JP2022013818A - 転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法 - Google Patents

転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022013818A
JP2022013818A JP2021106418A JP2021106418A JP2022013818A JP 2022013818 A JP2022013818 A JP 2022013818A JP 2021106418 A JP2021106418 A JP 2021106418A JP 2021106418 A JP2021106418 A JP 2021106418A JP 2022013818 A JP2022013818 A JP 2022013818A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lance
nozzle
refining
converter
inclined surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021106418A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7298649B2 (ja
Inventor
新吾 佐藤
Shingo Sato
裕美 村上
Hiromi Murakami
悠喬 茶谷
Harutaka Chatani
向平 加藤
Kohei Kato
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JP2022013818A publication Critical patent/JP2022013818A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7298649B2 publication Critical patent/JP7298649B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Abstract

【課題】ランスの軸芯と共通する軸芯を有するランス内管と、該ランス内管の底壁につながり、かつ、該ランスの軸芯に対してノズル軸芯が傾斜した少なくとも1つのノズルとを備え、該ランス内管を通して送給された精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料を、該ノズルを介して転炉容器内に収容された溶鉄に吹き付けることにより該溶鉄の精錬を行う転炉精錬用上吹きランスにおいて、該底壁に、該ランスの軸芯とのなす角度θ1が65°≦θ1≦80°に設定された傾斜面を設ける。【選択図】図2

