JP2023127598A - 結束機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワイヤに張力をかける弾性体を捩じる力が発生することを抑制できるようにした結束機を提供する。【解決手段】鉄筋結束機1Aは、モータ80により駆動されて回転する回転軸72と、回転軸72の回転に連動して回転軸72の軸方向に移動するとともに、回転軸72を中心に回転するスリーブ71と、回転軸72の軸方向に沿ったスリーブ71の移動により圧縮されるとともに、伸長する力で鉄筋を結束するワイヤに張力をかける張力付与バネ92と、スリーブ71の回転により張力付与バネ92を捩じる力が発生することを抑制する抑制部材93を備える。【選択図】図2B
Description
鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。
鉄筋をワイヤで結束する場合、結束が緩いと、鉄筋同士がずれてしまうため、鉄筋同士を強固に保持することが求められている。そこで、鉄筋に巻いたワイヤを捩じる捩じり手段を鉄筋に接近または離間可能に設け、捩じり手段をコイルバネで鉄筋から離れる方向である後方向に付勢し、ワイヤに張力をかけながらねじることで、結束力を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
捩じり手段でワイヤを捩じる動作で、コイルバネを捩じる力が発生する。しかし、圧縮、伸長によりワイヤに張力をかけるコイルバネに対し、これを捩じる力が発生すると、コイルバネの耐久性が低下する。
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、ワイヤに張力をかける弾性体を捩じる力が発生することを抑制できるようにした結束機を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、モータにより駆動されて回転する回転軸と、回転軸の回転に連動して回転軸の軸方向に移動するとともに、回転軸を中心に回転する移動体と、回転軸の軸方向に沿った移動体の移動により圧縮されるとともに、伸長する力で結束物を結束するワイヤに張力をかける弾性体と、移動体の回転により弾性体を捩じる力が発生することを抑制する抑制部材とを備えた結束機である。
本発明では、ワイヤで鉄筋などの結束物を結束する結束機において、回転軸の軸方向に沿った移動体の移動により圧縮される弾性体に、移動体の回転により捩じる力が発生することが抑制される。
本発明によれば、圧縮、伸長により所望の機能を発揮する弾性体を捩じる力が発生することを抑制できるので、弾性体の耐久性を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図、図2Aは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す一部側断面図、図2B、図2Cは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す斜視図である。
図1は、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図、図2Aは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す一部側断面図、図2B、図2Cは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す斜視図である。
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2Aと、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aと、ワイヤ送り部3Aに送られるワイヤWをガイドするワイヤガイド4Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5Aと、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6Aを備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7Aと、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。
マガジン2Aは収容部の一例で、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。リール20は、1本または複数本のワイヤWが図示しないハブ部に巻かれ、リール20から1本または同時に複数本のワイヤWを引き出せるようになっている。
ワイヤ送り部3Aは、1本または並列された複数本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3Aは、図示しない送りモータの回転動作が伝達されて送りギア30が回転する。これにより、ワイヤ送り部3Aは、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
ワイヤ送り部3Aは、図示しない送りモータの回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
ワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、送りギア30の上流側に配置される。ワイヤガイド4Aは、鉄筋結束機1Aが2本のワイヤWで鉄筋を結束する構成では、進入してきた2本のワイヤWを、一対の送りギア30の並ぶ方向に沿って並列させて、一対の送りギア30の間にガイドする。
ワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して上流側の開口が下流側の開口に比べて開口面積が大きく構成され、開口の内面の一部または全てがテーパ状となっている。これにより、マガジン2Aに収納されたリール20から引き出したワイヤWをワイヤガイド4Aに挿入する動作が容易に行える。
カール形成部5Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド51を備える。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの経路がカール形成部5Aで規制されることで、ワイヤWの軌跡が図1に二点鎖線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
切断部6Aは、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7Aの動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6Aは、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。伝達機構62は、軸62aを支点に回転する第1のリンク62bと、第1のリンク62bと可動刃部61を連結する第2のリンク62cを備え、第1のリンク62bの回転動作が、第2のリンク62cを介して可動刃部61に伝達される。
