JP2021525941A - フッ化物イオン電気化学セル用バリウムドープ複合電極材料 - Google Patents

フッ化物イオン電気化学セル用バリウムドープ複合電極材料 Download PDF

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Abstract

本開示は、コアシェル型ナノ粒子及びヨークシェル型ナノ粒子を製造する方法、並びに該粒子を含む電極に関する。これらコアシェル型ナノ粒子、ヨークシェル型ナノ粒子、及び該粒子を含む電極は、フッ化物シャトル電池等の電気化学セルでの使用に適している。電気化学セル等において、シェルは金属コアの酸化を防止し得る。幾つかの実施形態において、電気化学活性構造体は、寸法変更可能な活物質を含み、この活物質が粒子を形成し、この粒子がフッ化物イオンとの反応時又はフッ化物イオン放出時に膨張又は収縮する。1つ以上の粒子の少なくとも一部がフッ化物伝導性カプセル材で包囲されており、任意に、犠牲層を使用するか選択的エッチングを行うことによって、活物質とカプセル材の間に1つ以上の隙間を形成する。フッ化物伝導性カプセル材は、1又は複数の金属を有してよい。電気化学活性構造体を二次電池に使用する場合、隙間の存在によって活物質の寸法の変化に対応することができる。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第62/434,611号(2016年12月15日出願、発明の名称「フッ化物イオン電気化学セル用複合電極材料」)と米国特許出願第62/453,295号(2017年2月1日出願、発明の名称「コアシェル」)との優先権を主張する、米国特許出願第15/844,079号(2017年12月15日出願、発明の名称「フッ化物イオン電気化学セル用複合電極材料」)の一部継続出願である米国特許出願第16/013,739号(2018年6月20日出願、発明の名称「フッ化物電気化学セル用バリウムドープ複合電極材料」)の優先権を主張するものである。さらに、米国特許出願第16/013,739号は、米国特許出願第62/676,693号(2018年5月25日出願、発明の名称「フッ化物イオン電気化学セル用複合電極材料」)の優先権を主張するものであり、本出願もまた米国特許出願第62/676,693号の優先権を主張するものである。ここにおける参照により上記米国特許出願の内容全体を援用する。
本開示は電気化学活物質に関し、特に、電池性能を改善するための特定の構造及び組成を有する電極材料を含むフッ化物イオン電池システムに関する。より具体的には、本開示はコアシェル型ナノ粒子、その製造方法、及びその電気化学セルでの使用に関する。
金属ナノ粒子は、触媒や電池電極材料としての使用等、多くの用途に非常に好適である。しかしながら、金属ナノ粒子の使用はシステム駆動条件その他の要因によって制限される場合がある。例えば、リチウムイオン電池の代替物としてフッ化物シャトル電池への関心が高まっている。しかし、フッ化物シャトル電池の電極に使用できると考えられる多くの材料がその駆動条件において劣化するため、フッ化物シャトル電池システムに使用可能な材料は限られている。
フッ化物イオン電池は、フッ化物媒介電極反応(即ち、しばしば変換反応を経る、充電又は放電中の電極でのフッ化物イオンの受容又は放出)によって駆動する電気化学セルである。このような電気化学セルは、リチウム電池やリチウムイオン電池と比較して、高エネルギー密度、低コスト、及び/又は高安全性を実現し得る。例えば、ポターニン(Potanin)の米国特許第7,722,993号明細書は、固体状態のフッ化物イオンシステムを示している。当該米国特許には、アノード及びカソードがフッ化物伝導性固体電解質と接触しており、充放電サイクル中にこれら電極間でフッ化物イオンが可逆的に交換される、二次電気化学セルの実施形態が記載されている。また、La、Ce、又はその化合物のフッ化物と、合金化添加物とを含有する固体電解質が記載されている。合金化添加物としては、アルカリ土類金属フッ化物(CaF2、SrF2、BaF2等)、及び/又はアルカリ金属フッ化物(LiF、KF、NaF等)、及び/又はアルカリ金属塩化物(LiCl、KCl、NaCl等)や、様々な他のフッ化化合物等が記載されている。しかしながら、この固体電解質の伝導性は限られているため、このような電気化学セルは室温を超える温度(例えば150℃)でのみ有用である。
液体電解質の使用が可能なフッ化物イオン系電気化学システムを提供する努力もなされてきた。例えば、ウェイス(Weiss)らの米国特許出願公開第2011−0143219号明細書及びダロレス(Darolles)らの米国特許第9,166,249号明細書は、電解質中で少なくとも一部が溶解する溶剤含有型フッ化物塩を含む、特定のフッ化物イオン電池構造を開示している。
しかしながら、多くの用途においては、この電極材料は液体電解質との化学反応性が非常に高く、この液体電解質系は高放電駆動及び/又は大容量駆動において十分な信頼性を示さない。
本開示の複数の形態についての基本的理解を確立するために、以下、概要を簡単に説明する。この概要は、想定される全ての形態を広範囲に包含するわけではなく、全ての形態の鍵となる要素又は臨界的な要素を特定したり、いずれかの形態又は全ての形態の範囲を詳細に説明することを意図したものでもない。後述する詳細な説明の前置きとして、複数の形態の幾つかの概念を単純化して示すことを目的としている。
いくつかの実施形態において、本開示は、活物質を含有するコアと、該活物質の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルとを備え、該フッ化物含有シェルは第1金属と第2金属とを有し、該第1金属はバリウムである、電気化学活性構造体に関する。
いくつかの実施形態において、本開示は、被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法であって、a)水/金属ナノ粒子混合物を準備する工程と、b)水/金属ナノ粒子混合物を不活性雰囲気に曝す工程と、c)金属ナノ粒子コアの周囲にフッ化物含有シェルを形成する工程と、を含み、該フッ化物含有シェルは第1金属と第2金属とを有し、該第1金属はバリウムである、製造方法に関する。
いくつかの実施形態において、本開示は、銅ナノ粒子を有するコアと、前記銅ナノ粒子の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、を備える電極であって、前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記フッ化物含有シェルは、バリウムとランタンをx:1−xの比で含む、電極に関する。
いくつかの実施形態において、本開示は、活物質を含有するコアと、前記活物質の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、を備える電気化学活性構造体であって、前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属は、2価又は4価の金属カチオンである、電気化学活性構造体に関する。
以下の詳細な説明によって、本発明のこれらの形態及び他の形態について、より完全な理解が可能となる。
図1Aは、金属ナノ粒子を含有するコアと、金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物を含有するシェルとを有する、本開示の一形態によるコアシェル型ナノ粒子の断面を示す図である。 図1Bは、犠牲無機中間層を用いてヨークシェル型複合材料を調製する際の製造ルートの概要を示す図である。 図1Cは、犠牲ポリマー中間層を用いてヨークシェル型複合材料を調製する際の製造ルートを示す図である。 図1Dは、犠牲中間層を用いずにヨークシェル型複合材料を調製する際の代替ルートを説明する図である。 図1Eは、犠牲材料の表面上で活物質のナノ粒子を成長させる、ヨークシェル型複合材料の犠牲合成の変形例を示す図である。 図1Fは、事前に形成した犠牲材料の内部構造又は細孔中での活物質の成長の概要を示す図である。 図1Gは、対象の電気化学反応電位において電気化学的に不活性なシェル成分を選択した場合の、事前に形成した犠牲材料の内部構造又は細孔中での活物質の成長の概要を示す図である。 図2は、本開示の一形態によるフッ化物イオン電気化学セルを示す概略図である。 図3は、シェルを有さない比較例1の単離銅ナノ粒子の、合成・単離直後(製造時)のXRDスペクトルを示す図である。 図4は、シェルを有さない比較例1の単離銅ナノ粒子の、製造時、4日間空気に曝した後、及び9日間空気に曝した後のXRDスペクトルを重ねて示す図である。 図5は、本開示の一形態による実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子の、合成時のXRDスペクトルを示す図である。 図6は、実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子の、9日間空気に曝した後、16日間空気に曝した後、及び23日間空気に曝した後のXRDスペクトルを重ねて示す図である。 図7Aは、実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子(製造時)の透過型電子顕微鏡像(TEM像)を示す図である。 図7Bは、実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子(製造時)の透過型電子顕微鏡像(TEM像)を示す図である。 図8Aは、実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子の、Cu(コア)領域及びLaF3(シェル)領域の高分解能TEM像を示す図である。 図8Bは、このナノ粒子のズームアウト像を示す図である。 図8Cは、このナノ粒子のズームアウト像を示す図である。 図9は、負極(アノード)の活物質として実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子を含む、本開示の一形態によるフッ化物イオン電気化学セルを示す概要図である。 図10Aは、電極活物質として実験例1のCu−LaF3コアシェル型ナノ粒子を含む、本開示の一形態による半セル電池の電気化学的試験において、比容量の関数として電圧をプロットした図である。 図10Bは、図10Aに示す半セル電池試験において、初期、放電後、及び充電後に測定した、電極のX線回折スペクトルである。 図11は、比較例2のナノ粒子の、合成時のXRDスペクトルを示す図である。 図12は、比較例2のナノ粒子の、8日間空気に曝した後、15日間空気に曝した後、及び22日間空気に曝した後のXRDスペクトルを重ねて示す図である。 図13は、銅ナノ粒子の一部がLaF3で不均一に被覆されており、LaF3と銅ナノ粒子は結合していない、比較例2のナノ粒子のTEM像である。 図14は、LaF3/Cu薄膜構造、Cu薄膜構造、及びサイクリックボルタンメトリーデータを示す図である。 図15Aは、LaF3/Cu2層薄膜のサイクリックボルタンメトリー図である。 図15Bは、図15Aに示す電圧1及び2における、様々なエッチング時間でのC、La、O、F、及びCuのX線光電子分光(XPS)データを示す図である。 図15Cは、図15Aに示す電圧1及び2における、様々なエッチング時間でのC、La、O、F、及びCuのX線光電子分光(XPS)データを示す図である。 