JP2022006474A - 記録装置および記録装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出性能が低下することを抑制すること。【解決手段】記録装置は、記録ヘッドの温度を調整する温度調整手段を備える。記録ヘッドは、供給流路との接続部を有する第1液室と、圧力室を介して第1液室と連通する第2液室と、第2液室の容積を変化させる容積可変部と、圧力室に連通する第1流路と第1液室とを連通させる第1共通流路と、圧力室に連通する第2流路と第2液室とを連通させる第2共通流路と、を有する。温度調整手段は、吐出口と第1共通流路及び第2共通流路の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御を行う。【選択図】図8
Description
本発明は、記録装置および記録装置の制御方法に関する。
記録ヘッドの主走査方向への移動と記録媒体の搬送とを繰り返すことで記録動作が行われる、いわゆるシリアル式のインクジェット記録装置がある。特許文献1には、シリアル式のインクジェット記録装置において、回収側インク室と供給側インク室とインク循環装置とを有するインクジェットヘッドが記載されている。特許文献1において、回収側インク室、供給側インク室、およびインク循環装置は、インクジェットヘッドの上方にインクジェットヘッドと一体に形成されている。インク循環装置は、インク循環ポンプおよび圧力センサを有しており、インク循環ポンプを駆動することで、ノズルを経てインク室間でインクを循環させることが記載されている。
特許文献1に記載の技術は、インクジェットヘッドと一体に形成されているインク循環装置を有しており、インク循環装置には、インク循環ポンプおよび圧力センサなど多数の部品が用いられている。このため、特許文献1に記載の技術を用いてノズル付近のインクを循環させようとすると、記録ヘッドの構成が複雑化したり、装置の制御が複雑化したりする虞がある。また、流路の位置に応じて、ノズル間で流路抵抗が異なることがあり、その結果、インクの流れが起きにくい箇所が生じてしまい、インクの増粘を十分に解消できず、吐出性能が低下する虞がある。
本発明は、インクジェット記録装置において、吐出性能が低下することを抑制することを目的とする。
本発明の一態様に係る記録装置は、インクを収容するタンクと、インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記タンクから前記記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、前記記録ヘッドの温度を調整する温度調整手段と、を備える記録装置であって、前記記録ヘッドは、前記供給流路との接続部を有する第1液室と、前記圧力室を介して前記第1液室と連通する第2液室と、前記第2液室の容積を変化させる容積可変部と、前記圧力室に連通する第1流路と前記第1液室とを連通させる第1共通流路と、前記圧力室に連通する第2流路と前記第2液室とを連通させる第2共通流路と、を有し、前記温度調整手段は、前記吐出口と、前記第1共通流路及び前記第2共通流路の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、インクジェット記録装置において、吐出性能が低下することを抑制することができる。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
なお、この明細書において、「記録」とは、文字または図形等の有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、もしくはパターン等を形成する場合、または、記録媒体の加工を行う場合も表すものとする。
「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、もしくはパターン等の形成、記録媒体の加工、または、インクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
<<第1実施形態>>
本実施形態では、記録ヘッドの主走査方向への移動と、主走査方向に交差する方向(以下、副走査方向という)への記録媒体の搬送とを繰り返すことで記録動作が行われる、いわゆるシリアル式のインクジェット記録装置を説明する。そして、インクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)において、吐出口付近のインクを移動させる形態を説明する。
本実施形態では、記録ヘッドの主走査方向への移動と、主走査方向に交差する方向(以下、副走査方向という)への記録媒体の搬送とを繰り返すことで記録動作が行われる、いわゆるシリアル式のインクジェット記録装置を説明する。そして、インクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)において、吐出口付近のインクを移動させる形態を説明する。
まず、吐出口付近のインクを移動させることが求められていることの背景を概略的に説明する。記録装置の記録ヘッドは、圧力室に配されているエネルギー発生素子(記録素子)を駆動させることで吐出口からインクを吐出させるように構成されている。なお、エネルギーを与える方法としては、電気熱変換素子(ヒータ)または圧電素子等を用いることができる。圧力室に充填されたインクが、エネルギー発生素子を駆動することで吐出口から吐出される。
記録動作中に吐出口からインクが吐出されていない時間が続くと、吐出口におけるインクと外気との界面であるメニスカスにおいて、インクの蒸発成分が蒸発する。このため、吐出口付近のインクの濃度および粘度が高くなり、吐出口が目詰まりしやすくなる。このような現象を抑制するために、一般的に、シリアル式の記録装置では、記録ヘッドを往復移動させるときに、記録媒体の記録範囲外において吐出口からインクを吐出させて、吐出口付近で特性が変化したインクを排出させる処理が行われている。この処理は、予備吐出処理(またはフラッシング処理)と呼ばれる。予備吐出処理は、数往復につき1回実行され、より高画質を求める場合には、1往復に1回実行され、最大では、往路と復路とのそれぞれにつき、1回実行されている。このような予備吐出処理は、記録速度を低下させてしまい、記録時間を余分に生じさせてしまう要因となる。また、画像の記録に用いられないインクを消費してしまう。さらには、予備吐出によって排出された廃インクを処理する構成も必要となる。
本実施形態では、吐出口付近におけるインクを吐出口から移動させる例を説明する。これにより、吐出口付近のインクの蒸発成分が蒸発することを抑制できるので、予備吐出処理を行わなくても吐出口付近のインクの増粘を抑制することができる。本実施形態では、シリアル式の記録ヘッドの特性を利用して吐出口付近のインクを移動させる。より詳細には、記録ヘッドの往復走査時において、記録ヘッドに連通しているチューブ内に生じる圧力変動を利用して、吐出口付近におけるインクを移動させる例を説明する。即ち、吐出口付近のインクを移動させるためのポンプ等の循環機構を備えることなく、簡易な構成で吐出口付近のインクの増粘を抑制する例を説明する。
<記録装置の外観>
図1は、本実施形態における記録装置100の外観を示す概略斜視図である。記録装置100は、記録ヘッド101を有する。記録ヘッド101は、複数配列された吐出口を有し、各吐出口の列毎に異なる色のインクを吐出することが可能である。記録ヘッド101は、供給流路として機能する供給チューブ102を介してインクタンク103と連通している。インクタンク103は、記録装置100の所定の位置に固定して設置されている。記録ヘッド101の各インク色の吐出口列には、各色用の供給チューブ102を介してインクタンク103から各色のインクが供給される。吐出口からインクが吐出されると、インクタンク103から記録ヘッド101にインクが供給される。
