JP2022013290A - 光学式三次元形状測定装置の補正方法及び補正用基準器、並びに、光学式三次元形状測定装置 - Google Patents

光学式三次元形状測定装置の補正方法及び補正用基準器、並びに、光学式三次元形状測定装置 Download PDF

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【課題】 光コム距離計から測定光を測定対象物に照射する走査光学系の光学歪みによる影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うための補正データを取得する。【解決手段】仮想基準平面41上に少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニット42が上記1方向に並列配置された補正用基準器40に光コム距離計10から照射する測定光S2を上記1方向に走査して、上記複数の基準形状ユニット42の三次元形状測定を行い、上記複数の基準形状ユニットのプロファイルに基づいて、ゆがみ補正用近似式を算出して、補正データを取得する【選択図】図3

Description

本発明は、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置の補正方法及び補正用基準器、並びに、光学式三次元形状測定装置に関する。
従来より、精密なポイントの距離計測が可能なアクティブ式距離計測方法として、レーザ光を利用する光学原理による距離計測が知られている。レーザ光を用いて対象物体までの距離を測定するレーザ距離計ではレーザ光の発射時刻と、測定対象に当たり反射してきたレーザ光を受光素子にて検出した時刻との差に基づいて、測定対象物までの距離が算出される(たとえば特許文献1参照)。また、例えば、半導体レーザの駆動電流に三角波等の変調をかけ、対象物での反射光を半導体レーザ素子の中に埋め込まれたフォトダイオードを使用して受光し、フォトダイオード出力電流に現れた鋸歯状波の主波数から距離情報を得ている。
ある点から測定点までの絶対距離を高精度で測定する装置としてレーザ距離計が知られている。たとえば、特許文献1には、基準光の干渉信号と測定光の干渉信号の時間差から距離を測定する距離計が記載されている。
従来の絶対距離計では、長い距離を高精度で測れる実用的な絶対距離計を実現することが難しく、高い分解能を得るためにはレーザ変位計のように原点復帰が必要なため絶対距離測定に適さない方法しか手段がなかった。
本件発明者等は、基準面に照射される基準光と測定面に照射される測定光との干渉光を基準光検出器により検出するとともに、上記基準面により反射された基準光と上記測定面により反射された測定光との干渉光を測定光検出器により検出して、上記基準光検出器と測定光検出器により得られる2つ干渉信号の時間差から、上記基準面までの距離と上記測定面までの距離の差を求めることにより、高精度で、しかも短時間に行うことの可能な光コム距離計及び距離測定方法並びに光学的三次元形状測定装置を先に提案している(例えば、特許文献2参照)。
光学的三次元形状測定装置では、光コム距離計から出射された測定光を1次元又は2次元に走査するガルバノミラーやポリゴンミラー等の走査光学系を介して測定対象物に照射して、測定対象物で反射された測定光の反射光が走査光学系を介して戻される光コム距離計により、測定面までの距離情報として測定面の三次元形状情報を取得するので、測定対象物付近の仮想平面に対して垂直な方向から測定対象物に測定光を照射するために、テレセントリックf-θレンズ等によるテレセントリック光学系による光学スキャナが使用されている。
しかしながら、テレセントリック光学系による光学スキャナが使用を使用しても、現実には、光学スキャナを介して測定対象物に照射される測定光は、理想的な曲面からの乖離や材料の波長分散の影響を受けて、場所毎に光軸に対して僅かに傾斜しており、それが1次元又は2次元に分布した状態となる。このようなレンズ系の影響で、図21に示すように、レンズと対象物の間の距離Zが変化すると実際のX方向の測定位置X1、X2、X3、X4、X5と異なる場所を測定し、距離Z1,Z2、Z3、Z4では誤差が発生する。
従来、二次元スキャンの光学スキャナの校正は、一般的に、三次元座標が校正された校正用基準器を使用して、次のようにして行われている。
図22に示すように、校正用基準器200の格子点の座標を(XGi,YGj,ZGk)とする。平面に格子状に座標を作製した基準器であればXGi,YGjはXY基準器の座標、ZGkは基準器を設置した高さである。Z基準平面になる面にZY座標が識別できる加工を施したものでも良い。またはZ基準平面とXY基準器を別に用意してもよい。Z基準平面とXY基準器が別の場合であっても、それぞれ同じ条件で計測すれば、スキャナ側から見た座標(X,Y,Z)と校正用基準器の格子点の座標(X,Y,Z)の関係を求めることができる。ここで、X,Yはスキャナが想定しているXY座標、Zは形状計測器が出力する校正前の高さの値である。
まず複数の高さでXY基準器を測定して、スキャナが想定するXY座標(X,Y)と校正用基準器の格子点の座標のZ依存性(X,Y,Z)を得る。
次にZ基準平面を測定するとスキャナ側から見た座標(高さ分布)(X,Y,Z)とZ基準平面の設置高さ(ZGk)の関係が得る。両者を合成することで共通の(X,Y)を介してスキャナ側から見た座標と校正用基準器の格子点の座標の関係が得られる。
ここでZ基準平面として鏡面反射成分の少なくかつ平坦度の高い粗面を使用することができる。X軸周り、Y軸周りそれぞれにわずかな角度をつけて鏡面反射を含まない高さ分布データを得る。それらを平均して仮想平面形状を得る。XY基準器を測定する場合、鏡面反射成分がXY基準器の格子点の抽出に影響を与えない条件ならば、基準器を仮想平面に一致させて測定を行ってもよい。
格子点の座標(XGi,YGj,ZGk)がスキャナ側から見た座標(高さ分布)(X,Y,Z)に見えているので、格子点の座標についての補正量
(ΔX,ΔY,ΔZ)=(XGi-X,YGj-Y,ZGk-Z
全ての格子点について補正量を求めれば格子点における補正データの集合として
ΔX=XMCAL(X,Y,Z
ΔY=YMCAL(X,Y,Z
ΔZ=ZMCAL(X,Y,Z
が得られる。このデータには格子点の補正量しか含まれないため、格子点以外の補正量は補間によって求める必要がある。補正データの集合を元にそれぞれをスキャナ側から見たXY座標、および高さZの値、(X,Y,Z)の高次多項式またはその他適切な関数でフィットしてその多項式の係数として校正データを保存しておく。フィットされた関数をそれぞれ
ΔX=XFCAL(X,Y,Z)
ΔY=YFCAL(X,Y,Z)
ΔZ=ZFCAL(X,Y,Z)
とすれば、スキャナ側から見た任意の座標(X,Y,Z)における補正量は内挿によって
ΔX=XFCAL(X,Y,Z
ΔY=YFCAL(X,Y,Z
ΔZ=ZFCAL(X,Y,Z
となる。なお通常の使用環境ではスキャナを出るビームは測定対象に向かって一直線に進むのでZに関しては一次式で表されると考えてよい。
スキャナ光学系のテレセントリシティー(鉛直打ち下ろし特性、仮想平面の法線への一致具合といったもの)が高く、XY座標のZ依存性が無視できるほど小さい場合には補正データからZ依存性がなくなるため、計測が容易な一つの高さ(例えばZ=0の高さやビーム焦点の高さ)だけで校正用基準器の座標を取得すればよい。
Z=0における全ての格子点について補正量を求めれば格子点における補正データの集合として
ΔX=XMCAL(X,Y,0)
ΔY=YMCAL(X,Y,0)
ΔZ=ZMCAL(X,Y,0)
が得られる。ΔZについては格子点に限定せず、平面のデータ全体を使うことができる。格子点以外の補正量は補間によって求められる。補正データの集合を元にそれぞれをスキャナ側から見たXY座標(X,Y)の高次多項式またはその他適切な関数でフィットしてその多項式の係数として校正データを保存しておく。フィットされた関数をそれぞれ
ΔX=XFCAL(X,Y)
ΔY=YFCAL(X,Y)
ΔZ=ZFCAL(X,Y)
とすれば、スキャナ側から見た任意の座標(X,Y,Z)における補正量は内挿によって
ΔX=XFCAL(X,Y
ΔY=YFCAL(X,Y
ΔZ=ZFCAL(X,Y
となる。
Z依存性を含む一般形で補正式を定義しておいてZ依存を表す項にかかる係数がゼロである場合として考えてもよい。
スキャナが例えばX軸に平行なラインのように単一方向へのスキャンを行って、Y軸方向には別の移動手段によって全体の形状を計測する場合は、二次元スキャンの中の一ラインをスキャンしたと考えて校正を行う。スキャンの線がX軸に平行な線に対してゆがみがある場合にはXY座標の校正が必要になる。X軸のラインスキャンとY軸移動を組み合わせてXY基準器をY軸方向の座標校正をするために最低限必要な幅でスキャンして、二次元スキャンと同様な方法で校正データを取得する。
また、JIS規格として、三次元座標測定機の精度試験方法を定めたJIS B 7440が設けられており、JIS B 7440-8として光学式距離測定の原理によって補正後測定点を決定する非接触プロービングシステムである光学式距離センサ付き座標測定機について規定されている。
