JP2022015956A - コーヒー抽出液の香味を改善する方法 - Google Patents

コーヒー抽出液の香味を改善する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022015956A
JP2022015956A JP2020119162A JP2020119162A JP2022015956A JP 2022015956 A JP2022015956 A JP 2022015956A JP 2020119162 A JP2020119162 A JP 2020119162A JP 2020119162 A JP2020119162 A JP 2020119162A JP 2022015956 A JP2022015956 A JP 2022015956A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coffee
coffee beans
lees
producing
beans
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020119162A
Other languages
English (en)
Inventor
和彦 西村
Kazuhiko Nishimura
和泉 星野
Izumi Hoshino
敦史 塩尻
Atsushi Shiojiri
聡 時田
Satoshi Tokita
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP2020119162A priority Critical patent/JP2022015956A/ja
Publication of JP2022015956A publication Critical patent/JP2022015956A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Tea And Coffee (AREA)

Abstract

【課題】不快臭が低減されたコーヒー抽出液を製造するための焙煎コーヒー豆の製造方法、及び当該方法により製造された焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を製造する方法の提供。【解決手段】コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後に焙煎する、焙煎コーヒー豆の製造方法、及び、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後、焙煎して焙煎コーヒー豆を得る工程と、前記焙煎コーヒー豆の可溶性固形分を含有するコーヒー抽出液を調製する工程と、を有することを特徴とする、コーヒー抽出液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒー抽出液の不快臭を低減して香味を改善する方法、及び当該方法により不快臭が低減されたコーヒー抽出液を製造する方法に関する。
コーヒーは、日常的に広く親しまれている嗜好性飲料であり、容器詰飲料や、水等の液体に溶解させることにより喫飲可能となるインスタントコーヒーが多数上市されている。より味や香りに優れたコーヒー抽出液を原料とすることにより、容器詰コーヒー飲料やインスタントコーヒーの味や香りを改善することができると期待できる。特に香りはコーヒーの重要な品質の1つであり、不快臭が少なく、コーヒーらしい香りに優れたコーヒー抽出液を原料とすることにより、より嗜好性に優れたコーヒー飲料を製造することができる。
コーヒー豆は主に、アラビカ種とロバスタ種の2種類がある。アラビカ種は香りに優れており、爽やかな酸味を有する。一方で、ロバスタ種は、苦味が強く、栽培が比較的容易であるものの、香りが劣る。ロバスタ種の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液は、アラビカ種の焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液と比較して、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン(2-Ethyl-3,5-dimethylpyrazine)、グアヤコール(Guaiacol)、4-エチルグアヤコール(4-Ethylguaiacol)、4-ビニルグアヤコール(4-Vinylguaiacol)、インドール(Indole)、及び3-メチルインドール(3-Methylindole)の含有量が明らかに多い(非特許文献1)。これらの香気成分の含有量の違いが、アラビカ種とロバスタ種の香りの違いの原因と考えられており、コーヒー飲料中のこれらのロバスタ種で含有量の多い香気成分を低減することにより、香味の改善が期待できる。
コーヒー飲料の不快臭を低減して香味を改善する方法は幾つか報告されている。例えば、コーヒー生豆中のトリプトファンは、焙煎処理により熱分解されて、漢方様の臭い、薬品臭、カビ臭の原因となるインドールや3-メチルインドールとなる。そこで、特許文献1には、近赤外線法によりコーヒー生豆のトリプトファンの含有量を測定する方法が開示されている。トリプトファン含有量の少ないコーヒー生豆を選択して原料にすることによって、インドールや3-メチルインドールの含有量が少ないコーヒー飲料を製造できる。
