JP2022001658A - 金属皮膜の成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属皮膜の周縁のヤケを防止することができる成膜装置を提供する。【解決手段】固体電解質膜12を上方から基材Bに接触させた状態で陽極11と基材Bとの間に電圧を印加して、固体電解質膜12の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜Fを基材Bの表面に成膜する金属皮膜Fの成膜装置1であって、成膜装置1には、陽極11と固体電解質膜12との間に、前記金属イオンを含む電解液Lが陽極11と固体電解質膜12とに接触するように電解液Lを収容する液収容部14aが形成されており、成膜装置1は、固体電解質膜12を基材Bに接触させた状態で、液収容部14aの液圧を変動させる液圧変動部31、および、固体電解質膜12に対向した位置で、基材Bを載置する載置台20を備えており、載置台20には、基材Bを収容した状態で、基材Bの周りに浸漬液L2を浸す浸漬部21を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、金属皮膜の成膜装置に関する。
この種の金属皮膜の成膜方法として、たとえば、特許文献1には、固体電解質膜を上方から基材に接触させた状態で、陽極と陰極である基材との間に電圧を印加して、固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置が開示されている。
特許文献1に記載された成膜装置では、基材を搭載する搭載台に、基材を振動させる振動機構、および、基材と固体電解質膜とを密着させるために搭載台側から固体電解質膜を吸引する吸引部が設けられている。
ところで、成膜時に、陰極となる基材近傍では、水の電気分解が生じて水素ガスが発生することがある。特許文献1には、この発生した水素ガスを、上述した振動機構および吸引部により排出可能であることが開示されている。
しかしながら、発明者らの実験によると、特許文献1に記載の技術を用いて、発生した水素ガスを排出しても、基材の周縁に溜まった水素ガスにより、金属イオンが基材の周縁に供給されず、金属皮膜の周縁にヤケ(金属の異常析出による変色)が発生したことがあった。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、本発明として、金属皮膜の周縁のヤケを防止することができる成膜装置を提供する。
前記課題を鑑みて、本発明に係る金属皮膜の成膜装置は、陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記固体電解質膜を上方から前記基材に接触させた状態で前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置であって、前記成膜装置には、前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記金属イオンを含む電解液が前記陽極と前記固体電解質膜とに接触するように前記電解液を収容する液収容部が形成されており、前記成膜装置は、前記固体電解質膜を前記基材に接触させた状態で、前記液収容部の液圧を変動させる液圧変動部、および、前記固体電解質膜に対向した位置で、前記基材を載置する載置台を備えており、前記載置台には、前記基材を収容した状態で、前記基材の周りに浸漬液を浸す浸漬部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、基材の周縁に溜まった水素ガスにより、金属皮膜の周縁にヤケが発生しやすいところ、固体電解質膜を基材に接触させた状態で、液収容部の液圧を変動させることにより、基材の周縁から、成膜時に発生する水素ガスを逃すことができる。さらに、基材の周りは浸漬液に浸されているため、水素ガスが逃げやすくなる。このように水素ガスを排出することで、金属皮膜の周縁のヤケを防止することができる。
以下に、図1、2を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。
図1(a)、(b)に示すように、本発明に係る成膜装置1は、金属イオンから金属を析出させて、析出した金属からなる金属皮膜Fを基材Bの表面に成膜する装置である。ここで、基材Bは、陰極(すなわち導電性を有した表面)として機能するものであれば、特に限定されるものではなく、アルミニウム、銅、鉄などの金属材料からなる基材、または樹脂またはシリコン基材の処理表面に金属下地層が形成されている基材を用いてもよい。
