JP2021528959A - 細胞内で存続する遺伝子送達のためのベクター - Google Patents

細胞内で存続する遺伝子送達のためのベクター Download PDF

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Abstract

標的細胞への核酸配列の送達のためのベクターが本明細書に開示される。ベクターは、非ウイルスDNA構築物である。ベクターは、少なくとも1個のDD−ITRと、発現を促進する調節性エレメントに作動的に連結した核酸配列の相補的コピーとを有する。構築物は、ヘアピン構造を有する共有結合性閉鎖末端を有し、分裂する際にレシピエント細胞内で存続する。標的細胞へのベクターの送達は、標的細胞における核酸配列の持続した発現をもたらす。少なくとも1個の合成ITRを有するDNAベクター構築物であって、ヘアピン共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNAを形成する、DNA構築物も開示される。構築物を生成し、標的細胞に導入し、これにより、その中に含有される核酸配列の持続した発現を促進する方法も開示される。ベクターを含有する細胞およびその集団がさらに開示される。

Description

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2018年6月22日に出願された米国特許仮出願第62/688,982号;2018年6月25日に出願された米国特許仮出願第62/689,453号;2018年7月13日に出願された米国特許仮出願第62/697,750号;および2018年8月10日に出願された米国特許仮出願第62/717,310号の利益を主張し、これらの内容全体はそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、遺伝子療法のため等の、核酸配列の無細胞産生、哺乳動物細胞への導入および発現のためのベクターおよび方法の分野に関する。
外因性DNAによってコードされるタンパク質の長期発現をもたらすような様式で、外因性DNAを導入することが望ましい。ウイルスに基づくプロトコールが開発されたが、それによると、ウイルスベクターは、細胞への外因性DNAの導入に用いられ、その後、導入されたDNAを標的細胞のゲノムに組み込むことができる、またはエピソームに残すことができる。用途が見出されるウイルスに基づくベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルスに基づくベクター、アデノウイルス由来ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来ベクター、HSV由来ベクター、シンドビス由来ベクター等を含む。AAVベクターの使用に大きな関心が集中した。最も一般的な12種の血清型が存在する。AAVベクターの産生のための典型的な方法は、ビリオンの形成のためにAAV rep(repは、AAVの複製の開始に要求される)およびcap(capは、AAVの産生に必要とされる)遺伝子を発現する、昆虫細胞、例えば、SF−9または哺乳動物細胞等の細胞を使用し、これらの細胞に、目的の遺伝子に作動可能に連結したプロモーターを含有するカセットに隣接するAAV逆位末端反復配列(ITR)を有するプラスミドを導入している。例えば、アデノウイルスまたは単純ヘルペスウイルスに由来する、ウイルスヘルパー遺伝子を有する追加的なプラスミドも、形質導入に使用されるパッケージングされたAAVカプシドを複製して得るために必要とされる。しかし、AAV産物からヘルパーウイルス、例えば、アデノウイルスを完全に排除することは困難である。加えて、ウイルスタンパク質の使用は、望まれない免疫応答を誘発し得る。
したがって、コードされるタンパク質または核酸、例えば、治療用タンパク質または核酸の存続性長期発現をもたらすために、ベクターの産生のさらなる方法、および外因性核酸を細胞にトランスフェクトするためのさらなる方法の開発への継続した関心がある。
本発明の態様は、ヘルパーウイルスの必要がない遺伝子送達のためのベクターを生成するための、in vitro無細胞環境に関する。この無細胞合成は、ベクター産生のための使用に対し、より容易でかつより安全である。しかし、当業者であれば、本明細書に記載される無細胞方法が、治療的使用に好まれ得るが、本明細書に記載されるベクターは、細胞、例えば、細菌、哺乳動物または昆虫細胞内で産生することもできることを理解するであろう。
本発明の態様は、また、持続した発現のために、核酸構築物を標的細胞に導入するための方法およびベクター構築物に関する。一態様では、本方法は、i)A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列;ii)D’領域を含む少なくとも1個のDD−ITRであって;iii)DおよびD’領域が、相補的パリンドローム配列であり、DおよびD’が、AおよびA’領域に近接して位置する、少なくとも1個のDD−ITRを含む共有結合性閉鎖(covalently closed)直鎖状非ウイルスDNA構築物を標的細胞に投与するステップを含む。一実施形態では、領域は、パルボウイルスITR、例えば、AAV A、A’、B、B’、C、C’およびD領域に対応する。一実施形態では、ITRは、野生型ITR、突然変異体ITRまたは合成ITRであるパルボウイルスITRに対応する。DNAベクター構築物は、発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列に作動可能に連結したプロモーターを含有するカセットを含む核酸構築物の相補鎖をさらに含み、DNA構築物は、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し、DNA構築物は、標的細胞において所定のDNA配列を発現することができる。一実施形態では、共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNA構築物は、例えば、図1に説明されている通り、少なくとも2個のDD−ITRを含む。
本発明の態様は、さらに、持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸配列(例えば、異種遺伝子)の送達のためのDNAベクターに関する。DNAベクターは、a)i)A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列;ii)D’領域を含む少なくとも1個のDD−ITRであって;iii)DおよびD’領域が、相補的パリンドローム配列であり、DおよびD’が、AおよびA’領域に近接して位置する、少なくとも1個のDD−ITR;b)発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列を含む核酸構築物の相補鎖を含む、持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸の送達のための共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNAベクターであり;c)DNAベクター構築物は、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し;d)DNAベクター構築物は、標的細胞において所定のDNA配列を発現することができる。一実施形態では、領域は、パルボウイルスITR、例えば、AAV A、A’、B、B’、C、C’およびD領域に対応する。一実施形態では、ITRは、野生型ITR、突然変異体ITRまたは合成ITRに対応する。DNAベクター構築物は、発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列に作動可能に連結したプロモーターを含有するカセットを含む核酸構築物の相補鎖をさらに含み、DNA構築物は、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し、DNA構築物は、標的細胞において所定のDNA配列を発現することができる。一実施形態では、ベクターは、所定の異種導入遺伝子、例えば、タンパク質または核酸を発現する共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNAの場面において、核酸に隣接する少なくとも2個のDD−ITRを含む。本ベクターの一実施形態は、図1の下部に説明されている。ベクターは、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する、実質的に相補的(complimentary)なDNAである。一実施形態では、D領域は、約20ntの長さである。DおよびD’領域は、領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有することができる。一実施形態では、保持された核酸は、ニッキング部位、ならびに/またはAおよびA’領域とDおよびD’領域との接合部を含むことができる。
本発明の態様は、さらに、持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸配列の送達のためのDNAベクターに関する。ベクターは、2個のDD−ITRを含み、2個のDD−ITRはそれぞれ、i)A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列;
ii)D’領域を含み;iii)DおよびD’領域は、相補的パリンドローム配列であり、AおよびA’領域に近接して位置する。ベクターは、所定の核酸配列をさらに含む。2個のDD−ITRは、共有結合性閉鎖非ウイルスDNA、例えば、ミニサークルDNAの場面において、核酸に隣接し、ベクターの大部分は、非細菌配列である。
本発明の態様は、持続した発現のために核酸を標的細胞に導入するための方法であって、共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を標的細胞に投与するステップを含む方法に関する。DNA構築物は、図5に示すITRからなる群から選択される少なくとも1個のITR配列、核酸構築物の相補鎖を含み、核酸構築物は、所定のDNA配列を含み、相補鎖は、発現可能なdsDNA中にアニールすることができ;DNA構築物は、ヘアピン共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNAを形成する。
本発明のさらなる態様は、構築物DNAを含む組換えウイルス粒子を産生するための、共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNA(時に、閉鎖直鎖状DNA)の使用に関する。これは、少なくとも2個のDD−ITRを含む閉鎖直鎖状DNA構築物(例えば、図1を参照)を、(1)DD−ITRの少なくとも1個にニックを入れるのに必要なAAV Repタンパク質を発現することができ、(2)ITRおよび介在DNA配列をカプシドで包むことができる、ビリオン(ウイルス粒子)の形成に必要なパルボウイルスウイルスカプシドタンパク質、例えば、AAV等のディペンドウイルスを発現することができるベクターまたはプラスミドと共に、宿主細胞に添加することが関与する。宿主細胞において、DD−ITRが分解し、複製が、Repの存在下、自己プライムしたITRから開始されて、パッケージングすることができるベクターゲノムを産生する。好ましくは、介在DNA配列は、治療用遺伝子配列等の導入遺伝子配列を含有する。例えば、AAV ITRにニックを入れる特定のRepタンパク質は、典型的に、同じ血清型に由来する(例えば、AAV2 ITRとAAV2 Rep78)が、AAV ITRおよびAAV Repタンパク質が同じ血清型に由来する状況と比較して、少なくとも25%...35%...50%...65%...75%...85%...90%...95%...98%...100%またはいずれか介在するパーセントもしくはより大きいパーセントのニッキング有効性を保持する限りにおいて、いかなる血清型を使用してもよい。この方法を使用して、ITRおよびその介在DNA配列、例えば、導入遺伝子を含有する大量のウイルス粒子を調製することができる。DD−ITRを含有する閉鎖直鎖状ベクターの使用は、より効率的である、すなわち、二重Dを持たない閉鎖直鎖状ベクターと比較して、より高い収率のパッケージングされたゲノム、感染性ウイルス粒子をもたらし、ウイルス粒子は、いかなる混入プラスミドDNAも持たない。
この方法を用いて、合成ITRまたは自己相補的二量体AAV配列(sc二量体)等を含有するAAV粒子等、いずれか公知のAAV粒子を産生することができる。当業者は、典型的なAAV粒子が、一本鎖DNAゲノムをパッケージングし、約5,000ntを超えてパッケージングすることができないことが分かっており、よって、パッケージング可能なサイズとなるように、初期非ウイルス閉鎖直鎖状DNA構築物の設計には注意を払う。一実施形態では、パッケージングされた自己相補的配列が所望される場合、rAAVベクター鋳型として使用される初期非ウイルス閉鎖直鎖状DNA構築物は、例えば、Repニック欠陥ITRまたはヘアピン配列を有することができる。例えば、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,465,583号、同第7,790,154号、同第8,361,457号、同第8784799号を参照されたい。一実施形態では、鋳型は、およそ1/2サイズの鋳型であり、DD−ITRの1個は、Repニック受容能力がないITRである。一実施形態では、ニック欠陥ITRまたはヘアピン配列は、2個のRepニック受容能力があるDD−ITRの間に配置され、ニック欠陥ITRまたはヘアピン配列は、さらに、導入遺伝子のセンスおよびアンチセンス配列の間に存在する。いずれの場合でも、鋳型の複製後に、センスおよびアンチセンス配列は、ITRの間のDNAの一本鎖に存在し、このベクターゲノムをパッケージングすることができる。
宿主細胞は、Repおよびウイルスカプシドタンパク質を既に発現していてよい、または細胞を、標準手段によって同時にもしくはほぼ同時にコトランスフェクトすることができる。当技術分野で使用される公知の細胞型のいずれかを、このプロセスにおいて使用することができる。例えば、哺乳動物細胞または昆虫細胞、例えば、バキュロウイルスを使用することができる。
本明細書に記載されるベクターを含む医薬組成物も提供される。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、ITR配列は、いずれかの側において相補配列DおよびD’に隣接する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、D領域は、ニッキング部位を含有する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、D領域は、少なくとも5ヌクレオチドの長さである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、D領域は、約20ntの長さである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、D領域は、パルボウイルスITRのパルボウイルスD領域に対応する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、パルボウイルスは、ディペンドウイルスである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、ディペンドウイルスは、AAVである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、所定のDNA/核酸配列は、プロモーターに作動可能に連結されている。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、ITRは、プロモーターとして作用している。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、プロモーターは、ITRから離れている。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DD−ITRは、所定のDNA/核酸配列の発現を駆動する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DおよびD’領域は、領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、保持された核酸は、ニッキング部位、ならびに/またはAおよびA’領域とDおよびD’領域との接合部を含む。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、所定のDNA配列/核酸配列は、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、機能的RNAは、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DおよびD’領域と所定のDNA配列/核酸との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DおよびD’領域とプロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、スペーサーは、少なくとも5ヌクレオチドである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、スペーサーは、少なくとも20ヌクレオチドである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、スペーサーは、少なくとも25ヌクレオチドである。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、少なくとも1個のDD−ITRは、AAV ITR、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DNA構築物は、2個またはそれよりも多いDD−ITRを含む。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、D領域は、ITRとは異なる血清型(stereotype)に由来する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、複数のDD−ITRが存在し、DD−ITRの1種または複数は、その他(複数可)とは異なるウイルス血清型に由来する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、AおよびA’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DNA構築物は、部分的プロテロメラーゼ(protelomerase)結合部位をさらに含み、共有結合性閉鎖末端は、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DNA構築物は、標的細胞内で存続し、所定の配列の持続した発現をもたらす(例えば、複製または組換えのいずれかの結果として)。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、DNA構築物は、細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、標的細胞における所定のDNA配列の持続した発現は、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、コンカテマー構造は、標的細胞において存続し、所定の配列の持続した発現をもたらす(例えば、複製または組換えのいずれかの結果として)。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、コンカテマー構造は、標的細胞において染色体外で存続する。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、コンカテマー構造は、標的細胞染色体中に組み込まれる。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、核酸は、治療用核酸である。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、標的細胞は、in vitroにある。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、標的細胞は、in vivoにある。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、構築物は、ex vivoで標的細胞に投与される。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、標的細胞は、遺伝的に欠損した細胞および/または罹患した細胞である。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、標的細胞は、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される。
本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法によって産生された、細胞またはその集団に関する。
定義
単数形形態の「1つの(a)」および「1つの(an)」は、文脈がそれ以外を明らかに示さない限り、複数形形態も同様に含むことを意図する。
用語「約」とは、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の長さの量、用量、時間、温度およびその他等の測定可能な値を指すのであれば、指定の量の20%、10%、5%、1%、0.5%またはさらには0.1%の変動を包含することを意味する。
本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する収載された物品のうち1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せと共に、二者択一(alternative)(「または」)で解釈される場合は組合せの欠如を指し、これを包含する。
用語「パルボウイルス」は、本明細書で使用される場合、自律的複製パルボウイルスおよびディペンドウイルスを含む、Parvoviridae科を包含する。自律的パルボウイルスは、Parvovirus、Erythrovirus、Densovirus、IteravirusおよびContravirus属のメンバーを含む。例示的な自律的パルボウイルスとして、マウスの微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎血球減少症(panlcukopenia)ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、HIパルボウイルス、ノバリケン(muscovy duck)パルボウイルス、ヘビパルボウイルスおよびB19ウイルスが挙げられるがこれらに限定されない。他の自律的パルボウイルスが、当業者にとって公知である。例えば、FIELDS et al. VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
Dependovirus属は、AAV 1型、AAV 2型、AAV 3型(3Aおよび3B型を含む)、AAV 4型、AAV 5型、AAV 6型、AAV 7型、AAV 8型、AAV 9型、AAV 10型、AAV 11型、AAV 12型、AAV 13型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ヤギAAV、ヘビAAV、ウマAAVおよびヒツジAAVが挙げられるがこれらに限定されない、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含有する。例えば、図8〜図19;FIELDS et al. VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
本明細書で使用される場合、用語「アデノ随伴ウイルス」(AAV)として、AAV 1型、AAV 2型、AAV 3型(3Aおよび3B型を含む)、AAV 4型、AAV 5型、AAV 6型、AAV 7型、AAV 8型、AAV 9型、AAV 10型、AAV 11型、AAV 12型、AAV 13型、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、および現在公知のまたは後に発見される他のいずれかのAAVが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、FIELDS et al. VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。いくつかの比較的に新しいAAV血清型およびクレードが同定された(例えば、Gao et al. (2004) J. Virol. 78:6381;Moris et al. (2004) Virol. 33-:375を参照)。
用語「逆位末端反復配列」または「ITR」は、ヘアピン構造を形成し、逆位末端反復配列として機能する(すなわち、複製、組み込みおよび/またはプロウイルスレスキューおよびその他等、所望の機能を媒介する)、いずれかのウイルス末端反復または合成配列を含む。ITRは、AAV ITRまたは非AAV ITRとなることができる。例えば、他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス、ウシパルボウイルス、マウスパルボウイルス、ブタパルボウイルス、ヒトパルボウイルスB−19)のもの等の非AAV ITR配列、またはSV40複製の起点として機能するSV40ヘアピンを、トランケーション、置換、欠失、挿入および/または付加によってさらに改変することができるITRとして使用することができる。さらに、ITRは、図5に示し、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,169,494号に記載されている通り、部分的にまたは完全に合成となることができる。典型的には、ITRは、145ヌクレオチドである。末端125ヌクレオチドは、パリンドローム二本鎖T字形ヘアピン構造を形成する。構造において、A−A’パリンドロームは、ステムを形成し、2個の小さい方のパリンドロームB−B’およびC−C’は、Tの交差アーム(cross-arm)を形成する。D配列における他の20ヌクレオチドは、一本鎖のままである。AAVゲノムの場面において、ゲノムの各末端に1個存在する、2個のITRが存在し、ITR毎に単一のD配列、DまたはD’が存在するであろう。
DD−ITRは、それが由来する配列と同じ配列のITRを有するが、A配列に近接する第2のD配列を含み、よって、DおよびD’が存在する。DおよびD’は、アニールすることができる(例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,478,745号に記載されている通り)。各Dは典型的に、約20ntの長さであるが、5ヌクレオチドもの小ささとなることができる。より短いD領域は、A−D接合部を保存する(例えば、A−D接合部を保存する、3’末端における欠失によって生成される)。好ましくは、D領域は、ニッキング部位および/またはA−D接合部を保持する。DD−ITRは典型的に、約165ヌクレオチドである。DD−ITRは、シスで、DNA構築物の複製のための情報を提供する能力を有する。よって、DD−ITRは、DおよびD’エレメントに隣接する反転したパリンドローム配列、例えば、図1に説明される通り、ホリデイ(Holiday)構造を形成することができる、例えば、5’−DABB’CC’A’D’−3’の5’から3’配列の(+)鎖および5’−DACC’BB’A’D’−3’の5’から3’配列を有する(+)鎖と相補的(complimentary)な(−)鎖を有する。ある特定の実施形態では、DD−ITRは、DおよびD’エレメントを依然として保持しつつ、その構成成分(例えば、A〜C)に欠失を有することができる。ある特定の実施形態では、ITRは、ホリデイ構造を形成する能力を依然として保持し、2コピーのDエレメント(DおよびD’)を保持しつつ、欠失を含む。DD−ITRは、ネイティブAAV ITRまたは合成ITRから生成することができる。ある特定の実施形態では、欠失は、B領域エレメントに存在する。ある特定の実施形態では、欠失は、C領域エレメントに存在する。ある特定の実施形態では、欠失は、ITRのBおよびCエレメントの両方の内に存在する。一実施形態では、Bおよび/またはCエレメント全体が欠失され、例えば、単一のヘアピンエレメントに置き換えられる。
「AAV逆位末端反復配列」または「AAV ITR」は、血清型1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは13、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、または現在公知のもしくは後に発見される他のいずれかのAAV(例えば、表1を参照)が挙げられるがこれらに限定されない、いずれかのAAVに由来することができる。末端反復が、所望の機能、例えば、複製または組み込みを媒介する限りにおいて、AAV ITRは、ネイティブ末端反復配列を有する必要がない(例えば、ネイティブAAV ITR配列は、挿入、欠失、トランケーションおよび/またはミスセンス突然変異によって変更されてよい)。
本明細書で使用される場合、用語「合成ITR」は、野生型ITRとはヌクレオチド配列が異なる、天然に存在しないITR、例えば、1個または複数の欠失、付加、置換またはこれらのいずれかの組合せによるAAV血清型2 ITR(ITR2)配列を指す。合成および野生型ITR(例えば、ITR2)配列の間の差は、単一のヌクレオチド変化、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、60、70、80、90もしくは100個またはそれよりも多いヌクレオチド、またはその中のいずれかの範囲の変化もの少なさとなることができる。一部の実施形態では、合成および野生型ITR(例えば、ITR2)配列の間の差は、約100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1ヌクレオチド以下またはその中のいずれかの範囲となることができる。
本発明の一部の実施形態では、D領域は、A、BおよびC領域とは異なる血清型に由来する。
用語「ヌクレオチド配列」および「核酸」、DNA配列は、本明細書で互換的に使用され、標的細胞へと送達されるべき配列を指す。一般に、核酸は、目的のポリペプチドまたは非翻訳RNAをコードするオープンリーディングフレームを含む(例えば、細胞または対象への送達のための)。核酸配列は、調節性配列をさらに含むことができ、それらの組合せは、導入遺伝子または発現構築物と称することができる。好ましくは、核酸は、ITRと共に天然に存在しない異種である(例えば、ITRが由来するウイルスには天然に存在しない)。かかる核酸は、異種と称される。
「プロモーター」は、ポリヌクレオチドの転写を開始および調節するヌクレオチド配列である。プロモーターは、誘導性プロモーター(プロモーターに作動可能に連結したポリヌクレオチド配列の発現が、分析物、補因子、調節タンパク質等によって誘導される場合)、抑圧性プロモーター(プロモーターに作動可能に連結したポリヌクレオチド配列の発現が、分析物、補因子、調節タンパク質等によって抑圧される場合)および構成的プロモーターを含むことができる。用語「プロモーター」または「制御エレメント」は、全長プロモーター領域およびこのような領域の機能的(例えば、転写または翻訳を制御する)セグメントを含むことが意図される。
「作動可能に連結した」は、そのように記載された構成成分が、その通常機能を果たすことができるように構成された、エレメントの配置を指す。よって、核酸配列に作動可能に連結した所与のプロモーターは、適切な酵素が存在する場合、当該配列の発現をもたらすことができる。プロモーターは、その発現を方向付けるように機能する限りにおいて、配列と近接している必要ない。よって、例えば、介在する、翻訳されないが転写される配列が、プロモーター配列および核酸配列の間に存在することができ、プロモーター配列は依然として、コード配列に「作動可能に連結した」と考えることができる。よって、用語「作動可能に連結した」は、転写複合体によるプロモーターエレメントの認識後に、目的のDNA配列の転写開始を可能にする、プロモーターエレメントおよび目的のDNA配列のいずれかのスペーシングまたは配向を包含することを意図する。
プロテロメラーゼ標的配列は、いずれかのDNA配列であり、DNA鋳型におけるその存在は、プロテロメラーゼの酵素活性による、それから閉鎖直鎖状DNAへの変換を可能にする。換言すると、プロテロメラーゼ標的配列は、共有結合性閉鎖直鎖状DNAを形成するための、プロテロメラーゼによる二本鎖DNAの切断および再ライゲーションに要求される。
典型的には、プロテロメラーゼ標的配列は、完全反転反復としても本明細書に記載される、いずれかの完全パリンドローム配列、すなわち、2回回転対称を有するいずれかの二本鎖DNA配列を含む。それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,109,250号に示す通り、様々な中温性バクテリオファージおよび細菌プラスミド由来のプロテロメラーゼ標的配列は全て、完全反転反復を含むという共通の特色を共有する。完全反転反復の長さは、特定の生物に応じて異なる。Borrelia burgdorferiにおいて、完全反転反復は、14塩基対の長さである。様々な中温性バクテリオファージにおいて、完全反転反復は、22塩基対またはそれよりも長い長さである。また、一部の事例では、例えば、E.coli N15において、中央完全反転パリンドロームは、反転反復配列に隣接する、すなわち、より大きい不完全反転パリンドロームの一部分を形成する。
用語「鎖置換」は、DNA合成中の二本鎖DNAの領域の遭遇の際に、相補鎖を置換するDNAポリメラーゼの能力を表すように本明細書で使用される。
用語「接触」は、宿主系(例えば、無細胞または細胞)への核酸(例えば、鋳型、DNA)の送達に関連して本明細書で使用される場合、宿主系中に存在するように、核酸(例えば、DNA鋳型またはプラスミド鋳型)を宿主系へと配置することを広範に指す。より狭い意味では、接触は、本明細書に記載される、宿主系に鋳型またはプラスミド鋳型を配置するいずれか適切な手段を指す。接触は、例えば、環状核酸が、宿主細胞機構によって産生されるような、細胞の内部に鋳型が適切に輸送されるような手段によって為すことができる。かかる接触は、例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔またはリポフェクションが関与し得る。
図1は、プロテロメラーゼの活性を介した、本発明の共有結合性閉鎖直鎖状DNAベクター構築物の実施形態の生成の説明である。プロテロメラーゼは、プロテロメラーゼ結合部位に結合し、2本の鎖を切断しライゲーションして、共有結合性閉鎖末端を生成し、ライゲーションされた部分に部分的プロテロメラーゼ結合部位を残す。本実施形態では、部分的プロテロメラーゼ結合部位は、所定の配列(例えば、タンパク質または核酸配列をコードする導入遺伝子)に隣接する2個のDD−ITRに隣接する。ベクターは、その天然状態(アニールされた)でヘアピン末端を有する共有結合性閉鎖直鎖状二本鎖ベクターであり、標的細胞において導入遺伝子を発現することができる。ベクターは、完全に変性された場合、DNAの1つの近接共有結合性閉鎖一本鎖において相補的(complimentary)導入遺伝子配列を有する一本鎖共有結合性閉鎖環を形成するであろう;復元後に、相補的(complimentary)配列が再アニールするであろう。これは、導入遺伝子の発現のための相補的(complimentary)配列が、変性されたときに別々の一本鎖共有結合性閉鎖分子に存在する、導入遺伝子を発現することができる共有結合性閉鎖環状二本鎖DNA分子、例えば、プラスミドDNAとは対照的である。
図2は、細胞内で存続して持続した遺伝子発現をもたらすコンカテマー構造をもたらす、in vivoで起こり得る、本発明のDNAベクター構築物の一実施形態の組換えの説明である。
図3は、分解後にin vivoでライゲーションすることができる、またはin vivoで自己複製して、例えば、単量体およびコンカテマー構造を形成し、これにより持続した遺伝子発現をもたらすことができる、構造を生成するための、AAV Repタンパク質の非存在下、in vivoでのDD−ITR分解を示す、本発明のDNAベクター構築物の実施形態の説明である。
図4は、プロテロメラーゼの活性を介した、本発明の共有結合性閉鎖DNAベクター構築物の別の実施形態の生成の説明である。プロテロメラーゼは、プロテロメラーゼ結合部位に結合し、2本の鎖を切断しライゲーションして、共有結合性閉鎖末端を生成し、ライゲーションされた部分に部分的プロテロメラーゼ結合部位を残す。このような構築物は、細胞において組換えることもできる。
図5は、本発明における使用のためのキメラITRを収載する。ITR2、ITR5、ITR5+2SNS、ITR2+5SNS、ITR5+2NS、ITR2+5NS、ITR2−TA、ITR5+TA、ITR2−GC、ITR5+GC、ITR2−2nt、ITR2 5nt、ITR2+7、ITR2 9nt、ITR2 10nt、ITR2 11nt、ITR2 15nt、ITR5 3nt、ITR5 Ent、ITR5 9 bp NS、ITR5 21nt、ITR5 30nt、ITR5 GAGY、ITR5 GAGYなし、ITR2+8nt GAGY、ITR5スペーサーRBE、ITR2+8−8スペーサーRBE、ITR5とITR2ヘアピン、ITR2ヘアピンなし、ITR2 T1、ITR2 T2、ITR2 T2 #2、ITR2 T3、ITR2 T4、ITR5+3ntスペーサー&ITR5 NS、およびITR2 pHpa8。これらのITRは本来、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,169,494号に開示された。 同上。 同上。 同上。
図6は、PCR増幅されEcoRIカットされた二重Dの、プラスミドpGEM−3’ZのEcoRI部位へのクローニングの説明である。
図7は、ウイルス粒子の調製の概略図である。
図8は、プロテロメラーゼ標的部位telRLを示す。感染後のファージN15のDNAは、テロメア分解部位telRLを含有する環状DNAからなる。この部位は、右および左アームとしてtelRおよびtelLを有するパリンドロームである。矢印は、パリンドロームにおける反転反復(各28bp)およびドットの中断を示す。中央の22bpパリンドロームtelOは、プロテロメラーゼTelNによる認識および切断に要求される。TelNは、telO内でDNAを切断し、その結果得られる末端を連接して、どちらの末端にも2個の共有結合性閉鎖ヘアピンを形成する。28bp配列telRおよびtelLは、直鎖状N15プロファージDNA(「doggybone」)の末端も命名する。
図9A〜図9Cは、ミニlc−DNAからのEGFPの発現から予想される結果を示す。(図9A)プラスミドpDD3(左)において、2個のtelRL部位は、EGFPの転写単位に隣接する。プロテロメラーゼとpDD3との反応は、2個の直鎖状閉鎖直鎖状DNA断片である、EGFP発現ミニlc−DNA(右)およびベクター骨格(図示せず)をもたらす。プロテロメラーゼ標的部位内の2個のMunI認識部位が使用されて、対照と同じサイズのミニlo−DNAを生成する。(図9B)ミニlc−DNA(lc)およびミニlo−DNA(lo)の調製物のアリコート(各0.2μg)は、1.2%アガロースゲル電気泳動に付されるであろう。親プラスミド(ccc)は、TelN(lc)またはMunI(lo)のいずれかでカットされて、同一の長さの2個の断片となるであろう(画分I)。次に、ベクター骨格は、HaeIIを使用して消化され(画分II)、ミニDNAが精製される(画分III)。ベクターDNAの非存在は、HaeIIによる処置によって検証されて、ベクター由来の消化産物について検査するであろう。PstIを使用して、ミニDNAの消化後に残っているベクター断片について検査するであろう(画分III)。PstIが、親ccc−DNAを1回のみカットすることを実証するために、親プラスミド(ccc)が含まれるであろう。(図9C)HEK293細胞は、それぞれミニlc−DNA(lc)、ミニlo−DNA(lo)または親DNA(ccc)(各6nmol)を含有するDNA(総計0.7μg)を一過的にトランスフェクトされるであろう。対照として、ベクター(c)が使用されるであろう。トランスフェクション効率は、EGFP−CNK.CT発現プラスミド(pEGFPc2−CNK.CT、0.35μg)によるコトランスフェクションによって制御されるであろう。DNAの総量は、ベクターDNAにより調整されるであろう。EGFPおよびEGFP−CNK.CTの存在は、ウエスタンブロット解析によってトランスフェクション後48時間で決定されるであろう。EGFPおよびEGFP−CNK.CTを表す予想されるバンドが示される。 同上。
