JP2022003099A - ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物 - Google Patents

ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ジクアホソルまたはその塩の薬効を増強しつつ、眼刺激性等の副作用を低減することができる水性眼科用組成物を提供する。【解決手段】ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物。1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウム、K値が90のポリビニルピロリドンおよび硝酸銀を含有する、ドライアイの予防または治療のための水性眼科用組成物。1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび硝酸銀を含有する、ドライアイの予防または治療のための水性眼科用組成物であって、粘度が25℃において3〜30mPa・sである、水性眼科用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物に関する。
ジクアホソルはP,P−ジ(ウリジン−5’)四リン酸またはUp4Uとも呼ばれるプリン受容体アゴニストであり、涙液分泌促進作用を有し、その塩であるジクアホソルナトリウムは「ジクアス(登録商標)点眼液3%」(以下、「ジクアス(登録商標)点眼液」ともいう)としてドライアイの治療に使用されている(特許第3652707号公報(特許文献1)、ジクアス(登録商標)点眼液3% 添付文書(非特許文献1))。ジクアス(登録商標)点眼液の用法用量は、通常、1回1滴、1日6回点眼である(非特許文献1)が、既定の用法用量で使用しても十分な治療効果が得られない重篤なドライアイ患者も存在する。さらに、日常生活において、毎日規則正しく頻回点眼することが困難な状況があるため、点眼アドヒアランス不良により期待通りの効果が得られていない患者も存在している。また、低頻度ではあるが、ジクアス(登録商標)点眼液の使用により眼刺激感等の副作用を訴える患者も存在する(非特許文献1)。
より高い涙液量増加作用を有する新たなドライアイ治療剤を探索する試みとして、ジクアホソルまたはその塩と既存のドライアイ治療剤を併用することが知られている。特開2012−077080号公報(特許文献2)には、ジクアホソルまたはその塩およびドライアイ治療剤であるヒアルロン酸を併用することによって、涙液分泌が相乗的に促進されることが開示されている。特開2015−160826号公報(特許文献3)には、ジクアホソルまたはその塩およびドライアイ治療剤であるレバミピドを併用することによって、涙液分泌が相乗的に促進されることが開示されている。
特許第3652707号公報 特開2012−077080号公報 特開2015−160826号公報
ジクアス(登録商標)点眼液3% 添付文書
ジクアホソルまたはその塩の薬効を増強しつつ、眼刺激性等の副作用を低減することができる水性眼科用組成物を提供することは興味深い課題である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物(以下、「本組成物」ともいう)が、顕著なフルオレセイン染色スコアの改善、すなわち、顕著な角膜上皮障害改善作用を示すことを見出し、ポリビニルピロリドンがジクアホソルまたはその塩の薬効を増強させることを明らかにした。加えて、発明者らは、一定のK値を有するポリビニルピロリドンを含有させることにより一定の粘度を有するに至った本組成物が、既存のジクアス(登録商標)点眼液よりも少ない点眼回数で既存のジクアス(登録商標)点眼液と同等またはそれ以上の治療効果を奏することをも見出した。また、本組成物が高い生細胞活性を示し、角結膜上皮に対する安全性が高いことも見出された。また、本組成物は神経刺激性を示さず、点眼液の差し心地感をより改善し得ることも見出された。さらに、本組成物に銀塩を含有させても、銀塩は安定であり、銀塩を有する本組成物は優れた保存効力を示すことも見出された。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物。
(2)さらに、銀塩を含有する、(1)に記載の水性眼科用組成物。
(3)銀塩が、硝酸銀を含む、(2)に記載の水性眼科用組成物。
(4)ドライアイの予防または治療のための、(1)〜(3)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(5)1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、(4)に記載の水性眼科用組成物。
(6)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、(4)に記載の水性眼科用組成物。
(7)1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、粘度が25℃において1.5〜30mPa・sである、(4)に記載の水性眼科用組成物。
(8)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、粘度が25℃において1.5〜30mPa・sである、(4)に記載の水性眼科用組成物。
(9)1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(5)〜(8)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(10)1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(5)〜(8)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(11)1回1〜2滴、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(9)または(10)に記載の水性眼科用組成物。
(12)(1)に記載の水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
(13)(1)に記載の水性眼科用組成物0.3〜0.5mLがユニットドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
(14)(1)〜(3)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
(15)(1)〜(3)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物5mLがマルチドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(16)(1)に記載の水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
(17)(1)に記載の水性眼科用組成物5mLがPFMD容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
(18)ドライアイの予防または治療のための、(12)〜(17)のいずれか1に記載の眼科医薬用製品。
(19)水性眼科用組成物が1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、(18)に記載の眼科医薬用製品。
(20)水性眼科用組成物が3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、(18)に記載の眼科医薬用製品。
(21)水性組成物が1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、25℃において1.5〜30mPa・sの粘度を有する、(18)に記載の眼科医薬用製品。
(22)水性組成物が3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、25℃において1.5〜30mPa・sの粘度を有する、(18)に記載の眼科医薬用製品。
(23)1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(19)〜(22)のいずれか1に記載の眼科医薬用製品。
(24)1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(19)〜(22)のいずれか1に記載の眼科医薬用製品。
(25)1回1〜2滴、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(23)または(24)に記載の眼科医薬用製品。
(26)K値が17以上のポリビニルピロリドンを含む、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(27)K値が17〜120のポリビニルピロリドンを含む、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(28)K値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含む、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(29)K値が90のポリビニルピロリドンを含む、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(30)前記ポリビニルピロリドンの濃度が、0.001%(w/v)以上である、(1)〜(11)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(31)前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、0.0001〜10%(w/v)である、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(32)前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、0.01〜5%(w/v)である、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(33)前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、1〜5%(w/v)である、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(34)前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、3%(w/v)である、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(35)前記水性眼科用組成物のpHが、6〜8の範囲である、(1)〜(11)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(36)前記水性眼科用組成物のpHが、7〜8の範囲である、(1)〜(11)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(37)前記水性眼科用組成物が無菌水性点眼液である、(1)〜(11)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(38)室温で保存可能である、(1)〜(11)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(39)前記水性眼科用組成物の粘度が25℃において1.5〜30mPa・sである、(1)〜(6)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(40)前記ジクアホソルの塩が、ジクアホソルナトリウムである、(1)〜(4)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物。
