JP2022006983A - 記録装置および記録装置の制御方法 - Google Patents

記録装置および記録装置の制御方法 Download PDF

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Asako Tomita
和彦 佐藤
Kazuhiko Sato
一生 鈴木
Kazuo Suzuki
琢 横澤
Migaku Yokozawa
昇 国峯
Noboru Kunimine
晶子 愛知
Akiko Aichi
寛史 平
Hiroshi Taira
悟史 東
Satoshi Higashi
洋志 川藤
Hiroshi Kawafuji
紗衣 茂木
Sae Mogi
裕人 寒河
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Abstract

Figure 2022006983000001
【課題】廃インク量を低減しつつ、吐出口付近に増粘インクが発生することを抑制すること。
【解決手段】記録装置は、インクを収容するタンクと、インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、タンクから記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、記録ヘッドからの予備吐出を制御する制御手段と、を備える。記録ヘッドは、供給流路との接続部を有する第1液室と、圧力室を介して第1液室と連通する第2液室と、第2液室の容積を変化させる容積可変部と、を有する。制御手段は、記録ヘッドが往復走査する際に生じる慣性力に応じて、記録ヘッドからの予備吐出量を制御する。
【選択図】図9

Description

本発明は、記録装置および記録装置の制御方法に関する。
記録ヘッドの主走査方向への移動と記録媒体の搬送とを繰り返すことで記録動作が行われる、いわゆるシリアル式のインクジェット記録装置がある。特許文献1には、シリアル式のインクジェット記録装置において、回収側インク室と供給側インク室とインク循環装置とを有するインクジェットヘッドが記載されている。特許文献1において、回収側インク室、供給側インク室、およびインク循環装置は、インクジェットヘッドの上方にインクジェットヘッドと一体に形成されている。インク循環装置は、インク循環ポンプおよび圧力センサを有しており、インク循環ポンプを駆動することで、ノズルを経てインク室間でインクを循環させることが記載されている。
特開2016-52769号公報
特許文献1に記載の技術は、インクジェットヘッドと一体に形成されているインク循環装置を有しており、インク循環装置には、インク循環ポンプおよび圧力センサなど多数の部品が用いられている。このため、特許文献1に記載の技術を用いてノズル付近のインクを循環させようとすると、記録ヘッドの構成が複雑化したり、装置の制御が複雑化したりする虞がある。また、吐出口付近のインクを循環させることで吐出口付近のインクの増粘を解消することが可能であるが、インクの循環のみでは必ずしも増粘インクを全て非増粘インクに置換できない場合がある。
本発明は、インクジェット記録装置において、簡易な構成で吐出口付近のインクを移動させることで、廃インク量を低減しつつ、吐出口付近に増粘インクが発生することを抑制することを目的とする。
本発明の一態様に係る記録装置は、インクを収容するタンクと、インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記タンクから前記記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、前記記録ヘッドからの予備吐出を制御する制御手段と、を備える記録装置であって、前記記録ヘッドは、前記供給流路との接続部を有する第1液室と、前記圧力室を介して前記第1液室と連通する第2液室と、前記第2液室の容積を変化させる容積可変部と、を有し、前記制御手段は、前記記録ヘッドが往復走査する際に生じる慣性力に応じて、前記記録ヘッドからの予備吐出量を制御することを特徴とする。
本発明によれば、インクジェット記録装置において、簡易な構成で吐出口付近のインクを移動させることで、廃インク量を低減しつつ、吐出口付近に増粘インクが発生することを抑制することができる。
記録装置の外観を示す概略斜視図である。 インクタンクから記録ヘッドまでのインクの経路を示す図である。 記録装置の制御構成の概略を示すブロック図である。 記録ヘッド内の液室を説明する図である。 記録ヘッドの断面斜視図である。 キャリッジの移動に伴う慣性力を説明する図である。 記録動作中の非吐出時間の長さにおける吐出速度の変化を示す図である。 加減速度または加減速時間の違いを説明する図である。 具体的な制御例を説明する図である。 記録モードに応じた予備吐出量を決定する制御の例を示す図である。 予備吐出量の追加制御の例を示す図である。 CR速度に応じて予備吐出量を制御する例を説明する図である。 記録ヘッド内の圧力変動を説明する図である。 制御例を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
なお、この明細書において、「記録」とは、文字または図形等の有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、もしくはパターン等を形成する場合、または、記録媒体の加工を行う場合も表すものとする。
「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、もしくはパターン等の形成、記録媒体の加工、または、インクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
<<第1実施形態>>
本実施形態では、記録ヘッドの主走査方向への移動と、主走査方向に交差する方向(以下、副走査方向という)への記録媒体の搬送とを繰り返すことで記録動作が行われる、いわゆるシリアル式のインクジェット記録装置を説明する。そして、インクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)において、吐出口付近のインクを移動させる形態を説明する。
