関連出願の相互参照
本出願は、2018年06月07日に中国特許庁に提出された、出願番号が201810577211.Xで、発明名称が「シリコン電極板とその製造方法」である中国特許出願、出願号が201810577217.7で、発明名称が「燃料電池へのシリコンの応用」である中国特許出願、および出願号が201810577210.5で、発明名称が「燃料電池スタック構造およびその燃料電池と応用」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容のすべては参照により本出願に組み込まれる。
本発明は、燃料電池分野に属し、具体的には、シリコン電極板とその製造方法に関し、さらに、燃料電池へのシリコン電極板の応用、および燃料電池スタック構造、燃料電池とその応用に関する。
燃料電池は、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する化学装置であり、電気化学発電機とも呼ばれている。燃料電池は、燃料の化学エネルギーのギブス自由エネルギー部分を電気化学反応により電気エネルギーに変換するため、カルノサイクル効果に制限されず、エネルギー変換率が高く、また、水素を燃料とする燃料電池の反応生成物が水であり、環境に優しく、理論的にはゼロの汚染排出を達成することができ、さらに、燃料電池は、機械的な伝達部品がなく、可動部品が少なく、動作中の騒音が低く、さらに、燃料電池は、比エネルギーが高く、信頼性が高く、燃料範囲が広く、起動時間が短く、小型で持ち運びやすいなどの利点がある。これにより、省エネルギーと環境保護の観点から、燃料電池は現在最も有望な発電技術であることがわかる。
構造的には、燃料電池は、通常、電極(Electrode)、電解質膜(Electrolyte Membrane)、集電器(Current Collector)を含む。ここで、燃料電池の電極は、燃料の酸化反応と酸化剤の還元反応が起こる電気化学反応部位であり、反応を促進するために、通常、電極にも触媒が設けられているが、電解質膜は、主に、酸化剤と還元剤を分離してイオンを伝導する機能を果たしているが、集電器は、通常、バイポーラプレート(Bipolar Plate)とも呼ばれ、燃料電池スタック中の重要な性能要素として、カソード電極とアノード電極の表面への燃料及び空気の分配と電池スタックの放熱を行うとともに、単電池を直列に接続して電池スタックを形成する主な構成部品であり、主に酸化剤、還元剤とクーラントの分離及び電流回収の役割を果しており、燃料電池スタックの品質、体積、コスト、信頼性及び電力密度などに大きな影響を与え、そのコストが燃料電池の総コストの20−60%を占めている。したがって、高性能で低コストのバイポーラプレート材料の開発は、燃料電池の大規模な商業的用途に対して大きな意義がある。現在、バイポーラプレート材料の研究開発が燃料電池の研究開発費の40〜60%を占めるが、バイポーラプレートは、燃料電池の産業化を決定する核心的な要素であることが証明されている。
研究により、バイポーラプレートは、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、本体抵抗と接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの特性を有する必要があることが確認されている。
従来の技術では、燃料電池用バイポーラプレートの種類としては、主に黒鉛板又は金属板があり、黒鉛板は主に炭素粉末又は黒鉛粉末に黒鉛化可能な樹脂を混合して圧縮したものであり、体積が大きく、電力密度が低く、強度が低いという欠点があり、金属板は、一般的にステンレス、チタン合金、アルミニウム合金等を直接加工したものであり、腐食しやすいという欠点があり、一般的に様々な表面改質を行う必要があるため、製造プロセスが複雑でコストが高いという問題があった。現在、バイポーラプレートとして複合板を使用するいくつかの技術的解決手段があり、一つは、薄い金属を仕切り板とし、穴あき薄肉カーボン板を流れ場板として使用し、非常に薄い導電性接着剤で接着する多層複合型であり、その製造が非常に煩雑であり、もう1つは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を黒鉛粉末強化繊維と混合してプリフォームを形成し、硬化して黒鉛化する複合材料型であり、その導電効果が低く、且つコストが高い。
したがって、燃料電池のバイポーラプレートとして、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、本体抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、バイポーラプレートに要求される特性を満たす好適なバイポーラプレート材料が求められ、燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的な推進力となっている。
これに鑑みて、本発明の目的は、シリコン電極板とその製造方法、燃料電池へのシリコンの応用、燃料電池スタック構造、燃料電池とその応用を提案し、シリコン電極板を燃料電池用バイポーラプレートとして直接使用することを提案することにあり、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、バイポーラプレートに要求される特性を満たすだけでなく、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合電極板と比較して、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有し、燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的な推進力となっている。
本発明の技術的解決手段を提案する前に、本出願人は、慎重なバルク検索を行った結果、本発明に近いとと疑われる既存の解決手段をいくつか見つけ、それらを熟読して重要な分析を行った。
関連するジャーナル文献によると、シリコン材料はガス透過性が低く、熱伝導率が高く、加工が容易であるという特徴を持っており、マイクロ燃料電池の製造における理想的なベース材料であり、かつシリコンの表面に金属(通常は貴金属)をメッキすることで、導電性、より良い安定性および耐食性を得ることができる。2000年、KellyとMeyersは、シリコンベースによるマイクロ燃料電池の製造に関する文献を初めて発表した。それ以来、シリコンはマイクロ燃料電池に大きな発展を遂げてきた。Kimは、シリコンをベースとし、流路サイズが400マイクロメートル(幅)×230マイクロメートル(深さ)のマイクロ燃料電池を作製し、且つその物理的強度を強化し、シリコンが脆いという欠点を克服するために、シリコンマイクロバイポーラプレートの裏面に500マイクロメートルの厚さの耐熱ガラスを追加し、また、シリコンバイポーラプレートに金メッキを施し、安定性を向上させ、出力電圧が0.6Vである場合、その実際の電力密度が203mW/cm2であり、最大電力密度が261mW/cm2に達することができ、電池の体積比電力密度が360mW/cm3となる。しかし、バイポーラプレート材としてのシリコンは、電流を集めるために貴金属をメッキする必要があり、それによって製造工程が増えるだけでなく、材料費が高くなるなどの欠点がある。本出願人が深く分析した結果、これらの技術は、シリコンの気密性、熱伝導性、微細加工の容易さの特性を生かした技術であることが判明したので、シリコンウェハを燃料電池のベースとして直接使用し、シリコンベース上に金属層を形成して電流を集め、電極で発生した電流を集めてシリコンベースの表面と平行な方向に沿って電池から流出させることが考えられ、この構造では金属層膜に沿って電流を伝導するため、面積の小さい燃料電池にしかできず、複数層に積層することもできなく、同時に、シリコンベースの内部に冷却媒体の流れを提供するための構造が設けられることができく、これらの原因で、燃料電池電極ベースとしてシリコンを使用するという技術的解決手段は、長期間にわたってマイクロ燃料電池製品にのみ応用され得る。
上述したように、本出願人は、徹底的に検索した結果、燃料電池にシリコン材料を応用する既存の技術的解決手段が開示されたことを発見し、本発明の技術的解決手段をよりよく説明するために、以下の特許文献をさらに具体的に挙げて、これらの技術的解決手段と本発明との相違点を説明する。
1、例えば、承認発表番号がCN100397687Cの中国発明特許は、自己呼吸型マイクロプロトン交換膜燃料電池のカソード流れ場板およびその製造方法を開示しており、MEMS技術を用いて加工された新規な構造であって、具体的には、約300−500マイクロンの厚さを有するシリコンウェハ材料上に、カソード流れ場を二層複合骨格化構造に加工し、当該流れ場の空気に近い側で、シリコンウェハの方向に垂直な骨格化流路を加工し、膜電極に近い他側で、空気側に近い骨格化流路に対応して、シリコンウェハに垂直な流路を加工し、シリコンウェハを貫通するようにしたことを特徴とする流れ場の構造が提案されており、該方法のシリコン電極板をマイクロ燃料電池のカソードベース構造体として使用すると、電極構造体に要求される集電機能を実現するためには、シリコンベース上に貴金属導電層を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが複雑で材料費が高く、且つ冷却水流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
2、承認発表番号がCN101894954Bの発明特許は、常温結合技術に基づくマイクロ燃料電池のパッケージング方法を開示しており、カソード電極板とアノード電極板の作製方法を提案しており、<100>結晶配向両面研磨シリコンウェハ上に、応力緩衝層として熱酸化により50nmのシリカを両面に成長させ、次いでマスク層として160nmの窒化シリコンをLPCVD堆積し、接着層として20nmのCrを正面にスパッタリングし、次いで集電層として0.2マイクロメートルのAuをスパッタリングし、次いで流れ場構造パターンをイオンエッチングし、反応性イオンエッチングによりフォトリソグラフィ露光された窒化シリコンを除去してフォトレジストを除去し、その後、シリコンウェハをKOH水溶液に超音波を加えてエッチングし、エッチング面の両側が合流したところで、貫通出入口と貫通孔を形成してから停止し、最後に、反応性イオンエッチングにより正面に露出した窒化シリコンを除去し、フッ酸水溶液により正面に結合したシリカを除去する。該方法におけるシリコン電極板がマイクロ燃料電池の電極板ベース構造体としても使用すると、電極板構造に要求される集電機能を実現するためには、シリコンベース上に貴金属導電層(接着層として、AuまたはPtだけでなく、Crを設ける必要もある)を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが煩雑で材料費が高く、且つ冷却水流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
3、公開番号がCN101867052Aの発明特許は、カソード電極およびアノード電極としてシリコンウェハを用いたホイールスポーク型自己呼吸型マイクロ燃料電池およびその製造方法を開示しており、具体的なプロセスとしては、シリコンウェハを洗浄し、低圧化学気相成長法によりシリコンウェハ表面にエッチングマスクとして窒化シリコン膜を製造し、フォトリソグラフィを用いて膜上にマスクパターンを形成し、選択的エッチングの目的を実現し、40%KOH水溶液を用いて、シリコンウェハの異方性エッチングを行い、反応性イオンエッチング法によりシリコンウェハ表面に残留した窒化シリコン膜を除去し、レーザ加工技術によりシリコンウェハ表面に急勾配の側壁がある入口・出口チャネルを形成し、マグネトロンスパッタリング技術によりシリコンウェハのエッチング面にTi/Au金属層を形成して電流を集電・導通させる。同様に、該方法のシリコン電極板をマイクロ燃料電池の電極板ベース構造体としても使用すると、電極板構造体に要求される集電機能を実現するためには、シリコンベース上に貴金属導電層(Ti/Au)を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが複雑で材料費が高く、冷却水流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
4、承認発表番号がCN100483829Cの発明特許は、シリコンベースを用いた積層型シリコンベースのマイクロ燃料電池パックおよびその製造方法を開示しており、具体的には、<100>結晶配向両面研磨シリコンウェハの両面に熱酸化によりシリカを成長させ、次いでマスク層として0.1マイクロメートルの窒化シリコンをLPCVDで堆積し、流れ場構造パターンをフォトエッチングし、次いで反応性イオンエッチングを行い、反応性イオンエッチングによりフォトリソグラフィ露光された窒化シリコンを除去してフォトレジストを除去し、その後、シリコンウェハをKOH水溶液に超音波を加えてエッチングし、エッチング面の両側が合流したところで、貫通出入口と貫通孔を形成してから停止する。同様に、該方法のシリコン電極板をマイクロ燃料電池のベース構造体としても使用すると、電極板構造体に要求される集電機能を実現するために、シリコンベース上に貴金属導電層(Ti/Pt)を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが複雑で材料費が高く、冷却水の流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
5、承認発表番号がCN100369304Cの発明特許は、シリコンベースの小型直接メタノール燃料電池用の触媒電極を製造する方法を開示しており、具体的には、抵抗率0.012−0.013Ω.cmのP型またはN型結晶配向<100>のシリコンウェハを洗浄して酸化して1.0−1.5マイクロメートルのシリカ層を生成し、フォトリソグラフィにより流れ場パターンを形成した後、ウェットエッチング法により、シリコンウェハ上に、エッチング深さ150−240マイクロメートルのチャネル流れ場をエッチングし、最後に、電気化学的手段によりシリコンウェハの表面に多孔質シリコンを形成し、その上に触媒を堆積させた後、多孔質シリコンの表面により触媒の有効反応面積を大幅に増加させる。この燃料電池では、シリコンウェハは、マイクロ燃料電池の触媒電極材料の担体として、本発明が結晶シリコンを用いて電極板を作製するために解決しようとする技術的課題や技術的解決手段とは異なっている。
上記のようにシリコン材料を用いた燃料電池を疑わしく提案しているこれらの既存の技術的解決手段を組合せて、本出願人は、これらの技術的解決手段は、例えば、上記のジャーナル、および1.CN100397687C、2.CN101894954B、3.CN101867052A、4.CN101867052A、4.CN100483829Cに示すように、シリコン電極板をその電極板部品のベース支持体としてのみ使用し、燃料電池電極板部品の集電に実際に使用するために、シリコン電極板上に貴金属などの材料をコーティングする必要があり、または、5.CN100483829Cに示すように、シリコンウェハを多孔質シリコン構造にして、燃料電池の触媒担体や電極材料として使用することを見出した。さらに、これらの従来技術に共通する特徴として、シリコンを電極板ベースまたは電極材料として使用する技術的解決手段はいずれもマイクロ燃料電池に限定されており、マイクロ燃料電池は、一般的に出力がミリワットから数十ワットの範囲にある燃料電池ユニットを1個または最大2個使用し、かつ当該シリコンベース構造体に冷却水流路を設けることができないため、放熱性能を保証できない。本出願人は、この技術的解決手段の概念を非小型産業用燃料電池に適用することを提案した当業者がこれまでに一人もいなかったことを発見し、詳しく分析した結果、これらの従来技術が提案した、シリコンウェハを使用してシリコンベースを作製するプロセスの着想が、電子産業におけるシリコンチップ加工技術、特にMEMS加工技術に由来するものであることを発見し、このMEMS加工技術をマイクロ燃料電池に応用して、シリコンベースまたは多孔質シリコン電極を作製するが、非小型産業用燃料電池は、複数の燃料電池ユニットを直列に接続したスタック構造を有するため、まず、シリコンベースを用いて十分な機械的支持力を提供することができず、次に、集電機能を実現するためには、シリコン電極板ベース上に貴金属を電気メッキする必要があり、MEMS加工プロセスを用いて非小型産業用燃料電池を作製する場合、煩雑でコストが高く、金属電極板や黒鉛電極板との競合にはならない。さらに重要なことは、前述したように、これらの技術的解決手段は、電極で発生した電流を集めてシリコンベースと平行な方向に沿って電池から流出させる構造であり、この構造では金属膜に沿って電流を伝導するため、小型の燃料電池にしかできず、複数層に積層することもできないという点である。さらに、スタック構造は高出力のため運転中に発熱するため、電極板には酸化剤や還元剤の流路の他に、冷却水流路を設ける必要もある。したがって、これに基づき、当業者がシリコン材料を非小型産業用燃料電池に応用しようと考える動機はない。
しかしながら、本願の発明者は、燃料電池を理解し、シリコン材料に関する数十年に及ぶ研究と探究と分析の経験を経て、シリコン材料が、特定の選択と設計により、完全に燃料電池のシリコン電極板として直接使用されてもよいことを見出した。そして、従来技術の金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板と比較して、本発明のシリコン電極板は、主に以下の技術的解決手段を用いて、驚くほど優れた技術的結果を達成する。
シリコン電極板であって、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路を有し、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。
シリコン電極板であって、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路を有し、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せを備える。
好ましくは、前記シリコン電極板は、2つ以上のシリコンウェハを含み、ここで、前記シリコンウェハが片面または両面流路を有し、前記シリコンウェハの流路を覆わない表面領域の間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板の内部に位置する、前記内部冷却媒体流路としての内部流路を形成し、前記シリコンウェハの非積層面に位置する流路が還元剤流路または酸化剤流路として機能する。
好ましくは、前記ドープされた導電性結晶シリコン材料は、単結晶または多結晶ドープシリコンウェハを使用し、かつその抵抗率は0.1Ω.cm以下である。
好ましくは、前記シリコンウェハの厚さは0.2〜5mmの範囲であり、サイズは50〜300mmの範囲である。
好ましくは、還元剤流路および/または酸化剤流路の深さは50〜300マイクロメートルの範囲であり、幅は500〜3000マイクロメートルの範囲である。
