えることが好ましい。これにより、結晶が析出した第2混合物の流動性を高めることができる。また、第1の析出溶媒の量と第2の析出溶媒の量とは、同一であってもよく、異ならしめてもよい。また、第1の析出溶媒を加えた第2混合物の温度と、第2の析出溶媒を加えた第2混合物の温度とは、同温でもよく、異ならしめてもよい。
ビオチン・アミン類塩の析出物は、析出溶媒が加えられた第2混合物から濾過等により取り出された後、洗浄溶媒で洗浄されることが好ましい。洗浄溶媒としては、析出溶媒と同様の種類の溶媒を用い得る。洗浄後の析出物を乾燥させることにより、ビオチン・アミン類塩の固形物を得られる。なお、このアミン類によるビオチンの中和晶析処理は、複数回行ってもよい。
(ビオチンの製造方法)
以上の方法で得られたビオチン・アミン類塩と酸とを接触させることにより、ビオチン・アミン類塩を分解して、ビオチンを含む第3混合物を得ることができる。典型的には、ビオチン・アミン類塩と酸とを接触させることにより、固体状のビオチンが析出する。
第3混合物は、エピビオチンをほぼ含まないビオチン・アミン類塩を分解して得られるため、第3混合物におけるエピビオチンのHPLCによる純度を非常に低くできる。第3混合物におけるエピビオチンのHPLCの面積百分率による純度は、一例によると、0.1%以下であり、他の例によると、0.01%以下である。この純度の下限値は、0%あるいは検出限界値である。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、及びクエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。酸としては、塩酸を用いることが好ましい。塩酸を用いると、ビオチン・アミン類塩に含まれ得るエピビオチン等の不純物量が低下する傾向にある。塩酸の濃度は、例えば、1質量%以上10質量%以下とする。また、酸の代わりに、上記の酸を生成可能な酸性塩を用いてもよい。酸性塩としては、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、及びリン酸水素カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。酸と酸性塩とを併用してもよい。
1モルのビオチン・アミン類塩に対する酸の量は、例えば、0.1モル以上100モル以下であり、好ましくは、0.5モル以上50モル以下である。
ビオチン・アミン類塩と酸との接触は、例えば、-40℃以上100℃以下の環境下で行う。接触温度は、好ましくは、-30℃以上90℃以下であり、より好ましくは-20℃以上50℃以下である。他の例によると、ビオチン・アミン類塩と酸との接触温度は、50℃以上100℃以下であり、好ましくは、80℃以上100℃以下である。ビオチン・アミン類塩と酸との接触温度を高めると、結晶の粒子径が大きくなり、濾過により結晶を取り出しやすくなる傾向にある。
ビオチン・アミン類塩と酸とは、接触させた後、例えば、1秒以上24時間以下にわたって攪拌されてもよい。攪拌時間は、好ましくは、1分以上12時間以下であり、より好ましくは、3分以上4時間以下である。
ビオチン・アミン類塩と酸とは、例えば、60℃以上100℃以下の温度で接触された後、この温度を保った状態で、1分以上1時間以下にわたって攪拌されることが好ましい。この攪拌後のビオチン・アミン類塩及び酸の混合物は、例えば、-40℃以上10℃以下の温度で、1分以上1時間以下にわたって攪拌されることが好ましい。すなわち、高温下でビオチン・アミン類塩と酸とを接触させ、この温度で一定時間攪拌した後、得られた混合物を冷却して更に攪拌することが好ましい。これにより、ビオチン・アミン類塩に含まれ得るエピビオチン等の不純物量が低下するとともに、ビオチンの収率が高まる傾向にある。
ビオチン・アミン類塩と酸との接触は、ビオチン・アミン類塩を第2反応溶媒に溶解させた後に行ってもよい。第2反応溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第2反応溶媒としては、水を用いることが好ましい。