成膜装置1は、陽極11と、陽極11および陰極となる基材Bの間に配置される固体電解質膜12と、陽極11および基材Bの間に電圧を印加する電源部13と、を少なくとも備えている。図1に詳細に示してないが、陽極11は、ケーシング14を介して電源部13の正極に電気的に接続されており、陰極となる基材Bは、後述する載置台20を介して電源部13の負極に電気的に接続されている。ケーシング14は、後述する電解液L1に対して不溶性の材料からなる。
固体電解質膜12と陽極11とは離間してケーシング14に配置されており、固体電解質膜12と陽極11とは非接触状態にある。固体電解質膜12と陽極11との間には、金属イオンを含む電解液L1を収容する液収容部14aが形成されている。ここで、液収容部14aは、収容された電解液L1が陽極11および固体電解質膜12に直接的に接触するような構造となっている。本実施形態では、液収容部14aには、陽極11を収容した状態で、液収容部14aを封止するように、シール材15を介して固体電解質膜12がケーシング14に取付けられている。
さらに、液収容部14aには、後述するタンク32から電解液L1を液収容部14aに供給する供給口14bと、液収容部14aから電解液L1をタンク32に排出する排出口14cとが形成されている。
陽極11は、基材Bの成膜領域に応じた形状となっている。陽極11は、多孔質体でもよく、無孔質体でもよい。陽極11の材料としては、電解液L1に対して不溶性を有した酸化ルテニウム、白金、酸化イリジウムなどを挙げることができ、これらの金属が銅板などに被覆された陽極であってもよい。あるいは、陽極11は、金属皮膜Fの金属と同じ金属(電解液L1の金属イオンの金属)からなる可溶性の陽極であってもよい。
電解液L1は、たとえば、銅、ニッケル、銀などのイオンを含む電解液などを挙げることができる。たとえば、ニッケルイオンの場合には、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケルなどを含む水溶液を挙げることができる。そして、固体電解質膜12は、固体電解質からなる膜、フィルムなどを挙げることができる。
固体電解質膜12は、上述した電解液L1に接触させることにより、金属イオンを内部に含浸することができ、電圧を印加したときに基材Bの表面において金属イオン由来の金属が析出することができるのであれば、特に限定されるものではない。固体電解質膜の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD,CMFシリーズ)などのイオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。
ここで、図6を参照して、従来の成膜装置90(比較例2の成膜装置)について説明する。ここでは、従来の成膜装置90の本実施形態とは異なる点について主として説明し、本実施形態と同じ部材および部分に関しては、同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
従来の成膜装置90の載置台20には、振動部91および吸引部92が取付けられている。振動部91は、成膜の際、基材Bおよび陽極11を振動させるものである。吸引部92は、成膜の際、基材Bの表面に固体電解質膜12が密着するように載置台20側から固体電解質膜12を吸引するものである。また、陽極11には一方の面から他方の面に亘って複数の貫通孔(不図示)が形成され、液収容部14aには、陽極11の一方の面側および他方の面側に、電解液L1を供給する液供給口93および排出する液排出口94が、それぞれ形成されている。
このような従来の成膜装置90では、吸引部92により固体電解質膜12を吸引して固体電解質膜12を基材Bの表面に密着させるとともに、振動部91により陽極11を振動して陽極11に発生した酸素ガスを、貫通孔を介して液排出口94から排出する。
ところで、成膜時に金属イオンから金属を析出させる際、陰極となる基材B付近では、水の電気分解反応により水素ガスが発生する場合がある。成膜時間が経過するにしたがって、後述の実施例で説明するように、基材Bの周辺に水素ガスが溜まると、この水素ガスにより、金属皮膜Fの周縁にヤケが発生する。
上述した従来の成膜装置90では、金属皮膜Fを成膜する際に基材B付近で発生する水素ガスを、振動部91により基材Bを振動させながら、吸引部92より排気することができる。しかしながら、実施例で説明するように、従来の成膜装置90では、吸引部92よる吸引により固体電解質膜12と基材Bとを密着させた後に固体電解質膜12と基材Bとの間に発生した水素ガスを排出し難い。このため、水素ガスが溜まり易い基材の周縁近傍には、金属イオンが十分に供給されず、この部分にヤケが発生することがあった。そこで、本実施形態では、成膜装置1は、浸漬部21が形成された載置台20と、液圧変動部31を有する循環機構30とをさらに備えている。