好ましくは、本発明において、シリコンウェハを複合接続するための導電性材料の厚さは、マイクロメートルの範囲であり、1−100マイクロメートルであってもよいし、1−50マイクロメートルであってもよいし、1−20マイクロメートルであってもよく、材料の選択においては、導電性金属材料であってもよいし、導電性接着剤のような導電性非金属材料であってもよい。導電性接着剤のような導電性非金属材料をマイクロメートルの厚さに加工することが困難であり、かつ複合接続の過程中に、通常有機溶剤を排除する必要があり、プロセスを助長することができないため、好ましくは、本発明に記載の導電性材料は、金属導電性材料であり、金属導電性材料とシリコンウェハとの間の良好な複合接続に寄与するために、さらに好ましくは、本発明に記載の導電性材料は、シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を使用し、すなわち、共晶温度(本発明に記載の共晶温度は、シリコンとそれに対応する金属導電性材料の共晶反応が起こるときの温度である)に等しいか、またはそれに近い温度で、金属導電性材料とシリコンは、良好な共晶反応を起こし、シリコンウェハ間の金属導電性材料層とそれに接触するシリコンウェハ表面層を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン−金属導電性合金複合構造を形成し、最終的にはシリコンウェハ間の優れた複合接続効果を達成することができる。具体的に好ましくは、これらの金属導電性材料は、具体的には、ニッケルNi、金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAlなどであってもよい。シリコンとこれらの金属導電性材料の共晶温度は、通常、シリコン自体または金属導電性材料自体の溶融温度よりも大幅に低いが、共晶温度範囲は、一般的に500−1000℃であり、具体的には、シリコンとの特定の共晶温度は、実際に使用される金属導電性材料のタイプに応じて確定され、これらは、関連する既存の技術資料を調べることで得られる。
好ましくは、上記のようにシリコン電極板を製造する方法では、エッチングプロセスまたはレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用してシリコンウェハの片面または両面に流路または出入口組合せを加工し、導電性材料を使用して2つ以上のシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、前記複合接続によって前記シリコン電極板の内部に位置する、前記内部冷却媒体流路としての内部流路を形成する。
A10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備するステップと、
A20)、スクリーン印刷プロセスにより、前記第1シリコンウェハおよび前記第2シリコンウェハの両面に導電性材料層をそれぞれ作製するステップと、
A30)、前記導電性材料層を同時にマスク層として機能し、前記アルカリ溶液腐食プロセスにより、前記第1シリコンウェハの両面にそれぞれ背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路を作製し、前記第2シリコンウェハの両面にそれぞれ正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路を作製するステップと、
A40)、レーザプロセスにより、前記第1シリコンウェハに第1出入口組合せを、前記第2シリコンウェハに第2出入口組合せを、それぞれ作製するステップと、
A50)、前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハとを積層して高温で焼結し、互いに接触している前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して前記2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成するステップと、を含むことが好ましい。
A10’)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備するステップと、
A20’)、スクリーン印刷プロセスにより、前記第1シリコンウェハの片面および前記第2シリコンウェハの両面に導電性材料層をそれぞれ作製するステップと、
A30’)、前記導電性材料層を同時にマスク層として機能し、アルカリ溶液腐食プロセスにより、前記第1シリコンウェハの片面にそれぞれ正面または背面第1内部冷却媒体流路を作製し、前記第2シリコンウェハの両面にそれぞれ背面または正面第2内部冷却媒体流路および正面還元剤流路または背面酸化剤流路を作製するステップと、
A40’)、レーザプロセスにより、前記第1シリコンウェハに第1出入口組合せを、前記第2シリコンウェハに第2出入口組合せを、それぞれ作製するステップと、
A50’)、前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハとを積層して高温で焼結し、互いに接触している前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して前記2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成するステップと、を含むことが好ましい。
好ましくは、前記導電性材料は、前記シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を使用し、高温で焼結する前記加熱温度は、前記シリコン材料と前記金属導電性材料との共晶温度に近いか、または等しい。
好ましくは、燃料電池へのシリコンの応用であって、前記燃料電池は、1つ以上の燃料電池ユニットを含み、前記燃料電池ユニットが一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、
前記カソードプレートおよびアノードプレートは、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、
前記シリコン電極板は、上記のようなシリコン電極板を使用する。
好ましくは、前記シリコン電極板は、同時に、単一の燃料電池ユニットのカソードプレート、およびそれに隣接する単一の燃料電池ユニットのアノードプレートとして使用されてもよい。
好ましくは、燃料電池スタック構造であって、前記スタック構造は、互いに直列に接続されて一体に積層された3個以上の燃料電池ユニットを含み、
前記燃料電池ユニットは、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、
前記カソードプレートおよびアノードプレートは、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、
前記シリコン電極板は、上記のようなシリコン電極板を使用する。
好ましくは、前記シリコン電極板は、同時に、単一の燃料電池ユニットのカソードプレート、およびそれに隣接する単一の燃料電池ユニットのアノードプレートとして使用されてもよい。
好ましくは、前記スタック構造の出力電力は、0.1KW以上である。
好ましくは、前記燃料電池はスタック構造を含み、前記スタック構造が互いに直列に接続されて一体に積層された、両端に位置する端部燃料電池ユニットおよび中央に位置する1つ以上の中央燃料電池ユニットを含み、ここで、
中央燃料電池ユニットが内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路を有する中央シリコン電極板を含み、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。
好ましくは、前記端部燃料電池ユニットは、端部シリコン電極板と中央シリコン電極板を含み、ここで、前記端部シリコン電極板が内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路を有し、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。
好ましくは、前記中央シリコン電極板は、第1中央シリコンウェハと第2中央シリコンウェハを含み、ここで、前記第1中央シリコンウェハが背面第1内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および第1出入口組合せを有し、前記第2中央シリコンウェハが正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路および第2出入口組合せを有し、前記第1中央シリコンウェハの前記第1内部冷却媒体流路を覆わない背面領域と、前記第2中央シリコンウェハの前記第2内部冷却媒体流路を覆わない正面領域との間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成する。
好ましくは、前記端部シリコン電極板は、端部シリコンウェハおよび中央シリコンウェハを含み、ここで、前記端部シリコンウェハが正面または背面第1内部冷却媒体流路および第1出入口組合せを有し、前記中央シリコンウェハが背面または正面第2内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路および第2出入口組合せを有し、前記端部シリコンウェハの前記第1内部冷却媒体流路を覆わない正面または背面領域と、中央シリコンウェハの前記第2内部冷却媒体流路を覆わない背面または正面領域との間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成する。
好ましくは、前記還元剤は、水素ガスまたは天然ガスまたは石炭ガスまたは精製ガスまたはメタノールであり、前記酸化剤は、酸素ガスまたは空気である。
好ましくは、前記アノード電極、電解質隔膜、およびカソード電極は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)膜電極アセンブリを使用し、ここで、前記電解質隔膜がプロトン交換膜である。
好ましくは、前記冷却媒体は水である。
好ましくは、スタック構造と、パッケージ用絶縁体と、外部取付部材を含む燃料電池であって、前記スタック構造は、上記のような燃料電池スタック構造を使用する。
好ましくは、上記のような燃料電池の応用であって、可搬型製品、または定置型給電または加熱装置製品、または輸送用製品に応用される。
本発明は、本出願人と発明者によるシリコン材料に対する数十年にわたる研究、探究、分析経験に基づいて、ドープされた導電性結晶シリコン材料を燃料電池用シリコン電極板として直接使用することを提案し、かつシリコン電極板の構造設計を提案し、具体的には、2つ以上のシリコンウェハを積層して複合し、この積層複合加工によって内部流路を形成し、この内部流路を冷却媒体流路として直接使用することができる。本発明によるシリコン電極板は、燃料電池内部の骨格構造として、十分な機械的支持力を提供ことができ、同時に、シリコン電極板は、直接集電板として燃料電池スタック方向に沿って電流を伝導し、追加の金属膜層を追加的に設ける必要がないだけでなく、スタック構造を有する燃料電池に要求される多層積層構造を実現することができる。さらに、シリコン電極板の内部流路は直接冷却媒体流路として機能し、燃料電池の動作中に発生した熱をタイムリーに外部に効果的に伝達することができる。したがって、本発明によるシリコン電極板は、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、燃料電池バイポーラプレートに要求される特性を完全に満たすことができ、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板と比較して、本発明によるシリコン電極板は、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有し、これは燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的な推進力となっている。
本発明はさらに、シリコンウェハの表面に導電性材料層を作製してシリコン電極板を製造する好ましいシリコン電極板製造方法を提案し、導電性材料層が好ましくはニッケルや銅などの卑金属材料であり、本発明の導電性材料層は、シリコンウェハの後続のエッチングプロセスにおけるマスク層構造として使用されるだけでなく、2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層された遷移接合構造としても使用されるため、プロセスが最も簡単で効果的であり、実施しやすく、かつプロセスコストが低く、バッチ製造用途に適している。
本発明はさらに、シリコンウェハ間の複合接続のための好ましい導電性材料を提案し、具体的には、シリコンウェハ間の複合接続用材料として、シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を提案し、共晶温度で焼成し、シリコンウェハ間の金属導電性材料層とそれに接触するシリコンウェハの表層を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン金属導電合金複合構造を形成し、最終的にシリコンウェハ間の優れた複合接続効果を達成することができる。
説明されるように、本発明によるシリコン電極板は、上記の優れた特性により、スタック構造を有する非小型燃料電池製品(特に、0.1kW以上の出力電力を有する非小型燃料電池)の分野での用途に特に適しており、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板よりも優れた性能上の利点を有する。もちろん、当業者は、実際のニーズに応じて、シリコン電極板をマイクロ燃料電池(一般的には1−2個の燃料電池ユニットのみを有する)に直接適用することができ、電極板ベースとしてシリコンを使用する既存のマイクロ燃料電池と比較して、材料コスト、製造プロセス、機械的強度、および冷却性能においていくつかの明らかな技術的利点を有し、これらも本発明の保護の範囲内に含まれるべきである。
本発明では特に説明されるように、本発明の全文に現れる正面と背面の表現は、シリコンウェハの異なる側面に分布する様々な流路の位置分布関係を例示するためのものに過ぎず、正面と背面は相対的なものであり、実際の方向は基準オブジェクトによって異なり、本発明の具体的な方向を限定するものではない。
本発明の具体的な実施形態におけるスタック構造100の断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央燃料電池ユニット100b、100c、100dおよび端部燃料電池ユニット100a、100eの断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央シリコン電極板110、端部シリコン電極板130、130’の断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央シリコン電極板110における還元剤流路111の構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央シリコン電極板110の製造プロセスを示すフローチャートである
本発明の実施例2に係る中央シリコン電極板210の製造プロセスを示すフローチャートである。
本発明の実施例3に係る中央シリコン電極板310の製造プロセスを示すフローチャートである。
本発明の実施例4に係る中央シリコン電極板410の製造プロセスを示すフローチャートである。
本発明の実施例5におけるマイクロ燃料電池の燃料電池ユニット10の断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例6におけるマイクロ燃料電池の燃料電池ユニット20a、20bの断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例は、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路を有し、かつ内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられているシリコン電極板を開示する。
本発明の実施例はさらに、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路を有し、かつ内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられているシリコン電極板を開示する。
本発明の実施例に係る上記のようなシリコン電極板の製造方法では、エッチングプロセスまたはレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用してシリコンウェハの片面または両面に流路または出入口組合せを加工し、導電性材料を使用して2つ以上のシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、複合接続によってシリコン電極板の内部に位置する、内部冷却媒体流路としての内部流路を形成する。
本発明の実施例は、燃料電池へのシリコンの応用を開示する。前記応用では、燃料電池は、1つ以上の燃料電池ユニットを含み、燃料電池ユニットが一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、カソードプレートおよびアノードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、シリコン電極板が上記のようなシリコン電極板を使用する。
本発明の実施例はさらに、燃料電池スタック構造を開示する。前記スタック構造は、互いに直列に接続されて一体に積層された3個以上の燃料電池ユニットを含み、燃料電池ユニットが一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、カソードプレートおよびアノードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、シリコン電極板が上述したようなシリコン電極板を使用する。
本発明の実施例はさらに、スタック構造体と、パッケージ用絶縁体と、外部取付部材を含む燃料電池を開示する。前記スタック構造は、上記のような燃料電池スタック構造を使用する。
本発明の実施例に係る上記のような燃料電池の応用であって、可搬型製品、または定置型給電または加熱装置製品、または輸送用製品に応用される。
本発明の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明で使用される図面を簡単に紹介し、当然のことながら、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなく、これらの図面に基づく他の図面を得ることができる。
実施例1:
図1に示す燃料電池スタック構造100を参照すると、スタック構造100は、互いに直列に接続されて一体に積層された3個以上の燃料電池ユニットを含み、具体的には、本実施形態では、燃料電池ユニットの数は5個であり、好ましくは、スタック構造100の出力電力は0.1kW以上であり、もちろん、本発明の他の実施形態では、当業者は、実際に適用される製品分野の必要な電力ニーズに応じて、燃料電池ユニットの数を完全に選択することができ、本発明はこれに特に限定されない。
図1に示すように、本実施例1のスタック構造は、両端に位置する端部燃料電池ユニット100a、100eおよび中央に位置する3つの中央燃料電池ユニット100b、100c、100dを含み、各燃料電池ユニットは、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、カソードプレートおよびアノードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、ここで、シリコン電極板が同時に、単一の燃料電池ユニットのカソードプレート、およびそれに隣接する単一の燃料電池ユニットのアノードプレートとして使用される。
好ましくは、本実施形態では、ドープされた導電性結晶シリコン材料は、単結晶または多結晶ドープシリコンウェハを使用し、好ましくは、本実施形態では、シリコンウェハの抵抗率は0.1Ω.cm以下であり、さらに好ましくは、シリコンウェハの抵抗率範囲は0.0005〜0.05Ω.cmである。
