JP2022023771A - 観察装置、光偏向ユニット、像形成方法 - Google Patents

観察装置、光偏向ユニット、像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試料を収容する容器によらず、高い観察性能を実現する。【解決手段】観察装置10は、透過窓11を有し光源ユニット14と撮像ユニット15を収容する筐体12を備える。観察装置10は、光源ユニット14と撮像ユニット15と光偏向ユニット100を備える。撮像ユニット15は、撮像素子と、培養容器C内の試料の像を形成するために透過窓11を透過することにより筐体12内に入射した光を集光する光学系を含む。光源ユニット14は、撮像ユニット15の光学系を経由せずに筐体12外へ向けて光を出射する。光偏向ユニット100は、光源ユニット14から筐体12外へ出射した光を透過窓11へ向う第1の方向へ偏向する。第1の方向と撮像ユニット15の光学系の光軸との間の角度である出射角は筐体12外へ出射した光が光偏向ユニット100へ入射する第2の方向と光軸との間の角度である入射角とは異なる。【選択図】図6

Description

本明細書の開示は、観察装置、光偏向ユニット、像形成方法に関する。
細胞などの生体試料の培養は、培養環境を維持するため、インキュベータ内で行われている。培養中は生体試料の状態が定期的に確認されるが、確認作業の都度、生体試料をインキュベータから取り出すと、生体試料の生育に悪影響を及ぼす虞がある。
このような課題に関連する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される偏射照明が採用された観察装置を用いることで、装置を大型化させることなく細胞等の試料を観察することができる。このため、培養中の生体試料をインキュベータ外に取り出すことなく、インキュベータ内の限られたスペースで培養中の生体試料を継続して観察することが可能となる。
米国特許出願公開第2019/0187450号明細書
ところで、特許文献1には、装置の小型化と高いコントラストとを両立するための条件が記載されている。特許文献1に記載された条件を満たすことで、高いコントラストで試料を立体的に観察することが可能である。しかしながら、この条件には、試料を収容する容器によって制約を受ける反射面の高さが含まれているため、条件を満たし得る容器が限られてしまう可能性がある。
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、試料を収容する容器によらず、高い観察性能を実現する技術を提供することである。
本発明の一態様に係る観察装置は、透過窓を有する筐体と、前記筐体に収容された撮像ユニットであって、撮像素子と、前記撮像素子上に前記透過窓に載置された容器内の試料の像を形成するために前記透過窓を透過することによって前記筐体内に入射した光を集光する光学系と、を含む前記撮像ユニットと、前記筐体に収容された光源ユニットであって、前記光学系を経由することなく前記筐体外へ向けて光を出射する前記光源ユニットと、前記光源ユニットから前記筐体外へ出射した光を前記透過窓へ向う第1の方向へ偏向する光偏向ユニットであって、前記第1の方向と前記光学系の光軸との間の角度である出射角は、前記筐体外へ出射した光が前記光偏向ユニットへ入射する第2の方向と前記光軸との間の角度である入射角とは異なる、という前記光偏向ユニットと、を備える。
本発明の一態様に係る光偏向ユニットは、上記の態様に記載の光偏向ユニットである。
本発明の別の態様に係る像形成方法は、筐体内から前記筐体外へ向けて光を出射し、前記筐体外へ出射した光を前記筐体の透過窓へ向う第1の方向へ光偏向ユニットで偏向し、前記透過窓に載置された容器内の試料の像を形成するために、前記透過窓を透過することによって前記筐体内に入射した光を前記筐体内の光学系で集光し、前記第1の方向と前記光学系の光軸との間の角度である出射角は、前記筐体外へ出射した光が前記光偏向ユニットへ入射する第2の方向と前記光軸との間の角度である入射角とは異なる。
上記の態様によれば、試料を収容する容器によらず、高い観察性能を実現する技術を提供することができる。
第1の実施形態に係るシステム1の構成を例示した図である。 第1の実施形態に係る観察装置10の構成を例示した図である。 培養容器の高さと光線束の関係を説明するための図である。 試料への光線束の入射角と瞳面での光線束の分布の関係を説明するための図である。 光偏向ユニットが装着された観察装置10の外観図の図である。 光偏向ユニットの構成の一例を説明するための図である。 観察装置10が行う像形成方法の一例を説明するためのフローチャートである。 光偏向ユニットの構成の別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 第2の実施形態に係る観察装置10aの構成を例示した図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 第3の実施形態に係る観察装置10bの構成を例示した図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 第4の実施形態に係る観察装置10cの構成を例示した図である。 光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。 観察装置10cの用途について説明するための図である。 光偏向ユニットの使用方法について説明する図である。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係るシステム1の構成を例示した図である。図1に示すシステム1は、培養容器Cに収容された試料を観察する観察システムである。システム1は、培養容器C内で培養されている試料の画像を取得する観察装置10と、観察装置10を制御する制御装置30を備えている。
試料をインキュベータ20から取り出すことなく観察するために、観察装置10は、例えば、図1に示すように、インキュベータ20内に配置された状態で使用される。より詳細には、観察装置10は、培養容器Cが観察装置10の透過窓11に載置された状態でインキュベータ20内に配置され、制御装置30からの指示に従って培養容器C内の試料の画像を取得する。なお、透過窓11は、観察装置10の筐体12の上面を構成する透明な天板であり、例えば、ガラスや透明な樹脂などからなる。
制御装置30は、インキュベータ20内に置かれた観察装置10へ画像取得指示を送信し、観察装置10によって取得された画像を受信する。制御装置30は、制御装置30が備える表示装置に、観察装置10で取得した画像を表示してもよい。制御装置30は、クライアント端末(クライアント端末40、クライアント端末50)と通信してもよく、クライアント端末が備える表示装置に、観察装置10で取得した画像を表示してもよい。なお、制御装置30は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上の非一時的なコンピュータ読取可能媒体と、を含んでいればよく、一般的なコンピュータであっても、専用装置であってもよい。
