[0021]本発明は、例えば半導体処理チャンバ等の処理チャンバの中へのガス流を制御するための改善された方法及びアセンブリを提供する。詳細には、本発明の実施形態は、各MFCの流量比を制御する所望の流量設定点を満たすために、MFCがガス流において競合するときに、アセンブリの質量流コントローラ(以下MFC)の流れの変動、振動、及び/又は流れの欠乏を削減するものである。
[0022]従来のガス流量比制御の方法では、処理チャンバに連結されたMFCを通して定常状態の流れを実現しようとはしない。従来のMFCは各々それ自体の流量設定点に設定され、流量設定点は一般に全流量の割合であり、これにより一定の流れをその設定点の割合に維持しようとする。しかしながら、流入する流れのいずれかの変動により、背圧が変動し、様々なMFCがそれらの流れ要件を調整することになる。圧力が低い場合、特定のMFCを通る流れをより多くする唯一の方法は、別のMFCの流れを不足させることである。したがって、アセンブリのすべてのMFCが常に、それぞれの流量設定点を達成するのに互いに競合するところでは、遷移流がMFCを通って送られる。この結果、各処理チャンバの吸気ポートの流れに、望ましくない変動が起きうる。これは、処理品質及び/又は均一性に影響を与えうる。これは例えば、いくつかの実施形態において、非均一なエッチング又は堆積の原因となりうる。本発明の実施形態は、MFC同士のこの競合を実質的になくして、精確な流量設定点制御及び流量比制御を提供することができる。
[0023]更に、本発明の実施形態により、割合設定点を所望の流量比に制御する、単純なフィードバック制御方法の使用が可能になりうる。
[0024]本発明の一または複数の実施形態は、MFCのそれぞれの流量比を精確に制御するために、流量比装置にMFCと背圧コントローラとの新規の組合せを提供する。処理チャンバへのガスの流れを制御するための背圧コントローラを含む、ガス流制御アセンブリ及び方法の例示の実施形態を、図1~4及び8を参照しながら、本書で解説する。
[0025]処理チャンバへのガスの流れ及びガス流量比を制御するために、処理ガス供給部から排出されるキャリアガスの圧力を制御するように構成された上流圧力コントローラを含む、ガス流制御アセンブリ及び方法の例示の実施形態を、図4~7及び9を参照しながら、本書で解説する。
[0026]本発明に係るガス流制御アセンブリ100の第1の例示の実施形態を示す図1をここで参照する。ガス流制御アセンブリ100は、コントローラ102(例:プロセッサを有するデジタルコントローラ)、処理ガス供給部104、及び処理ガス供給部104に流体連結された流量比装置105を含む。流量比装置105は、処理ガス供給部104に流体連結された分配マニホールド106を含んでいてよく、処理ガス供給部104は、処理チャンバ110内で行われる処理において使用されるキャリアガスと一または複数の処理ガス(例:処理ガス1~処理ガスN)を供給しうる。
[0027]本書で使用する表現「流体連結される」とは、構成要素が、導管を通る流体(例:ガス)を運ぶように適合された導管によって連結されているということである。ガス流制御アセンブリ100の流量比装置105はさらに、分配マニホールド106に流動的に、また動作可能に接続され、コントローラ102に動作可能に接続され、分配マニホールド106内のガス圧を感知するように構成され、以下から明らかとなる流量比制御に使用されるセンサの出力信号をコントローラへ送りうる背圧センサ108を含む。
[0028]ガス流制御アセンブリ100はさらに、流量比装置105からガス流を受け入れる処理チャンバ110を含む。流量比装置105は、一または複数の質量流コントローラ(MFC)112(1つを図示した実施形態に示す)を含み、各MFC112は、分配マニホールド106に、また処理チャンバ110に流動的に、また動作可能に接続され、処理チャンバ110の一または複数のゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、ゾーン2B)へのガス流を制御するためにコントローラ102に動作可能に接続される。処理チャンバ110は、例えばエッチング処理チャンバ、堆積処理チャンバ(例:原子層堆積(ALD)、物理的気相堆積(PVD)、又は化学気相堆積(CVD)堆積)、エピタキシャル堆積、洗浄処理チャンバ等の基板120(点線で示す)上に処理が行われるいずれかのチャンバであってよい。