また、特許文献2には、コーヒー生豆から水で水溶性香気成分を含む水抽出物を得、この水抽出物を各種処理することによって不快臭の原因成分を除去した後、抽出済みコーヒー生豆と混合してともに乾燥させた後に焙煎する方法が開示されている。例えば、コーヒー生豆水抽出物中のトリプトファンを樹脂を用いて吸着除去することにより、トリプトファン含量が低減されたコーヒー生豆が得られ、これを焙煎することにより、インドールや3-メチルインドールの含有量が少ないコーヒー抽出物が得られる。また、キナ酸は、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコールの原料成分である。コーヒー生豆水抽出物を微生物で発酵させることにより、当該コーヒー生豆水抽出物中のキナ酸量が低減され、ひいてはグアヤコール等の含有量が少ないコーヒー抽出物が得られる。
その他、コーヒー飲料の香りを改善する方法として、不快臭の低減ではなく、嗜好性の高い香りの香気成分を増量する方法も報告されている。例えば、特許文献3には、コーヒー生豆にエタノール水溶液を吸収させた後に焙煎することにより、エチルエステル化合物の含有量が多く、フルーティ香の強いコーヒー飲料が製造できることが記載されている。
特開2016-167993号公報 特許第4805220号公報 特開2018-102263号公報
Clarke and Vitzthum(Editors), "Coffee: Recent Developments", Blackwell Science Ltd, 2001年3月5日発行、第75~80ページ。
本発明は、不快臭が低減されたコーヒー抽出液を製造するための焙煎コーヒー豆の製造方法、当該方法により製造された焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を製造する方法、及びコーヒー抽出液の不快臭を低減して香味を改善する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を調製する際に、焙煎前のコーヒー生豆を酒粕で処理することにより、不快臭の原因とされる香気成分の含有量を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
[1]本発明の第一の態様に係る焙煎コーヒー豆の製造方法は、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後に焙煎する。
[2]前記[1]の焙煎コーヒー豆の製造方法においては、前記処理が、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させる処理であり、前記浸漬液の重クロム酸カリウム酸化法により測定されるアルコール含有量が、0.5~4質量%であることが好ましい。
[3]前記[2]の焙煎コーヒー豆の製造方法においては、前記浸漬液中の前記酒粕の含有量が、10~50質量%であることが好ましい。
[4]前記[2]又は[3]の焙煎コーヒー豆の製造方法においては、前記処理において、前記コーヒー生豆を前記酒粕に、30分間~48時間接触させることが好ましい。
[5]前記[1]~[4]のいずれかの焙煎コーヒー豆の製造方法においては、前記処理において、前記コーヒー生豆を前記酒粕に、0~30℃環境下で接触させることが好ましい。
[6]前記[1]~[5]のいずれかの焙煎コーヒー豆の製造方法においては、前記コーヒー生豆100質量部当たり5質量部以上の酒粕を、前記コーヒー生豆と接触させることが好ましい。
[7]前記[1]~[6]のいずれかの焙煎コーヒー豆の製造方法においては、前記処理を行わずに焙煎して得られた焙煎コーヒー豆よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減された焙煎コーヒー豆を製造することが好ましい。
[8]本発明の第二の態様に係るコーヒー抽出液の製造方法は、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後、焙煎して焙煎コーヒー豆を得る工程と、前記焙煎コーヒー豆の可溶性固形分を含有するコーヒー抽出液を調製する工程と、を有することを特徴とする。
[9]前記[8]のコーヒー抽出液の製造方法においては、前記処理が、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させる処理であることが好ましい。
[10]本発明の第三の態様に係るコーヒー飲料の製造方法は、前記[8]又は[9]のコーヒー抽出液の製造方法によりコーヒー抽出液を製造した後、得られたコーヒー抽出液を原料としてコーヒー飲料を製造することを特徴とする。
[11]本発明の第四の態様に係るインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法は、前記[8]又は[9]のコーヒー抽出液の製造方法によりコーヒー抽出液を製造した後、得られたコーヒー抽出液を原料としてインスタントコーヒー飲料用組成物を製造することを特徴とする。
[12]本発明の第五の態様に係るコーヒー抽出液の香味改善方法は、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後、焙煎し、得られた焙煎コーヒー豆から可溶性固形分を抽出することにより、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減されたコーヒー抽出液を調製することを特徴とする。
[13]前記[12]のコーヒー抽出液の香味改善方法としては、前記処理が、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させる処理であることが好ましい。
本発明に係る焙煎コーヒー豆の製造方法により、処理前のコーヒー生豆を焙煎して得られる焙煎コーヒー豆よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減された焙煎コーヒー豆を提供できる。