図1は、本実施形態における記録装置100の外観を示す概略斜視図である。記録装置100は、記録ヘッド101を有する。記録ヘッド101は、複数配列された吐出口を有し、各吐出口の列毎に異なる色のインクを吐出することが可能である。記録ヘッド101は、供給流路として機能する供給チューブ102を介してインクタンク103と連通している。インクタンク103は、記録装置100の所定の位置に固定して設置されている。記録ヘッド101の各インク色の吐出口列には、各色用の供給チューブ102を介してインクタンク103から各色のインクが供給される。吐出口からインクが吐出されると、インクタンク103から記録ヘッド101にインクが供給される。
記録ヘッド101は、キャリッジ104に着脱可能に搭載されている。キャリッジ104は、記録動作時に、ガイドシャフト107に沿って座標軸Xの主走査方向に往復移動する。記録ヘッド101は、キャリッジ104の移動に伴い、キャリッジ104と一体に主走査方向に移動する。記録媒体105は、搬送ローラ106によって座標軸Y方向の副走査方向に搬送される。記録動作を行わない待機時においては、キャップ108によって記録ヘッド101の吐出口がキャップされる。キャップ108によって記録ヘッド101の吐出口がキャップされる位置が、記録ヘッド101の待機位置である。
キャリッジ104は、記録ヘッド101と共にX方向に沿って往復移動する。具体的には、キャリッジ104は、X方向に沿って配置されたガイドシャフト107に沿って移動可能に支持されると共に、ガイドシャフト107と略平行に移動する不図示の無端ベルトに固定されている。無端ベルトは、キャリッジモータ(CRモータ)の駆動力によって往復運動し、それによってキャリッジ104をX方向に往復移動させる。
<インク経路>
図2は、図1における+Y方向から記録装置100を見た概略図である。図2は、装置本体の定位置に配されたインクタンク103から記録ヘッド101までの1色分のインクの経路を示している。
図2は、図1における+Y方向から記録装置100を見た概略図である。図2は、装置本体の定位置に配されたインクタンク103から記録ヘッド101までの1色分のインクの経路を示している。
インクタンク103を含むインク供給システム203は、中空管204およびバッファ室205を有し、記録装置100本体の所定の位置に保持固定されている。供給チューブ102は、インク流路として用いられる。供給チューブ102は、開閉可能な開閉弁202を介してインク供給システム203に接続されている。供給チューブ102は、柔軟性(可撓性)を有する材料で形成されており、X方向にキャリッジ104を往復移動させつつ記録ヘッド101にインクを供給することが可能である。なお、供給チューブ102は、記録ヘッド101の任意の位置で記録ヘッド101に接続可能である。また、供給チューブ102は、キャリッジ104の移動方向に略平行な区間を有するように配置されている。詳細は後述する。なお、図1および図2で示す供給チューブ102の配置は、一例であり、この限りではない。
次に、インクタンク103からインクを供給する方法を説明する。インクタンク103は、記録装置100本体に対して着脱可能に搭載されている。インクタンク103は、中空管204によって、供給チューブ102と接続されている。供給チューブ102中には、流路を開閉可能な開閉弁202が備えられている。開閉弁202は、記録装置100の電源がONになると開き、電源がOFFになると閉じるように構成されている。つまり、記録動作が行われているときには、開閉弁202は開いた状態となっている。なお、電源がONになった後も開閉弁202が閉じていて、記録命令が記録装置100に入力された場合に開閉弁202が開くように構成されていてもよい。インクタンク103は、バッファ室205と連通するように細管206により接続されている。インクタンク103と細管206との接続位置は、インクタンク103と中空管204との接続位置と同様に、インクタンク103において略下方である。バッファ室205は、インクタンク103と連通するよう中空管204と同様の細管206により接続されている。バッファ室205は、インクタンク103と接続されている一方で、大気開放のための連通管207と接続されている。これにより、インクタンク103の内圧と大気圧とのバランスを取っている。尚、バッファ室205とインクタンク103とを接続する細管206は、インクタンク103とバッファ室205とを連通しつつ、インクタンク103内のインク蒸発を最小限にすべく、十分流路が狭い構成を成している。
<ブロック図>
図3は、本実施形態の記録装置100の制御構成の概略を示すブロック図である。CPU301は、ROM302に格納されたシステム制御を司るプログラムをRAM312に読み出して実行し、実行したプログラムに従ってシステム全体を制御する。RAM312は、CPU301が実行する処理に必要なプログラムおよび入力データなどを一時的に格納する作業領域として用いられる。
図3は、本実施形態の記録装置100の制御構成の概略を示すブロック図である。CPU301は、ROM302に格納されたシステム制御を司るプログラムをRAM312に読み出して実行し、実行したプログラムに従ってシステム全体を制御する。RAM312は、CPU301が実行する処理に必要なプログラムおよび入力データなどを一時的に格納する作業領域として用いられる。
また、CPU301は、クリーニング部304および搬送ユニット303等の動作を制御する。搬送ユニット303は、搬送ローラ106の駆動を制御する。また、CPU301は、駆動回路307、2値化回路308、および画像処理部309を通じて、記録ヘッド101の記録動作を制御する。画像処理部309は、入力された記録すべきカラー画像データに対して所定の画像処理を施す。画像処理部309は、例えば、入力されたRGB各色成分の画像データによって再現される色域を、記録装置によって再現される色域内に写像するためのデータ変換を実行する。画像処理部309は、変換したデータに基づき、各データが示す色を再現するインクの組み合わせに対応した色分解データであるCMYK各成分濃度データを求める処理を行い、各色に分解された色分解データのそれぞれに対して階調変換を行う。
2値化回路308は、画像処理部309によって変換された多値の濃度画像データに対してハーフトーン処理などを行った後、2値データ(ビットマップデータ)に変換する。駆動回路307は、2値化回路308によって得られた2値データなどに従い、記録ヘッド101によるインクの吐出動作を実行させる。CPU301は、記録ヘッド101の記録動作と対応して、搬送ユニット303で記録媒体105を搬送させる制御を行い、記録媒体105に画像が記録される。
<記録ヘッドの液室>
図4は、記録ヘッド101内の液室を説明する図である。図4(a)は、本実施形態の記録ヘッド101の概略断面図である。紙面の奥行方向に各吐出口401が配列されている。記録ヘッド101内部の圧力室408内には、エネルギー発生素子としてヒータ407が配されている。ヒータ407にパルス状の電力を加えることによって発泡が生じ、インク滴が吐出口401から吐出される。