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70を備える。結束部7Aの詳細な実施形態は後述する。駆動部8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWの送り経路に、ワイヤWの先端が突き当てられる送り規制部90を備える。また、鉄筋結束機1Aは、上述したカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10Aの前側の端部に設けられる。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91が、本体部10Aの前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
また、鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aが本体部10Aから下方向に延在する。更に、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2Aがハンドル部11Aの前方に設けられる。鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3A、切断部6A、結束部7A,結束部7Aを駆動する駆動部8A等が本体部10Aに収納される。
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aの前側にトリガ12Aが設けられ、ハンドル部11Aの内部にスイッチ13Aが設けられる。鉄筋結束機1Aは、トリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Aがモータ80及び図示しない送りモータを制御する。
図3Aは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成を示す側面図、図3Bは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成を示す上面図、図3Cは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成を示す上面断面図である。次に、各図を参照して、結束部7Aの詳細、及び、結束部7Aと駆動部8Aの連結構造について説明する。
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させる回転軸72を備える。結束部7Aと駆動部8Aは、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rと、回転軸72の回転動作と連動して、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rを作動させるスリーブ71とを備える。
結束部7Aにおいて、センターフック70C及び第1のサイドフック70L、第2のサイドフック70Rが設けられた側を前側、回転軸72が減速機81と連結される側を後側とする。
センターフック70Cは、回転軸72の一方の端部である前端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
第1のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して一方の側部に位置する。また、第1のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
第2のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して他方の側部に位置する。また、第2のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
これにより、ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
回転軸72は、減速機81と一体的に回転可能、かつ、減速機81に対して軸方向に移動可能とする構成を有した連結部72bを介して、他方の端部である後端が減速機81に連結される。連結部72bは、回転軸72を減速機81に近づく方向である後方へ付勢し、軸方向に沿った回転軸72の位置を規制するバネ72cを備える。これにより、回転軸72は、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら、減速機81から離れる方向である前方へ移動可能に構成される。よって、回転軸72は、軸方向に沿ってワイヤ係止体70を前方に移動させる力が加わると、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動可能である。
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向の端部から、回転軸72の軸方向に沿った所定の長さの範囲が、径方向に2分割された形状で、第1のサイドフック70L、第2のサイドフック70Rが入る形状である。また、スリーブ71は、回転軸72の周囲を覆う筒状で、回転軸72が挿入される筒状の空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は移動体の一例であり、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である前後方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72を中心に回転軸72と一体的に回転する。
スリーブ71は、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rを開閉する開閉ピン71aを備える。
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A2で示す後方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
これにより、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Lとの間を通るワイヤWは、カール形成部5Aに誘導される。そして、カール形成部5Aで巻き癖が付けられ、結束部7Aに誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間を通る。
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して閉じる。
第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
ワイヤ係止体70は、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1と、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。曲げ部71c1及び曲げ部71c2は、本例では、スリーブ71の矢印A1で示す前方向の端部に形成される。
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
結束部7Aは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、スリーブ71に回転規制羽根74aが設けられ、本体部10Aに回転規制爪74bが設けられる。
回転規制羽根74aは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。回転規制羽根74aは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