載置台20は、金属製であり、固体電解質膜12に対向した位置で、基材Bを載置するものである。本実施形態では、載置台20には、基材Bとともに浸漬液L2を収容する浸漬部21が形成されている。浸漬部21では、成膜の際に、基材Bを収容した状態で、基材Bの周りに浸漬液L2を浸す。
浸漬液L2としては、水素ガスを逃すことができるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、純水、電解液などの電気伝導性を有した水溶液、または、非水溶性溶媒(たとえば、アルコール、エチレングリコールなど)を挙げることができる。
浸漬部21の深さは、基材Bの厚さに一致していることが好ましい。これにより、基材Bを浸漬部21に収容した際に、基材Bの表面と載置台20の表面とが同一平面上に配置される。これにより、押圧の際、固体電解質膜12が基材Bの表面に密着しやすい。また、浸漬液L2の深さは基材Bの厚さと略同じであることが好ましい。これにより、成膜の際、基材Bの周縁に発生する水素ガスを浸漬液L2に逃しやすくなる。
循環機構30は、液圧変動部31とタンク32とを備えている。タンク32は、配管33を介して、液収容部14aの供給口14bと排出口14cとに接続されている。タンク32と供給口14bの間には、液圧変動部31が設けられている。タンク32には、電解液L1が収容されており、成膜の際、タンク32から液圧変動部31により送り出された電解液L1は、供給口14bから液収容部14aに流入し、排出口14cから排出されてタンク32に戻る。
このような電解液L1の循環の際に、本実施形態では、液圧変動部31により、固体電解質膜12を基材Bに接触させた状態で、液収容部14aの液圧を変動させる。これにより、図2に示すように、固体電解質膜12が振動して、基材Bの周縁に発生する水素ガスGを基材Bの周縁から逃すことができる。
液圧変動部31としては、電解液L1を循環しながら、液収容部14aの液圧を変動可能なものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、ダイヤフラムポンプを挙げることができる。ダイヤフラムポンプでは、タンク32に収容されている電解液L1の吸引と吐出が交互に行われるため、電解液L1が間欠的に流れることができる結果、液収容部14aの液圧を変動することができる。
液圧変動の条件は、基材Bの周縁から発生する水素ガスGを逃すことができるものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、成膜時の液圧変動の条件として、溶液循環流量を1〜2L/分とし、脈動周期を0.5〜2回/秒とし、および圧力変動を0.05〜0.15MPaとしてもよい。
以下に本実施形態にかかる成膜方法について説明する。まず、図1(a)の如く、載置台20の浸漬部21に基材Bを収容し、収容した状態の基材Bの周りに浸漬液L2を浸すように、浸漬部21に浸漬液L2を収容する。次に、ケーシング14の液収容部14aに電解液L1を収容する。次に陽極11に対して基材Bのアライメントを調整し、基材Bの温度調整を行う。
次いで、図1(a)、(b)の如く、ケーシング14を基材Bの上方に配置し、固体電解質膜12を上方から基材Bに接触させ、固体電解質膜12を基材Bに一定の圧力で押圧する。ここで、本実施形態では、成膜装置1に油圧または空圧で押圧する押圧部(装置)を設けていないが、押圧部を用いて、ケーシング14の上方から固体電解質膜12を基材Bに一定の圧力で押圧してもよい。このような状態で、陽極11と陰極である基材Bとを、電源部13により電気的に接続する。
本実施形態では、図1(b)の如く、固体電解質膜12を基材Bに接触させた状態で、液圧変動部31で液収容部14aの液圧を変動させながら、電源部13を用いて、陽極11と陰極となる基材Bとの間に電圧を印加する。これにより、固体電解質膜12に含有した金属イオンは、固体電解質膜12に接触した基材Bの表面に移動し、基材Bの表面で還元される。これにより基材B表面に金属を析出させ、基材Bの表面に金属皮膜Fを成膜する。この際、液収容部14aには、電解液L1が収容されているので、金属イオンを固体電解質膜12に常時供給することができる。
さらに、図2に示すように、成膜時に、水分が電気分解して、基材Bの周縁に水素ガスGが発生したとしても、固体電解質膜12を基材Bに接触させた状態で、液収容部14aの液圧を変動させることにより、基材Bの周縁から水素ガスGを逃すことができる。加えて、基材Bの周りは、浸漬液L2に浸されているため、水素ガスGが逃げやすくなる。このように、水素ガスGを排出することで、金属皮膜Fの周縁のヤケを防止することができる。
