JP2022018535A - 電着塗料用組成物、水性電着塗料および電着塗装方法 - Google Patents

電着塗料用組成物、水性電着塗料および電着塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 入り組んだ複雑な形状の塗装面であっても熱伝導性、放熱性、絶縁性および耐熱性を付与することができる電着塗料用組成物、水性電着塗料、塗装方法とその塗装物を提供する。【解決手段】 真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~1000nmのセラミックス微粒子と、親水性樹脂とからなり、セラミックス微粒子と親水性樹脂との合計量に対してセラミックス微粒子が30~80重量%、親水性樹脂が20~70重量%含有されてなることを特徴とする電着塗料用組成物、ならびに該電着塗料用組成物が、中和剤水溶液中に、分散状態で含有されてなることを特徴とする水性電着塗料および前記水性電着塗料を用いて導体に電着塗装をすることを特徴とする電着塗装方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、電着塗料用組成物、水性電着塗料および電着塗装方法に関する。
従来、被塗装物に放熱性を付与する手法としては、アルミ軽合金にアルマイト処理を施し、表面積の大きいフィン形状を構成する方法(たとえば、特許文献1)、ビヒクル中にSnO-Sb系半導体粒子を分散させた塗料を塗布する方法(たとえば、特許文献2)などがある。また、セラミックス微粒子5~50重量%と、親水性樹脂50~95重量%とが配合されてなる電着塗料用組成物が知られている(特許文献3)。
特開2004-43612号公報 特開2001-230580号公報 特開2012-36314号公報
特許文献1の方法は、材料選択の幅や、部品が占有するスペースに制約がある。特許文献2の方法は、特定の半導体粒子を用いるので高価であり、さらに吹き付け塗装に用いるので入り組んだ形状には適用ができない。また半導体粒子を配合しているので電気絶縁性がなく電気電子部品には適用しづらい。特許文献3の電着塗料用組成物は、優れた耐熱性と放熱性を有するが、なお改善しうるものといえる。
本発明者らは、電着塗料におけるセラミックス微粒子粒子の作用について鋭意研究を重ねた結果、従来から広く工業用に使用されているセラミック微粒子の形状に問題があることを突き止めた。
すなわち、従来のセラミックス微粒子は、数十nm数十μmの不定形の粒子であり、粒子の界面が多くなることで粒子間の熱抵抗が大きくなり放熱性能が不十分であること、また100nm以下の粒子になると粒子の比表面積が大きくなり、樹脂組成物の粘度が上昇し多量に混合することが困難になり2次凝集や沈降が生じ塗料として適していないこと、さらに粒子径が1000nm以上になると、塗膜表面の凹凸が大きくなり、電着膜厚10~50μmでは緻密な塗膜が得られず絶縁性が低下することを見出した。
そして、形状と粒子径とが特定の範囲にあるセラミックス微粒子と樹脂とを塗料として用いることにより、熱伝導性、放熱性、絶縁性および耐熱性に優れた塗料が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の目的は、入り組んだ複雑な形状の塗装面であっても熱伝導性、放熱性、絶縁性および耐熱性を付与することができる電着塗料用組成物、水性電着塗料、塗装方法とその塗装物を提供することである。
本発明は、真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~1000nmのセラミックス微粒子と、親水性樹脂と、からなり、セラミックス微粒子と親水性樹脂との合計量に対してセラミックス微粒子が30~80重量%、親水性樹脂が20~70重量%含有されてなることを特徴とする電着塗料用組成物である。
また、本発明は、親水性樹脂が、酸性基を有する親水性樹脂および塩基性基を有する親水性樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする。
また、本発明は、前記親水性樹脂に、さらにポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂および熱架橋イミド樹脂の少なくとも1種が配合されてなることを特徴とする。
また、本発明は、前記電着塗料用組成物が、中和剤水溶液中に、分散状態で含有されてなることを特徴とする水性電着塗料である。
また、本発明は、前記水性電着塗料を用いて導体に電着塗装をすることを特徴とする電着塗装方法である。
本発明によれば、真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~1000nmのセラミックス微粒子と、親水性樹脂とを含み、セラミックス微粒子と樹脂との合計量に対してセラミックス微粒子が30~80重量%、親水性樹脂が20~70重量%含有されてなることによって、これを電着用塗料として用いた場合には、熱伝導性、放熱性、絶縁性および耐熱性に優れた塗膜が得られる。
これにより、熱負荷が大きい場合でも優れた絶縁性を示すことができるので、熱交換器、電子部品、モーター、コイル、自動車の電装部品、排気部材などに用いた場合には長期にわたり、信頼性を発揮することができる。
