JP2021527534A - 磁気共鳴(mr)用途のためのシース波バリア - Google Patents

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Abstract

磁気共鳴(MR)撮像または分光装置において、電気ケーブル(4)の電磁RF結合現象を所定の抑制周波数(ω)において抑制するためのシース波バリア(2)であって、ケーブルは、少なくとも1つの内部導体(6)と、周方向に取り囲む導電性ケーブルシース(8)とを有するシールドケーブルとして構成されており、シース波バリア(2)は、シールドケーブルのセグメントと、第1のケーブル位置(12)と第2のケーブル位置(14)との間のシールドケーブルセグメントから形成される一次インダクタとを含む。導体によって形成された二次インダクタ(16)は、第1のケーブル位置と第2のケーブル位置との間に一次インダクタ内または一次インダクタの周囲に同心円状に配置されている。二次インダクタは、個々の第1および第2のRLCネットワーク部材(M1、M2)を介して第1および第2のケーブル接続においてケーブルシースに電気的に接続されており、一次および二次インダクタは、一次および二次インダクタによって生成された磁場がシース波バリアを囲む任意の領域において実質的に打ち消されるように補償するように構成される。

Description

本発明は、概して、MR装置における電気ケーブルの電磁RF結合現象を抑制するためのシース波バリアに関する。
MR撮像(MRI)を含むがこれに限定されないMR装置の動作は、撮像ボリュームの近傍で使用される全てのデバイスにとって過酷な電磁環境となる。このようなデバイスは、強力な磁場および高出力の無線周波数(RF)パルスに耐える必要がある。
MRI装置のスキャナボア内に延在するケーブルは、RF場と相互作用して、ケーブルシールド上に表面電流を引き起こす傾向がある。これらの電流は、以下のいくつかの悪影響を与える可能性がある。
− 患者のすぐ近傍では、ヒトの組織に過度の電力吸収を生じさせて、組織熱傷を引き起こす可能性がある。
− RF電力は、ケーブルに沿ってボアから流出する可能性がある。
− ケーブル上の電流により、ボア内のRF場分布が変化する。
− シールドが完全でない場合、表面電流が信号経路に入る可能性がある。
このような問題を回避するために、表面波抑制装置として機能することを目的とする、「シース波バリア」とも呼ばれる所謂ケーブルトラップが、通常、強いRF電磁界に晒されるケーブル上に配置される。しかしながら、強磁性特性またはフェリ磁性特性を有する部品による広帯域抑制は、スキャナのボア内に存在する強いバックグラウンド磁場との非常に望ましくない相互作用があるため、通常、MRIには適用可能ではない。それよりもむしろ、高インピーダンスを導入する導電性構造および誘電性構造が、通常、MRシステムで使用される。DCおよび低周波信号線上の不要なRF信号は、通常、インダクタを導入することによってブロックされるが、同軸ケーブルおよび複数の線路を有するケーブル用に同様に構築されたデバイスは、ほとんどの適用に関して大きすぎる。しかしながら、トラップ回路を集中容量または分散容量による共振に調整することにより、誘導性の幾何学的構造のリアクタンスが比較的低いにもかかわらず、1つまたはいくつかの抑制周波数において表面波に対して局所的な高インピーダンス(共振の品質係数によって強化される)が生成される。共振特性を適切に調整することにより、このようなトラップは、少なくとも1つの所定の抑制周波数を有するように設計することができる。このようなトラップ構造の欠点は、トラップ内およびトラップ周辺の電磁共鳴場がRF場と直接相互作用する可能性があることである。このような場合、トラップはRFピックアップコイルに変換することができる。さらに、共振条件に起因して、外部電磁界に対するトラップの感度が非常に高くなる可能性がある。最悪の場合、ケーブル上の表面電流はトラップによってさらに増加する可能性がある。同様に、セットアップで複数のトラップを配置する必要がある場合、2つのトラップ間の相互結合は、個々のトラップ回路を離調したり、かつ/またはMRアンテナと信号線との間に不要な結合を導入したりする可能性がある。最後に、トラップは、MRIアンテナ構造自体にも結合する可能性もあり、その結果、効率、SNR、およびその他の性能パラメータの損失が生じるだけでなく、セットアップ全体の安全性および安定性が損なわれることとなる。
原理上、これらの望ましくない影響は、
