JP2022016447A - 熱処理炉 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1に記載の連続雰囲気熱処理炉は、冷却室において、冷却器として2つの循環ファンにより炉内ガスを循環させるダクトの途中にクーラーが設けられ、このクーラーにより炉内ガスを冷却し得るようにしている。
特許文献2に記載の熱処理炉は、徐冷兼冷却室及び冷却室において、冷却器として冷却用のガス流を形成する為のファンが設けられ、浮揚ノズル及び噴流ノズルから用途に対応する温度と量のガスを噴出するようにしてある。
特許文献3に記載の連続雰囲気熱処理炉において、冷却室には、冷却器として2つの冷却ガス循環噴射装置が装備されている。この冷却ガス循環噴射装置は、ファンと、ファンに接続された噴出ダクトとしてのダクトと、ファンに相対して装備されたクーラー及び該クーラーに接続された吸込ダクトとしてのダクトとを備えている。そして、冷却ガス循環噴射装置は、冷却室内の雰囲気ガスをクーラーで冷却し、冷却した雰囲気ガスをダクトから噴射して被処理物を急冷するように構成されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記噴出ダクト内には、炉幅方向で該噴出ダクトの内部を仕切る複数の仕切板が設けられ、3つ以上の噴流室が炉幅方向に並んで形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記噴出ダクト内には、各噴流室における雰囲気ガスの風量を調節するダンパが設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の発明において、前記冷却室の出口側端部から炉長方向に伸びるスロート室を備えており、前記スロート室は、炉長方向で入口側端部に設けられた第1扉と、炉長方向で出口側端部に設けられた第2扉と、前記第1扉と前記第2扉との間に設けられた少なくとも1枚の中間扉と、を備えていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第1扉、前記第2扉及び前記中間扉から選択される少なくとも1つの扉によって、前記熱処理炉は常に炉長方向の下流側が閉じた状態を維持されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の発明において、前記第1扉、前記第2扉及び前記中間扉は、前記被処理物が通過した直後の1つの扉のみが閉じた状態とされて、残りの扉が開いた状態とされることを要旨とする。
また、炉幅方向で噴出ダクトの内部を仕切る複数の仕切板が設けられ、噴出ダクト内に3つ以上の噴流室が炉幅方向に並んで形成されている場合、複数の被処理物を炉幅方向に並べてまとめて処理する際に中間部に配された被処理物について、冷却効率の向上を図ることができる。
また、噴出ダクト内に各噴流室における雰囲気ガスの風量を調節するダンパが設けられている場合、複数の被処理物を炉幅方向に並べてまとめて処理する際に、冷却効率の更なる向上を図ることができる。
また、熱処理炉は、冷却室の予備室として、該冷却室の出口側端部から炉長方向に伸びるスロート室を備えることができる。このスロート室には、炉長方向で入口側端部に設けられた第1扉と、炉長方向で出口側端部に設けられた第2扉と、第1扉と第2扉との間に設けられた少なくとも1枚の中間扉と、を備えている場合、被処理物の長さに合わせ、使用する扉を使い分けることで、生産効率の更なる向上を図ることができる。
また、第1扉、第2扉及び中間扉から選択される少なくとも1つの扉によって、熱処理炉は常に炉長方向の下流側が閉じた状態を維持されている場合、外気の侵入によって炉内の雰囲気が乱される、いわゆるトンネル効果の発生を抑えることで、生産効率の低下を抑制することができる。
