本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された鉄筋結束機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書及び/又は請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、鉄筋の周りにワイヤを送り出し、前記ワイヤの先端近傍を把持し、前記ワイヤを引き戻し、前記ワイヤを切断する巻回工程と、前記ワイヤを捩る捩り工程を実行可能であってもよい。前記鉄筋結束機は、ユーザから前記鉄筋の結束を指示された時に、前記巻回工程を複数回行った後に、前記捩り工程を行う、複数回巻回方式の結束動作を実行可能であってもよい。
上記の構成によれば、巻回工程において、鉄筋の周りにワイヤを送り出した後に、ワイヤの引き戻しを行ったうえで、ワイヤを切断しているので、鉄筋の周りに巻回されたワイヤの巻回径を小さなものとすることができる。この場合、捩り工程において、小さな巻回径で巻回されたワイヤを捩ることになるので、ワイヤの捩れ部分が不均等になりにくく、捩り工程を終了した時のワイヤの結束力にばらつきが生じることを抑制することができる。また、1度の結束作業において消費するワイヤの量を少なくすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機は、前記ユーザから前記鉄筋の結束を指示された時に、前記巻回工程を1回行った後に、前記捩り工程を行う、1回巻回方式の結束動作も実行可能であってもよい。
上記の構成によれば、状況に応じて、鉄筋の周りにワイヤを1周巻回して捩ることもできるし、鉄筋の周りにワイヤを複数周巻回して捩ることもできる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機では、前記巻回工程を1回行うと、前記鉄筋の周りに前記ワイヤが1周巻回されてもよい。
仮に、鉄筋の周りにワイヤを複数周送り出してから、ワイヤの引き戻しと切断を行う構成とした場合、ワイヤの巻回径が不均等になるおそれがある。上記の構成によれば、鉄筋の周りにワイヤを1周送り出すごとに、ワイヤの引き戻しと切断を行うので、ワイヤの巻回径を均等にすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機では、前記ユーザが、前記捩り工程における前記ワイヤの結束力を設定可能であってもよい。前記巻回工程を行う回数が、設定された前記結束力に応じて決定されてもよい。
ワイヤの結束力を強くする場合、それだけワイヤの巻回数を多くする必要がある。上記の構成によれば、ユーザが設定した結束力に応じて、ワイヤの巻回数を自動的に決定することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機では、前記ユーザが、前記巻回工程における前記ワイヤの巻回数を設定可能であってもよい。前記巻回工程を行う回数が、設定された前記巻回数に応じて決定されてもよい。
上記の構成によれば、ユーザが望む巻回数でワイヤを巻回することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機は、前記ワイヤを切断する切断機構と、前記切断機構を駆動するモータを備えていてもよい。前記鉄筋結束機は、前記巻回工程において、前記モータの負荷に基づいて、前記ワイヤが切断されたか否かを判断してもよい。
上記の構成では、切断機構がワイヤを切断する際に、モータの負荷が増大し、切断機構がワイヤを切断した後は、モータの負荷が低減する。上記の構成によれば、このようなモータの負荷の変動に着目して、ワイヤの切断を検出するので、ワイヤの切断を検出するための特別なセンサを用いることなく、ワイヤが切断されたか否かを判断することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機は、前記巻回工程において、前記モータの回転速度または前記モータを流れる電流が所定の条件を満たす場合に、前記ワイヤが切断されたと判断してもよい。
モータの負荷が増大すると、モータの回転速度は低減し、モータを流れる電流は増大する。上記の構成によれば、モータの回転速度を検出するホールセンサや、モータを流れる電流を検出する電流検出回路を利用して、ワイヤが切断されたか否かを判断することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、鉄筋の周りにワイヤを送り出す送り機構と、前記ワイヤを捩る捩り機構と、前記送り機構および前記捩り機構の動作を制御する制御部と、ユーザが前記ワイヤの結束力を設定する設定部を備えていてもよい。前記制御部は、設定された前記結束力に応じて、前記ワイヤの巻回数を決定してもよい。
ワイヤの結束力を強くする場合、それだけワイヤの巻回数を多くする必要がある。上記の構成によれば、ユーザが設定した結束力に応じて、ワイヤの巻回数を自動的に決定することができる。
(実施例)
図1に示すように、鉄筋結束機2は、複数の鉄筋RをワイヤWで結束する鉄筋結束機である。例えば、鉄筋結束機2は、直径が16mm以下の細径の鉄筋Rや、直径が16mmよりも大きい(例えば直径が25mmまたは32mmの)太径の鉄筋RをワイヤWで結束する。ワイヤWの直径は、例えば、0.5mmから2.0mmの間の値である。
鉄筋結束機2は、本体4と、グリップ6と、バッテリ取付部8と、バッテリパックBと、リールホルダ10と、を備えている。グリップ6は、作業者が把持するための部材である。グリップ6は、本体4の後方下部に設けられている。グリップ6は、本体4と一体的に形成されている。グリップ6の前面上部には、トリガ12が取り付けられている。グリップ6の内部には、トリガ12が押し込まれたか否かを検出するトリガスイッチ14(図3参照)が収容されている。バッテリ取付部8は、グリップ6の下部に設けられている。バッテリ取付部8は、グリップ6と一体的に形成されている。バッテリパックBは、バッテリ取付部8に対してスライドさせることで着脱可能である。バッテリパックBは、例えばリチウムイオンバッテリ等の二次電池を備えている。リールホルダ10は、本体4の前方下部に設けられている。リールホルダ10は、グリップ6よりも前方に配置されている。なお、本実施例では、後述するワイヤ捩り機構46の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
鉄筋結束機2は、ハウジング16を備えている。図2に示すように、ハウジング16は、右ハウジング18と、左ハウジング20と、モータカバー22を備えている。右ハウジング18は、本体4と、グリップ6と、バッテリ取付部8の右半面の形状を規定している。左ハウジング20は、本体4と、グリップ6と、バッテリ取付部8の左半面の形状を規定している。モータカバー22は、右ハウジング18の外側に取り付けられている。図1に示すように、左ハウジング20の後方上部には、第1操作表示部24が設けられている。第1操作表示部24は、主電源スイッチ24aと、主電源LED24bと、モード切換スイッチ24cと、モード表示LED24dを備えている。主電源スイッチ24aは、鉄筋結束機2の主電源のオン/オフを切り換えるためのユーザからの操作を受け入れる。主電源LED24bは、鉄筋結束機2の主電源のオン/オフの状態を表示する。モード切換スイッチ24cは、鉄筋結束機2の動作モードを切り換えるためのユーザからの操作を受け入れる。モード表示LED24dは、鉄筋結束機2の動作モードを表示する。本実施例の鉄筋結束機2は、動作モードとして、単発モードと連発モードの何れかを選択可能である。
リールホルダ10は、ホルダハウジング26と、カバー部材28と、を備えている。ホルダハウジング26は、本体4の前方下部と、バッテリ取付部8の前部に連結している。カバー部材28は、ホルダハウジング26の下部の回動軸26a周りに回動可能に、ホルダハウジング26に取り付けられている。カバー部材28は、捩りバネ30(図2参照)によって、開く方向に付勢されている。左ハウジング20の前方下部には、カバー部材28を閉じた状態で保持するためのロックレバー32が設けられている。ロックレバー32を回動させると、捩りバネ30の付勢力によってカバー部材28がホルダハウジング26に対して開かれる。カバー部材28が閉じた状態では、ホルダハウジング26とカバー部材28によって、収容空間26b(図3参照)が画定される。収容空間26bには、ワイヤWが巻回されているリール33が収容される。リール33は、ホルダハウジング26とカバー部材28によって、回転可能に支持される。図2に示すように、ホルダハウジング26の前面には、孔26cが形成されている。ユーザは、孔26cからリール33を見ることで、リール33に巻回されたワイヤWの残量を確認することができる。
図1に示すように、ホルダハウジング26の後面には、第2操作表示部34が設けられている。第2操作表示部34は、設定切換スイッチ34aと、設定表示LED34bを備えている。設定切換スイッチ34aは、結束力増加スイッチ34cと、結束力低減スイッチ34dを備えている。本実施例の鉄筋結束機2では、ワイヤWの結束力を、1,2,3,4,5,6の6段階で設定可能である。結束力増加スイッチ34cは、ワイヤWの結束力を増加するためのユーザからの操作を受け入れる。結束力低減スイッチ34dは、ワイヤWの結束力を低減するためのユーザからの操作を受け入れる。設定表示LED34bは、ワイヤWの結束力についての現在の設定を表示する。例えば、設定表示LED34bは、通常時は消灯しており、結束力増加スイッチ34cまたは結束力低減スイッチ34dが操作されると、点灯してワイヤWの結束力の現在の設定値を表示する。この状態から、結束力増加スイッチ34cが操作されると、ワイヤWの結束力の設定値は1段階上がり、結束力低減スイッチ34dが操作されると、ワイヤWの結束力の設定値は1段階下がる。設定表示LED34bがワイヤWの結束力の現在の設定を表示した状態で、結束力増加スイッチ34cや結束力低減スイッチ34dが操作されないまま所定時間が経過すると、設定表示LED34bは再び消灯する。
図3に示すように、鉄筋結束機2は、制御回路基板36を備えている。制御回路基板36は、バッテリ取付部8に収容されている。バッテリパックBと、トリガスイッチ14と、第1操作表示部24と、第2操作表示部34は、それぞれ、図示省略の配線によって、制御回路基板36に接続されている。
