JP2022018441A - 光学膜とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視波長域の透過性と電波透過性を有しながら、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の光学膜とその製造方法を提供する。【解決手段】基材100上に成膜されたセシウムタングステン複合酸化物から成る光学膜において、該光学膜が、表面側に位置する厚さ20nm~60nmの表面層101と基材100側に位置する内部層102とで構成され、上記表面層101の屈折率nと消衰係数kが特定の数値範囲(近赤外波長域の消衰係数kが大きい)に設定され、かつ、上記内部層102の屈折率nと消衰係数kが特定の数値範囲(近赤外波長域の消衰係数kが小さい)にそれぞれ設定されていることを特徴とし、近赤外波長域の吸収性が抑制されて基材100の熱割れ等を防止できる効果を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、可視波長域に透過性を有し、近赤外波長域に反射性を有すると共に、電波透過性を有する光学膜とその製造方法に係り、特に、スパッタリング法により成膜される光学膜とその製造方法の改良に関するものである。
近年、室内および車等移動手段の夏場におけるエアコンのエネルギー消費量を低減させるため、外光を取り入れる窓材の熱線遮蔽技術の開発が進んでいる。この技術手段として、熱線遮蔽効果のある着色フィルムや光学膜が形成されたフィルム(遮光部材)を窓に貼り付ける方法、熱線遮蔽効果のある物質を窓に塗布する方法、熱線遮蔽効果のある光学膜がスパッタリング法により成膜された窓材を採用する方法等が知られている。
例えば、上記遮光部材として、特許文献1には、アルミニウム等の金属膜を蒸着法により形成した鏡面状態を有する膜(遮光部材)が記載されている。しかし、これ等の遮光部材を用いた場合、外観がハーフミラー状となることから、屋外で使用するには反射光がまぶしく景観上の問題がある。また、アルミニウム等の金属膜は高い導電性を有するために電波を反射(すなわち、電波透過性に支障を来す)し、携帯電話やスマートフォン、GPS(Global Positioning System)使用機器等の電波を利用する機器が繋がり難くなる問題がある。
また、熱線遮蔽効果のある物質を塗布する上記方法として、本出願人は、特許文献2に記載の複合タングステン酸化物微粒子を有する赤外線遮蔽微粒子分散体を提案している。複合タングステン酸化物微粒子は、太陽光線、特に近赤外線領域の光を効率よく吸収し、加えて可視光に対し高い透明性を有する。そして、上記赤外線遮蔽微粒子分散体は、複合タングステン酸化物微粒子を、適宜な溶媒中に分散させて分散液とし、得られた分散液に媒体樹脂を添加した後、基材表面にコーティングして薄膜を形成するもので、熱線遮蔽性と電波透過性を併せ持つ。しかし、特許文献2に記載の方法は、複合タングステン酸化物微粒子が近赤外線領域の光を吸収することで熱線を遮蔽するため、複合タングステン酸化物微粒子に吸収された光が熱に変換されて基材が熱せられる問題があった。更に、薄膜を塗布(コーティング)法で形成するため、膜厚のコントロール、大面積の膜厚の均一性、平坦性を確保するためには高度な塗布技術を必要とする問題がある。
また、熱線遮蔽効果のある光学膜がスパッタリング法により成膜された窓材を用いる上記方法においては、光学膜に金属層が含まれると電波透過性に支障を来すため、透明な誘電体物質(SiO2、MgF2、ZrO2、TiO2、Ta25、Nb25等)のみを使用し、高屈折率膜(TiO2、Ta25、Nb25)と低屈折率膜(SiO2、MgF2、ZrO2)を繰り返し積層することで、可視波長域の透過性、近赤外線波長域の遮断性、および、電波透過性を有する多層膜を設計できる。但し、これを実現するには、少なくとも数10層~100層の膜層数と正確な膜厚制御が要求され、例えば、特許文献3に、デジタルスチルカメラの赤外線カットフィルタに係る技術が開示されている。しかし、高価な光学機器を構成する光学部品でもない窓材に対し、特許文献3の方法を採用するにはコスト的に難がある。
尚、上記高屈折率膜(TiO2、Ta25等)と低屈折率膜(SiO2、MgF2等)を繰り返し積層する多層膜に代えて、可視波長域の消衰係数は小さく、近赤外波長域の消衰係数が大きい光学定数を有する多層膜を採用することで、膜層数を大幅に減少させることは可能である。しかし、近赤外波長域の消衰係数が大きい光学定数を有する上記多層膜を採用した場合、多層膜が吸収した熱線により基材(例えばガラス)が熱せられ、基材の熱割れを引き起こす問題が懸念される。
このため、可視波長域の透過性と電波透過性を有しながら、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の熱線遮蔽膜の開発が望まれている。
特開平5-113085号公報 特許第4096205号公報 特開2016-070965号公報
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、可視波長域の透過性と電波透過性を有しながら、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の光学膜とその製造方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者が鋭意研究を行ったところ、基材上に成膜される光学膜をセシウムタングステン複合酸化物で構成し、光学膜の少なくとも表面側の屈折率nと消衰係数kが特定の数値範囲(近赤外波長域の消衰係数kが大)に設定されている場合、電波透過性を有し、かつ、可視波長域の光透過性を有すると共に、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の熱線遮蔽膜を達成できることを見出すに至った。
本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
基材上に成膜され、セシウムとタングステンと酸素を含むセシウムタングステン複合酸化物で構成される光学膜において、
上記光学膜の少なくとも表面側の屈折率nと消衰係数kが下記表1の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴とし、
Figure 2022018441000002
第2の発明は、
第1の発明に記載の光学膜において、
膜厚300nm~560nmの上記光学膜における波長400nm~550nm領域の平均透過率が45%以上、かつ、波長2000nmの反射率が40%以上であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の光学膜において、
上記光学膜が、膜厚300nmの単層膜で構成され、該単層膜の屈折率nと消衰係数kが上記表1の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴とし、
第4の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の光学膜において、