また、第1扉、第2扉及び中間扉は、被処理物が通過した直後の1つの扉のみが閉じた状態とされて、残りの扉が開いた状態とされる場合、熱処理炉の下流側が閉じた状態を常に維持しながら、被処理物を迅速に搬送することができるので、生産効率の更なる向上を図ることができる。
冷却器(20A,20B)は、ファン(21A,21B)と、ファン(21A,21B)の回転によって冷却室(12)内の雰囲気ガスを吸い込む吸込ダクト(22A,22B)及び雰囲気ガスを噴出する噴出ダクト(23A,23B)と、を備えている。
そして、隣接する2基の冷却器(20A,20B)は、一方の冷却器(20A)における吸込ダクト(22A)及び噴出ダクト(23A)の位置関係と、他方の冷却器(20B)における吸込ダクト(22B)及び噴出ダクト(23B)の位置関係とが、炉長方向に関して線対称とされている。
熱処理炉(10)は、加熱室(11)及び冷却室(12)を備えるものであれば、構成等は特に問わない。例えば、熱処理炉(10)は、加熱室(11)の端部から炉長方向の上流側へ伸びるように設けられた予熱室(13)を備える構成とすることができる。また、熱処理炉(10)は、冷却室(12)の端部から炉長方向の下流側へ伸びるように設けられたスロート室(14)を備える構成とすることができる。
被処理物(W)は、材質、形状、大きさ等は特に問わず、パイプ、バー、レール等の長尺材、線材、板材等が適宜選択されるが、熱処理炉(10)が連続式である場合、長尺材が好ましい。
熱処理炉(10)における被処理物(W)の搬送方式は、被処理物(W)を素早く搬送して迅速に取り出すことができ、また被処理物(W)が長尺材(W)の場合に搬送時の長尺材に負荷を与えにくく、曲がりを抑制できるという観点から、ローラーハース式が好ましい。
加熱室(11)は、雰囲気ガス下で被処理物(W)を加熱することができるものであれば、加熱方式、形状、容積、材質、構成等は特に問わない。加熱室(11)に設けられる加熱源(16)は、特に問わず、ラジアントチューブ、ヒーター等が適宜選択される。
冷却器(20A,20B)は、ファン(21A,21B)と、冷却室(12)内の雰囲気ガスを吸い込む吸込ダクト(22A,22B)及び雰囲気ガスを噴出する噴出ダクト(23A,23B)と、を備えているものであれば、構成等は特に問わない。
ファン(21A,21B)は、形状、大きさ、材質、種類等は特に問わず、ターボファン、プロペラファン、シロッコファン等が適宜選択される。
吸込ダクト(22A,22B)及び噴出ダクト(23A,23B)は、形状、材質、ダクト径等は特に問わない。
冷却室(12)に設けられる冷却器(20A,20B)の基数は、2基以上であれば特に問わないが、一方の冷却器(20A)で生じた圧力の偏りと他方の冷却器(20B)で生じた圧力の偏りとが互いに打ち消し合うという観点から、偶数とすることが好ましい。
例えば、隣接する2基のうち一方の冷却器(20A)は、吸込ダクト(22A)が炉長方向の上流側、噴出ダクト(23A)が炉長方向の下流側に配された位置関係で設けられている場合、他方の冷却器(20B)は、噴出ダクト(23A)が炉長方向の上流側、吸込ダクト(22A)が炉長方向の下流側に配された位置関係となるように設けられる。
また、隣接する2基のうち一方の冷却器(20A)は、噴出ダクト(23A)が炉長方向の上流側、吸込ダクト(22A)が炉長方向の下流側に配された位置関係で設けられている場合、他方の冷却器(20B)は、吸込ダクト(22A)が炉長方向の上流側、噴出ダクト(23A)が炉長方向の下流側に配された位置関係となるように設けられる。
