JP2022002456A - 医用画像診断装置用電源装置および電源装置 - Google Patents

医用画像診断装置用電源装置および電源装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022002456A
JP2022002456A JP2020107167A JP2020107167A JP2022002456A JP 2022002456 A JP2022002456 A JP 2022002456A JP 2020107167 A JP2020107167 A JP 2020107167A JP 2020107167 A JP2020107167 A JP 2020107167A JP 2022002456 A JP2022002456 A JP 2022002456A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vce
power supply
sat
igbt
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020107167A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7455006B2 (ja
Inventor
光一 山川
Koichi Yamakawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Medical Systems Corp
Original Assignee
Canon Medical Systems Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Medical Systems Corp filed Critical Canon Medical Systems Corp
Priority to JP2020107167A priority Critical patent/JP7455006B2/ja
Publication of JP2022002456A publication Critical patent/JP2022002456A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7455006B2 publication Critical patent/JP7455006B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Power Conversion In General (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Abstract

【課題】電源装置におけるパワーデバイスの破損予測を簡便に行うこと。【解決手段】本実施形態に係る医用画像診断装置電源装置は、パワーデバイスと、測定部と、判定部と、通知部と、を備える。パワーデバイスは、医用画像診断装置における制御部から出力されたドライブ信号に従って駆動する。測定部は、前記パワーデバイスのコレクタエミッタ間電圧に相当するVce−sat値を測定する。判定部は、前記Vce−sat値が基準値を超えているか否かを判定する。通知部は、前記Vce−sat値が前記基準値を超えた場合、前記パワーデバイスの駆動を制限する制限指令と所定の警告とを前記制御部へ出力する。【選択図】図2

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置用電源装置および電源装置に関する。
従来、大電流出力のインバータ回路等を備えた電源装置において、インバータ回路のコア部品であるパワーデバイスとして、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と呼ぶ)が用いられる。IGBTは、インバータ回路におけるスイッチング動作を行う際に大きなエネルギーを制御する。IGBTにおいて熱疲労に起因する半田クラック等が原因となり熱抵抗が増加した場合、IGBTは、破損に至る事がある。IGBTが破損すれば電源装置のみならず当該電源装置を用いたシステムに対しても大きな影響を及ぼすことがある。このため、IGBTの素子破損を事前に検知することが望まれている。
IGBTの素子破損を予測することは困難であり、例えば、破損予測のための温度監視をはじめとした複雑なモニタリングや、IGBTを含む回路動作に基づく異常判定条件の定義などが必要となる。このため、IGBTの破損予測は、IGBTの異常を検知する回路の複雑化を招き、容易では無かった。
特開2017−195714号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、電源装置におけるIGBTの破損予測を簡便に行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
本実施形態に係る医用画像診断装置電源装置は、IGBTと、測定部と、判定部と、通知部と、を備える。IGBTは、医用画像診断装置における制御部から出力されたドライブ信号に従って駆動する。測定部は、前記IGBTのコレクタエミッタ間電圧(以下、Vce−sat値と呼ぶ)を測定する。判定部は、前記Vce−sat値が基準値を超えているか否かを判定する。通知部は、前記Vce−sat値が前記基準値を超えた場合、前記IGBTの駆動を制限する制限指令と所定の警告とを前記制御部へ出力する。
図1は、実施形態に係る医用画像診断装置用電源装置の機能ブロックの構成の一例を示す図。 図2は、実施形態に係り、医用画像診断装置用電源装置におけるハードウェア構成の一例を示す図。 図3は、実施形態に係り、コレクタ電流の電流波形に対するサンプリングタイミングの一例を示す図。 図4は、実施形態に係り、ジャンクション温度が25℃における代表特性曲線と、第1のコレクタ電流に対応するVce−sat値との一例を示す図。 図5は、実施形態に係り、ジャンクション温度が25℃における代表特性曲線と、複数のコレクタ電流に対応する複数のVce−sat値との一例を示す図。 図6は、実施形態に係り、第1のコレクタ電流に関して、ジャンクション温度が25℃の代表特性曲線におけるVce−sat値と、ジャンクション温度が150℃の代表特性曲線におけるVce−sat値とによる電圧差異を示す図。 図7は、実施形態に係り、第2乃至第nのコレクタ電流にそれぞれ対応するVce−sat値による複数の電圧差異を示す図。 図8は、実施形態に係り、複数のコレクタ電流に対応する複数のVce−sat値の初期値を示す曲線である初期校正カーブの一例を示す図。 図9は、実施形態に係り、IGBTの異常の原因の一例を示す図。 図10は、実施形態に係り、ジャンクション温度が25℃から150℃に変化した場合において、所定のコレクタ電流に対するVce−sat値の変化の一例を示す図。 図11は、実施形態に係り、異常検知処理の手順の一例を示すフローチャート。