図10は、所定のDNA配列に作動可能に連結したプロモーターをさらに含む少なくとも1個のDD−ITRを含有する親プラスミドDNAベクターのコンディショナルプロセシングが起こる場合に予想される結果を示す(図10A)。ミニDNAベクターへの親プラスミドのR−細胞コンディショナルプロセシング。誘導条件下で、R−細胞は、ミニlcc(Tel−細胞)およびミニccc(Cre−細胞)DNAの産生をもたらす(図10B)。ミニlccおよびミニccベクターへの親プラスミド構築物のプロセシング。誘導(42℃)条件下でのR−細胞からのプラスミド抽出後のlccミニベクター(Tel)およびcccミニベクター(Cre)へのプラスミドのプロセシングの効率。各代表的バンドに近接する概略図は、それらが表す予想されるプラスミドおよび予想される高次構造を示す(図10C)。In vivo Tel/pal組換え効率、対、TelN/telRL。Tel対TelNR−細胞における、lccミニベクターへのpDD4プラスミドのプロセシングの効率。
図11は、BAMHI制限部位、F1 ORI、DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結されるプロモーター(赤色の星で示す)、DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結されるプロモーター(赤色の星で示す)、DD−ITR(突然変異体)およびHINDIII制限部位を5’から3’方向で有し、制限部位を介して各末端にライゲーションされたアダプター配列を有する、環状核酸を製造するための例示的な概略図を提示する。プラスミド断片は、BAMHIおよびHINDIII制限酵素でカットすることにより、プラスミドから切り出される。アダプター配列が、プラスミド断片にライゲーションされて、鋳型を形成する。鋳型は、in vitroまたはin vivoで、例えば、E.coli細胞、細胞抽出物(例えば、E.coli細胞抽出物)または細菌パッケージング細胞において複製することができる。本明細書に5’から3’で示すエレメント(例えば、切断部位、ORI、ITR、または導入遺伝子に連結されるプロモーター)の例証される順序は、限定を意味するものではなく、エレメントが、5’から3’でいずれかの順序となることができることを理解されたい。
図12は、BAMHI制限部位、F1 ORI、DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結されるプロモーター(星で示す)、DD−ITR(突然変異体)およびHINDIII制限部位を5’から3’方向で有し、制限部位を介して各末端にライゲーションされたアダプター配列を有する、環状核酸を製造するための例示的な概略図を提示する。プラスミド断片は、BAMHIおよびHINDIII制限酵素でカットすることにより、プラスミドから切り出される。アダプター配列が、プラスミド断片にライゲーションされて、鋳型を形成する。鋳型は、in vitroまたはin vivoで、例えば、E.coli細胞、細胞抽出物(例えば、E.coli細胞抽出物)または細菌パッケージング細胞において複製することができる。本明細書に5’から3’で示すエレメント(例えば、切断部位、ORI、ITR、または導入遺伝子に連結されるプロモーター)の例証される順序は、限定を意味するものではなく、エレメントが、5’から3’でいずれかの順序となることができることを理解されたい。
図13は、BAMHI制限部位、F1 ORI、PVUII制限部位、DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結されるプロモーター(星で示す)、DD−ITR(突然変異体)およびHINDIII制限部位を5’から3’方向で有し、制限部位を介して各末端にライゲーションされたアダプター配列を有する、環状核酸を製造するための例示的な概略図を提示する。プラスミド断片は、BAMHIおよびHINDIII制限酵素でカットすることにより、プラスミドから切り出される。アダプター配列が、プラスミド断片にライゲーションされて、鋳型を形成する。鋳型は、in vitroまたはin vivoで、例えば、E.coli細胞、細胞抽出物(例えば、E.coli細胞抽出物)または細菌パッケージング細胞において複製することができる。複製後に、環状核酸は、PVUII制限酵素でさらにカットされ、アダプター配列およびORIを除去し、1個の開放末端(open end)および1個の閉鎖末端(closed end)をもたらす。本明細書に5’から3’で示すエレメント(例えば、切断部位、ORI、ITR、または導入遺伝子に連結されるプロモーター)の例証される順序は、限定を意味するものではなく、エレメントが、5’から3’でいずれかの順序となることができることを理解されたい。
図14は、F1 ORI、DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結されるプロモーター(星で示す)、DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結されるプロモーター(星で示す)、DD−ITR(突然変異体)、ヘアピン配列、相補的DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結される相補的プロモーター(星で示す)、相補的DD−ITR(突然変異体)、導入遺伝子に連結される相補的プロモーター(星で示す)、相補的DD−ITR(突然変異体)およびORIΔ29を5’から3’方向で有する自己相補的一本鎖DNAベクターを製造する例示的な概略図を提示する。この方法は、細菌パッケージング細胞およびヘルパーファージを使用する。アステリスクは、相補配列、例えば、相補的TRまたは導入遺伝子配列を示す。本明細書に5’から3’で示すエレメント(例えば、切断部位、ORI、ITR、または導入遺伝子に連結されるプロモーター)の例証される順序は、限定を意味するものではなく、エレメントが、5’から3’でいずれかの順序となることができることを理解されたい。
本発明の態様は、持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸配列の送達のためのDNAベクターに関する。DNAベクターは、少なくとも1個のDD−ITRおよび所定の核酸配列/構築物(例えば、発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列(例えば、異種核酸)に作動可能に連結したプロモーター等の調節性配列)を含む。DNAベクターは、共有結合性閉鎖直鎖状非ウイルスDNA構築物である。DNAベクターは、標的細胞においてさらに自己複製するおよび/または組換えることができる(例えば、標的細胞が分裂するときに)。細胞への核酸の送達のための、少なくとも1個のDD−ITRを有するDNAベクター構築物は、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAであり、プラスミドDNAではない、すなわち、DD−ITRプラスミドではない。好まれる一実施形態では、共有結合性閉鎖直鎖状DNAベクターは、2個のDD−ITRを含む(例えば、図1に示す通り)。
ITR(逆位末端反復配列)は典型的に、TまたはY構造の形成を可能にする、介在するスペーサー配列とアニールすることができる相補的パリンドローム配列の領域を有する。かかる領域は、当技術分野で公知であり、A、A’、B、B’、C、C’およびD領域と本明細書で称される(例えば、米国特許第5,478,745号に記載されている通り)。AAV ITRの場面において、D領域は、ゲノムの一本鎖部分である。DD−ITRは、ITRのD領域と相補的な追加的なD’領域を有する(その全体が参照により本明細書に組み込まれるXiao et al. J. Virology vo. 71 (2). 1997: p941-948も参照)。
一部の実施形態では、所定の核酸配列/構築物に隣接するように設置された2個のDD−ITRが存在する(例えば、図1の下部に示す通り考慮する場合)。一部の実施形態では、DD−ITRの少なくとも1個は、AAV ITRである。
一部の実施形態では、DNA構築物は、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む(例えば、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性により共有結合性閉鎖末端の生成後に残るような等)。
好まれる一実施形態では、共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物は、例えば、図1の下部に示す通り、2個のDD−ITRを含む。図1は、プロテロメラーゼ結合部位の半分を示すが、2個のDD−ITRを含む共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物は、プロテロメラーゼ結合部位を含む必要がない。
本発明の実施形態では、スペーサーとして機能するための、プロモーターの5’末端(+鎖)およびDD−ITRの間に設置された少なくとも2ヌクレオチドが存在する。このようなスペーサーは、DD−ITRが、プロモーター機能を阻害することを防止する。スペーサーは、2ヌクレオチドよりも大きくなることができ、例えば、5またはそれよりも多いヌクレオチドとなることができる。一実施形態では、スペーサーは、少なくとも10ヌクレオチドであり、一実施形態では、スペーサーは、20ヌクレオチドもしくはそれよりも多い、または25ヌクレオチドもしくはそれよりも多い。一実施形態では、スペーサーは、5〜50ヌクレオチドである。好まれる実施形態では、スペーサーは、20ヌクレオチドである。
本発明の実施形態では、ベクターにはプロモーターが存在せず、DD−ITRは、プロモーターとして作用して、所定のDNA核酸の発現を駆動する。一部の実施形態では、スペーサーとして機能するための、所定の核酸の5’末端(+鎖)およびDD−ITR(D領域)の間に設置された少なくとも2ヌクレオチドが存在する。スペーサーは、2ヌクレオチドよりも大きくなることができる、例えば、5またはそれよりも多いヌクレオチドとなることができる。一実施形態では、スペーサーは、少なくとも10ヌクレオチドであり、一実施形態では、スペーサーは、20ヌクレオチドもしくはそれよりも多い、または25ヌクレオチドもしくはそれよりも多い。一実施形態では、スペーサーは、5〜50ヌクレオチドである。
本発明の実施形態では、DNA構築物/ベクターは、AAV Repタンパク質(例えば、DD−ITRが由来するAAVに対応するRepタンパク質)をコードする配列を欠如する。
一部の実施形態では、DNA構築物/ベクターの配列の大部分は、細菌DNAの代わりに哺乳動物DNAである。構築物は、異種核酸を発現する閉鎖直鎖状二本鎖DNAであり、異種遺伝子を発現することができる閉鎖環状二本鎖プラスミドDNAではない。
ITRは、いずれかのパルボウイルス、例えば、AAV等のディペンドウイルスに由来することができる。AAVの多数の血清型が公知である。例えば、下の表1を参照されたい。
Figure 2021528959
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実施形態では、DNA構築物/ベクターは、標的細胞において存続する(例えば、延長された期間)(例えば、複製または組換えおよび/またはコンカテマー形成により)。これは、標的細胞が分裂するときの自己複製および/またはコンカテマー形成、またはこれら両方の組合せを介して起こり得る。本発明の実施形態では、DNA構築物/ベクターは、標的細胞内でコンカテマー構造へと変換される。実施形態では、コンカテマー構造は、標的細胞において存続する(例えば、延長された期間)(例えば、複製または組換えにより)。コンカテマー構造の存続は、染色体外となることも(例えば、ミニ染色体として)、または標的細胞染色体への組み込みによることもできる。
本発明の別の態様は、持続した発現のために核酸構築物を標的細胞に導入するための方法に関する。本方法は、本明細書に記載される共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を標的細胞に投与するステップを含む。標的細胞への投与は、in vitro、in vivoまたはex vivoとなることができる。標的細胞へのDNA構築物の導入成功は、核酸構築物の発現を促進する。ある特定の実施形態では、標的細胞ゲノムを複製するまたは標的細胞ゲノムに組み込むDNA構築物の能力は、持続される発現をもたらす。
本発明の別の態様は、少なくとも1個のITR配列および発現可能な直鎖状dsDNA中にアニールする核酸構築物の相補鎖を含む共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を投与することによる、持続した発現のために核酸を標的細胞に導入するための方法に関する。DNA構築物は、ヘアピン共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNAを形成するという点において、上に記載されているものと同様である。これは、部分的プロテロメラーゼ認識配列をさらに含むことができる(これが、プロテロメラーゼ活性により生成されることを反映する)。ITRは、図5に示すもの等、合成ITRである。ITR配列は、本明細書に記載される通り、ヘアピン構造のいずれかの側に設置されたDおよびD’配列の両方をさらに含むことができる。
本発明の別の態様は、本明細書に記載されるDNA構築物の導入から生成された、細胞またはその集団に関する。集団の相当な部分が、DNA構築物を受け、コードされる核酸を発現する。実施形態では、集団の細胞の少なくとも10%が、導入された核酸を発現する。実施形態では、少なくとも20%、30%、40%、50%またはそれよりも多くが、導入された核酸を発現する。実施形態では、集団中の細胞の少なくとも60%、70%、80%またはそれよりも多くが、導入された核酸を発現する。
本明細書に記載される方法およびDNA構築物/ベクターは、標的細胞またはその集団における所定の核酸の持続した発現を促進する。持続した発現とは、コードされる産物、例えば、タンパク質または核酸の発現が、対象ベクターの投与後、無期限でないとしても延長された期間存続する検出可能レベルであることを意味する。延長された期間とは、1〜5週間、2〜5週間、3〜5週間、4〜5週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7、8、9、10、11もしくは12ヶ月間、1〜12ヶ月間、1〜10年間、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10年間またはそれよりも長いことを意味する。検出可能レベルとは、コードされる産物の発現が、治療的濃度で、標的細胞、またはこれを含む哺乳動物、例えば、哺乳動物の血清においてコードされる産物を検出することができるようなレベルであることを意味する。pBluescriptプラスミドベクター(Stratagene Corporation、La Jolla、Calif.)が用いられる対照と比較して、タンパク質発現は、対照と比較して、対象方法の後、少なくとも約2倍、通常少なくとも約5倍、さらに通常少なくとも約10倍長く、検出可能レベルで、ある期間存続する。コードされる産物は、容易に利用でき、当業者にとって周知である技術およびプロトコールを使用して検出できる場合、検出可能レベルであると考えられる。
一部の実施形態では、上述の持続した発現は、検出可能レベルであるのみならず、高レベルである。その投与後のある期間の後に、例えば、少なくとも約28日後に、ベクターの発現カセットによってコードされるタンパク質または核酸が、宿主、例えば、宿主の標的細胞、血清等において高レベルで存在する場合、最小のベクターが、高レベルの発現をもたらすと考えられる。コードされる産物のレベルは、宿主において検出可能な活性(例えば、表現型に影響を有する)、例えば、治療活性を示すような量で存在する場合、本発明の目的のため「高い」と考えられる。特定の産物の発現レベルが高いか否かは、特定の産物の性質に応じて必然的に変動するであろうが、当業者であれば、例えば、疾患症状の寛解等、産物の発現が、宿主の表現型における所望の効果を示すのに十分であるかに関する評価によって容易に決定することができる。
共有結合性閉鎖末端の生成
本明細書に記載されるDNA構築物の共有結合性閉鎖末端は、in vitro無細胞合成を含む種々の公知方法によって生成することができる。共有結合性閉鎖末端を生成する一方法は、前駆体分子におけるプロテロメラーゼ結合部位の取込みと、プロテロメラーゼへの当該分子の曝露と、これによる当該部位におけるDNAの切断およびライゲーションによるものである。無細胞in vitro合成の非限定的な例は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、US9,109,250;US6,451,563;Nucleic Acids Res. 2015 Oct 15; 43(18): e120;US9499847;15/508,766;PCT/GB2017/052413;およびAntisense & nucleic acid drug development 11:149-153 (2001)に記載されている。
telRL等のプロテロメラーゼ部位を含有する不完全パリンドローム構造と共に、野生型ITR、合成ITRもしくはDD ITR配列またはこれらの組合せを有する組換えAAV DNA鋳型を設計することができる(図8を参照)。鋳型は、閉鎖直鎖状ベクターの産生に使用される。
一実施形態では、ウイルスベクター鋳型は、例えば、欠失、挿入または置換を有し得る、野生型ITRを含む。一実施形態では、ベクター鋳型は、少なくとも1個の合成ITR(例えば、非限定的な例が、図5に記載されている)、発現カセット、およびITRのそれぞれの側に隣接する、末端を共有結合により閉鎖するテロメラーゼによって切断することができるテロメラーゼ標的部位を含む。一実施形態では、ベクターは、2個のDD ITR、発現カセット、およびDD ITRのそれぞれの側に隣接する、末端を共有結合により閉鎖するテロメラーゼによって切断することができるテロメラーゼ標的部位を含む。
原核生物系を本明細書で使用することができる。溶原性細菌において、バクテリオファージN15は、共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状染色体外DNAとして存在する(Rybchin VN, Svarchevsky AN (1999) The plasmid prophage N15: a linear DNA with covalently closed ends. Mol Micro-biol 33:895-903を参照)。このDNAは、単一の酵素であるプロテロメラーゼ、例えば、TelN(原核生物テロメラーゼ)によって発揮される切断連接反応によって生じる[Deneke J, Ziegelin G, Lurz R, Lanka E (2000) The protelomerase of temperate Escherichia coli phage N15 has cleaving-joining activity. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]。TelN等のプロテロメラーゼは、二本鎖DNAにおける標的配列を認識する。標的部位は、telRLと名付けられた不完全パリンドローム構造であり(図8を参照)、これは、直鎖状プロファージの共有結合性閉鎖末端に対応する2等部分telRおよびtelLによって形成される。酵素は、両方のDNA鎖を切断し、その結果得られる末端を連接して、共有結合性閉鎖ヘアピン構造を形成する。結果として生じるDNA分子は、2個のヘアピンループを有する(図8)。TelNは、telRL部位を有する組換えプラスミドを直鎖化することができる[Deneke J, Ziegelin G, Lurz R, Lanka E (2000) The protelomerase of temperate Escherichia coli phage N15 has cleaving-joining activity. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]。したがって、高等生物における発現のためにプラスミドDNAにおいてこの酵素を用いることができる。
一実施形態では、rAAVウイルスの作製に使用することができるin vivo細胞系においてrAAV閉鎖直鎖状DNAを効率的に産生する方法が本明細書に提供される。本方法は、TelN等のプロテロメラーゼまたは他のプロテロメラーゼを発現する細胞を使用するステップを含み、プロテロメラーゼ遺伝子は、調節可能プロモーターの制御下におかれる。例えば、小分子調節性プロモーターまたは温度感受性プロモーター、例えば、熱ショックプロモーター等の誘導性プロモーターが挙げられる。AAV鋳型DNAの十分な産生の後に、例えば、二重D、合成またはAAV ITRを含有する鋳型から閉鎖直鎖状AAVゲノムを切り出すであろうプロテロメラーゼが発現されることを可能にすることができる。代替の実施形態では、公知の手段によってプロテロメラーゼを細胞に添加することができる。次に、rAAVウイルスを作製するためのトランスフェクションプロトコールにおいて、プラスミドDNAの代わりにITRを含有する閉鎖直鎖状AAVゲノムを使用することができる。閉鎖直鎖状ゲノムは、各末端に1/2プロテロメラーゼ結合部位を含む。
ある特定の実施形態では、in−vivo細胞系が使用されて、持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸配列の送達のための非ウイルスDNAベクター構築物を産生する。非ウイルスDNAベクターは、A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列;D’領域をそれぞれ含む2個のDD−ITR;ならびに所定の核酸配列(例えば、発現のための異種遺伝子)を含み、DおよびD’領域が、約5〜20ntの長さの相補的パリンドローム配列であり、AおよびA’領域に近接して位置し、2個のDD−ITRは、共有結合性閉鎖非ウイルスDNAの場面において当該核酸に隣接し、閉鎖直鎖状ベクターは、各末端に1/2プロテロメラーゼ結合部位を含む。
本明細書に記載されるTelN/telRL系を使用して、1個のtelRL部位を含有する親プラスミドを直鎖化すること、または2個の隣接ITRを有し、それぞれのセグメントに隣接する2個のtelRL部位をさらに有する親プラスミドから、プロモーター、目的の遺伝子、ポリアデニル化シグナルを含むrAAV DNA断片または非ウイルスベクター断片を切り出すことのいずれかにより、閉鎖直鎖状DNA断片を産生することができる。一実施形態では、少なくとも1個の二重「D」ITRが存在する。結果として生じる直鎖状共有結合性閉鎖DNA分子は、in vivoで機能的である。
系は、組換え宿主細胞を含む。本産生系における使用に適した宿主細胞は、微生物細胞、例えば、E.coli細胞等の細菌細胞、およびS.cerevisiae等の酵母細胞を含む。例えば、Pro5バリアント(ATCC CRL 1281)を含むK1系列(ATCC CCL 61)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;CV−1系列(ATCC CCL 70)、COS−1系列(ATCC CRL 1650)およびCOS−7系列(ATCC CRL 1651)のSV40形質転換アフリカミドリザル腎臓に由来する線維芽細胞様細胞;マウスL−細胞、マウス3T3細胞(ATCC CRL 1658)、マウスC127細胞、293系列(ATCC CRL 1573)のヒト胎児由来腎臓細胞、HeLa系列(ATCC CCL 2)のものを含むヒト癌腫細胞、ならびに系統IMR−32(ATCC CCL 127)、SK−N−MC(ATCC HTB 10)およびSK−N−SH(ATCC HTB 11)の神経芽細胞腫細胞を含む、哺乳動物宿主細胞を使用することもできる。
宿主細胞は、少なくとも1種のリコンビナーゼをコードするように設計される。宿主細胞は、2種または複数種のリコンビナーゼをコードするように設計することもできる。用語「リコンビナーゼ」は、切り出し/挿入、反転、転座および交換により、特異的標的部位、例えば、パリンドローム配列におけるDNA交換を触媒する酵素を指す。本系における使用に適したリコンビナーゼの例として、TelN、Tel、Tel(gp26 K02ファージ)Cre、Flp、phiC31、Int、ならびに他のラムダ形の(lambdoid)ファージインテグラーゼ、例えば、phi 80、HK022およびHP1リコンビナーゼが挙げられるがこれらに限定されない。これらのリコンビナーゼのそれぞれのための標的配列をそれぞれ次に示す:
Figure 2021528959
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リコンビナーゼの発現は、いずれかの調節性または誘導性プロモーター、すなわち、特定の物理的もしくは化学的条件下または刺激により活性化されるプロモーターの制御下におかれる。適したプロモーターの例として、λpLプロモーター等の熱的調節性プロモーター、IPTG調節性lacプロモーター、グルコース調節性araプロモーター、T7ポリメラーゼ調節性プロモーター、寒冷ショック誘導性cspAプロモーター、pH誘導性プロモーター、またはtac(T7およびlac)デュアル調節性プロモーター等のこれらの組合せが挙げられる。
組換え細胞は、少なくとも1個のDD−ITR、および目的の核酸を発現するように適合された発現カセットも取り込む。DD−ITR含有発現ベクターは、調節性発現配列、例えば、プロモーター、開始および終結配列、ならびに目的の核酸の発現が起こることができるように調節性配列と比べて適切に位置する目的の核酸配列を含む、すなわち、目的の核酸は、少なくとも1個の隣接DD−ITRと共に発現ベクター内に発現可能に取り込まれ、好ましくは、両末端においてDD−ITRに隣接する。一実施形態では、DD−ITRの1個は、プロモーターとして機能することができる。調節性発現配列および目的の核酸配列、すなわち、発現カセットは、少なくとも第1のリコンビナーゼのための標的配列(例えば、標的核酸配列)によっていずれかの側に隣接する。
共有結合性閉鎖末端を生成する代用方法は、当技術分野で公知であり、例えば、プラスミドからのミニサークルDNAの形成によって為される(例えば、これらそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,828,726号および米国特許第7,897,380号に記載)。例えば、DD−ベクターの無細胞合成の一方法は、2種の酵素 − Phi29 DNAポリメラーゼおよびプロテロメラーゼの使用を組み合わせ、高忠実度共有結合性閉鎖直鎖状DNA構築物を生成する。構築物は、抗生物質抵抗性マーカーを含有せず、したがって、これらの配列のパッケージングを排除する。プロセスは、商業的規模で2週間プロセスにおいてDD−AAV構築物を増幅し、ウイルス産生に要求されるITR配列を維持することができる。
合理化された精製プロセスが伴う、ローリングサークル増幅により二本鎖DNAを増幅するためのPhi29 DNAポリメラーゼおよび共有結合性閉鎖直鎖状DNAを生成するためのプロテロメラーゼが使用され、目的の配列のみを含有する純粋DNA産物をもたらす。
Phi29 DNAポリメラーゼは、高忠実度(1/10〜1/10)および高処理能力(およそ70kbp)を有する。このような特色は、このポリメラーゼを、GMP DNAの大規模産生に特に適したものにする。プロテロメラーゼ(テロメアリゾルバーゼとしても公知)は、直鎖状DNAにおける共有結合性閉鎖ヘアピン末端の形成を触媒し、いくつかのファージ、細菌プラスミドおよび細菌染色体において同定された。一対のプロテロメラーゼは、反転したパリンドロームDNA認識配列を認識し、鎖切断、鎖交換およびDNAライゲーションを触媒して、閉鎖直鎖状ヘアピン末端を生成する。このような閉鎖末端構造の形成は、DNAを、エキソヌクレアーゼ活性に対し抵抗性にし、単純な精製を可能にし、発現の安定性および持続時間を改善することができる。
合成の一実施形態では、DD−構築物の産生は、目的の領域に隣接するプロテロメラーゼ認識配列の導入に依存する。このような部位は、特定のプロテロメラーゼ酵素に高度に特異的なパリンドローム配列(例えば、56bp)である。プロテロメラーゼタンパク質は、このような部位に結合して、単量体二本鎖直鎖状共有結合性閉鎖DNA構築物をもたらす切断連接反応を行う。目的の遺伝子の外側のDNA(例えば、本来のベクター骨格)は、この酵素によって同様に処理されることになり、このような領域は、ベクター骨格に特有の制限部位でカットする制限酵素の逐次作用および放出された断片のエキソヌクレアーゼ消化によって除去し、DD領域を含有する所望の共有結合性閉鎖直鎖状DNAのみを残すことができる。
変性されると、DD−構築物は、さらなる増幅反応のための出発材料として使用することができる環状DNA分子を含む。
プロテロメラーゼ結合部位
一実施形態では、DNA構築物は、プロテロメラーゼ結合部位を含み、共有結合性閉鎖末端は、プロテロメラーゼ(protelomorase)酵素活性によって形成される(例えば、in vitroで)。本発明における使用のためのプロテロメラーゼ結合部位および対応するプロテロメラーゼは、これらそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,499,847号および米国特許第9,190,250号に提供される。本発明において使用されるプロテロメラーゼ標的配列は、好ましくは、少なくとも14塩基対の長さの二本鎖パリンドローム(完全反転反復)配列を含む。好まれる完全反転反復配列は、配列番号1〜6およびそれらのバリアントの配列を含む。配列番号1(NCATNNTANNCGNNTANNATGN)は、中温性バクテリオファージ完全反転反復の22塩基コンセンサス配列である。完全反転反復の塩基対は、異なるバクテリオファージの間である特定の位置において保存されているが、他の位置において配列の柔軟性が可能である。よって、配列番号1は、本発明のプロセスにおけるバクテリオファージプロテロメラーゼによる使用のための完全反転反復配列の最小コンセンサス配列である。
配列番号1によって定義されるコンセンサス内では、配列番号2(CCATTATACGCGCGTATAATGG)が、E.coliファージN15およびKlebsiellaファージPhi KO2プロテロメラーゼによる使用のための特に好まれる完全反転反復配列である。また、配列番号1によって定義されるコンセンサス内では、配列番号3〜5:配列番号3(GCATACTACGCGCGTAGTATGC)、配列番号4(CCATACTATACGTATAGTATGG)、配列番号5(GCATACTATACGTATAGTATGC)が、それぞれ、YersiniaファージPY54、HalomonasファージphiHAP−1およびVibrioファージVP882由来のプロテロメラーゼによる使用のための特に好まれる完全反転反復配列である。配列番号6(ATTATATATATAAT)は、Borrelia burgdorferiプロテロメラーゼによる使用のための特に好まれる完全反転反復配列である。この完全反転反復配列は、Borrelia burgdorferiに含まれる直鎖状共有結合性閉鎖プラスミド、lpB31.16に由来する。この14塩基配列は、バクテリオファージの22bpコンセンサス完全反転反復(配列番号1)よりも短く、細菌プロテロメラーゼが、特異的標的配列要件において、バクテリオファージプロテロメラーゼと異なる場合があることを示す。しかし、全てのプロテロメラーゼ標的配列は、完全反転反復の共通構造モチーフを共有する。
完全反転反復配列は、本発明のプロセスにおいて使用される特異的プロテロメラーゼの要件に応じて、22bpの長さよりも大きくなることができる。よって、一部の実施形態では、完全反転反復は、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも60、少なくとも80または少なくとも100塩基対の長さとなることができる。かかる完全反転反復配列の例として、配列番号7〜9およびそれらのバリアントが挙げられる。
Figure 2021528959
配列番号7〜9およびそれらのバリアントは、それぞれ、VibrioファージVP882、YersiniaファージPY54およびHalomonasファージphi HAP−1由来のプロテロメラーゼによる使用に特に好まれる。
完全反転反復は、追加的な反転反復配列に隣接され得る。隣接反転反復は、完全または不完全反復となることができる、すなわち、完全に対称的または部分的に対称的となることができる。隣接反転反復は、中央パリンドロームと近接していても近接していなくてもよい。プロテロメラーゼ標的配列は、少なくとも14塩基対の長さの完全反転反復配列を含む不完全反転反復配列を含むことができる。例は、配列番号14である。不完全反転反復配列は、少なくとも22塩基対の長さの完全反転反復配列を含むことができる。例は、配列番号10である。
特に好まれるプロテロメラーゼ標的配列は、配列番号10〜14またはそれらのバリアントの配列を含む。
Figure 2021528959
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配列番号10〜14の配列は、上に記載されている完全反転反復配列を含み、関連する生物由来の隣接配列をその上含む。配列番号10またはそのバリアントの配列を含むプロテロメラーゼ標的配列は、E.coli N15 TelNプロテロメラーゼおよびそのバリアントと組み合わせた使用に好まれる。配列番号11またはそのバリアントの配列を含むプロテロメラーゼ標的配列は、KlebsiellaファージPhi K02プロテロメラーゼおよびそのバリアントと組み合わせた使用に好まれる。配列番号12またはそのバリアントの配列を含むプロテロメラーゼ標的配列は、YersiniaファージPY54プロテロメラーゼおよびそのバリアントと組み合わせた使用に好まれる。配列番号13またはそのバリアントの配列を含むプロテロメラーゼ標的配列は、VibrioファージVP882プロテロメラーゼおよびそのバリアントと組み合わせた使用に好まれる。配列番号14またはそのバリアントの配列を含むプロテロメラーゼ標的配列は、Borrelia burgdorferiプロテロメラーゼと組み合わせた使用に好まれる。
上に記載されているパリンドロームまたはプロテロメラーゼ標的配列のいずれかのバリアントは、そのホモログまたは突然変異体を含む。突然変異体は、ネイティブ配列に関するトランケーション、置換または欠失を含む。バリアント配列は、DNA鋳型におけるその存在が、プロテロメラーゼの酵素活性によるそれから閉鎖直鎖状DNAへの変換を可能にする、いずれかの配列である。これは、閉鎖直鎖状DNAの形成に適切なアッセイの使用によって容易に決定することができる。当技術分野で記載されるいずれか適したアッセイを使用することができる。適したアッセイの例は、Deneke et al, PNAS (2000) 97, 7721-7726に記載されている。好ましくは、バリアントは、ネイティブ配列により観察されるものと匹敵するプロテロメラーゼ結合および活性を可能にする。本明細書に記載されるパリンドローム配列の好まれるバリアントの例として、完全反復構造を保存し、依然として、閉鎖直鎖状DNAの形成を可能にすることができる、トランケートされたパリンドローム配列が挙げられる。しかし、バリアントプロテロメラーゼ標的配列は、完全パリンドロームをもはや保存することができなくなるように改変することができるが、ただし、これがプロテロメラーゼ活性の基質として作用することができることを条件とする。
当業者が、上に概要を述べる構造原理に基づいて、本発明における使用のための適したプロテロメラーゼ標的配列を容易に同定することができるであろうことを理解するべきである。候補プロテロメラーゼ標的配列は、上に記載されているアッセイを使用して、閉鎖直鎖状DNAの形成を促進するその能力に関してスクリーニングすることができる。
共有結合性閉鎖直鎖状DNA構築物の生成
本明細書に記載される共有結合性閉鎖ベクターは、in vitroまたはin vivoで生成することができる。ベクターは、標的細胞において導入遺伝子を発現することができる共有結合性閉鎖直鎖状二本鎖ベクターである。例えば本明細書に記載されるITRを含有する、閉鎖直鎖状発現カセットDNAの産生のためのin vitroプロセスの一例は、a)いずれかの側においてプロテロメラーゼ標的配列に隣接した少なくとも1個の発現カセットを含むDNA鋳型を、1種または複数のプライマーの存在下、前記鋳型の増幅を促進する条件下で、少なくとも1種のDNAポリメラーゼと接触させるステップと、b)a)において産生された増幅されたDNAを、閉鎖直鎖状発現カセットDNAの形成を促進する条件下、少なくとも1種のプロテロメラーゼと接触させるステップとを含む。閉鎖直鎖状発現カセットDNA産物は、目的のコード配列に作動可能に連結した真核生物プロモーター、および必要に応じて、真核生物転写終結配列を含む、これからなるまたはこれから本質的になることができる。閉鎖直鎖状発現カセットDNA産物は、その上、(i) 細菌複製起点;(ii)細菌選択マーカー(典型的には、抗生物質抵抗性遺伝子)および(iii)非メチル化CpGモチーフからなる群から典型的に選択される、1種または複数の細菌またはベクター配列を欠如することができる。
上に概要を述べる通り、少なくとも1個のプロテロメラーゼ標的配列を含むいずれかのDNA鋳型は、本発明のプロセスに従って増幅することができる。よって、例えばDNAワクチンまたは他の治療用タンパク質および核酸のための、治療用DNA分子の産生が好まれるが、本発明のプロセスを使用して、いかなる種類の閉鎖直鎖状DNAを産生することもできる。DNA鋳型は、二本鎖(ds)または一本鎖(ss)DNAとなることができる。二本鎖DNA鋳型は、開放環状二本鎖DNA、閉鎖環状二本鎖DNA、開放直鎖状二本鎖DNAまたは閉鎖直鎖状二本鎖DNAとなることができる。好ましくは、鋳型は、閉鎖環状二本鎖DNAである。閉鎖環状dsDNA鋳型は、RCA(ローリングサークル増幅)DNAポリメラーゼによる使用に特に好まれる。環状dsDNA鋳型は、細菌繁殖のための遺伝子の収容に典型的に使用される、プラスミドまたは他のベクターの形態となることができる。よって、本発明のプロセスを使用して、市販のDNA薬等、いずれか市販のプラスミドまたは他のベクターを増幅し、次いで、増幅されたベクターDNAを閉鎖直鎖状DNAへと変換することができる。
開放環状dsDNAを鋳型として使用することができ、この場合、DNAポリメラーゼは、ニックを入れられたDNA鎖から増幅を開始することができる鎖置換ポリメラーゼである。本実施形態では、鋳型は、鋳型におけるDNA鎖に1個または複数の部位でニックを入れる1種または複数の酵素と共に以前にインキュベートされてよい。閉鎖直鎖状dsDNAを鋳型として使用することもできる。閉鎖直鎖状dsDNA鋳型(出発材料)は、閉鎖直鎖状DNA産物と同一となることができる。閉鎖直鎖状DNAは、鋳型として使用される場合、鋳型DNAの増幅を促進する条件の前にまたはその間に、変性条件下でインキュベートして、一本鎖環状DNAを形成することができる。