説明されるように、本発明は、具体的に実施する際に、具体的に選択されたシリコンウェハが属する結晶シリコンのタイプに応じて、シリコン電極板の製造方法を選択することができ、その詳細については後述する。
好ましくは、本実施形態では、シリコンウェハの厚さは0.2〜5mmの範囲であり、サイズは50〜300mmの範囲である。シリコンウェハの形状は、正方形、円形、その必要な形状であってもよく、本発明の実施形態はこれらに特に限定されない。
具体的に好ましくは、本実施形態では、使用されるシリコンウェハは、いずれもN型単結晶リンドープシリコンウェハであり、正方形の形状を呈し、結晶配向は、非<111>結晶配向であり、具体的には、<100>結晶配向または<110>結晶配向または<111>結晶配向と明らかな角度を有する他の結晶配向であってもよく、これにより、本実施形態におけるアルカリ溶液腐食プロセスのその後の使用に寄与する。N型単結晶リンドープシリコンウェハの抵抗率は約0.01Ω.cmであり、シリコンウェハの厚さは0.5mm、サイズは約150mmである。
好ましくは、本発明の実施例では、シリコン電極板は、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および/または背面酸化剤流路を有し、かつ内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および/または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。好ましくは、シリコン電極板は具体的には、2つ以上のシリコンウェハを含み、ここで、シリコンウェハが片面または両面流路を有し、シリコンウェハの流路を覆わない表面領域の間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、かつ複合接続によってシリコン電極板の内部に位置する、内部冷却媒体流路としての内部流路を形成し、シリコンウェハの非積層面に位置する流路は、還元剤流路または酸化剤流路として機能する。
より具体的に好ましくは、本実施例1では、さらに図2および図3に示すように、中央燃料電池ユニット100b、100c、100dは、中央シリコン電極板110を含み、中央シリコン電極板110が2つのシリコンウェハによって複合加工されており、内部冷却媒体流路112、正面還元剤流路111および背面酸化剤流路113を有し、かつ内部冷却媒体流路112、正面還元剤流路111および背面酸化剤流路113のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられ(図4を参照)、具体的には、内部冷却媒体流路112、正面還元剤流路111、背面酸化剤流路113にそれぞれ連通するための3組のシリコン電極板出入口の組み合わせを含み、同時に、当該3組のシリコン電極板出入口組合せの入口には、それぞれ冷却媒体、還元剤、酸化剤が供給され、それらの出口が各流路を通過した後の冷却媒体、過剰な還元剤、酸化剤、およびそれらの反応生成物を排出するために使用される。
本発明が実施される場合、還元剤は水素ガス又は天然ガス又は石炭ガス又は精製ガス又はメタノールなどであってもよく、酸化剤は酸素ガス又は空気であってもよく、当業者は、本発明の技術的内容および応用される分野に応じて、還元剤および酸化剤のタイプを具体的に選択することができる。具体的に好ましくは、本実施形態では、還元剤は水素ガスで、酸化剤は酸素ガスで、反応生成物は水で、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極はMEA膜電極アセンブリ120を使用し、電解質隔膜はプロトン交換膜で、冷却媒体は水であり、これにより、本発明による燃料電池スタック構造の効率、出力密度及びコスト節約に寄与し、操作や適用が容易であり、また、本実施形態の反応生成物は水であり、有害物質を生成することなく、非常に環境に優しい。ここで、本実施例のMEA膜電極アセンブリ120およびプロトン交換膜は、市場で容易に購入できる、工業化がより成熟した周知の技術に属する従来技術における技術的解決手段のいずれかを直接採用することができるため、本発明はこの部分について詳しく説明しない。
本実施例の燃料電池の絶縁及び取付の安全性を確保するために、各燃料電池ユニットのMEA膜電極アセンブリ120とそのシリコン電極板の両側に一定の安全したパッケージング接合距離を設定し、この距離が一般的にミリメートルレベルで、例えば、5−15mmに設定され、この安全したパッケージング接合距離がその後の絶縁パッケージングに使用される。
ここで、図4に示すように、これらの出入口組合せと、それらに対応して連通された流路との間に流路導通の一意性を達成するために、出入口組合せと、それに対応して連通された流路との間に導通流路が設けられ、導通流路は、製造工程において流路と共に製造されてもよく、ここで、正面還元剤流路111に対応するシリコン電極板出入口組合せは、図4に示す入口114aおよび出口114a’を含む(残りの流路に対応するシリコン電極板出入口組み合わせは示されているがマークされず、入口114aおよび出口114a’は、それぞれ入口導通流路115aおよび出口導通流路115a’に対応している)。
本発明の実施例に係る中央シリコン電極板110上の具体的な流路、入口および出口の形状設計は、図4の設計を参照してもよいし、従来技術のいずれを用いてもよく、本発明は特に限定されない。
さらに具体的には、図5に示すように、本実施形態では、中央シリコン電極板110は、第1中央シリコンウェハおよび第2中央シリコンウェハを含み、ここで、第1中央シリコンウェハが背面第1内部冷却媒体流路、正面還元剤流路111および第1出入口組合せを有し、第2中央シリコンウェハが正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路113および第2出入口組合せを有し、第1中央シリコンウェハの第1内部冷却媒体流路を覆わない背面領域と、第2中央シリコンウェハの第2内部冷却媒体流路を覆わない正面領域との間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路112を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。本実施例における背面第1内部冷却媒体流路、正面第2内部冷却媒体流路、および背面酸化剤流路113の具体的な流路構造および形状は、図4に示す正面還元剤流路111を直接参照することができ、スペースを節約するために、説明は繰り返さない。
好ましくは、本発明の実施例では、還元剤流路111および酸化剤流路113の深さは50〜300マイクロメートルの範囲であり、幅範囲は500〜3000マイクロメートルである。具体的に好ましくは、本発明の実施形態では、還元剤流路111および酸化剤流路113の深さは100±10マイクロメートルであり、幅は1000±100マイクロメートルである。第1内部冷却媒体流路および第2内部冷却媒体流路の深さと幅の設計は、還元剤流路111と酸化剤流路113と同じである。
本実施例1では、さらに図2および図3に示すように、端部燃料電池ユニット100aは、端部シリコン電極板130、MEA膜電極アセンブリ120および中央シリコン電極板110を含み、端部燃料電池ユニット100eが端部シリコン電極板130’、MEA膜電極アセンブリ120および中央シリコン電極板110を含み、ここで、端部シリコン電極板130が2つのシリコンウェハによって複合加工されており、内部冷却媒体流路131、背面酸化剤流路132を有し、かつ内部冷却媒体流路131、背面酸化剤流路132のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられ、端部シリコン電極板130’が2つのシリコンウェハによって複合加工されており、内部冷却媒体流路131、正面還元剤流路132’を有し、かつ内部冷却媒体流路131、正面還元剤流路132’のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。本実施例の端部シリコン電極板130、130’のシリコン電極板出入口組み合わせが中央燃料電池ユニット100b、100c、100dのシリコン電極板出入口の組み合わせと同じ技術的手段を使用しており、ここでは詳細に説明しない。
さらに具体的には、端部シリコン電極板130は、それぞれ端部シリコンウェハおよび中央シリコンウェハを含み、ここで、その端部シリコンウェハが背面第1内部冷却媒体流路および第1出入口組合せを有し、その中央シリコンウェハが正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路132および第2出入口組合せを有する。端部シリコン電極板130’は、それぞれ端部シリコンウェハおよび中央シリコンウェハを含み、ここで、その端部シリコンウェハが正面第1内部冷却媒体流路および第1出入口組合せを有し、その中央シリコンウェハが背面第2内部冷却媒体流路、正面還元剤流路132’および第2出入口組合せを有する。端部シリコンウェハと中央シリコンウェハは、導電性材料の複合接続によって一体に積層され、第1内部冷却媒体流路と第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続形によって内部冷却媒体流路131を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
本発明の実施形態では、中央シリコン電極板110および端部シリコン電極板130、130’の構造設計特性に従って、当業者は、本発明の実施例に係る中央シリコン電極板110および端部シリコン電極板130、130’を製造するために、様々なプロセスを使用することができる。典型的な方法として、エッチングプロセスまたはレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用してシリコンウェハの片面または両面に流路または出入口組み合わせを加工し、次いで、導電性材料を使用して2つ以上のシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、当該複合接続によってシリコン電極板の内部に位置する、シリコン電極板の内部冷却媒体流路としての内部流路を形成する。
本発明の燃料電池スタック構造100における各燃料電池ユニット100a、100b、100c、100d、100eは、直列に接続されて一体に積層されているので、本発明のスタック構造は、積層方向の集電・伝送を実現するとともに、各燃料電池ユニットの内部冷却媒体流路112、131、還元剤流路111、132’および酸化剤流路113、132を、積層方向に沿って対応して嵌合したシリコン電極板出入口組合わせによって積層方向にそれぞれ連通させる。
本実施例では、シリコンウェハ間の複合接続に使用される導電性材料の厚さは、マイクロメートルの範囲であり、材料選択の観点から、導電性金属材料であってもよいし、導電性接着剤などの導電性非金属材料であってもよい。好ましくは、導電性材料は金属導電性材料である。金属導電性材料間およびそれとシリコンウェーハ間の良好な複合接続に寄与するために、さらに好ましくは、本実施例の導電性材料は、シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を使用し、すなわち、共晶温度(本発明に記載の共晶温度は、シリコンとそれに対応する金属導電性材料の共晶反応が起こるときの温度である)に等しいか、またはそれに近い温度で、金属導電性材料とシリコンは、良好な共晶反応を起こし、シリコンウェハ間の金属導電性材料層およびそれに接触するシリコンウェハ表面層を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン−金属導電性合金複合構造を形成し、最終的にはシリコンウェハ間の優れた複合接続効果を達成することができる。具体的に好ましくは、これらの金属導電性材料は、具体的には、ニッケルNi、金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAlなどであってもよい。シリコンとこれらの金属導電性材料の共晶温度は、通常、シリコン自体または金属導電性材料自体の溶融温度よりも大幅に低いが、共晶温度範囲は、一般的に500−1000℃であり、具体的には、シリコンとの特定の共晶温度は、実際に使用される金属導電性材料のタイプに応じて確定されてもよく、これらは関連する既存の技術資料を調べることで得られる。
本実施例に現れる正面と背面の表現は、シリコンウェハの異なる側面に分布する様々な流路の位置分布関係を例示するためのものに過ぎず、正面と背面は相対的なものであり、実際の方向は基準オブジェクトによって異なり、本実施例の具体的な方向を限定するものではない。これらの様々なプロセスの中でも、本発明の実施例1は、好ましい製造方法を提案し、プロセスが最も簡単で効果的であり、実施が容易であり、かつプロセスコストが最も低く、具体的には以下のとおりである。
具体的に好ましくは、図5に示すように、本実施例1は、上記のような中央シリコン電極板110の製造方法を提案する。前記方法は、以下の操作ステップを含む。
A10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備し、ここで、シリコンウェハが事前に洗浄されるべきであり、さらに具体的に好ましくは、ダイヤモンドワイヤで切断されたシリコンウェーハは、表面粗さを低減し、後続のステップのプロセス製造効果に寄与するために、さらに化学的または機械的に研磨されてもよい。
A20)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に導電性材料層116をそれぞれ作製し、好ましくは、導電性材料層116の厚さは1〜15μmであり、導電性材料は、シリコン材料との共晶結合効果を有する卑金属導電性材料であり、本実施形態では流路を形成するためにアルカリ溶液腐食プロセスが必要であるため、本実施例1の導電性材料は、アルカリ溶液と反応しないように選択される。もちろん、流路を作製するためにレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを採用する他の実施形態では、そのような制限はない。本実施形態では、導電性材料はニッケルまたは銅であってもよく、具体的には、導電性材料はニッケルを使用し、もちろん、本発明の実施形態では、コストの観点からあまり好ましくない解決手段として、貴金属導電性材料を用いてもよいし、他の適切な導電性材料を用いてもよいが、これらは本発明の限定と見なされるべきではない。
A30)、導電性材料層116を同時にマスク層として機能し、アルカリ溶液(具体的には、KOH水溶液またはNaOH水溶液またはテトラメチルアンモニウム水溶液を用いることができる。)腐食プロセスにより、第1シリコンウェハの両面にそれぞれ背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路111を作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路113をそれぞれ作製する。
A40)、図4に示すように、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製する。
A50)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハとを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、複合材料の接合に悪影響を及ぼす焼結工程中のウェハの酸化を避けるために、加熱装置に不活性ガスを供給して無酸素雰囲気を実現することができる。シリコンとニッケルの共晶温度に近いか等しい加熱温度を選択し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して2つのシリコンウェハを一体として複合接続する(このとき、2つのウェーハ間の導電性材料層と、それに接触したシリコン表面を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン−金属導電性合金複合構造を形成し、優れた複合接続効果を達成する)。ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路112を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
本発明の他の実施形態では、上記ステップA40)は、ステップA30)の前またはステップA20)の前に実行されてもよい。
具体的に好ましくは、本実施例1は、上記のような端部シリコン電極板130の製造方法を提案する。前記方法は、以下の操作ステップを含む。
A10’)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
A20’)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハの片面および第2シリコンウェハの両面に導電性材料層をそれぞれ作製する。
A30’)、導電性材料層を同時にマスク層として機能し、アルカリ溶液腐食プロセスにより、第1シリコンウェハの片面に背面第1内部冷却媒体流路をそれぞれ作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路132をそれぞれ作製する。
A40’)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに、第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製する。
A50’)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハとを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、シリコンとニッケルの共晶温度に近いか等しい加熱温度を選択し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
本発明の他の実施形態では、以上のステップA40’)はステップA30’)の前またはステップA20’)の前に実行されてもよい。
本実施例1の端部シリコン電極板130’の製造方法は、端部シリコン電極板130の製造方法と同様であるため、その説明を省略する。本実施例1の端部シリコン電極板130,130’の製造方法および原理は、中央シリコン電極板110の製造方法および原理と本質的に同じであるが、端部シリコン電極板130,130’が端部に配置されるため、外部取付端板に取り付けられて接続され、隣接する燃料電池ユニットを有しないという点だけが異なる。したがって、端部シリコン電極板130の端部シリコンウェハに正面還元剤流路132’を設ける必要がなくなり、端部シリコン電極板130’の端部シリコンウェハに背面酸化剤流路132を設ける必要がなくなるため、製造方法において上記のような若干の細かな違いがある。
本発明の他の実施形態では、中央シリコン電極板の全部または一部、および中央シリコン電極板の端部シリコン電極板の全部または一部は、2つ以上、例えば3つまたは4つのシリコンウェハを使用することもでき、これにより、冷却媒体流路112の有効面積を大きくすることができ、燃料電池の放熱効果の向上に更に寄与することができる。もちろん、シリコンウェハの数を多く適用すると、燃料電池スタック構造の体積が大きくなり、電力密度の低下を招くため、当業者は、実際に使用される燃料電池製品の特性に応じてシリコンウェハの数を選択し、最終的には様々な性能表現の最適なバランスポイントを取得することができる。