本発明に係るコーヒー抽出液の香味を改善する方法により、コーヒー生豆を焙煎前に処理するだけで、焙煎後に得られたコーヒー抽出液中における、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン等のコーヒーにおける不快臭の原因とされる香気成分の含有量を低減させることができる。このため、当該方法により得られたコーヒー抽出液を原料とすることにより、不快臭が弱く、嗜好性の高いコーヒー飲料やインスタントコーヒー飲料用組成物を製造することができる。
本発明及び本願明細書において、「インスタントコーヒー飲料用組成物(IC飲料用組成物)」とは、水や牛乳等の液体に溶解又は希釈させることによってコーヒー飲料を調製し得る組成物を意味する。IC飲料用組成物は、粉末であってもよく、液体であってもよい。
本発明及び本願明細書において、「粉末」とは粉粒体(異なる大きさの分布をもつ多くの固体粒子からなり,個々の粒子間に,何らかの相互作用が働いているもの)を意味する。また、「顆粒」は粉末から造粒された粒子(顆粒状造粒物)の集合体である。粉末には、顆粒も含まれる。
<コーヒー生豆の酒粕処理>
本発明に係るコーヒー抽出液の香味を改善する方法(以下、「本発明に係る香味改善方法」ということがある。)は、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行うことを特徴とする。焙煎前にコーヒー生豆を酒粕処理することにより、酒粕処理していないコーヒー生豆を原料とした場合よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減されたコーヒー抽出液を製造できる。なお、以降において、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールは、まとめて「不快臭原因香気成分」ということがある。
酒粕は、清酒の製造において、アルコール発酵により得られたもろみを圧搾して、液性成分(清酒)を除いた固形分(搾りかす)である。もろみは、米を主たる原料とする発酵原料を、麹でアルコール発酵させて得られた発酵物である。発酵原料には、米の他、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ等の澱粉原料、ぶどう糖、水あめなどの糖質原料を含有していてもよい。麹は、米、麦、大豆などの穀物に、コウジカビなどの食品発酵のための微生物を繁殖させたものである。酒粕には、発酵原料のうち、微生物に資化されなかったタンパク質や繊維等の残渣に加えて、発酵により産生された様々な成分が含まれており、古くから食品として、又は食品材料として使用されてきた。酒粕を利用した食品としては、例えば、甘酒、魚や肉等を漬けた粕漬け、粕汁等がある。
酒粕に含まれている成分の種類や組成は、発酵原料の種類や組成、麹に用いる麹菌の種類、麹の製造方法、発酵の条件など、各種の製造条件に影響されるが、一般的には、水分、炭水化物、タンパク質、脂質、灰分が含まれており、葉酸、リボフラビン、ナイアシン等の各種ビタミン類を含む。本発明において用いられる酒粕は、特に限定されるものではなく、様々な清酒の製造工程で得られるいずれの酒粕を用いてもよい。また、コーヒー生豆の酒粕処理には、1種類の酒粕を用いてもよく、2種類以上の酒粕を組み合わせて使用してもよい。
コーヒー生豆と接触させる酒粕は、もろみから圧搾されたものそのものであってもよく、殺菌処理を行い、麹菌による以降の発酵が行われないようにしたものであってもよい。殺菌処理としては、例えば、加熱殺菌処理、レトルト殺菌処理、紫外線照射殺菌処理等の食品加工で一般的に行われている殺菌処理を用いることができる。
酒粕処理は、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させることができる処理であれば、特に限定されるものではない。例えば、コーヒー生豆を酒粕に埋め込むなど、コーヒー生豆と酒粕を直接混合した後、所定時間静置させておくことにより、酒粕処理を行うことができる。また、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させることによっても、酒粕処理を行うことができる。
コーヒー生豆を浸漬させる浸漬液は、例えば、酒粕を水等の可食性液体に溶解させることで調製することができる。可食性液体としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等の可食性の緩衝液が挙げられる。本発明において使用される浸漬液としては、コーヒー生豆の呈味への影響等の点から、酒粕と水の混合物が好ましい。浸漬液中の酒粕の含有量は特に限定されるものではない。例えば、浸漬液中の酒粕の含有量は、10~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましく、10~30質量%であることがさらに好ましい。また、浸漬液中の酒粕の含有量は、酒粕由来のアルコールの量に基づいて調整されてもよい。例えば、浸漬液中の酒粕の量は、当該浸漬液の重クロム酸カリウム酸化法により測定されるアルコール含有量が0.5~4質量%となる量であることが好ましく、1.0~3.0質量%となる量であることがより好ましい。
酒粕処理において、コーヒー生豆に接触させる酒粕の量は、特に限定されるものではなく、コーヒー生豆を均一に効率よく酒粕に接触させられることから、コーヒー生豆100質量部当たり、5質量部以上の酒粕をコーヒー生豆と混合することが好ましく、5~100質量部の酒粕を混合することがより好ましく、5~50質量部の酒粕を混合することがさらに好ましく、5~20質量部の酒粕を混合することがよりさらに好ましい。
