本発明のいくつかの実施形態の一態様において、食品の総重量に対して少なくとも20重量%のゼラチン化でんぷんと、食品の総重量に対して少なくとも5重量%または少なくとも8重量%の油性食品物質とを含み、前記食品が多孔質製品である、フリーズドライ食品を提供する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品はさらに食品原料を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料は少なくとも1種の官能的および/または栄養的性質を有し、少なくとも1種の性質は、食品原料が未加工の状態で示す性質と実質的に同一である。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、ゼラチン化でんぷんおよび少なくとも1種の食品原料を含み、食品原料が少なくとも1種の官能的および/または栄養的性質を有し、少なくとも1種の性質は、前記食品原料が未加工の状態で示す性質と実質的に同一である、フリーズドライ食品を提供する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は多孔質製品である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量は、少なくとも20重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は油性食品物質をさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、炭水化物および脂肪を含み、食品の総重量に対する前記炭水化物の総量が少なくとも20重量%または少なくとも30重量%であり、且つ食品の総重量に対する脂肪の総量が少なくとも10重量%または少なくとも20重量%であり、且つ食品に含まれる糖類の総量が、食品の総重量に対して、20重量%未満であり、食品が多孔質製品である、フリーズドライ食品が提供される。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、炭水化物はゼラチン化でんぷんを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量は少なくとも20重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対する脂肪の総量の範囲は10重量%〜50重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は少なくとも1種の油性食品物質を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対する油性食品物質の量は、少なくとも5重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、ゼラチン化でんぷんはでんぷん含有物質を得ることのできるものである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は米であるか、または米を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は胚芽米であるか、または胚芽米を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は短粒米の胚芽米であるか、または短粒米の胚芽米を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は短粒米であるか、または短粒米を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質はキヌアを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は米およびキヌアの混合物を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、米は短粒米の白米である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質はその総重量に対して、50重量%〜90重量%のキヌアおよび10重量%〜50重量%の米のそれぞれを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、米とキヌアとの重量比の範囲が1:1〜1:3である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質の総重量に対するでんぷん含有米の平均アミロース含有量は、20重量%以下である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は、サイズが10〜500マイクロメートルまたは50〜350マイクロメートルの複数の孔を少なくとも一部分に有する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、孔の少なくとも一部が略楕円孔である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は少なくとも2種の孔群を有し、少なくとも第1の孔群の少なくとも1つの寸法が200マイクロメートル未満であり、少なくとも第2の孔群の少なくとも1つの寸法が200マイクロメートルを超える。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、第1の孔群の孔の平均幅対長さ比の範囲が、0.4〜1.0または0.5〜0.8である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、第2の孔群の孔の平均幅対長さ比の範囲が、0.05〜0.6または0.08〜0.5である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品の水分活性は0.5未満、または0.4未満、または0.3未満である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品の水分活性の範囲は0.05〜0.3である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対する糖類の総量は、20重量%未満、または18重量%未満、または15重量%未満である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は下記特徴の少なくとも1種を有する。
孔のサイズの範囲が10〜500マイクロメートルまたは50〜350マイクロメートルである、および/または
孔が対応する実施形態によって定義したものである、および/または
水分活性が0.5未満、または0.4未満、または0.3未満である、および/または
食品の総重量に対する炭水化物含有量が、少なくとも20重量、または少なくとも30重量%である、および/または
食品の総重量に対する脂肪含有量が、少なくとも10重量%である、および/または
食品の総重量に対する糖類の総量が、20重量%未満である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、表3Aに示した原料を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、表5Aに示した原料を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、表6Aに示した原料を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、表14Aに示した原料を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、TPA測定値として30N〜200Nまたは60N〜150Nである硬度によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、TPA測定値として0.05〜0.3または0.08〜0.25の接着性によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、TPA測定値として5N〜50Nまたは8N〜40Nの粘り気によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、TPA測定値として0.2〜1または0.3〜0.8の弾力性によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、ISO 26642:2010によって求めた50未満または40未満の血糖指数によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は酵素を含んでいない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品はアルファ−アミラーゼを含んでいない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品の形状は略長方形棒状、略円筒棒状、略楕円棒状、略角錐棒状、粒子状、ペレット状およびフレーク状である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、食品を内包するパッケージ材料をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、パッケージ材料はガス不透過性および/または水不透過性である。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、フリーズドライ食品を製造するためのプロセスを提供する。当該プロセスは以下の工程を含む:ゼラチン化でんぷんおよび水を含むでんぷん含有調製物を油性食品物質と調合し、でんぷん含有調製物を含む均質混合物を得る工程、および混合物をフリーズドライに付して、フリーズドライ食品を製造する工程。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、調合する工程の前に、でんぷん含有物質と水との混合物を加熱してでんぷん含有調製物を製造する工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、加熱の温度は50〜99℃または80〜99℃である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、加熱の時間は10分〜5時間または20分〜2時間の範囲内、あるいは1時間である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質と水との重量比は、1:1〜1:5または1:2〜1:4の範囲内、あるいは1:3である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、調合する工程の前に、でんぷん含有調製物と前記油性食品物質との前記混合物に食品原料を添加する工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、調合する工程に続いて、でんぷん含有調製物を含む均質混合物に食品原料を添加する工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料は液状または湿った食品原料である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料は調味料を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、混合工程に続いて、乳剤を含む混合物に追加量のでんぷん含有調製物を加える工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、乳剤を含む混合物に食品原料を添加する工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料は乾燥した、固体または半固体状の食品原料である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料および/または追加量のでんぷん含有調製物は、乳剤中に実質的に均一に分散されるように乳剤と混合される。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、乳剤を含む混合物に含まれるでんぷん含有調製物の量は、混合物の総重量に対して少なくとも20重量%、または少なくとも24重量%、または少なくとも30重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油性食品物質の量の範囲は、乳剤を含む混合物の総重量に対して5重量%〜20重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ工程は、乳剤を含む混合物を−8〜−179℃で凍結して、凍結乳剤を得ることを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、凍結は2分〜36時間の期間で実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、凍結乳剤を凍結乾燥による乾燥工程に付す。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、乳剤を含む前記混合物の総重量に対するフリーズドライ製品の量は、15〜60重量%、または20〜60重量%、または20〜50重量%、または30〜50重量%、または35〜45重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは食品を成形する工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、成形するのは乳剤を含む混合物であり、フリーズドライ工程の前に実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、成形するのは凍結乳剤であり、乾燥工程の前に実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、成形工程をフリーズドライ工程の後に実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは食品を包装する工程をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、包装する工程を乾燥および/または不活性雰囲気下で実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、ガス透過性および/または水透過性のパッケージ材料で包装する。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、対応する実施形態について本願で記載したプロセスおよびそれらの組み合わせによって製造された、または得ることのできるフリーズドライ食品が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、ゼラチン化でんぷんと水と油性食品物質とを含むでんぷん含有調製物を含む、混合物が提供される。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有調製物は、でんぷん含有物質と水との混合物を加熱することで得ることのできるものである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、混合物は食品原料をさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、混合物の総重量に対するでんぷん含有調製物の量は、少なくとも30重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は米であるまたは米を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、混合物の総重量に対する油性食品物質の量は、少なくとも5%である。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、上記混合物をフリーズドライ工程に付すことで得ることのできるフリーズドライ食品が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、上記混合物を製造するためのプロセスが提供される。当該プロセスは、でんぷん含有物質および水を加熱してでんぷん含有調製物を得る工程と、でんぷん含有調製物と油性食品物質とを、均質な乳剤を提供する条件下で混合し、混合物を製造する工程を含む。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、対応する実施形態のいずれかについて本願で記載した食品と、食品を内包するパッケージ材料とを含む、パッケージ化食品が提供される。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、パッケージ材料はガス透過性および/または水透過性である。
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様のまたは等価な方法および材料を、本発明の実施形態の実践または試験に使用することができるが、例示的な方法および/または材料を下記に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動、自動、またはそれらの組み合わせで実行または完了することを含み得る。更に、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の器具類および設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウエア、もしくはファームウェア、または、オペレーティングシステム、またはそれらの組み合わせを使用して実施され得る。