回転規制部74は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けた後切断し、更に、スリーブ71の曲げ部71c1、71c2でワイヤWを折り曲げて成形する動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止される。回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されると、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、回転軸72の回転動作でスリーブ71が前後方向へ移動する。
また、回転規制部74は、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域では、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除される。回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。ワイヤ係止体70は、スリーブ71の回転と連動して、ワイヤWを係止したセンターフック70C、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが回転する。
回転軸72の軸方向に沿ったスリーブ71及びワイヤ係止体70の動作域において、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する動作域を第1の動作域と称す。また、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWを切断部6Aで切断する動作域を第2の動作域と称す。更に、切断部6Aで切断されたワイヤWをスリーブ71の曲げ部71c1、71c2で折り曲げて成形する動作域を第3の動作域と称す。更に、ワイヤWを捩じる動作域を第4の動作域と称す。
結束部7Aは、伝達部材83がスリーブ71と連動して移動可能に設けられる。伝達部材83は、スリーブ71に対して回転可能に取り付けられ、スリーブ71の回転には非連動で、スリーブ71と連動して前後方向に移動する。
伝達部材83は、伝達機構62の第1のリンク62bと係合する係合部83aを備える。結束部7Aは、伝達部材83がスリーブ71と連動して前後方向に移動すると、係合部83aが第1のリンク62bと係合し、第1のリンク62bを回転させる。伝達機構62は、第1のリンク62bの回転動作を、第2のリンク62cを介して可動刃部61に伝達し、可動刃部61を回転させる。これにより、スリーブ71が前方向に移動する動作で可動刃部61が所定の方向に回転し、ワイヤWが切断される。
結束部7Aは、ワイヤWに張力を与えた状態で結束を行えるようにする張力付与バネ92を備える。張力付与バネ92は弾性体の一例で、スリーブ71及びワイヤ係止体70を、回転軸72の軸方向に沿って突き当て部91から離れる方向に付勢する。張力付与バネ92は、例えば、軸方向に伸縮するコイルバネで構成され、回転規制羽根74aと、スリーブ71を回転及び軸方向に摺動可能に支持する支持部材76dとの間で、スリーブ71の外周に嵌められる。張力付与バネ92がコイルバネで構成される場合、スリーブ71の外径より張力付与バネ92の内径が大きく構成される。
張力付与バネ92は、回転軸72の軸方向に沿って矢印A1で示す前方向にスリーブ71が移動すると、支持部材76dと回転規制羽根74aとの間で圧縮される。圧縮された張力付与バネ92は、伸長しようとする力で、スリーブ71を回転軸72の軸方向に沿って突き当て部91から離れる方向である矢印A2で示す後方向へ付勢する。
これにより、張力付与バネ92は、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWに掛かる張力を維持する方向に、スリーブ71及びこのスリーブ71を備えたワイヤ係止体70を付勢し、鉄筋Sに巻き付けられた後に切断部6Aで切断されるワイヤWに、この鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWが緩む方向に掛かる力より大きな力で張力を付与する。
すなわち、鉄筋SにワイヤWを巻き付ける動作によってワイヤWに掛かる張力の反力が、ワイヤWを係止したワイヤ係止体70に掛かることで、回転軸72の軸方向に沿った前方向にワイヤ係止体70を移動させようとする力がワイヤ係止体70に掛かる。ワイヤ係止体70は、回転軸72がバネ72cにより軸方向に沿った後方向へ押される力を受けながら、回転軸72とともに前方向に移動可能に構成される。このため、ワイヤWを係止したワイヤ係止体70が回転軸72の軸方向に沿った前方向に移動すると、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWが緩む。
これに対し、ワイヤ係止体70は、圧縮された張力付与バネ92が伸長しようとする力によって、スリーブ71が後方向へ押される力を受ける。圧縮された張力付与バネ92が伸長しようとする力は、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWに掛かる張力の反力で、ワイヤ係止体70を前方向に移動させようとする力より強く、ワイヤ係止体70が前方向に移動することが抑制される。これにより、ワイヤWに張力を与えた状態で結束を行えるようになる。
図4は、抑制部材の一例を示す平面図であり、次に、各図を参照して、張力付与バネ92を捩じる力が発生することを抑制する構成について説明する。鉄筋結束機1Aは、張力付与バネ92を捩じる力が発生することを抑制する抑制部材93を備える。
抑制部材93は板状で、スリーブ71において張力付与バネ92が通される部位の直径より若干大きな直径の穴部93aが、表裏を貫通して開けられる。抑制部材93は、張力付与バネ92と回転規制羽根74aの間のスリーブ71が穴部93aに通されることで、張力付与バネ92と回転規制羽根74aの間に設けられる。また、抑制部材93は、張力付与バネ92と回転規制羽根74aの間で、スリーブ71に対して回転可能に支持されるとともに、スリーブ71に対して回転軸72の軸方向に移動可能に支持される。
抑制部材93は、アーム部63と係合する回転抑制部93bを備える。アーム部63は板状で、矢印A1、A2で示すスリーブ71の移動方向である前後方向に延伸する。アーム部63においてスリーブ71と対向する辺は、回転軸72の軸方向と平行である。アーム部63は、本例では切断部6Aを本体部10Aに取り付けるために設けられ、固定刃部60と軸62aがアーム部63に取り付けられる。可動刃部61は、固定刃部60に回転可能に支持され、第1のリンク62bは、軸62aに回転可能に支持される。
回転抑制部93bは、アーム部63の板厚より若干広い幅で開口した溝で構成され、スリーブ71に抑制部材93が支持されると、溝にアーム部63が入る形態でアーム部63と係合する。
これにより、抑制部材93は、スリーブ71及び回転規制羽根74aの回転に追従した回転が抑制された状態で、スリーブ71に対して回転軸72の軸方向に沿った前後方向に移動可能に支持されるとともに、スリーブ71及び回転規制羽根74aの前後方向への移動と連動して前後方向に移動する。
抑制部材93は、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動すると、張力付与バネ92で回転規制羽根74aに押圧される力を受けながら、回転規制羽根74aに押されて支持部材76dに近づく方向に移動する。また、抑制部材93は、スリーブ71が回転すると、張力付与バネ92で回転規制羽根74aに押圧される力を受けながら、回転規制羽根74aに押されて回転方向の力を受ける。