まず、吐出口付近のインクを移動させることが求められていることの背景を概略的に説明する。記録装置の記録ヘッドは、圧力室に配されているエネルギー発生素子(記録素子)を駆動させることで吐出口からインクを吐出させるように構成されている。なお、エネルギーを与える方法としては、電気熱変換素子(ヒータ)または圧電素子等を用いることができる。圧力室に充填されたインクが、エネルギー発生素子を駆動することで吐出口から吐出される。
記録動作中に吐出口からインクが吐出されていない時間が続くと、吐出口におけるインクと外気との界面であるメニスカスにおいて、インクの蒸発成分が蒸発する。このため、吐出口付近のインクの濃度および粘度が高くなり、吐出口が目詰まりしやすくなる。このような現象を抑制するために、一般的に、シリアル式の記録装置では、記録ヘッドを往復移動させるときに、記録媒体の記録範囲外において吐出口からインクを吐出させて、吐出口付近で特性が変化したインクを排出させる処理が行われている。この処理は、予備吐出処理(またはフラッシング処理)と呼ばれる。予備吐出処理は、数往復につき1回実行され、より高画質を求める場合には、1往復に1回実行され、最大では、往路と復路とのそれぞれにつき、1回実行されている。このような予備吐出処理は、記録速度を低下させてしまい、記録時間を余分に生じさせてしまう要因となる。また、画像の記録に用いられないインクを消費してしまう。
本実施形態では、吐出口付近におけるインクを吐出口から移動させる例を説明する。これにより、吐出口付近のインクの蒸発成分が蒸発することを抑制できるので、予備吐出処理を高頻度に行わなくても吐出口付近のインクの増粘を抑制することができる。本実施形態では、シリアル式の記録ヘッドの特性を利用して吐出口付近のインクを移動させる。より詳細には、記録ヘッドの往復走査時において、記録ヘッドに連通しているチューブ内に生じる圧力変動を利用して、吐出口付近におけるインクを移動させる例を説明する。即ち、吐出口付近のインクを移動させるためのポンプ等の循環機構を備えることなく、簡易な構成で吐出口付近のインクの増粘を抑制する例を説明する。尚、インクの増粘が進行している場合、記録ヘッドの往復走査時において、記録ヘッドに連通しているチューブ内に生じる圧力変動を利用して、吐出口付近におけるインクを移動させても、増粘インクが非増粘インクに十分置換されないこともある。そこで、本実施形態では、記録ヘッドの往復走査による吐出口付近のインクの移動に合わせて、予備吐出処理を適切な予備吐出量で実施することで、少ない予備吐出量で増粘インクを解消する例を説明する。
<記録装置の外観>
図1は、本実施形態における記録装置100の外観を示す概略斜視図である。記録装置100は、記録ヘッド101を有する。記録ヘッド101は、複数配列された吐出口を有し、各吐出口の列毎に異なる色のインクを吐出することが可能である。記録ヘッド101は、供給流路として機能する供給チューブ102を介してインクタンク103と連通している。インクタンク103は、記録装置100の所定の位置に固定して設置されている。記録ヘッド101の各インク色の吐出口列には、各色用の供給チューブ102を介してインクタンク103から各色のインクが供給される。吐出口からインクが吐出されると、インクタンク103から記録ヘッド101にインクが供給される。
記録ヘッド101は、キャリッジ104に着脱可能に搭載されている。キャリッジ104は、記録動作時に、ガイドシャフト107に沿って座標軸Xの主走査方向に往復移動する。記録ヘッド101は、キャリッジ104の移動に伴い、キャリッジ104と一体に主走査方向に移動する。記録媒体105は、搬送ローラ106によって座標軸Y方向の副走査方向に搬送される。記録動作を行わない待機時においては、キャップ108によって記録ヘッド101の吐出口がキャップされる。キャップ108によって記録ヘッド101の吐出口がキャップされる位置が、記録ヘッド101の待機位置である。
キャリッジ104は、記録ヘッド101と共にX方向に沿って往復移動する。具体的には、キャリッジ104は、X方向に沿って配置されたガイドシャフト107に沿って移動可能に支持されると共に、ガイドシャフト107と略平行に移動する不図示の無端ベルトに固定されている。無端ベルトは、キャリッジモータ(CRモータ)の駆動力によって往復運動し、それによってキャリッジ104をX方向に往復移動させる。
<インク経路>
図2は、図1における+Y方向から記録装置100を見た概略図である。図2は、装置本体の定位置に配されたインクタンク103から記録ヘッド101までの1色分のインクの経路を示している。
インクタンク103を含むインク供給システム203は、中空管204およびバッファ室205を有し、記録装置100本体の所定の位置に保持固定されている。供給チューブ102は、インク流路として用いられる。供給チューブ102は、開閉可能な開閉弁202を介してインク供給システム203に接続されている。供給チューブ102は、柔軟性(可撓性)を有する材料で形成されており、X方向にキャリッジ104を往復移動させつつ記録ヘッド101にインクを供給することが可能である。なお、供給チューブ102は、記録ヘッド101の任意の位置で記録ヘッド101に接続可能である。また、供給チューブ102は、キャリッジ104の移動方向に略平行な区間を有するように配置されている。詳細は後述する。なお、図1および図2で示す供給チューブ102の配置は、一例であり、この限りではない。
次に、インクタンク103からインクを供給する方法を説明する。インクタンク103は、記録装置100本体に対して着脱可能に搭載されている。インクタンク103は、中空管204によって、供給チューブ102と接続されている。供給チューブ102中には、流路を開閉可能な開閉弁202が備えられている。開閉弁202は、記録装置100の電源がONになると開き、電源がOFFになると閉じるように構成されている。つまり、記録動作が行われているときには、開閉弁202は開いた状態となっている。なお、電源がONになった後も開閉弁202が閉じていて、記録命令が記録装置100に入力された場合に開閉弁202が開くように構成されていてもよい。インクタンク103は、バッファ室205と連通するように細管206により接続されている。インクタンク103と細管206との接続位置は、インクタンク103と中空管204との接続位置と同様に、インクタンク103において略下方である。バッファ室205は、インクタンク103と連通するよう中空管204と同様の細管206により接続されている。バッファ室205は、インクタンク103と接続されている一方で、大気開放のための連通管207と接続されている。これにより、インクタンク103の内圧と大気圧とのバランスを取っている。尚、バッファ室205とインクタンク103とを接続する細管206は、インクタンク103とバッファ室205とを連通しつつ、インクタンク103内のインク蒸発を最小限にすべく、十分流路が狭い構成を成している。