また、本発明によれば、親水性樹脂が、酸性基または塩基性基を含有するので、塩基性の中和剤または酸性の中和剤を含む水に分散させることが可能である。
さらに、本発明は、酸性基または塩基性基を含有する親水性樹脂に、さらにポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂および熱架橋イミド樹脂の少なくとも1種を加えた樹脂であるので、絶縁特性、耐熱性、耐薬品性、電気特性といった塗膜の一般的な性質を発現することができる。
また、本発明は、中和剤含有水溶液に、電着塗料用組成物が分散状態で含有されているので、中和剤により、安定した水性電着塗料とすることができる。
すなわち、本発明の親水性樹脂が酸性基を有する親水性樹脂であるときは、塩基性の中和剤を含む水に分散させることにより、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を含む塗料用組成物を水に分散して水性電着塗料とすることができ、該水性電着塗料は電気伝導性を有する固体に電着塗装が可能であり、塗装された物に熱伝導性、放熱性および電気絶縁性を付与することができる。また水性電着塗料を用いるので安全面および環境面においても優れた特性を有している。
また、本発明の親水性樹脂が塩基性基を有する親水性樹脂であるときは、酸性の中和剤を含む水に分散させることにより、熱伝導性および絶縁性を有するセラミックス微粒子を含む樹脂組成物を水に分散して水性電着塗料となる。この水性電着塗料は電気伝導性を有する固体に電着塗装が可能であり、塗装された物は熱伝導性、放熱性および電気絶縁性を有する。また水性電着塗料を用いるので安全面および環境面においても優れた特性を有している。
本発明によれば、導体に電着塗装をする方法は、水性電着塗料が、前記電着塗料用組成物を、中和剤水溶液に分散状態で含有されているので、導体に電着塗装が可能であり、塗装された物に熱伝導性、放熱性および電気絶縁性、耐熱性を付与することができる。
また水性電着塗料を用いるので安全面および環境面においても優れた特性を有している。
本発明の電着塗料用組成物は、真球度が1.0~1.2、かつ平均粒子径100~1000nmのセラミックス微粒子と、親水性樹脂とからなり、セラミックス微粒子と親水性樹脂との合計量に対してセラミックス微粒子が30~80重量%、親水性樹脂が20~70重量%含有されてなるものである。
本発明において、セラミックス微粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡で撮影した電子顕微鏡写真の100個の粒子について、粒子のおよそ中心を通る長径と短径の長さを粒子ごとに計測し、それぞれ長径/短径の比を求め、その算術平均値を真球度とする。
本発明においては、セラミックス微粒子の真球度は1.0~1.2であればよいが、好ましくは真球度が1.0~1.1のものが好ましい。
真球度が1.2を越えると樹脂への分散性が低下し、凝集、沈降が生じやすくなり、塗料の安定性が低下する。また、塗膜として絶縁性も低下し、好ましくない。
また、本発明において、セラミックス微粒子の平均粒子径は、粒度分布D50の値である。D50とは粉黛をある粒子径から2つに分けた時、大きい側と小さい側が等量になる径を言い、レーザー回析/散乱式粒度分布装置LA910(株式会社堀場製作所製)によって測定されたものである。本発明においては、平均粒子径が100~1000nmであればよいが、好ましくは平均粒子径が200~500nmのものが好ましい。100nm以下になると粒子の比表面積が大きくなり、樹脂組成物の粘度が上昇し多量に混合することが困難になり2次凝集や沈降が生じ塗料として適していない。また1000nm以上になると塗膜表面の凹凸が大きくなり、電着膜厚10~50μmにおいて緻密な塗膜が得られず絶縁性が低下する。
さらに、本発明において、前記セラミックス微粒子は、熱伝導性および放熱性にすぐれたものがあげられ、たとえば熱伝導率が1~2,000W/m・Kのものがあげられ、好ましくは5~1,000W/m・Kのものがあげられる。特に好ましくは熱伝導率が10~500W/m・Kのものである。
本発明において、セラミックス微粒子は、前記性状を有するものであれば特に限定されないが、具体例を示すと、たとえば酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、およびこれらの混合物からなる微粒子があげられる。
とりわけ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムおよび窒化ホウ素からなる微粒子が、比較的安価に入手可能であり、熱伝導性が高く、かつ化学的に安定で無害といった観点から好ましい。
本発明において、親水性樹脂は、電着塗料に用いることができるものであれば、特に限定されないが、酸性基を有する親水性樹脂または塩基性基を有する親水性樹脂があげられる。
酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などがあげられ、カルボキシル基が好ましい。
塩基性基としてはアミノ基、アミド基、ピリジル基、ピロリドン基、イミダゾール基、イミノ基などがあげられ、アミノ基が好ましい。