[0029]流量比装置105はさらに、分配マニホールド106に流動的に、また動作可能に接続されている背圧コントローラ114を含む。図1に示す実施形態では、背圧コントローラ114は、処理チャンバ110にも流体連結されうる。図示した実施形態では、単一のMFC112及び単一の背圧コントローラ114は流体並行関係に配設される。しかしながら、後の実施形態では、単一の背圧コントローラ114と並列の複数のMFC112A、112Bが含まれるようになる。
[0030]MFC112は、ガスの流れを測定し制御するために使用されるデバイスである。MFC112は、特定のガスあるいは特定範囲の種類のガスを特定範囲の流量比に制御するように設計され、較正される。MFC112にはフルスケール範囲の0%から100%までの動的に調整可能な設定点が付与されうるが、通常、MFC112は、最高精度が達成されうるフルスケール範囲の約10%~約90%で作動する。MFC112は次に、流量比を個々の流量設定点に制御するようになる。MFCは、アナログあるいはデジタルのいずれかであってよい。マルチガス及びマルチ範囲のMFCは一般に、1つの種類を上回るガスを制御することができ、したがって、処理ガス供給部104から1を上回るガス方策が処理チャンバ110へ供給される場合に好ましい。標準MFCが使用されうるが、そのMFCが較正される特定のガス方策に限定されうる。
[0031]すべてのMFC112は、吸気口、排気口、内部の質量流センサ、及びアクチュエータ(及び例えば適切なモータ又は自動モーション誘発要素)によって駆動可能な比例制御バルブを有する。MFC112には一般に、閉ループ制御システムが装着されていてよく、閉ループ制御システムにはコントローラ102によって流量設定点制御信号が付与され、該信号は内部の質量流センサからの値と比較され、駆動を介して比例バルブが調整されて所望の流量比が達成されうる。流量設定点制御信号は一般に、較正されたフルスケールの流れの割合(流量比)として指定することができ、コントローラ102からの電圧としてMFC112に供給されうる。いくつかの実施形態では、閉ループ制御システムは、MFC112内の回路として設けられ、コントローラ102に動作可能に接続され、コントローラ102から流量設定点制御信号を受信する。他の実施形態では、閉ループ制御は、コントローラ102によってのみ達成されうる。本書に記載のすべてのMFCは、この構成である。
[0032]図示した実施形態では、MFC112の吸気口において、コントローラ102によって設定された指定背圧で、分配マニホールド106からMFC112にガスが供給されている。BPC114により、分配マニホールド106において所望の背圧が確実に達成されるため、本実施形態のMFC112のガスが不足することはありえず、したがって、流量設定点と流量比を精確に達成することが可能になる。
[0033]図示した実施形態では、各MFC112は、例えば、日本の京都に位置するHORIBA社から入手できる普段は閉じているバルブを有する、好適ないずれかのモデルの質量流コントローラであってよい。MFC112は、例えば約10sccmと200slmとの間の流量を扱うことが可能である。本書に記載のすべての実施形態において、背圧コントローラ114は、例えば日本の京都に位置するHORIBA社から入手できるデジタル自動圧力調整器、又はマサチューセッツ州アンドーバーのMKS社から入手できる閉ループ圧力制御用の一体型圧力コントローラ等の背圧の閉ループ制御のためのいずれかの好適な圧力コントローラ又は圧力調整器であってよい。背圧コントローラ114は、内部アクチュエータを介して駆動可能な内部制御バルブを含み、フィードバック制御ループ及び駆動信号を提供して、コントローラ102によって背圧コントローラへ伝達される所望の圧力設定点に背圧を制御する内部デジタル電子機器を含みうる。背圧センサ108は、いくつかの実施形態では、分配マニホールド106内の背圧を感知するために背圧コントローラ114の内部に位置していてよい。閉ループ制御は、オプションとして、コントローラ102のみによって、あるいはコントローラ102と内部のデジタル電子機器とのいずれかの組合せによって行うことが可能である。
[0034]図1に示すように、処理ガス供給部104は、フィードライン116を通して流量比装置105の分配マニホールド106に流動的に、また動作可能に接続され、分配マニホールド106に処理ガスを供給する。フィードライン116は、導管、又は導管の集合体であってよい。処理ガス供給部104は、処理チャンバ110内で行われる様々な処理のために、必要に応じて混合されうる複数の異なるガスを含みうる。例えば、一実施形態では、一または複数の処理ガス(処理ガス1~N)と混合されたキャリアガス118が送られうる。キャリアガス118は、例えば窒素ガス、水素ガス、又はヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、又はこれらの組合せ等の処理ガスを運ぶ、いずれかの好適なガスであってよい。
