JP2022007717A - 油中水型乳化外用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、尿素を含み、優れた乳化安定性を備えている油中水型乳化外用組成物を提供することである。【解決手段】尿素と共に、脂溶性ビタミン、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油中水型乳化外用組成物は、優れた乳化安定性を備え得る。【選択図】なし
Description
本発明は、尿素を含み、優れた乳化安定性を備えている油中水型乳化外用組成物に関する。
尿素には、角質中での水分と水素結合を形成することによる水分保持作用や、タンパク質変性による不要な角質を除去する作用等があり、外用組成物に使用されている。一方、乳化製剤は、水性成分と油性成分を配合でき、様々な製剤処方に対応できると共に、皮膚に適用した際の使用感も優れているため、外用組成物の分野で汎用されている。特に、油中水型の乳化製剤は、水中油型の乳化製剤に比べて、皮膚保護作用、皮膚柔軟化作用、エリモント作用等に優れていることから、様々な外用組成物に応用されている。
そのため、尿素を配合した油中水型乳化外用組成物は、尿素の機能性、及び油中水型の乳化製剤の特性を併せ持ち、優れた機能性を有する外用組成物として期待されている。しかしながら、油中水型乳化外用組成物に尿素を配合すると、乳化安定性が著しく低下するという問題点がある。
そこで、従来、尿素を配合した油中水型乳化外用組成物における乳化安定性を向上させる製剤技術について検討されている。例えば、特許文献1には、特定の多価アルコール及びマイクロクリスタリンワックスからなる乳化剤組成物1~30重量%、尿素1~30重量%、有機酸又は無機酸のアンモニウム塩0.1~10重量%、油性成分5~50重量%、及び水残部を含む油中水型乳化組成物は、優れた乳化安定性を備えさせ得ることが開示されている。
しかしながら、尿素を配合した油中水型乳化外用組成物について、乳化安定性の更なる向上、製剤処方の多様化等に対応するために、当該油中水型乳化外用組成物の乳化安定性を向上させる製剤技術の更なる開発が望まれている。
本発明の目的は、尿素を含み、優れた乳化安定性を備えている油中水型乳化外用組成物を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、尿素と共に、脂溶性ビタミン、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含む油中水型乳化外用組成物は、優れた乳化安定性を備え得ることを見出した。更に、当該油中水型乳化外用組成物は、含有成分の皮膚への浸透性が格段に向上することをも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、油中水型乳化外用組成物。
項2. 更に(D)デキストリン脂肪酸エステルを含む、項1に記載の油中水型乳化外用組成物。
項3. 前記(B)成分が、ビタミンA類及び/又はビタミンE類である、項1又は2に記載の油中水型乳化外用組成物。
項4. 前記(A)成分が5~20重量%、前記(B)成分が0.21~15重量%、前記(C)成分が0.5~10重量%含まれる、項1~3のいずれかに記載の油中水型乳化外用組成物。
項5. 前記(D)成分が0.1~5重量%含まれる、項2~4のいずれかに記載の油中水型乳化外用組成物。
項6. 尿素を含む油中水型乳化外用組成物の乳化安定化方法であって、油中水型乳化外用組成物中に、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させる、乳化安定化方法。
項1. (A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、油中水型乳化外用組成物。
項2. 更に(D)デキストリン脂肪酸エステルを含む、項1に記載の油中水型乳化外用組成物。
項3. 前記(B)成分が、ビタミンA類及び/又はビタミンE類である、項1又は2に記載の油中水型乳化外用組成物。
項4. 前記(A)成分が5~20重量%、前記(B)成分が0.21~15重量%、前記(C)成分が0.5~10重量%含まれる、項1~3のいずれかに記載の油中水型乳化外用組成物。
項5. 前記(D)成分が0.1~5重量%含まれる、項2~4のいずれかに記載の油中水型乳化外用組成物。
項6. 尿素を含む油中水型乳化外用組成物の乳化安定化方法であって、油中水型乳化外用組成物中に、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させる、乳化安定化方法。
本発明の油中水型乳化外用組成物は尿素を含んでいながらも、優れた乳化安定性を有している。更に、本発明の油中水型乳化外用組成物は、含有成分の皮膚への浸透性が格段に優れている。
1.油中水型乳化外用組成物
本発明の油中水型乳化外用組成物は、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする。以下、本発明の油中水型乳化外用組成物について詳述する。なお、本明細書において、「乳化安定性」とは、油中水型の乳化形態を安定に維持でき、保存による相分離を抑制できる特性を指す。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする。以下、本発明の油中水型乳化外用組成物について詳述する。なお、本明細書において、「乳化安定性」とは、油中水型の乳化形態を安定に維持でき、保存による相分離を抑制できる特性を指す。