以下、図面を参照しながら、医用画像診断装置に用いられる電源装置(以下、医用画像診断装置用電源装置と呼ぶ)について説明する。医用画像診断装置は、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置などである。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る医用画像診断装置用電源装置1の機能ブロックの構成の一例を示す図である。医用画像診断装置用電源装置1は、パワーデバイス11と、制限部13と、生成部15と、測定部17と、記憶部19と、算出部21と、判定部23と、通知部25とを備える。パワーデバイス11と、制限部13と、生成部15と、測定部17と、判定部23と、通知部25とについて、図2を参照して、医用画像診断装置用電源装置1に関するハードウェア構成を説明する。
図2は、医用画像診断装置用電源装置1におけるハードウェア構成の一例を示す図である。医用画像診断装置用電源装置1におけるハードウェア構成は、Vce−sat監視回路10を有する。Vce−sat監視回路10は、パワーデバイスに相当するIGBT111におけるエミッタ115とコレクタ117との間の電圧を示すVce−sat値を監視する。
パワーデバイス11は、ハードウェア構成として、例えば、IGBT111により実現される。IGBT111は、電力供給先に対する電力制御を用途として用いられる。IGBT111は、医用画像診断装置における制御部から出力されたドライブ信号に従って駆動する。IGBT111におけるゲート113は、ドライブ制限回路131の出力端子に電気的に接続される。
なお、ドライブ制限回路131が省略される場合、ゲート113は、医用画像診断装置における制御部に電気的に接続される。IGBT111におけるエミッタ115は、電力供給先(例えば、磁気共鳴イメージング装置における傾斜磁場電源や、X線コンピュータ断層撮影装置またはX線診断装置における高電圧発生装置など)の電源入力端子に、電気的に接続される。IGBT111におけるコレクタ117は、電力供給元(例えば、商用電源から供給される交流電源や、それを整流した直流電源など)に、電気的に接続される。IGBT111は、既存の半導体素子なため、説明は省略する。なお、パワーデバイス11のハードウェアとしての実現は、IGBT111に限定されず、他のパワートランジスタなどにより実現されてもよい。
制限部13は、医用画像診断装置における制御部から出力されたドライブ信号の調整により、パワーデバイス11の駆動を制限する。制限部13は、ハードウェア構成として、ドライブ制限回路131により実現される。ドライブ制限回路131は、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor:以下、DSPと呼ぶDSP)などのマイクロプロセッサにより実現される。なお、ドライブ制限回路131は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)などにより実現されてもよい。
ドライブ制限回路131は、通知部25から出力された制限指令に基づいて、制御部から出力されたドライブ信号を調整する。ドライブ信号の調整は、パワーデバイス11の駆動の制限であって、具体的には、IGBT111の縮退運転に対応する。IGBT111の縮退運転は、例えば、医用画像診断装置に対するフェイルソフト(fail soft)に関するものであって、IGBT111に対する負荷を軽減させてIGBT111を駆動することに対応する。なお、ドライブ制限回路131は、制限指令の受信を契機として、IGBT111の駆動を停止するように、ドライブ信号を調整してもよい。
具体的には、ドライブ制限回路131は、異常通知回路251から出力された制限指令の受信を契機として、例えば、ドライブ信号のデューティー(Duty)比の低減(すなわちON時間の低減)とドライブ信号の振幅の低減とのうち少なくとも一つを実行する。ドライブ制限回路131は、デューティー比の低減とドライブ信号の振幅の低減とのうち少なくとも一つにより調整されたドライブ信号を、IGBT111のゲート113に出力する。なお、ドライブ制限回路131により実行される機能は、医用画像診断装置における制御部において、IGBT111のドライブ信号を生成する回路により実行されてもよい。このとき、図1に示す制限部13すなわち図2に示すドライブ制限回路131は、省略されてもよい。
生成部15は、ハードウェア構成として、サンプリングタイミング生成回路151により実現される。例えば、サンプリングタイミング生成回路151は、DSPや、ASIC、FPGA、CPLD、SPLDなどにより実現される。サンプリングタイミング生成回路151は、IGBT111のコレクタ117におけるコレクタ電流Icの出力指令に基づいて、測定部17によるVce−sat値の測定に関するサンプリングタイミングを生成する。
図3は、コレクタ電流Icの電流波形に対するサンプリングタイミングの一例を示す図である。図3に示すように、サンプリングタイミングは、コレクタ電流Icが例えば300Aで一定となる期間(サンプリングウィンドウ)に相当する。図3に示すように、サンプリングウィンドウは、例えば、コレクタ電流Icが数msecから数十msecに亘って一定となる期間に相当する。これにより、コレクタ電流Icが一定となる期間において、Vce−sat値が測定される。
測定部17は、ハードウェア構成として、Vce−sat測定回路171により実現される。例えば、Vce−sat測定回路171は、DSPや、ASIC、FPGA、CPLD、SPLDなどにより実現される。Vce−sat測定回路171は、IGBT111における電気的特性を監視する。電気的特性は、例えば、コレクタ電流Icと、コレクタ電圧Vcと、エミッタ電圧Veとの関係であって、IGBT111の温度に依存する。Vce−sat測定回路171は、IGBT111におけるコレクタ117とエミッタ115との間におけるVce−sat値を測定する。
具体的には、Vce−sat測定回路171は、サンプリングタイミング生成回路151から出力されたサンプリング指令、すなわちコレクタ電流Icが一定となるサンプリングタイミングに従って、当該サンプリングタイミングにおけるコレクタ電流Icに対応するVce−sat値を測定する。より詳細には、Vce−sat測定回路171は、サンプリングタイミングにおいて、IGBT111におけるコレクタ電圧Vcを測定する。また、Vce−sat測定回路171は、サンプリングタイミングにおいて、IGBT111におけるエミッタ電圧Veを測定する。Vce−sat測定回路171は、コレクタ電圧Vcとエミッタ電圧Veとの差分を計算することにより、Vce−sat値を測定する。Vce−sat測定回路171は、測定されたVce−sat値を、記憶部19と判定部23とに出力する。
記憶部19は、ハードウェア構成として、種々の情報を記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリにより実現される。なお、記憶部19のハードウェア構成は、これらのメモリに限定されず、他の記憶装置により実現されてもよい。記憶部19は、少なくとも一つの基準値(すなわち閾値や初期値)を記憶する。なお、基準値は、コレクタ117における複数のコレクタ電流各々に応じて予め設定され、記憶部19に記憶されてもよい。記憶部19は、複数のコレクタ電流に対する複数の基準値を、対応表、例えばルックアップテーブル(Look Up Table)形式で記憶する。また、記憶部19は、IGBT111の使用開始時点から継続的に測定された複数のVce−sat値を、測定日時とともにログとして記憶する。記憶部19は、ユーザにより予め設定された所定の期間を記憶する。
