JP2022002280A - 搬送装置および素子アレイの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタンプツールが、基板側に残されること無く、基板の表面に配置してある搬送対象要素を基板から容易にピックアップして搬送することを容易にすることができる搬送装置と、それを用いた素子アレイの製造方法を提供すること。【解決手段】スタンプツール10を着脱自在に搬送する搬送ヘッド22と、を有する搬送装置20である。スタンプツール10が、基板30上に所定の固定力F1で配置してある素子32rを所定の粘着力F2で粘着可能なスタンプ層12と、スタンプ層12を支持し、搬送ヘッド22が着脱自在に装着可能な取付面16aを持つアダプタ板16と、を有する。搬送ヘッド22によるアダプタ板16の取付面16aに対する装着力F3が、固定力F1よりも大きく、素子32rに対するスタンプ層12の粘着力F2が固定力F1よりも大きい。【選択図】図1A

Description

本発明は、搬送装置および素子アレイの製造方法に関する。
極小部品の搬送において、表面に多数の凸部を有するスタンプ状の搬送ツール(スタンプツール)を用いることが検討されている。下記の特許文献1には、そのスタンプ状の搬送ツールの例が開示されている。従来では、熱膨張(coefficient of thrmal expansion)による搬送対象の離脱を可能とするためのスタンプツールが開示されている。
スタンプツールの搬送対象として想定されている極小部品の一例として、ミニLED、マイクロLEDと呼ばれるLED素子がある。ミニLED、マイクロLEDとは、従来の一般的なLED素子のものに比べ、幅が1〜8μm、長さが5〜10μm、高さが0.5〜3μmと非常に小さい。
従来技術にもあるように、このようなLED素子が多数配置されたウエハから素子をピックアップし、ディスプレイに相当する基板へ搬送することで、LEDディスプレイを製造することになるが、LEDが供給されるウエハは、ウエハメーカーや用途により多種多様である。
LED素子を基板へ搬送するにあたり、異なる仕様のウエハを入れ替えながら行う場合があり、その場合、各ウエハに対応するスタンプツールを用いる必要がある。スタンプツールは、一般的な吸着機構付きヘッド(搬送ヘッド)の先端に交換可能に取り付けられる。
この搬送ヘッドに取り付けられたスタンプツールの表面に形成してある粘着性の凸部を、ウエハ上のLEDに接触させることでスタンプに移し替える。この際、スタンプツールが、LEDを固定しているウエハ表面に接触してしまうと、搬送ヘッドによるスタンプツールへの吸着力よりも、ウエハ表面によるスタンプツールへの接着力が勝ってしまうことによって、スタンプツールが搬送ヘッドから離脱してしまうおそれがある。
特に搬送対象となる部品サイズが小さくなると、それに応じてスタンプツールの凸部のサイズも小さくなるため、凸部以外の平坦面がウエハ表面に接触する可能性は高まる。このスタンプツールの平坦面の接触が生じると、接触面積が増えることにつながるため、意図しない粘着力がスタンプツールに働くことにより、「スタンプツールがウエハなどの基板側に接着してしまい剥がせなくなる」という課題が生じる。
米国2017/0173852A1公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、スタンプツールが、基板側に残されること無く、基板の表面に配置してある搬送対象要素を基板から容易にピックアップして搬送することを容易にすることができる搬送装置と、それを用いた素子アレイの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、
スタンプツールと、
前記スタンプツールを着脱自在に搬送する搬送ヘッドと、を有する搬送装置であって、
前記スタンプツールが、
基板上に所定の固定力(F1)で配置してある搬送対象要素を所定の粘着力(F2)で粘着可能なスタンプ層と、