図1には、観察装置10と制御装置30が有線で接続されている例が示されている。しかしながら、観察装置10と制御装置30は、データをやり取りできればよい。従って、観察装置10と制御装置30は、有線に限らず、無線で接続されてもよい。
図2は、本実施形態に係る観察装置10の構成を例示した図である。図3は、培養容器の高さと光線束の関係を説明するための図である。図4は、試料への光線束の入射角と瞳面での光線束の分布の関係を説明するための図である。以下、図2から図4を参照しながら、観察装置10の構成と作用について説明する。
観察装置10は、培養容器Cが配置される透明な透過窓11を上面とする箱型の筐体12を備えている。培養容器Cには、試料Sおよび培養液CLが含まれている。観察装置10は、さらに、筐体12内部に収容された、試料を照明する光源ユニット14と、試料の画像を取得する撮像ユニット15と、を備えている。光源ユニット14と撮像ユニット15は、ステージ13上に設置されていて、筐体12内でステージ13が移動することで培養容器Cに対して移動する。これにより、観察装置10は、光源ユニット14によって培養容器C内の任意の位置に存在する試料を照明して、撮像ユニット15によって試料の画像を取得することができる。
なお、図2には、光源ユニット14と撮像ユニット15がステージ13上に設置され、その結果、一体となって筐体12内を移動する例が示されているが、光源ユニット14と撮像ユニット15は、それぞれ独立して筐体12内を移動してもよい。
光源ユニット14は、図3に示すように、光源16と、拡散板17を備えている。光源16は、例えば、発光ダイオード(LED)などを含んでいる。光源16は、白色LEDを含んでもよく、R(赤)、G(緑)、B(青)など、複数の異なる波長の光を出射する複数のLEDを含んでもよい。光源16から出射した光は、拡散板17に入射する。光源16の構成は特に限定されないが、LEDを採用すれば、一般的なハロゲンランプ等に比べて長寿命かつ低コスト化ができる。
拡散板17は、光源16から出射した光を拡散させる。拡散板17は、特に限定しないが、例えば、表面に凹凸を形成したフロスト型の拡散板である。ただし、拡散板17は、表面をコーティングしたオパール型の拡散板であってもよく、その他のタイプの拡散板であってもよい。さらに、拡散板17には拡散光の出射領域を制限するためのマスク17aが形成されてもよい。拡散板17から出射した光は、様々な方向に進行する。
撮像ユニット15は、図3に示すように、光学系18と、撮像素子19を備えている。光学系18は、試料Sおよび透過窓11を透過することによって筐体12内に入射した光を集光する。光学系18は、特に限定しないが、例えば、有限な位置に像を形成する有限遠補正型の対物レンズである。ただし、光学系18は、無限遠補正型の対物レンズを含んでもよく、光学系18全体として有限遠補正光学系を構成すればよい。試料Sが存在する培養容器Cの内側底面に焦点を合わせた光学系18が筐体12内に入射した光を撮像素子19上に集光することで、撮像素子19上に試料Sの光学像が形成される。
撮像素子19は、検出した光を電気信号に変換する光センサである。撮像素子19は、具体的には、イメージセンサであり、特に限定しないが、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどである。
以上のように構成された観察装置10では、位相物体である培養容器C内の試料Sを可視化するために、偏射照明が採用されている。具体的には、図3に示すように、光源16が発した光は、拡散板17で拡散し、光学系18を経由することなく筐体12外へ出射する。即ち、光源ユニット14は、光学系18を経由することなく、筐体12外へ向けて様々な方向へ進行する光を出射する。その後、筐体12外へ出射した光のうちの一部が、例えば、培養容器Cの上面などで反射することで、試料S上方で偏向され、さらに、試料S上方で偏向された光のうちの一部が、試料Sに照射され、試料S及び透過窓11を透過することによって筐体12内に入射する。そして、筐体12内に入射した光のうちの一部が、光学系18によって集光され、撮像素子19上に試料の像を形成する。即ち、光学系18は、透過窓11に載置された培養容器C内の試料Sの像を撮像素子19上に形成するために、透過窓11を透過することによって筐体12内に入射した光を集光する。最後に、観察装置10は、撮像素子19から出力された電気信号に基づいて試料Sの画像を生成し、制御装置30へ出力する。
ところで、偏射照明により位相物体である試料Sを高いコントラストで可視化し、細胞などを認識可能とするためには、適切な角度で試料Sに入射した光線を集光して試料Sの像を形成することが重要である。観察装置10では、拡散板17で拡散し様々な方向へ進行した光が試料S上方で偏向され、様々な角度から光学系18へ入射するが、光学系18へ入射する光の角度分布は偏向面の高さ、例えば、培養容器上面の高さ、に依存する。より具体的には、偏向面である培養容器上面の高さが高いほど、入射角の小さい光が多くなる。
例えば、培養容器の上面での反射光を用いて試料Sの像を形成することを想定する。この場合、図3及び図4に示すように、標準的な高さ(例えば、60mmなど)の培養容器Cを用いた場合に試料S上の点Pを通過する光線束L1と、培養容器Cよりも背の高い培養容器C1を用いた場合に試料S上の点Pを通過する光線束L2を比較すると、光線束L2は、物体面において、光線束L1よりも小さな入射角に分布することになる。
物体面への入射角は光学系18によって光学系18の瞳面における光軸からの距離に変換される。このため、物体面での入射角が比較的大きな角度に分布している光線束L1は、瞳面において光軸から比較的離れた位置を通過する。その結果、光線束L1は、図4に示すように、瞳面において光学系18の瞳PLの外縁を跨って分布することになる。光線束L1のうち瞳PLの外側に入射する光線は、光学系18内でケラレてしまい、撮像素子19まで到達しない。従って、光線束L1のうちの撮像素子19に到達する光線束には、角度方向に不連続な強度分布、つまり、急峻な強度分布の変化が発生することになる。これによって、培養容器Cを用いた場合には、試料Sの画像に陰影が生じ、高いコントラストを有する立体的な画像を得ることができる。
一方で、物体面での入射角が比較的小さな角度に分布している光線束L2は、瞳面において光軸から比較的近い位置を通過する。このため、図4に示すように、光線束L2全体が瞳面において瞳PLの内側を通過し、撮像素子19に到達することになる。光線束L2の強度分布は、角度方向に連続に変化しているため、撮像素子19に到達する光線束には、角度方向に急峻な強度分布の変化は生じない。その結果、培養容器C1を用いた場合には、培養容器Cを用いた場合と比較して試料Sの画像に十分な陰影が生じにくく、従って、高いコントラストの画像を得ることは難しい。
