JP2022006663A - 粒子線治療システムおよびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、粒子線治療システムおよびその制御方法に関する。
粒子線治療には、ビームを周回させて加速する円形加速器がよく用いられる。特に、超電導コイルを用いたシンクロサイクロトロンは、治療施設の小型化および低コスト化に有効である。シンクロサイクロトロン中のビームは、時間的に一定の主磁場中を周回する。そのビームは、周回中に、加速高周波電場が生じる加速間隙を通過する度に、エネルギーを得る。主磁場が非等時性磁場であるため、加速条件を維持するには、加速高周波電場の周波数を変調する必要がある。したがって、或る周波数変調パターンがmsecオーダの加速周期で繰り返される。一加速周期の間に、パルス状の時間構造を持つビームが、加速器内へ入射される。入射されたビームが加速されて最高エネルギーに達すると、パルス状ビームが加速器外へ出射される。
出射されたビームは、照射装置を経て患者の患部へ照射される。粒子線治療で一般的なスキャニング照射方式では、患部の形状に合わせて、スキャニングコイルによりビーム進行方向と垂直な方向にビームを走査する。ビーム進行方向には、ビームのエネルギーを変えて飛程を調整することにより、患部の形状に合わせてビームを照射する。
非特許文献1に記載のシンクロサイクロトロンでは、出射されたビームのエネルギーは最大値で一定である。したがって、ビームを、高エネルギービーム輸送系に設置される散乱体に通して、エネルギー損失を引き起こさせることにより、そのビームのエネルギーを調整する。ビームのエネルギーを変更する際は、楔形の散乱体を機械的に移動させて、ビームが散乱体内を通過する経路長を変える。
W. Kleeven, "The IBA Superconducting SynchrocyclotronSynchrocyclotronProject S2C2", Proceedings of Cyclotrons 2013
スキャニング照射では、患部への過少なビーム照射および過大なビーム照射を防ぐため、照射スポットごとに高精度な線量制御が求められる。一方、非特許文献1に記載のシンクロサイクロトロンでは、前述の散乱体によってビームのエネルギーを調整するため、ビーム電荷に損失が生じる。したがって、シンクロサイクロトロンでは、ビームが低エネルギーになるほどビームの電荷量が減少する。さらに、炭素線などの重粒子線の場合には、散乱体によるビーム電荷の損失に加えて、核破砕による照射線量の減少も生じる。この他、散乱体の設置に伴う装置の大型化、散乱体の放射化などの課題もある。
これらの課題を解決すべく、特許文献1に記載の固定磁場可変エネルギー加速器が提案されている。この加速器は、主電磁石と、主電磁石の磁極間にビームを入射するイオン源と、周波数変調された加速高周波を印加する加速電極を有する。この加速器のビーム軌道は、主電磁石が発生する主磁場によってビーム加速と共に軌道半径が増加する周回軌道である。さらに、この加速器は、ビームを外部に取り出すための狭小のビーム集約点と複数の異なるエネルギーのビーム出射点とを有し、加速高周波とは周波数の異なる高周波をビーム出射に用いる。
固定磁場可変エネルギー加速器では、例えば陽子線治療において代表的に70MeV~230 MeVのビームを取り出すために、エネルギーに応じて磁場強度を変更可能なセプタムコイルを加速器内の主磁極の外周側に設置する。また、主電磁石は、小型化の観点から超伝導電磁石とする場合、主磁極が飽和状態となり、セプタムコイルを設置する主磁極の外周側空間への漏洩磁場が多くなる。この漏洩磁場中に、治療に必要なエネルギー帯の全ビームが通行可能なビーム出射経路を形成するには、強力なセプタム磁場が必要となる。よって、セプタムコイルは、パルス運転(励磁と非励磁を繰り返す間欠運転)としデューティを下げて熱負荷を下げる対策が有効である。