JP2021517119A - 腫瘍溶解性アデノウイルスとcdk4/6阻害剤との組み合わせによる腫瘍の処置 - Google Patents

腫瘍溶解性アデノウイルスとcdk4/6阻害剤との組み合わせによる腫瘍の処置 Download PDF

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Abstract

本発明は、アデノウイルスとCDK4/阻害剤との組み合わせに関する。

Description

本発明は、腫瘍溶解性ウイルスとCDK4/阻害剤との組み合わせ、疾患、例えば、腫瘍の処置におけるこのような組み合わせの使用、疾患、例えば、腫瘍の処置における使用のための、CDK4/6阻害剤と組み合わせた腫瘍溶解性ウイルス、好ましくは、腫瘍溶解性アデノウイルス及び疾患、例えば、腫瘍の処置における使用のための、腫瘍溶解性ウイルス、好ましくは、腫瘍溶解性アデノウイルスと組み合わせたCDK4/6阻害剤に関する。
現在、数多くの治療概念が、腫瘍の処置に使用されている。外科手術を使用する以外に、化学療法及び放射線療法が優勢である。しかしながら、これらの技術は全て、かなりの副作用を伴う。複製選択的腫瘍溶解性ウイルスの使用により、腫瘍の処置のための新たなプラットフォームが提供される。それに関連して、ウイルス剤の選択的腫瘍内複製が開始され、これにより、ウイルス複製、感染した腫瘍細胞の溶解及びウイルスの隣接腫瘍細胞への拡散がもたらされる。ウイルスの複製能力は、腫瘍細胞に限られているため、正常な組織は、複製から免れ、このため、ウイルスによる溶解を免れる。
本発明の根底にある課題は、腫瘍溶解性ウイルス及び特に、アデノウイルスに基づく腫瘍治療の効力を増大させるための手段を提供することである。
これらの課題及び他の課題は、添付の独立請求項の主題によって解決され、好ましい実施態様は、添付の従属請求項から採用することができる。
また、本発明の根底にある課題は、第1の態様においても解決される。また、第1の態様は、アデノウイルスとCDK4/6阻害剤とを含む、組み合わせによるこのような第1の態様の第1の実施態様でもある。
以下に、このような第1の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の組み合わせ。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の組み合わせ。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の組み合わせ。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の組み合わせ。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の組み合わせ。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の組み合わせ。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の組み合わせ。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の組み合わせ。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の組み合わせ。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の組み合わせ。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の組み合わせ。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様33:組成物が、さらに、PARP阻害剤を含む、実施態様1〜32のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の組み合わせ。
実施態様35:組成物が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を含む、実施態様1〜32のいずれか1つの組み合わせ。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の組み合わせ。
実施態様37:組み合わせの成分が、別々の投与のためのものである、実施態様1〜36のいずれか1つの組み合わせ。
また、本発明の根底にある課題は、第2の態様においても解決される。また、第2の態様は、アデノウイルスとCDK4/6阻害剤とを含む、疾患、より好ましくは、腫瘍又はがんの処置における使用のための、第1の態様(その任意の実施態様を含む)の組み合わせによるこのような第2の態様の第1の実施態様でもある。
以下に、このような第2の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様1:疾患、好ましくは、腫瘍又はがんの治療及び/又は予防のための方法における使用のための、アデノウイルスとCDK4/6阻害剤とを含む、
組み合わせ。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の使用のための組み合わせ。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の使用のための組み合わせ。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの使用ための組み合わせ。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の使用ための組み合わせ。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の使用のための組み合わせ。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の使用のための組み合わせ。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の使用のための組み合わせ。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の使用のための組み合わせ。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の使用のための組み合わせ。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の使用のための組み合わせ。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の使用のための組み合わせ。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の使用のための組み合わせ。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様33:組成物が、さらに、PARP阻害剤を含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の使用のための組み合わせ。
実施態様35:組成物が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の使用のための組み合わせ。