酒粕と接触させたコーヒー生豆は、所定時間、接触状態を保持する。酒粕による不快臭原因香気成分の低減効果が十分に得られるため、コーヒー生豆と酒粕の接触時間は、30分間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましく、12時間以上であることがよりさらに好ましく、16時間以上であることが特に好ましい。また、コーヒー生豆と酒粕の接触時間の上限は特に限定されるものではないが、72時間以下であることが好ましく、60時間以下であることがより好ましく、48時間以下であることがさらに好ましい。
コーヒー生豆と酒粕の接触は、酒粕の変性等を抑制できることから、0~30℃の温度環境下で行うことが好ましく、0~25℃の温度環境下で行うことがより好ましい。また、当該温度環境下であればよく、温度制御がなされた環境下であってもよく、温度非制御下であってもよい。
原料として用いるコーヒー生豆の種類や産地は特に限定されず、アラビカ種であってもよく、ロバスタ種であってもよく、リベリカ種であってもよく、これらをブレンドしたものであってもよい。
<焙煎コーヒー豆の製造>
酒粕処理されたコーヒー生豆は、未処理のコーヒー生豆と同様に、焙煎することができ、得られた焙煎コーヒー豆から可溶性固形を抽出することにより、コーヒー抽出液が得られる。酒粕処理されたコーヒー生豆を焙煎したコーヒー豆は、未処理のコーヒー生豆を焙煎したコーヒー豆よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減されている。例えば、酒粕処理されたコーヒー生豆を原料として得られた焙煎コーヒー豆は、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールのうちの少なくとも1種の含有量が、未処理のコーヒー生豆を原料として得られた焙煎コーヒー豆よりも、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下にすることができる。このため、酒粕処理されたコーヒー生豆を焙煎して得られた焙煎コーヒー豆から得られたコーヒー抽出液は、未処理のコーヒー生豆から得られたコーヒー抽出液よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールのうちの少なくとも1種の含有量が少なく、不快臭が弱く、香味が改善されている。
コーヒー抽出液中の2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールの含有量は、例えば、後記実施例に示すように、焙煎コーヒー豆を粉砕処理して得られた粉末から、ニッカーソン抽出法により香気成分を含有する抽出物を得、得られた抽出物中の各香気成分を、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)法により測定できる。
酒粕処理後のコーヒー生豆は、そのまま焙煎処理に供してもよいが、予め乾燥させた後に焙煎処理に供することが好ましい。乾燥処理の条件は特に限定されるものではなく、固定層でもよく、流動層でもよい。
酒粕処理後のコーヒー生豆の焙煎方法は特に限定されるものではなく、直火焙煎法、熱風焙煎法、遠赤外線焙煎法、炭火式焙煎法、マイクロ波焙煎法等の一般的にコーヒー豆の焙煎に使用されるいずれの方法で行ってもよい。また、酒粕処理による不快臭原因香気成分の低減効果を損なわない限り、酒粕処理以外にも、さらに、公知の焙煎前処理を行った後のコーヒー生豆を焙煎してもよい。
本発明に係る焙煎コーヒー豆の製造方法により製造された焙煎コーヒー豆は、常法により製造された焙煎コーヒー豆と同様に、各種飲食品の原料として用いることができる。当該焙煎コーヒー豆からの各種飲食品の製造は、常法により行うことができる。
<コーヒー抽出液の製造方法>
本発明に係るコーヒー抽出液の製造方法は、コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後、焙煎して焙煎コーヒー豆を得る工程と、前記焙煎コーヒー豆の可溶性固形分を含有するコーヒー抽出液を調製する工程と、を有する。
可溶性固形分の抽出効率が高くなるため、焙煎コーヒー豆は、可溶性固形分が抽出される前に粉砕されていることが好ましい。焙煎コーヒー豆の粉砕は、ロールミル等の一般的な粉砕機を用いて行うことができる。粉砕度は特に限定されるものではなく、粗挽き、中粗挽き、中挽き、中細挽き、細挽きなどの種々の形状の焙煎コーヒー豆を用いることができる。
コーヒー抽出液は、焙煎コーヒー豆に加熱した水を接触させて可溶性固形分を抽出させることにより得られる。抽出方法は、一般的にコーヒーを淹れる際に用いられる方法や、インスタントコーヒーを製造する際に、焙煎コーヒー豆の粉砕物から可溶性固形分を抽出する際に用いられる方法により行うことができる。具体的には、ドリップ式、エスプレッソ式、サイフォン式、パーコレーター式、コーヒープレス(フレンチプレス)式、高圧抽出、連続高圧抽出等のいずれを用いて行ってもよい。
原料として2種類以上の焙煎コーヒー豆を用いる場合、原料とする全ての焙煎コーヒー豆が酒粕処理されたものであってもよく、原料の一部の焙煎コーヒー豆のみが酒粕処理されたものであってもよい。原料として2種類以上の焙煎コーヒー豆を用いる場合、本発明に係るコーヒー抽出液の製造方法においては、2種類以上の焙煎コーヒー豆からなる混合物(ブレンド豆)から可溶性固形分を抽出してコーヒー抽出液を調製してもよく、別個に可溶性固形分を抽出して得られた2種類以上のコーヒー抽出液を混合することによりコーヒー抽出液を調製してもよい。
本発明に係るコーヒー抽出液の製造方法により製造されたコーヒー抽出液は、コーヒー飲料やIC飲料用組成物の原料として好適である。不快臭原因香気成分が低減されたコーヒー抽出液を原料とすることにより、不快臭原因香気成分の含有量が少ないコーヒー飲料やIC飲料用組成物が得られる。
<コーヒー飲料の製造方法>