(41)1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウム、K値が90のポリビニルピロリドンおよび硝酸銀を含有する、ドライアイの予防または治療のための水性眼科用組成物。
(42)1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび硝酸銀を含有する、ドライアイの予防または治療のための水性眼科用組成物であって、粘度が25℃において3〜30mPa・sである、水性眼科用組成物。
(43)1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(41)または(42)に記載の水性眼科用組成物。
(44)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、1回1〜2滴、1日2〜4回、前記水性眼科用組成物が点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(45)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物が25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、且つ1回1〜2滴、1日2〜4回、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(46)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、1回1〜2滴、1日2〜4回、前記水性眼科用組成物が点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(47)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物が25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、且つ1回1〜2滴、1日2〜4回、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(48)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、1回1〜2滴、1日2〜4回、前記水性眼科用組成物が点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(49)3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物が25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、且つ1回1〜2滴、1日2〜4回、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(50)1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(44)〜(49)のいずれか1に記載の眼科医薬用製品。
(51)さらに、硝酸銀を含有する、(46)または(47)のいずれか1に記載の眼科医薬用製品。
また、本発明は、以下にも関する。
(A−1)ユニットドーズ型点眼容器に充填された水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与することを含むドライアイの治療方法であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有し、前記ユニットドーズ型点眼容器には前記水性眼科用組成物0.1〜1mLが充填されている、ドライアイの治療方法。
(A−2)ユニットドーズ型点眼容器に充填された水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与することを含むドライアイの治療方法であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、前記ユニットドーズ型点眼容器には前記水性眼科用組成物0.1〜1mLが充填されている、ドライアイの治療方法。
(A−3)マルチドーズ型点眼容器に充填された水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与することを含むドライアイの治療方法であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有し、前記マルチドーズ型点眼容器には前記水性眼科用組成物1〜10mLが充填されている、ドライアイの治療方法。
(A−4)マルチドーズ型点眼容器に充填された水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与することを含むドライアイの治療方法であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、前記マルチドーズ型点眼容器には前記水性眼科用組成物1〜10mLが充填されている、ドライアイの治療方法。
(A−5)PFMD容器に充填された水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与することを含むドライアイの治療方法であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有し、前記PFMD容器には前記水性眼科用組成物1〜10mLが充填されている、ドライアイの治療方法。
(A−6)PFMD容器に充填された水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与することを含むドライアイの治療方法であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、且つ25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、前記PFMD容器には前記水性眼科用組成物1〜10mLが充填されている、ドライアイの治療方法。
(A−7)水性眼科用組成物を患者に1回1〜2滴、1日3回点眼投与することを含む、(A−1)〜(A−6)のいずれか1に記載のドライアイの治療方法。
(B−1)ドライアイの予防または治療に用いられる、水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填された眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有し、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(B−2)ドライアイの予防または治療に用いられる、水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填された眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(B−3)ドライアイの予防または治療に用いられる、水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填された眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有し、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(B−4)ドライアイの予防または治療に用いられる、水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填された眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(B−5)ドライアイの予防または治療に用いられる、水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填された眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有し、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(B−6)ドライアイの予防または治療に用いられる、水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填された眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物は3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、且つ25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
(B−7)水性眼科用組成物を1回1〜2滴、1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(B−1)〜(B−6)のいずれか1に記載の眼科医薬用製品。
(C−1)ドライアイの予防または治療のための医薬を製造するための、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物の使用であって、前記水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填され、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、水性眼科用組成物の使用。
(C−2)ドライアイの予防または治療のための医薬を製造するための、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、25℃において3〜30mPa・sの粘度を有する水性眼科用組成物の使用であって、前記水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填され、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、水性眼科用組成物の使用。
(C−3)ドライアイの予防または治療のための医薬を製造するための、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物の使用であって、前記水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填され、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、水性眼科用組成物の使用。
(C−4)ドライアイの予防または治療のための医薬を製造するための、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、25℃において3〜30mPa・sの粘度を有する水性眼科用組成物の使用であって、前記水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填され、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、水性眼科用組成物の使用。
(C−5)ドライアイの予防または治療のための医薬を製造するための、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物の使用であって、前記水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填され、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、水性眼科用組成物の使用。