鉄筋結束機2は、ワイヤ送り機構38と、ワイヤ案内機構40と、鉄筋当接機構42と、ワイヤ切断機構44と、ワイヤ捩り機構46と、鉄筋押圧機構48を備えている。ワイヤ送り機構38は、本体4の前方下部に収容されている。ワイヤ案内機構40は、本体4の前部に配置されている。鉄筋当接機構42は、本体4の前部に配置されている。ワイヤ切断機構44は、本体4の下部に収容されている。ワイヤ捩り機構46は、本体4に収容されている。鉄筋押圧機構48は、本体4の前部に配置されている。
(ワイヤ送り機構38の構成)
図4に示すように、ワイヤ送り機構38は、送りモータ50と、減速部52と、送り部54を備えている。送りモータ50は、図示省略の配線によって制御回路基板36に接続されている。送りモータ50は、バッテリパックBから供給される電力によって駆動する。送りモータ50は、制御回路基板36によって駆動を制御される。減速部52は、例えば遊星歯車機構を備えており、送りモータ50の回転を減速して送り部54に伝達する。
送りモータ50は、例えば、ブラシレスモータである。送りモータ50は、右ハウジング18よりも右側に配置されており、モータカバー22(図2参照)によって覆われている。図5に示すように、送りモータ50は、コイル56が巻回されたティース58を備えるステータ60と、ステータ60の内部に配置されたロータ62と、ステータ60に固定されたセンサ基板64を備えている。ステータ60は、磁性体から構成されている。ロータ62は、周方向に磁極が並んで配置された永久磁石を備えている。センサ基板64には、ホールセンサ66が設けられている。ホールセンサ66は、第1ホール素子66a、第2ホール素子66bおよび第3ホール素子66cを備えている。第1ホール素子66a、第2ホール素子66bおよび第3ホール素子66cは、ロータ62からの磁力を検出する。
図4に示すように、送り部54は、ベース部材68と、ガイド部材70と、駆動ギヤ72と、第1送りギヤ74と、第2送りギヤ76と、リリースレバー78と、圧縮バネ80と、を備えている。ガイド部材70は、ベース部材68に固定されている。ガイド部材70は、ガイド孔70aを有している。ガイド孔70aは、下端部が広く上端部が狭いテーパ形状を有している。ガイド孔70aには、ワイヤWが挿通される。
駆動ギヤ72には、減速部52から回転が伝達される。第1送りギヤ74は、ベース部材68に回転可能に支持されている。第1送りギヤ74は、駆動ギヤ72と噛み合っている。第1送りギヤ74は、駆動ギヤ72の回転により回転する。第1送りギヤ74は、溝74aを有する。溝74aは、第1送りギヤ74の外周面において、第1送りギヤ74の回転方向に沿う方向に形成されている。第2送りギヤ76は、第1送りギヤ74と噛み合っている。第2送りギヤ76は、リリースレバー78に回転可能に支持されている。第2送りギヤ76は、溝76aを有している。溝76aは、第2送りギヤ76の外周面において、第2送りギヤ76の回転方向に沿う方向に形成されている。リリースレバー78は、揺動軸78aを介してベース部材68に揺動可能に支持されている。圧縮バネ80は、リリースレバー78を右ハウジング18に対して、第2送りギヤ76が第1送りギヤ74に近づく方向に付勢する。これにより、第2送りギヤ76が第1送りギヤ74に押し当てられる。この結果、第1送りギヤ74の溝74aと第2送りギヤ76の溝76aとの間にワイヤWが挟持される。リリースレバー78の下端は、ロックレバー32(図1参照)がカバー部材28(図1参照)の保持を解除する方向に回動すると、ロックレバー32によって押し込まれて、右ハウジング18に向けて移動する。これにより、第2送りギヤ76が第1送りギヤ74から離反する。この状態では、ユーザは、第1送りギヤ74の溝74aと第2送りギヤ76の溝76aとの間に、リール33から延びるワイヤWをセットすることができる。なお、図2に示すように、左ハウジング20の前面とモータカバー22の前面には、ユーザが第1送りギヤ74と第2送りギヤ76が噛み合う個所を視認可能な窓16aが形成されている。
図4に示すように、ワイヤWが第1送りギヤ74の溝74aと第2送りギヤ76の溝76aとの間に挟持された状態で、送りモータ50が回転することによって、ワイヤWが移動する。本実施例では、送りモータ50が正回転すると、駆動ギヤ72が図4に示す方向D1に回転して、ワイヤWがリール33からワイヤ案内機構40に向けて送り出される。送りモータ50が逆回転すると、駆動ギヤ72が図4に示す方向D2に回転して、ワイヤWがワイヤ案内機構40からリール33に向けて引き戻される。
(ワイヤ案内機構40の構成)
図6に示すように、ワイヤ案内機構40は、ガイド部材82と、上側カールガイド84と、可動ガイドピン88と、可動ガイドプレート90と、固定ガイドピン92と、下側カールガイド94と、を備えている。
ガイド部材82は、本体4の内部下方で前後方向に延びる下側ベース部材96の前端近傍に固定されている。下側ベース部材96は、右ハウジング18に固定されている。ガイド部材82には、ワイヤ送り機構38から送り出されたワイヤWが通過する孔82aが形成されている。
上側カールガイド84は、本体4の前方上部に配置されている。上側カールガイド84は、上側ベース部材98と、上側ガイドカバー100(図7参照)によって挟持されている。上側ベース部材98は、本体4の内部上方で前後方向に延びており、右ハウジング18に固定されている。上側カールガイド84と上側ガイドカバー100は、上側ベース部材98の前端近傍に固定されている。上側カールガイド84と、上側ベース部材98と、上側ガイドカバー100は、右ハウジング18および左ハウジング20の前端よりも前方に向けて突出している。上側カールガイド84の下面は、前後方向に関して上に凸な曲面形状を有しており、上側ベース部材98の下面および上側ガイドカバー100の下面よりも上方に配置されている。上側カールガイド84の下面と、上側ベース部材98の左面と、上側ガイドカバー100の右面によって、上側ワイヤ通路102が形成されている。
固定ガイドピン92は、上側ワイヤ通路102の前端近傍に配置されている。固定ガイドピン92は、上側ベース部材98と上側ガイドカバー100に固定されている。可動ガイドピン88と可動ガイドプレート90は、上側ワイヤ通路102の後端近傍に配置されている。図7に示すように、可動ガイドピン88と可動ガイドプレート90は、スイングプレート104の前端近傍に固定されている。スイングプレート104は、上側ベース部材98に固定された補助ベース部材106に、揺動軸106aを介して揺動可能に保持されている。スイングプレート104の前端近傍は、圧縮バネ108によって、上側ベース部材98から離反する方向に付勢されている。上側ベース部材98とスイングプレート104の間には、スライドプレート110が配置されている。スライドプレート110は、本体4の内部上方で前後方向に延びている。スライドプレート110は、上側ベース部材98に、前後方向にスライド可能に保持されている。スライドプレート110には、前後方向に延びる長孔110aが形成されている。図7に示すように、スライドプレート110が前方に移動した状態では、スイングプレート104の後端104aがスライドプレート110の長孔110aに入り込む。この場合、スイングプレート104の前端が左方向に移動し、可動ガイドピン88と可動ガイドプレート90が上側ベース部材98から離反する。これによって、ワイヤ送り機構38がワイヤWを引き戻す際に、可動ガイドピン88や可動ガイドプレート90にワイヤWが引っ掛かることを防止することができる。図8に示すように、スライドプレート110が後方に移動すると、スイングプレート104の後端104aが長孔110aから抜け出てスライドプレート110に乗り上げる。この場合、スイングプレート104の前端が右方向に移動し、可動ガイドピン88と可動ガイドプレート90が上側ベース部材98に当接する。これによって、ワイヤ送り機構38がワイヤWを送り出す際に、可動ガイドピン88や可動ガイドプレート90によってワイヤWを案内することができる。
図6に示すように、下側カールガイド94は、本体4の前方下部に配置されている。図9に示すように、下側カールガイド94は、上方が開口しており、後方から前方に向かうにつれて左右の幅が広がる、略U字の断面形状を有しており、下側ワイヤ通路112を構成している。下側カールガイド94は、揺動軸94a周りに揺動可能に、右ハウジング18と左ハウジング20に保持されている。下側カールガイド94は、捩りバネ114(図6参照)によって、閉じる方向(下側カールガイド94の前端が上方に向かう方向)に付勢されている。ユーザは、捩りバネ114の付勢力に抗して、下側カールガイド94の先端を押し下げることで、下側カールガイド94を開く方向(下側カールガイド94の前端が下方に向かう方向)に揺動させることができる。下側カールガイド94の後端近傍には、右方に向けて突出する当接片94bが形成されている。当接片94bの近傍には、開閉検出器116が配置されている。開閉検出器116は、右ハウジング18に固定されたケース116aと、ケース116aに揺動可能に支持されたレバー116bと、ケース116aの内部に配置されており、レバー116bを当接片94bに向けて付勢する圧縮バネ(図示せず)と、ケース116aの内部に配置されており、レバー116bに固定された永久磁石(図示せず)と、ケース116aの内部に配置されており、レバー116bの永久磁石からの磁気を検出する磁気センサ(図示せず)を備えている。磁気センサは、図示省略の配線によって制御回路基板36に接続されている。開閉検出器116の永久磁石と磁気センサによって、開閉検出センサ117(図29参照)が構成されている。開閉検出センサ117は、下側カールガイド94の開閉状態を検出する。開閉検出センサ117は、下側カールガイド94が閉じている時にオフとなり、下側カールガイド94が開いている時にオンとなる。
図6に示すように、ワイヤ送り機構38から送られるワイヤWは、ガイド部材82を通過した後、上側ワイヤ通路102へ送られる。上側ワイヤ通路102へ送られたワイヤWは、後方から前方に向けて上側ワイヤ通路102を通過する際に、上側カールガイド84の下面や、可動ガイドピン88や、固定ガイドピン92との摺接によって、下向きの巻ぐせを付けられる。上側ワイヤ通路102を通過したワイヤWは、下側ワイヤ通路112へ送られる。下側ワイヤ通路112へ送られたワイヤWは、前方から後方に向けて下側ワイヤ通路112を通過した後、後上方へ向けて送られる。これによって、鉄筋Rの周りに、ワイヤWが巻回される。
