JP2022002857A - 加締め装置および加締め方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リベットの軸部と貫通穴との間に隙間が形成されてリベットにより締結される部位の疲労強度が低下することを防止する。【解決手段】重ねた状態で配置される複数の板状部材310,320に形成される貫通穴330に挿入されるリベット200を変形させて複数の板状部材310,320を固定し、リベット200の頭部220の端面220aに対向した状態で配置される上部アンビル110と、リベット200の軸部210の端面210aに対向した状態で配置される下部アンビル120と、上部アンビル110と下部アンビル120との軸線Xに沿った距離を近づける加圧力を発生してリベット200を塑性変形させる加圧機構130と、を備え、下部アンビル120の加圧面120aは、軸線Xに直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている加締め装置100を提供する。【選択図】図2
Description
本開示は、重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の板状部材を固定する加締め装置および加締め方法に関するものである。
従来から、航空機の胴体パネル等において、2つ以上の部材に貫通穴を形成し、貫通穴に挿入した留め具を変形させて2つ以上の部材を固定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される装置は、留め具のヘッド部と軸部の端部の双方に配置した一対のダイを近接させる力を加えて留め具を塑性変形させる。特許文献1には、カップの形状を有するダイの表面を留め具の尾端に当接させ、尾端を塑性変形させることが開示されている。
貫通穴に挿入された留め具を塑性変形させて2つ以上の部材を固定する場合、留め具と貫通穴との間に隙間が形成されない状態とし、留め具により締結される部位の疲労強度を高くするのが望ましい。発明者らが検討したところ、留め具(リベット)の軸部の尾端(端面)に当接するダイの表面粗さが所定値よりも低いと、留め具を塑性変形させる力が軸部の尾端が径方向に拡大しやすいことがわかった。この場合、貫通穴に収容されない軸部の尾端の径方向への拡大が過大となり、それに伴って貫通穴に収容される軸部の径方向への拡大が過小となってしまう。軸部の径方向への拡大が過小となると、軸部と貫通穴との間に隙間が生じてしまう。留め具のヘッド部を塑性変形させた後に、留め具と貫通穴との間に隙間が存在する場合、留め具により締結される部位の疲労強度が低下してしまう。
本開示は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、リベットの軸部の端面が径方向に過度に塑性変形することを抑制し、軸部と貫通穴との間に隙間が形成されてリベットにより締結される部位の疲労強度が低下することを防止することが可能な加締め装置および加締め方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る加締め装置は、重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定する加締め装置であって、前記リベットは、軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、前記頭部の第1端面に対向した状態で配置される支持面を有する第1加締め部材と、前記軸部の第2端面に対向した状態で配置される加圧面を有する第2加締め部材と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加圧機構と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
すなわち、本開示の一態様に係る加締め装置は、重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定する加締め装置であって、前記リベットは、軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、前記頭部の第1端面に対向した状態で配置される支持面を有する第1加締め部材と、前記軸部の第2端面に対向した状態で配置される加圧面を有する第2加締め部材と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加圧機構と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
本開示の一態様に係る加締め方法は、重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定し、前記リベットは、軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、第1加締め部材の支持面を前記頭部の第1端面に対向した状態で配置する第1配置工程と、第2加締め部材の加圧面を前記軸部の第2端面に対向した状態で配置する第2配置工程と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加締め工程と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
