以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、後述する各実施形態の一部を適宜組み合わせて構成してもよい。
<システム構成>まず、図1を参照して、本実施形態の非接触給電システムの構成について説明する。
本実施形態の非接触給電システムは、給電装置10の給電可能領域の範囲内に存在する受電装置30に対して有線接続しないで無線給電により電力を供給可能である。無線給電では、給電装置10のアンテナから放射した電磁波を受電装置30のアンテナが受信することで電力の送受電を行う。また、非接触給電システムでは、給電制御に用いる各種情報を給電装置10と受電装置30が無線通信により送受信する。
給電装置10と受電装置30は、NFC(Near Field Communication))などの所定のプロトコルで無線通信を行う。給電装置10は、給電装置10の給電可能領域かつ通信可能領域の範囲内において受電装置30を検出した場合、受電装置30と無線通信を行い、受電装置30を認証した後に給電を開始する。なお、給電装置10の通信可能領域は給電可能領域に比べて広い。
また、本実施形態の非接触給電システムは、給電装置10の給電可能領域かつ通信可能領域の範囲内に、給電装置10と、給電対象となる受電装置30の他に、給電装置10と通信可能な通信装置40が存在する場合を想定している。通信装置40は、本実施形態において給電対象ではない物体である。本実施形態では、通信装置40が1つだけ例示されているが、複数の通信装置が存在する場合もある。そして、本実施形態の非接触給電システムは、給電装置10の給電可能領域および通信可能領域の範囲内に受電装置30以外の通信装置40が存在する場合には、特に給電が許可された場合を除き、受電装置30への給電を開始しないように制御する。
本実施形態の給電装置10は、受電装置30が配置された状態で受電装置30への給電と通信を行うことができる据え置き型であるが、これに限らず、例えば自動車などの移動体へ電力を供給する装置であってもよい。また、本実施形態の給電装置10は、電磁誘導によって受電装置30へ無線で電力を供給する給電装置であってもよいし、電磁界共鳴によって受電装置30へ無線で電力を供給する給電装置であってもよい。
受電装置30は、給電装置10から供給される電力により電池を充電することができる。また、受電装置30は、電池から供給される電力によって動作する。受電装置30は、例えば、デジタルカメラなどの撮像装置、携帯電話やその一種であるスマートフォンなどの通信端末、音声や映像を再生するモバイルプレーヤなどの電子機器、あるいは、電池の電力によって動作する自動車などの移動体であってもよい。また、受電装置30は、無線通信が可能な医療機器、マウスやスピーカ、メモリやバッテリなどの周辺機器であってもよい。
通信装置40は、給電装置10との通信時に給電装置10から受けた電力により動作するようなカード型やシール型の電子機器であってもよい。また、通信装置40は、電池の電力によって動作する自動車などの移動体、デジタルカメラなどの撮像装置、携帯電話やその一種であるスマートフォンなどの通信端末、音声や映像を再生するモバイルプレーヤなどの電子機器などであってもよい。また、通信装置40は、無線通信が可能な医療機器、マウスやスピーカ、メモリやバッテリなどの周辺機器であってもよい。
<装置構成>次に、図2を参照して、本実施形態の非接触給電システムにおける給電装置10、受電装置30および通信装置40の構成について説明する。
先ず、給電装置10の構成および機能を説明する。
給電装置10は、アンテナ11、整合回路12、電力調整回路13、発振部14、変換部15、変復調回路16、RAM17、ROM18、通知部19、CPU20、電源コネクタ21を有する。
アンテナ11は、アンテナ31を介して受電装置30へ無線で電力を送信する、あるいはアンテナ31及びアンテナ41を介して受電装置30および通信装置40と通信を行うために用いられる。アンテナ11はコイル状でインダクタンス成分によりアンテナ31やアンテナ41と結合する形態が望ましいが、それに限定されず、キャパシタンスにより結合をしてもよい。
整合回路12は、アンテナ11と電力調整回路13のインピーダンスの整合、あるいはアンテナ11の共振周波数を整合する回路である。整合回路12はインダクタンス成分あるいはキャパシタンス成分を有する受動素子を直列、並列に組み合わせて構成され、その組み合わせは整合させたい状態に応じて適切に選定することが望ましい。また、整合回路12の可変受動素子の値を変更したり、切り替えることが可能であってもよく、CPU20からの制御により、受電装置30あるいは通信装置40の状態や位置に応じて、その値や切り替えの制御をしてもよい。