i)例えば、ケーブルがMR装置の任意のRF送信コイルの敏感なボリュームを離れ、かつ互いに離間した領域にトラップを配置することによって、トラップを強力な外部RF場、他のトラップ、およびアンテナから離れて配置すること、
ii)RF送信コイルによって生成される送信場とトラップの内部場との間の結合が最小となるようにトラップを構成すること、によって回避することができる。
最初のアプローチには、マグネットボア内の利用可能なスペースが制限されるため、実用上の大きな制約がある。第2のアプローチは、「8の字」巻線パターンまたはトロイド巻線パターン(特許文献1)(本出願の図1aおよび1bを参照)の一般的な概念によって部分的に達成され、ここで、誘導電流は(部分的に)否定的に重なり、従って外部場との有効結合を強く抑制するか、またはシールド構造によって有効結合を強く抑制する(特許文献2)。しかしながら、MR用途では主に低損失の同軸ケーブルが使用されるため、このようなトラップの構造は、ケーブルの曲げ半径が有限であるため、非常に大きくなり得る。以前に提示されたトロイダル構造は、巻線の密度が制限されているため、またトロイドの主軸の周りの正味巻線の補償が欠落しているため、外部場に対する不完全な分離を提供する。適切な補償巻線を追加するには、ケーブルの狭いUターンが必要になるが、これは通常、同軸ケーブルの機械的特性によって禁止されている。従って、結果として得られるトロイドは、トロイドの平均半径に対応する半径を有する円の有効誘導断面積に等しい少なくとも1つの有効誘導断面積を有する。また、特許文献1に開示されている8の字様の構造は、それらの不完全な対称性に起因して、不均一なRF場から分離されていない。一方、シールドトラップおよび大きな導電性表面を使用するトラップは、多くの場合、渦電流誘導によるMRIスキャナの勾配コイルとの望ましくない相互作用を示すことがある。このような渦電流によって発生する局所的な磁場は、画質を低下させ、MRIシステムの電子機器に振動および大きな力を発生させる可能性がある。最後に、フローティングトラッピング構造(特許文献3を参照)のサイズおよびそれらの構築に必要な導電性材料の量によって、多くの場合、そのような構造を、撮像領域に近接した個々の信号線および信号線を分離するために適用することが禁止される。
最新技術によるさらなるトラップは、特許文献4および特許文献5に開示されている。
特許文献6は、MR撮像で使用するためのバランを開示している。バランは、同心円状に配置された2つのソレノイドを備える。
米国特許第5294886号明細書 米国特許第4682125号明細書 米国特許第6605775号明細書 米国特許第4922204号明細書 米国特許第5543713号明細書 国際公開第2018/077679号
上記を考慮して、上記の欠点および制限を克服するか、または少なくとも低減する、磁気共鳴(MR)撮像または分光装置において使用するための改良された磁場シース波バリアが必要である。
従って、本発明の一態様によれば、磁気共鳴(MR)撮像または分光装置において、電気ケーブルの電磁RF結合現象を所定の抑制周波数(ω)において抑制するためのシース波バリアが提供される。ケーブルは、少なくとも1つの内部導体と、周方向に取り囲む導電性ケーブルシースとを有するシールドケーブルとして構成されており、シース波バリアは、
シールドケーブルのセグメンと、
第1のケーブル位置と第2のケーブル位置との間のシールドケーブルセグメントから形成された一次インダクタと、
導体によって形成された二次インダクタと、を備え、二次インダクタは、第1のケーブル位置と第2のケーブル位置との間に一次インダクタ内または一次インダクタの周囲に同心円状に配置されている。
二次インダクタは、個々の第1および第2のRLCネットワーク部材を介して第1および第2のケーブル接続においてケーブルシースに電気的に接続されている。
一次および二次インダクタは、一次および二次インダクタによって生成された磁場がシース波バリアを囲む任意の領域において実質的に打ち消されるように補償するように構成されている。
本明細書において、「補償する」とは、両方のインダクタを流れる電流によって生成される磁場が領域内に実質的に場を生成しないように二次インダクタによって生成された磁場が、2つのインダクタの外側の領域において一次インダクタによって生成される場を実質的に打ち消すことを意味するものとする。
一次インダクタおよび二次インダクタが個々の第1および第2のRLCネットワーク部材を介して電気的に接続されているという事実により、一般的に曲げ性が低いシールドケーブルからなる一次インダクタに鋭い曲げを加える必要なしに、補償構成を幾何学的に単純な方法で実現することができる。