但し、抑制部材93は、回転抑制部93bがアーム部63に係合していることで、スリーブ71及び回転規制羽根74aの回転に追従した回転が抑制された状態で、支持部材76dに近づく方向に移動する。
張力付与バネ92は、一方の端部である前端側が支持部材76dと対向する。支持部材76dは、少なくとも一部は、本体部10Aに対して非回転な部位を有し、この支持部材76dにおいて本体部10Aに対する非回転な部位に、張力付与バネ92の前端側が押圧される。支持部材76dは、本例では一体構造の軸受けで構成され、本体部10Aに嵌められており、その全体が本体部10Aに対して回転しない。
張力付与バネ92は、他方の端部である後端側が抑制部材93と対向する。抑制部材93は、張力付与バネ92の後端側が押圧される。抑制部材93は、少なくとも張力付与バネ92が押圧される部位が、スリーブ71の回転に追従した回転が抑制される構成で、本例では、上述したように、抑制部材93の全体が本体部10Aに対して回転せず、スリーブ71の回転に追従した回転が抑制される
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
図5A、図5B、図5C、図5D、図5E、図5F、図5G及び図5Hは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。図5Aは、鉄筋Sが結束可能な位置に入れられた状態を示す。図5Bは、ワイヤWを正方向に送り、鉄筋Sに巻き回す動作を示す。図5Cは、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを係止する動作を示す。図5Dは、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作を示す。図5Eは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの余剰分を切断する動作を示す。図5Fは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを曲げる動作を示す。図5G、図5Hは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる動作を示す。
図5A、図5B、図5C、図5D、図5E、図5F、図5G及び図5Hは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。図5Aは、鉄筋Sが結束可能な位置に入れられた状態を示す。図5Bは、ワイヤWを正方向に送り、鉄筋Sに巻き回す動作を示す。図5Cは、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを係止する動作を示す。図5Dは、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作を示す。図5Eは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの余剰分を切断する動作を示す。図5Fは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを曲げる動作を示す。図5G、図5Hは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる動作を示す。
次に、各図を参照して、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが一対の送りギア30の間に挟持され、このワイヤWの先端が、送りギア30の挟持位置と、切断部6Aの固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、スリーブ71及びスリーブ71に第1のサイドフック70L、第2のサイドフック70R、センターフック70Cが取り付けられたワイヤ係止体70が、矢印A2で示す後方向に移動し、図3B等の示すように、第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開いた状態である。更に、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、回転規制羽根74aが張力付与バネ92から離れており、スリーブ71及びワイヤ係止体70が、張力付与バネ92で後方に付勢されていない。
図5Aに示すように、鉄筋Sがカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、図示しない送りモータが正回転方向に駆動され、図5Bに示すように、ワイヤ送り部3AでワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる。
複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成の場合、ワイヤガイド4Aにより、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通り、カール形成部5Aのカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3Aで正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間に誘導される。そして、ワイヤWは、先端が送り規制部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤWの先端が送り規制部90に突き当てられる位置まで送られると、図示しない送りモータの駆動が停止される。
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、図5Cに示すように、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
スリーブ71が前方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、スリーブ71及びワイヤ係止体70が、張力付与バネ92で後方に付勢されておらず、スリーブ71及びワイヤ係止体70が前方向である矢印A1方向に移動する動作で、張力付与バネ92による負荷が掛からない。
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが閉じる動作でワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、図示しない送りモータを逆回転方向に駆動する。
これにより、一対の送りギア30が逆転し、図5Dに示すように、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、図示しない送りモータの逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を更に矢印A1で示す前方向に移動させる。図5Eに示すように、スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。鉄筋結束機1Aは、スリーブ71及びワイヤ係止体70を前方向に移動させて、ワイヤWを切断する第2の動作域では、回転規制羽根74aが抑制部材93を介して張力付与バネ92に接し、張力付与バネ92が支持部材76dと回転規制羽根74aとの間で圧縮されて、スリーブ71及びワイヤ係止体70が張力付与バネ92で後方へ付勢される。