[0035]処理ガス供給部104は、例えば複数の処理ガス(例:処理ガス1、処理ガス2、処理ガス3、及び最大の処理ガスN)などの一または複数の処理ガスも含みうる。処理ガス1~Nを使用して、処理チャンバ110内に収容された基板120に一または複数の処理を行うことができる。基板120は、電子デバイスの前駆体物質、例えば半導体ウエハ、結晶シリコンウエハ、シリコンウエハ、ドープされたシリコンウエハ、ドープされた、あるいはドープされていないポリシリコンウエハ、マスクされたシリコンウエハ、パターン化された、あるいはパターン化されていないシリコンウエハ、又はシリコン含有ディスク又はプレート、他のシリコン含有物質などであってよい。基板120は、処理のため、処理チャンバ110内の例えばペデスタルあるいはリフトピンなどの適切な支持体上に配置され支持されうる。処理チャンバ110は、中で基板120を処理するように適合された半導体処理チャンバであってよい。処理ガス1~Nは、例えば、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物 (NO)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化窒素(NO2)、メタン(CH4)、四フッ化炭素 (CF4)、テトラフルオロメタン (CHF4)、トリフルオロメタン(CHF3)、ジフルオロメタン(CH2F2)、三フッ化塩素(ClF3)、六フッ化硫黄(SF6)、ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)、ヘキサフルオロエタン(C2F6)、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、オクタフルオロプロパン(C3F8)、プロピレン(C3H6)、三フッ化窒素(NF3)、ジクロルシラン(H2SiCl2)、ホスフィン(PH3)、シラン(SiH4)、トリクロルシラン(TCS)、トリメチルシラン(3MS)、三塩化ホウ素(BCl3)、塩素(Cl2)、アンモニア(NH3)、ゲルマン(GeH4)、六フッ化タングステン(WF6)、キセノン(Xe)等の還元ガスであってよい。他の好適な処理ガスが使用されることもある。
[0036]より詳細には、処理ガス供給部104は、供給MFC1241~供給MFC124N等の複数の供給MFCを含んでいてよく、Nは、そこに存在する処理ガスの数と等しい場合がある。例えば、供給MFC1241、1242、1243、及び124Nなどの3つ以上の供給MFCがありうる。他の数の処理ガス及び供給MFCも使用可能である。処理ガス供給部104はさらに、処理ガス(処理ガス1、処理ガス2、処理ガス3、・・・処理ガスN)に対するキャリアガス118の相対流量と比率を制御するために、コントローラ102に動作可能に接続されている制御バルブ125、126を含んでいてよく、これにより、処理ガスに対するキャリアガス118の比率だけでなく、流量比装置105の分配マニホールド106に送られる全ガス流も制御される。その時点で処理チャンバ110において行われている特定の処理又は処理段階のための所望の方策にしたがって、各供給MFC1241~124Nの処理ガス流量設定点、及び制御バルブ125、126を通る流れがコントローラ102によって決定され、設定される。
[0037]処理ガス供給部104は、分配マニホールド106、一または複数のMFC112、背圧コントローラ114、及び背圧センサ108を含む流量比装置105に動作可能に連結され、流量比装置105に流体連結された状態で配設される。供給MFC1241~124Nから流量比装置105に供給される異なる処理ガスの数は、半導体基板処理中に供給されるプロセス方策に応じて変動しうる。 更に、処理チャンバ110の様々なゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、及びゾーン2B)への全流量の相対比率も変動しうる。