算出部21は、ハードウェア構成として、例えば、DSPや、ASIC、FPGA、CPLD、SPLDなどにより実現される。算出部21は、測定日時とともに記憶された複数のVce−sat値を用いて、Vce−sat値の経時変化を算出する。算出部21は、算出された経時変化に基づいて、IGBT111の破損予測を算出する。例えば、算出部21は、Vce−sat値の増加傾向とIGBT111のパワーサイクルデータとを組み合わせることで、より長い期間でのIGBT111の破損予測を算出する。算出部21は、算出された破損予測や経時変化を通知部25へ出力する。なお、算出された破損予測は、破損予測の算出日時とともに、記憶部19に記憶されてもよい。算出された破損予測は、本医用画像診断装置用電源装置1のメンテナンス時に予防保全の為の情報として利用される。なお、本医用画像診断装置用電源装置1において、算出されたIGBT111の破損予測による予防保全が必要とされない場合、本算出部21やIGBT111の破損予測に関する各種処理等は省略可能となる。
判定部23は、ハードウェア構成として、異常判定回路231により実現される。例えば、異常判定回路231は、DSPや、ASIC、FPGA、CPLD、SPLDなどにより実現される。異常判定回路231は、自身の不図示のメモリに記憶された基準値と、測定部17により測定されたVce−sat値とを用いて、IGBT111の異常を判定する。例えば、異常判定回路231は、測定されたVce−sat値が基準値を超えているか否かを判定する。なお、基準値は、記憶部19に記憶されてもよい。基準値は、コレクタ電流Icに対するVce−sat値に関する基準を示す値である。基準値は、閾値と初期値とのうち少なくとも一つに対応する。
閾値(異常判定閾値)は、IGBT111の破損に関する限界を示す限界値であって、例えば、IGBT111における定格上限温度条件(例えば、ジャンクション温度Tj=150℃)における電流定格(コレクタ電流)に対応するVce−sat値に相当する。すなわち、閾値は、パワーデバイス11の破損に関する上限温度における電流定格に対応するコレクタ117とエミッタ115との間の電圧に相当する。以下、まず初期値について説明し、次いで、異常判定回路231によるIGBT111の異常の判定について説明する。
(初期値)
IGBTの電気的特性は、温度に依存し、電圧と電流との相関を示すVce−sat特性等の曲線(素子特性カーブ)で表される。IGBTの電気的特性(データシート)は、IGBTを製造するメーカーから提供される。メーカーから提供される当該電気的特性は、メーカーにより製造された複数のIGBTの代表値を示すものである。すなわち、IGBTの電気的特性は、個体ごとにばらつく。このため、初期値は、代表値を示す電気的特性(以下、代表特性曲線と呼ぶ)を、医用画像診断装置用電源装置1に搭載されたIGBT111に合わせて校正(キャリブレーション)したもの(以下、初期校正カーブと呼ぶ)に対応する。初期値は、IGBT111の経年劣化の基準を示す値に対応する。初期値は、医用画像診断装置用電源装置1の製造の段階において実装されるIGBT111における電圧、電流、温度の相関を測定することにより、導出される。以下、初期値の導出の手順について説明する。
代表特性曲線に関する温度(ジャンクション温度)に関して、一定の電流出力条件で、Vce−sat値が測定される。電流出力条件とは、例えば、IGBT111におえるコレクタ電流Icの値に対応する。Vce−sat値の測定において、IGBT111のケース温度Tcも合わせて測定される。測定されたケース温度Tcと、電流出力条件と、測定されたVce−sat値(または、コレクタ電圧Vcおよびエミッタ電圧Ve)とに基づいて、所定の計算式によりジャンクション温度Tjが算出される。ケース温度Tcからジャンクション温度Tjを算出する当該計算式としては、既存の計算式が適宜利用可能である。以下、説明を具体的にするために、初期値の導出においてVce−sat値の測定に関するジャンクション温度Tjは、25℃であるものとして説明するが、これに限定されない。
計算されたジャンクション温度と代表特性曲線に関する温度とが解離していた場合、電流出力条件を維持して、別途外部の熱源によりIGBT111の温度を操作して、Vce−sat値を再度測定してもよい。
図4は、ジャンクション温度Tjが25℃における代表特性曲線25CCと、第1のコレクタ電流Ic1に対応するVce−sat値Vce−sat1との一例を示す図である。図4に示すように、第1のコレクタ電流Ic1は、例えば100Aであって、ジャンクション温度Tjが25℃となる条件の時に、サンプリングタイミングに基づきVce−sat値が測定される。図4におけるVce−sat(代表値)は、代表特性曲線25CCにおいて、第1のコレクタ電流Ic1が100Aの時のVce−sat値を示している。ジャンクション温度Tjが25℃における代表特性曲線25CCは、IGBT111の破損に関する上限温度より低い所定の温度におけるIGBT111の第1の電気的特性に相当する。
電流出力条件すなわちIGBT111におけるコレクタ電流Icを変化させて、ジャンクション温度Tjが25℃におけるn個(nは2以上の自然数)のVce−sat値が測定される。図5は、ジャンクション温度Tjが25℃における代表特性曲線25CCと、複数のコレクタ電流Ic1〜Icnに対応する複数のVce−sat値Vce−sat1〜Vce−satnとの一例を示す図である。図5に示すように、第1乃至第nのコレクタ電流Ic1〜Icnに対応する複数のVce−sat値Vce−sat1〜Vce−satnのプロットから、ジャンクション温度が25℃に関するIGBT111特有の電気的特性を示す曲線(以下、固有曲線と呼ぶ)25UCが得られる。
IGBT111に関してメーカーから提供された複数のジャンクション温度に対応する複数の代表特性曲線のうち、代表特性曲線25CCと、IGBT111の使用限界のジャンクション温度(以下、上限温度と呼ぶ)の代表特性曲線とに基づいて、複数のコレクタ電流各々におけるVce−sat値の差(以下、電圧差異と呼ぶ)が計算される。上限温度の代表特性曲線は、上限温度におけるIGBT111の第2の電気的特性に相当する。以下、説明を具体的にするために、上限温度は、150℃であるものとする。すなわち、上限温度150℃と所定の温度25℃とに関するIGBT111の電気的特性を示す2つの代表特性曲線において同一のコレクタ電流Icに対するVce−sat値の差が、複数のコレクタ電流各々に応じて計算される。
図6は、第1のコレクタ電流Ic1に関して、代表特性曲線25CCにおけるVce−sat値@25CCと、代表特性曲線150CCにおけるVce−sat値@150CCとによる電圧差異ΔVce−sat1を示す図である。図7は、第2〜第nのコレクタ電流Ic2〜Icnにそれぞれ対応する電圧差異ΔVce−sat2〜ΔVce−satnを示す図である。図6および図7に示すように、複数のコレクタ電流各々に関して電圧差異ΔVce−satが計算される。