(鉄筋当接機構42の構成)
図10、図11に示すように、鉄筋当接機構42は、コンタクトアーム118と、アームホルダ120と、圧縮バネ122と、磁石ホルダ124と、センサ基板126を備えている。コンタクトアーム118は、上側ベース部材98よりも右側で前後方向に延びる右側アーム部118aと、上側ガイドカバー100よりも左側で前後方向に延びる左側アーム部118bと、上側ベース部材98、上側カールガイド84および上側ガイドカバー100よりも上側で左右方向に延びており、右側アーム部118aの後端と左側アーム部118bの後端を連結する連結部118cを備えている。右側アーム部118aと左側アーム部118bは、右ハウジング18および左ハウジング20の前端よりも前方に向けて突出している。右側アーム部118aの前方下面には、上側ベース部材98の下面よりも下方に配置された右側当接部118dが形成されている。左側アーム部118bの前方下面には、上側ガイドカバー100の下面よりも下方に配置された左側当接部118eが形成されている。コンタクトアーム118は、左右方向に延びる揺動軸120aを介して、アームホルダ120に揺動可能に支持されている。アームホルダ120は、右ハウジング18と左ハウジング20に固定されている。圧縮バネ122は、コンタクトアーム118の連結部118cとアームホルダ120の間に配置されている。圧縮バネ122は、コンタクトアーム118をアームホルダ120に対して、右側当接部118dと左側当接部118eが下方へ向かう方向に付勢する。磁石ホルダ124は、コンタクトアーム118の右側アーム部118aの後端近傍に固定されている。磁石ホルダ124は、永久磁石124aを備えている。センサ基板126は、右ハウジング18に固定されている。センサ基板126は、永久磁石124aからの磁気を検出する磁気センサ126aを備えている。センサ基板126は、図示省略の配線によって制御回路基板36に接続されている。永久磁石124aと磁気センサ126aによって、当接検出センサ125(図29参照)が構成されている。
鉄筋当接機構42は、鉄筋結束機2の動作モードが連発モードに設定されている場合に使用される。コンタクトアーム118に鉄筋Rが当接していない場合は、圧縮バネ122の付勢力によって、右側当接部118dと左側当接部118eは下方に押し下げられている。ユーザが、コンタクトアーム118の右側当接部118dと左側当接部118eに鉄筋Rを当接させると、コンタクトアーム118が揺動軸120a周りに揺動して、磁気センサ126aで検出される永久磁石124aからの磁気が変化する。これによって、当接検出センサ125は、鉄筋Rがコンタクトアーム118に当接したことを検知することができる。当接検出センサ125は、鉄筋Rがコンタクトアーム118に当接していない時にオフとなり、鉄筋Rがコンタクトアーム118に当接している時にオンとなる。
(ワイヤ切断機構44の構成)
図12に示すように、ワイヤ切断機構44は、固定カッタ部材128と、可動カッタ部材130と、第1レバー部材132と、第2レバー部材134と、リンク部材136と、捩りバネ138を備えている。図6に示すように、固定カッタ部材128と可動カッタ部材130は、ワイヤ案内機構40においてガイド部材82から上側カールガイド84に向けてワイヤWが送られる経路上に配置されている。固定カッタ部材128は、下側ベース部材96に固定されている。固定カッタ部材128には、ワイヤWが通過する孔128aが形成されている。可動カッタ部材130は、固定カッタ部材128の周りを摺動して回動可能に、固定カッタ部材128に支持されている。可動カッタ部材130は、ワイヤWが通過可能な開口130aを備えている。図6に示すように、可動カッタ部材130の開口130aと固定カッタ部材128の孔128aが連通している状態(以下では、連通状態ともいう)では、ガイド部材82から延びるワイヤWは、固定カッタ部材128の孔128aと可動カッタ部材130の開口130aを通過することができる。この状態から、可動カッタ部材130が固定カッタ部材128に対して図6に示す方向D3に回動した状態(以下では、切断状態ともいう)となると、固定カッタ部材128と可動カッタ部材130によってワイヤWが切断される。
図12に示すように、第1レバー部材132と第2レバー部材134は、下側ベース部材96の後端近傍に配置されている。第1レバー部材132と第2レバー部材134は、互いに固定されている。第1レバー部材132と第2レバー部材134は、揺動軸96a周りに揺動可能に、下側ベース部材96に支持されている。第1レバー部材132の下端と、第2レバー部材134の下端は、リンク部材136の後端と回動可能に連結している。リンク部材136の前端は、可動カッタ部材130の下端と回動可能に連結している。リンク部材136の後端は、捩りバネ138によって、前方へ向けて付勢されている。図12に示すように、第1レバー部材132と第2レバー部材134が、下端が前方へ向かう方向に揺動すると、リンク部材136が前方へ向けて移動し、固定カッタ部材128と可動カッタ部材130は連通状態となる。図13に示すように、第1レバー部材132と第2レバー部材134が、下端が後方へ向かう方向に揺動すると、リンク部材136が後方へ向けて移動し、固定カッタ部材128と可動カッタ部材130は切断状態となる。
(ワイヤ捩り機構46の構成)
図14に示すように、ワイヤ捩り機構46は、捩りモータ140と、減速部142と、保持部144と、回転制限部145を備えている。捩りモータ140は、図示省略の配線によって制御回路基板36に接続されている。捩りモータ140は、バッテリパックBから供給される電力によって駆動する。捩りモータ140は、制御回路基板36によって駆動を制御される。減速部142は、例えば遊星歯車機構によって、捩りモータ140の回転を減速して保持部144に伝達する。捩りモータ140と減速部142は、右ハウジング18および左ハウジング20に固定されている。
捩りモータ140は、例えば、ブラシレスモータである。捩りモータ140は、送りモータ50と同様の構成を備えている。図5に示すように、捩りモータ140は、コイル146が巻回されたティース148を備えるステータ150と、ステータ150の内部に配置されたロータ152と、ステータ150に固定されたセンサ基板154を備えている。ステータ150は、磁性体から構成されている。ロータ152は、周方向に磁極が並んで配置された永久磁石を備えている。センサ基板154には、ホールセンサ156が設けられている。ホールセンサ156は、第1ホール素子156a、第2ホール素子156bおよび第3ホール素子156cを備えている。第1ホール素子156a、第2ホール素子156bおよび第3ホール素子156cは、ロータ152からの磁力を検出する。
図15に示すように、保持部144は、ベアリングボックス158と、キャリアスリーブ160と、クラッチプレート162と、スクリューシャフト164と、インナスリーブ166と、アウタスリーブ168と、プッシュプレート170と、クランプシャフト172と、右側クランプ174と、左側クランプ176を備えている。
ベアリングボックス158は、減速部142に固定されている。ベアリングボックス158は、ベアリング178を介して、キャリアスリーブ160を回転可能に支持している。キャリアスリーブ160には、減速部142から回転が伝達される。捩りモータ140が正回転すると、後方から見て、キャリアスリーブ160は左ねじの方向に回転する。捩りモータ140が逆回転すると、後方から見て、キャリアスリーブ160は右ねじの方向に回転する。
図16に示すように、キャリアスリーブ160の後部の内周面には、前後方向に延びるクラッチ溝160aが形成されている。クラッチ溝160aの前端には、第1壁部160bと、第2壁部160cが形成されている。キャリアスリーブ160の後端から第1壁部160bまでの前後方向の距離は、キャリアスリーブ160の後端から第2壁部160cまでの前後方向の距離よりも小さい。クラッチプレート162は、キャリアスリーブ160の内部に収容される。クラッチプレート162には、クラッチ溝160aに対応するクラッチ片162aが形成されている。クラッチプレート162は、キャリアスリーブ160の内部に収容された圧縮バネ180によって、キャリアスリーブ160に対して後方に向けて付勢されている。通常時は、クラッチプレート162はキャリアスリーブ160に対して、クラッチ片162aがクラッチ溝160aの第1壁部160bに当接する位置まで前進可能である。ワイヤWを捩る際には、キャリアスリーブ160がクラッチプレート162に対して後方から見て左ねじの方向に回転することで、クラッチプレート162はキャリアスリーブ160に対して、クラッチ片162aがクラッチ溝160aの第2壁部160cに当接する位置まで前進可能となる。
スクリューシャフト164の後部164aは、キャリアスリーブ160に前方から挿入されており、クラッチプレート162に固定されている。スクリューシャフト164の後部164aと前部164bの間には、径方向に突出するフランジ164cが形成されている。スクリューシャフト164の前部164bの外周面には、螺旋状のボール溝164dが形成されている。スクリューシャフト164の前端には、前部164bよりも小径の係合部164eが形成されている。