図16は、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@LaF3及びCu@BaxLa1-x3-xナノ粒子の概略図である。 図17Aは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の例を示す。 図17Bは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97の透過型電子顕微鏡(TEM)画像の例を示す。 図17Cは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97の透過型電子顕微鏡(TEM)画像の例を示す。 図17Dは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97のエネルギー分散型X線(EDX)画像の例を示す。 図17Eは、成分Cuのイメージマップを示す。 図17Fは、成分Fのイメージマップを示す。 図17Gは、成分Laのイメージマップを示す。 図17Hは、成分Baのイメージマップを示す。 図18Aは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示す。 図18Bは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示す。 図18Cは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示す。 図18Dは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@La0.97Ba0.032.97のX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示す。 図19は、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@LaF3及びCu@La0.97Ba0.032.97のXRDスペクトルを示す。 図20Aは、本開示のいくつかの態様に係る、Ag/Ag+参照電極と比較した、Cu@LaF3電極又はCu@BaxLa1-x3-x電極の第1の充電−放電サイクルの電圧プロファイルを示す。 図20Bは、本開示のいくつかの態様に係る、Cu@LaF3及びCu@La0.97Ba0.032.97について達成された容量の比較を示す。 図20Cは、本開示のいくつかの態様に係る、初期状態及び最初の充電後及びそれに続く最初の放電後のCu@La0.97Ba0.032.97のXRDスペクトルを示す。 図20Dは、本開示のいくつかの態様に係る、初期状態及び最初の充電後及びそれに続く最初の放電後のCu@LaF3のXRDスペクトルを示す。
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すことは意図されていない。詳細な説明には、さまざまな概念を完全に理解できるようにするための具体的な要素が含まれている。しかしながら、これらの概念がこれらの特定の要素無しに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念が不明瞭にならないように、よく知られている要素がブロック図の形式で示される。
本開示は、概して、電気化学活物質に関し、また電池性能を改善するために適した構造及び組成を有する電極材料を含むフッ化物イオン電池システムに関する。幾つかの実施形態において、本開示はコアシェル型ナノ粒子、該コアシェル型ナノ粒子を含む装置、該コアシェル型ナノ粒子の製造方法及び使用方法、並びに該コアシェル型ナノ粒子を含む装置に関する。
フッ化物イオン電荷担体、電極活物質、及び適当な液体電解質を用いた電池等の一次電気化学セル及び二次電気化学セルは、従来のリチウム電池及びリチウムイオン電池の代替物となり得る。このようなフッ化物イオン電池(FIB)システムは、少なくとも電気化学セルの電荷担体としてフッ化物アニオンを利用し、液体電解質中でフッ化物アニオンを移動させ、室温でも駆動できる。FIBシステムはアノード及びカソードを有し、これらアノード及びカソードは物理的に互いに分離されているが、通常はフッ化物イオン伝導性電解質と共通に接触している。通常、アノードは低電位の元素又は化合物であり、金属、金属フッ化物、又はインターカレーション組成物であってよい。同様に、カソードは元素又は組成物であってよく、アノードよりも高電位の金属、金属フッ化物、又はインターカレーション組成物であってよい。フッ化物伝導性電解質中のフッ化物イオン(F-)は、以下のとおり、電池の放電中にカソードからアノードへ移動し、充電中にアノードからカソードへ移動する。
放電:
アノード:MFx+nF-→MFx+n+ne-(フッ化物イオン受容、酸化)
カソード:MFy+ne-→MFy-n+nF-(フッ化物イオン放出、還元)
充電中は逆反応が進行する。
例えば、Ca及びCuは共に金属フッ化物を形成可能であり、これら金属間のフッ化物アニオン移動に基づくFIBセル反応は以下のとおりであってよい。
放電:Ca+CuF2→CaF2+Cu
充電:CaF2+Cu→Ca+CuF2
FIB電極を長期にわたって高い安定性及び信頼性で繰り返し使用するためには、2つの主要な課題が存在する。第1に、上記電気化学反応の可逆性は、金属又は金属フッ化物の活物質をナノサイズ化したとき(即ち、粒子寸法の少なくとも1つを1μm未満としたとき)に達成される。しかしながら、このような小さな粒子は表面エネルギーが高く、電解質成分(例えばF-)との反応性が高く、自己放電を伴う望ましくない副反応(即ち、M+nF-→MFn等の電流を生じない化学反応)を引き起こすことが多い。活物質粒子を封入しながらも、所望の時点(即ち、電気化学的な充電時又は放電時)ではF-イオンが通過できる、コーティング、シェル、層等を形成する必要がある。このようなカプセル材を使用することで、活物質が副反応を引き起こさないよう保護し、長期にわたって繰り返し使用した際に高い安定性を示す電極材料を得ることが可能である。
第2に、上記のような電気化学反応は変換プロセスであり、このプロセス中に金属又は金属フッ化物の構造が破壊され改質される。この変換プロセスの結果、下記表1の例に示すように、充電状態と放電状態とで活物質の体積が有意に変化する。
Figure 2021525941
このように体積変化が大きく、ある充電状態の粒子は必ずしも他の充電状態の粒子と共形(コンフォーマル)ではないため、FIB電極材料粒子を封入する共形保護コーティングの有用性は限られている。電極活物質が電解質と副反応を引き起こさないように保護しながらカプセル材中のイオン伝導を可能とする組成及びプロセスであって、カプセル材中に十分な空間が存在し、且つ/或いはカプセル材が膨張/収縮特性を有し、そのため活物質と電解質が直接接触するのを防ぎつつ充放電中の活物質の体積変化を許容し得る組成及びプロセスが必要である。幾つかの実施形態においては、十分な隙間空間が存在しなくてもよい。以下、このような組成及びその調製の概要を説明する。
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、当業者によって理解されるように、「に近い」ということを意味する。非限定的な一実施形態では、用語「約」は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
図1Aに示すように、幾つかの実施形態において、コアシェル型ナノ粒子は、金属又は金属合金(Me)を含有するコアと、金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物を含有するシェルとを有する。コアの金属は金属ハロゲン化物シェルの金属と同じであってよい。幾つかの実施形態において、コアの金属と金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物を含むシェルの金属とは、異なる金属であってよい。いくつかの実施形態において、金属ハロゲン化物を含むシェルは、それ自体が2つの金属を含んでもよい。本開示のコアシェル型ナノ粒子は様々な方法及び用途に適用できる。このような方法及び用途としては、電気化学セル(図2に示すフッ化物シャトル電池等)に用いられる電極が挙げられるが、これに限定されない。
コアを形成する金属又は金属合金としては、鉄ナノ粒子、コバルトナノ粒子、ニッケルナノ粒子、銅ナノ粒子、鉛ナノ粒子、アルカリ土類金属ナノ粒子等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい一実施形態において、この金属ナノ粒子はコバルトナノ粒子及び銅ナノ粒子からなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、金属ナノ粒子は銅ナノ粒子である。コアを形成する金属は、金属前駆体溶液を還元剤と混合して金属ナノ粒子を形成することによって合成できる。
幾つかの実施形態において、コアを形成する金属ナノ粒子を安定化剤の存在下で合成してよい。この安定化剤は、合成中の金属ナノ粒子の酸化を防止又は阻害し、且つ金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物のシェルを形成する前に容易に金属ナノ粒子から除去できる。例えば、ポリビニルピロリドン(分子量55,000g/mol)等のかさ高いポリマーは、金属ナノ粒子合成中に該粒子の酸化を阻害する。しかしながら、この安定化剤は金属ナノ粒子から容易には除去できない。特定の理論に限定されるわけではないが、残留した安定化剤が、金属ナノ粒子のコアと金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物のシェルとの間に、所望のシステム中でのコアシェル型ナノ粒子の性能を劣化させる新たな層を形成する場合がある。例えば、Fシャトル電池中でコアシェル型ナノ粒子からなる電極材料の伝導性を維持することが望ましい。しかしながら、コアシェル型材料において、残留安定化剤の層がコアとシェルの間に形成されると、電極材料間の空間が大きくなることが多く、残留安定化剤の層及び/又は当該空間によってコアシェル型材料の伝導性が低下し得る。特定の理論に結び付ける意図はないが、安定化剤の層が、フッ化物イオンを伝導するためのコアとシェルの接触を妨げる場合がある。安定化剤が存在しない場合、コアからシェルへのフッ化物イオン伝導の頻度が改善され得る。
従って、コアを形成する金属ナノ粒子を合成する際に使用される安定化剤は、金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物のシェルをコア上に直接形成する前に容易に除去可能であって、最低限の量だけがコア表面に残留するものである。非限定的な一例において、金属ナノ粒子の合成に使用可能な1種以上の安定化剤は、1000g/mol未満の分子量(個別の分子量又は重量平均分子量)を有し、任意に500g/mol未満、375g/mol未満、又は350g/mol未満の分子量を有する。具体例としては、分子量364g/molの臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)、分子量192g/molのクエン酸、これらの混合物等が挙げられる。