電力調整回路13は、発振部14から発生する交流信号を、所定の電力の交流信号へ調整し、整合回路12へ出力する機能を有する回路である。電力調整回路13は、例えばスイッチングアンプにより構成される電力増幅部と、変換部15から入力される電圧を変復調回路16あるいはCPU20からの制御信号に応じて所定の電圧へ変更するDC-DCコンバータなどにより構成される電力調整部とを含む。なお、電力調整回路13は、上述した電力増幅機能および電力調整機能を有していればよく、上述の構成に限定されるものではない。
発振部14は、所定の周波数の信号を定常的に発生させ、電力調整回路13に入力する回路であり、水晶振動子などを含む。所定の周波数とは、50W程度までの高い電力を出力することが許可されている周波数帯であれば、6.78MHzや13.56MHzのようなHF帯に属するISMバンドの周波数帯であってもよく、数100KHzのようなLF帯に属する周波数帯であってもよい。
変換部15は、電源コネクタ21から入力される電力を各部へ分配するための回路であり、商用の交流電源電圧を所定の直流電圧に変換する回路である。
なお、給電装置10の各部は、変換部15から供給される電力により動作する。
変復調回路16は、給電装置10が受電装置30あるいは通信装置40とデータの送受信を行うために、アンテナ11、整合回路12および電力調整回路13の電圧信号の変調・復調を行う回路である。
変復調回路16は、データ送信時には、ROM18に格納されている所定のプロトコルに基づいて符号化された送信用データをCPU20から受信し、変調回路を介して電力調整回路13へ入力することで送信信号の変調を行う。変復調回路16から電力調整回路13に入力される信号に応じて、電力調整回路13が出力する信号に振幅変調が行われ、アンテナ11を介してデータを送信することができる。
また、変復調回路16は、データ受信時には、整合回路12の電圧あるいは電流の変化を検出し、フィルタ、コンパレータおよびスイッチなどにより構成される復調回路を介することで受信用のデータを復調する。変復調回路16は、受信用データをCPU20へ入力し、CPU20はROM18に格納されている所定のプロトコルに基づいてデータを復号する。なお、所定のプロトコルは、例えばISO/IEC14443、ISO/IEC15693、ISO/IEC18092(NFC)で規定されている近距離無線通信用のプロトコルや、それらと互換性があるプロトコルなどが用いられる。
RAM17は、給電装置10の各部の動作を制御するコンピュータプログラム、各部の動作に関するパラメータなどの情報、変復調回路16によって受電装置30や通信装置40から受信したデータなどを一時的に記憶する揮発性のメモリである。また、RAM17は、給電装置10が給電する対象機器を管理するための管理テーブルを記憶する。なお、RAM17に記憶されている管理テーブルには、給電装置10が受電装置30や通信装置40から受信した機器情報が登録される。
ROM18は、給電装置10の各部の動作を制御するコンピュータプログラムや各部の動作に関するパラメータなどを記憶する不揮発性のメモリである。また、ROM18は、給電装置10が受電装置30や通信装置40と通信を行うための通信方式に関するプログラムを記憶する。
通知部19は、給電装置10の給電可能な状態や給電が制限された状態などをユーザに報知する。通知部19は、ディスプレイなどの表示部やスピーカなどの音声出力部、あるいはこれらを組み合わせた構成であってもよい。
CPU20は、給電装置10の全体を制御するための演算処理装置であり、ROM18に格納されているプログラムに従って動作する。ここでいう、プログラムとは、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムが含まれる。また、CPU20は、整合回路12の可変受動素子の値の変更や切り替えを行う。また、CPU20は、電力調整回路13を制御することにより受電装置30へ給電する電力の調整を行う。なお、CPU20は、内部のAD変換機能を用いて、電力調整回路13から出力される給電電力の測定を行ってもよい。また、CPU20は、変復調回路16を制御することにより受電装置30や通信装置40とのコマンドの送受信を行う。なお、コマンドには、宛先を識別するための識別情報およびコマンドによって指示される動作を示すコマンドコードなどが含まれる。なお、CPU20は、コマンドに含まれる識別情報を変更するように変復調回路16を制御することによって、受電装置30だけにコマンドを送信したり、通信装置40だけにコマンドを送信することもできる。
電源コネクタ21は、商用電源から電力を取得するためのコネクタである。
本実施形態の給電装置10は、受電装置30において電池39を充電するために十分な電力を受電装置30へ無線給電する給電制御を行う。本実施形態の給電制御は、少なくともアンテナ11、電力調整回路13、発振部14およびCPU20により実現され、さらに整合回路12を含んでもよい。