次いで、第1の電気的特性25CCと第2の電気的特性150CCとの対応関係と、IGBT111の使用前において所定の温度での測定により得られたIGBT111の第3の電気的特性(固有曲線25UC)と、に基づいて初期値が設定される。具体的には、固有曲線25UCにおける複数のコレクタ電流(第1〜第nのコレクタ電流Ic1〜Icn)に対応する複数のVce−sat値(Vce−sat1〜Vce−satn)に、当該複数のコレクタ電流に対応する複数の電圧差異ΔVce−sat1〜ΔVce−satnをそれぞれ加算することにより、上限温度における各電流出力条件すなわち各コレクタ電流に応じたVce−sat値が得られる。第1の電気的特性25CCと第2の電気的特性150CCとの対応関係は、電圧差異ΔVce−sat1〜ΔVce−satnに相当する。上記により得られたコレクタエミッタ間電圧が、初期値に相当する。換言すれば、得られた複数の初期値は、医用画像診断装置用電源装置1に実装されたIGBT111に関して、上限温度における複数のコレクタ電流各々に対応するVce−sat値である。
図8は、複数のコレクタ電流に対応する複数の初期値を示す曲線である初期校正カーブ150UCの一例を示す図である。図8に示すように、第1のコレクタ電流Ic1に対応する第1の初期値IVce−sat1は、固有曲線25UCにおける第1のコレクタ電流Ic1に対応するコレクタエミッタ間電圧Vce−sat1に電圧差異ΔVce−sat1を加えることで得られる。また、第2のコレクタ電流Ic2に対応する第2の初期値IVce−sat2は、固有曲線25UCにおける第2のコレクタ電流Ic2に対応するコレクタエミッタ間電圧Vce−sat2に電圧差異ΔVce−sat2を加えることで得られる。第3のコレクタ電流Ic3に対応する第3の初期値IVce−sat3は、固有曲線25UCにおける第3のコレクタ電流Ic3に対応するコレクタエミッタ間電圧Vce−sat3に電圧差異ΔVce−sat3を加えることで得られる。以下同様にして、第nのコレクタ電流Icnに対応する第nの初期値IVce−satnは、固有曲線25UCにおける第nのコレクタ電流Icnに対応するコレクタエミッタ間電圧Vce−satnに電圧差異ΔVce−satnを加えることで得られる。
図8に示す初期校正カーブ150UCは、それぞれのIGBTの個体差を、医用画像診断装置用電源装置1に実装されたIGBT111に関して、代表特性曲線150CCに反映させた曲線に相当する。換言すれば、初期校正カーブ150UCは、医用画像診断装置用電源装置1に実装されたIGBT111の実測に基づいて、代表特性曲線150CCを校正した曲線に対応する。なお、上記説明では、異なる電流出力条件(コレクタ電流)でプロットされた固有曲線を用いて、初期校正カーブ150UCが生成されたが、一つの電流出力条件に限定して初期値を算出する場合、電流出力条件(コレクタ電流)を変更して測定およびプロットを行う処理は省略することが可能である。以下、IGBT111の異常の判定について説明する。
異常判定回路231は、Vce−sat測定回路171により測定されたVce−sat値が基準値を超えているか否かを判定する。異常判定回路231は、Vce−sat値が基準値を超えている場合、測定に関するIGBT111に異常が発生していると判定する。このとき、異常判定回路231は、IGBT111に対する異常の検知(以下、異常検知と呼ぶ)を、通知部25に出力する。
例えば、異常判定回路231は、閾値を基準値として用いて、Vce−sat値が閾値を超えている場合、測定に関するIGBT111に異常が発生していると判定する。また、異常判定回路231は、初期値の所定数倍を基準値として用いて、Vce−sat値が初期値の所定数倍を超えている場合、測定に関するIGBT111に異常が発生していると判定する。所定数倍は、例えば、2乃至3倍から10倍程度である。以下、IGBT111に関する異常について説明する。
図9は、IGBT111の異常の原因の一例を示す図である。ここでは説明を簡単にするため、ベースプレート上の絶縁基板等は省略している。図9に示すように、IGBT111への入出力各々は、例えば、図9に示すボンディングワイヤ119を介して外部の金属層120などと、電気的に接続される。IGBT111は、例えば、半田122を介してベースプレート124に設置される。ベースプレート124には、IGBT111において発生した熱が、半田122を介して伝達される。ベースプレート124は、IGBT111で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を有する。
IGBT111とベースプレート124間の熱伝達経路上の素材は、一般的に線膨張係数が異なる。このため、IGBT111とベースプレート124との接合部に相当する半田122には、IGBT111の動作に伴う熱疲労(金属疲労)により、図9に示すようなクラック126が生じることがある。クラック126は、IGBT111とベースプレート124との間における熱抵抗を増加させる。クラック126の発生による熱抵抗の増加に伴って、ジャンクション温度TjなどのIGBT111の温度は上昇する。
図10は、ジャンクション温度Tjが25℃から150℃に変化した場合において、所定のコレクタ電流Icpに対するVce−sat値の変化の一例を示す図である。すなわち、図10は、IGBT111に関する熱抵抗増加によるVce−sat値の特性の変化を示している。図10などに示すように、IGBT111の電気的特性(代表特性曲線25CCおよび代表特性曲線150CC)は、IGBT111の温度、例えばジャンクション温度Tjに依存する。すなわち、電流出力(コレクタ電流Ic)に対するVce−sat値の関係はIGBT111の温度条件により異なる。このため、同一の電流出力条件すなわち同一のコレクタ電流IcでIGBT111が動作するとき、IGBT111の経時変化により電流出力であるコレクタ電流IcとVce−sat値との関係が変化した(崩れた)場合、IGBT111の温度条件に変化が生じたことになる。
測定部17により測定されたVce−sat値をメーカーから提供された代表特性曲線に照らし合わせた場合、例としてコレクタ電流IcとVce−sat値との関係がIGBT111の動作条件における設計上想定されるジャンクション温度Tj=80℃相当の代表特性曲線と整合していれば、IGBT111の使用に問題は無い。しかしながら、IGBT111の経時変化により設計の想定と乖離したジャンクション温度Tj=150℃相当の代表特性曲線にVce−sat値が位置する場合、異常判定回路231は、IGBT111に何かしらの温度上昇の増加が発生したと判断することができる。換言すれば、上述のように代表特性曲線には電圧、電流、温度の相関が有ることから、半田122におけるクラック126の発生等による熱抵抗増加に起因するIGBT111の温度上昇が、電気的特性に性能劣化方向として現れる。このため、IGBT111の電気的特性の監視により、電圧、電流、ジャンクション温度の関係が変化したことを契機として、IGBT111の異常の兆候やIGBT111の特性の劣化を捉える事が可能となる。
これらのことから、IGBT111の温度が25℃から150℃に上昇した場合、図10に示すように、Vce−sat値は、Vce−sat p1からVce−sat p2に増加する。このため、異常判定回路231は、一定のコレクタ電流Icに対して、Vce−sat値と基準値(閾値及び初期値)とを比較することにより、IGBT111の異常を検知することができる。なお、図2における異常判定回路231内の判断等については、後程詳述する。