ワイヤWが切断されると、可動刃部61に掛かる荷重が無くなる。可動刃部61は、伝達機構62の第2のリンク62c、第1のリンク62b、伝達部材83を介してスリーブ71と連結されている。これにより、可動刃部61に掛かる荷重が無くなると、可動刃部61に掛かる荷重によりスリーブ71の移動を規制する力が低下する。
上述したワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作では、ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWに掛かる張力が増加する。これにより、ワイヤWに掛かる張力の反力で、スリーブ71を前方向に移動させようとする力がスリーブ71に掛かる。このため、ワイヤWが切断されて可動刃部61に掛かる荷重が無くなり、可動刃部61に掛かる荷重によりスリーブ71の移動を規制する力が低下すると、スリーブ71が前方向に移動しようとする。
スリーブ71が前方向に移動すると、スリーブ71にセンターフック70C、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが取り付けられたワイヤ係止体70で係止されたワイヤWを、後方向に引っ張る力が低下し、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWが、捩じる前に緩む。
これに対し、本実施の形態では、スリーブ71は、ワイヤWを切断する第2の動作域では、スリーブ71が前方向に移動する動作によって支持部材76dと回転規制羽根74aとの間で圧縮された張力付与バネ92により後方向に付勢されている。圧縮された張力付与バネ92が伸長しようとすることで、スリーブ71を後方に付勢する力は、鉄筋Sに巻き付けられることでワイヤWに掛かる張力の反力より強い。このため、ワイヤWが切断されて可動刃部61に掛かる荷重が無くなり、可動刃部61に掛かる荷重によりスリーブ71の移動を規制する力が低下しても、スリーブ71の前方向への移動が抑制される。
スリーブ71の前方向への移動が抑制されることで、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWを後方に引っ張る力が低下することが抑制される。これにより、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作でワイヤWに掛かる張力が維持され、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWが、捩じる前に緩むことが抑制される。張力付与バネ92は、コイルバネがスリーブ71の外周に設けられる構成であるので、バネの径等の制約が少なく、付勢力を向上させることができる。
鉄筋結束機1Aは、上述したように、ワイヤWを切断する第2の動作域で、スリーブ71及びワイヤ係止体70が張力付与バネ92で後方向へ付勢されることで、スリーブ71の前方向への移動を抑制することができる。一方、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域で、スリーブ71及びワイヤ係止体70が張力付与バネ92で後方へ付勢されると、モータ80に掛かる負荷が増加する。
そこで、鉄筋結束機1Aは、上述したように、待機状態では、回転規制羽根74aが張力付与バネ92から離れており、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、スリーブ71及びワイヤ係止体70が、張力付与バネ92で後方に付勢されていない。これにより、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、スリーブ71及びワイヤ係止体70が前方向である矢印A1方向に移動する動作で、張力付与バネ92がスリーブ71及びワイヤ係止体70を後方向へ付勢する荷重による負荷が掛からない。よって、張力付与バネ92による荷重が不要な領域でのモータ80に掛かる負荷の増加を抑制できる。
一方、回転軸72は、減速機81と一体的に回転可能、かつ、減速機81に対して軸方向に移動可能とする構成を有した連結部72bを介して減速機81に連結される。待機位置からワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域で、スリーブ71及びワイヤ係止体70が、張力付与バネ92で後方に付勢されていないことで、第1の動作域では、張力付与バネ92で回転軸72の軸方向の位置を規制できない。そこで、連結部72bは、回転軸72を減速機81に近づく方向である後方へ付勢するバネ72cを備える。これにより、回転軸72は、バネ72cによる付勢力を超えて、前方向に移動させる力が加わらなければ、バネ72cにより後方へ押される力を受けて位置が規制される。
従って、バネ72cと独立して張力付与バネ92を設けることで、所望の領域で、ワイヤWの緩みを抑制するために必要な荷重を掛けることができ、ワイヤWを切断する第2の動作域では、スリーブ71及びワイヤ係止体70を張力付与バネ92で後方に付勢することができるので、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWが、捩じる前に緩むことを抑制できる効果が得られる。この効果に加え、張力付与バネ92の付勢による荷重が不要な領域でのモータ80に掛かる負荷の増加を抑制することで、結束1サイクル全体でモータ80等に掛かる負荷が増加することを抑制でき、部品の耐久性の低下を抑制できる。更に、バネ72cを設けることで、張力付与バネ92による付勢力が掛からない領域で、回転軸72が不用意に移動することを抑制できる。
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させてワイヤWを切断するとほぼ同時に、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、図5Fに示すように、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第1のサイドフック70Lとセンターフックとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。ワイヤWを折り曲げて成形する第3の動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止され。スリーブ71は非回転で前方向に移動する。
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる第4の動作域に到達すると、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除される。
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWが捩じられる。
結束部7Aは、スリーブ71が回転してワイヤWを捩じる第4の動作域では、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWが捩じられることで、ワイヤ係止体70が回転軸72の軸方向に沿って前方に引っ張られる力が加わる。一方、スリーブ71が回転可能となる位置まで前方向に移動することにより、張力付与バネ92が更に圧縮され、スリーブ71が張力付与バネ92により後方向へ押される力を受ける。
これにより、ワイヤ係止体70及び回転軸72は、軸方向に沿って前方に移動させる力がワイヤ係止体70に加わると、図5Gに示すように、スリーブ71が張力付与バネ92により後方へ押される力を受けると共に、回転軸72がバネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動し、前方へ移動しながらワイヤWを捩じる。