かかる酸性基または塩基性基を有する樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ(チオ)エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースエステル系樹脂などに酸性基または塩基性基を導入した樹脂があげられる。これらのうち、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
かかる親水性樹脂としては、酸性基または塩基性基を有するアクリル共重合体、エポキシアミンアダクト樹脂が好ましい。
アクリル共重合体は酸性基または塩基性基を有する単量体を他の重合性単量体と共重合して得られる。
酸性基を有するアクリル共重合体は、たとえば、カルボキシル基含有単量体(a)、ヒドロキシル基含有有単量体(b)、その他の単官能性単量体(c)を共重合して得られる
カルボキシル基含有単量体(a)としては公知のものが使用でき、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの、分子内にカルボキシル基および重合性二重結合を有する化合物があげられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。カルボキシル基含有単量体は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
ヒドロキシ基含有単量体(b)としては公知のものが使用でき、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ基アルキル、たとえば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル;カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステルなどがあげられる。
カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステルは、カプロラクトンに(メタ)アクリル酸が付加されたものであり、市販品が使用できる。カプロラクトンに(メタ)アクリル酸が付加された市販品としては、たとえば、プラクセルFM1、プラクセルFM2、プラクセルFM3、プラクセルFA1、プラクセルFA2、プラクセルFA3(登録商標、ダイセル化学工業社製)などがあげられる。ヒドロキシ基含有単量体は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル2-ヒドロキシエチルが好ましい。ヒドロキシ基含有単量体は非イオン性であるが共重合体に親水性を付与することができる。ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの両方を言うものとする。
前記他の単官能性単量体(c)としては特に限定はないが、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの炭素数1~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジルなどのアラルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボニル、2-アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレートなどの環状アルキル(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸2-(パーフロロオクチル)エチル、メタクリル酸トリフロロメチルなどのフッ素化アルキル(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどがあげられる。これらはその1種または2種以上を併用できる。
また塩基性基を有するアクリル共重合体は、たとえば、(メタ)アクリル酸のアミノ誘導体(d)、ヒドロキシル基含有単量体(b)、およびその他の単官能性単量体(c)を共重合して得られる。
(メタ)アクリル酸のアミノ誘導体(d)としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミノ誘導体を用いることができる。
ヒドロキシル基含有単量体(b)、およびその他の単官能性単量体(c)は上記のものが使用できる。
アクリル共重合体における単量体の配合量については、上記の単量体(a),(b),(c)または(d),(b),(c)の組み合わせを任意の比率で行うことができる。単量体の配合量としては、たとえば、カルボキシル基含有単量体(a)または(メタ)アクリル酸のアミノ誘導体(d)を5~30重量%、ヒドロキシ基含有単量体(b)を5~30重量%、およびその他の単官能性単量体(c)を40~90重量%含むものが好ましい。重合条件としては通常のアクリル重合の条件が好ましく適用できる。この場合には、公知の水溶性有機溶剤中で行ってもよく、たとえば、全体の40~80重量%の水溶性有機溶剤が用いられる。
重合して得られる酸性基または塩基性基を含有するアクリル共重合体の重量平均分子量は好ましくは1,000~40,000、特に好ましくは2,000~30,000である。重量平均分子量が1,000以上では、水中への分散性が良好であり、電着塗料自体の沈降が生じにくい。40,000以下であると、ゆず肌等の塗装の不良現象が発生せず均一な外観が得られる。なお、該アクリル共重合体の重量平均分子量Mwはゲルパーミエーション(GPC)法で測定でき、たとえば、次のようにして測定できる。