本開示によれば、リベットの軸部の端面が径方向に過度に塑性変形することを抑制し、軸部と貫通穴との間に隙間が形成されてリベットにより締結される部位の疲労強度が低下することを防止することが可能な加締め装置および加締め方法を提供することができる。
以下、本開示の一実施形態に係る加締め装置100について、図面を参照して説明する。
本実施形態の加締め装置100は、重ねた状態で配置される複数の板状部材310,320に形成される貫通穴330に挿入されるリベット200を塑性変形させて複数の板状部材310,320を固定する装置である。複数の板状部材310,320は、例えば、航空機の胴体パネルである。複数の板状部材310,320は、例えば、アルミニウム合金により形成されている。本実施形態では、板状部材を2枚重ねて配置する例について説明するが、板状部材を3枚以上の任意の枚数重ねて配置するようにしてもよい。
本実施形態の加締め装置100は、重ねた状態で配置される複数の板状部材310,320に形成される貫通穴330に挿入されるリベット200を塑性変形させて複数の板状部材310,320を固定する装置である。複数の板状部材310,320は、例えば、航空機の胴体パネルである。複数の板状部材310,320は、例えば、アルミニウム合金により形成されている。本実施形態では、板状部材を2枚重ねて配置する例について説明するが、板状部材を3枚以上の任意の枚数重ねて配置するようにしてもよい。
図1は、本開示の一実施形態に係る加締め装置100を示す断面図であり、リベット200を塑性変形させる前の状態を示す。図2は、本開示の一実施形態に係る加締め装置100を示す断面図であり、リベット200を塑性変形させた後の状態を示す。
図1および図2に示すように、上方に配置される板状部材310は、軸線Xに沿って延びる円筒状の上部支持体410に支持される。下方に配置される板状部材320は、軸線Xに沿って延びる円筒状の下部支持体420に支持される。板状部材310および板状部材320は、上部支持体410および下部支持体420により挟まれた状態で支持されることにより、軸線X上の所定の位置に固定された状態で配置される。ここで、軸線Xは、複数の板状部材310,320が配置される面と直交する方向に延びる直線である。
板状部材310および板状部材320には、軸線Xに沿って延びる貫通穴330が形成されている。貫通穴330は、上部支持体410および下部支持体420により重ねた状態で支持される板状部材310および板状部材320に対して、軸線Xに沿って進退する穴あけ機構(図示略)により形成されたものである。貫通穴330の上方側の端部には、リベット200の頭部220を収容するための座繰り部331が形成されている。
図1および図2に示すように、加締め装置100は、上部アンビル(第1加締め部材)110と、下部アンビル(第2加締め部材)120と、加圧機構130と、を備える。上部アンビル110および下部アンビル120は、例えば、工具鋼等の鉄を主成分とする鉄系金属材料より形成されている。
上部アンビル110は、軸線Xに沿って延びる軸状に形成される部材であり、貫通穴330に挿入されるリベット200の頭部220の端面(第1端面)220aに対向した状態で配置される端面110aを有する。上部アンビル110は、加圧機構130(上部加圧機構131)により軸線Xに沿って移動可能であり、リベット200を塑性変形させる加締め動作を行う際には、リベット200の頭部220の端面220aに接触した状態で配置される。
下部アンビル120は、軸線Xに沿って延びる軸状に形成される部材であり、リベット200の軸部210の端面(第2端面)210aに対向した状態で配置される加圧面120aを有する。下部アンビル120は、加圧機構130(下部加圧機構132)により軸線Xに沿って移動可能であり、リベット200を塑性変形させる加締め動作を行う際には、リベット200の軸部210の端面210aに接触した状態で配置される。
加圧機構130は、上部アンビル110と下部アンビル120との軸線Xに沿った距離を近づける加圧力を発生してリベット200を塑性変形させる機構である。加圧機構130は、上部アンビル110を軸線Xに沿って移動させる上部加圧機構131と、下部アンビル120を軸線Xに沿って移動させる下部加圧機構132と、を有する。
加圧機構130は、上部アンビル110の端面110aをリベット200の頭部220の端面220aに接触させた状態で、下部アンビル120を図1に示す軸部210から離間した位置から図2に示す軸部210に接触する位置まで移動させる。これにより、加圧機構130は、リベット200に加圧力を加えて塑性変形させる。図2示すように、リベットの軸部210の端面210a側は、加圧機構130により加えられた加圧力により塑性変形し、貫通穴330の内径よりも大きい外径を有する略円筒状に塑性変形する。
本実施形態の加締め装置100が実行する加締め方法は、以下の工程を実行する。