また、本実施形態における給電装置10と受電装置30あるいは通信装置40との通信は、少なくともアンテナ11、電力調整回路13、発振部14、変復調回路16、ROM18、CPU20により実現され、さらに整合回路12を含んでもよい。
なお、給電装置10の各部11~21の構成は上述したものに限定されず、同様の機能を有する場合は、各部がそれぞれ複数あってもよいし、別機能を有して存在してもよいし、他のブロックと組み合わせてもよい。
次に、本実施形態の受電装置30の構成および機能について説明する。
受電装置30は、アンテナ31、整合回路32、整流平滑回路33、レギュレータ34、変復調回路35、CPU36、RAM37、ROM38、電池39を有する。
アンテナ31は、アンテナ11を介して給電装置10から無線で電力を受信する、あるいはアンテナ11を介して給電装置10と通信を行うために用いられる。アンテナ31はコイル状でインダクタンス成分によりアンテナ11と結合する形態が望ましいが、それに限定されず、キャパシタンスにより結合をしてもよい。
整合回路32は、アンテナ31と整流平滑回路33のインピーダンスの整合、あるいはアンテナ31の共振周波数を整合する回路である。整合回路32はインダクタンス成分あるいはキャパシタンス成分を有する受動素子を直列、並列に組み合わせて構成され、その組み合わせは整合させたい状態に応じて適切に選定することが望ましい。また、整合回路32の可変受動素子の値を変更したり、切り替えたりすることが可能であってもよく、CPU36からの制御により、受電装置30のモードや負荷状態に応じて、その値や切り替えの制御をしてもよい。
整流平滑回路33は、整合回路32から出力される交流電力を直流電力に変換する回路であり、ダイオードやコンデンサを含む。
レギュレータ34は、整流平滑回路33から出力される直流電力の電圧を所定電圧に変換する回路である。なお、レギュレータ34で生成された所定電圧は受電装置30の各部へ供給される。また、レギュレータ34は、電池39と接続され、CPU36の制御により給電装置10から供給された電力により電池39の充電を行う。
変復調回路35は、受電装置30が給電装置10とデータの送受信を行うために、アンテナ31や整合回路32の電圧信号の変調・復調を行う回路である。また、変復調回路35は、データ受信時には、整合回路32の電圧あるいは電流の変化を検出し、フィルタ、コンパレータおよびスイッチなどにより構成される復調回路を介することで受信用のデータを復調する。変復調回路16は、受信用データをCPU36へ入力し、CPU36はROM38に格納されている所定のプロトコルに基づいてデータを復号する。変復調回路16は、データ送信時には、ROM38に格納されている所定のプロトコルに基づいて符号化された送信用データをCPU36から受信し、変調回路を介して送信信号の変調を行う。なお、変復調回路35の変調回路は、スイッチと抵抗を含み、送信用データ信号に応じて負荷を変動させることにより負荷変調が行われ、アンテナ31を介してデータを送信することができる。なお、所定のプロトコルは、例えばISO/IEC14443、ISO/IEC15693、ISO/IEC18092(NFC)で規定されている近距離無線通信用のプロトコルや、それらと互換性があるプロトコルなどが用いられる。
CPU36は、受電装置30の全体を制御するための演算処理装置であり、ROM38に格納されているプログラムに従って動作する。ここでいう、プログラムとは、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムが含まれる。また、CPU36は、整合回路32の可変受動素子の値の変更や切り替えを行う。また、CPU36は、レギュレータ34を制御することにより給電装置10から供給された電力で電池39を充電する。なお、CPU36は、レギュレータ34を制御する際に、内部のAD変換機能を用いて電池39の蓄電残量を検出してもよい。また、CPU36は、電池39の蓄電残量に応じて、トリクル充電制御、高速充電制御、定電圧制御、定電流制御などを切り替えながら制御を行ってもよい。CPU36は、変復調回路35を制御することにより給電装置10とのコマンドの送受信を行う。なお、コマンドには、宛先を識別するための識別情報およびコマンドによって指示される動作を示すコマンドコードなどに応答するための情報が含まれる。なお、CPU36は、電池39の蓄電状態に応じて、変復調回路35を制御して給電電力の変更を給電装置10へ要求してもよい。また、CPU36が動作するために十分な電力が給電装置10から供給されない場合は、電池39に充電を行った後に電池39でCPU36を動作させる。
RAM37は、受電装置30の各部の動作を制御するコンピュータプログラム、各部の動作に関するパラメータなどの情報、給電装置10から受信したデータなどを一時的に記憶する揮発性のメモリである。