上記光学膜が、表面側に位置する厚さ20nm~60nmの表面層と基材側に位置する内部層とで構成され、上記表面層の屈折率nと消衰係数kが上記表1の数値範囲内にそれぞれ設定され、かつ、上記内部層の屈折率nと消衰係数kが下記表2の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴とする。
Figure 2022018441000003
次に、本発明に係る第5の発明は、
第4の発明に記載の光学膜の製造方法において、
セシウム原子とタングステン原子と酸素から成るスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング成膜雰囲気の酸素分圧をフィードバック制御すると共に、基材の加熱温度を制御して、基材上に、屈折率nと消衰係数kが下記表3の数値範囲内にそれぞれ設定されたセシウムタングステン複合酸化物膜を成膜する成膜工程と、
Figure 2022018441000004
成膜された上記セシウムタングステン複合酸化物膜をアニール処理して、該セシウムタングステン複合酸化物膜の表面側に下記表4の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された表面層を形成し、かつ、当該表面層を除いたセシウムタングステン複合酸化物膜の基材側部位を上記表3の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された内部層とするアニール工程、
を具備することを特徴とする。
Figure 2022018441000005
また、本発明に係る第6の発明は、
第5の発明に記載の光学膜の製造方法において、
上記アニール工程が、無酸素雰囲気下において300℃以上の温度で行われることを特徴とし、
第7の発明は、
第5の発明または第6の発明に記載の光学膜の製造方法において、
上記スパッタリングターゲットのセシウム原子とタングステン原子の比(Cs:W)が1:2~1:4であることを特徴とし、
第8の発明は、
第5の発明または第6の発明に記載の光学膜の製造方法において、
上記成膜工程が、セシウム源のスパッタリングターゲットとタングステン源のスパッタリングターゲットを用いた2元スパッタリング法で行われ、かつ、2元スパッタリング成膜雰囲気の酸素分圧をフィードバック制御してセシウムタングステン複合酸化物膜に含まれるセシウム原子とタングステン原子の比(Cs:W)が1:2~1:4となるようにスパッタリングカソードに印加される電力またはデューティー比を調整することを特徴とし、
第9の発明は、
第5の発明~第8の発明のいずれかに記載の光学膜の製造方法において、
上記酸素分圧のフィードバック制御が、成膜中におけるインピーダンス変化をフィードバック制御するインピーダンスコントローラにより行うことを特徴とし、
また、第10の発明は、
第5の発明~第8の発明のいずれかに記載の光学膜の製造方法において、
上記酸素分圧のフィードバック制御が、成膜中における特定波長の発光強度を測定して酸素分圧をフィードバック制御するプラズマエミッションモニターにより行うことを特徴とする。
本発明に係る光学膜によれば、少なくとも表面側の屈折率nと消衰係数kが上記表1の数値範囲内にそれぞれ設定されているため、電波透過性を有し、かつ、可視波長域の光透過性を有すると共に、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の熱線遮蔽膜とすることが可能となる。
このため、光学膜を成膜した基材の熱割れ等が防止される効果を有する。
本発明に係る光学膜の構成説明図。 実施例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と透過率)を示すグラフ図。 実施例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と反射率)を示すグラフ図。 比較例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と反射率)を示すグラフ図。 図5(A)は本発明に係る製造方法の成膜工程で基材に成膜されたセシウムタングステン複合酸化物膜の説明図、図5(B)は本発明に係る製造方法のアニール工程でセシウムタングステン複合酸化物膜に形成された表面層と内部層の説明図。 平板状ターゲットの概略斜視図。 円筒状のターゲット(ロータリーターゲット)の概略斜視図。 平板状ターゲットを備えたスパッタリング装置の構成説明図。 被成膜体である基材とロータリーターゲットの配置関係を示す説明図。 スパッタリング成膜ユニットAの構成説明図。 2元スパッタリング法に係る基材とロータリーターゲットの配置関係を示す説明図。 2元スパッタリング法に係るスパッタリング成膜ユニットBの構成説明図。 2元スパッタリング法に係るスパッタリング成膜ユニットCの構成説明図。 実施例4~6と比較例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と透過率)を示すグラフ図。 実施例4~6と比較例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と反射率)を示すグラフ図。
以下、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
本発明においてはセシウムとタングステンと酸素を含み、熱線遮蔽効果を有する複合タングステン酸化物膜が用いられており、可視波長域から近赤外波長域まで透明な誘電体多層膜を用いる場合と比較して膜層数を格段に減少させることが可能となる。
(1)光学膜
本発明に係る光学膜はセシウム(アルカリ金属)とタングステンと酸素を含む。
本出願人による複合タングステン酸化物粒子を用いた赤外線遮蔽に関する技術は上記特許文献2に詳細が示されており、この組成範囲の複合タングステン酸化物を主成分とすることが可視波長域の高い透明性と近赤外波長域の吸収性を有する膜とするためには必要である。複合タングステン酸化物膜が有する基本的な光学特性は、理論的に算出された元素M(Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素)と、タングステンWおよび酸素Oの原子配置に由来する。具体的には、複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。そして、複合タングステン酸化物微粒子が、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、タングステン1に対して0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.33である。複合タングステン酸化物がM0.33WO3となることで、添加元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
ところで、近赤外波長域に吸収性を有する特許文献2に記載の複合タングステン酸化物膜や近赤外波長域の消衰係数が大きい光学定数を有する多層膜が採用された場合、これ等の膜が吸収した光が熱に変換されて基材が熱せられてしまう問題が存在した。