[(A)尿素]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、尿素(「(A)成分」と表記することもある)を含有する。尿素は、角質での水分保持作用や不要な角質の除去作用等を有することが知られている公知の成分である。従来技術では、尿素を含む油中水型乳化外用組成物は乳化安定性が低いという欠点があったが、本発明では、後述する脂溶性ビタミン及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことにより、当該欠点を克服し、優れた乳化安定性を備えさせることが可能になる。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、尿素(「(A)成分」と表記することもある)を含有する。尿素は、角質での水分保持作用や不要な角質の除去作用等を有することが知られている公知の成分である。従来技術では、尿素を含む油中水型乳化外用組成物は乳化安定性が低いという欠点があったが、本発明では、後述する脂溶性ビタミン及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことにより、当該欠点を克服し、優れた乳化安定性を備えさせることが可能になる。
本発明の油中水型乳化外用組成物における(A)成分の含有量については、付与すべき薬効、油中水型乳化外用組成物の用途等に応じて適宜設定されるが、5~20重量%、好ましくは10~20重量%が挙げられる。従来技術では、油中水型乳化外用組成物中の尿素の含有量が5重量%以上(特に10重量%以上)になると、乳化安定性を損ねる傾向が強く現れるが、本発明の油中水型乳化外用組成物では尿素を5重量%以上(特に10重量%以上)含んでいても、優れた乳化安定性を備えることができる。
[(B)脂溶性ビタミン]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、脂溶性ビタミン(「(B)成分」と表記することもある)を含有する。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、脂溶性ビタミン(「(B)成分」と表記することもある)を含有する。
本発明で使用される脂溶性ビタミンとしては、具体的には、ビタミンA類、ビタミンE類、ビタミンD類、及びビタミンK類が挙げられる。
ビタミンA類とは、ビタミンA1(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、ビタミンA2(3-デヒドロレチノール、3-デヒドロレチナール、3-デヒドロレチノイン酸)、及びこれらの誘導体を指す。ビタミンA1の誘導体としては、具体的には、酢酸レチノール、酪酸レチノール、プロピオン酸レチノール、パルミチン酸レチノール、リノール酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、オレイン酸レチノール及びリノレン酸レチノール等のレチノール有機酸エステル等が挙げられる。
ビタミンE類とは、トコフェロール、トコトリエノール、及びそれらの誘導体を指す。トコフェロールの誘導体としては、具体的には、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、リノレン酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール等のトコフェロール有機酸エステル等が挙げられる。トコフェロール、トコトリエノール、及びそれらの誘導体は、α-、β-、γ-、及びδ-のいずれであってもよく、またd体又はdl体のいずれであってもよい。
ビタミンD類としては、ビタミンD2、ビタミンD3及びこれらの誘導体が挙げられる。ビタミンD類として、より具体的には、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、プレエルゴカルシフェロール、5,6-trans-エルゴカルシフェロール、イソエルゴカルシフェロール、イソピロエルゴカルシフェロール、プレコレカルシフェロール、5,6-trans-コレカルシフェロール、25-ヒドロキシコレカルシフェロール、1α-ヒドロキシコレカルシフェロール、7-デヒドロコレステロール等が挙げられる。
ビタミンK類とは、ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK4(メナジオール)、ビタミンK5(4-アミノ-2-メチル-1-ナフトール)、及びそれらの誘導体を指す。
これらの脂溶性ビタミンの中でも、より一層優れた乳化安定性を備えさせるという観点から、好ましくはビタミンA類及びビタミンE類、より好ましくはレチノール、トコフェロール、及びこれらの誘導体、更に好ましくはパルミチン酸レチノール及び酢酸トコフェロールが挙げられる。
また、これらの脂溶性ビタミンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
より一層優れた乳化安定性を備えさせるという観点から、本発明で使用される脂溶性ビタミンの好適な例として、ビタミンA類とビタミンE類との組み合わせが挙げられる。ビタミンA類とビタミンE類とを組み合わせて使用する場合、これらの比率については、特に制限されないが、例えば、ビタミンA類100重量部当たり、ビタミンE類が5~1000重量部、好ましくは15~500重量部、より好ましくは20~400重量部が挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物における(B)成分の含有量としては、例えば、(B)成分の総量で0.21~15重量%、好ましくは0.7~10重量%、より好ましくは1~8重量%が挙げられる。より具体的には、(B)成分としてビタミンA類を使用する場合であれば、ビタミンA類の含有量として、0.2~5重量%、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.5~3重量%;(B)成分としてビタミンE類を使用する場合であれば、ビタミンE類の含有量として、0.01~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは0.5~5重量%が挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物において、(A)成分と(B)成分の比率については、両成分の前記各含有量を満たす範囲であればよいが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分の総量が1.05~300重量部、好ましくは3.5~200重量部、より好ましくは10~80重量部が挙げられる。より具体的には、(B)成分としてビタミンA類を使用する場合であれば、(A)成分100重量部当たり、ビタミンA類が1~100重量部、好ましくは2~60重量部、より好ましくは2.5~30重量部;(B)成分としてビタミンE類を使用する場合であれば、(A)成分100重量部当たり、ビタミンE類が0.05~200重量部、好ましくは0.1~100重量部、より好ましくは4~50重量部が挙げられる。