このように、培養容器の上面での反射光を頼りに試料Sを可視化すると、培養容器の高さによってコントラストが変化してしまい、観察装置10の観察性能が十分に発揮されないことが起こり得る。この課題に対しては、光源ユニット14と撮像ユニット15の間の距離を長くとることで入射角を大きくするといった対処が考え得る。しかしながら、このような対処では、観察装置10(特に、筐体12)が大型化してしまうため、インキュベータ20などの限られたスペースでの使用が想定される装置においては、望ましい解決策ではない。そこで、本実施形態に係る観察装置10は、光偏向ユニットを設けることで、このような技術的な課題を解決し、観察装置10を大型化することなく、かつ培養容器によらず高い観察性能を実現する。
図5は、光偏向ユニットが装着された観察装置10の外観図の図である。図6は、光偏向ユニットの構成の一例を説明するための図である。図7は、観察装置10が行う像形成方法の一例を説明するためのフローチャートである。以下、図5から図7を参照しながら、光偏向ユニット100に注目して観察装置10及び観察装置10が行う像形成方法について説明する。
光偏向ユニット100は、例えば、観察装置10の装着される着脱式のユニットである。図5及び図6では、光偏向ユニット100が筐体12の透過窓11に設置される例を示したが、光偏向ユニット100が設置される位置はこの例に限らない。光偏向ユニット100は、筐体12の側面に設置されてもよい。また、光偏向ユニット100が筐体12に着脱可能に設置される例を示したが、光偏向ユニット100は、筐体12に取り外しできないように固定されてもよく、例えば、不使用時に筐体12内に収容するための伸縮構造や折り畳み構造などを有してもよい。これにより、ユーザーが機器の運搬や実験操作等の際に光偏向ユニットを不本意に移動させてしまい観察光学系にずれが生じるのを防ぐことができる。また、図5及び図6では、光偏向ユニット100が筐体12に設置される例を示したが、光偏向ユニット100は、観察装置10に含まれていればよく、例えば、筐体12から離間して配置されてもよい。
光偏向ユニット100は、図6に示すように、支柱101と、反射面102を含んでいる。支柱101は、透過窓11に固定される基端と自由端の間で屈曲した形状を有していて、基端を含み鉛直方向に延びる第1部分と、自由端を含み第1部分から斜めに延びる第2部分と、を含んでいる。より具体的には、第1部分は、背の高い培養容器が透過窓11に置かれた場合であっても、培養容器が第2部分と接触しないように、十分な高さまで延びている。また、第2部分は、撮像ユニット15に入射する光の角度分布を最適化するために、第1部分から水平方向に対して上向きに向かって延びている。なお光偏向ユニット100は、支柱101がない構成であっても良い。
反射面102は、支柱101の第2部分のうちの透過窓11に向かい合う面に形成されている。第2部分が水平方向に対して上向きに向かって延びているため、反射面102は、撮像ユニット15に含まれる光学系18の光軸に対して傾斜している。なお、反射面102が光軸に対して傾斜しているとは、反射面102の法線が光軸とは異なる方向に向けられていることをいう。また、反射面102は、例えば、基材である支柱101の表面に形成された、金属薄膜ミラー又は誘電体多層膜ミラーを含んでもよいし、特に反射加工を行わないまま入射した光を反射する構成でも良い。
以上のように構成された観察装置10では、図7に示す像形成方法により光学像を撮像素子19上に形成する。具体的には、まず、光源ユニット14が筐体12内から筐体12外へ向けて光を出射する(ステップS1)。その後、光偏向ユニット100が筐体12外へ出射した光を透過窓11へ向う方向(以降、第1の方向)へ偏向する(ステップS2)。
具体的には、ステップS2では、光軸に対して傾斜した反射面102が培養容器C上面を透過して光偏向ユニット100へ入射した光を反射する。つまり、光偏向ユニット100が、光源ユニット14から筐体12外へ出射した光を、入射角θinとは異なる出射角θexで、より具体的には、入射角θinよりも大きな出射角θexで、透過窓11へ向う第1の方向へ偏向する。なお、図6に示すように、入射角θinは、光源ユニット14外へ出射した光が光偏向ユニット100へ入射する方向(以降、第2の方向と記す。)と光学系18の光軸との間の角度であり、出射角θexは、第1の方向と光学系18の光軸の間の角度である。
これにより、背の高い培養容器が用いられる場合であっても培養容器に接触しない十分に高い位置で光が偏向されるにもかかわらず、光偏向ユニット100で偏向し試料S上の一点を通過する光からなる光線束が、光学系18の瞳面において、標準的な高さの培養容器を使用した時のように光学系18の瞳PLの外縁を跨って分布することになる。即ち、光偏向ユニット100では、反射面102の傾斜角度は、試料S上の一点を通過する光線束が光学系18の瞳面において瞳PLの外縁を跨って分布するように、予め決定されている。
そして、最後に、撮像ユニット15の光学系18が透過窓11に載置された培養容器C内の試料Sの像を撮像素子19上に形成するために、透過窓11を透過することによって筐体12内に入射した光を集光する(ステップS3)。これにより、撮像素子19上に試料Sの光学像が形成され、試料Sの画像が取得される。
本実施形態に係る観察装置10では、光偏向ユニット100によって入射角θinよりも大きな出射角θexで偏向された光によって試料Sの光学像を形成することができる。このため、本実施形態に係る観察装置10によれば、試料Sを収容する培養容器によらず高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、観察装置10の高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。
また、本実施形態に係る観察装置10では、反射面102が反射率の高いミラーを含むことで、光偏向ユニット100が効率良く入射光を偏向することができる。このため、本実施形態に係る観察装置10によれば、高いコントラストで明るい画像を得ることができる。
図8は、光偏向ユニットの構成の別の例を説明するための図である。図9は、光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。図10は、光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。以上では、観察装置10が光偏向ユニット100を含む場合を例に説明したが、観察装置10は、光偏向ユニット100の代わりに、図8から図10に示す光偏向ユニット110、光偏向ユニット120、光偏向ユニット130を含んでもよい。
図8に示す光偏向ユニット110は、支柱111と、軸114を有し回転自在に支柱111に支持された可動片112と、可動片112に形成された反射面113とを備えている。なお、可動片112は、反射面113の光軸に対する角度を調整する調整部の一例である。
観察装置10は、光偏向ユニット100の代わりに光偏向ユニット110を含む場合であっても、培養容器によらず高い観察性能を実現することができる。また、光偏向ユニット110を含むことで、可動片112を用いて反射面113の光軸に対する角度を調整し、光学系18に入射する光の角度分布を調整することができる。このため、試料Sや観察者の好みなどに応じて画像のコントラストを調整することもできる。さらに、光学系18の仕様(例えば、観察倍率、開口数)などに応じて反射面113の角度を調整し、画像のコントラストを調整してもよい。