よって、ワイヤWは、ワイヤ係止体70で係止された部位が後方に引っ張られ、鉄筋Sの接線方向に張力が加わり、鉄筋Sに密着するように引っ張られる。結束部7Aは、スリーブ71が回転してワイヤWを捩じる第4の動作域で、回転軸72と連動してワイヤ係止体70が更に回転すると、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなる方向である前方向にワイヤ係止体70及び回転軸72が移動しながら、ワイヤWを更に捩じる。
従って、図5Hに示すように、ワイヤWは、ワイヤ係止体70及び回転軸72が、張力付与バネ92及びバネ72cにより後方へ押される力を受けた状態で前方へ移動しながら捩じられることで、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなり、鉄筋Sに沿うような形態で鉄筋Sに密着する。これにより、ワイヤWを捩じる前の弛みを除去し、ワイヤWを鉄筋Sに密着させた状態で結束することができる。
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、回転軸72の逆回転に追従してスリーブ71が逆回転すると、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、ワイヤ係止体70からワイヤWが抜ける。
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例>
上述したように、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することにより、張力付与バネ92が圧縮される動作で、張力付与バネ92の一方の端部である前端側は、スリーブ71を支持する支持部材76dに押圧される。支持部材76dは本体部10Aに嵌められており、スリーブ71が回転しても回転しない。これにより、スリーブ71が前方向に移動した後に回転しても、張力付与バネ92の先端側を回転させようとする力は張力付与バネ92に掛からない。
上述したように、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することにより、張力付与バネ92が圧縮される動作で、張力付与バネ92の一方の端部である前端側は、スリーブ71を支持する支持部材76dに押圧される。支持部材76dは本体部10Aに嵌められており、スリーブ71が回転しても回転しない。これにより、スリーブ71が前方向に移動した後に回転しても、張力付与バネ92の先端側を回転させようとする力は張力付与バネ92に掛からない。
抑制部材93を備えておらず、張力付与バネ92の他方の端部である後端側が、回転規制羽根74aと直接接する構成、または、スリーブ71及び回転規制羽根74aに追従して回転する部材と接するような構成を考える。このような構成では、スリーブ71及び回転規制羽根74aが回転すると、張力付与バネ92の後端側が、スリーブ71及び回転規制羽根74aの回転に追従して回転しようとすることで、張力付与バネ92を捩じる力が発生する。
これに対し、抑制部材93を備えた構成では、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動すると、スリーブ71とともに前方向に移動する回転規制羽根74aが抑制部材93と接する。スリーブ71及び回転規制羽根74aがさらに前方向へ移動すると、抑制部材93が張力付与バネ92に押し付けられ、抑制部材93が張力付与バネ92と回転規制羽根74aとの間に挟まれる。また、スリーブ71を支持する支持部材76dと、抑制部材93を介した回転規制羽根74aとの間で、張力付与バネ92が圧縮される。
抑制部材93が張力付与バネ92と回転規制羽根74aとの間に挟まれた状態で、スリーブ71が回転すると、圧縮された張力付与バネ92が伸長しようとする力で抑制部材93が回転規制羽根74aに押し付けられることで、スリーブ71とともに回転する回転規制羽根74aにより抑制部材93を回転させようとする力が掛かる。
但し、抑制部材93は、回転抑制部93bがアーム部63に係合して回転が規制されていることから、スリーブ71及び回転規制羽根74aに追従して回転しない。
張力付与バネ92の後端側は、圧縮された張力付与バネ92が伸長しようとする力で抑制部材93に押し付けられているが、抑制部材93がスリーブ71及び回転規制羽根74aに追従して回転しないことで、スリーブ71及び回転規制羽根74aが回転しても、張力付与バネ92の後端側を回転させようとする力は張力付与バネ92に掛からない。これにより、スリーブ71が前方向に移動した後に回転しても、張力付与バネ92を捩じる力が発生することが抑制され、コイルバネである張力付与バネ92に、圧縮される方向及び伸長する方向以外の方向の負荷が掛かることが抑制される。したがって、張力付与バネ92の耐久性を向上させることができる。
<第2の実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図6は、第2の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す一部側断面図である。なお、第2の実施の形態の鉄筋結束機1Bの全体構成は、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aと同等であり、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aと同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図6は、第2の実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す一部側断面図である。なお、第2の実施の形態の鉄筋結束機1Bの全体構成は、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aと同等であり、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aと同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態の鉄筋結束機1Bは、張力付与バネ92を捩じる力が発生することを抑制する抑制部材94を備える。抑制部材94はベアリングで構成され、張力付与バネ92の一方の端部である前端側でスリーブ71を本体部10Aに対して回転可能に支持する。抑制部材94は、スリーブ71を支持するベアリングの内輪部94aがスリーブ71に連動して回転し、本体部10Aに嵌められたベアリングの外輪部94bは回転しない。
スリーブ71は、抑制部材94と張力付与バネ92の間にスペーサ95が入れられる。スペーサ95は環状で、抑制部材94を構成するベアリングの内輪部94aと接し、スリーブ71及び抑制部材94の内輪部94aに追従して回転する。張力付与バネ92は、前端側がスペーサ95と接し、スペーサ95を介してスリーブ71及び抑制部材94の内輪部94aに追従して回転可能である。
<第2の実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