例えば、本発明の実施形態において選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として提供してもよい。ソフトウエアとしては、本発明の実施形態において選択されたタスクを、任意の好適なオペレーティングシステムを使用して、コンピュータにより実行される複数のソフトウエア命令として提供してもよい。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、複数の命令を実行するための計算プラットフォーム等のデータプロセッサにより実行される。データプロセッサは、命令および/またはデータを格納する揮発性メモリ、ならびに/もしくは、命令および/またはデータを格納する不揮発性記憶装置、例えば磁気ハードディスクおよび/またはリムーバブルメディアを含んでもよい。
ネットワーク接続が提供されてもよい。ディスプレイおよび/またはキーボードもしくはマウス等のユーザー入力装置が提供されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態について、その例示のみを目的として添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下、特に図面を詳細に参照して示す細部は、例示を目的とし、また本発明の実施形態の詳細な説明を目的とすることを強調する。同様に、図面と共に説明を見ることで、本発明の実施形態をどのように実践し得るかが当業者には明らかとなる。
図1は、本発明の実施形態に基づく、食品を製造するための例示的なプロセスを表すフローチャートである。
図2Aおよび図2B(従来技術)は、一切れのチーズの食感(texture)に関わる性質を解析するための例示的な装置一式(set−up)の模式図およびTPA測定において得られる例示的なデータである。
図2Aおよび図2B(従来技術)は、一切れのチーズの食感に関わる性質を解析するための例示的な装置一式の模式図およびTPA測定において得られる例示的なデータである。
図3A〜Fは、TPA測定に使用した装置の写真(図3A)、および本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1〜4および5、それぞれ図3B〜F)のTPA測定で得られたデータを示す。
図3A〜Fは、TPA測定に使用した装置の写真(図3A)、および本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1〜4および5、それぞれ図3B〜F)のTPA測定で得られたデータを示す。
図3A〜Fは、TPA測定に使用した装置の写真(図3A)、および本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1〜4および5、それぞれ図3B〜F)のTPA測定で得られたデータを示す。
図3A〜Fは、TPA測定に使用した装置の写真(図3A)、および本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1〜4および5、それぞれ図3B〜F)のTPA測定で得られたデータを示す。
図3A〜Fは、TPA測定に使用した装置の写真(図3A)、および本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1〜4および5、それぞれ図3B〜F)のTPA測定で得られたデータを示す。
図3A〜Fは、TPA測定に使用した装置の写真(図3A)、および本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1〜4および5、それぞれ図3B〜F)のTPA測定で得られたデータを示す。
図4は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1)のSEM画像である。
図5は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル2)のSEM画像である。
図6は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1:左の画像、サンプル4:右の画像)の比較SEM画像である。
図7は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル4)のSEM画像である。
図8は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル5)のSEM画像である。
図9は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル1:左の画像、サンプル6:右の画像)の比較SEM画像である。
図10は、本明細書においてサンプル5および6と称する、本発明の実施形態に基づく例示的な食品バーを摂取した後に測定した血糖値を、対照デキストロースと比べた、比較プロットを示す。すべての食事が25gの利用可能な炭水化物を含んでいた。データは平均±SEMで表した。
図11は、本明細書においてサンプル7と称する、本発明の実施形態に基づく例示的な食品バーを摂取した後に測定した血糖値を、対照デキストロースと比べた、比較プロットを示す。すべての食事が25gの利用可能な炭水化物を含んでいた。データは平均±SEMで表した。
図12は、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル7)のSEM画像である。
図13Aは、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル7)のSEM画像である。
図13Bは、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル7)のSEM画像である。
図13Cは、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル7)のSEM画像である。
図13Dは、本発明のいくつかの実施形態に基づく例示的な食品(サンプル7)のSEM画像である。
発明の詳細な説明
本発明は、そのいくつかの実施形態において、食品、限定的ではないが、より具体的には、所望の官能的特徴、低糖含有量、低血糖指数および低水分活性を有するフリーズドライでんぷん食品、その製造プロセス、および当該プロセスで使用可能な中間組成物に関連する。
本発明の少なくとも1種の実施形態について詳細に説明する前に、本発明の用途は、以下の説明または実施例による例示に必ずしも限定されるものではないことを理解されたい。本発明は他の実施形態あるいは種々の方法で実施または実行することが可能である。
食事の代替となる、結着剤(バインダー)としての糖類の使用の必然性を回避することのできる食品バー(例えば、栄養補助バー)などの食品を探索するために、本発明者は、このような食品を得るための新規な方法を設計し、その実施に成功した。当該方法は、少ない糖含有量で望ましい官能的性質を維持する。
本発明者は、でんぷんを結着剤として使用することを想到し、種々の方法を検討する際に、でんぷん含有物質を、任意で油性(脂肪性)食物の存在下、水中で加熱して得られたでんぷん含有調製物から製造した乳剤をフリーズドライ工程に付すことで、望ましい官能的および栄養的性質を有する製品が得られることを見出した。本発明者は、でんぷん調整物と油状物質との組み合わせが、他の試験した組み合わせと比べて、望ましい透明の外観となめらかな食感とを有する製品をもたらすことを見出した。
本発明者は、このような方法を使用しながらも、糖をベースとする結着剤を使用する製品と比べて低糖含有量の製品を得ることをさらに実現した。
本発明者は、糖をベースとする結着剤を用いて加工した際に食品原料が受け得る望ましくない変化とは逆に、製造工程で使用する緩やかな条件故に、食品に添加された食品原料はその官能的および栄養的性質を維持させることをさらに実現した。
よって本発明の実施形態は、新規なフリーズドライ食品(例えば、栄養)製品、およびその製造プロセスに関する。本発明の実施形態は、さらにフリーズドライ食品の製造に使用可能な組成物(調製物)に関する。
食品:
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、フリーズドライ食品が提供される。
本明細書において、「食品」という用語は、製品を形成するように結合された少なくとも2種の食品(食用)原料を含む、食用製品である。この表現は、加工食品(食用)原料に関連するものであり、少なくとも2種の食品原料は互いに結合されている。いくつかの実施形態において、少なくとも2種の食品原料は、物理的な相互作用によって結合されている、即ち、原料は、互いに化学結合によって結合されているのではなく、食品内で場合によっては互いに接した状態で、保持されている。いくつかの実施形態において、食品原料の1種が、他の原料を結合させる結着剤として機能する。いくつかの実施形態において、食品原料の1種は、1種以上の他の食品原料の中に分散しているまたは内包されている。
本実施形態の食品は、炭水化物および脂肪を含み、任意で、タンパク質、糖類およびミネラルといった他の栄養成分を含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品中の炭水化物の総量は、食品の総重量に対して少なくとも20重量%である。
いくつかの実施形態において、食品中の炭水化物の総量は、食品の総重量に対して、少なくとも24重量%、少なくとも25重量%、少なくとも27重量%、少なくとも29重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%または少なくとも40重量%である。
いくつかの実施形態において、食品中の炭水化物の総量は、食品の総重量に対して、20〜60重量%、または25〜60重量%、または30〜60重量%、または30〜50重量%、または20〜50重量%、または25〜50重量%の範囲である、あるいは30または50重量%である。
本明細書を通じて、「炭水化物」という用語は、主として炭素原子、酸素原子および水素原子を含む材料(分子)を包含し、典型的には、ポリヒドロキシアルデヒド、ケトン、アルコール、酸、およびこれらの単純な誘導体、およびアセタール結合を有してもよいこれらの重合体を包含する。炭水化物は、典型的には、糖類およびオリゴ糖を含む単純な炭水化物と、主として多糖を含む複雑な炭水化物とに分けられる。
糖類は、典型的には単糖類、二糖類およびポリオール類を含む。単糖類は、加水分解によってさらに分解することのできない単一のサッカライド(糖)分子からなる。例として、グルコース、ガラクトース、果糖およびキシロースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。二糖類は、互いに結合した2つの単糖分子からなる。例としては、ショ糖、乳糖、マルトースおよびトレハロースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリオール類は、複数のヒドロキシ基を有する分子であり、ソルビトールおよびマニトールが例示できるが、これらに限定されるものではない。
食品に関連する「糖含有量」という用語は、FDAおよびイスラエルの規制当局(保健省、食品管理事業)といった管理機関によって示されているように、一般的に、そして本実施形態の関連において、単糖類および二糖類の合計値を包含する。
オリゴ糖は典型的には、互いに連結した3〜10の単糖単位を含み、例えば、マルトデキストリン等のマルトオリゴ糖およびラフィノース、スタチオースおよびフルクトオリゴ糖等のオリゴ糖が挙げられる。
多糖は、互いに連結した10超の単糖単位を含み、数ダースまたは数百の単糖単位を含むことができる。多糖は直鎖上でも分岐状でもよく、窒素および硫黄などの他の原子をさらに含むこともできる。最も多く存在する多糖はでんぷんであると知られており、例えば、アミロース、アミロペクチンおよび修飾でんぷんが挙げられる。他の例示的な多糖には、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンおよびハイドロコロイドが含まれるが、これらに限定されるものではない。
炭水化物も、消化性炭水化物と、炭水化物繊維または単に繊維とも呼ばれる非消化性炭水化物とを包含する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、脂肪の総量(飽和および不飽和脂肪を含む)は、食品の総重量に対して、少なくとも20重量%である。
いくつかの実施形態において、脂肪の総量は、食品の総重量に対して少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、脂肪の総量(飽和および不飽和脂肪を含む)は、食品の総重量に対して、70重量%以下、好ましくは60重量%以下、または50重量%以下、または45重量%以下である。
いくつかの実施形態において、食品中の脂肪の総量の範囲は、食品の総重量に対して、20〜50重量%、または20〜45重量%、または30重量%または45重量%であり、これらの中間値および副範囲も含む。
本願明細書を通じて、「脂肪」という用語は、いかなる食用脂質物質をも包含し、トリグリセリド、脂肪酸またはそのエステルを含む他の物質、ステロイドなどの他の脂質および/または油が挙げられる。脂質は、典型的には、有機溶媒に溶解性で水に不溶性である疎水性物質であり、言い換えれば、(オクタノール/水に対する)LogP値が1を超える物質である。脂質は、室温で固体の脂肪性物質と、室温で液体または半固体であるものとに分けることができる。室温で液体または半固体である脂肪性物質(脂肪類、脂質類)は、本願明細書および当業界において「油」または「油状物質」または「油性食品物質」と称する。
脂肪類には、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸およびトランス脂肪酸を含む物質が包含される。脂肪は、植物性、鉱物性または動物性の資源に由来するものであり得る。食用の脂肪は、典型的には植物性または動物性の資源から誘導したものである。
本願明細書に記載した食品中の脂肪は、製品に添加される油状物質および/または脂肪に富んだ食品原料(種子、ある種の果物および野菜、およびある種の乳性物質)が食品に添加されたときに得ることができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対する糖の総量は、20%以下、好ましくは18%以下、または16%以下、または15%以下、または12%以下、または10%以下である。
いくつかの実施形態において、本実施形態の食品に含まれる糖類は、果物および野菜といった、食品に添加される食品原料に由来するものであり、これは最終製品において、食品原料を結着させるために糖類を使用する現在入手可能な食品とは異なる。
特定の論理に縛られるものではないが、上記の背景技術の項で説明したように、現在入手可能な、本明細書で定義した食品は、食品に添加される食品原料中に存在する糖類に加えて、製品中の食品原料を結着させるために糖をベースとする物質を使用することから、典型的には非常に高い糖含有量を有することに着目した。よって、本明細書に記載した方法は、比較的糖含有量の低い食品の提供を有利に可能せしめる。
本明細書に記載した食品は、炭水化物および脂肪から作られており、任意でさらなる糖類、タンパク質およびミネラルを含んでもい。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、本明細書に記載の食品は、以下を含む:
食品の総重量に対して少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、例えば、20重量%〜60重量%、または30重量%〜50重量%の炭水化物であって、食品の総重量に対する糖の総量が20重量%以下、または18重量%以下、または16重量%以下、例えば、食品の総重量に対して10重量%〜16重量%である炭水化物、および
食品の総量に対して少なくとも20重量%、20〜60重量%、または20〜50重量%の脂肪。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は1種以上タンパク質をさらに含む。
これら実施形態のいくつかにおいて、食品の総重量に対するタンパク質の総量の範囲は、5重量%〜40重量%、または5重量%〜30重量%、または10重量%〜30重量%、または10重量%〜20重量%、または5重量%〜25重量%であり、これらの中間値および副範囲も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品はナトリウムなどのミネラルをさらに含む。
これら実施形態のいくつかにおいて、食品の総重量に対するミネラルの量は、1重量%未満であり、その範囲は、食品の総重量に対して、例えば、0.01〜1重量%、または0.01〜0.5重量%、または0.01〜0.2重量%、または0.05〜0.15重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
「フリーズドライされた」とは、製品がその製造過程の最終段階の1工程、好ましくは、製品に含まれる全ての食品原料を導入するときに、フリーズドライに付されていることを意味する。
当業界でよく知られているように、フリーズドライとは、水を含む製品または物質を冷凍し、その後に、典型的には減圧下に置くことで、水の昇華による乾燥を行う方法である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、本明細書に記載した食品は多孔質である。
「多孔質」とは、食品がバルクと、バルク内の空隙(孔、空間または穴)で構成されることを意味する。空隙は種々のサイズでよく、食品中に均一にまたは不規則に分布している。
本実施形態における多孔質製品は、製品の総体積に対する空隙の相対的な容量部分である空隙画分(多孔度)によって定義することができる。