パルス運転の際は、セプタムコイルの励磁電流がフラットトップに達した状態で、あるエネルギーのビームを出射する必要があるが、その場合、治療計画や患者の状態より定まる照射タイミングと、セプタムコイルを励磁するタイミングがずれてしまうと、ビーム出射不能となる時間が多くなり、線量率が低下するという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、セプタムコイルを効率よく使用することができるようにした粒子線治療システムおよびその制御方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に従う粒子線治療システムは、加速器と前記加速器を制御する制御装置とを有する粒子線治療システムであって、加速器は、主電磁石と、主電磁石の磁極間へビームを入射するイオン源と、ビームを加速する高周波を印加する加速電極と、セプタムコイルとを備え、ビームは、主電磁石により発生される主磁場によって、ビームの加速と共に軌道半径が増加する周回軌道を有し、制御装置は、セプタムコイルを異なる複数のタイミング信号により駆動させる。
本発明によれば、セプタムコイルを複数のタイミング信号で駆動させることができるため、セプタムコイルを効率よく励磁するタイミング制御が可能となる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、セプタムコイルを複数のタイミング信号で駆動させることにより、セプタムコイルの通電時間を短くして発熱を抑え、セプタムコイルを有する加速器を効率よく運転させる。
固定磁場可変エネルギー加速器において、セプタムコイルをパルス運転する際は、デューティを低下させることにより、セプタムコイルに生じる熱負荷を小さくすることができる。
前述のとおり、セプタムコイルをパルス運転する場合、セプタム励磁電流がフラットトップに達した状態で、あるエネルギーまで加速されたビームを出射する必要がある。したがって、治療計画または患者の状態により定まる照射タイミングと、セプタムコイルを励磁するタイミングとがずれてしまうと、ビームを出射できない時間が多くなる。
そこで、本実施形態では、複数のタイミング信号によりセプタムコイルを制御することにより、セプタムコイルを効率よく励磁するタイミング制御が可能となる。したがって、本実施形態では、ビームが出射不能となる時間を低減することができる。この結果、本実施形態によれば、出射されるビームの線量率を増加させることができ、粒子線治療システムの患者スループットを向上させることができる。
図1~図6を用いて第1実施例を説明する。本実施例の円形加速器39は、時間的に一定強度の主磁場中を、周波数変調した高周波電場によって陽子のビームを加速するものであり、その出射ビームのエネルギーは一例として70MeV~235MeVである。
図1は、円形加速器39の断面構成を含む説明図である。本実施例では、ビームエネルギーを70MeVから235MeVの間で任意に変えて、加速器39から出射することができる。このため本実施例では、ビーム軌道をビーム出射経路の入口82の側に偏芯させるように主磁場を形成した偏芯軌道型加速器39を「加速器」の一例として用いる。
図2は、各エネルギーのビーム周回軌道を示す。図2を用いて、偏芯軌道の実現方法を説明する。図2では、ビーム周回軌道を、最大エネルギー235MeVから磁気剛性率0.04Tmおきに、50種類のエネルギーの軌道を実線で示している。
点線は、各軌道の同一の周回位相を結んだ線であり、この線を等周回位相線と呼ぶ。等周回位相線は、集約領域から周回位相π/20ごとにプロットしている。ディー電極12とディー電極12に対向するダミーディー電極13との間に形成される加速間隙11は、ある等周回位相線に沿って設置される。
イオン源53からのイオンは入射部52から加速器39の加速間隙11へ入射される。図1では、便宜上、イオン源53と入射部52とを同一箇所で示している。
ビームのエネルギーが低い領域では、サイクロトロンと同様に、ビーム軌道は、イオンの入射部52の付近を中心とする同心軌道に近くなる。ビームのエネルギーが大きい領域では、ビーム軌道は、ビーム出射経路の入口82の付近で密に集約する一方、内導体14の付近では各エネルギーの軌道が互いに離れた位置関係にある。軌道が密に集まっている点を集約領域と呼び、軌道が離散した領域を離散領域と呼ぶ。このような軌道配置とすることにより、エネルギー可変のビーム出射を容易に実現できる。
図1に戻る。主電磁石40は、例えば、主磁極38と、ヨーク41と、主コイル42とを含む。主コイル42は、ヨーク41の内壁に沿って設置される。主コイル42は超電導コイルである。主コイル42の周囲にはクライオスタット60が設置されており、クライオスタット60により主コイル42は冷却される。主コイル42の内周側には、主磁場を形成する主磁極38が設置されている。