図7A、図7B、図7C、図7D、図7E、図7F、図7G及び図7Hは、第2の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。図7Aは、鉄筋Sが結束可能な位置に入れられた状態を示す。図7Bは、ワイヤWを正方向に送り、鉄筋Sに巻き回す動作を示す。図7Cは、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを係止する動作を示す。図7Dは、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作を示す。図7Eは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの余剰分を切断する動作を示す。図7Fは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを曲げる動作を示す。図7G、図7Hは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる動作を示す。
図7A、図7B、図7C、図7D、図7E、図7F、図7G及び図7Hは、第2の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。図7Aは、鉄筋Sが結束可能な位置に入れられた状態を示す。図7Bは、ワイヤWを正方向に送り、鉄筋Sに巻き回す動作を示す。図7Cは、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを係止する動作を示す。図7Dは、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作を示す。図7Eは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの余剰分を切断する動作を示す。図7Fは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを曲げる動作を示す。図7G、図7Hは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる動作を示す。
次に、各図を参照して、第2の実施の形態の鉄筋結束機1Bにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
鉄筋結束機1Bは、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aと同様に待機状態で、図7Aに示すように、鉄筋Sがカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、図示しない送りモータが正回転方向に駆動され、図7Bに示すように、ワイヤ送り部3AでワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる。
2本のワイヤWを送る構成の場合、ワイヤガイド4Aにより、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通り、カール形成部5Aのカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3Aで正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間に誘導される。そして、ワイヤWは、先端が送り規制部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤWの先端が送り規制部90に突き当てられる位置まで送られると、図示しない送りモータの駆動が停止される。
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、図7Cに示すように、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
スリーブ71が前方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、スリーブ71及びワイヤ係止体70が、張力付与バネ92で後方に付勢されておらず、スリーブ71及びワイヤ係止体70が前方向である矢印A1方向に移動する動作で、張力付与バネ92による負荷が掛からない。
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが閉じる動作でワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、図示しない送りモータを逆回転方向に駆動する。
これにより、一対の送りギア30が逆転し、図7Dに示すように、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、図示しない送りモータの逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を更に矢印A1で示す前方向に移動させる。図7Eに示すように、スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。鉄筋結束機1Bは、スリーブ71及びワイヤ係止体70を前方向に移動させて、ワイヤWを切断する第2の動作域では、回転規制羽根74aが張力付与バネ92に接し、張力付与バネ92が抑制部材94と回転規制羽根74aとの間で圧縮されて、スリーブ71及びワイヤ係止体70が張力付与バネ92で後方へ付勢される。
スリーブ71は、ワイヤWを切断する第2の動作域では、スリーブ71が前方向に移動する動作によって抑制部材94と回転規制羽根74aとの間で圧縮された張力付与バネ92により後方向に付勢されている。このため、スリーブ71の前方向への移動が抑制されることで、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWを後方に引っ張る力が低下することが抑制される。これにより、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作でワイヤWに掛かる張力が維持され、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWが、捩じる前に緩むことが抑制される。
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させてワイヤWを切断するとほぼ同時に、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、図7Fに示すように、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第1のサイドフック70Lとセンターフックとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。ワイヤWを折り曲げて成形する第3の動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止され。スリーブ71は非回転で前方向に移動する。
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる第4の動作域に到達すると、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除される。
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWが捩じられる。