図4は、記録ヘッド101内の液室を説明する図である。図4(a)は、本実施形態の記録ヘッド101の概略断面図である。紙面の奥行方向に各吐出口401が配列されている。記録ヘッド101内部の圧力室408内には、エネルギー発生素子としてヒータ407が配されている。ヒータ407にパルス状の電力を加えることによって発泡が生じ、インク滴が吐出口401から吐出される。
記録ヘッド101は、吐出口401を挟む第1液室402および第2液室403の二つの液室を有する。第1液室402は、供給チューブ102に接続している液室である。第2液室403は、吐出口401に対して第1液室402の反対側に位置する液室である。第1流路404は、各吐出口401と第1液室402とを接続している流路である。第2流路405は、各吐出口401と第2液室403とを接続している流路である。
第2液室403は、容積可変部406を備えている。容積可変部406は、液室内の容積を変化させることができる部材である。図4(a)において容積可変部406は、蛇腹状の伸縮部材411と、伸縮部材411が接合され伸縮部材411によって移動可能な液室内壁410とを含む。図4(b)は、容積可変部406の構成が図4(a)に示す例とは異なる例を示す図である。図4(b)において容積可変部406は、ゴム状の伸縮部材412である。
図4(a)および(b)に示すように、容積可変部406には、圧力に応じて伸縮する機構または可撓性の部材が用いられている。例えば、第1液室402から第2液室403の方向へ加圧が働いた際に、容積可変部406が変化し、第2液室403の容積が拡張される。これにより、往復走査によって揺動するインクを吐出口401から溢れさせずに一時的に第2液室403に収容することが可能となる。
図5は、吐出口401が形成されている面から見た、記録ヘッド101の断面斜視図である。各吐出口401は、列状に配されている。第1流路404及び第2流路405は、各吐出口401に対して配されている。第1液室402及び第2液室403は、吐出口列に沿って延在している。つまり、第1液室402のインクは、第1流路404を通り、各吐出口401を通過したのち第2流路405を通って第2液室403で合流することが可能である。記録ヘッド101は、複数色のインクを有しており、吐出口401の列は、複数配列されている。
<キャリッジの移動に伴う慣性力の説明>
図6は、キャリッジ104の移動に伴う慣性力を説明する図である。インクタンク103と供給チューブ102で連結されている記録ヘッド101は、キャリッジ104と一体となり主走査方向である図1のX軸方向を左右に往復移動する。即ち、図6においてキャリッジ104は、左右に往復移動する。なお、キャリッジ104の往復移動は、記録動作時に行われてもよいし、記録動作を行わないときに行われてもよい。
図6は、キャリッジ104の移動に伴う慣性力を説明する図である。インクタンク103と供給チューブ102で連結されている記録ヘッド101は、キャリッジ104と一体となり主走査方向である図1のX軸方向を左右に往復移動する。即ち、図6においてキャリッジ104は、左右に往復移動する。なお、キャリッジ104の往復移動は、記録動作時に行われてもよいし、記録動作を行わないときに行われてもよい。
図6(a)は、キャリッジ104が主走査方向の左端側に移動したときの供給チューブ102の配置の概略図である。左端側とは、図1および図6(a)において、+X方向の側であり、図6(a)の紙面において左端側のことである。キャリッジ104が、主走査方向の左端側で加減速を行うと、供給チューブ102内のインクに慣性力が生じる。具体的には、図6(a)に示すように、供給チューブ102のうちの領域R1(キャリッジ104の移動に伴い移動する領域)におけるインクに、図6(a)の左側へ向かう方向に慣性力が発生する。この供給チューブ102内の領域R1に作用する慣性力は、流路全体から見て、記録ヘッド101からインクタンク103へと向かう方向に発生する。前述したように、開閉弁202は、開放状態となっており、供給チューブ102と連通するインクタンク103は、大気開放されている。このため、図6(a)に示すように慣性力が生じると、図6(b)に示すように、インクは第2液室403から第1液室402への方向に流れる。
図6(c)は、キャリッジ104が主走査方向の右端側に移動したときの供給チューブ102の配置の概略図である。右端側とは、図1および図6(c)において、-X方向の側であり、図6(c)の紙面において右端側のことである。キャリッジ104が、主走査方向の右端側で加減速を行うと、供給チューブ102内のインクに慣性力が生じる。具体的には、図6(c)に示すように、供給チューブ102のうちの領域R2(キャリッジ104の移動に伴い移動する領域)におけるインクに、図6(c)の右側へ向かう方向に慣性力が発生する。この供給チューブ102内の領域R2に作用する慣性力は、流路全体から見て、インクタンク103から記録ヘッド101へと向かう方向に発生する。つまり、記録ヘッド101内の第1液室402から第2液室403の方向に対して、慣性力による圧力が加えられる。本実施形態では、図6(d)に示すように、容積可変部406によって、第2液室403の容積が拡張し、加圧によって流れてきたインクを収容することができる。このため、インクは、加圧によって吐出口401から漏れ出さず、第1液室402から第2液室403の方向に流れる。
図6(a)から図6(d)で説明したように、キャリッジ104が左右端で加減速走査することによって、吐出口401付近におけるインクが往復移動する。つまり、循環用のポンプ等を用いることなく、吐出口401付近におけるインクを移動させることが可能となる。
尚、図6(a)から図6(d)では、供給チューブ102が、Jの字を横にしたように接続されている略Jの字形状に這いまわされている例を説明した。また、供給チューブ102の這いまわし方向は、キャリッジが左端側に移動した場合と右端側に移動した場合とで変わらない例を説明した。また、図6では、第1液室402と供給チューブ102との接続部近傍においては、供給チューブ102は、図の左側から回り込むようにして第1液室402に接続されている例を示している。ここで、慣性力が作用するのは、キャリッジ104の移動とともに移動する供給チューブ102内(図6(a)に示すR1または図6(c)に示すR2)のインクである。このため、キャリッジの移動時において供給チューブ102全体の這いまわし方向が変わらない場合には、供給チューブ102が、接続部近傍のいずれの方向から第1液室402に接続されても、インクは同じ方向に移動することになる。
<インクの移動の説明>
次に、吐出口401付近のインクが移動することで生じる現象を説明する。前述したように、吐出口401のインクと外気との界面であるメニスカスでインクの蒸発成分が蒸発する。インクの蒸発成分は、インクの温度が高いほど多く蒸発しやすい。また、インクの蒸発成分は、外気である空気の湿度が低いほど蒸発しやすい。このように、吐出口401付近のインクは、特性が変化し、吐出精度が低下したり、吐出口401に目詰まりによる吐出不良を発生させたりする虞がある。
次に、吐出口401付近のインクが移動することで生じる現象を説明する。前述したように、吐出口401のインクと外気との界面であるメニスカスでインクの蒸発成分が蒸発する。インクの蒸発成分は、インクの温度が高いほど多く蒸発しやすい。また、インクの蒸発成分は、外気である空気の湿度が低いほど蒸発しやすい。このように、吐出口401付近のインクは、特性が変化し、吐出精度が低下したり、吐出口401に目詰まりによる吐出不良を発生させたりする虞がある。