Description

本発明は、上吹き転炉、上底吹き転炉等の上吹き機能を有する精錬容器を用い、溶鉄の脱燐、脱珪等のために酸素ガスや粉体を供給して精錬を実施するのに好適な転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法に関するものである。
近年、鋼材に対する要求品質は益々厳格化しており、燐や硫黄といった不純物元素の低減が求められている。このような要求に対応するため、製鉄所の製鋼工程では、溶銑の段階で予め脱燐処理(予備処理ともいう)を実施し、溶銑中の燐をある程度除去することが一般的になっている。
この脱燐処理では、溶銑を収容する転炉などの精錬容器に、上吹きランスを挿入して該上吹きランスの先端面に形成された噴射孔から精錬用酸素ガスおよび生石灰等の粉体を上吹きするか、あるいは、必要に応じて炉底からも精錬用酸素ガス底吹きしているが、上吹きランスからの酸素ジェットと溶鉄との衝突面である火点に粉体を吹き付けることによって、石灰の融解が促進され脱燐反応効率が向上することから、この方法では、粉体をできる限り大量に高速度で吹き付け火点に到達させることが求められている。
しかし、粉体吹き付け速度が増加すると、粉体によるノズル内部の摩耗が問題となる。ノズル内部の摩耗が進行すると、ノズルを冷却するための冷却水の流路に穴が開き、冷却水漏れが起こり重大な操業トラブルとなり、生産性の低下を招く。また、ノズル内部の摩耗が進行すると、ノズル形状が変化することとなり、酸素ジェット挙動が変動して吹錬制御が困難になる問題も生じる。
そこで、この課題を解決するために、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、ランス内に緩衝空間を設けることにより、冷却水の流路が破孔しても冷却水漏れを起こさないランス形状が開示されている。また、特許文献2には、ノズル孔の内面に電気めっきによる硬質クロムめっきを施すことで摩耗を抑制する方法が開示されている。
さらに、実操業ではスピッティング抑制の観点から、酸素ジェットの動圧を分散させるために、ノズルに傾斜角を付与して多孔化するのが一般的であり、これによっても粉体による摩耗は大きく変化する。例えば、単孔ノズルを鉛直設置して用いるランスにおいては、酸素ジェットとともに流れる粉体の大半はノズルの内壁に衝突することなく吹き付けることが可能となり、摩耗が抑えられるが、多孔ノズルを備えたランスにおいては、ランス内管の軸方向に対してノズル内壁が角度を持つため、粉体が酸素ジェットに乗らなければノズル内壁に衝突することとなり、粉体による摩耗が起こりやすくなる。したがって、多孔ノズルを備えたランスでは、ノズルの材質によらずに粉体による摩耗抑制技術が必要である。
多孔ノズルを備えたランスを前提とした技術として、例えば、特許文献3には上吹きランスから粉体を吹き付けるに際し、ノズルスロート部の横断面積の総和とランス内管流路の横断面積の比を調整して、粉体がノズル部を通る際の分布を変える方法が開示されている。しかしながら、上記従来技術はいずれも以下に述べるような問題が残されている。
すなわち、特許文献1に開示のランスでは、冷却水漏れを検知して重大な操業トラブルを回避することが可能となるものの、ノズルの摩耗を抑制することについてはなんら言及がされていない。
また、特許文献2に開示の硬質クロムめっきを施す方法では、ノズルの耐摩耗性を向上させることができるが、粉体のノズル内面への衝突自体は抑制されない。また、ノズル孔内へ硬質クロムめっきを施すことは簡単な方法とは言い難く、非常に高価な方法でもある。
さらに、特許文献3に開示の方法は、スピッティングの抑制を目的としており、ノズル摩耗抑制については言及されておらず、しかも、ランス内管とノズルが角度を有するため、粉体がノズル部を通過する際の分布を変化させることができたとしても、粉体がノズル内壁に衝突する可能性が高く、ノズルの摩耗を抑制することは困難であることが想定された。
特開2008-208407号公報 特開2003-213318号公報 特開2012-251199号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ランスの軸芯に対して角度が付されたノズルを有するランスにつき、該ノズルにおける粉体摩耗を極力抑制できる転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法を提案することを目的とする。
本発明は、ランスの軸芯と共通する軸芯を有するランス内管と、該ランス内管の底壁につながり、かつ、該ランスの軸芯に対してノズル軸芯が傾斜した少なくとも1つのノズルとを備え、該ランス内管を通して送給された精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料を該ノズルを介して転炉容器内に収容された溶鉄に吹き付けることにより該溶鉄の精錬を行う転炉精錬用上吹きランスであって、
該底壁に、該ランスの軸芯とのなす角度θ1が65°≦θ1≦80°に設定された傾斜面を設けたことを特徴とする転炉精錬用上吹きランスである。
上記の構成からなる転炉精錬用上吹きランスにおいて、前記ノズルは、ノズル軸芯が前記底壁の傾斜面に対して直交する向きで該傾斜面につながるものであること、また、前記ランス内管は、前記ランスの軸芯に沿う壁面をもった内周壁と、該内周壁の壁面に沿う壁面をもった外周壁と、該内周壁および外周壁をそれらの末端部において相互につなぎ合わせる底壁とによって区画され、その内側に該精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料の送給流路を形成する環状空間を有すること、また、前記ノズルは、ノズルスロート径をd1とし、前記傾斜面の内端から該ノズルのノズル軸芯に至るまでの該傾斜面に沿う長さをL1とし、前記傾斜面の内端から前記傾斜面の外端に至るまでの該傾斜面に沿う長さをL0とした場合に、L1/L0は、