[(C)ポリグリセリン脂肪酸エステル]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステル(「(C)成分」と表記することもある)を含有する。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステル(「(C)成分」と表記することもある)を含有する。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、脂肪酸又はその重合体とポリグリセリンとのエステルである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、エステル結合の数(ポリグリセリン1分子当たり、結合している脂肪酸の数)としては、例えば1~10、好ましくは1~5、更に好ましくは1が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば、炭素数8~30の脂肪酸又はその重合体、好ましくは炭素数12~22の脂肪酸又はその重合体、より好ましくは炭素数12~18の脂肪酸又はその重合体が挙げられる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの重合度(グリセリンの結合数)としては、例えば2~10、好ましくは4~8が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ラウリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ペンタステアリン酸ポリグリセリル、リシノレイン酸ポリグリセリル、ポリラウリン酸ポリグリセリル、ポリステアリン酸ポリグリセリル、ポリオレイン酸ポリグリセリル、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、より一層優れた乳化安定性を備えさせるという観点から、好ましくはオレイン酸ポリグリセリル、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル;より好ましくはオレイン酸ポリグリセリル-2、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6(ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル)、ラウリン酸ポリグリセリル-10が挙げられる。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物における(C)成分の含有量としては、例えば、0.5~10重量%、好ましくは1~9重量%、より好ましくは2~8重量%、更に好ましくは3~8重量%、特に好ましくは4~8重量%が挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物において、(A)成分と(C)成分の比率については、両成分の前記各含有量を満たす範囲であればよいが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(C)成分が2.5~200重量部、好ましくは5~160重量部、より好ましくは10~80重量部、更に好ましくは10~30重量部が挙げられる。
[(D)デキストリン脂肪酸エステル]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、前記成分に加えて、更にデキストリン脂肪酸エステル(「(D)成分」と表記することもある)を含有してもよい。デキストリン脂肪酸エステルが含まれる場合には、乳化安定性、及び含有成分の皮膚への浸透性をより一層向上させることが可能になる。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、前記成分に加えて、更にデキストリン脂肪酸エステル(「(D)成分」と表記することもある)を含有してもよい。デキストリン脂肪酸エステルが含まれる場合には、乳化安定性、及び含有成分の皮膚への浸透性をより一層向上させることが可能になる。
デキストリン脂肪酸エステルとは、脂肪酸とデキストリンとのエステルを指す。デキストリン脂肪酸エステルを構成するデキストリンの平均重合度としては、例えば、3~150、好ましくは10~50、より好ましくは20~40が挙げられる。また、デキストリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数としては、例えば、8~22、好ましくは12~20、より好ましくは12~18が挙げられる。デキストリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
デキストリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ラウリン酸デキストリン、ミリスリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ベヘン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン等が挙げられる。