なお、上述した成膜方法では、浸漬部21にまず基材Bを収容した後、浸漬液L2を収容する例を説明したが、これに限定されず、浸漬部21にまず浸漬液L2を収容した後、基材Bを収容してもよい。
以下に、本発明を実施例により説明する。
<実施例1>
図1に示す成膜装置1を用いて、銅ブロック基材(18×35×厚さ3mm)の表面に、成膜面積が18×35mmとなるように、ニッケル皮膜を成膜した。浸漬液として、純水を用い、電解液に、塩化ニッケルと酢酸ニッケルとを含有した水溶液(1M、pH4.0)を用い、陽極には発泡ニッケル、固体電解質膜には、ナフィオン(登録商標)NRE212(デュポン社製)を使用した。基材の周りを純水で浸すように浸漬部に基材を収容し、加圧力0.1MPaで固体電解質膜を基材に密着させた状態で、液圧変動部で液圧を変動させながら、電流密度150mA/cm2、温度70℃、成膜時間3分20秒で、ニッケル皮膜を成膜した。この成膜を繰り返し行って、ニッケル皮膜を成膜した銅ブロック基材を複数枚作製した。
図1に示す成膜装置1を用いて、銅ブロック基材(18×35×厚さ3mm)の表面に、成膜面積が18×35mmとなるように、ニッケル皮膜を成膜した。浸漬液として、純水を用い、電解液に、塩化ニッケルと酢酸ニッケルとを含有した水溶液(1M、pH4.0)を用い、陽極には発泡ニッケル、固体電解質膜には、ナフィオン(登録商標)NRE212(デュポン社製)を使用した。基材の周りを純水で浸すように浸漬部に基材を収容し、加圧力0.1MPaで固体電解質膜を基材に密着させた状態で、液圧変動部で液圧を変動させながら、電流密度150mA/cm2、温度70℃、成膜時間3分20秒で、ニッケル皮膜を成膜した。この成膜を繰り返し行って、ニッケル皮膜を成膜した銅ブロック基材を複数枚作製した。
<実施例2>
実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。ただし、実施例2では、浸漬液として、電解液と同様のニッケルを含有した水溶液を用いた点が実施例1とは異なる。
実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。ただし、実施例2では、浸漬液として、電解液と同様のニッケルを含有した水溶液を用いた点が実施例1とは異なる。
<比較例1>
実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。ただし、比較例1では、銅ブロック基材を純水に浸漬せず、また、液圧変動部による液圧を変動させなかった点が実施例1とは異なる。
実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。ただし、比較例1では、銅ブロック基材を純水に浸漬せず、また、液圧変動部による液圧を変動させなかった点が実施例1とは異なる。
<比較例2>
実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。ただし、比較例2では、図6に示す成膜装置を用いた点が実施例1とは異なる。なお、図6に示す成膜装置は、特開2016−169399号公報に記載の第6実施形態に係る成膜装置に対応している。具体的には、比較例2では、銅ブロック基材の純水への浸漬および液圧変動部による液圧の変動に代えて、振動部による銅ブロック基材の振動および吸引部による固体電解質膜の吸引を行った。
実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。ただし、比較例2では、図6に示す成膜装置を用いた点が実施例1とは異なる。なお、図6に示す成膜装置は、特開2016−169399号公報に記載の第6実施形態に係る成膜装置に対応している。具体的には、比較例2では、銅ブロック基材の純水への浸漬および液圧変動部による液圧の変動に代えて、振動部による銅ブロック基材の振動および吸引部による固体電解質膜の吸引を行った。
<比較例3>
銅ブロック基材を純水に浸漬しなかった以外は、実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。
銅ブロック基材を純水に浸漬しなかった以外は、実施例1と同様にして、ニッケル皮膜を成膜した。
<成膜状態の評価>
実施例1、2および比較例1〜比較例3に係るニッケル皮膜のヤケの発生の有無を顕微鏡により観察した。また、実施例1および比較例1、2に係るヤケの発生の頻度(ヤケ発生率)を評価した。なお、ヤケの発生の頻度は、ニッケルを成膜した基材の数に対するヤケが発生した基材の数の割合(%)である。