ROM38は、受電装置30の各部の動作を制御するコンピュータプログラムや各部の動作に関するパラメータなどを記憶する不揮発性のメモリである。また、ROM38は、受電装置30の機器情報、受電装置30の受電能力情報および表示データなどを記憶する。受電装置30の機器情報には、受電装置30の識別情報(ID)、製造者名、機器名、製造年月日、受電装置30が対応している通信方式、受電装置30が給電装置10から無線給電を受ける機能を有するか否かを示す情報などが含まれる。なお、CPU36は、変復調回路35を制御することでROM38に記憶されている各種情報を給電装置10に送信することができる。 電池39は、受電装置30に着脱可能なバッテリである。また、電池39は、充電可能な二次バッテリであり、例えばリチウムイオン電池などである。電池39は、受電装置30の各部に対して電力を供給する。
なお、受電装置30の各部31~39の構成は上述したものに限定されず、同様の機能を有する場合は、各部がそれぞれ複数あってもよいし、別機能を有して存在してもよいし、他のブロックと組み合わせてもよい。また、本実施形態では、給電装置10は、受電装置30に対して無線で電力を送信し、受電装置30は、給電装置10から無線で電力を受信するものとしたが、「無線」を「非接触」や「無接点」と言い換えてもよい。
次に、本実施形態の通信装置40の構成および機能を説明する。
本実施形態の通信装置40は、アンテナ41、整合回路42、変復調回路43、CPU44、RAM45、ROM46を有する。
なお、通信装置40は、受電装置30の構成と共通部分が多いため、以下では、受電装置30との相違点を中心に説明を行う。
本実施形態の通信装置40は、電池を有していないため、給電装置10から供給された電力によって電池への充電を行わないが、給電装置10から通信装置40を動作させるための電力を受信することができる。
CPU44は、受電装置30のCPU36とほぼ同様の制御を行うが、充電制御は行わない。
なお、通信装置40は、給電装置10から供給される電力で電池を充電しない形態であれば、受電装置30と同様に電池を有する構成としてもよい。電池を充電しない形態とは、例えば、電池が満充電の状態や充電が制限された状態などが考えられる。
なお、通信装置40の各部41~46の構成は上述の構成に限定されず、同様の機能を有する場合は、各部がそれぞれ複数あってもよいし、別機能を有して存在してもよいし、他のブロックと組み合わせてもよい。
<給電動作>次に、図3を参照して、本実施形態の給電装置10による給電動作について説明する。なお、図3の処理は、給電装置10のCPU20がROM18に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。後述する図4から図6でも同様である。
S301では、CPU20は、変復調回路16を制御して受電装置30を探索するための第1の探索処理を行う。第1の探索処理の詳細は後述する。CPU20が第1の探索処理を終えると、処理をS302に進める。
S302では、CPU20は、S301で検出した受電装置30に認証要求を送信する。CPU20は、所定の通信プロトコルに基づいて変復調回路16を制御することで受電装置30へ認証用のコマンドを送信する。CPU20は認証要求を送信した後、処理をS303に進める。
S303では、CPU20は、受電装置30から認証応答を受信したか判定する。CPU20は、受電装置30で認証処理が成功した場合にCPU36で生成される認証応答信号を、変復調回路16を介して受信する。この認証応答信号には受電装置30の機器情報等が含まれている。機器情報には受電装置30のID、機能および仕様などがあり、給電可能機器か否かという情報も含まれている。CPU20は受電装置30から認証応答を受信していないと判定した場合(S303でNO)は認証応答を受信するまでS303の処理を繰り返すが、所定の時間受電装置30からの認証応答を受信していない場合は処理を終了する。また、CPU20は受電装置30から認証応答を受信したと判定した場合(S303でYES)、処理をS304へ進める。
S304では、CPU20は、受電装置30から受信した認証応答信号に含まれる機器情報を解析し、受電装置30が給電可能な機器か判定する。CPU20は、受電装置30が給電可能な機器であると判定した場合(S304でYES)は処理をS305に進め、給電可能な機器ではないと判定した場合(S304でNO)は処理を終了する。
S305では、CPU20は、受電装置30の機器情報を保存するための機器情報保存処理を行う。機器情報保存処理の詳細は後述する。CPU20が機器情報保存処理を終えると、処理をS306に進める。