<ブロック図>
図3は、本実施形態の記録装置100の制御構成の概略を示すブロック図である。CPU301は、ROM302に格納されたシステム制御を司るプログラムをRAM312に読み出して実行し、実行したプログラムに従ってシステム全体を制御する。RAM312は、CPU301が実行する処理に必要なプログラムおよび入力データなどを一時的に格納する作業領域として用いられる。
また、CPU301は、クリーニング部304および搬送ユニット303等の動作を制御する。搬送ユニット303は、搬送ローラ106の駆動を制御する。また、CPU301は、駆動回路307、2値化回路308、および画像処理部309を通じて、記録ヘッド101の記録動作を制御する。画像処理部309は、入力された記録すべきカラー画像データに対して所定の画像処理を施す。画像処理部309は、例えば、入力されたRGB各色成分の画像データによって再現される色域を、記録装置によって再現される色域内に写像するためのデータ変換を実行する。画像処理部309は、変換したデータに基づき、各データが示す色を再現するインクの組み合わせに対応した色分解データであるCMYK各成分濃度データを求める処理を行い、各色に分解された色分解データのそれぞれに対して階調変換を行う。
2値化回路308は、画像処理部309によって変換された多値の濃度画像データに対してハーフトーン処理などを行った後、2値データ(ビットマップデータ)に変換する。駆動回路307は、2値化回路308によって得られた2値データなどに従い、記録ヘッド101によるインクの吐出動作を実行させる。CPU301は、記録ヘッド101の記録動作と対応して、搬送ユニット303で記録媒体105を搬送させる制御を行い、記録媒体105に画像が記録される。
<記録ヘッドの液室>
図4は、記録ヘッド101内の液室を説明する図である。図4(a)は、本実施形態の記録ヘッド101の概略断面図である。紙面の奥行方向に各吐出口401が配列されている。記録ヘッド101内部の圧力室408内には、エネルギー発生素子としてヒータ407が配されている。ヒータ407にパルス状の電力を加えることによって発泡が生じ、インク滴が吐出口401から吐出される。
記録ヘッド101は、吐出口401を挟む第1液室402および第2液室403の二つの液室を有する。第1液室402は、供給チューブ102に接続している液室である。第2液室403は、吐出口401に対して第1液室402の反対側に位置する液室である。第1流路404は、各吐出口401と第1液室402とを接続している流路である。第2流路405は、各吐出口401と第2液室403とを接続している流路である。
第2液室403は、容積可変部406を備えている。容積可変部406は、液室内の容積を変化させることができる部材である。図4(a)において容積可変部406は、蛇腹状の伸縮部材411と、伸縮部材411が接合され伸縮部材411によって移動可能な液室内壁410とを含む。図4(b)は、容積可変部406の構成が図4(a)に示す例とは異なる例を示す図である。図4(b)において容積可変部406は、ゴム状の伸縮部材412である。
図4(a)および(b)に示すように、容積可変部406には、圧力に応じて伸縮する機構または可撓性の部材が用いられている。例えば、第1液室402から第2液室403の方向へ加圧が働いた際に、容積可変部406が変化し、第2液室403の容積が拡張される。これにより、往復走査によって揺動するインクを吐出口401から溢れさせずに一時的に第2液室403に収容することが可能となる。
図5は、吐出口401が形成されている面から見た、記録ヘッド101の断面斜視図である。各吐出口401は、列状に配されている。第1流路404及び第2流路405は、各吐出口401に対して配されている。第1液室402及び第2液室403は、吐出口列に沿って延在している。つまり、第1液室402のインクは、第1流路404を通り、各吐出口401を通過したのち第2流路405を通って第2液室403で合流することが可能である。記録ヘッド101は、複数色のインクを有しており、吐出口401の列は、複数配列されている。
<キャリッジの移動に伴う慣性力の説明>
図6は、キャリッジ104の移動に伴う慣性力を説明する図である。インクタンク103と供給チューブ102で連結されている記録ヘッド101は、キャリッジ104と一体となり主走査方向である図1のX軸方向を左右に往復移動する。即ち、図6においてキャリッジ104は、左右に往復移動する。なお、キャリッジ104の往復移動は、記録動作時に行われてもよいし、記録動作を行わないときに行われてもよい。
図6(a)は、キャリッジ104が主走査方向の左端側に移動したときの供給チューブ102の配置の概略図である。左端側とは、図1および図6(a)において、+X方向の側であり、図6(a)の紙面において左端側のことである。キャリッジ104が、主走査方向の左端側で加減速を行うと、供給チューブ102内のインクに慣性力が生じる。具体的には、図6(a)に示すように、供給チューブ102のうちの領域R1(キャリッジ104の移動に伴い移動する領域)におけるインクに、図6(a)の左側へ向かう方向に慣性力が発生する。この供給チューブ102内の領域R1に作用する慣性力は、流路全体から見て、記録ヘッド101からインクタンク103へと向かう方向に発生する。前述したように、開閉弁202は、開放状態となっており、供給チューブ102と連通するインクタンク103は、大気開放されている。このため、図6(a)に示すように慣性力が生じると、図6(b)に示すように、インクは第2液室403から第1液室402への方向に流れる。