特性が変化したインクが滞留している吐出口401を回復させるためには、吐出口401に滞留しているインクを、特性の変化していないインクに入れ替えることが求められる。特性の変化したインクは、粘度および濃度が高くなり、正常なインクの吐出に比べて吐出速度が遅くなり、記録媒体への着弾位置が所望の着弾位置からずれることで記録画像の画質劣化要因となる。また、吐出するインクの体積が変化したり記録濃度が高くなったりすることも記録画像の画質劣化要因となる。このため、所望のインク吐出を維持するために、吐出口401付近においてメニスカスでの蒸発により特性の変化したインクを、吐出口401付近(少なくともメニスカス部)から移動させることが求められる。
本実施形態においては、上述したように、キャリッジ104の往復移動に伴って吐出口401付近のインクが移動することで、吐出口401付近で増粘しているインクが、増粘していないインクと混ざって緩和されることになる。
図7は、記録動作中の非吐出時間の長さにおける吐出速度の変化を示す。図7は、吐出口401付近に慣性力による流れを一定間隔で発生させた場合(インク移動状態)と、流れを全く発生させない場合(インク静止状態)とにおいて、吐出速度をそれぞれ実際に測定した結果を表した図である。測定は、記録ヘッド101を固定した状態で、任意の駆動パルスを付与し一定の周波数で連続吐出を行うことができる吐出観察治具を用いたものである。吐出した液滴を異なる発光ディレイのストロボで撮影し、液滴の位置の差から速度に換算している。吐出口401付近でインクの流れが無い場合、非吐出時間が長くなると吐出口401付近のインクが蒸発するので吐出速度が急峻に遅くなり、最終的には蒸発が進行して増粘し不吐出状態となる(図7の点線参照)。一方、記録装置100において、キャリッジ104の往復走査によって吐出口401付近でインクが往復移動している場合は、吐出口401付近に滞留したインクの蒸発の進行を抑制している。このため、吐出速度の低下が進むことなく正常な吐出状態を維持することが可能となっている(図7の実線参照)。
このように、本実施形態においては、キャリッジ104が左右端で加減速走査する際に吐出口401付近にインクの流れを起こすことで、インクの特性変化を抑制することができる。シリアル式の特性であるキャリッジ104の往復移動を利用することで、循環ポンプ等を用いることなく吐出口401付近のインクを移動させることができる。また、吐出口401付近のインクを移動させることでインクの特性変化を抑制することができるので、前述したような、キャリッジ104の走査間に行われる予備吐出動作を実施せずに済む。このため、予備吐出処理をせずに連続記録動作を行うことができるので、全体の記録時間を短縮することができる。また、予備吐出処理に伴うインク消費を低減することができる。また、本実施形態の記録装置100によれば、予備吐出処理をしても正常吐出が困難であった高粘度のインクなどを使用することができるようになり、インクの自由度が向上した記録装置100を提供することができる。
本実施形態で説明した記録装置100は、シリアル式の記録装置であればいずれのものにも適用することができる。尚、大判印刷などのように大型の記録物を記録する記録装置の場合、往復移動に要する時間も長くなるので、吐出に用いられない吐出口401付近のインクの特性が変化しやすい。本実施形態で説明した構成を用いると、大型の記録装置において、特に連続記録動作を行う際の記録時間を大幅に短縮することができる。尚、本実施形態の記録装置100は、予備吐出処理を行わずに連続記録動作を行うことが可能であることを説明したが、本実施形態の記録装置100において予備吐出処理を行うこと自体はもちろん可能である。
<温度調整制御>
図8は、温度調整制御を説明する図である。以下、本実施形態の記録装置100における温度調整制御を説明する。図8(a)および図8(c)は、記録ヘッド101において記録素子基板8をXY平面に対して垂直な方向から見た場合における透視図である。記録素子基板8は、吐出口401を有しており、図4に示すように、吐出口401に対向する位置に、インクを吐出するためのエネルギーを発生させるエネルギー発生素子としてのヒータ407(図8では不図示)が配されている。記録素子基板8には、図8(a)に示すように、記録素子基板内の温度を検出するための合計10個の温度センサ(以下、検出素子、ダイオードセンサとも称する)Sn1~Sn10が、所定の位置にそれぞれ配されている。
図8は、温度調整制御を説明する図である。以下、本実施形態の記録装置100における温度調整制御を説明する。図8(a)および図8(c)は、記録ヘッド101において記録素子基板8をXY平面に対して垂直な方向から見た場合における透視図である。記録素子基板8は、吐出口401を有しており、図4に示すように、吐出口401に対向する位置に、インクを吐出するためのエネルギーを発生させるエネルギー発生素子としてのヒータ407(図8では不図示)が配されている。記録素子基板8には、図8(a)に示すように、記録素子基板内の温度を検出するための合計10個の温度センサ(以下、検出素子、ダイオードセンサとも称する)Sn1~Sn10が、所定の位置にそれぞれ配されている。
記録ヘッド101の温度調整制御の詳細を説明する。温度調整制御は、記録ヘッド101内のインクを一定温度に加熱することで、インクの粘度変化を抑制し、環境温度に影響されずに粘度を一定に維持するために行われる。本実施形態では、2つの種類の温度調整制御を行うことが可能である。
第1の温度調整制御は、ヒータ407とは別に、記録素子基板8を加熱可能な加熱素子を用いる制御である。図8(c)に示すように、記録素子基板8には、ヒータ407とは別に、記録素子基板8を加熱可能な加熱素子H(H1~H10)が配置されている。これらの加熱素子Hを用いて記録素子基板8および記録ヘッド101内のインクを加熱および保温することができる。記録ヘッド101には、不図示のドライバ(駆動部)が配されており、ドライバは、加熱素子Hのそれぞれに接続されて、加熱素子Hの駆動電流をONまたはOFFに制御可能に構成されている。加熱素子Hおよびドライバは、それぞれ吐出口401の配列方向に沿って複数配されており、各加熱素子Hと各吐出口401との距離を概ね等しくすることにより、インクの温度制御の分解能および温度調整精度を高くすることができる。
第2の温度調整制御は、ヒータ407を用いた温度調整制御である。図9は、ヒータ407を用いた温度調整制御を説明する図である。前述したように、記録ヘッド101の吐出口401に対向する位置(吐出口401の直上)には、ヒータ407がそれぞれ配されている。そして、ヒータ407のパルス波形(0.7μsec)を設定することで、吐出口401からインク滴が吐出される。ここで、ヒータ407に、図9に示すように、吐出しない程度の短いパルス波形(0.1~0.2μsec)を設定することで、吐出口401付近のインクおよび記録ヘッド101の温度を上昇させることができる。本実施形態では、ヒータ407は、図8(c)で示すようにそれぞれY方向に連続する複数個のヒータ407からなるヒータ群(以下、ブロックとも称する)B1~B5に分割される。これらのヒータ群B1~B5ごとに短パルスの加熱を行う際のヒータON/OFFパターン(以下、ヒータ選択パターンとも称する)が設定される。
本実施形態では、この第1の温度調整制御および第2の温度調整制御のうちの少なくとも一方を用いることが可能である。一般的に、記録動作を行う場合には、全ての吐出口401付近(以下、ノズル付近ともいう)のインクが一定の温度となるように温度調整を行い、インクの吐出が行われている(以下、このような温度調整を、通常温度調整ともいう)。本実施形態では、この通常温度調整とは一部異なる温度調整の制御が行われる。