なお、IGBT111の異常は、クラック126に起因する熱破損に関するものに限定されず、例えば、ベースプレート124などの放熱板に接続された放熱回路の不具合に起因するものなどであってもよい。放熱回路は、例えば、空冷機器や水冷機器などの冷却機に搭載される。空冷機器の不具合は、例えば、冷却ファンに関するベアリングの損傷などである。また、水冷機器の不具合は、例えば、冷媒液の循環に関する配管の詰まりなどである。また、放熱板と放熱回路の接続に用いられるTIM(Thermal Interface Material)の不具合として、例えば、放熱グリスの分離による劣化なども含まれる。本実施形態によれば、冷却機器の不具合を、IGBT111の異常として検知することも可能である。
異常判定回路231は、記憶部19に記憶されたVce−sat値が所定の期間に亘って増加するか否かを判定する。同一のコレクタ電流Icにおいて、Vce−sat値の増加が所定の期間に亘って継続的に増加することは、少なくとも所定の期間に亘ってIGBT111の劣化が継続していることを示している。このため、異常判定回路231は、所定の期間に亘ってVce−sat値が継続して増加していることを契機として、IGBT111の異常を検知する。
通知部25は、測定されたVce−sat値が基準値を超えた場合、すなわち判定部23からの異常検知の受信を契機として、パワーデバイス11の駆動を制限する制限指令と所定の警告とを制御部へ出力する。通知部25は、ハードウェア構成として、異常通知回路251により実現される。異常通知回路251は、例えば、例えば、DSPや、ASIC、FPGA、CPLD、SPLDなどにより実現される。異常通知回路251は、測定されたVce−sat値が基準値を超えた場合、制限指令をドライブ制限回路131に出力する。
また、異常通知回路251は、記憶部19に記憶されたVce−sat値が所定の期間に亘って増加する場合、制限指令と警告とを制御部へ出力してもよい。異常通知回路251は、算出部21により算出された破損予測を制御部に出力してもよい。なお、異常通知回路251は、警告および破損予測などを、本医用画像診断装置用電源装置1が搭載された医用画像診断装置におけるディスプレイに標示させてもよいし、当該医用画像診断装置のメンテナンスを行うサービスセンターに送信してもよい。
以上が、本実施形態に係る医用画像診断装置用電源装置1に関する概要説明である。以下、医用画像診断装置用電源装置1において実行されるIGBT111の異常を検知する処理の手順(以下、異常検知処理と呼ぶ)について説明する。図11は、異常検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。図11に示す異常検知処理の実行に先立って、IGBT111に関する代表特性曲線の校正、すなわち初期値や初期校正カーブ150UCの導出は、予め実行されているものとする。異常検知処理は、医用画像診断装置用電源装置1が搭載された医用画像診断装置の起動時や、当該医用画像診断装置の動作中におけるIGBT111の状態を監視するときに、実行される。
(異常検知処理)
(ステップS111)
初期値や初期校正カーブ150UCに関するコレクタ電流の出力指令が医用画像診断装置の制御部から出力されると、サンプリングタイミング生成回路151は、コレクタ電流Icの出力指令に基づいて、サンプリングウィンドウ、すなわちサンプリングタイミングを設定する。サンプリングタイミング生成回路151は、設定されたサンプリングタイミングを、Vce−sat測定回路171に出力する。
(ステップS112)
Vce−sat測定回路171は、設定されたサンプリングタイミングで、Vce−sat値を測定する。Vce−sat測定回路171は、測定されたVce−sat値を、記憶部19および異常判定回路231に出力する。このとき、異常判定回路231は、基準値(閾値及び初期値)を、記憶部19から読み出す。なお、基準値の読み出しは、以下のステップS113以前であれば、どのタイミングで実行されてもよい。なお、本ステップにおいて、Vce−sat値の増加傾向から、算出部21によりIGBT111の破損予測が算出され、算出された破損予測が異常通知回路251により制御部等に出力されてもよい。
(ステップS113)
異常判定回路231は、測定されたVce−sat値と、出力指令におけるコレクタ電流の値に対応する閾値とを比較する。測定されたVce−sat値が閾値以上であれば(ステップS113のYES)、異常判定回路231は、異常検知を、図2に示すように異常通知回路251に出力する。測定されたVce−sat値が閾値未満であれば、(ステップS113のNO)、ステップS114の処理が実行される。
(ステップS114)
異常判定回路231は、測定されたVce−sat値と、出力指令におけるコレクタ電流の値に対応する初期値の所定数倍とを比較する。測定されたVce−sat値が初期値より十分大きい場合、すなわち測定されたVce−sat値が初期値の所定数倍より大きければ(ステップS114のYES)、異常判定回路231は、異常検知を、図2に示すように異常通知回路251に出力する。測定されたVce−sat値が初期値より十分大きくない場合、すなわち測定されたVce−sat値が初期値の所定数倍より小さければ(ステップS114のNO)、ステップS115の処理が実行される。
(ステップS115)
異常判定回路231は、Vce−sat値が所定の期間に亘って増加するか否かを判定する。換言すれば、異常判定回路231は、Vce−sat値のログを用いて、IGBT111の自己診断を行う。異常判定回路231による自己診断は、Vce−sat値の変化(増加)が継続するようならIGBT111の異常の兆候として検知することに相当する。本ステップにおける判定処理は、IGBT111の経年劣化を判定することに相当する。Vce−sat値が所定の期間に亘って増加する場合(ステップS115のYES)、ステップS116の処理が実行される。
Vce−sat値が所定の期間に亘って増加してない場合(ステップS115のNO)、ステップS111の処理が実行される。すなわち、ステップS113乃至S115の判定結果がいずれもNOである場合、ステップS111の処理が繰り返される。これにより、IGBT111の状態(異常または正常)は、常時監視されることとなる。なお、本ステップの処理は、ステップS113やステップS114の処理の前段に実行されてもよい。
(ステップS116)
ステップS113乃至S115においてYESである場合、すなわち異常検知が異常判定回路231から出力されると、異常通知回路251は、制限指令をドライブ制限回路131と制御部とに出力する。加えて、異常通知回路251は、所定の警告を制御部へ出力する。
(ステップS117)
ドライブ制限回路131は、縮退運転でIGBT111を駆動する。なお、縮退運転は、本医用画像診断装置用電源装置1が搭載された医用画像診断装置の制御部により実行されてもよい。また、本ステップS117において、IGBT111の駆動を停止することも可能である。