GPC装置(商品名:HLC-8220GPC、東ソー株式会社製)において、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液100mlを注入して測定する。試料溶液としては、アクリル共重合体(乾燥品)の0.25%テトラヒドロフラン溶液を一晩放置して溶解したものを用いる。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成する。
また、エポキシアミンアダクト樹脂としては、エポキシ樹脂のエポキシ基を1級および2級アミンで30~100%変性した誘導体が好ましく使用できる。反応には全体の40~80重量%の水性有機溶剤に溶解させたものを用いることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名:エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009(いずれも三菱ケミカル株式会社製)]、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂[商品名:エピコート152、エピコート154(いずれも三菱ケミカル株式会社製)]、グリシジルアミン型エポキシ樹脂[商品名:エピコート604(いずれも三菱ケミカル株式会社製)[、およびダイマー酸型エポキシ樹脂[商品名:エピコート872(いずれも三菱ケミカル株式会社製)]などを用いることができるが、これらに限定されない。
1級アミンとしては、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパ
ノールアミンなどの炭素数1~4のモノアルカノールアミン;ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどの炭素数1~4のモノアルキルアミンを用いることができ、2級アミンとしては、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどの炭素数1~4のジアルカノールアミン;メチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミンなどの炭素数1~4のモノアルカノールアミン;ジエチルアミン、ジn-ブチルアミンなどの炭素数1~4のジアルキルアミンを用いることができるが、これらに限定されない。上記のアルカノールアミンは付加物の親水性を向上するので好適に用いられる。
1級および2級アミンはエポキシ基に反応して付加することができる。配合比率はエポキシ基1等量に1級または2級アミンのHが0.5~1.2等量を用いるのが好ましい。反応は室温~50℃で行うのが好ましい。このようにしてアミノ基が付加したエポキシアミンアダクト樹脂が得られる。
本発明において、真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~1000nmのセラミックス微粒子と親水性樹脂は、それらの合計重量に対して、前記セラミックス微粒子が30~80重量%、前記樹脂が20~70重量%含有されてなるものであり、前記セラミックス微粒子が30重量%未満であると、塗膜に十分な熱伝導性、放熱性が得られず、80重量%を越えるとセラミック微粒子を配合した樹脂が水中に分散あるいは溶解しなくなるので、好ましくない。また、前記親水性が20重量%未満であると、セラミック微粒子を配合した樹脂が水中に分散あるいは溶解しなくなり、70重量%を越えるとセラミック微粒子の共析率が低下し十分な放熱性がえられず、また絶縁性も低下するため、好ましくない。
本発明において、前記親水性樹脂に加えて、さらにポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂および熱架橋イミド樹脂の少なくとも1種を加えた樹脂であってもよい。
かかるイミド系樹脂を加えることにより、上記の電着塗料用組成物の絶縁特性および塗膜の一般的な性質を発現することができ、好ましい。
ポリイミド樹脂としては、たとえば芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとを、有機溶剤中で反応させたのち、脱水閉環反応させてイミド化させた溶剤可溶性イミド樹脂があげられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、たとえば3,4,3’,4’-ベンゾサルホンテトラカルボン酸ジ無水物、3,4,3’,4’-ジフェニルテトラカルボン酸ジ無水物、ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテルジ無水物、2,2-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジ無水物などがあげられる。
芳香族ジアミンとしては、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス-(4-アミノフェノキシ)-ベンゼン、2,2’-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどがあげられる。