図15に示すように、スクリューシャフト164の前部164bには、圧縮バネ181が取り付けられている。スクリューシャフト164の前部164bは、インナスリーブ166に後方から挿入されている。インナスリーブ166には、ボール185を保持するボール孔166aが形成されている。ボール185は、スクリューシャフト164のボール溝164dに篏合する。インナスリーブ166の後端には、径方向に突出するフランジ166bが形成されている。インナスリーブ166は、アウタスリーブ168に後方から挿入されている。アウタスリーブ168は、インナスリーブ166に固定されている。回転制限部145(図14参照)によって、アウタスリーブ168の回転が許容されている場合には、スクリューシャフト164が回転すると、インナスリーブ166とアウタスリーブ168も一体的に回転する。回転制限部145(図14参照)によって、アウタスリーブ168の回転が禁止されている場合には、スクリューシャフト164が回転すると、インナスリーブ166とアウタスリーブ168は、スクリューシャフト164に対して前後方向に移動する。具体的には、捩りモータ140が正回転して、スクリューシャフト164が後方から見て左ねじの方向に回転すると、インナスリーブ166とアウタスリーブ168はスクリューシャフト164に対して前方に移動する。また、捩りモータ140が逆回転して、スクリューシャフト164が後方から見て右ねじの方向に回転すると、インナスリーブ166とアウタスリーブ168はスクリューシャフト164に対して後方に移動する。プッシュプレート170は、アウタスリーブ168の後端と、インナスリーブ166のフランジ166bの間に配置されている。このため、インナスリーブ166およびアウタスリーブ168が前後方向に移動すると、プッシュプレート170も前後方向に移動する。アウタスリーブ168の前部には、アウタスリーブ168の前端から後方に向けて延びるスリット168aが形成されている。
クランプシャフト172は、インナスリーブ166に前方から挿入されている。クランプシャフト172の後端には、スクリューシャフト164の係合部164eが挿入されている。クランプシャフト172はスクリューシャフト164に固定されている。図17に示すように、クランプシャフト172には、平板部172aと、開口172bと、フランジ172cが形成されている。平板部172aは、クランプシャフト172の前端に配置されており、上下方向および前後方向に沿った略平板形状を有している。平板部172aには、ピン182(図18参照)が篏合する孔172dが形成されている。開口172bは、平板部172aよりも後方に配置されている。開口172bは、クランプシャフト172を左右方向に貫通しており、前後方向に延びている。フランジ172cは、開口172bよりも後方に配置されており、径方向に突出している。
図18に示すように、右側クランプ174は、クランプシャフト172の開口172bを右側から左側へ貫通するように、クランプシャフト172に取り付けられている。左側クランプ176は、右側クランプ174よりも下側で、クランプシャフト172の開口172bを左側から右側へ貫通するように、クランプシャフト172に取り付けられている。
図19に示すように、右側クランプ174は、ベース部174aと、下側突出部174bと、上側突出部174cと、当接部174dと、上側ガード部174eと、前側ガード部174fを備えている。ベース部174aは、前後方向および左右方向に沿った略平板形状を有している。下側突出部174bは、ベース部174aの右前端に設けられており、ベース部174aから下方に向けて突出している。上側突出部174cは、ベース部174aの右前端に設けられており、ベース部174aから上方に向けて突出している。当接部174dは、上側突出部174cの上端から左方に向けて突出している。上側ガード部174eは、当接部174dの上端から左方に向けて突出している。前側ガード部174fは、上側突出部174cおよび当接部174dの前端から左方に向けて突出している。ベース部174aには、カム孔174g、174hが形成されている。カム孔174g、174hは、後端から前端に向けて、まず前方に向けて延びた後、屈曲して右前方に向けて延び、さらに屈曲して前方に向けて延びる形状を有している。
図20に示すように、左側クランプ176は、ベース部176aと、ピン保持部176bと、下側突出部176cと、当接部176dと、後側ガード部176eと、前側ガード部176fを備えている。ベース部176aは、前後方向および左右方向に沿った略平板形状を有している。ピン保持部176bは、ベース部176aの左前端に設けられており、ベース部176aよりも上方で、ピン182(図18参照)を摺動可能に保持する。下側突出部176cは、ベース部176aの左前端に設けられており、ベース部176aから下方に向けて突出している。当接部176dは、下側突出部176cの下端から右方に向けて突出している。後側ガード部176eは、当接部176dの後端から右方に向けて突出している。前側ガード部174fは、当接部176dの前端から右方に向けて突出している。ベース部176aには、カム孔176g、176hが形成されている。カム孔176g、176hは、後端から前端に向けて、まず前方に向けて延びた後、屈曲して左前方に向けて延びた後、屈曲して前方に向けて延び、さらに屈曲して左前方に延びた後、屈曲して前方に向けて延びる形状を有している。
図18に示すように、右側クランプ174と左側クランプ176をクランプシャフト172に取り付けた状態では、カムスリーブ184が、カム孔174gとカム孔176gを貫通するように配置され、カムスリーブ186が、カム孔174hとカム孔176hを貫通するように配置される。また、支持ピン188が、カムスリーブ184を貫通するように配置され、支持ピン190が、カムスリーブ186を貫通するように配置される。右側クランプ174および左側クランプ176と、クランプシャフト172のフランジ172cの間には、略円環形状のクッション192が取り付けられている。
図14に示すように、クランプシャフト172をインナスリーブ166に取り付けた状態では、右側クランプ174および左側クランプ176が、アウタスリーブ168のスリット168aに入り込むとともに、支持ピン188,190がアウタスリーブ168に連結される。クランプシャフト172がアウタスリーブ168に対して前後方向に移動すると、支持ピン188に取り付けられたカムスリーブ184がカム孔174g,176g内で前後方向に移動し、支持ピン190に取り付けられたカムスリーブ186がカム孔174h、176h内で前後方向に移動することで、右側クランプ174と左側クランプ176が左右方向に移動する。
クランプシャフト172がアウタスリーブ168から前方に突出している初期状態では、右側クランプ174はクランプシャフト172に対して最も右方に位置している。この状態では、図18に示すように、右側クランプ174の上側突出部174cとクランプシャフト172の平板部172aとの間にワイヤWが通過可能な右側ワイヤ通路194が形成されており、右側ワイヤ通路194の上方が上側ガード部174eによって覆われている。右側クランプ174のこの状態を、全開状態ともいう。この状態から、アウタスリーブ168がクランプシャフト172に対して前方に移動すると、右側クランプ174がクランプシャフト172に向けて左方に移動する。この状態では、右側クランプ174の当接部174dの下端とクランプシャフト172の平板部172aの上端との間で、ワイヤWが挟持されるとともに、右側ワイヤ通路194の前方が前側ガード部174fによって覆われる。右側クランプ174のこの状態を、全閉状態ともいう。
クランプシャフト172がアウタスリーブ168から前方に突出している初期状態では、左側クランプ176はクランプシャフト172に対して最も左方に位置している。この状態では、左側クランプ176の下側突出部176cとクランプシャフト172の平板部172aの間に、ワイヤWが通過可能な左側ワイヤ通路196が形成されている。左側クランプ176のこの状態を、全開状態ともいう。この状態から、アウタスリーブ168がクランプシャフト172に対して前方に移動すると、左側クランプ176がクランプシャフト172に向けて右方に移動する。この状態でも、ワイヤWは左側ワイヤ通路196を通過可能であるが、左側ワイヤ通路196の後方が後側ガード部176eによって覆われるとともに、左側ワイヤ通路196の前方が前側ガード部176fによって覆われる。左側クランプ176のこの状態を、半開状態ともいう。この状態から、アウタスリーブ168がクランプシャフト172に対してさらに前方に移動すると、左側クランプ176がクランプシャフト172に向けてさらに右方に移動する。この状態では、左側クランプ176の当接部176dの上端とクランプシャフト172の平板部172aの下端との間で、ワイヤWが挟持される。左側クランプ176のこの状態を、全閉状態ともいう。
ワイヤ切断機構44の固定カッタ部材128(図6参照)からワイヤ案内機構40の上側ワイヤ通路102(図6参照)に向かうワイヤWは、ワイヤ捩り機構46の左側ワイヤ通路196を通過する。このため、左側クランプ176が全閉状態となり、ワイヤ切断機構44によってワイヤWが切断されると、左側クランプ176とクランプシャフト172によって、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWの終端が保持される。なお、左側ワイヤ通路196は、複数本のワイヤWが通過可能な大きさを有しており、左側クランプ176とクランプシャフト172によって複数本のワイヤWの終端を保持することもできる。
また、ワイヤ案内機構40の下側ワイヤ通路112を通過した後、上方へ送られるワイヤWは、ワイヤ捩り機構46の右側ワイヤ通路194を通過する。このため、右側クランプ174が全閉状態となると、右側クランプ174とクランプシャフト172によって、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWの先端が保持される。なお、右側ワイヤ通路194は、複数本のワイヤWが通過可能な大きさを有しており、右側クランプ174とクランプシャフト172によって複数本のワイヤWの先端を保持することもできる。
図21に示すように、アウタスリーブ168の後部外周面には、フィン198が形成されている。フィン198は、前後方向に延びている。本実施例では、アウタスリーブ168の外周面において、8個のフィン198が、互いに45度の間隔を有して配置されている。また、本実施例では、フィン198は、7個のショートフィン198aと、1個のロングフィン198bと、を備えている。ロングフィン198bの前後方向の長さは、ショートフィン198aの前後方向の長さよりも長い。前後方向において、ロングフィン198bの後端部の位置は、ショートフィン198aの後端部の位置と同一である。前後方向において、ロングフィン198bの前端部の位置は、ショートフィン198aの前端部の位置よりも前方にある。