幾つかの実施形態において、コアを形成する単離金属ナノ粒子を、例えば金属ハロゲン化物シェルをコア上に形成するための金属塩溶液及びハロゲン化物塩溶液と混合することによって、コアシェル型ナノ粒子のシェルを形成してよい。図1Aに示すように、金属コア上にシェルを直接配置し、シェルによってコア全体を包囲してよい。幾つかの実施形態において、シェルの形成に用いる金属塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び遷移金属塩からなる群から選択される。ある実施形態において、シェルの形成に用いる金属塩は遷移金属塩である。ある実施形態において、シェルの形成に用いる金属塩はランタン塩、セリウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される。ある実施形態において、シェルの形成に用いる金属塩はランタン塩及びセリウム塩からなる群から選択される。ある実施形態において、当該金属塩はランタン塩である。好ましい一実施形態において、このランタン塩は硝酸ランタンである。幾つかの実施形態において、ハロゲン化物塩はフッ化ナトリウムである。非限定的な一例において、シェルは、CeF3、CeOF、LaOF、LaF3等の金属フッ化物又は金属オキシフッ化物を含む。
いくつかの実施形態では、金属塩溶液は2つの金属塩を含む。このようないくつかの実施形態では、2つの金属塩のうちの1つはバリウム塩である。いくつかの実施形態では、金属塩溶液は、バリウム塩及びランタン塩を含む。いくつかの実施形態では、金属塩溶液は、硝酸バリウム及び硝酸ランタンを含む。いくつかの実施形態では、金属塩溶液は、硝酸バリウムと硝酸ランタンを約1:10の比率で含む。
他の実施形態において、コア(又は電極活物質)は、隙間空間によってシェル(又はカプセル材)から分離されていてよい。このような実施形態の組成及びプロセスは、電極活物質が電解質と副反応を引き起こさないように保護し、カプセル材中のイオン伝導を可能とするものであって、カプセル材中に十分な空間が存在し、且つ/或いはカプセル材が膨張/収縮特性を有し、そのため活物質と電解質が直接接触するのを防ぎつつ充放電中の活物質の体積変化を許容し得るものであってよい。
本明細書において、「コア」及び「電極活物質」という語は互いに交換可能である。同様に、「シェル」及び「カプセル材」という語は互いに交換可能である。
他の実施形態において、本開示は、上記コアシェル型ナノ粒子を備える電極に関する。コアシェル型ナノ粒子及びその製造方法について記載した全ての実施形態は、この電極に対しても同様に有効である。非限定的な一例において、電極はFシャトル電池システムの一部である。
いくつかの実施形態において、本発明は、活物質を含有するコアと、前記活物質の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、を備える電気化学活性構造体であって、前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属はバリウムである、電気化学活性構造体に関する。前述の実施形態に関して記載された全ての態様は、本実施形態に等しく適用され、またその逆も同様である。
いくつかの態様において、前記活物質は、鉄ナノ粒子、コバルトナノ粒子、ニッケルナノ粒子、銅ナノ粒子、鉛ナノ粒子、及びアルカリ土類金属ナノ粒子から選択された金属ナノ粒子を含む。
いくつかの態様において、前記活物質は銅ナノ粒子を含む。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルは前記コアに直接付着している。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルは前記コアから離れており、前記フッ化物含有シェルと前記コアとの間に隙間が形成されている。
いくつかの態様において、前記第2金属はランタンである。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記バリウムと前記ランタンはx:1−xの比で存在する。
いくつかの態様において、xは約0.03から約0.15である。
いくつかの態様において、xは約0.03である。
いくつかの実施形態において、本発明は、被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法であって、該製造方法は、a)水/金属ナノ粒子混合物を準備する工程と、b)前記水/金属ナノ粒子混合物を不活性雰囲気に曝す工程と、c)金属ナノ粒子コアの周囲にフッ化物含有シェルを形成する工程と、を含み、前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属はバリウムである、被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法に関する。前述の実施形態に関して説明された全ての態様は、等しい効力で本実施形態に適用され、逆も同様である。
いくつかの態様において、前記金属ナノ粒子は、鉄ナノ粒子、コバルトナノ粒子、ニッケルナノ粒子、銅ナノ粒子、鉛ナノ粒子、又はアルカリ土類金属ナノ粒子を含む。
いくつかの態様において、前記金属ナノ粒子は銅ナノ粒子を含む。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルは前記コアに直接付着している。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルは前記コアから離れており、前記フッ化物含有シェルと前記コアとの間に隙間が形成されている。
いくつかの態様において、前記第2金属はランタンである。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記バリウムと前記ランタンはx:1−xの比で存在する。
いくつかの態様において、xは約0.03から約0.15である。
いくつかの態様において、前記フッ化物含有シェルを形成する前記工程は、第1金属塩と第2金属塩とフッ化物含有塩とを前記水/金属ナノ粒子混合物に加え、前記金属ナノ粒子コアの周囲にフッ化物含有シェルを形成する工程を含み、前記第1金属はバリウム塩である。
いくつかの態様において、前記第2金属はランタン塩である。
いくつかの態様において、前記第1金属塩は硝酸バリウムであり、前記第2金属塩は硝酸ランタンである。
いくつかの態様において、前記硝酸バリウムと前記硝酸ランタンは、約1:10のモル比で使用される。
いくつかの実施形態において、本発明は、銅ナノ粒子を有するコアと、前記銅ナノ粒子の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、を備える電極であって、前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記フッ化物含有シェルは、バリウムとランタンをx:1−xの比で含む、電極に関する。前述の実施形態に関して説明された全ての態様は、等しい効力で本実施形態に適用され、逆も同様である。
いくつかの態様において、xは約0.03から約0.15である。
いくつかの態様において、本発明は、上記電極と液体電解質とを備えるフッ化物シャトル電池に関する。
いくつかの実施形態において、本発明は、活物質を含有するコアと、前記活物質の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、を備える電気化学活性構造体であって、前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属は、2価又は4価の金属カチオンである、電気化学活性構造体に関する。前述の実施形態に関して説明された全ての態様は、等しい効力で本実施形態に適用され、逆も同様である。フッ化物含有シェルは、バリウム(即ち、バリウムでドーピングされたシェルを作製するため)或いは任意の可能な2価又は4価金属カチオン(即ち、2価金属カチオンでドーピングされたシェル又は4価金属カチオンでドーピングされたシェルを作製するため)でドーピングされてよい。即ち、ドーピングはバリウムのドーピングに限定されない。
「不活性雰囲気」は、酸素を少量のみ含むか全く含まず、不活性又は非反応性のガス或いは反応前に高い閾値を有するガスを含む、ガス状混合物を表す。不活性雰囲気は分子性窒素、アルゴン等の不活性ガス、又はこれらの混合物であってよいが、これらに限定されない。
「還元剤」は、他の物質を還元し、自身は酸化される物質である。「還元」はある化学種が電子を獲得することを表し、「酸化」はある化学種が電子を失うことを表す。
「金属塩」は、カチオンが正電荷を持つ金属イオンであり、且つアニオンが負電荷を持つイオンである、イオン複合体である。「カチオン」は正電荷を持つイオンであり、「アニオン」は負電荷を持つイオンである。本開示の金属塩において、アニオンは負電荷を持ついかなる化学種であってもよい。本開示の金属塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、アルミニウム塩、ポスト遷移金属塩、これらの水和物等が挙げられるが、これらに限定されない。
「アルカリ金属塩」は、金属イオンがアルカリ金属或いは元素周期表の第I族の金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等)のイオンである、金属塩である。
「アルカリ土類金属塩」は、金属イオンがアルカリ土類金属イオン或いは元素周期表の第II族の金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等)のイオンである、金属塩である。
「遷移金属塩」は、金属イオンが遷移金属或いは元素周期表のdブロックの金属(ランタニド類及びアクチニド類を含む)のイオンである、金属塩である。遷移金属塩としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム等の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
「ポスト遷移金属塩」は、金属イオンがポスト遷移金属(ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム等)のイオンである、金属塩である。
「ハロゲン化物塩」は、アニオンがハロゲン化物イオンである、イオン複合体である。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、及びヨウ化物イオンが挙げられるが、これらに限定されない。「フッ化物塩」は、アニオンがフッ化物イオンである、イオン複合体である。本開示では、ハロゲン化物塩又はフッ化物塩のカチオンは、正電荷を持ついかなる化学種であってもよい。
「金属フッ化物」は、カチオンが1又は複数の金属イオンであり、且つアニオンがフッ化物イオンである、イオン複合体である。本開示の幾つかの実施形態では、金属塩とフッ化物塩が反応して、金属ナノ粒子コア周辺に金属フッ化物シェルを形成する。同様に、「金属ハロゲン化物」は、カチオンが1又は複数の金属イオンであり、且つアニオンがハロゲン化物イオンである、イオン複合体である。
「フッ化物含有塩」は、アニオンがフッ化物イオンを含むが、フッ化物イオンのみでなくてよい、イオン複合体である。フッ化物含有塩としては、アニオンがフッ化物を含み、他のイオン又は原子と複合化しているイオン複合体等が挙げられる。本開示の実施形態において好適なフッ化物含有塩は、本技術分野の当業者に公知のものであってよく、フッ化物塩、非金属フルオロアニオン(テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩等)、オキシフッ化物塩等が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の幾つかの実施形態において、フッ化物含有塩は、第4級アンモニウムフッ化物塩、フッ素化有機化合物等であってよい。本開示の幾つかの実施形態においては、金属塩とフッ化物含有塩が反応し、金属ナノ粒子コア周辺にフッ化物含有シェルを形成する。