これらのデキストリン脂肪酸エステルの中でも、より一層優れた乳化安定性を備えさせるという観点から、好ましくはパルミチン酸デキストリンが挙げられる。
また、これらのデキストリン脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物において(D)成分を含有させる場合、その含有量としては、例えば、0.1~10重量%、好ましくは0.2~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%、更に好ましくは0.2~1重量%が挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物において、(A)成分と(D)成分の比率については、両成分の前記各含有量を満たす範囲であればよいが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(D)成分が0.5~200重量部、好ましくは0.5~100重量部、より好ましくは1~50重量部、更に好ましくは1~10重量部が挙げられる。
[(E)多価アルコール]
本発明の油中水型乳化外用組成物には、保湿性の向上等のために、必要に応じて多価アルコール(「(E)成分」と表記することもある)を含有してもよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物には、保湿性の向上等のために、必要に応じて多価アルコール(「(E)成分」と表記することもある)を含有してもよい。
多価アルコールの種類については、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくはグリセリンが挙げられる。
これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物において(E)成分を含有させる場合、その含有量としては、例えば、1~30重量%、好ましくは5~25重量%、より好ましくは7~20重量%が挙げられる。
[(F)グリチルリチン酸及び/又はその塩]
本発明の油中水型乳化外用組成物には、抗炎症作用や抗アレルギー作用等を付与するために、必要に応じてグリチルリチン酸及び/又はその塩(「(F)成分」と表記することもある)を含有してもよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物には、抗炎症作用や抗アレルギー作用等を付与するために、必要に応じてグリチルリチン酸及び/又はその塩(「(F)成分」と表記することもある)を含有してもよい。
グリチルリチン酸の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリチルリチン酸及びその塩の中でも、好ましくはグリチルリチン酸の塩、より好ましくはグリチルリチン酸モノアンモニウムが挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物において(F)成分を含有させる場合、その含有量としては、例えば、0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは0.5~3重量%が挙げられる。
[(G)油相基剤]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、油相を形成するための油相基材(「(G)成分」と表記することもある)が含まれる。油相基剤としては、例えば、高級アルコール、エステル油、炭化水素油、高級脂肪酸、植物油、動物油、シリコーン油等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、高級アルコール、エステル油、及び炭化水素油が挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、油相を形成するための油相基材(「(G)成分」と表記することもある)が含まれる。油相基剤としては、例えば、高級アルコール、エステル油、炭化水素油、高級脂肪酸、植物油、動物油、シリコーン油等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、高級アルコール、エステル油、及び炭化水素油が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、炭素数10~24の1価アルコール、好ましくは炭素数12~22の1価アルコール、更に好ましくは炭素数14~22の1価アルコールが挙げられる。高級アルコールとして、具体的には、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リノグリセリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。
エステル油としては、例えば、脂肪酸1分子が1価アルコール又は多価アルコール1分子にエステル結合したモノエステル、脂肪酸2分子が多価アルコール1分子にエステル結合したジエステル、脂肪酸3分子が3価以上の多価アルコール1分子にエステル結合したトリエステル、脂肪酸がコレステロールにエステル結合した脂肪酸コレステリル等が挙げられる。エステル油として、具体的には、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、ポリブテン、水添ポリイソブテン、スクワラン、スクワレン等が挙げられる。
これらの油相基材は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物における(G)成分の含有量としては、例えば、5~68重量%、好ましくは7~55重量%、より好ましくは7~40重量%が挙げられる。