前記スタンプ層を支持し、前記搬送ヘッドが着脱自在に装着可能な取付面を持つアダプタ板と、を有し、
前記搬送ヘッドによる前記アダプタ板の取付面に対する装着力(F3)が、前記固定力よりも大きく、
前記搬送対象要素に対する前記スタンプ層の粘着力(F2)が、前記固定力(F1)よりも大きいことを特徴とする。
本発明に係る搬送装置では、搬送ヘッドによる前記アダプタ板の取付面に対する装着力(F3)が、前記固定力(F1)よりも大きく、前記搬送対象要素に対する前記スタンプ層の粘着力(F2)が、前記固定力(F1)よりも大きい。このため、スタンプツールが、基板側に残されること無く、基板の表面に配置してある搬送対象要素を基板から容易にピックアップして搬送することができる。
好ましくは、前記搬送ヘッドによる前記アダプタ板の取付面に対する装着力(F3)は、主装着手段による主装着力(F3a)と、前記主装着手段以外の副装着手段による副装着力(F3b)とを含む。好ましくは、前記主装着手段が、前記搬送ヘッドに形成してある真空吸引孔を含む。真空吸引孔を有する一般的な搬送ヘッドに、副装着手段を設けるのみで、搬送ヘッドによるアダプタ板の取付面に対する装着力(F3)を、基板に対する搬送対象要素の固定力(F1)よりも大きくすることが容易になる。
好ましくは、前記副装着手段が、前記アダプタ板を前記搬送ヘッドに対して着脱自在に取り付けるクランプ機構(チャック機構とも言う)、静電吸着機構、嵌合機構および螺合機構の内の少なくともいずれか一つを含む。これらの機構を搬送ヘッドに設けることで、搬送ヘッドによるアダプタ板の取付面に対する装着力(F3)を、基板に対する搬送対象要素の固定力(F1)よりも大きくすることが容易になる。
好ましくは、前記アダプタ板の側面には、前記スタンプ層に向けて外径が小さくなるテーパ面が形成してある。また好ましくは、前記アダプタ板の側面に形成してあるテーパ面には、前記副装着手段が有するクランプ機構の爪部が係合可能になっている。このように構成することで、クランプ機構の爪部が、アダプタ板の側面のテーパ面に着脱自在に係合しやすくなる。また、クランプ機構による搬送ヘッドに対するスタンプツールの装着力(F3)を高めることができる。
前記スタンプツールは、前記スタンプ層が固定されて、前記アダプタ板が交換自在に取り付けられる支持板をさらに有する。このように構成することで、スタンプツールの全体を交換すること無く、スタンプ層が固定してある支持板のみをアダプタ板から交換することができる。そのため、異なる種類のスタンプ層を有するスタンプツールを、低コストで準備することが容易になる。
好ましくは、前記支持板は、接着層により前記アダプタ板に交換自在に取り付けられる。この接着層による接着力は、基板に対する搬送対象要素の固定力(F1)よりも大きいことが好ましい。
前記搬送対象物は、基板の表面に形成してある複数の素子であってもよく、好ましくは、前記スタンプ層には、前記素子に対応する複数の凸部が形成してあり、各凸部に、前記素子が着脱自在に粘着される。このように構成することで、複数の搬送対象要素としての複数の素子を、前記基板から同時に取り出すことができる。
本発明に係る素子アレイの製造方法は、上記のいずれかに記載の搬送装置を用いて、複数の搬送対象要素としての複数の素子を、前記基板から同時に取り出して搬送する工程を有する。本発明の素子アレイの製造方法では、多数の素子を持つ素子アレイを、容易に製造することができる。
図1Aは本発明の一実施形態に係る搬送装置に用いるスタンプツールの概略正面図と要部拡大図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係るスタンプツールの概略正面図である。 図1Cは図1Bのスタンプツールの変形例の概略平面図である。 図1Dは図1Cに示すID−IDに沿うスタンプツールの断面図である。 図1Eは図1Cに示すIE−IEに沿うスタンプツールの断面図である。 図2Aは図1Aに示すスタンプツールを着脱自在に搬送する搬送ヘッドを含む搬送装置の概略図である。 図2Bは図2Aに示す搬送ヘッドでスタンプツールを掴んでいる状態を示す搬送装置の概略図である。 