そこで、可視波長域の透過性と電波透過性を有しながら、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の光学膜とその製造方法を提供することを本発明は課題としている。
すなわち、本発明は、
基材上に成膜され、セシウムとタングステンと酸素を含むセシウムタングステン複合酸化物で構成される光学膜において、
上記光学膜の少なくとも表面側の屈折率nと消衰係数kが下記表5の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴としている。
Figure 2022018441000006
そして、本発明の光学膜によれば、少なくとも表面側の屈折率nと消衰係数kが上記表5の数値範囲内にそれぞれ設定されているため、電波透過性を有し、かつ、可視波長域の光透過性を有すると共に、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の熱線遮蔽膜を構成することが可能になっている。
(1A)膜厚300nmの単層膜で構成される光学膜
本発明に係る光学膜が膜厚300nmの単層膜で構成され、該単層膜の屈折率nと消衰係数kが上記表5の数値範囲内にそれぞれ設定されている場合、可視波長域の光透過性を備え、近赤外波長域の吸収性に伴う発熱が抑制される程度の薄膜であると共に、基材との界面で近赤外波長域の光の一部が反射されることから半反射型の熱線遮蔽膜を構成でき、かつ、電波透過性[シート抵抗が104Ω/□(オーム・パー・スクエア)以上]も具備させることが可能となる。すなわち、波長400nm~550nm領域の平均透過率が45%以上、波長2000nmの反射率が40%以上である半反射型の熱線遮蔽膜を構成させることが可能となる。
(1B)表面層と内部層とで構成される膜厚300nm~560nmの光学膜
本発明に係る光学膜が、表面側に位置する厚さ20nm~60nmの表面層101と基材100側に位置する内部層102とで構成され(図1参照)、表面層101の屈折率nと消衰係数kが上記表5の数値範囲内にそれぞれ設定され、かつ、内部層102の屈折率nと消衰係数kが下記表6の数値範囲内にそれぞれ設定されている場合、可視波長域の光透過性を備え、近赤外波長域の吸収性に伴う発熱が抑制される表面層101の厚さであると共に、表面層101と内部層102の界面で近赤外波長域の光の一部が反射されることから半反射型の熱線遮蔽膜を構成でき、かつ、電波透過性[シート抵抗が104Ω/□(オーム・パー・スクエア)以上]も具備させることが可能となる。
Figure 2022018441000007
図1に示す光学膜の表面層101と内部層102は光学的に異なり、深さ方向における光学膜のエリプソメータ解析から、表面層101と内部層102に係る屈折率nと消衰係数kの光学定数は異なっている(表面層101の屈折率nと消衰係数kは上記表5の数値範囲、内部層102の屈折率nと消衰係数kは上記表6の数値範囲に設定されている)。
上記光学膜の表面層101と内部層102の光学定数が異なる理由は本発明に係る光学膜の製造方法に起因する。すなわち、基材上に成膜されたセシウムタングステン複合酸化物膜の成膜後におけるアニール処理で表面層101の還元等が進行し、表面層101の化学状態が変化したためである。
そして、アニール処理の時間が長ければ、還元が内部まで進行し、表面層101の膜厚は厚くなる。表面層101の膜厚が20nm未満の場合、本発明に係る光学膜を得るためのアニール処理が不十分で、表面層101の屈折率nと消衰係数kについて上記表5の数値範囲内に設定することが困難となる。他方、表面層101の膜厚が60nmを超えた場合、可視光領域の透過率が低下してしまう。このため、表面層101の厚さは20nm~60nmであることが好ましい。
図2および図3の各グラフ図は、厚さ40nmの表面層と厚さ400nmの内部層とで構成される膜厚440nmの実施例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と透過率)および分光光学特性(波長と反射率)を示しており、図2と図3の各グラフ図から波長400nm~550nm領域の平均透過率が45%以上、波長2000nmの反射率が40%以上である半反射型の熱線遮蔽膜が構成されていることが確認される。
(1C)光学膜の製造方法
表面層と内部層とで構成される本発明に係る光学膜の製造方法は、
セシウム原子とタングステン原子と酸素から成るスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング成膜雰囲気の酸素分圧をフィードバック制御すると共に、基材の加熱温度を制御して、基材上に、屈折率nと消衰係数kが下記表7の数値範囲内にそれぞれ設定されたセシウムタングステン複合酸化物膜を成膜する成膜工程と、
Figure 2022018441000008
成膜された上記セシウムタングステン複合酸化物膜をアニール処理して、該セシウムタングステン複合酸化物膜の表面側に下記表8の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された表面層を形成し、かつ、当該表面層を除いたセシウムタングステン複合酸化物膜の基材側部位を上記表7の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された内部層とするアニール工程、
を具備することを特徴とするものである。
Figure 2022018441000009
上記アニール処理は酸素を含まない無酸素雰囲気下において300℃以上の温度で行うことが好ましく、雰囲気や温度を制御できる電気炉等を用いて上記アニール処理を行うことができる。図5は本発明に係る光学膜の製造工程を示しており、スパッタリング装置を用いた成膜工程において、図5(A)に示すように屈折率nと消衰係数kが上記表7の数値範囲内にそれぞれ設定されたセシウムタングステン複合酸化物膜108を基材100上に成膜し、電気炉等を用いたアニール工程において、図5(B)に示すようにセシウムタングステン複合酸化物膜108の表面側に屈折率nと消衰係数kが上記表8の数値範囲内にそれぞれ設定された表面層101を形成すると共に、当該表面層101を除いたセシウムタングステン複合酸化物膜108の基材100側部位を上記表7の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された内部層102とすることができる。
スパッタリング成膜後におけるセシウムタングステン複合酸化物膜の光学定数は上記表7の数値範囲内である。また、比較例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と反射率)を示す図4のグラフ図から分かるように、表面層を有しないスパッタリング成膜後のセシウムタングステン複合酸化物膜(光学膜)の近赤外線領域における光反射は僅かであり、波長2000nmの反射率は20%程度であることが確認される。