そして、長さの標準器であるブロックゲージと球体とを用いることによって、静的な目盛りの校正と球体の測定とを同時に行うことにより検出器の動作性能を含めた各軸の目盛り誤差を総合的に校正することができるようにしたCMM校正ゲージが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この特許文献3の開示技術では、国家標準器として第1端面と第2端面間の長さの絶対値が保証されているブロックゲージの表面に、球体を載置して固定することによりCMM校正ゲージを構成する。使用に際しては、第1端面に3点以上CMMの測定子を当てて第1端面の平面を特定し、次いで球体の赤道部分に3点測定子を当てると共に極点にも当てて、第1端面の平面からの球体の中心座標と球体の直径を特定し、次いで第2端面に測定子を当てて第2端面と球体の上記特定値を補正し、球体の3次元空間の座標が正確に特定されたCMM校正ゲージとする。
CMM(coordinate measuring machine)は、三次元空間に存在する離散したX、Y、Zの座標点を用いて計算機の支援により寸法及び形状を測定するための計測器であり、より具体的には、定盤上に載置した被測定物と、測定器においてZ軸先端に取り付けたプローブとを、X、Y、Zの三次元方向へ相対移動させ、プローブが被測定物に接触した瞬間をとらえ、この瞬間を電気的トリガとして各送り軸方向の座標値を読みとり、計算機により寸法及び形状を計測する三次元測定器である。
また、上面が平坦な基板の表面に配置される第1の球体列と、前記基板の上面に対して傾斜して配置される第2の球体列とを備えることにより三次元座標測定機を精度評価するための三次元座標測定機ゲージを構成すること提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2001-343234号公報 特許第5231883号公報 特許第3005681号公報 特開2012-58057号公報
ところで、本件発明者等が先に提案している光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置では、光コム干渉計を介して測定対象物に照射された測定光の測定対象物上の照射位置の計測を高精度に且つ短時間に行うことができるのであるが、光学スキャナを介して測定対象物に測定光を照射するので、光学スキャナによる走査歪みに起因する測定誤差がある。
光学的三次元形状測定装置に備えられた光学スキャナでは、一般的に、レンズや鏡の曲面は理想型状からのずれや屈折率の影響により、仮想平面上で完全に等距離になることはなく、像面湾曲に見られるように視野の中心部と周縁部で高さが異なることが多い。光学系の如何なる場所でも主光軸が光軸に対して平行な理想的なテレセントリック光学系による光学スキャナを備える光学的三次元形状測定装置であれば、鏡のように高精度の基準平面を計測し、計測結果として得られる平面が平面に見えるような校正データを使用して測定対象物の高さデータに誤差なく補正することが可能である。
しかしながら、現実には、光学スキャナを介して測定対象物に照射される測定光は、理想的な曲面からの乖離や材料の波長分散の影響を受けて、場所毎に光軸に対して僅かに傾斜しており、それが1次元又は2次元に分布した状態となる。
また、波長分散の大きな材料が走査光学系に含まれる場合、群遅延が測定光のビーム径内で分布する虞がある。
このように場所毎に光軸に対して僅かに傾斜した測定光を出射する光学スキャナや波長分散の大きな材料が走査光学系に含まれる光学スキャナでは、鏡を用いて校正すると、鏡面反射された測定光の一部の反射光成分のみが光コム距離計における干渉信号の生成に寄与することになる。
光コム距離計では、測定対象物に照射した測定光の上記測定対象物により反射された反射光の全てを検出することができれば、測定光の光軸中心の軌跡の距離を高精度に計測できるのであるが、反射光の一部しか検出できない場合には、 測定光の光軸中心の軌跡から算出される距離にする誤差が生じることになる。
このように、光学的三次元形状測定装置で得られる座標補正などを行わない生の形状データには座標や空間の距離には誤差が含まれる。誤差はスキャナの非直線性、光学系のひずみ、テレセントリシティーからのずれ、収差などが要因である。したがって、測定対象物の形状計測と別に座標の基準となる検査器で空間的な誤差分布を検出して補正データとして持っておいて、測定結果の座標やスキャナの動きに補正を加えることで正しい座標値に変換してデータの校正(キャリブレーション)を行う必要がある。
本件発明者等は、上述の如き従来の実情に鑑み、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の群遅延の空間分布を補正することができる校正データを取得可能な光学式三次元形状測定装置の空間測定誤差校正方法を特願2020-001699として、先に提案している。
また、特許文献3や特許文献4の開示技術は、測定子を当てて測定を行う接触型の三次元測定器の校正を行うためのものであり、非接触型の光学式三次元形状測定装置の校正について考慮されていない。
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、テレセントリック光学系からのずれを検出して座標補正や校正(キャリブレーション)に必要な補正データを取るための補正方法及び補正用基準器を提供することにある。
また、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の光学歪みによる影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うことのできる光学式三次元形状測定装置を提供することにある。
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
本発明は、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置の補正方法であって、少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニットが仮想基準平面上に上記1方向に所定間隔で並列配置されてなる補正用基準器について、上記仮想基準平面における上記複数の基準形状ユニットの配列方向をX方向とし、X方向と上記仮想基準平面内で直交する方向をY方向とし、X方向とY方向と直交する方向をZ方向として、被補正光学式三次元形状測定装置により上記補正用基準器の設置姿勢を変えて上記所定形状の複数の基準形状ユニットの三次元形状測定を行い、上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向にスキャンして得られる測定結果について、上記複数の基準形状ユニットのプロファイルを算出し、上記プロファイルに基づいて、上記複数の基準形状ユニットのX方向の各基準点位置を算出し、上記補正用基準器の各基準形状ユニットのX方向における上記規定された各基準点位置と、上記プロファイルに基づいて算出した各基準点位置との差分から、X方向の第1のゆがみ補正用近似式を算出し、上記複数の基準形状ユニットの形状を示すプロファイルについて、上記X方向の第1のゆがみ補正用近似式を用いてX方向のゆがみ補正を行い、X方向のゆがみ補正済みのプロファイルに基づいて、上記複数の基準形状ユニットの各基準点位置を算出し、上記補正用基準器の各基準形状ユニットのX方向における上記規定された各基準点位置と、上記X方向のゆがみ補正済みのプロファイルに基づいて算出した各基準点位置との差分から、上記X方向の第1のゆがみ補正用近似式を修正したX方向の第2のゆがみ補正用近似式を算出し、上記X方向の第2のゆがみ補正用近似式を、上記複数の基準形状ユニットをX方向にスキャンした上記補正用基準器のZ方向の高さ位置におけるX方向のゆがみ補正用近似式として決定することを特徴とする。
本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、上記補正用基準器の設置高さ位置を変えてZ方向に平行移動させることにより対物距離を変化させるものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、上記補正用基準器をX方向の軸周りに所定角度傾斜させた姿勢で被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、上記被補正光学式三次元形状測定装置の補正データの近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、上記補正用基準器をY方向の軸周りに所定角度傾斜させた姿勢で被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、上記被補正光学式三次元形状測定装置の補正データの近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記補正用基準器の四隅の1つを支点として対角方向の他隅側を所定角度上昇又は降下させた姿勢で被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、上記被補正光学式三次元形状測定装置の補正データの近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、上記補正用基準器をX方又はY方向の軸周りに傾斜させた状態でさらに該補正用基準器の中心を通るZ方向の軸周りに所定角度回転させた姿勢で、被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、各対物距離におけるX方向の基準点位置とY方向の基準点位置の補正データの近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記補正用基準器の複数の基準形状ユニットは、少なくとも1方向における対辺間の距離が規定値とされた所定形状を有するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上