「電極」は電解質及び外部回路との間でイオン及び電子を交換する導電体を表す。「正極」及び「カソード」は本明細書において同義であり、電気化学セル中で電極電位が高いほうの電極(即ち、負極よりも高い電極電位を示す電極)を表す。「負極」及び「アノード」は本明細書において同義であり、電気化学セル中で電極電位が低いほうの電極(即ち、正極よりも低い電極電位を示す電極)を表す。カソード還元はある化学種が電子を獲得することを表し、アノード酸化はある化学種が電子を失うことを表す。本発明の正極及び負極は、電気化学及び電池科学の分野で知られている、有用な構造及び形状を有してよい。例えば、薄膜電極構造のような薄型電極構造等を有してよい。電極は、公知の方法、例えば米国特許第4,052,539号明細書やOxtoby et al., Principles of Modern Chemistry (1999), pp. 401−443に開示されている方法によって、製造される。
「電気化学セル」は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するか、或いは逆に電気エネルギーを化学エネルギーに変換する、装置及び/又は装置構成要素を表す。電気化学セルは2つ以上の電極(例えば正極及び負極)と電解質とを有し、電極表面での電極反応によって電荷移動プロセスが起こる。電気化学セルとしては、一次電池、二次電池、電解システム等が挙げられ、これらに限定されない。一般的なセル及び/又は電池の構造は本技術分野において公知である(例えば、Oxtoby et al., Principles of Modern Chemistry (1999), pp. 401−443参照)。
「電解質」はイオン伝導体を表し、固体状態、液体状態(最も一般的)、或いは稀に気体状態(プラズマ等)であってよい。
I.金属のコアと金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物のシェルとを有するコアシェル型ナノ粒子
一実施形態において、コアシェル型ナノ粒子は、金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物のシェルによって包囲された金属コアを有する。
ある具体例では、コアシェル型ナノ粒子は、Fシャトル電池等の充電式電池の電極に含まれる。例えば、Fシャトル電池の電極における金属は望ましくない金属の酸化や溶解が起こる条件に曝されるため、Fシャトル電池の電極に金属ナノ粒子を使用することは困難である。従って、金属ナノ粒子の所望の性能を維持しながら、電極の環境から金属コアナノ粒子を保護するために適合させた、ハロゲン化物シェルを形成する。非限定的な一例において、コアは銅金属を含有してよく、シェルはLaF3を含有してよい。他の非限定的な一例において、コアは銅金属を含有してよく、シェルはBaxLa1-x3-xを含有してよい。
コアシェル型ナノ粒子の製造方法では、金属ナノ粒子及び還元剤を含む第1の混合物を調製し、この第1の混合物を1又は複数の金属塩及びハロゲン化物塩を含む溶液と混合して、金属ナノ粒子上に金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物のシェルを形成してよい。非限定的な一例において、該溶液は、1つの金属塩及び1つのハロゲン化物塩を含む。他の非限定的な一例において、該溶液は、2つの金属塩及び1つのハロゲン化物塩を含む。ある例においては、該2つの金属塩のうちの1つは、バリウム塩である。他の例においては、該2つの金属塩は、バリウム塩とランタン塩である。
I(a)金属コアの合成及び単離
通常、金属コアとして用いられる金属ナノ粒子は、1種以上の安定化剤の存在下、金属塩溶液を還元剤と反応させることによって合成できる。ある具体例では、金属塩溶液は、金属塩として硝酸銅(II)ヘミペンタ水和物(Cu(NO32・2.5H2O)を含む。金属塩をCTAB及び水と混合し、例えばアンモニウム又は水酸化ナトリウムを用いて、この混合物のpHを約10〜11に調整してよい。
還元剤を金属塩溶液に添加する前に、該還元剤を1種以上の安定化剤及び水と混合してもよく、金属塩溶液と組み合わせる前に、例えば20分間混合してもよい。還元剤は、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、硫酸鉄(II)、塩化スズ(II)、ヨウ化カリウム、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、チオ硫酸塩、ジチオン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、及び次亜リン酸塩からなる群から選択される。好ましい一実施形態において、還元剤はヒドラジンである。
金属塩溶液及び還元剤を組み合わせて金属ナノ粒子を形成する金属ナノ粒子の合成は、酸素を含まない雰囲気中で行う。酸素を含まない雰囲気の具体例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、これらの混合物の雰囲気等が挙げられるが、これに限定されない。合成の後、合成溶液から金属ナノ粒子を単離する。なお、金属ナノ粒子を単離する方法は限定されず、ろ過、デカンテーション、遠心分離等の1以上の技術を含んでよい。エタノール等の溶媒を用いて金属ナノ粒子を1回以上洗浄し、残留する安定化剤や他の有機物質を粒子表面から除去してもよい。
I(b)シェルの形成
通常、酸素を含まない雰囲気下、単離した金属ナノ粒子を、更なる還元剤を含有する水溶液中に再分散させてよい。その後、酸素を含まない雰囲気下、単離金属ナノ粒子と還元剤を含む混合物を、金属ナノ粒子コア上に金属ハロゲン化物シェルを形成するための金属塩溶液及びハロゲン化物塩溶液と混合する。シェルを形成するための金属塩溶液及びフッ化物塩溶液は、ナノ粒子混合物に順次添加してよく、或いは同時にナノ粒子混合物に添加してもよい。一実施形態では、該金属塩溶液は、単一の金属塩を含む。他の実施形態では、該金属塩溶液は、2つの金属塩を含む。他の実施形態では、該金属塩溶液は、バリウム塩を含む。他の実施形態では、該金属塩溶液は、バリウム塩とランタン塩を含む。他の実施形態では、該金属塩溶液は、硝酸バリウムと硝酸ランタンを含む。他の実施形態では、該金属塩溶液は、硝酸バリウムと硝酸ランタンを約1:10の比で含む。
II.ヨークシェル型ナノ粒子
(i)フッ化物イオン伝導性保護コーティング
有用なカプセル化保護コーティングとしては、FIB液体電解質の存在下で化学的及び電気化学的に安定なフッ化物イオン伝導相等が挙げられる。このような相は電解質と活物質の間のF-交換を可能にする。本技術分野では適当な相が知られており、例えば、「The CRC Handbook of Solid State Electrochemistry」, Chapter 6 (CRC, 1997, P. J. Gellings and H. J. M. Bouwmeester, Eds.), Sorokin and Sobolev, Crystallography Reports 2007, 52, 5, 842−863、Sobolev et. al., Crystallography Reports 2005, 50, 3, 478−485、Trnovcova et. al., Russian Journal of Electrochemistry, 2009, 45, 6, 630−639等に記載されている。このような相の例としては、結晶相(LaF3、CaF2、SnF2、PbF2、PbSnF4等)、類似のドープ相及び/又は固溶体相(La0.9Ba0.12.9、Ca0.80.22.2、Ca0.5Ba0.52、Pb0.75Bi0.252.25等)、ガラス相(35InF3・30SnF2・35PbF2等)、フッ化物/他のアニオンの混合相(LaOF等)等が挙げられる。本開示の目的において、電解質と活物質の間のF-交換を許容し、バルクイオン伝導性が298Kで10−10S/cmを超える物質や相が、本発明の範囲に含まれる。このような相は、シェル成分の標準酸化還元電位及び通常のテキストで得られる内部化学種を考慮して、コーティング中の化学種の反応に要する電位において電気化学的に安定な成分を含有するように選択される。コーティング成分の選択については、より詳細には図1Gの例を参照されたい。
代替となる保護コーティングとしては、フッ化物イオン伝導性を有するポリマー等が挙げられる。このようなポリマーの例としては、ボロン酸官能化ポリマー、アルキルアンモニウム官能化ポリマー、適当な官能基を有するポリマー、例えばGorski et.al., Anal. Chim. Acta 2009, 633, 181−187やGorski, et al., Anal. Chim. Acta 2010, 665, 39−46に記載のもの等が挙げられる。
保護コーティングの厚さは、電解質と活物質の間のF-交換が、電気化学セルの充放電が298K周辺で適当な駆動率(例えば、フル充電又は1時間で電気化学セルに貯蔵されたエネルギーの放電に対応するC−rate)で達成でき、且つこの充放電がコーティングの物質又は相のイオン伝導性に依存するような時間スケールで起こるように、選択される。例えば、LaF3又はBaxLa1-x3-xコーティングの厚さは、1〜200nmであるのが最も有用である(例えば、約5nm〜約20nmの範囲、該範囲の任意の整数値、該範囲内の部分的な範囲等)。より一般的には、コーティングの厚さは約1nm〜約1μmであってよい。
コーティングは、いかなる適当な合成方法で調製してもよい。その例としては、溶液化学的手法(フッ化物又はその前駆体を含有する溶液から固体を沈殿させることによるコーティング形成等)、ゾルゲル法又は他のソフト化学(chimie douce)的手法、水熱合成法、真空法(化学蒸着法、物理蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法等)、電気化学析出法、析出させた物質をフッ素源と反応させてフッ素化する方法等が挙げられる。例えば、LaF3コーティングを調製するために好ましい方法の1つは、Rudiger and Kemnitz, Dalton Trans., 2008, 1117−1127及びFujihara et al., J. Ceram. Soc. Japan, 1998, 106, 124−126に記載の方法に類似の、適当な溶媒中で可溶性のランタン源及びフッ素源を用いるゾルゲル合成法である(例えば、水中でLa(CH3COO)3及びCF3COOHを用いる方法)。任意に、調製したコーティングを、空気中又は不活性ガス(Ar等)中で高温処理し、アニール工程を行ってもよい。例えば、ゾルゲル法で調製したLaF3コーティングを空気中で500℃に熱し、該コーティングをアニールし、溶媒等の不純物を除去してもよい。このように、前駆体物質、その化学量論比、及びポスト初期反応アニール工程を調整することによって、所望のフッ化物伝導性コーティング相を合成してよい。このLaF3コーティングのゾル−ゲル合成はまた、当技術分野の当業者に知られている方法によって、BaxLa1-x3-xのコーティングを調製するために修正されてもよい。