また、アニール工程後における表面層の光学定数(屈折率nと消衰係数k)は上記表8の数値範囲内に設定されており、実施例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と透過率)を示す図3のグラフ図から分かるように、表面層を有する光学膜の近赤外線領域における光反射は顕著で、波長2000nmの反射率は60%程度であることが確認される。
尚、膜厚300nm~560nmの光学膜において、スパッタリング成膜時における雰囲気、基材の温度等を適宜制御することにより、スパッタリング成膜後における光学膜の光学定数(屈折率nと消衰係数k)が上記表8の数値範囲内に設定される場合、成膜工程後のアニール処理は不要である。
(2)スパッタリングターゲット
上記セシウムとタングステンと酸素を含み、屈折率nと消衰係数kが上記表5または表6の数値範囲内にそれぞれ設定されている光学膜は、セシウム原子とタングステン原子の比(Cs:W)が特定範囲に設定されていることが必要で、スパッタリング法で成膜することができる。そして、成膜する際に用いられるスパッタリングターゲットとして、セシウム原子とタングステン原子を含むターゲット(すなわち、セシウム源の化合物とタングステン源の化合物との混合物で構成されるターゲット)が挙げられ、セシウム源とタングステン源を別々に構成した(すなわち、セシウム源のスパッタリングターゲットとタングステン源のスパッタリングターゲット)ターゲットであってもよい。
以下、セシウム原子とタングステン原子が含まれるターゲットを用いたスパッタリング成膜について説明する。
屈折率nと消衰係数kが上記表5または表6の数値範囲内にそれぞれ設定されている光学膜を得るには、セシウム原子とタングステン原子の比(Cs:W)が1:2~1:4の範囲に設定されているスパッタリングターゲットを使用すればよく、好ましくは上記比(Cs:W)が1:2.5~1:4であり、1:2.8~1:4が最も好ましい。そして、スパッタリングターゲットのセシウム原子とタングステン原子の比が、光学膜のセシウム原子とタングステン原子の比とほぼ合致する。
また、ターゲット自体に適量の酸素を含まなくても、膜に取り込まれる酸素量を反応性スパッタリングにより調整することが可能である。更に、ターゲットに含まれている成分でスパッタリング中に排気されてしまう炭素等の成分が含まれていてもよい。すなわち、ターゲットがセシウムタングステン複合酸化物である必要はなく、本発明に係る光学膜のセシウムとタングステンの原子の比を備えたセシウムタングステン複合酸化物の前駆体であってもよい。
更に、2元スパッタリング法で本発明に係る光学膜を成膜する場合は、セシウム源となるスパッタリングターゲット若しくは本発明に係る光学膜よりもセシウムが多く含まれたセシウムとタングステンの化合物から成るスパッタリングターゲットを一方のスパッタリングカソードに装着し、タングステン源のスパッタリングターゲット若しくは本発明に係る光学膜よりもタングステンが多く含まれるセシウムとタングステンの化合物から成るスパッタリングターゲットを他方のスパッタリングカソードに装着して用いてもよい。2元スパッタリング法で得られる光学膜のセシウムとタングステンの原子比は、それぞれのスパッタリングカソードに印加される電力またはデューティー比を調整することで設定することができる。
上記セシウム源には、金属、酸化物、炭酸塩を用いることができる。セシウムの酸化物としては、Cs2O、Cs22、CsO2、Cs23、Cs113、Cs4O、Cs7Oを挙げることができる。
上記タングステン源には、金属、酸化物、炭化物を用いることができる。タングステンの酸化物には、W3O、WO2、W2058、WO3を用いることができる。
次に、スパッタリングターゲットには、図6に示す平板状ターゲットと図7に示す円筒状ターゲットがある。平板状ターゲットは、バッキングプレート103の表面にスパッタリングターゲット104がインジウム等のボンディング材で固着された構造を有する。また、平板状ターゲットのスパッタリングターゲット104は、冷間静水加圧法により加圧成形して成形体を製造し、得られた成形体を焼成して得られる。平板状ターゲットは比較的容易に製造できる反面、全面がスパッタリングされず、スパッタリングされない非エロ-ジョン部分に異物が堆積し、この異物が異常放電の原因になることもあり、更にはこの異物が製品に付着してしまうこともある。近年、大型ターゲットは、図7に示す円筒状ターゲット(ロータリーターゲット)が主流になっている。製造が難しい反面、全面がスパッタリングされるので平板状ターゲットのような欠点がなく、更には、平板状ターゲットの3倍近い使用効率が得られる。
図7に示す円筒状ターゲット(ロータリーターゲット)2は、主に2つの方法で製造される。まず、第1の方法は、平板状ターゲットと同様、冷間静水加圧法により加圧成形して成形体を製造し、得られた成形体を焼成しかつ円筒研削した後、図7に示すバッキングチューブ1に差してインジウム等のボンディング材でボンディングする方法である。第2の方法は上記バッキングチューブ1に直接粉体を溶射する方法である。
溶射で製造される円筒状ターゲット(ロータリーターゲット)は、銅や銅合金等の金属で構成されかつ表面がブラスト処理により粗面化されたバッキングチューブ1に、ニッケル-アルミニウム合金、ニッケル―クロム合金、銅-アルミニウム合金、銅-亜鉛合金等の合金から選ばれた下地層を溶射で形成した後、粉体(セシウム源の粉体とタングステン源の粉体)を直接溶射して厚さ5mm~20mmの溶射膜(ターゲット膜)を形成し、その後、溶射膜(ターゲット膜)を研磨加工してロータリーターゲットに仕上げられる。
ここで、溶射は、プラズマ溶射を用いることができ、交直流アークプラズマトーチや誘導結合プラズマトーチ等が用いられ、溶射の際の雰囲気は不活性ガス等を用いればよい。
尚、溶射法でスパッタリングターゲットを製造する場合、温度によってはセシウム源のCs2OがCs22へ不均化反応を起こすことがあり、得られたターゲットのスパッタリングレートに影響(スパッタリングレートの変動)するので留意する必要がある。
(3)スパッタリング装置
上記ターゲットを用い、酸素による反応性スパッタリングを行えばCsαWβOγCδで構成される光学膜を得ることができる。αとβはターゲット組成比をそのまま反映し、γは反応性スパッタリング時に導入する酸素量で調整することができる。ターゲットから放出された炭素C(例えば、タングステン源が炭化物で構成された場合)は、ターゲットから放出された酸素O若しくは反応性スパッタを行うために導入した酸素Oと結合し、CO2になって排気されるため、光学膜中に残ることは殆ど無い。
図8は平板状ターゲットを備えたスパッタリング装置(成膜装置)105の構成説明図である。成膜室内には、マグネトロンスパッタリングカソード106に対向するよう基材保持部材107が配置されている。スパッタリングターゲット104はスパッタリングカソード106に装着され、基材保持部材107はスパッタリング成膜される基材10を保持する。基材保持部材107はヒータを備えることができる。ヒータ(図示せず)には、近赤外線ヒータ、カーボンヒータ、シースヒータ等が使用可能である。スパッタリングカソード106には電源が接続される。尚、非導電性のターゲットは直流電源を利用したスパッタリングが難しい。このため、中周波電源(20kHz~200kHz)が接続される。更に、通常のパルス電源や大電圧パルス電源(HiPMS)も利用することができる。