[0038]このため、処理チャンバ110は、処理チャンバ110内の1を上回るゾーンにガスを受け入れるように適合させることができ、したがって、一または複数のMFC112とBPC114に連結され、複数のゾーンにおいて処理チャンバ110の中に供給される複数のマニホールドのセクション130A~130Cを含みうる排気マニホールド130が配設されうる。流量比装置105の機能は、一または複数の質量流コントローラ112及び背圧コントローラ114を通って、処理チャンバ110の一または複数のゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、ゾーン2B)の中にガスが流れることを可能にすることである。異なる流れを2つ以上のゾーンに送ることが可能である。
[0039]図1に示すように流量比装置105は、排気マニホールド130に連結されていてよく、排気マニホールドのセクション130A~130Cはそれぞれの排気口において処理チャンバ110の複数のゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、及びゾーン2B)に連結されていてよい。例えば、MFC112からの流れは、排気マニホールドのセクション130Aによって内側ゾーン(例:ゾーン1)へ送ることができ、背圧コントローラ114からのガス流は、排気マニホールドのセクション130B、130Cによって一または複数の外側ゾーン(例:ゾーン2A及びゾーン2B)に送ることができる。排気マニホールドのセクション130A、130B、130Cは、例えば、それぞれのゾーン内部で分配されうる複数の排気チャネルを含みうる。幾つかの実施形態では、図示したように、ゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、及びゾーン2B)を処理チャンバ110を横切って水平に配置することができる。他の実施形態では、複数のゾーンを、円形の中心ゾーンの周りに配置された一または複数の同心円として配置することができる。他のゾーンの配置を使用して、ゾーンに分けられたガス流制御を提供することが可能である。他の実施形態では、幾つかの排気口を処理チャンバ110の最上部に配置することができ、他を処理チャンバ110の側面、あるいは底部、又はこれらのいずれかの組合せに配置することができる。各ゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、及びゾーン2B)への複数の排気口を設けることが可能である。
[0040]図示した実施形態では、MFC112は、コントローラ102との相互作用及び通信を介して流量設定点に制御される。MFC112の流量設定点は、例えば、ガス供給部104からフィードライン116に送られる全流量の所望の比率(例:60%)がゾーン1に送られるように設定されうる。次に、ゾーン2A及びゾーン2Bへの残りのガス流が、分配マニホールド106において所望される設計背圧に基づいて設定されうる。具体的には、背圧コントローラ114は、背圧を所定の背圧設定点(Pb)に制御するように構成され、動作可能である。例えば、設計された背圧設定点(Pb)は、約50トールと約1600トールとの間であってよく、例えば、幾つかの実施形態では約350トールであってよい。他の背圧設定点(Pb)を使用することができる。幾つかの実施形態では、背圧設定点(Pb)は、ガス供給部の圧力から処理チャンバ110の圧力を引いたものに基づいて設定されうる。
[0041]他の実施形態では、1を上回るMFC112が使用されうる。例えば、分配マニホールド106に連結された第1のMFC112は、第1のゾーン(例:ゾーン1)への第1の流量比を制御することができ、分配マニホールド106に連結された第2のMFC(図示せず)は、第2のゾーン(例:ゾーン2A)への第2の流量比を制御することができるが、BPC114は、所望の背圧設定点(Pb)に応じて第3のゾーン(例:ゾーン2B)への流れを制御することができる。更に多くの数のMFCを使用して、処理チャンバ110の追加のゾーンに、より細かい流量比制御を提供することができる。このように、各MFCを通る流量比が例えば+/-1%以下までもの非常に厳密な公差に制御されうるため、複数のMFCは流れにおいて互いに争うことがない。同様に、各MFC112の流量設定点に対して約+/-1%以下の厳密な公差が得られうる。