(0.75d1/L0)≦(L1/L0)≦1-(0.75d1/L0)
の条件を満足するものであること、さらに、前記ランス内管の内側に、前記ランスの軸芯に沿う流路が形成されたランス中心管を設けたこと、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
また、本発明は、上記の構成からなる転炉精錬用上吹きランスを使用して、該上吹きランスから精錬用酸素含有ガスとともに粉体副原料を吹き付けることにより転炉容器内に収容された溶鉄を精錬することを特徴とする転炉精錬用上吹きランスを用いた溶鉄の精錬方法である。
本発明によれば、ノズル内のガスの流れが均一化されるため、粉体副原料との接触によるノズル内壁の損耗を抑制することが可能であり、転炉精錬用上吹きランスの使用寿命を大幅に延長することができる。
本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスの実施の形態を模式的に示した図であり、(a)は、図1(b)のA-A断面を示した図であり、(b)は、図1(a)の底面(ランス先端部)を示した図である。 図1(a)(b)に示した転炉精錬用上吹きランスの要部を拡大して模式的に示した図である。 ノズルのスロート径が傾斜面の長さの1.0倍になる転炉精錬用上吹きランスを模式的に示した図であり、(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、(b)は、図3(a)のC-C断面を示した図であり、(c)は、図3(a)のD-D断面を示した図である。 本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスの先端部分の要部を模式的に示した図であり、(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、(b)は、図4(a)のE-E断面を示した図である。 L1/L0が(0.75d1/L0)よりも小さくなる場合の転炉精錬用上吹きランスの先端部分の要部を模式的に示した図であり、(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、(b)は、図5(a)のF-F断面を示した図である。 L1/L0が1-(0.75d1/L0)よりも大きくなる場合の転炉精錬用上吹きランスの先端部分の要部を模式的に示した図であり、(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、(b)は、図6(a)のG-G断面を示した図である。 ノズル内の酸素ガスのガス流速分布を示した図である。 ノズル内の粉体軌跡と粉体速度分布を示した図である。 ノズル内の酸素ガスのガス流速分布を示した図である。 転炉精錬用上吹きランスの要部を拡大して模式的に示した図である。 本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスの他の実施の形態を模式的に示した図であり、(a)は、(b)のH-H断面を示した図であり、(b)は、(a)の底面(ランス先端部)を示した図である。
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1(a)(b)は、本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスの実施の形態をランス先端部分について模式的に示した図であり、図1(a)は、図1(b)のA-A断面を示した図であり、図1(b)は、図1(a)の底面(ランスの先端部)を示した図である。また、図2は、図1(a)(b)に示した転炉精錬用上吹きランスの要部を拡大して模式的に示した図である。
図1、2における符号1は、ランスの軸芯Oと共通する軸芯を有するランス内管である。ランス内管1は、ランスの軸芯Oに沿う壁面、より好ましくは該ランスの軸芯Oに平行な壁面をもった内周壁1aと、該内周壁1aの壁面に沿う壁面、より好ましくは内周壁1aの壁面と平行な壁面をもった外周壁1bと、該内周壁1aおよび該周壁1bをそれらの末端部において相互につなぎ合わせる底壁1cとを備えたものから構成されており、その内側には、内周壁1a、外周壁1bおよび底壁1cによって区画された、精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料の送給経路を形成するための環状空間Mが設けられている。底壁1cには、ランスの軸芯Oとのなす角度(内周壁1aの壁面とのなす角度)θ1が65°≦θ1≦80°に設定された傾斜面1c1が形成されている。傾斜面1c1は、フラットな面でもよいし曲面であってもよい。
本発明においては、ランスの軸芯Oと底壁1cとのなす角度θ1を、65°≦θ1≦80°に設定することとしたが、その理由は、θ1が65°よりも小さいと、ランスに冷却水路を形成するための十分なスペースを確保するのが困難となり、ランス先端における冷却能の不足によりノズルが熱変形して冷却水漏れを起こすおそれがある一方、θ1が80°を超えると、ノズル2内における精錬用酸素含有ガスの流れが不均一(偏流)となり、流速の高い流れに乗った粉体の、ノズル2内面への衝突によりノズル2の摩耗が促進されるのが避けられないが、ランスの軸芯Oと底壁1cとのなす角度θ1を、65°≦θ1≦80°に設定することにより、ランス先端における冷却能を確保しながら、精錬用酸素含有ガスの流れを均一化してノズル2における摩耗を抑制するのに有利だからである。