図3Aは半導体基板から素子をピックアップする前の状態を示す搬送装置の概略図である。 図3Bは図3Aに示す状態からスタンプツールのスタンプ層を半導体基板上の素子に押し付けている状態を示す搬送装置の概略図である。 図3Cは半導体基板から素子をピックアップした後の状態を示す搬送装置の概略図である。 図4Aは本発明の他の実施形態に係る搬送装置に用いられるクランプ機構の爪部の詳細を示す部分概略図である。 図4Bは本発明の他の実施形態に係る搬送装置に用いられるクランプ機構の爪部の詳細を示す部分概略図である。 図5Aは半導体基板上に形成してある素子の概略断面図である。 図5Bは搬送装置のスタンプツールで半導体基板上の素子をピックアップする状態を示す概略断面図である。 図5Cは搬送装置のスタンプツールで半導体基板上の素子をピックアップした後に第1転写用基板(シート)上に配置した状態を示す概略断面図である。 図5Dは第1転写用基板(シート)上に配置された素子アレイを第2転写用基板(シート)に転写した状態を示す概略断面図である。 図5Eは第2転写用基板(シート)上に配置された素子アレイを実装用基板(シート)に転写する前の状態を示す概略断面図である。 図5Fは第2転写用基板(シート)上に配置された素子アレイを実装用基板(シート)に転写した後の状態を示す概略断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図2Aに示すように、本実施形態に係る搬送装置20は、スタンプツール10と、搬送ヘッド22とを有する。図1Aに示すように、スタンプツール10は、スタンプ層12と支持板14とアダプタ板16とを有する。
スタンプ層12には、X軸方向およびY軸方向に所定間隔で、Z軸下方に突出する凸部11がマトリックス状に形成してある。凸部11のX軸方向幅x1と、これらの隣接する凸部11のX軸方向間隔x2は、たとえば図5Fに示す実装用基板(基板はシートであってもよい/以下同様)70に表面に実装される赤色発光のための素子(搬送対象要素の一例)32rのX軸方向幅x3およびそれらのX軸方向間隔x4などに応じて決定される。
なお、図1Aには図示されないが、凸部11のY軸方向幅と、これらの隣接する凸部11のY軸方向間隔に関しても同様である。凸部11は、スタンプ層12の下面で、マトリックス状に配置され、その配置数は、特に限定されないが、1〜数十万個である。
本実施形態では、図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に略垂直であり、X軸およびY軸が、スタンプ層12の平面方向に平行であり、Z軸が凸部11の突出する方向に平行である。
図1Aに示すように、スタンプ層12の凸部11の突出高さz1は、図5Bに示す素子32rのZ軸方向高さz2などとの関係で決定され、たとえばZ軸方向高さz2の1〜8倍であることが好ましい。スタンプ層12のZ軸方向の厚みz3は、特に限定されないが、凸部11の突出高さz1の0.25倍以上程度が好ましい。なお、素子32rのX軸方向幅x3(Y軸方向幅も同程度)は、たとえば1〜150μmであり、その高さz2は、たとえば1〜150μmである。
スタンプ層12と凸部11とは、これらが強く接合されていれば、別々の材質で構成されてもよいが、同じ材質で構成されていてもよい。同じ材質で構成されることで、凸部11がスタンプ層12から剥離するおそれは少なくなる。少なくとも凸部11は、粘着性を有する材質で構成してあり、図5Bに示す素子形成用基板30上に所定の固定力F1で配置してある素子32rを所定の粘着力F2で粘着可能になっている。凸部11の下端が素子32rの上面に所定力で押し付けられたときに、素子32rに対する凸部11の粘着力F2は、素子32rの基板30に対する固定力F1よりも大きくなるように、凸部11の材質や形状などが決定してある。