結束部7Aは、スリーブ71が回転してワイヤWを捩じる第4の動作域では、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWが捩じられることで、ワイヤ係止体70が回転軸72の軸方向に沿って前方に引っ張られる力が加わる。一方、スリーブ71が回転可能となる位置まで前方向に移動することにより、張力付与バネ92が更に圧縮され、スリーブ71が張力付与バネ92により後方向へ押される力を受ける。
これにより、ワイヤ係止体70及び回転軸72は、軸方向に沿って前方に移動させる力がワイヤ係止体70に加わると、図7Gに示すように、スリーブ71が張力付与バネ92により後方へ押される力を受けると共に、回転軸72がバネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動し、前方へ移動しながらワイヤWを捩じる。
よって、ワイヤWは、ワイヤ係止体70で係止された部位が後方に引っ張られ、鉄筋Sの接線方向に張力が加わり、鉄筋Sに密着するように引っ張られる。結束部7Aは、スリーブ71が回転してワイヤWを捩じる第4の動作域で、回転軸72と連動してワイヤ係止体70が更に回転すると、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなる方向である前方向にワイヤ係止体70及び回転軸72が移動しながら、ワイヤWを更に捩じる。
従って、図7Hに示すように、ワイヤWは、ワイヤ係止体70及び回転軸72が、張力付与バネ92及びバネ72cにより後方へ押される力を受けた状態で前方へ移動しながら捩じられることで、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなり、鉄筋Sに沿うような形態で鉄筋Sに密着する。これにより、ワイヤWを捩じる前の弛みを除去し、ワイヤWを鉄筋Sに密着させた状態で結束することができる。
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、回転軸72の逆回転に追従してスリーブ71が逆回転すると、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、ワイヤ係止体70からワイヤWが抜ける。
<第2の実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例>
上述したように、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することにより、張力付与バネ92が圧縮される動作で、張力付与バネ92の一方の端部である前端側は、スリーブ71を支持する抑制部材94の内輪部94aに、スペーサ95を介して押圧される。
上述したように、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することにより、張力付与バネ92が圧縮される動作で、張力付与バネ92の一方の端部である前端側は、スリーブ71を支持する抑制部材94の内輪部94aに、スペーサ95を介して押圧される。
抑制部材94は、スリーブ71を支持する内輪部94aがスリーブ71に連動して回転し、スペーサ95は、抑制部材94の内輪部94aと接してスリーブ71に追従して回転する。張力付与バネ92は、前端側がスペーサ95と接し、スペーサ95を介してスリーブ71及び抑制部材94の内輪部94aに追従して回転可能である。
張力付与バネ92は、他方の端部である後端側が回転規制羽根74aと接する。スリーブ71が前方向に移動することで張力付与バネ92が圧縮されると、圧縮した張力付与バネ92が伸長しようとする力で、張力付与バネ92の後端側が回転規制羽根74aに押し付けられる。
スリーブ71が前方向に移動した後に回転すると、張力付与バネ92の後端側が、スリーブ71及び回転規制羽根74aの回転に追従して回転しようとする力が掛かる。上述したように、張力付与バネ92の前端側は、スペーサ95を介してスリーブ71及び抑制部材94の内輪部94aに追従して回転可能である。
これにより、スリーブ71が前方向に移動した後に回転すると、張力付与バネ92がスリーブ71に追従して回転することで、張力付与バネ92を捩じる力が発生することが抑制され、コイルバネである張力付与バネ92に、圧縮される方向及び伸長する方向以外の方向の負荷が掛かることが抑制される。したがって、張力付与バネ92の耐久性を向上させることができる。
1A、1B・・・鉄筋結束機、10A・・・本体部、2A・・・マガジン、20・・・リール、3A・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、5A・・・カール形成部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、6A・・・切断部、60・・・固定刃部、61・・・可動刃部、62・・・伝達機構、63・・・アーム部、7A・・・結束部、70・・・ワイヤ係止体、70L・・・第1のサイドフック、70R・・・第2のサイドフック、70C・・・センターフック、71・・・スリーブ(移動体)、72・・・回転軸、72a・・・送りネジ、72b・・・連結部、72c・・・バネ、74・・・回転規制部、74a・・・回転規制羽根、74b・・・回転規制爪、76d・・・支持部材、8A・・・駆動部、80・・・モータ、81・・・減速機、92・・・張力付与バネ(弾性体)、93・・・抑制部材、93a・・・穴部、93b・・・回転抑制部、94・・・抑制部材、94a・・・内輪部、94b・・・外輪部、95・・・スペーサ、W・・・ワイヤ
Claims (9)
- モータにより駆動されて回転する回転軸と、
前記回転軸の回転に連動して前記回転軸の軸方向に移動するとともに、前記回転軸を中心に回転する移動体と、
前記回転軸の軸方向に沿った前記移動体の移動により圧縮されるとともに、伸長する力で結束物を結束するワイヤに張力をかける弾性体と、
前記移動体の回転により前記弾性体を捩じる力が発生することを抑制する抑制部材と
を備えた結束機。 - 前記抑制部材は、前記移動体の回転に追従した前記弾性体の回転を抑制する
請求項1に記載の結束機。 - 前記抑制部材は、前記移動体の回転に追従した回転が抑制される
請求項1または請求項2に記載の結束機。 - 前記移動体は、支持部材を介して本体部に回転可能に支持され、
前記弾性体は、前記回転軸の軸方向に沿った前記移動体の軸方向に圧縮、伸長するコイルバネで構成され、一方の端部が前記支持部材と対向し、他方の端部が前記抑制部材と対向する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の結束機。 - 前記弾性体は、一方の端部が前記支持部材の前記本体部に対して非回転な部位に押圧され、
前記抑制部材は、前記弾性体の他方の端部が押圧されるとともに、少なくとも前記弾性体の押圧される部位が、前記移動体の回転に追従した回転が抑制される
請求項4に記載の結束機。 - 前記抑制部材は、前記移動体の回転に追従して前記弾性体を回転させる
請求項1に記載の結束機。 - 前記抑制部材は、前記移動体の回転に追従して回転する
請求項1または請求項6に記載の結束機。 - 前記抑制部材は、本体部に前記移動体を回転可能に支持し、
前記弾性体は、前記回転軸の軸方向に沿った前記移動体の軸方向に圧縮、伸長するコイルバネで構成され、一方の端部が前記抑制部材と対向する
請求項1、請求項6または請求項7に記載の結束機。 - 前記抑制部材は、移動体とともに回転する内輪部と、前記本体部に嵌められる外輪部を備えたベアリングで構成され、
前記弾性体は、一方の端部が前記内輪部に押圧される
請求項8に記載の結束機。
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