有利な実施形態は、従属請求項によって定義され、かつ以下でさらに説明される。
本発明によるシース波バリアが図2aに示されている。これは、場補償インダクタの原理に基づいている。単純なソレノイドインダクタの電流は、より少ない巻線およびより大きな直径を有する同心ソレノイドを介して戻される。適切に寸法がとられている場合、中心を通過する磁力線は、内側のソレノイドと外側のソレノイドとの間の環状空間内に戻るように強制される。これにより、シース波バリアを囲む空間領域内の磁場がほぼ完全に打ち消される。
特定の状況に応じて、二次インダクタを一次インダクタ内または一次インダクタの周囲に同心円状に配置することが望ましい。二次インダクタが一次インダクタ内に配置されている構成は、サイズの最小化を求める場合に有用であり得る。これは、一次インダクタは、二次インダクタを形成するために使用される導体よりも一般に剛性の高いシールドケーブルによって形成されるため、一次インダクタよりも二次インダクタからの方がより小さな巻線を形成することが一般的に可能であるためである。他の状況では、例えば、一次導体が適切な中央支持体の周りに巻かれ、そこに保持される場合、一次インダクタは、内部に、即ち、二次導体によって囲まれるように配置されることが好ましい。
二次補償インダクタは、米国特許第5543713号明細書と同様に、一次インダクタが追加の周囲シールド材料を備えたケーブルのストランドによって形成されるトラップに同様に追加することもできる。
特定の実施形態では、シース波バリアは、特定のMR用途に使用される部品のシールドケーブル内に恒久的に配置される。代替的に、シース波バリアは、端部に同軸ケーブルコネクタが設けられたシールドケーブルのセグメントを含む。
技術分野で一般的に既知であり、図3aに示されているように、シース波インピーダンスは、特定のシールドケーブル4に対して定義することができる。特に、シース波インピーダンスの大きさは次のように定義することができる。
=|V/I
ここで、Vはケーブルシースの電位を示し、Iはケーブルシースに沿って流れる電流を示す。一般に、シールドケーブルのシース波インピーダンスの大きさは周波数に依存する。以下では、所定の抑制周波数ωにおけるシース波インピーダンスの大きさZ(ω)が特に注目される。
同様に、シース波バリアのインピーダンスを定義することができ、これは、簡潔にするために「トラップインピーダンス」と呼ばれる。図3bに示すように、トラップインピーダンスの大きさは次のように定義することができる。
=|V/I
ここで、Vはシース波バリア2の両端の電位差を示し、Iはシース波バリアを流れる電流を示す。所定の抑制周波数におけるトラップインピーダンスの大きさは、Z(ω)として表される。トラップの全ての構成要素、特に、前述の第1および第2のインダクタ、ならびに前述の第1および第2のRLCネットワークがトラップインピーダンスに寄与することが理解される。特に、回路全体またはサブ回路に見られる共振条件を使用して、1つまたは幾つかの周波数において高インピーダンスを得ることができる。
任意の非ゼロのトラップインピーダンスは、不要なシース電流の低減に寄与するが、Z(ω)がZ(ω)と少なくとも等しいか、または好ましくはZ(ω)がZ(ω)よりも実質的に大きい(請求項2)場合、一般に有利である。少なくとも5の比Z(ω)/Z(ω)、特に、少なくとも10の比Z(ω)/Z(ω)が好ましい。
一実施形態(請求項3)によれば、一次インダクタおよび二次インダクタはそれぞれ、複数の巻線を含むソレノイドとして構成される。インダクタによって生成される磁場の大きさを最小化するように補償するように構成するために、2つのソレノイドは相互に逆方向に循環するように(mutually counter circulating manner)配置される。一次インダクタおよび二次インダクタの同心円状配置により、個々のソレノイド軸は実質的に同一直線上にある。一実施形態では、2つのソレノイドは円筒対称(cylindrically symmetric)である。
有利には(請求項4)、一次インダクタは、第1の巻線数n1および第1のコイル直径d1を有する円筒形ソレノイドとして構成され、二次インダクタは、第2の巻線数n2および第2のコイル直径d2を有する円筒形ソレノイドとして構成され、第1および第2のコイル直径の比d1/d2は、第2および第1の巻線数の比の平方根√(n2/n1)に実質的に等しい。そのような実施形態は、高度のコイル補償をもたらす。