凸部11の材質としては、特に限定されないが、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)、有機シリコン化合物、ポリエーテルゴムなどの粘弾性エラストマーなどが例示される。スタンプ層12も、凸部11と同じ材質で構成されていてもよいが、凸部11以外のスタンプ層12の表面は、粘着性を有さないことが好ましい。凸部11以外では、素子32rを粘着力でピックアップしないことが好ましい。
図1Aに示すように、スタンプ層12は、支持板14に固定してある。支持基板14は、スタンプ層12よりも剛性が高く、平坦性に優れた材質で構成してあり、好ましくはガラス板、金属板、セラミック板などで構成してある。支持板14の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、0.5mm以上である。
スタンプ層12は、支持板14の表面に直接に形成されてもよく、あるいは、接着層により固定してあってもよい。いずれにしても、スタンプ層12は、支持板14の表面に、図5Bに示す粘着力F2よりも十分に高い密着力で固定してある。素子32rは、後工程で、凸部11から剥がされて、たとえば図5Cに示す第1転写用基板(シート)50の上に配置されるため、その際に、スタンプ層12が支持板14から剥がれないことが重要である。
図1Aに示すように、支持板14は、スタンプ層12と反対側の表面で、アダプタ板16の接着面16bに対して、接着層15により着脱自在に固定してある。接着層15による支持板14とアダプタ板16との接着力は、図5Bに示す粘着力F2よりも十分に高い接着力である。ただし、繰り返し使用後のスタンプ層12を交換する際には、支持板14をアダプタ板16の接着面16bから取り外せるようになっている。接着層15は、両面粘着テープなどで構成されていてもよい。
支持板14のX軸方向幅およびY軸方向の幅は、スタンプ層14のそれらよりも大きく、しかも、アダプタ板16の接着面16bのX軸方向幅およびY軸方向の幅よりも大きいことが好ましい。アダプタ板16の接着面16bと反対側の上面は、平坦な取付面16aとなっており、取付面16aの面積は、接着面16bの面積よりも大きくなるように、アダプタ板16の少なくともX軸方向の両側面は、テーパ面16cとなっている。
すなわち、アダプタ板16の少なくともX軸方向の側面には、スタンプ層12に向けて外径が小さくなるテーパ面16cが形成してある。テーパ面16cは、アダプタ板16のY軸方向の両側面にも形成してあってもよく、あるいは、アダプタ板16の側面全周に沿ってテーパ面16cが形成してあってもよい。
アダプタ板16のZ軸方向の厚みは、支持板14の厚みよりも十分に大きく、好ましくは、支持板14の厚みの1.2倍以上、好ましくは2倍〜6倍程度である。なお、アダプタ板16の上面にある取付面16aの外周縁部には、面取り部あるいはR部が形成してあることが好ましい。
アダプタ板16の上面にある取付面16aには、図2Aに示す搬送装置20の搬送ヘッド22の吸着面24が吸着可能になっている。搬送ヘッド22の吸着面24には、主装着手段としての真空吸引孔が形成してあり、真空吸引孔に負圧を発生させることで、吸着面24にスタンプツール10のアダプタ板16の取付面16aが真空吸着される。吸着面24によるスタンプツール10のアダプタ板16の取付面16aへの真空吸着力を、仮に主装着力F3aとする。
また、本実施形態では、搬送ヘッド22には、開閉機構28を介してチャック機構26が装着してある。チャック機構26の内側には、爪部26aが形成してある。爪部26aを含むチャック機構26は、たとえば開閉機構28によりX軸方向に移動し、爪部26aが、図2Aに示すように、吸着面24の下面の全体を開いたり、図2Bに示すように、爪部26aが、吸着面24のX軸方向の両側下方に位置するようになっている。
各爪部26aには、テーパ状の係合面26bが形成してある。係合面26bのテーパ面は、スタンプツール10のアダプタ板16のテーパ面16cの形状に合わせてあり、そのテーパ面16cに係合可能になっている。図2A〜図2Bに示すように、アダプタ板16の取付面16aが搬送ヘッド22の吸着面24に吸着される前には、チャック機構26は、開閉機構28により爪部26aが開いている。アダプタ板16の取付面16aが搬送ヘッド22の吸着面24に吸着された後に、チャック機構26は、開閉機構28により爪部26aが閉じられる方向に移動し、係合面26bがテーパ面16cに係合する。