次に、ビームの出射方法について説明する。ビームの出射には、高周波キッカ70と、ピーラ磁場領域44と、リジェネレータ磁場領域45と、セプタムコイル43と、高エネルギービーム輸送系47とを用いる。
高周波キッカ70は、すべての出射エネルギーのビーム軌道が集約する集約領域付近に設置される。ピーラ磁場領域44およびリジェネレータ磁場領域45は、高周波キッカ70の両隣に配置される。
セプタムコイル43と、高エネルギービーム輸送系47に配置される光学パラメータ調整用のコイル(不図示)とは、出射するビームエネルギーに応じて励磁電流を変える必要がある。したがって、これらのコイルについては、空芯構造または積層鋼板コアを用い、数ターンから数十ターン程度のコイルに対してパルス通電する構成とする。セプタムコイル43は、ビーム進行方向に2つ以上に分割して配置されてもよい。
ヨーク41には、複数の貫通孔46,48,49,50が形成される。ビーム用貫通孔46は、加速されたビームを出射するための貫通孔である。コイル用貫通孔48は、ヨーク41内部の種々のコイル導体を外部に引き出すための貫通孔である。真空引き用貫通孔49は、図外の真空ポンプにより加速器39内を吸引するための貫通孔である。高周波系用貫通孔50は、高周波加速空胴のための貫通孔であり、上下磁極の接続面上に設けられている。
高周波加速空胴は、λ/2共振型空胴である。高周波加速空胴は、例えば、ディー電極12とそれに連なる内導体14、ダミーディー電極13とそれに連なる外導体15、入力カプラ20、回転コンデンサ30より成る。入力カプラ20には、加速高周波電源25が接続されている。
回転コンデンサ30は、回転電極33をモータ31にて回転させることにより、回転電極33と固定電極32との間に形成される静電容量を時間的に変動させる。回転コンデンサ30は、回転電極33と固定電極32との間の静電容量を時間変化させることにより、高周波加速空胴の共振周波数を変えて、周波数変調パターンを形成する。回転コンデンサ30によって周波数変調された加速電圧が、ディー電極12とダミーディー電極13との間の加速間隙11に発生する。図1に示した加速間隙11は、ハーモニクス数”1”の場合を示しており、ビームの軌道形状に応じて形成される。
符号80は、最大エネルギー軌道を示す。符号81は、最低出射エネルギー軌道を示す。
以上の構成とすることで、本実施例の円形加速器39は、散乱体を用いずに可変エネルギーのビームを出射することができる。したがって、本実施例によれば、ビーム利用効率を高くすることができ、高い線量率を実現できる。
本実施例によれば、電気的に出射エネルギーを変更できるため、散乱体を機械的に移動させる方式に比べて、エネルギー切替えに要する時間が短い。
上述の主磁場分布は、主磁極38と、主磁極38の表面に設置するトリムコイルおよび磁極片(いずれも図示せず)とによって形成することができる。主磁場分布を形成するためのこれらの構成要素は、軌道平面に対し対称に配置される。したがって、主磁場は、軌道平面上において、軌道平面と垂直な方向の磁場成分のみを持つ。
図3を用いてビームの出射手順について説明する。図3において、上段の特性線の縦軸は、空洞共振周波数fcavおよび高周波キッカ周波数fextを示す。中段の特性線の縦軸は、加速電圧Vaccおよび高周波キッカ電圧Vextを示す。下段の特性線の縦軸は、ビーム電流の値を示す。3つの特性線の横軸は時間を示す。
一加速周期は、時刻T0での加速高周波の立ち上げから始まる。その後の時刻T1においてビームが入射され、入射から時間t1経過後の時刻T2においてビームの高周波捕獲が終了し、捕獲されたビームが加速され始める。
ビームが最大エネルギーである235MeVに達した時刻T3で、加速高周波の遮断を開始し、時刻T3から時間t2が経過した時刻T4において、加速高周波はオフ状態となる。
時刻T4において加速高周波をオフ状態にすると同時に、高周波キッカ70への高周波電圧印加を開始する。高周波キッカ70への高周波電圧は、高周波キッカ70が共振器構造でなく、静電容量が適切な値となるように設計されていれば、数μs以下の応答で素早く立ち上がる。