第1に、図1に示すように、上部アンビル110の支持面112をリベット200の頭部220の端面220aに対向し、かつ接触した状態で配置する(第1配置工程)。
第2に、図1に示すように、下部アンビル120の加圧面120aを軸部210の端面210aに対向した状態で配置する(第2配置工程)。
第1に、図1に示すように、上部アンビル110の支持面112をリベット200の頭部220の端面220aに対向し、かつ接触した状態で配置する(第1配置工程)。
第2に、図1に示すように、下部アンビル120の加圧面120aを軸部210の端面210aに対向した状態で配置する(第2配置工程)。
第3に、図2に示すように、加圧機構130により、上部アンビル110と下部アンビル120との軸線Xに沿った距離を近づける加圧力を発生してリベット200を塑性変形させる(加締め工程)。
以上の工程により、加締め装置100は、重ねた状態で配置される複数の板状部材310,320に形成される貫通穴330に挿入されるリベット200を塑性変形させて複数の板状部材310,320を固定する。
以上の工程により、加締め装置100は、重ねた状態で配置される複数の板状部材310,320に形成される貫通穴330に挿入されるリベット200を塑性変形させて複数の板状部材310,320を固定する。
次に、本実施形態の加締め装置100が塑性変形させるリベット200について、図面を参照して説明する。図3は、塑性変形する前のリベット200を示す断面図である。図4は、図3に示すリベット200の頭部220の端面220aを軸線Xに沿ってみた平面図である。
リベット200は、板状部材310および板状部材320に形成される貫通穴330に挿入され、塑性変形することにより板状部材310および板状部材320を固定する部材である。リベット200は、例えば、アルミニウム合金により形成されている。
図3に示すように、リベット200は、軸部210と、頭部220と、を有する。軸部210は、軸線Xに沿って延びるとともに軸線Xに直交する径方向RDに外径(第1外径)D1を有する。頭部220は、軸部210に連結されるとともに径方向RDに外径D1よりも大きい外径(第2外径)D2を有する。外径D1は、例えば、5〜8mmである。
図3および図4に示すように、頭部220の端面220aには、平坦面221と、傾斜面222と、連結面223と、が形成されている。平坦面221は、軸線Xに直交するとともに軸線Xを中心に円形かつ平坦状に形成される面である。傾斜面222は、平坦面221よりも径方向RDの外周側に配置される。傾斜面222は、軸線X回りに円環状に形成され、径方向RDの内周側から外周側に向けて平坦面221に対する軸線X方向の突出長さL1が一定の勾配で漸次減少する。
連結面223は、軸線X回りに環状に形成され、平坦面221と傾斜面222とを連結する面である。連結面223は、平坦面221よりも径方向RDの外周側に配置され、傾斜面222よりも径方向RDの内周側に配置される。連結面223は、径方向RDの内周側から外周側に向けて平坦面221に対する軸線X方向の突出長さが一定の勾配で漸次増加する。図3に示すように、軸線Xに直交する面に対する傾斜面222の傾斜角度はαであり、軸線X回りの周方向の各位置で一定となっている。
次に、本実施形態の加締め装置100が有する上部アンビル110の形状について、図面を参照して説明する。上部アンビル110の形状は、リベット200の頭部220を過度に塑性変形させることがないように、後述する式(1)−(3)を満たすものとする。図5は、上部アンビル110の断面を示す部分拡大図である。図6は、上部アンビル110の端面110aを軸線Xに沿ってみた平面図である。
図5および図6に示すように、上部アンビル110の端面110aには、底面111と、支持面112と、が形成されている。底面111は、軸線Xに直交するとともに軸線Xを中心に円形かつ平坦状に形成される。支持面112は、加締め動作を実行する際にリベット200の傾斜面222を支持する面であり、底面111よりも径方向RDの外周側に配置される。支持面112は、軸線X回りに円環状に形成され、径方向RDの内周側から外周側に向けて底面111に対する軸線X方向の突出長さL2が一定の勾配で漸次増加する。
図5に示すように、軸線Xに直交する面に対する支持面112の傾斜角度はβであり、軸線X回りの周方向の各位置で一定となっている。軸線Xに直交する面に対する支持面112の傾斜角度βは、軸線Xに直交する面に対する傾斜面222の傾斜角度αよりも所定角度Aだけ小さい。すなわち、傾斜角度αおよび傾斜角度βは、以下の式(1)を満たすように設定される。
β=α−A (1)
ここで、所定角度Aは、0.5度以上かつ5.0度以下に設定される。また、好ましくは、2.0度以上かつ2.5度以下に設定される。
β=α−A (1)
ここで、所定角度Aは、0.5度以上かつ5.0度以下に設定される。また、好ましくは、2.0度以上かつ2.5度以下に設定される。
図5に示すように、上部アンビル110の支持面112の径方向RDの内周側端部から支持面112の径方向RDの外周側端部までの軸線X方向の距離は、Lp2となっている。一方、図3に示すように、リベット200の傾斜面222の径方向RDの内周側端部から傾斜面222の径方向RDの外周側端部までの軸線X方向の距離は、Lp1となっている。ここで、距離Lp2および距離Lp1は、以下の式(2)を満たすように設定される。