その結果、スタンプツール10は、搬送ヘッド22に形成してある主装着手段としての真空吸引孔による主装着力F3aと、副装着手段としてのチャック機構26による副装着力F3bとの合計の装着力F3で、搬送ヘッド22に装着される。搬送ヘッド22の小型化などに伴い、搬送ヘッド22の真空吸引孔による主装着力F3単独では、図5Bに示す固定力F1よりも大きくすることは困難になる傾向にある。本実施形態では、副装着手段としてのチャック機構26による副装着力F3bが、主装着力F3aに加わることで、トータルの装着力F3(=F3a+F3b)は、固定力F1よりも確実に大きくなる。
次に、本実施形態に係るスタンプツール10を有する搬送装置20を用いた表示素子アレイの製造方法について説明する。
図2Bに示すように、搬送ヘッド22にスタンプツール10を装着した状態で、搬送装置20をX軸およびY軸方向に移動させ、図3Aに示すように、設置台40の上に設置された素子形成用基板30の表面に形成してある素子32rの上に位置させる。図5Aに示すように、素子形成用基板30の表面には、たとえば赤色発光用の素子32r、または緑色発光用の素子32g、または青色発光用の素子32bが作り込まれている。基板30としては、たとえば素子の種類(青色発光素子、赤色発光素子、緑色発光素子など)によっても異なるが、たとえばサファイヤ基板、ガラス基板、GaAs基板、SiC基板などが用いられる。
本実施形態では、素子32r,32g,32bは、たとえばマイクロLED素子である。なお、以下の説明では、素子32rについてのみ説明するが、その他の素子32g,32bに関しても、それぞれ別々のスタンプツール10を用いて、同様な操作を行う。スタンプツール10は、それぞれ異なる素子32r,32g,32bの種類毎に準備することが好ましいが、搬送ヘッド22は、共通して用いることができる。
図3Aから図3Bに示すように、搬送装置20をZ軸方向の下方に移動させ、スタンプツール10の凸部11を、基板30の素子32rの上面に押し付ける。その結果、素子32rは、凸部11に粘着する。その後に、図3Cに示すように、スタンプツール10を、搬送装置20と共に、Z軸方向の上方に持ち上げる。その結果、図5Bに示すように、各凸部11には、素子32rが粘着して、凸部11と共に素子32rが基板30からピックアップされる。基板30上に残された素子32rは、後で同様にして、搬送装置20のスタンプ層10によりピックアップされる。
次に、スタンプ層10の凸部11によりピックアップされた素子32rは、たとえば図5Cに示す第1転写用基板50の上に搬送装置20により搬送されて、粘着層52の上に配置される。あるいは、スタンプ層10の凸部11によりピックアップされた素子32rは、たとえば図5Fに示す実装用基板70の上に搬送装置20により搬送されて、そこで、実装用基板70の上に配置されてもよい。本実施形態では、転写法を用いて説明する。
図5Bに示すスタンプ層12の凸部11に粘着してある素子32rのアレイを、図5Cに示す粘着シートなどで構成してある基板50の粘着層52の上に転写する。そのために、スタンプ層12の凸部11に粘着してある素子32rを、粘着層52の表面に押し付けてから、スタンプ層12を搬送装置20と共に持ち上げる。その結果、粘着層52の表面に複数の素子32rが同時に転写される。なお、その前に、図3Cに示す搬送装置20は、搬送装置20の搬送機構により、図5Cに示す基板50の上に移動させられる。
基板50から成る粘着シートの粘着層52の粘着力は、凸部11の粘着力よりも大きくなるように、粘着層52の粘着力が調整されている。粘着層52としては、たとえば天然ゴム、合成ゴム、アクリル系樹脂、シリコーンゴムなどの粘着性樹脂で構成され、その厚みz4は、好ましくは、素子32rの高さz2(図5B参照)の0.5〜2.0倍程度である。なお、凸部11から粘着層52への素子32rの移動をスムーズにするために、凸部11から素子32rを剥がれやすくするための操作(たとえば熱を加える)を加えてもよい。