いくつかの実施形態において、多孔質食品は、本明細書で定義した平均多孔度が少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%であり、且つ90%以下であり、その中間値および副範囲も含む。「平均多孔度」とは、製品の総容量に対する総空隙容量を意味し、製品の多孔度が不均一であることを考慮したものである。
いくつかの実施形態において、食品は、不均一な多孔度を有し、製品の1以上の部分において多孔度が30%以上であり、且つ製品の1以上の他の部分において多孔度が30%未満であり、孔無しでさえもよい。
いくつかの実施形態において、食品は、その少なくとも一部分(例えば、多孔度が0意外の部分)において、複数の孔を有し、それぞれの孔のサイズはそれぞれが独立して10〜500マイクロメートルまたは50〜350マイクロメートルである。
いくつかの実施形態において、引き延ばした球体のような円状の孔は略楕円孔であり、直角になる位置で孔から切り出した2枚の切り出しの直径は互いに異なるものである。いくつかの実施形態において、食品中の孔の少なくとも20%が楕円であり、いくつかの実施形態において、食品中の孔の少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%が楕円孔である。
いくつかの実施形態において、孔はそのサイズに応じて2以上の群に分けることができ、孔の1部は第1のサイズを有し、孔の少なくとも1種の他の部は、第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する。
いくつかの実施形態において、食品は以下の少なくとも2種の孔群を有する:少なくとも1つの寸法が200マイクロメートル未満である第1の孔群(小さい孔)、および少なくとも1つの寸法が200マイクロメートルを超える第2の孔群(大きな孔)。
これら実施形態において、孔を種々の群に分けるために用いられる寸法は、例えば、楕円の最大直径、楕円の最小直径、本明細書において「高さ」とも称する、楕円のある側面から別の側面までの距離の最大値であって、長手方向に楕円を横切る距離、および本明細書において「幅」とも称する、楕円のある側面から別の側面までの距離の最小値でもよい。
孔の寸法は当業界で公知の方法、例えば、孔のSEM画像を用いて測定することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書で定義した第2の群の大きな孔は、小さな孔よりもより引き延ばされた楕円である。引き延ばしの程度は、例えば、各群の孔の平均幅対高さ比によって決定することができる。
いくつかの実施形態において、より小さな孔の第1の孔群の平均幅対高さ比の範囲は、約0.4〜約1.0、または約0.5〜約0.8であって、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
いくつかの実施形態において、より大きな孔の第2の孔群の平均幅対高さ比の範囲は約0.05〜約0.6、または約0.08〜約0.5であって、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
特定の理論に縛られるものではないが、食品の孔構造は、少なくとも部分的に、フリーズドライプロセスの結果であると推測され、さらに、連続疎水性相に分散された水滴を含む乳剤のフリーズドライの結果であって、フリーズドライの過程の水の昇華によって孔が形成されると推測される。さらに特定の理論に縛られるものではないが、形成される孔のサイズおよび形状を決定する乳剤中の水滴のサイズおよび形状は、後でプロセスの観点から詳細に説明するが、乳剤の組成(例えば、乳剤中のゼラチン化でんぷんと水との比)、および/または乳剤に添加される場合は油状物質、および/または乳剤に含まれる場合は、食品添加物のサイズおよび形状によって支配されると予測される。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は、食品の総重量に対する食品の水含有量(水の量)が10重量%未満、または8重量%未満、または6重量%またはより低い値(例えば、1〜5重量%)によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は、比較的低い水分活性によって定義される。
「水分活性」という表現、略してAwは、食品中の有効な水を定義するために食品工業において広く使用される用語であり、高い水分活性は微生物の成長を支持することから、典型的には、時間に対する食品の安定性、またはその貯蔵寿命の指標となる。水分は、高い水分活性の原料から低い水分活性の原料へと移動する傾向にあり、このような移動は製品の官能的性質に影響を与え得るため、水分活性は、異なる原料を含む食品における水分移動の程度の指標にもなる。
水分活性は、物質中の水の部分蒸気圧を、標準状態の水の部分蒸気圧(典型的には、同じ温度における純水の蒸気圧)で除すことで決定する。ほとんどの場合、水分活性は食品の水含有量に比例しない。
水分活性値は広く知られた湿度計による測定、例えば、抵抗電解質系湿度計、容量系湿度計または露点湿度計を用いて決定される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の食品の水分活性は、後述する実施例の項で説明する装置を用いて決定したものである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は、0.5未満、または0.4未満、または0.3未満の水分活性によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は水分活性によって特徴づけられ、その範囲は0.05〜0.3、または0.05〜0.2、または0.08〜0.18、または0.1〜0.25、または0.15〜0.25、または0.2〜0.25であり、その中間値および副範囲も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は、炭水化物含有量の一部として、ゼラチン化でんぷんを含む。
「澱粉(amylum)」としても知られる「でんぷん(starch)」という用語は、本明細書および当業界で使用されるように、一般的には、互いにグリコシド結合で連結された多数のグルコース単位によって作られたポリマー状炭水化物を示す。純粋なでんぷんは、冷たい水およびアルコールに不溶性の、白く、味なし、匂いなしの粉末である。でんぷんは、典型的には生の農業資材、典型的には穀類、から抽出したものである。でんぷんは2種類の炭水化物からなる:主として直鎖である、らせん状のアミロース、および分岐鎖であるアミロペクチン。アミロースの分子量は、アミロペクチンのそれよりもはるかに小さい。
これら炭水化物の比は、でんぷんの由来する農業資源によって異なり、通常、約20〜約30重量%の範囲のアミロースおよび約70〜約80重量%のアミロペクチンである。しかしながら、より低いアミロース:アミロペクチン比のでんぷん源もいくつか存在し、これらにおいては、アミロースの含有量は20重量%未満であり、5重量%未満にもなり得る。
下記の表Iは、El Seoud et al., Molecules 2013, 18, 1270−1313から転記した、例示的な農業でんぷん源におけるアミロースとアミロペクチンとの重量比を示す。
農業資材においてでんぷん分子は、種々のサイズ(植物によるが、典型的には約2μmから100μmまでの範囲)の半結晶性顆粒として含まれている。
でんぷんに富んでいる、および/またはでんぷんを抽出するための資源として典型的に使用されている農業資材(例えば、植物)としては、メイズ(トウモロコシ)、麦、ジャガイモ、タピオカ、キヌアおよび米が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
でんぷんが水中で加熱されると、顆粒は吸水してはじけて、半結晶構造が失われ、より小さなアミロース分子が顆粒から浸出し、水を保持する繊維状ネットワークを形成して、混合物の粘度を増加させる。このプロセスを当業界においては、でんぷんのゼラチン化と称し、得られた「ヒドロゲル様」構造を、本明細書および当業界において「ゼラチン化でんぷん」と称する。ゼラチン化でんぷんが冷めると、元の半結晶構造が部分的に復活し、でんぷんペーストが濃くなって水をはじく。この現象をアミロースのレトログラデーションと呼ぶ。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量は、少なくとも20重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約15重量%〜約30重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約20重量%〜約30重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約15重量%〜約25重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約18重量%〜約22重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約20重量%〜約25重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、ゼラチン化でんぷんは、生の農業資材(例えば、植物)または加工材料またはそれらから製造した食品であるでんぷん含有物質から得ることができる。例示的なでんぷん含有物質としては、(でんぷん含有物質から抽出または合成によって製造した)純粋なでんぷん、白米、胚芽米、黒米、玄米、ワイルドライス、ジャスミンライス、バスマティライス、もち米(例えば、sticky sushi rice)および他のいかなる種類の米をも含み、いずれも通常の形状または短粒である米、および小麦、大麦、アマランサス、キヌア、オーツ麦、テフ、タピオカ、トウモロコシ、キビ、および他のでんぷんを含有する農作物とのいかなる組み合わせも挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、ゼラチン化でんぷんが得られるでんぷん含有物質は、1種のでんぷん含有物質を含むか、又は2種以上のでんぷん含有物質の混合物である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、2種以上のでんぷん含有物質の混合物も含むでんぷん含有物質は、アミロースおよびアミロペクチンの総重量に対する平均アミロース含有量が20重量%以下であるものから選択される。
特定の論理によって縛られるものではないが、アミロースはアミロペクチンよりも吸湿性が高いため、低アミロース含有量および低いアミロース対アミロペクチン比を有するでんぷん含有物質の使用は、最終フリーズドライ食品の吸湿性を下げて、改善された食感(乾燥した食感の少ない)最終フリーズドライ食品を提供するものと考えられる。さらに、いかなる特定の論理によっても縛られるものではないが、このような低アミロース−アミロペクチン比(即ち、低いアミロース含有量および高いアミロペクチン含有量)は、ゼラチン化でんぷんの結着能を増幅し、その結着機能を犠牲にすることなく、最終食品に使用するゼラチン化でんぷんの量を減らすことを可能にする。
「平均アミロース含有量」とは、(ゼラチン化前の)でんぷん含有物質の総重量に対する、総アミロース含有量である。重量パーセントで表されるこの平均含有量は、でんぷん含有物質中の、でんぷん含有物質の相対量(重量パーセント)×相対アミロース含有量(重量パーセント)を100で除することによって計算することができる。1種のでんぷん含有物質の場合、平均アミロース含有量は、物質中のアミロースの重量パーセントとなる。2種以上のでんぷん含有物質の場合、平均値は、各でんぷん含有物質の相対量(重量パーセント)×相対アミロース含有量(重量パーセント)の合計を100で除した値となる。例えば、アミロース含有量が第1の物質で50%、第2の物質で20%であり、それらの量が、第1の物質で20%および第2の物質で80%のとき、平均アミロース含有量は(50×20+20×80)100=26%となる。
含まれるアミロースの量が相対的に低い(例えば、アミロースおよびアミロペクチンの合計量に対して20重量%未満、または10重量%未満、または5重量%である)ことによって典型的に特徴づけられる例示的なでんぷん含有物質としては、例えば上記表Iに示したものと共に、キヌアなどの他の物質が挙げられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は、その総重量に対して、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%の、本明細書に記載の低アミロース含有量のでんぷん含有物質を含むか、あるいは低アミロース含有量のでんぷん含有物質である。
いくつかの実施形態において、でんぷん含有物質の本明細書で定義したアミロース含有量は、でんぷん含有物質の総重量に対して、20重量%未満、または10重量%未満、またはこれら以下である。
いくつかの実施形態において、でんぷん含有物質の本明細書で定義したアミロース含有量の範囲は、でんぷん含有物質の総重量に対して、約1重量%〜約20重量%、または約2重量%〜約20重量%、または約3重量%〜約20重量%、または約3重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約15重量%、または約3重量%〜約15重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
いくつかの実施形態においては、2種以上のでんぷん含有物質の混合物を使用し、物質およびでんぷん含有物質におけるそれらの相対量は、でんぷん含有物質中の平均アミロース含有量が、でんぷん含有物質の総量に対して、20重量%未満となるように選択する。
いくつかの実施形態において、でんぷん含有物質の混合物の本明細書で定義した平均アミロース含有量の範囲は、でんぷん含有物質の混合物の総重量に対して、約1〜約20重量%、または約2重量%〜約20重量%、または約3重量%〜約20重量%、または約3重量%〜約15重量%または約1重量%〜約15重量%、または約3重量%〜約15重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は米であるか、または米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は短粒米であるか、または短粒米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は胚芽米であるか、または胚芽米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は短粒米の胚芽米であるか、または短粒米の胚芽米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は白米である、または白米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は短粒米の白米(sticky sushi rice)である、または短粒米の白米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、対応する実施形態に関連して本願で記載したような米の混合物であるか、または米の混合物を含み、1種以上の他のでんぷん含有物質をさらに含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、対応する実施形態に関連して本願で記載したような米の混合物であるか、または米の混合物を含み、本明細書に記載したようにアミロース含有量が比較的低い、1種以上の他のでんぷん含有物質をさらに含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、対応する実施形態に関連して本願で記載したような米の混合物であるか、または米の混合物を含み、キヌアをさらに含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、でんぷん含有物質の総重量に対して10重量%〜50重量%の米および50重量%〜90重量%のキヌアを含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、でんぷん含有物質の総重量に対して60重量%〜80重量%(例えば、約70重量%)のキヌア、および20重量%〜40重量%(例えば、約30重量%)の米を含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質中の米とキヌアの重量比の範囲は、1:1〜1:3であり、例えば、1:1、1:2、2:3または3:4となり得る。
でんぷん含有物質として米およびキヌアの混合物を用いる、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、米は白米であり、好ましくは本明細書に記載の短粒米である。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、対応する実施形態に関連して本願で記載したような米と、1種以上の、本明細書に記載の比較的低いアミロース含有量の他のでんぷん含有物質との混合物であるか、または混合物を含み、各でんぷん含有物質の相対量は、対応する実施形態に関連して本願で記載したように、でんぷん含有物質の混合物の平均アミロース含有量が20重量%未満となるように選択する。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、でんぷん含有物質の総重量に対して、10重量%〜50重量%の米と、50重量%〜90重量%の本明細書に記載の低アミロース含有量(例えば、20重量%未満)のでんぷん含有物質とを含む。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質は、でんぷん含有物質の総重量に対して、60重量%〜80重量%、例えば、約70重量%)の本明細書に記載の低アミロース含有量のでんぷん含有物質と、20重量%〜40重量%(例えば、約30重量%)の米とを含む。