で所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定幅の長円形状の複数の開口であり、上記所定幅の中心点位置が上記基準点位置として規定されているものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で上記1方向に並列配置され、中心点位置が上記基準点位置として規定された円形状又は正方形状の複数の開口であるものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定径の複数の円柱体であり、上記所定径の中心点位置が上記基準点位置として規定されているものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、被補正光学式三次元形状測定装置の焦点位置を中心に集光レンズから上記補正用基準器までの対物距離を変化させて、複数の対物距離において、上記補正用基準器を90°向きを変えた姿勢で三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、各対物距離におけるX方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置され、中心点位置が上記基準点位置として規定された円形状又は正方形状の複数の開口であり、上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向とY方向に2次元スキャンして得られる測定結果について、X方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された格子点位置が上記基準点位置として規定され複数の十形状線であり、上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向とY方向に2次元スキャンして得られる測定結果について、X方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、上記複数の基準形状ユニットのプロファイルとして輝度プロファイルを算出し、輝度プロファイルに基づいて上記複数の基準形状ユニットの各基準点位置を算出するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法において、上記基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された複数の所定径の球体であり、上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向とY方向に2次元スキャンして得られる測定結果について、X方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正方法では、上記複数の基準形状ユニットの形状を示すプロファイルとして三次元の形状プロファイルを算出し、形状プロファイルに基づいて上記複数の基準形状ユニットの各中心点位置を算出するものとすることができる。
本発明は、光学式三次元形状測定装置の補正用基準器であって、少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニットが仮想基準平面上に上記1方向に所定間隔で並列配置されてなることを特徴とする。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正用基準器において、上記複数の基準形状ユニットは、少なくとも1方向における対辺間の距離が規定値とされた所定形状を有するものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正用基準器において、 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上で所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定幅の長円形状の複数の開口であり、上記所定幅の中心点位置が上記基準点位置として規定されているものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正用基準器において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で少なくとも上記1方向に並列配置され、中心点位置が上記基準点位置として規定された円形状又は正方形状の複数の開口であるものとすることができる。
また、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正用基準器において、上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定径の複数の円柱体であり、上記所定径の中心点位置が上記基準点位置として規定されているものとすることができる。
さらに、本発明に係る光学式三次元形状測定装置の補正用基準器において、上記基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された複数の所定径の球体であるものとすることができる。
本発明は、光学式三次元形状測定装置であって、上記光学式三次元形状測定装置の補正方法により決定された近似式による補正データに基づいて、測定データに補正処理を施す補正処理手段を備えることを特徴とする。
本発明では、測定対象物として、少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニットが仮想基準平面上に上記1方向に所定間隔で並列配置されてなる補正用基準器について、上記仮想基準平面における上記複数の基準形状ユニットの配列方向をX方向とし、X方向と上記仮想基準平面内で直交する方向をY方向とし、X方向とY方向と直交する方向をZ方向として、被補正光学式三次元形状測定装置により上記補正用基準器の設置姿勢を変えて上記所定形状の複数の基準形状ユニットの三次元形状測定を行って得られる測定結果から算出される上記基準形状ユニットのプロファイルに基づいて、上記複数の基準形状ユニットの各基準点位置を算出し、上記規定された各基準点位置と、上記プロファイルに基づいて算出した各基準点位置との差分から、第1のゆがみ補正用近似式を算出し、上記複数の基準形状ユニットの形状を示すプロファイルについて、上記第1のゆがみ補正用近似式を用いてゆがみ補正を行い、ゆがみ補正済みのプロファイルに基づいて、上記複数の基準形状ユニットの各基準点位置を算出し、上記規定された各基準点位置と、上記ゆがみ補正済みのプロファイルに基づいて算出した各基準点位置との差分から、上記第1のゆがみ補正用近似式を修正した第2のゆがみ補正用近似式を算出し、上記第2のゆがみ補正用近似式を、上記複数の基準形状ユニットをスキャンした上記補正用基準器の高さ位置におけるゆがみ補正用近似式として決定することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置の空間測定誤差を高精度に検出して、座標補正や校正(キャリブレーション)に必要な補正データを取得することができる。
したがって、本発明によれば、テレセントリック光学系からのずれを検出して座標補正や校正(キャリブレーション)に必要な補正データを取るための光学式三次元形状測定装置の補正方法及び補正用基準器を提供することができる。
また、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の光学歪みによる影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うことのできる光学式三次元形状測定装置を提供することができる。
本発明を適用した光学式三次元形状測定装置の基本的な構成を示すブロック図である。 上記光学的三次元形状測定装置に備えられた光コム距離計の構成を示すブロック図である。 上記光学的三次元形状測定装置における光学スキャナ装置が測定光をX方向に走査するに走査するスキャン光学系を備える1次元スキャナである場合の補正データの取得の様子を模式的に示す斜視図である。 上記光学スキャナ装置で走査される補正用基準器として、長円形状の開口を基準形状ユニットとした補正用基準器の説明に供する図であり、(A)は補正用基準器の平面図、(B)は補正用基準器の正面図である。 上記光学的三次元形状測定装置における補正データの取得処理の手順を示すフローチャートである。 補正データの取得処理の説明に供する模式図であり、(A)は校補正用基準器をX方向にスキャンして得られる測定結果から算出した第1の輝度プロファイルを示し、(B)は第1の輝度プロファイルに基づいて算出した複数の開口のX方向の各中心点位置を示している。 補正データの取得処理の説明に供する模式図であり、(A)は補正処理済みの第2の輝度プロファイルを示し、(B)は第2の輝度プロファイルに基づいて算出した複数の開口のX方向の各中心点位置を示している。 補正データの取得処理の説明に供する模式図であり、(A)は光学式三次元形状測定装置の焦点位置を中心に集光レンズから補正用基準器までの対物距離を変化させた複数の対物距離において得られる測定データの焦点面でのずれ量の様子を示し、(B)は複数の対物距離において得られる測定データの焦点面でのずれ量とその補正量を示めしている。 上記光学的三次元形状測定装置における光学スキャナ装置が測定光をY方向に走査するスキャン光学系を備える1次元スキャナである場合の補正データの取得の様子を模式的に示す斜視図である。 