基板50の粘着層52には、上記と同様にして、その他の素子32g,32bも転写される。R,GおよびBの3つの素子32r,32g,32bで、一つの画素単位が構成され、それらの画素単位が、マトリックス状に配置されることで、カラー表示画面となることができる。
次に、図5Dに示すように、第1転写用基板50の表面に配置された3つの素子32r,32g,32bの配列の全てを、第2転写用基板60の粘着層62に転写して、素子32r,32g,32bの各端子が、基板60の外側を向くように配置する。この転写に際しては、たとえばレーザリフト法などの手法を用いてもよいし、粘着力の差を用いた転写、加熱剥離を伴う転写などの方法でもよい。素子32r,32g,32bの各端子が、基板60の外側を向く状態で、各端子には、無電解メッキ法などにより、錫メッキ膜が形成されてもよい。
次に、図5Eおよび図5Fに示すように、3つの素子32r,32g,32bの配列の全てを、基板60の粘着層62から、実装用基板70への転写を行う。その転写に際しても、たとえばレーザリフト法などの手法を用いてもよいし、粘着力の差を用いた転写、加熱剥離を伴う転写などの方法でもよい。
なお、転写後には、各素子32r,32g,32bの端子を実装用基板の回路パターンに接続するために、たとえば実装用基板70の表面に、異方導電性ペースト(ACP)を塗布しておき、あるいは異方導電性フィルム(ACF)を配置しておくことが好ましい。図5Fに示すように、素子32r,32g.32bをACPまたはACFを介して基板70の上に配置した後、図示省略してある加熱加圧装置を用いて、各素子32r,32g,32bを基板70の方向に押し付けて加熱すればよい。その結果、各素子32r,32g,32bの端子を実装用基板の回路パターンに接続することができる。
本実施形態に係る搬送装置20では、図2Bに示す搬送ヘッド22によるアダプタ板16の取付面16aに対する装着力F3が、図5Bに示す固定力F1よりも大きく、素子32rに対するスタンプ層12の凸部11の粘着力F2が、固定力F1よりも大きい。このため、スタンプツール10が、基板30側に残されること無く、基板30の表面に配置してある素子32rを基板30から容易にピックアップして搬送することができる。
また、本実施形態では、図2Bに示す搬送ヘッド22によるアダプタ板16の取付面16aに対する装着力F3は、真空吸引孔の吸着力に対応する主装着力F3aと、副装着手段としてのクランプ機構26による副装着力F3bとの合計である。すなわち、本実施形態では、真空吸引孔を有する一般的な搬送ヘッド22に、クランプ機構26を設けるのみで、搬送ヘッド22によるアダプタ板16の取付面16aに対する装着力F3を、図5Bに示す素子32rの基板30への固定力F1よりも大きくすることが容易になる。
さらに本実施形態ではアダプタ板16のX軸方向の両側面には、スタンプ層12に向けて外径が小さくなるテーパ面16cが形成してある。またテーパ面16cには、クランプ機構26の爪部26aが係合可能になっている。このように構成することで、クランプ機構26の爪部26aが、アダプタ板16の側面のテーパ面16cに着脱自在に係合しやすくなる。また、クランプ機構26による搬送ヘッド22に対するスタンプツール10の装着力F3を高めることができる。
スタンプツール10は、スタンプ層12が固定されて、アダプタ板16が交換自在に取り付けられる支持板14をさらに有する。このように構成することで、スタンプツール10の全体を交換すること無く、スタンプ層12が固定してある支持板14のみをアダプタ板16から交換することができる。そのため、異なる種類のスタンプ層12を有するスタンプツール10を、低コストで準備することが容易になる。また、アダプタ板16を共用して用いることで、スタンプツールに合わせて、異なる種類の搬送ヘッドを用いる必要が無く、搬送装置の全体構成もシンプルにすることができる。