図9に示す光偏向ユニット120は、支柱121と、軸124及び面125を有し回転自在に支柱121に支持された可動片122と、可動片122に形成された反射面123を備えている。なお、可動片122は、反射面123の光軸に対する角度を調整する調整部の一例である。光偏向ユニット120は、支柱121が透過窓11に固定される基端と自由端の間で屈曲した形状を有している点は、光偏向ユニット110と同様である。ただし、光偏向ユニット120は、支柱121が、基端を含み鉛直方向に延びる第1部分と、自由端を含み第1部分から水平方向に延びる第2部分と、を含んでいる点が、光偏向ユニット110とは異なっている。
観察装置10は、光偏向ユニット100の代わりに光偏向ユニット120を含む場合であっても、培養容器によらず高い観察性能を実現することができる。また、光偏向ユニット120を含むことで、光偏向ユニット110と同様に、光学系18に入射する光の角度分布を調整することができるため、試料Sや観察者の好みなどに応じて、また、光学系18の仕様に応じて、コントラストを調整することもできる。
さらに、支柱121が水平方向に屈曲した光偏向ユニット120を含むことで、支柱121の上面である面125が水平となる。このため、面125に培養容器を配置することができる。これにより、スペースの限られたインキュベータ20内を効率良く利用することが可能となる。
なお、面125は、光偏向ユニット120が有する透過窓11と対向しない第1の面の一例である。図9では、面125全体が水平、即ち、透過窓11と平行な平面である例を示したが、培養容器が載置可能なように、面125の少なくとも一部が透過窓11と平行な平面であればよく、培養容器を水平に支持できればよい。培養容器を水平に支持できるのであれば、例えば、培養容器を載置しやすいよう位置決め部材が設けられていてもよく、面125の一部に凹凸が設けられていてもよい。なお、以降に記載する光偏向ユニットにおいても、それらの光偏向ユニットが有する透過窓に対向せず培養容器が載置可能な面は、第1の面の一例である。
図10に示す光偏向ユニット130は、面133を有する支柱131と、支柱131に形成された反射面132を備えている。なお、光偏向ユニット130は、支柱131の第2部分の上面である面133が水平な平面である点が、光偏向ユニット100とは異なっている。その他の点は、光偏向ユニット100と同様である。
観察装置10は、光偏向ユニット100の代わりに光偏向ユニット130を含む場合であっても、培養容器によらず高い観察性能を実現することができる。また、光偏向ユニット130を含むことで、面133に培養容器を配置することができる。これにより、光偏向ユニット120と同様に、スペースの限られたインキュベータ20内を効率良く利用することが可能となる。
[第2の実施形態]
図11は、本実施形態に係る観察装置10aの構成を例示した図である。本実施形態に係る観察装置10aは、光偏向ユニット100の代わりに光偏向ユニット140を含む点が、第1の実施形態に係る観察装置10とは異なっている。より詳細には、観察装置10a及び光偏向ユニット140は、反射面に加えて、光偏向ユニットによって入射した光を屈折する屈折面を有している点が観察装置10及び光偏向ユニット100とは異なっている。以下、図11を参照しながら、具体的に説明する。
光偏向ユニット140は、面145を有する支柱141と、支柱141に形成された反射面142と、反射面142を覆うように配置されたプリズム143を備えている。なお、光偏向ユニット140のうちプリズム143を除く構成は、光偏向ユニット130と同様である。
プリズム143は、楔形状を有していて、支柱141の第2部分との組み合わせで厚さが均一な平板を構成する。また、プリズム143は、透過窓11に対向する面144を有している。面144は、光偏向ユニット140へ入射した光を屈折する屈折面であり、透過窓11と反射面142の間の光路上に設けられている。このため、面144は、反射面142での反射前と反射後の2度、光に対して作用することになる。特に、面144は、反射面142で反射され、その結果、入射時に比べて光軸に対して大きな角度で進行する光を、光軸に対してさらに大きな角度で進行するように偏向することができるため、光偏向ユニット140への入射角θinと出射角θexとを大きく異ならせることができる。
本実施形態に係る観察装置10aでも、光偏向ユニット140で入射角θinよりも大きな出射角θexで偏向された光によって試料Sの光学像を形成することができる。このため、本実施形態に係る観察装置10aによれば、観察装置10と同様に、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10aの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。
さらに、観察装置10aでは、反射面での反射に加えて屈折面での屈折により、入射角θinと出射角θexの角度差を稼ぐことができる。このため、より大きな開口数を有する光学系を用いた場合であってもその光学性能を十分に発揮することが可能となる。また、反射面142の傾斜を抑えても十分な角度差を稼ぐことが可能となるため、支柱141の第2部分の厚みを抑えることもできる。
図12は、光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。以上では、観察装置10aが光偏向ユニット140を含む場合を例に説明したが、観察装置10aは、光偏向ユニット140の代わりに、図12に示す光偏向ユニット150を含んでもよい。
図12に示す光偏向ユニット150は、面155を有する支柱151と、支柱151に形成された反射面152と、反射面152を覆うように配置されたプリズム153を備えている。これらの点は、光偏向ユニット140と同様である。
プリズム153は、楔形状を有している点は、プリズム143と同様であるが、楔の角度がプリズム143よりも大きい点が、プリズム143とは異なっている。そして、これにより、透過窓11に対向する面154(より厳密には、面154の法線)が光軸に対して傾斜している点も、プリズム143とは異なっている。なお、面154が傾斜している向きは、反射面152が傾斜している向きとは反対である。反射面152は水平方向に対して上向きに傾斜している場合であれば、面154は水平方向に対して下向きに傾斜している。
観察装置10aは、光偏向ユニット140の代わりに光偏向ユニット150を含む場合であっても、培養容器によらず高い観察性能を実現することができる。また、光軸に対して傾斜した屈折面を含む光偏向ユニット150を含むことで、図12に示すように、最も強度が強いことが予想される鉛直方向に進行して光偏向ユニット150に入射する光を、面154において反射面152での反射前と反射後の両方で屈折させることができるため、屈折面(面154)でより大きな屈折作用を生じさせることができる。従って、より大きな開口数を有する光学系を用いた場合であってもその光学性能を十分に発揮することが可能となる。