実施態様37:組み合わせの成分が、別々の投与のためのものである、実施態様1〜36のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様38:腫瘍細胞は、CDK4/6シグナル伝達経路が破壊されている、実施態様1〜37のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様39:腫瘍細胞が、細胞周期の制御されていないG1−S移行を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様40:腫瘍細胞が、RB1遺伝子、CDKN2A遺伝子及びCDKN2B遺伝子を含む群から選択される遺伝子において、機能喪失突然変異又は欠失を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様41:腫瘍細胞が、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の活性化突然変異を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様42:遺伝子が、CCND1、E2F1、E2F2、E2F3、CDK4及びCDK6を含む群から選択される、実施態様41の使用のための組み合わせ。
実施態様43:遺伝子が、分裂促進性シグナル伝達経路の成分をコードする遺伝子である、実施態様41の使用のための組み合わせ。
実施態様44:分裂促進性シグナル伝達経路が、PI3K経路及びMAPK経路を含む群から選択される、実施態様43の使用のための組み合わせ。
実施態様45:腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、実施態様1〜44のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様46:薬学的に活性な薬剤が、細胞分裂阻害剤である、実施態様45の使用のための組み合わせ。
実施態様47:耐性が、ABCトランスポーターにより媒介される、請求項46の使用のための組み合わせ。
実施態様48:ABCトランスポーターが、MRP及びMDR、特に、MDR−1を含む群から選択される、請求項47の使用のための組み合わせ。
実施態様49:耐性が、多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)、特に、細胞分裂阻害剤及び/又は放射線に対して多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)である、実施態様45〜48のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様50:腫瘍細胞が、Rb陽性である、実施態様1〜49のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様51:腫瘍細胞が、核内にYB−1を有する、実施態様1〜50のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様52:腫瘍細胞が、誘引後に核内にYB−1を有する、実施態様1〜51のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
実施態様53:YB−1の核への輸送が、放射線照射、細胞分裂阻害剤の投与及び温熱療法を含む群から選択される少なくとも1つの手段により誘発される、実施態様52の使用のための組み合わせ。
実施態様54:手段が、細胞、臓器又は生物、好ましくは、それを必要とする生物、より好ましくは、腫瘍を患っている生物に適用される、実施態様53の使用のための組み合わせ。
実施態様55:腫瘍が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項1〜54のいずれか1つの使用のための組み合わせ。
また、本発明の根底にある課題は、第3の態様においても解決される。また、第3の態様は、対象における疾患、より好ましくは、腫瘍又はがんの治療及び/又は予防における使用のための、アデノウイルスによるこのような第3の態様の第1の実施態様でもある。ここで、方法は、アデノウイルス及びCDK4/6阻害剤を対象に投与することを含む。
以下に、このような第3の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の使用のためのアデノウイルス。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の使用のためのアデノウイルス。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの使用ためのアデノウイルス。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の使用ためのアデノウイルス。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の使用のためのアデノウイルス。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の使用のためのアデノウイルス。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の使用のためのアデノウイルス。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の使用のためのアデノウイルス。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の使用のためのアデノウイルス。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の使用のためのアデノウイルス。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の使用のためのアデノウイルス。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の使用のためのアデノウイルス。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様33:方法が、さらに、PARP阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の使用のためのアデノウイルス。
実施態様35:方法が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の使用のためのアデノウイルス。
実施態様37:アデノウイルス、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤及び/又はブロモドメイン阻害剤が、対象に別々に又は任意の組み合わせとして投与される、実施態様1〜36のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様38:腫瘍細胞は、CDK4/6シグナル伝達経路が破壊されている、実施態様1〜37のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様39:腫瘍細胞が、細胞周期の制御されていないG1−S移行を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様40:腫瘍細胞が、RB1遺伝子、CDKN2A遺伝子及びCDKN2B遺伝子を含む群から選択される遺伝子において、機能喪失突然変異又は欠失を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様41:腫瘍細胞が、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の活性化突然変異を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様42:遺伝子が、CCND1、E2F1、E2F2、E2F3、CDK4及びCDK6を含む群から選択される、実施態様41の使用のためのアデノウイルス。