さらにはN,N’-m-キシレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-キシレンビスナジイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスアリルナジイミドなどのなどの熱架橋イミド樹脂があげられる。
このうち、ポリアミドイミド樹脂としては、芳香族ジイソシアネートとトリメリット酸無水物を適当な有機溶剤中で等モル反応させた溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂が使用でき、芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5ナフタレンジイソシアネートなどあげられ、このうちジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
これらの樹脂は酸性基を含有する親水性樹脂または塩基性基を含有する親水性樹脂の水酸基、カルボキシル基などの官能基と反応・架橋して、樹脂の性能を強化することができる。
また、本発明においては、これらの架橋樹脂はアクリル共重合体、エポキシアミンアダクト樹脂のいずれにも適用できるが、アクリル共重合体はメラミン樹脂と、エポキシアミンアダクト樹脂はポリイミド樹脂と併用すると樹脂の特性が発揮できるので特に好ましい。これらのメラミン樹脂やポリイミド樹脂の配合量は樹脂合計量に対して好ましくは15~60重量%であり、より好ましくは20~50重量%である。
本発明の電着塗料用組成物は、既知の方法により製造することができる。その1例を示すと、真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~500nmのセラミックス微粒子と、親水性樹脂とを、ガラス等のビーズを混入の上、500~5000rpmで撹拌し、混合完了後はろ過等によりビーズは除去することにより製造することができる。
(水性電着塗料)
本発明の水性電着塗料は、上記本発明の電着塗料用組成物が中和剤水溶液に分散状態で含有されたものであり、中和剤としては、親水性樹脂に対応して、酸性中和剤であってもよく、塩基性中和剤であってもよい。
具体的には、酸性基を有する親水性樹脂と塩基性中和剤との組み合わせが好ましく、塩基性基を含有する親水性樹脂と酸性中和剤との組み合わせが好ましい。
塩基性中和剤としては、たとえばジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、ピリジンなどのアミン系中和剤があげられ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属中和剤があげられる。このうち、アミン系中和剤が好ましい。
酸性中和剤としては、乳酸、酢酸、蟻酸、コハク酸、酪酸、メタンスルホン酸などの有機酸や塩酸、硝酸などの無機酸を用いることができる。このうち、有機酸好ましいのは。
これら中和剤の使用量は、親水性樹脂の酸性基または塩基性基の含有量、樹脂の水への溶解性などに応じて任意に変えることができるが、仕上り電着塗料1リットルに対して好ましくは0.2~8gであり、より好ましくは0.5~7gであり、1~6gが特に好ましい。0.2g以上であると、各親水性樹脂の水溶性化が十分であり、各親水性樹脂が水中で均一に分散する。8g以下であると、中和剤が不純物として残存しにくく、電着塗装ひいては電着塗装後の加熱による硬化塗膜に悪影響を及ぼすおそれがない。
上記のように混合された水性電着塗料は、親水性樹脂と熱伝導性および絶縁性、耐熱性を有する真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~1000nmのセラミックス微粒子間の含浸、濡れ性をもって水中への分散を可能とし、電着塗装することができる。また組成の特性により、有機溶剤の使用量が少なくなることで、安全面および環境面についても優れた特性を有している。
本発明の水性電着塗料は、本発明の電着塗料用組成物に中和剤を加えて混合した後、水に投入して分散して製造してもよいし、中和剤を水に溶解した後、本発明の電着塗料用組成物を投入して分散して製造してもよい。好ましくは前者である。
水性電着塗料における電着塗料用組成物の含有量は、固形分(塗膜形成成分)として、水性電着塗料全量の5~20重量%が好ましく、より好ましくは8~15重量%である。5重量%以上20重量%以下であると、塗料中での各成分の分散状態が安定になり、凝集・沈殿が発生せず、均一な塗膜外観が得られる。
本発明の水性電着塗料は、電着塗装により被塗物に、熱伝導性、絶縁性、放熱性および耐熱性を有するセラミックス微粒子を析出させる。
(電着塗装)
本発明の水性電着塗料を用いる電着塗装方法は、従来の電着塗装方法と同様にして実施できる。たとえば、被塗装物となる導体に必要に応じて脱脂処理および酸洗処理などを施した後、本発明の水性電着塗料に対象基材を浸漬し、通電を行うことによって、対象基材の表面に未硬化の電着塗膜が形成される。この未硬化の電着塗膜が形成された被塗装物を加熱処理することによって、被塗装物表面に硬化した電着塗膜が形成される。