[第3の実施形態]
図13は、本実施形態に係る観察装置10bの構成を例示した図である。本実施形態に係る観察装置10bは、光偏向ユニット140の代わりに光偏向ユニット160を含む点が、第2の実施形態に係る観察装置10aとは異なっている。観察装置10b及び光偏向ユニット160は、屈折面を有するプリズム143の代わりに、複数の屈折面を有するリニアプリズム板163を含む点が、第2の実施形態に係る観察装置10a及び光偏向ユニット140とは異なっている。以下、図13を参照しながら、具体的に説明する。
光偏向ユニット160は、面165を有する支柱161と、支柱161に形成された反射面162と、反射面162を覆うように配置されたリニアプリズム板163を備えている。なお、支柱161は、基端から延長方向に延びる第1部分と、第1部分から水平方向に延びる第2部分と、を含み、反射面162は、透過窓11と平行である。
リニアプリズム板163は、光軸と交差する方向に整列した複数の屈折面である面164を含んでいる。面164の各々は、光偏向ユニット160へ入射した光を屈折する光軸に対して傾斜した屈折面であり、反射面162と透過窓11の間の光路上に設けられている。また、複数の屈折面は、同じ傾斜角度を有し、且つ、一定間隔で形成されている。即ち、光偏向ユニット160は、光軸と交差する方向に周期的な構造を有している。このような周期構造を有することで、リニアプリズム板163は、光偏向ユニット160への入射角θinと出射角θexとを大きく異ならせる十分な屈折作用を有しながら、比較的薄く形成することが可能である。
図13に示すように、面164のそれぞれが、図12に示す面154と同様に光に作用することで、本実施形態に係る観察装置10bでも、光偏向ユニット160で入射角θinよりも大きな出射角θexで偏向された光によって試料Sの光学像を形成することができる。このため、本実施形態に係る観察装置10bによれば、観察装置10aと同様に、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。
さらに、観察装置10bでは、反射面162が水平で傾斜していないため、光偏向ユニット160の厚さを薄くすることができる。また、観察位置に応じて光源ユニット14及び撮像ユニット15が筐体12内を移動した場合であっても、光源ユニット14及び撮像ユニット15から面164及び反射面162までの距離は実質的に変化しない。このため、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる。加えて、第2部分が水平な上面を有するため、第2部分の上に追加で培養容器を配置することができる。これにより、スペースの限られたインキュベータ20内を効率良く利用することが可能となる。
図14から図19は、それぞれ、光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。以上では、観察装置10bが光偏向ユニット160を含む場合を例に説明したが、観察装置10bは、光偏向ユニット160の代わりに、図14から図19に示す光偏向ユニット170から光偏向ユニット220を含んでもよい。
図14に示す光偏向ユニット170は、面175を有する支柱171と、支柱171に形成された反射面172と、リニアプリズム板173を備えている。なお、光偏向ユニット170は、リニアプリズム板173が光偏向ユニット160のリニアプリズム板163とは上下反転した向きに向けられている点が光偏向ユニット160とは異なっている。即ち、光偏向ユニット170では、反射面172に近接してそれぞれ屈折面として機能する複数の面174が設けられていて、水平な面176が透過窓11に向けられている。なお、面174が傾斜している向きは、光偏向ユニット160の面164が傾斜している向きとは反対である。面164が水平方向に対して下向きに傾斜している場合であれば、面174は水平方向に対して上向きに傾斜している。
観察装置10bは、光偏向ユニット160の代わりに光偏向ユニット170を含む場合であっても、図14に示すように、面174のそれぞれが、図12に示す面164と同様に光に作用することで、光偏向ユニット170で入射角θinよりも大きな出射角θexで偏向された光によって試料Sの光学像を形成することができる。さらに、面174に加えて面176も入射角θinに対して出射角θexを大きくする屈折面として作用するため、光偏向ユニット160よりもさらに大きさ角度差を生じさせることができる。従って、光偏向ユニット170を含む場合であっても、本実施形態に係る観察装置10bによれば、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。また、光偏向ユニット170の厚さを薄くすることができる点、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる点についても、光偏向ユニット160を含む場合と同様である。さらに、光偏向ユニット170では、複数の面174が光偏向ユニット170の内部に設けられ、外部に露出しない。その結果、平面部分のみを清掃すればよいため、光偏向ユニット170の清掃が容易になる。
図15に示す光偏向ユニット180は、面182と面183を有する支柱181と、支柱181から離間した状態で支持されたリニアプリズム板184を備えている。なお、リニアプリズム板184は、リニアプリズム板163と実質的に同じものであってもよく、光軸と交差する方向に整列した複数の屈折面である面186と、面183と向かい合う面185を含んでいる。
光偏向ユニット180でも、面186が、面164と同様に作用することで、入射角θinと出射角θexとの角度差を生み出すことができる。また、光偏向ユニット180には、ミラーを含む反射面の代わりに、フレネル反射を生じさせる複数の反射面(面185、面183、面182)が設けられている。これらの反射面が、反射面162と同様に作用することで、光を透過窓11に向けて偏向することができる。
このため、光偏向ユニット180を含む場合であっても、本実施形態に係る観察装置10bによれば、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。また、光偏向ユニット180の厚さを薄くすることができる点、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる点についても、光偏向ユニット160を含む場合と同様である。さらに、光偏向ユニット180はフレネル反射によって光を反射する構造を有しているため、観察者は、光偏向ユニット180の上方から光偏向ユニット180を透かして培養容器Cを目視することができる。
図16に示す光偏向ユニット190は、面195を有する支柱191と、支柱191に形成された反射面192と、リニアプリズム板193を備えている。なお、光偏向ユニット190は、反射面192が、例えば、ハーフミラーなどの、入射光の一部を反射し、残りを透過する部分反射ミラー又はスプリッタである点が、光偏向ユニット170とは異なっている。その他の点については、光偏向ユニット190は、光偏向ユニット170と同様である。