次に、本実施形態において、上述した第1の温度調整制御または第2の温度調整制御を用いて、流路抵抗が高い(大きい)吐出口401付近のインクの増粘を抑制する例を説明する。本実施形態の記録素子基板8においては、吐出口401の位置と、吐出口401にインクが供給される共通流路の開口位置との関係に応じて、流路抵抗が異なる。
図8(a)を用いて説明する。図8(a)において、第1液室402と、第1流路404との間には、流路部材802が設けられている。第2液室403と第2流路405との間には、流路部材803が設けられている。第1液室402は、流路部材802に形成されている2つの第1共通流路804で各第1流路404と連通している。一方、第2液室403は、流路部材803に形成されている1つの第2共通流路805で各第2流路405と連通している。つまり、図8(b)に示すように第1共通流路804及び第2共通流路805の配置によって、第1共通流路804の開口位置から第2共通流路805の開口位置までの距離が異なるので、吐出口列内で流路抵抗に差が生じる。基本的に、第1共通流路804の開口位置から第2共通流路805の開口位置までの距離が短い吐出口ほど、流路抵抗は低く(小さく)なる。なお、図8では第1共通流路804が2つ、第2共通流路805が1つの例を示しているが、第1共通流路804および第2共通流路805の数は、この限りではない。また、第1共通流路804および第2共通流路805の位置も、図8に示す例に限られない。
このように、吐出口401の位置と、吐出口401にインクが供給される共通流路の開口位置との位置関係に応じて、流路抵抗が異なるので、キャリッジ走査に伴って吐出口401付近のインクを揺動させる際に、揺動しにくい吐出口401が存在する。そこで、本実施形態では、このような流路抵抗のばらつきに応じた温度調整制御パターンを、ROM302などに予め記憶しておく。例えば、共通流路の位置に基づいて図8(b)のような流路抵抗のばらつきを鑑みた温度調整制御パターンを予め用意する。
図8(d)は、温度調整制御パターンの例を示している。図8(d)で示す温度調整制御パターンは、図8(b)に示すような流路抵抗分布において、吐出口近傍を第1の温度調整制御によって所定の目標温度(ここでは40℃)に温度調整する場合の一例である。例えば、図8(b)に示すように、Y方向における端部の吐出口は、第1共通流路804~吐出口401~第2共通流路805までの経路が長く、流路抵抗が高い。このため、Y方向における端部の吐出口には、キャリッジ走査によるチューブ圧力変動が伝搬しづらく、インクが揺動しにくい。そこで図8(d)に示すように、Y方向における両端付近の加熱素子H1、H5、H6、H10の調整温度を所定の目標温度よりも上昇させ、Y方向における端部の吐出口付近のインク粘度を下げる。インク自体の粘度を下げることで、流路抵抗が高い部分においてもインクが揺動しやすくなり、吐出口401での増粘解消効果が見込まれる。この結果、吐出口列内の増粘解消具合のばらつきを減少させ、吐出口列内の各吐出口において均一な吐出性能の維持が可能となる。特に、記録動作時における各吐出口の最初の(一発目の)吐出性能を維持することができる。このように、吐出口401と、第1共通流路804及び第2共通流路8-5の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御が行われる。
以上が第1の温度調整制御によって、流路抵抗のばらつきに応じた吐出口付近の増粘解消の制御の例である。次に、第2の温度調整制御を用いて流路抵抗のばらつきに応じた吐出口付近の増粘解消のために制御する例を説明する。
図10は、第2の温度調整制御を用いる例を説明する図である。図10(a)~(c)は、それぞれ温度調整制御パターンの例を示している。図10(a)~(c)は、図8(b)のような流路抵抗分布において、吐出口近傍を所定の目標温度(ここでは40℃)に温度調整する例を示している。
図10(a)は、流路抵抗が高い部分に相当するブロックB1、B3,B5のヒータ407に短パルス駆動を印加させて、その他のブロックのヒータ407の駆動をOFFにしている制御を示している。図10(b)は、全ブロックのヒータ407に短パルスを印加させるが、駆動する短パルス幅の長さをブロックに応じて変えることで、ヒータ407の駆動により発生する単位時間当たりの熱エネルギーを変化させている制御を示している。流路抵抗が高いブロックには、流路抵抗が低いブロックに比べて短パルス幅の長さを長くしている。短パルス幅の長さを長くすることで、発熱効果を高めることができる。
図10(c)は、図10(b)における制御を、ブロックごとではなく、各ヒータ407に行う例を示している。図10(d)は、図10(c)に示すヒータ407a~407uの例に対応するヒータ407a~407uの位置関係を示した図である。これらの図10(a)~(c)のいずれの温度調整制御パターンも、第1の温度調整制御で説明した例と同様の方針のパターンとなっている。即ち、流路抵抗が高く、流れが生じにくい部分の吐出口付近のインクを、他の部分より加熱してインク自体の粘度を下げることで、流路抵抗が高い部分においてもインクが揺動し、吐出口での増粘解消効果が見込まれる。この結果、吐出口列内の増粘解消具合のばらつきを減少させ、吐出口列内の各吐出口において均一な吐出性能の維持が可能となる。特に、記録動作時における各吐出口の最初の(一発目の)吐出性能を維持することができる。
図11は、本実施形態におけるフローチャートの例を示す図である。図11に示す制御処理は、記録装置100のROM302に記憶されているプログラムをCPU301が実行することによって実現される。図11に示す処理は、記録命令をCPU301が受けた場合に実行される。尚、図11の各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
図11(a)は、記録動作を行うまでの一連のフローチャートを示す。以下、図11(a)で示すフローチャートをシーケンスAと呼ぶ。ステップS1110においてCPU301は、温度調整制御パターンに基づく温度調整制御を実施する。S1110の制御は、前述したように、第1の温度調整制御であってもよいし、第2の温度調整制御であってもよい。その後に、S1120において記録動作を実施する。尚、S1110における温度調整制御パターンに基づく温度調整制御の後であってS1120の記録動作の実施前に、S1115の通常温度調整制御を行ってもよい。通常温度調整制御とは、前述したように、吐出口列内で均一温度になるような温度調整制御のことである。
尚、インクの種類および環境温湿度などによっては、記録動作でのキャリッジ走査だけでは吐出口付近の増粘インクが非増粘インクに完全に置換されずに、増粘解消効果が見込めない場合がある。そこで、図11(b)に示すような制御をしてもよい。即ち、S1110において温度調整制御パターンに従った温度調整制御を実施した後に、S1112において、CPU301は、記録動作を伴わないキャリッジの往復動作を行う。その後、必要に応じてS1115の通常温度調整制御を実施する。そして、S1120の記録動作を実施する。以下、図11(b)で示すフローチャートをシーケンスBと呼ぶ。このように、シーケンスBでは、温度調整制御パターンに基づく温度調整制御の後であり、かつ記録動作の前に、記録動作を伴わないキャリッジの往復動作を追加で実施する。これにより、吐出口付近の増粘インクの置換が、キャリッジの往復動作によって完了し、記録時においては吐出性能を良好な状態に回復させることができる。尚、記録動作を伴わないキャリッジの往復動作を先に実施して、その後に、温度調整制御パターンに基づく温度調整制御を行ってもよい。記録動作を伴わないキャリッジの往復動作と、温度調整制御パターンに基づく温度調整制御とを併せて行ってもよい。