本実施形態における技術的思想の変形例として、本医用画像診断装置用電源装置1が搭載された医用画像診断装置の動作中において、サンプリングウィンドウの条件が成立せずサンプリングタイミングが設定できない場合、ステップS112において、常時Vce−sat値を測定してもよい。このとき、本変形例によれば、電流出力条件に関わらず、ステップS113からステップS115のうち少なくとも一つの処理を常時実行することができる。また、本実施形態における技術的思想の他の変形例として、IGBT111の異常を判定するステップS113からステップS115の処理のうち少なくとも一つが実行されてもよい。
以上に述べた実施形態に係る医用画像診断装置用電源装置1によれば、医用画像診断装置における制御部から出力されたドライブ信号に従ってパワーデバイス11を駆動し、パワーデバイス11のコレクタ117とエミッタ115との間のVce−sat値を測定し、コレクタ117におけるコレクタ電流Icに対するVce−sat値に関する基準値をVce−sat値が超えているか否かを判定し、Vce−sat値が基準値を超えた場合、パワーデバイス11の駆動を制限する制限指令と所定の警告とを医用画像診断装置の制御部へ出力する。また、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、パワーデバイス11の破損に関する上限温度における電流定格に対応する電圧値(閾値)を、複数のコレクタ電流各々に応じて、基準値として用いる。
これにより、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、インバータ回路で使用しているパワーデバイスであるIGBT111の電気的特性の熱依存性と基準値とを利用して、熱によるIGBT111の異常の有無を、IGBT111の電気的特性の変化の観点から判定する。すなわち、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111の熱疲労に起因する半田122のクラック126等による熱抵抗増加と、当該熱抵抗の増加に伴うIGBT111の温度上昇によるIGBT111の電気的特性の変化を検知する事で、IGBT111の破損予測を行うことができる。
これらのことから、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、メーカーの提供による素子特性カーブを利用することで、監視するのは電圧、電流等の電気的特性のみとし、IGBT111の温度監視等は不要となる。これにより、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111の温度を計測する温度センサー、およびIGBT111の温度監視や回路動作に基づく異常判定条件の定義等が不要であり、簡便な回路構成で、IGBT111の電気的特性を監視するので、主眼であるIGBT111の破損の兆候を検知することができる。加えて、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、異常警告を受けた上位ホストからの新たな指令により、受動的にIGBT111の縮退、停止制御を行うことができる。
以上のことから、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111の破損予測により突発的な破損による本医用画像診断装置用電源装置1のダメージが回避可能となることで、医用画像診断装置に関するシステムへのインパクトが低減・回避可能となり、全体的な信頼性を向上させることができる。さらに、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、回路構成を複雑化することなく、部品点数が少ない簡単な回路構成で、異常検知処理を実現できるため、コストを低減すること、および平均子故障間隔(Mean Time Between Failure:MTBF)の増大による信頼性を向上することができる。
また、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、所定の温度におけるパワーデバイス11の第1の電気的特性と上限温度におけるパワーデバイス11の第2の電気的特性との対応関係(電圧差異)と、パワーデバイス11の使用前において所定の温度での測定により得られたパワーデバイス11の第3の電気的特性と、に基づいて設定された初期値の所定数倍を基準値として用いる。
異常判定に使用するメーカー提供の素子特性カーブ(第1の電気的特性および第2の電気特性)はIGBTの代表値を示すものであり、IGBTの特性には個体ごとにバラツキがあることが知られているので、本医用画像診断装置用電源装置1の製作段階において当該IGBT111個体の電圧、電流、温度の相関を測定することで、素子特性カーブと異常判定閾値の初期校正を行う。これらにより、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111の異常検知の精度を高めることができる。加えて、医用画像診断装置用電源装置1の出荷後の通常使用においては初期校正のための温度測定回路等は不要となるため、異常検知回路を複雑化することなく、パワーデバイス11の破損予測を簡便に行うことができる。
また、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111のコレクタ117におけるコレクタ電流Icの出力指令に基づいて、測定部17によるVce−sat値の測定に関するサンプリングタイミングを生成し、生成されたサンプリングタイミングに従ってVce−sat値を測定する。これにより、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、常にコレクタ電流Icが同一で出力される条件のときにVce−sat値を測定することができ、IGBT111の異常検出の精度をさらに向上させることができる。
また、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、測定されたVce−sat値が基準値を超えた場合、ドライブ信号の調整によりパワーデバイス11の駆動を制限可能な制限部13に制限指令を出力し、制限指令に基づいてドライブ信号を調整する。このとき、パワーデバイス11の駆動の制限は、パワーデバイス11の縮退運転であって、ドライブ信号のデューティー比の低減とドライブ信号の振幅の低減とのうち少なくとも一つである。
これらのことから、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111において監視されている電気的特性(電圧・電流)が、代表特性曲線に照らし合わせて予め設定された閾値を超えたとき、IGBT111の破損の兆候として上位ホスト側(例えば医用画像診断装置における制御部)へ異常警告を通知し、更に医用画像診断装置用電源装置1の動作(出力)を縮退、又は停止する等安全側に動作する制御を行うことができる。加えて、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、異常警告を受けた上位ホストからの新たな指令を待つこと無く、制限部13により能動的に縮退、停止制御を行い、より迅速に異常に対処することもできる。