熱処理炉(10)は、生産効率の向上を図る観点から、複数の被処理物(W)が炉幅方向に並べられて、一度にまとめて処理されるような構成となっている。しかし、炉幅方向に並べられた複数の被処理物のうち、中間部に配された被処理物は、両端部に配された被処理物に比べて冷却効率が劣りやすい。その理由としては、炉幅方向の中間部に配された被処理物には、両端部に配された被処理物からの伝熱の影響が及ぶこと、噴出ダクト(23A)から噴出された雰囲気ガスは、炉幅方向において中間部から端部へ向かって拡散すること、等が考えられる。
仕切板(26)は、噴出ダクト(23A,23B)の内部を仕切ることが可能であれば、形状、大きさ、材質等は、特に問わない。また仕切板(26)の枚数は、2枚以上であれば、特に問わない。
噴流室(27)は、形状、大きさ、径等は、特に問わない。また、噴流室(27)は、炉幅方向の中間部に配された被処理物(W)に雰囲気ガスが噴出されるように、3つ以上が炉幅方向に並ぶように形成されるのであれば、個数は特に問わない。
ダンパ(28)を設けた場合、各噴流室(27)における雰囲気ガスの風量を調節することで、例えば炉幅方向の中間部に配された被処理物(W)に対する雰囲気ガスの噴射量を増したりすることができ、冷却効率の更なる向上を図ることができる。
ダンパ(28)は、風量の調節が可能であれば、種類、構成等は特に問わず、手動式の風量調整ダンパ(VD)、電動式のモータダンパ(MD)、空気圧に応じて操作される空気作動ダンパ(AD)等が適宜選択される。
そして、冷却室(12)を通過した後の被処理物は、このスロート室(14)内を通過して、炉外へ取り出される。
一般的な連続式の熱処理炉において、設定よりも短い長尺材を処理対象とする場合には、スロート室内に空きが生じてしまうため、生産効率を考慮すれば、スロート室内に空きが生じないように、炉長方向における長尺材同士の間隔を詰めることが好ましい。しかし、一般的な連続式の熱処理炉で炉長方向における長尺材同士の間隔を詰めると、上述した各室への搬送タイミングが狂ってしまう。このため、一般的な連続式の熱処理炉は、設定よりも短い長尺材を処理対象とし、炉長方向における長尺材同士の間隔を詰めることで、より多くの長尺材を処理して生産効率の向上を図ることはできない。
第1扉(31)と第2扉(32)との間に少なくとも1枚の中間扉(33)を備える場合、この中間扉(33)によってスロート室(14)内を長尺材(WS,WL)の長さに応じたサイズに分割することができ、空きが生じることを抑制して、炉長方向における長尺材同士の間隔を詰めることができる。このため、熱処理炉における対応可能な長尺材の長さの範囲を広げることができ、生産効率の向上を図ることができる。
中間扉(33)は、1枚のみ設けられることに限らず、2枚以上設けられていてもよい。そして、中間扉(33)が2枚以上設けられている場合、スロート室(14)内を長尺材の長さに応じたサイズに好適に分割することができ、熱処理炉における対応可能な長尺材の長さの範囲を更に広げることができる。
また、一般的な連続式の熱処理炉では、上流側で予熱室の入口に扉が設けられており、この予熱室の扉もまた、被処理物の処理中は、該被処理物を迅速に受け入れて生産効率を高めるため、常に開いた状態とされる。
そして、上流側及び下流側の両側で扉が常に開いた状態とされた連続式の熱処理炉は、外気の侵入によって炉内の雰囲気が乱される、いわゆるトンネル効果が発生することで、生産効率が低下するという問題を有している。
この熱処理炉(10)は、常に炉長方向の下流側を閉じた状態にすることで、トンネル効果の発生を抑制することができ、炉内の雰囲気が安定に保たれるため、生産効率の向上を図ることができる。
このように構成した場合、スロート室内を上流側から下流側へ向かって搬送される長尺材(WS,WL)に対し、長尺材(WS,WL)の後方では、第1扉(31)、第2扉(32)及び中間扉(33)のうち長尺材(WS,WL)に直近の扉が、該長尺材(WS,WL)の後を追うようにして閉じた状態になり、一方、長尺材(WS,WL)の前方では、全ての扉が開いた状態になる。そして、長尺材(WS,WL)の後を追うように扉が閉じた状態になることで、熱処理炉の下流側が閉じた状態を常に維持しながら、長尺材(WS,WL)の前方で全ての扉が開いた状態になることで、長尺材(WS,WL)を迅速に搬送することができるため、生産効率の更なる向上を図ることができる。