上記補正用基準器の他の例として、円形状の開口を基準形状ユニットとした補正用基準器の構造の説明に供する図であり、(A)は補正用基準器の平面図、(B)は補正用基準器の正面図である。 上記補正用基準器の他の例として、方形形状の開口を基準形状ユニットとした補正用基準器の構造の説明に供する図であり、(A)は基準形状ユニットとした補正用基準器の平面図、(B)は補正用基準器の正面図である。 仮想基準平面を傾斜させた状態に設置された補正用基準器により与えられる基準点位置の説明に供する模式図である。 上記光学スキャナ装置で走査される補正用基準器の他の例として示す所定径の円柱体を基準形状ユニットとした補正用基準器の鳥瞰図である。 上記所定径の円柱体を基準形状ユニットとした補正用基準器をX方向にスキャンして補正データを取得する場合の説明に供する模式図であり、(A)は円柱体の測定データから円フィットして算出した近似円の中心点を示し、(B)は複数の対物距離において得られる円柱体の測定データから算出した各対物距離における円柱体の中心点位置を示している。 形状プロファイルにより基準点位置が算出される長円形状の開口を基準形状ユニットとした補正用基準器の説明に供する図であり、(A)は補正用基準器の平面図、(B)は補正用基準器の正面図である。 上記光学的三次元形状測定装置における光学スキャナ装置が測定光を2方向に走査するスキャン光学系を備える2次元スキャナである場合の補正データの取得の様子を模式的に示す斜視図である。 基板上に所定径の複数の球体を基準形状ユニットとして2次元に配列してなる補正用基準器を示す鳥瞰図である。 上記複数の球体を2次元に配列してなる補正用基準器の構造の説明に供する図であり、(A)は基板の平面図、(B)は、この補正用基準器を分解した状態を模式的に示す側面図、(C)は、この補正用基準器を組み立ててベース基板に取り付けた状態を模式的に示す側面図である。 上記複数の球体を2次元に配列してなる補正用基準器を2次元スキャナでスキャンして得られた三次元形状測定結果を示す図であり、(A)は基板全体の距離画像を示し、(B)は1個の球体の距離画像を示している。 上記複数の球体を2次元に配列してなる補正用基準器を用いて球間距離測定を行う際の設置状態を模式的に示す斜視図であり、(A)は測定空間のXY平面に平行に補正用基準器を設置した状態を示し、(B)は補正用基準器を(A)に示した状態から四隅の一点を中心に対角線上の他の隅側を持ち上げた状態を示し、(C)はさらに側面を持ち上げた状態を示している。 光学スキャナを介して測定対象物に照射される測定光の光軸の傾斜による測定位置の誤差の発生状態を模式的に示す図である。 二次元スキャンの光学スキャナの校正に一般的に使用されている校正用基準器の模式的な平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、例えば図1に示すような構成の光学式三次元形状測定装置100に適用される。
図1は、本発明を適用した光学式三次元形状測定装置100の基本的な構成を示すブロック図である。
この光学的三次元形状測定装置100は、光コム距離計10と、光コム距離計10から出射される測定光S2で測定対象物50を走査する光学スキャナ装置20と、光コム距離計10の出力に基づいて、測定対象物50の複数の計測点までの絶対距離を計測して立体像を得る信号処理装置30を備える。
光コム距離計10は、例えば図2のブロック図に示すように、光周波数コム干渉計を用いて距離を測定するものであって、第1、第2の光コム光源11、12から出射される中心周波数と周波数間隔の異なる二つの光周波数コムをそれぞれ周期的に強度又は位相が変調され、互いに変調周期が異なる干渉性のある基準光S1と測定光S2として干渉光学系13を介してと測定光路15に入射させる測定光S2との干渉光S3を基準光検出器16により検出するとともに、基準光路14と測定光路15に入射させた基準光S1と測定光S2が上記基準光路14と測定光路15を往復して戻ってくる基準光S1’と測定光S2’との干渉光S4を測定光検出器17により検出し、信号処理部18により、上記基準光検出器16により干渉光S3を検出した干渉信号と上記測定光検出器17により干渉光S4を検出した干渉信号の時間差から、光速と測定波長における屈折率から上記基準光S1が往復した基準光路14の距離L1と上記測定光S2が往復した測定光路15の距離L2の差を求めることができる。なお、干渉計や検出器の形態は複数ある。
上記光学スキャナ装置20は、光コム距離計10から出射される測定光S2を測定対象物50の表面にスキャンしながら照射して、表面からの反射光を光コム距離計10に戻すもので、上記光コム距離計10から出射される測定光S2で測定対象物50を走査する走査光学系21と、この走査光学系21により偏向された測定光S2を集光させるとともに測定対象物50に垂直方向から照射させるテレセントリック集光光学系22からなるスキャン光学系23を備えている。
信号処理装置30は、上記光学スキャナ装置20を制御してレーザービームを走査すると同時に上記光コム距離計10が計測する測定対象物50までの距離情報を取得して、ビーム照射位置とその場所まで距離を複数の計測点について蓄積することにより非接触で測定対象物50の三次元形状を測定する。
ここで、この光学的三次元形状測定装置100では、基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニット42が仮想基準平面41上に上記1方向に並列配置されてなる補正用基準器40を用いて補正データを取得する。
すなわち、この光学的三次元形状測定装置100における光学スキャナ装置20は、図3に示すように、測定光S2をX方向に走査するスキャン光学系23Aを備える1次元スキャナである場合、スキャンされた測定光S2が作るシート状の平面25Xと補正用基準器40の仮想基準平面41が垂直になった状態を基準として、上記光コム距離計10から上記補正用基準器40の仮想基準平面41上に少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニット42が上記1方向に並列配置された複数の基準形状ユニット42に照射する測定光S2を上記1方向に走査して、上記複数の基準形状ユニット42の形状測定を行うことにより補正データの取得が行われる。
補正用基準器40としては、例えば、図4の(A)、(B)に示すように、長手方向と直交する幅方向における対辺間の距離dが規定値とされた長円形状の複数の開口42Aが上記複数の基準形状ユニット42として仮想基準平面41上に並列配置されてなる補正用基準器40Aが用いられる。
図4は、上記スキャン光学系23Aで走査される補正用基準器40Aの構造を一例を示す図であり、(A)は補正用基準器40Aの平面図、(B)は補正用基準器40Aの正面図である。
この補正用基準器40Aは、平面度の良い機械加工面や窒化チタン(TiN)がコートされたセラミック基板など、平面度は高いが拡散反射成分を含み、鏡面反射成分の少ない表面を仮想基準平面41とした基板41Aと、上記基板41Aの仮想基準平面41上に並列配置されて形成された長円形状の複数の開口42Aからなる。
この補正用基準器40Aにおいける複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面41上で所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定幅の長円形状の複数の開口42Aであり、上記所定幅dの中心点O位置が上記基準点位置として規定されている。
そして、この光学的三次元形状測定装置100では、上記補正用基準器40Aについて、上記仮想基準平面41における上記複数の開口42Aの幅方向すなわち配列方向をX方向とし、X方向と上記仮想基準平面内で直交する方向をY方向とし、X方向とY方向と直交する方向をZ方向として、三次元形状測定を行い、その測定結果に基づいて補正データを信号処理装置30により取得する。
図5は、この光学的三次元形状測定装置100における補正データの取得処理の手順を示すフローチャートである。
すなわち、信号処理装置30は、光学スキャナ装置20のスキャン光学系23Aにより、上記補正用基準器40Aに照射する測定光S2をX方向に走査して、仮想基準平面41上の複数の開口42Aの三次元形状測定を行い(ステップST1)、この三次元形状測定によりX方向にスキャンして、測定結果として得られる距離画像の輝度情報に基づいて第1の輝度プロファイルを算出し(ステップST2)、算出した第1の輝度プロファイルに基づいて、上記複数の開口42AのX方向の各中心点位置x’を算出し(ステップST3)、上記複数の開口42AのX方向における上記対辺間の距離dの規定値から算出される各中心点位置xと、上記第1の輝度プロファイルに基づいて算出した各中心点位置x’との差分dx(dx=x-x’)から、X方向の第1のゆがみ補正用近似式を算出する(ステップST4)。
ここで、ステップST2では、上記補正用基準器40Aのこの三次元形状測定による測定結果として得られる距離画像の輝度情報に基づいて、例えば図6の(A)に示すように、基板41Aの表面の仮想基準平面41に相当する高輝度領域と仮想基準平面41上の複数の開口42Aに相当する低輝度領域とが明確に分かれて示される第1の輝度プロファイルを算出する。ここで、図6の(A)の横軸は距離画像のX方向のピクセル位置であり、縦軸は輝度を示している。ステップST3では、この第1の輝度プロファイルに基づいて、例えば図6の(B)に示すように、各高輝度領域の中心点位置をピーク値とし、各低輝度領域の中心点位置をピーク値として示す輝度の特徴抽出により、上記低輝度領域の中心点位置として上記複数の開口42AのX方向の各中心点位置x’を算出する。