(C−6)ドライアイの予防または治療のための医薬を製造するための、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有し、且つ25℃において3〜30mPa・sの粘度を有する水性眼科用組成物の使用であって、前記水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填され、1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、水性眼科用組成物の使用。
(C−7)水性眼科用組成物を1回1〜2滴、1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、(C−1))〜(C−6)のいずれか1に記載の水性眼科用組成物の使用。
(D−1)ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物に保存効力を付与する方法であって、前記水性眼科用組成物に、銀塩を含有させることを含む、方法。
(D−2)ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物の保存効力を維持する方法であって、前記水性眼科用組成物に、銀塩を含有させることを含む、方法。
なお、前記本発明の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
本組成物は高い涙液量増加作用を有することから、既存のジクアス(登録商標)点眼液を点眼投与した場合と比較して、より強いドライアイ治療効果が期待される。したがって、本組成物は既存のジクアス(登録商標)点眼液よりも低濃度で同程度またはそれ以上のドライアイ治療効果を発揮することも期待される。また、既存のジクアス(登録商標)点眼液は1日6回点眼する必要があり、点眼アドヒアランス不良により期待通りの効果が得られない患者も存在しているが、一定のK値を有するポリビニルピロリドンを含有することにより一定の粘度を有するに至った本組成物は、既存のジクアス(登録商標)点眼液よりも少ない点眼回数で既存のジクアス(登録商標)点眼液と同等またはそれ以上の治療効果を奏するため、点眼アドヒアランスの向上が期待される。
さらに、本組成物は高い生細胞活性を示し、角結膜上皮に対する安全性が高いこと、神経刺激性を示さず、点眼液の差し心地感を改善し得ることが期待される。
また、本組成物に銀塩を含有させても、銀塩は安定であり、優れた保存効力を示す。
角膜のフルオレセイン染色スコアを示すグラフである。 角膜上皮細胞による細胞障害性試験の結果を示す図である。 ジクアホソルナトリウム添加後の最大蛍光強度(RFUmax)を示す図である。
本発明に関してさらに詳しく説明する。
本明細書において、「(w/v)%」は、本発明の水性眼科用組成物100mL中に含まれる対象成分の質量(g)を意味する。
本明細書において、「PVP」は、ポリビニルピロリドンを意味する。
本明細書において、「HEC」は、ヒドロキシエチルセルロースを意味する。
本明細書において、「CMC−Na」は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを意味する。
本明細書において、「HPMC」は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを意味する。
本明細書において、「CVP」は、カルボキシビニルポリマーを意味する。
本明細書において、「ジクアホソル点眼液」は、ジクアホソルまたはその塩を含有する水性点眼液を意味する。
本明細書において、「ジクアホソルナトリウム点眼液」は、ジクアホソルナトリウムを含有する水性点眼液を意味する。
「ジクアホソル」は、下記化学構造式で示される化合物である。
Figure 2022003099
「ジクアホソルの塩」としては、医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などとの金属塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩;酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸などの有機酸との塩;臭化メチル、ヨウ化メチルなどとの四級アンモニウム塩;臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオンとの塩;アンモニアとの塩;トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミンなどの有機アミンとの塩などが挙げられる。
本発明において、「ジクアホソルまたはその塩」には、ジクアホソル(フリー体)またはその塩の水和物および有機溶媒和物も含まれる。
「ジクアホソルまたはその塩」に、結晶多形および結晶多形群(結晶多形システム)が存在する場合には、それらの結晶多形体および結晶多形群(結晶多形システム)も本発明の範囲に含まれる。ここで、結晶多形群(結晶多形システム)とは、それらの結晶の製造、晶出、保存などの条件および状態により、結晶形が変化する場合の各段階における個々の結晶形およびその過程全体を意味する。
本発明の「ジクアホソルまたはその塩」として好ましいのはジクアホソルのナトリウム塩であり、下記化学構造式で示されるジクアホソル四ナトリウム塩(本明細書中において、単に「ジクアホソルナトリウム」ともいう)が特に好ましい。
Figure 2022003099
ジクアホソルまたはその塩については、特表2001−510484号公報に開示された方法などにより製造することができる。
本組成物はジクアホソルまたはその塩以外の有効成分を含有することもできるし、ジクアホソルまたはその塩を唯一の有効成分として含有することもできる。
本発明において、ジクアホソルまたはその塩の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.0001〜10%(w/v)であることが好ましく、0.001〜5%(w/v)であることがより好ましく、0.01〜5%(w/v)であることがさらに好ましく、0.1〜5%(w/v)であることがよりさらに好ましく、1〜5%(w/v)であることがもっと好ましく、3%(w/v)であることが特に好ましい。より具体的には、0.001%(w/v)、0.002%(w/v)、0.003%(w/v)、0.004%(w/v)、0.005%(w/v)、0.006%(w/v)、0.007%(w/v)、0.008%(w/v)、0.009%(w/v)、0.01%(w/v)、0.02%(w/v)、0.03%(w/v)、0.04%(w/v)、0.05%(w/v)、0.06%(w/v)、0.07%(w/v)、0.08%(w/v)、0.09%(w/v)、0.1%(w/v)、0.2%(w/v)、0.3%(w/v)、0.4%(w/v)、0.5%(w/v)、0.6%(w/v)、0.7%(w/v)、0.8%(w/v)、0.9%(w/v)、1%(w/v)、1.5%(w/v)、2%(w/v)、2.5%(w/v)、3%(w/v)、3.5%(w/v)、4%(w/v)、4.5%(w/v)または5%(w/v)が好ましい。
本発明において、「ポリビニルピロリドン」とは、N−ビニル−2−ピロリドンが重合した高分子化合物であり、一般に粘稠化剤として用いられる。ポリビニルピロリドンは、ポビドンともいう。本発明で使用されるポリビニルピロリドンのK値は、17以上が好ましく、17〜120がより好ましく、25〜120がさらに好ましく、30〜120がよりさらに好ましく、30超ないし120以下がもっと好ましく、40〜120がよりもっと好ましく、60〜120がことさら好ましく、60〜90が特に好ましく、90がより特に好ましい。例えば、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK40、ポリビニルピロリドンK50、ポリビニルピロリドンK60、ポリビニルピロリドンK70、ポリビニルピロリドンK80、ポリビニルピロリドンK85、ポリビニルピロリドンK90、ポリビニルピロリドンK120などが挙げられる。なお、ポリビニルピロリドンのK値は、分子量と相関する粘性特性値で、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式(1)に適用して計算される数値である。
Figure 2022003099
式(1)中、ηrelは、ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度、cは、ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)である。
ここで、K値は、第十七改正日本薬局方「ポビドン」のK値に関する記載に準じて、表示K値の90〜108%であることから、例えば、「K90」とは、上記の式(1)に適用して算出される粘性特性値(K値)が81〜97.2の範囲にあるものをいう。
本発明において、ポリビニルピロリドンは1種単独で使用してもよく、またK値の異なる2種以上のポリビニルピロリドンを任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明において、ポリビニルピロリドンの濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.001%(w/v)以上、好ましくは0.001〜10%(w/v)、より好ましくは0.01〜10%(w/v)、さらに好ましくは0.05〜10%(w/v)、よりさらに好ましくは0.1〜10%(w/v)、ことさら好ましくは0.1〜5%(w/v)、特に好ましくは1〜5%(w/v)であってもよい。
本組成物は、必要に応じて製薬学的に許容される防腐剤をさらに添加することができる。例えば、硝酸銀などの銀塩、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、ホウ酸、ホウ砂、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、塩化ポリドロニウム、塩酸ポリヘキサニドなどが挙げられる。
後述する試験結果から明らかなように、銀塩を含有する本組成物は優れた保存効力を有することから、本発明における好ましい防腐剤は銀塩である。銀塩としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、臭化銀、酸化銀、酢酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、リン酸銀、シュウ酸銀、チオ硫酸銀、プロテイン銀等が挙げられるが、好ましくは硝酸銀である。
本発明において、銀塩の濃度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.00000001〜1%(w/v)の範囲内であれば特に限定されない。具体的には、その下限値としては、例えば、0.00000001%(w/v)以上、0.0000001%(w/v)以上、0.000001%(w/v)以上、0.0000025%(w/v)以上、0.000004%(w/v)以上、0.000005%(w/v)以上、0.000008%(w/v)以上、0.00001%(w/v)以上、0.000016%(w/v)以上、0.000025%(w/v)以上、0.00004%(w/v)以上、0.00005%(w/v)以上、0.00008%(w/v)以上、または0.0001%(w/v)以上が好ましい。また、その上限値としては、例えば、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下、0.01%(w/v)以下、0.005%(w/v)以下、または0.001%(w/v)以下が好ましい。