Lp2=Lp1・B (2)
Lp2=Lp1・B (2)
ここで、係数Bは0.1以上かつ1.0以下に設定される。より好ましくは、0.2以上かつ0.25以下に設定される。すなわち、距離Lp2は、距離Lp1の0.1倍以上かつ1.0倍以下に設定される。より好ましくは、距離Lp2は、距離Lp1の0.2倍以上かつ0.25倍以下に設定される。
図5に示すように、支持面112の内周側端部の軸線Xからの径方向の距離は、D3となっている。一方、図3に示すように、傾斜面222の内周側端部の軸線Xからの径方向RDの距離は、D4となっている。ここで、距離D3および距離D4は、以下の式(3)を満たすように設定される。すなわち、距離D3と距離D4は、一致するように設定される。
D4=D3 (3)
D4=D3 (3)
なお、以上の説明において、上部アンビル110の端面110aの形状は、式(1)−(3)の全てを満たすものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、上部アンビル110の端面110aの形状は、式(1)および式(2)を満たし、式(3)を満たさない形状としてもよい。
図7は、リベット200の軸部210の端面210aを軸線Xに沿ってみた平面図である。図7において、実線はリベット200が塑性変形する前の状態を示し、破線はリベット200が塑性変形した後の状態を示す。塑性変形する前のリベット200の軸部210の端面210aの外径はD1となっている。一方、塑性変形した後のリベット200の軸部210の端面210aの外径はD5となっている。外径D5は、外径D1よりも大きく、径方向RDに沿って拡大した軸部210の領域のうち最も外径が大きい部分の軸線Xからの距離である。
図8は、下部アンビル120の加圧面120aを軸線Xに沿ってみた平面図である。加圧面120aは、軸線Xに直交する面に沿って平坦状に形成される。加圧面120aは、軸線Xを中心に外径D6を有する円形に形成される。外径D6は、外径D5よりも大きい。
加圧面120aには、加締め動作を行う際に軸部210の端面210aが径方向RDに沿って過度に拡大しないようにするために、粗面化処理が施されている。粗面化処理としては、例えば、サンディング処理またはブラスト処理が用いられる。サンディング処理は、砥粒を保持するディスクやベルト等の基材を用いて被研磨体の表面に凹凸形状を形成する処理である。ブラスト処理とは、砥粒を噴射して被噴射体の表面に凹凸形状を形成する処理である。
本実施形態において、加圧面120aには、算術平均粗さRaが32μインチ以上かつ500μインチ以下となるように粗面化処理が施されている。
次に、本実施形態の加締め装置100によりリベット200を塑性変形させた場合と、比較例の加締め装置(図示略)によりリベット200を塑性変形させた場合の実験結果の比較をする。図9は、本実施形態の加締め装置100によりリベット200を塑性変形させた場合のリベット200および板状部材310,320の断面を示す図である。図10は、比較例の加締め装置によりリベット200を塑性変形させた場合のリベット200および板状部材310,320の断面を示す図である。図9に示す板状部材310,320の厚さ(軸線X方向の長さ)と、図10に示す板状部材310,320の厚さは同一である。
本実施形態の加締め装置100と比較例の加締め装置とは、下部アンビル120の加圧面120aの表面粗さが異なる。比較例の加締め装置の下部アンビル120の加圧面120aは、粗面化処理が施されておらず、算術平均粗さRaが16μインチ以下である。
図9に示すように、本実施形態の加締め装置100により塑性変形させたリベット200は、軸部210と貫通穴330との間に隙間が形成されず、頭部220と座繰り部331との間に隙間が形成されない。ここで、隙間とは、例えば、0.01mm以上の間隔をいう。
一方、図10に示すように、比較例の加締め装置により塑性変形させたリベット200は、軸部210と貫通穴330との間、および頭部220と座繰り部331との間に隙間CLが形成されている。図10で隙間CLが形成されるのは、比較例の下部アンビル120では、加圧面120aに粗面化処理が施されておらず、リベット200の軸部210の端面210aが径方向RDに過度に塑性変形したためと考えられる。比較例の加締め装置により塑性変形させたリベット200は、貫通穴330に挿入されない端部において、外径D5よりも大きい外径D7まで拡大する。
比較例の加締め装置では、リベット200の軸部210の端面210aに伝達された加圧力のうち、軸部210の端面210aの径方向RDへの拡大に用いられる加圧力が、本実施形態の加締め装置よりも多くなったと考えられる。また、比較例の加締め装置では、リベット200の軸部210の端面210aに伝達された加圧力のうち、貫通穴330に挿入される軸部210や頭部220の径方向RDへの拡大に用いられる加圧力が、本実施形態の加締め装置よりも少なくなったためと考えられる。