本実施形態では、スタンプ層12には、素子32r(32g,32b)に対応する複数の凸部11が形成してあり、各凸部11に、素子32r(32g,32b)が着脱自在に粘着される。このように構成することで、多数の素子32r(32g,32b)を、基板30から同時に取り出すことができる。本実施形態の素子アレイの製造方法では、多数の素子32r(32g,32b)を持つ素子アレイを、容易に製造することができる。
第2実施形態
図1Bに示すように、本実施形態の搬送装置に用いられるスタンプツール10aでは、スタンプ層12とアダプタ板16との間に、支持板14の平行度を調整するためのシム板18が介在してある。支持板の側面の一部には、傾斜面14aが形成してあり、その傾斜面14aにシム板18が係合し、支持板14の平行度を調整可能になっている。支持板14とアダプタ板16の間に接着層15を介してシム板18を設置する態様を用いることで支持板14の平行度の調整が可能である。
なお、シム板18を設置する目的は平行度を調整するためなので、シム板18を設置する位置はこれに限定されない。シム板18はアダプタ板16の周縁全てにまたがって設置してもよく、あるいは断続的に設置してもよい。たとえば、図1C、図1Dおよび図1Eに示すように、アダプタ板16の四隅に接着層15をそれぞれ設けて、Y軸方向の片側2か所のみにシム板18を、接着層15を介して、接着面16bと支持板14の間に設けてもよい。このように構成することで、アダプタ板16(または、支持板14)が矩形状である場合に、微量の平行度調整が可能になる。
すなわち、図1Cに示すように、アダプタ板16(または、支持板14)が矩形状である場合に、対向する辺のうちいずれか一方に、シム板18を配置することで、平行度の調整が可能である。また、アダプタ板16(または、支持板14)が円形状であれば、点対称の位置においていずれか一方の円弧領域に、シム板18を配置することで、平行度の調整が可能である。
より具体的には、たとえば、図1Eに示すように、スタンプ層12の厚みがY軸方向に沿って異なる場合に、支持板14とアダプタ板16との間のY軸方向片側の隙間にシム板18を配置することができる。これにより、取付面16aとスタンプ層12のスタンプ面とが平行になり、平行度の調整が可能となる。なお、図1Eでは、説明をわかりやすくするため、スタンプ層12、シム板18および接着層15の厚さおよび傾きを実際よりも大きく表している。
本実施形態の搬送装置およびスタンプツールのその他の構成および作用効果は、第1実施形態と同様であり、その詳細な説明は省略する。
第3実施形態
図4Aに示すように、本実施形態の搬送装置では、チャック機構26の爪部26aの係合面26bに、弾性変形可能な係合凸部26cが装着してあり、その係合凸部26cが、アダプタ板16のテーパ面16cに係合可能になっている。係合凸部26cは、たとえばスプリング材で構成してあり、係合面26bから円弧状に突出していてもよい。また、図4Bに示すように、係合面26bは、必ずしも平面である必要はなく、アダプタ板16のテーパ面16cに係合可能な凸状曲面であってもよい。本実施形態の搬送装置およびスタンプツールのその他の構成および作用効果は、第1実施形態または第2実施形態と同様であり、その詳細な説明は省略する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、スタンプツールとしては、上述した実施形態のスタンプツール10に限定されず、その他のスタンプツールを用いることが可能である。また、搬送ヘッド22には、クランプ機構26以外の副装着手段として、静電吸着機構、嵌合機構および螺合機構の内の少なくともいずれか一つを設けてもよい。これらの機構を搬送ヘッドに設けることでも、搬送ヘッド22によるアダプタ板16の取付面16aに対する装着力F3を、基板30に対する素子32r(32g,32bも同様)の固定力F1よりも大きくすることが容易になる。