他の例では、コア物質ナノ粒子が懸濁したLa(NO33水溶液に、NH4Fをゆっくり添加することによって、沈殿からLaF3コーティングを得ることができる。LaF3は水への溶解性が極めて低いため、LaF3の結晶化は懸濁したナノ粒子の表面で開始されると考えられる。また、LaF3コーティングの析出法は、当技術分野の当業者に知られている方法により、BaxLa1-x3-xのコーティングを調製するために修正されてもよい。
或いは、ゾルゲル法によるアプローチでLa23コーティングを調製し、その後にF2又はHFを用いてポストフッ素化を行い、酸化物の大部分をLaOF及び/又はLaF3に変換することも可能である。このゾル−ゲルアプローチは、当技術分野の当業者に知られている方法により、BaxLa1-x3-xのコーティングを調製するためにも使用することができる。
フッ化物伝導性カプセル材及び/又はコーティング相及びコーティング物質は、所望に応じて、三次元構造体(例えば、金属又は金属フッ化物のナノ粒子、或いはナノ粒子の凝集体)、二次元構造体(例えば、金属又は金属フッ化物の薄膜)、又は一次元構造体(例えば、金属又は金属フッ化物の繊維又は管)の上に形成してよい。同様に、フッ化物伝導相は、ミクロ多孔性又はメソ多孔性の複合構造体(ゼオライト、高配向性テンプレート材料等)の外面及び/又は内面の上に形成してよい。このような構造体としては、メソ多孔性シリカ(MCM−41、SBA−15等)、金属−有機骨格、類似の配位ポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。
(ii)フッ化物イオン伝導性コーティング内に封入される活物質
有用な構造体及び組成としては、上記(i)記載のフッ化物イオン伝導性コーティング内に金属又は金属フッ化物が封入されており、金属相と金属フッ化物相、或いは低原子価金属フッ化物種MFmと高原子価金属フッ化物種MFn(金属Mは同種であり、n>m)の体積変化に対応するための十分な空間が存在し、変換時にコーティング相又はコーティング物質が断裂することのないもの等が挙げられる。このような構造体及び組成のサイズは、フッ化物伝導性カプセル材に収まるように調整され、ある場合は最大100%の封入金属原子を適当な金属フッ化物相に変換するために十分な空間を形成する(例えば、表1より、FeからFeF3への変換過程では、Feの初期体積に対して211%以上の空間が必要)。或いは、100%の変換を行うために十分な空間が無い場合、サイクル中にカプセル材が断裂することのないように、変換の程度を電気化学的に(例えば、電圧及び/又は充放電容量を制御することによって)調整してもよい。加えて、構造体及び組成は、フッ化物伝導性カプセル材が共形(conformal)であるか、或いは金属から金属フッ化物に完全に変換するためには空間が不十分であるが、カプセル材が断裂したり割れたりすることなく膨張又は収縮する適当な柔軟性を有するものとされる。このような構成は、二次元構造(例えば、フィルム−隙間−コーティング)であっても、三次元構造(例えば、ナノ粒子−隙間−コーティング、又は金属−含浸ゼオライト−隙間−コーティングのようなより複雑な配列)であってもよい。
他の実施形態においては、同心円状に重なる多数のカプセル材を用いる。多数のカプセル材はそれぞれ隙間によって分離されていてもよく、同一又は異なる材料で構成されていてもよい。同心円状に重なる多数のカプセル材のさらに他の実施形態においては、活物質と最外部のカプセル材(電解質に接触)が、ポリマー又は他の柔軟性材料によって分離されていてもよい。ポリマー又は他の柔軟性材料は、フッ化物イオンの通過を許容し、最外部のカプセル材を破断してサイクル中の体積変化に対応できるものであってもよい。
なお、カプセル材によって完全に包囲され位置決めされているが、少なくとも幾つかの余剰空間及び/又は圧縮性の非活物質(ポリマー等)を有する活物質は、「ヨークシェル型」ナノ複合構造体と称され得る。そのような完全に封入された構造は、活物質及びフッ化物伝導性カプセル材の様々な組成配置に基づくことができる。活物質の一部のみがフッ化物伝導性保護コーティングで包囲される他の配置も考えられる。このような構造体は、イオン輸送を可能とするために側面の1つ以上がフッ化物伝導性物質で被覆された活物質を含有する、二次元構造又は三次元構造(例えば、フィルム、側面が開いたセル、管等の構造)の非フッ化物伝導性支持構造体であってよい。このような支持構造体は、隙間空間、寸法柔軟性ポリマー、又はサイクル中に支持構造体又はカプセル材が破断しないよう体積変化に対応するための他の材料を含んでよい。
ヨークシェル型ナノ複合構造体を調製するための一般的な戦略は、Lou et al., Adv. Mater., 2008, 20, 3987−4019に記載されている。通常、ヨークの金属材料は、FIB電気化学セルの活物質として有用ではないと考えられるAuである。同様に、シェルの材料は、フッ化物イオン伝導性物質として有用ではないと考えられるSiO2であってよい。以下、FIB電気化学セルに有用なヨークシェル型ナノ複合材料を調製するために適当な戦略について説明するが、それらは単なる例示であって本発明を限定するものではない。ある例においては、活物質のヨークの例としてCu金属又はCuF2を使用し、カプセル材又はシェル材料の例としてLaF3を使用する。上記のとおり、本発明はそれらに限定されず、電気化学反応でフッ化物イオンを受容又は放出する材料はヨークを形成し得ると考えられ、電解質と活物質の間のF-交換を許容する相又は材料はカプセル材又はシェルを形成し得ると考えられる。ある実施形態において、活物質の直径は1ミクロン未満であり、最も有用には、活物質のヨークの直径は1〜500nmであり、カプセル材の厚さは2〜100nmである。
図1Bは、SiO2等の犠牲無機中間層を用いる一般的ルートの概要を示す図である。例えば、安定化種及び/又は配位種(クエン酸ナトリウム等)及び/又は界面活性剤(臭化セチルトリメチルアンモニウム等)の存在下、還元剤(ヒドラジン等)を用いてCu2+イオンの溶液を還元処理することによって、Cuナノ粒子を調製することができる。Cuナノ粒子をアミノプロピルトリメトキシシランAPTS(又は、分子の一部がCu表面に配位し、他の一部が外部と反応性を示すケイ素部分である、他の適当な二官能種)等の表面修飾リガンドに接触させ、適当な条件(例えば、ストーバー合成条件又はゾルゲル反応条件)下でオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)やケイ酸ナトリウム溶液(水グラス)等の加水分解性シリカ源を添加することによって、Cuナノ粒子をSiO2で共形(コンフォーマル)コーティングする。SiO2前駆体の使用量や反応条件を変更することによって、SiO2層の厚さ(即ち、隙間空間の厚さ)を調整することができる。次に、任意にLutensolAO等の界面活性剤の存在下で、ゾルゲル反応によって、SiO2被覆Cuナノ粒子をLaF3の外層で被覆する。このコーティングの厚さは、LaF3前駆体の使用量及び反応条件を変更することによって調整できる。この工程は、中間体Cu@SiO2材料の分離及び/又は精製の後で行ってよく、或いはSiO2層を形成した後に同じ反応混合物で行ってもよい。得られるCu@SiO2@LaF3複合材料に、任意にアニール処理を施してもよい。且つ/或いは、適当な条件下、該複合材料をNaOHやHF等のSiO2エッチング材料に曝すことによって、SiO2層を除去してCu@LaF3ヨークシェル組成を得る。その後、任意にCu表面浄化用H2等の還元剤の存在下、最終アニール処理を行ってもよい。
図1Cは、犠牲ポリマー中間層を用いる類似のルートを示す。例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシレート基、又は他のイオン性官能基を有するポリマー又はコポリマー(ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、タンパク質、多糖、ゼラチン等)の存在下でCuナノ粒子を形成することによって、或いは適宜修飾したCuナノ粒子の表面からポリマーを成長させる(例えば、2−ブロモイソ酪酸11−アミノウンデシルによって官能化した表面から、原子移動ラジカル重合によってポリスチレンスルホン酸を成長させる)ことによって、ポリマーシェルをCuナノ粒子に配位させる。ポリマーの濃度及び/又は分子量を変更することによって、ポリマー層の厚さ(即ち、隙間空間の厚さ)を調整することができる。ゾルゲル反応によって、Cu@ポリマーナノ複合材料の外側にLaF3のシェルを成長させ、Cu@ポリマー@LaF3ナノ複合材料を調製する。次に、(空気中又はAr等の不活性ガス雰囲気下で)ポリマー層を高温で分解するか、或いはポリマー層を適当な溶媒(トルエン、ジクロロメタン、アセトン等)に溶解させ、ポリマー層を除去して所望のCu@LaF3ヨークシェル組成を得る。その後、任意にCu表面浄化用H2等の還元剤の存在下、最終アニール処理を行ってもよい。或いは、McDonald and Devon, Adv. Colloid. Interf. Sci., 2002, 99, 181−213に記載されている中空ラテックス型粒子のようなポリマーコアシェル構造を、テンプレートとして使用してもよい。この場合、(Cuナノ粒子を事前に形成した中空ラテックス粒子に接触させるか、或いは溶液中でイオン性のプレポリマー又はコポリマーをCuイオンに配位させ、Cuイオンを還元してCuナノ粒子を調製してから、溶媒除去等で中空構造体を生成させることによって)Cuナノ粒子を封入し、その後、LaF3シェルを成長させ、ポリマーを除去し、必要に応じてアニールを行い、Cu@LaF3ヨークシェル組成を得る。
図1Dは、犠牲中間層を用いない場合の代替ルートを説明する図である。例えば、Cuナノ粒子を適当な表面修飾リガンド(11−アミノウンデカン酸AUDA等)で処理してから、ゾルゲル反応によってLaF3の外層を成長させてCu@LaF3コアシェル複合材料を形成し、任意にアニール工程を行う。適当なエッチング液(例えばKCN、HCl/H22、又はFeCl3であり、様々な金属及び化合物に適したエッチング液については「The CRC Handbook of Metal Etchants」 (CRC, 1990, P. Walker and W. H. Tarn eds.)に記載されており、シェル材料に影響しないように選択してよい)を用いて、反応条件(エッチング液濃度、温度、反応時間等)を管理して、Cuコアの部分的エッチングを行うことで、Cu@LaF3粒子中に隙間空間を形成し、ヨークシェル型Cu@LaF3組成を得る。その後、任意にCu表面浄化用H2等の還元剤の存在下、最終アニール処理を行ってもよい。
図1Eは、犠牲材料(除去される最内部材料)の表面上で活物質のナノ粒子を成長させる、上記犠牲合成の変形例を示す図である。例えば、アミノ官能化ポリスチレン又はSiO2粒子の表面上に、1つ以上のCuナノ粒子を成長させる。得られた複合材料を適当なCu表面修飾リガンド(AUDA等)で処理してから、ゾルゲル反応によってLaF3の外層を成長させる。熱分解、エッチング、又は溶解によって最内部材料を除去し、1つ以上のCuナノ粒子を含むヨークシェル型Cu@LaF3組成を得る。その後、任意にCu表面浄化用H2等の還元剤の存在下で最終アニール処理を行ってもよく、任意にCuナノ粒子を凝集させてもよい。