熱処理炉(10)の炉長方向の下流側を常に閉じた状態にする場合、第1扉(31)、第2扉(32)及び中間扉(33)のうち閉じる扉の枚数は、特に限定されない。
但し、熱処理炉(10)の炉長方向の下流側を常に閉じた状態にして、かつ長尺材(WS,WL)を迅速に搬送する場合、第1扉(31)、第2扉(32)及び中間扉(33)のうち長尺材(WS,WL)の前方にある全ての扉を開いた状態にすることが好ましい。
また、熱処理炉(10)の炉長方向の下流側を常に閉じた状態にして、かつ被処理物(W)である長尺材(WS,WL)を迅速に搬送する場合、第1扉(31)、第2扉(32)及び中間扉(33)は、必ずしも長尺材(WS,WL)が通過した直後の1つの扉のみが閉じた状態とされることに限定されず、長尺材(WS,WL)の後方にある全ての扉を閉じた状態にしてもよい。但し、長尺材(WS,WL)が通過した直後の1つの扉のみを閉じた状態とし、該1つの扉を除いて長尺材(WS,WL)の後方にある全ての扉を開いた状態とすることで、該長尺材(WS,WL)の後に処理される長尺材(WS,WL)もまた迅速に搬送することができ、炉長方向における長尺材同士の間隔を好適に詰めることができる。
また、熱処理炉(10)は、スロート室(14)において、第1扉(31)、第2扉(32)及び中間扉(33)の開閉を制御する制御装置(34)を有する構成とすることができる。
図1に示すように、熱処理炉10は、炉長方向に沿って加熱室11及び冷却室12を備えている。この熱処理炉10においては、加熱室11側が炉長方向の上流側、冷却室12側が炉長方向の下流側となる。なお、これ以降は、炉長方向の上流側を入口側、炉長方向の下流側を出口側とも記載する。
熱処理炉10は、加熱室11の入口側の端部から炉長方向の上流側へ伸びる予熱室13を備えている。更に、熱処理炉10は、冷却室12の出口側の端部から炉長方向の下流側へ伸びるスロート室14を備えている。
また、熱処理炉10は、被処理物の搬送方式としてローラーハース式を採用しており、炉内には複数のローラーが回転可能に所定間隔で敷設されている。そして、被処理物である長尺材Wは、複数のローラーが同調して回転することにより、炉長方向の上流側から下流側へと迅速に搬送されるように構成されている。
加熱室11は、ラジアントチューブからなる加熱源16が、内部に複数装備されており、加熱室11内を搬送される長尺材Wを加熱できるように構成されている。
図2に示すように、冷却器20A,20Bにおいて、ファン21A,21Bと、吸込ダクト22A,22Bとの間には、クーラー24A,24Bが設けられている。また、冷却器20A,20Bには、ファン21A,21Bを回転させるためのモーター25A,25Bが設けられている。
冷却器20A,20Bは、モーター25A,25Bによってファン21A,21Bが回転されることにより、冷却室12内の雰囲気ガスを、吸込ダクト22A,22B内に吸い込む。吸込ダクト22A,22B内に吸い込まれた雰囲気ガスは、クーラー24A,24Bを通過することによって冷却される。冷却された雰囲気ガスは、ファン21A,21Bの回転により、噴出ダクト23A,23B内へ送り込まれる。そして、冷却された雰囲気ガスが噴出ダクト23A,23Bの先端部から長尺材Wへと噴射されて、この長尺材Wが冷却される。
具体的に、一方の冷却器20Aは、吸込ダクト22Aが炉長方向の上流側、噴出ダクト23Aが炉長方向の下流側の位置関係になるように設置されている。これに対して、他方の冷却器20Bは、噴出ダクト23Bが炉長方向の上流側、吸込ダクト22Bが炉長方向の下流側の位置関係になるように設置されている。