[0042]本書のコントローラ102は、処理ガス供給部104からの流れを制御し、各MFC112を所望の流量設定点に制御し、背圧コントローラ114への所望の背圧設定点(Pb)の制御信号を介して分配マニホールド106の背圧を制御するために背圧信号を受信する、好適なプロセッサ、メモリ、及びソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組合せ、A/D変換器、調整電子機器、及び/又はドライバを含みうる。所望の背圧設定点(Pb)は、コントローラ102によって受信される背圧センサ108による圧力信号に応じたものであってよい。流量設定点は、例えば図示した実施形態におけるフルレンジの全流量の約0.5%と99.5%との間に設定されうる。幾つかの実施形態においては、流量設定点は、約5%と約95%の間であるべきである。いくつかの実施形態では、センサ108はBPC114の一体化されたパーツとして設けることができ、これにより、BPC114の内部の閉ループ電子機器は、閉ループ電子機器に通信可能に接続されているコントローラ102によって内部の閉ループ電子機器に供給される背圧設定点(Pb)に背圧を制御しうる。他の実施形態において、閉ループ制御は、内部の閉ループ電子機器とコントローラ102とのいかなる適切な組合せによっても実現可能である。
[0043]図2に、ガス流制御アセンブリ200の代替的な実施形態の詳細を示す。ガス流制御アセンブリ200は、前述したものと同一のコントローラ102、処理ガス供給部104、及び処理チャンバ110を含む。具体的に記載されていない他の品目も、図1の実施形態と同じである。この実施形態では、しかしながら、流量比装置205は、処理チャンバ110の第1のゾーン(例:ゾーン1~中心ゾーン)に動作可能に流体連結された第1のMFC1 112Aと、処理チャンバ110の少なくとも1つの他のゾーン(例:図示したゾーン2A及びゾーン2B)に動作可能に流体連結された第2のMFC2 112Bとを含む。流量比装置205のこの実施形態のBPC114は、背圧センサ108を介して分配マニホールド206の背圧を監視し、BPC114の内部制御バルブを適切に調整するコントローラ102を用いることによって背圧を背圧設定点(Pb)に制御する。
[0044]上述したように、いくつかの実施形態では、センサ108は、BPC114と一体であってよく、BPC114の内部の閉ループ電子機器によって閉ループ制御が実現され、コントローラ102によって、又はいくつかの実施形態ではBPC114の内部の閉ループ電子機器と及びコントローラ102との組合せによって行われる処理によって、背圧が内部の閉ループ電子機器へ供給される背圧設定点(Pb)に制御されうる。
[0045]図2の実施形態では、BPC114の流出は、処理チャンバ110へ送られる代わりに処理チャンバ110を迂回し、通気口又はスクラバー232に流体連結され、これらに流れる。排気ライン234からの排気ガスは、ガスにいかなる処理も必要ない場合は、通気口に送られうる、すなわち大気に放出されうる、あるいは、ガスが有毒、あるいは可燃性であり、処理の必要がある場合は、除害システム(例:スクラバー)へ送られうる。例えば米国公開特許第US20100192773号、第US20100119984号、第US20090175771号、及び第US20090056544号、及び米国特許第8668868号、第8003067号、及び第6277347号明細書に記載されるもの等のいずれかの好適な除害システムを処理に使用することができる。他の適切な除害システムも使用されうる。
[0046]各MFC112A、112Bは、全ガス流量の約0.5%及び100%の間に設定される流量設定点を有しうる。一実施形態では、第1のMFC112Aは、全流量の約85%の流量設定点に設定されていてよく、第2のMFC112Bは、全流量の約10%の流量設定点に設定されていてよく、背圧設定点(Pb)は、BPC114の作動を介して約800トールに設定されていてよく、これにより全流量の約5%未満が排気ライン234に排気される。全流量は、通気口又はスクラバー232へのガス損失を考慮して、わずかに高く設定されうる。(Pb)によって設定される一定の値の背圧が分配マニホールド206に付与されるため、第1及び第2のMFC112A、112Bは選択されたこれらの流量設定点に精確に制御され、精確に保持され得、これにより、処理チャンバ110の複数のゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、ゾーン2B)への精確な流量比制御が達成されうる。各質量流コントローラ(例:MFC112A、MFC112B)は、並行して処理ガス供給部104に動作可能に接続されるように構成され、これによりいくつかの実施形態では、約90slmを上回る、95slmを上回る、又は100slmをも上回る流量で処理ガス供給部104から大流量のガスを供給しうる。