実施態様43:遺伝子が、分裂促進性シグナル伝達経路の成分をコードする遺伝子である、実施態様41の使用のためのアデノウイルス。
実施態様44:分裂促進性シグナル伝達経路が、PI3K経路及びMAPK経路を含む群から選択される、実施態様43の使用のためのアデノウイルス。
実施態様45:腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、実施態様1〜44のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様46:薬学的に活性な薬剤が、細胞分裂阻害剤である、実施態様45の使用のためのアデノウイルス。
実施態様47:耐性が、ABCトランスポーターにより媒介される、請求項46の使用のためのアデノウイルス。
実施態様48:ABCトランスポーターが、MRP及びMDR、特に、MDR−1を含む群から選択される、請求項47の使用のためのアデノウイルス。
実施態様49:耐性が、多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)、特に、細胞分裂阻害剤及び/又は放射線に対して多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)である、実施態様45〜48のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様50:腫瘍細胞が、Rb陽性である、実施態様1〜49のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様51:腫瘍細胞が、核内にYB−1を有する、実施態様1〜50のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様52:腫瘍細胞が、誘引後に核内にYB−1を有する、実施態様1〜51のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
実施態様53:YB−1の核への輸送が、放射線照射、細胞分裂阻害剤の投与及び温熱療法を含む群から選択される少なくとも1つの手段により誘発される、実施態様52の使用のためのアデノウイルス。
実施態様54:手段が、細胞、臓器又は生物、好ましくは、それを必要とする生物、より好ましくは、腫瘍を患っている生物に適用される、実施態様53の使用のためのアデノウイルス。
実施態様55:腫瘍が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項1〜54のいずれか1つの使用のためのアデノウイルス。
また、本発明の根底にある課題は、第4の態様においても解決される。また、第4の態様は、対象における疾患、より好ましくは、腫瘍又はがんの治療及び/又は予防における使用のための、CDK4/6阻害剤によるこのような第4の態様の第1の実施態様でもある。ここで、方法は、アデノウイルス及びCDK4/6阻害剤を対象に投与することを含む。
以下に、このような第4の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの使用ためのCDK4/6阻害剤。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の使用ためのCDK4/6阻害剤。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様33:方法が、さらに、PARP阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様35:方法が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様37:アデノウイルス、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤及び/又はブロモドメイン阻害剤が、対象に別々に又は任意の組み合わせとして投与される、実施態様1〜36のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様38:腫瘍細胞は、CDK4/6シグナル伝達経路が破壊されている、実施態様1〜37のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様39:腫瘍細胞が、細胞周期の制御されていないG1−S移行を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様40:腫瘍細胞が、RB1遺伝子、CDKN2A遺伝子及びCDKN2B遺伝子を含む群から選択される遺伝子において、機能喪失突然変異又は欠失を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様41:腫瘍細胞が、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の活性化突然変異を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様42:遺伝子が、CCND1、E2F1、E2F2、E2F3、CDK4及びCDK6を含む群から選択される、実施態様41の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様43:遺伝子が、分裂促進性シグナル伝達経路の成分をコードする遺伝子である、実施態様41の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様44:分裂促進性シグナル伝達経路が、PI3K経路及びMAPK経路を含む群から選択される、実施態様43の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様45:腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、実施態様1〜44のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様46:薬学的に活性な薬剤が、細胞分裂阻害剤である、実施態様45の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様47:耐性が、ABCトランスポーターにより媒介される、請求項46の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様48:ABCトランスポーターが、MRP及びMDR、特に、MDR−1を含む群から選択される、請求項47の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様49:耐性が、多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)、特に、細胞分裂阻害剤及び/又は放射線に対して多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)である、実施態様45〜48のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様50:腫瘍細胞が、Rb陽性である、実施態様1〜49のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様51:腫瘍細胞が、核内にYB−1を有する、実施態様1〜50のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様52:腫瘍細胞が、誘引後に核内にYB−1を有する、実施態様1〜51のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様53:YB−1の核への輸送が、放射線照射、細胞分裂阻害剤の投与及び温熱療法を含む群から選択される少なくとも1つの手段により誘発される、実施態様52の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様54:手段が、細胞、臓器又は生物、好ましくは、それを必要とする生物、より好ましくは、腫瘍を患っている生物に適用される、実施態様53の使用のためのCDK4/6阻害剤。