1gのビオチン・アミン類塩に対する溶媒の量は、例えば、1mL以上100mL以下であり、好ましくは、1mL以上30mL以下であり、より好ましくは、5mL以上15mL以下である。
ビオチン・アミン類塩から分離したビオチンの固形物を、洗浄溶媒を用いて洗浄してもよい。洗浄溶媒としては、ビオチン・アミン類塩を溶解可能な溶媒と同様のものを用い得る。洗浄後の固形物を、例えば、常温で乾燥することにより、高純度のビオチンが得られる。
このようにして得られたビオチンは、エピビオチン等の不純物を含まないため、非常に高い純度を達成できる。高純度ビオチンのHPLCの面積百分率による純度は、一例によると、99.93%以上であり、他の例によると、99.95%以上であり、更に他の例によると、99.98%以上である。HPLCの面積百分率による純度の上限値は、100%である。HPLCの測定条件は、実施例で後述する。
なお、以上の方法により得られたビオチンは、より純度を高めるために、上述した中和晶析処理、活性炭処理等の精製処理を、更に施されてもよく、アミン類による中和晶析処理を複数回繰り返し行ってもよい。
以下に例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
<製造例1>
以下の方法でビオチンを精製し、精製処理後のビオチンを得た。
先ず、市販のビオチンを準備した。900mg(3.68mmol)のビオチンを、水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて、溶液を調製した。水酸化ナトリウム水溶液としては、8.6mLの水に、152mg(3.79mmol)の水酸化ナトリウムを溶解させたものを用いた。上記溶液を90℃の温度にまで加熱した後、1.6mLの10質量%塩酸を30分かけてこれに滴下して、反応液を得た。反応液を5℃まで冷却し、この温度に保った状態で30分間にわたって攪拌して、ビオチンの結晶を析出させた。次に、このビオチンの結晶を水酸化ナトリウムに再度溶解させた後、上記と同様の方法で塩酸を滴下し、ビオチンの結晶を再析出させた。この操作を更に2回繰り返し、合計4回の水酸化ナトリウムを用いた中和晶析処理を行った。得られた析出物を乾燥させて、第1混合物を得た。
<実施例1>
(ビオチン・アルギニン塩BAS1の製造)
製造例1で得られた第1混合物と、1.13g(6.48mmol)のL-アルギニンと、20mLの蒸留水とを混合した後、5分間にわたって攪拌して、ビオチン・アルギニン塩を含む第2混合物を得た。なお、第1混合物の量は1.44g(ビオチン換算で5.89mmol)であった。
25℃の環境下、第2混合物に20mLの2-プロパノール(IPA)を滴下した後、5℃まで冷却した。この温度に保った状態で、冷却後の第2混合物を20分間にわたって攪拌して、ビオチン・アルギニン塩を析出させた。濾過により析出させたビオチン・アルギニン塩を取り出し、これを7mLのアセトンを用いで洗浄した。洗浄後のビオチン・アルギニン塩を25℃で減圧乾燥し、乾燥後のビオチン・アルギニン塩を得た。乾燥後のビオチン・アルギニン塩の量は、1.22gであり、その収率は49.4%であった。以下、このビオチン・アルギニン塩を、ビオチン・アルギニン塩BAS1とも称する。
(ビオチンの製造)
1.0g(2.39mmol)の乾燥後のビオチン・アルギニン塩BAS1を、11mLの蒸留水に溶解させて溶液を得た。25℃の環境下、この溶液に、1.74g(2.39mmol)の5質量%塩酸(HCl水溶液)を滴下し、ビオチンを析出させて第3混合物を得た。濾過により析出したビオチンを第3混合物から取り出し、これを5mLの蒸留水で洗浄した。洗浄後のビオチンを25℃で減圧乾燥し、精製後のビオチンを得た。ビオチンの量は507mgであり、その収率は86.8%であった。
<実施例2>
(ビオチン・アルギニン塩BAS2の製造)
製造例1で得られた第1混合物と、1.13g(6.48mmol)のL-アルギニンと、10mLの蒸留水とを混合して混合物を得た。この混合物を60℃にまで加熱し、5分間にわたって攪拌して、ビオチン・アルギニン塩を含む第2混合物を得た。なお、第1混合物の量は1.44g(ビオチン換算で5.89mmol)であった。