本組成物には、前述のポリビニルピロリドンや防腐剤以外にも必要に応じて製薬学的に許容される添加剤をさらに添加することができる。例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、イプシロン−アミノカプロン酸などの緩衝化剤;塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、濃グリセリンなどの等張化剤;エデト酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物などの安定化剤;ポリソルベートなどの界面活性剤;アスコルビン酸などの抗酸化剤;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの粘稠化剤(増粘剤ともいう);塩酸、水酸化ナトリウムなどのpH調節剤などを必要に応じて選択し、添加することができる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。なお、本組成物は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの粘稠化剤であるセルロース系高分子を含まなくてもよい。
本組成物のpHは、医薬として許容される範囲であれば特定の値に限定されない。しかしながら、本組成物のpHは、好ましくは8以下、より好ましくは4〜8の範囲、さらに好ましくは5〜8の範囲、よりさらに好ましくは6〜8の範囲、ことさら好ましくは7〜8の範囲、特に好ましくは7の近傍である。より具体的には、例えば、pH6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、および8.0が好ましく、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、および8.0がより好ましい。
本発明において、「眼科用組成物」とは、眼疾患などの予防および/または治療に使用するための組成物のことをいう。その剤型としては、例えば点眼剤、眼軟膏、注射剤、軟膏(例えば、眼瞼皮膚に投与できる)などが挙げられ、好ましくは点眼剤である。ここで点眼剤とは点眼液または点眼薬と同義であり、コンタクトレンズ用点眼剤も点眼剤の定義に含まれる。
本発明において、「水性眼科用組成物」は、水を溶媒(基剤)とする水性の眼科用組成物であり、水性点眼剤であることがより好ましい。
本組成物は、有効成分や添加物の性質、含量などによって、溶解型点眼剤であってもよく、懸濁型点眼剤であってもよい。
本組成物は、無菌水性点眼液であることが好ましい。ここで、無菌とは、微生物が死滅または除去された状態をいい、具体的には、例えば、第十七改正日本薬局方に記載の保存効力試験基準に適合する状態をいう。
本組成物は、室温で保存可能であることが好ましい。
本組成物の粘度は、医薬として許容される範囲であれば特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは1〜500mPa・sの範囲内、より好ましくは1.4超ないし100mPa・s以下の範囲内、さらに好ましくは1.5〜100mPa・sの範囲内、よりさらに好ましくは1.5〜50mPa・sの範囲内、もっと好ましくは1.5〜30mPa・sの範囲内、よりもっと好ましくは1.5〜20mPa・sの範囲内、ことさら好ましくは1.5〜10mPa・sの範囲内、よりことさら好ましくは2〜10mPa・sの範囲内、特に好ましくは3〜10mPa・sの範囲内、より特に好ましくは5〜10mPa・sの範囲内、さらに特に好ましくは7〜10mPa・sの範囲内になるように調整される。また、本組成の粘度は、1.5〜30mPa・sの範囲内、好ましくは2〜30mPa・sの範囲内、より好ましくは3〜30mPa・sの範囲内、さらに好ましくは5〜30mPa・sの範囲内、特に好ましくは7〜30mPa・sの範囲内になるように調整することもできる。本組成物の粘度の下限値としては、例えば、1mPa・s以上、1.5mPa・s以上、2mPa・s以上、3mPa・s以上、5mPa・s以上、または7mPa・s以上が好ましい。また、その上限値としては、例えば、500mPa・s以下、100mPa・s以下、50mPa・s以下、30mPa・s以下、20mPa・s以下、または10mPa・s以下が好ましい。また、本組成物の粘度は、回転粘度計(25℃;50s−1のせん断速度)で測定される。
本組成物の浸透圧は、医薬として許容される範囲であれば特定の値に限定されない。しかしながら、本組成物の浸透圧は、好ましくは2以下、より好ましくは0.5〜2の範囲、さらに好ましくは0.7〜1.6の範囲、よりさらに好ましくは0.8〜1.4の範囲、特に好ましくは0.9〜1.2である。
本組成物は、気密容器、具体的には、点眼容器に充填されて保存することができる。本組成物が充填される点眼容器としては、例えば、「マルチドーズ型点眼容器」または「ユニットドーズ型点眼容器」が挙げられる。
本発明において、「眼科医薬用製品」とは、本組成物が点眼容器に充填された眼科医薬用の製品のことをいう。ここで、「眼科医薬用製品」としては、例えば、点眼剤の製品が挙げられる。なお、本発明の「眼科医薬用製品」における各用語の定義は、「本組成物」における各用語の定義と同様である。
本発明において、「マルチドーズ型点眼容器」とは、容器本体と当該容器本体に装着可能なキャップを備えた点眼容器であって、キャップの開封、再封を自由に行うことができる点眼容器のことをいう。当該マルチドーズ型点眼容器には、通常一定期間使用するために複数回分の点眼液が収容されている。また、本組成物が塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤を含有しない場合、本組成物は、PFMD(Preservative Free Multi Dose)容器に収容されていてもよい。また、マルチドーズ型点眼容器やPFMD容器に充填される本組成物の充填量は、例えば、1〜20mLが好ましく、1〜15mLがより好ましく、1〜10mLがさらに好ましく、2.5〜10mLがよりさらに好ましく、5mLが特に好ましい。
一方、「ユニットドーズ型点眼容器」とは、瓶口部にキャップが融着封止され、使用時に当該キャップと瓶形本体との融着部を破断開封して使用することを目的とした点眼容器のことをいう。当該ユニットドーズ型点眼容器には、一回または数回使用分の点眼液が収容されている。なお、ユニットドーズ型点眼容器に収容される点眼液は塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤を含有しないことが一般的である。また、ユニットドーズ型点眼容器に充填される本組成物の充填量は、例えば、0.1〜1mLが好ましく、0.1〜0.5mLがより好ましく、0.3mL〜0.5mLがさらに好ましく、0.3mLまたは0.4mLが特に好ましい。
本組成物の用法は、剤型、投与すべき患者の症状の軽重、年齢、体重、医師の判断などに応じて適宜変えることができるが、例えば、剤型として点眼剤を選択した場合には、1回量1〜5滴、好ましくは1〜3滴、より好ましくは1〜2滴、特に好ましくは1滴を、1日1〜6回、好ましくは1日1〜4回、より好ましくは1日2〜4回、さらに好ましくは1日3回、毎日〜1週間毎に点眼投与することができる。ここで点眼回数は、より具体的には、例えば、1日6回、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回または1日1回が好ましく、1日6回、1日4回、1日3回または1日2回がより好ましく、1日4回、1日3回または1日2回がさらに好ましく、1日3回が特に好ましい。
また、本組成物中のジクアホソルまたはその塩の濃度が3%(w/v)である場合、1回量1〜5滴、好ましくは1〜3滴、より好ましくは1〜2滴、特に好ましくは1滴を、1日6回、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回または1日1回、好ましくは1日6回、1日4回、1日3回または1日2回、より好ましくは1日4回または1日3回、特に好ましくは1日3回点眼投与することができる。
また、1滴は、好ましくは10〜50μLであり、より好ましくは20〜50μLであり、特に好ましくは40〜50μLである。
本組成物は、ドライアイの予防または治療のために用いられ、ドライアイの予防または治療剤として有効である。ドライアイは「様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視覚異常を伴う疾患」と定義づけられ、乾性角結膜炎(KCS:keratoconjunctivitis sicca)はドライアイに含まれる。本発明においては、ソフトコンタクトレンズ装用を原因とするドライアイ症状の発生もドライアイに含まれるものとする。
ドライアイ症状には、眼乾燥感、眼不快感、眼疲労感、鈍重感、羞明感、眼痛、霧視(かすみ目)などの自覚症状の他、充血、角結膜上皮障害などの他覚所見も含まれる。なお、本発明において、「ドライアイの予防または治療」には、前述の自覚症状および/または他覚所見の改善も含まれる。
ドライアイの病因については不明点も多いが、シェーグレン症候群;先天性無涙腺症;サルコイドーシス;骨髄移植による移植片対宿主病(GVHD:Graft Versus Host Disease);眼類天疱瘡;スティーブンス・ジョンソン症候群;トラコーマなどを原因とする涙器閉塞;糖尿病;角膜屈折矯正手術(LASIK:Laser(−assisted) in Situ Keratomileusis)などを原因とする反射性分泌の低下;マイボーム腺機能不全;眼瞼炎などを原因とする油層減少;眼球突出、兎眼などを原因とする瞬目不全または閉瞼不全;胚細胞からのムチン分泌低下;VDT(Visual Display Terminals)作業などがその原因であると報告されている。
また、本組成物は、ソフトコンタクトレンズが装用されたドライアイ患者の眼に点眼することができる。ここで、ソフトコンタクトレンズが装用されたドライアイ患者の眼に点眼するとは、ドライアイ患者の角膜上にソフトコンタクトレンズが装用された状態で、点眼液が点眼されることを意味する。
以下に、薬理試験の結果および製剤例を示すが、これらは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[試験1]
正常雄性白色ウサギを用いて、本組成物の点眼後における涙液量の経時変化を評価した。
(試料調製方法)
点眼液1:
表1に示す処方表に従い、点眼液1を調製した。すなわち、ジクアホソルナトリウム(9g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.6g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.03g)および塩化ナトリウム(1.35g)を滅菌精製水に溶解して50mLとして6倍濃厚液を得た。また、6倍濃厚液10mLと滅菌精製水5mLを混合後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整し、滅菌精製水を加えて20mLとし、3倍濃厚液を得た。PVP K90(4g)を滅菌精製水に溶解し、全量を100gとした後に高圧蒸気滅菌(121℃20分)し、4.00%(w/w)PVP K90溶液とした。4.00%(w/w)PVP K90溶液6.0gに3倍濃厚液4mLを添加し、滅菌精製水を加え全量12mLに調整後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整することにより、点眼液1を調製した。
点眼液2:
表1に示す処方表に従い、点眼液2を調製した。すなわち、ジクアホソルナトリウム(9g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.6g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.03g)および塩化ナトリウム(1.35g)を滅菌精製水に溶解して50mLとして6倍濃厚液を得た。また、6倍濃厚液10mLと滅菌精製水5mLを混合後、PVP K30(1.2g)を溶解後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整し、滅菌精製水を加えて20mLとし、3倍濃厚液を得た。3倍濃厚液4mLに、滅菌精製水を加え全量12mLに調整後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整することにより、点眼液2を調製した。
点眼液3:
表1に示す処方表に従い、点眼液3を調製した。すなわち、ジクアホソルナトリウム(9g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.6g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.03g)および塩化ナトリウム(1.35g)を滅菌精製水に溶解して50mLとして6倍濃厚液を得た。また、6倍濃厚液10mLと滅菌精製水5mLを混合後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整し、滅菌精製水を加えて20mLとし、3倍濃厚液を得た。ヒドロキシエチルセルロース(15g)を滅菌精製水1500mLに溶解し、高圧蒸気滅菌(121℃20分)し、1.00%(w/w)ヒドロキシエチルセルロース溶液とした。1.00%(w/w)ヒドロキシエチルセルロース溶液3.6gに3倍濃厚液4mLを添加し、滅菌精製水を加え全量12mLに調整後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整することにより、点眼液3を調製した。
点眼液4:
表1に示す処方表に従い、点眼液4を調製した。すなわち、ジクアホソルナトリウム(9g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.6g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.03g)および塩化ナトリウム(1.35g)を滅菌精製水に溶解して50mLとして6倍濃厚液を得た。また、6倍濃厚液10mLと滅菌精製水5mLを混合後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整し、滅菌精製水を加えて20mLとし、3倍濃厚液を得た。3倍濃厚液4mLに、滅菌精製水を加え全量12mLに調整後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整することにより、点眼液4を調製した。
点眼液5:
表1に示す処方表に従い、点眼液5を調製した。すなわち、ジクアホソルナトリウム(18g)、リン酸水素ナトリウム水和物(1.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.06g)を滅菌精製水に溶解して100mLとして6倍濃厚液を得た。また、6倍濃厚液2.5mLと滅菌精製水5mLを混合後、PVP K60 45%水溶液(0.67g)と塩化ナトリウム(0.068g)を溶解後、pH調節剤を適宜添加してpHを7に調整し、滅菌精製水を加えて15mLとすることにより、点眼液5を調製した。
なお、調製した点眼液1〜5の粘度は、第十七改正日本薬局方、2.53 粘度測定法、第2法 回転粘度計法、2.1.3 円すい−平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)に記載の方法に従い測定した。具体的には、Kinexus pro+(Malvern製)を用い、測定条件は以下の通りに設定した。(測定条件)
ローター角度:1°
ローター直径:50mm
試料量:0.57mL
測定温度:25℃
せん断速度:50s−1
測定時間:2秒毎に粘度を測定し、1分間の平均値を粘度とした。
(試験方法および薬物投与方法)
正常雄性白色ウサギ(計16匹32眼)にベノキシール(登録商標)点眼液0.4%(参天製薬株式会社製)を点眼し、局所麻酔を施した。3分後に下眼瞼にシルメル試験紙(あゆみ製薬株式会社製)を挿入し、挿入1分後に抜き取り、濡れた部分の長さ(涙液量)を読み取った。これを前値とした。次に、各点眼液1〜5を1回点眼した(一群4匹8眼、点眼液4のみ12匹24眼)。下眼瞼にシルメル試験紙(あゆみ製薬株式会社製)を挿入する3分前に、ベノキシール(登録商標)点眼液0.4%(参天製薬株式会社製)を点眼し、局所麻酔を施した。各点眼液点眼60分後に、下眼瞼にシルメル試験紙(あゆみ製薬株式会社製)を挿入し、挿入1分後に抜き取り、濡れた部分の長さ(涙液量)を読み取った。
(評価方法)
点眼液点眼前後の涙液量の変化をΔ涙液量(mm/分)として算出した。
(試験結果)
点眼後60分におけるΔ涙液量(mm/分)を表1、2に示す(各値は8眼の平均値。但し、点眼液4のみ24眼の平均値)。また、本組成物の涙液量増加作用を以下の基準に従って評価した。
+++:点眼後60分におけるΔ涙液量(mm/分)が4mm/分以上
++:点眼後60分におけるΔ涙液量(mm/分)が1mm/分以上、4mm/分未満
+:点眼後60分におけるΔ涙液量(mm/分)が0mm/分超乃至1mm/分未満
-:点眼後60分におけるΔ涙液量(mm/分)が0mm/分以下
Figure 2022003099
上記表1の結果に示す通り、PVP K30を含有する点眼液(点眼液2)はそれを含有しない点眼液(点眼液4)と同様に点眼後60分における涙液量増加作用は認められなかった。また、一般にHECは増粘剤としても使用されるが、HECを含有する点眼液(点眼液3)は、比較的高い粘度を有するのにも関わらず、点眼液4と同様に点眼後60分における涙液量増加作用は認められなかった。それに対し、PVP K90を含有する点眼液(点眼液1)は、点眼液2〜4よりも極めて高い涙液量増加作用を示した。
Figure 2022003099
上記表2の結果に示す通り、PVPのK値が60であっても、PVPを含有する点眼液(点眼液5)は、高い涙液量増加作用を有した。
(考察)
ポリビニルピロリドンはジクアホソルまたはその塩を含有する水性組成物の粘度を上昇させ、ジクアホソルまたはその塩の薬効を増強させたが、特に、K値が30超のポリビニルピロリドンを添加する場合、またはポリビニルピロリドン添加により水性組成物の粘度が1.4超となる場合に、ジクアホソルまたはその塩の薬効が顕著に増強されることが示された。
[試験2]
ラット眼窩外涙腺摘出モデルは、ドライアイを原因とする角膜上皮障害の治療効果を評価するモデルとして汎用されており、また、P2Y受容体作動薬の治療効果を評価するモデルとしても利用されている(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 42(1), 96−100 (2001))。当該ドライアイモデルを用いて、本組成物を点眼投与することで角膜上皮障害の改善効果が得られるか否かを検討した。
(ドライアイモデルの作製方法)
雄性SDラットを用い、Fujiharaらの方法(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 42(1), 96−100 (2001))に準じてラット眼窩外涙腺摘出モデルを作製した。すなわち、ソムノペンチルを投与して全身麻酔を施した後、眼窩外涙腺を摘出し、角膜上皮障害を誘発した。
(試料調製方法)
点眼液A:
リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、塩化ナトリウム(0.45g)、硝酸銀(0.00004g)、ポリビニルピロリドンK90(2g)、ジクアホソルナトリウム(3g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液B:
リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、塩化ナトリウム(0.45g)、硝酸銀(0.00004g)、ポリビニルピロリドンK90(4g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液X:
点眼液Xとして、ドライアイ治療薬として使用されている「ジクアス(登録商標)点眼液3%」(参天製薬株式会社製)を使用した。点眼液Xは、水1mL中、有効成分としてジクアホソルナトリウムを30mg含有し、添加物として塩化カリウム、塩化ナトリウム、クロルヘキシジングルコン酸塩液、リン酸水素ナトリウム水和物、エデト酸ナトリウム水和物、pH調節剤を含有する。
なお、調製した点眼液A、BおよびXの粘度は、第十七改正日本薬局方、2.53 粘度測定法、第2法 回転粘度計法、2.1.3 円すい−平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)に記載の方法に従い測定した。具体的には、Kinexus pro+(Malvern製)を用い、測定条件は以下の通りに設定した。
(測定条件)
ローター角度:1°
ローター直径:50mm
試料量:0.57mL
測定温度:25℃
せん断速度:50s−1
測定時間:2秒毎に粘度を測定し、1分間の平均値を粘度とした。
各点眼液の測定した粘度は以下の通りであった。
点眼液A:7.9mPa・s
点眼液B:28.0mPa・s
点眼液X:0.9mPa・s
(試験方法および薬物投与方法)
前記角膜上皮障害を誘発されたラットに対して、点眼液A、点眼液B、点眼液Xを以下のように投与した。
・点眼液A、1日3回投与群:点眼液Aを両眼に1日3回、4週間点眼した。(一群6匹12眼)
・点眼液B、1日3回投与群:点眼液Bを両眼に1日3回、4週間点眼した。(一群6匹12眼)
・点眼液X、1日6回投与群:点眼液Xを両眼に1日6回、4週間点眼した。(一群6匹12眼)
なお、前記角膜上皮障害を誘発していないラットで、4週間無点眼であったもの無点眼群とした(一群4匹8眼)。
点眼開始4週間後、角膜の障害部分をフルオレセインにて染色し、村上らの方法(あたらしい眼科, 21(1), 87−90 (2004))に従い、角膜上皮障害を判定した。すなわち、角膜の上部、中間部および下部のそれぞれについて、フルオレセインによる染色の程度を下記の基準に従ってスコア判定し、それらのスコアの合計の平均値を算出した。なお、0、1、2および3の各スコア間に中間値として0.5を設けた。
(判定基準)
0:染色されていない、
1:染色が疎であり、各点状の染色部分は離れている、
2:染色が中程度であり、点状の染色部分の一部が隣接している、
3:染色が密であり、各点状の染色部分は隣接している。
(結果)
算出された各群のフルオレセイン染色スコアをグラフ化したものを図1に示す。なお、スコアは各8または12例の平均値+標準誤差である。
図1から明らかなように、点眼液Aの1日3回投与群では、点眼開始2週間後から点眼液Bの1日3回投与と比べフルオレセイン染色スコアの改善が認められた。点眼液Xの1日6回投与群では、点眼開始4週後において点眼液Bの1日3回投与と比べフルオレセイン染色スコアの改善が認められた。点眼4週後において、点眼液Aの1日3回投与群と点眼液Xの1日6回投与群は同程度の効果を示した。
(考察)
点眼液Xは「ジクアス(登録商標)点眼液3%」としてドライアイの治療に使用され、その点眼回数は1日6回である。ポリビニルピロリドンK90が添加された本組成物については、ドライアイに対して1日3回点眼で十分な治療効果を有することが明らかとなり、特に点眼開始2週間後においては「ジクアス(登録商標)点眼液3%」の1日6回点眼を凌ぐ治療効果が認められた。したがって、本組成物が既存のジクアス(登録商標)点眼液よりも少ない点眼回数で既存のジクアス(登録商標)点眼液と同等またはそれ以上の治療効果を奏することが示された。特に、試験1の試験結果を勘案すれば、K値が30超のポリビニルピロリドンが添加された本組成物、またはポリビニルピロリドン添加により粘度が1.4超となった本組成物の1日2〜4回点眼が、既存の「ジクアス(登録商標)点眼液3%」の1日6回点眼と同等またはそれ以上の治療効果を奏することが示唆された。