また、本実施形態に係る搬送装置20を、素子形成用基板30からの素子32r(32g,32b)のピックアップに用いたが、その用途に限らず、基板30からレーザリフト法などにより転写された粘着層付きの基板(シート)からの素子32r(32g,32b)のピックアップに用いてもよい。
また、本実施形態に係る搬送装置20は、赤色、緑色および青色発光用の素子32r,32g,32b以外の素子のピックアップにも用いることができる。その他の表示素子としては、蛍光素子などが例示される。また、その他の素子としては、表示素子に限らず、受光素子、セラミックコンデンサ、チップインダクタ、等の電子素子、あるいは半導体素子でもよい。
10… スタンプツール
11… 凸部
12… スタンプ層
14… 支持板
14a… 傾斜面
15… 接着層
16… アダプタ板
16a… 取付面
16b… 接着面
16c… テーパ面
18… シム板
20… 搬送装置
22… 搬送ヘッド
24… 吸着面
26… チャック機構
26a… 爪部
26b… 係合面
26c… 係合凸部
28… 開閉機構
30… 素子形成用基板
32r,32g,32b… 素子
40… 設置台
50… 第1転写用基板(シート)
52… 粘着層
60… 第2転写用基板(シート)
62… 粘着層
70… 実装用基板

Claims (10)

  1. スタンプツールと、
    前記スタンプツールを着脱自在に搬送する搬送ヘッドと、を有する搬送装置であって、
    前記スタンプツールが、
    基板上に所定の固定力(F1)で配置してある搬送対象要素を所定の粘着力(F2)で粘着可能なスタンプ層と、
    前記スタンプ層を支持し、前記搬送ヘッドが着脱自在に装着可能な取付面を持つアダプタ板と、を有し、
    前記搬送ヘッドによる前記アダプタ板の取付面に対する装着力(F3)が、前記固定力(F1)よりも大きく、
    前記搬送対象要素に対する前記スタンプ層の粘着力(F2)が、前記固定力(F1)よりも大きいことを特徴とする搬送装置。
  2. 前記搬送ヘッドによる前記アダプタ板の取付面に対する装着力(F3)は、主装着手段による主装着力(F3a)と、前記主装着手段以外の副装着手段による副装着力(F3b)とを含む請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記主装着手段が、前記搬送ヘッドに形成してある真空吸引孔を含む請求項2に記載の搬送装置。
  4. 前記副装着手段が、前記アダプタ板を前記搬送ヘッドに対して着脱自在に取り付けるクランプ機構、静電吸着機構、嵌合機構および螺合機構の内の少なくともいずれか一つを含む請求項2または3に記載の搬送装置。
  5. 前記アダプタ板の側面には、前記スタンプ層に向けて外径が小さくなるテーパ面が形成してある請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。
  6. 前記アダプタ板の側面に形成してあるテーパ面には、前記副装着手段が有するクランプ機構の爪部が係合可能になっている請求項4または5に記載の搬送装置。
  7. 前記スタンプツールは、
    前記スタンプ層が固定され、前記アダプタ板が交換自在に取り付けられる支持板をさらに有する請求項1〜6のいずれかに記載の搬送装置。
  8. 前記支持板は、接着層により前記アダプタ板に交換自在に取り付けられる請求項7に記載の搬送装置。
  9. 前記搬送対象物は、基板の表面に形成してある複数の素子であり、
    前記スタンプ層には、前記素子に対応する複数の凸部が形成してあり、
    各凸部に、前記素子が着脱自在に粘着される請求項1〜8のいずれかに記載の搬送装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の搬送装置を用いて、複数の搬送対象要素としての複数の素子を、前記基板から同時に取り出して搬送する工程を有する素子アレイの製造方法。
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