好ましくは、本実施例1はさらに、スタック構造、パッケージング用絶縁体(図示せず)および外部取付部材(図示せず)を含む燃料電池を提案する。前記パッケージング用絶縁体は、主にスタック構造の絶縁パッケージングを達成するために使用され、そして、外部取付部材と接続されて嵌合し、燃料電池の最終的な取付および出力に役立ち、ここで、スタック構造は、上記のような燃料電池スタック構造100を使用する。本発明の実施形態におけるパッケージング用絶縁体および外部取付部材は、従来技術における任意のパッケージング用絶縁体および外部取付部材と直接組み合わせてもよく、具体的には、パッケージング用絶縁体は、ゴム系、ホットメルト系、ホット架橋系、UV架橋系などの様々な絶縁体であってもよく、パッケージング用絶縁体および外部取付部材は、本発明の革新的な内容に属しないので、本発明の実施例では詳細に説明しない。
好ましくは、本実施例1はさらに、自動車製品に応用される上記のような燃料電池応用を提案するが、もちろん、本発明の他の実施形態では、前記応用はさらに、可搬型製品(様々な補助給電装置など)、または定置型給電装置または加熱装置製品(大型コージェネレーションデバイスまたは連続給電装置など)、または他のタイプの輸送用製品(物流トラックなどの各種輸送車両など)に適用されてもよい。
実施例2:
本実施例2の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、本実施例2では、シリコンウェハがリンまたはホウ素をドープした単結晶または多結晶シリコンウェハである点で相違する。好ましくは、シリコンウェハの抵抗率は0.0005〜0.05Ω.cmの範囲である。図6に示すように、中央シリコン電極板210の製造方法は、以下の操作ステップを含む。
B10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
B20)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハの両面に背面第1内部冷却媒体流路、正面還元剤流路211および第1出入口組合せをそれぞれ作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路213および第2出入口組合せをそれぞれ作製する。
B30)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に導電性材料層216をそれぞれ作製する。
B40)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハとを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層216を融着して2つのシリコンウェハを一体として複合接続され、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路212を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
実施例1と同様に、本実施例における端部シリコン電極板は、その端部シリコンウェハに還元剤流路または酸化剤流路を設ける必要がないという点でのみ、中央シリコン電極板210とは異なる。したがって、当業者であれば、実施する際に、本実施例に係る中央シリコン電極板210の製造方法および端部シリコン電極板の構造特性を参照して端部シリコン電極板の作製方法を設定することができ、これらは創造的な労力を必要としないので、本実施例2は端部シリコン電極板の製造方法について詳細に説明しない。
実施例3:
本実施例3の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、本実施例3では、シリコンウェハがリンまたはホウ素をドープした単結晶または多結晶シリコンウェハである点で相違する。好ましくは、シリコンウェハの抵抗率は0.0005〜0.05Ω.cmの範囲である。図7に示すように、中央シリコン電極板310の製造方法は、以下の操作ステップを含む。
C10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
C20)スクリーン印刷プロセス(ポジティブモールドプロセスとも呼ばれる)を直接使用して、第1および第2のシリコンウェハの両面に導電性材料層316をそれぞれ作製し、導電性材料層316の形成により、第1シリコンウェハは、背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路311を直接形成することができ、第2シリコンウェハは、正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路313を直接形成することができ、スクリーン印刷プロセスに使用される材料は、導電性材料であり、具体的には銀ペーストやアルミペーストなどの材料であってもよい。
C30)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製し、他の実施例では、ステップC30)はステップC20)の前に実行されてもよい。
C40)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、好ましくは、加熱温度をシリコンと導電性材料の共晶温度に設定し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層316を融着して2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路312を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
高温焼結中に流路構造および形状ができるだけ影響を受けないようにするために、本発明の他の実施形態では、ステップC20)でのスクリーン印刷プロセスに使用される材料は、カーボンペースト材料であってもよい。カーボンの融点が高いため、流路の形状を効果的に保護することができるが、カーボンはシリコンウェハの共晶反応を起こしにくいため、シリコンウェハ間の高温焼結融着複合を効果的に実現するために、ステップC40)の前に導電性材料層を作製するステップを追加する必要があり、そのプロセスは、同様にスクリーン印刷プロセスまたは他のプロセスを使用することで、最終的にステップC40)での高温焼結融着複合を実現し、具体的には、実施例1〜3の導電性材料層を作製するステップを参照することができる。これにより、流路が保護されるだけでなく、ウェハ間の複合接続も実現されるが、明らかに、製造プロセスは比較的複雑になる。
実施例1と同様に、本実施例における端部シリコン電極板は、その端部シリコンウェハに還元剤流路または酸化剤流路を設ける必要がないという点でのみ、中央シリコン電極板310とは異なる。したがって、当業者であれば、実施する際に、本実施例に係る中央シリコン電極板310の製造方法および端部シリコン電極板の構造特徴を参照して端部シリコン電極板の製造方法を設定することができ、これらは創造的な労力を必要としないので、本実施例3は端部シリコン電極板の製造方法について詳細に説明しない。
実施例4:
本実施例4の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、その相違点として、本実施例4では、図8に示すように、中央シリコン電極板410の製造方法は、以下の操作ステップを含む。
D10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
D20)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に熱酸化シリカ層414をそれぞれ作製する。
D30)、フォトリソグラフィプロセスまたはレーザプロセスにより、熱酸化シリカ層414をマスク層として設計する。
D40)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製し、他の実施例では、ステップD40)はステップD30)またはD20)の前に、またはステップD50)またはD60)またはD70)の後に実行されてもよい。
D50)、アルカリ溶液腐食プロセスにより、第1シリコンウェハの両面に背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路411をそれぞれ作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路413をそれぞれ作製する。
D60)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハ上の残りのシリカ層を除去する。
D70)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に導電性材料層416をそれぞれ作製する。
D80)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、好ましくは、加熱温度をシリコンと導電性材料の共晶温度に設定し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層416を融着して2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路412を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
実施例1と同様に、本実施例における端部シリコン電極板は、その端部シリコンウェハに還元剤流路または酸化剤流路を設ける必要がないという点でのみ、中央シリコン電極板410とは異なる。したがって、当業者であれば、実施する際に、本実施例に係る中央シリコン電極板410の製造方法および端部シリコン電極板の構造特徴を参照して端部シリコン電極板の製造方法を設定することができ、これらは創造的な労力を必要としないので、本実施例4は端部シリコン電極板の製造方法について詳細に説明しない。
本発明は、上記の実施形態の一部のみを列挙したが、当業者であれば、実際の応用ニーズに応じて、具体的な製造プロセスを選択し、一部のステップの順序を変更して他の実施形態を得ることができ、製造プロセスにおけるこれらの置換も全て本発明の保護範囲内に含まれる。本発明で提案される具体的な製造プロセスステップ(例えば、エッチングプロセス、フォトリソグラフィプロセス、レーザプロセス、およびスクリーン印刷プロセス)自体がいずれも従来技術であるので、当業者は実際の状況に応じて、具体的なプロセスステップの関連する技術的パラメータを選択することができ、これは本発明の実施例では特に列挙されていない。
さらに説明されるように、本発明の実施例の図5〜図8に示された製造プロセスのフローチャートでは、2つのシリコンウェハを複合接続した前のステップ図は、2つのシリコンウェハのステップ図が完全に同一であるため、説明のスペースを節約するために、1つのシリコンウェハのみを示している。
本発明では、多数の実施例により検証されたところ、シリコン電極板を直接燃料電池スタック構造のシリコン電極板として使用すると、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、燃料電池バイポーラプレートに要求される特性を完全に満たすことができ、同時に、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板と比較して、本発明によるシリコン電極板は、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有する。本発明の実施例によって達成された優れた性能をより良く説明するために、表1における本発明のシリコン電極板が応用された燃料電池と、既存の様々な電極板型燃料電池との重要な技術的指標の表現比較を参照する。
さらに追加して説明する。
1.コストについて
まず、シリコンは地球上に最も豊富に存在する元素であり、シリコン材料が使用される集積回路や太陽光発電産業の発展に伴い、結晶シリコン材料が安価になってき、燃料電池の電極板としては、既にステンレスや黒鉛に比べて安価であり、材料コストの削減の余地がある。
さらに、結晶シリコンは、微細加工特性(本明細書に記載のエッチングプロセス、リソグラフィプロセス、レーザプロセス、スクリーン印刷プロセスなど)に非常に優れているため、本発明では、酸化剤および還元剤流路の深さおよび幅を大幅に小さくすることができ、さらに電解質隔膜、カソードおよびアノードへの燃料電池スタック構造の応力を低減することができる。したがって、燃料電池は、より薄い電極材料や誘電体膜材料を使用することができ、電極内の酸化剤や還元剤、反応生成物の拡散及び輸送速度を増加させ、誘電体膜内のイオンの拡散長を短くすることができるため、燃料電池の単位面積当たりの発電電流を増加させることができ、間接的に、電解質隔膜、カソードやアノードのワット当たりのコストを大幅に削減することができる。
2.寿命について
結晶シリコン材料は、酸性とアルカリ性環境下でも電気化学的環境下でも化学的安定性に優れているため、腐食に弱い金属電極板型燃料電池の欠点を回避する。したがって、本発明のシリコン電極板自体は故障せずに長期間使用されてもよい。一般的には、その応用されたシリコン電極板型燃料電池の寿命は、他の部材によって決定され、本発明の表1に与えられた寿命データ表現は、長寿命表現を有する既存の燃料電池データに基づいたものであり、本発明のシリコン電極板型燃料電池の寿命は、他の部材の性能がアップグレードされ、最適化されるにつれて増加し、一方で、シリコン電極板型燃料電池の長い寿命により、コストがさらに低減される。
3.体積電力密度および重量電力密度について
シリコン電極板型燃料電池は、高い電流密度を生成することができ、それによってスタック構造の体積電力密度が高くなる。
結晶シリコンの優れた微細加工特性により、薄いシリコン電極板を用いてスタック構造を作製することができ、シリコン電極板を用いたスタック構造は、同じ数の単一燃料電池ユニットを積層したスタック構造に対して、最小の厚さを有する。特に、黒鉛電極板スタック構造よりもシリコン電極板スタック構造の方が有利であることは明らかであり、したがって、シリコン電極板スタック構造は、最も高い体積電力密度を有する。
シリコン材料は金属材料に比べて重量密度が低く、黒鉛材料に比べて薄いため、シリコン電極板型燃料電池はより高い重量電力密度を有する。
本発明のシリコン電極板型燃料電池は、金属電極板型燃料電池と同等以上のエネルギー密度を有し、かつ黒鉛電極型燃料電池と同等の優れた寿命表現を有し、かつシリコン電極板は材料が安価で製造プロセスが簡単であるという特徴を有し、これにより、シリコン電極板型燃料電池は、他の材料の電極板型燃料電池よりも低コストであるだけでなく、耐久性や電力密度などの燃料電池の主要な技術的指標においても明らかに優れた利点がある。本発明がもたらす画期的な技術的効果は、燃料電池分野の当業者にとって想像できないものであり、本発明を得るために既存の技術資料から技術的な示唆を得ることはできない。したがって、疑いなく、本発明は、燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的推進力となっている。
上述したように、本発明は、実施する際に、スタック構造の燃料電池ユニットの数が多い燃料電池に適用されてもよく、もちろん、1個または2個の燃料電池ユニットのみを含む燃料電池(一般にマイクロ燃料電池と呼ばれる)にも適用されてもよく、具体的には、以下の実施例5および実施例6を参照する。
実施例5:
本実施例5の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、その相違点として、本実施例5では、図9に示すように、燃料電池は、1つの燃料電池ユニット10を含み、燃料電池ユニット10は、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、カソードプレートおよびアノードプレートがいずれもドープされた導電性結晶シリコン材料で作製された端部シリコン電極板を使用し、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極がMEA膜電極アセンブリを使用する。
実施例6:
本実施例6の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、その相違点として、本実施例6では、図10に示すように、燃料電池は、互いに直列に接続されて一体に積層された第1燃料電池ユニット20aおよび第2燃料電池ユニット20bを含み、第1燃料電池ユニット20aおよび第2燃料電池ユニット20bがそれぞれ、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、アノード電極、電解質隔膜、およびカソード電極がMEA膜電極アセンブリを使用し、第1燃料電池ユニット20aのアノードプレートおよび第2燃料電池ユニット20bのカソードプレートがいずれも、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製された端部シリコン電極板を使用し、第1燃料電池ユニット20aのカソードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製された中央シリコン電極板を使用し、当該中央シリコン電極板が同時に第2燃料電池ユニット20bのアノードプレートとして使用される。
本発明の実施例5および6で提案されている燃料電池は、一般的に出力電力の低いマイクロ燃料電池であり、プレートベースとしてシリコンを用いた従来のマイクロ燃料電池と比較して、本実施例5および6では、導電層として金属膜層を追加的に設ける必要がなく、材料コストや製造プロセスの面で優れた性能を発揮することができる。さらに、本実施例5および6では、2つのシリコンウェハを複合化して、内部流路を有するシリコン電極板を作製し、当該シリコン電極板は、燃料電池の骨格構造として機械的強度が良好で、また、内部流路をそのまま冷却媒体流路として使用することができ、マイクロ燃料電池の冷却性能をさらに向上させることができ、従来技術ではシリコンをベースとして用いたマイクロ燃料電池では冷却できないという欠点を解消することができる。
当業者にとって分かるように、本発明は、上記の例示的な実施例の詳細に限定されるものではなく、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実現されることが可能である。したがって、すべての点において、実施例は例示的かつ非限定的であるとみなされるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって制限されており、したがって、特許請求の範囲の等価な要素の意味および範囲内にあるすべての変形を本発明に包含することが意図されている。特許請求の範囲のいずれの参照番号も、それらが参照する特許請求の範囲を限定するものと考えるべきではない。
なお、理解されるように、本明細書は、実施形態に応じて記載されているが、各実施形態が1つの独立した技術的解決手段のみを含んでいるわけではなく、明快さのためだけにこのように記載されており、当業者は本明細書を全体として捉えるべきであり、各実施例の技術的解決手段は、当業者が理解できる他の実施形態を形成するために適切に組み合わせることも可能である。
関連出願の相互参照
本出願は、2018年06月07日に中国特許庁に提出された、出願番号が201810577211.Xで、発明名称が「シリコン電極板とその製造方法」である中国特許出願、出願番号が201810577217.7で、発明名称が「燃料電池へのシリコンの応用」である中国特許出願、および出願番号が201810577210.5で、発明名称が「燃料電池スタック構造およびその燃料電池と応用」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容のすべては参照により本出願に組み込まれる。