図6(c)は、キャリッジ104が主走査方向の右端側に移動したときの供給チューブ102の配置の概略図である。右端側とは、図1および図6(c)において、-X方向の側であり、図6(c)の紙面において右端側のことである。キャリッジ104が、主走査方向の右端側で加減速を行うと、供給チューブ102内のインクに慣性力が生じる。具体的には、図6(c)に示すように、供給チューブ102のうちの領域R2(キャリッジ104の移動に伴い移動する領域)におけるインクに、図6(c)の右側へ向かう方向に慣性力が発生する。この供給チューブ102内の領域R2に作用する慣性力は、流路全体から見て、インクタンク103から記録ヘッド101へと向かう方向に発生する。つまり、記録ヘッド101内の第1液室402から第2液室403の方向に対して、慣性力による圧力が加えられる。本実施形態では、図6(d)に示すように、容積可変部406によって、第2液室403の容積が拡張し、加圧によって流れてきたインクを収容することができる。このため、インクは、加圧によって吐出口401から漏れ出さず、第1液室402から第2液室403の方向に流れる。
図6(a)から図6(d)で説明したように、キャリッジ104が左右端で加減速走査することによって、吐出口401付近におけるインクが往復移動する。つまり、循環用のポンプ等を用いることなく、吐出口401付近におけるインクを移動させることが可能となる。
尚、図6(a)から図6(d)では、供給チューブ102が、Jの字を横にしたように接続されている略Jの字形状に這いまわされている例を説明した。また、供給チューブ102の這いまわし方向は、キャリッジが左端側に移動した場合と右端側に移動した場合とで変わらない例を説明した。また、図6では、第1液室402と供給チューブ102との接続部近傍においては、供給チューブ102は、図の左側から回り込むようにして第1液室402に接続されている例を示している。ここで、慣性力が作用するのは、キャリッジ104の移動とともに移動する供給チューブ102内(図6(a)に示すR1または図6(c)に示すR2)のインクである。このため、キャリッジの移動時において供給チューブ102全体の這いまわし方向が変わらない場合には、供給チューブ102が、接続部近傍のいずれの方向から第1液室402に接続されても、インクは同じ方向に移動することになる。
<インクの移動の説明>
次に、吐出口401付近のインクが移動することで生じる現象を説明する。前述したように、吐出口401のインクと外気との界面であるメニスカスでインクの蒸発成分が蒸発する。インクの蒸発成分は、インクの温度が高いほど多く蒸発しやすい。また、インクの蒸発成分は、外気である空気の湿度が低いほど蒸発しやすい。このように、吐出口401付近のインクは、特性が変化し、吐出精度が低下したり、吐出口401に目詰まりによる吐出不良を発生させたりする虞がある。
特性が変化したインクが滞留している吐出口401を回復させるためには、吐出口401に滞留しているインクを、特性の変化していないインクに入れ替えることが求められる。特性の変化したインクは、粘度および濃度が高くなり、正常なインクの吐出に比べて吐出速度が遅くなり、記録媒体への着弾位置が所望の着弾位置からずれることで記録画像の画質劣化要因となる。また、吐出するインクの体積が変化したり記録濃度が高くなったりすることも記録画像の画質劣化要因となる。このため、所望のインク吐出を維持するために、吐出口401付近においてメニスカスでの蒸発により特性の変化したインクを、吐出口401付近(少なくともメニスカス部)から移動させることが求められる。
本実施形態においては、上述したように、キャリッジ104の往復移動に伴って吐出口401付近のインクが移動することで、吐出口401付近で増粘しているインクが、増粘していないインクと混ざって緩和されることになる。
図7は、記録動作中の非吐出時間の長さにおける吐出速度の変化を示す。図7は、吐出口401付近に慣性力による流れを一定間隔で発生させた場合(インク移動状態)と、流れを全く発生させない場合(インク静止状態)とにおいて、吐出速度をそれぞれ実際に測定した結果を表した図である。測定は、記録ヘッド101を固定した状態で、任意の駆動パルスを付与し一定の周波数で連続吐出を行うことができる吐出観察治具を用いたものである。吐出した液滴を異なる発光ディレイのストロボで撮影し、液滴の位置の差から速度に換算している。吐出口401付近でインクの流れが無い場合、非吐出時間が長くなると吐出口401付近のインクが蒸発するので吐出速度が急峻に遅くなり、最終的には蒸発が進行して増粘し不吐出状態となる(図7の点線参照)。一方、記録装置100において、キャリッジ104の往復走査によって吐出口401付近でインクが往復移動している場合は、吐出口401付近に滞留したインクの蒸発の進行を抑制している。このため、吐出速度の低下が進むことなく正常な吐出状態を維持することが可能となっている(図7の実線参照)。
このように、本実施形態においては、キャリッジ104が左右端で加減速走査する際に吐出口401付近にインクの流れを起こすことで、インクの特性変化を抑制することができる。シリアル式の特性であるキャリッジ104の往復移動を利用することで、循環ポンプ等を用いることなく吐出口401付近のインクを移動させることができる。また、吐出口401付近のインクを移動させることでインクの特性変化を抑制することができる。以下、このようにキャリッジ104の往復移動(往復走査)によるチューブ内圧力変動などを利用して、吐出口近傍のインクを循環させ、吐出不良を抑制することを、セルフ循環方式という。
本実施形態で説明した記録装置100は、シリアル式の記録装置であればいずれのものにも適用することができる。尚、大判印刷などのように大型の記録物を記録する記録装置の場合、往復移動に要する時間も長くなるので、吐出に用いられない吐出口401付近のインクの特性が変化しやすい。このため、大型の記録装置にセルフ循環方式を用いると、より効果的である。
セルフ循環方式を用いる場合でも、インクの増粘が進行している場合、記録ヘッドに連通しているチューブ内に生じる圧力変動を利用して、吐出口付近におけるインクを移動させても、増粘インクが非増粘インクに十分置換されないこともある。また、吐出口付近の増粘インクは、記録ヘッド内に拡散されるため、記録ヘッド内のインク濃度(粘度)は、徐々に高くなる。このため、本実施形態では、記録ヘッドの往復走査による吐出口付近のインクの移動に合わせて、予備吐出処理を適切な予備吐出量で実施することで、増粘インクを解消し、また、記録ヘッド内のインク濃度の上昇を抑制する例を説明する。尚、予備吐出には、一般に所定の位置で記録ヘッドを一旦停止させて所定量のインクを吐出する第1方式と、前述したように、記録ヘッドを停止させずに移動させながら記録媒体外の所定位置で予備吐出を行う第2方式とがある。本実施形態では、この第2方式での予備吐出を行う例を説明する。