また言い換えると、一方の冷却器20Aは、ファン21Aが設けられた面を前面として、前面が炉長方向の下流側に向くように設置されている。これに対して、他方の冷却器20Bは、ファン21Bが設けられた面を前面として、前面が炉長方向の上流側に向くように設置されている。従って、隣接する2基の冷却器20A,20Bは、互いのファン21A,21Bが向かい合わせとなるように設置されることにより、互いにおける吸込ダクト22A,22B及び噴出ダクト23A,23Bの位置関係が炉長方向に関して線対称とされている。
炉長方向に関して線対称に配置された2基の冷却器20A,20Bにおいて、一方の冷却器20Aで生じた圧力の偏りと、他方の冷却器20Bで生じた圧力の偏りとは、逆位相となるので、互いに打ち消し合うように作用する。従って、冷却室12内における圧力バランスの平衡状態が保たれる。
この場合、一方の冷却器20Aは、噴出ダクト23Aが炉長方向の上流側、吸込ダクト22Aが炉長方向の下流側の位置関係になり、他方の冷却器20Bは、吸込ダクト22Bが炉長方向の上流側、噴出ダクト23Bが炉長方向の下流側の位置関係になるように設置される。
図3に示すように、噴出ダクト23Aは、ファン21Aが接続された個所から離れた位置で2つに分岐されており、一方は長尺材Wの上方へ、他方は長尺材Wの下方へ伸びている。このように分岐された噴出ダクト23Aは、長尺材Wに対して上下両方向から冷却された雰囲気ガスを噴射することができ、好適な冷却効率となるように構成されている。
また、噴出ダクト23Aの分岐個所には、ダンパ28Aが取り付けられている。このダンパ28Aは、長尺材Wの上方へ送られる雰囲気ガスの風量と、長尺材Wの下方へ送られる雰囲気ガスの風量とのバランスを保つように機能している。
本実施例において、仕切板26は、上側の噴出ダクト23A内に2枚、下側の噴出ダクト23A内に2枚の合計4枚が設けられている。また噴流室27は、上側の噴出ダクト23A内に3つ、下側の噴出ダクト23A内に3つの合計6つが形成されている。
噴出ダクト23A内に送り込まれた雰囲気ガスは、各噴流室27へ分岐して送られ、各噴流室27の先端部から長尺材Wに向けて噴射される。また雰囲気ガスは、各噴流室27へ分岐して送られることにより、噴流室27内でまとまって、噴射後の拡散を抑制される。
本実施例では、炉幅方向に並んで形成された3つの噴流室27のうち、中央の噴流室27から噴出される雰囲気ガスは、両端部から噴出される雰囲気ガスによって両側方から挟み込まれることにより、好適に集束した状態となる。このため、中央の噴流室27から噴出される雰囲気ガスは、炉幅方向に並べて処理される複数の長尺材Wのうち、中央部に配された長尺材Wに好適に届き、該長尺材Wを良好に冷却するため、冷却効率が向上している。
ダンパ28は、ファン21Aから各噴流室27へと送られる雰囲気ガスの量を増減させることにより、各噴流室27における雰囲気ガスの風量を調節するように構成されたものである。そして、ダンパ28によって各噴流室27における雰囲気ガスの風量を調節することにより、冷却効率の更なる向上を図ることができる。
例えば、炉幅方向に並べて処理される複数の長尺材Wのうち、中央部に配された長尺材Wの冷却効率が悪い場合には、炉幅方向に並んで形成された3つの噴流室27のうち中央の噴流室27について、ダンパ28によって雰囲気ガスの風量が増すように調節が為される。
図4(a)に示すように、中間扉33は、被処理物が短い長尺材WSの場合に使用される。この中間扉33が使用される場合、スロート室14内は、中間扉33によって上流側の第1室14Aと下流側の第2室14Bとに分割されている。第1室14A及び第2室14Bにはそれぞれ、長尺材WSを搬送するため、複数のローラーが回転可能に所定間隔で敷設されている。