具体的には、コーヒー飲料は、原料とするコーヒー抽出液をそのまま、又は目的とするコーヒー飲料の製品品質に応じてその他の原料を添加して混合した後、殺菌処理が施される。殺菌処理としては、例えば、レトルト殺菌、UHT殺菌等の加熱殺菌処理等のコーヒー飲料の製造工程において通常行われている殺菌処理の中から適宜選択して行うことができる。例えば、加熱殺菌処理としては、100℃以下の低温殺菌であってもよく、100℃以上の高温殺菌であってもよい。
通常、コーヒー飲料は容器に密封充填された容器詰飲料として市場を流通する。コーヒー飲料を充填する容器や充填方法は、容器詰コーヒー飲料の製造工程において通常使用されている容器や充填方法の中から適宜選択して行うことができる。当該容器としては、例えば、缶、プラスチック容器、紙製容器、ガラス瓶等が挙げられる。また、容器への充填は、大気中で行ってもよく、窒素ガス雰囲気下で行うこともできる。
容器詰コーヒー飲料を製造する場合、予め殺菌処理したコーヒー飲料を殺菌処理済の容器に無菌充填して密封してもよく、コーヒー飲料を充填し密封した容器に対して殺菌処理を施してもよく、加熱したコーヒー飲料を高温のまま容器に充填して密封するホットパック充填を行ってもよい。
コーヒー飲料の製造においては、原料とするコーヒー抽出液は、予め濃縮処理や希釈処理、不要物除去処理等の各種処理を施しておいてもよい。コーヒー抽出液の濃縮処理は、熱濃縮方法、冷凍濃縮方法、逆浸透膜や限外濾過膜等を用いた膜濃縮方法等の汎用されている濃縮方法により行うことができる。不要物除去処理は、濾過処理、遠心分離処理等の一般的に飲料から不溶物を除去するために行われている処理で行うことができる。また、これらの処理は、その他の原料を添加して混合した後のコーヒー抽出液に対して行ってもよい。
コーヒー飲料の製造において、コーヒー抽出液に添加されるその他の原料としては、飲料に配合可能な成分が挙げられる。具体的には、甘味料、クリーミングパウダー(クリームの代用として、コーヒー等の嗜好性飲料に添加される粉末)、乳原料、香料、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。
甘味料としては、ショ糖、オリゴ糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖等の糖類、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、還元水あめ等の糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム、サッカリン等の高甘味度甘味料、ステビア等が挙げられる。ショ糖としては、グラニュー糖であってもよく、ショ糖型液糖であってもよい。
乳原料としては、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、牛乳、低脂肪乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、乳糖、生クリーム、バター等が挙げられる。なお、全粉乳及び脱脂粉乳は、それぞれ、牛乳(全脂乳)又は脱脂乳を、スプレードライ等により水分を除去して乾燥し粉末化したものである。
クリーミングパウダーは、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、水添パーム油、パーム核油、水添パーム核油、大豆油、コーン油、綿実油、ナタネ油、こめ油、サフラワー油(ベニバナ油)、ひまわり油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、乳脂、牛脂、豚脂等の食用油脂;ショ糖、グルコース、澱粉加水分解物等の糖質;カゼインナトリウム、第二リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、脱脂粉乳、乳化剤等のその他の原料等を、望まれる品質特性に応じて選択し、水に分散し、均質化し、乾燥することによって製造できる。クリーミングパウダーは、例えば、食用油脂をはじめとする原料を水中で混合し、次いで乳化機等で水中油型乳化液(O/Wエマルション)とした後、水分を除去することによって製造することができる。水分を除去する方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥等、任意の方法を選択して行うことができる。得られたクリーミングパウダーは、必要に応じて、分級、造粒及び粉砕等を行ってもよい。
香料としては、コーヒー香料、ミルク香料等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸。グルコン酸等の有機酸や、リン酸等の無機酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、二酸化炭素等が挙げられる。
増粘剤としては、デキストリン等の澱粉分解物、麦芽糖、トレハロース等の糖類、難消化性デキストリン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン等の食物繊維、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、モノグリセライド、ジグリセライド、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリンエステル等のグリセリン脂肪酸エステル系乳化剤;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル系乳化剤;プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールオレエート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル系乳化剤;ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等のシュガーエステル系乳化剤;レシチン、レシチン酵素分解物等のレシチン系乳化剤等が挙げられる。