60℃の第2混合物に、10mLの2-プロパノールを滴下した後、25℃まで冷却した。冷却した第2混合物に、58mLのアセトンを更に加え、5分間にわたって攪拌して、ビオチン・アルギニン塩を析出させた。濾過により析出させたビオチン・アルギニン塩を取り出し、これを7mLのアセトンを用いで洗浄した。洗浄後のビオチン・アルギニン塩を25℃で減圧乾燥し、乾燥後のビオチン・アルギニン塩を得た。乾燥後のビオチン・アルギニン塩の量は、2.45gであり、その収率は99.2%であった。以下、このビオチン・アルギニン塩を、ビオチン・アルギニン塩BAS2とも称する。
(ビオチンの製造)
1.0g(2.39mmol)の乾燥後のビオチン・アルギニン塩BAS2を、7mLの蒸留水に溶解させて溶液を得た。この溶液を90℃にまで加熱した後、3.48g(4.78mmol)の5質量%塩酸を滴下した。塩酸滴下後の溶液を、5℃まで冷却した後、30分間にわたって攪拌し、ビオチンを析出させて第3混合物を得た。濾過により析出したビオチンを第3混合物から取り出し、これを5mLの蒸留水で洗浄した。洗浄後のビオチンを25℃で減圧乾燥し、精製後のビオチンを得た。ビオチンの量は478mgであり、その収率は81.9%であった。
<実施例3>
(ビオチン・アルギニン塩BAS3の製造)
製造例1で得られた第1混合物と、7.2mLの蒸留水とを混合し、第1混合液を得た。この第1混合液を75℃にまで加熱した。加熱後の第1混合液に、1.13g(6.48mmol)のL-アルギニンを加えて、ビオチン・アルギニン塩を含む第2混合物を得た。なお、第1混合物の量は1.44g(ビオチン換算で5.89mmol)であった。
75℃の第2混合物に、22mLの2-プロパノールを滴下した後、この温度に保った状態で30分間にわたって攪拌した。攪拌後の第2混合物を、25℃にまで冷却し、この温度に保った状態で更に30分間攪拌して、ビオチン・アルギニン塩を析出させた。濾過により析出させたビオチン・アルギニン塩を取り出し、これを14mLのアセトンを用いで洗浄した。洗浄後のビオチン・アルギニン塩を25℃で減圧乾燥し、乾燥後のビオチン・アルギニン塩を得た。乾燥後のビオチン・アルギニン塩の量は、2.34gであり、その収率は94.7%であった。以下、このビオチン・アルギニン塩を、ビオチン・アルギニン塩BAS3とも称する。
(ビオチンの製造)
1.0g(2.39mmol)の乾燥後のビオチン・アルギニン塩BAS3を、7mLの蒸留水に溶解させて溶液を得た。この溶液を90℃にまで加熱した後、3.48g(4.78mmol)の5質量%塩酸を滴下した。塩酸滴下後の溶液を、90℃の温度に保った状態で30分間にわたって攪拌した。攪拌後の混合液を5℃まで冷却した後、30分間にわたって更に攪拌し、ビオチンを析出させて第3混合物を得た。濾過により析出したビオチンを第3混合物から取り出し、これを5mLの蒸留水で洗浄した。洗浄後のビオチンを25℃で減圧乾燥し、精製後のビオチンを得た。ビオチンの量は538mgであり、その収率は92.2%であった。
<実施例4>
(ビオチン・アルギニン塩BAS4の製造)
製造例1で得られた第1混合物と、50mLの蒸留水とを混合し、第1混合液を得た。この第1混合液を75℃にまで加熱した。加熱後の第1混合液に、7.84g(5.0mmol)のL-アルギニンを加えて、ビオチン・アルギニン塩を含む第2混合物を得た。なお、第1混合物の量は10g(ビオチン換算で40.9mmol)であった。
75℃の第2混合物に、150mLの2-プロパノールを滴下した後、85℃にまで加熱し、この温度に保った状態で30分間にわたって攪拌した。攪拌後の第2混合物を、25℃にまで冷却し、この温度に保った状態で更に30分間攪拌して、ビオチン・アルギニン塩を析出させた。濾過により析出させたビオチン・アルギニン塩を取り出し、これを100mLのアセトンを用いで洗浄した。洗浄後のビオチン・アルギニン塩を25℃で減圧乾燥し、乾燥後のビオチン・アルギニン塩を得た。乾燥後のビオチン・アルギニン塩の量は、16.6gであり、その収率は97.1%であった。以下、このビオチン・アルギニン塩を、ビオチン・アルギニン塩BAS4とも称する。