このため、光偏向ユニット190を含む場合であっても、本実施形態に係る観察装置10bによれば、光偏向ユニット170を含む場合と同様に、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。また、光偏向ユニット190の厚さを薄くすることができる点、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる点についても、光偏向ユニット170を含む場合と同様である。さらに、光偏向ユニット190は部分反射ミラーによって光を反射する構造を有しているため、観察者は、光偏向ユニット190の上方から光偏向ユニット190を透かして培養容器Cを目視することができる。具体的には、培養容器Cをインキュベータ20内に載置したままインキュベータ20外部からインキュベータの透明な窓を経由して培養容器Cの様子を目視したい場合、インキュベータ20内の下部(ユーザーの目線が光偏向ユニットに被る位置)に培養容器Cおよび光偏向ユニット190が載置されていたとしても、光偏向ユニット190を透かして培養容器Cを目視することができるため、作業者の作業効率が上昇する。
図17に示す光偏向ユニット200は、反射面202が形成されたリニアプリズム板201を含んでいる。リニアプリズム板201は、反射面202に加えて、光軸と交差する方向に整列した複数の屈折面である面203を含んでいる。面203の各々は、光偏向ユニット200へ入射した光を屈折する光軸に対して傾斜した屈折面であり、反射面202と透過窓11の間の光路上に設けられている。
光偏向ユニット200は、リニアプリズム板201に形成された反射面202が光偏向ユニット160の支柱161に形成された反射面162と同様に作用し、面203が光偏向ユニット160の面164と同様に作用することで、入射角θinと出射角θexとの角度差を生み出すことができる。
このため、光偏向ユニット200を含む場合であっても、本実施形態に係る観察装置10bによれば、光偏向ユニット160を含む場合と同様に、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。また、リニアプリズム板201の表面に反射面を形成することで、光偏向ユニット200の厚さをさらに薄くすることができる。なお、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる点については、光偏向ユニット160を含む場合と同様である。
図18に示す光偏向ユニット210は、リニアプリズム板211を含んでいる。リニアプリズム板211は、光軸と交差する方向に整列した複数の反射面である反射面212と、屈折面である面213を含んでいる。反射面212の各々は、光軸に対して傾斜した反射面であり、光偏向ユニット210では、反射面212で光を反射することで、入射角θinと出射角θexとの角度差を生み出すことが可能であり、さらに、面213によってその角度差を広げることができる。
このため、光偏向ユニット210を含む場合であっても、本実施形態に係る観察装置10bによれば、光偏向ユニット160を含む場合と同様に、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。また、リニアプリズム板211の表面に反射面を形成することで、光偏向ユニット210の厚さをさらに薄くすることができる点、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる点については、光偏向ユニット200を含む場合と同様である。
図19に示す光偏向ユニット220は、リニアプリズム板221を含んでいる。リニアプリズム板221は、光軸と交差する方向に整列した複数の反射面である反射面222と、面223を含んでいる。反射面222が透過窓11と向かい合うように設けられている点を除き、光偏向ユニット220は、光偏向ユニット210と同様である。反射面222が傾斜している向きも、光偏向ユニット210の反射面212が傾斜している向きと同じである。即ち、反射面212が水平方向に対して上向きに傾斜している場合であれば、反射面222は水平方向に対して上向きに傾斜している。光偏向ユニット220では、反射面222で光を反射することで、入射角θinと出射角θexとの角度差を生み出すことが可能である。
このため、光偏向ユニット220を含む場合であっても、本実施形態に係る観察装置10bによれば、光偏向ユニット210を含む場合と同様に、高いコントラストで試料Sを可視化することが可能であり、試料Sを収容する培養容器によらず、観察装置10bの高い観察性能を発揮することが可能となる。従って、標準的な培養容器Cに限らず、任意の培養容器に収容された試料を良好に観察することができる。また、リニアプリズム板221の表面に反射面を形成することで、光偏向ユニット220の厚さをさらに薄くすることができる点、観察位置によらず同じ条件で試料Sを観察することができる点についても、光偏向ユニット210を含む場合と同様である。
[第4の実施形態]
図20は、本実施形態に係る観察装置10cの構成を例示した図である。図21は、光偏向ユニットの構成の更に別の例を説明するための図である。図3を参照しながら上述したように、培養容器の上面での反射光を頼りに試料Sを可視化すると、培養容器の高さが高くなりすぎるとコントラストが低下してしまう。しかしながら、培養容器の高さが低いほどよいというものでもない。培養容器の高さが低すぎると、培養容器の上面での反射光では十分な範囲を照明することができないため、撮像ユニット15の視野全体を観察することができなくなってしまう。特に、視野が広い比較的低倍の観察倍率を有する撮像ユニット15が用いられる場合には、この課題は顕著に発生する。本実施形態に係る観察装置10cは、このような技術的な課題を、光偏向ユニット230を用いることで解決する。
本実施形態に係る観察装置10cは、光偏向ユニット100の代わりに図21に示す光偏向ユニット230を含む点が、第1の実施形態に係る観察装置10とは異なっている。より詳細には、観察装置10c及び光偏向ユニット230は、光偏向ユニット230への入射角θinよりも光偏向ユニット230からの出射角θexを小さくする点が、観察装置10及び光偏向ユニット100とは異なっている。
図21に示す光偏向ユニット230は、面233を有する支柱231と、支柱231に形成された反射面232と、リニアプリズム板234を備えている。なお、光偏向ユニット230は、リニアプリズム板234が光偏向ユニット170のリニアプリズム板173とは左右反転した向きに向けられている点が光偏向ユニット170とは異なっている。即ち、光偏向ユニット230では、反射面232に近接してそれぞれ屈折面として機能する複数の面235が設けられていて、水平な面236が透過窓11に向けられている。なお、面235が傾斜している向きは、光偏向ユニット170の面174が傾斜している向きとは反対である。面174が水平方向に対して上向きに傾斜している場合であれば、面235は水平方向に対して下向きに傾斜している。この向きの違いが、面174が入射角θinに対して出射角θexを大きくするように光に作用するのに対して、面235が入射角θinに対して出射角θexを小さくするように光に作用するという違いを生じさせる。