図9は円筒状ターゲット(ロータリーターゲット)を用いた成膜方法、すなわち基材とロータリーターゲットの配置関係を示す説明図である。この成膜方法は、矢印方向へ移動する基材10に対して平行に配置された2本のロータリーターゲット11、12、13、14に、中周波電源(20kHz~200kHz)を利用して交互に電力を与えるデュアルマグネトロンスパッタリング法が一般的であり、更に、通常のパルス電源や大電圧パルス電源(HiPMS)も利用することができる。
以下、デュアルマグネトロンスパッタリング法によるスパッタリング装置について説明する。
(3A)スパッタリング成膜ユニットAとその成膜方法
デュアルマグネトロンスパッタリング法による成膜がなされるスパッタリング成膜ユニットAは、図10に示すように接続室20、22と成膜室21とで構成され、これ等接続室20、22と成膜室21内には基材23を搬送する搬送ローラ24が連続配置されていると共に、成膜室21内には成膜ガス圧を保つデュアルマグネトロンカソードユニット33、34が設けられている。尚、上記基材23は接続室20で予め400℃以上に加熱されている。接続室20を加熱することにより被成膜体である基材23が加熱される。接続室20の加熱ヒータには、近赤外線ヒータ、カーボンヒータ、シースヒータ等が使用可能である。また、接続室20への基材23の供給は、基材ストッカー(図示せず)から行うことができる。更に、接続室20と基材ストッカーの間に前処理室(図示せず)を配置し、プラズマあるいはイオンビーム等で基材23の表面をトリートメント(クリーニング、エッチング)することが望ましい。
また、上記デュアルマグネトロンカソードユニット33、34には、1組のロータリーターゲット25、26、27、28がそれぞれ装着されたロータリーマグネトロンカソード(図示せず)が配置されており、かつ、ロータリーターゲット25、26とロータリーターゲット27、28はそれぞれ中周波電源に接続され、交互に電力が印加されるように構成されている。具体的には、上記中周波電源に、20kHz~200kHzの電源を用いて交互に電力を与えるデュアルマグネトロンスパッタリングを行うことができ、更に、通常のパルス電源や大電圧パルス電源(HiPMS)も利用することができる。また、図示外のロータリーマグネトロンカソードには、ロータリーターゲット25、26、27、28の基材23側にのみスパッタリング29、30、31、32を生じさせるマグネット(図示せず)が配置され、これにより、ロータリーターゲット25、26、27、28からのターゲット粒子のほとんどが基材23側方向に飛来するようになっていて、付着効率は90%程度である。
反応性スパッタリングを行うための酸素ガスはそれぞれのデュアルマグネトロンカソードユニット33、34に導入され、デュアルマグネトロンカソードユニット33、34に導入される酸素量を制御するには、例えば、スパッタ電源のインピーダンス変化が設定値になるよう制御する「インピーダンス制御」、あるいは、特定波長のプラズマ発光強度が設定値になるよう制御するプラズマエミッションモニター(PEM)制御が挙げられる。
そして、成膜室21内に2組のデュアルマグネトロンカソードユニット33、34が配置された図10に示すスパッタリング成膜ユニットAにおいては、最大2種類の光学膜の成膜が可能となり、2組のデュアルマグネトロンカソードユニット33、34に同一のロータリーターゲットを組み込んだ場合には1種類の光学膜を2倍の膜厚で成膜することが可能となる。
次に、2元スパッタリング法による成膜方法では、セシウム源となるスパッタリングターゲットとタングステン源となるスパッタリングターゲットをそれぞれ用意し、異なるロータリーマグネトロンカソードに各スパッタリングターゲットを装着してスパッタリングする。
酸素による反応性スパッタリングを行えばCsxWyOz膜を得ることができる。xとyは、セシウム源となるスパッタリングターゲットとタングステン源となるスパッタリングターゲットのスパッタリングレートを調整しなければならない。
異なるロータリーマグネトロンカソードにセシウム源となるスパッタリングターゲットとタングステン源となるスパッタリングターゲットを装着して上記スパッタリングレートを調整するにはいくつかの方法がある。
(i)両方のロータリーマグネトロンカソードに個別のパルス電源を接続し、同時に、両方のロータリーマグネトロンカソード共パルス時間が等しく、ピークパワーが異なるスパッタ電力を印加して調整する方法。
(ii)両方のロータリーマグネトロンカソードに1台のデュアルマグネトロン電源を接続し、交互に両方のロータリーマグネトロンカソードへピークパワーが等しく、デューティー比が異なるスパッタ電力を印加して調整する方法。
(iii)上記(i)あるいは(ii)の方法で両方のターゲット組成比を調整することができる。
また、CsxWyOz膜のzは、反応性スパッタリング時に導入する酸素量で調整することができる。
上述したように非導電性のターゲットは直流電源を利用したスパッタリングが難しいため、図11に示すように矢印方向へ移動する基材10に対して平行に配置されたセシウム源を主成分とするターゲット111、113とタングステン源を主成分とするターゲット112、114に、中周波電源(20kHz~200kHz)を利用して交互に電力を与えるデュアルマグネトロンスパッタリング法が一般的であり、更に、通常のパルス電源や大電圧パルス電源(HiPMS)も利用することができる。
更に、基材10(23)の温度も光学膜の光学特性に影響する。上記表5または表6に示す光学特性(屈折率nと消衰係数k)を有する光学膜を得るには、使用するスパッタリング成膜ユニットによってスパッタリングガス、スパッタ電力、基材の温度を適宜調整することで得ることができる。
(3B)スパッタリング成膜ユニットBとその成膜方法
デュアルマグネトロンスパッタリング法による成膜がなされるスパッタリング成膜ユニットBは、図12に示すように接続室120、122と成膜室121とで構成され、これ等接続室120、122と成膜室121内には基材23を搬送する搬送ローラ124が連続配置されていると共に、成膜室121内には成膜ガス圧を保つデュアルマグネトロンカソードユニット133、134が設けられている。尚、上記基材23は接続室120で予め400℃以上に加熱されている。また、2組の上記デュアルマグネトロンカソードユニット133、134には、セシウム源を主成分とするロータリーターゲット125、127とタングステン源を主成分とするロータリーターゲット126、128がそれぞれ装着されたロータリーマグネトロンカソード(図示せず)が配置されており、かつ、ロータリーターゲット125、126とロータリーターゲット127、128はそれぞれ中周波電源に接続され、交互に電力が印加されるように構成されている。具体的には、上記中周波電源に、20kHz~200kHzの電源を用いて交互に電力を与えるデュアルマグネトロンスパッタリングを行うことができ、更に、通常のパルス電源や大電圧パルス電源(HiPMS)も利用することができる。また、図示外のロータリーマグネトロンカソードには、ロータリーターゲット125、126、127、128の基材23側にのみスパッタリング129、130、131、132を生じさせるマグネット(図示せず)が配置され、これにより、ロータリーターゲット125、126、127、128からのターゲット粒子のほとんどが基材23側方向に飛来するようになっていて、付着効率は90%程度である。