図1Fは、事前に形成した犠牲材料の内部構造又は細孔中で活物質を成長させる、代替戦略の概要を示す図である。例えば、中空SiO2ナノスフェアの内部でCuナノ粒子を成長させてよい(合成アプローチについては、例えばHah et al., Chem. Commun., 2004, 1012−1013参照)。その後、(任意にLutensolAO等の界面活性剤の存在下で)ゾルゲル反応を行い、このCu@SiO2コアシェル型ナノ複合材料をLaF3外層で被覆する。この被覆コーティングの厚さは、LaF3前駆体の使用量及び反応条件を変更することによって調整できる。得られるCu@SiO2@LaF3複合材料に、任意にアニール処理を施してもよい。且つ/或いは、適当な条件下、該複合材料をNaOHやHF等のSiO2エッチング材料に曝すことによって、SiO2層を除去してCu@LaF3ヨークシェル組成を得る。その後、任意にCu表面浄化用H2等の還元剤の存在下、最終アニール処理を行ってもよい。関連する合成では、ミクロ多孔性又はメソ多孔性の材料(ゼオライト等)を、Cuナノ粒子を形成し、類似の手法でCu@LaF3ヨークシェルを生成するためのテンプレートとして使用してよい。
図1Gは、適当な溶媒中で、中空材料(ポリスチレン−ポリアクリル酸ラテックスコポリマー等)の内部空間において、電気的に陽性の金属又はそのような金属のフッ化物(CaF2等)を成長させる、類似の代替戦略を示す図である。このポリマー封入CaF2ナノ結晶を、フッ化物イオン伝導性材料の外層で被覆する。このフッ化物イオン伝導性材料は、CaF2からCaへの変換の電位(〜0.2V vs Li+/Li)で還元されないような、適当な電気化学的安定性を有する。適当な保護材料の例としては、CaxBay2(x+y=1、CaF2粒子の変換反応中に、保護シェル内でCa2+イオン及びBa2+イオンは還元されないが、電気的にあまり陽性でない金属元素を含むシェル(LaF3等)は内部のCaF2粒子よりも先に還元され得る)等の固溶体等が挙げられる。得られるCaF2@ポリマー@CaxBay2複合材料に、任意にアニール処理を施してもよい。且つ/或いは、該複合材料を高温又は適当なエッチング材料に曝すことによって、ポリマー層を除去してCaF2@CaxBay2ヨークシェル型組成を得る。
上記封入活物質及び/又はヨークシェル型ナノ複合電極を、電解質、バインダー、添加物、セパレーター、電池ケース、電池包装材、集電体、電気接点、充放電制御装置、当業者に公知のその他の電池構成要素等と共に用いることで、−40〜200℃の温度で有用なリチウムフリーの電気化学セルを形成することができる。このような電気化学セルは、放電中に実質的に不可逆な電気化学反応を行うことができるため、ガルバニック電池又は一次電池の形成に適している。或いは、ある構造体及び組成は、電気化学反応の少なくとも一部を可逆的に行うことができるため、二次電池(充電式電池)を形成できる。
ある実施形態において、FIB電池システムに適した電解質は、フッ化物塩と、該フッ化物塩の少なくとも一部が溶解状態で存在するような溶媒とを含んでいてよい。フッ化物塩は金属フッ化物又は非金属フッ化物であってよい。溶媒は有機物液体、イオン性液体、又はこれらの混合物であってよい。他の実施形態において、FIB電池システムに適した電解質は、フッ化物塩、ポリマー、及び任意に有機物液体、イオン性液体、又はこれらの混合物を含有する複合電解質であってよい。電解質としては、米国特許第9,166,249号明細書(発明の名称「Fluoride Ion Battery Compositions」)が開示するフッ化物塩と溶媒の組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。当該米国特許は全てこの参照により本開示に含まれる。
例えば、FIBシステムに適した液体電解質塩は、錯カチオンとフッ化物アニオンの組み合わせを含んでいてよい。カチオンは、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウム、又はアルキルスルホニウムのような有機基を有するものであってよく、またメタロセン種のような有機金属モチーフ又は金属配位錯体モチーフからなるものであってもよい。このような液体電解質塩に有用な溶媒は、0.01M以上(好ましくは0.1〜3M)のモル濃度で上記フッ化物塩を溶解させることが可能な非水溶媒(ここでは有機溶媒と称する)であってよい。このような溶媒の例としては、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、4−フルオロベンゾニトリル、ペンタフルオロベンゾニトリル、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、1,2−ジメトキシエタン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート、プロピルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、二硫化炭素、エチルアセテート、メチルブチレート、n−プロピルアセテート、メチルプロピオネート、メチルホルメート、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ピリジン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ヘキサメチルホスホラミド、ヘキサメチル亜リン酸トリアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−メトキシエチルアセテート、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、これらの置換誘導体等が挙げられる。また、スルホン類(エチルメチルスルホン、トリメチレンスルホン、1−メチルトリメチレンスルホン、エチル−sec−ブチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン(EIPS)、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルスルホン、2,2,2−トリフルオロエチルスルホン等)、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル(BTFE)、グリム類(ジグリム、テトラグリム等)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、及びこれらの混合物も挙げられる。ある実施形態においては、室温でイオン性の液体、又は200℃以下の温度で液体状態であるイオン性の液体(「Electrochemical Aspects of Ionic Liquids」, E. Ohno ed., Wiley Interscience, New York, 2005に記載されているもの等)が好ましい。その例としては、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(MPPTFSI)、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BTMATFSI)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMPTFSI)、これらのフルオロアルキルホスフェート(FAP)アニオン誘導体(MPPFAP等)等のような、100℃以下の温度で液体状態であるイオン性液体が挙げられる。ここで、FAPはトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート等の疎水性アニオンであり、単独で又は組み合わせて溶媒に用いられる。
他の実施形態において、FIB電池システムに適した電解質は、上記のものにフッ化物イオン複合化化学種(アニオン受容体等)、カチオン複合化化学種(クラウンエーテル等)、又はこれらの組み合わせを添加した組成を有していてよい。適当なアニオン受容体としては、ホウ素、アルミニウム、アンモニウム、水素結合供与体、又は類似の基のような、フッ化物アニオンを結合させることが可能な化学種が挙げられる。例えば、アザエーテル、McBreen et al, J. Power Sources, 2000, 89, 163及びWest et al., J. Electrochem. Soc., 154, A929 (2007)に記載されているようなアルキル/アリールのホウ素/ボロン酸複合体、Nair et al., J. Phys. Chem. A, 113, 5918 (2009)に記載されているようなボロキシン類等が挙げられる。当該文献は全てこの参照により本開示に含まれる。特に、トリス(ヘキサフルオロイソプロピル)ホウ酸塩、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、並びにジフルオロフェニルボロキシン(DFB)、トリフルオロフェニルボロキシン、ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロキシン、トリフルオロメチルフェニルボロキシン、及びフルオロ(トリフルオロメチル)フェニルボロキシンの全ての位置異性体が使用できる。
上記のとおり、フッ化物イオン電池は、広範な一次電池又は二次電池としての用途に適している。このような用途としては、車両牽引電池(電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等)、自動車スターター、点火用電池等が挙げられるが、これらに限定されない。FIBシステムは、非常用電源、局所エネルギー貯蔵器、スターター、点火、リモートリレーステーション、コミュニケーションベースステーション、無停電電源装置(UPS)、スピニングリザーブ、ピークシェービング、負荷平準化、配電網、蓄電器、又は最適化用途のための据置電池として有用で有り得る。時計用電池、インプラント医療機器用電池、検知システム用電池、モニターシステム(ガス計器、電気計器等)用電池といった小型構造又は小型電池の用途も考えられる。また、懐中電灯、玩具、電動工具、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯電話、カムコーダー、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯計器、コードレス機器、ワイヤレス周辺機器、緊急標識等の機器への応用も考えられる。衛星、軍需物資、ロボット、無人航空機、軍事非常用電源、通信での使用といった、軍事的又は極限環境での利用も可能である。
III(c)比較例1及び実験例1
比較例1では、シェルを有していない銅ナノ粒子を調製し分析した。まず、2mmolのCu(NO32・2.5H2Oと1.87mmolのCTABを、75mlの水に室温で溶解させた。0.5mlのNH4OH(水中のNH3濃度28〜30重量%、14.8M)を加え、pHを約10〜11に調整した。アルゴン下で、ヒドラジン(3ml、50〜60%試薬グレード)、CTAB(1.87mmol)、及びクエン酸(0.38mmol)を水(75ml)中に含有する溶液を調製し、硝酸銅溶液を加える前に約20分間混合した。反応混合物を1.5時間撹拌し、銅ナノ粒子を最大限に成長させた。得られた銅ナノ粒子(〜50nm)を単離し、洗浄した。具体的には、反応合成混合物を遠心分離し、デカンテーションを行い、エタノールと混合して超音波処理した。図3は、銅ナノ粒子の製造時のX線回折(XRD)スペクトルを示す図である。43.0、50.5、及び74.0(°2θ)に、Cuに対応する3つのピークが目視で観測された。しかしながら、空気に曝すとCuはCu2Oへと酸化された。Cu2Oの形成は早くて4日間中に始まり、9日後にはCu2Oが主成分となった。図4に示すように、29.5、42.3、61.3、及び73.5(°2θ)に、Cu2Oに対応する新たなピークが現れた。