コーヒー抽出液にその他の原料を混合する順番は特に限定されるものではなく、全ての成分を同時にコーヒー抽出液に添加して混合してもよく、順次添加して混合させてもよい。
<IC飲料用組成物の製造方法>
IC飲料用組成物の原料とするためには、コーヒー抽出液を予め濃縮又は粉末化しておくことが好ましい。得られたIC飲料用組成物の保存安定性が良好であるため、本発明に係るIC飲料用組成物の製造方法においては、コーヒー抽出液を粉末化したもの(インスタントコーヒー粉末)を原料とすることが好ましい。
コーヒー抽出液の濃縮処理は、コーヒー飲料の製造方法で列挙された方法と同様にして行うことができる。
コーヒー抽出液の粉末化は、コーヒー抽出液を乾燥することにより得られる。抽出物の乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等が挙げられる。また、コーヒー豆からの抽出物は、乾燥前に、必要に応じて濃縮してもよい。
IC飲料用組成物は、コーヒー抽出液の濃縮液又は粉末を、その他の原料と混合することによって製造される。混合の順番は特に限定されるものではなく、全ての原料を同時に混合してもよく、順次混合させてもよい。
全ての原料が粉末の場合には、全ての原料をそのまま混合することによって、粉末のIC飲料用組成物が製造される。一方で、全ての原料が液状の場合には、全ての原料をそのまま混合することによって、液状のIC飲料用組成物が製造される。
粉末原料と液状の原料を用いる場合、粉末の原料を全て予め混合し、得られた混合粉末に、液状の原料の混合液を噴霧して乾燥させることによって、粉末のIC飲料用組成物が製造される。また、液状の原料の混合液に、粉末の原料を溶解又は分散させることによって、液状のIC飲料用組成物が製造される。
原料としてコーヒー抽出液の濃縮液を用いる場合には、コーヒー抽出液の濃縮液にその他の原料を添加し、溶解させることによって、液体のIC飲料用組成物が製造される。また、粉末のIC飲料用組成物を製造した後、水や牛乳等に溶解させることによっても、液体のIC飲料用組成物が製造される。
IC飲料用組成物に添加されるその他の原料としては、甘味料、クリーミングパウダー、乳原料、香料、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、乳化剤、賦形剤、結合剤、流動性改良剤(固結防止剤)等が挙げられる。甘味料、クリーミングパウダー、乳原料、香料、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、及び乳化剤としては、コーヒー飲料の製造方法で列挙されたものと同様のものを用いることができる。
賦形剤や結合剤としては、デキストリン等の澱粉分解物、麦芽糖、トレハロース等の糖類、難消化性デキストリン等の食物繊維、カゼイン等のタンパク質等が挙げられる。なお、賦形剤や結合剤は、造粒時の担体としても用いられる。
流動性改良剤としては、微粒酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム等の加工用製剤が用いられてもよい。
本発明に係るIC飲料用組成物は、飲用1杯分を小パウチなどに個包装したり、使用時に容器から振り出したりスプーンで取り出したりして使用するように瓶などの容器に数杯分をまとめて包装して商品として供給することもできる。
個包装タイプとは、スティック状アルミパウチ、ワンポーションカップなどにコーヒー飲料1杯分の中身を充填包装するものであり、容器を開けて指で押し出すなどの方法で中身を取り出すことができる。個包装タイプは、1杯分が密閉包装されているので取り扱いも簡単で、衛生的であるという利点を有する。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、特に記載のない限り、「%」は「質量%」を意味する。
[焙煎コーヒー豆の香気成分の含量の測定]
焙煎コーヒー豆を粉砕して粉末化したものを測定サンプルとして用いた。焙煎コーヒー豆からニッカーソン抽出法により香気成分を抽出し、得られた抽出物中の香気成分をGC-MSにより測定した。
<ニッカーソン抽出法>
2L容マントルフラスコに沸騰石を約21g入れ、さらに駒込ピペットを用いて消泡剤を数滴入れた。当該マントルフラスコにサンプル約8gを秤量し、常温の超純水を1L加えた。2,3-Dimethoxytoluene(以下、DMT)を約25mg/100mLをペンタン:ジエチルエーテル=1:1の混合溶媒に溶解したDMT溶液を内部標準とし、当該マントルフラスコに、ホールピペットでDMT溶液を1mL入れ、軽く振り混ぜた。
これとは別に、200mL容三角フラスコに沸騰石を約2g及びペンタン:ジエチルエーテル=1:1の混合溶媒100mLを入れた。
当該マントルフラスコと当該三角フラスコを抽出器にセットした後、マントルヒーターの最大出力で20分間加熱して沸騰させた。次いで、沸騰後から90分間抽出を行った。得られた抽出物は、水分を取り除くために硫酸ナトリウムを適量入れて混和静置した後、デカンテーションにて濃縮管に移して、窒素吹付高速パラレル濃縮装置(製品名:「Turbo Vap 500」、Zymark Corporation製)を用いて、1mLまで濃縮した。
<GC-MS>
GC装置:「7890A」、Agilent Technologies社製
MS装置:「5975C 」、Agilent Technologies社製
カラム:「InertCap WAX-HT」(0.25μm×0.25mm×60m)
注入口:オンカラム注入口(0.5μLインジェクション)、50psi(65分間保持)→80psi(6psi/分)