上に概要を述べる通り、DNA鋳型は典型的に、上に記載されている、すなわち、目的のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結した真核生物プロモーター、および必要に応じて真核生物転写終結配列を含む、これからなるまたはこれから本質的になる発現カセットを含む。必要に応じて、発現カセットは、上に定義される、すなわち、(i)細菌複製起点;(ii)細菌選択マーカー(典型的には、抗生物質抵抗性遺伝子)および(iii)非メチル化CpGモチーフからなる群から典型的に選択される1種または複数の細菌またはベクター配列を欠如する、最小の発現カセットとなることができる。
DNA鋳型は、当技術分野で公知のいずれかの方法によって、プロセスにおける使用に十分な量で提供することができる。例えば、DNA鋳型は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生することができる。DNA鋳型は、dsDNAである場合、増幅ステップのために、少なくともセ氏94度の温度における事前のインキュベーションによって、変性した一本鎖として提供することができる。よって、本発明のプロセスは、好ましくは、dsDNA鋳型を変性して、一本鎖DNAを提供するステップを含む。あるいは、dsDNA鋳型は、二本鎖形態で提供することができる。DNA鋳型の全体または選択された部分を反応において増幅することができる。
DNA鋳型は、前記鋳型の増幅を促進する条件下で、少なくとも1種のDNAポリメラーゼと接触させられる。いずれのDNAポリメラーゼを使用することもできる。いずれの市販のDNAポリメラーゼも、本発明のプロセスにおける使用に適する。2、3、4、5種またはそれよりも多い異なるDNAポリメラーゼを使用することができ、例えば、プルーフリーディング機能を提供する1種と、それを提供しない1種または複数のその他を使用することができる。異なる機構を有するDNAポリメラーゼを使用することができ、例えば、鎖置換型ポリメラーゼと、他の方法によってDNAを複製するDNAポリメラーゼを使用することができる。鎖置換活性がないDNAポリメラーゼの適した例は、T4 DNAポリメラーゼである。
DNAポリメラーゼは、その活性がプロセス条件下の延長したインキュベーションによって実質的に低減されないように、高度に安定していることが好まれる。したがって、酵素は、好ましくは、温度およびpHが挙げられるがこれらに限定されない、ある範囲のプロセス条件下で長い半減期を有する。DNAポリメラーゼが、製造プロセスに適した1種または複数の特徴を有することも好まれる。DNAポリメラーゼは、好ましくは、例えば、プルーフリーディング活性を有することにより、高忠実度を有する。さらに、DNAポリメラーゼが、高い処理能力、高い鎖置換活性、ならびにdNTPおよびDNAに対し低いKmを呈することが好まれる。DNAポリメラーゼは、鋳型として環状および/または直鎖状DNAを使用することができる場合がある。DNAポリメラーゼは、鋳型としてdsDNAまたはssdNAを使用することができる場合がある。DNAポリメラーゼが、非特異的エキソヌクレアーゼ活性を呈さないことが好まれる。鎖置換型ポリメラーゼが好まれる。
本発明に従った増幅を可能にするため、DNA鋳型が、1種または複数のプライマーとも接触させられることが好まれる。プライマーは、非特異的(すなわち、配列がランダム)となることができる、またはDNA鋳型内に含まれる1種もしくは複数の配列に特異的となることができる。DNA鋳型の任意の部位での非特異的開始を可能にすることができるように、プライマーは、ランダムな配列のものとなることが好まれる。このことは、各鋳型鎖からの複数の開始反応による高い増幅効率を可能にする。ランダムプライマーの例は、ヘキサマー、ヘプタマー、オクタマー、ノナマー、デカマー、またはそれを超える長さの配列、例えば、12、15、18、20もしくは30ヌクレオチドの長さの配列である。ランダムプライマーは、6〜30、8〜30または12〜30ヌクレオチドの長さである。ランダムプライマーは、典型的に、例えば、DNA鋳型におけるヘキサマー、ヘプタマー、オクタマーまたはノナマーのあらゆる潜在的な組合せを代表するオリゴヌクレオチドのミックスとして提供される。
他の実施形態では、プライマーは、特異的である。このことは、そこから増幅が開始されることが所望されるDNA鋳型における配列に相補的な配列を有することを意味する。本実施形態では、一対のプライマーを使用して、2個のプライマー結合部位の内部にあるDNA鋳型の部分を特異的に増幅することができる。プライマーは、非標識となることができる、または1種もしくは複数の標識、例えば、放射性核種もしくは蛍光色素を含むことができる。プライマーは、化学改変ヌクレオチドを含むこともできる。プライマーの長さ/配列は、典型的に、温度の考慮に基づき、すなわち、増幅ステップにおいて使用される温度で鋳型に結合することができるとして選択することができる。
DNAポリメラーゼおよび1種または複数のプライマーとDNA鋳型との接触は、DNA鋳型へのプライマーのアニーリングを促進する条件下で行われる。条件は、プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする一本鎖DNAの存在を含む。条件は、鋳型へのプライマーのアニーリングを可能にする温度および緩衝剤も含む。
DNA鋳型が、DNAポリメラーゼおよび1種または複数のプライマーと接触させられた後に、次いで、前記鋳型の増幅を促進する条件下でのインキュベーションのステップが行われる。
増幅ステップに加えて、本発明のプロセスは、閉鎖直鎖状DNAの産生のためのプロセシングステップも含む。増幅されたDNAは、閉鎖直鎖状DNAの産生を促進する条件下で少なくとも1種のプロテロメラーゼと接触させられる。プロテロメラーゼに基づくこの単純なプロセシングステップは、閉鎖直鎖状DNA分子の産生に使用される他の方法よりも有利である。増幅およびプロセシングステップは、同時にまたは同時発生的に実行することができる。しかし、好ましくは、増幅およびプロセシングステップは、増幅ステップの後に実行される(すなわち、増幅されたDNAにおいて)プロセシングステップと逐次に実行される。
本発明のプロセスは、in vitro無細胞環境において実行される。よって、プロセスは、宿主細胞の非存在下で実行され、典型的に、精製された酵素構成成分の使用を含む。したがって、鋳型DNAの増幅およびプロテロメラーゼによるプロセシングは、典型的に、適した容器内の溶液中で反応構成成分を接触させることにより実行される。必要に応じて、特定の構成成分は、固体支持体への取り付け等、固定化された形態で提供することができる。
ある特定の実施形態では、鋳型は、平滑末端またはオーバーハングを有する増幅された直鎖状開放末端のDNAであり、合成されたヘアピン分子が、一末端または両末端にライゲーションされて、少なくとも1個のDD−ITRまたは例えば、図5のITRを含む閉鎖末端の直鎖状DNAを形成する。鋳型は、例えば、合成またはPCR増幅することができる。ライゲーションされていないヘアピンは、当業者にとって周知の手段を使用して精製除去される。
一実施形態では、非ウイルス直鎖状DNAは、細胞内で作製される。
本発明のプロセスをいかなる規模で実行することもできることを理解するべきである。しかし、商業的または工業的規模で、プロセスが実行されてDNAを増幅すること、すなわち、ミリグラム単位またはそれよりも大きい含量で、増幅されたDNAを生成することが好まれる。プロセスが、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも20ミリグラム、少なくとも50ミリグラムまたは少なくとも100ミリグラムの増幅されたDNAを生成することが好まれる。増幅されたDNAに由来する最終閉鎖直鎖状DNA産物は、好ましくは、ミリグラム単位またはそれよりも大きい含量で生成することもできる。プロセスが、少なくとも1ミリグラム、少なくとも2ミリグラム、少なくとも5ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも20ミリグラム、少なくとも50ミリグラムまたは少なくとも100ミリグラムの閉鎖直鎖状DNAを生成することが好まれる。
ミニサークルDNAの形成
DNA構築物のDD−ITRの共有結合性閉鎖末端を生成する代替方法は、プラスミドからのミニサークルDNAの形成によって為される。非限定的な例として、一方向性部位特異的リコンビナーゼのattBおよびattP部位に隣接した目的のDNA(例えば、DD−ITR、および発現カセットの形態の所定の核酸配列)を含む親核酸(nucleic)は、一方向性部位特異的リコンビナーゼが、親核酸からミニサークルベクターを産生する組換え事象を媒介するのに十分な条件下で、隣接attBおよびattP部位を認識する一方向性部位特異的リコンビナーゼと接触させられる。「隣接する」とは、親核酸が次式によって表されるように、産物ミニサークルベクターに存在するべき発現カセットおよび他の目的の配列が、いずれかの末端にatt部位、例えば、attBおよびattPを有することを意味する:
−−−−−−att(PまたはB)−発現カセット−att(PまたはB)−−−−−−
att部位の順序は一般に問題とならない。att部位は、一方向性部位特異的リコンビナーゼの基質部位であり、典型的に、当業者によってattBまたはattP部位と称される。目的の部位として、上述の特異的インテグラーゼリコンビナーゼによって認識されるatt部位と共に、その突然変異体が挙げられるがこれらに限定されない。
親核酸は、少なくとも一部には、産生方法が、in vitro方法であるかin vivo方法であるかに応じて、種々の異なる形態として存在することができる。したがって、親核酸は、ゲノムDNAに組み込まれる、直鎖状二本鎖核酸、閉鎖環状核酸(複製における使用に適した細菌プラスミド等)およびその他となることができる。
方法は、in vitroまたはin vivoで、例えば、細胞の内側で実施することができる。方法がin vitroで実施される場合、あらゆる必要な試薬、例えば、親核酸、部位特異的インテグラーゼ等が、反応混合物へと組み合わされ、所望の産物ミニサークルベクターの部位特異的リコンビナーゼ媒介性産生が起こるのに十分な条件下、十分な期間、維持される。典型的には、in vitro反応のため、反応混合物は、約20〜40℃の間の温度で維持される。
ある特定の実施形態では、方法は、所望の産物ミニサークルベクターのリコンビナーゼ媒介性産生が、培養中の細胞の内側で起こるという点において、in vitro方法である。かかる実施形態の例として、親核酸が、リコンビナーゼ媒介性ベクター産生ステップに先立ち、細菌宿主において複製されて、大きいコピー数の親核酸を産生するプラスミドである実施形態が挙げられる。
上述のin vivo実施形態において、最初のステップは、一般に、多数の親核酸を含む宿主細胞を先ず調製することとなり得る。このステップは、宿主細胞、例えば、E.coliに、親核酸として機能するであろうプラスミドを形質転換することにより簡便に行うことができる。その結果得られる形質転換された宿主細胞は次いで、上に記載されている通り、宿主細胞が、大きいコピー数の親核酸を産生するのに十分な条件下で維持される。
十分なコピー数の親核酸(例えば、プラスミド)を有する宿主細胞の提供後に、一方向性部位特異的リコンビナーゼ活性(すなわち、親核酸からの所望のベクターの産生を媒介する)が次いで、宿主細胞において産生される。いずれか簡便なプロトコールを使用して、細胞において所望のリコンビナーゼ活性を産生することができる。ある特定の実施形態では、したがって、リコンビナーゼまたは核酸コード配列は、例えば、上に記載されている通りに、宿主細胞に導入することができる。あるいは、リコンビナーゼのコード配列は、宿主細胞に既に存在していてよいが、例えば誘導性プロモーターの制御下に置かれているため、発現されていない。これらの実施形態では、誘導性コード配列は、親核酸に存在することができる、別のエピソーム核酸に存在することができる、またはさらには、宿主のゲノムDNAに組み込むことができる。リコンビナーゼコード配列に操作可能に連結することができる、代表的な目的の誘導性プロモーターとして、aracBADプロモーター、ラムダpLプロモーターおよびその他が挙げられるがこれらに限定されない。これらの実施形態では、宿主細胞において所望のリコンビナーゼ活性を提供するステップは、誘導性プロモーターを誘導して、所望のリコンビナーゼの発現を引き起こすステップを含む。
宿主細胞における所望のリコンビナーゼ活性の産生後に、その結果得られる宿主細胞は次いで、リコンビナーゼ活性が、親核酸からの所望のミニサークルベクターの産生を媒介するのに十分な条件下および期間、維持される。典型的には、宿主細胞は、約20〜40℃の間の温度で維持される。
上に記載されている親核酸からのミニサークルベクターのリコンビナーゼ媒介性産生後に、産物ミニサークルは次いで、所望の通りに、その「合成」環境の残り(例えば、反応混合物、宿主細胞等)から分離することができる。産物ミニサークルを分離するためのいずれか簡便なプロトコールを用いることができる。代表的なプロトコールは、米国特許第8,828,726号および米国特許第7,897,380号に記載されている。
環状核酸の製造
本明細書に記載される環状核酸を製造するための方法は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/864,689号にさらに記載されている。
本明細書に記載される本発明の一態様は、導入遺伝子を含有する環状核酸ベクターを製造する方法であって、(a)宿主系を鋳型と接触させるステップであって、鋳型が、少なくとも1個の隣接切断部位ならびに(i)少なくとも1個のファージ複製起点(ORI);(ii)少なくとも1個の末端反復(TR)および;(iii)導入遺伝子に作動的に連結したプロモーター配列を含み、少なくとも1個のTRが、アデノ随伴ウイルス(AAV)二重D ITR(DD−ITR)である、ステップと、(b)複製が起こるのに十分な時間、宿主系をインキュベートして、環状核酸産生をもたらすステップと、(c)環状核酸産生を回収するステップであって、環状核酸が自己アニールするステップとを含む方法を提供する。
本明細書に記載される本発明の別の態様は、導入遺伝子を含有する環状核酸ベクターを製造する方法であって、(a)宿主系をプラスミド鋳型で形質転換するステップであって、プラスミド鋳型が、(i)ファージ複製起点(ORI);(ii)トランケートされたファージORI(例えば、ORIΔ29);(iii)少なくとも1個の末端反復(TR)および;(iv)導入遺伝子に作動的に連結したプロモーター配列を含み、プラスミド鋳型が、5’から3’方向で、センスおよびアンチセンス鎖のアニーリングを可能にするヘアピン配列によって離されたセンス配列およびアンチセンス配列を含み、少なくとも1個のTRが、AAV二重D ITR(DD−ITR)である、ステップと、(b)複製が起こるのに十分な時間、宿主系をインキュベートして、環状核酸産生をもたらすステップと、(c)環状核酸産生を回収するステップであって、環状核酸が自己アニールするステップとを含む方法を提供する。
一実施形態では、環状核酸の産生に使用される鋳型は、鋳型の構成成分を含む二本鎖プラスミドDNA(例えば、図11〜図13を参照)を、プラスミドに存在する切断部位を特異的に標的とするヌクレアーゼ、例えば、制限酵素でカットすることにより生成される。代替の実施形態では、二本鎖プラスミド鋳型を使用して、環状核酸を産生することができる(例えば、図14)。鋳型の構成成分を含むプラスミド、または本明細書に記載されるプラスミド鋳型は、当技術分野で公知の標準クローニング技法を使用して生成することができる。切断部位のカットは、プラスミド断片、すなわち、2個の切断部位の間に見出される一本鎖直鎖状DNAを切り出す。一実施形態では、プラスミド断片は次いで(than)、カットされた末端においてアダプタータンパク質にアニールされる。例えば切断部位に対する相補配列を有するアダプター配列は、当技術分野で公知の標準技法を使用して、例えば、ライゲーションにより、切断部位にアニーリングすることができるであろう。プラスミド断片の末端へのアダプター配列のアニーリングは、DNAを環状化し、鋳型と本明細書で称される、閉鎖末端DNA構造を作製する。
鋳型は、in vitroまたはin vivoで宿主系において複製することができる。例えば、Shepherd, et al. Scientific Reports 9, Article number: 6121 (2019)に記載されている通り、例えば、標準方法を使用してE.coli細胞において;Wang, G., et al. Cell Research 7, 1-12(1997)に記載されている通り、細胞抽出物、例えば、E.coli細胞抽出物において;または当技術分野で公知の細菌パッケージング細胞系において(これらの引用の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。細菌パッケージング細胞系は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるChastenn, L., et al. Nucleic Acids Res. 2006 Dec; 34(21): e145に記載されている通り、M13に基づくヘルパープラスミドを発現することができる。あるいは、本明細書に記載される鋳型は、複製を起こす必要がなく、宿主系、例えば、in vitro細胞系の直接的接触に使用することができる。
本明細書に記載されるファージORIの使用は、複製を開始するためにヘルパーファージの存在を必ずしも要求しないため有利であり、複製物におけるヘルパーファージ混入の見込みを排除する。本明細書に記載されるファージORIは、独立して、一本鎖環、すなわち、環状核酸の複製を開始する。鋳型に設置されたファージORIは、環状核酸と本明細書で称される、一本鎖相補的環DNAの複製を開始する。一実施形態では、鋳型は、環状核酸を複製するのに十分な時間、宿主系においてインキュベートされる。一実施形態では、ファージORIは、いかなる追加的な構成成分、例えば、ヘルパーファージを要求することもなく複製を開始する。代替の実施形態では、ファージORI開始の複製は、追加的な構成成分、例えば、ヘルパーファージの存在下で起こる。ヘルパーファージ粒子、例えば、M13K07は、ファージベクターを使用する場合に、粒子形成に必要な遺伝子産物を提供する。ヘルパーファージ粒子は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、(2005) Helper Phage. In: Encyclopedic Reference of Genomics and Proteomics in Molecular Medicine. Springer, Berlin, Heidelbergにさらに概説されている。
一実施形態では、鋳型は、一本鎖であり、鋳型のin vitroまたはin vivo複製は、一本鎖環状核酸を生成する。一本鎖環状DNAは、例えば、導入遺伝子配列において自己アニールし、二本鎖になることができる。
ORIが、プラスミド鋳型の両側に存在する場合、例えば、鋳型の他のエレメントに隣接するF1 ORIおよびORIΔ29を有するプラスミド鋳型(例えば、図14を参照)の場合、一本鎖環状核酸は、自己相補的導入遺伝子、例えば、治療用導入遺伝子を含有する。一実施形態では、一本鎖環状核酸は、一方の鎖に、導入遺伝子のセンス配列および導入遺伝子のアンチセンス配列を含有する。一実施形態では、センスおよびアンチセンス配列は、鎖が屈曲し、センスおよびアンチセンス配列の結合が起こることを可能にする、リンカー、例えば、ホリデイリンカーまたは欠陥ITRによって離される。リンカーが、導入遺伝子のセンスおよびアンチセンス配列の結合を容易にする鎖の屈曲を可能にするいかなる配列にもなり得ることが本明細書で特に企図される。一実施形態では、一本鎖環状核酸は、ORIに隣接する相補体領域および自己相補体領域をさらに含む。例えば、図14を参照されたい。
環状核酸は、機械的に媒介される放出(超音波処理)または化学的に媒介される放出(洗剤)等、特異的な宿主系について公知の標準技法を使用して、宿主系から放出される(すなわち、自由になる)。放出後に、環状核酸は、標準方法を使用して、例えば、カラムクロマトグラフィーを使用した精製により回収される。
本明細書で生成される環状核酸は、閉鎖末端、開放末端、または開放末端および閉鎖末端の両方となることができる。一実施形態では、環状核酸は、閉鎖末端である。閉鎖末端のDNAベクターは、いかなる立体配置、例えば、犬用の骨(doggie bone)、ダンベル、環状、閉鎖末端の直鎖状二重鎖等を有することもできる。
本明細書に記載される方法を使用して生成された環状核酸複製物は、それが発現する導入遺伝子の送達に使用することができる、または例えば、追加的なin vitroもしくはin vivo複製により、より多くの環状核酸の生成に使用することができる。本明細書に記載される方法を使用して製造された環状核酸は、組換えベクター、例えば、組換えウイルスベクターの産生において使用することができる。
本明細書に記載される様々な追加的な態様は、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して製造されたベクターを提供する。
環状核酸の複製に使用される宿主系は、例えば、in vitroまたはin vivo宿主系となることができる。一実施形態では、宿主系は、宿主細胞、例えば、昆虫細胞、哺乳動物細胞、ウイルス、細菌パッケージング細胞、または無細胞系となることができる。例えば、宿主系が、昆虫細胞、例えば、Sf9、Sf21、Hi−5およびS2昆虫細胞系である場合、AAVベクターを製造するための宿主系は、バキュロウイルス発現系をさらに含むことができる。バキュロウイルス発現系は、例えば、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許番号US6919085B2;US6225060B1;US5194376Aにさらに記載されている。無細胞系において、ベクターは、in vitro系において合成およびアセンブルすることができる。一実施形態では、無細胞系は、ヘルパーファージ粒子を含む。
環状核酸、またはそれが産生される鋳型もしくはプラスミド鋳型に設置されたエレメントは、5’から3’への環状核酸または鋳型もしくはプラスミド鋳型におけるそれらの設置に関して限定されない。例えば、ORIは、dd−ITRの上流に、またはdd−ITRの下流に、またはdd−ITRの上流および下流の両方に設置することができる。別の例では、ORIは、dd−ITR(複数)に隣接され、導入遺伝子に作動可能に連結したプロモーター配列の上流にある。
一実施形態では、鋳型は、F1 ORIを含有し、配列番号37の配列を有する。
Figure 2021528959
Figure 2021528959
別の実施形態では、ORIは、M13に由来し、鋳型のM13ヘルパー依存性複製を容易にする。M13 ORIは、配列番号38のヌクレオチド配列を有する。
Figure 2021528959
一実施形態では、少なくとも1個のORIは、野生型ORIと比較して突然変異した第2のORIを含む。突然変異したORIは、単一のヌクレオチド突然変異、例えば、ヌクレオチド欠失、挿入もしくは置換)を含むことができる、または野生型ORI配列の少なくとも部分(例えば、少なくとも5ヌクレオチド)を欠如するようにトランケートされていてよい。一実施形態では、突然変異体ORIは、突然変異体F1 ORI、F1−ORIΔ29である。突然変異体ORIΔ29は、複製を開始する能力を欠如するトランケートされたF1 ORIである。ORIΔ29は、例えば、Specthrie, L, et al. Journal of Mol Biol. V. 228(3), 1992にさらに概説されている。一実施形態では、ORIΔ29は、配列番号39のヌクレオチド配列を有する。
Figure 2021528959
一実施形態では、突然変異体ORIは、突然変異体M13 ORI、M13−ORIΔ29である。突然変異体ORIΔ29は、複製を開始する能力を欠如するトランケートされたM13 ORIである。一実施形態では、ORIΔ29は、配列番号40のヌクレオチド配列を有する。
Figure 2021528959
Figure 2021528959
本明細書に記載される環状核酸は、他の型または種のORIを含まず、例えば、ベクターは、細菌または哺乳動物のORIを含まない。
切断部位は、ホスホジエステル骨格が選択的に破壊されるヌクレオチド配列である。例えば、ヌクレアーゼによって認識されるヌクレオチド配列が切断部位であり、その理由として、この酵素は、配列内の選択的部位でホスホジエステル骨格をカットすることが挙げられる。かかる切断部位は、エンドヌクレアーゼに応じて一本または二本鎖となることができる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,795,700号に記載されている通り、マクサムおよびギルバート配列決定において行われるピリミジンおよびプリン切断反応等の化学的切断部位、または酸化等の化学的方法による切断も含まれる。
一実施形態では、鋳型は、少なくとも第2の切断をさらに含み、部位内には、鋳型に含有された追加的なエレメント、例えば、少なくとも1個の(on)ORI、少なくとも1個のTR(そのうち少なくとも1個はDD−ITRである)および治療用導入遺伝子に作動的に連結したプロモーターがあり、少なくとも2個の切断部位は、これらのエレメントに隣接する。一実施形態では、ORIの直ちに下流に第3の特有の切断部位が設置される。
一実施形態では、切断部位は、ヌクレアーゼによってカットされる。本明細書で使用される場合、用語「ヌクレアーゼ」は、DNA切断の活性を保有する分子を指す。一実施形態では、ヌクレアーゼは、プロテロメラーゼであり、切断部位は、プロテロメラーゼ標的配列、例えば、TelN認識部位である。一実施形態では、ヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼであり、切断部位は、エンドヌクレアーゼの認識部位(すなわち、制限部位)である。制限エンドヌクレアーゼは、DNA分子の部位特異的切断を触媒することができる加水分解酵素である。制限エンドヌクレアーゼ作用の座位は、特異的ヌクレオチド配列の存在によって決定される。かかる配列は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位と名付けられる。少なくとも2個の切断部位が存在する場合、少なくとも2個の部位は、同じ切断部位または異なる切断部位(difference cleave site)となることができる。
一実施形態では、鋳型における制限部位は、一般的でない制限部位である、すなわち、導入遺伝子の配列において一般的に見出されない。例示的な一般的でない制限部位は、鏡様(mirror-like)パリンドローム制限部位または8塩基対制限部位を含む。一実施形態では、鋳型において使用される制限部位は、本発明の導入遺伝子、すなわち、治療用導入遺伝子において見出されない。
アダプター配列は、他のDNAまたはRNA分子の末端にライゲーションすることができる、短い合成した一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、本明細書に記載されるアダプター配列は、一本鎖であり、例えばヘアピンループにより、これがライゲーションされるDNA末端を閉鎖する。アダプター配列は、DNA環状化の手段として、カットされたプラスミド断片の一末端または両末端に付加される。一実施形態では、アダプター配列は、プラスミド断片にライゲーションされ、これがライゲーションされる切断されたDNAの末端における閉鎖を導く(例えば、図11〜図13を参照)。DNA末端の閉鎖に使用することができる例示的なアダプタータンパク質は、例えば、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2009/0098612号;および米国特許第6,369,038号;同第6,451,563号;同第6,849,725号にさらに記載されているヘアピンループを含む。プラスミドから切り出されたプラスミド断片のカットされた末端に付加されるとDNAを環状化することができるいかなる配列も、アダプター配列となることができると想定される。
例として、配列番号41(CCATTCTGTTCCGCATGATTCCTCTGCGGAACAGAATGG(配列番号41))の配列を有するヘアピンループアダプター配列は、Sfi1制限部位配列(例えば、GGCCNNNNNGGCC;配列番号42)をさらに含むことができる。Sfi1制限部位配列を有するアダプター配列は、制限部位のカットに十分な時間、制限酵素Sfi1で消化することができる。この操作は、Sfi1制限酵素により切り出されたプラスミド断片へのアダプタータンパク質のハイブリダイズに使用することができる、アダプター配列に「粘着末端」を作製するであろう。
治療用核酸
本発明のDNA構築物は、in vitro、ex vivoおよびin vivoでの細胞への核酸の送達に有用である。特に、DNA構築物は、哺乳動物を含む動物の細胞への核酸の送達または移入に有利に用いることができる。
いずれかの目的の核酸配列(複数可)を、本発明のDNA構築物において送達することができる。目的の核酸は、治療用(例えば、医学的または獣医学的使用のための)、免疫原性(例えば、ワクチンのための)または診断用ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする核酸を含む。
治療用ポリペプチドとして、嚢胞性線維症膜コンダクタンス(cystic fibrosis transmembrane)調節因子タンパク質(CFTR)、ジストロフィン(ミニおよびマイクロジストロフィンを含む(例えば、Vincent et al., (1993) Nature Genetics 5:130;米国特許出願公開第2003/017131号;国際公開WO/2008/088895、Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:13714-13719 (2000);およびGregorevic et al., Mol. Ther. 16:657-64 (2008)を参照)、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、IGF−1、IカッパーBドミナント突然変異体等の抗炎症性ポリペプチド、サルコスパン(sarcospan)、ユートロフィン(Tinsley et al., (1996) Nature 384:349)、ミニユートロフィン、凝固因子(例えば、第VIII因子、第IX因子、第X因子等)、エリスロポエチン、アンジオスタチン、エンドスタチン、カタラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、レプチン、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、ベータ−グロビン、アルファ−グロビン、スペクトリン、アルファ−アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、ベータ−グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソームヘキソサミニダーゼA、分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、RP65タンパク質、サイトカイン(例えば、アルファ−インターフェロン、ベータ−インターフェロン、インターフェロン−ガンマ.、インターロイキン−2、インターロイキン−4、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、リンホトキシンおよびその他)、ペプチド成長因子、神経栄養因子およびホルモン(例えば、ソマトトロピン、インスリン、インスリン様成長因子1および2、血小板由来成長因子、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、神経成長因子、神経栄養因子−3および−4、脳由来神経栄養因子、骨形成タンパク質[RANKLおよびVEGFを含む]、グリア由来成長因子、トランスフォーミング成長因子−.アルファ.および−.ベータ.ならびにその他)、リソソーム酸.アルファ.−グルコシダーゼ、.アルファ.−ガラクトシダーゼA、受容体(例えば、腫瘍壊死成長因子(factory)可溶性受容体)、S100A1、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、トランケートされた構成的に活性があるbARKet等のGタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンをもたらす分子、TRAP等の抗炎症因子、抗ミオスタチンタンパク質、アスパルトアシラーゼ、ならびにモノクローナル抗体(単鎖モノクローナル抗体を含む;例示的なMabはハーセプチン.RTM.Mabである)が挙げられるがこれらに限定されない。他の説明目的の異種核酸配列は、自殺遺伝子産物(例えば、チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ジフテリア毒素および腫瘍壊死因子)、がん治療法において使用される薬物に対する抵抗性を付与するタンパク質、腫瘍サプレッサー遺伝子産物(例えば、p53、Rb、Wt−1)、TRAIL、FAS−リガンド、およびそれを必要とする対象において治療効果を有する他のいずれかのポリペプチドをコードする。パルボウイルスベクターを使用して、モノクローナル抗体および抗体断片、例えば、ミオスタチンに対して作製された抗体または抗体断片を送達することもできる(例えば、Fang et al., Nature Biotechnol. 23:584-590 (2005)を参照)。
ポリペプチドをコードする核酸配列は、レポーターポリペプチド(例えば、酵素)をコードする核酸配列を含む。レポーターポリペプチドは、当技術分野で公知であり、そのようなものとして、緑色蛍光タンパク質、ベータ−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子が挙げられるがこれらに限定されない。
あるいは、本発明の特定の実施形態では、核酸は、アンチセンス核酸、リボザイム(例えば、米国特許第5,877,022号に記載されている通り)、スプライセオソーム媒介性トランススプライシングをもたらすRNA(Puttaraju et al., (1999) Nature Biotech 17:246;米国特許第6,013,487号;米国特許第6,083,702号を参照)、遺伝子サイレンシングを媒介するsiRNA、shRNAまたはmiRNAを含む干渉RNA(RNAi)(Sharp et al., (2000) Science 287:2431を参照)、および「ガイド」RNA等の他の非翻訳RNA(Gorman et al., (1998) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 95:4929;米国特許第5,869,248号、Yuan et al.)、ならびにその他をコードすることができる。例示的な非翻訳RNAは、多剤耐性(MDR)遺伝子産物に対するRNAi(例えば、腫瘍を処置および/または予防するために、および/または化学療法による損傷を予防するために心臓に投与するために)、ミオスタチンに対するRNAi(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのために)、VEGFに対するRNAi(例えば、腫瘍を処置および/または予防するために)、ホスホランバンに対するRNAi(例えば、心血管疾患を処置するために、例えば、Andino et al., J. Gene Med. 10:132-142 (2008)およびLi et al., Acta Pharmacol Sin. 26:51-55 (2005)を参照されたい);ホスホランバンS16E等のホスホランバン阻害性またはドミナントネガティブ分子(例えば、心血管疾患を処置するために、例えば、Hoshijima et al. Nat. Med. 8:864-871 (2002)を参照されたい)、アデノシンキナーゼに対するRNAi(例えば、てんかんのために)、サルコグリカンに対するRNAi(例えば、アルファ.、ベータ.、ガンマ)、ミオスタチン、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチンまたはアクチビンII型可溶性受容体に対するRNAi、IカッパーBドミナント突然変異体等の抗炎症性ポリペプチドに対するRNAi、ならびに病原性生物およびウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、CMV、単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス等)に対して作製されたRNAiを含む。
あるいは、本発明の特定の実施形態では、核酸は、タンパク質ホスファターゼ阻害剤I(I−1)、serca2a、ホスホランバン遺伝子を調節するジンクフィンガータンパク質、Barkct、ベータ2−アドレナリン作動性受容体、ベータ2−アドレナリン作動性受容体キナーゼ(BARK)、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3キナーゼ)、トランケートされた構成的に活性があるbARKct等のGタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンをもたらす分子;カルサルシン(calsarcin)、ホスホランバンに対するRNAi;ホスホランバンS16E等のホスホランバン阻害性またはドミナントネガティブ分子、enos、inos、または骨形成(morphogenie)タンパク質(BNP2、7等、RANKLおよび/またはVEGFを含む)をコードすることができる。
DNA構築物は、宿主染色体における座位と相同性を共有し、これと組換える核酸を含むこともできる。このアプローチを利用して、例えば、宿主細胞における遺伝的欠陥を補正することができる。
さらなる代替として、核酸は、in vitro、ex vivoまたはin vivoで細胞において望ましく産生されるいずれかのポリペプチドをコードすることができる。例えば、DNA構築物は、培養細胞に導入し、そこから発現された遺伝子産物を単離することができる。
調節性エレメント
核酸は、発現カセットの場面にあってもよい。当業者であれば、目的の核酸(複数可)を、適切な制御配列と作動可能に会合させることができることを理解するであろう。例えば、核酸は、転写/翻訳制御シグナル、複製起点、ポリアデニル化シグナル、配列内リボソーム進入部位(IRES)、プロモーターおよび/またはエンハンサー、ならびにその他等、発現制御エレメントと作動可能に会合させることができる。本発明の好まれる実施形態では、発現カセットは、目的のコード配列に作動可能に連結した真核生物プロモーター、および必要に応じて、真核生物転写終結配列を含む。当業者であれば、所望のレベルおよび組織特異的発現に応じて、種々のプロモーター/エンハンサーエレメントを使用することができることを認めるであろう。プロモーター/エンハンサーは、所望の発現パターンに応じて、構成的または誘導性となることができる。プロモーター/エンハンサーは、ネイティブまたは外来性となることができ、天然または合成配列となることができる。外来性とは(bBy)、転写開始領域が、転写開始領域が導入される野生型宿主/標的細胞において見出されないことを意図する。
特定の実施形態では、プロモーター/エンハンサーエレメントは、処置されるべき標的細胞または対象にとってネイティブとなることができる。代表的な実施形態では、プロモーター/エンハンサーエレメントは、核酸配列にとってネイティブとなることができる。プロモーター/エンハンサーエレメントは一般に、目的の標的細胞(複数可)において機能するように選ばれる。さらに、特定の実施形態では、プロモーター/エンハンサーエレメントは、哺乳動物プロモーター/エンハンサーエレメントである。プロモーター/エンハンサーエレメントは、構成的または誘導性となることができる。