実施例1、2および比較例1〜比較例3に係るニッケル皮膜のヤケの発生の有無を顕微鏡により観察した。また、実施例1および比較例1、2に係るヤケの発生の頻度(ヤケ発生率)を評価した。なお、ヤケの発生の頻度は、ニッケルを成膜した基材の数に対するヤケが発生した基材の数の割合(%)である。
[結果・考察]
実施例1、2に係る顕微鏡観察の結果を図3に示し、比較例1〜比較例3のうち、比較例1、3に係る顕微鏡観察の結果を図4に示す。また、実施例1および比較例1、2に係るヤケの発生の頻度の評価結果を図5に示す。
実施例1、2に係る顕微鏡観察の結果を図3に示し、比較例1〜比較例3のうち、比較例1、3に係る顕微鏡観察の結果を図4に示す。また、実施例1および比較例1、2に係るヤケの発生の頻度の評価結果を図5に示す。
図3(a)、(b)に示すように、実施例1、2では、ヤケの発生が認められなかった。一方、図4(a)〜図4(c)に示すように、比較例1、3では、ニッケル皮膜の周縁にヤケ(ニッケルの析出異常による変色)の発生が認められた。なお、顕微鏡写真を示していないが、比較例2でもニッケル皮膜の周縁にヤケの発生が認められた。また、図5からわかるように、比較例1、2と比べて、実施例1では、ヤケの発生頻度が顕著に低下した。
この結果から、実施例1、2の如く、基材の周りを浸漬液で浸すように浸漬部に収容した基材に固体電解質膜を密着させた状態で、液圧変動部で液圧を変動させることにより、金属皮膜の周縁に発生するヤケを防止することができるといえる。具体的には、固体電解質膜を基材に接触させた状態で、液収容部の液圧を変動させることにより、基材の周縁から、成膜時に発生する水素ガスを逃すことができる。さらに、基材の周りは、浸漬液に浸されているため、水素ガスが逃げやすくなる。このように水素ガスを排出することで、ヤケを防止することができる。
一方、比較例1および比較例2の如く、基材を浸漬液に浸漬せず、液圧変動部で液圧を変動させない場合、比較例3の如く基材を浸漬していない場合には、成膜時間が経過するにしたがって、基材の周縁に水素ガスが発生して、基材の周縁に溜まった水素ガスにより、金属皮膜の周縁にヤケが発生したといえる。
また、図5からわかるように、図6に示す従来の成膜装置を用いた比較例2では、比較例1よりもヤケ発生頻度は減少したが、実施例1の如く、大幅な減少には至らなかった。比較例2では、載置台側から吸引部で吸引することにより固体電解質膜と基材とを密着させるため、吸引により固体電解質膜と基材とが密着した後に固体電解質膜と基材との周縁に発生した水素ガスを排出し難いと考えられる。そのため、特に、電界集中が起こりやすい基材周縁部において、ヤケの発生を十分に低減できなかったと考えられる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:成膜装置、11:陽極、12:固体電解質膜、13:電源部、14a:液収容部、20:載置台、21:浸漬部、31:液圧変動部、B:基材、F:金属皮膜、L1:電解液、L2:浸漬液
Claims (1)
- 陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記固体電解質膜を上方から前記基材に接触させた状態で前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置であって、
前記成膜装置には、前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記金属イオンを含む電解液が前記陽極と前記固体電解質膜とに接触するように前記電解液を収容する液収容部が形成されており、
前記成膜装置は、前記固体電解質膜を前記基材に接触させた状態で、前記液収容部の液圧を変動させる液圧変動部、および、前記固体電解質膜に対向した位置で、前記基材を載置する載置台を備えており、
前記載置台には、前記基材を収容した状態で、前記基材の周りに浸漬液を浸す浸漬部を備えることを特徴とする金属皮膜の成膜装置。
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---|---|---|---|---|
WO2024075533A1 (ja) * | 2022-10-06 | 2024-04-11 | 株式会社Jcu | 金属皮膜の成膜装置及び金属皮膜の成膜方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2024075533A1 (ja) * | 2022-10-06 | 2024-04-11 | 株式会社Jcu | 金属皮膜の成膜装置及び金属皮膜の成膜方法 |
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