[試験3]
本組成物が角膜上皮細胞に及ぼす影響を検討するため、角膜上皮細胞の細胞障害性に対する試験を行った。
(試料調製方法)
表3に示す処方に従って、点眼液Y、CおよびDを調製した。
点眼液Y:
表3に示す処方に従って、点眼液Yの点眼液を調製した。具体的には、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、塩化ナトリウム(0.45g)、硝酸銀(0.00004g)、ジクアホソルナトリウム(3g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液CおよびD:
表3に示す処方に従って、点眼液Yと同様に点眼液CおよびDの各点眼液を調製した。
なお、調製した点眼液Y、CおよびDの粘度は、第十七改正日本薬局方、2.53 粘度測定法、第2法 回転粘度計法、2.1.3 円すい−平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)に記載の方法に従い測定した。具体的には、Kinexus pro+(Malvern製)を用い、測定条件は以下の通りに設定した。
(測定条件)
ローター角度:1°
ローター直径:50mm
試料量:0.57mL
測定温度:25℃
せん断速度:50s−1
測定時間:2秒毎に粘度を測定し、1分間の平均値を粘度とした。
Figure 2022003099
(試験方法)
SV40不死化ヒト角膜上皮細胞(HCE−T:理化学研究所、バイオリソースセンター、Cell No.:RCB2280)を96ウエルプレートに播種(1×10細胞/ウエル)し、10%FBS含有D−MEM/F12培地で1日培養した。翌日、培地を点眼液Y、点眼液Cまたは点眼液Dに交換した後、前記角膜上皮細胞を5、10および15分間培養した。Cell Proliferation Assay Kit(Promega社製、カタログ番号:G3580)を用いて、生細胞活性(490nmの吸光度に相当する)を測定した。
(結果)
試験結果を図2に示す。
図2から明らかなように、ポリビニルピロリドンを含有させたジクアホソル点眼液(点眼液CおよびD)は、培養15分後においても不死化ヒト角膜上皮細胞において高い生存率を維持した。一方、ポリビニルピロリドンを含有させなかったジクアホソル点眼液(点眼液Y)は、経時的に生存率が低下した。
(考察)
ポリビニルピロリドンを含有させたジクアホソル点眼液は、培養した不死化ヒト角膜上皮細胞において高い生細胞活性を示すことから、角結膜上皮に対する安全性がより高く、ドライアイのような角結膜上皮が不安定な疾患に用いるのに有用である。
[試験4]
PVP共存下でのジクアホソルナトリウムの末梢神経に対する刺激性を検討した。
(試料調製方法)
処方液1:
表4に示す処方表に従い、処方液1を調製した。すなわち、塩化ナトリウム(8.5g)、リン酸水素ナトリウム水和物(2g)を滅菌精製水に溶解してpH調節剤を添加し、pHを7.5に調整後、全量を100mLに調整し、10倍緩衝液を得た。PVP K30(16g)を滅菌精製水に溶解し、全量を200mLに調整し、8%PVP K30水溶液を得た。10倍緩衝液2mL、8%PVP K30水溶液5mLを量り取り、滅菌精製水で全量を20mLに調整し、pH調整剤を用いてpHを7.5に調整し、処方液1を得た。
処方液2:
表4に示す処方表に従い、処方液2を調製した。すなわち、塩化ナトリウム(8.5g)、リン酸水素ナトリウム水和物(2g)を滅菌精製水に溶解してpH調節剤を添加し、pHを7.5に調整後、全量を100mLに調整し、10倍緩衝液を得た。10倍緩衝液2mL、PVP K90(0.4g)を滅菌精製水に溶解し、pH調整剤を用いてpHを7.5に調整し、全量を20mLとして処方液2を得た。
処方液3:
表4に示す処方表に従い、処方液3を調製した。すなわち、塩化ナトリウム(8.5g)、リン酸水素ナトリウム水和物(2g)を滅菌精製水に溶解してpH調節剤を添加し、pHを7.5に調整後、全量を100mLに調整し、10倍緩衝液を得た。10倍緩衝液2mL、コンドロイチン硫酸ナトリウム(0.06g)を滅菌精製水に添加し、pH調整剤を用いてpHを7.5に調整し、溶解を確認して全量を20mLに調整し処方液3を得た。
処方液4〜6:
表4に示す処方表に従い、処方液3と同様に処方液4〜6を調製した。
Figure 2022003099
(試験方法)
培養した末梢神経細胞(ラット後根神経節ニューロン、ロンザジャパンより購入)を、細胞内カルシウム指示蛍光色素を含む緩衝液(FLIPR Calcium 6 Assay Kit、Molecular Devices社)中でインキュベーションした。緩衝液全量の40%を上記の各処方液に置換した。なお、無刺激群および刺激対照群には処方液に代えて緩衝液を同様に処置した。室温下で静置した後、蛍光プレートリーダーを用いてカルシウム指示色素の経時的蛍光測定を開始した。開始から60秒後にジクアホソルナトリウム(終濃度:0.3%)を添加し、蛍光強度の測定を継続した。
(評価方法)
ジクアホソルナトリウム添加直前の蛍光強度(RFU)を100%として、添加後の最大蛍光強度(RFUmax)を算出した。
(試験結果)
結果を図3に示す。刺激対照群および処方液3〜6では、ジクアホソルナトリウム添加後にRFUが上昇し、103.5%以上のRFUmaxを記録した。一方、PVPを含有する処方液1および2の各群ではRFUmaxはすべて101%未満であった。
(考察)
何らかの刺激を受容した末梢神経細胞は活動電位を発生して興奮状態となり、活動電位に変換された刺激の信号はその後、中枢神経系へと伝達される。活動電位とはカルシウムイオンを含む陽イオンの細胞内流入によって生じた細胞膜電位変化である。そのため、神経細胞内カルシウムイオン濃度の上昇は、神経細胞の興奮状態を表す指標として実験的に広く用いられている。末梢神経細胞にジクアホソルナトリウムを曝露すると速やかに細胞内カルシウムイオンの蛍光強度に上昇がみられ、神経細胞がジクアホソルナトリウムを刺激として受容し、興奮状態になったことが示された。比較例としたPVPを含まないポリマー処方液3〜6の各群においても同様の刺激応答が認められ、コンドロイチン硫酸ナトリウム、HPMC、CVPおよびCMC−Naの各ポリマーは、ジクアホソルナトリウムの神経刺激性に対してなんら影響を及ぼさなかった。これに対して、PVPを含む処方液1および2の下では、ジクアホソルナトリウム添加後の神経細胞内カルシウムイオンシグナルの上昇は示されなかった。すなわち、PVPと共存下にあるジクアホソルナトリウムは神経刺激性を示さず、PVPの添加によってジクアホソルナトリウム点眼液の差し心地感が改善されることが示唆された。
[試験5]
本組成物が防腐剤の安定性に及ぼす影響を検討した。
(試料調製方法)
点眼液6:
表5に示す処方に従って、点眼液6を調製した。具体的には、ジクアホソルナトリウム(3g)、クロルヘキシジングルコン酸塩(0.0025g)、ヒドロキシエチルセルロース(0.2g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、塩化ナトリウム(0.45g)を水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液7〜10:
表5に示す処方に従って、点眼液6と同様に点眼液7〜10を調製した。
Figure 2022003099
(試験方法)
点眼液6および7を60℃で、それぞれ4週まで保存したときの、クロルヘキシジングルコン酸塩の含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、その残存率(%)を算出した。点眼液8および9を60℃で、それぞれ2週まで保存したときの、クロルヘキシジングルコン酸塩の含有量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、その残存率(%)を算出した。点眼液10を60℃で4週まで保存したときの、硝酸銀の含有量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)を用いて定量し、その残存率(%)を算出した。
(試験結果)
安定性試験の結果を表6に示す。
Figure 2022003099
(考察)
ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物(本組成物)において、防腐剤としてクロルヘキシジングルコン酸塩を含有させた場合、その残存率は著しく低下した(点眼液7〜9)。一方、防腐剤として銀塩である硝酸銀を含有させた場合、その残存率は高かった(点眼液10)。以上より、本組成物は、クロルヘキシジングルコン酸塩を不安定化させる一方で、銀塩を安定化させることが示された。
[試験6]
銀塩を含有する本組成物の保存効力について検討した。
(試料調製方法)
点眼液11:
表7に示す処方に従って、点眼液11を調製した。具体的には、ジクアホソルナトリウム(3g)、硝酸銀(0.00008g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、ポリビニルピロリドンK30(2g)、濃グリセリン(1.2g)、ヒドロキシエチルセルロース(0.25g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液12〜15:
表7に示す処方に従って、点眼液11と同様に点眼液12〜15の各点眼液を調製した。
Figure 2022003099
(試験方法)
保存効力試験は、第十七改正日本薬局方の保存効力試験法に準拠して行なった。本試験では、試験菌として、Esherichia Coli(E.coli)、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、Staphylococcus aureus(S.aureus)、Candida albicans(C.albicans)およびAspergillus brasiliensis(A.brasiliensis)を用いた。
(試験結果)
試験結果を表8に示す。
Figure 2022003099
なお、表8の試験結果は検査時の生菌数が接種した菌数に比べてどの程度減少したかをlog reductionで示しており、たとえば「1」の場合には、検査時の生菌数が接種菌数の10%に減少したことを示している。
表8に示された通り、銀塩を含有する本組成物は、日本薬局方の保存効力試験基準に適合することが示された。
(考察)
上記の結果から、銀塩を含有する本組成物は優れた保存効力を有することが示された。
[試験7]
正常雄性白色ウサギを用いて、本組成物の点眼後90分における涙液量の経時変化を評価した。
(試料調製方法)
点眼液16:
点眼液16として、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、塩化ナトリウム(0.45g)、硝酸銀(0.00004g)、ポリビニルピロリドンK90(2g)、ジクアホソルナトリウム(3g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液17:
点眼液17として、ドライアイ治療薬として使用されている「ジクアス(登録商標)点眼液3%」(参天製薬株式会社製)を使用した。点眼液17は、水1mL中、有効成分としてジクアホソルナトリウムを30mg含有し、添加物として塩化カリウム、塩化ナトリウム、クロルヘキシジングルコン酸塩液、リン酸水素ナトリウム水和物、エデト酸ナトリウム水和物、pH調節剤を含有する。