原理上、二次インダクタは、実際上全てのタイプの導電体から形成することができる。有利な実施形態(請求項5)では、二次インダクタは、中実配線、中空導体、編組導体、またはリッツ線である。一次インダクタおよび二次インダクタは、同じ材料で形成される必要はなく、また同じ導体タイプである必要はない。特に、二次インダクタは比較的細くて可撓性のある配線で形成できるため、シース波バリアのコンパクトな設計が可能になる。
二次インダクタの端部とシールドケーブルセグメントの第1および第2のケーブル位置との間に電気接続を形成するために使用される第1および第2のRLCネットワーク部材は、いくつかの方法で構成することができる。有利な実施形態(請求項6)によれば、第1のRLCネットワーク部材は、第1の静電容量(C1)を有する第1のコンデンサであり、第2のRLCネットワーク部材は、ガルバニック接続であるか、または第2の静電容量(C2)を有する第2のコンデンサである。当然の事ながら、ガルバニック接続は、非常に低い抵抗を有する抵抗器を単に含むRLCネットワークとして理解することができる。
特に有利な実施形態(請求項7)によれば、一次および二次インダクタは、第1および第2のRLCネットワーク部材と共に、所定の抑制周波数(ω)において並列共振回路を形成する。任意選択で、共振挙動、およびこれによる抑制効果が、1つの抑制周波数またはさらに多くの抑制周波数において達成される。
別の態様によれば、MR撮像用途のためのコイルアセンブリは、
非導電性材料で作製されたキャリア構造と、
MRコイル動作周波数で信号を受信および/または放出するための少なくとも1つの導電性MRコイルであって、各コイルは、前記キャリア構造の面に取り付けられ、前記キャリア構造の面に沿って延在する、前記少なくとも1つの導電性MRコイルと、
前記キャリア構造に取り付けられた少なくとも1つの磁場プローブ(P)であって、磁場プローブは、
長手方向のプローブ軸に沿って相互に配向され、近位端と遠位端とを有する細長いプローブコンパートメント内の共振領域に位置する核磁気共鳴(NMR)活性物質と、
プローブRFにおける前記物質のパルスNMR励起のための、かつ前記物質によって生成されたNMR信号を受信するための手段と、を含み、
前記励起および受信手段は、前記共振領域の周りに配置されたコイル部材を含むとともに、さらに一対の接続リードを含む導電性構造を含み、前記接続リードがコイル部材の個々の端部と前記近位端の近傍に配置されたRF結合ユニットとの間に電気接続を形成し、前記接続リードは、実質的に前記長手方向のプローブ軸に沿って配向され、前記RF結合ユニットは、外部RFドライバおよび受信機手段に接続可能なRFラインに接続するように構成される。
コイルアセンブリは、前述の請求項の1つに記載された少なくとも1つのシース波バリアをさらに備える。
「RF結合ユニット」という用語は、典型的にはシールドケーブルである外部RFラインを取り付けるためのある種の接続デバイスを含むと理解されるものとする。さらに、RF結合ユニットは、一般に、いくつかの適切な調整およびマッチング電子機器を含む。RF結合ユニットは、キャピラリーチューブによって都合良く構成される細長いプローブコンパートメントの一端に配置されている。従って、この設計によれば、接続リードはキャピラリーに沿って配置される。これにより、場プローブ全体を、長さ約20mm、直径8mmの実質的に円筒形のシールド内に収容することができる。
一実施形態(請求項9)によれば、シース波バリアは、磁場プローブのRFラインを形成するシールドされた電気ケーブル内に配置されている。1つの特定の実施形態(請求項10)では、シース波バリアは、システム内のMRコイルの動作周波数に実質的に等しい所定の抑制周波数を有する。このような構成により、NMRプローブから取得されるNMR信号は、MRコイルに送られる高出力によって引き起こされる干渉から保護される。
別の実施形態(請求項11)によれば、シース波バリアは、前記導電性MRコイルのうちの1つのRFラインのシールドされた電気ケーブル内に配置されている。1つの特定の実施形態(請求項12)では、シース波バリアは、前記プローブRF周波数に実質的に等しい所定の抑制周波数を有する。このような構成により、取得手段により得られたMR信号は、NMRプローブに送られる高RF電力によって引き起こされる干渉から保護される。
さらなる態様によれば、物体のMR撮像または分光法を実行するためのMR装置が提供され、MR装置は、
a)サンプル領域の磁場方向に沿って主磁場(B)を生成するための磁石手段と、
b)主磁場に重ね合わされた符号化磁場を生成するための符号化手段と、
c)MRコイルの動作周波数において無線周波数場を生成するためのRF送信機手段と、