特に図示はしないが、第1室14Aに敷設された複数のローラーを駆動するモーター等の駆動機構と、第2室14Bに敷設された複数のローラーを駆動するモーター等の駆動機構とは、各々個別に独立して設けられている。そして、第1室14A及び第2室14Bにそれぞれ駆動機構を独立して設けることにより、第1室14A及び第2室14Bの各室で長尺材WSを迅速に搬送することができる。
例えば、図1、図4(a)及び図5(a)では、第1扉31により、熱処理炉10は、炉長方向の下流側が閉じた状態を維持されている。
また、図4(b)では、中間扉33により、熱処理炉10は、炉長方向の下流側が閉じた状態を維持されている。
そして、図4(c)及び図5(b)では、第2扉32により、熱処理炉10は、炉長方向の下流側が閉じた状態を維持されている。
例えば、図1、図4(a)及び図5(a)では、長尺材WS,WLが通過した直後の、つまり長尺材WS,WLの後方(炉長方向の上流側)で直近の第1扉31のみが閉じた状態とされて、残りの第2扉32及び中間扉33が開いた状態とされる。
また、図4(b)では、長尺材WSが通過した直後の、つまり長尺材WSの後方(炉長方向の上流側)で直近の中間扉33のみが閉じた状態とされて、残りの第1扉31及び第2扉32が開いた状態とされる。
そして、図4(c)及び図5(b)では、長尺材WS,WLが通過した直後の、つまり長尺材WS,WLの後方(炉長方向の上流側)で直近の第2扉32のみが閉じた状態とされて、残りの第1扉31及び中間扉33が開いた状態とされる。
冷却室12から取り出された長尺材WSは、スロート室14内に送り込まれて、炉長方向の上流側(以下、「長尺材WSの後方」とも記載する)から、下流側(以下、「長尺材WSの前方」とも記載する)へ向かって搬送される。
また、第1扉31が閉じたことに連動して、第2扉32が開く。このとき、中間扉33は開いたままである。
そして、熱処理炉10の下流側であるスロート室14は、長尺材WSの後方では、第1扉31によって閉じた状態とされ、長尺材WSの前方では、該長尺材WSの迅速な搬送を妨げないように、第2扉32及び中間扉33が開かれている。
また、中間扉33が閉じたことに連動して、第1扉31が開く。このとき、第2扉32は開いたままである。
そして、熱処理炉10の下流側であるスロート室14は、長尺材WSの後方では、中間扉33によって閉じた状態とされ、長尺材WSの前方では、該長尺材WSの迅速な搬送を妨げないように、第2扉32が開かれている。
また、第2扉32が閉じたことに連動して、中間扉33が開く。このとき、第1扉31は開いたままである。
そして、熱処理炉10の下流側であるスロート室14は、第2扉32によって閉じた状態とされる。更に、冷却室12からは、次に処理される長尺材WS(図中に二点鎖線で示す)が取り出され、この長尺材WSの前方では、該長尺材WSの迅速な搬送を妨げないように、第1扉31及び中間扉33が開かれている。
以後は、上述の図4(a)、図4(b)、図4(c)の順番で繰り返される。
冷却室12から取り出された長尺材WLは、スロート室14内に送り込まれて、炉長方向の上流側(以下、「長尺材WLの後方」とも記載する)から、下流側(以下、「長尺材WLの前方」とも記載する)へ向かって搬送される。
また、第1扉31が閉じたことに連動して、第2扉32が開く。このとき、中間扉33は開いたままである。
そして、熱処理炉10の下流側であるスロート室14は、長尺材WLの後方では、第1扉31によって閉じた状態とされ、長尺材WLの前方では、該長尺材WSの迅速な搬送を妨げないように、第2扉32が開かれている。
また、第2扉32が閉じたことに連動して、第1扉31が開く。このとき、中間扉33は開いたままである。
そして、熱処理炉10の下流側であるスロート室14は、第2扉32によって閉じた状態とされる。更に、冷却室12からは、次に処理される長尺材WL(図中に二点鎖線で示す)が取り出され、この長尺材WLの前方では、該長尺材WLの迅速な搬送を妨げないように、第1扉31が開かれている。