本実施形態に係る観察装置10cでは、光偏向ユニット230で入射角θinに対して出射角θexを小さくすることで、光偏向ユニット230の高さを培養容器C2に合わせて低くした場合であっても、十分な照明範囲を確保することが可能となる。従って、観察装置10cによれば、観察装置10cの性能を十分に発揮して、高いコントラストを維持しながら視野全体を観察することができる。さらに、光偏向ユニット230の高さを抑えることができるため、観察装置10c全体を小型化することができる。
なお、以上では、観察装置10cが光偏向ユニット230を含む例を示したが、観察装置10cは、光偏向ユニット230の代わりに、入射角θinに対して出射角θexを小さくする他の光偏向ユニットを含んでもよい。そのような光偏向ユニットは、例えば、光偏向ユニット230のように屈折面が入射角θinに対して出射角θexを大きくする光偏向ユニットとは反対向きに傾斜したものであってもよい。また、反射面が入射角θinに対して出射角θexを大きくする光偏向ユニットとは反対向きに傾斜したものであってもよい。さらに、それらの組み合わせであってもよい。また、そのような光偏向ユニットは、図22に示す光偏向ユニット240のように屈折面が入射角θinに対して出射角θexを大きくする光偏向ユニットとは同じ向きに傾斜したものであってもよい。また、反射面が入射角θinに対して出射角θexを大きくする光偏向ユニットとは同じ向きに傾斜したものであってもよい。
なお、図20では、培養容器の高さに合わせて光偏向ユニットの高さを低くしてコンパクトに構成した場合であっても十分な広い視野を確保可能な構成として、入射角θinに対して出射角θexを小さくする光偏向ユニット230を含む観察装置10cを例示したが、入射角θinに対して出射角θexを小さくする光偏向ユニットを含む観察装置は、図22に示す観察装置10dのように、試料を収容する部分の面積の小さな培養容器C3(例えば、1ウェル当たりの面積が小さいマルチウェルプレートなど)を使用する場合に用いられてもよい。
マルチウェルプレートが用いられる場合には、光偏向ユニットで偏向された光が大きな出射角を有すると、撮像ユニット15に入射する前にウェルの側面などで遮られてしまう。一方で、光源ユニット14と撮像ユニット15の間にはある程度の距離が必要であり、この距離を調整して光偏向ユニットへの入射角を小さくするのにも限界がある。このため、小さな出射角を実現するためには、光偏向ユニット240のように、入射角よりも小さな出射角を実現する構成を用いることが望ましく、マルチウェルプレートが用いられる場合には、光偏向ユニット240を有する観察装置10dが好適である。
具体的に説明すると、図22に示す観察装置10dでは、光源ユニット14から出射した照明光は、観察対象の試料が収容されたウェルと撮像ユニット15の間の隙間を通って、撮像ユニット15(光学系18)の光軸を横切って進行し、比較的大きな角度で光偏向ユニット240に入射する。光偏向ユニット240に入射した照明光は、その後、リニアプリズム板244で光軸に対する角度が小さくなるように屈折し、支柱241に形成された反射面242で反射する。反射面242で反射した照明光は、リニアプリズム板244の表面で光軸に近づく方向に屈折し、入射時よりも撮像ユニット15(光学系18)の光軸に対して小さな角度で出射する。
このように、リニアプリズム板244の表面の法線に対して大きな角度で照明光を入射させてリニアプリズム板244で照明光を大きく屈折させることで、照明光の光軸に対する角度を小さくし、且つ、元来た方向に戻すことができる。照明光を小さな角度で元来た方向に戻す上記の構成は、試料を収容する部分の面積の小さな培養容器の場合であっても容器の側面に干渉することなく撮像ユニット15とウェルの間の狭い隙間から照明光を光学系18に戻すことが可能である。このため、マルチウェルプレートのような培養容器を用いる場合に特に好適である。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態を変形した変形形態および上述した実施形態に代替する代替形態が包含され得る。つまり、各実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形することが可能である。また、1つ以上の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、新たな実施形態を実施することができる。また、各実施形態に示される構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよく、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加してもよい。さらに、各実施形態に示す処理手順は、矛盾しない限り順序を入れ替えて行われてもよい。即ち、本発明の観察装置、光偏向ユニット、及び、像形成方法は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
上述した実施形態では、反射面を有する光偏向ユニットを例示したが、光偏向ユニットは、反射面の代わりに、回折格子、例えば、反射型の回折格子が用いられてもよい。反射型の回折格子により光偏向ユニットへ入射した光を大きく偏向してもよい。回折格子を用いることで、大きく傾斜した反射面を有する場合に比べて、光偏向ユニットの厚さを薄くすることが可能である。
上述した実施形態では、培養容器がディッシュやフラスコなど特定の形状を有する例を説明したが、培養容器の上面での反射光に頼ることなく試料を可視化することができるため、培養容器は、その形状が様々に変化するものであってもよく、例えば、透明又は半透明なバッグなどであってもよい。特に容器形状がフレキシブルに変化するバッグを採用する場合、筐体や光偏向ユニットにバッグの位置決め用部材を設置しても良い。これにより、安定した観察が可能となる。
図23は、光偏向ユニットの使用方法について説明する図である。上述した実施形態では、光偏向ユニットが観察装置に含まれる例を示したが、光偏向ユニットは、観察装置と共に使用されればよく、観察装置の構成要素でなくてもよい。例えば、光偏向ユニット250は、図23に示すように、観察装置10を構成しない補助器具であってもよく、観察装置10とは別に単独で市場に流通してもよい。光偏向ユニット250は、培養容器Cの上面に載せた状態で使用されてもよく、光偏向ユニット100から光偏向ユニット230の同様に、筐体12内から筐体12外へ出射した光を、望ましい角度で再び筐体12内に導くことができる。なお、光偏向ユニット250は、複数の培養容器Cを積み重ねる際に使用される補助器具として使用されてもよい。
本明細書において、“Aに基づいて”という表現は、“Aのみに基づいて”を意味するものではなく、“少なくともAに基づいて”を意味し、さらに、“少なくともAに部分的に基づいて”をも意味している。即ち、“Aに基づいて”はAに加えてBに基づいてもよく、Aの一部に基づいてよい。