例示的な実施形態において、米の種は、高アミロペクチン:アミロース含有量を有するものを選択する。
例示的な実施形態において、でんぷん含有物質内の米と、本明細書に記載の低アミロース含有量のでんぷん含有物質との重量比の範囲は1:1〜1:5であり、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:3、2:5、3:5、4:5または3:4となり得る。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品中のゼラチン化でんぷんとは、でんぷんの半結晶構造の分解された形態であり、でんぷん含有物質を水中で加熱したとき、および得られたゼラチン化でんぷんをフリーズドライに付したときに、利用可能な水(食品原料の内部に含まれていない水)の大部分(例えば、少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、またはこれ以上)が除去されることで形成されるものである。特定の論理に縛られるものではないが、食品中のゼラチン化でんぷんは、でんぷんのゼラチン化の際に形成される繊維状の三次元網目構造を有し、その中にでんぷん分子および食品に含まれる他の食品原料が内包されていると考えられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は少なくとも1種の油性食品物質を含む。
本発明者らは、油性食品物質の添加は、食品の食感を高めることを見出した。
「油性食品物質」、ここでは「油状物質」または「液状脂肪性物質」とも称するは、本明細書で定義した脂質または脂肪であって、室温で液体または半固体のものを意味する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対する油性食品物質の量は少なくとも5重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品の総重量に対する油性食品物質の量の範囲は、5%〜25%、または5%〜20%、または5%〜15%、または8%〜25%、または8%〜20%、または5%〜10%、または8%〜10%であり、その中間値および副範囲も含む。
本実施形態に関連して使用可能な例示的な油性食品物質としては、植物油、タヒニ、ナッツバター(例:アーモンドバター)、ナッツペースト(例:アーモンドペースト)、種子バター、マヨネーズ、油性乳性物質、魚油、ギーおよび食用の鉱物油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例示的な植物油として、オリーブ油、キャノーラ油、ココナッツ油、菜種油、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、サフラン油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、パーム油、ヒマワリ油およびこれらのいかなる組み合わせも挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに例示的な植物油としては、アーモンド油、ビーチナッツ油、ブラジルナッツ油、カシューナッツ油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、モゴンゴナッツ油(またはマンケッチ(manketti)油)、ピーカンナッツ油、松の実油、ピスタチオ油、クルミ油、およびカボチャ種子油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに例示的な植物油としてはグレープフルーツ種子油、レモン油およびオレンジ油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに例示的な植物油としては、メロンおよびウリ科植物の種子から誘導されるものであり、Momordica charantiaの種子から得られるニガウリ油、Lagenaria sicerariaの種子から抽出されるユウガオ油、Cucurbita foetidissimaの種子から得られるバッファローゴード油、Cucurbita moschataの種子から得られるバターナッツカボチャ種子油、Cucumeropsis mannii naudinの種子から得られるエグシ(Egusi)種子油、カボチャ種子油、Citrullus vulgarisの種子から圧搾されるスイカ種子油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに例示的な植物油としては、アサイー油、ブラックシード油、ブラックカラント種子油、ボラージ種子油、イブニングプリムローズ油、フラックスシード油(アマニ油とも呼ばれる)、アマランサス油、アンズ油、リンゴ種子油、アルガン油、アボカド油、ババスー(Babassu)油、ベン油、ボルネオタローナッツ油(Borneo tallow nut oil)、ケープチェスナッツ油(Cape chestnut oil)、キャロブマメ油(アロガロバオイル)、カカオバター、オナモミ油、 コフネヤシ油、コリアンダー種子油、デーツ種子、ディカ(Dika)油、アマナズナ油、グレープシード油、ヘンプ油、カポック種子油、ケナフ種子油、ラレマンティア(Lallemantia)油、マフラ(Mafura)油、マルラ(Marula)油、メドウフォーム種子油、マスタード油、ニガー(Niger)種子油、ナツメグバター、オクラ種子油、パパイヤ種子油、ぺリラ(Perilla)種子油、カキ種子油、ペキ(Pequi)油、ピリナッツ(Pili nut)油、ザクロ種子油、ポピー種子油、プラカシー(Pracaxi)油、プルーン仁油、キヌア油、ラムティル(Ramtil)油、米胚芽油、ロイル(Royle)油、サチャインチ油、サポテ油、セジェ(Seje)油、シアバター、タマリラ(Taramira)油、チャ種子油(ツバキ油)、アザミ油、タイガーナッツ油(またはショクヨウガヤツリ油)、タバコ種子油、トマト種子油、および小麦胚芽油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に関連して使用可能なナッツバターとしては、ピーナッツバター、アーモンドバター、カシューナッツバター、マカダミアナッツバター、ピーナッツバター、ピーカンナッツバター、ピスタチオバターおよびクルミバターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に関連して使用可能なナッツペーストとしては、ピーナッツペースト、アーモンドペースト、カシューナッツペースト、マカダミアナッツペースト、ピーナッツペースト、ピーカンナッツペースト、ピスタチオペーストおよびクルミペーストが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において「ペースト」とは、平均粒子径が50マイクロメートル以下、あるいは40、30、または20マイクロメートル以下の細かいバター状の製品を意味する。
本実施形態に関連して使用可能な種子バターとしては、カボチャ種子バター、ヒマワリ種子バター、ゴマ種子バター(タヒニ)、ダイズバター、および他の食用種子から製造された他のバターが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態のいくつかに係わる油状物質としては、脂肪(schmaltz)や魚油などの動物油、あるいは乳性油状物質(ウシ、ヤギ、ヒツジ、水牛、ウマ、ラクダ等の動物乳を含む)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
乳性油状物質とは、脂肪が少なくとも1重量%、例えば、脂肪分が1、3、5、9、15、25、30重量%またはこれ以上のものを表し、その中間値および副範囲も含む。
例示的な乳性物質としては、スキムミルク、無調整乳、バターミルク、生クリーム、バター、チーズ、ホエイ、およびヨーグルト、並びに上記のいずれかの粉末が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例示的な乳性油状物質としては、スキムミルク、無調整乳、バターミルク、生クリーム、バター、ホエイ、およびヨーグルトが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油性乳性物質はヨーグルト、例えば、脂肪分1〜10%または1〜5%のヨーグルトである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油状物質はオリーブ油である、またはこれを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油状物質はタヒニである、またはこれを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油状物質はオリーブ油およびヨーグルトである、またはこれらを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油状物質は、オリーブ油およびタヒニである、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はナッツバターまたはペースト、例えば、アーモンドペーストである、またはこれを含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、油状物質はオリーブ油およびナッツバターまたはペースト、例えば、アーモンドペーストである、またはこれらを含む。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、本明細書で定義した、下記を含むフリーズドライ食品を提供する:
本明細書において対応する実施形態で定義した食品の総重量に対して、少なくとも20重量%の、本明細書で定義し、いずれかの対応する実施形態で説明したゼラチン化でんぷん、ならびに
本明細書において対応する実施形態で定義した食品の総重量に対して、8重量%の、本明細書において定義し、対応する実施形態で説明した油性食品物質、及びこれらの組み合わせ。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約20〜約30重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約20〜約25重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんは、対応する実施形態において、本願で定義し記載したようなでんぷん含有物質から得ることができる。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、でんぷん含有物質は米、例えば、短粒米の胚芽米である、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、でんぷん含有物質は米(例えば、対応する実施形態に関連して本願で記載したような短粒米の白米およびキヌアの混合物)である、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、食品の総重量に対する油性食品物質の量の範囲は、5〜25%、または5〜20%、または5〜15%、または8〜25%、または8〜20%であり、その中間値および副範囲も含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質は乳性油状物質であるかまたはこれを含み、いくつかの実施形態において乳性油状物質はヨーグルト、例えば、脂肪分1〜10%または1〜5%のヨーグルトである。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はオリーブ油である、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はタヒニである、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はオリーブ油およびヨーグルトである、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はオリーブ油およびタヒニである、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はナッツのバターまたはペースト、例えば、アーモンドペーストである、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質は本明細書に記載のナッツのバターまたはペースト、例えば、アーモンドペーストである、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんおよび油状物質を含む食品は、本明細書において対応する実施形態およびそれらの組み合わせによって定義した多孔質であり、いくつかの実施形態において、孔は、本明細書に記載の多孔質食品に関連する対応する実施形態において記載した平均サイズ、サイズ群、形状および寸法を有する。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんおよび油状物質を含む食品は、フリーズドライ食品に対応する実施形態およびそのいかなる組み合わせに関連して本願で記載した炭水化物、脂肪および糖類を含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、本明細書に記載の食品の総重量に対する糖の総量は、20重量%未満、または18重量%未満、または16重量%未満、または15重量%未満である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、本実施形態のフリーズドライ食品は、食品原料、即ち、ゼラチン化でんぷんおよび/または油状物質以外の食品原料をさらに含む。食品原料は、食品中の炭水化物、脂肪および/または糖類の一部であるが、でんぷんベースに加えられる追加原料を表す。このような食品原料は、本明細書において「添加食品原料」または「食品添加物」または「食品成分」と称する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、添加食品原料は、栄養的利点、味および/または香りを提供するために食品に添加される。
例示的な食品原料としては、果物、野菜、ナッツ、種子、豆類、チーズなどの固体および半固体の乳性物質、オリーブ、ハーブ類、はちみつおよび調味料成分または原料、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
調味料成分としては、塩、こしょう、ニンニク、ケチャップ、茶抽出物、濃縮果汁(例えば、濃縮レモン果汁)、酢および他のスパイス類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フリーズドライ食品に添加される任意の食品原料は、完全な食品原料(例えば、ホールのナッツ、ホールの種子、ホールの果物、ホールのオリーブ、ホールの野菜)、カット済み食品(例えば、カット果物、カット野菜、カットハーブ類、カットチーズ、カットナッツ)、粉砕した食品原料(例えば、粉砕した果物、粉砕したニンジンや粉砕したビーツ等の粉砕した野菜)、マッシュされた食品(例えば、マッシュドポテト、トマトピューレ、ポテトピューレ、マッシュされた豆類、マッシュされたグリーンピース、マッシュされたレンズ豆、マッシュされたナス、オリーブのスプレッドまたはペースト)、破砕(smashed)食品(例えば、破砕種子、破砕ナッツ、破砕ハーブ類、破砕調味料成分)、マリネされた食品(例えば、マリネされたオリーブ、マリネされた唐辛子、マリネされたトマト)、粉末類(例えば、粉末種子、粉末調味料、粉末ハーブ類)、シロップ類(例えば、メープルシロップ、ケチャップ、茶抽出物濃縮液)、およびペースト類(例えば、オリーブペースト、トマトペースト)等でもよい。
任意の食品原料は、新鮮食品原料、凍結食品原料、加熱済食品原料、乾燥食品原料、再加水乾燥食品、および他の形状の加工食品でもよい。
食品原料は水(例えば、新鮮な果物および野菜の場合)を含んでいても良く、このような食品成分からは、食品成分の性質に応じて、フリーズドライの工程においていくらかの水の消失(脱水)が起こり得ることに着目されたい。本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料は非合成物、即ち、農業原料(例えば、植物)または動物原料由来であり、滅菌、抽出などのマイルドな処理に付されているか、処理なしのものである。
いくつかの実施形態において、食品原料は、化学合成の使用および/または化学的処理によって合成的に製造されたものではない。
いくつかの実施形態において、食品原料は、イスラエル規格学会(Standards Institution of Israel)のイスラエル規格SI 1145によって定義される、天然食品原料である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、本明細書に記載の任意のフリーズドライ食品は、製品に所望の栄養的および/または官能的性質を付与することのできる、付加的な食用成分をさらに含んでもよい。例示的なこのような成分としては、ビタミン、ミネラル等が挙げられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品原料または他の食用成分が食品に含まれているときには、当該食品は、原料が未処理のときに示す性質と実質的に同じである、少なくとも1種の官能的および/または栄養的性質を有する。即ち、フリーズドライ食品に含まれていない、同じ形状の同じ原料と比べたときに、食品に含まれた原料に生じる性質の変化は、20%未満、または10%未満、または5%未満、または2%未満、または1%未満、または無しである。これは当該性質が定量的に測定可能であり、且つ定性的に測定した際には有意差とならない場合である。いかなる特定の論理によっても縛られるものではないが、これらの性質におけるこのような少量の変化または変化無しは、食品を得るためのデリケートな処理条件の結果であり、食品原料は、それが添加された段階から製品が最終化されるまでの間の混合工程およびフリーズドライ工程のみを経験することができる。このようなマイルドな処理が、食品成分の官能的および栄養的性質を実質的に変化させることなく維持するのに寄与する。