誘導性発現制御エレメントは典型的に、異種核酸配列(複数可)の発現について調節をもたらすことが望ましい適用において有利である。遺伝子送達のための誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、組織特異的または優先的(preferred)プロモーター/エンハンサーエレメントとなることができ、筋肉特異的または優先的(心筋、骨格筋および/または平滑筋特異的または優先的を含む)、神経組織特異的または優先的(脳特異的または優先的を含む)、眼特異的または優先的(網膜特異的および角膜特異的を含む)、肝臓特異的または優先的、骨髄特異的または優先的、膵特異的または優先的、脾臓特異的または優先的、および肺特異的または優先的プロモーター/エンハンサーエレメントを含む。他の誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、ホルモン誘導性および金属誘導性エレメントを含む。例示的な誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントとして、Tetオン/オフエレメント、RU486誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーターおよびメタロチオネインプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
標的細胞において核酸配列(複数可)が転写され、次いで翻訳される実施形態では、挿入されたタンパク質コード配列の効率的翻訳のために、特異的開始シグナルが一般に含まれる。ATG開始コドンおよび近接配列を含むことができる、このような外因性翻訳制御配列は、天然および合成の両方の、種々の起源のものとなることができる。
ウイルス粒子の調製
本発明の態様は、一本鎖組換えウイルスゲノムとしての構築物DNAの送達のための組換えウイルス粒子を産生するための、共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNA構築物(時に、閉鎖直鎖状DNA)に関する。これは、少なくとも2個のDD−ITRを含む閉鎖直鎖状DNA構築物(例えば、図1を参照)を、(1)DD−ITRの少なくとも1個にニックを入れるのに必要なAAV Repタンパク質を発現することができ、(2)ITRおよび介在DNA配列をカプシドで包むことができる、ビリオン(ウイルス粒子)の形成に必要なパルボウイルスウイルスカプシドタンパク質、例えば、AAV等のディペンドウイルスを発現することができるベクターまたはプラスミドと共に、宿主細胞へと添加することが関与する。宿主細胞において、DD−ITRが分解し、複製が、Repの存在下、自己プライムしたITRから開始されて、パッケージングすることができるベクターゲノムを産生する。好ましくは、介在DNA配列は、治療用遺伝子配列等の導入遺伝子配列を含有する。例えば、AAV ITRにニックを入れる特定のRepタンパク質は、典型的に、同じ血清型に由来する(例えば、AAV2 ITRとAAV2 Rep78)が、AAV ITRおよびAAV Repタンパク質が同じ血清型に由来する状況と比較して、少なくとも25%...35%...50%...65%...75%...85%...90%...95%...98%...100%またはいずれか介在するパーセントもしくはより大きいパーセントのニッキング有効性を保持する限りにおいて、いかなる血清型を使用してもよい。この方法を使用して、ITRおよびその介在DNA配列、例えば、導入遺伝子を含有する大量のウイルス粒子を調製することができる。DD−ITRを含有する閉鎖直鎖状ベクターの使用は、より効率的である、すなわち、二重Dを持たない閉鎖直鎖状ベクターと比較して、より高い収率のパッケージングされたゲノム、感染性ウイルス粒子をもたらし、ウイルス粒子は、いかなる混入プラスミドDNAも持たない。
この方法を用いて、合成ITRまたは自己相補的二量体AAV配列(sc二量体)等を含有するAAV粒子等、いずれか公知のAAV粒子を産生することができる。当業者は、典型的AAV粒子が、約5,000ntを超えてパッケージングすることができないことが分かっているため、パッケージング可能なサイズとなるように、初期非ウイルス閉鎖直鎖状DNA構築物の設計には注意を払う。一実施形態では、パッケージングされた自己相補的配列が所望される場合、初期非ウイルス閉鎖直鎖状DNA構築物rAAVゲノムベクター鋳型は、例えば、Repニック欠陥ITRまたはヘアピン配列を有することができる。例えば、それらの全体が参照により組み込まれる米国特許第7465583号、同第7790154号、同第8361457号、同第8784799号を参照されたい。例えば、一実施形態では、ベクター鋳型は、およそ1/2サイズのゲノム鋳型(例えば、野生型AAVゲノムの1/2前後のサイズ)となることができ、DD−ITRの1個は、Repニック受容能力がないITRである。次に、レスキューされ複製されたrAAVゲノムは、全長ゲノムサイズでパッケージング可能となるであろう。代替の実施形態では、閉鎖直鎖状DNA構築物rAAVゲノムベクター鋳型は、ニック欠陥ITR、または例えば、2個のRepニック受容能力があるDD−ITRの間に配置されたヘアピン配列を含み、ニック欠陥ITRまたはヘアピン配列は、さらに、導入遺伝子のセンスおよびアンチセンス配列の間に置かれ、ゲノム鋳型は、およそフルサイズ、例えば、5,000nt前後またはwtAAVサイズ、例えば、5000nt…4800nt…4500nt…未満である。いずれの場合でも、閉鎖直鎖状rAAVベクターゲノム鋳型の複製後に、センスおよびアンチセンス配列は、ITRの間のDNAの一本鎖に存在し、このベクターゲノムは、rAAVビリオン内にパッケージングすることができる。
宿主細胞は、Repおよびウイルスカプシドタンパク質を既に発現していてよい、または細胞を、標準手段によって同時にもしくはほぼ同時にコトランスフェクトすることができる。当技術分野で使用される公知の細胞型のいずれかを、このプロセスにおいて使用することができる。例えば、昆虫細胞、例えば、バキュロウイルスを使用することができる。哺乳動物懸濁細胞を使用した産生のための方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUS9,411,206に記載されている。
本明細書に記載されるベクターを含む医薬組成物も提供される。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、ITR配列は、いずれかの側において相補配列DおよびD’に隣接する(例えば、DD−ITRである)。
本明細書に記載される方法およびベクターの実施形態では、D領域は、ニッキング部位を含有する。
本明細書に記載される核酸または核酸ベクターのITR配列は、いずれかのパルボウイルス(parviovirus)またはいずれかのAAV血清型(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)に由来することができる、または2種以上の血清型に由来することができる。本明細書に提供される核酸または核酸ベクターの一部の実施形態では、ITR配列は、AAV2に由来する。本明細書に提供される核酸または核酸ベクターの一部の実施形態では、ITR配列は、自律的(autonomus)パルボウイルスに由来する。ITR配列およびITR配列を含有するプラスミドは、当技術分野で公知であり、市販されている(例えば、Vector Biolabs、Philadelphia、PA;Cellbiolabs、San Diego、CA;Agilent Technologies、Santa Clara、Ca;およびAddgene、Cambridge、MAから入手できる製品およびサービス;ならびにこれらすべて参照により本明細書に組み込まれる、Gene delivery to skeletal muscle results in sustained expression and systemic delivery of a therapeutic protein. Kessler PD, Podsakoff GM, Chen X, McQuiston SA, Colosi PC, Matelis LA, Kurtzman GJ, Byrne BJ. Proc Natl Acad Sci U S A. 1996 Nov 26;93(24): 14082-7;および Curtis A. Machida. Methods in Molecular MedicineTM. Viral Vectors for Gene Therapy Methods and Protocols. 10.1385/1-59259-304-6:201 (c) Humana Press Inc. 2003. Chapter 10. Targeted Integration by Adeno-Associated Virus. Matthew D. Weitzman, Samuel M. Young Jr., Toni Cathomen and Richard Jude Samulski;米国特許第5,139,941号および同第5,962,313号を参照)。一部の実施形態では、発現構築物は、5キロベース以下、4キロベース以下または3キロベース以下のサイズである。一部の実施形態では、発現構築物は、4〜7キロベースの間のサイズである。一実施形態では、本明細書に記載される閉鎖直鎖状DNAベクターからのrAAVゲノムのレスキューおよび複製(replicaiton)から得られる複製されたゲノムは、ディペンドウイルス粒子等のパルボウイルス粒子においてカプシドに包まれている(enccapsidated)。例えば、AAV粒子。rAAV粒子は、いずれかの派生物(血清型の天然に存在しないバリアントを含む)またはキメラまたはシュードタイプを含む、いずれかのAAV血清型(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)のものとなることができる。複製されたゲノムは、パッケージング可能なサイズである。
派生物およびキメラの非限定的な例として、AAV2−AAV3、AAVrh.10、AAVhu.14、AAV3a/3b、AAVrh32.33、AAV−HSC15、AAV−HSC17、AAVhu.37、AAVrh.8、CHt−P6、AAV2.5、AAV6.2、AAV2i8、AAV−HSC15/17、AAVM41、AAV9.45、AAV6(Y445F/Y731F)、AAV2.5T、AAV−HAE1/2、AAVクローン32/83、AAVShHIO、AAV2(Y−>F)、AAV8(Y733F)、AAV2.15、AAV2.4、AAVM41およびAAVr3.45が挙げられる(例えば、Mol Ther. 2012 Apr;20(4):699-708. doi: 10.1038/mt.2011.287. Epub 2012 Jan 24.The AAV vector toolkit: poised at the clinical crossroads. Asokan Al, Schaffer DV, Samulski RJ.を参照)。
一部の実施形態では、rAAV粒子は、改変されたカプシドタンパク質(例えば、改変されたVP3、VP1またはVP2を含むカプシドタンパク質)を含むカプシドを含む。改変されたカプシドタンパク質を産生する方法は、当技術分野で公知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開番号US20130310443を参照)。一部の実施形態では、rAAV粒子は、野生型カプシドタンパク質(例えば、配列番号15等の野生型AAV2カプシドタンパク質、または他の野生型AAVカプシドタンパク質)における表面に露出したアミノ酸に対応する位置における少なくとも1個の非ネイティブアミノ酸置換を含む、改変されたカプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、野生型カプシドタンパク質における表面に露出したチロシンアミノ酸に対応する位置における非チロシンアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)、野生型カプシドタンパク質における表面に露出したスレオニンアミノ酸に対応する位置における非スレオニンアミノ酸(例えば、バリン)、野生型カプシドタンパク質における表面に露出したリシンアミノ酸に対応する位置における非リシンアミノ酸(例えば、グルタミン酸)、野生型カプシドタンパク質における表面に露出したセリンアミノ酸に対応する位置における非セリンアミノ酸(例えば、バリン)、またはこれらの組合せを含む、改変されたカプシドタンパク質を含む。
例示的で非限定的な野生型AAV2カプシドタンパク質配列を下に提示する(配列番号15)。
Figure 2021528959
rAAV粒子および核酸ベクターを産生する方法もまた、当技術分野で公知であり、市販されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれるZolotukhin et al. Production and purification of serotype 1, 2, and 5 recombinant adeno-associated viral vectors. Methods 28 (2002) 158-167;ならびに米国特許公開番号US20070015238およびUS20120322861;ならびにATCCおよびCell Biolabs、Inc.から入手できるプラスミドおよびキットを参照)。例えば、rAAVベクターゲノムが複製され、パッケージングされ、その後に精製され得るように、核酸ベクター(例えば、DD−ITRおよび異種(heterologus)遺伝子を含む閉鎖直鎖状ベクター)は、例えばrep遺伝子(例えば、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40をコードする)およびcap遺伝子(VP1、VP2およびVP3をコードする)を含有する1種または複数のヘルパープラスミドと組み合わせ、産生株細胞系へとトランスフェクトすることができる。
当技術分野で公知のいずれか適した細胞を用いることができる。特定の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。別の選択肢として、細胞は、複製欠陥ヘルパーウイルスから欠失された機能をもたらすトランス補完(trans-complementing)パッケージング細胞系、例えば、293細胞または他のElaトランス補完細胞となることができる。
AAV複製およびカプシド配列は、当技術分野で公知のいずれかの方法によって提供することができる。現在のプロトコールは典型的に、単一のプラスミドにおいてAAV rep/cap遺伝子を発現させる。AAV複製およびパッケージング配列は、一緒に提供される必要はないが、一緒に提供すれば簡便な場合がある。AAV repおよび/またはcap配列は、いずれかのウイルスまたは非ウイルスベクターによって提供することができる。例えば、rep/cap配列は、ハイブリッドアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターによって提供することができる(例えば、欠失されたアデノウイルスベクターのElaまたはE3領域へと挿入される)。EBVベクターを用いて、AAV capおよびrep遺伝子を発現させることもできる。この方法の1つの利点は、EBVベクターはエピソームであるにもかかわらず、連続的な細胞分裂を通じて高いコピー数を維持するであろうことである(すなわち、「EBVに基づく核エピソーム」として命名される染色体外エレメントとして細胞に安定して組み込まれる。Margolski, (1992) Curr. Top. Microbiol. Immun. 158:67を参照)。
改変されたカプシド:
本発明の改変されたカプシドタンパク質は、現在公知のまたは後に発見されるいずれかのAAVのカプシドタンパク質を改変することにより産生することができる。さらに、改変されるべきAAVカプシドタンパク質は、天然に存在するAAVカプシドタンパク質(例えば、AAV2、AAV3aまたは3b、AAV4、AAV5、AAV8、AAV9、AAV10またはAAV11カプシドタンパク質、または表1に示すAAVのいずれか)となることができるが、そのように限定されてはいない。当業者であれば、AAVカプシドタンパク質に対する種々の操作が、当技術分野で公知であり、本発明が、天然に存在するAAVカプシドタンパク質の改変に限定されないことを理解するであろう。例えば、改変されるべきカプシドタンパク質は、既に、天然に存在するAAVと比較して、挿入、欠失または置換等の変更を有することができる(例えば、天然に存在するAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV2、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10および/またはAAV11、または現在公知のもしくは後に発見される他のいずれかのAAVに由来する)。かかるAAVカプシドタンパク質もまた、本発明の範囲内である。
一実施形態では、カプシドタンパク質は、改変されていないカプシドタンパク質と比較して、減少された肝臓形質導入および/または低減されたグリカン結合親和性の表現型を有するように改変することができる。当業者には、均等なアミノ酸が、他のAAV血清型に存在し、本発明が、かかる均等なアミノ酸位置に本発明の突然変異(複数可)を含む、これから本質的になるまたはこれからなる、かかる他のAAV血清型を包含し、前記突然変異(複数可)が、対照と比較して低減された肝臓形質導入および/または低減されたグリカン結合親和性の表現型をもたらすことが(what)周知となるであろう。
特定の実施形態では、カプシドタンパク質は、ネイティブAAVカプシドタンパク質配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、20個未満、30個未満、40個未満、50個未満、60個未満または70個未満のアミノ酸変更を含む。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,409,953号を参照されたい。
ウイルス力価を増強するために、増殖性AAV感染を促進するヘルパーウイルス機能(例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)を、細胞に提供することができる。AAV複製に必要なヘルパーウイルス配列は、当技術分野で公知である。典型的には、このような配列は、ヘルパーアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターによって提供されるであろう。あるいは、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス配列は、別の非ウイルスまたはウイルスベクターによって、例えば、Ferrari et al., (1997) Nature Med. 3:1295ならびに米国特許第6,040,183号および同第6,093,570号に記載されている通り、効率的AAV産生を促進するヘルパー遺伝子の全てを運ぶ非感染性アデノウイルスミニプラスミドとして提供することができる。
さらに、ヘルパーウイルス機能は、染色体に包埋されたまたは安定した染色体外エレメントとして維持されたヘルパー配列を有するパッケージング細胞によって提供することができる。一般に、ヘルパーウイルス配列は、AAVビリオンへとパッケージングすることができない、例えば、TRに隣接されない。
一部の実施形態では、1種または複数のヘルパープラスミドは、rep遺伝子およびcap遺伝子を含む第1のヘルパープラスミド、ならびにEla遺伝子、Elb遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子およびVA遺伝子等のAAV産生を支援する他の遺伝子を含む第2のヘルパープラスミドを含む。一部の実施形態では、rep遺伝子は、AAV2に由来するrep遺伝子であり、cap遺伝子は、AAV5に由来する。ヘルパープラスミド、およびかかるプラスミドを作製する方法は、当技術分野で公知であり、市販されている(例えば、PlasmidFactory、Bielefeld、Germanyから得られるpDM、pDG、pDPlrs、pDP2rs、pDP3rs、pDP4rs、pDP5rs、pDP6rs、pDG(R484E/R585E)およびpDP8.apeプラスミド;Vector Biolabs、Philadelphia、PA;Cellbiolabs、San Diego、CA;Agilent Technologies、Santa Clara、Ca;およびAddgene、Cambridge、MAから入手できる他の製品およびサービス;pxx6;Grimm et al. (1998), Novel Tools for Production and Purification of Recombinant Adenoassociated Virus Vectors, Human Gene Therapy, Vol. 9, 2745-2760; Kern, A. et al. (2003), Identification of a Heparin-Binding Motif on Adeno-Associated Virus Type 2 Capsids, Journal of Virology, Vol. 77, 11072-11081.; Grimm et al. (2003), Helper Virus-Free, Optically Controllable, and Two-Plasmid-Based Production of Adeno-associated Virus Vectors of Serotypes 1 to 6, Molecular Therapy, Vol. 7, 839-850; Kronenberg et al. (2005), A Conformational Change in the Adeno- Associated Virus Type 2 Capsid Leads to the Exposure of Hidden VP1 N Termini, Journal of Virology, Vol. 79, 5296- 5303;および Moullier, P. and Snyder, R.O. (2008), International efforts for recombinant adeno- associated viral vector reference standards, Molecular Therapy, Vol. 16, 1185-1188を参照)。
例示的で非限定的なrAAV粒子産生方法を次に記載する。所望のAAV血清型のためのrepおよびcap ORF、ならびにアデノウイルスVA、E2A(DBP)およびE4遺伝子をそれらのネイティブプロモーターの転写制御下で含む、1種または複数のヘルパープラスミドが産生されるまたは得られる。HEK293細胞(ATCC(登録商標)から入手できる)は、CaP04媒介性トランスフェクション、ポリエチレンイミン(PEI)等の脂質またはポリマー分子により、ヘルパープラスミド(複数可)および本明細書に記載される核酸ベクターを含有するプラスミドをトランスフェクトされる。あるいは、別の例では、Sf9に基づく産生株安定細胞系は、核酸ベクターを含有する単一の組換えバキュロウイルスを感染させられる。次に、rAAV粒子は、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載されるいずれかの方法を使用して、例えば、イオジキサノール段階勾配、CsCl勾配、クロマトグラフィーまたはポリエチレングリコール(PEG)沈殿により精製することができる。
組換えAAV産生の様々な手段が、当業者にとって周知であり、そのような方法のいずれかは、本明細書に記載されるベクター鋳型を、本明細書に記載される少なくとも2個のDD−ITRを含む(cmprising)共有結合性(covalantly)閉鎖非ウイルス直鎖状DNA構築物に置換する改変により使用することができる。
本開示はまた、開示されているrAAV粒子、発現構築物または核酸ベクターのうち少なくとも1種を含む宿主細胞を企図する。かかる宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞を含み、ヒト宿主細胞が好まれ、細胞または組織培養において単離されていてよい。遺伝子改変された動物モデル(例えば、マウス)の場合、形質転換された宿主細胞は、非ヒト動物それ自体の身体内に含まれていてよい。
一実施形態では、例えばDD ITRを含む、閉鎖直鎖状またはミニサークルDNAを使用したrAAVは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,44,1206号に記載されている通り、細胞系、例えば、Pro10細胞系において産生される。
標的細胞へのDNA構築物の送達
本発明のウイルス粒子またはネイキッドDNAのいずれかのDNAベクター構築物は、当技術分野における様々な利用できる手段によって標的細胞に送達することができる。核酸の送達方法は、粒子による感染、リポフェクション、ヌクレオフェクション(nucleofection)、マイクロインジェクション、遺伝子銃、リポソーム、イムノリポソーム(immunoliposome)、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、ネイキッドDNA、および薬剤に増強されたDNA取り込みを限定することなく含む。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,787号;および同第4,897,355号)に記載されており、リポフェクション試薬は、商業的に売られている(例えば、Transfectam(商標)およびLipofectin(商標))。送達は、細胞(例えば、in vitroまたはex vivo投与)または標的組織(例えば、in vivo投与)へと為すことができる。
一実施形態では、本明細書に記載されるDNA構築物は、トランスフェクションによって細胞に投与される。本明細書に記載される方法に有用なトランスフェクション方法として、脂質媒介性トランスフェクション、カチオン性ポリマー媒介性トランスフェクションまたはリン酸カルシウム沈殿が挙げられるがこれらに限定されない。本発明による使用に適したトランスフェクション薬剤は、細胞へのRNA、DNAおよびタンパク質の導入を容易にするトランスフェクション薬剤を含む。例示的なトランスフェクション試薬は、TurboFectトランスフェクション試薬(Thermo Fisher Scientific)、Pro−Ject試薬(Thermo Fisher Scientific)、TRANSPASS(商標)Pタンパク質トランスフェクション試薬(New England Biolabs)、CHARIOT(商標)タンパク質送達試薬(Active Motif)、PROTEOJUICE(商標)タンパク質トランスフェクション試薬(EMD Millipore)、293fectin、LIPOFECTAMINE(商標)2000、LIPOFECTAMINE(商標)3000(Thermo Fisher Scientific)、LIPOFECTAMINE(商標)(Thermo Fisher Scientific)、LIPOFECTIN(商標)(Thermo Fisher Scientific)、DMRIE−C、CELLFECTIN(商標)(Thermo Fisher Scientific)、OLIGOFECTAMINE(商標)(Thermo Fisher Scientific)、LIPOFECTACE(商標)、FUGENE(商標)(Roche、Basel、Switzerland)、FUGENE(商標)HD(Roche)、TRANSFECTAM(商標)(Transfectam、Promega、Madison、Wis.)、TFX−10(商標)(Promega)、TFX−20(商標)(Promega)、TFX−50(商標)(Promega)、TRANSFECTIN(商標)(BioRad、Hercules、Calif.)、SILENTFECT(商標)(Bio−Rad)、Effectene(商標)(Qiagen、Valencia、Calif.)、DC−chol(Avanti Polar Lipids)、GENEPORTER(商標)(Gene Therapy Systems、San Diego、Calif.)、DHARMAFECT 1(商標)(Dharmacon、Lafayette、Colo.)、DHARMAFECT 2(商標)(Dharmacon)、DHARMAFECT 3(商標)(Dharmacon)、DHARMAFECT 4(商標)(Dharmacon)、ESCORT(商標)III(Sigma、St.Louis、Mo.)およびESCORT(商標)IV(Sigma Chemical Co.)を含む。
別の実施形態では、本明細書に記載されるDNA構築物は、電気穿孔(例えば、ヌクレオフェクション)によって細胞に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される核酸は、当業者にとって公知のマイクロ流体方法により細胞に投与される。
リポソーム媒介性送達
実施形態では、DNA構築物は、細胞への送達のためにリポソームに添加される。リポソームは、少なくとも1つの脂質二重層を保有する小胞である。リポソームは典型的に、医薬品開発の場面における薬物/治療法送達のための担体として使用される。リポソームは、細胞膜と融合し、その脂質構造を再配置して、薬物または活性医薬品成分(API)を送達することにより機能する。かかる送達のためのリポソーム組成物は、リン脂質、特に、ホスファチジルコリン基を有する化合物で構成されるが、このような組成物は、他の脂質を含むこともできる。
一部の態様では、本開示は、免疫原性/抗原性を低減し、化合物(複数可)に親水性および疎水性をもたらし、投薬頻度を低減し得る、ポリエチレングリコール(PEG)官能基を有する1種または複数の化合物(いわゆる「ペグ化化合物」)を含むリポソーム製剤を提供する。または、リポソーム製剤は単純に、追加的な構成成分としてポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含む。かかる態様では、PEGまたはPEG官能基の分子量は、62Da〜約5,000Daとなることができる。
一部の態様では、本開示は、数時間〜数週間の期間にわたり、延長された放出または制御された放出プロファイルでAPIを送達するであろうリポソーム製剤を提供する。一部の関連する態様では、リポソーム製剤は、脂質二重層によって結合される水性チャンバー(aqueous chamber)を含むことができる。他の関連する態様では、リポソーム製剤は、数時間〜数週間の期間にわたりAPIを放出する、上昇した温度で物理的遷移を起こす構成成分でAPIを被包する。
一部の態様では、リポソーム製剤は、スフィンゴミエリンおよび本明細書に開示される1種または複数の脂質を含む。一部の態様では、リポソーム製剤は、オプチソーム(optisome)を含む。
一部の態様では、本開示は、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩、(ジステアロイル−sn−グリセロ−ホスホエタノールアミン)、MPEG(メトキシポリエチレングリコール)コンジュゲート脂質、HSPC(水素化ダイズホスファチジルコリン);PEG(ポリエチレングリコール);DSPE(ジステアロイル−sn−グリセロ−ホスホエタノールアミン);DSPC(ジステアロイルホスファチジルコリン);DOPC(ジオレオイルホスファチジルコリン);DPPG(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール);EPC(卵ホスファチジルコリン);DOPS(ジオレオイルホスファチジルセリン);POPC(パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン);SM(スフィンゴミエリン);MPEG(メトキシポリエチレングリコール);DMPC(ジミリストイルホスファチジルコリン);DMPG(ジミリストイルホスファチジルグリセロール);DSPG(ジステアロイルホスファチジルグリセロール);DEPC(ジエルコイルホスファチジルコリン(dierucoylphosphatidylcholine));DOPE(ジオレオイル(dioleoly)−sn−グリセロ−ホスホエタノールアミン(phophoethanolamine))、コレステロール硫酸塩(CS)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、DOPC(ジオレオイル(dioleoly)−snグリセロ−ホスファチジルコリン)、またはこれらのいずれかの組合せから選択される1種または複数の脂質を含むリポソーム製剤を提供する。
一部の態様では、本開示は、リン脂質、コレステロールおよびペグ化脂質を56:38:5のモル比で含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、リポソーム製剤の全体的な脂質含量は、2〜16mg/mLである。一部の態様では、本開示は、ホスファチジルコリン官能基を含有する脂質、エタノールアミン官能基を含有する脂質およびペグ化脂質を含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、ホスファチジルコリン官能基を含有する脂質、エタノールアミン官能基を含有する脂質およびペグ化脂質をそれぞれ3:0.015:2のモル比で含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、ホスファチジルコリン官能基を含有する脂質、コレステロールおよびペグ化脂質を含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、ホスファチジルコリン官能基を含有する脂質およびコレステロールを含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、ペグ化脂質は、PEG−2000−DSPEである。一部の態様では、本開示は、DPPG、ダイズPC、MPEG−DSPE脂質コンジュゲートおよびコレステロールを含むリポソーム製剤を提供する。
一部の態様では、本開示は、ホスファチジルコリン官能基を含有する1種または複数の脂質、およびエタノールアミン官能基を含有する1種または複数の脂質を含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、ホスファチジルコリン官能基を含有する脂質、エタノールアミン官能基を含有する脂質、およびステロール、例えば、コレステロールのうち1種または複数を含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、リポソーム製剤は、DOPC/DEPC;およびDOPEを含む。
一部の態様では、本開示は、1種または複数の医薬品賦形剤、例えば、スクロースおよび/またはグリシンをさらに含むリポソーム製剤を提供する。
一部の態様では、本開示は、単層または多重層の構造のいずれかであるリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、多胞性粒子および/または泡に基づく粒子を含むリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、一般的なナノ粒子よりも大きい相対的サイズであり、約150〜250nmのサイズであるリポソーム製剤を提供する。一部の態様では、リポソーム製剤は、凍結乾燥した粉末である。
一部の態様では、本開示は、単離されたDNA構築物がリポソームの外側にある混合物に弱塩基を添加することにより、実施例1のプロセスまたは本明細書に開示される他の仕方によって得られたDNA構築物を用いて作製され、これをロードしたリポソーム製剤を提供する。この添加は、リポソームの外側のpHをおよそ7.3へと増加させ、APIをリポソーム内に駆動する。一部の態様では、本開示は、リポソームの内側において酸性のpHを有するリポソーム製剤を提供する。かかる事例では、リポソームの内側は、pH4〜6.9、より好ましくは、pH6.5となることができる。他の態様では、本開示は、リポソーム内薬物安定化技術を使用することにより作製されたリポソーム製剤を提供する。かかる事例では、ポリマーまたは非ポリマー性高電荷アニオンおよびリポソーム内トラッピング剤、例えば、ポリリン酸塩またはスクロースオクタ硫酸塩(octasulfate)が利用される。
他の態様では、本開示は、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンを含むリポソーム製剤を提供する。
一部の態様では、本開示は、DNA構築物の送達において有用な、脂質製剤、例えば、脂質ナノ粒子製剤を提供する。例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2017/173054に記載されている脂質ナノ粒子製剤が、本明細書に記載される方法および組成物による使用に企図される。
医薬組成物
本明細書に開示されるDNAベクター構築物は、対象の細胞、組織または臓器へのin vivo送達のための対象への投与に適した医薬組成物中に取り込むことができる。典型的には、医薬組成物は、本明細書に開示されるDNA構築物および薬学的に許容される担体を含む。例えば、DNA構築物は、治療的投与の所望の経路(例えば、非経口投与)に適した医薬組成物中に取り込むことができる。高圧静脈内または動脈内注入による受動的組織形質導入と共に、核内マイクロインジェクションまたは細胞質内注射等の細胞内注射も企図される。治療目的の医薬組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散、リポソーム、または高いDNA構築物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。滅菌注射用溶液は、要求に応じて、上に列挙されている成分のうち1種または組合せと共に、適切な緩衝剤において、要求される量のDNA構築物化合物を取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。DNA構築物は、核酸中の導入遺伝子をレシピエントの細胞に送達し、その中での核酸の治療のための発現をもたらすために製剤化することができる。組成物は、薬学的に許容される担体を含むこともできる。
本明細書に提供される組成物およびベクターを使用して、様々な目的で所定のDNA配列(例えば、導入遺伝子またはドナー配列)を送達することができる。一部の実施形態では、DNA配列は、例えば、発現されたタンパク質またはRNAが相互作用するタンパク質の機能を試験するための、例えば、導入遺伝子を有する体細胞トランスジェニック動物モデルを作製するための、研究目的の使用が意図されるRNAまたはタンパク質をコードする。別の例では、導入遺伝子は、疾患の動物モデルを作製するための使用が意図されるものをコードする。一部の実施形態では、導入遺伝子は、哺乳動物対象における疾患状態の処置または予防に有用な、1種または複数のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする。
治療目的の医薬組成物は典型的に、製造および貯蔵の条件下で、滅菌され安定する必要がある。組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散、リポソーム、または高いDNA構築物もしくはウイルス粒子濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。滅菌注射用溶液は、要求に応じて、上に列挙されている成分のうち1種または組合せと共に、適切な緩衝剤において、要求される量のDNA構築物化合物を取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。
投薬量、投与および有効性
本方法は、本明細書に記載される治療用タンパク質またはRNAまたはウイルス粒子をコードするDNA構築物を含む組成物の有効量を対象に投与するステップを含む。熟達した開業医によって認められるであろうが、用語「有効量」は、疾患の処置のための「治療有効量」での、コードされるタンパク質またはRNAの発現をもたらす、投与されるDNA構築物組成物の量を指す。