d)前記符号化手段およびRF送信機手段を動作させて、画像またはスペクトルを形成するためのMRシーケンスに従って、重ね合わされた時間依存の符号化場および無線周波数場を生成するためのドライバ手段と、
e)前記物体からのMR信号を取得するための取得手段と、を備える。
MR装置は、MR装置のシールドされた電気ケーブル内に配置された、上記で定義された少なくとも1つのシース波バリアをさらに備える。
一実施形態(請求項14)によれば、少なくとも2つのシース波バリアが、MR装置の共通のシールドケーブルの個々のセグメントに直列に配置されている。特に、特定の多周波数MR用途では、抑制周波数が異なる2つの直列に配置されたシース波バリアが使用され得る。
さらなる実施形態(請求項15)によれば、MR装置は、さらに上記で定義されたようなコイルアセンブリに動作可能に接続される。「動作可能に接続された」という用語は、特に、前記導電性MRコイルの各1つが、関連するRF送信機手段c)および/または取得手段d)に接続されていることを意味する。
本発明の上記および他の特徴および目的、ならびにそれらを達成する方法は、より明らかになり、本発明自体は、添付の図面に関連して参照される本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
a)は8の字巻線、b)は単純なトロイダル巻線である先行技術による2つのシース波バリアの概略図である。 a)は本発明によるシース波バリア、およびb)はそのようなシース波バリアを形成する2つの同心ソレノイドにおける相互に逆循環する電流を示す概略図である。 a)はシース波インピーダンス、およびb)はトラップインピーダンスを示す概略図である。 a〜dは、本発明によるシースウェーブバリアの様々な実施形態を示す概略図である。 直列に接続された2つのシース波バリアを示す概略図である。 垂直断面としてのMR撮像用途のためにコイルアセンブリを示す図である。
図2aは、磁気共鳴(MR)撮像または分光装置において、電気ケーブル4の電磁RF結合現象を所定の抑制周波数(ω)において抑制するためのシース波バリア2を示す。ケーブル4は、内部導体6と、周方向に取り囲む導電性ケーブルシース8とを有するシールドケーブルである。シース波バリア2は、シールドケーブルのセグメントと、第1のケーブル位置12と第2のケーブル位置14との間のシールドケーブル4から形成される一次インダクタ10と、導体によって形成される二次インダクタ16とを備える。図示されている例では、二次インダクタ16は、一次インダクタ10の周囲に同心円状に配置された単純なケーブルからなり、かつ、第1および第2のケーブル接続12および14においてケーブルシース8に電気的に接続されている。一次インダクタ10および二次インダクタ16は、同心で実質的に同軸のソレノイドとして構成されている。補償するように構成するために、2つのソレノイドは相互に逆方向に循環するように配置されている。「逆方向に循環する」の意味を図2bに示し、ここでは、それぞれ2つのソレノイドを流れ、かつ矢印IとIとして示される電流が、相互に反対の回転方向を有していることがわかる。結果として、磁場の方向が反対になる。ソレノイドを適切な寸法にすることによって、結果として生じる磁場は互いに打ち消し合う。
一般に、二次インダクタは、個々の第1および第2のRLCネットワーク部材を介してケーブルシースに電気的に接続されている。図2aに示す例では、両方のRLCネットワーク部材がコンデンサC1およびC2によってそれぞれ構成されている。
第1および第2のRLCネットワーク部材の様々な可能性を図4に示す。
− 図4aでは、第1のRLCネットワーク部材M1はガルバニック接続であり、第2のRLCネットワーク部材M2はコンデンサである。
− 図4bでは、RLCネットワーク部材M1およびM2の両方がコンデンサである。
− 図4cでは、第1のRLCネットワーク部材M1はコンデンサであり、第2のRLCネットワーク部材M2は並列LC部材である。
− 図4dでは、第1のRLCネットワーク部材M1はコンデンサであり、第2のRLCネットワーク部材M2は、別のコンデンサと直列に接続された並列LC部材である。
より複雑な構成が図5に示され、これは、共通のシールドケーブル4内に直列に接続された第1のシース波バリア2aおよび第2のシース波バリア2bを示す。