本明細書および当業界で使用されるように、食品に関連した官能的性質は、個体の感覚によって認識される任意の性質を包含し、ここで言う感覚とは、味覚(舌および口蓋で感知)、視覚(外観、目によって感知)、嗅覚(匂い、香り、鼻で感知)、触覚(手で感知)および食感(渋み、口で感知)である。本発明のいくつかの実施形態において、個体はヒト対象である。
香り等の性質、透明度、不透明度、色の濃さといった外観に関わる特徴、粒子径といった触感および食感に関わる特徴、またはこれら性質の変化は、当業者に知られている定量解析方法によって決定することができる。
その他の性質または性質の変化は、典型的には、試験した食品に関する明確且つ比較可能な情報を得るために、訓練を受けた個人のパネルによって、実証済みで同一の試験方法を用いて実施される官能評価試験によって決定される。典型的には、このような試験に参加する各パネリストは、自らの知見を記入するためのスコアシートを使用し、その後、個別の試験商品のそれぞれについて、パネリストのチームのスコアシートを解析する。
一般的な試験方法としては、単純な差異の評価のためにパネリストに2つの符号付けしたサンプルを提示する、単純な差異のための一対比較試験や、2つが同一で1つが異なる、3つの符号付けしたサンプルを同時に提示し、パネリストは異なるサンプルを同定するよう求められる三点比較法や、サンプルの許容性または好ましさを決定するために試験する、快−不快尺度定格試験または許容試験が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
官能評価は、上記に加えて、又はその代わりに、電子舌(e−舌)および/または電子鼻(e−鼻)等の電子センサーを用いて行うこともできる。例示的なこのようなセンサーは、例えば、Baldwin et al., Sensors (Basel).2011; 11(5): 4744―4766に記載されている。
食感に係る性質は、典型的には、後述する実施例でさらに詳細に説明するTPAによって決定する。
本明細書および当業界で使用されるように、栄養的性質は、対象が消費した食品が対象の成長、身体の健康および心の健康に与える影響を包含する。栄養的性質は、典型的には、食品の栄養組成によって決定される。
本実施形態の文脈において、栄養的性質の変化は、食品または食品成分の栄養組成を決定するための、当業界で知られている技術または方法によって測定可能である。
本実施形態の文脈において、食品成分の栄養的性質の変化の比限定的な例示には、食品成分の糖含有量の変化、食品成分の炭水化物含有量の変化、飽和および不飽和脂肪の比率の変化などが挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態における態様において、本明細書で定義したフリーズドライ食品を提供する。当該フリーズドライ食品は、本明細書で定義した、ゼラチン化でんぷんおよび少なくとも1種の食品原料を含み、食品は、本明細書で定義したように、その食品原料が少なくとも1種の官能的および/または栄養的性質を有し、少なくとも1種の性質が、前記食品原料が未加工の状態で示す性質と実質的に同一である。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんは、本明細書において対応する実施形態で定義した通りである。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんの量は、本明細書において対応する実施形態で定義した通りである。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんの量は、本明細書において対応する実施形態で定義したように、食品の総重量に対して少なくとも20重量%である。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約20重量%〜約30重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、食品の総重量に対するゼラチン化でんぷんの量の範囲は、約20重量%〜約25重量%であり、そのいかなる副範囲および中間値も含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんは、本明細書において対応する実施形態で定義したように、でんぷん含有物質から得ることができる。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、でんぷん含有物質は、対応する実施形態に関連して本願で記載したように、米、例えば、短粒米の胚芽米、または米(例えば、短粒米の白米)とキヌアとの混合物である、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、でんぷん含有物質は、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したように、でんぷん含有物質の総重量に対する平均アミロース含有量が20重量%未満のものである。
本発明のこのような態様に関連して記載した任意の実施形態において、食品は、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したような油状物質をさらに含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した任意の実施形態において、食品の総重量に対する油性食品物質の範囲は、5%〜25%、または5%〜20%、または5%〜15%、または8%〜25%、または8%〜20%、または8%〜15%、または8%〜12%であり、その中間値および副範囲も含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質は、ヨーグルト(例えば、脂肪分1〜10%または1〜5%のヨーグルト)等の油性乳性物質である。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はオリーブ油である、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はタヒニである、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はヨーグルトである、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はオリーブ油およびヨーグルトである、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質はナッツバターまたはペースト(例えば、アーモンドバターまたはペースト)である、またはこれを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、油状物質は、本明細書に記載のように、オリーブ油およびナッツバターまたはペースト(例えば、アーモンドペースト)である、またはこれらを含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんおよび食品原料を含む食品は、本明細書において対応する実施形態およびそれらの組み合わせで定義した多孔質であり、いくつかの実施形態において、孔は、本明細書に記載の任意の多孔質食品に関連した対応する実施形態について本願で記載した平均サイズ、サイズ群、形状および寸法を有する。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、ゼラチン化でんぷんおよび食品原料を含む食品は、フリーズドライ食品について本明細書に記載した、炭水化物、脂肪および糖類を含む。
本発明のこのような態様に関連して記載した実施形態において、食品の総重量に対する糖の総量は、本明細書に記載のように、20重量%未満、または18重量%未満、あるいは16重量%または15重量%である。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、本明細書において対応する実施形態で定義したゼラチン化でんぷんを含み、対応する実施形態に関連して本願で記載した炭水化物含有量、脂肪含有量および/または糖含有量を有する、フリーズドライ食品を提供する。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、本明細書において対応する実施形態で定義したゼラチン化でんぷん、本明細書において対応する実施形態で定義した油状物質、および本明細書において対応する実施形態で定義した食品原料を含む、フリーズドライ食品が提供される。
本発明の当該態様におけるいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品は、本明細書において対応する実施形態で定義した多孔質製品である。
本発明の当該態様におけるいくつかの実施形態において、各成分の量は本明細書において対応する実施形態で定義した通りである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、本明細書に記載の任意のフリーズドライ食品は多孔質であり、下記特徴の少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、またはすべてを満たす:
サイズの範囲が10〜500マイクロメートルまたは50〜350マイクロメートルである孔を有する、および/または
対応する実施形態に関連して本願で記載したサイズ群、形状および寸法の孔を有する、および/または
水分活性が0.5未満、または0.4未満、または0.3未満である、および/または
食品の総重量に対する炭水化物含有量が、対応する実施形態に関連して本願で記載したように、少なくとも20重量、または少なくとも30重量%である、および/または
食品の総重量に対する脂肪含有量が、対応する実施形態に関連して本願で記載したように、少なくとも10重量%である、および/または
食品の総重量に対する糖類の総量が、対応する実施形態に関連して本願で記載したように、20重量%未満である、および/または
血糖指数が50未満、または40未満、または30である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は、下記の食感特性の1種以上によって特徴づけられる:
TPA試験で定義した硬度が、30N〜200Nまたは60N〜150Nである、および/または
TPA試験で定義した接着性が、0.05〜0.3、または0.1〜0.3、または0.08〜0.25、または0.12〜0.25である、および/または
TPA試験で定義した粘り気が、5N〜50N、または8N〜40Nである、または10N〜40Nである、および/または
TPA試験で定義した弾力性が、0.2〜1または0.3〜0.8である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は、50未満、あるいは40未満または30未満の血糖指数によって特徴づけられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品を特徴付ける血糖指数の範囲は、20〜50、または20〜40、または25〜40であり、それらの中間値および副範囲も含む。
上記特徴およびその決定方法は、後述する実施例においてさらに詳細に説明する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、本明細書に記載したフリーズドライ食品は酵素を含んでいない。いくつかの実施形態において、食品は、プロテアーゼ、アミラーゼ、グルコースイソメラーゼおよびアミログリコシダーゼの1種以上または全てを含んでいない。
いくつかの実施形態において、食品は、炭水化物に対して加水分解活性を示す酵素を含んでいない。
いくつかの実施形態において、食品は、ゼラチン化でんぷんを含むでんぷんに対して加水分解活性を示す酵素を含んでいない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品はサッカリダーゼを含んでいない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品はアミラーゼを含んでいない。
アミラーゼ(EC 3.2.1.1)は、多糖を開裂させるサッカリダーゼに分類される酵素である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品はアルファ−アミラーゼを含んでいない。
例示的なアルファアミラーゼとしては、Valley Research社のValidase HT 425LとValidase RA、Novozymes社のFungamyl、およびDSM社のMATSが挙げられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品はアミノグリコシダーゼを含んでいない。
アミログリコシダーゼ(EC 3.2.1.3)は、でんぷん、マルトデキストリンおよびマルトースの非還元末端からグルコース単位を加水分解して、多糖鎖からグルコース残基を放出させる酵素である。
本願明細書を通じて、「含んでいない」という表現は、食品の総重量に対して1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満、または0.05重量%未満、または0.01重量%未満、または無しであることを意味する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は加水分解でんぷんを含んでいない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品に含まれるの加水分解でんぷんは、5%以下、または3%以下、または1%以下である。
これら実施形態の任意のいくつかにおいて、加水分解でんぷんは、加水分解的分解、例えば、サッカリダーゼによる酵素的加水分解を経たゼラチン化でんぷんである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は乳化剤を含んでいない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品は、抗酸化剤、保存料、着色料および同様の合成添加物をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、食品の総重量に対するこのような添加物の量は、0.001〜約5重量パーセント、または0.01〜約2重量パーセント、または0.01〜約1重量パーセント、または0.01〜約0.1重量パーセントである。
例示的な実施形態において、本発明のフリーズドライ食品は、後述する実施例に示した表3A、5A、6Aまたは14Aに列挙した原料を含む、またはこれらからなる。
例示的な実施形態において、本実施形態のフリーズドライ食品は、後にさらに詳細に定義および説明する乳剤混合物のフリーズドライによって得られ得るものであり、乳剤混合物は、後述する実施例に示した表1、2、3、4、5、6または14に列挙した原料を含む、またはこれらからなる。
本明細書に記載の任意の食品は棒状の形状でもよく、スナックバー類、栄養食品バー、食品バー等とすることができる。バーはいかなる形状でもよく、例えば、長方形、楕円形、球形、円筒形、ピラミッド形等の形状とすることができる。
また、食品は、粒状製品でもよく、例えば、フレーク状、顆粒状、ペレット状に成形することもできる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、食品は、自らが内包または封入されるパッケージ材料をさらに含む。パッケージ材料は透明でも不透明でもよく、食品と共存可能であり且つ不活性な、許容可能な材料または材料の組み合わせによって作製されたものでもよい。当業者は適切なパッケージ材料を容易に決定することができる。
いくつかの実施形態において、パッケージ材料はガス不透過性および/または水不透過性である。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、本明細書において対応する実施形態で定義した食品と、食品を内包する、本明細書において対応する実施形態で定義したパッケージ材料とを含む、パッケージ化食品が提供される。
プロセスおよび中間組成物:
本発明者は、所望の官能的および栄養的性質を示しながらも、糖の結着材としての使用を回避することのできる食品を探索するために鋭意研究を実施し、そしてこれら研究に基づき、所望の製品を提供する最適なプロセスを設計した。設計した製品は、ゼラチン化でんぷんおよび水の乳剤、および当該乳剤中に分散した油状物質を得ることに基づく。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、ゼラチン化でんぷんおよび水を含むでんぷん含有調製物をフリーズドライ工程に付すことによって達成される、フリーズドライ食品を製造するためのプロセスが提供される。本発明のいくつかの任意の実施形態の本態様においては、ゼラチン化でんぷんは、でんぷん含有物質に関連するものも含む、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したとおりである。
いくつかの実施形態においては、本明細書の対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して記載または定義した油性食品物質を、フリーズドライ工程の前にでんぷん含有調製物に添加し、でんぷん含有調製物と油状物質との混合物を調合し、均質混合物を得る。
これら実施形態のいくつかにおいて、油状物質は初めにでんぷん含有調製物の一部と調合し、その後、でんぷん含有調製物の残りを添加することで、でんぷん含有調製物に油状物質が均一に(均等に)分散された均質混合物の提供を確実にする。