また、符号2は、円筒状の開孔を有し、ランス内管1の底壁1cにつながるノズルである。ノズル2は、ストレートノズルやラバーノズルを適用することが可能で、ノズル軸芯nがランスの軸芯Oに対して傾斜しており、底壁1cの傾斜面1c1に対してはノズル軸芯nが直交する向きでつながっている。ノズル2のスロート径d1は、傾斜面1c1の長さ、すなわち、底壁1cの傾斜面1c1の内端1c2から前記底壁1cの傾斜面1c1の外端1c3に至るまでの該傾斜面1c1に沿う長さL0の0.4~0.75倍程度に設定される。ここで、ノズル2のスロート径d1が、傾斜面1c1の長さL0の0.4倍よりも小さくなると、ランス内管1からノズル2に精錬用酸素ガスが流入する際に、流路の断面積が大幅に縮小されることになり、非常に大きな圧力損失が発生してしまう。一方、ノズル2のスロート径d1が、傾斜面1c1の長さL0の0.75倍よりも大きくなると、ノズル2内における精錬用酸素ガスの流れが不均一(偏流)となることが予想される。図3(a)~(c)は、ノズル2のスロート径d1が傾斜面1c1の長さL0の1.0倍になる転炉精錬用上吹きランスを模式的に示した図であり、図3(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、図3(b)は、図3(a)のC-C断面を示した図であり、図3(c)は、図3(a)のD-D断面を示した図である。図3(b)のように、ノズル2のスロート径d1が、傾斜面1c1の長さL0と等しくなると、ランス内管1からノズル2に精錬用酸素ガスが流入する際に偏流が発生するが、図3(c)の断面では、偏流は発生しない。すなわち、ノズル2内で考えると、精錬用酸素ガスの流れが不均一(偏流)となる。
ノズル2の傾斜角θ2は、10°未満ではノズル孔から噴射される酸素ガスジェット同士が合体してスピッティング発生量が増加する一方、25°より大きくなると火点と炉壁との距離が短くなり、炉壁耐火物の溶損が起こりやすくなる。このため、ノズル2の傾斜角θ2は10°~25°に設定するのが好ましい。
ノズル2の、底壁1cに対する位置関係L1/L0は、スロート径をd1とし、底壁1cの傾斜面1c1の内端1c2から該ノズル2のノズル軸芯nに至るまでの該傾斜面1c1に沿う長さL1とし、底壁1cの傾斜面1c1の内端1c2から前記底壁1cの傾斜面1c1の外端1c3に至るまでの該傾斜面1c1に沿う長さをL0とした場合に、(0.75d1/L0)≦(L1/L0)≦1-(0.75d1/L0)の条件を満足するように設定することができる。
本発明において、L1/L0を、上記の条件を満足するように設定するのがよい理由について説明する。図4(a)(b)は、本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスの先端部分の要部を模式的に示した図であり、図4(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、図4(b)は、図4(a)のE-E断面を示した図である。また、図5(a)(b)は、L1/L0が(0.75d1/L0)よりも小さくなる場合の転炉精錬用上吹きランスの先端部分の要部を模式的に示した図であり、図5(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、図5(b)は、図5(a)のF-F断面を示した図である。さらに、図6(a)(b)は、L1/L0が1-(0.75d1/L0)よりも大きくなる場合の転炉精錬用上吹きランスの先端部分の要部を模式的に示した図であり、図6(a)は、図1(a)のB-B断面に対応する断面を示した図であり、図6(b)は、図6(a)のG-G断面を示した図である。図4(a)(b)~図6(a)(b)に示す転炉精錬用上吹きランスにおいて、L1/L0が、(0.75d1/L0)よりも小さくなると、図5(a)(b)に示すように、ノズル2の、ランス内管1の内周壁1aに対する距離が近くなる一方、L1/L0が1-(0.75d1/L0)よりも大きくなると、図6(a)(b)に示すように、ノズル2の、ランス内管1の外周壁1bに対する距離が近くなり、いずれにおいても、ノズル2内における精錬用酸素ガスの流れが不均一(偏流)となり、流速の高い流れに乗った粉体がノズル2の内面に衝突してしまい、ノズル2の摩耗が促進されるのが避けられないが、L1/L0を、(0.75d1/L0)≦(L1/L0)≦1-(0.75d1/L0)とすることにより、精錬用酸素含有ガスの流れの均一化を図りノズル2の摩耗を抑制することができる。
また、図における符号3は、ランス内管1の内周壁1aの径方向内側に設けられ、ランスの軸芯Oに沿う流路3a、より具体的には、ランスの軸芯Оに平行な流路3aを有するランス中心管である。ランス中心管3の下端部には、ランスの軸芯Oと共通する軸芯を有するノズル4が設けられており、流路3aを通して送給された精錬用酸素含有ガス等を、ノズル4を介して転炉内に収容された溶鉄に吹き付けることができるようになっている。
また、図における符号5は、ランス内管1を取り囲むように設けられた管体、6は、管体5を取り囲むように設けられた管体である。管体5と管体6とによってその内側に冷却水を通すための流路7が形成されている。
この種のランスにおいて不可避なノズル2の摩耗は、ノズル2の流路面積がランス内管1の流路面積に比較して急激に小さくなるため、ノズル2内において精錬用酸素含有ガスの流れが不均一(偏流)となり、流速の高い流れに乗った粉体がノズル2の内面に衝突することにより発生することが原因であり、それを抑制するには、精錬用酸素含有ガスの流れの均一化を図ること、すなわち、精錬用酸素含有ガスの偏流を小さくすることが有効であることが明らかとなった。