まず、被塗物の弱アルカリ脱脂を行う。弱アルカリ脱脂はたとえば、被塗物の表面にアルカリ水溶液を供給することにより行われる。アルカリ水溶液の供給は、たとえば、被塗物にアルカリ水溶液を噴霧するかまたは被塗物をアルカリ水溶液に浸漬させることにより行われる。アルカリとしては金属の脱脂に常用されるものを使用でき、たとえば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属のリン酸塩などがあげられる。アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は、たとえば、処理する金属の種類、汚れの度合いなどに応じて適宜決定される。さらにアルカリ水溶液には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤の適量が含まれていてもよい。脱脂は、20~50℃程度の温度下(アルカリ水溶液の液温)に行われ、1~5分程度で終了する。その他、酸性浴に浸漬する脱脂、気泡性浸漬脱脂、電解脱脂などを適宜組み合わせて実施することもできる。ついで、被塗物を水洗する。
さらに、濃度1%の硝酸で中和(酸洗処理)を行う。酸洗処理は、たとえば、被塗物の表面に酸水溶液を供給することにより行われる。酸水溶液の供給は、脱脂処理におけるアルカリ水溶液の供給と同様に、被塗物への酸水溶液の噴霧、酸水溶液への浸漬などにより行われる。酸としては金属の酸洗に常用されるものを使用でき、たとえば、硫酸、硝酸、リン酸などがあげられる。酸水溶液中の酸濃度は、たとえば、被処理金属の種類などに応じて適宜決定される。酸洗処理は、20~30℃程度の温度下(酸水溶液の液温)に行われ、15~60秒程度で終了する。脱脂処理および酸洗処理のほかに、スケール除去処理、下地処理、防錆処理などを施してもよい。ついで被塗物を水洗し、イオン交換水洗する。
ついで電着塗装を行う。電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、本発明の水性電着塗料を満たした通電槽中に被塗物を完全にまたは部分的に浸漬して陽極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、被塗物である導体の種類、電着塗料の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られる被塗物の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(電着塗料温度)10~50℃程度、印加電圧10~450V程度、電圧印加時間1~10分程度、水性電着塗料の液温10~45℃とすればよい。
さらに水洗し、乾燥する。電着塗装が施された被塗物を、通電槽から取り出し、水洗後、乾燥する。
ついで焼き付けを行う。焼き付けは、予備乾燥と硬化加熱とを含む。予備乾燥後に硬化加熱が行われる。予備乾燥は、60~140℃程度の加熱下に行われ、3~30分程度で終了する。硬化加熱は、150~220℃程度の加熱下に行われ、10~60分程度で終了する。このようにして、本発明の水性電着塗料による電着塗膜が得られる。
本発明における被塗物は、金属はもちろんのことであるが、シリコン、チタン酸インジウムなど半導体、電気伝導性セラミックス微粒子など、電気伝導性を有するすべての導体に適用できる。すなわち、対象基材は、電着塗装ができれば限定はないが、ステンレススチール(SUS304)、アルミニウムもしくはアルマイトを施したアルミニウム素材、めっき素材またはめっきを施した物品、ダイカストなどにも適用できる。
めっき素材としては、この分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、純鉄、炭素鋼、高抗張力鋼(低合金鋼、マルエージング鋼)、磁性鋼、非磁性鋼、高マンガン鋼、ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、オーステナイト・フェライト系ステンレス、析出硬化型ステンレスなど)、超合金鋼などの鉄系金属、銅および銅合金(無酸素銅、りん青銅、タフピッチ銅、アルミ青銅、ベリリウム銅、高力黄銅、丹銅、洋白、黄銅、快削黄銅、ネバール黄銅など)、鉄・ニッケル合金、ニッケル・クロム合金、ニッケル、クロム、アルミニウムおよびアルミニウム合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびこれらの合金、モリブデン、タングステンおよびこれらの合金、ニオブ、タンタルおよびこれらの合金、セラミックス微粒子類(アルミナ、ジルコアなど)などがあげられる。めっき素材表面に施されるめっきの種類は特に制限されず、この分野で常用されるめっきをいずれも採用できる。
たとえば、銅・ニッケル・クロムめっき、ニッケル・ボロン・タングステンめっき、ニッケル・ボロンめっき、黄銅めっき、ブロンズめっきなどの各種合金めっき、金めっき、銀めっき、銅めっき、錫めっき、ロジウムめっき、パラジウムめっき、白金めっき、カドミウムめっき、ニッケルめっき、クロムめっき、黒色クロムめっき、亜鉛めっき、黒色ニッケルめっき、黒色ロジウムめっき、亜鉛めっき、工業用(硬質)クロムめっきなどがあげられる。また、ダイカストとしては、亜鉛ダイカスト、アルミニウムダイカスト、マグネシウムダイカストおよび焼結合金ダイカストなどがあげられる。