図14に示すように、回転制限部145は、アウタスリーブ168のフィン198に対応する位置に配置されている。回転制限部145は、フィン198と協働して、アウタスリーブ168の回転を許容または禁止する。図22に示すように、回転制限部145は、ベース部材200と、上側ストッパ202と、下側ストッパ204と、捩りバネ201,203を備えている。ベース部材200は、右ハウジング18に固定されている。上側ストッパ202は、揺動軸200aを介して、ベース部材200の上部に揺動可能に支持されている。上側ストッパ202は、規制片202aを備えている。規制片202aは、上側ストッパ202の下部に位置している。捩りバネ201は、規制片202aを外側に開く方向(即ち、規制片202aがベース部材200から離れる方向)に付勢している。下側ストッパ204は、揺動軸200bを介して、ベース部材200の下部に揺動可能に支持されている。下側ストッパ204は、規制片204aを備えている。規制片204aは、下側ストッパ204の上部に位置している。規制片204aの後端部は、規制片202aの後端部よりも前方に配置されている。規制片204aの前端部は、規制片202aの前端部よりも前方に配置されている。捩りバネ203は、規制片204aを外側に開く方向(即ち、規制片204aがベース部材200から離れる方向)に付勢している。
上側ストッパ202に関して、捩りモータ140が正回転して、スクリューシャフト164が後方から見て左ねじの方向に回転する場合、アウタスリーブ168のフィン198が規制片202aと当接すると、上側ストッパ202によってアウタスリーブ168の回転が禁止される。一方、捩りモータ140が逆回転して、スクリューシャフト164が後方から見て右ねじの方向に回転する場合、アウタスリーブ168のフィン198は規制片202aと当接しても、そのまま規制片202aを押し込む。この場合、上側ストッパ202は、アウタスリーブ168の回転を禁止しない。
下側ストッパ204に関して、捩りモータ140が正回転して、スクリューシャフト164が、後方から見て左ねじの方向に回転する場合、アウタスリーブ168のフィン198は規制片204aと当接しても、そのまま規制片204aを押し込む。この場合、下側ストッパ204は、アウタスリーブ168の回転を禁止しない。一方、スクリューシャフト164が後方から見て右ねじの方向に回転する場合、アウタスリーブ168のフィン198が規制片204aと当接すると、下側ストッパ204によってアウタスリーブ168の回転が禁止される。
図7、図8に示すように、プッシュプレート170の上端は、ワイヤ案内機構40のスライドプレート110の後端に連結している。このため、ワイヤ捩り機構46においてプッシュプレート170が前後方向に移動すると、ワイヤ案内機構40のスライドプレート110も前後方向に移動する。
図12、図13に示すように、プッシュプレート170の下端は、ワイヤ切断機構44の第1レバー部材132および第2レバー部材134に対応する位置に配置されている。このため、プッシュプレート170が前方に向けて移動し、第2レバー部材134と当接して第2レバー部材134を前方に向けて回動させると、ワイヤ切断機構44の固定カッタ部材128と可動カッタ部材130は切断状態となる。プッシュプレート170が後方に向けて移動し、第1レバー部材132と当接して第1レバー部材132を後方に向けて回動させると、ワイヤ切断機構44の固定カッタ部材128と可動カッタ部材130は連通状態となる。
プッシュプレート170には、永久磁石170aが設けられている。図21に示すように、ベアリングボックス158には、永久磁石170aに対応して、センサ基板206が設けられている。センサ基板206は、永久磁石170aからの磁気を検出する2つの磁気センサ206a,206bを備えている。磁気センサ206aは、ワイヤ捩り機構46が初期状態にある時に永久磁石170aと対向する位置に配置されている。磁気センサ206bは、ワイヤ捩り機構46において、右側クランプ174が全閉状態となり、左側クランプ176が半開状態となる時に永久磁石170aと対向する位置に配置されている。センサ基板206は、図示省略の配線によって制御回路基板36に接続されている。永久磁石170aと磁気センサ206aによって、初期状態検出センサ205(図29参照)が構成されている。初期状態検出センサ205は、ワイヤ捩り機構46が初期状態にある時にオンとなり、それ以外の時にオフとなる。永久磁石170aと磁気センサ206bによって、先端保持検出センサ207(図29参照)が構成されている。先端保持検出センサ207は、右側クランプ174が全閉状態となり、左側クランプ176が半開状態となる時にオンとなり、それ以外の時にオフとなる。
(鉄筋押圧機構48の構成)
図23に示すように、鉄筋押圧機構48は、コンタクトプレート208,210と、ベース部材212,214と、ロッドガイド216,218と、前側プッシュロッド220,222(図24参照)と、後側プッシュロッド224,226と、ガイドプレート228,230と、ロッドホルダ232,234を備えている。
図2に示すように、コンタクトプレート208,210は、本体4の前端近傍に配置されている。図23に示すように、コンタクトプレート208,210は、上下方向に延びる揺動軸208a,210a周りに揺動可能に、ベース部材212,214に支持されている。ベース部材212は、右ハウジング18に固定されている。ベース部材214は、左ハウジング20に固定されている。図24に示すように、揺動軸208a、210aには、捩りバネ236,238が取り付けられている。捩りバネ236,238は、コンタクトプレート208,210がベース部材212,214に対して前方に開く方向に回動した時に、弾性復元力によってコンタクトプレート208,210にベース部材212,214に対して後方に閉じる方向の付勢力を作用させる。
ロッドガイド216,218は、ベース部材212,214に固定されている。前側プッシュロッド220,222は、後方からロッドガイド216,218に挿入されており、ロッドガイド216,218の前端よりも前方に突出している。前側プッシュロッド220,222の前端は、コンタクトプレート208,210の後面に対向して配置されている。後側プッシュロッド224,226は、後方からロッドガイド216,218に挿入されている。ロッドガイド216,218の内部には、第1圧縮バネ240,242と、第2圧縮バネ244,246が収容されている。第1圧縮バネ240,242は、前側プッシュロッド220,222と後側プッシュロッド224,226を連結しており、前側プッシュロッド220,222と後側プッシュロッド224,226の間の間隔が狭まったときに、弾性復元力を作用させる。第2圧縮バネ244,246は、前側プッシュロッド220,222をロッドガイド216,218に対して後方に向けて付勢している。第2圧縮バネ244,246のバネ剛性は、第1圧縮バネ240,242のバネ剛性よりも小さい。図23に示すように、後側プッシュロッド224は、前端から後端に向けて、後方に向けて延びた後、屈曲して左上方へ延び、さらに屈曲して後方に向けて延びている。後側プッシュロッド226は、前端から後端に向けて、後方に向けて延びた後、屈曲して右下方へ延び、さらに屈曲して後方に向けて延びている。後側プッシュロッド224,226は、ガイドプレート228,230と、ロッドホルダ232,234に、前後方向にスライド可能に支持されている。ガイドプレート228とロッドホルダ232は、右ハウジング18に固定されている。ガイドプレート230とロッドホルダ234は、左ハウジング20に固定されている。
図21に示すように、ワイヤ捩り機構46のプッシュプレート170には、後側プッシュロッド224,226に対応する位置に、ロッド溝170b,170cが形成されている。ワイヤ捩り機構46においてプッシュプレート170が前方へ移動すると、後側プッシュロッド224,226の後端はロッド溝170b,170cに入り込む。この状態から、さらにプッシュプレート170が前方へ移動すると、後側プッシュロッド224,226が前方へ押し込まれ、第1圧縮バネ240,242を介して前側プッシュロッド220,222が前方へ押し出される。これによって、コンタクトプレート208,210が前方へ開く方向へ回動し、鉄筋Rに対して押し付けられる。
ワイヤ捩り機構46がワイヤWを捩る際には、ワイヤWの捩りが進んでいくにつれて、クランプシャフト172と、右側クランプ174と、左側クランプ176が、ワイヤWによって鉄筋Rに向けて強く引っ張られる。この際に、鉄筋Rからコンタクトプレート208,210に作用する反力が右ハウジング18や左ハウジング20を介してワイヤ捩り機構46に伝達すると、右ハウジング18や左ハウジング20が損傷するおそれがある。本実施例では、ワイヤ捩り機構46がワイヤWを捩る際に、鉄筋Rからコンタクトプレート208,210に作用する反力が、前側プッシュロッド220,222、第1圧縮バネ240,242、後側プッシュロッド224,226を介して、ワイヤ捩り機構46のプッシュプレート170に伝達するので、右ハウジング18や左ハウジング20が損傷してしまうことを抑制することができる。
なお、鉄筋結束機2の機械的な構成については、上記の構成に種々の変更を加えてもよい。例えば、鉄筋結束機2において、リールホルダ10を、本体4の後部に配置してもよく、ワイヤ送り機構38を、本体4のリールホルダ10とワイヤ案内機構40の間に配置してもよい。あるいは、制御回路基板36を、本体4の内部に収容してもよい。さらに、さらに、第2操作表示部34を、本体4の外面に配置してもよい。
(鉄筋結束機2の動作)
次に、鉄筋結束機2の動作について説明する。鉄筋結束機2は、動作モードとして単発モードが選択されている場合、トリガスイッチ14がオフからオンに切り替わると、ユーザから鉄筋Rの結束を指示されたと判断して、結束動作を実行する。また、鉄筋結束機2は、動作モードとして連発モードが選択されている場合、トリガスイッチ14がオンとなっており、かつ当接検出センサ125がオフからオンに切り替わると、ユーザから鉄筋Rの結束を指示されたと判断して、結束動作を実行する。
鉄筋結束機2が結束動作を実行する際には、下記の送り出し工程と、先端保持工程と、引き戻し工程と、終端保持工程と、切断工程と、捩り工程と、初期状態復帰工程が実行される。
(送り出し工程)