[0047]図3及び4に、流量比装置305が複数のMFC(例:MFC1、MFC2、MFC3、MFC4、・・・、MFCN)を含むガス流制御アセンブリ300、400の追加の実施形態を示す。前述したように、これらの実施形態は、基板120を収容し、基板120を処理するように構成された処理チャンバ310、410と、分配マニホールド306とを含む。この実施形態では、複数のMFC112A~112Nは、処理チャンバ310、410と分配マニホールド306との間に流体連結されうる。前述したように、背圧コントローラ114は、分配マニホールド306に流体連結される。しかしながら、図3の実施形態では、BPC114を通る流れは処理チャンバ310へ方向づけされるが、図4の実施形態では、BPC114を通る流れは、処理チャンバ410全体を迂回し、通気口又はスクラバー232へ排気される。
[0048]各実施形態の流量比装置305は、複数のMFC112A~112N、BPC114,分配マニホールド306、及び背圧センサ108を含む。前に述べたように、背圧センサ108はいくつかの実施形態ではBPC114と一体であってよい。各実施形態では、コントローラ102は、一または複数のMFC112A~112Nの各MFCを通る流れを、特定の動的に制御可能な、すなわち処理方策の変更に合わせて変更することができる流量設定点に制御するように構成される。各MFC112A~112N-1の流量比設定点は、ユーザの既定の設定に基づいて設定されうる。MFCN112Nのための設定は、処理ガス供給部からの全質量流から、他のMFC1~MFCN-1の各MFCからの割合を引いたものに基づいていてよい。同様に、各実施形態では、コントローラ102によって、分配マニホールド306の背圧がユーザによって設定された背圧設定点(Pb)に制御されうる。この制御は、背圧センサ108からのフィードバック信号に応じたものであってよく、したがって、BPC114は全流量から差し引かれた分を受ける。背圧設定点(Pb)は、いくつかの実施形態では、処理ガス供給部304の上流の圧力から、処理チャンバ310、410における圧力を差し引いたものに基づいていてよい。各実施形態では、フィードライン316内で分配マニホールド306へ送られる全質量流は、コントローラ102からの信号に応じた、キャリアガス及び処理ガス1~Nの各MFC1~MFCNからの設定質量流の合計である。処理ガス供給部304は、供給MFC1261~126Nの制御を介して、キャリアガス118と処理ガス(例:処理ガス1、処理ガス2、処理ガス3、・・・、処理ガスN)の所望の混合物を送りうる。
[0049]前述した各実施形態において、処理チャンバ110、310、410の各吸気口への流量比の割合の調整は、動的な調整が可能であることを認識すべきである。それぞれの流量比が変わると、ガス流制御アセンブリ100、200、300、400が定常状態条件に到達する遷移時間、すなわち整定時間は相対的に短縮される。これは、BPC114がMFC112及び112A~112Nと流体並行に配設されると、MFC112及び112A~112Nがもはや流れにおいて互いに競合しなくなるからである。
[0050]したがって、図3の実施形態では、複数の質量流コントローラ112A~112Nは、処理ガス供給部104から処理チャンバ310の複数のゾーン(例:ゾーンZ1~Z4)へガスを供給し、背圧コントローラ114は、処理チャンバ410の別のゾーン(例:Z5)へガスを供給することが明らかである。
[0051]図4の実施形態では、MFC1~N 112A~112Nを通る流れは複数のゾーン(例:ゾーンZ1~Z4)へ送られ、残りの流れは背圧コントローラ114へ送られ、処理チャンバ410全体を迂回し、通気口又はスクラバー232のうちの1つへ直接排気される。背圧コントローラ114の背圧設定点(Pb)は、上述したように設定されうる。
[0052]図5に、処理ガス供給部504と流量比コントローラ505を含むガス流制御アセンブリ500の別の実施形態を示し、流量比コントローラ505は、BPC114が上流圧力コントローラ514に置き換えられている以外は、図2の実施形態と同様のものである。上流圧力コントローラ514を使用して、フィードライン116の中に供給されるキャリアガス118の圧力を制御することができ、したがって、上流圧力コントローラ514を使用して、マニホールド506に加えられる圧力を遠隔制御することができる。上流圧力コントローラは、バルブと、内部の電子機器、及び可能な場合は、内部圧力センサを含みうる。前に述べたように、いくつかの実施形態では、背圧センサ108は上流圧力コントローラ514と一体であってよく、コントローラ102により圧力設定点が提供される。