表1は、精錬用酸素含有ガスの偏流を小さくするランス構造についての検討を行うべく、ランス内管1の内径を60mm、外径を250mm、ノズル2のスロート径d1を40mm、ノズル数を6、ノズル2の傾斜角度θ2を18°に設定し、精錬用酸素含有ガスの流量(上吹き酸素流量)を40000Nm/h、粒径50μmの生石灰粉体を粉体副原料として500kg/minで一定時間通過させる条件で溶鉄の精錬を行うに当たり、L1/L0を種々変更した場合につき、上吹きランスにおける精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料の流動を模擬した熱流体シミュレーションにてノズル2の損耗量を計算した結果を示したものである。なお、このシミュレーションでは、汎用熱流体ソフトウエアであるSTAR-CCM+を用いた。また、本条件では、ランス内管1の内径が60mm、外径が250mm、ノズル2のスロート径d1が40mmとしているため、d1/L0は、0.42となる。
Figure 2022013818000002
表1における損耗指数は、No.7における上吹きランスを用いた場合のノズルの損耗量を1として指数化した値を示したものであって、損耗指数が小さくなるほど損耗量が小さくなることを示したものである。表1より、底壁1cの傾斜面1c1の角度θ1を60~80°の範囲に設定した場合、あるいは、これに加えて、L1/L0を(0.75d1/L0)≦(L1/L0)≦1-(0.75d1/L0)の条件に設定した場合に、ノズル2の損耗指数がNo.7のものよりも小さくなり、ノズル2の損耗量が軽減されることが判明した。
この際、ノズル2の内部の流動(ガス流速分布)について調査したところ、No.5~7では、図7に示すようにノズル2内で酸素ガスの偏流が見られ、流速の高い領域が形成されるため、図8に示すようにガスの流れに乗って多くの粉体がノズル2の内面に衝突し、この衝突によってノズル摩耗が促進されることとなっていたが、No.1~4、8では、図9に示すようノズル2内の酸素ガスの流動はほぼ均一であり、偏流はみられなかった。
なお、表1のNo.8については、ノズル2内の流動はほぼ均一であり、偏流はみられないものの、θ1が60°であり、冷却水路を形成するための十分なスペースを確保するのが困難になることから、ランス先端の冷却能の不足によりノズルが熱変形して冷却水漏れを起こすおそれがある。
本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスは、ランス内管1の底壁1cに傾斜面1c1を設け、傾斜面1c1に対してノズル2を垂直に接続する構造からなるものを基本構成としているため、ランス内管1の内周壁1aと底壁1cの内端とが交差する部位、ランス内管1の外周壁1bと底壁1cの外端とが交差する部位では、酸素ガス、粉体の流れがよどむことも予想される。このため、本発明においては、その領域に図10に示すように、半径が5~20mm程度のR(アール)を付与しておくのが望ましく、この場合、L1、L0は、内周壁1aの延長線と傾斜面1c1の延長線との交点P1、外周壁1bの延長線と傾斜面1c1の延長線との交点P2を基準にして設定すればよい。
図11(a)(b)は、本発明にしたがう転炉精錬用上吹きランスの他の実施の形態を模式的に示した図である。この例は、ランス中心管3を備えない構造からなるものであり、かかる構造からなるランスにおいても、底壁1cにおける傾斜面1c1の角度θ1を65~80°の範囲に設定するか、あるいは、これに加えて、L1/L0を(0.75d1/L0)≦(L1/L0)≦1-(0.75d1/L0)に設定することにより、ノズル2の損耗を軽減することができる。
本発明の効果を確認するため、成分組成(平均値)が、C:4.3mass%、Si:0.40mass%、Mn:0.28mass%、P:0.125mass%、S:0.04mass%、残部がFeからなる溶鉄を収容した容量300トン規模の転炉で、上掲図1に示した構造からなる上吹きランスを用いて予備吹錬を行い、ノズル摩耗によりランス内部の冷却水流路に穴が開いて水漏れが起きるまでのランスの使用回数についての調査を行った。
上吹きランスのランス内管の内径は60mm、外径は250mm、スロート径は50mm、ノズル孔数は6、ノズルの傾斜角は18°に設定し、θ1とL1/L0については、種々変更したものとし、上吹き酸素含有ガスの流量は40000Nm/h、また、粉体副原料は粒径1~200μmの生石灰粉体を500kg/minの条件で吹き付けることとした。
表2にその結果を示す。なお、表2において、ランス使用指数とは、θ1が90°、L1/L0が0.50になる上吹きランス(比較例1)を用いて予備吹錬を行い、水漏れが発生するまでのランス使用回数を1として指数化した値である。
Figure 2022013818000003
実施例1~6は、θ1が本発明で規定する条件を満足するものであって、比較例1に比べ、ランス使用指数の値が大きくなることが明らかとなった。
とくに、実施例1~4は、L1/L0が本発明で規定する条件をも満足するものであって、この場合、ランス使用指数の値は、比較例1の2倍を超える、より好ましい結果が得られた。
一方、比較例2は、ランス使用指数は大幅に減少しているが、これは、ノズル摩耗による冷却水漏れではなく、ランス先端の熱変形により水漏れが生じたことによる。
とくに、θ1が60°であると、冷却水路を十分に確保することが困難となり、ランス先端の冷却能が不足したことで熱変形が生じ、冷却水漏れが起こったと推察される。
以上のことから、本発明を実施することにより、ランス使用回数を大幅に増加させることが可能で、ランスの長寿命化を達成することができることが確認された。
本発明によれば、ノズルにおける粉体摩耗を極力抑制して使用寿命を大幅に延長可能な転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法が提供できる。
1 ランス内管
1a 内周壁
1b 外周壁
1c 底壁
1c1 傾斜面
1c2 傾斜面の内端
1c3 外傾斜面の外端
2 ノズル
3 ランス中心管
3a 流路
4 ノズル
5 管体
6 管体
7 流路
О ランスの軸心
n ノズル軸芯