初期状態から、送りモータ50が正回転すると、ワイヤ送り機構38は、リール33に巻回されているワイヤWを所定長さだけ送り出す。ワイヤWの先端部は、固定カッタ部材128、可動カッタ部材130、左側ワイヤ通路196、上側ワイヤ通路102、下側ワイヤ通路112、右側ワイヤ通路194を順に通過する。これにより、ワイヤWが鉄筋Rの周りに円環状に巻回される。ワイヤWの送り出しが完了すると、送りモータ50が停止する。
(先端保持工程)
送り出し工程の終了後、捩りモータ140が正回転すると、スクリューシャフト164が左ねじの方向に回転する。この際に、アウタスリーブ168は、回転制限部145によって左ねじの方向の回転が禁止されている。このため、アウタスリーブ168が、インナスリーブ166とともに、クランプシャフト172に対して前進し、右側クランプ174が全閉状態となり、左側クランプ176が半開状態となる。これにより、ワイヤWの先端が右側クランプ174とクランプシャフト172によって保持される。ワイヤWの先端を保持したことが検知されると、捩りモータ140が停止する。
(引き戻し工程)
先端保持工程の終了後、送りモータ50が逆回転すると、ワイヤ送り機構38は、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWを引き戻す。ワイヤWの先端は、右側クランプ174とクランプシャフト172に保持されているので、鉄筋Rの周りのワイヤWが縮径する。ワイヤWの引き戻しが完了すると、送りモータ50は停止する。
(終端保持工程)
引き戻し工程の終了後、捩りモータ140が正回転すると、スクリューシャフト164が左ねじの方向に回転する。この際に、アウタスリーブ168は、回転制限部145によって左ねじの方向の回転が禁止されている。このため、アウタスリーブ168が、インナスリーブ166とともに、クランプシャフト172に対して前進し、左側クランプ176が全閉状態となる。これにより、ワイヤWの終端が左側クランプ176とクランプシャフト172によって保持される。
(切断工程)
終端保持工程の終了後、捩りモータ140がさらに正回転すると、スクリューシャフト164が左ねじの方向に回転する。この際に、アウタスリーブ168は、回転制限部145によって左ねじの方向の回転が禁止されている。このため、アウタスリーブ168が、インナスリーブ166とともに、クランプシャフト172に対してさらに前進し、プッシュプレート170が第2レバー部材134の上端を前方に向けて押し倒す。これにより、固定カッタ部材128と可動カッタ部材130によってワイヤWが切断される。ワイヤWの切断が完了すると、捩りモータ140は停止する。
(捩り工程)
切断工程の終了後、捩りモータ140がさらに正回転すると、スクリューシャフト164が左ねじの方向に回転する。この際に、アウタスリーブ168は、回転制限部145によって左ねじの方向の回転が許容されており、アウタスリーブ168、インナスリーブ166、クランプシャフト172、右側クランプ174、左側クランプ176が、一体となって左ねじの方向に回転する。これにより、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWが捩られる。ワイヤWの捩りが完了すると、捩りモータ140は停止する。
(初期状態復帰工程)
切断工程の終了後、あるいは捩り工程の終了後に、捩りモータ140が逆回転すると、スクリューシャフト164が右ねじの方向に回転する。この際に、アウタスリーブ168は、回転制限部145によって右ねじの方向の回転が禁止されている。このため、アウタスリーブ168が、インナスリーブ166とともに、クランプシャフト172に対して後退する。左側クランプ176が半開状態を経て全開状態となり、かつ右側クランプ174が全開状態となる。また、可動カッタ部材130が連通状態となる。その後、回転制限部145によって右ねじの方向の回転が許容されると、アウタスリーブ168、インナスリーブ166、クランプシャフト172、右側クランプ174、左側クランプ176が、一体となって右ねじの方向に回転する。ロングフィン198bが下側ストッパ204に当接すると、アウタスリーブ168の回転が再び禁止されて、アウタスリーブ168が、インナスリーブ166とともに、クランプシャフト172に対して再び後退する。ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰したことが検知されると、捩りモータ140が停止する。
本実施例の鉄筋結束機2では、ワイヤWを鉄筋Rの周りに1周巻回して、1本のワイヤWを捩る、1回巻回方式の結束動作を行うこともできるし、ワイヤWを鉄筋Rの周りに2周巻回して、2本のワイヤWを同時に捩る、2回巻回方式の結束動作を行うこともできる。
(1回巻回方式の結束動作)
1回巻回方式の結束動作を行う場合、鉄筋結束機2は、送り出し工程、先端保持工程、引き戻し工程、終端保持工程、切断工程、捩り工程、初期状態復帰工程を順に実行する。この場合、図25に示すように、ワイヤ送り機構38によってワイヤWが送り出され、図26に示すように、ワイヤ捩り機構46によってワイヤWの先端が保持され、ワイヤ送り機構38によってワイヤWが引き戻され、ワイヤ捩り機構46によってワイヤWの終端も保持され、ワイヤ切断機構44によってワイヤWが切断される。この状態から、ワイヤ捩り機構46によってワイヤWが捩られる。
(2回巻回方式の結束動作)
2回巻回方式の結束動作を行う場合、鉄筋結束機2は、送り出し工程、先端保持工程、引き戻し工程、終端保持工程、切断工程を順に実行した後、初期状態復帰工程を行う。この場合、図25に示すように、ワイヤ送り機構38によって1周目のワイヤWが送り出され、図26に示すように、ワイヤ捩り機構46によって1周目のワイヤWの先端が保持され、ワイヤ送り機構38によって1周目のワイヤWが引き戻され、ワイヤ捩り機構46によって1周目のワイヤWの終端も保持され、ワイヤ切断機構44によって1周目のワイヤWが切断される。この状態から、ワイヤ捩り機構46は、1周目のワイヤWの先端の保持と後端の保持を解除する。その後、鉄筋結束機2は、送り出し工程、先端保持工程、引き戻し工程、終端保持工程、切断工程、捩り工程、初期状態復帰工程を順に実行する。この場合、図27に示すように、ワイヤ送り機構38によって2周目のワイヤWが送り出され、図28に示すように、ワイヤ捩り機構46によって1周目のワイヤWの先端と2周目のワイヤWの先端が保持され、ワイヤ送り機構38によって2周目のワイヤWが引き戻され、ワイヤ捩り機構46によって1周目のワイヤWの終端と2周目のワイヤWの終端が保持され、ワイヤ切断機構44によって2周目のワイヤWが切断される。この状態から、ワイヤ捩り機構46によって1周目のワイヤWと2周目のワイヤWが捩られる。
仮に、2周目のワイヤWを巻回する前に、1周目のワイヤWを捩っておいて、その後に2周目のワイヤWを巻回して、2周目のワイヤWを捩る構成とすると、捩り工程を2回行う必要があり、作業時間が長くなってしまう。また、2周目のワイヤWを送り出す際に、1周目のワイヤWの結び目に当たって、2周目のワイヤWを鉄筋Rの周りで案内できなくなったり、2周目のワイヤWを捩る際に、1周目のワイヤWの結び目に2周目のワイヤWが乗り上げてしまい、2周目のワイヤWが鉄筋Rに密着しなくなってしまうおそれがある。これに対して、本実施例の鉄筋結束機2では、2回巻回方式の結束動作において、1周目のワイヤWを捩る前に、2周目のワイヤWを巻回して、その後に1周目のワイヤWと2周目のワイヤWを同時に捩っている。このような構成とすることで、作業時間を短縮することができる。また、1周目のワイヤWの結び目が2周目のワイヤWの巻回や捩りにおいて邪魔になることを防ぐことができる。
(制御回路基板36の回路構成)
図29に示すように、制御回路基板36には、制御電源回路300、MCU(Micro Control Unit)302、モータ制御信号出力先切換回路304、モータ回転信号入力元切換回路306、ゲートドライブ回路308、310、インバータ回路312、314、電流検出回路316、ブレーキ回路318、320等が設けられている。
制御電源回路300は、バッテリパックBから供給される電力を所定の電圧に調整して、MCU302、ブレーキ回路318,320等に電力を供給する。
インバータ回路312は、バッテリパックBの正極側電源電位と送りモータ50のコイル56との間に並列に接続された複数の上側スイッチング素子(図示せず)と、送りモータ50のコイル56と電流検出回路316の間に並列に接続された複数の下側スイッチング素子(図示せず)を備えている。ゲートドライブ回路308は、モータ制御信号UH1,VH1,WH1,UL1,VL1,WL1に応じて、インバータ回路312の各上側スイッチング素子および各下側スイッチング素子を、導通と非導通の間で切り換えることで、送りモータ50の動作を制御する。なお、送りモータ50が回転している時に、ゲートドライブ回路308が上側スイッチング素子と下側スイッチング素子を全て非導通とすると、送りモータ50への電力供給が遮断され、送りモータ50は慣性による回転を継続した後、停止する。また、送りモータ50が回転している時に、ゲートドライブ回路308が上側スイッチング素子を非導通とし、下側スイッチング素子を導通とすると、送りモータ50にはいわゆる短絡ブレーキがかかり、送りモータ50の回転は即座に停止する。
同様に、インバータ回路314は、バッテリパックBの正極側電源電位と捩りモータ140のコイル146との間に並列に接続された複数の上側スイッチング素子(図示せず)と、捩りモータ140のコイル146と電流検出回路316の間に並列に接続された複数の下側スイッチング素子(図示せず)を備えている。ゲートドライブ回路310は、モータ制御信号UH2,VH2,WH2,UL2,VL2,WL2に応じて、インバータ回路314の各スイッチング素子を導通と非導通の間で切り換えることで、捩りモータ140の動作を制御する。ゲートドライブ回路310は、モータ制御信号UH2,VH2,WH2,UL2,VL2,WL2に応じて、インバータ回路314の各上側スイッチング素子および各下側スイッチング素子を、導通と非導通の間で切り換えることで、捩りモータ140の動作を制御する。なお、捩りモータ140が回転している時に、ゲートドライブ回路310が上側スイッチング素子と下側スイッチング素子を全て非導通とすると、捩りモータ140への電力供給が遮断され、捩りモータ140は慣性による回転を継続した後、停止する。また、捩りモータ140が回転している時に、ゲートドライブ回路310が上側スイッチング素子を非導通とし、下側スイッチング素子を導通とすると、捩りモータ140にはいわゆる短絡ブレーキがかかり、捩りモータ140の回転は即座に停止する。