図12は、インクの増粘状態、環境温湿度、および前回の記録終了後からの経過時間の各条件に応じて図11のシーケンスAまたはシーケンスBのいずれを実施するかを示す図である。即ち、温度調整制御パターンに基づく温度調整制御を単独で行うか、この温度調整制御と記録動作を伴わないキャリッジの往復動作との両方を行うかを示す図である。図12(a)に示すように、25℃のインクの粘度が10mPa以上のインクの場合には、シーケンスBを実施する。10mPa未満のインクの場合には、シーケンスAを実施する。粘度が高いインクほど、増粘しやすいからである。尚、25℃のインクの粘度は、装着するインクタンク103内のインクの種類に応じて決定される。
また、図12(b)に示すように、環境温度が10℃未満の場合、シーケンスBを実施し、10℃以上の場合、シーケンスAを実施する。記録ヘッド101の温度が所定値よりも低い場合には、所定値以上の場合と比べてインクの粘度が高くなっており、インクが移動しにくい。一方で、記録ヘッド101の温度が所定値以上の場合には、インクの粘度が低くなっており、インクが移動しやすいからである。
また、図12(c)に示すように、環境湿度が20%未満の場合、シーケンスBを実施し、20%以上の場合、シーケンスAを実施する。低湿度ほどインクの蒸発が進行し、インク粘度は上昇する。一方で、高湿度環境下ではインクの蒸発は遅く、インクの粘度上昇は抑制されるからである。
また、図12(d)に示すように、前回記録終了後からの経過時間が168時間(h)以上の場合、シーケンスBを実施し、168h未満の場合、シーケンスAを実施する。放置時間が長いほど、吐出口付近のインクの蒸発が進行し、記録ヘッド101の吐出性能が低下している虞があるからである。
尚、図12(a)~(d)に示す例は、単独で実施されてもよいし、組み合わせて実施されてもよい。組み合わせて実施される場合、図12(a)~(d)のいずれか一つでもシーケンスBに該当する場合、シーケンスBを実施するようにしてもよい。あるいは、記録装置100は、印刷速度を重視するモード、および、印刷品質を重視するモードを設定することが可能に構成されていてもよい。そして、印刷品質を重視するモードでは、図12(a)~(d)のいずれか一つでもシーケンスBに該当する場合、シーケンスBを実施するようにしてもよい。また、印刷速度を重視するモードでは、図12(a)~(d)のいずれか二つ以上がシーケンスBに該当する場合、シーケンスBを実施するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、記録動作を行う前に、流路抵抗に応じてインクの揺動が生じにくい位置の吐出口付近の温度を、目標温度よりも高くなるように温度調整制御が行われる。このため、インクの粘度が低下するので、流路抵抗が生じにくい位置の吐出口においてもキャリッジの往復走査に応じて増粘インクを移動させることができる。よって、増粘インクに起因して吐出性能が低下してしまうことを抑制することができる。
尚、本実施形態では、第1の温度調整制御または第2の温度調整制御を用いてインクの増粘を解消させる例を説明したが、これらを組み合わせてもよい。即ち、第1の温度調整制御および第2の温度調整制御の両方を用いてもよい。
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、主に記録動作の実施前に、吐出口列内の増粘解消具合のばらつきを減少させるように温度調整制御を行う例を説明した。そして、均一な吐出性能、特に、記録動作時における各吐出口の最初の(一発目の)吐出性能を維持する例を説明した。
第1実施形態では、主に記録動作の実施前に、吐出口列内の増粘解消具合のばらつきを減少させるように温度調整制御を行う例を説明した。そして、均一な吐出性能、特に、記録動作時における各吐出口の最初の(一発目の)吐出性能を維持する例を説明した。
記録動作を行っていると、前述したように通常温度調整制御によって、全ての吐出口の目標温度を同じ温度に温度調整制御していても、実際は各吐出口位置での流路抵抗のばらつき、および、記録素子基板8内での熱伝導のばらつきなどが生じる。これらの様々な理由によって、記録素子基板8内において、温度のばらつきが生じる。この結果、目標温度に達していない位置の吐出口付近のインクは温められていないので、キャリッジの往復走査による揺動が十分に行われず、増粘解消効果が見込まれない虞がある。
そこで、本実施形態では、温度センサによって得られる記録素子基板8内の温度分布のばらつきから、加熱素子Hによる温度調整を個別に制御する。これにより、吐出口列内でインクが均一に揺動し、増粘を解消することができる。尚、本実施形態は、記録動作を実施中の温度調整制御であるので、第1実施形態で説明した、加熱素子Hによる第1の温度調整制御を行うものとする。
図13は、本実施形態の温度制御処理の一連のフローチャートを示す。図13に示す制御処理もまた、記録装置100のROM302に記憶されているプログラムをCPU301が実行することによって実現される。図13に示す温度調整制御は、記録動作中に実施される。尚、本フローチャートは、第1実施形態と組み合わせて行ってもよい。即ち、図11のS1120の記録動作中において、図13に示す処理を行うとしてもよい。
S1301においてCPU301は、全ての温度センサSn1~Sn10の現在の検出温度を取得する。次に、S1302においてCPU301は、目標温度(記録許可温度)を取得する。続くS1303~S1306の処理は、各温度センサを対象温度センサとして行われる処理である。
S1303においてCPU301は、目標温度から対象温度センサの検出温度を差し引いた値が0より大きいかを判定する。この値が0より大きい場合、検出温度が目標温度に達していないことになる。このため、検出温度が目標温度に達していない対象温度センサ付近のインクは、揺動が十分にされず温かいインクが行き渡っておらず、増粘解消が行われていない可能性がある。よって、目標温度から対象温度センサの検出温度を差し引いた値が0より大きい場合、S1304に進み、CPU301は、対象温度センサ付近の加熱素子Hを駆動し、インクの粘度を下げることで、インクの揺動を促し吐出口の増粘解消を図る。S1304における加熱素子の温度調整設定温度は、目標温度から不足している分の温度を目標温度に加算した温度とする。そして、S1306に進む。
一方、S1303において検出温度が目標温度に達している場合は、S1305に進み対象温度センサ付近の加熱素子Hの駆動は行わない。そして、S1306に進む。S1306において、全ての温度センサを対象温度センサとした制御が実施済みかを判定し、未実施の温度センサがあれば、S1303に戻り、全ての温度センサを対象温度センサとした制御が実施済みの場合、処理を終了する。
図14は、本実施形態における第1の温度調整制御に従った温度制御の一例を示す図である。図14(a)は、記録ヘッド101において記録素子基板8をXY平面に対して垂直な方向から見た場合における透視図で、温度センサSn及び加熱素子Hの位置を示している。図14(a)に示す配置構成の場合、温度センサSn1付近の加熱素子はH1、温度センサSn2付近の加熱素子はH2、温度センサSn3付近の加熱素子はH3・・・といったように、温度センサSnと加熱素子Hとが対応付けられる。
図14(b)は、S1301で取得した温度センサの検出温度の例を示している、図14(c)は、目標温度を40℃とした場合のS1304で行う加熱素子の温度調整設定温度を示す。温度センサSn1のように検出温度が32℃の場合、目標温度40℃に対して不足している8℃を目標温度に加算した48℃を設定温度として加熱素子H1を駆動させる。また、温度センサSn2のように検出温度が目標温度40℃に到達している場合は加熱素子H2の駆動は実施しない。