DNA構築物を含む組成物の投薬量範囲は、効力(例えば、プロモーターの効率)に依存し、疾患、例えば、がんの処置のために、所望の効果、例えば、所望のタンパク質またはRNAの発現を産生するのに十分に大きい量を含む。投薬量は、許容できない有害副作用を引き起こすほど多くなるべきではない。一般に、投薬量は、DNA構築物の特定の特徴、発現効率に伴い、また、患者の年齢、状態および性別に伴い変動するであろう。投薬量は、当業者によって決定することができる。例えば、非ウイルスDNAベクターが生理食塩水中で静脈内投与されたマウスにおいて、一実施形態では、標的細胞に投与されるベクターの量は、約1〜200ugまたは約10〜50ugに及ぶことができる。当業者(one of skill in that)は、したがって、ヒトまたはより大型の動物への投与のために用量を調整する。ある特定の実施形態では、ベクターのサイズは、約0.5〜100kbまたは約2〜15kbに及ぶ。
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、疾患バイオマーカーの発現の統計的に有意な測定可能な変化または所与の疾患症状の低減を産生するのに十分な、発現された治療用タンパク質またはRNAの量である(下の「有効性測定」を参照)。かかる有効量は、所与のDNA構築物またはウイルス粒子組成物のための臨床試験や動物試験において計測することができる。
本明細書に記載される方法および組成物において有用な薬剤は、外用に、静脈内に(ボーラスまたは継続的注入によって)、細胞内注射、組織内(intratissue)注射、経口に、吸入によって、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、腔内(intracavity)に投与することができ、所望であれば蠕動手段によって、または当業者にとって公知の他の手段によって送達することができる。薬剤は、それを所望するのであれば、全身性に投与することができる。
がん(乳がん、黒色腫等が挙げられるがこれらに限定されない)等の所与の疾患のための所与の処置の有効性は、熟達した臨床医によって決定することができる。しかし、治療用タンパク質またはRNAをコードするDNA構築物による処置後に、疾患もしくは障害の徴候もしくは症状のいずれか1種もしくは全種が有益な様式で変更される場合、または疾患の他の臨床的に受け入れられる症状もしくはマーカーが、例えば、少なくとも10%改善もしくは寛解される場合、処置は、「有効な処置」と(この用語が本明細書で使用される場合に)みなされる。有効性は、疾患の安定化または医学的介入の必要によって査定される、個体の不全が悪化しないことによって測定することもできる(すなわち、疾患の進行が停止されるまたは少なくとも遅くなる)。これらの指標を測定する方法は、当業者にとって公知であるおよび/または本明細書に記載される。処置は、個体または動物(一部の非限定的な例として、ヒトまたは哺乳動物が挙げられる)における疾患のいずれかの処置を含み、(1)疾患の阻害、例えば、疾患(例えば、がん)の進行の抑止もしくはこれを遅くすること;または(2)疾患の軽減、例えば、症状の退縮を引き起こすこと;および(3)疾患の発症の見込みの予防もしくは低減、またはがん(例えば、がん転移)等、疾患に伴う続発性疾患/障害の予防を含む。
疾患の処置の有効量は、当該疾患について当該用語が本明細書で定義される場合、それを必要とする哺乳動物に投与されると、有効な処置をもたらすのに十分な量ことを意味する。薬剤の有効性は、所与の疾患に特定の身体的指標を査定することにより決定することができる。例えば、がんの身体的指標として、疼痛、腫瘍サイズ、腫瘍成長速度、血液細胞計数等が挙げられるがこれらに限定されない。
標的細胞
本発明に係るDNA構築物は、分裂および非分裂細胞を含む広範囲の細胞へと核酸を送達するための手段を提供する。一実施形態では、細胞は、遺伝的に欠損している。一実施形態では、細胞は、罹患している。
DNA構築物を用いて、in vitroで細胞に目的の核酸を送達する、例えば、in vitroでまたはex vivo遺伝子療法のためにポリペプチドを産生することができる。DNA構築物はその上、それを必要とする対象に核酸を送達して、例えば、免疫原性もしくは治療用ポリペプチドまたは機能的RNAを発現させる方法において有用である。この様式で、ポリペプチドまたは機能的RNAは、対象においてin vivoで産生することができる。対象がポリペプチドを欠損しているため、対象は、ポリペプチドを必要とし得る。さらに、対象におけるポリペプチドまたは機能的RNAの産生が、何らかの有益な効果を付与し得るため、本方法を実施することができる。
DNA構築物を使用して、培養細胞または対象において目的のポリペプチドまたは機能的RNAを産生することもできる(例えば、ポリペプチドを産生するためのバイオリアクターとして、または例えば、スクリーニング方法に関連して、対象における機能的RNAの効果を観察するために対象を使用する)。
DNAベクター構築物が導入される細胞(複数可)は、神経細胞(末梢および中枢神経系の細胞、特に、ニューロンおよびオリゴデンドロサイト等の脳細胞を含む)、肺細胞、眼の細胞(網膜細胞、網膜色素上皮および角膜細胞を含む)、血管細胞(例えば、内皮細胞、内膜細胞)、上皮細胞(例えば、腸および呼吸上皮細胞)、筋肉細胞(例えば、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、平滑筋細胞および/または横隔膜筋細胞)、樹状細胞、膵細胞(島細胞を含む)、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞(例えば、骨髄幹細胞)、造血幹細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞およびその他が挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの型のものとなることができる。代表的な実施形態では、細胞は、いずれかの前駆細胞となることができる。さらなる可能性として、細胞は、幹細胞(例えば、神経幹細胞、肝臓幹細胞)となることができる。さらにまた別の代替として、細胞は、がんまたは腫瘍細胞となることができる。さらに、細胞は、いずれかの起源の種に由来することができる。
疾患および障害
遺伝子移入は、疾患状態の治療法を理解および提供するための実質的な潜在的使用を有する。欠陥遺伝子が公知でかつクローニングされている、多数の遺伝性疾患が存在する。一般に、疾患状態は、2クラスに分類される:劣性様式で一般に遺伝する、通常は酵素に関する欠損状態と、調節または構造タンパク質が関与することができ、優性様式で典型的に遺伝する、不均衡状態。欠損状態疾患のため、遺伝子移入を使用して、補充療法のために罹患した組織に正常遺伝子をもたらすと共に、アンチセンス突然変異を使用して疾患のための動物モデルを作製することができる。不均衡疾患状態のため、遺伝子移入を使用して、モデル系における疾患状態を作製することができ、次いでこれを、疾患状態を相殺する試みにおいて使用することができる。よって、本発明に係るDNA構築物は、遺伝的疾患の処置および/または予防を可能にする。
本発明に係るDNAベクター/構築物を用いて、in vitroまたはin vivoで細胞に機能的RNAを提供することもできる。細胞における機能的RNAの発現は、例えば、細胞による特定の標的タンパク質の発現を縮小することができる。したがって、機能的RNAを投与して、それを必要とする対象における特定のタンパク質の発現を減少させることができる。機能的RNAを、in vitroで細胞に投与して、遺伝子発現および/または細胞生理学を調節する、例えば、細胞もしくは組織培養系またはスクリーニング方法を最適化することもできる。ある特定の実施形態では、治療法は、疾患状態の細胞経路調節不全の補正のためにタンパク質を標的とする。
一般に、本発明のDNAベクター/構築物を用いて、ポリペプチドまたは機能的RNAをコードする核酸を送達して、治療用ポリペプチドまたは機能的RNAを送達することが有益ないずれかの疾患状態を処置および/または予防することができる。説明目的の疾患状態として、嚢胞性線維症(嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子タンパク質)および肺の他の疾患、血友病A(第VIII因子)、血友病B(第IX因子)、サラセミア(ベータ−グロビン)、貧血(エリスロポエチン)および他の血液障害、アルツハイマー病(GDF;ネプリライシン)、多発性硬化症(.ベータ.−インターフェロン)、パーキンソン病(グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF))、ハンチントン病(反復を除去するためのRNAi)、筋萎縮性側索硬化症、てんかん(ガラニン、神経栄養因子)および他の神経学的障害、がん(エンドスタチン、アンジオスタチン、TRAIL、FAS−リガンド、インターフェロンを含むサイトカイン;VEGFまたは多剤耐性遺伝子産物に対するRNAiを含むRNAi)、真性糖尿病(インスリン)、デュシェンヌ型(ジストロフィン、ミニジストロフィン、インスリン様成長因子I、サルコグリカン(例えば、アルファ、ベータ、ガンマ)、ミオスタチン、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、IカッパーBドミナント突然変異体等の抗炎症性ポリペプチド、サルコスパン、ユートロフィン、ミニユートロフィンに対するRNAi、エクソンスキッピングを誘導するためのジストロフィン遺伝子におけるスプライスジャンクションに対するRNAi(例えば、WO/2003/095647を参照)、エクソンスキッピングを誘導するためのU7 snRNAに対するアンチセンス(例えば、WO/2006/021724を参照)、およびミオスタチンまたはミオスタチンプロペプチドに対する抗体または抗体断片)およびベッカー型を含む筋ジストロフィー、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、ハーラー病(.アルファ.−L−イズロニダーゼ)、アデノシンデアミナーゼ欠損症(アデノシンデアミナーゼ)、糖原病(例えば、ファブリー病(.アルファ.−ガラクトシダーゼ)およびポンペ病(リソソーム酸.アルファ.−グルコシダーゼ))および他の代謝性欠陥、先天性肺気腫(.アルファ.1−アンチトリプシン)、レッシュ・ナイハン症候群(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)、ニーマン・ピック病(スフィンゴミエリナーゼ)、テイ(Tays)・サックス病(リソソームヘキソサミニダーゼA)、メープルシロップ尿症(分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ)、網膜変性疾患(ならびに眼および網膜の他の疾患;例えば、黄斑変性症のためのPDGF)、脳(パーキンソン病(GDNF)、星状細胞腫(エンドスタチン、アンジオスタチンおよび/またはVEGFに対するRNAi)、神経膠芽腫(エンドスタチン、アンジオスタチンおよび/またはVEGFに対するRNAi)を含む)、肝臓、腎臓、うっ血性心不全を含む心臓等の実質臓器の疾患、または末梢動脈疾患(PAD)(例えば、タンパク質ホスファターゼ阻害剤I(I−1)、serca2a、ホスホランバン遺伝子を調節するジンクフィンガータンパク質、Barka、ベータ2−アドレナリン作動性受容体、ベータ2−アドレナリン作動性受容体キナーゼ(BARK)、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3キナーゼ)、S100A1、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、トランケートされた構成的に活性があるbARKct等のGタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンをもたらす分子;カルサルシン、ホスホランバンに対するRNAi;ホスホランバンS16E等のホスホランバン阻害性またはドミナントネガティブ分子等を送達することにより)、関節炎(インスリン様成長因子)、関節障害(インスリン様成長因子1および/または2)、内膜過形成(例えば、enos、inosを送達することにより)、心臓移植(スーパーオキシドジスムターゼ)の生存を改善、AIDS(可溶性CD4)、筋消耗(インスリン様成長因子I)、腎臓欠損(エリスロポエチン)、貧血(エリスロポエチン)、関節炎(IRAPおよびTNF.アルファ.可溶性受容体等の抗炎症因子)、肝炎(アルファ−インターフェロン)、LDL受容体欠損(LDL受容体)、高アンモニア血症(オルニチントランスカルバミラーゼ)、クラッベ病(ガラクトセレブロシダーゼ)、バッテン病、SCA1、SCA2およびSCA3を含む脊髄性大脳性運動失調、フェニルケトン尿症(フェニルアラニンヒドロキシラーゼ)、自己免疫性疾患、ならびにその他が挙げられるがこれらに限定されない。本発明はさらに、臓器移植後に使用して、移植の成功を増加させることができる、および/または臓器移植もしくは補助療法(例えば、サイトカイン産生を遮断するための免疫抑制剤または阻害性核酸を投与することによる)の否定的な副作用を低減させることができる。別の例として、骨形成タンパク質(BNP 2、7等、RANKLおよび/またはVEGFを含む)は、例えば、がん患者における破損または外科的除去後に、同種異系移植骨と共に投与することができる。
一実施形態では、異種核酸は、レポーターポリペプチド(例えば、酵素)をさらにコードする。レポーターポリペプチドは、当技術分野で公知であり、そのようなものとして、緑色蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子が挙げられるがこれらに限定されない。
一実施形態では、異種核酸は、分泌型ポリペプチド(例えば、そのネイティブ状態で分泌型ポリペプチドである、または例えば、当技術分野で公知の分泌シグナル配列との作動可能な会合により分泌されるように操作されたポリペプチド)をコードする。
一実施形態では、異種核酸は、転写/翻訳制御シグナル、複製起点、ポリアデニル化シグナル、配列内リボソーム進入部位(IRES)、プロモーターおよび/またはエンハンサー、ならびにその他等の制御エレメントに作動的に連結される。
あるいは、本発明の特定の実施形態では、異種核酸は、アンチセンス核酸、リボザイム(例えば、米国特許第5,877,022号に記載されている通り)、スプライセオソーム媒介性トランススプライシングをもたらすRNA(Puttaraju et al. (1999) Nature Biotech. 17:246;米国特許第6,013,487号;米国特許第6,083,702号を参照)、遺伝子サイレンシングを媒介するsiRNA、shRNAまたはmiRNAを含む干渉RNA(RNAi)(Sharp et al. (2000) Science 287:2431を参照)および「ガイド」RNA等の他の非翻訳RNA(Gorman et al. (1998) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 95:4929;米国特許第5,869,248号、Yuan et al.)、ならびにその他をコードすることができる。例示的な非翻訳RNAは、多剤耐性(MDR)遺伝子産物に対するRNAi(例えば、腫瘍を処置および/または予防するために、および/または化学療法による損傷を予防するために心臓に投与するために)、ミオスタチンに対するRNAi(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのために)、VEGFに対するRNAi(例えば、腫瘍を処置および/または予防するために)、ホスホランバンに対するRNAi(例えば、心血管疾患を処置するために、例えば、Andino et al. J. Gene Med. 10:132-142 (2008)およびLi et al. Acta Pharmacol Sin. 26:51-55 (2005)を参照);ホスホランバンS16E等のホスホランバン阻害性またはドミナントネガティブ分子(例えば、心血管疾患を処置するために、例えば、Hoshijima et al. Nat. Med. 8:864-871 (2002)を参照)、アデノシンキナーゼに対するRNAi(例えば、てんかんのために)、ならびに病原性生物およびウイルス(例えば、B型および/またはC型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、CMV、単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス等)に対して作製されたRNAiを含む。
一実施形態では、DNAベクターは、例えば、ワクチン接種のために、免疫原性ポリペプチドを発現する。免疫原性ポリペプチドは、免疫応答を誘発すること、および/または微生物、細菌、原生生物、寄生虫、真菌および/またはウイルス感染および疾患が挙げられるがこれらに限定されない、感染および/または疾患から対象を保護することに適したいずれかのポリペプチドとなることができる。例えば、免疫原性ポリペプチドは、オルソミクソウイルス免疫原(例えば、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)表面タンパク質またはインフルエンザウイルスヌクレオプロテインまたはウマインフルエンザウイルス免疫原等、インフルエンザウイルス免疫原)またはレンチウイルス免疫原(例えば、HIVまたはSIVエンベロープGP160タンパク質、HIVまたはSIVマトリックス/カプシドタンパク質、ならびにHIVまたはSIV gag、polおよびenv遺伝子産物等、ウマ感染性貧血ウイルス免疫原、サル免疫不全ウイルス(SIV)免疫原またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)免疫原)となることができる。免疫原性ポリペプチドは、アレナウイルス免疫原(例えば、ラッサ熱ウイルスヌクレオカプシドタンパク質および/またはラッサ熱エンベロープ糖タンパク質等、ラッサ熱ウイルス免疫原)、ポックスウイルス免疫原(例えば、ワクシニアL1またはL8遺伝子産物等、ワクシニアウイルス免疫原)、フラビウイルス免疫原(例えば、黄熱ウイルス免疫原または日本脳炎ウイルス免疫原)、フィロウイルス免疫原(例えば、NPおよびGP遺伝子産物等、エボラウイルス免疫原またはマールブルグウイルス免疫原)、ブニヤウイルス免疫原(例えば、RVFV、CCHFおよび/またはSFSウイルス免疫原)またはコロナウイルス免疫原(例えば、ヒトコロナウイルスエンベロープ糖タンパク質またはブタ伝染性胃腸炎ウイルス免疫原またはトリ感染性気管支炎ウイルス免疫原等、感染性ヒトコロナウイルス免疫原)となることもできる。免疫原性ポリペプチドは、さらに、ポリオ免疫原、ヘルペスウイルス免疫原(例えば、CMV、EBV、HSV免疫原)、ムンプスウイルス免疫原、麻疹ウイルス免疫原、風疹ウイルス免疫原、ジフテリア毒素もしくは他のジフテリア免疫原、百日咳抗原、肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎等)免疫原、および/または当技術分野で現在公知のもしくは免疫原として後に同定される他のいずれかのワクチン免疫原となることができる。
あるいは、免疫原性ポリペプチドは、いずれかの腫瘍またはがん細胞抗原となることができる。必要に応じて、腫瘍またはがん抗原は、がん細胞の表面に発現される。例示的ながんおよび腫瘍細胞抗原は、S. A. Rosenberg (Immunity 10:281 (1991))に記載されている。他の説明目的のがんおよび腫瘍抗原として、BRCA1遺伝子産物、BRCA2遺伝子産物、gp100、チロシナーゼ、GAGE−1/2、BAGE、RAGE、LAGE、NY−ESO−1、CDK−4、β−カテニン、MUM−1、カスパーゼ−8、KIAA0205、HPVE、SART−1、PRAME、p15、黒色腫腫瘍抗原(Kawakami et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3515;Kawakami et al. (1994) J. Exp. Med., 180:347;Kawakami et al. (1994) Cancer Res. 54:3124)、MART−1、gp100 MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、CEA、TRP−1、TRP−2、P−15、チロシナーゼ(Brichard et al. (1993) J. Exp. Med. 178:489);HER−2/neu遺伝子産物(米国特許第4,968,603号)、CA125、LK26、FB5(エンドシアリン(endosialin))、TAG 72、AFP、CA19−9、NSE、DU−PAN−2、CA50、SPan−1、CA72−4、HCG、STN(シアリルTn抗原)、c−erbB−2タンパク質、PSA、L−CanAg、エストロゲン受容体、乳脂肪グロブリン(globulin)、p53腫瘍サプレッサータンパク質(Levine, (1993) Ann. Rev. Biochem. 62:623);ムチン抗原(PCT公開番号WO90/05142);テロメラーゼ;核マトリックスタンパク質;前立腺酸性ホスファターゼ;パピローマウイルス抗原;および/または次のがん:黒色腫、腺癌、胸腺腫、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)、肉腫、肺がん、肝臓がん、結腸がん、白血病、子宮がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸部がん、膀胱がん、腎臓がん、膵がん、脳がんおよび現在公知のもしくは後に同定される他のいずれかのがんもしくは悪性状態に関連することが現在公知のもしくは後に発見される抗原(例えば、Rosenberg, (1996) Ann. Rev. Med. 47:481-91を参照)が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明のDNAベクターを用いて、ポリペプチドまたは機能的RNAをコードする異種核酸を送達して、治療用ポリペプチドまたは機能的RNAを送達することが有益ないずれかの疾患状態を処置および/または予防することができる。説明目的の疾患状態として、嚢胞性線維症(嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子タンパク質)および肺の他の疾患、血友病A(第VIII因子)、血友病B(第IX因子)、サラセミア(β−グロビン)、貧血(エリスロポエチン)および他の血液障害、アルツハイマー病(GDF;ネプリライシン)、多発性硬化症(β−インターフェロン)、パーキンソン病(グリア細胞系由来神経栄養因子[GDNF])、ハンチントン病(反復を除去するためのRNAi)、筋萎縮性側索硬化症、てんかん(ガラニン、神経栄養因子)および他の神経学的障害、がん(エンドスタチン、アンジオスタチン、TRAIL、FAS−リガンド、インターフェロンを含むサイトカイン;VEGFまたは多剤耐性遺伝子産物に対するRNAiを含むRNAi、mir−26a[例えば、肝細胞癌のために])、真性糖尿病(インスリン)、デュシェンヌ型(ジストロフィン、ミニジストロフィン、インスリン様成長因子I、サルコグリカン[例えば、α、β、γ]、ミオスタチン、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、IカッパーBドミナント突然変異体等の抗炎症性ポリペプチド、サルコスパン、ユートロフィン、ミニユートロフィンに対するRNAi、エクソンスキッピングを誘導するためのジストロフィン遺伝子におけるスプライスジャンクションに対するアンチセンスまたはRNAi[例えば、PCT公開番号WO/2003/095647を参照]、エクソンスキッピングを誘導するためのU7 snRNAに対するアンチセンス[例えば、PCT公開番号WO/2006/021724を参照]、およびミオスタチンまたはミオスタチンプロペプチドに対する抗体または抗体断片)およびベッカー型を含む筋ジストロフィー、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、ハーラー病(α−L−イズロニダーゼ)、アデノシンデアミナーゼ欠損症(アデノシンデアミナーゼ)、糖原病(例えば、ファブリー病[α−ガラクトシダーゼ]およびポンペ病[リソソーム酸α−グルコシダーゼ])および他の代謝性障害、先天性肺気腫(al−アンチトリプシン)、レッシュ・ナイハン症候群(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)、ニーマン・ピック病(スフィンゴミエリナーゼ)、テイ・サックス病(リソソームヘキソサミニダーゼA)、メープルシロップ尿症(分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ)、網膜変性疾患(ならびに眼および網膜の他の疾患;例えば、黄斑変性症のためのPDGF、および/または例えば、I型糖尿病における網膜障害を処置/予防するためのバソヒビンもしくは他のVEGF阻害剤もしくは他の血管新生阻害剤)、脳(パーキンソン病[GDNF]、星状細胞腫[エンドスタチン、アンジオスタチンおよび/またはVEGFに対するRNAi]、神経膠芽腫[エンドスタチン、アンジオスタチンおよび/またはVEGFに対するRNAi]を含む)、肝臓、腎臓、うっ血性心不全を含む心臓等の実質臓器の疾患、または末梢動脈疾患(PAD)(例えば、タンパク質ホスファターゼ阻害剤I(I−1)およびその断片(例えば、I1C)、serca2a、ホスホランバン遺伝子を調節するジンクフィンガータンパク質、Barkct、β2−アドレナリン作動性受容体(32−アドレナリン作動性受容体キナーゼ(BARK))、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3キナーゼ)、S100A1、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、トランケートされた構成的に活性があるbARKct等のGタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンをもたらす分子;カルサルシン、ホスホランバンに対するRNAi;ホスホランバンS16E等のホスホランバン阻害性またはドミナントネガティブ分子等を送達することにより)、関節炎(インスリン様成長因子)、関節障害(インスリン様成長因子1および/または2)、内膜過形成(例えば、enos、inosを送達することにより)、心臓移植(スーパーオキシドジスムターゼ)の生存を改善、AIDS(可溶性CD4)、筋消耗(インスリン様成長因子I)、腎臓欠損(エリスロポエチン)、貧血(エリスロポエチン)、関節炎(IRAPおよびTNFα可溶性受容体等の抗炎症因子)、肝炎(α−インターフェロン)、LDL受容体欠損(LDL受容体)、高アンモニア血症(オルニチントランスカルバミラーゼ)、クラッベ病(ガラクトセレブロシダーゼ)、バッテン病、SCA1、SCA2およびSCA3を含む脊髄性大脳性運動失調、フェニルケトン尿症(フェニルアラニンヒドロキシラーゼ)、自己免疫性疾患、ならびにその他が挙げられるがこれらに限定されない。本発明はさらに、臓器移植後に使用して、移植の成功を増加させることができる、および/または臓器移植もしくは補助療法(例えば、サイトカイン産生を遮断するための免疫抑制剤または阻害性核酸を投与することによる)の否定的な副作用を低減させることができる。別の例として、骨形成タンパク質(BNP 2、7等、RANKLおよび/またはVEGFを含む)は、例えば、がん患者における破損または外科的除去後に、同種異系移植骨と共に投与することができる。
本発明を実施して、糖尿病(例えば、インスリン)等の代謝性障害、血友病(例えば、第IX因子または第VIII因子)、ムコ多糖症障害等のリソソーム蓄積障害(例えば、スライ症候群(β−グルクロニダーゼ)、ハーラー症候群(α−L−イズロニダーゼ)、シャイエ症候群(α−L−イズロニダーゼ)、ハーラー・シャイエ症候群(α−L−イズロニダーゼ)、ハンター症候群(イズロン酸スルファターゼ)、サンフィリポ症候群A(ヘパランスルファミダーゼ(sulfamidase))、B(N−アセチルグルコサミニダーゼ)、C(アセチル−CoA:α−グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ)、D(N−アセチルグルコサミン6−スルファターゼ)、モルキオ症候群A(ガラクトース−6−硫酸スルファターゼ)、B(β−ガラクトシダーゼ)、マロトー・ラミー症候群(N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ)等)、ファブリー病(α−ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)または糖原貯蔵障害(例えば、ポンペ病;リソソーム酸α−グルコシダーゼ)を処置および/または予防することもできる。
本発明を実施して、本明細書に記載される通り、ムコ多糖症障害等のリソソーム蓄積障害(例えば、スライ症候群(β−グルクロニダーゼ)、ハーラー症候群(α−L−イズロニダーゼ)、シャイエ症候群(α−L−イズロニダーゼ)、ハーラー・シャイエ症候群(α−L−イズロニダーゼ)、ハンター症候群(イズロン酸スルファターゼ)、サンフィリポ症候群A(ヘパランスルファミダーゼ)、B(N−アセチルグルコサミニダーゼ)、C(アセチル−CoA:α−グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ)、D(N−アセチルグルコサミン6−スルファターゼ)、モルキオ症候群A(ガラクトース−6−硫酸スルファターゼ)、B(β−ガラクトシダーゼ)、マロトー・ラミー症候群(N−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ)等)、ファブリー病(α−ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)または糖原貯蔵障害(例えば、ポンペ病;リソソーム酸α−グルコシダーゼ)を処置および/または予防することもできる。
さらに、本発明を使用して、人工多能性幹細胞(iPS)を産生することもできる。例えば、本発明のDNAベクターを使用して、成体線維芽細胞、皮膚細胞、肝臓細胞、腎細胞、脂肪細胞、心細胞、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞およびその他等、非多能性細胞へと幹細胞関連の核酸(複数可)を送達することができる。幹細胞に関連する因子をコードする核酸は、当技術分野で公知である。幹細胞および多能性に関連するかかる因子の非限定的な例として、Oct−3/4、SOXファミリー(例えば、SOX1、SOX2、SOX3および/またはSOX15)、Klfファミリー(例えば、Klf1、Klf2、Klf4および/またはKlf5)、Mycファミリー(例えば、C−myc、L−mycおよび/またはN−myc)、NANOGおよび/またはLIN28が挙げられる。
本明細書において他に規定がなければ、本願に関連して使用される科学および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によってそうでないことが要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
本発明が、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬等に限定されず、そのようなものは変動し得ることを理解するべきである。本明細書で使用される用語法は、単に特定の実施形態を記載することを目的とし、特許請求の範囲のみによって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例(operating example)中またはそれ以外のことが示されている場合を除き、本明細書で使用される成分の含量または反応条件を表すあらゆる数は、あらゆる事例において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。
ある点において、本発明は、本発明に必須なものとして、本明細書に記載されている組成物、方法、およびこれらそれぞれの構成成分(複数可)に関するが、さらに、必須なまたは必須でない、指定されていないエレメントの包含の余地がある(「を含む(comprising)」)。一部の実施形態では、組成物、方法、またはこれらそれぞれの構成成分の記載に含まれるべき他のエレメントは、本発明の基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を与えないものに限定される(「から本質的になる(consisting essentially of)」)。このことは、記載されている方法内のステップならびに組成物およびその中の構成成分に等しく適用される。本発明の他の実施形態では、本明細書に記載される組成物、方法、およびこれらそれぞれの構成成分は、構成成分、組成物または方法に必須のエレメントとは思われないいかなるエレメントも除外することを意図する(「からなる(consisting of)」)。
同定されているあらゆる特許、特許出願および刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得る、かかる刊行物に記載されている方法論を記載および開示する目的で、明確に参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、単に、本願の出願日に先立つそれらの開示のために提示される。この点について、本発明者らが、先行発明に基づいてまたは他のいずれかの理由から、かかる開示に先行する権利がないことの承認として解釈するべきではない。これらの文書の日付に関するあらゆる記述またはその内容に関する表現は、本出願人らに利用できる情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。
本発明は、さらなる限定として解釈するべきではない、次の実施例によってさらに説明される。
本明細書に記載される本発明の様々な実施形態は、次の2セットの番号付きの段落においてさらに記載することができる。
1.持続した発現のために核酸構築物を標的細胞に導入するための方法であって、
a.i.A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列、
ii.D’領域
を含む少なくとも1個のDD−ITRであって、
iii.前記DおよびD’領域が、相補的パリンドローム配列であり、DおよびD’が、前記AおよびA’領域に近接して位置する、少なくとも1個のDD−ITRと、
b.発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列を含む前記核酸構築物の相補鎖と
を含む共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を前記標的細胞に投与するステップを含み、
c.前記DNA構築物が、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し、
d.前記DNA構築物が、前記標的細胞において前記所定のDNA配列を発現することができる、方法。
2.前記D領域が、ニッキング部位を含有する、段落1に記載の方法。
3.前記D領域が、少なくとも5ヌクレオチドの長さである、段落1に記載の方法。
4.前記D領域が、約20ntの長さである、段落1に記載の方法。
5.前記D領域が、パルボウイルスITRのパルボウイルスD領域に対応する、段落1に記載の方法。
6.前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、段落1に記載の方法。
7.前記ディペンドウイルスが、AAVである、段落1に記載の方法。
8.前記所定のDNA配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、段落1に記載の方法。
9.前記ITRが、プロモーターとして作用している、段落8に記載の方法。
10.前記プロモーターが、前記ITRから離れている、段落8に記載の方法。
11.前記DD−ITRが、前記所定のDNA配列の発現を駆動する、段落1〜10に記載の方法。
12.前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、段落4に記載の方法。
13.前記保持された核酸が、前記ニッキング部位、ならびに/または前記AおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、段落12に記載の方法。
14.前記所定のDNA配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、段落1に記載の方法。
15.前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、段落14に記載の方法。
16.前記DおよびD’領域と前記所定のDNA配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落1〜15のいずれかに記載の方法。
17.前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落14に記載の方法。
18.前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、段落16または17に記載の方法。
19.前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、段落16または17に記載の方法。
20.前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、段落16または17に記載の方法。
21.前記少なくとも1個のDD−ITRが、AAV ITR、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される、段落1〜20のいずれか一項に記載の方法。
22.前記DNA構築物が、2個のDD−ITRを含む、段落1〜21のいずれか一項に記載の方法。
23.前記D領域が、前記ITRとは異なる血清型に由来する、段落1〜22のいずれか一項に記載の方法。
24.各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、段落22に記載の方法。
25.1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、段落22に記載の方法。
26.前記BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、段落1〜25のいずれか一項に記載の方法。
27.前記AおよびA’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、段落1〜26のいずれか一項に記載の方法。
28.前記DNA構築物が、宿主細胞においてプロテロメラーゼ酵素活性によって形成された前記共有結合性閉鎖末端に部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む、段落1〜27のいずれか一項に記載の方法。
29.前記宿主細胞が、誘導性プロモーターの制御下において前記プロテロメラーゼを発現する、段落28に記載の方法。
30.前記DNA構築物が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成された前記共有結合性閉鎖末端に部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む、段落1〜27のいずれか一項に記載の方法。
31.前記DNA構築物が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落1〜30のいずれか一項に記載の方法。
32.前記DNA構築物が、前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、段落1〜31のいずれか一項に記載の方法。
33.前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、段落1〜32のいずれか一項に記載の方法。
34.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落32〜33のいずれか一項に記載の方法。
35.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、段落32〜34のいずれか一項に記載の方法。