<予備吐出量の制御>
前述したように、キャリッジ走査(CR走査)によって発生する慣性力によって、記録ヘッド101の吐出口401付近の増粘インクが非増粘インクに置換される。この置換効果の大きさは、CR走査によって発生する慣性力の大きさに依存する。具体的には、キャリッジ104の加減速度が大きい方が、増粘インクの置換効果は大きくなる。また、キャリッジの加減速時間が長い方が、増粘インクの置換効果は大きくなる。本実施形態において予備吐出は、増粘インクの解消効果を高めるために行われる。このため、増粘インクの置換効果が高いCR走査を行っている場合には、増粘インクの置換効果が低いCR走査を行っている場合に比べて、予備吐出量は少なくてよい。逆に、増粘インクの置換効果が低いCR走査を行っている場合には、増粘インクの置換効果が高いCR走査を行っている場合に比べて、予備吐出量を多くすることが求められる。
このため、本実施形態では、記録動作時のキャリッジ104の加減速度または加減速時間に応じて予備吐出の際に用いられる予備吐出量(発数)を制御する例を説明する。即ち、キャリッジ104の加減速度が、第一速度の場合、キャリッジ104の加減速度が第一速度よりも小さい第二速度の場合に比べて、予備吐出量を少なくする制御が行われる。また、キャリッジ104の加減速時間が、第一時間の場合、キャリッジの加減速時間が第一時間よりも短い第二時間の場合に比べて、予備吐出量を少なくする制御が行われる。
図8は、加減速度または加減速時間の違いを説明する図である。図8(a)は、加減速度が一定の場合において、加減速時間が異なる例を示している。図8(a)のように、加減速度が一定の場合には、加減速時間が長い方が、発生する慣性力は大きくなる。一方、図8(b)のように、加減速時間が一定の場合には、加減速度が大きい方が、発生する慣性力は大きくなる。したがって、本実施形態では、加減速度と加減速時間との2つのパラメータのうち、加減速度に関しては、加減速度が大きい場合は予備吐出量を少なく、加減速度が小さい場合には予備吐出量を多くする。加減速時間に関しては、加減速時間が長い場合は予備吐出量を少なく、加減速時間が短い場合は予備吐出量を多く設定する。
図9は、具体的な制御例を説明する図である。本例では、キャリッジ104の加減速度を200~400mm/s程度とし、加減速時間は0.1~0.2s程度とする。ここで、加減速度400mm/sかつ加減速時間0.2sの場合における予備吐出量をx発とする。加減速度400mm/sかつ加減速時間0.1sの場合における予備吐出量をy1発とする。加減速度200mm/sかつ加減速時間0.2sの場合における予備吐出量をy2発とする。加減速度200mm/sかつ加減速時間0.1sの時の予備吐出量をz発とする。
この場合、加減速時間の観点で見ると、x<y1、y2<zとなるように予備吐出量を設定すればよい。また、加減速度の観点で見ると、x<y2、y1<zとなるように予備吐出量を設定すればよい。y1とy2に関しては、発生する慣性力が大きくなる方の予備吐出量が少なくなるよう設定すればよい。y1とy2とに同じ予備吐出量を設定してもよい。図9では、x=4、y1=8、y2=8、z=12と設定する例を示している。図9に示す予備吐出量の設定情報は、例えばROM302またはRAM312に格納されており、CPU301は、この設定情報を参照して、予備吐出量を決定する。尚、セルフ循環方式に依らずに前述の第2方式で予備吐出を行う比較例における予備吐出量は、一般的に、16~32発程度である。本実施形態のセルフ循環方式に依る慣性力による置換効果を利用することで、予備吐出量を削減しつつ、増粘インクを非増粘インクに置換することができる。また、循環流路内におけるインクの濃度の上昇を抑制することができる。尚、本実施形態における予備吐出は、キャリッジ104が反転時に、減速し加速した直後であって、記録を開始する前のタイミングで行われるものとする。
また、上述したキャリッジ104の加減速度およびキャリッジ104の加減速時間は、記録装置100において設定される記録モードに応じて決定される。記録装置100は、複数の記録モードを設定可能に構成されていてよい。記録モードとしては、例えば画質を重視するモード、および、記録速度を重視するモードなどがあるが、これらに限られない。設定される記録モードに応じて、キャリッジ104の加減速度および加減速時間が変わり得る。従って、本実施形態では、記録装置100に設定される記録モードに応じて予備吐出量を制御してもよい。
尚、予備吐出量を決定する際に記録モードを用いる場合、モニタ制御、記録画像、または記録条件などによってキャリッジ104の走査速度(CR速度)が低下することも考えられる。モニタ制御とは、吐出口夫々から吐出されたインクの吐出数をカウント(モニタリング)して、効率的に予備吐出の実行を制御することである。CR速度が低下する場合、加減速度が小さくなったり、加減速時間が短くなったりする場合がある。よって、モニタ制御、記録画像、または記録条件などによってCR速度が低下する場合、記録装置100は、その低下したCR速度に対応して予備吐出量を決定すればよい。
図10は、記録モードに応じた予備吐出量を決定する制御の例を示す図である。例えば、各記録モードでは、パス数およびCR速度等が決められている。パス数とは、所定の領域を記録する際の記録走査の回数のことである。例えば、パス数が2パスの場合、所定の領域を2回の記録走査で記録することになる。パス数が小さいほど、1パスあたりのdutyが多くなるので、乾燥による増粘インクの発生は抑えられる。一方、パス数が大きいほど、1パスあたりのdutyが小さくなるので、乾燥による増粘インクは発生しやすくなる。よって、パス数が小さいほど、予備吐出量は少なくてよく、パス数が大きいほど、予備吐出量は多くするとよい。即ち、パス数が第一値の場合、パス数が第一値よりも大きい第二値の場合に比べて、予備吐出量を少なくする制御が行われる。