Claims (6)

  1. ランスの軸芯と共通する軸芯を有するランス内管と、該ランス内管の底壁につながり、かつ、該ランスの軸芯に対してノズル軸芯が傾斜した少なくとも1つのノズルとを備え、該ランス内管を通して送給された精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料を該ノズルを介して転炉容器内に収容された溶鉄に吹き付けることにより該溶鉄の精錬を行う転炉精錬用上吹きランスであって、
    該底壁に、該ランスの軸芯とのなす角度θ1が65°≦θ1≦80°に設定された傾斜面を設けたことを特徴とする転炉精錬用上吹きランス。
  2. 前記ノズルは、ノズル軸芯が前記底壁の傾斜面に対して直交する向きで該傾斜面につながるものであることを特徴とする請求項1に記載した転炉精錬用上吹きランス。
  3. 前記ランス内管は、前記ランスの軸芯に沿う壁面をもった内周壁と、該内周壁の壁面に沿う壁面をもった外周壁と、該内周壁および外周壁をそれらの末端部において相互につなぎ合わせる底壁とによって区画され、その内側に該精錬用酸素含有ガスおよび粉体副原料の送給流路を形成する環状空間を有することを特徴とする請求項1または2に記載した転炉精錬用上吹きランス。
  4. 前記ノズルは、スロート径をd1とし、前記傾斜面の内端から該ノズルのノズル軸芯に至るまでの該傾斜面に沿う長さL1とし、前記傾斜面の内端から前記傾斜面の外端に至るまでの該傾斜面に沿う長さをL0とした場合に、L1/L0は、
    (0.75d1/L0)≦(L1/L0)≦1-(0.75d1/L0)
    の条件を満足するものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載した転炉精錬用上吹きランス。
  5. 前記ランス内管の内側に、前記ランスの軸芯に沿う流路が形成されたランス中心管を設けたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載した転炉精錬用上吹きランス。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の転炉精錬用上吹きランスを使用して、該上吹きランスから精錬用酸素含有ガスとともに粉体副原料を吹き付けることにより転炉容器内に収容された溶鉄を精錬することを特徴とする溶鉄の精錬方法。
JP2021106418A 2020-06-30 2021-06-28 転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法 Active JP7298649B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020112404 2020-06-30
JP2020112404 2020-06-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022013818A true JP2022013818A (ja) 2022-01-18
JP7298649B2 JP7298649B2 (ja) 2023-06-27