さらに、本発明において、被塗物としては、電着塗装が可能なものであれば、特に限定されない。たとえば、電子部品、具体的にはトランジスタ、ダイオード等の半導体素子、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、トランス等の受動素子(チップ部品)、電磁石、ソレノイド、電気モータ、リレー、スピーカー、メーター等の電磁石関係部品、水晶振動子、セラミック発信子等の圧電素子、電線、プリント配線板、コネクタ、ソケット、プラグ、スイッチ等の配線関係部品、テストプローブ、プローブガイド、検査用テストピン、検査用ベース材、電気接点等の電子部品検査用装置部材、LED、電球、蛍光灯、ヒーター、電熱線、ヒューズ、アンテナ、ヒートシンク、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の2次電池、直流モータ、ユニバーサルモータ、同期モータ、誘導モータ等の交流モータ、ステッピングモータなどのモータ、トロイダルコイル、チョークコイル、エッジワイズコイル、リアクトルコイルなどのコイル関係部品、自動車の内燃機関の排気通路、吸気通路、それらを接続する排気再循環通路、該通路に設置される、排気循環流量調整弁、それを収納する金属製の排気再循環筐体、それらに使用される配管部品、圧力センサ等の電子部品、電子機器、電子部品、電子機器を保護するケース、カバー部品などの排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)EGRユニット、ラジエータ、インタークーラー、オイルクーラー(エンジンオイル用/ステアリング用/トランスミッション用/デフ用パワーテイクオフ用/)、エバポレーター、コンデンサ(凝縮器)、ヒーターコア、空冷エンジンのヒートエクスチェンジャー(暖房用排気熱交換器)などの熱交換器、モータ、発電機など電気機器に用いられる軸受け、それらの・電子部品、電子機器、を収納するケース、カバー部品、検査用部品などがあげられる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[親水性樹脂(A-1)の合成]
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル43gを加熱還流し、撹拌下に、アクリル酸5g、メタクリル酸メチル20g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル30g、アクリル酸n-ブチル20g、スチレン25gおよび重合開始剤であるベンゾインパーオキサイド1gの混合物を8分割し、10分間隔で滴下する。70~80℃で5~6時間反応させ、その後、ベンゾインパーオキサイドを0.1g添加し、さらに約1時間モノマー臭がなくなるまで還流させ、固形分濃度:70%、粘度:20,000mPa・s(25℃)、酸価:35の淡黄色透明な樹脂溶液を得た。
[親水性樹脂(A-2)の合成]
エピコート1001(エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量:474)500gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル300gの混合物を90℃に保ち、撹拌下にジエタノールアミン180gを60分で滴下した。滴下終了後120℃にて90分間加熱し、固形分濃度:70%、粘度:13,000mPa・s(25℃)、MEQ:180の黄色透明なエポキシアミンアダクト樹脂溶液を得た。
上記樹脂溶液を70重量部、前記親水性樹脂を100重量部、トリレンジイソシアネート三量体20重量部を混合させたものを、親水性樹脂(A-2)とした。
[ポリイミド樹脂(B-1)の合成]
3,4,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物0.5モルとビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン0.5モルとをN-メチルピロリドンで不揮発分20%に希釈し、25℃にて24時間撹拌した。得られたポリアミド酸にトルエンを30g添加し140℃で4時間還流させて脱水閉環反応を行い、トルエンとの脱水反応にて生成した水を反応系外に除去し、固形分濃度:20%、対数粘度:0.6の褐色透明なポリイミド樹脂溶液(B-1)を得た。
[ポリアミドイミド樹脂(B-2)の合成]
N-メチルピロリドン(NMP)127gと4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート69g(0.28モル)と無水トリメリット酸58g(0.3モル)の混合物を、撹拌下に、150℃で3時間反応させて末端が-COOH基である芳香族ポリアミドイミド(PAI)溶液(PAI/NMP=50/50%)(B-2)を得た。
(実施例1~4および比較例1~3)
(1)塗料製造
実施例1~4および比較例1、2については、上記に得られた親水性樹脂と熱伝導性および絶縁性、耐熱性を有する真球度が1.0~1.2かつ平均粒子径100~500nmのセラミックス微粒子をそれぞれ適量混合し、中和剤で水中に分散させた。実施例ごとの樹脂量、中和剤量、攪拌条件を表1に示した。また、作成した水性電着塗料のpH、塗料の電導度についても表1に示した。
比較例3は、親水性樹脂A-2のみで塗料作製したものである。なお、表1中の数値は、水性電着塗料1リットル中に含まれるグラム数である。
(2)電着塗装実験