実施態様55:腫瘍が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項1〜54のいずれか1つの使用のためのCDK4/6阻害剤。
また、本発明の根底にある課題は、第5の態様においても解決される。また、第5の態様は、対象における疾患、より好ましくは、腫瘍又はがんの治療及び/又は予防における使用のための、PARP阻害剤によるこのような第5の態様の第1の実施態様でもある。ここで、方法は、アデノウイルス、CDK4/6阻害剤及びPARP阻害剤を対象に投与することを含む。
以下に、このような第5の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの使用ためのPARP阻害剤。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の使用ためのPARP阻害剤。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様33:方法が、さらに、PARP阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の使用のためのPARP。
実施態様35:方法が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様37:アデノウイルス、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤及び/又はブロモドメイン阻害剤が、対象に別々に又は任意の組み合わせとして投与される、実施態様1〜36のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様38:腫瘍細胞は、CDK4/6シグナル伝達経路が破壊されている、実施態様1〜37のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様39:腫瘍細胞が、細胞周期の制御されていないG1−S移行を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様40:腫瘍細胞が、RB1遺伝子、CDKN2A遺伝子及びCDKN2B遺伝子を含む群から選択される遺伝子において、機能喪失突然変異又は欠失を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様41:腫瘍細胞が、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の活性化突然変異を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様42:遺伝子が、CCND1、E2F1、E2F2、E2F3、CDK4及びCDK6を含む群から選択される、実施態様41の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様43:遺伝子が、分裂促進性シグナル伝達経路の成分をコードする遺伝子である、実施態様41の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様44:分裂促進性シグナル伝達経路が、PI3K経路及びMAPK経路を含む群から選択される、実施態様43の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様45:腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、実施態様1〜44のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様46:薬学的に活性な薬剤が、細胞分裂阻害剤である、実施態様45の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様47:耐性が、ABCトランスポーターにより媒介される、請求項46の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様48:ABCトランスポーターが、MRP及びMDR、特に、MDR−1を含む群から選択される、請求項47の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様49:耐性が、多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)、特に、細胞分裂阻害剤及び/又は放射線に対して多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)である、実施態様45〜48のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様50:腫瘍細胞が、Rb陽性である、実施態様1〜49のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様51:腫瘍細胞が、核内にYB−1を有する、実施態様1〜50のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様52:腫瘍細胞が、誘引後に核内にYB−1を有する、実施態様1〜51のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
実施態様53:YB−1の核への輸送が、放射線照射、細胞分裂阻害剤の投与及び温熱療法を含む群から選択される少なくとも1つの手段により誘発される、実施態様52の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様54:手段が、細胞、臓器又は生物、好ましくは、それを必要とする生物、より好ましくは、腫瘍を患っている生物に適用される、実施態様53の使用のためのPARP阻害剤。
実施態様55:腫瘍が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項1〜54のいずれか1つの使用のためのPARP阻害剤。
本発明の根底にある課題は、第6の態様において解決される。また、第6の態様は、対象における疾患、より好ましくは、腫瘍又はがんの治療及び/又は予防における使用のための、ブロモドメイン阻害剤によるこのような第6の態様の第1の実施態様でもある。ここで、方法は、アデノウイルス、CDK4/6阻害剤及びブロモドメイン阻害剤を対象に投与することを含む。