S306では、CPU20は、変復調回路16を制御して受電装置30以外の通信装置40を探索するための第2の探索処理を行う。第2の探索処理の詳細は後述する。CPU20が第2の探索処理を終えると、処理をS307に進める。
S307では、CPU20は、給電装置10が受電装置30に対して給電が可能な状態か判定する。CPU20は、RAM17に記憶されている情報のうち、給電が可能な状態であることを示すフラグを確認することにより給電が可能な状態か判定する。CPU20は給電装置10が受電装置30に対して給電が可能な状態であると判定した場合(S307でYES)は処理をS308に進め、給電が可能な状態でないと判定した場合(S307でNO)は処理を終了する。
S308では、CPU20は、受電装置30への給電を開始する制御を行う。ここで給電を開始する制御とは、CPU20が電力調整回路13に制御信号を送出することにより、受電装置30の電池39を充電するために十分な電力を受電装置30へ送信することである。CPU20が受電装置30への給電を開始し所定時間が経過すると、処理をS309に進める。
S309では、CPU20は、受電装置30への給電を停止する制御を行い、RAM17に記憶されている情報のうち、給電が可能な状態であることを示すフラグをリセットする。ここで給電を停止する制御とは、CPU20が電力調整回路13の出力を、受電装置30と通信を行うのに十分な程度の電力まで制限するような制御である。CPU20が給電を停止する制御を行うと、処理をS310に進める。
S310では、CPU20は、S302と同様の処理を行う。CPU20は認証要求を送信した後、処理をSS311に進める。
S311では、CPU20は、S303と同様の処理を行う。CPU20は、受電装置30から認証応答を受信していないと判定した場合(S311でNO)は認証応答を受信するまでS311の処理を繰り返すが、所定の時間受電装置30からの認証応答を受信していない場合は処理を終了する。また、CPU20は受電装置30から認証応答を受信したと判定した場合(S311でYES)、処理をS312へ進める。
S312では、CPU20は、受電装置30への給電を再度行うか判定する。CPU20は、S311で受信した認証応答信号に含まれる機器情報を解析し、受電装置30が再度給電可能な状態となったか判定する。CPU20は受電装置30が再度給電可能な状態となったと判定した場合(S312でYES)は処理をS306に戻し、S306からの処理を繰り返し行い、受電装置30が再度給電可能な状態となっていないと判定した場合(S312でNO)は処理を終了する。なお、S312でNOの場合、処理を終了しないで、S301からの処理を繰り返し行うようにしてもよい。
<第1の探索処理(S301)>次に、図3のS301における第1の探索処理を図4を用いて説明する。
S401では、CPU20は、ROM18に格納されている第1の通信方式に基づいて変復調回路16を制御することにより受電装置30の探索を行う。CPU20が第1の通信方式による受電装置30の探索を行った後、処理をS402に進める。
S402では、CPU20は、S401で行った第1の通信方式による探索に対して、受電装置30から応答があったか判定する。CPU20が受電装置30からの応答を確認した場合(S402でYES)は処理をS407に進め、受電装置30からの応答を所定時間確認しなかった場合(S402でNO)は処理をS403に進める。
S403では、CPU20は、ROM18に格納されている第2の通信方式に基づいて変復調回路16を制御することにより受電装置30の探索を行う。CPU20が第2の通信方式による受電装置30の探索を行った後、処理をS404に進める。
S404では、CPU20は、S403における第2の通信方式による探索に対して、受電装置30から応答があったか判定する。CPU20が受電装置30からの応答を確認した場合(S404でYES)は処理をS407に進め、受電装置30からの応答を所定時間確認しなかった場合(S404でNO)は処理をS405に進める。
S405では、CPU20は、ROM18に格納されている第3の通信方式に基づいて変復調回路16を制御することにより受電装置30の探索を行う。CPU20が第3の通信方式による受電装置30の探索を行った後、処理をS406に進める。
S406では、CPU20は、S406における第3の通信方式による探索に対して、受電装置30から応答があったか判定する。CPU20が受電装置30からの応答を確認した場合(S406でYES)は処理をS407に進め、受電装置30からの応答を所定時間確認しなかった場合(S406でNO)は処理をS401に戻し、S401からの処理を繰り返す。
なお、第1、第2、第3の通信方式による第1の探索処理は、例えば、NFCによるTypeA、TypeB、TypeFのリクエストコマンドを順番に送信するポーリング処理であるが、これに限定されるものではない。後述する第2の探索処理でも同様である。