ここで、高周波電圧の周波数は、最大エネルギービームの水平方向チューンνrの小数部Δνrと、最大エネルギービームの周回周波数frevとの積Δνr×frevと等しくなるようにしておく。その結果、水平方向ベータトロン振動の振幅は共鳴的に増大し続け、やがてピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45にビームが到達する。
ビームは、ピーラ磁場領域44を通過すると外周側にキックされ、リジェネレータ領域45を通過すると逆に内周側にキックされる。ピーラ磁場領域44およびリジェネレータ領域45のいずれもが径方向に磁場勾配を有するので、ビームが複数周回するうちに、キック量が次第に増えていき、ターンセパレーションが増大する。つまり、2νr=2のベータトロン振動の共鳴条件を利用することで、ターンセパレーションを増大させることができる。
ビーム出射経路入口82にはセプタムコイル43が設置されているが、やがてセプタムコイル43の内周側に設置されるコイル導体の厚みを大きく超えるターンセパレーションが得られるようになると、ビームは、セプタムコイル43内部へと導かれる。
本実施例の加速器39では、高周波キッカ70への高周波電圧印加をオン/オフさせることにより、ビームの出射と停止とを制御することができる。そして、ビーム出射を繰り返すことによって周回電荷がなくなった段階で、一加速周期が終了する。一加速周期は、通常数msから数十msの長さである。
図4に、加速器39に用いるセプタムコイル43の断面図を示す。図4は、セプタムコイル43を、ダイポール型の空芯コイルとして構成した場合を示す。図4には、ホローコンダクタ67a,67bと、補正コイル68と、ホルダ69と、冷却流路66,66a,66bとが示されている。
ホローコンダクタ67aの側がビーム周回軌道側である。補正コイル68は、セプタムコイルからビーム周回軌道側に漏洩して周回軌道を乱す不要磁場をキャンセルするために設置される。補正コイル68は、図4に示したように上下1ターンずつで構成するほかに、複数ターンで構成してもよい。また、補正コイル68は、内部にホローコンダクタのような冷媒流路を有するものでもよい。セプタムコイル43を構成する各コイルは、非磁性体製のホルダ69により、電磁力に耐えられるように支持されて固定される。
図5に、セプタムコイル43の制御に用いるタイミング信号の一例を示す。図6に、加速器39を用いた粒子線治療システムのブロック図を示す。
先に粒子線治療システムの概略を説明する。粒子線治療システムは、例えば、セプタムコイル43を有する円形加速器39と、セプタムコイル電源65と、回転ガントリ190と、制御装置191と、照射装置192と、治療台201とを備える。治療台201には、患者200が載置される。照射装置192は、ビームの位置や照射線量などを計測するビーム計測系を備えると共に、標的位置計測システム193を備える。
制御装置191は、粒子線治療システムを制御する。制御装置191は、出射エネルギーと照射線量の指令値を受信する。さらに、制御装置191は、標的位置計測システム193から患部の位置を示す標的位置信号を受信する。そして、制御装置191は、セプタムコイル電源65に、セプタムコイル励磁信号を、高周波キッカ電源71に出射信号を送信する。さらに、制御装置191は、回転ガントリ190と照射装置192とに制御信号を送信する。これにより、制御装置191は、ビーム計測系からの情報や標的位置信号、および治療計画等に基づいて、回転ガントリ190を回転させながら患部へ所定線量のビームを照射させる。
標的位置計測システム193は、患部、あるいはそれに連動して動く体表位置などを標的位置信号としてモニタし、制御装置191へ伝送する。
制御装置191は、図5に示すように、標的位置信号が位置PAを示した時(TES)に、セプタムコイル励磁信号を立ち上げ、セプタムコイル電源65に送信することでセプタムコイルの励磁を開始する。制御装置191は、標的位置信号が位置PBに達した時(TGS)に、出射信号を立ち上げ、高周波キッカ電源71に送信することでビーム出射を開始する。
制御装置191は、出射エネルギー別に、セプタムコイル43の熱的な制限から定まるセプタムコイルの励磁可能時間Δt1と励磁停止時間Δt3の組をあらかじめ所定のテーブル(不図示)にデータとして保持している。制御装置191は、出射エネルギー指令値が与えられると、その値に対応した励磁可能時間Δt1と励磁停止時間Δt3をテーブルから呼び出す。