[(H)水相基剤]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、水相を形成するための水相基材として水(「(H)成分」と表記することもある)が含まれる。本発明の油中水型乳化外用組成物における(H)成分の含有量としては、例えば、20~88重量%、好ましくは25~76重量%、より好ましくは30~70重量%が挙げられる。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、水相を形成するための水相基材として水(「(H)成分」と表記することもある)が含まれる。本発明の油中水型乳化外用組成物における(H)成分の含有量としては、例えば、20~88重量%、好ましくは25~76重量%、より好ましくは30~70重量%が挙げられる。
[その他の成分]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用組成物において通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、HLB値が6~17程度の非イオン性界面活性剤(前記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外)、両イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、増粘剤、1価低級アルコール、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、着色料等が挙げられる。本発明の油中水型乳化外用組成物において、これらの添加剤を含有させる場合、その含有量については、使用する添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用組成物において通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、HLB値が6~17程度の非イオン性界面活性剤(前記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外)、両イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、増粘剤、1価低級アルコール、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、着色料等が挙げられる。本発明の油中水型乳化外用組成物において、これらの添加剤を含有させる場合、その含有量については、使用する添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明の油中水型乳化外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、薬理成分が含まれていてもよい。このような薬理成分としては、例えば、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、抗炎症剤(グリチルレチン酸及び/又はその塩以外)、保湿剤(尿素以外)、殺菌剤、抗菌剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、血行促進成分、ビタミン類、ムコ多糖類等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の外用組成物において、これらの薬理成分を含有させる場合、その濃度については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
[製剤形態・用途]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、油中水型の乳化形態であるので、製剤形態はクリーム剤又は軟膏剤であることが好ましく、クリーム剤であることがより好ましい。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、油中水型の乳化形態であるので、製剤形態はクリーム剤又は軟膏剤であることが好ましく、クリーム剤であることがより好ましい。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、尿素によって優れた保湿効果が奏されるので、膚の保湿、皺改善等のスキンケア目的で使用することができる。また、本発明の油中水型乳化外用組成物は、尿素に基づいて不要な角質の除去効果を奏することができるので、角化症の治療目的で使用することもできる。
[製造方法]
本発明の油中水型乳化外用組成物は、公知の油中水型乳化製剤の製造方法に従って製造することができる。本発明の外用乳化組成物の製造方法として、例えば、以下に示す方法が挙げられる。先ず、(A)成分及び(H)成分に加えて、必要に応じて(E)成分、(F)成分、その他の水溶性成分を混合して水相用組成物を調製する。別途、(B)成分、(C)成分及び(G)成分に加えて、必要に応じて(D)成分、その他の親油性成分を混合して油相用組成物を調製する。次いで、前記油相用組成物に前記水相用組成物を滴下しながら混合して乳化させることにより、本発明の油中水型乳化外用組成物が得られる。
本発明の油中水型乳化外用組成物は、公知の油中水型乳化製剤の製造方法に従って製造することができる。本発明の外用乳化組成物の製造方法として、例えば、以下に示す方法が挙げられる。先ず、(A)成分及び(H)成分に加えて、必要に応じて(E)成分、(F)成分、その他の水溶性成分を混合して水相用組成物を調製する。別途、(B)成分、(C)成分及び(G)成分に加えて、必要に応じて(D)成分、その他の親油性成分を混合して油相用組成物を調製する。次いで、前記油相用組成物に前記水相用組成物を滴下しながら混合して乳化させることにより、本発明の油中水型乳化外用組成物が得られる。
2.乳化安定化方法
本発明の乳化安定化方法は、尿素を含む油中水型乳化外用組成物の乳化安定化方法であって、油中水型乳化外用組成物中に、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることを特徴とする。