なお、図6の(A)、(B)の横軸は距離画像のX方向のピクセル位置を示し、縦軸は距離画像の輝度を示している。
ステップST4では、例えば、次の近似式の補正係数a~a、b~bを最小誤差二乗法などにより決定する。
dx=(a・z+b)・x+(a・z+b)・x
+(a・z+b)・x+(a・z+b
そして、上記第1の輝度プロファイルの画像について、上記ステップST4において算出された上記X方向の第1のゆがみ補正用近似式を用いて、X方向のゆがみ補正を行い(ステップST5)、ゆがみ補正済の例えば図7の(A)に示すような第2の輝度プロファイルを算出し、X方向のゆがみ補正済みの第2の輝度プロファイルに基づいて、例えば図7の(B)に示すように上記複数の開口42AのX方向の各中心点位置を算出し(ステップST6)、上記算出される各中心点位置と、上記ゆがみ補正済みの輝度プロファイルに基づいて算出した各中心点位置との差分から、上記第1のゆがみ補正用近似式を修正したX方向の第2のゆがみ補正用近似式を算出して(ステップST7)、
dx=(a’・z+b’)・x+(a’・z+b)・x
+(a’・z+b’)・x+(a’・z+b’)
上記X方向の第2のゆがみ補正用近似式を、上記複数の開口42AをX方向にスキャンした上記補正用基準器40AのZ方向の高さ位置(Zn)におけるX方向のゆがみ補正用近似式Fznとして決定する(ステップST8)。
上記補正用基準器40AのZ方向の高さ位置(Zn)は、上記光学的三次元形状測定装置100による三次元形状測定により、仮想基準平面41すなわち基板41Aの表面までの距離として得ることができる。
そして、上記三次元形状測定装置100の焦点位置を中心に集光レンズから上記補正用基準器40Aまでの対物距離Zを変化させて、複数の対物距離において、上記光学スキャナ装置20のスキャン光学系23Aにより、上記補正用基準器40Aに照射する測定光S2をX方向に走査して、仮想基準平面41上の複数の開口42Aの三次元形状測定を行い、信号処理装置30では、上記ステップST1~ステップST8の処理により、図8に示すように、上記補正用基準器40AのZ方向の各高さ位置(Zn)におけるX方向のゆがみ補正用近似式Fznを得ることができる。
ここで、図8は、補正データの取得処理の説明に供する図であり、(A)は、光学式三次元形状測定装置100の焦点位置を中心に集光レンズから補正用基準器40Aまでの対物距離を変化させた複数の対物距離Z、Z、Z、Zにおいて得られる測定データの焦点面での仮想基準平面41上のX方向に並列配置された複数の開口42Aの各中心点位置X、X、・・・Xに対するずれ量Diff11、Diff12、Diff13、・・・、Diff44、Diff45を示す模式図であり、(B)は、複数の対物距離において得られる測定データの焦点面でのずれ量を補正するための補正量を示す模式図である。
すなわち、光学的三次元形状測定装置100における補正データの取得処理では、対物距離Zにおいて得られる測定結果から算出されたプロファイルに基づいて、対物距離Zにおいて得られる測定データの焦点面での仮想基準平面41上のX方向に並列配置された複数の開口42Aの各中心点位置X、X、・・・Xに対するずれ量Diff11、Diff12、Diff13、Diff14、Diff15を補正する補正データを得るためのZ方向の高さ位置ZにおけるX方向のゆがみ補正用近似式Fz1を決定する。
以下同様に、対物距離Zにおいて得られる測定結果から算出されたプロファイルに基づいて、対物距離Zにおけるずれ量Diff21、Diff22、Diff23、Diff24、Diff25を補正するX方向のゆがみ補正用近似式Fz2を決定する。
対物距離Zにおいて得られる測定結果から算出されたプロファイルに基づいて、対物距離Zにおけるずれ量Diff31、Diff32、Diff33、Diff34、Diff35を補正するX方向のゆがみ補正用近似式Fz3を決定する。
対物距離Zにおいて得られる測定結果から算出されたプロファイルに基づいて、対物距離Zにおけるずれ量Diff41、Diff42、Diff43、Diff44、Diff45を補正するX方向のゆがみ補正用近似式Fz4を決定する。
ここでは、例えばZステージに載置した補正用基準器40Aの設置高さ位置を変えてZ方向に平行移動させることにより対物距離を変化させるものとすることができる。なお、上記対物距離は、光学式三次元形状測定装置100の集光レンズから補正用基準器40Aまでの距離であるから、集光レンズを移動させることにより、変化させるようにしてもよい。
また、上記補正用基準器40Aは、平面度の良い機械加工面や窒化チタン(TiN)がコートされたセラミック基板など、平面度は高いが拡散反射成分を含み、鏡面反射成分の少ない表面を仮想基準平面41とした基板41Aと、上記基板41Aの仮想基準平面41上に並列配置されて形成された長円形状の複数の開口42Aからなるものとし、光学式三次元形状測定装置100で上記長円形状の複数の開口42Aについて三次元形状測定を行うことにより得られる輝度プロファイルに基づいて、補正データを得るためのX方向のゆがみ補正用近似式を決定するようにしたが、例えば、平坦なガラス板に複数の基準線が所定間隔で平行に描かれているような補正用基準器を用いるようにして、光学式三次元形状測定装置100で測定して得られる上記複数の基準線のパターンの輝度プロファイルに基づいて、補正データを得るためのX方向のゆがみ補正用近似式を決定するようにしてもよい。
ここで、図9に示すように、光学的三次元形状測定装置100における光学スキャナ装置20が測定光S2をY方向に走査するスキャン光学系23Aを備える1次元スキャナである場合には、スキャンされた測定光S2が作るシート状の平面25Yと補正用基準器40Aの仮想基準平面41すなわち基板41Aの表面が垂直になった状態を基準として、上記補正用基準器40をZ軸廻りに90°向きを変えた姿勢で三次元形状測定を行うことにより、各対物距離におけるY方向の中心点位置の補正データの近似式を決定することができる。
また、上記補正用基準器40Aに替えて、例えば、図10や図11に示すように、平面度は高いが拡散反射成分を含み、鏡面反射成分の少ない表面を仮想基準平面41とした基板41B、41Cの表面を仮想基準平面41とし、仮想基準平面41上に所定間隔で上記1方向に並列配置され、中心点O位置が上記基準点位置として規定された円形状の複数の開口42B又は正方形状の複数の開口42Cである補正用基準器40B、40Cを用いるようにしても、光学式三次元形状測定装置100で測定して得られる複数の開口42B、42Cのパターンの輝度プロファイルに基づいて、補正データを得るためのX方向のゆがみ補正用近似式を同じ手法で決定することができる。
図10は、補正用基準器40の構造を他の例を示す図であり、(A)は所定径dの円形状の開口42Bを基準形状ユニットとした補正用基準器40Bの平面図、(B)は補正用基準器40Bの正面図である。
また、図11は、上記補正用基準器の構造を他の例を示す図であり、(A)は1辺の長さdとした方形形状の開口42Cを基準形状ユニットとした補正用基準器40の平面図、(B)は補正用基準器の正面図である。
また、上記補正用基準器40Aは、例えば図12に示すように、Y軸周りに回転させて、仮想基準平面41すなわち基板41Aの表面を傾斜させた状態に設置されることにより、設置角度θに応じて3次元空間における基準点位置すなわち各開口42Aの中心点O位置を移動させることができ、例えば設置角度θを45度とした場合には、上記仮想基準平面41上で所定幅dの長円形状の複数の開口42AがX方向に互いに平行な直線上に並列配置された所定間隔Tに対して、X軸方向にT/√2の座標間隔でX座標位置X,X,X,・・・X、Z軸方向にT/√2の座標間隔でZ座標位置Z,Z,Z,・・・Zの位置に各開口42Aの中心点Oを位置させて、XZ平面において基準点位置を与えることができる。また、上記補正用基準器40Aは、図10に示した状態から更にZ軸周りに90度回転させることにより、YZ平面において基準点位置を与えることができる。
また、補正用基準器40における基準形状ユニットは、図13に示す補正用基準器40Dのように所定径dの円柱体42Dであってもよい。
この所定径dの複数の形円柱体42Dを基準形状ユニットとして備える補正用基準器40Dでは、対辺間の距離が所定径dの規定値とされていることにより、上記補正用基準器40Aと同様に、光学式三次元形状測定装置100で測定して得られる複数の円柱体42Dの輝度プロファイルに基づいて、補正データを得るためのX方向のゆがみ補正用近似式を同じ手法で決定することができるが、図14の(A)に示すように、三次元形状測定により得られる距離画像に基づいて、複数の円柱体42Dの形状プロファイルを算出し、円フィットして得られる近似円の中心点位置を算出し、対物距離を変えて三次元形状測定を行って得られた各距離画像に基づいて算出された各高さ位置における中心点位置が、図14の(B)に示すように、鉛直に並ぶように補正する補正データを得るためのゆがみ補正用近似式を算出することにより、開口の中心点を求めるようも円の中心点の方が高精度に求まり、簡便な補正式やルックアップテーブルを作成して補正データを得ることができる。
この場合、上記光学的三次元形状測定装置100の信号処理装置30は、図5のフローチャートに示した処理手順にしたがって補正データの取得処理を行う際に開口の輝度プロファイルではなく、複数の円柱体42Dの形状プロファイルから中心点位置を算出して、補正データを得るためのゆがみ補正用近似式を決定する。