これら実施形態のいくつかにおいて、でんぷん含有調製物の総量に対するでんぷん含有調製物の一部は、約50重量%〜約90重量%、または約60重量%〜約80重量%、または約60重量%〜約70重量%であり、その中の中間値および副範囲を含む。
いくつかの実施形態において、調合は、後述する実施例において日限定的な例示として記載したように、中から高スピードで運転される機械的(例えば、市販の)ブレンダーによって実施する。
いくつかの実施形態において、プロセスは、通常、本明細書に記載のでんぷん含有調製物および本明細書に記載の油性食品物質を調合して均質混合物を得、そして得られた混合物をフリーズドライ工程に付すことで実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、でんぷん含有調製物と、所望により油性食品物質とを含む混合物を、乳剤、または均一乳剤、または油中水型乳剤とも称する。これは疎水性ゼラチン化でんぷん内に水滴が油状物質の液滴と共に分散したものである。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、調合工程および/またはフリーズドライ工程の前に、後に詳細に説明するでんぷん含有調製物の調整工程をさらに含む。
いくつかの実施形態においては、対応する実施形態に関連して本願で記載した食品原料およびそれらの組み合わせを、フリーズドライ工程の前にでんぷん含有調製物に添加する。
いくつかの実施形態においては、でんぷん含有調製物と油状物質との混合物に食品原料が添加される。
これら実施形態において、食品原料は、調合の前後いずれに添加してもよい。
いくつかの実施形態においては、食品原料をでんぷん含有調製物に添加し、得られた混合物を調合して均質混合物を得、このとき、食品原料はでんぷん含有調製物中に均一に分布している。
いくつかの実施形態においては、油状物質および食品原料がでんぷん含有調製物に添加され、得られた混合物を調合して、油状物質および食品原料がでんぷん含有調製物中に均一に分布した均質混合物を得る。
いくつかの実施形態において、食品原料と油状物質を同時に添加し、得られた混合物を調合するか、あるいは食品原料と油状物質とを順次添加し、それぞれを添加した後に得られた混合物を調合する。
これらの任意の実施形態において、食品原料および油状物質は、でんぷん含有調製物の一部に添加することができ、残りの部分は、本明細書で上述したように、調合する際に添加することができる。
いくつかの実施形態において、食品原料は、でんぷん含有調製物と、所望により油状物質と他の食品原料、とを含有する混合物に、存在する場合はその調合後に、添加され、食品原料と混合物とを混合し、食品原料の均一な分布を達成する。いくつかの実施形態において、混合は穏やかに行い、食品原料の物理的および官能的性質に影響を与えない条件下(例えば、緩やかな混合下)で実施する。
典型的には、しかし必須ではないが、調合前にでんぷん含有調製物に添加される食品原料は液体または湿った食品原料であり、でんぷん含有調製物中に望ましくは均一に分布されるべきである。でんぷん含有調製物中に望ましくは均一に分布されるべき他の食品原料も調合前にでんぷん含有調製物に添加することができるが、しかしその他の食品原料は、調合後の調製物に(このような製造が実施された場合には)添加される。
液体食品原料としては、油状物質、および室温で液体の他の食品原料が挙げられる。
湿った食品原料としては、水または他の水性溶液(例えば、茶抽出物、種子抽出物、果汁濃縮物、果汁、酢、加水または再加水原料)等の溶液の形態である食品原料が挙げられる。
最終製品中に均一に分散していることが望ましい他の食品原料としては、例えば、粉末状の食品原料、例えば、調味材料(塩、コショウ、ニンニクパウダー)、または他のすりつぶした原料(例えば、すりつぶしたハーブ類)が挙げられる。
調合に付されることなく(調合する場合はその後で)でんぷん含有調製物に添加されることが好ましい食品原料としては、果物、野菜、種子、ハーブ類等の固体および半固体の原料、および/または調合に付されるとその栄養的および/または官能的性質が変化し得る他の食品原料が挙げられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ工程に付される混合物中のでんぷん含有調製物の総量は、混合物の総重量に対して少なくとも30重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ工程に付される混合物中のでんぷん含有調製物の総量の範囲は、混合物の総重量に対して約30重量%〜約95重量%である。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ工程に付される混合物に含まれるでんぷん含有調製物の総量の範囲は、混合物の総重量に対して、約20重量%〜約90重量%、または約24重量%〜約90重量%、または約30重量%〜約80重量%、または約30重量%〜約70重量%、または約30重量%〜60重量%、または約30重量%〜50重量%、または約30重量%〜40重量%、または約32重量%〜40重量%、または約34重量%〜40重量%、または約35重量%〜40重量%、または約20重量%〜約80重量%、または約20重量%〜約70重量%、または約20重量%〜60重量%、または約20重量%〜50重量%、または約20重量%〜40重量%、または約20重量%〜30重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ工程に付される混合物に含まれる油状物質の総量の範囲は、混合物の総重量に対して、約0油状物質%〜約30重量%であり、好ましくは約5重量%〜約30重量%、または約5重量%〜約20重量%、または約8重量%〜約20重量%、または約8重量%〜約15重量%、または約10重量%〜約20重量%、または約10重量%〜約15重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載した、ゼラチン化でんぷんおよび水を含むでんぷん含有調製物を含み、任意で、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載した油状物質を含んでもよい、でんぷん含有混合物が提供される。
当該態様のいくつかの実施形態において、当該混合物中のでんぷん含有調製物の総量の範囲は、混合物の総重量に対して、約20重量%〜約90重量%、または約24重量%〜約90重量%、または約24重量%〜約80%、または約30重量%〜約80重量%、または約30重量%〜約70重量%、または約30重量%〜60重量%、または約30重量%〜50重量%、または約30重量%〜40重量%、または約32重量%〜40重量%、または約34重量%〜40重量%、または約35重量%〜40重量%、または約20重量%〜約80重量%、または約20重量%〜約70重量%、または約20重量%〜60重量%、または約20重量%〜50重量%、または約20重量%〜30重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
当該態様のいくつかの実施形態において、当該混合物中の油状物質の総量の範囲は、混合物の総重量に対して、約0重量%〜約30重量重量%,および好ましくは約5重量%〜約30重量%、または約5重量%〜約20重量%、または約8重量%〜約20重量%、または約8重量%〜約15重量%、または約10重量%〜約20重量%、または約10重量%〜約15重量%であり、その中間値および副範囲も含む。
当該態様のいくつかの実施形態において、混合物は、対応する実施形態に関連して本願で記載した食品原料をさらに含む。
当該態様に係る実施形態のいくつかにおいて、フリーズドライ工程に付す混合物に対応する実施形態に関連して本願で記載したように、混合物を製造する。
当該態様に係る実施形態のいくつかにおいて、混合物は、詳細に後述するように、でんぷん含有物質および水を加熱してでんぷん含有調製物を得ることで製造し、任意で、調製物に油状物質を加えて得られた混合物を本明細書に記載の調合に付し、本明細書に記載の均一な混合物または乳剤を得る。さらに所望により、本明細書で上述したように、調合の前および/または調合に続いて、混合物に食品原料を添加する。
当該態様に係る実施形態のいくつかにおいて、でんぷん含有調製物は本明細書で後述するように調整する。
当該態様に係る実施形態のいくつかにおいて、混合物は、混合物をフリーズドライ工程に付すことで食品が得られるものである。
本発明のいくつかの実施形態における態様において、対応する実施形態に関連して本願で記載したでんぷん含有調製物(本明細書に記載の乳剤を含む混合物)を含む混合物をフリーズドライ工程に付すことを含む、食品を製造するためのプロセスが提供される。
プロセス、ならびにそれによって得られるか、そこで使用される中間混合物に関連して記載される実施形態のいくつかにおいて、でんぷん含有調製物中のゼラチン化でんぷんは、でんぷん含有物質対応する実施形態に関連して本願で記載したようにして得られるものである。いくつかの実施形態において、でんぷん含有物質は米であり、いくつかの実施形態においては白米、例えば、短粒米の胚芽米である。
プロセス、ならびにそれによって得られるか、そこで使用される中間混合物に関連して記載される実施形態のいくつかにおいて、油性食品物質は、対応する実施形態に関連して本願で記載したようにしたものである。いくつかの実施形態において、油性食品物質はオリーブ油、乳性油状物質(ヨーグルト等)および/またはタヒニを含む。
プロセスおよびそれによって得られるか、そこで使用される中間混合物に関連して記載される実施形態のいくつかにおいて、添加食品原料は、存在する場合、対応する実施形態に関連して本願で記載したものである。
プロセスおよびそこで使用されるおよび/または得られる中間混合物に関連して記載される関連する実施形態のいくつかにおいて、フリーズドライ工程は、当業界でよく知られている方法および装置を用いて実施され、これらすべてがここで考察されるものである。
いくつかの実施形態において、フリーズドライ工程はでんぷん含有調製物を含む混合物を−8〜−179℃の温度で凍結することを含み、上記温度にはその中間値および副範囲が含まれ、凍結混合物を得る。
いくつかの実施形態において、凍結の温度は約−8〜約−100℃、または−8〜約−80℃、または約−8〜約−60℃、または約−8〜約−50℃、または約−8〜約−40℃、または約−8〜約−30℃であり、その中間値および副範囲も含む。
いくつかの実施形態において、凍結の時間の範囲は2分〜36時間、または10分〜36時間、または30分〜36時間、または1時間〜36時間、または10分〜24時間、または30分〜24時間、または1時間〜24時間、または4時間〜36時間、または4時間〜24時間であり、その中間値および副範囲も含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、凍結混合物は、当業界でよく知られた任意の方法、例えば、凍結乾燥機(凍結乾燥法)を用いてフリーズドライに付される。
いくつかの実施形態において、乾燥工程は、所望の水分活性が達成されるまで実施する。
いくつかの実施形態において、乾燥は、対応する実施形態に関連して本願で記載したように、水分活性が0.5未満になるまで実施される。
凍結混合物の乾燥は、1時間〜36時間、または12時間〜36時間、例えば、24時間の期間実施することができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ製品の量は、混合物の総重量に対して15〜60%、または20〜60%、または20〜50%、または30〜50%、または35〜45重量%である。この量は、フリーズドライ前の混合物中の乾物に相当する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、食品を成形し、所望の形状の最終食品を得ることをさらに含む。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、成形は、フリーズドライ工程の前、最中、または後に実施する。
いくつかの実施形態において、成形を凍結乾燥の前に実施する、例えば、でんぷん含有調製物を含む混合物(本明細書に記載の乳剤を含む混合物)を所望の形状の型に入れて、型をフリーズドライ工程に付し、フリーズドライ工程後には、フリーズドライ食品は型の形状を有する。
いくつかの実施形態において、成形を凍結乾燥の最中に実施する、例えば、でんぷん含有調製物混合物の凍結後であって、乾燥前に実施する。これら実施形態のいくつかにおいて、でんぷん含有調製物を含む混合物は型に入れられ、凍結に付され、凍結されて型成形された混合物は、乾燥前に成形される。成形は、例えば、本明細書に記載のような所望の棒状に型を裁断することや、本明細書に記載の粒子、例えば、顆粒、フレーク、ペレットまたは錠剤に形成し、得られた粒子を乾燥に付すことである。
いくつかの実施形態において、成形はフリーズドライ工程の後に、例えば、フリーズドライ製品を所望の形状に裁断するか、または粒子状に加工することで実施する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、フリーズドライ食品をさらなる加工に付す。このような加工としては、例えば、製品のさらなる成形(成形がフリーズドライ工程の前または最中に行われた場合)、コーティング、うわがけ、加熱(cooking)、ベーキング、粉がけ、さらなる油状物質への浸漬等が挙げられる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、加工は最終食品(フリーズドライされ、成形され、所望よりさらに加工された食品)の包装をさらに含む。
例えば、食品が棒状に成形された場合、各バーを個別に包装するか、または数本のバーをまとめて包装することができる。食品がフレーク状、または顆粒状、またはペレット状に成形された場合、所望の重量の食品が個別に包装される。食品が錠剤状に加工された場合、各錠剤を個別に包装するか、または複数の錠剤をまとめて包装するか、または複数の錠剤を含むマルチパック内に個別に包装することができる。
いくつかの実施形態において、包装は乾燥および/または不活性雰囲気、例えば、乾燥窒素またはアルゴン雰囲気下で実施する。
いくつかの実施形態において、包装は、ガス透過性および/または水透過性のパッケージ材料によるものである。当業者はそのようなパッケージ材料を容易に認識することができる。好ましくは、パッケージ材料は、FDA等の規制当局によって食品用として承認されたものである。さらに好ましくは、パッケージ材料は食品に対して不活性であり、且つ許容可能であり、食品と化学的および/または物理的に接着したり相互作用したりしないものである。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したプロセスによって得ることのできるパッケージ化食品を含むフリーズドライ食品が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、ゼラチン化でんぷんおよび水を含む、本明細書に記載の混合物をフリーズドライ工程に付し、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したように、食品を成形および包装して得られるパッケージ化食品を含む、フリーズドライ食品が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、ゼラチン化でんぷんおよび水を含む、本明細書に記載のでんぷん含有調製物を製造するためのプロセスであって、対応する実施形態に関連して本願で記載したでんぷん含有物質および水を含む混合物を加熱することを含むプロセスが提供される。
いくつかの実施形態において、加熱温度は少なくとも40℃、または少なくとも50℃であり、水の沸点以下の温度である。いくつかの実施形態において、加熱温度は約50〜約99℃または約80〜約99℃であり、その中間値および副範囲も含む。
いくつかの実施形態において、加熱時間の範囲は10分〜5時間、または20分〜2時間であり、その中間値および副範囲も含む、あるいは1時間であり、いくつかの実施形態においては本明細書に記載の温度で実施する。
いくつかの実施形態において、でんぷん含有物質と水との重量比の範囲は、1:1〜1:5、または1:2〜1:4であり、その中間値および副範囲も含む、あるいは1:3である。
いくつかの実施形態において、得られたでんぷん含有調製物は粥を思わせる粘度を有し、本明細書においては粥状調製物または乳剤とも称する。
本発明のいくつかの実施形態の一態様において、ゼラチン化でんぷんおよび水を含む、本明細書に記載のでんぷん含有調製物と、油性食品物質とを含む混合物であって、当該でんぷん含有調製物が、でんぷん含有物質および水を含む、対応する実施形態に関連して本願で記載した混合物を加熱することによって得ることのできるものである、混合物が提供される。いくつかの実施形態において、混合物は、対応する実施形態に関連して本願で記載した食品原料をさらに含む。
いくつかの実施形態において、混合物の総重量に対するでんぷん含有調製物の量は、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したように、少なくとも20重量%または少なくとも30重量%である。
いくつかの実施形態において、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したように、でんぷん含有物質は米である、またはそれを含む。
いくつかの実施形態において、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したように、混合物の総重量に対する油性食品物質の量は、少なくとも5%である。
いくつかの実施形態において、対応する実施形態およびそれらの組み合わせに関連して本願で記載したように、得られた混合物は、フリーズドライ食品の製造に使用することができる。