本発明の乳化安定化方法は、尿素を含む油中水型乳化外用組成物の乳化安定化方法であって、油中水型乳化外用組成物中に、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることを特徴とする。
本発明の乳化安定化方法において、使用する(A)~(C)の種類や含有量、配合される他の成分の種類や含有量、油中水型乳化外用組成物の製剤形態・用途等については、前記「1.油中水型乳化外用組成物」の場合と同様である。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下に示す試験例及び処方例で使用したパルミチン酸デキストリンは、商品名「レオパールKL2」(千葉製粉株式会社製;デキストリンの重合度は20~30)である。
試験例1
1.乳化外用組成物の製造
<実施例1~11及び比較例1~9>
表1及び2に示す組成の油中水型乳化外用組成物(クリーム剤)を以下の手順で製造した。先ず、表1及び2に示す各油相成分及び界面活性剤を所定量混合し、80℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1及び2に示す各水相成分を混合することにより、水相用組成物を調製した。次いで、80℃に加熱した水相用組成物を、80℃に加熱している油相用組成物に徐々に添加した。温度を維持したままホモミキサー(プライミクス社製アジホモミキサー)を用いて3000rpm・2分間乳化し、更にパドルミキサーを用いて混合しながら常温になるまで冷却し、油中水型乳化外用組成物を得た。得られた油中水型乳化外用組成物は、調製直後はいずれも相分離がない均質な乳化状態であった。
<比較例9>
表1に示す組成の外用組成物(クリーム剤)を以下の手順で製造した。先ず、表1に示す各油相成分を所定量混合し、80℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1に示す各水相成分を混合することにより、水相用組成物を調製した。次いで、80℃に加熱した水相用組成物を、80℃に加熱している油相用組成物に徐々に添加し混合して乳化操作を行い、外用組成物を得た。得られた外用組成物は、調製直後は、油相と水相が乳化していない混合物の状態であった。
1.乳化外用組成物の製造
<実施例1~11及び比較例1~9>
表1及び2に示す組成の油中水型乳化外用組成物(クリーム剤)を以下の手順で製造した。先ず、表1及び2に示す各油相成分及び界面活性剤を所定量混合し、80℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1及び2に示す各水相成分を混合することにより、水相用組成物を調製した。次いで、80℃に加熱した水相用組成物を、80℃に加熱している油相用組成物に徐々に添加した。温度を維持したままホモミキサー(プライミクス社製アジホモミキサー)を用いて3000rpm・2分間乳化し、更にパドルミキサーを用いて混合しながら常温になるまで冷却し、油中水型乳化外用組成物を得た。得られた油中水型乳化外用組成物は、調製直後はいずれも相分離がない均質な乳化状態であった。
<比較例9>
表1に示す組成の外用組成物(クリーム剤)を以下の手順で製造した。先ず、表1に示す各油相成分を所定量混合し、80℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1に示す各水相成分を混合することにより、水相用組成物を調製した。次いで、80℃に加熱した水相用組成物を、80℃に加熱している油相用組成物に徐々に添加し混合して乳化操作を行い、外用組成物を得た。得られた外用組成物は、調製直後は、油相と水相が乳化していない混合物の状態であった。
<参考例1及び2>
表1に示す組成の水中油型乳化外用組成物(クリーム剤)を以下の手順で製造した。先ず、表1に示す各油相成分及び界面活性剤を所定量混合し、80℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1に示す各水相成分を所定量混合することにより、水相用組成物を調製した。次いで、80℃に加熱した油相用組成物を、80℃に加熱している水相用組成物に徐々に添加し混合しながら乳化させて、水中油型乳化外用組成物(クリーム剤)を得た。得られた水中油型乳化外用組成物は、調製直後はいずれも相分離がない均質な乳化状態であった。
表1に示す組成の水中油型乳化外用組成物(クリーム剤)を以下の手順で製造した。先ず、表1に示す各油相成分及び界面活性剤を所定量混合し、80℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1に示す各水相成分を所定量混合することにより、水相用組成物を調製した。次いで、80℃に加熱した油相用組成物を、80℃に加熱している水相用組成物に徐々に添加し混合しながら乳化させて、水中油型乳化外用組成物(クリーム剤)を得た。得られた水中油型乳化外用組成物は、調製直後はいずれも相分離がない均質な乳化状態であった。
2.乳化安定性の評価方法
調製直後の各外用組成物10gを20ml容の透明ガラス容器(スクリュー管No.5、株式会社マルエム製、内径27mm)に充填して密封し、低温サイクル安定試験性及び高温安定性を評価した。低温サイクル試験安定性の評価では、-20℃から5℃まで昇温し、その後5℃から-20℃まで降温する温度変化を24時間かけて行うことを1サイクルとして、合計10日間(10サイクル)行った。高温安定性の評価では、50℃で30日間保存した。
調製直後の各外用組成物10gを20ml容の透明ガラス容器(スクリュー管No.5、株式会社マルエム製、内径27mm)に充填して密封し、低温サイクル安定試験性及び高温安定性を評価した。低温サイクル試験安定性の評価では、-20℃から5℃まで昇温し、その後5℃から-20℃まで降温する温度変化を24時間かけて行うことを1サイクルとして、合計10日間(10サイクル)行った。高温安定性の評価では、50℃で30日間保存した。