実験例1では、銅ナノ粒子を含有するコアがフッ化ランタンを含有するシェルで被覆されている、本開示のコアシェル型ナノ粒子(Cu/LaF3)を調製した。比較例1と同様に銅ナノ粒子(〜50nm)を調製した。アルゴン雰囲気下、この銅ナノ粒子を3mlのヒドラジン(3ml、50〜60%試薬グレード)と共に水中に再分散してから、銅ナノ粒子を単離し洗浄した。水、銅ナノ粒子、及びヒドラジンの混合物に、La(NO33・6H2O溶液(15mlのH2O中、1mmol)とNaF溶液(15mlのH2O中、1mmol)を加えた。この反応混合物を10分間撹拌し、遠心分離した。
遠心分離によって沈殿物を単離し、XRDで分析した。このコアシェル型ナノ粒子の合成時のXRDスペクトルを図5に示す。このXRDスペクトルは、25.0(LaF3)、28.0(LaF3)、43.5(Cu)、50.4(Cu)、及び74.0(Cu)(°2θ)に、5つのピークを示した。図6は、コアシェル型ナノ粒子の、9日間空気に曝した後、16日間空気に曝した後、及び23日間空気に曝した後のXRDスペクトルを重ねて示す図である。比較例1とは対照的に、スペクトル変化は観測されなかった。図7A及び図7Bは、このコアシェル型ナノ粒子の合成時のTEM像である。図に示されているように、銅ナノ粒子コアはLaF3シェルに被覆されている。シェルの厚さは約0.30nmである。図8A、図8B、及び図8Cは、このコアシェル型ナノ粒子の合成時の高分解能TEM像である。中心の黒色領域は銅コアに対応しており、周辺の黒色及び白色領域はLaF3シェルに対応している。これらの図面は、銅コアがLaF3シェルによって均一に直接被覆されていることを示している。
従って、実験例1で合成したコアシェル型ナノ粒子は、下層の金属コアを保護することが可能なシェルを有する。このようなコアシェル型ナノ粒子は、その駆動条件が金属コアの溶解、酸化、又は汚染を引き起こすであろう用途において有用である。具体的には、このコアシェル型ナノ粒子を電池の電極材料として使用できる。
非限定的な一例においては、図9に示すように、実験例1のコアシェル型ナノ粒子を活物質としてFシャトル電池の負極(アノード)に用いてよい。LaF3シェルは銅コアを保護し、銅コアが溶解することのないように活物質として作用することを可能にしている。図10A及び図10Bに示すように、実験例1のコアシェル型ナノ粒子をアノードの活物質として試験した。このアノードは、コアシェル型ナノ粒子、伝導剤(スーパーPカーボン)、及びPVdFバインダーを8:1:1の比率で含んでいた。
比較例2
銅ナノ粒子を含有するコアを有し、該コアがフッ化ランタンを含有するシェルで直接被覆されている、コアシェル型ナノ粒子(Cu/LaF3)を調製することを試みた。比較例2の実験は、La(NO33・6H2Oに替えて1mmolのLaCl3・7H2Oを使用したこと以外は実験例1と同様に行った。
比較例2のナノ粒子の合成時のXRDスペクトルを図11に示す。このXRDスペクトルは、24.5(LaF3)、27.6(LaF3)、43.6(Cu)、50.5(Cu)、及び74.1(Cu)(°2θ)に、5つのピークを示した。従って、LaCl3とNaFの反応中もCuが残留していた。
しかしながら、比較例2のコアシェル型ナノ粒子を空気に曝すと、Cuの酸化によってシェルが適切に形成されていないことが示された。図12は、比較例2のナノ粒子の、8日間空気に曝した後、15日間空気に曝した後、及び22日間空気に曝した後のXRDスペクトルを重ねて示す図である。8日間の時点から、35.4、36.4、38.8、42.5、44.8、48.7、52.3、61.5、及び73.5(°2θ)に、更なるピークが観測された。少なくとも36.4、42.5、61.5、及び73.5(°2θ)のピークはCu2Oの形成と対応している。43.6、50.5、及び74.1(°2θ)のピークはCuに対応しており、強度が低下していた。図13のTEM像から、LaF3はCuナノ粒子を不均一に部分的にしか被覆しておらず、LaF3がCuナノ粒子に結合していないことが分かる。従って、LaCl3・7H2Oのシェルは、望ましいコアシェル組成を形成せず、電気化学セルの使用環境(Cuコアを溶解し得る環境)に曝されたとき、Cuコアから離れると考えられる。加えて、LaF3がCuナノ粒子に結合していないことから、この混合物を用いたシステム全体の効率が低下すると考えられる。
積層薄膜電極研究
薄膜電極構造中でコア材料及びシェル材料を評価する。厚さ1mmのグラッシーカーボン基板上に、銅を約80nmの厚さまでスパッタした。Cu膜を形成した後、該Cu膜上にLaF3を5nm未満の厚さまでスパッタし、2層構造薄膜を形成した。比較のために、LaF3コーティングの無い単層Cu薄膜も調製した。これら薄膜を3電極セル構造内で試験した。この3電極セル構造では、Agワイヤを1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(MPPyTFSI)及び0.01MのAgOTfに浸漬して参照電極とし、Ptワイヤを対電極とし、MPPyTFSI中0.1Mのフッ化テトラメチルアンモニウム(TMAF)を電解質として用いた。サイクリックボルタンメトリーは−2.4V〜−0.7V(vs Ag/Ag+)の範囲で測定した。評価は水分及び酸素を含まないグローブボックス内で行った。
得られたサイクリックボルタンメトリー図を図14に示す。2層構造薄膜では、測定されたアノードピークはカソードピークと対称であり、ICP−MSでは電解質中の銅イオンは検出されなかった。この結果は、フッ化物イオンがLaF3層からCu層へ可逆的に輸送されたことを示している。一方、単層Cu薄膜のサイクリックボルタンメトリー図は非対称であった。アノード電流がカソード電流を超え、アノード反応中にCuが溶解したことが示された。ICP−MSデータからもこのことが確認され、該データは電解質中に5ppmのCuが含まれることを示した。
Cu−LaF32層構造薄膜電極を、図15Aに示す初期及びフッ素化後のXPSでも調べた。初期(図15A中の1)のデータは2層薄膜形成時に得た。OCV(約−1.5V vs Ag/Ag+)から−0.8Vへ電位を掃引し、1時間維持した。フッ素化反応後、電極試料を取り出しXPSデプスプロファイリング分析を行った。
初期のXPSスペクトル(図15B)では、表面がCuよりもLa及びFを多く含有している。フッ素化後は、初期よりも深い位置でより高い濃度のフッ化物イオンが検出される。初期のXPSスペクトルでは、深さが増すとフッ化物濃度はより急激に低下した。まとめると、XPSデータは、フッ化物イオンが銅層に侵入し得ることを示している。よって、還元後には、フッ化物イオンはCuコアへと拡散し得る。
実験例3
Cu@BaxLa1-x3-xのシェルを有するコアシェル型ナノ粒子は、図16に模式的に示されている。Cu@LaF3は、比較のために含まれている。最初は、例えば、銅ナノ粒子コアは、直径は最大で約50nm、LaF3又はBaxLa1-x3-xコーティングは、約5nmの厚さである。電池充電中にCuコア上に形成されるCuF2層は、Cu@LaF3ナノ粒子において約3nmの厚さまで成長することができる。しかしながら、LaF3シェルにBaをドーピングすることにより、CuF2層はより大きな厚さに成長することができる。
LaF3のイオン伝導度は、特に室温では、かなり低い。それは約10-8.5S/Cmであり、Fアニオンの移動を制限する。しかしながら、LaF3シェルにBaドーパントを含むこと(即ち、Cu@BaxLa1-x3-xを作ること)は、シェルの導電性を増加させる。BaをドーピングするとLaF3の伝導率が100倍になることが報告されている;例えば、M.Anji Reddy and M.Fichtner「フッ化物シャトルに基づく電池」 J.Mater.Chem.2011年 第21号 17059−17062頁を参照のこと。ここでの参照により該文献の全体が本明細書に組み込まれる。高いイオン伝導率は、充電中におけるCuF2の生成にプラスに働き、容量の向上につながる。
例示的なCu@BaxLa1-x3-xナノ粒子のSEM、TEM、及びEDX像は、図17A〜図17Hに示される。XPSは、各元素の組成を決定するために使用することができる。図18A〜図18Dは、Cu(64.83%)、La(14.68%)、Ba(0.28%)、F(20.21%)からなるコアシェル型ナノ粒子の代表的なXPSスペクトルデータを示し、シェル自体はLa(41.75%)、Ba(0.79%)、F(57.46%)からなり、ナノ粒子はCu@La0.97Ba0.032.97であることを確認した。Cu@LaF3とCu@La0.97Ba0.032.97のXRDスペクトルを図19に示す。
図20A〜図20Bは、本開示のいくつかの実施形態に従って、Baドーピングによって達成された容量の改善を示す。図20Aは、Ag/Ag+参照電極と比較した、Cu@LaF3電極又はCu@BaxLa1-x3-x電極の第1の充電−放電サイクルの電圧プロファイルを示す。Baドープ電極の放出容量(capacity delivery)は、Cu@LaF3が50.2mAh/gであるのに対し、95.2mAh/gに達する(図20B)。このように、LaF3シェルのBaドープは、容量をほぼ2倍にする。Baドーピングにより、LaF3シェルのイオン伝導率は約100倍に改善される;例えば、M.Anji Reddy and M.Fichtner 「フッ化物シャトルに基づく電池」 J.Mater.Chem. 2011年 第21号 17059−17062頁を参照されたい。ここでの参照により該文献の全体は本明細書に組み込まれる。フッ化物イオンは、より容易にシェルを移動できるようになり、Cuと反応してCuF2を形成する。CuF2の形成量が電池の容量を直接決定する。形成されるCuF2の量が多くなれば、電池の容量が高くなる。従って、LaF3シェルにBaをドープすることで、Cuの利用率をほぼ2倍にすることができる。
また、図20C及び図20Dは、初期状態、即ち、1回目の使用前の電極、及び1回目の充電後、及びそれに続く1回目の放電後の電極における、Cu@La0.97Ba0.032.97及びCu@LaF3のXRDスペクトルをそれぞれ示している。CuF2は、1回目の充電後に形成され、1回目の放電後にCuに還元される。図20C及び図20Dは、2種類のシェルを有する液体電解質中でCuを循環させることができることを示している。
Cuは安価で軽い金属であり、大容量(理論容量843.5mAh/g)であるため、フッ化物シャトル電池のカソード材料として適している。しかしながら、その使用に対する大きな課題は、Cuが溶解するために、液体電解質/セル内でCuF2を形成するためにCuを帯電することができないことである。Cu@LaF3では、LaF3シェルが充放電時にCuの溶解を効果的に防ぐことができる。その結果、充電時にはCuをCuF2にすることができ、放電時にはCuF2をCuに還元することができる。しかし、LaF3のイオン伝導度が低いため、その容量は低い。Baドープシェル(例えば、La0.97Ba0.032.97)であれば、シェルのイオン伝導度を100倍に向上させることができる、即ち、シェルの抵抗が低くなる。Fイオンがシェルを通過するのが容易になるため、充電中により多くのCuをCuF2にフッ素化することができる。容量は、ドープされていないLaF3シェルと比較して2倍に増加する。Baドープされたシェルでは、充電後にCuF2が検出される。放電後、CuF2はCuに還元される。これにより、液体電池ではCuが充電可能であることが確認でき、Baドープシェルを用いることでCuの利用度が改善されることが確認できた。