また、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、記憶された複数のVce−sat値が所定の期間に亘って増加するか否かを判定し、複数のVce−sat値が所定の期間に亘って増加する場合、制限指令と警告とを制御部へ出力する。これにより、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、IGBT111の異常の兆候を自己診断として利用でき、かつIGBT111の縮退運転等を実行することができる。
また、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、Vce−sat値の経時変化に基づいてパワーデバイス11の使用に関する破損予測を算出し、算出された破損予測を制御部へ出力する。これにより、本医用画像診断装置用電源装置1によれば、Vce−sat値の増加傾向からIGBT111の破損予測を、予防保全としてメンテナンスに利用することができる。
IGBT111の熱疲労に起因する半田122のクラック126等による熱抵抗増加が発生した場合、IGBT111の異常は自己復帰しない。このため、当該異常が進行したときに他の電源装置の出力が自動停止するようなこと、もしくはIGBT111の駆動を縮退運転に遷移させるようなことに関して、例えば、他の電源装置からのエラー(所定の警告)通知やメンテナンスログ等を確認することで、本実施形態に係る異常検知処理に関する破損予測機能が他の電源装置に実装されているか否かを判断すること、すなわち本医用画像診断装置用電源装置1における技術的特徴が実施されているか否かを判断することができる。
また、本実施形態においてIGBT111の異常を検知する機能は、他の電源装置における自己診断機能の一部として、エラー通知やメンテナンスログ等の読み方等と併せて、他の電源装置のマニュアルに記載されるケースもあると考えられる。このため、例えば、もしエラー通知が、“破損予測”により自動停止、もしくは縮退運転へ遷移との内容であれば、他の電源装置においてIGBT111の異常の検知アルゴリズムを確認すれば、本医用画像診断装置用電源装置1における技術的特徴が実施されているか否かを判断することができる。
また、本実施形態における技術的思想の応用例として、本医用画像診断装置用電源装置1は、医用画像診断装置に用いられることに限定されず、他の装置に利用されてもよい。例えば、本医用画像診断装置用電源装置1は、電源装置として、電気自動車やパワーデバイスを有する電気機器などに用いられてもよい。このとき、パワーデバイス11は、電気自動車や電気機器におけるホストコンピュータから出力されたドライブ信号に従って駆動する。また、通知部25は、測定されたVce−sat値が基準値を超えた場合、パワーデバイス11の駆動を制限する制限指令と所定の警告とをホストコンピュータへ出力する。本応用例における作用および効果は、本実施形態における医用画像診断装置用電源装置1と同様なため、説明は省略する。
以上説明した少なくとも実施形態、変形例および応用例等によれば、電源装置におけるパワーデバイス11の破損予測を簡便に行うことができる。これにより、回路を複雑化させることなく、低コストであって信頼性を向上させた電源装置を提供することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 医用画像診断装置用電源装置
10 Vce−sat監視回路
11 パワーデバイス
13 制限部
15 生成部
17 測定部
19 記憶部
21 算出部
23 判定部
25 通知部
111 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)
113 ゲート
115 エミッタ
117 コレクタ
131 ドライブ制限回路
151 サンプリングタイミング生成回路
171 Vce−sat測定回路
231 異常判定回路
251 異常通知回路

Claims (11)

  1. 医用画像診断装置における制御部から出力されたドライブ信号に従って駆動するパワーデバイスと、
    前記パワーデバイスのコレクタエミッタ間電圧に相当するVce−sat値を測定する測定部と、
    前記Vce−sat値が基準値を超えているか否かを判定する判定部と、
    前記Vce−sat値が前記基準値を超えた場合、前記パワーデバイスの駆動を制限する制限指令と所定の警告とを前記制御部へ出力する通知部と、
    を備えた医用画像診断装置用電源装置。
  2. 前記判定部は、前記パワーデバイスの破損に関する上限温度における電流定格に対応する電圧値を、前記基準値として用いる、
    請求項1に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  3. 前記判定部は、前記パワーデバイスの破損に関する上限温度より低い所定の温度における前記パワーデバイスの第1の電気的特性と前記上限温度における前記パワーデバイスの第2の電気的特性との対応関係と、前記所定の温度での測定により得られた前記パワーデバイスの第3の電気的特性と、に基づいて設定された初期値の所定数倍を、前記基準値として用いる、
    請求項1または2に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  4. 前記パワーデバイスにおけるコレクタ電流の出力指令に基づいて、前記Vce−sat値の測定に関するサンプリングタイミングを生成する生成部をさらに備え、
    前記測定部は、前記サンプリングタイミングに従って前記Vce−sat値を測定する、
    請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  5. 前記ドライブ信号の調整により前記パワーデバイスの駆動を制限可能な制限部をさらに備え、
    前記通知部は、前記Vce−sat値が前記基準値を超えた場合、前記制限指令を前記制限部に出力し、
    前記制限部は、前記制限指令に基づいて前記ドライブ信号を調整する、
    請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  6. 前記駆動の制限は、前記パワーデバイスの縮退運転であって、前記ドライブ信号のデューティー比の低減と前記ドライブ信号の振幅の低減とのうち少なくとも一つである、
    請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  7. 前記基準値は、前記パワーデバイスにおける複数のコレクタ電流各々に応じて設定される、
    請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  8. 前記Vce−sat値を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記判定部は、前記記憶されたVce−sat値が所定の期間に亘って増加するか否かを判定し、
    前記通知部は、前記記憶されたVce−sat値が所定の期間に亘って増加する場合、前記制限指令と前記警告とを前記制御部へ出力する、
    請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  9. 前記Vce−sat値の経時変化に基づいて前記パワーデバイスの使用に関する破損予測を算出する算出部をさらに備え、