本発明は、燃料電池分野に属し、具体的には、シリコン電極板とその製造方法に関し、さらに、燃料電池へのシリコン電極板の応用、および燃料電池スタック構造、燃料電池とその応用に関する。
燃料電池は、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する化学装置であり、電気化学発電機とも呼ばれている。燃料電池は、燃料の化学エネルギーのギブス自由エネルギー部分を電気化学反応により電気エネルギーに変換するため、カルノサイクル効果に制限されず、エネルギー変換率が高く、また、水素を燃料とする燃料電池の反応生成物が水であり、環境に優しく、理論的にはゼロの汚染排出を達成することができ、さらに、燃料電池は、機械的な伝達部品がなく、可動部品が少なく、動作中の騒音が低く、さらに、燃料電池は、比エネルギーが高く、信頼性が高く、燃料範囲が広く、起動時間が短く、小型で持ち運びやすいなどの利点がある。これにより、省エネルギーと環境保護の観点から、燃料電池は現在最も有望な発電技術であることがわかる。
構造的には、燃料電池は、通常、電極(Electrode)、電解質膜(Electrolyte Membrane)、集電器(Current Collector)を含む。ここで、燃料電池の電極は、燃料の酸化反応と酸化剤の還元反応が起こる電気化学反応部位であり、反応を促進するために、通常、電極にも触媒が設けられているが、電解質膜は、主に、酸化剤と還元剤を分離してイオンを伝導する機能を果たしているが、集電器は、通常、バイポーラプレート(Bipolar Plate)とも呼ばれ、燃料電池スタック中の重要な性能要素として、カソード電極とアノード電極の表面への燃料及び空気の分配と電池スタックの放熱を行うとともに、単電池を直列に接続して電池スタックを形成する主な構成部品であり、主に酸化剤、還元剤とクーラントの分離及び電流回収の役割を果しており、燃料電池スタックの品質、体積、コスト、信頼性及び電力密度などに大きな影響を与え、そのコストが燃料電池の総コストの20−60%を占めている。したがって、高性能で低コストのバイポーラプレート材料の開発は、燃料電池の大規模な商業的用途に対して大きな意義がある。現在、バイポーラプレート材料の研究開発が燃料電池の研究開発費の40〜60%を占めるが、バイポーラプレートは、燃料電池の産業化を決定する核心的な要素であることが証明されている。
研究により、バイポーラプレートは、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、本体抵抗と接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの特性を有する必要があることが確認されている。
従来の技術では、燃料電池用バイポーラプレートの種類としては、主に黒鉛板又は金属板があり、黒鉛板は主に炭素粉末又は黒鉛粉末に黒鉛化可能な樹脂を混合して圧縮したものであり、体積が大きく、電力密度が低く、強度が低いという欠点があり、金属板は、一般的にステンレス、チタン合金、アルミニウム合金等を直接加工したものであり、腐食しやすいという欠点があり、一般的に様々な表面改質を行う必要があるため、製造プロセスが複雑でコストが高いという問題があった。現在、バイポーラプレートとして複合板を使用するいくつかの技術的解決手段があり、一つは、薄い金属を仕切り板とし、穴あき薄肉カーボン板を流れ場板として使用し、非常に薄い導電性接着剤で接着する多層複合型であり、その製造が非常に煩雑であり、もう1つは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を黒鉛粉末強化繊維と混合してプリフォームを形成し、硬化して黒鉛化する複合材料型であり、その導電効果が低く、且つコストが高い。
したがって、燃料電池のバイポーラプレートとして、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、本体抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、バイポーラプレートに要求される特性を満たす好適なバイポーラプレート材料が求められ、燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的な推進力となっている。
これに鑑みて、本発明の目的は、シリコン電極板とその製造方法、燃料電池へのシリコンの応用、燃料電池スタック構造、燃料電池とその応用を提案し、シリコン電極板を燃料電池用バイポーラプレートとして直接使用することを提案することにあり、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、バイポーラプレートに要求される特性を満たすだけでなく、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合電極板と比較して、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有し、燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的な推進力となっている。
本発明の技術的解決手段を提案する前に、本出願人は、慎重なバルク検索を行った結果、本発明に近いとと疑われる既存の解決手段をいくつか見つけ、それらを熟読して重要な分析を行った。
関連するジャーナル文献によると、シリコン材料はガス透過性が低く、熱伝導率が高く、加工が容易であるという特徴を持っており、マイクロ燃料電池の製造における理想的なベース材料であり、かつシリコンの表面に金属(通常は貴金属)をメッキすることで、導電性、より良い安定性および耐食性を得ることができる。2000年、KellyとMeyersは、シリコンベースによるマイクロ燃料電池の製造に関する文献を初めて発表した。それ以来、シリコンはマイクロ燃料電池に大きな発展を遂げてきた。Kimは、シリコンをベースとし、流路サイズが400マイクロメートル(幅)×230マイクロメートル(深さ)のマイクロ燃料電池を作製し、且つその物理的強度を強化し、シリコンが脆いという欠点を克服するために、シリコンマイクロバイポーラプレートの裏面に500マイクロメートルの厚さの耐熱ガラスを追加し、また、シリコンバイポーラプレートに金メッキを施し、安定性を向上させ、出力電圧が0.6Vである場合、その実際の電力密度が203mW/cm2であり、最大電力密度が261mW/cm2に達することができ、電池の体積比電力密度が360mW/cm3となる。しかし、バイポーラプレート材としてのシリコンは、電流を集めるために貴金属をメッキする必要があり、それによって製造工程が増えるだけでなく、材料費が高くなるなどの欠点がある。本出願人が深く分析した結果、これらの技術は、シリコンの気密性、熱伝導性、微細加工の容易さの特性を生かした技術であることが判明したので、シリコンウェハを燃料電池のベースとして直接使用し、シリコンベース上に金属層を形成して電流を集め、電極で発生した電流を集めてシリコンベースの表面と平行な方向に沿って電池から流出させることが考えられ、この構造では金属層膜に沿って電流を伝導するため、面積の小さい燃料電池にしかできず、複数層に積層することもできなく、同時に、シリコンベースの内部に冷却媒体の流れを提供するための構造が設けられることができく、これらの原因で、燃料電池電極ベースとしてシリコンを使用するという技術的解決手段は、長期間にわたってマイクロ燃料電池製品にのみ応用され得る。
上述したように、本出願人は、徹底的に検索した結果、燃料電池にシリコン材料を応用する既存の技術的解決手段が開示されたことを発見し、本発明の技術的解決手段をよりよく説明するために、以下の特許文献をさらに具体的に挙げて、これらの技術的解決手段と本発明との相違点を説明する。
1、例えば、承認発表番号がCN100397687Cの中国発明特許は、自己呼吸型マイクロプロトン交換膜燃料電池のカソード流れ場板およびその製造方法を開示しており、MEMS技術を用いて加工された新規な構造であって、具体的には、約300−500マイクロンの厚さを有するシリコンウェハ材料上に、カソード流れ場を二層複合骨格化構造に加工し、当該流れ場の空気に近い側で、シリコンウェハの方向に垂直な骨格化流路を加工し、膜電極に近い他側で、空気側に近い骨格化流路に対応して、シリコンウェハに垂直な流路を加工し、シリコンウェハを貫通するようにしたことを特徴とする流れ場の構造が提案されており、該方法のシリコン電極板をマイクロ燃料電池のカソードベース構造体として使用すると、電極構造体に要求される集電機能を実現するためには、シリコンベース上に貴金属導電層を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが複雑で材料費が高く、且つ冷却水流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
2、承認発表番号がCN101894954Bの発明特許は、常温結合技術に基づくマイクロ燃料電池のパッケージング方法を開示しており、カソード電極板とアノード電極板の作製方法を提案しており、<100>結晶配向両面研磨シリコンウェハ上に、応力緩衝層として熱酸化により50nmのシリカを両面に成長させ、次いでマスク層として160nmの窒化シリコンをLPCVD堆積し、接着層として20nmのCrを正面にスパッタリングし、次いで集電層として0.2マイクロメートルのAuをスパッタリングし、次いで流れ場構造パターンをイオンエッチングし、反応性イオンエッチングによりフォトリソグラフィ露光された窒化シリコンを除去してフォトレジストを除去し、その後、シリコンウェハをKOH水溶液に超音波を加えてエッチングし、エッチング面の両側が合流したところで、貫通出入口と貫通孔を形成してから停止し、最後に、反応性イオンエッチングにより正面に露出した窒化シリコンを除去し、フッ酸水溶液により正面に結合したシリカを除去する。該方法におけるシリコン電極板がマイクロ燃料電池の電極板ベース構造体としても使用すると、電極板構造に要求される集電機能を実現するためには、シリコンベース上に貴金属導電層(接着層として、AuまたはPtだけでなく、Crを設ける必要もある)を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが煩雑で材料費が高く、且つ冷却水流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
3、公開番号がCN101867052Aの発明特許は、カソード電極およびアノード電極としてシリコンウェハを用いたホイールスポーク型自己呼吸型マイクロ燃料電池およびその製造方法を開示しており、具体的なプロセスとしては、シリコンウェハを洗浄し、低圧化学気相成長法によりシリコンウェハ表面にエッチングマスクとして窒化シリコン膜を製造し、フォトリソグラフィを用いて膜上にマスクパターンを形成し、選択的エッチングの目的を実現し、40%KOH水溶液を用いて、シリコンウェハの異方性エッチングを行い、反応性イオンエッチング法によりシリコンウェハ表面に残留した窒化シリコン膜を除去し、レーザ加工技術によりシリコンウェハ表面に急勾配の側壁がある入口・出口チャネルを形成し、マグネトロンスパッタリング技術によりシリコンウェハのエッチング面にTi/Au金属層を形成して電流を集電・導通させる。同様に、該方法のシリコン電極板をマイクロ燃料電池の電極板ベース構造体としても使用すると、電極板構造体に要求される集電機能を実現するためには、シリコンベース上に貴金属導電層(Ti/Au)を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが複雑で材料費が高く、冷却水流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
4、承認発表番号がCN100483829Cの発明特許は、シリコンベースを用いた積層型シリコンベースのマイクロ燃料電池パックおよびその製造方法を開示しており、具体的には、<100>結晶配向両面研磨シリコンウェハの両面に熱酸化によりシリカを成長させ、次いでマスク層として0.1マイクロメートルの窒化シリコンをLPCVDで堆積し、流れ場構造パターンをフォトエッチングし、次いで反応性イオンエッチングを行い、反応性イオンエッチングによりフォトリソグラフィ露光された窒化シリコンを除去してフォトレジストを除去し、その後、シリコンウェハをKOH水溶液に超音波を加えてエッチングし、エッチング面の両側が合流したところで、貫通出入口と貫通孔を形成してから停止する。同様に、該方法のシリコン電極板をマイクロ燃料電池のベース構造体としても使用すると、電極板構造体に要求される集電機能を実現するために、シリコンベース上に貴金属導電層(Ti/Pt)を設ける必要があるだけでなく、製造プロセスが複雑で材料費が高く、冷却水の流路を設けることができないため、マイクロ燃料電池しか作製できない。
5、承認発表番号がCN100369304Cの発明特許は、シリコンベースの小型直接メタノール燃料電池用の触媒電極を製造する方法を開示しており、具体的には、抵抗率0.012−0.013Ω.cmのP型またはN型結晶配向<100>のシリコンウェハを洗浄して酸化して1.0−1.5マイクロメートルのシリカ層を生成し、フォトリソグラフィにより流れ場パターンを形成した後、ウェットエッチング法により、シリコンウェハ上に、エッチング深さ150−240マイクロメートルのチャネル流れ場をエッチングし、最後に、電気化学的手段によりシリコンウェハの表面に多孔質シリコンを形成し、その上に触媒を堆積させた後、多孔質シリコンの表面により触媒の有効反応面積を大幅に増加させる。この燃料電池では、シリコンウェハは、マイクロ燃料電池の触媒電極材料の担体として、本発明が結晶シリコンを用いて電極板を作製するために解決しようとする技術的課題や技術的解決手段とは異なっている。
上記のようにシリコン材料を用いた燃料電池を疑わしく提案しているこれらの既存の技術的解決手段を組合せて、本出願人は、これらの技術的解決手段は、例えば、上記のジャーナル、および1.CN100397687C、2.CN101894954B、3.CN101867052A、4.CN101867052A、4.CN100483829Cに示すように、シリコン電極板をその電極板部品のベース支持体としてのみ使用し、燃料電池電極板部品の集電に実際に使用するために、シリコン電極板上に貴金属などの材料をコーティングする必要があり、または、5.CN100483829Cに示すように、シリコンウェハを多孔質シリコン構造にして、燃料電池の触媒担体や電極材料として使用することを見出した。さらに、これらの従来技術に共通する特徴として、シリコンを電極板ベースまたは電極材料として使用する技術的解決手段はいずれもマイクロ燃料電池に限定されており、マイクロ燃料電池は、一般的に出力がミリワットから数十ワットの範囲にある燃料電池ユニットを1個または最大2個使用し、かつ当該シリコンベース構造体に冷却水流路を設けることができないため、放熱性能を保証できない。本出願人は、この技術的解決手段の概念を非小型産業用燃料電池に適用することを提案した当業者がこれまでに一人もいなかったことを発見し、詳しく分析した結果、これらの従来技術が提案した、シリコンウェハを使用してシリコンベースを作製するプロセスの着想が、電子産業におけるシリコンチップ加工技術、特にMEMS加工技術に由来するものであることを発見し、このMEMS加工技術をマイクロ燃料電池に応用して、シリコンベースまたは多孔質シリコン電極を作製するが、非小型産業用燃料電池は、複数の燃料電池ユニットを直列に接続したスタック構造を有するため、まず、シリコンベースを用いて十分な機械的支持力を提供することができず、次に、集電機能を実現するためには、シリコン電極板ベース上に貴金属を電気メッキする必要があり、MEMS加工プロセスを用いて非小型産業用燃料電池を作製する場合、煩雑でコストが高く、金属電極板や黒鉛電極板との競合にはならない。さらに重要なことは、前述したように、これらの技術的解決手段は、電極で発生した電流を集めてシリコンベースと平行な方向に沿って電池から流出させる構造であり、この構造では金属膜に沿って電流を伝導するため、小型の燃料電池にしかできず、複数層に積層することもできないという点である。さらに、スタック構造は高出力のため運転中に発熱するため、電極板には酸化剤や還元剤の流路の他に、冷却水流路を設ける必要もある。したがって、これに基づき、当業者がシリコン材料を非小型産業用燃料電池に応用しようと考える動機はない。
しかしながら、本願の発明者は、燃料電池を理解し、シリコン材料に関する数十年に及ぶ研究と探究と分析の経験を経て、シリコン材料が、特定の選択と設計により、完全に燃料電池のシリコン電極板として直接使用されてもよいことを見出した。そして、従来技術の金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板と比較して、本発明のシリコン電極板は、主に以下の技術的解決手段を用いて、驚くほど優れた技術的結果を達成する。
シリコン電極板であって、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路を有し、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。
シリコン電極板であって、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路を有し、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せを備える。
好ましくは、前記シリコン電極板は、2つ以上のシリコンウェハを含み、ここで、前記シリコンウェハが片面または両面流路を有し、前記シリコンウェハの流路を覆わない表面領域の間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板の内部に位置する、前記内部冷却媒体流路としての内部流路を形成し、前記シリコンウェハの非積層面に位置する流路が還元剤流路または酸化剤流路として機能する。
好ましくは、前記ドープされた導電性結晶シリコン材料は、単結晶または多結晶ドープシリコンウェハを使用し、かつその抵抗率は0.1Ω.cm以下である。
好ましくは、前記シリコンウェハの厚さは0.2〜5mmの範囲であり、サイズは50〜300mmの範囲である。
好ましくは、還元剤流路および/または酸化剤流路の深さは50〜300マイクロメートルの範囲であり、幅は500〜3000マイクロメートルの範囲である。
好ましくは、本発明において、シリコンウェハを複合接続するための導電性材料の厚さは、マイクロメートルの範囲であり、1−100マイクロメートルであってもよいし、1−50マイクロメートルであってもよいし、1−20マイクロメートルであってもよく、材料の選択においては、導電性金属材料であってもよいし、導電性接着剤のような導電性非金属材料であってもよい。導電性接着剤のような導電性非金属材料をマイクロメートルの厚さに加工することが困難であり、かつ複合接続の過程中に、通常有機溶剤を排除する必要があり、プロセスを助長することができないため、好ましくは、本発明に記載の導電性材料は、金属導電性材料であり、金属導電性材料とシリコンウェハとの間の良好な複合接続に寄与するために、さらに好ましくは、本発明に記載の導電性材料は、シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を使用し、すなわち、共晶温度(本発明に記載の共晶温度は、シリコンとそれに対応する金属導電性材料の共晶反応が起こるときの温度である)に等しいか、またはそれに近い温度で、金属導電性材料とシリコンは、良好な共晶反応を起こし、シリコンウェハ間の金属導電性材料層とそれに接触するシリコンウェハ表面層を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン−金属導電性合金複合構造を形成し、最終的にはシリコンウェハ間の優れた複合接続効果を達成することができる。具体的に好ましくは、これらの金属導電性材料は、具体的には、ニッケルNi、金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAlなどであってもよい。シリコンとこれらの金属導電性材料の共晶温度は、通常、シリコン自体または金属導電性材料自体の溶融温度よりも大幅に低いが、共晶温度範囲は、一般的に500−1000℃であり、具体的には、シリコンとの特定の共晶温度は、実際に使用される金属導電性材料のタイプに応じて確定され、これらは、関連する既存の技術資料を調べることで得られる。