図6は、非導電性材料で作製されたキャリア構造126を備え、さらに、信号をMRコイル動作周波数で受信および/または放出するための導電性MRコイル128を備える、MR撮像用途のためのコイルアセンブリ124を示す。MRコイルは、キャリア構造126の面に取り付けられ、キャリア構造126の面に沿って延在する。さらに、コイルアセンブリ124は、図示されている例では、3つの磁場プローブ130a、130b、130cを含む。キャリア構造126は、ヒトの頭部への適用に使用され得るようなキャップ様の中空形状を有する。1つのプローブについて図6にも示されているように、個々のRF結合ユニット122cは、図に示されていない外部RFドライバおよび受信機手段に接続可能なRFライン132に接続されている。RFライン132は、上記のタイプのシース波バリア102を備えている。
実施例
同心円状の補償ソレノイド(直径7.9mm、長さ10mm、4巻線)を備えた単純なソレノイドコイル(直径5mm、長さ10mm、10巻線)が設けられた。追加された補償ソレノイドの効果は、
・インダクタンスが154nHから107nHに減少すること、
・Qファクターが209から175に減少すること(同じ周波数に調整した場合)、
・場の強度が3mmの距離で20dB、9mmの距離で35dB減少することである。
補償ケーブルトラップ
補償ケーブルトラップにおいて、中央のインダクタはケーブル自体のシールドから構築される。補償インダクタは、別の配線で構築され、両側が共振コンデンサを介してケーブルシールドに接続されている。ケーブルおよび補償配線は、緊密な公差を確保するために専用のホルダ上に取り付けられている。
コンパクトで、かつほぼ点対称の構造により、他の設計と比較して改善された仕様、即ち、
・縮小サイズと、
・表面電流の良好な減衰(約35dB)と、
・Qファクターが小さいことによる、より広い減衰の周波数スパン(ドリフトおよび公差が発生しにくくなる)と、
・トラップ構造の周りの強い場の減衰に起因した、近傍の物体への結合によるトラップの離調の減少、および隣接するトラップ間の相互結合の減少と、
・外部場(例えば、RF送信場または受信コイルの場)との結合の減少と、
・任意の方向に場の強度の線形勾配を有する外部場との結合の減少(この特徴は、デバイスが点対称である結果得られ、他の設計には存在しない)と、
・他のコイルのすぐ近傍(近距離)での向上した性能と、
・画像符号化勾配場を切り替えることによる渦電流の最小限の誘導と、を提供する。

Claims (15)

  1. 磁気共鳴(MR)撮像または分光装置において電気ケーブル(4)の電磁RF結合現象を所定の抑制周波数(ω)において抑制するためのシース波バリア(2)であって、ケーブルは、少なくとも1つの内部導体(6)と、周方向に取り囲む導電性ケーブルシース(8)とを有するシールドケーブルとして構成されており、前記シース波バリアは、
    シールドケーブルのセグメンと、
    第1のケーブル位置(12)と第2のケーブル位置(14)との間の前記シールドケーブルのセグメントから形成された一次インダクタ(10)と、
    導体によって形成された二次インダクタ(16)であって、前記二次インダクタは、前記第1のケーブル位置と第2のケーブル位置との間に前記一次インダクタ内または前記一次インダクタの周囲に同心円状に配置されている、前記二次インダクタとを備え、
    前記二次インダクタは、個々の第1および第2のRLCネットワーク部材(M1、M2)を介して第1および第2のケーブル接続においてケーブルシースに電気的に接続されており、
    前記一次および二次インダクタは、前記一次および二次インダクタによって生成された磁場がシース波バリアを囲む任意の領域において実質的に打ち消されるように補償するように構成されている、シース波バリア。
  2. 前記抑制周波数において、前記シース波バリアは、前記シールドケーブルのシース波インピーダンスの大きさZ(ω)よりも実質的に大きいトラップインピーダンスの大きさZ(ω)を有する、請求項1に記載のシース波バリア。
  3. 前記一次インダクタおよび前記二次インダクタが各々ソレノイドとして構成され、2つのソレノイドが相互に逆方向に循環するように配置されている、請求項1または2に記載のシース波バリア。
  4. 前記一次インダクタは、第1の巻線数n1および第1のコイル直径d1を有する円筒形ソレノイドとして構成され、前記二次インダクタは、第2の巻線数n2および第2のコイル直径d2を有する円筒形ソレノイドとして構成され、前記第1および第2のコイル直径の比d1/d2は、前記第2および第1の巻線数の比の平方根√(n2/n1)に等しい、請求項3に記載のシース波バリア。
  5. 前記二次インダクタが、中実配線、中空導体、編組導体、またはリッツ線である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシース波バリア。