カラムオーブン:35℃(1分間保持)→60℃(25℃/分)→190℃(2℃/分)→250℃(5℃/分、26分間保持)、総時間105分間
[実施例1]
3種類の酒粕でコーヒー生豆を処理し、焙煎後の香気成分に対する影響を調べた。コーヒー生豆は、コロンビア産アラビカ種の「コロンビア エクセルソ」、及びインドネシア産ロバスタ種の「インドネシアAP-1」の2種を用いた。
<酒粕>
酒粕としては、吟醸酒粕(販売元:神久庵社)(以下、酒粕A)、白鶴大吟醸酒粕(白鶴酒造社製)(以下、酒粕B)、及び白鶴純米酒粕(白鶴酒造社製)(以下、酒粕C)を用いた。各酒粕のアルコール含有量を、重クロム酸カリウム酸化法により測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2022015956000001
<酒粕処理>
コーヒー生豆200gに対して、表2~5に記載の条件で、ポリエチレン製の薄膜袋(チャック付、120×85mm)中で、酒粕と水からなる浸漬液に浸漬させた。なお、試験区7における、「加熱処理済の浸漬液」は、浸漬液を、レトルト殺菌用のアルミパウチに充填してシールした後、沸騰水浴中で10分間煮沸し、その後、氷水で急冷したものを用いた。
浸漬液に浸漬させた後、水で洗浄し、乾燥させた。洗浄は、浸漬に用いたチャック付袋に200gの水を加え、上下に10回振り混ぜ、水を切り、再度、200gの水を加えて同様に振り混ぜ、メッシュ上で水を切ることにより行った。その後、メッシュ上に一層になるように生豆を並べ、100℃設定の恒温器で、200gになるまで乾燥させた。
乾燥後のコーヒー生豆を、焙煎機(製品名「NOVO MARK II」(ダイイチデンシ社製)を用いて、表2~5に記載の条件で焙煎した。得られた焙煎コーヒー豆中の2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールの量を測定し、焙煎豆1kg当たりの含有量(μg/kg)を調べた。測定結果を表2~5に示す。
Figure 2022015956000002
Figure 2022015956000003
Figure 2022015956000004
Figure 2022015956000005
この結果、酒粕処理を行った全ての試験区の焙煎コーヒー豆では、浸漬に使用した酒粕の種類、浸漬温度、及び浸漬時間にかかわらず、同種のコーヒー生豆から得られた未処理の焙煎コーヒー豆よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールのうちの少なくとも1種以上の含有量が低下していた。また、この酒粕処理による2-エチル-3,5-ジメチルピラジン等の不快臭原因香気成分の低減効果は、使用した3種のコーヒー生豆のいずれにおいても観察された。
より詳細には、試験区1~4を比較したところ、酒粕処理により、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、及びインドールの含有量が低減したが、この低減効果は、浸漬時間が長くなるほど大きくなる傾向が観察された。試験区5~8を比較したところ、アラビカ種では、酒粕処理により、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールの全てが、焙煎コーヒー豆中の含有量が低減された。また、この低減効果は、加熱殺菌処理した酒粕を用いた試験区7でも観察されたことから、麹菌による発酵による効果ではないことも示された。
試験区9、12及び13を比較したところ、ロバスタ種では、酒粕処理により、6種全ての不快臭原因香気成分の低減効果が得られたが、この効果は、浸漬時間が長くなるほど大きくなる傾向が観察された。また、試験区9~11、13を比較したところ、酒粕A~Cのいずれを用いても、不快臭原因香気成分の低減効果が得られた。この結果から、この不快臭原因香気成分の低減効果は、多くの酒粕に共通して含まれている何等かの成分によって得られるのであろうということが示唆された。

Claims (13)

  1. コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後に焙煎することを特徴とする、焙煎コーヒー豆の製造方法。
  2. 前記処理が、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させる処理であり、
    前記浸漬液の重クロム酸カリウム酸化法により測定されるアルコール含有量が、0.5~4質量%である、請求項1に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  3. 前記浸漬液中の前記酒粕の含有量が、10~50質量%である、請求項1又は2に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  4. 前記処理において、前記コーヒー生豆を前記酒粕に、30分間~48時間接触させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  5. 前記処理において、前記コーヒー生豆を前記酒粕に、0~30℃環境下で接触させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  6. 前記コーヒー生豆100質量部当たり5質量部以上の酒粕を、前記コーヒー生豆と接触させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  7. 前記処理を行わずに焙煎して得られた焙煎コーヒー豆よりも、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減された焙煎コーヒー豆を製造する、請求項1~6のいずれか一項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  8. コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後、焙煎して焙煎コーヒー豆を得る工程と、