そして、制御装置191は、時刻TESから適切な励磁可能時間Δt1が経過した時刻(TEE)に、セプタムコイル励磁信号を立ち下げることで、セプタムコイルの励磁電流遮断を開始する。さらに、制御装置191は、標的位置信号が再び位置PBを示した時(TGE)に、出射信号を立ち下げることで、ビーム出射を停止する。
ここで、標的位置信号における位置PAと位置PBとの定め方について説明する。位置PBは、患者の呼吸等による標的の時間的な位置変動が、治療計画等から定まる許容値以内となるように定められた位置である。つまり、標的位置が位置PBよりも下にある場合に、ビーム照射が可能となる。
位置PAは、位置PBの時刻から、セプタムコイル43の励磁電流ランプアップ時間Δt2だけ遡った時刻の標的位置に相当する。位置PBは、複数の呼吸周期分の標的位置信号から、位置PB付近の標的位置信号の時間微分の平均値を算出することにより計算することができる。
なお励磁電流ランプアップ時間Δt2は、通常は数百ms以下であるが、出射エネルギーにより変化させてもよい。変化させる場合は、制御装置191は、出射エネルギー別に、Δt2の値も他の所定のテーブル(不図示)にデータとして保持しておき、出射エネルギーの指令値が与えられると速やかに位置PAを演算して求める。
制御装置191は、セプタムコイル励磁信号と照射可能信号とのアンド条件である出射信号を生成させる。この出射信号が立ち上がっている間に、前述したビームの入射、入射されたビームの加速、加速されたビームの出射という一連の段階が繰り返され、患部にビームが照射される。
以上のように制御することで、セプタムコイル43をパルス通電せざるを得ない場合であっても、患者の呼吸に同期させてセプタムコイル43を必要最低限に励磁することができ、ビーム出射不能時間を最小化できる。したがって、本実施例によれば、照射線量率を向上させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。
本実施例に開示された粒子線治療システムは、例えば、以下のように表現することもできる。
「粒子線治療システムであって、
セプタムコイル43を有する加速器39と、
治療対象200を載置する治療台201と、
前記加速器39からのビームを前記治療対象200へ照射する照射装置192と、
前記照射装置192を前記治療対象200の周囲で回転移動させる回転ガントリ190と、
前記加速器39と前記回転ガントリ190と前記照射装置191と前記治療台201とを制御する制御装置191とを備え、
前記加速器39は、
主電磁石40と、
前記主電磁石40の磁極11間へビームを入射するイオン源53と、
前記ビームを加速する高周波を印加する加速電極12,13と、
セプタムコイル43とを備え、
前記ビームは、前記主電磁石40により発生される主磁場によって、前記ビームの加速と共に軌道半径が増加する周回軌道を有し、
前記制御装置191は、前記セプタムコイル43を異なる複数のタイミング信号により運転させる、
粒子線治療システム。」
「粒子線治療システムであって、
セプタムコイル43を有する加速器39と、
治療対象200を載置する治療台201と、
前記加速器39からのビームを前記治療対象200へ照射する照射装置192と、
前記照射装置192を前記治療対象200の周囲で回転移動させる回転ガントリ190と、
前記加速器39と前記回転ガントリ190と前記照射装置191と前記治療台201とを制御する制御装置191とを備え、
前記加速器39は、
主電磁石40と、
前記主電磁石40の磁極11間へビームを入射するイオン源53と、
前記ビームを加速する高周波を印加する加速電極12,13と、
セプタムコイル43とを備え、
前記ビームは、前記主電磁石40により発生される主磁場によって、前記ビームの加速と共に軌道半径が増加する周回軌道を有し、
前記制御装置191は、前記セプタムコイル43を異なる複数のタイミング信号により運転させる、
粒子線治療システム。」