反応性スパッタリングを行うための酸素ガスはそれぞれのデュアルマグネトロンカソードユニット133、134に導入され、デュアルマグネトロンカソードユニット133、134に導入される酸素量を制御するには、例えば、スパッタ電源のインピーダンス変化が設定値になるよう制御する「インピーダンス制御」、あるいは、特定波長のプラズマ発光強度が設定値になるよう制御するプラズマエミッションモニター(PEM)制御が挙げられる。
そして、成膜室121内に2組のデュアルマグネトロンカソードユニット133、134が配置された図12に示すスパッタリング成膜ユニットBにおいては、最大2種類の光学膜の成膜が可能となり、2組のデュアルマグネトロンカソードユニット133、134に同一のロータリーターゲットを組み込んだ場合には1種類の光学膜を2倍の膜厚で成膜することが可能となる。しかし、図12のようなカソード配置では、セシウム酸化物を主成分とする膜とタングステン酸化物を主成分とする膜が重なって積層されることになる。
尚、セシウム源を主成分とするロータリーターゲットには、タングステン酸セシウム等のセシウムとタングステンの化合物を用いることができ、タングステン源を主成分とするロータリーターゲットとをデュアルマグネトロンカソードユニットで併用し、それぞれのスパッタリングレートを調整することで、セシウムとタングステンの割合を調整した光学膜を得ることができる。
ところで、セシウム源を主成分とするロータリーターゲットとタングステン源を主成分とするロータリーターゲットを採用した2元スパッタリング法により、成膜中における雰囲気酸素分圧を制御して光学膜の成膜を行い、光学膜中に含まれるセシウムとタングステンのモル比が1:2~1:4となる膜を得るためには、図13に示すようにロータリーマグネトロンカソード内部のマグネットバー(図示せず)を回転方向に傾けて配置し、スパッタ成膜エリアが図13に示すように重なるようにすればよい。また、マグネットバーを微妙に回転方向にスイングさせることも可能である。
更に、基材23の温度も光学膜の光学特性に影響する。上記表5または表6に示す光学特性を有する光学膜を得るには、使用するスパッタリング成膜ユニットによってスパッタリングガス、スパッタ電力、基材の温度を適宜調整することで得ることができる。
(3C)スパッタリング成膜ユニットCとその成膜方法
スパッタ成膜エリアが重なるように成膜を行うスパッタリング成膜ユニットCは、図13に示すように接続室140、142と成膜室141とで構成され、これ等接続室140、142と成膜室141内には基材143を搬送する搬送ローラ144が連続配置されていると共に、成膜室141内には成膜ガス圧を保つデュアルマグネトロンカソードユニット153、154が設けられている。尚、上記基材143は接続室140で予め400℃以上に加熱されている。また、2組の上記デュアルマグネトロンカソードユニット153、154には、セシウム酸化物粉体を主成分とするロータリーターゲット145、147とタングステン酸化物粉体を主成分とするロータリーターゲット146、148がそれぞれ装着されたロータリーマグネトロンカソード(図示せず)が配置されており、かつ、ロータリーターゲット145、146とロータリーターゲット147、148はそれぞれ中周波電源に接続され、交互に電力が印加されるように構成されている。具体的には、中周波電源に、20kHz~200kHzの電源を用いて交互に電力を与えるデュアルマグネトロンスパッタリングを行うことができ、更に、通常のパルス電源や大電圧パルス電源(HiPMS)も利用することができる。また、図示外のロータリーマグネトロンカソードには、ロータリーターゲット145、146、147、148の基材143側にのみスパッタリング149、150、151、152を生じさせるマグネット(図示せず)が配置され、これにより、ロータリーターゲット145、146、147、148からのターゲット粒子のほとんどが基材143側方向に飛来するようになっていて、付着効率は90%程度である。
反応性スパッタリングを行うための酸素ガスはそれぞれのデュアルマグネトロンカソードユニット153、154に導入され、デュアルマグネトロンカソードユニット153、154に導入される酸素量を制御するには、例えば、スパッタ電源のインピーダンス変化が設定値になるよう制御する「インピーダンス制御」、あるいは、特定波長のプラズマ発光強度が設定値になるよう制御するプラズマエミッションモニター(PEM)制御が挙げられる。
また、スパッタリング成膜ユニットCを用いる場合、デュアルマグネトロンカソードユニット153、154に配置される各ロータリーターゲットの一方のセシウム原子の比とタングステン原子の比について、目的とする光学膜のセシウム原子の比とタングステン原子の比からずらした配合にすることで、他方のロータリーターゲットを一方のロータリーターゲットで不足するセシウムまたはタングステンとすることも可能である。例えば、ロータリーターゲット145、147を、Cs2WO4で構成し、ロータリーターゲット146、148を、タングステン源で構成することも可能である。
更に、基材143の温度も光学膜の光学特性に影響する。上記表5または表6に示す光学特性を有する光学膜を得るには、使用するスパッタリング成膜ユニットによってスパッタリングガス、スパッタ電力、基材の温度を適宜調整することで得ることができる。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。
尚、エリプソメータは、J.A.Woollam社製「RC2-XNIR型」を用い、光学膜の光学特性(透過率と反射率)を日本分光製「V-670型」で測定し、光学膜の表面抵抗を三菱ケミカル製「Loresta-GX」にて測定した。
また、スパッタリングターゲットは、住友金属鉱山株式会社製のセシウムタングステン複合酸化物粉を8インチの円形状に成形し、得られた成形体をホットプレス装置に投入し、真空雰囲気、温度950℃、押し圧250kgf/cm2の条件で焼結し得た。
得られた外径8インチのスパッタリングターゲットを銅製のバッキングプレートにインジウムでボンディングし、該バッキングプレートに固定されたスパッタリングターゲットを図8に示すスパッタリング装置(成膜装置)に配置した。
このスパッタリング装置(成膜装置)の電源には高周波電源(13MHz)を使用し、酸素はスパッタリングカソード106から導入し、スパッタリングターゲット104と基材10間距離は100mmとした。
尚、上記基材10には直径8インチの合成石英ウェハを用いた。また、近赤外線ヒータを用いて基材10を400℃以上に加熱した。