    前記焙煎コーヒー豆の可溶性固形分を含有するコーヒー抽出液を調製する工程と、
    を有することを特徴とする、コーヒー抽出液の製造方法。
  9. 前記処理が、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させる処理である、請求項8に記載のコーヒー抽出液の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載のコーヒー抽出液の製造方法によりコーヒー抽出液を製造した後、得られたコーヒー抽出液を原料としてコーヒー飲料を製造することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
  11. 請求項8又は9に記載のコーヒー抽出液の製造方法によりコーヒー抽出液を製造した後、得られたコーヒー抽出液を原料としてインスタントコーヒー飲料用組成物を製造することを特徴とする、インスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  12. コーヒー抽出液の香味を改善する方法であって、
    コーヒー生豆を、酒粕に所定時間接触させる処理を行った後、焙煎し、得られた焙煎コーヒー豆から可溶性固形分を抽出することにより、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、グアヤコール、4-エチルグアヤコール、4-ビニルグアヤコール、インドール、及び3-メチルインドールからなる群より選択される1種以上の香気成分の含有量が低減されたコーヒー抽出液を調製することを特徴とする、コーヒー抽出液の香味改善方法。
  13. 前記処理が、コーヒー生豆を、酒粕を含有する浸漬液に、所定時間浸漬させる処理である、請求項12に記載のコーヒー抽出液の香味改善方法。
JP2020119162A 2020-07-10 2020-07-10 コーヒー抽出液の香味を改善する方法 Pending JP2022015956A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020119162A JP2022015956A (ja) 2020-07-10 2020-07-10 コーヒー抽出液の香味を改善する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020119162A JP2022015956A (ja) 2020-07-10 2020-07-10 コーヒー抽出液の香味を改善する方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022015956A true JP2022015956A (ja) 2022-01-21

Family

ID=80121089

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020119162A Pending JP2022015956A (ja) 2020-07-10 2020-07-10 コーヒー抽出液の香味を改善する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022015956A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5567304B2 (ja) ミルク入り飲料
EP2476317B1 (en) Almond drinks and methods for their production
JPH119189A (ja) ミルク入りコーヒー飲料およびその製法
JP2005137269A (ja) 揮発性成分、その製造方法及び飲食品
JP2019216743A (ja) フルフリルメチルスルフィドを含む容器詰めコーヒー飲料
JP5642976B2 (ja) コーヒーアロマ含有組成物
JP5965479B2 (ja) コーヒー飲料
JP6187572B2 (ja) 炭酸飲料
JP5666792B2 (ja) コーヒー飲料用添加剤及びコーヒー飲料
JP2021000080A (ja) 焙煎コーヒー豆の製造方法
JP7420066B2 (ja) 焙煎コーヒー豆の製造方法
JP6777372B2 (ja) 粉末状清涼飲料用組成物の製造方法
JP2021193945A (ja) タンパク質含有飲料
JP2015091271A (ja) コーヒー飲料
JP2022015956A (ja) コーヒー抽出液の香味を改善する方法
JP7153045B2 (ja) コーヒー組成物の製造方法
JP5536381B2 (ja) 碾茶含有茶飲料
JP7521659B1 (ja) 不快臭低減剤
JP2017070282A (ja) コーヒー抽出液及びその製造方法
JP2019187369A (ja) コーヒー抽出液及びその製造方法
JP2024142514A (ja) 嗜好性飲料及びインスタント嗜好性飲料用組成物
WO2024095804A1 (ja) 保存劣化抑制剤及び飲食品の保存劣化抑制方法
JP2023088866A (ja) 自然免疫担当細胞活性化用組成物の製造方法
JP3545080B2 (ja) 安定なコーヒーの製造方法
JP2024062565A (ja) コーヒー飲料及びインスタントコーヒー飲料用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240416

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20241008