電流検出回路316は、インバータ回路312およびインバータ回路314と、バッテリパックBの負極側電源電位の間に配置されている。電流検出回路316は、インバータ回路312およびインバータ回路314を流れる電流の大きさを検出する。電流検出回路316は、検出された電流値を、MCU302に出力する。
MCU302は、モータ制御信号出力ポート302aと、モータ回転信号入力ポート302bと、汎用入出力ポート302cを備えている。モータ制御信号出力ポート302aは、ブラシレスモータへのモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLの出力のために設けられており、汎用入出力ポート302cよりも高速での信号処理が可能である。モータ回転信号入力ポート302bは、ブラシレスモータからのホールセンサ信号Hu,Hv,Hwの入力のために設けられており、汎用入出力ポート302cよりも高速での信号処理が可能である。トリガスイッチ14、開閉検出センサ117、当接検出センサ125、初期状態検出センサ205、先端保持検出センサ207、第1操作表示部24の主電源スイッチ24a、主電源LED24b、モード切換スイッチ24c、モード表示LED24d、第2操作表示部34の設定切換スイッチ34a、設定表示LED34bは、いずれも、MCU302の汎用入出力ポート302cに接続されている。
MCU302のモータ制御信号出力ポート302aは、モータ制御信号出力先切換回路304に接続されている。モータ制御信号出力先切換回路304は、MCU302の汎用入出力ポート302cから出力される切換信号SWに応じて、モータ制御信号出力ポート302aから出力されるモータ制御信号UH、VH,WH,UL,VL,WLの出力先を、ゲートドライブ回路308とゲートドライブ回路310の間で切り換える。
ブレーキ回路318は、モータ制御信号出力先切換回路304からゲートドライブ回路308に出力される、モータ制御信号UL1,VL1,WL1の信号線に接続されている。ブレーキ回路318は、MCU302の汎用入出力ポート302cから出力されるブレーキ信号BR1に応じて、送りモータ50に短絡ブレーキをかける。
同様に、ブレーキ回路320は、モータ制御信号出力先切換回路304からゲートドライブ回路310に出力される、モータ制御信号UL2,VL2,WL2の信号線に接続されている。ブレーキ回路320は、MCU302の汎用入出力ポート302cから出力されるブレーキ信号BR2に応じて、捩りモータ140に短絡ブレーキをかける。
送りモータ50のホールセンサ66と、捩りモータ140のホールセンサ156は、モータ回転信号入力元切換回路306に接続されている。モータ回転信号入力元切換回路306は、MCU302のモータ回転信号入力ポート302bに接続されている。モータ回転信号入力元切換回路306は、MCU302から出力される切換信号SWに応じて、送りモータ50からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1と、捩りモータ140からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2のうちの何れか一方を、MCU302のモータ回転信号入力ポート302bに入力する。
なお、送りモータ50のホールセンサ66と、捩りモータ140のホールセンサ156は、MCU302の汎用入出力ポート302cにも接続されている。MCU302は、汎用入出力ポート302cに入力される、送りモータ50からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1と、捩りモータ140からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2を監視することができる。
(MCU302が実行する処理)
MCU302は、主電源がオンになると、図30-図32の処理を実行する。
図30に示すように、S2では、MCU302は、第2操作表示部34で設定されているワイヤWの結束力を取得する。
S4では、MCU302は、第1操作表示部24で設定されている動作モードが、単発モードと連発モードの何れであるかを特定する。
S6では、MCU302は、結束動作の開始が指示されるまで待機する。動作モードが単発モードに設定されている場合には、MCU302は、トリガスイッチ14がオフからオンに切り替わると、結束動作の開始が指示されたと判断する。動作モードが連発モードに設定されている場合には、MCU302は、トリガスイッチ14がオンとなっており、かつ当接検出センサ125がオフからオンに切り替わると、結束動作の開始が指示されたと判断する。結束動作の開始が指示されると(YESとなると)、処理はS8へ進む。
S8では、MCU302は、設定されているワイヤWの結束力に応じて、ワイヤWの巻回数Nを設定する。本実施例では、ワイヤWの結束力が低く設定されている場合、すなわちワイヤWの結束力が1,2,3の何れかに設定されている場合に、ワイヤWの巻回数Nを1に設定し、ワイヤWの結束力が高く設定されている場合、すなわちワイヤWの結束力が4,5,6の何れかに設定されている場合に、ワイヤWの巻回数Nを2に設定する。
S10では、MCU302は、ワイヤWの巻回実行回数nを0に設定する。
S12では、MCU302は、捩りモータ140を逆回転で駆動する。これによって、初期状態復帰工程が開始する。
S14では、MCU302は、ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰するまで待機する。MCU302は、初期状態検出センサ205がオンとなり、かつ、捩りモータ140を流れる電流が第1所定電流値に達すると、ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰したと判断する。ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰すると(YESとなると)、処理はS16へ進む。
S16では、MCU302は、捩りモータ140を停止する。これによって、初期状態復帰工程が終了する。
S18では、MCU302は、送りモータ50を正回転で駆動する。これによって、送り出し工程が開始する。
S20では、MCU302は、ワイヤWの送り出しが完了するまで待機する。MCU302は、S18で送りモータ50が回転を開始してからの送りモータ50の回転回数が所定回転回数に達した時に、ワイヤWの送り出しが完了したと判断する。送りモータ50の回転回数は、ホールセンサ66の検出信号に基づいて特定することができる。送りモータ50の回転回数が所定回転回数に達すると(YESとなると)、処理はS22へ進む。
S22では、MCU302は、送りモータ50を停止する。これによって、送り出し工程が終了する。
S24では、MCU302は、捩りモータ140を正回転で駆動する。これによって、先端保持工程が開始する。
S26では、MCU302は、ワイヤWの先端を保持するまで待機する。MCU302は、先端保持検出センサ207がオンになると、ワイヤWの先端を保持したと判断する。ワイヤWの先端を保持すると(YESとなると)、処理はS28へ進む。
S28では、MCU302は、捩りモータ140を停止する。これによって、先端保持工程が終了する。
S30では、MCU302は、送りモータ50を逆回転で駆動する。これによって、引き戻し工程が開始する。
S32では、MCU302は、ワイヤWの引き戻しが完了するまで待機する。MCU302は、送りモータ50を流れる電流が第2所定電流値に達すると、ワイヤWの引き戻しが完了したと判断する。第2所定電流値は第1所定電流値よりも大きい。ワイヤWの引き戻しが完了すると(YESとなると)、処理はS34へ進む。
S34では、MCU302は、送りモータ50を停止する。これによって、引き戻し工程が終了する。
S36では、MCU302は、巻回実行回数nを1増加させる。
S38では、MCU302は、巻回実行回数nがS8で設定された巻回数Nより小さいか否かを判断する。巻回実行回数nが巻回数Nよりも小さい場合(YESの場合)、処理はS40へ進む。
図31に示すように、S40では、MCU302は、捩りモータ140を正回転で駆動する。これによって、終端保持工程が行われた後、切断工程が開始される。
S42では、MCU302は、ワイヤWの切断が完了するまで待機する。MCU302は、捩りモータ140を流れる電流が第3所定電流値に達した時に、ワイヤWの切断が完了したと判断する。第3所定電流値は、第1所定電流値や第2所定電流値よりも大きい。ワイヤWの切断が完了すると(YESとなると)、処理はS44へ進む。
S44では、MCU302は、捩りモータ140を停止する。これによって、切断工程が終了する。
S46では、MCU302は、捩りモータ140を逆回転で駆動する。これによって、初期状態復帰工程が開始する。
S48では、MCU302は、ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰するまで待機する。MCU302は、初期状態検出センサ205がオンとなると、ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰したと判断する。ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰すると(YESとなると)、処理はS50へ進む。
S50では、MCU302は、捩りモータ140を停止する。これによって、初期状態復帰工程が終了する。S50の後、図30に示すように、処理はS18へ戻る。
S38で、巻回実行回数nが巻回数N以上の場合(NOの場合)、処理はS52へ進む。
図32に示すように、S52では、MCU302は、捩りモータ140を正回転で駆動する。これによって、終端保持工程が実行された後、切断工程が開始する。