低温サイクル試験安定性及び高温安定性の各試験後に、各外用組成物の外観を観察し、以下の評価基準に従って、安定性を評価した。参考のため、下記評価基準の◎~××に該当する典型的な外観を図1に示す。
・安定性の評価基準
◎ :相分離が全く生じていない。
○ :外用組成物の上部表面の一部に僅かに相分離した透明な液の存在が認められるが、実用上の問題はない。
△ :外用組成物の上部表面の全体に相分離した透明な液の存在が認められる。
× :外用組成物の一部が相分離している。
××:外用組成物が完全に相分離している。
・安定性の評価基準
◎ :相分離が全く生じていない。
○ :外用組成物の上部表面の一部に僅かに相分離した透明な液の存在が認められるが、実用上の問題はない。
△ :外用組成物の上部表面の全体に相分離した透明な液の存在が認められる。
× :外用組成物の一部が相分離している。
××:外用組成物が完全に相分離している。
3.浸透性の評価方法
実施例1~11、比較例3及び9、並びに参考例1及び2の外用組成物について、表皮中へのパルミチン酸レチノール又は酢酸トコフェロールの浸透性を評価した。先ず、ヘアレスマウス背部の皮膚を取得し、各水中油型乳化外用組成物400mgを直径3cmにスパチュラ-を用いて一面に塗布し、30分間保管後に皮膚表面に残存している水中油型乳化外用組成物をふきとり凍結した。凍結した状態で皮膚切片を作製し、浸透評価用の試料とした。次いで、共焦点ラマン顕微鏡(ナノフォトン社 RAMANtouch)を用い、532nm(出力500mW)で180秒照射することで、表皮の深さ方向の断面画像を取得し、パルミチン酸レチノール由来の波長1594cm-1のラマン信号又は酢酸トコフェロール由来の波長1332cm-1のラマン信号の局在部位を確認した。なお、実施例4では酢酸トコフェロール由来の波長1332cm-1のラマン信号の局在部位についてのみ評価し、実施例5ではパルミチン酸レチノール由来の波長1594cm-1のラマン信号の局在部位についてのみ評価した。参考のため、下記評価基準の◎~××に該当する典型的な画像を図2に示す。図2では、中央に示すバーの中でラマン信号が観察される部位が緑色になっている。図2では、枠線内の領域において、ラマン信号(緑色)が観察されている。
・浸透性の評価基準
◎:表皮中の深い領域(表皮表面から40μm程度の深さまでの領域)に1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が強く観察される。
○:表皮中の浅い領域(表皮表面から30μm程度の深さまでの領域)のみに1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察される。
△:表皮中の表面側(表皮表面から20μm程度の深さまでの領域)のみに1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察される
×:表皮中の表面側(表皮表面から10μm程度の深さまでの領域)のみに1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察される。
××:表皮中には1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察されない。
4.結果
結果を表1及び2に示す。水中油型の乳化外用組成物では、尿素の有無に拘わらず、優れた乳化安定性を有していたが、浸透性は不十分であった(参考例1及び2)。また、尿素を含まない油中水型乳化外用組成物では、界面活性剤としてポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6以外を使用した場合には優れた乳化安定性を有していたが(比較例1)、界面活性剤としてポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6を使用した場合には、乳化安定性が低下していた(比較例4、5、7、及び8)。また、尿素を含む油中水型乳化外用組成物では、脂溶性ビタミンとポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6の双方を含まない場合、及びこれらの一方のみを含む場合では、乳化安定性は不十分であった(比較例2、3及び6)。これに対して、尿素と共に、脂溶性ビタミン、及びポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6を含む油中水型乳化外用組成物では、優れた乳化安定性を備えることができており、しかも表皮への浸透性も格段に優れていた(実施例1~12)。特に、尿素、脂溶性ビタミン、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、及びパルミチン酸デキストリンを含む油中水型乳化外用組成物では、格段に優れた乳化安定性及び浸透性が認められた(実施例10及び11)。
実施例1~11、比較例3及び9、並びに参考例1及び2の外用組成物について、表皮中へのパルミチン酸レチノール又は酢酸トコフェロールの浸透性を評価した。先ず、ヘアレスマウス背部の皮膚を取得し、各水中油型乳化外用組成物400mgを直径3cmにスパチュラ-を用いて一面に塗布し、30分間保管後に皮膚表面に残存している水中油型乳化外用組成物をふきとり凍結した。凍結した状態で皮膚切片を作製し、浸透評価用の試料とした。次いで、共焦点ラマン顕微鏡(ナノフォトン社 RAMANtouch)を用い、532nm(出力500mW)で180秒照射することで、表皮の深さ方向の断面画像を取得し、パルミチン酸レチノール由来の波長1594cm-1のラマン信号又は酢酸トコフェロール由来の波長1332cm-1のラマン信号の局在部位を確認した。なお、実施例4では酢酸トコフェロール由来の波長1332cm-1のラマン信号の局在部位についてのみ評価し、実施例5ではパルミチン酸レチノール由来の波長1594cm-1のラマン信号の局在部位についてのみ評価した。参考のため、下記評価基準の◎~××に該当する典型的な画像を図2に示す。図2では、中央に示すバーの中でラマン信号が観察される部位が緑色になっている。図2では、枠線内の領域において、ラマン信号(緑色)が観察されている。