以上説明した各実施形態に記載の加締め装置(100)は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る加締め装置は、重ねた状態で配置される複数の板状部材(310,320)に形成される貫通穴(330)に挿入されるリベット(200)を変形させて複数の前記板状部材を固定する加締め装置(100)であって、前記リベットは、軸線(X)に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向(RD)に第1外径(D1)を有する軸部(210)と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径(D2)を有する頭部(220)と、を有し、前記頭部の第1端面(220a)に対向した状態で配置される支持面(110a)を有する第1加締め部材(110)と、前記軸部の第2端面(210a)に対向した状態で配置される加圧面(120a)を有する第2加締め部材(120)と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加圧機構(130,140)と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
本開示の一態様に係る加締め装置は、重ねた状態で配置される複数の板状部材(310,320)に形成される貫通穴(330)に挿入されるリベット(200)を変形させて複数の前記板状部材を固定する加締め装置(100)であって、前記リベットは、軸線(X)に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向(RD)に第1外径(D1)を有する軸部(210)と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径(D2)を有する頭部(220)と、を有し、前記頭部の第1端面(220a)に対向した状態で配置される支持面(110a)を有する第1加締め部材(110)と、前記軸部の第2端面(210a)に対向した状態で配置される加圧面(120a)を有する第2加締め部材(120)と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加圧機構(130,140)と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
本開示に係る加締め装置によれば、複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットの頭部の第1端面に第1加締め部材の支持面を接触させ、リベットの軸部の第2端面に第2加締め部材を接触させ、加圧機構が発生する加圧力によりリベットを塑性変形させることで、複数の板状部材をリベットにより固定することができる。
リベットの軸部の第2端面と対向して配置される第2加締め部材の加圧面は、軸線に直交する平坦状に形成されるとともに粗面化処理が施されている。粗面化処理が施されているため、加圧面と接触する第2端面が、加圧面に対して径方向に移動することが抑制される。これにより、加圧面と接触した軸部の第2端面が径方向に拡大して過度に塑性変形することが抑制され、軸部と貫通穴との間に隙間が形成されてリベットにより締結される部位の疲労強度が低下することが防止される。
本開示の一態様に係る加締め装置において、前記加圧面は、算術平均粗さRaが32μインチ以上かつ500μインチ以下となるように前記粗面化処理が施されているのが好ましい。
加圧面の算術平均粗さRaを32μインチ以上とすることで、リベットの軸部の第2端面が径方向に過度に塑性変形することを抑制することができる。また、加圧面の算術平均粗さRaを500μインチ以下とすることで、塑性変形後のリベットの第2端面の表面粗さが過度に大きくなることを抑制することができる。
加圧面の算術平均粗さRaを32μインチ以上とすることで、リベットの軸部の第2端面が径方向に過度に塑性変形することを抑制することができる。また、加圧面の算術平均粗さRaを500μインチ以下とすることで、塑性変形後のリベットの第2端面の表面粗さが過度に大きくなることを抑制することができる。
本開示の一態様に係る加締め装置において、前記粗面化処理は、サンディング処理またはブラスト処理であるのが好ましい。
サンディング処理またはブラスト処理を施すことで、第2加締め部材の加圧面を適切に粗面化することができる。
サンディング処理またはブラスト処理を施すことで、第2加締め部材の加圧面を適切に粗面化することができる。
本開示の一態様に係る加締め装置において、前記リベットは、アルミニウム合金により形成されており、前記第2加締め部材は、鉄を主成分とする金属材料により形成されているのが好ましい。
このようにすることで、アルミニウム合金により形成されるリベットの軸部を、金属材料により形成される第2加締め部材の粗面化処理された加圧面により適切に塑性変形させることができる。
このようにすることで、アルミニウム合金により形成されるリベットの軸部を、金属材料により形成される第2加締め部材の粗面化処理された加圧面により適切に塑性変形させることができる。