なお、基準形状ユニットとして開口を備える補正用基準器であっても、例えば、図15に示す基準形状ユニット40A’ように、基板41Aに形成した開口42Aの中心点O位置を基板41Aの厚みの中間点を含む仮想基準平面41上の基準点位置として規定しておくことにより、距離画像に基づいて、長円形状の開口の輝度プロファイルではなく、複数の長円柱体形状の開口の形状プロファイルから中心点位置を算出して、補正データを得るためのゆがみ補正用近似式を決定することもできる。
すなわち、長円形状の開口42A、円形状又は正方形状の開口42B、42Cでも物理的に加工がされていれば段差があるため高さの形状プロファイルから開口の中心点を抽出することができる。また開口部と周辺部で反射強度も異なるため光強度すなわち輝度のプロファイルから中心点位置を抽出することができる。
また、上記光学的三次元形状測定装置100における光学スキャナ装置20は、図16に示すように、測定光S2を2方向に走査するスキャン光学系23Bを備える2次元スキャナである場合、X軸方向にスキャンされた測定光S2が作るシート状の平面25X及びY軸方向にスキャンされた測定光S2が作るシート状の平面25Yと補正用基準器40の仮想基準平面41が垂直になった状態を基準として、上記光コム距離計10から上記補正用基準器40の仮想基準平面41に照射する測定光S2を走査して、上記仮想基準平面41の形状測定を行うことにより補正データの取得が行われる。
この場合、補正用基準器40として、先に説明した上記補正用基準器40A~40Dを用いる場合には、補正用基準器を90°向きを変えた姿勢で三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、各対物距離におけるX方向の中心点位置とY方向の中心点位置の補正データの近似式を決定することになるが、図16に示すように、複数の基準形状ユニットを2次配列してなる補正用基準器40の設置高さ位置を変えて平行移動させることにより記対物距離を変化させて、各高さ位置における2次元方向のゆがみ補正用近似式を決定することができる。
上記複数の基準形状ユニットを2次配列してなる補正用基準器40としては、図10に示した補正用基準器40Bの基準形状ユニットすなわち円形状の開口42Bや、図11に示した補正用基準器40Cの基準形状ユニットすなわち正方形状の開口42Bを二次元方向に所定間隔で並列配置したものや、所定径の球体を二次元方向に所定間隔で並列配置したもの、あるいは、複数の基準形状ユニットとして仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された格子点位置が上記基準点位置として規定され複数の十形状線が平坦なガラス板に描かれているもの等が用いられ、基準形状ユニットの三次元形状測定を行って得られる距離画像から算出される輝度プロファイルあるいは形状プロファイルに基づいて、各高さ位置における2次元方向のゆがみ補正用近似式が決定される。
また、上記測定光S2を2方向に走査するスキャン光学系23Bを備える三次元形状測定装置100における光学スキャナ装置20の補正には、例えば図17の鳥瞰図に示すような構造の基板110上に複数の球体すなわち検査球120を2次元に配列してなる補正用基準器140を使用することができる。
この補正用基準器140は、縦(40mm)×横(40mm)×高さ(30mm)の三次元空間を計測範囲とする三次元形状測定装置100の補正に使用するものとして設計したもので、縦(6個)×横(6個)で36個の検査球120が格子点位置に配置固定される縦(60mm)×横(60mm)×高さ(15mm)の基板110を球固定ブロックとして備える。
図18は、補正用基準器140の構造の説明に供する図であり、(A)は基板120の平面図、(B)は、この補正用基準器140を分解した状態模式的に示す側面図、(C)は、この補正用基準器140を組み立ててベース基板150に取り付けた状態を模式的に示す側面図である。
この補正用基準器140における複数の検査球120は、図18の(B)に示すように、 それぞれ所定の直径Dに真球加工され、上記D直径より短い深さのねじ穴121と有するステンレス鋼球又は炭素鋼球からなり、表面に窒化チタン膜が成膜されている。
上記基板110は、熱膨張係数がJIS規格に規定された範囲に入っている鉄、SUSなどの材料からなる。
上記基板120は、図18の(A)、(B)の平面図に示すように、36個の検査球120が配置固定される格子点位置に上記ねじ穴121に螺合する螺子130が貫通される貫通孔111が形成され、貫通孔111の上部で検査球110と接する面に面取り加工が施されている。
上記複数の検査球120は、上記基板110に2次元配列され、それぞれ上記基板110の面取り加工部112に接触した状態で該基板110の裏側から螺子130により固定されている。
上記複数の検査球120は、面取り加工部112の内側で半球面と面取り加工面が接触して位置が安定する状態で上記基板110に螺子止めされる。
ここでは、螺子130により検査球120を基板110の裏側から面取り加工部112の中心方向に引っ張るような形になるので、スプリングワッシャ131付きの螺子130を使って一定の力で検査球120を基板110に押し付ける力が働くようにしている。
このようにして上記複数の検査球120が基板110上に配置固定することにより組み立てられた補正用基準器140は、上記複数の検査球110の各中心座標、球間距離、真球度又は直径の少なくとも1つが規定された状態でベース基板150に取り付けられる。
この補正用基準器140は、基板110の3箇所に設けられた取り付け穴115A、115B、115Cを介して高さ調整螺子160によりにより、基板110が3点支持された状態で姿勢調整自在に取り付けられ、支持フレーム170を介してベース基板150に螺子止めされる。
図19は、この補正用基準器140を2次元スキャナでスキャンして得られた三次元形状測定結果を示す図であり、(A)は基板110全体の距離画像を示し、(B)は1個の球体すなわち検査球120の距離画像を示している。
上記複数の検査球120は、各中心座標、球間距離、真球度又は直径の少なくとも1つが規定値として既知あることにより、既定値から各中心点位置を算出することができ、図16に示す測定光S2を2方向に走査するスキャン光学系23Bを備える光学的三次元形状測定装置100では、三次元形状測定して得られる複数の検査球120の距離画像に基づいて、複数の検査球120の形状プロファイルを算出し、球フィットして得られる近似球の中心点位置を算出し、上記既定値から算出される各中心点位置と、形状プロファイルに基づいて算出した各中心点位置との差分から、ゆがみ補正用近似式を算出することができる。
なお、上記補正用基準器40、40A、40A’、40B、40C、40D、140は、三次元空間を計測範囲とする三次元形状測定装置100について補正データを取得するものとして、少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニットが仮想基準平面上に上記1方向に所定間隔で並列配置されてなるものであるが、基準形状ユニットの基準点位置を規定するための規定値が予め校正されているものであれば、校正用用基準器として使用することができる。
ここで、JIS規格では、点群測定によって単一方向法で測定する場合として、PD:プロービング方向、GAS:最小二乗当てはめ球、PC:点群、CGAS1:最小二乗当てはめ球中心1、CGAS2:最小二乗当てはめ球中心2を規定し、ボールプレート又がボールバーなど球面の測定面をもつ寸法検査標準器の単一方向測定は、点群による球の測定及び、最小二乗当てはめによる中心間距離の決定を含む。検査対象のそれぞれの測定線に関して、短い寸法検査用標準は計15回、双方向法で測定しなければならないと本文に図B.3を参照して規定されている。
しかしながら、上記補正用基準器100では、点群による球の測定を 双方向法で行うことができないので、付属書JDに規定されている球間距離測定誤差の検査の手法を採用する。
すなわち、付属書JDの図JD.1-球による検査用標準器では、DP:検査用標準器の球直径、LP:検査用標準器の球直径として、最小二乗球への当てはめを行い、球間距離誤差ES.JISを決定するようにしている。すなわち、それぞれの球の中心位置を最小二乗球から決定し、球間距離Lmeasを測定した球の中心間距離として算出し、算出した測定値Lmeasと校正値Lcalとの差(Lmeas-Lcal)を球間距離誤差ES.JISとする。
また、JIS規格では、座標測定機の測定空間において、七つの異なる位置(位置及び方向)に、五つの異なる検査用の長さを設置し、各々の長さを3回ずつ測定し、合計105回の測定を実施しなければならないと本文に規定されている。そして、図7-検査用標準器の位置として、必須の四つ方向の位置(1~4)及び方向は空間の対角方向とされ、残りの三つの既定の位置(6~7)は座標系の各軸に沿った位置とされている。
さらに、JIS規格では、検査用標準球の直径の既定値は10mm以上51mm以下でなければならない。検査用標準球の直径がセンサエリアの範囲と比較して大幅に小さい場合、取得できる測定点の数が不十分となることがあり,センサの測定値のひずみを正しく評価できないことがある。検査用標準球、での測定範囲がセンサエリアの範囲の66%よりも小さい場合、プロービング性能検査用標準平面を測定しなければならない。製造業者と使用者の合意の基に、プロービング性能検査用標準平面の代わりに直径が51mmを超える球を用いてもよい。プロービング性能検査用標準平面又は大直径の検査用標準球上での測定範囲はセンサエリアの範囲の66%以上でなければならないと本文に規定されている。