図示した実施形態では、上流圧力コントローラ514は、キャリアガス118と一または複数の処理ガス1~Nとが混合される接合部536の上流に位置していてよい。分配マニホールド506は、接合部536の下流で処理ガス供給部504に流体連結されている。この実施形態では、流量比コントローラ505は、流れを制御する2つ以上の質量流コントローラ(例:MFC1、MFC2)のみを含み、背圧コントローラを有していない。このため、この実施形態では、処理ガス供給部504から処理チャンバ110へ流れるガスが100%送られるため、ガスが無駄にならない。これにより、除害要件も減る。ガス流は、処理チャンバ110の、少なくともMFC(例:MFC1、MFC2)の数と同じ、あるいはそれ以上のゾーン(例:ゾーン1、ゾーン2A、ゾーン2B)へ送られうる。
[0053]図6に、流量比コントローラ605を含むガス流制御アセンブリ600の別の代替的な実施形態を示す。流量比コントローラ605は、BPC114が上流圧力コントローラ614に置き換えられている以外は、図3の実施形態と同様のものである。上流圧力コントローラ614を使用して、フィードライン316の中に供給されるキャリアガス118の圧力を制御することができ、したがって、上流圧力コントローラ614を使用して、マニホールド606に加えられる圧力を遠隔制御することができる。すでに述べたように、いくつかの実施形態では、背圧センサ108は上流圧力コントローラ614と一体であってよい。図5に示すように、上流圧力コントローラ614は、キャリアガス118と一または複数の処理ガス1~Nとが混合される接合部536の上流に位置していてよい。この実施形態では、流量比コントローラ605は、処理チャンバ610の中への流れを制御するが、背圧コントローラ114を有していない複数の質量流コントローラ(例:MFC1、MFC2、MFC3、・・・、MFCN)のみを含む。このため、この実施形態では、処理チャンバ410へガスが100%送られるため、ガスが無駄にならず、これにより、除害要件が減る。ガス流は、処理チャンバ410の、少なくともMFCの数と同じ、あるいはそれ以上のゾーン(例:ゾーンZ1~Z4)へ送られうる。
[0054]図7に、処理ガス供給部704及び流量比コントローラ605を含むガス流制御アセンブリ700の別の代替的な実施形態を示す。流量比コントローラ605は、図6の実施形態で説明した流量比コントローラと同一のものである。この実施形態では、上流圧力コントローラ714を使用して、フィードライン316の中に供給されたキャリアガス118の圧力を制御することができ、これにより、マニホールド606に加えられる圧力を遠隔制御することができる。前に述べたように、幾つかの実施形態では、背圧センサ108は上流圧力コントローラ714と一体であってよい。図5及び図6に示すように、上流圧力コントローラ714は、キャリアガス118及び一または複数の処理ガス1~Nが互いに混合される接合部536の上流に位置しうる。この実施形態では、圧力コントローラ714は、キャリアガスMFCC726との流体並行関係に配設されうる。このため、この実施形態ではまた、処理チャンバ410へガスが100%供給されるため、ガスが無駄にならず、これにより、除害要件が減る。一部のキャリアガスのみが、上流圧力コントローラ714を通って流れる。したがって、キャリアガスMFCC726は所望の流量設定点に設定されていてよく、上流圧力コントローラ714は、分配マニホールド606の背圧を所望の背圧設定点(Pb)に制御するように変調されうる。当然ながら、キャリアガスMFCC726との流体並行関係に配設された圧力コントローラ714の配置を図5に示す構造に適用することにより、圧力コントローラ514を置き換えて、他の残りをすべて同じにすることが可能である。
[0055]図8に、本発明の一または複数の実施形態に係る、処理チャンバ(例:処理チャンバ110、310、410)へのガスの流れを制御する例示の方法のフロー図を示す。方法800は、802において、処理チャンバ(例:処理チャンバ110、310、410)及び分配マニホールド(例:分配マニホールド106、206、又は306)を提供することと、804において、処理チャンバ(例:処理チャンバ110、310、410)と分配マニホールド(例:分配マニホールド106、206、306)との間に流体連結された一または複数の質量流コントローラ(例:MFC112、112A及び112B、又は112A~112N)を提供することと、806において、分配マニホールド(例:分配マニホールド106、306)に流体連結された背圧コントローラ(例:背圧コントローラ114)を提供することとを含む。