36.前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、段落32〜34のいずれか一項に記載の方法。
37.核酸が、治療用核酸である、段落1〜36のいずれか一項に記載の方法。
38.前記標的細胞が、in vitroにある、段落1〜37のいずれか一項に記載の方法。
39.前記標的細胞が、in vivoにある、段落1〜37のいずれか一項に記載の方法。
40.前記構築物が、ex vivoで前記標的細胞に投与される、段落1〜37のいずれか一項に記載の方法。
41.前記標的細胞が、遺伝的に欠損した細胞および/または罹患した細胞である、段落1〜40のいずれか一項に記載の方法。
42.前記標的細胞が、罹患した細胞である、段落1〜41のいずれか一項に記載の方法。
43.前記標的細胞が、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される、段落1〜42のいずれか一項に記載の方法。
44.持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸配列の送達のためのDNAベクターであって、
a.i.A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列、
ii.D’領域
をそれぞれ含む、2個のDD−ITRであって、
iii.前記DおよびD’領域が、約5〜20ntの長さの相補的パリンドローム配列であり、前記AおよびA’領域に近接して位置する、2個のDD−ITRと、
b.前記所定の核酸配列(例えば、発現のための異種遺伝子)と
を含み、前記2個のDD−ITRが、共有結合性閉鎖非ウイルスDNAの場面において、前記核酸に隣接する、DNAベクター。
45.前記所定の核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、段落44に記載のDNAベクター。
46.前記DD−ITRが、前記所定の核酸配列の発現を駆動する、段落44に記載のDNAベクター。
47.前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、段落46に記載のDNAベクター。
48.前記保持された核酸が、ニッキング部位、ならびに/または前記AおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、段落47に記載のDNAベクター。
49.前記所定の核酸配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、段落44に記載のDNAベクター。
50.前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、段落49に記載のDNAベクター。
51.前記DおよびD’領域と前記所定の核酸配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落45に記載のDNAベクター。
52.前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落46に記載のDNAベクター。
53.前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、段落51または52に記載のDNAベクター。
54.前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、段落53に記載のDNAベクター。
55.前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、段落53に記載のDNAベクター。
56.前記DD−ITRが、パルボウイルスITRおよび合成ITRからなる群から選択されるITRから生成される、段落44〜55のいずれか一項に記載のDNAベクター。
57.前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、段落56に記載のDNAベクター。
58.前記ディペンドウイルスが、AAVである、段落57に記載のDNAベクター。
59.DNA構築物が、2個を超えるDD−ITRを含む、段落44〜58のいずれか一項に記載のDNAベクター。
60.各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、段落59に記載のDNAベクター。
61.1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、段落60に記載のDNAベクター。
62.前記BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換または挿入が存在する、段落44〜61のいずれか一項に記載のDNAベクター。
63.前記AおよびA’領域に欠失、置換または挿入が存在する、段落44〜61のいずれか一項に記載のDNAベクター。
64.前記DNAベクターが、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含み、共有結合性閉鎖末端が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、段落44〜63のいずれか一項に記載のDNAベクター。
65.前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落44〜64のいずれか一項に記載のDNAベクター。
66.前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、段落44〜65のいずれか一項に記載のDNAベクター。
67.前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、段落44〜66のいずれか一項に記載のDNAベクター。
68.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落66〜67のいずれか一項に記載のDNAベクター。
69.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、段落66〜68のいずれか一項に記載のDNAベクター。
70.前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、段落66〜68のいずれか一項に記載のDNAベクター。
71.所定の核酸が、治療用核酸である、段落44〜70のいずれか一項に記載のDNAベクター。
72.少なくとも1個のDD−ITRが、AAV ITRである、段落44〜71に記載のDNAベクター。
73.前記2個のDD−ITRに隣接する部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む、段落44〜72のいずれか一項に記載のDNAベクター。
74.前記2個のDD−ITRに隣接する前記部分的プロテロメラーゼ結合部位が、in vitroにおけるプロテロメラーゼ酵素活性またはin vivoにおけるプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、段落73に記載のDNAベクター。
75.共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物が、前記標的細胞内にコンカテマー構造として存続する、段落44〜74のいずれか一項に記載のDNAベクター。
76.2〜5週間、1〜12ヶ月間、1〜10年間またはより長い期間にわたり、前記核酸の持続した発現を促進する、段落75に記載のDNAベクター。
77.持続した発現のために核酸を標的細胞に導入するための方法であって、
a.図5に示すITRからなる群から選択される少なくとも1個のITR配列と、
b.核酸構築物の相補鎖であって、前記核酸構築物が、所定のDNA配列を含み、前記相補鎖が、発現可能なdsDNA中にアニールすることができる、相補鎖と
を含む共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を前記標的細胞に投与するステップを含み、
c.前記DNA構築物が、ヘアピン共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNAを形成する、方法。
78.前記ITR配列が、いずれかの側において相補配列DおよびD’に隣接し、これにより、DD−ITRを作製する、段落77に記載の方法。
79.前記所定のDNA配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、段落77に記載の方法。
80.前記DD−ITRが、前記所定のDNA配列の発現を駆動する、段落77に記載の方法。
81.前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、段落77に記載の方法。
82.前記保持された核酸が、ニッキング部位、ならびに/またはAおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、段落81に記載の方法。
83.前記所定のDNA配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、段落77に記載の方法。
84.前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、段落83に記載の方法。
85.前記DおよびD’領域と前記所定のDNA配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落77〜84に記載の方法。
86.前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落77〜85に記載の方法。
87.前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、段落85または86に記載の方法。
88.前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、段落87に記載の方法。
89.前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、段落87に記載の方法。
90.少なくとも1個のDD−ITRが、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される、段落77〜89のいずれか一項に記載の方法。
91.前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、段落90に記載の方法。
92.前記ディペンドウイルスが、AAVである、段落91に記載の方法。
93.前記DNA構築物が、2個のDD−ITRを含む、段落65〜78のいずれか一項に記載の方法。
94.各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、段落93に記載の方法。
95.1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、段落93に記載の方法。
96.BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換または挿入が存在する、段落77〜95のいずれか一項に記載の方法。
97.前記AおよびA’領域に欠失、置換または挿入が存在する、段落77〜95のいずれか一項に記載の方法。
98.前記DNA構築物が、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含み、前記共有結合性閉鎖末端が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、段落77〜97のいずれか一項に記載の方法。
99.前記DNA構築物が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落77〜98のいずれか一項に記載の方法。
100.前記DNA構築物が、前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、段落77〜99のいずれか一項に記載の方法。
101.前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも1〜5週間、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、段落77〜100のいずれか一項に記載の方法。
102.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落100〜101のいずれか一項に記載の方法。
103.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、段落100〜102のいずれか一項に記載の方法。
104.前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、段落100〜102のいずれか一項に記載の方法。
105.核酸が、治療用核酸である、段落77〜104のいずれか一項に記載の方法。
106.前記標的細胞が、in vitroにある、段落77〜105のいずれか一項に記載の方法。
107.前記標的細胞が、in vivoにある、段落77〜105のいずれか一項に記載の方法。
108.前記構築物が、ex vivoで前記標的細胞に投与される、段落77〜105のいずれか一項に記載の方法。
109.前記標的細胞が、遺伝的に欠損した細胞である、段落77〜108のいずれか一項に記載の方法。
110.前記標的細胞が、罹患した細胞である、段落77〜108のいずれか一項に記載の方法。
111.前記標的細胞が、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される、段落77〜110のいずれか一項に記載の方法。
112.段落1〜43または77〜111のいずれか一項に記載の方法によって産生された、細胞またはその集団。
113.持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸の送達のための共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNAベクターであって、
a.i.A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列、
ii.D’領域
を含む少なくとも1個のDD−ITRであって、
iii.前記DおよびD’領域が、相補的パリンドローム配列であり、DおよびD’が、前記AおよびA’領域に近接して位置する、少なくとも1個のDD−ITRと、
b.発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列を含む核酸構築物の相補鎖と
を含み、
c.前記DNAベクター構築物が、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し、
d.前記DNAベクター構築物が、前記標的細胞において前記所定のDNA配列を発現することができる、DNAベクター。
114.前記D領域が、ニッキング部位を含有する、段落113に記載のDNAベクター。
115.前記D領域が、少なくとも5ヌクレオチドの長さである、段落113に記載のDNAベクター。
116.前記D領域が、約20ntの長さである、段落113に記載のDNAベクター。
117.前記D領域が、パルボウイルスITRのパルボウイルスD領域に対応する、段落113に記載のDNAベクター。
118.前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、段落113に記載のDNAベクター。
119.前記ディペンドウイルスが、AAVである、段落113に記載のDNAベクター。
120.前記所定のDNA配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、段落113に記載のDNAベクター。
121.前記ITRが、プロモーターとして作用している、段落120に記載のDNAベクター。
122.前記プロモーターが、前記ITRから離れている、段落120に記載のDNAベクター。
123.前記DD−ITRが、前記所定のDNA配列の発現を駆動する、段落113〜122に記載のDNAベクター。
124.前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、段落113に記載のDNAベクター。
125.前記保持された核酸が、前記ニッキング部位、ならびに/または前記AおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、段落124に記載のDNAベクター。
126.前記所定のDNA配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、段落113に記載のDNAベクター。
127.前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、段落126に記載のDNAベクター。
128.前記DおよびD’領域と前記所定のDNA配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落1〜127のいずれかに記載のDNAベクター。
129.前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、段落126に記載のDNAベクター。
130.前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、段落128または129に記載のDNAベクター。
131.前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、段落128または129に記載のDNAベクター。
132.前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、段落128または129に記載のDNAベクター。
133.前記少なくとも1個のDD−ITRが、AAV ITR、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される、段落113〜132のいずれか一項に記載のDNAベクター。
134.前記DNAベクター構築物が、2個のDD−ITRを含む、段落113〜133のいずれか一項に記載のDNAベクター。
135.前記D領域が、前記ITRとは異なる血清型に由来する、段落113〜134のいずれか一項に記載のDNAベクター。
136.各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、段落134に記載のDNAベクター。
137.1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、段落134に記載のDNAベクター。
138.前記BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、段落113〜137のいずれか一項に記載のDNAベクター。
139.前記AおよびA’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、段落113〜138のいずれか一項に記載のDNAベクター。
140.前記DNAベクター構築物が、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含み、前記共有結合性閉鎖末端が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、段落113〜139のいずれか一項に記載のDNAベクター。
141.前記DNAベクター構築物が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落113〜140のいずれか一項に記載のDNAベクター。
142.前記DNAベクター構築物が、前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、段落113〜141のいずれか一項に記載のDNAベクター。
143.前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、段落113〜142のいずれか一項に記載のDNAベクター。
144.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、段落142〜143のいずれか一項に記載のDNAベクター。
145.前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、段落142〜143のいずれか一項に記載のDNAベクター。
146.前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、段落142〜143のいずれか一項に記載のDNAベクター。
147.核酸が、治療用核酸である、段落113〜146のいずれか一項に記載のDNAベクター。
148.標的細胞への核酸の送達のための医薬組成物であって、標的細胞への送達のための、段落44〜76および113〜147のいずれかに記載のDNAベクターと、薬学的に許容される担体とを含み、前記標的細胞が、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される、医薬組成物。
149.疾患または障害の処置のためにin vivoで前記標的細胞に投与される、段落148に記載の医薬組成物。
150.前記宿主細胞が、誘導性プロモーターの制御下において少なくとも第1のTelリコンビナーゼをコードするように設計されており、前記細胞が、細菌配列を含まないベクターを産生するように適合された発現ベクターを含み、前記ベクターが、発現カセットを含み、目的の核酸が、少なくとも1個のDD−ITRに隣接し、いずれかの側において、前記Telリコンビナーゼの標的配列に隣接する、段落28に記載の方法。
151.前記Tel標的配列の非結合領域内に組み込まれるものは、1種または複数の追加的なリコンビナーゼの標的結合配列である、段落150に記載の方法。
152.前記1種または複数の追加的なリコンビナーゼが、pK02 telRL部位、telRL部位、pal部位、loxP部位、FRT部位、phiC31、attP部位およびXattP部位からなる群から選択される、段落151に記載の方法。
153.少なくとも1個のDD−ITRを含有する直鎖状共有結合性閉鎖ベクターを産生する方法であって、第1のリコンビナーゼの発現を可能にするのに適した条件下で、段落150に記載の宿主細胞をインキュベートして、直鎖状共有結合性閉鎖ベクターをもたらすステップを含む方法。
154.少なくとも1個のDD−ITRを含有する環状共有結合性閉鎖ベクターを産生する方法であって、第2のリコンビナーゼの発現を可能にするのに適した条件下で、段落151〜152に記載の宿主細胞をインキュベートして、環状共有結合性閉鎖ベクターをもたらすステップを含む方法。
155.前記Telリコンビナーゼ標的部位が、ファージPY54 Tel 142塩基対標的部位である、段落150に記載の方法。
156.前記目的の核酸が、両側においてDD−ITRに隣接する、段落150〜155に記載の方法。
第2のセットの番号付きの段落:
1.導入遺伝子を含有する環状核酸ベクターを製造する方法であって、
a.宿主系を鋳型と接触させるステップであって、鋳型が、少なくとも1個の隣接切断部位、ならびに:
i.少なくとも1個のファージ複製起点(ORI);
ii.少なくとも1個の末端反復(TR);および
iii.導入遺伝子に作動的に連結したプロモーター配列
を含み、少なくとも1個のTRが、アデノ随伴ウイルス(AAV)二重D ITR(DD−ITR)である、ステップと、
b.複製が起こるのに十分な時間、宿主系をインキュベートして、環状核酸産生をもたらすステップと、
c.産生された環状核酸を回収するステップと
を含み、環状核酸が自己アニールする、方法。
2.鋳型が、第2の隣接切断部位をさらに含み、2個の部位の内に、(i)〜(iii)が存在する、段落1に記載の方法。
3.鋳型が、少なくとも1個のORIの直ちに下流にある少なくとも1個の追加的な切断部位をさらに含む、段落1および2に記載の方法。
4.回収された環状核酸の少なくとも1個の切断部位をカットするステップをさらに含む、段落1〜3のいずれかに記載の方法。
5.回収後に、環状核酸のin vitro複製のステップをさらに含む、段落1のいずれかに記載の方法。
6.鋳型が、少なくとも1個のアダプタ配列をさらに含む、段落1に記載の方法。
7.鋳型が、少なくとも2個のアダプタ配列をさらに含む、段落1に記載の方法。
8.アダプター配列が、切断されたDNAの閉鎖を誘導する、段落6または7に記載の方法。
9.アダプター配列が、切断部位をさらに含む、段落6または7に記載の方法。
10.回収された環状核酸が、導入遺伝子の送達に使用される、段落1〜9のいずれかに記載の方法。
11.回収された環状核酸が、組換えウイルスベクター産生に使用される、段落1〜9のいずれかに記載の方法。
12.環状核酸が、自己アニールして二本鎖となる、段落1に記載の方法。
13.ベクターが、一本鎖である、段落1に記載の方法。
14.第2のTRが存在し、導入遺伝子に作動可能に連結したプロモーター配列が、両側において、TRに隣接する、段落1に記載の方法。
15.ORIが、左TRの上流である、段落1に記載の方法。
16.ORIが、TRに隣接し、導入遺伝子に作動可能に連結したプロモーター配列の上流である、段落1に記載の方法。
17.宿主系が、細菌パッケージング細胞である、段落1に記載の方法。
18.宿主系が、無細胞系である、段落1に記載の方法。
19.宿主系が、無細胞系であり、ヘルパーファージ粒子を含有する、段落1に記載の方法。
20.宿主系が、宿主細胞である、段落1に記載の方法。
21.宿主細胞が、哺乳動物細胞、細菌細胞または昆虫細胞である、段落20に記載の方法。
22.ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス(LV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、アデノウイルス(AV)またはポックスウイルス(PV)である、段落11に記載の方法。
23.ウイルスベクターが、DNAまたはRNAウイルスである、段落11および22に記載の方法。
24.ウイルスが、AAVであり、突然変異体ITRを有し、突然変異体ITRが、二重D突然変異体ITRである、段落22に記載の方法。
25.少なくとも1個のTRが、突然変異体ITR、合成ITR、野生型ITRまたは非機能的ITRである、段落1に記載の方法。
26.ベクターが、隣接DD−ITRを有し、隣接DD−ITRの間には、導入遺伝子のセンス鎖に作動的に連結したプロモーター、複製欠陥ITR、および導入遺伝子のアンチセンス相補体がある、段落1に記載の方法。
27.ITRが、AAV ITRである、段落25〜26に記載の方法。
28.ORIが、ITRの上流、かつ上流ITRの直ちに下流に設置されている、段落1に記載の方法。
29.少なくとも1個のファージORIが、M13由来ORI、F1由来ORIまたはFd由来ORIからなる群から選択される、段落1に記載の方法。
30.鋳型(temple)が、複製を開始しないトランケートされたORIである第2のORIをさらに含む、段落1に記載の方法。
31.トランケートされたORIが、ORIΔ29である、段落30に記載の方法。
32.少なくとも2個の切断部位が、制限部位である、段落1に記載の方法。
33.少なくとも2個の制限部位が、同一であるまたは異なる、段落32に記載の方法。
34.制限部位が、導入遺伝子配列内に見出されない、段落32に記載の方法。
35.切断部位が、ヌクレアーゼによって切断される、段落1に記載の方法。
36.プロモーターが、構成的プロモーター、抑圧性プロモーター、遍在性プロモーター、誘導性プロモーター、ウイルスプロモーター、組織特異的プロモーターおよび合成プロモーターからなる群から選択される、段落1に記載の方法。
37.導入遺伝子が、治療用遺伝子である、段落1に記載の方法。
38.導入遺伝子を含有する環状核酸ベクターを製造する方法であって、
a.宿主系をプラスミド鋳型で形質転換するステップであって、プラスミド鋳型が、
i.ファージ複製起点(ORI);
ii.トランケートされたファージORI(例えば、ORIΔ29);
iii.少なくとも1個の末端反復(TR);および
iv.導入遺伝子に作動的に連結したプロモーター配列
を含み、プラスミド鋳型が、5’から3’方向で、センスおよびアンチセンス鎖のアニーリングを可能にするヘアピン配列によって離されたセンス配列およびアンチセンス配列を含み、
少なくとも1個のTRが、AAV二重D ITR(DD−ITR)である、ステップと、
b.複製が起こるのに十分な時間、宿主系をインキュベートして、環状核酸産生をもたらすステップと、
c.産生された環状核酸を回収するステップと
を含み、環状核酸が自己アニールする、方法。
39.ORIに隣接する、リンカーおよび自己相補体リンカーをさらに含む、段落38に記載の方法。
40.導入遺伝子が、センスおよびアンチセンス鎖が二本鎖として結合することを可能にするリンカー配列によって離された、センス配列およびそのアンチセンス相補体を含有する、段落38に記載の方法。
41.トランケートされたORIが、ORIΔ29である、段落38に記載の方法。
42.段落1〜41のいずれかに記載の方法によって製造された、環状核酸ベクター。
43.少なくとも1個の隣接切断部位、ならびに
i.少なくとも1個のファージ複製起点(ORI);
ii.少なくとも1個の末端反復(TR);および
iii.導入遺伝子に作動的に連結したプロモーター配列
を含む環状核酸ベクターであって、少なくとも1個のTRが、AAV二重D ITR(DD−ITR)である、環状核酸ベクター。
44.鋳型が、第2の隣接切断部位をさらに含み、2個の部位の内に、(i)〜(iii)が存在する、段落43に記載のベクター。
45.少なくとも1個のORIの直ちに下流にある少なくとも1個の追加的な切断部位をさらに含む、段落43および44に記載のベクター。
46.少なくとも1個のアダプタ配列をさらに含む、段落43に記載のベクター。
47.少なくとも2個のアダプタ配列をさらに含む、段落43に記載のベクター。
48.アダプター配列が、切断されたDNAの閉鎖を誘導する、段落46および47に記載のベクター。
49.アダプター配列が、切断部位をさらに含む、段落46および47に記載のベクター。
50.導入遺伝子の送達に使用される、段落43〜49のいずれかに記載のベクター。
51.組換えウイルスベクター産生に使用される、段落43〜49のいずれかに記載のベクター。
52.自己アニールして二本鎖となる、段落43に記載のベクター。
53.一本鎖である、段落43に記載のベクター。
54.第2のTRが存在し、導入遺伝子に作動可能に連結したプロモーター配列が、両側において、TRに隣接する、段落43に記載のベクター。
55.ORIが、左TRの上流である、段落43に記載のベクター。
56.ORIが、TRに隣接し、導入遺伝子に作動可能に連結したプロモーター配列の上流である、段落43に記載のベクター。
57.少なくとも1個のTRが、突然変異体ITR、合成ITR、野生型ITRまたは非機能的ITRである、段落43に記載のベクター。
58.ベクターが、隣接DD−ITRを有し、隣接DD−ITRの間には、導入遺伝子のセンス鎖に作動的に連結したプロモーター、複製欠陥ITR、および導入遺伝子のアンチセンス相補体がある、段落43に記載のベクター。
59.ITRが、AAV ITRである、段落57および58に記載のベクター。
60.ORIが、ITRの上流、かつ上流ITRの直ちに下流に設置されている、段落43に記載のベクター。
61.ファージORIが、M13由来ORI、F1由来ORIまたはFd由来ORIからなる群から選択される、段落43に記載のベクター。
62.鋳型が、複製を開始しないトランケートされたORIである第2のORIをさらに含む、段落43に記載のベクター。
63.トランケートされたORIが、ORIΔ29である、段落43に記載のベクター。
64.少なくとも2個の切断部位が、制限部位である、段落43に記載のベクター。
65.少なくとも2個の制限部位が、同一であるまたは異なる、段落64に記載のベクター。
66.制限部位が、導入遺伝子配列内に見出されない、段落64に記載のベクター。
67.切断部位が、ヌクレアーゼによって切断される、段落43に記載のベクター。
68.プロモーターが、構成的プロモーター、抑圧性プロモーター、遍在性プロモーター、誘導性プロモーター、ウイルスプロモーター、組織特異的プロモーターおよび合成プロモーターからなる群から選択される、段落43に記載のベクター。
69.導入遺伝子が、治療用遺伝子である、段落43に記載のベクター。
70.i.ファージ複製起点(ORI);
ii.トランケートされたファージORI(例えば、ORIΔ29);
iii.少なくとも1個の末端反復(TR);および
iv.導入遺伝子に作動的に連結したプロモーター配列
を含む環状核酸ベクターであって、ベクターが、5’から3’方向で、センスおよびアンチセンス鎖のアニーリングを可能にするヘアピン配列によって離されたセンス配列およびアンチセンス配列を含み、
少なくとも1個のTRが、AAV二重D ITR(DD−ITR)である、環状核酸ベクター。
71.ORIに隣接する、リンカーおよび自己相補体リンカーをさらに含む、段落70に記載のベクター。
72.導入遺伝子が、センスおよびアンチセンス鎖が二本鎖として結合することを可能にするリンカー配列によって離された、センス配列およびそのアンチセンス相補体を含有する、段落70に記載のベクター。
73.トランケートされたORIが、ORIΔ29である、段落70に記載のベクター。
74.ヌクレアーゼが、プロテロメラーゼである、段落35に記載の方法。
75.ヌクレアーゼが、プロテロメラーゼである、段落67に記載のベクター。
(実施例1)
共有結合性閉鎖直鎖状ベクターの産生
A.二重D ITR配列の合成
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、D’配列が他の末端に付加された、逆位末端反復配列を構築する。理論的根拠は、ITRのT字形構造に基づく。PCR反応の第1のラウンドにおいて、AAVウイルスIRTは、伸長を自己プライムして、ステム部にDおよびD’を含有する長いT字形ヘアピン構造を産生するであろう。変性後に、このDNAは、単一プライムのPCRのための鋳型として機能することができる。
ITR領域における高いGC含量および強いパリンドローム構造のため、7−デアゾ(deazo)−dGTP、2.5%ホルムアミドおよび高濃度のプライマー等、いくつかの戦略を利用して、PCR問題に取り組み、十分な所望のPCR産物を生じることができる。クローニングの利便性のため、PCR産物をEcoRIによってカットし、pGEM 3Zのポリリンカーへと容易にクローニングすることができるように、EcoRI認識配列をプライマーの5’に取り付ける。細菌宿主におけるITRの不安定性のため、組換えプラスミドを、ITRがある程度安定するE.coli SURE系統(Stratagene)へと形質転換する。上述の戦略を使用することにより、多数の陽性クローンを得ることができる。一部のクローンを、制限消化および配列決定によって特徴付ける。pGEM3ZのEcoRI部位にD’ABB’CC’A’Dの挿入物を有することを示したクローンの1つを使用することになる。pDD−2と命名された、この生成されたプラスミド(図6)は、DD−ITRの例示的な供給源である。
材料と方法
B.PCRおよびITRプラスミドの構築。AAVおよびAd5感染細胞由来の低分子量DNAを、AAVのD−配列に由来する単一のプライマーを用いたPCR反応のための鋳型として使用する。20mM Tris−HCl(pH8.8)、1.5mM MgCl、50mM KCl、2.5%ホルムアミド、100uM dATP、dCTPおよびdTTP、75uM 7−デアゾ−dGTP、25uM dGTP、1.5U AmpliTaq(Perkin Elmer Cetus)、1ng AAV DNAおよび100pモルプライマーTR−1(5’−GGAATTCAGGAACCCCTAGTGATGG3−3’)を含有する50ul反応溶液において、35サイクルの94℃1分間、45℃30秒間および72℃1分間で、PCRを行う。PCR産物は、アガロースゲル電気泳動によって精製し、EcoRIでカットし、EcoRIカットされ脱リン酸化されたpGEM 3Zプラスミド(Promega)とライゲーションする。ライゲーションされたプラスミドは、E.coli Sure系統(Stratagene)へと形質転換する。二重D末端反復の存在に関して陽性クローンをスクリーニングし、dGTPに代えて置換された7−デアゾ−dGTPを用いたジデオキシ配列決定によって確認する(Sanger, F. et al., 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74:5463-5467)。その後、neo遺伝子を、pDDのSalI部位へとクローニングし、プラスミドpDD−neoをもたらす。pDD−neoをDD−ITRの供給源として使用する。
C.二本鎖環状DNA鋳型からの閉鎖直鎖状DNAの産生
発現可能形態のルシフェラーゼレポーター遺伝子、DD−ITR、およびプロテロメラーゼTelN結合配列を含有する二本鎖環状DNAを、DNA鋳型として使用する。プロテロメラーゼTelN結合部位を含むパリンドローム配列の半分のセクションに相補的な単一のパリンドロームオリゴヌクレオチドを使用して、両方の鎖を特異的にプライムする。適したプライマーの例として、次のものが挙げられる:
CGCATATTACCYWTAACACAC;(配列番号16)
GCGTATAATGGRCWATTGTGTG;(配列番号17)
GCGTATAATGG;(配列番号18)
CCATTATACGC;(配列番号19)
CACACAATWGYCCAT;(配列番号20)
ATGGRCWATTGTGTG;(配列番号21)
(式中、YはTまたはCであり、WはAまたはTであり、RはAまたはGである)。例えば、30mM Tris−HCl pH7.5、20mM KCl、2.5mM MgClを含有するアニーリング/変性緩衝剤において、二本鎖環状鋳型の変性および単一のプライマーのアニーリングを実行する。変性は、95℃に加熱し、この温度で1〜10分間維持することにより実行され、続いて、特異的プライマーが鋳型に最大限に結合するように最適化された、慎重に制御された冷却プロファイルが行われる。次に、温度を、適したDNAポリメラーゼによるDNA増幅に最適な温度に低減させる。適した酵素は、30℃で最適に働く、Bacillus subtilisファージphi29から単離されたphi29である。
次に、酵素phi29およびPPi(酵母無機ピロホスファターゼ)を含有する適した体積の反応緩衝剤を、アニールされたDNA/プライマー反応物に添加する。反応混合物を、30℃前後で、5〜20時間の間またはそれよりも長くインキュベートする。適した反応緩衝剤は典型的に、35mM Tris−HCl、50mM KCl、2.5mM MgCl、10mM (NHSO、4mM DTT、1mM dNTPを含有する。
次に、RCAによって増幅されたコンカテマーDNAを、反応が完了するまで、10mM Tris HCl pH7.6、5mM CaCl、50mMグルタミン酸カリウム、0.1mM EDTA、1mM DTT等の適した緩衝剤においてプロテロメラーゼTelNと共に30℃でインキュベートする。結果として生じる閉鎖直鎖状DNA産物は、例えば、精製されるべき量に応じて、ゲル電気泳動または適したクロマトグラフィー方法によって精製することができる。
D.閉鎖直鎖状DNA鋳型からの閉鎖直鎖状DNAの産生
発現可能形態のルシフェラーゼレポーター遺伝子、DD−ITR、およびプロテロメラーゼTelNの結合配列を含むテロメア末端を含有する閉鎖直鎖状DNAを、DNA鋳型として使用する。DD−ITRおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子のプロモーターの間にスペーサーを有するが他の点では同一の構築物を生成する。スペーサーがない構築物、ならびに2、5、10、20および25ヌクレオチドのスペーサーを有する構築物を生成する。鋳型のテロメア末端を含むパリンドローム配列の半分のセクションに相補的な単一のパリンドロームオリゴヌクレオチドを、特異的プライマーとして使用する。プライマーは、DNA鋳型における2個の同一部位に結合する。適したプライマーの例として、上述の例に示すプライマーが挙げられる。