本明細書に記載の任意のプロセスに係る、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは乳化剤の添加を含まない。
本明細書に記載の任意のプロセスに係る、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、プロセスは、対応する実施形態に関連して本願で記載したような酵素の添加を含まない。
本明細書に記載の任意の混合物に係る、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、混合物は乳化剤を含んでいない。
本明細書に記載の任意のプロセスに係る、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、混合物は、対応する実施形態に関連して本願で記載したような酵素を含んでいない。
フリーズドライ食品および本明細書に記載のでんぷん含有調製物を含む、またはこれらからなる、混合物の製造のための例示的なプロセスは、後述する実施例において説明する。
本明細書で使用する「約」は、±10%または±5%を指す。
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびその活用形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味する。
「からなる」という用語は、「含み、限定される」ことを意味する。
「から実質的になる」という用語は、組成物、方法または構造が追加の成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。但しこれは、追加の成分、工程および/または部分が、請求項に記載の組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限られる。
本明細書において、単数形を表す「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数をも対象とする。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1種の化合物」には、複数の化合物が含まれ、それらの混合物をも含み得る。
本願全体を通して、本発明のさまざまな実施形態は、範囲形式にて示され得る。範囲形式での記載は、単に利便性および簡潔さのためであり、本発明の範囲の柔軟性を欠く制限ではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、可能な下位の範囲の全部、およびその範囲内の個々の数値を特異的に開示していると考えるべきである。例えば、1〜6といった範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等の部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5および6も具体的に開示するものとする。これは、範囲の大きさに関わらず適用される。
本明細書において数値範囲を示す場合、それは常に示す範囲内の任意の引用数(分数または整数)を含むことを意図する。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲」という表現と、第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という表現は、本明細書で代替可能に使用され、第1の指示数および第2の指示数と、それらの間の分数および整数の全部を含むことを意図する。
本明細書で使用する「方法」という用語は、所定の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を意味し、化学、薬理学、生物学、生化学および医療の各分野の従事者に既知のもの、または既知の様式、手段、技術および手順から従事者が容易に開発できるものが含まれるが、これらに限定されない。
明確さのために別個の実施形態の文脈にて記載される本発明の所定の特徴は、また、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈にて記載される本発明の様々な特徴は、別々に又は任意の好適なサブコンビネーションで、又は適宜記載された本発明の任意の他の実施形態にも提供され得る。様々な実施形態の文脈にて記載される所定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の必須の特徴と考えられるべきではない。
上述したように本明細書に記載され、特許請求の範囲に請求される本発明のさまざまな実施形態及び実施形態は、以下の実施例によって実験的に支持されるものである。
ここで、上記の記載と共に本発明を限定することなく説明する以下の実施例に参照する。
実施例1
食品バーの製造―一般手順
図1は、例示的な本発明の実施形態における食品バーを製造するための一般的プロセスを提示するフローチャートを表す。
プロセスは、でんぷん含有物質の混合物、またはでんぷん含有物質と水とを1:1〜1:4(例えば、1:3)の重量比で含む混合物を60〜100℃(例えば、95℃)の温度範囲で、10分〜3時間(例えば、1時間)の期間加熱することで、ゼラチン化でんぷん含有調製物を製造する工程10から開始する。
プロセスは工程20へと続き、ここでは油状物質(脂肪性物質)が、でんぷん含有調製物に対して約1:1〜約1:10の重量比でゼラチン化でんぷん調製物に添加され、得られた混合物は激しい調合に付されて均質混合物(例えば、ゼラチン化でんぷん中に水滴および油が分散された均一乳剤を含む混合物)を得る。いくつかの実施形態において、油状物質はでんぷん含有調製物の一部に添加され、得られた混合物は激しく統合され、その後に残りのでんぷん含有調製物が添加される。工程20は、所望により、でんぷん調製物と油状物質との混合物への食品原料(例:液体または湿った食品添加物、または食品中に均一に分散されるべき食品原料、例えば、粉末状または細かく粉砕した食品原料(本明細書に記載の調味成分などであるが、これに限定されるものではない))の添加を、調合の前に含んでいてもよい。
例示的な手順において、激しい調合は、Thermomix(登録商標)ブレンダーを2〜9の速度範囲内で用いて実施する。
プロセスは工程30へと続き、最終製品中に乾燥、固体状、半固体状および/または液状の食品原料が存在する場合には、ここで当該食品原料を上記で得られた均一でんぷん含有混合物(でんぷん含有調製物と油状物質、および任意の食品原料を含む)に添加し、得られた混合物を混合して、でんぷん含有混合物中に食品原料が均一に分布するようにする。
工程40においては、得られた混合物(でんぷん含有調製物と油状物質、および任意の食品原料を含む均一なでんぷん含有混合物(乳剤))をフリーズドライに付す。任意で、混合物(例えば、本明細書に記載の均一乳剤を含む混合物)を凍結前に成形する(図示しない)。例示的な実施形態において、冷凍の前に、混合物をシート化して所望の厚み(例えば、凍結の際の10〜20%の膨張を考慮した、最終バー製品の所望の厚みに基づく厚み)の均一層を形成する。例示的な実施形態において、混合物は、厚み11〜18(例えば、14)mmの最終バーを得るために、厚み10〜15(例えば、12)mmの層が得られるようにシート化される。混合物の凍結は、典型的には、混合物を約−5〜約−180℃の温度に約2分〜36時間の期間付すことのよって実施する。任意で、工程40は、乾燥の前に、凍結混合物を所望の形状(例えば、製品の最終形状)に成形すること(図示しない)をさらに含む。例えば、均一層を複数の所望の形状に(例えば、上述した凍結の際の膨張を考慮した、バーの最終形状に基づく寸法を有する複数のバーに)切り出す。
乾燥は、好ましくは、公知の条件で運転する凍結乾燥機で実施する。実施した解析においては、LaboGene(商標)凍結乾燥機を使用し、乾燥圧力が約0.001ヘクトパスカル、棚温度が35℃で24時間の条件で運転した。
代わりに、成形をフリーズドライの前に実施することもできる、例えば、混合物を型に入れ、型をフリーズドライに振ることができる。さらに代わりに、成形をフリーズドライ後の行うこともできる。
得られた製品は適切なパッケージ材料に包装されるか、あるいはさらに加工(例えば、コーティング、うわがけ、加熱、粉がけ、油状物質への浸漬)を行ってから、包装される。
好ましくは、各バーは個別に包装される。好ましくは、パッケージ材料はガス不透過性および/または水不透過性である。好ましくは、包装は乾燥および/または不活化雰囲気下(例えば、窒素環境)で実施する。
例示的な一般手順において、食品バーは、短粒米の胚芽米をでんぷん含有物質として使用して製造され、でんぷん含有調製物(米調製物)は、重量比が1:3の短粒米の胚芽米と水との混合物(例えば、400グラムの米と1200グラムの水で、約1500グラムの最終調整物が得られる)を95℃で約1時間加熱し、得られた調製物またはその一部(例えば、約60〜70重量%)に、得られた米調製物の総重量に対する重量比で約1:2〜1:5のオリーブ油およびヨーグルト、あるいはタヒニを添加することで製造する。得られた混合物は、Thermomix(登録商標)を速度レベル2〜9で使用した激しい調合による均質化し、次に、残りの米調製物および追加の食品添加物が存在する場合は、これらを得られた乳剤に添加し、均一な分散が達成されるまで混合する。
得られた乳剤を次に、厚み12mmの均一層へとシート化し、18〜−30℃の温度で4〜24時間凍結し、凍結したシートを所望の形状、サイズおよび重さのバーに切り出し、LaboGene(商標)凍結乾燥機を使用して、バーを0.01ヘクトパスカル、棚温度35℃で24時間のフリーズドライに付す。
別の例示的な一般手順において、食品バーは、短粒米の白米とキヌアと混合物(重量比約2:3)をでんぷん含有物質として使用して製造され、でんぷん含有調製物(米およびキヌア調製物)は、重量比が1:3の白米、キヌアおよび水との混合物(例えば、400グラムの米およびキヌアと1200グラムの水で、約1500グラムの最終調整物が得られる)を90℃で約1時間加熱し、得られた調製物またはその一部(例えば、約60〜70重量%)に、得られる米調製物の総重量に対して重量比で約1:2〜1:5のオリーブ油およびアーモンドペーストを加える。得られた混合物は、Thermomix(登録商標)を速度レベル2〜9で使用した激しい調合による均質化に付し、次に、残りの米調製物および追加の食品添加物が存在する場合は、これらを得られた乳剤に添加し、均一な分散が達成されるまで混合する。
得られた乳剤を次に、厚み14mmの均一層へとシート化し、18〜−30℃の温度で4〜24時間凍結し、凍結したシートを所望の形状、サイズおよび重さのバーに切り出し、LaboGene(商標)凍結乾燥機を使用して、バーを0.01ヘクトパスカル、棚温度35℃で24時間のフリーズドライに付す。
実施例2
短粒米の胚芽米で作られた食品バー
次に、上記実施例1の例示的な一般手順を用いる、短粒米の胚芽米をでんぷん含有物質として作られた例示的な食品バーの組成および製造についてさらに詳細に説明する。
下記表1、2、3、4、5および6に示した重量パーセントは、全ての原料を混合した後であって、フリーズドライの前の混合物に参照している。
下記表1A、2A、3A、4A、5Aおよび6Aに示した重量パーセントは、対応する表1、2、3、4、5および6に記載した混合物をフリーズドライした後の最終製品に参照している。
「米調製物」とは、短粒米の胚芽米と水とを、約1:3の重量比で、95℃で1時間混合して製造した、本明細書に記載のでんぷん含有調製物である。
「ベース」食品バー(サンプル1)の製造:
下記表1は、フリーズドライ前の、米でんぷん、オリーブ油およびヨーグルトを含む(固体食品添加物および調味料無しの)「ベース」食品バーに含まれる原料を示す。フリーズドライされた「ベース」食品バーを、本明細書においてサンプル1とも称する。
「ベース」食品バーは次のように製造した。
米調製物、ヨーグルトおよびオリーブ油をThermomix(登録商標)ブレンダー内、速度レベル4で90秒間よく混合した。得られた混合物を12mmの金属フレームを用いてシート化し、−23℃で24時間凍結させた。凍結シートを冷凍庫から取り出し、所望の形状(22×22mmの角)に切り出し、上記の特定の条件のLaboGene(商標)凍結乾燥機に入れた。
「グリーン」食品バー(サンプル2)の製造:
下記表2は、フリーズドライ前の、米でんぷん、オリーブ油およびヨーグルトを含み、追加の液体および/または固体食品添加物および調味料を含む、「グリーン」食品バーに含まれる原料を示す。フリーズドライされた「グリーン」食品バーを、本明細書においてサンプル2とも称する。
70%(重量)の米調製物、ヨーグルト、オリーブ油、60%のキウイフルーツ、抹茶粉末を水に加えた溶液(水中に約3重量%の抹茶粉末を含むものを指定の濃度で使用)、および抗酸化剤の混合物を、高速で、ペーストが得られるまで調合した。残りの米調製物を次に加え、続いて残りのキウイフルーツ(0.5×0.5cm角)およびローストアーモンドを加えた。存在する場合はほうれん草(冷凍)、またはケール(存在する場合)を刻み、混合物に添加して、次に残りの原料の全てを加え、得られた混合物を、均一な分布が得られるように混合した。
得られた乳剤を、本明細書に記載のように、フリーズドライに付した。
「ギリシャ風」食品バー(サンプル3)の製造:
下記表3および表3Aは、フリーズドライ前(表3)およびフリーズドライ後(表3A)の、米でんぷんおよびタヒニ/オリーブ油を含み、追加の液体および/または固体食品添加物および調味料を含む、「ギリシャ風」食品バーに含まれる原料を示す。表3Aの「ギリシャ風」食品バーを、本明細書においてサンプル3とも称する。
65〜70重量%の米調製物、タヒニまたはオリーブ油およびヨーグルト、ならびに抗酸化剤の混合物を激しく調合し、残りの米調製物をその後加え、続いてオリーブ(リング状に切ったもの)および残りの原料を加えた。均一に分散するように得られた混合物を混合し、本明細書に記載のように、フリーズドライに付した。
乾燥前の混合物の重量は約8.1グラムであり、乾燥後は約3グラム(約37%の乾燥物)であった。
「イエロー」食品バー(サンプル4)の製造:
表4は、フリーズドライ前の、米でんぷん、オリーブ油およびヨーグルトを含み、追加の液体および/または固体食品添加物および調味料を含む、「イエロー」食品バーに含まれる原料を示す。フリーズドライされた「イエロー」食品バーを、本明細書においてサンプル4とも称する。
65%(重量)の米調製物、オリーブ油、ヨーグルトおよび抗酸化剤の混合物を激しく調合し、残りの米調製物をその後加え、続いてローストアーモンドおよびゴマ、角切りマンゴー、細かくしたパイナップルおよび残りの原料を加えた。チアシードは水に前もって4時間付けて置き、混合の最終段階で加えた。均一に分散するように得られた混合物を混合し、本明細書に記載のように、フリーズドライに付した。
「レッド」食品バー(サンプル5)の製造:
下記表5および表5Aは、フリーズドライ前(表5)およびフリーズドライ後(表5A)の、米でんぷん、オリーブ油およびヨーグルトを含み、追加の液体および/または固体食品添加物および調味料を含む、「レッド」食品バーに含まれる原料を示す。表5Aの「レッド」食品バーを、本明細書においてサンプル5とも称する。
70重量%の米調製物、ヨーグルト、オリーブ油および抗酸化剤の混合物を激しく調合し、残りの米調製物をその後加えた。アーモンドおよびヒマワリ種子を軽くローストし、乳剤に加えた。加熱済ビーツおよびイチゴを小さな角切り(それぞれ約0.5cm×0.5cm)にし、乳剤に加えた。その後、はちみつおよび塩を加え、均一に分散するように得られた混合物を混合し、本明細書に記載のように、フリーズドライに付した。
乾燥前の混合物の重量は約7.17グラムであり、乾燥後は約3グラム(約42%の乾燥物)であった。
イタリアン」食品バー(サンプル6)の製造:
下記表6および表6Aは、フリーズドライ前(表6)およびフリーズドライ後(表6A)の、米でんぷん、オリーブ油およびヨーグルトを含み、追加の液体および/または固体食品添加物および調味料を含む、「イタリアン」食品バーに含まれる原料を示す。表6Aの「イタリアン」食品バーを、本明細書においてサンプル6とも称する。
66重量%の米調製物、ヨーグルト、オリーブ油、パルメザンチーズ、ニンニク、60重量%のバジルおよび抗酸化剤の混合物を激しく調合し、残りの米調製物をその後加えた。オリーブはリング状に切り、得られた乳剤に加えた。アーモンドおよびヒマワリ種子を軽くローストし、乳剤に加えた。残りの原料をその後すべて添加し、均一に分散するように得られた混合物を混合し、本明細書に記載のように、フリーズドライに付した。
乾燥前の混合物の重量は約7.3グラムであり、乾燥後は約2.75グラム(約38%の乾燥物)であった。
実施例3
短粒米の胚芽米で作られた食品バーの特徴付け
食感―プロファイル解析(TPA):
TPA測定は、Lloyd Instruments社製のTA 500食感解析装置を製造社の指示書に基づき使用して実施した。
背景技術:
食感―プロファイル解析とは、食品の食感特性を決定するための一般的な2重圧縮試験(double compression test)である。TPA試験の際には、サンプルは、食感解析器(texture analyzer)を用いて少なくとも2回圧縮されるが、これは食感解析器が口の噛む動作を模倣すると想定して、噛まれたときのサンプルの挙動に関する知見を得るためである。
TPA解析方法は1回の実験で、複数の食感パラメーターを定量することができる。典型的には、測定されるパラメーターとしては、硬度、粘着性および接着性が挙げられ、弾力性、反発性、噛み応えおよび/または粘り気も、得られた測定値から導くことができる。
図2A〜図2Bは、一切れのチェダーチーズの食感に関わる性質を測定するための例示的なTPA装置一式(図2A)および解析で得られる例示的なデータ(図2B)を示す。例示した解析に用いた試験パラメーターは以下の通りである。
円筒状アクリルプローブ(直径=1インチ、h=35mm)、
10の円筒状サンプル(直径20mm、高さ20mm)、
試験速度:20mm/秒、距離=ひずみ(strain)50%。