以後は、上述の図5(a)、図5(b)の順番で繰り返される。
連続式の熱処理炉は、炉長方向の上流側と下流側の両方が開いていると、トンネル効果が発生して、炉内の雰囲気が不安定になってしまう。実施例の熱処理炉10は、連続式であるが、第1扉31、第2扉32又は中間扉33によって、炉長方向の下流側であるスロート室14が常に閉じた状態とされているため、トンネル効果が発生しない。従って、熱処理炉10は、炉内の雰囲気が安定しており、生産効率が向上する。
また、熱処理炉10の炉長方向の下流側を閉じた状態にする扉には、第1扉31、第2扉32及び中間扉33のうち長尺材WS,WLが通過した直後の1つが選択されている。このため、閉じた状態にした第1扉31、第2扉32及び中間扉33によって、長尺材WS,WLの搬送が妨げられることを防止することができ、熱処理炉10の炉長方向の下流側が常に閉じた状態を維持しつつ、長尺材WS,WLを迅速に搬送することができる。
また、短い長尺材WSの場合、第2室14Bに長尺材WSが収容されている状態で、第1室14Aにも長尺材WSを収容することができ、単位時間当たりの処理量が増すことで、生産効率の向上を図ることができる。
そして、中間扉33によってスロート室14内を第1室14Aと第2室14Bに分割したことにより、長い長尺材WLに比べて、短い長尺材WSのスロート室14における搬送距離を短くすることができるので、炉長方向における長尺材WS同士の間隔を詰めることが可能であり、生産効率の向上を図ることができる。
11 加熱室
12 冷却室
13 予熱室
14 スロート室
20A,20B 冷却器
21A,21B ファン
22A,22B 吸込ダクト
23A,23B 噴出ダクト
24A,24B クーラー
25A,25B モーター
26 仕切板
27 噴流室
28 ダンパ
31 第1扉
32 第2扉
33 中間扉
Claims (6)
- 雰囲気ガス下で被処理物を加熱して冷却するべく、炉長方向に沿って加熱室及び冷却室を備える熱処理炉であって、
前記冷却室には2基以上の冷却器が炉長方向に並んで設けられており、
前記冷却器は、ファンと、冷却室内の雰囲気ガスを吸い込む吸込ダクト及び該雰囲気ガスを噴出する噴出ダクトと、を備えており、
隣接する2基の冷却器は、一方の冷却器における吸込ダクト及び噴出ダクトの位置関係と、他方の冷却器における吸込ダクト及び噴出ダクトの位置関係とが、炉長方向に関して線対称とされていることを特徴とする熱処理炉。 - 前記噴出ダクト内には、炉幅方向で該噴出ダクトの内部を仕切る複数の仕切板が設けられ、3つ以上の噴流室が炉幅方向に並んで形成されている請求項1に記載の熱処理炉。
- 前記噴出ダクト内には、各噴流室における雰囲気ガスの風量を調節するダンパが設けられている請求項2に記載の熱処理炉。
- 前記冷却室の端部から炉長方向の下流側へ伸びるスロート室を備え、
前記スロート室は、
炉長方向で上流側の端部に設けられた第1扉と、
炉長方向で下流側の端部に設けられた第2扉と、
前記第1扉と前記第2扉との間に設けられた少なくとも1枚の中間扉と、
を備えている請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の熱処理炉。 - 前記第1扉、前記第2扉及び前記中間扉から選択される少なくとも1つの扉によって、前記熱処理炉は常に炉長方向の下流側が閉じた状態を維持されている請求項4に記載の熱処理炉。
- 前記第1扉、前記第2扉及び前記中間扉は、前記被処理物が通過した直後の1つの扉のみが閉じた状態とされて、残りの扉が開いた状態とされる請求項4又は請求項5に記載の熱処理炉。
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