例えば、30mM Tris−HCl pH7.5、20mM KCl、2.5mM MgClを含有するアニーリング/変性緩衝剤において、閉鎖直鎖状DNA鋳型の変性および単一のプライマーのアニーリングを実行する。変性は、1分間95℃に加熱し、この温度で1〜10分間維持することにより実行され、続いて、特異的プライマーが鋳型に最大限に結合するように最適化された、慎重に制御された冷却プロファイルが行われる。次に、温度を、適したDNAポリメラーゼによるDNA増幅に最適な温度に低減させる。かかる適した酵素の1つは、30℃で最適に働く、Bacillus subtilisファージphi29から単離されたphi29である。
次に、酵素phi29およびPPi(酵母無機ピロホスファターゼ)を含有する適した体積の反応緩衝剤を、アニールされたDNA/プライマー反応物に添加する。反応混合物を30℃前後で5〜20時間の間またはそれよりも長くインキュベートする。適した反応緩衝剤は典型的に、35mM Tris−HCl、50mM KCl、2.5mM MgCl、10mM (NHSO、4mM DTT、1mM dNTPを含有する。
次に、RCAによって増幅されたコンカテマー(Concatameric)DNAを、反応が完了するまで、10mM Tris HCl pH7.6、5mM CaCl、50mMグルタミン酸カリウム、0.1mM EDTA、1mM DTT等の適した緩衝剤においてプロテロメラーゼTelNと共に30℃でインキュベートする。結果として生じる閉鎖直鎖状DNA産物は、例えば、精製されるべき量に応じて、ゲル電気泳動または適したクロマトグラフィー方法によって精製することができる。
これらの方法は、産物が鋳型と同一であるサイクリック(cyclic)反応をもたらす。この反応は、方法ステップの追加的なサイクルを実行することにより、ごく少量の鋳型から容易にスケールアップされる。
(実施例2)
誘導性リコンビナーゼを含有する細胞系による共有結合性閉鎖直鎖状ベクターの構築
系統およびプラスミド
全ての組換え細胞構築物の生成において、E.coli K−12系統を使用し、プラスミド構築および増幅のための宿主として、DH5αおよびJM109を特に用いる。
組換え細胞(R−細胞)の構築
次の通り、染色体操作試験およびin vivoリコンビナーゼ発現のために、W3110(recA)E.coliを使用する。次のプライマー:Tel−F 5’−GCGGATCCTGGGTTACTTTAATTTGTGTGTT−3’(配列番号22)およびTel−R 5’−CGCTCGAGTTACTCCATATTTTCAGTCCATGCTTGT−3’(配列番号23)(アニーリングTm 64℃)を使用して、バクテリオファージPY54ライセートからプロテロメラーゼコード遺伝子telを増幅する。プライマー:TelN−F 5’−ATCGGATCCCGATATCCAGAGACTTAGAAACGGG−3’(配列番号24)およびTelN−R 5’−ATATAAAGCTTCTTTTAGCTGTAGTACGTTTCCCATGCG−3’(配列番号25)(アニーリングTm 62℃)を使用して、バクテリオファージN15ライセートからプロテロメラーゼコード遺伝子telNを増幅する。改変されたpDNAベクターのin vivo産生のための陽性対照として、プライマー:Cre−F 5’−GGAAATTCCGGTCGCTGGCGTTTCTATGAC−3’(配列番号26)およびCre−R 5’−CGCTCGAGTGAATATTAGTGCTTACAGACAG−3’(配列番号27)(アニーリングTm 66℃)を使用して、バクテリオファージP1rev6ライセートからリコンビナーゼコード遺伝子creを増幅する。イタリック体の領域は、BamHI、XhoI、HindIIIおよびEcoRIのための制限部位を表示する。初期変性のための30秒間98℃、30サイクルの5秒間98℃、10秒間アニーリングTm、45秒間72℃、および最終伸長のための2分間72℃で、Phusion Flash高忠実度PCRマスターミックス(New England Biolab)を使用して、PCR増幅を行って、cre(1.3kb)、tel(2.1kb)およびtelN(2.3kb)断片を生成する。構築物は、コロニーPCRおよび解析的消化によって検査および確認する。0.8%アガロースゲルからPCR産物を精製し(Qiagenゲル抽出キット)、収載されている酵素(New England Biolabs)で消化する。リコンビナーゼ遺伝子は、誘導性原核生物発現ベクターpPL451(受託#AB248919)のMCSへとクローニングして、pNN1、pNN2およびpNN3ベクターを産生する。pPL451(4.2kb)は、λP強プロモーターのCI[Ts]857媒介性抑圧により、クローニングされた遺伝子の温度調節性発現を付与する。全プライマーは、Gene Runner 3.01(Hastings Software,Inc)を使用して設計され、商業的に合成される(Sigma−Aldrich,Inc)。E.coliのlacZ遺伝子へのクローニングされた目的の配列の相同組換えおよび染色体組み込みを容易にする、pBRINT−Cm組み込みプラスミドを使用したE.coli W3110染色体へのリコンビナーゼ遺伝子の挿入により、R−細胞を構築する。pPL451におけるクローニングされたリコンビナーゼの誘導性発現をコードするプラスミド構築物毎に、それぞれSacII、SpeIおよびXbaI部位を有するcI857X−F 5’−TCCCCGCGGAGCTATGACCATGATTACGAATTGC−3’(配列番号28)、cI857telN/cre−R 5’−GGACTAGTCCCCATTCAGGCTGCGCAACTGTTG−3’(配列番号29)およびcI857tel−R 5’−GCTCTAGAGCAGGCTGCGCAACTGTTGGGAAG−3’(配列番号30)プライマーにより、3種の構築物に対するpNN1からcI857−P−X−tカセット(式中、X=cre、telまたはtelN)を増幅する。増幅されたカセットを、pBRINT(Cm)プラスミドのMCSへとクローニングして、pNN4、pNN5およびpNN6組み込みベクター構築物を産生する。初期変性のための10秒間98℃、30サイクルの98℃、5秒間68℃、120秒間72℃、および最終伸長のための1分間72℃で、Phusion Flash高忠実度PCRマスターミックス(New England Biolab)により増幅を行って、cI857−cre(2.8kb)、cI857−tel(3.2kb)およびcI857−telN(3.5kb)断片を生成する。構築物は、コロニーPCRおよび解析的消化によって検査および確認する。
Supersequenee(SS)と命名された多目的リコンビナーゼ標的部位は、それぞれCre、FlpおよびTelN最小標的部位(loxP−FRT−telRL)を保有し、全てTel 142bp pal配列内に存在するように設計し、これにより、PY54由来Tel標的部位がもたらされる。SSは、pal配列のそれぞれの側に隣接する78bp SV40エンハンサー配列も保有して、核転位置を容易にし、トランスフェクション効率を増強する。GeneScriptによりSS断片を合成し、EcoRIおよびHindIIIによりpUC57へとクローニングする。
上の実施例1AおよびBに記載されているプラスミド(5.8kb)(Promega)を、pGFP(clontech)由来のegfp(790bp)によるluc遺伝子(1.65kb)の置き換えにより改変して、pDDEGFRを形成する。次に、SSを、pDDEFGRのSV40プロモーター+イントロン部位の直ちに上流にクローニングして、pDD3を形成する。次いで、SS断片を、pDD3のポリA部位の下流にクローニングして、pDD4を形成する。このプラスミドは、EGFP遺伝子カセットに隣接する2個のSS部位を保有する。
マルチコピープラスミドは、ミニ環状(ccc)ベクター(Cre−loxP;Flp/FRTによって媒介)またはミニ直鎖状共有結合性閉鎖(lee)ベクター(TelN−telRL;Tel/palによって媒介)に適合させることができる。LB+Ap(50ug/ml)において9種のDNA構築物に対する1ugのpNN7によってR−細胞を形質転換して、エアレーションしつつ30℃でA600=0.6とする。リコンビナーゼ発現およびプラスミド高次構造変換を誘導するために、形質転換したR−細胞に熱ショックを与えて、細菌成長の対数増殖期中期において42℃で30分間リコンビナーゼ発現を誘導し、その後、一晩30℃に移す。次に、細胞を収集し、プラスミドを抽出する(Omegaミニプラスミド抽出キット、VWR)。アガロースゲル電気泳動および消化により、プラスミドトポロジーをアッセイする。Sambrook et al. (1989)により記載されている通りに、標準組換えDNA技法を行う。
R−細胞は温度調節性リコンビナーゼ発現を示す
温度感受性λリプレッサー、CI[Ts]857によって調節されるバクテリオファージλ強プロモーター、pLの制御下にtelまたはtelNリコンビナーゼ遺伝子を配置した組換え細胞を構築する(図10)。陽性cre発現対照細胞を同様に調製する。抑圧および完全誘導(42℃)条件下で、telおよびtelN R−細胞における総細胞タンパク質を試験する。CI[Ts]がOオペレーターに活発に結合して下流リコンビナーゼ遺伝子の転写を抑圧する30℃において、両方のR−細胞が、TelNおよびTelの両方について72KDaで同定される最小リコンビナーゼタンパク質レベルを実証する。リプレッサー活性が完全に抑止されてpLプロモーター活性の妨害が軽減される42℃に細胞をシフトさせた後に、顕著なリコンビナーゼ発現が観察される。これらの結果は、構築されたTelおよびTel−N細胞が、リコンビナーゼ産生について温度誘導性であることを確認する。
E.coli染色体の直鎖化/破壊後の細胞の運命を決定するために、λ部位特異的SS-およびSS組み込み体を、リコンビナーゼの発現なし〜非常に低い発現(30℃)または完全発現(42℃)をもたらす条件下でインキュベートし、次いで、細胞生存率を測定する。抑圧条件(30℃)下で、染色体に組み込まれたSSの存在または非存在に関係なく、全ての組換え細胞が、ほぼ完全な生存率を保持する。しかし、42℃への温度のシフトおよびTelまたはTelNの発現の誘導後に、SSを保有した組換え体は、劇的に低減した生存率を示す。また、両方の系において、Tel−細胞は、TelN−細胞に見られるよりもおよそ5倍多い死滅をもたらす。
(実施例3)
原核生物切断・連接酵素TelNによって生成される直鎖状共有結合性閉鎖DNAは、哺乳動物細胞において機能的である
材料と方法
マウスおよび細胞系
6〜8週齢のC57BL/6マウスを使用する。HEK293細胞は、10%ウシ胎仔血清、100μg/mlストレプトマイシンおよび100IU/mlペニシリンを補充したダルベッコ変法イーグル培地において育成する。トランスフェクション効率のための内部対照としてのpEGFPc2−CNK−CTありまたはなしで、telRL保有発現構築物の混合物を用いたリポフェクタミン(Invitrogen、Life Technologies、Carlsbad、USA)またはリン酸カルシウム沈殿を使用して、HEK293細胞を一過的にトランスフェクトする。
組換えプラスミドの構築
二重D ITR配列およびレポーター遺伝子を含有するプラスミドは、実施例1Aおよび1Bに記載されている通りに、またはSalI/NotI高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)の挿入によって改変された二重D ITRプラスミドを使用して、作製することができる[Hartikka J, Sawdey M, Cornefert-Jensen F, Margalith M, Barnhart K, Nolasco M, Vahlsing HL, Meek J, Marquet M, Hobart P, Norman J, Manthorpe M (1996) An improved plasmid DNA expression vector for direct injection into skeletal muscle. Hum Gene Ther 7:1205-1217、実施例2を参照]。pJD105[Deneke J, Ziegelin G, Lurz R, Lanka E (2000) The protelomerase of temperate Escherichia coli phage N15 has cleaving-joining activity. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]に由来するtelRL部位は、pIRES.mu−IL12[Schultz J, Pavlovic J, Strack B, Nawrath M, Moelling K (1999) Long-lasting anti-metastatic efficiency of interleukin 12-encoding plasmid DNA. Hum Gene Ther 10:407-417]の穴埋めされた(filled-in)NdeI部位に56bp telRL部位を有する222bp PvuII/DpnI断片として挿入することができ、pVR1012.EGFPは、CMVプロモーターの上流に挿入することができる。第2のtelRL部位は、ポリAシグナルの下流に設置されたプラスミドの穴埋めされたBstXI部位に挿入される。
共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNAの調製
プラスミドの環状共有結合性閉鎖コイルドプラスミドDNA(ccc−DNA)は、[Deneke J, Ziegelin G, Lurz R, Lanka E (2000) The protelomerase of temperate Escherichia coli phage N15 has cleaving-joining activity. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]に記載されている通り、精製されたプロテロメラーゼTelNを使用して、共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNA(lc−DNA)に変換される。lc−DNAは、フェノール/クロロホルムにより抽出され、クロロホルムにより洗浄され、エタノールにより2回沈殿される。同じ手順が、制限酵素によって直鎖化されたDNAおよびccc−DNAに適用される。これらのプラスミドの場合、ミニlc−およびlo−DNAは、1.2%アガロースゲルにおいて骨格断片から分離され、Elutipカラム(Schleicher and Schuell、Dassel、Germany)を使用して精製される。
EGFPの決定
一過的にトランスフェクトされたHEK293細胞におけるEGFPの発現は、トランスフェクション後48時間で、モノクローナル抗GFP抗体(Clontech)およびECL検出系(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway、USA)を使用して、以前に記載された通りに[Zimmermann S, Rommel C, Ziogas A, Lovric J, Moelling K, Radziwill G (1997) MEK1 mediates a positive feedback on Raf-1 activity independently of Ras and Src. Oncogene 15:1503-1511]、ウエスタンブロット解析によって決定される。
結果
TelN/telRL系によって得られる直鎖状閉鎖プラスミドDNA
DNAから治療用分子を発現させるためには、プロモーター、イントロンA、目的の遺伝子およびポリアデニル化シグナルからなる転写単位で十分である。転写単位を含有するDNA断片が、制限エンドヌクレアーゼを使用して生成される場合、結果として生じるDNA分子は、エキソヌクレアーゼによる分解に感受性である。大部分の天然に存在するDNA分子は、安定化のための共有結合性閉鎖末端を有する。これを達成するための機構は、環状化、宿主ゲノムへの組み込み、または共有結合性閉鎖ヘアピン構造の形成である。後者の機構は、直鎖状DNA分子を生じる。バクテリオファージN15の原核生物テロメラーゼ、プロテロメラーゼTelNは、in vitroでこの機能を発揮することが示されている[Deneke J, Ziegelin G, Lurz R, Lanka E (2000) The protelomerase of temperate Escherichia coli phage N15 has cleaving-joining activity. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]。反応は、DNA分子におけるプロテロメラーゼ標的部位telRLの存在を要求する。このテロメア分解部位は、2等部分telRおよびtelLからなる56bp不完全パリンドロームであり、プロテロメラーゼに結合する中央完全パリンドロームtelOを含有する。このプロテロメラーゼは、共有結合性閉鎖末端を有するDNA断片の産生に使用される。EGFPをコードする遺伝子を使用することができる。これは、CMVプロモーターの上流にtelRL部位も有する環状プラスミドDNAに存在する。プロテロメラーゼ標的部位の存在は、精製されたTelNへの曝露による、環状共有結合性閉鎖コイルドプラスミドDNA(ccc−DNA)から直鎖状共有結合性閉鎖DNA分子への変換を可能にする。直鎖状共有結合性閉鎖DNA分子、lc−DNAと、制限エンドヌクレアーゼによって直鎖化された分子、直鎖状開放(lo)DNAを命名することができる。直鎖状共有結合性閉鎖DNAは、哺乳動物細胞における転写のための鋳型として機能する。TelNおよびXhoIによるプラスミドDNAの直鎖化は、アガロースゲル電気泳動によって実証される。対照として、ccc−DNAが使用され、これは、DNA改変酵素なしで同じ手順に付された。上に記載されている通りにまたは実施例2によって形成された、等しい量のccc−DNA、lc−DNA、およびlo−DNAは、リポフェクタミンを使用した一過的トランスフェクションによりHEK293細胞に導入される。直鎖状共有結合性閉鎖DNAは、親ccc−DNAに匹敵するEGFP発現レベルを生じることができる一方、直鎖状共有結合性閉鎖DNAは、有意に低いEGFPを発現した。一過的リン酸カルシウムトランスフェクションによって、同様の結果が得られる。GFP活性は、蛍光顕微鏡によって観察することもできる。この方法は容易に定量化可能ではないため、ウエスタンブロット解析を使用することができる。これは、TelN由来直鎖状DNA分子が、機能的鋳型であることを実証することが予想される。
2個のtelRL部位を使用したTelN/telRL系によって得られる直鎖状閉鎖ミニDNA
第2のtelRL部位は、DD−ITR含有発現プラスミドにおけるポリアデニル化シグナルの下流に挿入することができる。これらの構築物において、転写単位は、両方の部位においてtelRLに隣接する。TelNによって親プラスミドから切り出された直鎖状閉鎖DNA分子は、ミニ共有結合性閉鎖DNAと命名される。これは、ウイルスCMVプロモーター、イントロンA配列、目的の遺伝子およびポリアデニル化部位および隣接DD−ITRを含有し、複製起点および抗生物質抵抗性遺伝子を欠如する(図9A)。ミニlc−DNAを、その均等な直鎖状開放形態(ミニlo−DNA)と比較する。ミニlc−およびlo−DNAは、それぞれTelNおよびMunIによる消化により、EGFP発現プラスミドから得ることができる。等モル量のミニDNAおよびccc−DNAを使用して、リポフェクタミンを使用してHEK293細胞を一過的にトランスフェクトする(図9B)。空ベクターDNAを対照として使用することができる。EGFPに融合されたRas(CNK)のキナーゼサプレッサーのコネクタエンハンサーのC末端断片をコードする第2のプラスミドを、等しいトランスフェクション効率のための対照(cotrol)としてコトランスフェクトする。ミニlc−DNAからのEGFPの発現は、ccc−DNAと同様であるが、ミニlo−DNAからよりも実質的に高い(図9B)。
原核生物切断・連接酵素TelNによって生成された本明細書に記載されるDNAベクターを産生するための方法は、例えば、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Heinrich, J., et al. J Mol Med. (2002) 80: 648-654および米国特許第9,290,778号においてさらに概説され得る。
(実施例4)
AAV粒子産生および精製のためのプロトコール
実施例1、2および3の共有結合性閉鎖直鎖状DNAベクターは、Mizukami et al. (1998). A Protocol for AAV vector production and purification (Doctoral dissertation, Division of Genetic Therapeutics, Center for Molecular Medicine, Jichi Medical School)に記載されている技法により、rAAV粒子の産生のためのrAAVベクターゲノム鋳型として使用される。図7を参照されたい。
E2A、E4およびVA領域をコードするヘルパープラスミド(Ad−ヘルパープラスミド)を使用して、実施例1の閉鎖DNA(ベクタープラスミド)ならびにrepおよびcap遺伝子(AAV−ヘルパープラスミド)と共に、Ad5ゲノムのE1領域を有するヒト胎児由来腎臓細胞の293細胞をトランスフェクトする。
試薬
ヘルパープラスミドDNA(pHLP、pAdeno)
DD−ITRに隣接した導入遺伝子を含有する閉鎖直鎖状DNA
293細胞(ヒト胎児由来腎臓細胞)
DMEM/F12培養培地
ウシ胎仔血清
290mM NaCl、50mM HEPES緩衝剤および1.5mM Na2HPO4、pH7.1を含有する2×HBS緩衝剤
300mM CaCl2
リン酸緩衝食塩水(PBS)
1M HEPES緩衝剤、pH7.4
100mM Tris−HCl(pH8.0)プラス150mM NaCl(TBS)
0.5M EDTA(pH8.0)
TBSにおける40%スクロースプラス0.01%BSA
50mM Hepes(pH7.6)、0.15M NaClおよび10mM MgCl2を含有するDNase緩衝剤
50mM Hepes(pH7.4)、0.15M NaClおよび25mM EDTAを含有するHNE緩衝剤
HNEにおけるCsClの溶液(1.25g/ml)、HNE中
HNEにおけるCsClの溶液(1.50g/ml)、HNE中
プラスミド
repおよびcapを有するAAVヘルパープラスミドpHLPは、pHLP19として以前に記載された。Ad−ヘルパープラスミドpAdenoは、pVAE2AE4−5と同一であり、全体的E2AおよびE4領域プラスVA RNA IおよびII遺伝子をコードする。
トランスフェクションおよび抽出
細胞が、フラスコの表面に初期に付着したときに、225cmフラスコ当たり5×10個の細胞のトリプシン処理された293細胞を使用して、20%〜40%コンフルエンスの単層を生成する。フラスコ当たり40mlの培地を使用する。空気中5%COのインキュベーター内にプレートを置き、80%コンフルエンスになるまで細胞を育成する(24〜48時間)。
トランスフェクション1時間前に、フラスコ内の培地の半分を、新鮮な培地に置き換える。DD−ITRを含有する閉鎖直鎖状DNAベクター23μgおよび各ヘルパープラスミドを、4mlの300mM CaClに添加する。この溶液を、4mlの2×HBSに穏やかに添加し、穏やかな3回反転により直ちに混合する。この混合物を直ちにピペッティングして、225cmフラスコの、40mlのDMEM/F12培地プラス10%FCSにおける293細胞に入れ、回旋して、均一な溶液を産生する。プレートを直ちにインキュベーターに戻し、37℃で4〜6時間インキュベートする。この期間はプレートを揺らさない。インキュベーションの終わりに、培地を予熱したDMEM/F12培養(2%FCSを含有)に置き換える。トランスフェクション3日後に、フラスコに1mlの0.5M EDTAを添加し、3分間室温でインキュベートする。細胞の懸濁液を採取し、300×gで10分間遠心分離する。上清を除去し、ペレットにおける細胞を2mlのTBSに再懸濁する。
懸濁液が完全に凍結するまでドライアイス/エタノール槽に、そして完全に解凍されるまで37℃の水槽に交互に置くことにより、TBSに懸濁した細胞を3回凍結および解凍する。完全に解凍されたら、直ちに氷槽に試料を戻す。10,000×gで10分間の遠心分離によって組織デブリを除去し、上清を採取する。
AAVベクターの精製
上に記載されている通りに、24個のフラスコから上清を調製する。滅菌超遠心分離チューブ(Ultrabottle#3430−3870;Nalge Nunc、Rochester、NY)内に、TBSにおける40%スクロースプラス0.01%BSAの溶液を11ml入れる。この溶液の上に、48mlのプールした上清を慎重に重層する。100,000×g、16時間、4℃の遠心分離によって粗ウイルス粒子をペレットにする。激しい撹拌によってペレットを、5mlのDNase緩衝剤に再懸濁する。1,000ユニットのDNase Iを添加し、1時間37℃でインキュベートする。250μLの0.5M EDTAを添加し、次いで、10,000×gで2分間の遠心分離によってデブリを除去する。次に、低タンパク質結合5μmシリンジフィルター(滅菌Acrodiscシリンジフィルター;Pall Gelman Laboratory、Ann Arbor、MI)を通して上清を濾過する。濾過した材料を、HNE緩衝剤において調製された2段(two-tier)CsCl勾配(1.25g/mlおよび1.50g/ml)の上にロードする。SW40ローター(Beckman Instruments、Palo Alto、CA)において35,000rpmで2時間、16℃にて勾配をスピンする。ウイルス粒子のバンドを採取し、これを、HNE緩衝剤において調製された2回目の2段CsCl勾配(1.25g/mlおよび1.50g/ml)上にロードする。VTi65.2ローター(Beckman Instruments)において65,000rpmで2時間、16℃にて勾配をスピンする。それぞれ0.5mlの画分を採取し、半定量的PCR解析、Capに対する抗体を用いたウエスタンブロッティング、または定量的DNAドットブロットハイブリダイゼーションによって、ウイルス豊富画分を選択する。透析カセット(Slide−A−Lyzer;Pierce、Rockford、IL)を使用して、300mlのHNE緩衝剤による3サイクルの希釈により、ウイルス豊富画分の脱塩を行う。製造業者の使用説明書に従ってUltrafree−4(Millipore、Bedford、MA)を用いて、材料を50μLに濃縮する。最終力価は、通常、定量的DNAドットブロットハイブリダイゼーションまたはサザンブロッティングによって決定される場合、5×10個の293細胞から1×1013〜5×1013個の間の粒子に及ぶ。
閉鎖直鎖状DNAが二重Dを持たず、比較対象として使用されること以外は、上述の方法を反復する。閉鎖直鎖状環を含有する二重DDは、より効率的となる(より高い収率のパッケージングされたゲノムの感染性ウイルス粒子を有する)ことが予想される。
(実施例5)
標的細胞へのベクターの送達
実施例1の、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含有するその結果得られる閉鎖末端ベクターを、トランスフェクションによって標的細胞に送達する。実施例1において生成された、スペーサーがない構築物、ならびに2、5、10、20および25ヌクレオチドのスペーサーを有する構築物を、HeLa細胞に送達して、ベクターの送達および実施例1において産生された共有結合性閉鎖直鎖状DNAからの発現構築物(ルシフェラーゼレポーター遺伝子)の発現を検証する。スペーサーがない構築物、ならびに2、5、10、20および25ヌクレオチドのスペーサーを有する構築物をトランスフェクトした細胞からのルシフェラーゼ発現を、ルシフェラーゼアッセイによって定量的に検出する。プラスミドDNAおよび共有結合性閉鎖環状DNA(例えば、同じ発現構築物を含有)、ならびに同じ型の、例えば、ヘアピン末端を切断する特有の制限部位の切断によって合成により産生された開放直鎖状DNAは、対照として使用される。トランスフェクションは、製造業者の使用説明書に従ってTransfectam(商標)(Promega)を使用して、20mm直径ウェル内で、RPMIにおいて60%コンフルエンスで実行する。各トランスフェクションは、400ngの構築物DNAを使用する。各トランスフェクションにおける40ngのRenillaルシフェラーゼ発現プラスミドpGL4.73(Renilla reniformis由来のhRluc遺伝子を含有)を使用した内部対照の包含により、トランスフェクション頻度は、実験内および実験間で正規化される。ホタルルシフェラーゼ(Photinus pyralis由来のルミネセンス)およびRenillaルシフェラーゼ活性は、Dual−Luciferase(商標)レポーター(DLR(商標))アッセイ系(Promega)を使用して逐次測定される。相対的な光の単位は、GloMax Multi Luminometer(Promega)を使用して測定され、結果は、ホタルルシフェラーゼ/Renillaルシフェラーゼの比として表現する。全実験を3回複製して実行する。
結果は、RCAによって増幅されたものを含む、DD−ITRを含有する閉鎖直鎖状DNAまたは粒子が、経時的に、開放直鎖状PCR構築物、およびDD−ITRを欠如する開放直鎖状PCR構築物よりも高いレベルでルシフェラーゼを発現することを示すことが予想される。これは、哺乳動物細胞に導入された場合、本発明に従って産生された閉鎖直鎖状DNAを使用して、ルシフェラーゼの発現に成功することができることを実証するであろう。加えて、閉鎖直鎖状DNAベクターは、対照と比較して、細胞内により長く存続することが予想される。さらに、DD−ITRおよびプロモーターの間にスペーサーを有するDNAは、スペーサーがない以外の面では同一の構築物よりも高いルシフェラーゼ発現を生成することが予想される。スペーサーのサイズは、発現レベルと相関することが予想され、より大きいスペーサー(例えば、20〜25ヌクレオチドスペーサー)は、より高い発現をもたらす。
加えて、閉鎖直鎖状DNAベクターは、in vivoでコンカテマーを形成することができることが予想される。これは、染色体外DNAを形成すること、または細胞ゲノムに組み込まれることができる。例えば、これは、ヘッドトゥーヘッド、テイルトゥーテイル、ヘッドトゥーテイルでランダムに存在することができる。コンカテマーのためのアッセイは、当技術分野で公知の方法によって行われる(Chen et al., (2001) Molecular Therapy 3: 403-410;Wilson et al., (1982) Mol. Cell. Biol. 2: 1258-1269;Folger et al., (1982) Mol. Cell. Biol. 2: 1372-1387;Critchlow et al.,(1998) Trends Biochem. Sci. 23: 394-398;Wu et al., (1999) PNAS USA 96: 1303-1308)。
(実施例6)
発現カセットを有するベクターは、レシピエント組織細胞において存続する
臨床関連性を実証するために、ApoEエンハンサー/HCRおよびα1−アンチトリプシンプロモーターによって駆動されるヒト第IX因子ミニ遺伝子を含有する発現カセット(Miao et al., (2000) in vitro. Mol. Ther. 1:522-532)を、異なるベクター(本発明のDD−ITRおよびテロメア末端を含む閉鎖直鎖状DNA、対応する直鎖状DNA、ならびに対応するプラスミドDNA)を使用して、血友病Bマウスの肝臓に送達する。注射後の様々な時点(3、4、5、6、7、8、9、10週間目、および3ヶ月目、5ヶ月目、10ヶ月目、1年間超等)における血清ヒト第IX因子濃度の解析により、ベクターの存在および第IX因子の遺伝子発現に関してマウスを解析する。
第IX因子発現カセットを含有するDD−ITR構築物のレシピエントは、ss直鎖状DNAおよびプラスミドDNA対照のレシピエントよりも高い量の、経時的に存在するベクターを有し、それよりも高い濃度の第IX因子を有することが予想される。存在するベクターの量およびヒト第IX因子の濃度は、DD−ITR構築物のレシピエントにおいて経時的に存続し、対照のレシピエントにおいて経時的に減少することが予想される。加えて、経時的に、レシピエントマウスにおけるDD−ITR構築物における第IX因子の発現は、対照のレシピエントにおける第IX因子の発現よりも実質的に高いレベルで、それよりも実質的に長い期間にわたり存続することが予想される。これは、ELISA解析による血清におけるヒト第IX因子の定量化、およびその出血性素因の補正の同定によって、また、ベクター投与後の異なる時点におけるサザンブロット解析による処置されたマウスの肝臓におけるベクターの定量化によって決定される。加えて、処置されたマウスにおけるベクターを含有する肝臓核の数は、肝臓切片のin situハイブリダイゼーションによって決定されて、ベクターを含有する肝臓核の相対数が同様であることを検証する。
in vivoにおける送達されたDNAの分子構造
ベクターは、レシピエント組織細胞において、経時的に存続するコンカテマーを形成することが予想される。コンカテマーは、染色体外に(extrachromasomally)存続する、または宿主細胞ゲノムに組み込む。これを実証するために、ベクターDNAの分子構造に関するサザンブロット解析によって、レシピエントマウス肝臓組織を解析する。DNAを単離し、次いで、ベクター内でカットしない制限エンドヌクレアーゼ、または発現カセットにおいて1回カットする制限エンドヌクレアーゼのいずれかで消化する。カットされたDNAの解析を行って、マウスゲノムへのDNAの組み込みまたは染色体外(extrachromasomally)保持を決定する。ベクターDNA内でカットできないエンドヌクレアーゼ消化による全試料における高分子量バンドの産生は、マウスゲノムへのDNAベクターの組み込みまたはin vivoでのコンカテマーの急速形成のいずれかと一貫する。これらの2つの可能性は、発現カセット全体を通して1回カットする制限エンドヌクレアーゼによる肝臓DNA試料の消化によって区別される。この消化による高分子DNAシグナルからDNAラダーへの変換は、in vivoでのコンカテマー化を示すであろう。
本出願人らは、DNA断片の連結が、ヘッドトゥーヘッド、テイルトゥーテイルおよびヘッドトゥーテイル配向でランダムに起こることを予想する。これは、制限酵素によるDNA試料の適切な消化および結果として生じる断片の解析/探索によって検証することができる。
高分子量DNAの大部分は、コンカテマーに起源をもつことができる。しかし、これが染色体外(extrachromasomal)であるかゲノムに組み込まれているか決定するために、マウスに、DD−ITRベクターDNAまたは組み込み第IX因子トランスポゾン(Yant et al., Nat. Genet. 25: 35-41)のいずれかを注射して、2/3部分肝切除する。トランスポゾン群において、1個のプラスミドから発現されたトランスポサーゼは、第2のプラスミドからのトランスポゾンITRに隣接したヒト第IX因子発現カセットの放出、およびマウスゲノムへの放出された導入遺伝子発現カセットの挿入を媒介する。部分肝切除が、1または2ラウンドの肝細胞の細胞分裂および有意な染色体外DNA損失をもたらす場合、これは、その導入遺伝子発現が肝細胞増殖の誘導によって変化しないはずの、組み込みプラスミド注入マウスとは対照的に、ベクターDNA処置マウスは、同じ期間にわたり、部分肝切除後に遺伝子発現の10倍下落を示すことを示すであろう。これらのデータは、転写活性があるDD−ITRベクターが、肝臓において主に染色体外に残ることを示すであろう。代替結果は、活性DD−ITRベクターが、肝臓細胞染色体に組み込まれることを示すであろう。
方法
動物試験。8〜10週齢雌C57BL/6マウスは、Taconic Farms,Inc.(Germantown、NY)から得られる。全動物手順は、スタンフォード大学(Stanford University)および国立衛生研究所(National Institute of Health)によって表明されるガイドラインに従って行われる。2mlの0.85%生理食塩水における40マイクログラムのDNAを、以前に記載された通りに、マウス尾静脈に注射する(Liu et al., (1999) Gene Ther. 6: 1258-1266;Zhang et al., (1999) Human Gene Therapy 10: 1735-1737)。注射毎に、DNAの質量は同じであるが、モル比は変動し得る(例えば、2倍)。他の試験において、モル比の僅かな変動は、遺伝子発現に有意に影響を与えるとは予想されない。後眼窩技法によってマウスを定期的に出血させる。一部の事例では、以前に記載された通りに、マウスを外科的2/3部分肝切除に付す(Park et al., Nat. Genet. 24: 49-52 (2000))。マウスにおける出血時間は、以前に記載された通りに、2〜3mmの尾への切れ目(snip)からの血液の凝固に要求される時間を測定することにより決定される(Yant et al., (2000) Nat. Genet. 25: 35-41)。
In situハイブリダイゼーション。尾静脈注入により40μgのそれぞれの構築物DNAを受けてから2〜3週間後に、マウスのパラフィン包埋肝臓の5マイクロメートル切片を、以前に記載されたプロトコールに従ってin situハイブリダイゼーションのために処理する(Miao et al. (2000) J. Virol. 74: 3793-3803)。脱パラフィン、再水分補給、変性、およびプロテイナーゼ消化後に、Roche Molecular Biochemicals(Indianapolis、IN)製のDIG標識キットを使用してジゴキシゲニンで標識された、ベクターに特異的な変性DNAプローブと共に、切片をインキュベートする。ハイブリダイゼーション後に、アルカリホスファターゼとコンジュゲートされたヤギ抗ジゴキシゲニン抗体と共に切片をインキュベートし、アルカリホスファターゼ結合ベクターDNAは、ニトロブルーテトラゾリウムクロリド−5−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(Roche Molecular Biochemicals)によって可視化される。
ELISA定量化。DNA送達後に、マウス血液を定期的に採取し、ヒト第IX因子(hFIX)(Walter et al., (1996) PNAS USA 93: 3056-3061)をELISAによって定量化する。
サザンブロット解析。DNA注射後の期間にマウスを屠殺し、総肝臓DNAを塩析手順によって調製する。20マイクログラムの肝臓DNAを制限酵素で消化し、ゲル電気泳動によって分離し、プローブとしてcDNAを使用したサザンブロットハイブリダイゼーションによって解析する。phosphoimager解析によって放射性DNAバンドを定量化する。
本発明は、本発明の単一の態様の説明として意図される、本明細書に開示される例証された実施形態によって、範囲が限定されるべきではなく、機能的に均等ないかなるクローン、DNAまたはアミノ酸配列も、本発明の範囲内にある。実際に、本発明の様々な改変は、本明細書に示され記載されているものに加えて、当業者には前述および添付の図面から明らかになるであろう。かかる改変は、添付の特許請求の範囲内に収まることが意図される。
(実施例7)
環状核酸を産生する鋳型の作製