好ましくは、上記のようにシリコン電極板を製造する方法では、エッチングプロセスまたはレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用してシリコンウェハの片面または両面に流路または出入口組合せを加工し、導電性材料を使用して2つ以上のシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、前記複合接続によって前記シリコン電極板の内部に位置する、前記内部冷却媒体流路としての内部流路を形成する。
A10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備するステップと、
A20)、スクリーン印刷プロセスにより、前記第1シリコンウェハおよび前記第2シリコンウェハの両面に導電性材料層をそれぞれ作製するステップと、
A30)、前記導電性材料層を同時にマスク層として機能し、前記アルカリ溶液腐食プロセスにより、前記第1シリコンウェハの両面にそれぞれ背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路を作製し、前記第2シリコンウェハの両面にそれぞれ正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路を作製するステップと、
A40)、レーザプロセスにより、前記第1シリコンウェハに第1出入口組合せを、前記第2シリコンウェハに第2出入口組合せを、それぞれ作製するステップと、
A50)、前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハとを積層して高温で焼結し、互いに接触している前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して前記2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成するステップと、を含むことが好ましい。
A10’)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備するステップと、
A20’)、スクリーン印刷プロセスにより、前記第1シリコンウェハの片面および前記第2シリコンウェハの両面に導電性材料層をそれぞれ作製するステップと、
A30’)、前記導電性材料層を同時にマスク層として機能し、アルカリ溶液腐食プロセスにより、前記第1シリコンウェハの片面にそれぞれ正面または背面第1内部冷却媒体流路を作製し、前記第2シリコンウェハの両面にそれぞれ背面または正面第2内部冷却媒体流路および正面還元剤流路または背面酸化剤流路を作製するステップと、
A40’)、レーザプロセスにより、前記第1シリコンウェハに第1出入口組合せを、前記第2シリコンウェハに第2出入口組合せを、それぞれ作製するステップと、
A50’)、前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハとを積層して高温で焼結し、互いに接触している前記第1シリコンウェハと前記第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して前記2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成するステップと、を含むことが好ましい。
好ましくは、前記導電性材料は、前記シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を使用し、高温で焼結する前記加熱温度は、前記シリコン材料と前記金属導電性材料との共晶温度に近いか、または等しい。
好ましくは、燃料電池へのシリコンの応用であって、前記燃料電池は、1つ以上の燃料電池ユニットを含み、前記燃料電池ユニットが一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、
前記カソードプレートおよびアノードプレートは、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、
前記シリコン電極板は、上記のようなシリコン電極板を使用する。
好ましくは、前記シリコン電極板は、同時に、単一の燃料電池ユニットのカソードプレート、およびそれに隣接する単一の燃料電池ユニットのアノードプレートとして使用されてもよい。
好ましくは、燃料電池スタック構造であって、前記スタック構造は、互いに直列に接続されて一体に積層された3個以上の燃料電池ユニットを含み、
前記燃料電池ユニットは、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、
前記カソードプレートおよびアノードプレートは、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、
前記シリコン電極板は、上記のようなシリコン電極板を使用する。
好ましくは、前記シリコン電極板は、同時に、単一の燃料電池ユニットのカソードプレート、およびそれに隣接する単一の燃料電池ユニットのアノードプレートとして使用されてもよい。
好ましくは、前記スタック構造の出力電力は、0.1KW以上である。
好ましくは、前記燃料電池はスタック構造を含み、前記スタック構造が互いに直列に接続されて一体に積層された、両端に位置する端部燃料電池ユニットおよび中央に位置する1つ以上の中央燃料電池ユニットを含み、ここで、
中央燃料電池ユニットが内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路を有する中央シリコン電極板を含み、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。
好ましくは、前記端部燃料電池ユニットは、端部シリコン電極板と中央シリコン電極板を含み、ここで、前記端部シリコン電極板が内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路を有し、かつ前記内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。
好ましくは、前記中央シリコン電極板は、第1中央シリコンウェハと第2中央シリコンウェハを含み、ここで、前記第1中央シリコンウェハが背面第1内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および第1出入口組合せを有し、前記第2中央シリコンウェハが正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路および第2出入口組合せを有し、前記第1中央シリコンウェハの前記第1内部冷却媒体流路を覆わない背面領域と、前記第2中央シリコンウェハの前記第2内部冷却媒体流路を覆わない正面領域との間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成する。
好ましくは、前記端部シリコン電極板は、端部シリコンウェハおよび中央シリコンウェハを含み、ここで、前記端部シリコンウェハが正面または背面第1内部冷却媒体流路および第1出入口組合せを有し、前記中央シリコンウェハが背面または正面第2内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路および第2出入口組合せを有し、前記端部シリコンウェハの前記第1内部冷却媒体流路を覆わない正面または背面領域と、中央シリコンウェハの前記第2内部冷却媒体流路を覆わない背面または正面領域との間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、前記第1内部冷却媒体流路と前記第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記内部冷却媒体流路を形成し、前記第1出入口組合せと前記第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ前記複合接続によって前記シリコン電極板出入口組合せを形成する。
好ましくは、前記還元剤は、水素ガスまたは天然ガスまたは石炭ガスまたは精製ガスまたはメタノールであり、前記酸化剤は、酸素ガスまたは空気である。
好ましくは、前記アノード電極、電解質隔膜、およびカソード電極は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)膜電極アセンブリを使用し、ここで、前記電解質隔膜がプロトン交換膜である。
好ましくは、前記冷却媒体は水である。
好ましくは、スタック構造と、パッケージ用絶縁体と、外部取付部材を含む燃料電池であって、前記スタック構造は、上記のような燃料電池スタック構造を使用する。
好ましくは、上記のような燃料電池の応用であって、可搬型製品、または定置型給電または加熱装置製品、または輸送用製品に応用される。
本発明は、本出願人と発明者によるシリコン材料に対する数十年にわたる研究、探究、分析経験に基づいて、ドープされた導電性結晶シリコン材料を燃料電池用シリコン電極板として直接使用することを提案し、かつシリコン電極板の構造設計を提案し、具体的には、2つ以上のシリコンウェハを積層して複合し、この積層複合加工によって内部流路を形成し、この内部流路を冷却媒体流路として直接使用することができる。本発明によるシリコン電極板は、燃料電池内部の骨格構造として、十分な機械的支持力を提供ことができ、同時に、シリコン電極板は、直接集電板として燃料電池スタック方向に沿って電流を伝導し、追加の金属膜層を追加的に設ける必要がないだけでなく、スタック構造を有する燃料電池に要求される多層積層構造を実現することができる。さらに、シリコン電極板の内部流路は直接冷却媒体流路として機能し、燃料電池の動作中に発生した熱をタイムリーに外部に効果的に伝達することができる。したがって、本発明によるシリコン電極板は、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、燃料電池バイポーラプレートに要求される特性を完全に満たすことができ、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板と比較して、本発明によるシリコン電極板は、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有し、これは燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的な推進力となっている。
本発明はさらに、シリコンウェハの表面に導電性材料層を作製してシリコン電極板を製造する好ましいシリコン電極板製造方法を提案し、導電性材料層が好ましくはニッケルや銅などの卑金属材料であり、本発明の導電性材料層は、シリコンウェハの後続のエッチングプロセスにおけるマスク層構造として使用されるだけでなく、2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層された遷移接合構造としても使用されるため、プロセスが最も簡単で効果的であり、実施しやすく、かつプロセスコストが低く、バッチ製造用途に適している。
本発明はさらに、シリコンウェハ間の複合接続のための好ましい導電性材料を提案し、具体的には、シリコンウェハ間の複合接続用材料として、シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を提案し、共晶温度で焼成し、シリコンウェハ間の金属導電性材料層とそれに接触するシリコンウェハの表層を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン金属導電合金複合構造を形成し、最終的にシリコンウェハ間の優れた複合接続効果を達成することができる。
説明されるように、本発明によるシリコン電極板は、上記の優れた特性により、スタック構造を有する非小型燃料電池製品(特に、0.1kW以上の出力電力を有する非小型燃料電池)の分野での用途に特に適しており、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板よりも優れた性能上の利点を有する。もちろん、当業者は、実際のニーズに応じて、シリコン電極板をマイクロ燃料電池(一般的には1−2個の燃料電池ユニットのみを有する)に直接適用することができ、電極板ベースとしてシリコンを使用する既存のマイクロ燃料電池と比較して、材料コスト、製造プロセス、機械的強度、および冷却性能においていくつかの明らかな技術的利点を有し、これらも本発明の保護の範囲内に含まれるべきである。
本発明では特に説明されるように、本発明の全文に現れる正面と背面の表現は、シリコンウェハの異なる側面に分布する様々な流路の位置分布関係を例示するためのものに過ぎず、正面と背面は相対的なものであり、実際の方向は基準オブジェクトによって異なり、本発明の具体的な方向を限定するものではない。
本発明の具体的な実施形態におけるスタック構造100の断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央燃料電池ユニット100b、100c、100dおよび端部燃料電池ユニット100a、100eの断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央シリコン電極板110、端部シリコン電極板130、130’の断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央シリコン電極板110における還元剤流路111の構造を示す概略図である。
本発明の実施例1に係る中央シリコン電極板110の製造プロセスを示すフローチャートである
本発明の実施例2に係る中央シリコン電極板210の製造プロセスを示すフローチャートである。
本発明の実施例3に係る中央シリコン電極板310の製造プロセスを示すフローチャートである。
本発明の実施例4に係る中央シリコン電極板410の製造プロセスを示すフローチャートである。
本発明の実施例5におけるマイクロ燃料電池の燃料電池ユニット10の断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例6におけるマイクロ燃料電池の燃料電池ユニット20a、20bの断面構造を示す概略図である。
本発明の実施例は、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路を有し、かつ内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられているシリコン電極板を開示する。
本発明の実施例はさらに、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製され、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路を有し、かつ内部冷却媒体流路、正面還元剤流路または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられているシリコン電極板を開示する。
本発明の実施例に係る上記のようなシリコン電極板の製造方法では、エッチングプロセスまたはレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用してシリコンウェハの片面または両面に流路または出入口組合せを加工し、導電性材料を使用して2つ以上のシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、複合接続によってシリコン電極板の内部に位置する、内部冷却媒体流路としての内部流路を形成する。
本発明の実施例は、燃料電池へのシリコンの応用を開示する。前記応用では、燃料電池は、1つ以上の燃料電池ユニットを含み、燃料電池ユニットが一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、カソードプレートおよびアノードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、シリコン電極板が上記のようなシリコン電極板を使用する。
本発明の実施例はさらに、燃料電池スタック構造を開示する。前記スタック構造は、互いに直列に接続されて一体に積層された3個以上の燃料電池ユニットを含み、燃料電池ユニットが一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、カソードプレートおよびアノードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、シリコン電極板が上述したようなシリコン電極板を使用する。
本発明の実施例はさらに、スタック構造体と、パッケージ用絶縁体と、外部取付部材を含む燃料電池を開示する。前記スタック構造は、上記のような燃料電池スタック構造を使用する。
本発明の実施例に係る上記のような燃料電池の応用であって、可搬型製品、または定置型給電または加熱装置製品、または輸送用製品に応用される。
本発明の実施例または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明で使用される図面を簡単に紹介し、当然のことながら、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなく、これらの図面に基づく他の図面を得ることができる。
実施例1:
図1に示す燃料電池スタック構造100を参照すると、スタック構造100は、互いに直列に接続されて一体に積層された3個以上の燃料電池ユニットを含み、具体的には、本実施形態では、燃料電池ユニットの数は5個であり、好ましくは、スタック構造100の出力電力は0.1kW以上であり、もちろん、本発明の他の実施形態では、当業者は、実際に適用される製品分野の必要な電力ニーズに応じて、燃料電池ユニットの数を完全に選択することができ、本発明はこれに特に限定されない。
図1に示すように、本実施例1のスタック構造は、両端に位置する端部燃料電池ユニット100a、100eおよび中央に位置する3つの中央燃料電池ユニット100b、100c、100dを含み、各燃料電池ユニットは、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、カソードプレートおよびアノードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製されたシリコン電極板を使用し、ここで、シリコン電極板が同時に、単一の燃料電池ユニットのカソードプレート、およびそれに隣接する単一の燃料電池ユニットのアノードプレートとして使用される。
好ましくは、本実施形態では、ドープされた導電性結晶シリコン材料は、単結晶または多結晶ドープシリコンウェハを使用し、好ましくは、本実施形態では、シリコンウェハの抵抗率は0.1Ω.cm以下であり、さらに好ましくは、シリコンウェハの抵抗率範囲は0.0005〜0.05Ω.cmである。