S54では、MCU302は、ワイヤWの捩りが完了するまで待機する。MCU302は、捩りモータ140を流れる電流が第3所定電流値に達した時に、ワイヤWの切断が完了したと判断する。ワイヤWの切断が完了すると(YESとなると)、処理はS56へ進む。これによって、切断工程が終了し、捩り工程が開始する。
S56では、MCU302は、ワイヤWの捩りが完了するまで待機する。MCU302は、S54の後、捩りモータ140を流れる電流がいったん低下し、その後に捩りモータ140を流れる電流が第4所定電流値に達した時に、ワイヤWの捩りが完了したと判断する。第4所定電流値は、第1所定電流値や第2所定電流値よりも大きく、第3所定電流値よりも小さい。ワイヤWの捩りが完了すると(YESとなると)、処理はS58へ進む。
S58では、MCU302は、捩りモータ140を停止する。これによって、捩り工程が終了する。
S60では、MCU302は、捩りモータ140を逆回転で駆動する。これによって、初期状態復帰工程が開始する。
S62では、MCU302は、ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰するまで待機する。MCU302は、初期状態検出センサ205がオンとなると、ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰したと判断する。ワイヤ捩り機構46が初期状態に復帰すると(YESとなると)、処理はS64へ進む。
S64では、MCU302は、捩りモータ140を停止する。これによって、初期状態復帰工程が終了する。S64の後、図30に示すように、処理はS6へ戻る。
(変形例)
鉄筋結束機2において、ユーザが、ワイヤWの結束力だけでなく、ワイヤWの巻回数も設定可能であってもよい。例えば、図1に示す第2操作表示部34が、結束力増加スイッチ34cと、結束力低減スイッチ34dの代わりに、結束力設定スイッチ(図示せず)と、巻回数設定スイッチ(図示せず)を備えていてもよい。この場合、設定表示LED34bは、通常時は消灯しており、巻回数設定スイッチが操作されると、点灯してワイヤWの巻回数の現在の設定に応じたワイヤWの結束力の推奨設定値を表示する。この状態から、巻回数設定スイッチが操作されると、ワイヤWの巻回数の設定値が1と2の間で切り替わり、それに応じて設定表示LED34bに表示されるワイヤWの結束力の推奨設定値も切り替わる。ワイヤWの巻回数が1に設定されている場合は、ワイヤWの結束力の推奨設定値は1となる。この状態から、結束力設定スイッチが操作されると、ワイヤWの結束力の現在の設定が推奨設定値とされた上で、設定表示LED34bにワイヤWの結束力の現在の設定が表示される。その後、結束力設定スイッチが操作されるごとに、ワイヤWの結束力の設定は1段階ずつ上がっていき、ワイヤWの結束力の設定値が6の状態から、結束力設定スイッチが操作されると、ワイヤWの結束力の設定値は1に戻る。ワイヤWの巻回数が2に設定されている場合は、ワイヤWの結束力の推奨設定値は6となる。この状態から、結束力設定スイッチが操作されると、ワイヤWの結束力の現在の設定が推奨設定値とされた上で、設定表示LED34bにワイヤWの結束力の現在の設定が表示される。その後、結束力設定スイッチが操作されるごとに、ワイヤWの結束力の設定は1段階ずつ下がっていき、ワイヤWの結束力の設定値が1の状態から、結束力設定スイッチが操作されると、ワイヤWの結束力の設定値は6に戻る。設定表示LED34bがワイヤWの結束力の現在の設定を表示した状態で、結束力設定スイッチや巻回数設定スイッチが操作されないまま所定時間が経過すると、設定表示LED34bは再び消灯する。なお、ユーザが、ワイヤWの巻回数も設定可能である場合、図30に示す処理のS8において、MCU302が、第2操作表示部34で設定されているワイヤWの巻回数をワイヤWの巻回数Nに設定することで、鉄筋結束機2は、設定されたワイヤWの巻回数に応じた結束動作を実行することができる。
上記の実施例および変形例において、鉄筋結束機2は、ワイヤWを鉄筋Rの周りに3周以上巻回して、3本以上のワイヤWを同時に捩る結束動作を実行可能としてもよい。この場合、ワイヤWを鉄筋Rの周りに1周送り出すごとに、ワイヤWの先端の保持と、ワイヤWの引き戻しと、ワイヤWの切断を行ってもよい。
上記の実施例および変形例において、図30のS14において、MCU302は、捩りモータ140を流れる電流が第1所定電流値に達するか否かを判断する代わりに、捩りモータ140の回転速度が第1所定回転速度まで低減するか否かを判断してもよい。捩りモータ140の回転速度は、ホールセンサ156の検出信号から特定することができる。同様に、図30のS32において、MCU302は、送りモータ50を流れる電流が第2所定電流値に達するか否かを判断する代わりに、送りモータ50の回転速度が第2所定回転速度まで低減するか否かを判断してもよい。送りモータ50の回転速度は、ホールセンサ66の検出信号から特定することができる。同様に、図31のS42および図32のS54において、MCU302は、捩りモータ140を流れる電流が第3所定電流値に達するか否かを判断する代わりに、捩りモータ140の回転速度が第3所定回転速度まで低減するか否かを判断してもよい。同様に、図32のS56において、MCU302は、捩りモータ140を流れる電流が第4所定電流値に達するか否かを判断する代わりに、捩りモータ140の回転速度が第4所定回転速度まで低減するか否かを判断してもよい。
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、鉄筋Rの周りにワイヤWを送り出し、ワイヤWの先端近傍を把持し、ワイヤWを引き戻し、ワイヤWを切断する巻回工程と、ワイヤWを捩る捩り工程を実行可能である。鉄筋結束機2は、ユーザから鉄筋Rの結束を指示された時に、巻回工程を複数回行った後に、捩り工程を行う、複数回巻回方式の結束動作を実行可能である。
上記の構成によれば、巻回工程において、鉄筋Rの周りにワイヤWを送り出した後に、ワイヤWの引き戻しを行ったうえで、ワイヤWを切断しているので、鉄筋Rの周りに巻回されたワイヤWの巻回径を小さなものとすることができる。この場合、捩り工程において、小さな巻回径で巻回されたワイヤWを捩ることになるので、ワイヤWの捩れ部分が不均等になりにくく、捩り工程を終了した時のワイヤWの結束力にばらつきが生じることを抑制することができる。また、1度の結束作業において消費するワイヤWの量を少なくすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、ユーザから鉄筋Rの結束を指示された時に、巻回工程を1回行った後に、捩り工程を行う、1回巻回方式の結束動作も実行可能である。
上記の構成によれば、状況に応じて、鉄筋Rの周りにワイヤWを1周巻回して捩ることもできるし、鉄筋Rの周りにワイヤWを複数周巻回して捩ることもできる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2では、巻回工程を1回行うと、鉄筋Rの周りにワイヤWが1周巻回される。
仮に、鉄筋Rの周りにワイヤWを複数周送り出してから、ワイヤWの引き戻しと切断を行う構成とした場合、ワイヤWの巻回径が不均一になるおそれがある。上記の構成によれば、鉄筋Rの周りにワイヤWを1周送り出すごとに、ワイヤWの引き戻しと切断を行うので、ワイヤWの巻回径を均一にすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2では、ユーザが、捩り工程におけるワイヤWの結束力を設定可能である。巻回工程を行う回数は、設定された結束力に応じて決定される。
ワイヤWの結束力を強くする場合、それだけワイヤWの巻回数を多くする必要がある。上記の構成によれば、ユーザが設定した結束力に応じて、ワイヤWの巻回数を自動的に決定することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2では、ユーザが、巻回工程におけるワイヤWの巻回数を設定可能である。巻回工程を行う回数は、設定された巻回数に応じて決定される。
上記の構成によれば、ユーザが望む巻回数でワイヤWを巻回することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、ワイヤWを切断するワイヤ切断機構44(切断機構の例)と、ワイヤ切断機構44を駆動する捩りモータ140(モータの例)を備えている。鉄筋結束機2は、巻回工程において、捩りモータ140の負荷に基づいて、ワイヤWが切断されたか否かを判断する。
上記の構成では、ワイヤ切断機構44がワイヤWを切断する際に、捩りモータ140の負荷が増大し、ワイヤ切断機構44がワイヤWを切断した後は、捩りモータ140の負荷が低減する。上記の構成によれば、このような捩りモータ140の負荷の変動に着目して、ワイヤWの切断を検出するので、ワイヤWの切断を検出するための特別なセンサを用いることなく、ワイヤWが切断されたか否かを判断することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、巻回工程において、捩りモータ140の回転速度または捩りモータ140を流れる電流が所定の条件を満たす場合に、ワイヤWが切断されたと判断する。
捩りモータ140の負荷が増大すると、捩りモータ140の回転速度は低減し、捩りモータ140を流れる電流は増大する。上記の構成によれば、捩りモータ140の回転速度を検出するホールセンサ156や、捩りモータ140を流れる電流を検出する電流検出回路316を利用して、ワイヤWが切断されたか否かを判断することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、鉄筋Rの周りにワイヤWを送り出すワイヤ送り機構38(送り機構の例)と、ワイヤWを捩るワイヤ捩り機構46(捩り機構の例)と、ワイヤ送り機構38およびワイヤ捩り機構46の動作を制御する制御回路基板36(制御部の例)と、ユーザがワイヤWの結束力を設定する第2操作表示部34(設定部の例)を備えている。制御回路基板36は、設定された結束力に応じて、ワイヤWの巻回数を決定する。
ワイヤWの結束力を強くする場合、それだけワイヤWの巻回数を多くする必要がある。上記の構成によれば、ユーザが設定した結束力に応じて、ワイヤWの巻回数を自動的に決定することができる。