<実施例5>
(ビオチンの製造)
1.0g(2.39mmol)の乾燥後のビオチン・アルギニン塩BAS2を、7mLの蒸留水に溶解させて溶液を得た。この溶液を90℃にまで加熱した後、1.74g(2.39mmol)の5質量%塩酸を滴下した。塩酸滴下後の溶液を5℃まで冷却した後、30分間にわたって攪拌し、ビオチンを析出させて第3混合物を得た。濾過により析出したビオチンを第3混合物から取り出し、これを5mLの蒸留水で洗浄した。洗浄後のビオチンを25℃で減圧乾燥し、精製後のビオチンを得た。ビオチンの量は469mgであり、その収率は80.3%であった。
<実施例6>
(ビオチンの製造)
1.0g(2.39mmol)の乾燥後のビオチン・アルギニン塩BAS2を、7mLの蒸留水に溶解させて溶液を得た。この溶液を90℃にまで加熱した後、硫酸水素カリウム(KHSO)水溶液を滴下した。硫酸水素カリウム水溶液としては、651mg(4.78mmol)の硫酸水素カリウムを、3.5mLの蒸留水に溶解させたものを用いた。硫酸水素カリウム水溶液滴下後の溶液を5℃まで冷却した後、30分間にわたって攪拌し、ビオチンを析出させて第3混合物を得た。濾過により析出したビオチンを第3混合物から取り出し、これを5mLの蒸留水で洗浄した。洗浄後のビオチンを25℃で減圧乾燥し、精製後のビオチンを得た。ビオチンの量は536mgであり、その収率は91.8%であった。
<実施例7>
(ビオチンの製造)
1.0g(2.39mmol)の乾燥後のビオチン・アルギニン塩BAS3を、3.5mLの蒸留水に溶解させて溶液を得た。この溶液を90℃にまで加熱した後、3.48g(4.78mmol)の5質量%塩酸を滴下した。塩酸滴下後の溶液を、90℃の温度に保った状態で30分間にわたって攪拌した。攪拌後の混合液を5℃まで冷却した後、30分間にわたって更に攪拌し、ビオチンを析出させて第3混合物を得た。濾過により析出したビオチンを第3混合物から取り出し、これを5mLの蒸留水で洗浄した。洗浄後のビオチンを25℃で減圧乾燥し、精製後のビオチンを得た。ビオチンの量は553mgであり、その収率は94.7%であった。
<NMR分光分析>
実施例1乃至4で得られたビオチン・アルギニン塩について、H-NMR分光分析を400MHzで行った。溶媒としては重水(DO)を用いた。その結果を下記に示す。
δ4.62(m,1H)
4.47(m,1H)
3.77(t,1H)
3.38(m,1H)
3.28(t,2H)
3.01(dd,1H)
2.79(d,1H)
2.21(t,2H)
1.91(m,1H)
1.56-1.78(m,6H)
1.43(m,2H)。
<純度測定>
製造例1で得られた第1混合物、実施例1乃至4で得られた乾燥後のビオチン・アルギニン塩、及び、実施例1乃至3及び5乃至7で得られた精製後のビオチンにおけるビオチン、アルギニン、及びエピビオチンの面積百分率による純度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて下記の条件で測定した。
装置:ウォーターズコーポレーション製 Waters Alliance(登録商標) e2695
検出器:紫外吸光光度計 Waters 2489
測定波長:210nm
流速:1.0mL/min
移動相A:50mM KHPO水溶液(pH3)
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:
0-30分:移動相A95%、移動相B5%
30-40分:移動相A15%、移動相B85%
40-50分:移動相A95%、移動相B5%
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
カラム、充填剤:XBridge C18、 5μm (4.6 x 150mm)
保持時間:アルギニン 1.4min;ビオチン 17.297min;エピビオチン 18.444min。