この補正用基準器140は、上述の如く、縦(40mm)×横(40mm)×高さ(30mm)の三次元空間を計測範囲とする三次元形状測定装置100の補正に使用するものとして設計したもので、例えば、横(X)方向と縦(Y)方向の検査範囲それぞれ40mmの66%の長さが26.4mmであるから、JIS規格で図7-検査用標準器の位置として規定された必須の7方向の内の5番に相当する横(X)軸方向と6番に相当する縦(Y)軸方向に最大長さが26.4mm以上40mm以下で5つの異なる検査用長さ与えるように、それぞれ6個の検査球120が基板110上に配列設置される。
また、対角方向の検査範囲の長さ64.0mmの66%の長さは42.3mmであるから、最大長さが42.3mm以上64.0mm以下として、JIS規格で図7-検査用標準器の位置として規定された必須の7方向の内の1番から4番に相当する対角方向に五つの異なる検査用長さを与えるように、6個の検査球120が基板110上に配列設置される。
なお、 検査球120は直線上にほぼ等間隔に配置してもよく、直線上になくても直線と並行にオフセットさせた位置に複数の検査球120を配置して検査用長さを設置することもできる。
ここで、この補正用基準器140は、JIS規格で図7-検査用標準器の位置として規定された必須の7方向の内の7番の高さ(Z)軸方向に五つの異なる検査用長さを与えることはできないので、ブロックゲージを使用するものとする。
そして、上述の如く、点群による球の測定を双方向法で行うことができない、この三次元形状測定装置100において採用した付属書JDに規定されている球間距離測定誤差の検査では、球間距離測定誤差ES.JISの評価は,全測定領域又は非直交形座標測定機の場合には附属書JCに記載の検査測定範囲において、球面による検査用標準器を七つの位置及び姿勢で測定して行う規定され、付属書JDの図JD.2に示された球面による検査用標準器の配置及び姿勢が推奨されている。球面による検査用標準器のそれぞれの球表面で座標値を取得し評価する点数の合計は25点以上であるが、最大点数は制限しないとされ、使用する球面による検査用標準器の球間距離LPが使用する測定機の各辺における測定可能な最大長さの66%に満たない場合は、付属書JDの図JD.3に示されるように、球面による検査用標準器を姿勢変化なく移動させ、各辺の長さの66%以上となる領域内で数回に分けて測定を行うとされ、このとき、1回の距離は、使用する球面による検査用標準器の球間距離LPを超えないように設定するとされている。
そして、この補正用基準器140は、上述の如く、JIS規格で図7-検査用標準器の位置として規定された必須の7方向の内の1番から4番に相当する対角方向に最大長さが42.3mm以上64.0mm以下で5つの異なる検査用長さ与えるように、それぞれ6個の検査球120が基板110上に配列設置され、5番に相当する横(X)軸方向と6番に相当する縦(Y)軸方向に最大長さが26.4mm以上40mm以下で5つの異なる検査用長さを与えるように、それぞれ6個の検査球120が基板110上に配列設置されているので、図20の(A)に示すように、測定空間のXY平面に平行に設置することにより、JIS規格の本文に規定された5番(横(X)軸)方向と6番(縦(Y)軸)方向における長さの測定に用いることができるばかりでなく、付属書JDに規定された2番(横(Y)軸)方向と3番(奥行き(Y)軸)方向における長さの測定に用いることができる。
また、この補正用基準器140は、図20の(B)に示すように、上記図20の(A)に示した状態から、四隅の一点を中心に対角線上の他の隅側を持ち上げることにより、JIS規格の本文に規定されたJIS規格で図7-検査用標準器の位置として規定された必須の7方向の内の1番~4番(対角線軸)方向における長さの測定に用いることができるとともに、付属書JDに規定された付属書JDの図JD.2に示された空間対角の例えば7番(B-H)方向における長さの測定に用いることができる。なお、この測定には、側面の持ち上げとZ軸回りの回転を組み合わせてもよい。
さらに、この補正用基準器140は、図20の(C)に示すように、側面を持ち上げることにより、付属書JDに規定された付属書JDの図JD.2に示された空間対角の例えば4番、5番、6番の空間対角方向における長さの測定に用いることができる。
補正用基準器140に備えられた表面に窒化チタン膜が成膜されたステンレス鋼球からなる検査球120では、三次元形状測定装置100から照射された測定光が検査球表面で適度に拡散され、戻り光の光強度が検査球120の中央領域に対し周辺領域で低下するもののノイズの影響などを受けにくく、三次元形状測定を適正に行うことができた。
上記補正用基準器140では、鋼球中心座標を算出できる範囲でなるべく密に検査球120を配置することにより、基準座標点を増やして補正用のデータとしての信頼性を上げることができる。
ただし、検査球120の直径Dが小さすぎると球上面の計測データ数が減少して球面フィットの精度が低下するため好ましくない、検査球120の直径Dは、およそ4mm程度から6.5mm程度が好ましい。
また、検査球120は、校正対象とする誤差の空間周波数・周期よりも細かく配置することが望ましい。
検査球120の直径Dは、40mm×40mmをスキャンする一般的な光学系(レンズ、反射鏡)による座標誤差を補正する場合、10mm以下の値を選択すれば大部分の校正に対応できる。
上記補正用基準器140は、JIS規格検査で使用する区間だけ球間距離を選定して設定するように構成しても良い。
上記補正用基準器140は、複数の検査球120の各中心座標、球間距離、真球度又は直径の少なくとも1つが既知、例えば、設計値又は公称値あるいは校正値が明らかになっていることにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置100の空間測定誤差を高精度に検出することができ、JIS B 7440-8に準拠した長さ測定誤差検査器として使用することができ、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置の空間測定誤差を検出することができる。
また、光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置を補正するに当たり、被補正光学式三次元形状測定装置100により、補正用基準器140を測定対象物として複数の高さ位置に置いて、三次元形状測定を行い、各高さ位置における測定結果として得られる複数の検査球120の各中心座標、球間距離、真球度又は直径の情報と予め校正されている上記複数の検査球の各中心座標、球間距離、真球度又は直径の情報との少なくとも1つの差分を上記被補正光学式三次元形状測定装置100の空間測定誤差として検出して補正データを取得することができる。
また、補正用基準器140を用いた補正方法により補正データが取得された光学式三次元形状測定装置100は、測定対象物に照射する測定光を走査する光学系の歪みを補正する補正処理手段を備えることにより、測定光を測定対象物に照射する走査光学系の歪みによる影響を除去して誤差の少ない三次元形状測定を行うことができる。
さらに、補正済みの光学式三次元形状測定装置100を被検査光学式三次元形状測定装置として、補正データの取得に用いた補正用基準器140とは別の校正済みの補正用基準器を測定対象物として三次元形状測定を行い、測定結果として得られる複数の検査球120の各中心座標、球間距離、真球度又は直径の情報と予め校正されている上記複数の検査球120の各中心座標、球間距離、真球度又は直径の情報との少なくとも1つの差分を検出することで、上記補正済みの光学式三次元形状測定装置100の空間測定誤差を校正することができる。
1 光コム距離計、11、12 第1、第2の光コム光源、13 干渉光学系、14 基準光路、15 測定光路、16 基準光検出器、17 測定光検出器、18 信号処理部、20 光学スキャナ装置、21 走査光学系、22 テレセントリック集光光学系、23、23A、23B スキャン光学系、25X、25Y シート状の平面、30 信号処理装置、40、40A、40A’、40B、40C、40D、140 補正用基準器、41 仮想基準平面、41A、41B、41C 基板、42 基準形状ユニット、42A、42B、42C 開口、42D 円柱体、50 測定対象物、100 光学的三次元形状測定装置、110、110A 基板、111 貫通孔、112 面取り部、115A、115B、115C 取り付け穴、120、120A、120B、120C 検査球、121 ねじ穴、130 螺子、131 スプリングワッシャ、150 ベース基板、160 高さ調整螺子、170 支持フレーム

Claims (23)

  1. 光コム距離計から測定対象物に照射する測定光を走査することにより、非接触で物体の三次元形状を測定する光学式三次元形状測定装置の補正方法であって、
    少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニットが仮想基準平面上に上記1方向に所定間隔で並列配置されてなる補正用基準器について、
    上記仮想基準平面における上記複数の基準形状ユニットの配列方向をX方向とし、X方向と上記仮想基準平面内で直交する方向をY方向とし、X方向とY方向と直交する方向をZ方向として、
    被補正光学式三次元形状測定装置により上記補正用基準器の設置姿勢を変えて上記所定形状の複数の基準形状ユニットの三次元形状測定を行い、
    上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向にスキャンして得られる測定結果について、上記複数の基準形状ユニットのプロファイルを算出し、
    上記プロファイルに基づいて、上記複数の基準形状ユニットのX方向の各基準点位置を算出し、