説明されるように、本発明は、具体的に実施する際に、具体的に選択されたシリコンウェハが属する結晶シリコンのタイプに応じて、シリコン電極板の製造方法を選択することができ、その詳細については後述する。
好ましくは、本実施形態では、シリコンウェハの厚さは0.2〜5mmの範囲であり、サイズは50〜300mmの範囲である。シリコンウェハの形状は、正方形、円形、その必要な形状であってもよく、本発明の実施形態はこれらに特に限定されない。
具体的に好ましくは、本実施形態では、使用されるシリコンウェハは、いずれもN型単結晶リンドープシリコンウェハであり、正方形の形状を呈し、結晶配向は、非<111>結晶配向であり、具体的には、<100>結晶配向または<110>結晶配向または<111>結晶配向と明らかな角度を有する他の結晶配向であってもよく、これにより、本実施形態におけるアルカリ溶液腐食プロセスのその後の使用に寄与する。N型単結晶リンドープシリコンウェハの抵抗率は約0.01Ω.cmであり、シリコンウェハの厚さは0.5mm、サイズは約150mmである。
好ましくは、本発明の実施例では、シリコン電極板は、内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および/または背面酸化剤流路を有し、かつ内部冷却媒体流路、正面還元剤流路および/または背面酸化剤流路のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。好ましくは、シリコン電極板は具体的には、2つ以上のシリコンウェハを含み、ここで、シリコンウェハが片面または両面流路を有し、シリコンウェハの流路を覆わない表面領域の間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、かつ複合接続によってシリコン電極板の内部に位置する、内部冷却媒体流路としての内部流路を形成し、シリコンウェハの非積層面に位置する流路は、還元剤流路または酸化剤流路として機能する。
より具体的に好ましくは、本実施例1では、さらに図2および図3に示すように、中央燃料電池ユニット100b、100c、100dは、中央シリコン電極板110を含み、中央シリコン電極板110が2つのシリコンウェハによって複合加工されており、内部冷却媒体流路112、正面還元剤流路111および背面酸化剤流路113を有し、かつ内部冷却媒体流路112、正面還元剤流路111および背面酸化剤流路113のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられ(図4を参照)、具体的には、内部冷却媒体流路112、正面還元剤流路111、背面酸化剤流路113にそれぞれ連通するための3組のシリコン電極板出入口の組み合わせを含み、同時に、当該3組のシリコン電極板出入口組合せの入口には、それぞれ冷却媒体、還元剤、酸化剤が供給され、それらの出口が各流路を通過した後の冷却媒体、過剰な還元剤、酸化剤、およびそれらの反応生成物を排出するために使用される。
本発明が実施される場合、還元剤は水素ガス又は天然ガス又は石炭ガス又は精製ガス又はメタノールなどであってもよく、酸化剤は酸素ガス又は空気であってもよく、当業者は、本発明の技術的内容および応用される分野に応じて、還元剤および酸化剤のタイプを具体的に選択することができる。具体的に好ましくは、本実施形態では、還元剤は水素ガスで、酸化剤は酸素ガスで、反応生成物は水で、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極はMEA膜電極アセンブリ120を使用し、電解質隔膜はプロトン交換膜で、冷却媒体は水であり、これにより、本発明による燃料電池スタック構造の効率、出力密度及びコスト節約に寄与し、操作や適用が容易であり、また、本実施形態の反応生成物は水であり、有害物質を生成することなく、非常に環境に優しい。ここで、本実施例のMEA膜電極アセンブリ120およびプロトン交換膜は、市場で容易に購入できる、工業化がより成熟した周知の技術に属する従来技術における技術的解決手段のいずれかを直接採用することができるため、本発明はこの部分について詳しく説明しない。
本実施例の燃料電池の絶縁及び取付の安全性を確保するために、各燃料電池ユニットのMEA膜電極アセンブリ120とそのシリコン電極板の両側に一定の安全したパッケージング接合距離を設定し、この距離が一般的にミリメートルレベルで、例えば、5−15mmに設定され、この安全したパッケージング接合距離がその後の絶縁パッケージングに使用される。
ここで、図4に示すように、これらの出入口組合せと、それらに対応して連通された流路との間に流路導通の一意性を達成するために、出入口組合せと、それに対応して連通された流路との間に導通流路が設けられ、導通流路は、製造工程において流路と共に製造されてもよく、ここで、正面還元剤流路111に対応するシリコン電極板出入口組合せは、図4に示す入口114aおよび出口114a’を含む(残りの流路に対応するシリコン電極板出入口組み合わせは示されているがマークされず、入口114aおよび出口114a’は、それぞれ入口導通流路115aおよび出口導通流路115a’に対応している)。
本発明の実施例に係る中央シリコン電極板110上の具体的な流路、入口および出口の形状設計は、図4の設計を参照してもよいし、従来技術のいずれを用いてもよく、本発明は特に限定されない。
さらに具体的には、図5に示すように、本実施形態では、中央シリコン電極板110は、第1中央シリコンウェハおよび第2中央シリコンウェハを含み、ここで、第1中央シリコンウェハが背面第1内部冷却媒体流路、正面還元剤流路111および第1出入口組合せを有し、第2中央シリコンウェハが正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路113および第2出入口組合せを有し、第1中央シリコンウェハの第1内部冷却媒体流路を覆わない背面領域と、第2中央シリコンウェハの第2内部冷却媒体流路を覆わない正面領域との間が導電性材料の複合接続によって一体に積層され、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路112を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。本実施例における背面第1内部冷却媒体流路、正面第2内部冷却媒体流路、および背面酸化剤流路113の具体的な流路構造および形状は、図4に示す正面還元剤流路111を直接参照することができ、スペースを節約するために、説明は繰り返さない。
好ましくは、本発明の実施例では、還元剤流路111および酸化剤流路113の深さは50〜300マイクロメートルの範囲であり、幅範囲は500〜3000マイクロメートルである。具体的に好ましくは、本発明の実施形態では、還元剤流路111および酸化剤流路113の深さは100±10マイクロメートルであり、幅は1000±100マイクロメートルである。第1内部冷却媒体流路および第2内部冷却媒体流路の深さと幅の設計は、還元剤流路111と酸化剤流路113と同じである。
本実施例1では、さらに図2および図3に示すように、端部燃料電池ユニット100aは、端部シリコン電極板130、MEA膜電極アセンブリ120および中央シリコン電極板110を含み、端部燃料電池ユニット100eが端部シリコン電極板130’、MEA膜電極アセンブリ120および中央シリコン電極板110を含み、ここで、端部シリコン電極板130が2つのシリコンウェハによって複合加工されており、内部冷却媒体流路131、背面酸化剤流路132を有し、かつ内部冷却媒体流路131、背面酸化剤流路132のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられ、端部シリコン電極板130’が2つのシリコンウェハによって複合加工されており、内部冷却媒体流路131、正面還元剤流路132’を有し、かつ内部冷却媒体流路131、正面還元剤流路132’のそれぞれに、それらに連通されたシリコン電極板出入口組合せが設けられている。本実施例の端部シリコン電極板130、130’のシリコン電極板出入口組み合わせが中央燃料電池ユニット100b、100c、100dのシリコン電極板出入口の組み合わせと同じ技術的手段を使用しており、ここでは詳細に説明しない。
さらに具体的には、端部シリコン電極板130は、それぞれ端部シリコンウェハおよび中央シリコンウェハを含み、ここで、その端部シリコンウェハが背面第1内部冷却媒体流路および第1出入口組合せを有し、その中央シリコンウェハが正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路132および第2出入口組合せを有する。端部シリコン電極板130’は、それぞれ端部シリコンウェハおよび中央シリコンウェハを含み、ここで、その端部シリコンウェハが正面第1内部冷却媒体流路および第1出入口組合せを有し、その中央シリコンウェハが背面第2内部冷却媒体流路、正面還元剤流路132’および第2出入口組合せを有する。端部シリコンウェハと中央シリコンウェハは、導電性材料の複合接続によって一体に積層され、第1内部冷却媒体流路と第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続形によって内部冷却媒体流路131を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
本発明の実施形態では、中央シリコン電極板110および端部シリコン電極板130、130’の構造設計特性に従って、当業者は、本発明の実施例に係る中央シリコン電極板110および端部シリコン電極板130、130’を製造するために、様々なプロセスを使用することができる。典型的な方法として、エッチングプロセスまたはレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを使用してシリコンウェハの片面または両面に流路または出入口組み合わせを加工し、次いで、導電性材料を使用して2つ以上のシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、当該複合接続によってシリコン電極板の内部に位置する、シリコン電極板の内部冷却媒体流路としての内部流路を形成する。
本発明の燃料電池スタック構造100における各燃料電池ユニット100a、100b、100c、100d、100eは、直列に接続されて一体に積層されているので、本発明のスタック構造は、積層方向の集電・伝送を実現するとともに、各燃料電池ユニットの内部冷却媒体流路112、131、還元剤流路111、132’および酸化剤流路113、132を、積層方向に沿って対応して嵌合したシリコン電極板出入口組合わせによって積層方向にそれぞれ連通させる。
本実施例では、シリコンウェハ間の複合接続に使用される導電性材料の厚さは、マイクロメートルの範囲であり、材料選択の観点から、導電性金属材料であってもよいし、導電性接着剤などの導電性非金属材料であってもよい。好ましくは、導電性材料は金属導電性材料である。金属導電性材料間およびそれとシリコンウェハ間の良好な複合接続に寄与するために、さらに好ましくは、本実施例の導電性材料は、シリコン材料との共晶結合効果を有する金属導電性材料を使用し、すなわち、共晶温度(本発明に記載の共晶温度は、シリコンとそれに対応する金属導電性材料の共晶反応が起こるときの温度である)に等しいか、またはそれに近い温度で、金属導電性材料とシリコンは、良好な共晶反応を起こし、シリコンウェハ間の金属導電性材料層およびそれに接触するシリコンウェハ表面層を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン−金属導電性合金複合構造を形成し、最終的にはシリコンウェハ間の優れた複合接続効果を達成することができる。具体的に好ましくは、これらの金属導電性材料は、具体的には、ニッケルNi、金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAlなどであってもよい。シリコンとこれらの金属導電性材料の共晶温度は、通常、シリコン自体または金属導電性材料自体の溶融温度よりも大幅に低いが、共晶温度範囲は、一般的に500−1000℃であり、具体的には、シリコンとの特定の共晶温度は、実際に使用される金属導電性材料のタイプに応じて確定されてもよく、これらは関連する既存の技術資料を調べることで得られる。
本実施例に現れる正面と背面の表現は、シリコンウェハの異なる側面に分布する様々な流路の位置分布関係を例示するためのものに過ぎず、正面と背面は相対的なものであり、実際の方向は基準オブジェクトによって異なり、本実施例の具体的な方向を限定するものではない。これらの様々なプロセスの中でも、本発明の実施例1は、好ましい製造方法を提案し、プロセスが最も簡単で効果的であり、実施が容易であり、かつプロセスコストが最も低く、具体的には以下のとおりである。
具体的に好ましくは、図5に示すように、本実施例1は、上記のような中央シリコン電極板110の製造方法を提案する。前記方法は、以下の操作ステップを含む。
A10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備し、ここで、シリコンウェハが事前に洗浄されるべきであり、さらに具体的に好ましくは、ダイヤモンドワイヤで切断されたシリコンウェハは、表面粗さを低減し、後続のステップのプロセス製造効果に寄与するために、さらに化学的または機械的に研磨されてもよい。
A20)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に導電性材料層116をそれぞれ作製し、好ましくは、導電性材料層116の厚さは1〜15μmであり、導電性材料は、シリコン材料との共晶結合効果を有する卑金属導電性材料であり、本実施形態では流路を形成するためにアルカリ溶液腐食プロセスが必要であるため、本実施例1の導電性材料は、アルカリ溶液と反応しないように選択される。もちろん、流路を作製するためにレーザプロセスまたはスクリーン印刷プロセスを採用する他の実施形態では、そのような制限はない。本実施形態では、導電性材料はニッケルまたは銅であってもよく、具体的には、導電性材料はニッケルを使用し、もちろん、本発明の実施形態では、コストの観点からあまり好ましくない解決手段として、貴金属導電性材料を用いてもよいし、他の適切な導電性材料を用いてもよいが、これらは本発明の限定と見なされるべきではない。
A30)、導電性材料層116を同時にマスク層として機能し、アルカリ溶液(具体的には、KOH水溶液またはNaOH水溶液またはテトラメチルアンモニウム水溶液を用いることができる。)腐食プロセスにより、第1シリコンウェハの両面にそれぞれ背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路111を作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路113をそれぞれ作製する。
A40)、図4に示すように、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製する。
A50)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハとを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、複合材料の接合に悪影響を及ぼす焼結工程中のウェハの酸化を避けるために、加熱装置に不活性ガスを供給して無酸素雰囲気を実現することができる。シリコンとニッケルの共晶温度に近いか等しい加熱温度を選択し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して2つのシリコンウェハを一体として複合接続する(このとき、2つのウェハ間の導電性材料層と、それに接触したシリコン表面を互いに融着結合させ、冷却後、固着された一体型のシリコン−金属導電性合金複合構造を形成し、優れた複合接続効果を達成する)。ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路112を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
本発明の他の実施形態では、上記ステップA40)は、ステップA30)の前またはステップA20)の前に実行されてもよい。
具体的に好ましくは、本実施例1は、上記のような端部シリコン電極板130の製造方法を提案する。前記方法は、以下の操作ステップを含む。
A10’)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
A20’)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハの片面および第2シリコンウェハの両面に導電性材料層をそれぞれ作製する。
A30’)、導電性材料層を同時にマスク層として機能し、アルカリ溶液腐食プロセスにより、第1シリコンウェハの片面に背面第1内部冷却媒体流路をそれぞれ作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路132をそれぞれ作製する。
A40’)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに、第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製する。
A50’)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハとを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、シリコンとニッケルの共晶温度に近いか等しい加熱温度を選択し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層を融着して2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
本発明の他の実施形態では、以上のステップA40’)はステップA30’)の前またはステップA20’)の前に実行されてもよい。
本実施例1の端部シリコン電極板130’の製造方法は、端部シリコン電極板130の製造方法と同様であるため、その説明を省略する。本実施例1の端部シリコン電極板130,130’の製造方法および原理は、中央シリコン電極板110の製造方法および原理と本質的に同じであるが、端部シリコン電極板130,130’が端部に配置されるため、外部取付端板に取り付けられて接続され、隣接する燃料電池ユニットを有しないという点だけが異なる。したがって、端部シリコン電極板130の端部シリコンウェハに正面還元剤流路132’を設ける必要がなくなり、端部シリコン電極板130’の端部シリコンウェハに背面酸化剤流路132を設ける必要がなくなるため、製造方法において上記のような若干の細かな違いがある。
本発明の他の実施形態では、中央シリコン電極板の全部または一部、および中央シリコン電極板の端部シリコン電極板の全部または一部は、2つ以上、例えば3つまたは4つのシリコンウェハを使用することもでき、これにより、冷却媒体流路112の有効面積を大きくすることができ、燃料電池の放熱効果の向上に更に寄与することができる。もちろん、シリコンウェハの数を多く適用すると、燃料電池スタック構造の体積が大きくなり、電力密度の低下を招くため、当業者は、実際に使用される燃料電池製品の特性に応じてシリコンウェハの数を選択し、最終的には様々な性能表現の最適なバランスポイントを取得することができる。