  6. 前記第1のRLCネットワーク部材(M1)は、第1の静電容量(C1)を有する第1のコンデンサであり、前記第2のRLCネットワーク部材(M2)は、ガルバニック接続であるか、または、第2の静電容量(C2)を有する第2のコンデンサである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシース波バリア。
  7. 前記一次および二次インダクタが、前記第1および第2のRLCネットワーク部材と共に、前記抑制周波数(ω)において、任意選択で、1つまたは複数のさらなる抑制周波数において並列共振回路を形成する、請求項6に記載のシース波バリア。
  8. MR撮像用途のためのコイルアセンブリ(124)であって、
    非導電性材料で作製されたキャリア構造(126)と、
    MRコイル動作周波数で信号を受信および/または放出するための少なくとも1つの導電性MRコイル(128)であって、各コイルは、前記キャリア構造の面に取り付けられ、かつ前記キャリア構造の面に沿って延在する、前記少なくとも1つの導電性MRコイル(128)と、
    前記キャリア構造に取り付けられた少なくとも1つの磁場プローブ(P)(130a、130b、130c)であって、
    長手方向のプローブ軸(Ca、Cb、Cc)に沿って相互に配向され、近位端と遠位端とを有する細長いプローブコンパートメント内の共振領域に位置する核磁気共鳴(NMR)活性物質と、
    プローブRFにおける前記物質のパルスNMR励起のための、かつ前記物質によって生成されたNMR信号を受信するための手段と、を含む、前記少なくとも1つの磁場プローブ(P)(130a、130b、130c)と、を備え、
    前記励起および受信手段は、前記共振領域の周りに配置されたコイル部材を含むとともに、さらに一対の接続リードを含む導電性構造を含み、前記接続リードが、前記コイル部材の個々の端部と前記近位端の近傍に配置されたRF結合ユニット(122c)との間に電気接続を形成し、前記接続リードは、実質的に前記長手方向のプローブ軸に沿って配向され、前記RF結合ユニットは、外部RFドライバおよび受信機手段に接続可能なRFライン(132)に接続するように構成され、
    前記コイルアセンブリは、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の少なくとも1つのシース波バリア(102)をさらに備える、コイルアセンブリ。
  9. 前記シース波バリアが、前記磁場プローブのRFラインを形成するシールドされた電気ケーブル内に配置されている、請求項8に記載のコイルアセンブリ。
  10. 前記シース波バリアが、前記MRコイル動作周波数に実質的に等しい所定の抑制周波数を有する、請求項9に記載のコイルアセンブリ。
  11. 前記シース波バリアが、前記導電性MRコイルのうちの1つのRFラインのシールドされた電気ケーブル内に配置されている、請求項8に記載のコイルアセンブリ。
  12. 前記シース波バリアが、NMRプローブのRF周波数に実質的に等しい所定の抑制周波数を有する、請求項11に記載のコイルアセンブリ。
  13. 物体のMR撮像または分光法を実行するためのMR装置であって、
    a)サンプル領域の磁場方向に沿って主磁場(B)を生成するための磁石手段と、
    b)主磁場に重ね合わされた符号化磁場を生成するための符号化手段と、
    c)MRコイルの動作周波数において無線周波数場を生成するためのRF送信機手段と、
    d)前記符号化手段およびRF送信機手段を動作させて、画像またはスペクトルを形成するためのMRシーケンスに従って、重ね合わされた時間依存の符号化場および無線周波数場を生成するためのドライバ手段と、
    e)物体からのMR信号を取得するための取得手段と、を備え、
    前記MR装置は、前記MR装置のシールドされた電気ケーブル内に配置された請求項1乃至7のいずれか1項に記載の少なくとも1つのシース波バリアをさらに備える、MR装置。
  14. 前記MR装置の1つのシールドされた電気ケーブルの個々のセグメントに直列に配置された2つのシース波バリアを備える、請求項13に記載のMR装置。
  15. 請求項8乃至12のいずれか1項に記載のコイルアセンブリに動作可能に接続されている、請求項13または14に記載のMR装置。
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