なお、S401からS406における第1、第2、第3の通信方式による探索処理はどのような順番で行ってもよい。また、並列に行う処理であれば3つの通信方式による処理に限定されず、3種類に満たない処理であっても、4種類以上の処理であってもよい。本実施形態では、3つの通信方式による処理を例示するものであって、これに限定されるものではない。また、上述した探索処理は所定時間ごとに周期的に繰り返し行ってもよい。
S407では、CPU20は、S401からS406で検出された機器が受電装置30以外にも存在しているか判定する。CPU20が受電装置以外の機器が存在していると判定した場合(S407でYES)は処理をS408に進め、受電装置以外の機器は存在していないと判定した場合(S407でNO)は処理を終了する。
S408では、CPU20は、通知部19を制御することにより、複数の機器を検出したことにより給電が開始できない状態であることをユーザに報知するためのエラー通知を行い、通信装置40を給電装置10の通信可能範囲内から除去することを促す。CPU20がエラー通知を終えた後、処理をS409に進める。
S409では、CPU20は受電装置30の再探索が可能であるか判定する。CPU20は、ユーザにエラー通知を行った後に、ユーザにより通信装置40が除去され、給電装置10が操作された場合に再探索が可能であると判定する。CPU20が受電装置30の再探索が可能と判定した場合(S409でYES)は処理をS401に戻し、S401からの処理を繰り返し、受電装置30の再探索が可能でないと判定した場合(S409でNO)は、再探索が可能になるまでS409の処理を繰り返す。また、CPU20は所定時間再探索が可能でないと判定し続けた場合は処理を終了する。
<機器情報保存処理(S305)>次に、図3のS305における機器情報保存処理を図5を用いて説明する。
S501では、CPU20はS303で取得した認証情報から、受電装置30の識別情報を取得する。CPU20は受電装置30の識別情報を取得した後、処理をS502に進める。
S502では、CPU20はS501で取得した受電装置30の識別情報をRAM17に記憶する。CPU20は受電装置30の識別情報をRAM17に記憶した後、処理をS503に進める。
S503では、CPU20はS502で取得した受電装置30の識別情報に関連付けて受電装置30を検出した通信方式に関する情報を合わせてRAM17に記憶する。CPU20は受電装置30の識別情報に関連付けて受電装置30を検出した通信方式に関する情報を合わせてRAM17に記憶した後、処理をS504に進める。
S504では、CPU20はS303で取得した認証情報の中に、受電装置30の識別情報以外に他の識別情報がないか判定する。これは、1台で複数の通信方式に対応する機器があるためである。CPU20が他の識別情報がないと判定した場合(S504でNO)は処理を終了し、他の識別情報があると判定した場合(S504でYES)は処理をS501に戻し、S501からの処理を繰り返す。
<第2の探索処理(S306)>次に、図3のS306における第2の探索処理を図6を用いて説明する。
S601では、CPU20は、受電装置30が第1の通信方式に対応しているか判定する。CPU20は、S305の機器情報保存処理によってRAM17に記憶された情報を用いて判定を行う。CPU20は受電装置30が第1の通信方式に対応していると判定した場合(S601でYES)は処理をS604に進め、受電装置30が第1の通信方式に対応していないと判定した場合(S601でNO)は処理をS602に進める。
S602では、CPU20は、受電装置30が第2の通信方式に対応しているか判定する。CPU20は、S305の機器情報保存処理によってRAM17に記憶された情報を用いて判定を行う。CPU20は受電装置30が第2の通信方式に対応していると判定した場合(S602でYES)は処理をS606に進め、受電装置30が第2の通信方式に対応していないと判定した場合(S602でNO)は処理をS603に進める。
S603では、CPU20は、受電装置30が第3の通信方式に対応しているか判定する。CPU20は、S305の機器情報保存処理によってRAM17に記憶された情報を用いて判定を行う。CPU20は受電装置30が第2の通信方式に対応していると判定した場合(S603でYES)は処理をS608に進め、受電装置30が第3の通信方式に対応していないと判定した場合(S603でNO)は処理を終了する。
S604では、CPU20は、ROM18に格納されている第2の通信方式に基づいて変復調回路16を制御することにより受電装置30以外の通信装置40の探索を行う。CPU20は第2の通信方式による通信装置40の探索を行った後、処理をS605に進める。