好ましくは、本実施例1はさらに、スタック構造、パッケージング用絶縁体(図示せず)および外部取付部材(図示せず)を含む燃料電池を提案する。前記パッケージング用絶縁体は、主にスタック構造の絶縁パッケージングを達成するために使用され、そして、外部取付部材と接続されて嵌合し、燃料電池の最終的な取付および出力に役立ち、ここで、スタック構造は、上記のような燃料電池スタック構造100を使用する。本発明の実施形態におけるパッケージング用絶縁体および外部取付部材は、従来技術における任意のパッケージング用絶縁体および外部取付部材と直接組み合わせてもよく、具体的には、パッケージング用絶縁体は、ゴム系、ホットメルト系、ホット架橋系、UV架橋系などの様々な絶縁体であってもよく、パッケージング用絶縁体および外部取付部材は、本発明の革新的な内容に属しないので、本発明の実施例では詳細に説明しない。
好ましくは、本実施例1はさらに、自動車製品に応用される上記のような燃料電池応用を提案するが、もちろん、本発明の他の実施形態では、前記応用はさらに、可搬型製品(様々な補助給電装置など)、または定置型給電装置または加熱装置製品(大型コージェネレーションデバイスまたは連続給電装置など)、または他のタイプの輸送用製品(物流トラックなどの各種輸送車両など)に適用されてもよい。
実施例2:
本実施例2の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、本実施例2では、シリコンウェハがリンまたはホウ素をドープした単結晶または多結晶シリコンウェハである点で相違する。好ましくは、シリコンウェハの抵抗率は0.0005〜0.05Ω.cmの範囲である。図6に示すように、中央シリコン電極板210の製造方法は、以下の操作ステップを含む。
B10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
B20)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハの両面に背面第1内部冷却媒体流路、正面還元剤流路211および第1出入口組合せをそれぞれ作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路、背面酸化剤流路213および第2出入口組合せをそれぞれ作製する。
B30)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に導電性材料層216をそれぞれ作製する。
B40)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハとを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層216を融着して2つのシリコンウェハを一体として複合接続され、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路212を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
実施例1と同様に、本実施例における端部シリコン電極板は、その端部シリコンウェハに還元剤流路または酸化剤流路を設ける必要がないという点でのみ、中央シリコン電極板210とは異なる。したがって、当業者であれば、実施する際に、本実施例に係る中央シリコン電極板210の製造方法および端部シリコン電極板の構造特性を参照して端部シリコン電極板の作製方法を設定することができ、これらは創造的な労力を必要としないので、本実施例2は端部シリコン電極板の製造方法について詳細に説明しない。
実施例3:
本実施例3の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、本実施例3では、シリコンウェハがリンまたはホウ素をドープした単結晶または多結晶シリコンウェハである点で相違する。好ましくは、シリコンウェハの抵抗率は0.0005〜0.05Ω.cmの範囲である。図7に示すように、中央シリコン電極板310の製造方法は、以下の操作ステップを含む。
C10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
C20)スクリーン印刷プロセス(ポジティブモールドプロセスとも呼ばれる)を直接使用して、第1および第2のシリコンウェハの両面に導電性材料層316をそれぞれ作製し、導電性材料層316の形成により、第1シリコンウェハは、背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路311を直接形成することができ、第2シリコンウェハは、正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路313を直接形成することができ、スクリーン印刷プロセスに使用される材料は、導電性材料であり、具体的には銀ペーストやアルミペーストなどの材料であってもよい。
C30)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製し、他の実施例では、ステップC30)はステップC20)の前に実行されてもよい。
C40)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、好ましくは、加熱温度をシリコンと導電性材料の共晶温度に設定し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層316を融着して2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路312を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
高温焼結中に流路構造および形状ができるだけ影響を受けないようにするために、本発明の他の実施形態では、ステップC20)でのスクリーン印刷プロセスに使用される材料は、カーボンペースト材料であってもよい。カーボンの融点が高いため、流路の形状を効果的に保護することができるが、カーボンはシリコンウェハの共晶反応を起こしにくいため、シリコンウェハ間の高温焼結融着複合を効果的に実現するために、ステップC40)の前に導電性材料層を作製するステップを追加する必要があり、そのプロセスは、同様にスクリーン印刷プロセスまたは他のプロセスを使用することで、最終的にステップC40)での高温焼結融着複合を実現し、具体的には、実施例1〜3の導電性材料層を作製するステップを参照することができる。これにより、流路が保護されるだけでなく、ウェハ間の複合接続も実現されるが、明らかに、製造プロセスは比較的複雑になる。
実施例1と同様に、本実施例における端部シリコン電極板は、その端部シリコンウェハに還元剤流路または酸化剤流路を設ける必要がないという点でのみ、中央シリコン電極板310とは異なる。したがって、当業者であれば、実施する際に、本実施例に係る中央シリコン電極板310の製造方法および端部シリコン電極板の構造特徴を参照して端部シリコン電極板の製造方法を設定することができ、これらは創造的な労力を必要としないので、本実施例3は端部シリコン電極板の製造方法について詳細に説明しない。
実施例4:
本実施例4の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、その相違点として、本実施例4では、図8に示すように、中央シリコン電極板410の製造方法は、以下の操作ステップを含む。
D10)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハを準備する。
D20)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に熱酸化シリカ層414をそれぞれ作製する。
D30)、フォトリソグラフィプロセスまたはレーザプロセスにより、熱酸化シリカ層414をマスク層として設計する。
D40)、レーザプロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハに第1出入口組合せおよび第2出入口組合せをそれぞれ作製し、他の実施例では、ステップD40)はステップD30)またはD20)の前に、またはステップD50)またはD60)またはD70)の後に実行されてもよい。
D50)、アルカリ溶液腐食プロセスにより、第1シリコンウェハの両面に背面第1内部冷却媒体流路および正面還元剤流路411をそれぞれ作製し、第2シリコンウェハの両面に正面第2内部冷却媒体流路および背面酸化剤流路413をそれぞれ作製する。
D60)、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハ上の残りのシリカ層を除去する。
D70)、スクリーン印刷プロセスにより、第1シリコンウェハおよび第2シリコンウェハの両面に導電性材料層416をそれぞれ作製する。
D80)、第1シリコンウェハと第2シリコンウェハを積層して加熱装置に入れて高温で焼結し、好ましくは、加熱温度をシリコンと導電性材料の共晶温度に設定し、互いに接触している第1シリコンウェハと第2シリコンウェハの導電性材料層416を融着して2つのシリコンウェハを複合接続して一体に積層し、ここで、背面第1内部冷却媒体流路と正面第2内部冷却媒体流路が対応して嵌合し、かつ複合接続によって内部冷却媒体流路412を形成し、第1出入口組合せと第2出入口組合せがそれぞれ対応して嵌合し、かつ複合接続によってシリコン電極板出入口組合せを形成する。
実施例1と同様に、本実施例における端部シリコン電極板は、その端部シリコンウェハに還元剤流路または酸化剤流路を設ける必要がないという点でのみ、中央シリコン電極板410とは異なる。したがって、当業者であれば、実施する際に、本実施例に係る中央シリコン電極板410の製造方法および端部シリコン電極板の構造特徴を参照して端部シリコン電極板の製造方法を設定することができ、これらは創造的な労力を必要としないので、本実施例4は端部シリコン電極板の製造方法について詳細に説明しない。
本発明は、上記の実施形態の一部のみを列挙したが、当業者であれば、実際の応用ニーズに応じて、具体的な製造プロセスを選択し、一部のステップの順序を変更して他の実施形態を得ることができ、製造プロセスにおけるこれらの置換も全て本発明の保護範囲内に含まれる。本発明で提案される具体的な製造プロセスステップ(例えば、エッチングプロセス、フォトリソグラフィプロセス、レーザプロセス、およびスクリーン印刷プロセス)自体がいずれも従来技術であるので、当業者は実際の状況に応じて、具体的なプロセスステップの関連する技術的パラメータを選択することができ、これは本発明の実施例では特に列挙されていない。
さらに説明されるように、本発明の実施例の図5〜図8に示された製造プロセスのフローチャートでは、2つのシリコンウェハを複合接続した前のステップ図は、2つのシリコンウェハのステップ図が完全に同一であるため、説明のスペースを節約するために、1つのシリコンウェハのみを示している。
本発明では、多数の実施例により検証されたところ、シリコン電極板を直接燃料電池スタック構造のシリコン電極板として使用すると、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、燃料電池バイポーラプレートに要求される特性を完全に満たすことができ、同時に、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合材料電極板と比較して、本発明によるシリコン電極板は、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有する。本発明の実施例によって達成された優れた性能をより良く説明するために、表1における本発明のシリコン電極板が応用された燃料電池と、既存の様々な電極板型燃料電池との重要な技術的指標の表現比較を参照する。
さらに追加して説明する。
1.コストについて
まず、シリコンは地球上に最も豊富に存在する元素であり、シリコン材料が使用される集積回路や太陽光発電産業の発展に伴い、結晶シリコン材料が安価になってき、燃料電池の電極板としては、既にステンレスや黒鉛に比べて安価であり、材料コストの削減の余地がある。
さらに、結晶シリコンは、微細加工特性(本明細書に記載のエッチングプロセス、リソグラフィプロセス、レーザプロセス、スクリーン印刷プロセスなど)に非常に優れているため、本発明では、酸化剤および還元剤流路の深さおよび幅を大幅に小さくすることができ、さらに電解質隔膜、カソードおよびアノードへの燃料電池スタック構造の応力を低減することができる。したがって、燃料電池は、より薄い電極材料や誘電体膜材料を使用することができ、電極内の酸化剤や還元剤、反応生成物の拡散及び輸送速度を増加させ、誘電体膜内のイオンの拡散長を短くすることができるため、燃料電池の単位面積当たりの発電電流を増加させることができ、間接的に、電解質隔膜、カソードやアノードのワット当たりのコストを大幅に削減することができる。
2.寿命について
結晶シリコン材料は、酸性とアルカリ性環境下でも電気化学的環境下でも化学的安定性に優れているため、腐食に弱い金属電極板型燃料電池の欠点を回避する。したがって、本発明のシリコン電極板自体は故障せずに長期間使用されてもよい。一般的には、その応用されたシリコン電極板型燃料電池の寿命は、他の部材によって決定され、本発明の表1に与えられた寿命データ表現は、長寿命表現を有する既存の燃料電池データに基づいたものであり、本発明のシリコン電極板型燃料電池の寿命は、他の部材の性能がアップグレードされ、最適化されるにつれて増加し、一方で、シリコン電極板型燃料電池の長い寿命により、コストがさらに低減される。
3.体積電力密度および重量電力密度について
シリコン電極板型燃料電池は、高い電流密度を生成することができ、それによってスタック構造の体積電力密度が高くなる。
結晶シリコンの優れた微細加工特性により、薄いシリコン電極板を用いてスタック構造を作製することができ、シリコン電極板を用いたスタック構造は、同じ数の単一燃料電池ユニットを積層したスタック構造に対して、最小の厚さを有する。特に、黒鉛電極板スタック構造よりもシリコン電極板スタック構造の方が有利であることは明らかであり、したがって、シリコン電極板スタック構造は、最も高い体積電力密度を有する。
シリコン材料は金属材料に比べて重量密度が低く、黒鉛材料に比べて薄いため、シリコン電極板型燃料電池はより高い重量電力密度を有する。
本発明のシリコン電極板型燃料電池は、金属電極板型燃料電池と同等以上のエネルギー密度を有し、かつ黒鉛電極型燃料電池と同等の優れた寿命表現を有し、かつシリコン電極板は材料が安価で製造プロセスが簡単であるという特徴を有し、これにより、シリコン電極板型燃料電池は、他の材料の電極板型燃料電池よりも低コストであるだけでなく、耐久性や電力密度などの燃料電池の主要な技術的指標においても明らかに優れた利点がある。本発明がもたらす画期的な技術的効果は、燃料電池分野の当業者にとって想像できないものであり、本発明を得るために既存の技術資料から技術的な示唆を得ることはできない。したがって、疑いなく、本発明は、燃料電池の大規模な工業化プロセスに対して、間違いなく大きな意義と核心的推進力となっている。
上述したように、本発明は、実施する際に、スタック構造の燃料電池ユニットの数が多い燃料電池に適用されてもよく、もちろん、1個または2個の燃料電池ユニットのみを含む燃料電池(一般にマイクロ燃料電池と呼ばれる)にも適用されてもよく、具体的には、以下の実施例5および実施例6を参照する。
実施例5:
本実施例5の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、その相違点として、本実施例5では、図9に示すように、燃料電池は、1つの燃料電池ユニット10を含み、燃料電池ユニット10は、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、カソードプレートおよびアノードプレートがいずれもドープされた導電性結晶シリコン材料で作製された端部シリコン電極板を使用し、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極がMEA膜電極アセンブリを使用する。
実施例6:
本実施例6の残りの技術的解決手段は実施例1と同様であり、その相違点として、本実施例6では、図10に示すように、燃料電池は、互いに直列に接続されて一体に積層された第1燃料電池ユニット20aおよび第2燃料電池ユニット20bを含み、第1燃料電池ユニット20aおよび第2燃料電池ユニット20bがそれぞれ、一体として順次積層されたアノードプレート、アノード電極、電解質隔膜、カソード電極、およびカソードプレートを含み、ここで、アノード電極、電解質隔膜、およびカソード電極がMEA膜電極アセンブリを使用し、第1燃料電池ユニット20aのアノードプレートおよび第2燃料電池ユニット20bのカソードプレートがいずれも、ドープされた導電性結晶シリコン材料で作製された端部シリコン電極板を使用し、第1燃料電池ユニット20aのカソードプレートがドープされた導電性結晶シリコン材料で作製された中央シリコン電極板を使用し、当該中央シリコン電極板が同時に第2燃料電池ユニット20bのアノードプレートとして使用される。
本発明の実施例5および6で提案されている燃料電池は、一般的に出力電力の低いマイクロ燃料電池であり、プレートベースとしてシリコンを用いた従来のマイクロ燃料電池と比較して、本実施例5および6では、導電層として金属膜層を追加的に設ける必要がなく、材料コストや製造プロセスの面で優れた性能を発揮することができる。さらに、本実施例5および6では、2つのシリコンウェハを複合化して、内部流路を有するシリコン電極板を作製し、当該シリコン電極板は、燃料電池の骨格構造として機械的強度が良好で、また、内部流路をそのまま冷却媒体流路として使用することができ、マイクロ燃料電池の冷却性能をさらに向上させることができ、従来技術ではシリコンをベースとして用いたマイクロ燃料電池では冷却できないという欠点を解消することができる。
当業者にとって分かるように、本発明は、上記の例示的な実施例の詳細に限定されるものではなく、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実現されることが可能である。したがって、すべての点において、実施例は例示的かつ非限定的であるとみなされるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって制限されており、したがって、特許請求の範囲の等価な要素の意味および範囲内にあるすべての変形を本発明に包含することが意図されている。特許請求の範囲のいずれの参照番号も、それらが参照する特許請求の範囲を限定するものと考えるべきではない。
なお、理解されるように、本明細書は、実施形態に応じて記載されているが、各実施形態が1つの独立した技術的解決手段のみを含んでいるわけではなく、明快さのためだけにこのように記載されており、当業者は本明細書を全体として捉えるべきであり、各実施例の技術的解決手段は、当業者が理解できる他の実施形態を形成するために適切に組み合わせることも可能である。
本発明は、シリコン電極板とその製造方法、燃料電池へのシリコンの応用、燃料電池スタック構造、燃料電池とその応用を提案し、シリコン電極板を燃料電池用バイポーラプレートとして直接使用することを提案することにあり、ガスバリア機能が良好であること、熱伝導性が良好であること、バルク抵抗や接触抵抗が低いこと、耐食性が強いこと、軽量で強度が高く、バッチ処理に適していることなどの、バイポーラプレートに要求される特性を満たすだけでなく、従来技術における金属電極板、黒鉛電極板または複合電極板と比較して、寿命、コスト、効率および電力密度においてより優れた利点を有する。
100b、100c、100d 中央燃料電池ユニット
100a、100e 端部燃料電池ユニット
110 中央シリコン電極板
120 MEA膜電極アセンブリ
130、130’ 端部シリコン電極板