以上説明した各実施形態に記載の加締め方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る加締め方法は、重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定し、前記リベットは、軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、第1加締め部材の支持面を前記頭部の第1端面に対向した状態で配置する第1配置工程と、第2加締め部材の加圧面を前記軸部の第2端面に対向した状態で配置する第2配置工程と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加締め工程と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
本開示の一態様に係る加締め方法は、重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定し、前記リベットは、軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、第1加締め部材の支持面を前記頭部の第1端面に対向した状態で配置する第1配置工程と、第2加締め部材の加圧面を前記軸部の第2端面に対向した状態で配置する第2配置工程と、前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加締め工程と、を備え、前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている。
本開示に係る加締め方法によれば、複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットの頭部の第1端面に第1加締め部材の支持面を接触させ、リベットの軸部の第2端面に第2加締め部材を接触させ、加締め工程が発生する加圧力によりリベットを塑性変形させることで、複数の板状部材をリベットにより固定することができる。
リベットの軸部の第2端面と対向して配置される第2加締め部材の加圧面は、軸線に直交する平坦状に形成されるとともに粗面化処理が施されている。粗面化処理が施されているため、加圧面と接触する第2端面が、加圧面に対して径方向に移動することが抑制される。これにより、加圧面と接触した軸部の第2端面が径方向に拡大して過度に塑性変形することが抑制され、軸部と貫通穴との間に隙間が形成されてリベットにより締結される部位の疲労強度が低下することが防止される。
本開示の一態様に係る加締め方法において、前記加圧面は、算術平均粗さRaが32μインチ以上かつ500μインチ以下となるように前記粗面化処理が施されているのが好ましい。
加圧面の算術平均粗さRaを32μインチ以上とすることで、リベットの軸部の第2端面が径方向に過度に塑性変形することを抑制することができる。また、加圧面の算術平均粗さRaを500μインチ以下とすることで、塑性変形後のリベットの第2端面の表面粗さが過度に大きくなることを抑制することができる。
加圧面の算術平均粗さRaを32μインチ以上とすることで、リベットの軸部の第2端面が径方向に過度に塑性変形することを抑制することができる。また、加圧面の算術平均粗さRaを500μインチ以下とすることで、塑性変形後のリベットの第2端面の表面粗さが過度に大きくなることを抑制することができる。
本開示の一態様に係る加締め方法において、前記粗面化処理は、サンディング処理またはブラスト処理であるのが好ましい。
サンディング処理またはブラスト処理を施すことで、第2加締め部材の加圧面を適切に粗面化することができる。
サンディング処理またはブラスト処理を施すことで、第2加締め部材の加圧面を適切に粗面化することができる。
本開示の一態様に係る加締め方法において、前記リベットは、アルミニウム合金により形成されており、前記第2加締め部材は、鉄を主成分とする金属材料により形成されているのが好ましい。
このようにすることで、アルミニウム合金により形成されるリベットの軸部を、金属材料により形成される第2加締め部材の粗面化処理された加圧面により適切に塑性変形させることができる。
このようにすることで、アルミニウム合金により形成されるリベットの軸部を、金属材料により形成される第2加締め部材の粗面化処理された加圧面により適切に塑性変形させることができる。
100 加締め装置
110 上部アンビル(第1加締め部材)
110a 端面
111 底面
112 支持面
120 下部アンビル(第2加締め部材)
120a 加圧面
130 加圧機構
131 上部加圧機構
132 下部加圧機構
200 リベット
210 軸部
210a 端面(第2端面)
220 頭部
220a 端面(第1端面)
221 平坦面
222 傾斜面
223 連結面
310,320 板状部材
330 貫通穴
331 座繰り部
410 上部支持体
420 下部支持体
X 軸線
α,β 傾斜角度
110 上部アンビル(第1加締め部材)
110a 端面
111 底面
112 支持面
120 下部アンビル(第2加締め部材)
120a 加圧面