図10に示す各記録モードには、パス数、CR速度、およびその他のパラメータが含まれている。図10の例では、パス数が小さい順に、記録モード1、記録モード2、および記録モード3が用意されている。ここで、記録モード1の予備吐出量をx発、記録モード2の予備吐出量をy発、記録モード3の予備吐出量をz発とする。この場合、各記録モードのパス数、CR速度、またはその他のパラメータの加減速時に発生する慣性力への影響を考慮して、x、y、zの値を設定すればよい。尚、CR速度を考慮する例は、第2実施形態で後述する。本実施形態では、パス数に応じた慣性力への影響を考慮する。本例では、x<y<zとなるように、予備吐出量を設定すればよい。具体的には、図10に示すように、x=4、y=8、z=12とすればよい。尚、図10に示す予備吐出量の設定情報は、例えばROM302またはRAM312に格納されており、CPU301は、この設定情報を参照して、予備吐出量を決定する。
また、キャリッジ104の走査幅、記録環境、または記録画像のduty等の記録条件に依っては、放置時間が長くなることがある。このため、吐出口401付近のインクの増粘が促進される場合がある。よって、本実施形態では、記録ヘッド101内のインクの増粘が促進されるような記録条件の場合、予備吐出量を追加で増やす制御が行われる。
図11は、キャリッジ104の走査幅、記録環境、または記録画像のduty等による予備吐出量の追加制御の例を示す図である。図11に示す追加予備吐出量の設定情報は、例えばROM302またはRAM312に格納されており、CPU301は、この設定情報を参照して、予備吐出量を決定する。
走査幅が大きいほど、インクの増粘が促進される。よって、走査幅が所定値より大きい場合の追加予備吐出量をx発、走査幅が所定値より小さい場合の追加予備吐出量をy発としたとき、x>yとなるように追加予備吐出量を設定すればよい。図11(a)では、x=4、y=2とする例を示している。記録環境においては、所定値よりも高温低湿の方が、所定値よりも低温高湿の場合よりも、吐出口401付近のインクが蒸発しやすく、インクの増粘が促進される。よって、所定値よりも低温高湿での追加予備吐出量をx発、所定値よりも高温低湿での追加予備吐出量をy発としたとき、x<yとなるよう追加予備吐出量を設定すればよい。図11(b)では、x=2、y=4とする例を示している。また、記録画像のdutyが小さいほど、インクが吐出されない時間が、多くなるため、インクの増粘が促進される。よって、記録画像のdutyが所定値よりも大きい場合の追加予備吐出量をx発、記録画像のdutyが所定値よりも小さい場合の追加予備吐出量をy発としたとき、x<yとなるよう追加予備吐出量を設定すればよい。図11(c)では、x=2、y=4とする例を示している。
以上説明した例では、予備吐出量を制御する例を説明したが、予備吐出量を少なくする制御を行うことは、予備吐出量を0にする制御を含むものである。即ち、加減速度または加減速時間に応じて行われる予備吐出量の制御には、予備吐出を行わない制御が含まれていてよい。また、追加予備吐出量の決定には、追加予備吐出量を0とする制御が含まれていてよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、セルフ循環方式による増粘インクの置換効果に応じて予備吐出量の制御が行われる。このため、好適な予備吐出量で吐出口付近の増粘インクを解消させることができる。また、循環経路内のインクの濃度の上昇も抑制することができる。
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、加減速度または加減速時間に応じて予備吐出量を制御する例を説明した。ここで、キャリッジ104の加減速時に発生する慣性力の大きさは、CR速度に応じて変わり得る。そこで、本実施形態では、CR速度に応じて予備吐出量を制御する例を説明する。記録装置100の構成等は、第1実施形態で説明した例と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図8を再度参照して説明する。図8(a)では、加減速度が一定の場合、CR速度が大きい方が、加減速時間が長くなるので、発生する慣性力が大きくなる。一方、CR速度が小さい方が加減速時間が短くなるので、発生する慣性力が小さくなる。図8(b)では、加減速時間が一定の場合、CR速度が大きい方が加減速度が大きくなるので、発生する慣性力が大きくなる。一方、CR速度が小さい方が加減速度が小さくなるので、発生する慣性力は小さくなる。したがって、本実施形態では、CR速度が大きいほど、加減速時に発生する慣性力が大きくなるので、予備吐出量は少なくし、CR速度が小さいほど、加減速時に発生する慣性力が小さくなるので、予備吐出量を増やすように制御が行われる。即ち、CR速度が第三速度の場合、CR速度が第三速度よりも小さい第四速度の場合に比べて、予備吐出量を少なくするように制御が行われる。尚、本実施形態におけるCR速度とは、記録中のCR速度のことである。
図12は、CR速度に応じて予備吐出量を制御する例を説明する図である。本例では、CR速度には、33.3ips(インチ/秒)、25ips、および17.5ipsの3つの速度が含まれる。各CR速度における予備吐出量をx発、y発、z発とする。このとき、x<y<zとなるよう予備吐出量を設定すればよい。具体的には、図12に示すように、x=4、y=8、z=12とすればよい。尚、第1実施形態で説明したように、セルフ循環方式に依らずに前述の第2方式で予備吐出を行う比較例における予備吐出量は、16~32発程度である。本実施形態のセルフ循環方式に依る慣性力による置換効果を利用することで、予備吐出量を削減しつつ、増粘インクを非増粘インクに置換することができる。また、循環流路内におけるインクの濃度の上昇を抑制することができる。
また、上述したCR速度は、記録装置100において設定される記録モードに応じて決定される。よって、本実施形態においても、記録装置100に設定される記録モードに応じて予備吐出量を制御してもよい。予備吐出量を決定する際に記録モードを用いる場合、第1実施形態で説明したように、モニタ制御、記録画像、または記録条件などによってCR速度が低下することも考えられる。これらの要因等によってCR速度が低下する場合、記録装置100は、その低下したCR速度に対応して予備吐出量を決定すればよい。記録モードに応じた予備吐出量の制御の例は、図10に示した通りである。また、第1実施形態で説明したように、キャリッジ104の走査幅、記録環境、または記録画像のduty等に応じて追加の予備吐出量の制御が行われてもよい。また、予備吐出量の制御には、予備吐出量を0にする制御が含まれてよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、セルフ循環方式による増粘インクの置換効果に応じて予備吐出量の制御が行われる。このため、好適な予備吐出量で吐出口付近の増粘インクを解消させることができる。また、循環経路内のインクの濃度の上昇も抑制することができる。