S605では、CPU20は、S604における第2の通信方式による探索に対して、通信装置40から応答があったか判定する。CPU20は通信装置40からの応答があったと判定した場合(S605でYES)は処理をS613に進め、通信装置40からの応答が所定時間なかったと判定した場合(S605でNO)は処理をS610bに進める。
S606では、CPU20は、ROM18に格納されている第3の通信方式に基づいて変復調回路16を制御することにより受電装置30以外の通信装置40の探索を行い、処理をS607に進める。
S607では、CPU20は、S606における第3の通信方式による探索に対して、通信装置40から応答があったか判定する。CPU20は通信装置40からの応答があったと判定した場合(S607でYES)は処理をS613に進め、通信装置40からの応答が所定時間なかったと判定した場合(S607でNO)は処理をS610cに進める。
S608では、CPU20は、ROM18に格納されている第1の通信方式に基づいて変復調回路16を制御することにより受電装置30以外の通信装置40の探索を行い、処理をS609に進める。
S609では、CPU20は、S608における第1の通信方式による探索に対して、通信装置40から応答があったか判定する。CPU20は通信装置40からの応答があったと判定した場合(S609でYES)は処理をS613に進め、通信装置40からの応答が所定時間なかったと判定し場合(S609でNO)は処理をS610aに進める。
なお、S604、S606およびS608の各処理において、受電装置30のIDが探索された場合、CPU20はRAM17にそのID情報を記憶する。
S610aでは、CPU20は、給電装置10が第1から第3の通信方式による通信装置40の探索を行ったか判定することで、通信装置40の探索を終了するか判定する。CPU20が、給電装置10が第1から第3の通信方式を用いて通信装置40の探索を行ったと判定し、探索を終了する場合(S610aでYES)は処理をS611に進める。また、CPU20が、給電装置10が第1から第3の通信方式を用いて通信装置40の探索を行っていないと判定し、探索を続ける場合(S610aでNO)は処理をS604に進める。
S610bでは、CPU20は、S610aと同様の処理を行う。CPU20は給電装置10が第1から第3の通信方式による通信装置40の探索を行ったか判定することで、通信装置40の探索を終了するか判定する。CPU20が、給電装置10が第1から第3の通信方式による通信装置40の探索を行ったと判定し、探索を終了する場合(S610bでYES)は処理をS611に進める。また、CPU20が、給電装置10が第1から第3の通信方式による通信装置40の探索を行っていないと判定し、探索を続ける場合(S610bでNO)は処理をS606に進める。
S610cでは、CPU20は、S610aおよびS610bと同様の処理を行う。CPU20は給電装置10が第1から第3の通信方式による通信装置40の探索を行ったか判定することで、通信装置40の探索を終了するか判定する。CPU20が、給電装置10が第1から第3の通信方式による通信装置40の探索を行ったと判定し、探索を終了する場合(S610cでYES)は処理をS611に進める。また、CPU20が、給電装置10が第1から第3の通信方式を用いて通信装置40の探索を行っていないと判定し、探索を続ける場合(S610cでNO)は処理をS608に進める。
S611では、CPU20は、RAM17に記憶されている情報を解析することで、S604、S606およびS608の探索処理において、受電装置30のIDが検出されたか判定する。CPU20は、S604、S606およびS608の処理において受電装置30のIDが検出されたと判定した場合(S611でYES)は処理をS612に進め、検出されなかったと判定した場合(S611でNO)は処理をS613に進める。
S612では、CPU20は、RAM17に記憶した給電が可能な状態であることを示すフラグをセットすることで、給電装置10を受電装置30への給電が可能な状態へ移行する。給電が可能な状態であることを示すフラグがセットされている状態において、給電装置10は受電装置30への給電が可能となる。CPU20はRAM17に記憶した給電が可能な状態であることを示すフラグをセットした後、処理を終了する。
S613では、CPU20は、RAM17に記憶した給電が可能な状態であることを示すフラグをリセットすることで、給電装置10を受電装置30への給電ができない状態へ移行する。給電が可能な状態であることを示すフラグがリセットされている状態では、給電装置10は受電装置30への給電が開始できない。CPU20はRAM17に記憶した給電が可能な状態であることを示すフラグをリセットした後、処理をS614に進める。