本明細書において、“実質的に”という用語は、その用語によって修飾される特徴が有する利点が発揮される程度に十分に近いことを意味している。例えば、“実質的に平行”という表現は、完全な平行に限らず、平行によって得られる利点が発揮される程度に略平行なことを意味している。
本明細書において、名詞を修飾する“第1の”、“第2の”などの用語は、名詞で表現される要素の量又は順序を限定するものではない。これらの用語は、2つ以上の要素間を区別するために用いられ、それ以下でもそれ以上でもない。従って、“第1の”と“第2の”要素が特定されていることは、“第1の”要素が“第2の”要素に先行することを意味するものではなく、また、“第3の”要素の存在を否定するものでもない。
1・・・システム、10、10a、10b、10c、10d・・・観察装置、11・・・透過窓、12・・・筐体、14・・・光源ユニット、15・・・撮像ユニット、16・・・光源、17・・・拡散板、18・・・光学系、19・・・撮像素子、20・・・インキュベータ、30・・・制御装置、40、50・・・クライアント端末、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250・・・光偏向ユニット、102、113、123、132、142、152、162、172、192、202、212、222、232、242・・・反射面、143、153・・・プリズム、163、173、184、193、201、211、221、234、244・・・リニアプリズム板、C、C1、C2、C3・・・培養容器、L1、L2・・・光線束、P・・・点、PL・・・瞳、S・・・試料

Claims (15)

  1. 透過窓を有する筐体と、
    前記筐体に収容された撮像ユニットであって、撮像素子と、前記撮像素子上に前記透過窓に載置された容器内の試料の像を形成するために前記透過窓を透過することによって前記筐体内に入射した光を集光する光学系と、を含む前記撮像ユニットと、
    前記筐体に収容された光源ユニットであって、前記光学系を経由することなく前記筐体外へ向けて光を出射する前記光源ユニットと、
    前記光源ユニットから前記筐体外へ出射した光を前記透過窓へ向う第1の方向へ偏向する光偏向ユニットであって、前記第1の方向と前記光学系の光軸との間の角度である出射角は、前記筐体外へ出射した光が前記光偏向ユニットへ入射する第2の方向と前記光軸との間の角度である入射角とは異なる、という前記光偏向ユニットと、を備える
    ことを特徴とする観察装置。
  2. 請求項1に記載の観察装置において、
    前記光偏向ユニットで前記第1の方向へ偏向した光であって前記試料上の一点を通過する光からなる光線束は、前記光学系の瞳面において、前記光学系の瞳の外縁を跨って分布する
    ことを特徴とする観察装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の観察装置において、
    前記出射角は、前記入射角よりも大きい
    ことを特徴とする観察装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の観察装置において、
    前記出射角は、前記入射角よりも小さい
    ことを特徴とする観察装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の観察装置において、
    前記光偏向ユニットは、前記光偏向ユニットへ入射した光を反射する少なくとも1つの反射面を含む
    ことを特徴とする観察装置。
  6. 請求項5に記載の観察装置において、
    前記少なくとも1つの反射面は、前記光軸に対して傾斜した反射面を含む
    ことを特徴とする観察装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の観察装置において、
    前記光偏向ユニットは、さらに、前記少なくとも1つの反射面の前記光軸に対する角度を調整する調整部を含む
    ことを特徴とする観察装置。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の観察装置において、
    前記光軸に対して傾斜した前記反射面は、基材表面に形成された、金属薄膜ミラー又は誘電体多層膜ミラーを含む
    ことを特徴とする観察装置。
  9. 請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の観察装置において、
    前記光偏向ユニットは、さらに、前記光偏向ユニットへ入射した光を屈折する少なくとも1つの屈折面を含み、
    前記少なくとも1つの屈折面は、前記少なくとも1つの反射面と前記透過窓の間の光路上に設けられる
    ことを特徴とする観察装置。
  10. 請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の観察装置において、
    前記光偏向ユニットは、さらに、前記光軸と交差する方向に整列した複数の屈折面を有するプリズム板を含み、
    前記複数の屈折面の各々は、
    前記光偏向ユニットへ入射した光を屈折する、前記光軸に対して傾斜した屈折面であり、
    前記少なくとも1つの反射面と前記透過窓の間の光路上に設けられる
    ことを特徴とする観察装置。
  11. 請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の観察装置において、
    前記少なくとも1つの反射面は、前記光軸と交差する方向に整列した複数の傾斜した面を含むことを特徴とする観察装置。
  12. 請求項10または請求項11に記載の観察装置において、
    前記少なくとも1つの反射面は、入射光の一部を反射し、残りを透過する部分反射ミラー又はスプリッタである
    ことを特徴とする観察装置。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の観察装置において、
    前記光偏向ユニットは、さらに、前記透過窓とは対向しない第1の面を含み、
    前記第1の面の少なくとも一部は、前記透過窓と平行な平面である
    ことを特徴とする観察装置。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の光偏向ユニット。
  15. 筐体内から前記筐体外へ向けて光を出射し、
    前記筐体外へ出射した光を前記筐体の透過窓へ向う第1の方向へ光偏向ユニットで偏向し、
    撮像素子上に前記透過窓に載置された容器内の試料の像を形成するために、前記透過窓を透過することによって前記筐体内に入射した光を前記筐体内の光学系で集光し、
    前記第1の方向と前記光学系の光軸との間の角度である出射角は、前記筐体外へ出射した光が前記光偏向ユニットへ入射する第2の方向と前記光軸との間の角度である入射角とは異なる
    ことを特徴とする像形成方法。
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