<<第3実施形態>>
キャリッジ104の加減速時に発生する慣性力の大きさは、キャリッジ104が往方向に移動するか、復方向に移動するかによっても異なる。図6を再度参照する。キャリッジ104の往方向は、図6(a)、(c)においてキャリッジ104が右から左に移動する方向であり、復方向は、図6(a)、(c)において左から右に移動する方向である。往方向に移動する際には右端で発生する慣性力によって増粘インクの置換が行われ、復方向に移動する際には左端で発生する慣性力によって増粘インクの置換が行われる。供給チューブ102の這いまわし方によって、往方向と復方向とで生じる慣性力に違いが生じる。本実施形態では、往方向と復方向とで生じる慣性力の違いに応じて、予備吐出量の制御を行う例を説明する。
図6に示した領域R1および領域R2は、記録ヘッド101から供給チューブ102の湾曲点までの長さであり、慣性力が寄与する部分に相当する。図6(a)は、キャリッジ104が主走査方向の右端側で加減速するときに慣性力が寄与する供給チューブ102の領域R1を示している。図6(c)は、キャリッジ104が主走査方向の左端側で加減速するときに慣性力が寄与する供給チューブ102の領域R2を示している。つまり、慣性力は、キャリッジ104の移動に伴いキャリッジ104の移動方向と略平行に移動する供給チューブ102の這いまわし形態によって、右端側および左端側で寄与する部分が異なる。
図13は、キャリッジ104の主走査方向の移動に伴う記録ヘッド101内の圧力変動を説明する図である。図13(a)は、図1のようなチューブ配置の記録装置100において、キャリッジ104が2往復走査した時の、供給チューブ102内における圧力変動の変化を示している。より詳細には、供給チューブ102と記録ヘッド101とが接続する直前部分(図13(b)中の星印)で生じる供給チューブ102内の圧力変動の変化を示している。図6(a)および図6(c)に示すように、供給チューブ102の配置の関係により、キャリッジ104が主走査方向の左端側で加減速する時と、右端側で加減速する時とで、慣性力が寄与するチューブ内インクの容積および質量が異なる。このため、記録ヘッド101を搭載したキャリッジ104が左右で等しい加減速度で往復走査する場合、記録装置本体の右端側で加減速する場合と左端側で加減速する場合とでは、慣性力の大きさが異なる。図6(a)および図6(c)に示すように、キャリッジ104が右端側に位置する場合の方が、左端側に位置する場合よりも慣性力が寄与するチューブ内インクの容積および質量が大きい。このため、このようなチューブ配置の記録装置100においては、図13(a)に示すように、記録ヘッド101内で発生する圧力の大きさは、左端側よりも右端側で加減速を行う方が大きい。従って、往方向に移動する際には大きな慣性力が発生し、復方向に移動する際には小さな慣性力が発生することになる。尚、第1実施形態で説明したように、予備吐出は、キャリッジ104が反転時に、減速し加速した直後であって、記録を開始する前に行われるものとして説明している。
以上の点を踏まえ、本実施形態では、往方向に記録する場合と、復方向に記録する場合とに応じて、予備吐出量を異ならせるように制御する。
図14は、本実施形態の制御例を示す図である。前述したように、本実施形態では、往方向に記録する場合に発生する慣性力は大きいので、右端における予備吐出量を少なくする。一方、復方向に記録する場合に発生する慣性力は小さいので、左端における予備吐出量を多くする。右端での予備吐出量をx発、左端での予備吐出量をy発としたとき、x<yとなるよう予備吐出量を設定すればよい。具体的には、図14に示すように、x=4、y=8とすればよい。尚、第1実施形態で説明したように、セルフ循環方式に依らずに前述の第2方式で予備吐出を行う場合の比較例における予備吐出量は、16~32発程度である。本実施形態のセルフ循環方式に依る慣性力による置換効果を利用することで、循環流路内におけるインクの濃度の上昇を抑制し、かつ予備吐出量を削減することができる。
尚、往方向記録および復方向記録は、記録装置100に設定される記録モードによって決定される場合もある。よって、本実施形態においても、記録モードによって予備吐出量を制御してもよい。記録モードによる予備吐出量の制御方法の例は、図10に示した例と同様である。また、第1実施形態で説明したように、キャリッジ104の走査幅、記録環境、または記録画像のduty等に応じて追加の予備吐出量の制御が行われてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、セルフ循環方式による増粘インクの置換効果に応じて予備吐出量の制御が行われる。このため、好適な予備吐出量で吐出口付近の増粘インクを解消させることができる。また、循環経路内のインクの濃度の上昇も抑制することができる。
<<その他の実施形態>>
上述した実施形態は、適宜組み合わせた形で適用されてもよい。例えば、第1実施形態に第2実施形態または第3実施形態を組み合わせてもよいし、第2実施形態に第3実施形態を組み合わせてもよい。
上述した各実施形態では、記録ヘッド101とインクタンク103とが一本のチューブで接続される例を説明したが、記録ヘッド101とインクタンク103とが二本のチューブで接続されてもよい。即ち、インクタンク103と記録ヘッド101とが第1チューブおよび第2チューブで接続され、第1チューブは、記録ヘッド101内の第1液室402に接続され、第2チューブは、記録ヘッド101内の第2液室403に接続されるように構成されてもよい。第1チューブと第2チューブとを、左右対称の這いまわし構成とすることで、第1実施形態で説明したように、キャリッジの往復移動に応じて、インク循環流を生じさせて吐出口付近のインクを移動させることができる。また、第1チューブと第2チューブとの流路抵抗を変えることで、キャリッジの往復移動に応じて、インクが一方向に移動するため、インクタンクと記録ヘッドとの間でインクを循環させることができる。