実施例1乃至4のビオチン・アルギニン塩に関する製造条件及び測定結果を下記表1にまとめる。
Figure 2022024937000011
上記表1において、「第1反応溶媒」と表記した列には、1gの第1混合物に対する第1反応溶媒の量を記載している。また、「析出溶媒」と表記した列の下方の列において、「量(mL)」と表記した列には、1gの第1混合物に対する析出溶媒の量を記載している。また、「接触温度(℃)」と表記した列には、第2混合物に析出溶媒を接触させたときの温度、あるいは、第2混合物に第1析出溶媒及び第2析出溶媒をそれぞれ接触させたときの温度を記載している。また、「攪拌温度(℃)」と表記した列には、第2混合物に析出溶媒又は第2析出溶媒を接触させた後、攪拌したときの温度を記載している。
実施例1乃至3及び5乃至7の製造条件、並びに、製造例1、実施例1乃至3及び5乃至7に関する測定結果を下記表2にまとめる。
Figure 2022024937000012
表2に示すように、水酸化ナトリウムによる中和晶析処理を4回行った製造例1の第1混合物においても、エピビオチンは完全に除去できなかった。これに対して、アルギニンによる中和晶析処理を行った実施例1乃至3及び5乃至7に係る精製後のビオチンは、ほぼエピビオチンを含まず、ビオチンの純度を高めることができた。

Claims (8)

  1. ビオチン若しくはその塩及びエピビオチン若しくはその塩を含む第1混合物と、アミン類とを接触させて、前記ビオチン及び前記アミン類の塩を含む第2混合物を得ることを含む、ビオチン・アミン類塩の製造方法。
  2. 前記アミン類は、アルギニン、キニジン、及びジシクロヘキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載のビオチン・アミン類塩の製造方法。
  3. 1モルの前記ビオチン若しくはその塩に対する前記アミン類の量は、0.5モル以上2モル以下である請求項1又は2に記載のビオチン・アミン類塩の製造方法。
  4. 前記第2混合物と、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸、酢酸エチル、及び酢酸メチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の析出溶媒とを混合することにより、前記ビオチン及び前記アミン類の塩を析出させることを更に含む請求項1乃至3の何れか1項に記載のビオチン・アミン類塩の製造方法。
  5. 前記第1混合物と第1反応溶媒とを混合して、第1混合液を得ることと、
    前記第1混合液と前記アミン類とを接触させて、前記第2混合物を得ることとを更に含み、
    前記第1反応溶媒の体積に対する前記析出溶媒の体積の比は、0.1以上20以下であり、
    前記第1反応溶媒は、水、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、メタノール、エタノール、及び2-プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、かつ、前記析出溶媒とは異なる種類である、請求項4に記載のビオチン・アミン類塩の製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法で得られた前記ビオチン及び前記アミン類の塩と酸とを接触させて、ビオチンを含む第3混合物を得ることを含む、ビオチンの製造方法。
  7. 前記酸は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、及びクエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項6に記載のビオチンの製造方法。
  8. 高速液体クロマトグラフィーの面積百分率による純度が、99.93%以上であるビオチン。
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