11:加速間隙、12:ディー電極、13:ダミーディー電極、14:内導体、15:外導体、20:入力カプラ、25:加速高周波電源、30:回転コンデンサ、31:モータ、32:固定電極、33:回転電極、40:主電磁石、41:ヨーク、42:出力コイル、43:セプタムコイル、44:ピーラ磁場領域、45:リジェネレータ磁場領域、46:ビーム用貫通孔、47:高エネルギービーム輸送系、48:コイル用貫通孔、49:真空引き用貫通孔、50:高周波系用貫通孔、52:イオン入射部、53:イオン源、60:クライオスタット、65;セプタムコイル電源、66,66a,66b:冷却流路、67a,67b:ホローコンダクタ、68:補正コイル、69:ホルダ、70:高周波キッカ、71:高周波キッカ電源、80:最大エネルギー軌道、81:最低出射エネルギー軌道、82:ビーム出射経路入口、190:回転ガントリ、191:制御装置、192:照射装置、193:標的位置計測システム、200:患者、201:治療台
Claims (14)
- 加速器と前記加速器を制御する制御装置とを有する粒子線治療システムであって、
前記加速器は、
主電磁石と、
前記主電磁石の磁極間へビームを入射するイオン源と、
前記ビームを加速する高周波を印加する加速電極と、
セプタムコイルとを備え、
前記ビームは、前記主電磁石により発生される主磁場によって、前記ビームの加速と共に軌道半径が増加する周回軌道を有し、
前記制御装置は、前記セプタムコイルを異なる複数のタイミング信号により運転させる、
粒子線治療システム。 - 前記制御装置は、前記セプタムコイルを、前記異なる複数のタイミング信号によりパルス運転させる、
請求項1に記載の粒子線治療システム。 - 前記制御装置は、前記異なる複数のタイミング信号を、ビーム照射対象の患部標的の位置に基づいて設定する、
請求項2に記載の粒子線治療システム。 - 前記制御装置は、
前記患部標的の位置を示す患部標的位置信号と、熱の観点からコイルへの通電を制限するコイル通電制限時間との、両方に基づいて生成されるセプタムコイル励磁可能信号と、前記患部標的位置信号から生成される照射可能信号とを用いるものであって、
前記セプタムコイル励磁可能信号と前記照射可能信号との論理積である出射信号が出力される期間中に、前記ビームの入射と加速および出射を実行する、
請求項3に記載の粒子線治療システム。 - 前記制御装置は、前記セプタムコイル励磁可能信号の立上り時に前記セプタムコイルの励磁を開始させる、
請求項4に記載の粒子線治療システム。 - 前記制御装置は、前記セプタムコイル励磁可能信号の立下り時に前記セプタムコイルの励磁を停止させる、
請求項5に記載の粒子線治療システム。 - 前記制御装置は、前記出射信号の立ち下がり時に前記セプタムコイルの励磁を停止させる、
請求項5に記載の粒子線治療システム。 - 前記セプタムコイルは、cosθ分布でコイル巻き線されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子線治療システム。 - 加速器を有する粒子線治療システムの制御方法であって、
前記粒子線治療システムは、
主電磁石と、前記主電磁石の磁極間へビームを入射するイオン源と、前記ビームを加速する高周波を印加する加速電極と、セプタムコイルとを有する加速器と、
前記加速器を制御する制御装置とを備え、
前記ビームは、前記主電磁石により発生される主磁場によって、前記ビームの加速と共に軌道半径が増加する周回軌道を有し、
前記制御装置により、前記セプタムコイルを異なる複数のタイミング信号により運転させる、
粒子線治療システムの制御方法。 - 前記制御装置により、前記セプタムコイルを、前記異なる複数のタイミング信号によりパルス運転させる、
請求項9に記載の粒子線治療システムの制御方法。 - 前記制御装置により、前記異なる複数のタイミング信号を、ビーム照射対象の患部標的の位置に基づいて設定する、
請求項10に記載の粒子線治療システムの制御方法。 - 前記患部標的の位置を示す患部標的位置信号と熱の観点からコイルへの通電を制限するコイル通電制限時間との両方に基づいて生成されるセプタムコイル励磁可能信号と、前記患部標的位置信号から生成される照射可能信号との、論理積である出射信号が出力される期間中に、前記ビームの入射と加速および出射を実行させる、
請求項11に記載の粒子線治療システムの制御方法。 - 前記セプタムコイル励磁可能信号の立上り時に前記セプタムコイルの励磁を開始させる、
請求項12に記載の粒子線治療システムの制御方法。 - 前記セプタムコイル励磁可能信号の立下り時、または、前記出射信号の立ち下がり時のいずれかで前記セプタムコイルの励磁を停止させる、
請求項13に記載の粒子線治療システムの制御方法。
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