あるいは、インクタンクに接続されている一本のチューブが途中で2つのチューブに分岐して、その分岐した2本のチューブの一方が第1液室402に接続され、他方が第2液室403に接続されるように構成されていてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
101:記録ヘッド
102:供給チューブ
103:インクタンク
104:キャリッジ
401:吐出口
402:第1液室
403:第2液室
406:容積可変部

Claims (16)

  1. インクを収容するタンクと、
    インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
    前記タンクから前記記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、
    前記記録ヘッドからの予備吐出を制御する制御手段と、
    を備える記録装置であって、
    前記記録ヘッドは、
    前記供給流路との接続部を有する第1液室と、
    前記圧力室を介して前記第1液室と連通する第2液室と、
    前記第2液室の容積を変化させる容積可変部と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記記録ヘッドが往復走査する際に生じる慣性力に応じて、前記記録ヘッドからの予備吐出量を制御することを特徴とする記録装置。
  2. 前記制御手段は、前記記録ヘッドを往復走査する際の加減速度に応じて前記記録ヘッドからの予備吐出量を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記制御手段は、前記加減速度が第一速度の場合、前記加減速度が前記第一速度よりも小さい第二速度の場合に比べて、前記予備吐出量を少なくするように制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記制御手段は、前記記録ヘッドを往復走査する際の加減速時間に応じて前記記録ヘッドからの予備吐出量を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
  5. 前記制御手段は、前記加減速時間が第一時間の場合、前記加減速時間が前記第一時間よりも短い第二時間の場合に比べて、前記予備吐出量を少なくするように制御することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記記録ヘッドを往復走査する際の前記記録ヘッドの走査速度に応じて前記記録ヘッドからの予備吐出量を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の記録装置。
  7. 前記制御手段は、前記記録ヘッドの走査速度が第三速度の場合、前記走査速度が第三速度よりも小さい第四速度の場合に比べて、前記予備吐出量を少なくするように制御することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記制御手段は、前記記録ヘッドの走査方向に応じて、前記予備吐出量を異ならせることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の記録装置。
  9. 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を行う際の記録モードに応じて、前記予備吐出量を異ならせることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の記録装置。
  10. 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を行う際のパス数に応じて、前記予備吐出量を異ならせることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の記録装置。
  11. 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を行う際の走査幅に応じて、前記予備吐出量を異ならせることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の記録装置。
  12. 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を行う際の記録環境に応じて、前記予備吐出量を異ならせることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の記録装置。
  13. 前記制御手段は、前記記録ヘッドによる記録を行う際の記録画像に応じて、前記予備吐出量を異ならせることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の記録装置。
  14. 前記予備吐出は、前記記録ヘッドが減速して加速した後であって、かつ記録が行われる前のタイミングで行われることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の記録装置。
  15. 前記制御手段が行う前記予備吐出量の制御は、前記予備吐出を行わないことを含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の記録装置。
  16. インクを収容するタンクと、
    インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
    前記タンクから前記記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、
    前記記録ヘッドからの予備吐出を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記記録ヘッドは、
    前記供給流路との接続部を有する第1液室と、
    前記圧力室を介して前記第1液室と連通する第2液室と、
    前記第2液室の容積を変化させる容積可変部と、
    を有する、記録装置の制御方法であって、
    前記記録ヘッドが往復走査する際に生じる慣性力に応じて、前記記録ヘッドからの予備吐出量を制御する工程を有することを特徴とする記録装置。
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