(試験方法および薬物投与方法)
正常雄性白色ウサギ(計12匹24眼)にベノキシール(登録商標)点眼液0.4%(参天製薬株式会社製)を点眼し、局所麻酔を施した。3分後に下眼瞼にシルメル試験紙(あゆみ製薬株式会社製)を挿入し、挿入1分後に抜き取り、濡れた部分の長さ(涙液量)を読み取った。これを前値とした。次に、各点眼液16,17を1回点眼した(一群6匹12眼)。下眼瞼にシルメル試験紙(あゆみ製薬株式会社製)を挿入する3分前に、ベノキシール(登録商標)点眼液0.4%(参天製薬株式会社製)を点眼し、局所麻酔を施した。各点眼液点眼90分後に、下眼瞼にシルメル試験紙(あゆみ製薬株式会社製)を挿入し、挿入1分後に抜き取り、濡れた部分の長さ(涙液量)を読み取った。
(評価方法)
点眼液点眼前後の涙液量の変化をΔ涙液量(mm/分)として算出した。
(試験結果)
点眼後90分におけるΔ涙液量(mm/分)を表9に示す(各値は12眼の平均値)。また、本組成物の涙液量増加作用を以下の基準に従って評価した。
+++:点眼後90分におけるΔ涙液量(mm/分)が4mm/分以上
++:点眼後90分におけるΔ涙液量(mm/分)が1mm/分以上、4mm/分未満
+:点眼後90分におけるΔ涙液量(mm/分)が0mm/分超乃至1mm/分未満
-:点眼後90分におけるΔ涙液量(mm/分)が0mm/分以下
Figure 2022003099
上記表9の結果に示す通り、本組成物は点眼後90分においても高い涙液量増加作用を示した。
[試験8]
銀塩を含有する本組成物の保存効力について検討した。
(試料調製方法)
点眼液18:
表10に示す処方に従って、点眼液18を調製した。具体的には、ジクアホソルナトリウム(3g)、硝酸銀(0.00003g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、ポリビニルピロリドンK90(2g)、塩化ナトリウム(0.45g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.0とした。
点眼液19:
表10に示す処方に従って、点眼液18と同様に点眼液19を調製した。
Figure 2022003099
(試験方法)
保存効力試験は、第十七改正日本薬局方の保存効力試験法に準拠して行った。本試験では、試験菌として、Esherichia Coli(E.coli)、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、Staphylococcus aureus(S.aureus)、Candida albicans(C.albicans)およびAspergillus brasiliensis(A.brasiliensis)を用いた。
(試験結果)
試験結果を表11に示す。
Figure 2022003099
なお、表11の試験結果は検査時の生菌数が接種した菌数に比べてどの程度減少したかをlog reductionで示しており、たとえば「1」の場合には、検査時の生菌数が接種菌数の10%に減少したことを示している。
表11に示された通り、EDTAの有無にかかわらず、銀塩を含有する本組成物は、日本薬局方の保存効力試験基準に適合することが示された。
(考察)
上記の結果から、銀塩を含有する本組成物は優れた保存効力を有することが示された。
[試験9]
銀塩を含有する本組成物の保存効力について検討した。
(試料調製方法)
点眼液20:
表12に示す処方に従って、点眼液20を調製した。具体的には、ジクアホソルナトリウム(3g)、硝酸銀(0.00004g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、ポリビニルピロリドンK90(2g)、塩化ナトリウム(0.45g)を滅菌精製水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とした。
点眼液21〜23:
表12に示す処方に従って、点眼液20と同様に点眼液21〜23の各点眼液を調製した。
Figure 2022003099
(試験方法)
保存効力試験は、第十七改正日本薬局方の保存効力試験法に準拠して行った。本試験では、試験菌として、Esherichia Coli(E.coli)、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、Staphylococcus aureus(S.aureus)、Candida albicans(C.albicans)およびAspergillus brasiliensis(A.brasiliensis)を用いた。
(試験結果)
試験結果を表13に示す。
Figure 2022003099
なお、表13の試験結果は検査時の生菌数が接種した菌数に比べてどの程度減少したかをlog reductionで示しており、たとえば「1」の場合には、検査時の生菌数が接種菌数の10%に減少したことを示している。
表13に示された通り、EDTAの有無にかかわらず、銀塩を含有する本組成物は、日本薬局方の保存効力試験基準に適合することが示された。また、銀塩として、硝酸銀の他、リン酸銀や塩化銀を含む点眼液においても日本薬局方の保存効力試験基準に適合することが示された。
(考察)
上記の結果から、銀塩を含有する本組成物は優れた保存効力を有することが示された。
[試験10]
本組成物が防腐剤の安定性に及ぼす影響を検討した。
(試料調製方法)
点眼液24:
ジクアホソルナトリウム(3g)、エデト酸ナトリウム水和物(0.01g)、リン酸水素ナトリウム水和物(0.2g)、塩化ナトリウム(0.45g)、ポリビニルピロリドンK90(2g)、硝酸銀(0.00004g)を水に溶解して100mLとし、pH調節剤(q.s.)を添加して、pH7.5とし、点眼液24を調製した。
(試験方法)
点眼液24を40℃で6か月まで保存したときの硝酸銀の含有量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)を用いて定量し、その残存率(%)を算出した。
(試験結果)
安定性試験の結果を表14に示す。
Figure 2022003099
(考察)
防腐剤として銀塩である硝酸銀を含有させた場合、その残存率は高かった。以上より、本組成物において、銀塩は安定であることが示された。
[製剤例]
製剤例を挙げて本発明の薬剤をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの製剤例にのみ限定されるものではない。
(処方例1:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することもできる。なお、上記点眼液は室温で保存することができる。
(処方例2:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K60 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することもできる。なお、上記点眼液は室温で保存することができる。
(処方例3:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K40 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬品製品を製造することもできる。なお、上記点眼液は室温で保存することができる。
(処方例4:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例5:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K60 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼液は室温で保存することができる。
(処方例6:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K40 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例7:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製液にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼剤を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することもできる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例8:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
ポリビニルピロリドン K60 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することもできる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例9:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
ポリビニルピロリドン K40 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することもできる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例10:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例11:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
ポリビニルピロリドン K60 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例12:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
ポリビニルピロリドン K40 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例13:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
クエン酸水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001〜10g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器またはPFMD容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。また、上記点眼液0.1〜1mLをユニットドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することもできる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
(処方例14:無菌水性点眼液(3%(w/v))
100mL中
ジクアホソルナトリウム 3g
リン酸水素ナトリウム水和物 0.01〜0.5g
塩化ナトリウム 0.01〜1g
クエン酸水和物 0.0001〜0.1g
ポリビニルピロリドン K90 0.0001〜10g
硝酸銀 0.00000001〜1g
pH調節剤 適量
滅菌精製水にジクアホソルナトリウムおよびそれ以外の上記成分を加え、これらを十分に混合することで上記点眼液を調製できる。上記点眼液1〜10mLをマルチドーズ型点眼容器に充填し、眼科医薬用製品を製造することができる。なお、上記点眼剤は室温で保存することができる。