[比較例1~4、実施例1~3]
図8に示すスパッタリング装置(成膜装置)の成膜室を5×10-4Pa以下まで真空排気した後、酸素を混合したアルゴンガスを800sccm導入した。
酸素濃度3%のガスを混合したアルゴンガスを導入し、成膜速度を約1nm/secとし、上記基材10上に、膜厚300nm(比較例1)、膜厚320nm(比較例2)、膜厚340nm(比較例3)、および、膜厚360nm(比較例4)の各光学膜を成膜した。
比較例1~4に係る光学膜を上記日本分光製「V-670型」で測定したところ、下記表11に示すように可視波長域(波長400nm~550nm)の平均透過率が高く、近赤外線域(波長2000nm)の反射率が低い熱線遮蔽膜の特徴を有していた。
このような特徴を有する比較例1~4に係る光学膜の光学定数(屈折率nと消衰係数k)を上記エリプソメータ「RC2-XNIR型」で測定したところ、下記表9に示す屈折率と消衰係数であった。
Figure 2022018441000010
次いで、膜厚320nm(比較例2)、膜厚340nm(比較例3)、および、膜厚360nm(比較例4)の光学膜に対して、約700℃の窒素雰囲気下でアニール処理を施し、各光学膜の表面を還元した。
光学膜表面からの還元深さはアニール時間に依存していると考えられ、アニール時間を2分、4分、6分の3段階実施した。また、アニール処理により還元された光学膜表面側の光学定数(屈折率nと消衰係数k)も上記エリプソメータ「RC2-XNIR型」で同様に測定したところ、下記表10に示す屈折率と消衰係数であった。更に、アニール処理により還元された光学膜表面側の深さについても、深さ方向における光学膜のエリプソメータ解析による光学定数の変化から推定できる。この結果も下記表11に示す。
Figure 2022018441000011
そして、還元された表面側深さが20nm(すなわち、アニール時間が2分:表面層膜厚が20nm、内部層膜厚が300nm)である光学膜膜厚320nmの光学膜を実施例1、還元された表面側深さが40nm(すなわち、アニール時間が4分:表面層膜厚が40nm、内部層膜厚が300nm)である光学膜膜厚340nmの光学膜を実施例2、および、還元された表面側深さが60nm(すなわち、アニール時間が6分:表面層膜厚が60nm、内部層膜厚が300nm)である光学膜膜厚360nmの光学膜を実施例3とし、比較例と同様、実施例1~3に係る光学膜を上記日本分光製「V-670型」で測定したところ、下記表11に示すように可視波長域(波長400nm~550nm)の平均透過率は若干低下するが、近赤外線域(波長2000nm)の反射率が高い熱線遮蔽膜の特徴を有していた。
そして、下記表11から確認されるように実施例1~3においては各光学膜に入射した近赤外線域の光が表面側で反射されるため、熱線吸収による基材の発熱を抑制できる効果が期待される。
尚、アニール処理に代えて還元アニール処理した膜と同じ光学定数を有する膜(表面側層)を基材側層の上に直接スパッタ成膜しても分光光学特性は同じになることが容易に推定できる。
Figure 2022018441000012
[比較例5~8、実施例4~6]
上記同様、酸素濃度3%のガスを混合したアルゴンガスを導入し、成膜速度を約1nm/secとし、上記基材10上に、膜厚400nm(比較例5)、膜厚420nm(比較例6)、膜厚440nm(比較例7)、および、膜厚460nm(比較例8)の各光学膜を成膜した。
そして、比較例5~8に係る光学膜を日本分光製「V-670型」で測定したところ、上記表11に示すように可視波長域(波長400nm~550nm)の平均透過率が高く、近赤外線域(波長2000nm)の反射率が低い熱線遮蔽膜の特徴を有していた。
このような特徴を有する比較例5~8に係る光学膜の光学定数(屈折率nと消衰係数k)をエリプソメータ「RC2-XNIR型」で測定したところ、上記表9に示す屈折率と消衰係数であった。
次いで、膜厚420nm(比較例6)、膜厚440nm(比較例7)、および、膜厚460nm(比較例8)の光学膜に対して、約700℃の窒素雰囲気下、アニール時間を2分、4分、6分の3段階でアニール処理を行い、各光学膜の表面を還元した。
また、アニール処理により還元された光学膜表面側の光学定数(屈折率nと消衰係数k)も上記エリプソメータ「RC2-XNIR型」で同様に測定したところ、上記表10に示す屈折率と消衰係数であった。更に、アニール処理により還元された光学膜表面側の深さについて、深さ方向における光学膜のエリプソメータ解析による光学定数の変化から推定した。この結果も上記表11に示す。
そして、還元された表面側深さが20nm(すなわち、表面層膜厚が20nm、内部層膜厚が400nm)である光学膜膜厚420nmの光学膜を実施例4、還元された表面側深さが40nm(すなわち、表面層膜厚が40nm、内部層膜厚が400nm)である光学膜膜厚440nmの光学膜を実施例5、および、還元された表面側深さが60nm(すなわち、表面層膜厚が60nm、内部層膜厚が400nm)である光学膜膜厚460nmの光学膜を実施例6とし、比較例と同様、実施例4~6に係る光学膜を上記日本分光製「V-670型」で測定したところ、上記表11に示すように可視波長域(波長400nm~550nm)の平均透過率は若干低下するが、近赤外線域(波長2000nm)の反射率が高い熱線遮蔽膜の特徴を有していた。
尚、実施例4~6と比較例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と透過率)を図14に示し、かつ、実施例4~6と比較例5に係る光学膜の分光光学特性(波長と反射率)を図15に示す。
そして、上記表11および図14と図15のグラフ図から確認されるように実施例4~6においても各光学膜に入射した近赤外線域の光が表面側で反射されるため、熱線吸収による基材の発熱を抑制できる効果が期待される。
[比較例9~12、実施例7~9]
上記同様、酸素濃度3%のガスを混合したアルゴンガスを導入し、成膜速度を約1nm/secとし、上記基材10上に、膜厚500nm(比較例9)、膜厚520nm(比較例10)、膜厚540nm(比較例11)、および、膜厚560nm(比較例12)の各光学膜を成膜した。
そして、比較例9~12に係る光学膜を日本分光製「V-670型」で測定したところ、上記表11に示すように可視波長域(波長400nm~550nm)の平均透過率が高く、近赤外線域(波長2000nm)の反射率が低い熱線遮蔽膜の特徴を有していた。
このような特徴を有する比較例9~12に係る光学膜の光学定数(屈折率nと消衰係数k)をエリプソメータ「RC2-XNIR型」で測定したところ、上記表9に示す屈折率と消衰係数であった。
次いで、膜厚520nm(比較例10)、膜厚540nm(比較例11)、および、膜厚560nm(比較例12)の光学膜に対して、約700℃の窒素雰囲気下、アニール時間を2分、4分、6分の3段階でアニール処理を行い、各光学膜の表面を還元した。