対象において嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR)を発現させるためのベクターの生成に有用な鋳型を作製するための方法が本明細書に例証される。5’から3’へと、BAMHI制限部位、F1 ORI、PvuII制限部位、ITR−L、CFTRのコード領域に作動的に連結したプロモーター、二重D−ITR (DD−ITR)、CFTRのコード領域に作動的に連結したプロモーター、ITR−R、およびHINDIII制限部位を有するプラスミドを、BAMHIおよびHINDIII制限酵素で24時間37℃にて消化する。電気泳動ゲルにおいて消化物を泳動して、プラスミド断片を可視化(visual)および単離する。ゲルからプラスミド断片を切り出し、精製する。ヘアピンループの末端にBAMHI制限部位配列を有するアダプター配列と、ヘアピンループの末端にHINDIII制限部位配列を有するアダプター配列をその上、同じ様式で消化および精製する。
環状核酸鋳型を形成するために、アダプター配列を、プラスミド断片のカットされた末端にアニールする。精製されたプラスミド断片およびアダプタ配列を、T4リガーゼ等のリガーゼおよびATPの存在下、室温で少なくとも1時間ライゲーションする。次に、ライゲーション反応物を65℃で10分間熱失活させて、リガーゼ酵素を失活させる。
環状核酸鋳型(nucleic template acid)をE.coli細胞へと形質転換して、振盪しつつ37℃で14〜16時間育成して、環状核酸の複製を誘導する。細胞溶解を引き起こす細菌溶解試薬を使用して、CFTR導入遺伝子をコードする環状核酸を、E.coli細胞から放出させる。放出後に、例えば、カラムクロマトグラフィーを使用した精製による標準方法を使用して、CFTR環状核酸を回収する。環状核酸を回収し、in vivoでの導入遺伝子の送達に直接的に使用することができる、またはウイルス産生に使用することができる(実施例8を参照)。
回収されたCFTR環状核酸を、PvuII制限酵素で24時間25℃にてさらに消化して、PvuII切断部位をカットする。PvuIIのカットは、ORIを除去し、CFTR核酸構築物に開放末端を作製する。開放末端の環状核酸は、導入遺伝子のin vivo送達に、または組換えウイルスDNAの産生に使用することができる。組換えウイルス産生にまたは導入遺伝子のin vivo送達に使用されるために、環状核酸がPvuIIで消化される必要はない。
(実施例8)
環状核酸を使用したウイルスベクターの製造
開放および閉鎖末端のCFTR核酸構築物を使用して、Pro10/HEK293細胞においてウイルスベクターを製造する。米国特許第9,441,206号に記載されている通り、Pro10/HEK293細胞は、AAVベクターのスケーラブル産生に理想的である。この細胞系を、トランスフェクションによりCFTR核酸構築物と接触させて、環状核酸を発現させる。プラスミドに特異的なプライマーを使用したPCRに基づくアッセイにより、CFTR核酸構築物の発現を確認する。
トランスフェクション。Pro10/HEK293細胞に、CFTR環状核酸をトランスフェクトし、Rep2および血清型特異的Cap2をコードするパッケージングプラスミド:AAV−Rep/Cap、およびAd−ヘルパープラスミド(XX680:アデノウイルスヘルパー配列をコード)もトランスフェクトする。
トランスフェクション当日に、ViCell XR生存率解析装置(Beckman Coulter)を使用して細胞を計数し、トランスフェクションのために希釈する。トランスフェクションカクテルを混合するために、コニカルチューブに次の試薬をこの順序で添加する:プラスミドDNA、OPTIMEM(登録商標)I(Gibco)もしくはOptiPro SFM(Gibco)または他の無血清適合性トランスフェクション培地、次いで、プラスミドDNAに対し特異的な比のトランスフェクション試薬。室温でインキュベートする前に、カクテルを反転して混合する。トランスフェクションカクテルをピペッティングして、フラスコに入れ、振盪機/インキュベーターに戻す。全ての最適化試験は、30mL培養体積で実行し、続いて、より大きい培養体積で確証を行う。トランスフェクション後48時間で、細胞を収集する。
ウェーブ(Wave)バイオリアクター系を使用したrAAVの産生。トランスフェクション2日前にウェーブバッグに播種する。ウェーブバッグ播種2日後に、細胞培養物計数を為し、次いで、そのようなトランスフェクションの前に細胞培養物を増やす/希釈する。次いで、ウェーブバイオリアクター細胞培養物にトランスフェクトする。トランスフェクション後少なくとも48時間で、ウェーブバイオリアクターバッグから細胞培養物を収集する。
力価:標準曲線(AAV ITR特異的)およびCFTR環状核酸に特異的なプライマーに対するqPCRを使用して、DNase消化後にAAV力価を計算する。
振盪機フラスコおよび60ウェーブバイオリアクターバッグからの懸濁細胞の収集。トランスフェクション後48時間で、細胞培養物を採取して、振盪機フラスコから注ぐことまたはウェーブバイオリアクターバッグからポンピングすることのいずれかにより、500mLポリプロピレンコニカルチューブ(Corning)に入れる。次に、細胞培養物を、Sorvall RC3Cプラス遠心分離機およびH6000Aローターを使用して、655×gで10分間遠心分離する。上清を廃棄し、細胞を1×PBSに再懸濁し、50mLコニカルチューブに移し、655×gで10分間(mM)遠心分離する。この時点で、ペレットは、NLT−60℃に貯蔵することができる、または精製を続けることができる。
qPCRを使用した細胞ライセートからのrAAVの力価測定。10mLの細胞培養物を除去し、Sorvall RC3Cプラス遠心分離機およびH6000Aローターを使用して、655×gで10分間遠心分離する。細胞ペレットから上清をデカントする。次に、細胞ペレットを5mLのDNase緩衝剤(5mM CaC12、5mM MgC12、50mM Tris−HCl pH8.0)に再懸濁し、続いて、超音波処理して細胞を効率的に溶解する。次に、300uLを除去し、1.5mL微量遠心チューブ内に置く。次に、140ユニットのDNase Iを各試料に添加し、37℃で1時間インキュベートする。DNase消化の有効性を決定するために、4〜5mgのTReGFPプラスミドを、DNaseの添加ありおよびなしで、非トランスフェクト細胞ライセートにスパイクする。50μLのEDTA/サルコシル溶液(6.3%サルコシル、62.5mM EDTA pH8.0)を各チューブに添加し、70℃で20分間インキュベートする。次に、50μLのプロテイナーゼK(10mg/mL)を添加し、55℃で少なくとも2時間インキュベートする。試料を15分間煮沸して、プロテイナーゼKを失活させる。各試料からアリコートを除去して、qPCRによって解析させる。細胞当たりの生成されたrAAVベクターの多さを有効に決定するために、2回のqPCR反応を実行する。1回のqPCR反応は、プラスミドXX680、pXR2およびTReGFPの骨格における相同配列に結合するように設計されたプライマー2sのセットを使用してセットアップされる。第2のqPCR反応は、eGFP遺伝子内の領域に結合しこれを増幅するプライマーのセットを使用してセットアップされる。qPCRは、30 Roche製のSybr green試薬およびLight cycler 480を使用して行われる。試料を95℃で10分間変性させ、続いて、45サイクル(90℃10秒間、62℃10秒間および72℃10秒間)および融解曲線(1サイクル99℃30秒間、65℃1分間、継続的)を行う。
粗ライセートからのrAAVの精製。10mLの最終体積となるように、各細胞ペレットを調整する。ペレットを短時間ボルテックスし、1秒間オン、1秒間オフバーストにおいて30%収率で4分間超音波処理する。超音波処理後に、550UのDNaseを添加し、37℃で45分間インキュベートする。次に、Sorvall RCSB遠心分離機およびHS−4ローターを使用して、ペレットを9400×gで遠心分離して細胞デブリをペレットにし、清澄化されたライセートをType70Ti遠心分離チューブ(Beckman 361625)に移す。rAAVの単離のための懸濁HEK293細胞の収集および溶解に関して、当業者は、顕微溶液化等の機械的方法または洗剤等の化学的方法等を使用し、続いて、デプス(depth)濾過または接線流濾過(TFF)を使用した清澄化ステップを行うことができる。
AAVベクター精製。当業者であれば気付き、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる次の原稿(Allay et al., Davidoff et al., Kaludov et al., Zolotukhin et al., Zolotukin et al, etc)に記載されている通り、清澄化されたAAVライセートを、カラムクロマトグラフィー方法によって精製する。

Claims (156)

  1. 持続した発現のために核酸構築物を標的細胞に導入するための方法であって、
    a.i.A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列、
    ii.D’領域
    を含む少なくとも1個のDD−ITRであって、
    iii.前記DおよびD’領域が、相補的パリンドローム配列であり、DおよびD’が、前記AおよびA’領域に近接して位置する、少なくとも1個のDD−ITRと、
    b.発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列を含む前記核酸構築物の相補鎖と
    を含む共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を前記標的細胞に投与するステップを含み、
    c.前記DNA構築物が、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し、
    d.前記DNA構築物が、前記標的細胞において前記所定のDNA配列を発現することができる、方法。
  2. 前記D領域が、ニッキング部位を含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記D領域が、少なくとも5ヌクレオチドの長さである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記D領域が、約20ntの長さである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記D領域が、パルボウイルスITRのパルボウイルスD領域に対応する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ディペンドウイルスが、AAVである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記所定のDNA配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1に記載の方法。
  9. 前記ITRが、プロモーターとして作用している、請求項8に記載の方法。
  10. 前記プロモーターが、前記ITRから離れている、請求項8に記載の方法。
  11. 前記DD−ITRが、前記所定のDNA配列の発現を駆動する、請求項1〜10に記載の方法。
  12. 前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、請求項4に記載の方法。
  13. 前記保持された核酸が、前記ニッキング部位、ならびに/または前記AおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記所定のDNA配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、請求項1に記載の方法。
  15. 前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記DおよびD’領域と前記所定のDNA配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項14に記載の方法。
  18. 前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、請求項16または17に記載の方法。
  20. 前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、請求項16または17に記載の方法。
  21. 前記少なくとも1個のDD−ITRが、AAV ITR、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記DNA構築物が、2個のDD−ITRを含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記D領域が、前記ITRとは異なる血清型に由来する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、請求項22に記載の方法。
  25. 1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、請求項22に記載の方法。
  26. 前記BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記AおよびA’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記DNA構築物が、宿主細胞においてプロテロメラーゼ酵素活性によって形成された前記共有結合性閉鎖末端に部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記宿主細胞が、誘導性プロモーターの制御下において前記プロテロメラーゼを発現する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記DNA構築物が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成された前記共有結合性閉鎖末端に部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記DNA構築物が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記DNA構築物が、前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項32〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
  37. 核酸が、治療用核酸である、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記標的細胞が、in vitroにある、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記標的細胞が、in vivoにある、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記構築物が、ex vivoで前記標的細胞に投与される、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記標的細胞が、遺伝的に欠損した細胞および/または罹患した細胞である、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記標的細胞が、罹患した細胞である、請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記標的細胞が、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される、請求項1〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸配列の送達のためのDNAベクターであって、
    c.i.A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列、
    ii.D’領域
    をそれぞれ含む、2個のDD−ITRであって、
    iii.前記DおよびD’領域が、約5〜20ntの長さの相補的パリンドローム配列であり、前記AおよびA’領域に近接して位置する、2個のDD−ITRと、
    d.前記所定の核酸配列(例えば、発現のための異種遺伝子)と
    を含み、前記2個のDD−ITRが、共有結合性閉鎖非ウイルスDNAの場面において、前記核酸に隣接する、DNAベクター。
  45. 前記所定の核酸配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項44に記載のDNAベクター。
  46. 前記DD−ITRが、前記所定の核酸配列の発現を駆動する、請求項44に記載のDNAベクター。
  47. 前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、請求項46に記載のDNAベクター。
  48. 前記保持された核酸が、ニッキング部位、ならびに/または前記AおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、請求項47に記載のDNAベクター。
  49. 前記所定の核酸配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、請求項44に記載のDNAベクター。
  50. 前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、請求項49に記載のDNAベクター。
  51. 前記DおよびD’領域と前記所定の核酸配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項45に記載のDNAベクター。
  52. 前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項46に記載のDNAベクター。
  53. 前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、請求項51または52に記載のDNAベクター。
  54. 前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、請求項53に記載のDNAベクター。
  55. 前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、請求項53に記載のDNAベクター。
  56. 前記DD−ITRが、パルボウイルスITRおよび合成ITRからなる群から選択されるITRから生成される、請求項44〜55のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  57. 前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、請求項56に記載のDNAベクター。
  58. 前記ディペンドウイルスが、AAVである、請求項57に記載のDNAベクター。
  59. DNA構築物が、2個を超えるDD−ITRを含む、請求項44〜58のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  60. 各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、請求項59に記載のDNAベクター。
  61. 1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、請求項60に記載のDNAベクター。
  62. 前記BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換または挿入が存在する、請求項44〜61のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  63. 前記AおよびA’領域に欠失、置換または挿入が存在する、請求項44〜61のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  64. 前記DNAベクターが、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含み、共有結合性閉鎖末端が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、請求項44〜63のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  65. 前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項44〜64のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  66. 前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、請求項44〜65のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  67. 前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、請求項44〜66のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  68. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項66〜67のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  69. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、請求項66〜68のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  70. 前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、請求項66〜68のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  71. 所定の核酸が、治療用核酸である、請求項44〜70のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  72. 少なくとも1個のDD−ITRが、AAV ITRである、請求項44〜71に記載のDNAベクター。
  73. 前記2個のDD−ITRに隣接する部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含む、請求項44〜72のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  74. 前記2個のDD−ITRに隣接する前記部分的プロテロメラーゼ結合部位が、in vitroにおけるプロテロメラーゼ酵素活性またはin vivoにおけるプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、請求項73に記載のDNAベクター。
  75. 共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物が、前記標的細胞内にコンカテマー構造として存続する、請求項44〜74のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  76. 2〜5週間、1〜12ヶ月間、1〜10年間またはより長い期間にわたり、前記核酸の持続した発現を促進する、請求項75に記載のDNAベクター。
  77. 持続した発現のために核酸を標的細胞に導入するための方法であって、
    a.図5に示すITRからなる群から選択される少なくとも1個のITR配列と、
    b.核酸構築物の相補鎖であって、前記核酸構築物が、所定のDNA配列を含み、前記相補鎖が、発現可能なdsDNA中にアニールすることができる、相補鎖と
    を含む共有結合性閉鎖非ウイルスDNA構築物を前記標的細胞に投与するステップを含み、
    c.前記DNA構築物が、ヘアピン共有結合性閉鎖末端を有する直鎖状DNAを形成する、方法。
  78. 前記ITR配列が、いずれかの側において相補配列DおよびD’に隣接し、これにより、DD−ITRを作製する、請求項77に記載の方法。
  79. 前記所定のDNA配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項77に記載の方法。
  80. 前記DD−ITRが、前記所定のDNA配列の発現を駆動する、請求項77に記載の方法。
  81. 前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、請求項77に記載の方法。
  82. 前記保持された核酸が、ニッキング部位、ならびに/またはAおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、請求項81に記載の方法。
  83. 前記所定のDNA配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、請求項77に記載の方法。
  84. 前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、請求項83に記載の方法。
  85. 前記DおよびD’領域と前記所定のDNA配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項77〜84に記載の方法。
  86. 前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項77〜85に記載の方法。
  87. 前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、請求項85または86に記載の方法。
  88. 前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、請求項87に記載の方法。
  89. 前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、請求項87に記載の方法。
  90. 少なくとも1個のDD−ITRが、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される、請求項77〜89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、請求項90に記載の方法。
  92. 前記ディペンドウイルスが、AAVである、請求項91に記載の方法。
  93. 前記DNA構築物が、2個のDD−ITRを含む、請求項65〜78のいずれか一項に記載の方法。
  94. 各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、請求項93に記載の方法。
  95. 1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、請求項93に記載の方法。
  96. BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換または挿入が存在する、請求項77〜95のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記AおよびA’領域に欠失、置換または挿入が存在する、請求項77〜95のいずれか一項に記載の方法。
  98. 前記DNA構築物が、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含み、前記共有結合性閉鎖末端が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、請求項77〜97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 前記DNA構築物が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項77〜98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 前記DNA構築物が、前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、請求項77〜99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも1〜5週間、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、請求項77〜100のいずれか一項に記載の方法。
  102. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項100〜101のいずれか一項に記載の方法。
  103. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、請求項100〜102のいずれか一項に記載の方法。
  104. 前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、請求項100〜102のいずれか一項に記載の方法。
  105. 核酸が、治療用核酸である、請求項77〜104のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記標的細胞が、in vitroにある、請求項77〜105のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記標的細胞が、in vivoにある、請求項77〜105のいずれか一項に記載の方法。
  108. 前記構築物が、ex vivoで前記標的細胞に投与される、請求項77〜105のいずれか一項に記載の方法。
  109. 前記標的細胞が、遺伝的に欠損した細胞である、請求項77〜108のいずれか一項に記載の方法。
  110. 前記標的細胞が、罹患した細胞である、請求項77〜108のいずれか一項に記載の方法。
  111. 前記標的細胞が、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される、請求項77〜110のいずれか一項に記載の方法。
  112. 請求項1〜43または77〜111のいずれか一項に記載の方法によって産生された、細胞またはその集団。
  113. 持続した発現のための、標的細胞への所定の核酸の送達のための共有結合性閉鎖非ウイルス直鎖状DNAベクターであって、
    a.i.A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復配列、
    ii.D’領域
    を含む少なくとも1個のDD−ITRであって、
    iii.前記DおよびD’領域が、相補的パリンドローム配列であり、DおよびD’が、前記AおよびA’領域に近接して位置する、少なくとも1個のDD−ITRと、
    b.発現可能なdsDNA中にアニールすることができる所定のDNA配列を含む核酸構築物の相補鎖と
    を含み、
    c.前記DNAベクター構築物が、共有結合性閉鎖ヘアピン末端を有する直鎖状DNAを形成し、
    d.前記DNAベクター構築物が、前記標的細胞において前記所定のDNA配列を発現することができる、DNAベクター。
  114. 前記D領域が、ニッキング部位を含有する、請求項113に記載のDNAベクター。
  115. 前記D領域が、少なくとも5ヌクレオチドの長さである、請求項113に記載のDNAベクター。
  116. 前記D領域が、約20ntの長さである、請求項113に記載のDNAベクター。
  117. 前記D領域が、パルボウイルスITRのパルボウイルスD領域に対応する、請求項113に記載のDNAベクター。
  118. 前記パルボウイルスが、ディペンドウイルスである、請求項113に記載のDNAベクター。
  119. 前記ディペンドウイルスが、AAVである、請求項113に記載のDNAベクター。
  120. 前記所定のDNA配列が、プロモーターに作動可能に連結されている、請求項113に記載のDNAベクター。
  121. 前記ITRが、プロモーターとして作用している、請求項120に記載のDNAベクター。
  122. 前記プロモーターが、前記ITRから離れている、請求項120に記載のDNAベクター。
  123. 前記DD−ITRが、前記所定のDNA配列の発現を駆動する、請求項113〜122に記載のDNAベクター。
  124. 前記DおよびD’領域が、前記領域の少なくとも5個の核酸を保持する置換、挿入および/または欠失を有する、請求項113に記載のDNAベクター。
  125. 前記保持された核酸が、前記ニッキング部位、ならびに/または前記AおよびA’領域と前記DおよびD’領域との接合部を含む、請求項124に記載のDNAベクター。
  126. 前記所定のDNA配列が、タンパク質、タンパク質断片、ペプチドまたは機能的RNAをコードする、請求項113に記載のDNAベクター。
  127. 前記機能的RNAが、マイクロRNA、RNAi、shRNA、およびCrisper Cas 9組換えのためのガイドRNAからなる群から選択される、請求項126に記載のDNAベクター。
  128. 前記DおよびD’領域と前記所定のDNA配列との間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項1〜127のいずれかに記載のDNAベクター。
  129. 前記DおよびD’領域と前記プロモーターとの間にスペーサーとして少なくとも2ヌクレオチドが存在する、請求項126に記載のDNAベクター。
  130. 前記スペーサーが、少なくとも5ヌクレオチドである、請求項128または129に記載のDNAベクター。
  131. 前記スペーサーが、少なくとも20ヌクレオチドである、請求項128または129に記載のDNAベクター。
  132. 前記スペーサーが、少なくとも25ヌクレオチドである、請求項128または129に記載のDNAベクター。
  133. 前記少なくとも1個のDD−ITRが、AAV ITR、パルボウイルスITRまたは合成ITRから生成される、請求項113〜132のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  134. 前記DNAベクター構築物が、2個のDD−ITRを含む、請求項113〜133のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  135. 前記D領域が、前記ITRとは異なる血清型に由来する、請求項113〜134のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  136. 各DD−ITRが、異なるウイルス血清型に由来する、請求項134に記載のDNAベクター。
  137. 1個のDD−ITRが、AAV2 ITRに由来し、第2のDD−ITRが、AAV5 ITRに由来する、請求項134に記載のDNAベクター。
  138. 前記BおよびB’またはCおよびC’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、請求項113〜137のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  139. 前記AおよびA’領域に欠失、置換および/または挿入が存在する、請求項113〜138のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  140. 前記DNAベクター構築物が、部分的プロテロメラーゼ結合部位をさらに含み、前記共有結合性閉鎖末端が、in vitroでプロテロメラーゼ酵素活性によって形成される、請求項113〜139のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  141. 前記DNAベクター構築物が、前記標的細胞内で存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項113〜140のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  142. 前記DNAベクター構築物が、前記細胞においてコンカテマー構造へと変換され得る、請求項113〜141のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  143. 前記標的細胞における前記所定のDNA配列の前記持続した発現が、少なくとも2〜5週間、少なくとも1〜12ヶ月間、少なくとも1〜10年間の期間に及ぶ、請求項113〜142のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  144. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において存続し、前記所定の配列の持続した発現をもたらす、請求項142〜143のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  145. 前記コンカテマー構造が、前記標的細胞において染色体外で存続する、請求項142〜143のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  146. 前記コンカテマー構造が、標的細胞染色体中に組み込まれる、請求項142〜143のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  147. 核酸が、治療用核酸である、請求項113〜146のいずれか一項に記載のDNAベクター。
  148. 標的細胞への核酸の送達のための医薬組成物であって、標的細胞への送達のための、請求項44〜76および113〜147のいずれかに記載のDNAベクターと、薬学的に許容される担体とを含み、前記標的細胞が、神経細胞、肺細胞、網膜細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心臓筋肉細胞、膵細胞、肝細胞、腎臓細胞、心筋細胞、骨細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、胚細胞、前駆細胞、幹細胞、がん細胞および腫瘍細胞からなる群から選択される、医薬組成物。
  149. 疾患または障害の処置のためにin vivoで前記標的細胞に投与される、請求項148に記載の医薬組成物。
  150. 前記宿主細胞が、誘導性プロモーターの制御下において少なくとも第1のTelリコンビナーゼをコードするように設計されており、前記細胞が、細菌配列を含まないベクターを産生するように適合された発現ベクターを含み、前記ベクターが、発現カセットを含み、目的の核酸が、少なくとも1個のDD−ITRに隣接し、いずれかの側において、前記Telリコンビナーゼの標的配列に隣接する、請求項28に記載の方法。
  151. 前記Tel標的配列の非結合領域内に組み込まれるものは、1種または複数の追加的なリコンビナーゼの標的結合配列である、請求項150に記載の方法。
  152. 前記1種または複数の追加的なリコンビナーゼが、pK02 telRL部位、telRL部位、pal部位、loxP部位、FRT部位、phiC31、attP部位およびXattP部位からなる群から選択される、請求項151に記載の方法。
  153. 少なくとも1個のDD−ITRを含有する直鎖状共有結合性閉鎖ベクターを産生する方法であって、第1のリコンビナーゼの発現を可能にするのに適した条件下で、請求項150に記載の宿主細胞をインキュベートして、直鎖状共有結合性閉鎖ベクターをもたらすステップを含む方法。
  154. 少なくとも1個のDD−ITRを含有する環状共有結合性閉鎖ベクターを産生する方法であって、第2のリコンビナーゼの発現を可能にするのに適した条件下で、請求項151〜152に記載の宿主細胞をインキュベートして、環状共有結合性閉鎖ベクターをもたらすステップを含む方法。
  155. 前記Telリコンビナーゼ標的部位が、ファージPY54 Tel 142塩基対標的部位である、請求項150に記載の方法。
  156. 前記目的の核酸が、両側においてDD−ITRに隣接する、請求項150〜155に記載の方法。
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