以上説明したように、本実施形態では、記録動作を行っているときに、温度センサによって得られる記録素子基板8内の温度分布のばらつきから、加熱素子Hによる温度調整を個別に制御する。これにより、吐出口列内でインクが均一に揺動し、増粘を解消することができる。
尚、本実施形態では、記録動作中に温度センサによって検出された温度に基づいて温度調整制御を行う例を説明したが、記録動作前に、温度センサによって検出された温度に基づいて温度調整制御を行ってもよい。
<<第3実施形態>>
第1実施形態および第2実施形態においては、記録ヘッド101がキャリッジ104に搭載され、キャリッジ104が往復移動する、いわゆるシリアル走査式の記録装置を例に挙げて説明した。本実施形態では、記録ヘッド(キャリッジ)が往復移動せず、記録ヘッドの吐出口が、記録媒体の幅方向の長さに相当する長さに延在する、いわゆるライン式の記録ヘッドを用いる記録装置を用いる例を説明する。
第1実施形態および第2実施形態においては、記録ヘッド101がキャリッジ104に搭載され、キャリッジ104が往復移動する、いわゆるシリアル走査式の記録装置を例に挙げて説明した。本実施形態では、記録ヘッド(キャリッジ)が往復移動せず、記録ヘッドの吐出口が、記録媒体の幅方向の長さに相当する長さに延在する、いわゆるライン式の記録ヘッドを用いる記録装置を用いる例を説明する。
第1実施形態および第2実施形態においては、キャリッジが往復移動することによって生じる慣性力によって吐出口付近の増粘インクを移動させる場合において、流路抵抗のばらつきに起因してインクが吐出口付近から流れないことがある点を説明した。そして、温度調整制御を行うことで、増粘インクを吐出口付近から移動させる例を説明した。このような温度調整制御は、ライン式の記録ヘッドを用いる場合においても同様に適用することができる。例えば、本実施形態の記録装置は、ライン式の記録ヘッドを用いる記録装置であって、ポンプなど用いて記録ヘッドの外部のインクタンクとの間でインクの循環を行う構成の記録装置である。より詳細には、タンクから記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、記録ヘッドからタンクへインクを回収する回収流路と、供給流路、圧力室の内部及び回収流路を通るようにタンクおよび記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させる装置である。
このような記録装置において、記録動作を伴わずに、インクの循環のみを実施している場合は、全ての吐出口で均一な流速でインクが流れる。一方、記録動作を実施している最中においては、吐出状態によっては第1共通流路に相当する共通供給流路及び第2共通流路に相当する共通回収流路の位置によって、前述したように、流路抵抗にばらつきが生じ、増粘解消具合に差が出ることがある。例えば、全ての吐出口から吐出を行っている場合、吐出口において大きな負圧が生じるため、供給側からのインク供給だけでは流量が不足して回収側からもインクが引き込まれる。また共通回収流路に近い吐出口では、共通回収流路からのインク引き込みによる圧力が大きいため、第1流路と第2流路との間の差圧が小さくなり、この結果、インクの流速が他の吐出口より遅くなるため、吐出口の位置による流路抵抗ばらつきが生じる。
このため、本実施形態では、第2実施形態で説明したように、温度センサによって得られる記録素子基板8内の温度分布のばらつきから、加熱素子Hによる温度調整を個別に制御する。これにより、吐出口列内でインクが均一に移動し、増粘を解消することができる。
<<その他の実施形態>>
上述した第1実施形態および第2実施形態では、記録ヘッド101とインクタンク103とが一本のチューブで接続される例を説明したが、記録ヘッド101とインクタンク103とが二本のチューブで接続されてもよい。即ち、インクタンク103と記録ヘッド101とが第1チューブおよび第2チューブで接続され、第1チューブは、記録ヘッド101内の第1液室402に接続され、第2チューブは、記録ヘッド101内の第2液室403に接続されるように構成されてもよい。第1チューブと第2チューブとを、左右対称の這いまわし構成とすることで、第1実施形態で説明したように、キャリッジの往復移動に応じて、インク循環流を生じさせて吐出口付近のインクを移動させることができる。また、第1チューブと第2チューブとの流路抵抗を変えることで、キャリッジの往復移動に応じて、インクが一方向に移動するため、インクタンクと記録ヘッドとの間でインクを循環させることができる。
上述した第1実施形態および第2実施形態では、記録ヘッド101とインクタンク103とが一本のチューブで接続される例を説明したが、記録ヘッド101とインクタンク103とが二本のチューブで接続されてもよい。即ち、インクタンク103と記録ヘッド101とが第1チューブおよび第2チューブで接続され、第1チューブは、記録ヘッド101内の第1液室402に接続され、第2チューブは、記録ヘッド101内の第2液室403に接続されるように構成されてもよい。第1チューブと第2チューブとを、左右対称の這いまわし構成とすることで、第1実施形態で説明したように、キャリッジの往復移動に応じて、インク循環流を生じさせて吐出口付近のインクを移動させることができる。また、第1チューブと第2チューブとの流路抵抗を変えることで、キャリッジの往復移動に応じて、インクが一方向に移動するため、インクタンクと記録ヘッドとの間でインクを循環させることができる。
あるいは、インクタンクに接続されている一本のチューブが途中で2つのチューブに分岐して、その分岐した2本のチューブの一方が第1液室402に接続され、他方が第2液室403に接続されるように構成されていてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
101:記録ヘッド
8:記録素子基板
401:吐出口
407:ヒータ
H:加熱素子
Sn:温度センサ
8:記録素子基板
401:吐出口
407:ヒータ
H:加熱素子
Sn:温度センサ
Claims (15)
- インクを収容するタンクと、
インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記タンクから前記記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、
前記記録ヘッドの温度を調整する温度調整手段と、
を備える記録装置であって、
前記記録ヘッドは、
前記供給流路との接続部を有する第1液室と、
前記圧力室を介して前記第1液室と連通する第2液室と、
前記第2液室の容積を変化させる容積可変部と、
前記圧力室に連通する第1流路と前記第1液室とを連通させる第1共通流路と、
前記圧力室に連通する第2流路と前記第2液室とを連通させる第2共通流路と、
を有し、
前記温度調整手段は、前記吐出口と、前記第1共通流路及び前記第2共通流路の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御を行うことを特徴とする記録装置。 - 前記温度調整手段は、前記第1共通流路及び前記第2共通流路の少なくともいずれか一方との位置に応じた流路抵抗が大きい位置の吐出口付近の目標温度が、他の位置の吐出口の目標温度よりも高くなるように、前記温度調整制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記温度調整手段は、前記記録ヘッドを用いた記録動作の前に、前記温度調整制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- インクの増粘状態に応じて、前記温度調整制御を単独で行うか、または、前記温度調整制御と記録動作を伴わない前記記録ヘッドの往復走査との両方を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