    前記通知部は、前記破損予測を前記制御部へ出力する、
    請求項8に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  10. 前記パワーデバイスは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタにより実現される、
    請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置用電源装置。
  11. ホストコンピュータから出力されたドライブ信号に従って駆動するパワーデバイスと、
    前記パワーデバイスのコレクタエミッタ間電圧に相当するVce−sat値を測定する測定部と、
    前記Vce−sat値が基準値を超えているか否かを判定する判定部と、
    前記Vce−sat値が前記基準値を超えた場合、前記パワーデバイスの駆動を制限する制限指令と所定の警告とを前記ホストコンピュータへ出力する通知部と、
    を備えた電源装置。
JP2020107167A 2020-06-22 2020-06-22 医用画像診断装置用電源装置および電源装置 Active JP7455006B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020107167A JP7455006B2 (ja) 2020-06-22 2020-06-22 医用画像診断装置用電源装置および電源装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020107167A JP7455006B2 (ja) 2020-06-22 2020-06-22 医用画像診断装置用電源装置および電源装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022002456A true JP2022002456A (ja) 2022-01-06
JP7455006B2 JP7455006B2 (ja) 2024-03-25

Family

ID=79244505

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020107167A Active JP7455006B2 (ja) 2020-06-22 2020-06-22 医用画像診断装置用電源装置および電源装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7455006B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002005989A (ja) 2000-06-20 2002-01-09 Meidensha Corp 電力用半導体素子の劣化判断方法
JP2007060866A (ja) 2005-08-26 2007-03-08 Mitsubishi Electric Corp 車載用電動機制御装置
JP5700095B2 (ja) 2013-09-17 2015-04-15 三菱電機株式会社 パワーデバイス制御回路およびそれを用いたipm
JP5976873B1 (ja) 2015-03-31 2016-08-24 東芝エレベータ株式会社 エレベータの制御装置
JP6564601B2 (ja) 2015-04-03 2019-08-21 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 インバータ装置
JP6885862B2 (ja) 2017-12-28 2021-06-16 ルネサスエレクトロニクス株式会社 電力変換装置
JP7062524B2 (ja) 2018-06-01 2022-05-06 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 インバータ装置、傾斜磁場電源、及び磁気共鳴イメージング装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7455006B2 (ja) 2024-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6282169B2 (ja) 集積スマートパワースイッチ
JP5016967B2 (ja) 電力変換装置及びパワーサイクル寿命予測方法
JP5233198B2 (ja) 半導体装置
JP6561208B2 (ja) 電力変換装置の診断システム、半導体モジュールの診断方法、および、電力変換装置
US20030076233A1 (en) Fault detection system
JP6853147B2 (ja) 電力変換装置、電動機制御システム、および電力変換装置の診断方法
JP4581930B2 (ja) 電力用半導体素子の異常検出装置
US10658921B2 (en) Overheat protection control device and vehicle-mounted power circuit device
JP2016163512A (ja) インテリジェントパワーモジュールおよびインテリジェントパワーモジュールの評価方法
JP4097613B2 (ja) 半導体装置
JP2018183015A (ja) 電力変換装置、その診断システム、診断方法、及びそれを用いた電動機制御システム
Chen et al. Driver Integrated Online R ds-on Monitoring Method for SiC Power Converters
CN110274707A (zh) 对功率组件的运行状态的监控
JP5182243B2 (ja) パワーモジュール
JP4677756B2 (ja) パワーモジュール
JP7455006B2 (ja) 医用画像診断装置用電源装置および電源装置
JP6653122B2 (ja) 電動圧縮機、制御装置及び監視方法
JPWO2020208726A1 (ja) 電力変換装置
US6405154B1 (en) Method and apparatus for power electronics health monitoring
Moeini et al. Enhancement of reliability in condition monitoring techniques in wind turbines
JP2021108523A (ja) 冷却異常判定装置及び冷却異常判定方法
JP2021048305A (ja) 保護回路、半導体装置及び方法
JP7088048B2 (ja) 半導体装置
JP7086511B2 (ja) 状態判定装置、及びエレベータ装置
JP2012037411A (ja) 半導体装置の検査方法及び検査装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230403

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7455006

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150