次に、試験片への電着塗装を行った。
実施例1~4および比較例1~3の水性電着塗料を1リットル槽に入れ、液温を25℃に保持する。陽極にカーボン板を使用し、陰極に試験片であるSUS304板(50×50mm)を使用して電着塗装を行った。
まず、銅板を50℃で5分間の弱アルカリ脱脂を行い、水洗した。ついで、濃度1%の硝酸を用いて室温で1分間の中和を行い、水洗した。さらに、イオン交換水洗を行い、電圧100Vで1分間の電着塗装を行った。水洗し、乾燥(100℃で15分間)した後、最後に180℃で、30分間の焼付を行った。
塗装膜の一般評価項目は、膜厚(JIS K5600-1-7)、外観(目視)、碁盤目剥離試験(JIS K 5600-5-6)、鉛筆硬度(JIS K 5600-5-4)、耐熱試験を行い、評価した。
耐熱試験:安全扉(爆発ベント)付恒温器(型式:SPHH-102、エスペック株式会社社製)中に、各実施例で得られた銅部材用塗膜を有する試験片を静置し、180℃で所定時間維持して、塗膜の状態を目視で確認するとともに、絶縁破壊電圧変化を、耐電圧試験器(MODEL 8526、鶴賀電機株式会社製)で測定した。
放熱特性は膜厚10μmにして以下のものについて測定した。比較対象としてアルマイト処理を施したアルミ板、銅板も同時に用いた。
(i)試料温度を100℃、波数4000cm-1~400cm-1での平均放射率
(ii)試料を所定温度まで加熱、10分間保持し、常温状態に5分間放置後の熱源温度を測定した。
Δt:(熱源初期温度)-(5分間放置後の熱源温度)
Δt値が大きい程、熱が伝達し放射していることから放熱効果に優れている。
結果は、表1に示すとおりである。
Figure 2022018535000001
表1において、TEAは、トリエチルアミン、DBNは、4,4-ジフェニルメタンビスアリルナジイミド、加熱後絶縁性は180℃、1000時間後の絶縁性、赤外線放射率は(平均値)、*は、塗膜にクラック発生をそれぞれ表す。
実施例1~4および比較例1~3の塗料において、膜厚については30~33μmであった。外観に関しては、実施例1~4および比較例3の塗料については平滑であったが、真球度が1.0~1.2かつ平均粒子径100~1000nmのセラミック微粒子を用いていない比較例1,2に関しては平滑な外観は得られなかった。鉛筆硬度については実施例1~4および比較例1~3の塗料については5Hであった。
耐熱絶縁性、耐熱性については実施例1~4は初期及び耐熱試験後の絶縁性、耐熱性は良好であった。
比較例1は真球状であるが、平均粒子径が本発明の範囲外の微粒子では外観/絶縁性、耐熱性が求める特性が得られず、比較例2の真球度および平均粒子径が請求項範囲外の微粒子では外観/絶縁性、耐熱性/耐熱性が求める特性が得られなかった。比較例3のセラミック微粒子を配合しない組成では求める放熱特性が得られなかった。
放熱特性は、比較対象のアルマイト処理を施したアルミニウム板、銅板については、次のとおりであった。アルミニウム板は、赤外線平均放射率が0.86、熱源90℃時の試料温度が76℃(Δt=14℃)、熱源150℃時の試料温度が128℃(Δt=22℃)であり、銅板は、赤外線平均放射率が0.1、熱源90℃時の試料温度が86℃(Δt=4℃)、熱源150℃時の試料温度が140℃(Δt=10℃)であった。
赤外線放射率、熱源温度と試料温度の差(Δt)において実施例1~4はアルマイト板と同等以上の放射率を示した。
以上のように本発明の水性電着塗料は、本来放熱性の無い金属、半導体および電気伝導性セラミックス微粒子に放熱性、熱伝導性を付与しかつ絶縁性、耐熱性、耐熱性を提供することが可能である。具体的には車載用電子部品、電子部品と接合するバスバー等の接合部品、電子部品を収納、保護するケース、カバー部品に適用できる熱伝導性、放熱性、絶縁性、耐熱性、耐熱性を有する電着塗料組成物、水性電着塗料、電着塗装する方法及び塗装物を提供できる。また安全面および環境面においても優れた特性を有している。

Claims (5)

  1. 真球度が1.0~1.2、平均粒子径が100~1000nmのセラミックス微粒子と、親水性樹脂と、からなり、
    セラミックス微粒子と親水性樹脂との合計量に対して、セラミックス微粒子が30~80重量%、親水性樹脂が20~70重量%含有されてなることを特徴とする電着塗料用組成物。
  2. 親水性樹脂が、酸性基を有する親水性樹脂および塩基性基を有する親水性樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電着塗料用組成物。
  3. 親水性樹脂に、さらにポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂および熱架橋イミド樹脂の少なくとも1種が配合されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電着塗料用組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の電着塗料用組成物が、中和剤水溶液中に分散状態で含有されてなることを特徴とする水性電着塗料。
  5. 請求項4記載の水性電着塗料を用いて導体に電着塗装することを特徴とする電着塗装方法。
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