130 加圧機構
131 上部加圧機構
132 下部加圧機構
200 リベット
210 軸部
210a 端面(第2端面)
220 頭部
220a 端面(第1端面)
221 平坦面
222 傾斜面
223 連結面
310,320 板状部材
330 貫通穴
331 座繰り部
410 上部支持体
420 下部支持体
X 軸線
α,β 傾斜角度
Claims (8)
- 重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定する加締め装置であって、
前記リベットは、
軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、
前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、
前記頭部の第1端面に対向した状態で配置される支持面を有する第1加締め部材と、
前記軸部の第2端面に対向した状態で配置される加圧面を有する第2加締め部材と、
前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加圧機構と、を備え、
前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている加締め装置。 - 前記加圧面は、算術平均粗さRaが32μインチ以上かつ500μインチ以下となるように前記粗面化処理が施されている請求項1に記載の加締め装置。
- 前記粗面化処理は、サンディング処理またはブラスト処理である請求項1または請求項2に記載の加締め装置。
- 前記リベットは、アルミニウム合金により形成されており、
前記第2加締め部材は、鉄を主成分とする金属材料により形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加締め装置。 - 重ねた状態で配置される複数の板状部材に形成される貫通穴に挿入されるリベットを変形させて複数の前記板状部材を固定する加締め方法であって、
前記リベットは、
軸線に沿って延びるとともに前記軸線に直交する径方向に第1外径を有する軸部と、
前記軸部に連結されるとともに前記径方向に前記第1外径よりも大きい第2外径を有する頭部と、を有し、
第1加締め部材の支持面を前記頭部の第1端面に対向した状態で配置する第1配置工程と、
第2加締め部材の加圧面を前記軸部の第2端面に対向した状態で配置する第2配置工程と、
前記第1加締め部材と前記第2加締め部材との前記軸線に沿った距離を近づける加圧力を発生して前記リベットを塑性変形させる加締め工程と、を備え、
前記第2加締め部材の前記加圧面は、前記軸線に直交する平坦状に形成されるとともに、粗面化処理が施されている加締め方法。 - 前記加圧面は、算術平均粗さRaが32μインチ以上かつ500μインチ以下となるように前記粗面化処理が施されている請求項5に記載の加締め方法。
- 前記粗面化処理は、サンディング処理またはブラスト処理である請求項6に記載の加締め方法。
- 前記リベットは、アルミニウム合金により形成されており、
前記第2加締め部材は、鉄を主成分とする金属材料により形成されている請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の加締め方法。
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DE102019116392A1 (de) * | 2019-06-17 | 2020-12-17 | Profil Verbindungstechnik Gmbh & Co. Kg | Verfahren zum Befestigen eines Befestigungselements an einem Werkstück |
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2020
- 2020-06-23 JP JP2020107883A patent/JP2022002857A/ja active Pending
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2021
- 2021-06-21 US US17/352,694 patent/US20210394251A1/en active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7408207B1 (ja) | 2022-10-21 | 2024-01-05 | かがつう株式会社 | 固着された構造体、固着方法及び固着装置 |
WO2024084689A1 (ja) * | 2022-10-21 | 2024-04-25 | かがつう株式会社 | 固着された構造体、固着方法及び固着装置 |
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US20210394251A1 (en) | 2021-12-23 |
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