本明細書に記載のTPAで測定されるおよび/または導かれる、TPAに関わる当業界で許容される定義に基づく物性の一部は、本発明を限定することなく導入されるものとする。
「硬度」という用語は、サンプルの第1の変形(例えば圧縮)の際の最大力(ピーク力)である。硬度は、図2Bに示すように、最大の力を測定することで定義することができる。
「接着性」という用語は、製品の第1の変形下での抵抗に対して、第2の変形をいかに耐えるかを表す。接着性は、第2の変形(例えば圧縮)の際の仕事の面積を、第1の変形(例えば圧縮)の際の仕事の面積で除した値、即ち、図2Bに示した面積1/面積2として測定される。
「弾力性」という用語は、製品が第1の変形(例えば圧縮)で変形された後にどれだけ物理的にそこから回復するか(springback)を表す。回復は、第2の変形(例えば圧縮)の下り工程で測定する。弾力性は、第2の変形(例えば圧縮)の際に50%ひずみに到達する時間を、第1の変形(例えば圧縮)の際に50%ひずみに到達する時間で除した値、即ち、図2Bの時間2/時間1である。
「粘り気」という用語は、半固体製品のみの性質であり、半固体製品が飲み込まれる前に柔らかくするために必要なエネルギーを表す。粘り気は、硬度×接着性、または図2Bに示した硬度×面積2/面積1と定義される。
「噛み応え」という用語は、粘り気とは相互に異なる用語であり、固体製品にのみ該当し、粘り気×弾力性、または硬度×接着性×弾力性、または図2Bに示した硬度×面積2/面積1×時間2/時間1として計算される。
例示的な食品バーのTPA:
TPA測定は以下のパラメーターを用いて実施した。
各サンプルは、約25mm×25mmおよび高さ約12mmとした。
各サンプルについて、高さ6mmまでの圧縮を3回繰り返し、各測定の間で完全な高さまで戻した。前付加は0.1Nだった。圧縮速度:100mm/分。円柱状プローブの直径は2cmだった。
図3Aはこれら測定に用いた実験装置一式の写真を示す。
下記表7および図3B〜図3Fは、実施例2においてそれぞれサンプル1〜4および6として記載した食品バーより得たデータを示す。
SEM測定:
SEM測定は、Joel IT−100で、低真空モード、15KVの条件で実施した。各サンプルを、コーティング無しの導電性カーボンテープの上に直接乗せた。
得られたイメージを図4〜図9に示した。
図4は、サンプル1(「ベース」レシピ)で得られた画像を示し、特徴的な形状および分布であり、サイズ範囲が120〜340マイクロメートルである孔を有する層状の形態を有することを示す。
図4は、サンプル1(「ベース」レシピ)で得られた画像を示し、特徴的な形状および分布であり、サイズ範囲が120〜340マイクロメートルである孔を有する層状の形態を有することを示す。
図5は、サンプル2(「グリーン」レシピ)で得られた画像を示し、サンプル1(「ベース」レシピ)と類似した特徴的な形状および分布の孔を有する、層状の形態を有することを示す。孔はより均一であり、そのサイズの範囲は70〜100マイクロメートルである。
図6は、サンプル1(「ベース」レシピ)で得られた画像と比較した、サンプル3(「ギリシャ風」レシピ)で得られた画像を示し、サンプル1(「ベース」レシピ)と類似した特徴的な形状および分布の孔を有する、層状の形態を有することを示す。孔のサイズの範囲は70〜200マイクロメートルである。
図7は、サンプル4(「イエロー」レシピ)で得られた画像を示し、サンプル1(「ベース」レシピ)と類似した特徴的な形状および分布の孔を有する、層状の形態を有することを示す。しかし、孔の数は少なく、そのサイズの範囲は70〜200マイクロメートルである。
図8は、サンプル5(「レッド」レシピ)で得られた画像を示し、サンプル1(「ベース」レシピ)と類似した特徴的な形状および分布の孔を有する、層状の形態を有することを示す。孔のサイズおよび形状はより均一であり、そのサイズの範囲は50〜80マイクロメートルである。
図9は、サンプル1(「ベース」レシピ)で得られた画像と比較した、サンプル6(「イタリアン」レシピ)で得られた画像を示し、サンプル1(「ベース」レシピ)と類似した特徴的な形状および分布の孔を有する、層状の形態を有することを示す。形状はより均一であり、孔のサイズの範囲は50〜110マイクロメートルである。
得られたSEMの測定値は試験したすべての食品バーが多孔構造を有し、孔のサイズの範囲は約50〜約350マイクロメートルであることを示す。孔は通常楕円形であり、2つの群に分けることができる。少なくとも1つの寸法が200マイクロメート未満の「小さな」孔と、少なくとも1つの寸法が200マイクロメートルを超える「大きな」孔である。
試験したサンプル1〜6のそれぞれについて、上記の孔群のそれぞれの平均幅対高さ比を計算し、得られたデータを下記表8に示した。
表8から明らかなように、本実施形態の例示的なバーの多孔構造は、平均幅対高さ比の範囲が0.5〜0.8である先に定義した小さな孔と、平均幅対高さ比の範囲が0.08〜0.5であり、よってより細長い楕円孔である、先に定義した大きな孔とを有することによって特徴づけられる。
水分活性:
Aqualab model 3 TE BY(ワシントン州、プルマン、Decagon devices Inc.)を製造社の取扱説明書に従って使用し、水分活性を測定したところ、下記表9に示したように、0.06〜0.3の範囲内であることが分かった。
水の含有量は、オーブンによる乾燥方法を用いて測定し、全ての試験した食品バーにおいて、下記表10に示したように、7重量%未満であることが分かった。
栄養価:
サンプル2〜6として表されるバーの栄養価を測定し、その100グラム当たりの値を下記表11に示した。
表11から明らかなように、すべての試験したバーにおいて糖含有量は15重量%以下であり、脂肪および炭水化物のレベルは30重量%超であった。
血糖指数:
本願の実施例1および2の、短粒米の胚芽米をでんぷん含有物質として使用した例示的な食品バーの血糖指数(GI)値を標準ISO方法であるISO 26642:2010に従って決定した。
血糖指数(GI)は、1980年代に提唱された、炭水化物食品を、その食後の血糖反応に対する影響に基づき分類するための手段である。低GI食品はその炭水化物をゆっくりと放出し、より低い血糖反応を誘発するが、一方、高GI食品は素早く消化されて対応する高い血糖反応を示す。糖吸収速度ならびに高血糖値の程度および期間は、健康または疾患パラメーターに影響し得る複数のホルモンおよび代謝の変化を誘導するため、低GI食品および食品の低GI値を担う因子の同定は大きな関心事となっている。
ISO 26642:2010の分類を使用すると、血糖指数(GI)が55以下の製品は低GIと分類され、GIが56〜69のものは中GIに分類されるが、GIが70以上のものは高GIである。
上記実施例2で説明し、表6および表6A(サンプル6)に示した「イタリアン」食品バー、および上記実施例2で説明し、表5および表5A(サンプル5)に示した、イチゴとビーツを含む「レッド」食品バーについて、以下のように研究した。
研究プロトコル
対象者数:合計十(10)人の対象者について研究した。t−分布を使用し、血糖曲線下の上昇面積(IAUC)値の個体差の平均変動計数(CV)を25%と仮定して、n=10の対象がIAUCの33%の差を検出する80%の力を持つとした、p<0.05の両側検定(2−tailed)を行った。
血糖指数試験:使用したプロトコルは、ISO 26642:2010−「食品−血糖指数の決定および食品分類の推奨事項」に記載の方法に準じたものである。
研究は、オープンラベル、ランダム化クロスオーバーデザインを採用した。各対象は、別の日に処置を受け、それぞれが週に3回までの試験を最低1日開けて実施した。各試験日に、対象は、10〜14時間のオーバーナイトの絶食後の朝に来院した。体重測定と、5分開けて2回のフィンガープリックによる空腹時血液試料の採取後に、対象は15分以内に試食品を摂取した。試食品の摂取から15、30、45、60、90および120分後にさらなる血液試料を採取した。2時間の試験の間、対象は静かに座っていた。試験の完了後には、スナック類を与えられ、退室が認められた。
試食品は、試験食品バー、または25グラムの利用可能な炭水化物(総炭水化物から食物繊維/非消化性炭水化物を引いたものと定義されるもの)を含むデキストロースからなるものであった。試験食品の一人前の分量は、本明細書の上記表11に示した栄養解析の結果に基づき計算した。各対象は、試食品と共に摂取する飲料の選択肢(水、あるいは所望により30mlの2%の牛乳およびノンカロリー甘味料を加えた、コーヒーまたは紅茶)を与えられ、全ての試食において選択した同じ飲料を用いた。全ての対象が、対照食品を2回試験した。
試験した食品調製物:
対照デキストロース: 27.3グラムのモノヒドロキシデキストロース(ADM Clintose(登録商標)、米国、イリノイ州、ディケーター、A Dextrose社)を250グラムの水に溶解し、25グラムの利用可能炭水化物溶液を得た。
レッド食品バー(サンプル5): 80.6グラムのサンプルを計量し、対象に与えた。
イタリアン食品バー(サンプル6): 77.6グラムのサンプルを計量し、対象に与えた。
下記表12は試験した食品の栄養含有量を示す。全ての食品が25グラムの利用可能な炭水化物を含んでいた。
血液試料:
血液試料(各2〜3滴)を、少量の抗凝固剤(フッ化ナトリウム/シュウ酸カリウム)を含む5mLのチューブに回収した。試料を激しく回転させて混合した後、試験期間中は冷蔵した。試験期間の満了後は、血糖解析まで試料を−20℃で保存した。YSI(オハイオ州、Yellow Spring Instruments)解析機を用いた血糖解析は、回収から5日以内に行われた。
データ解析:
データは2人によって個別にスプレッドシートに入力し、正確な書き込みを確実にするために比較した。IAUC値は、台形公式を用い、ベースライン下の面積を無視して計算した。IAUC計算のために、−5分および0分のグルコース濃度の最初の測定値の平均を空腹時血糖値とした。グルコースは、0分の空腹時試料について2回測定し、解析のばらつきの標準偏差(SD)を次のように求めるためにデータを使用した。
GIは、各対象の試験食品に対するグルコースIAUCを、同じ対象の参照食品の後の平均応答に対するパーセントとして表すことで計算し、必要な場合には、グルコース=100、白パン=71であるグルコーススケールにGIを合わせた。第2の統計解析は、平均よりも2SD以上大きな値を除いた後のGI値に対して実施し、この場合、除いた値を残りの値の平均値で置き換え、ANOVAの誤差の自由度から除いたはずれ値の数を引いた。有意な不均質性を示した後、多重比較を制御するために、個別の平均値間の差分をチューキー法で求めた。ここで有意差の基準は、両側検定のp<0.05である。最小有意差(LSD)よりも大きな差を有する平均値は、有意に異なっている。
結果:
十人(10)の対象(男性7人、女性3人)、年齢49±12歳、肥満度指数26.3±3.5kg/m2が試験に参加した。
血糖値の技術変動および参照食品の対象内変動:
技術変動: 0分に採取した37の試料について2回の解析を実施した。これら試料における血糖値の平均±SDは4.34±0.060mmol/Lであり、このときCVは1.4%、即ち<3.6%であることから、良好な結果であった(ISO 26642:2010)。−5分および0分の40の試料の平均±SDは4.38±0.121mmol/Lであり、このときCVは2.8%、即ち、技術変動よりも大きかった。これは、血糖値の技術変動と分単位の時間変動の両方を反映するためである。
参照食品(対照デキストロース)の対象内変動: 対照デキストロースの繰り返しの後のIAUC値に対する順番の有意な影響はなかった。2回の繰り返し対照デキストロース試験の後のIAUC値のCVのグループ内平均(mean within)は11.8%であった。繰り返し対照デキストロース試験の血糖反応の平均対象内変動から判断して、試験は技術的に満足できるものであるようであった。30%未満の値は良好と判断した(ISO 26642:2010)。
副作用およびプロトコル間の偏差:
すべての試食品が広く受け入れられ(well tolerated)、副作用の報告はなかった。
血糖反応:
図10は、10人の対象者それぞれの、レッド食品バー(サンプル5(StrawBeet))、イタリアン食品バー(サンプル6(ItalFlav))および対照デキストロース(Dex25)に対する食後血糖値応答(2食の平均値)を示す。全ての食品が25グラムの利用可能な炭水化物を含んでいた。データは平均±SEMで表した。図10から明らかなように、平均空腹時血糖は、各試食品のシリーズにおいて、同様であった。30分後には、はるかに高い血糖値が対照デキストロースについて観察された。120分後にも同様の値が観察された。
下記表13は、本研究で決定した上昇曲線下面積(IAUC)、血糖指数および血糖指数カテゴリーを示す。結果は平均±SEMである。GI値はカテゴリーで示した(カテゴリー:高(GI≧70)、中(56≧GI≦−69)または低(GI≦55)(ISO 26642:2010)。GI値はグルコーススケールで表され、ここでGIは、グルコース=100および白パン=71である。
上記からわかるように、本実施態様の例示的な食品バーは低い血糖指数を示した。
実施例4
キヌアおよび短粒米の白米で作られた食品バー
キヌアおよび短粒米(sticky sushi rice)の混合物をでんぷん含有物質として使用し、上記実施例1の例示的な一般手順を用いて、さらなる例示的な食品バーを製造した。
下記表14および表14Aは、フリーズドライ前(表14)およびフリーズドライ後(表14A)の、米でんぷんとキヌアとオリーブ油を含み、追加の液体および/または固体食品添加物および調味料を含む、「レッド」食品バーに含まれる原料を示す。表14Aの「レッド」食品バーを、本明細書においてサンプル7とも称する。
下記表14に示した重量パーセントは、全ての原料を混合した後であって、フリーズドライの前の混合物に参照している。
下記表14Aに示した重量パーセントは、対応する表14に記載した混合物をフリーズドライした後の最終製品に参照している。
「米およびキヌア調製物」とは、sticky sushi riceおよびキヌア(重量比は約2:3)と水とを、(米およびキヌアの総重量に関連して)約1:3の重量比で、90℃で1時間混合して製造した、本明細書に記載のでんぷん含有調製物である。
約70%(重量)の米およびキヌア調製物、オリーブ油、アーモンドペーストおよび抗酸化剤の混合物を、激しく調合し、続いてこの混合物に残りの米およびキヌア調製物を加えた。角切りのアーモンドおよびヒマワリ種子を弱火でローストし、乳剤に加えた。加熱済ビーツおよびイチゴを小さな角切り(それぞれ約0.5cm×0.5cm)にし、乳剤に加えた。メープルシロップ、レモン濃縮物および塩をその後に加え、得られた混合物、均一な分布が得られるように混合し、その後、本明細書に記載のように、フリーズドライに付した。
実施例5
特徴付け
実施例4で説明し、本明細書においてサンプル7とも称する例示的な食品バーを、上記実施例3と同様に特徴づけた。
水分活性:
試験製品の水分活性を上記実施例3の記載のように測定したところ、0.22だった。
栄養価:
栄養価2〜6を測定し、100グラム当たりの値を下記表15に示した。
表15から明らかなように、糖含有量は約15重量%であり、脂肪および炭水化物のレベルは30重量%超、さらには40重量%超であった。
血糖指数:
製品の血糖指数を上記実施例3に記載のように、ISO 26642:2010に従って決定した。10人の対象が研究に参加した。
図11は、10人の対象者それぞれの、食品バー(サンプル7(Red39))および対照デキストロース(Dex25)に対する食後血糖値応答(2食の平均値)を示す。全ての食品が25グラムの利用可能な炭水化物を含んでいた。データは平均±SEMで表した。図11から明らかなように、平均空腹時血糖は、各試食品のシリーズにおいて、同様であった。30分後には、はるかに高い血糖値が対照デキストロースについて観察された。120分後にも同様の値が観察された。
血糖指数および血糖指数のカテゴリーは、それぞれ、29±7および低と決定された。結果は平均±SEMである。GI値はグルコーススケールで表され、ここでGIは、グルコース=100および白パン=71である。
TPA測定:
TPA測定は、図3Aに示す、一切れのチェダーチーズの食感に関わる性質を測定するための例示的なTPA装置一式を用いて行われ、詳細は上記実施例3で説明したとおりである。
TPA測定に用いたパラメーターは以下の通りである:
各サンプルは、約25mm×25mmで高さ約13mmの長方形(さいころ状)であった。
円筒状プローブの直径は2cmであった。
各サンプルについて、高さ6mmまでの圧縮を3回行い、それらの間には完全に引き上げた。予備負荷は0.1N。圧縮速度:100mm/分。
図12は、これら測定でサンプル7について得られたデータを示す。
下記表16は、上記実施例3で説明したようにサンプル7のTPA測定値から導き出したデータを示す。
SEMによる測定:
サンプル7のSEMによる測定を、上記実施例3と同様に実施した。得られた画像を図13A〜13Dに示した。これらは典型的な孔のサイズである80〜100マイクロメートルの範囲内である。孔の特徴は、「ベース」製品であるサンプル1に記載したものと類似していた。
本発明をその特定の実施形態とともに記載したが、多数の代替法、改変および変法も当業者に明らかとなる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に入るすべてのこのような代替法、改変および変法も包含するものとする。
本明細書で述べた全ての刊行物、特許、および特許出願は、当該刊行物、特許、または特許出願について具体的かつ個別に記載した場合と同様に、参照によりそれらが完全に本明細書に組み込まれるものとする。さらに、本願におけるいかなる参考文献の引用または記載も、そのような参考文献が本願に対する従来技術として存在することの自認と解釈すべきではない。セクションの見出しの使用についても、それらを必ずしも限定として解釈すべきではない。