また、アニール処理により還元された光学膜表面側の光学定数(屈折率nと消衰係数k)も上記エリプソメータ「RC2-XNIR型」で同様に測定したところ、上記表10に示す屈折率と消衰係数であった。更に、アニール処理により還元された光学膜表面側の深さについて、深さ方向における光学膜のエリプソメータ解析による光学定数の変化から推定した。この結果も上記表11に示す。
そして、還元された表面側深さが20nm(すなわち、表面層膜厚が20nm、内部層膜厚が500nm)である光学膜膜厚520nmの光学膜を実施例7、還元された表面側深さが40nm(すなわち、表面層膜厚が40nm、内部層膜厚が500nm)である光学膜膜厚540nmの光学膜を実施例8、および、還元された表面側深さが60nm(すなわち、表面層膜厚が60nm、内部層膜厚が500nm)である光学膜膜厚560nmの光学膜を実施例9とし、比較例と同様、実施例7~9に係る光学膜を上記日本分光製「V-670型」で測定したところ、上記表11に示すように可視波長域(波長400nm~550nm)の平均透過率は若干低下するが、近赤外線域(波長2000nm)の反射率が高い熱線遮蔽膜の特徴を有していた。
そして、上記表11から確認されるように実施例7~9においても各光学膜に入射した近赤外線域の光が表面側で反射されるため、熱線吸収による基材の発熱を抑制できる効果が期待される。
本発明に係る光学膜によれば、電波透過性を有し、かつ、可視波長域の光透過性を有すると共に、近赤外波長域の吸収性が抑制された半反射型の熱線遮蔽膜とすることができるため、夏場におけるエアコンのエネルギー消費量を低減させる窓ガラス等に用いられる産業上の利用可能性を有している。
1 バッキングチューブ
2 円筒状ターゲット(ロータリーターゲット)
10 基材
11、12、13、14 ロータリーターゲット
20、22 接続室
21 成膜室
23 基材(ガラス基材)
24 搬送ローラ
25、26、27、28 ロータリーターゲット
29、30、31、32 スパッタリング
33、34 デュアルマグネトロンカソードユニット
60、68 基材ストッカー室
62、64、66 スパッタリング成膜ユニット
61、63、65、67 接続室
100 基材
101 表面層
102 内部層
103 バッキングプレート
104 スパッタリングターゲット
105 スパッタリング装置(成膜装置)
106 スパッタリングカソード
107 基材保持部材
108 セシウムタングステン複合酸化物膜
111、112、113、114 ターゲット
120、122 接続室
121 成膜室
124 搬送ローラ
125、126、127、128 ロータリーターゲット
129、130、131、132 スパッタリング
133、134 デュアルマグネトロンカソードユニット
140、142 接続室
141 成膜室
143 基材
144 搬送ローラ
145、146、147、148 ロータリーターゲット
149、150、151、152 スパッタリング
153、154 デュアルマグネトロンカソードユニット

Claims (10)

  1. 基材上に成膜され、セシウムとタングステンと酸素を含むセシウムタングステン複合酸化物で構成される光学膜において、
    上記光学膜の少なくとも表面側の屈折率nと消衰係数kが下記表12の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴とする光学膜。
    Figure 2022018441000013
  2. 膜厚300nm~560nmの上記光学膜における波長400nm~550nm領域の平均透過率が45%以上、かつ、波長2000nmの反射率が40%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学膜。
  3. 上記光学膜が、膜厚300nmの単層膜で構成され、該単層膜の屈折率nと消衰係数kが上記表12の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学膜。
  4. 上記光学膜が、表面側に位置する厚さ20nm~60nmの表面層と基材側に位置する内部層とで構成され、上記表面層の屈折率nと消衰係数kが上記表12の数値範囲内にそれぞれ設定され、かつ、上記内部層の屈折率nと消衰係数kが下記表13の数値範囲内にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学膜。
    Figure 2022018441000014
  5. 請求項4に記載の光学膜の製造方法において、
    セシウム原子とタングステン原子と酸素から成るスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング成膜雰囲気の酸素分圧をフィードバック制御すると共に、基材の加熱温度を制御して、基材上に、屈折率nと消衰係数kが下記表14の数値範囲内にそれぞれ設定されたセシウムタングステン複合酸化物膜を成膜する成膜工程と、
    Figure 2022018441000015
    成膜された上記セシウムタングステン複合酸化物膜をアニール処理して、該セシウムタングステン複合酸化物膜の表面側に下記表15の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された表面層を形成し、かつ、当該表面層を除いたセシウムタングステン複合酸化物膜の基材側部位を上記表14の数値範囲内に屈折率nと消衰係数kがそれぞれ設定された内部層とするアニール工程、
    を具備することを特徴とする光学膜の製造方法。
    Figure 2022018441000016
  6. 上記アニール工程が、無酸素雰囲気下において300℃以上の温度で行われることを特徴とする請求項5に記載の光学膜の製造方法。
  7. 上記スパッタリングターゲットのセシウム原子とタングステン原子の比(Cs:W)が1:2~1:4であることを特徴とする請求項5または6に記載の光学膜の製造方法。
  8. 上記成膜工程が、セシウム源のスパッタリングターゲットとタングステン源のスパッタリングターゲットを用いた2元スパッタリング法で行われ、かつ、2元スパッタリング成膜雰囲気の酸素分圧をフィードバック制御してセシウムタングステン複合酸化物膜に含まれるセシウム原子とタングステン原子の比(Cs:W)が1:2~1:4となるようにスパッタリングカソードに印加される電力またはデューティー比を調整することを特徴とする請求項5または6に記載の光学膜の製造方法。
  9. 上記酸素分圧のフィードバック制御が、成膜中におけるインピーダンス変化をフィードバック制御するインピーダンスコントローラにより行うことを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の光学膜の製造方法。
  10. 上記酸素分圧のフィードバック制御が、成膜中における特定波長の発光強度を測定して酸素分圧をフィードバック制御するプラズマエミッションモニターにより行うことを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の光学膜の製造方法。
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