既存のジクアス(登録商標)点眼液は1日6回点眼する必要があるが、既定の用法用量で使用しても十分な治療効果が得られない重篤なドライアイ患者も存在する。さらに、点眼アドヒアランス不良により期待通りの効果が得られない患者も存在している。本組成物は既存のジクアス(登録商標)点眼液より強いドライアイ治療効果を奏する他、点眼回数の低減により点眼アドヒアランスの向上も期待される。また、本組成物は既存のジクアス(登録商標)点眼液よりも低濃度で同程度またはそれ以上のドライアイ治療効果を発揮することも期待される。
さらに、本組成物は高い生細胞活性を示し、角結膜上皮に対する安全性が高いこと、神経刺激性を示さず、点眼液の差し心地感を改善し得ることが期待される。
また、本組成物に銀塩を含有させても、銀塩は安定であり、優れた保存効力を示す。

Claims (51)

  1. ジクアホソルまたはその塩、およびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物。
  2. さらに、銀塩を含有する、請求項1に記載の水性眼科用組成物。
  3. 銀塩が、硝酸銀を含む、請求項2に記載の水性眼科用組成物。
  4. ドライアイの予防または治療のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  5. 1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、請求項4に記載の水性眼科用組成物。
  6. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、請求項4に記載の水性眼科用組成物。
  7. 1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、粘度が25℃において1.5〜30mPa・sである、請求項4に記載の水性眼科用組成物。
  8. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、粘度が25℃において1.5〜30mPa・sである、請求項4に記載の水性眼科用組成物。
  9. 1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  10. 1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  11. 1回1〜2滴、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項9または10に記載の水性眼科用組成物。
  12. 請求項1に記載の水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
  13. 請求項1に記載の水性眼科用組成物0.3〜0.5mLがユニットドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
  14. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
  15. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物5mLがマルチドーズ型点眼容器に充填されていることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  16. 請求項1に記載の水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
  17. 請求項1に記載の水性眼科用組成物5mLがPFMD容器に充填されていることを特徴とする眼科医薬用製品。
  18. ドライアイの予防または治療のための、請求項12〜17のいずれか1項に記載の眼科医薬用製品。
  19. 水性眼科用組成物が1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、請求項18に記載の眼科医薬用製品。
  20. 水性眼科用組成物が3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含有する、請求項18に記載の眼科医薬用製品。
  21. 水性組成物が1〜5%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、25℃において1.5〜30mPa・sの粘度を有する、請求項18に記載の眼科医薬用製品。
  22. 水性組成物が3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムを含有し、25℃において1.5〜30mPa・sの粘度を有する、請求項18に記載の眼科医薬用製品。
  23. 1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか1項に記載の眼科医薬用製品。
  24. 1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか1項に記載の眼科医薬用製品。
  25. 1回1〜2滴、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項23または24に記載の眼科医薬用製品。
  26. K値が17以上のポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  27. K値が17〜120のポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  28. K値が30超ないし120以下のポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  29. K値が90のポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  30. 前記ポリビニルピロリドンの濃度が、0.001%(w/v)以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  31. 前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、0.0001〜10%(w/v)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  32. 前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、0.01〜5%(w/v)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  33. 前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、1〜5%(w/v)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  34. 前記ジクアホソルまたはその塩の濃度が、3%(w/v)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  35. 前記水性眼科用組成物のpHが、6〜8の範囲である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  36. 前記水性眼科用組成物のpHが、7〜8の範囲である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  37. 前記水性眼科用組成物が無菌水性点眼液である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  38. 室温で保存可能である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  39. 前記水性眼科用組成物の粘度が25℃において1.5〜30mPa・sである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  40. 前記ジクアホソルの塩が、ジクアホソルナトリウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性眼科用組成物。
  41. 1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウム、K値が90のポリビニルピロリドンおよび硝酸銀を含有する、ドライアイの予防または治療のための水性眼科用組成物。
  42. 1回1〜2滴、1日2〜4回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび硝酸銀を含有する、ドライアイの予防または治療のための水性眼科用組成物であって、粘度が25℃において3〜30mPa・sである、水性眼科用組成物。
  43. 1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項41または42に記載の水性眼科用組成物。
  44. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、1回1〜2滴、1日2〜4回、前記水性眼科用組成物が点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  45. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物0.1〜1mLがユニットドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物が25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、且つ1回1〜2滴、1日2〜4回、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  46. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、1回1〜2滴、1日2〜4回、前記水性眼科用組成物が点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  47. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがマルチドーズ型点眼容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物が25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、且つ1回1〜2滴、1日2〜4回、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  48. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびK値が90のポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、1回1〜2滴、1日2〜4回、前記水性眼科用組成物が点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  49. 3%(w/v)の濃度のジクアホソルナトリウムおよびポリビニルピロリドンを含有する水性眼科用組成物1〜10mLがPFMD容器に充填された、ドライアイの予防または治療のための眼科医薬用製品であって、前記水性眼科用組成物が25℃において3〜30mPa・sの粘度を有し、且つ1回1〜2滴、1日2〜4回、点眼投与されるように用いられることを特徴とする、眼科医薬用製品。
  50. 1日3回点眼投与されるように用いられることを特徴とする、請求項44〜49のいずれか1項に記載の眼科医薬用製品。
  51. さらに、硝酸銀を含有する、請求項46または47のいずれか1項に記載の眼科医薬用製品。
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