[0056]方法800はさらに、808において、一または複数の質量流コントローラ(例:MFC112、112A及び112B、又は112A~112N)の各々を通る流れを動的に制御可能な流量比設定点に制御することと、810において、背圧コントローラ(例:背圧コントローラ114)の上流の背圧を背圧設定点(Pb)に制御することとを含む。
[0057]上記の実施例の方法800は一連の個別のステップとして記載されているが、本発明の実施形態はそれに限定されないことに留意されたい。記載のステップは、本発明の一または複数の実施形態の理解を促進するための例示を目的としているにすぎない。任意の数の追加の又は中間のステップを含むことができ、幾つかのステップを省略又は結合することができ、任意のステップの任意の部分をサブステップに分割することができる。加えて、ステップが提示される具体的な順序は本発明の理解を単に促進するためのものであり、これらのステップ、又は任意の組み合わせ又はサブステップは、同時を含む任意の好適な順序で実施されうることを理解すべきである。
[0058]一または複数の質量流コントローラ(例:MFC112、112A及び112B、又は112A~112N)の各々の808における動的に制御可能な流量設定点は、許容範囲内の全流量の任意の割合に設定されうる。幾つかの実施形態では、一または複数の質量流コントローラ(例:MFC112、112A及び112B、又は112A~112N)の公称流量は+/-1%に制御され、これにより、それぞれのMFC間の流量比の非常に精確な制御が可能でありうる。したがって、2つ以上のチャネルの流れに精確に割ることができることが分かるはずである。更に、MFCがもはや互いに争わないため、アンバランスな流れが低減し得、質量流コントローラ(例:MFC112、112A及び112B、又は112A~112N)のそれぞれの流量比の変化において約1秒未満の整定時間が達成されうる。更に、単純な制御アルゴリズムを、例えばシンプルエラーフィードバック制御、比例制御等の、背圧制御を実行するのに使用することが可能である。もちろん、より高機能のフィードフォワード制御又は予測制御を使用することができるが、単純なフィードバック制御法を使用したときでさえも、十分な応答時間を達成することが可能である。
[0059]図9に、本発明の一または複数の実施形態に係る、処理チャンバ(例:処理チャンバ110、410)へのガスの流れを制御する別の例示の方法のフロー図を示す。方法900は、902において、処理チャンバ(例:処理チャンバ110、410)に流体連結された分配マニホールド(例:分配マニホールド506、606)を提供することを含む。方法900はさらに、904において、分配マニホールドに流体連結された処理ガス供給部(例:処理ガス供給部504、604、704)を提供することを含み、処理ガス供給部は、一または複数の供給質量流コントローラ(例:供給質量流コントローラ1241、1242、1243、・・・、124N)によって流れが制御されるキャリアガス(例:キャリアガス118)、及び一または複数の処理ガス(例:処理ガス1、処理ガス2、処理ガス3、・・・、処理ガスN)に動作可能に連結された上流圧力コントローラ(例:上流圧力コントローラ514、614、714)を含む。
[0060]方法900はさらに、906において、処理チャンバと分配マニホールドとの間に流体連結された一または複数の質量流コントローラ(例:MFC1 112A及びMFC2 112B、又はMFC1 112A~MFCN 112N)を提供することを含む。
[0061]操作上、方法900は、908において、一または複数の質量流コントローラ(例:MFC1 112A及びMFC2 112B、又はMFC1 112A~MFCN 112N)の各々を通るガス流を動的に制御可能な流量設定点に制御することと、910において、上流圧力コントローラ(例:上流圧力コントローラ514、614、714)でキャリアガス流を制御することによって、分配マニホールドの背圧を背圧設定点(例:背圧設定点Pb)に制御することとを含む。
[0062]特定のキャリアガス及び処理ガス、並びに特定の圧力範囲及び流量が本書に記載されているが、本発明の実施形態は、他のガス、圧力範囲、及びガス流量にも等しく使用可能であることを理解すべきである。
[0063]したがって、本発明は、その例示的な実施形態に関連して開示されているが、他の実施形態が、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に含まれることもあると、理解すべきである。