    上記補正用基準器の各基準形状ユニットのX方向における上記規定された各基準点位置と、上記プロファイルに基づいて算出した各基準点位置との差分から、X方向の第1のゆがみ補正用近似式を算出し、
    上記複数の基準形状ユニットの形状を示すプロファイルについて、上記X方向の第1のゆがみ補正用近似式を用いてX方向のゆがみ補正を行い、
    X方向のゆがみ補正済みのプロファイルに基づいて、上記複数の基準形状ユニットの各基準点位置を算出し、
    上記補正用基準器の各基準形状ユニットのX方向における上記規定された各基準点位置と、上記X方向のゆがみ補正済みのプロファイルに基づいて算出した各基準点位置との差分から、上記X方向の第1のゆがみ補正用近似式を修正したX方向の第2のゆがみ補正用近似式を算出し、
    上記X方向の第2のゆがみ補正用近似式を、上記複数の基準形状ユニットをX方向にスキャンした上記補正用基準器のZ方向の高さ位置におけるX方向のゆがみ補正用近似式として決定することを特徴とする光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  2. 上記補正用基準器の設置高さ位置を変えてZ方向に平行移動させることにより対物距離を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  3. 上記補正用基準器をX方向の軸周りに所定角度傾斜させた姿勢で被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、上記被補正光学式三次元形状測定装置の補正データの近似式を決定することを特徴とする請求項1に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  4. 上記補正用基準器をY方向の軸周りに所定角度傾斜させた姿勢で被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、上記被補正光学式三次元形状測定装置の補正データの近似式を決定することを特徴とする請求項1に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  5. 上記補正用基準器の四隅の1つを支点として対角方向の他隅側を所定角度上昇又は降下させた姿勢で被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、上記被補正光学式三次元形状測定装置の補正データの近似式を決定することを特徴とする請求項1に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  6. 上記補正用基準器をX方又はY方向の軸周りに傾斜させた状態でさらに該補正用基準器の中心を通るZ方向の軸周りに所定角度回転させた姿勢で、被補正光学式三次元形状測定装置により三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、各対物距離におけるX方向の基準点位置とY方向の基準点位置の補正データの近似式を決定することを特徴とする請求項1に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  7. 上記補正用基準器の複数の基準形状ユニットは、少なくとも1方向における対辺間の距離が規定値とされた所定形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  8. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上で所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定幅の長円形状の複数の開口であり、上記所定幅の中心点位置が上記基準点位置として規定されていることを特徴とする請求項7に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  9. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で上記1方向に並列配置され、中心点位置が上記基準点位置として規定された円形状又は正方形状の複数の開口であることを特徴とする請求項7に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  10. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定径の複数の円柱体であり、上記所定径の中心点位置が上記基準点位置として規定されていることを特徴とする請求項7に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  11. 被補正光学式三次元形状測定装置の焦点位置を中心に集光レンズから上記補正用基準器までの対物距離を変化させて、複数の対物距離において、上記補正用基準器を90°向きを変えた姿勢で三次元形状測定を行って得られる測定結果に基づいて、各対物距離におけるX方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  12. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置され、中心点位置が上記基準点位置として規定された円形状又は正方形状の複数の開口であり、
    上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向とY方向に2次元スキャンして得られる測定結果について、X方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  13. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された格子点位置が上記基準点位置として規定され複数の十形状線であり、
    上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向とY方向に2次元スキャンして得られる測定結果について、X方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  14. 上記複数の基準形状ユニットのプロファイルとして輝度プロファイルを算出し、輝度プロファイルに基づいて上記複数の基準形状ユニットの各基準点位置を算出することを特徴とする請求項7乃至請求項13の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  15. 上記基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された複数の所定径の球体であり、
    上記被補正光学式三次元形状測定装置により、上記複数の基準形状ユニットをX方向とY方向に2次元スキャンして得られる測定結果について、X方向とY方向のゆがみ補正用近似式を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  16. 上記複数の基準形状ユニットの形状を示すプロファイルとして三次元の形状プロファイルを算出し、形状プロファイルに基づいて上記複数の基準形状ユニットの各中心点位置を算出することを特徴とする請求項7乃至請求項12あるいは請求項15の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法。
  17. 少なくとも1方向における基準点位置が規定された所定形状の複数の基準形状ユニットが仮想基準平面上に上記1方向に所定間隔で並列配置されてなることを特徴とする光学式三次元形状測定装置の補正用基準器。
  18. 上記複数の基準形状ユニットは、少なくとも1方向における対辺間の距離が規定値とされた所定形状を有することを特徴とする請求項17に記載の光学式三次元形状測定装置の補正用基準器。
  19. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上で所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定幅の長円形状の複数の開口であり、上記所定幅の中心点位置が上記基準点位置として規定されていることを特徴とする請求項18に記載の光学式三次元形状測定装置の補正用基準器。
  20. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で少なくとも上記1方向に並列配置され、中心点位置が上記基準点位置として規定された円形状又は正方形状の複数の開口であることを特徴とする請求項18に記載の光学式三次元形状測定装置の補正用基準器。
  21. 上記複数の基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上に所定間隔で互いに平行な直線上に並列配置された所定径の複数の円柱体であり、上記所定径の中心点位置が上記基準点位置として規定されていることを特徴とする請求項18に記載の光学式三次元形状測定装置の補正用基準器。
  22. 上記基準形状ユニットは、上記仮想基準平面上の二次元方向に所定間隔で並列配置された複数の所定径の球体であることを特徴とする請求項18に記載の光学式三次元形状測定装置の補正用基準器。
  23. 請求項1乃至請求項16の何れか1項に記載の光学式三次元形状測定装置の補正方法により決定された近似式による補正データ基づいて、測定データに補正処理を施す補正処理手段を備えることを特徴とする光学式三次元形状測定装置。
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