- インクの種類に応じて、前記温度調整制御を単独で行うか、または、前記温度調整制御と記録動作を伴わない前記記録ヘッドの往復走査との両方を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の記録装置。
- 環境温度に応じて、前記温度調整制御を単独で行うか、または、前記温度調整制御と記録動作を伴わない前記記録ヘッドの往復走査との両方を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の記録装置。
- 環境湿度に応じて、前記温度調整制御を単独で行うか、または、前記温度調整制御と記録動作を伴わない前記記録ヘッドの往復走査との両方を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の記録装置。
- 前回の記録動作が終了してからの経過時間に応じて、前記温度調整制御を単独で行うか、または、前記温度調整制御と記録動作を伴わない前記記録ヘッドの往復走査との両方を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の記録装置。
- 前記記録ヘッドは、配された位置における温度をそれぞれ検出する複数の検出手段をさらに有し、
前記温度調整手段は、前記検出手段により検出された温度に応じて、前記検出手段が配された位置に対応する前記温度調整制御を個別に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。 - 前記温度調整手段は、記録動作を実施中に、前記個別の前記温度調整制御を行うことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
- インクを収容するタンクと、
インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記タンクから前記記録ヘッドへ前記インクを供給する供給流路と、
前記記録ヘッドから前記タンクへ前記インクを回収する回収流路と、
前記供給流路、前記圧力室の内部及び前記回収流路を通るように前記タンクおよび前記記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させる循環手段と、
前記記録ヘッドの温度を調整する温度調整手段と、
を備える記録装置であって、
前記記録ヘッドは、
前記供給流路との接続部を有する第1液室と、
前記圧力室を介して前記第1液室と連通し、かつ前記回収流路との接続部を有する第2液室と、
前記圧力室に連通する第1流路と前記第1液室とを連通させる第1共通流路と、
前記圧力室に連通する第2流路と前記第2液室とを連通させる第2共通流路と
を有し、
前記温度調整手段は、前記吐出口と、前記第1共通流路及び前記第2共通流路の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御を行うことを特徴とする記録装置。 - 前記記録ヘッドは、配された位置における温度をそれぞれ検出する複数の検出手段をさらに有し、
前記温度調整手段は、前記検出手段により検出された温度に応じて、前記検出手段が配された位置に対応する前記温度調整制御を個別に行うことを特徴とする請求項11に記載の記録装置。 - 前記温度調整手段は、記録動作を実施中に、前記個別の前記温度調整制御を行うことを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
- インクを収容するタンクと、
インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、往復走査しながらインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記タンクから前記記録ヘッドへインクを供給する供給流路と、
前記記録ヘッドの温度を調整する温度調整手段と、
を備え、
前記記録ヘッドは、
前記供給流路との接続部を有する第1液室と、
前記圧力室を介して前記第1液室と連通する第2液室と、
前記第2液室の容積を変化させる容積可変部と、
前記圧力室に連通する第1流路と前記第1液室とを連通させる第1共通流路と、
前記圧力室に連通する第2流路と前記第2液室とを連通させる第2共通流路と、
を有する、記録装置の制御方法であって、
前記温度調整手段に、前記吐出口と、前記第1共通流路及び前記第2共通流路の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御を実行させる工程を有することを特徴とする記録装置の制御方法。 - インクを収容するタンクと、
インクを吐出する吐出口とインクが充填される圧力室とを有し、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記タンクから前記記録ヘッドへ前記インクを供給する供給流路と、
前記記録ヘッドから前記タンクへ前記インクを回収する回収流路と、
前記供給流路、前記圧力室の内部及び前記回収流路を通るように前記タンクおよび前記記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させる循環手段と、
前記記録ヘッドの温度を調整する温度調整手段と、
を備え、
前記記録ヘッドは、
前記供給流路との接続部を有する第1液室と、
前記圧力室を介して前記第1液室と連通し、かつ前記回収流路との接続部を有する第2液室と、
前記圧力室に連通する第1流路と前記第1液室とを連通させる第1共通流路と、
前記圧力室に連通する第2流路と前記第2液室とを連通させる第2共通流路と
を有する、記録装置の制御方法であって、
前記温度調整手段に、前記吐出口と、前記第1共通流路及び前記第2共通流路の少なくともいずれか一方と、の間における流路抵抗に応じた温度調整制御を実行させる工程を有することを特徴とする記録装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020108700A JP2022006474A (ja) | 2020-06-24 | 2020-06-24 | 記録装置および記録装置の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020108700A JP2022006474A (ja) | 2020-06-24 | 2020-06-24 | 記録装置および記録装置の制御方法 |
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Family
ID=80110832
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2022006474A (ja) |
-
2020
- 2020-06-24 JP JP2020108700A patent/JP2022006474A/ja active Pending
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