本明細書では上述の例を用いて実施形態を説明したが、様々な代替、修飾、変更、又は改善を行った物、及び/又は実質的に等価な物も、それが公知か、現在予期できないか、或いは予期できない可能性があるかにかかわらず、当業者には明らかになり得る。上記実施形態例は例示を意図したものであって、本発明を限定するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、種々の変更が可能である。即ち、本開示は、公知の又は後に開発される、様々な代替、修飾、変更、又は改善を行った物、及び/又は実質的に均等な物を、全て包含することを意図している。
特許請求の範囲は本明細書に記載した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の文言に適合する全ての範囲が許容されるべきである。構成要素を単数形で記載した場合、特に説明が無い限り、「唯一」であることを意味するわけではなく、「1つ以上」であることを意味する。本開示の様々な実施形態による構成要素の構造的及び機能的均等物は全て、当業者に既に公知であっても後に公知になるものであっても、参照により本開示に明確に含まれ、特許請求の範囲に包含されるべきである。さらに、本明細書の開示は、特許請求の範囲に明示されているか否かにかかわらず、公共利用を意図したものではない。特許請求の範囲に記載の構成は、「means for」という表現で明記されていない限り、ミーンズプラスファンクション形式として解釈されるべきではない。
さらに、本明細書において、「例(example)」という語は、単なる例示(example、instance、又はillustration)に用いられるものを意味する。本明細書で「例」として記載した実施形態は、必ずしも他の形態よりも好ましい又は有利であるわけではない。特に明記しない限り、「幾つかの(some)」という語は、1つ以上であることを意味する。「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」等のコンビネーションは、A、B、及び/又はCのいかなる組み合わせも包含し、複数のA、複数のB、又は複数のCも包含し得る。具体的には、「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」等のコンビネーションは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、又はAとBとCであってよく、各組み合わせは1種以上の部材A、B、又はCを含み得る。特許請求の範囲に明示されているか否かにかかわらず、本明細書の開示は公益を意図したものではない。
本発明の構成及び実施についての完全な開示と記述を当業者に提供するために実施例を示す。実施例は発明者が発明と認識する範囲を限定するものではない。また、実施例の記述は実際に行った全ての実験を示しているわけではなく、上記の実験しか行っていないことを意味するわけでもない。各数値(例えば量、寸法等の数値)の正確性を確保するよう努めたが、ある程度の実験誤差や偏差は生じ得る。
さらに、本願明細書に記載の全ての参照文献(例えば、発行特許、登録特許、又は均等物等の特許文献、特許出願公開公報、非特許文献、他の情報源等)は、個々に開示されているのと同様に、参照により本開示に含まれる。

Claims (25)

  1. 活物質を含有するコアと、
    前記活物質の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、
    を備える電気化学活性構造体であって、
    前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属はバリウムである、
    電気化学活性構造体。
  2. 請求項1記載の電気化学活性構造体において、
    前記活物質は、鉄ナノ粒子、コバルトナノ粒子、ニッケルナノ粒子、銅ナノ粒子、鉛ナノ粒子、及びアルカリ土類金属ナノ粒子から選択された金属ナノ粒子を含む、
    電気化学活性構造体。
  3. 請求項1記載の電気化学活性構造体において、
    前記活物質は銅ナノ粒子を含む、
    電気化学活性構造体。
  4. 請求項1記載の電気化学活性構造体において、
    前記フッ化物含有シェルは前記コアに直接付着している、
    電気化学活性構造体。
  5. 請求項1記載の電気化学活性構造体において、
    前記フッ化物含有シェルは前記コアから離れており、前記フッ化物含有シェルと前記コアとの間に隙間が形成されている、
    電気化学活性構造体。
  6. 請求項1記載の電気化学活性構造体において、
    前記第2金属はランタンである、
    電気化学活性構造体。
  7. 請求項6記載の電気化学活性構造体において、
    前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記バリウムと前記ランタンはx:1−xの比で存在する、
    電気化学活性構造体。
  8. 請求項7記載の電気化学活性構造体において、
    xは約0.03から約0.15である、
    電気化学活性構造体。
  9. 請求項8記載の電気化学活性構造体において、
    xは約0.03である、
    電気化学活性構造体。
  10. 被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法であって、該製造方法は、
    a)水/金属ナノ粒子混合物を準備する工程と、
    b)前記水/金属ナノ粒子混合物を不活性雰囲気に曝す工程と、
    c)金属ナノ粒子コアの周囲にフッ化物含有シェルを形成する工程と、
    を含み、
    前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属はバリウムである、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  11. 請求項10記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記金属ナノ粒子は、鉄ナノ粒子、コバルトナノ粒子、ニッケルナノ粒子、銅ナノ粒子、鉛ナノ粒子、又はアルカリ土類金属ナノ粒子を含む、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  12. 請求項10記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記金属ナノ粒子は銅ナノ粒子を含む、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  13. 請求項10記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記フッ化物含有シェルは前記コアに直接付着している、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  14. 請求項10記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記フッ化物含有シェルは前記コアから離れており、前記フッ化物含有シェルと前記コアとの間に隙間が形成されている、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  15. 請求項10記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記第2金属はランタンである、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  16. 請求項15記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記バリウムと前記ランタンはx:1−xの比で存在する、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  17. 請求項16記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    xは約0.03から約0.15である、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  18. 請求項10記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記フッ化物含有シェルを形成する前記工程は、第1金属塩と第2金属塩とフッ化物含有塩とを前記水/金属ナノ粒子混合物に加え、前記金属ナノ粒子コアの周囲にフッ化物含有シェルを形成する工程を含み、前記第1金属塩はバリウム塩である、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  19. 請求項18記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記第2金属塩はランタン塩である、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  20. 請求項19記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記第1金属塩は硝酸バリウムであり、前記第2金属塩は硝酸ランタンである、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  21. 請求項20記載の被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法において、
    前記硝酸バリウムと前記硝酸ランタンは、約1:10のモル比で使用される、
    被覆金属ナノ粒子を製造する製造方法。
  22. 銅ナノ粒子を有するコアと、
    前記銅ナノ粒子の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、
    を備える電極であって、
    前記フッ化物含有シェルの実験式におけるバリウムのモルとランタンのモルの合計が1となるように、前記フッ化物含有シェルは、バリウムとランタンをx:1−xの比で含む、
    電極。
  23. 請求項22記載の電極において、
    xは約0.03から約0.15である、
    電極。
  24. 請求項22記載の前記電極と液体電解質とを備えるフッ化物シャトル電池。
  25. 活物質を含有するコアと、
    前記活物質の少なくとも一部を包囲するフッ化物含有シェルと、
    を備える電気化学活性構造体であって、
    前記フッ化物含有シェルは、第1金属と第2金属とを有し、前記第1金属は、2価又は4価の金属カチオンである、
    電気化学活性構造体。
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