・浸透性の評価基準
◎:表皮中の深い領域(表皮表面から40μm程度の深さまでの領域)に1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が強く観察される。
○:表皮中の浅い領域(表皮表面から30μm程度の深さまでの領域)のみに1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察される。
△:表皮中の表面側(表皮表面から20μm程度の深さまでの領域)のみに1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察される
×:表皮中の表面側(表皮表面から10μm程度の深さまでの領域)のみに1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察される。
××:表皮中には1594cm-1及び1332cm-1のラマン信号が観察されない。
4.結果
結果を表1及び2に示す。水中油型の乳化外用組成物では、尿素の有無に拘わらず、優れた乳化安定性を有していたが、浸透性は不十分であった(参考例1及び2)。また、尿素を含まない油中水型乳化外用組成物では、界面活性剤としてポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6以外を使用した場合には優れた乳化安定性を有していたが(比較例1)、界面活性剤としてポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6を使用した場合には、乳化安定性が低下していた(比較例4、5、7、及び8)。また、尿素を含む油中水型乳化外用組成物では、脂溶性ビタミンとポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6の双方を含まない場合、及びこれらの一方のみを含む場合では、乳化安定性は不十分であった(比較例2、3及び6)。これに対して、尿素と共に、脂溶性ビタミン、及びポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6を含む油中水型乳化外用組成物では、優れた乳化安定性を備えることができており、しかも表皮への浸透性も格段に優れていた(実施例1~12)。特に、尿素、脂溶性ビタミン、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、及びパルミチン酸デキストリンを含む油中水型乳化外用組成物では、格段に優れた乳化安定性及び浸透性が認められた(実施例10及び11)。
処方例
表3に示す組成の水中油型乳化外用組成物(クリーム剤)を調製した。調製手順は、前記実施例1~12の場合と同様である。得られた水中油型乳化外用組成物について、前記試験例1と同様の方法で、乳化安定性及び浸透性を評価したところ、いずれも優れた乳化安定性及び浸透性が認められた。
表3に示す組成の水中油型乳化外用組成物(クリーム剤)を調製した。調製手順は、前記実施例1~12の場合と同様である。得られた水中油型乳化外用組成物について、前記試験例1と同様の方法で、乳化安定性及び浸透性を評価したところ、いずれも優れた乳化安定性及び浸透性が認められた。
Claims (6)
- (A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、油中水型乳化外用組成物。
- 更に(D)デキストリン脂肪酸エステルを含む、請求項1に記載の油中水型乳化外用組成物。
- 前記(B)成分が、ビタミンA類及び/又はビタミンE類である、請求項1又は2に記載の油中水型乳化外用組成物。
- 前記(A)成分が5~20重量%、前記(B)成分が0.21~15重量%、前記(C)成分が0.5~10重量%含まれる、請求項1~3のいずれかに記載の油中水型乳化外用組成物。
- 前記(D)成分が0.1~5重量%含まれる、請求項2~4のいずれかに記載の油中水型乳化外用組成物。
- 尿素を含む油中水型乳化外用組成物の乳化安定化方法であって、油中水型乳化外用組成物中に、(A)尿素、(B)脂溶性ビタミン、及び(C)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させる、乳化安定化方法。
Priority Applications (1)
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JP2020110823A JP2022007717A (ja) | 2020-06-26 | 2020-06-26 | 油中水型乳化外用組成物 |
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Cited By (1)
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KR100778733B1 (ko) * | 2001-12-24 | 2007-11-23 | 주식회사 포스코 | 폐연와 해체수단을 구비한 레이들 |
-
2020
- 2020-06-26 JP JP2020110823A patent/JP2022007717A/ja active Pending
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KR100778733B1 (ko) * | 2001-12-24 | 2007-11-23 | 주식회사 포스코 | 폐연와 해체수단을 구비한 레이들 |
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