Family

ID=80169749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021106418A Active JP7298649B2 (ja) 2020-06-30 2021-06-28 転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7298649B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1088217A (ja) * 1996-09-19 1998-04-07 Nippon Steel Corp 溶鉄への粉体吹き付け方法
JPH10287909A (ja) * 1997-04-15 1998-10-27 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉吹錬兼炉口地金溶解用上吹きランス
JP2001316714A (ja) * 2000-05-10 2001-11-16 Nippon Steel Corp 膨張制御ラバールノズルを有する吹錬用上吹きランス
JP2006348331A (ja) * 2005-06-14 2006-12-28 Jfe Steel Kk 溶融金属精錬用上吹きランス及び溶融金属の吹錬方法
JP2008208407A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Jfe Steel Kk 精錬用上吹きランス及び精錬用上吹きランスの破孔検知方法
JP2011074411A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Jfe Steel Corp 精錬用上吹きランス及び転炉精錬方法
JP2019210527A (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 株式会社神戸製鋼所 ランスチップ

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1088217A (ja) * 1996-09-19 1998-04-07 Nippon Steel Corp 溶鉄への粉体吹き付け方法
JPH10287909A (ja) * 1997-04-15 1998-10-27 Sumitomo Metal Ind Ltd 転炉吹錬兼炉口地金溶解用上吹きランス
JP2001316714A (ja) * 2000-05-10 2001-11-16 Nippon Steel Corp 膨張制御ラバールノズルを有する吹錬用上吹きランス
JP2006348331A (ja) * 2005-06-14 2006-12-28 Jfe Steel Kk 溶融金属精錬用上吹きランス及び溶融金属の吹錬方法
JP2008208407A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Jfe Steel Kk 精錬用上吹きランス及び精錬用上吹きランスの破孔検知方法
JP2011074411A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Jfe Steel Corp 精錬用上吹きランス及び転炉精錬方法
JP2019210527A (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 株式会社神戸製鋼所 ランスチップ

Also Published As

Publication number Publication date
JP7298649B2 (ja) 2023-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11293069B2 (en) Method for oxygen-blowing refining of molten iron and top-blowing lance
JP4901132B2 (ja) 転炉吹錬方法及び転炉吹錬用上吹きランス
JP7003947B2 (ja) 上吹きランスおよび溶鉄の精錬方法
JP2014221928A (ja) 転炉吹錬方法
KR102026765B1 (ko) 상저취 전로의 조업 방법
JP5544807B2 (ja) 精錬用上吹きランス及び転炉精錬方法
JP2022013818A (ja) 転炉精錬用上吹きランスおよびそのランスを用いた溶鉄の精錬方法
JP2011202236A (ja) 転炉の上吹きランス及び転炉の操業方法
JP2012082492A (ja) 転炉精錬方法
TWI665308B (zh) 轉爐吹煉用頂吹噴槍及熔鐵的精煉方法
JP4385855B2 (ja) 転炉吹錬方法及び転炉吹錬用上吹きランス
JP6036096B2 (ja) 転炉吹錬方法
JP4980175B2 (ja) 溶鉄精錬用ランスおよび溶鉄精錬方法
JP2012082491A (ja) 転炉精錬方法
JP5412756B2 (ja) 転炉操業方法
JP7036147B2 (ja) 上吹きランスおよびそれを用いた溶鉄の精錬方法
JP6888492B2 (ja) 溶鋼の精錬装置及び溶鋼の精錬方法
JP7372546B2 (ja) 溶解炉の精錬方法
JP2010047830A (ja) 転炉操業方法
JPH1112633A (ja) 溶融金属の精錬用ランスおよび精錬方法
JP2019049038A (ja) Rh装置の上吹きランス及び二次精錬方法
JP2017075400A (ja) 上吹きランス、真空脱ガス装置および真空脱ガス処理方法
JP2018003132A (ja) 溶銑の精錬方法
JP2015108165A (ja) 溶融金属の精錬方法及び精錬設備
RU1768648C (ru) Фурма дл продувки металла в конвертере

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230529

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7298649

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150