S614では、CPU20は、通知部19を制御することにより、通信装置40の存在あるいは受電装置30の不在により給電が開始できない状態であることをユーザに報知するためのエラー通知を行い、処理をS615に進める。エラー通知を行うことで、通信装置40を給電装置10の通信可能範囲内から除去すること、あるいは受電装置30を給電装置10の通信可能範囲内に配置することをユーザに促す。
S615では、CPU20は、受電装置30と通信装置40の再探索が可能であるか判定する。CPU20は、ユーザにエラー通知を行った後に、ユーザにより通信装置40が除去された、あるいは受電装置30が配置されて、給電装置10が操作された場合に再探索が可能であると判定する。CPU20が受電装置30と通信装置40の再探索が可能と判定した場合(S615でYES)は処理をS616に進め、受電装置30の再探索が可能でないと判定した場合(S615でNO)は、再探索が可能になるまでS615の処理を繰り返す。また、CPU20は所定時間再探索が可能でないと判定し続けた場合は処理を終了し、図3のスタート時点に処理を戻す。
S616では、CPU20は、受電装置30と通信装置40の再探索が所定回数以上行われたか判定する。CPU20は受電装置30と通信装置40の再探索が所定回数以上行われたと判定した場合(S616でYES)は処理を終了し、所定回数以上行われていないと判定した場合(S616でNO)は処理をS601に戻し、S601からの処理を繰り返す。
以上のように、本実施形態の給電制御によれば、第1の探索処理により受電装置30が検出された場合であっても、第2の探索処理により受電装置30以外の他の通信装置40が検出された場合には、給電が開始できないように制御される。つまり、受電装置30以外の他の通信装置40が給電装置10に当初から配置されている状況や、受電装置30と同時に配置された状況において、受電装置30への給電を制限することができる。このように、給電前の所定のタイミングで受電装置30以外の通信装置40を探索することで、受電装置30以外の他の通信装置40には給電をしないように受電装置30への給電を開始することができる。
[実施形態2]次に、実施形態2について説明する。
以下では、説明の容易化のため、実施形態1との相違点を中心に説明を行う。また、本実施形態のシステム構成および装置構成は図1および図2に示した実施形態1と同様であり、給電装置10の動作処理が実施形態1と異なる。
本実施形態では、実施形態1と同様に、給電前の所定のタイミングで受電装置30以外の通信装置40を探索することで受電装置30以外の通信装置40には給電をしないように給電開始を制限する。特に、本実施形態では、給電装置10の動作処理の途中に通信装置40が挿入された状況において、給電装置10が受電装置30と毎回通信処理を行う場合に、受電装置30への給電を制限するための制御を行う。更に、毎回行われる通信処理を最小限にとどめるために、受電装置30との認証を毎回行わずに、給電要求を示すコマンドを受電装置30から受信した際に、通信装置40の探索を行う。
<給電動作>次に、図7を参照して、実施形態2の給電装置10による給電動作について説明する。なお、図7の処理は、CPU20がROM18に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
図7のS701、S702、S703、S704では、図3のS301、S302、S303、S304と同様の処理を行う。
S705では、CPU20は、受電装置30から給電要求を受信したか判定し、給電要求を受信したと判定した場合(S705でYES)は処理をS706に進め、給電要求を受信していないと判定した場合(S705でNO)は処理を終了する。
S706では、CPU20は、S705で受電装置30から受信した給電要求に応じた電力が所定値以内であるか判定する。所定値とは、給電装置10が受電装置30と通信する際に送信される電力値に相当する。なお、所定値は、給電装置10と受電装置30の状態に応じて任意に変更してもよい。CPU20は受電装置30からの要求電力が所定値以内であると判定した場合(S706でYES)は処理をS709に進め、所定値を超えていると判定した場合(S706でNO)は処理をS707に進める。
図7のS707、S708、S709、S710では、図3のS306、S307、S308、S309と同様の処理を行う。
以上のように、本実施形態の給電制御によれば、給電装置10が受電装置30と給電開始前の通信処理を行っている途中に受電装置30以外の他の通信装置40が配置された場合であっても、給電が開始できないように制御される。このように、給電開始前の通信処理中に受電装置30以外の他の通信装置40を探索することで、受電装置30以外の他の通信装置40には給電をしないように受電装置30への給電を開始することができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。