以下に、このような第6の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの使用ためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の使用ためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様33:方法が、さらに、PARP阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様35:方法が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様37:アデノウイルス、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤及び/又はブロモドメイン阻害剤が、対象に別々に又は任意の組み合わせとして投与される、実施態様1〜36のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様38:腫瘍細胞は、CDK4/6シグナル伝達経路が破壊されている、実施態様1〜37のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様39:腫瘍細胞が、細胞周期の制御されていないG1−S移行を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様40:腫瘍細胞が、RB1遺伝子、CDKN2A遺伝子及びCDKN2B遺伝子を含む群から選択される遺伝子において、機能喪失突然変異又は欠失を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様41:腫瘍細胞が、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の活性化突然変異を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様42:遺伝子が、CCND1、E2F1、E2F2、E2F3、CDK4及びCDK6を含む群から選択される、実施態様41の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様43:遺伝子が、分裂促進性シグナル伝達経路の成分をコードする遺伝子である、実施態様41の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様44:分裂促進性シグナル伝達経路が、PI3K経路及びMAPK経路を含む群から選択される、実施態様43の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様45:腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、実施態様1〜44のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様46:薬学的に活性な薬剤が、細胞分裂阻害剤である、実施態様45の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様47:耐性が、ABCトランスポーターにより媒介される、請求項46の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様48:ABCトランスポーターが、MRP及びMDR、特に、MDR−1を含む群から選択される、請求項47の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様49:耐性が、多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)、特に、細胞分裂阻害剤及び/又は放射線に対して多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)である、実施態様45〜48のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様50:腫瘍細胞が、Rb陽性である、実施態様1〜49のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様51:腫瘍細胞が、核内にYB−1を有する、実施態様1〜50のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様52:腫瘍細胞が、誘引後に核内にYB−1を有する、実施態様1〜51のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様53:YB−1の核への輸送が、放射線照射、細胞分裂阻害剤の投与及び温熱療法を含む群から選択される少なくとも1つの手段により誘発される、実施態様52の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様54:手段が、細胞、臓器又は生物、好ましくは、それを必要とする生物、より好ましくは、腫瘍を患っている生物に適用される、実施態様53の使用のためのブロモドメイン阻害剤。
実施態様55:腫瘍が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項1〜54のいずれか1つの使用のためのブロモドメイン阻害剤。
本発明の根底にある課題は、第7の態様において解決される。また、第7の態様は、対象における疾患、より好ましくは、腫瘍又はがんの治療及び/又は予防のための方法であって、アデノウイルス及びCDK4/6阻害剤を対象に投与することを含む方法によるこのような第7の態様の第1の実施態様でもある。
以下に、このような第7の態様の更なる実施態様が開示される。
実施態様2:アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、実施態様1の方法。
実施態様3:アデノウイルスが、YB−1依存的様式で複製している、実施態様1及び2のいずれか1つの方法。
実施態様4:アデノウイルスが、核内にYB−1を欠いた細胞では複製欠損であるが、核内にYB−1を有する細胞では複製している、実施態様3の方法。
実施態様5:アデノウイルスが、がん遺伝子タンパク質をコードし、ここで、がん遺伝子タンパク質が、少なくとも1つのアデノウイルス遺伝子をトランス活性化し、ここで、アデノウイルス遺伝子が、E1B55kDa、E4orf6、E4orf3及びE3ADPを含む群から選択される、実施態様2〜4のいずれか1つの方法。
実施態様6:がん遺伝子タンパク質が、E1Aタンパク質である、実施態様5の方法。
実施態様7:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能である、実施態様6の方法。
実施態様8:E1Aタンパク質が、機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合不可能である、実施態様6の方法。
実施態様9:E1Aタンパク質が、YB−1の核内への局在を誘引しない、実施態様6〜8のいずれか1つの方法。
実施態様10:がん遺伝子タンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質E1Aと比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を示す、実施態様5〜9のいずれか1つの方法。
実施態様11:欠失が、CR3ストレッチの欠失並びにN末端の欠失及びC末端の欠失を含む群から選択されるものである、実施態様10の方法。
実施態様12:E1Aタンパク質が、Rbに結合可能である、実施態様6〜11のいずれか1つの方法。
実施態様13:E1Aタンパク質が、野生型がん遺伝子タンパク質と比較して、1つ又は複数の突然変異又は欠失を含み、ここで、該欠失が、好ましくは、CR1領域及び/又はCR2領域における欠失である、実施態様6〜12のいずれか1つの方法。
実施態様14:E1Aタンパク質が、Rbに結合不可能である、実施態様13の方法。
実施態様15:ウイルスが、E1A12Sタンパク質を発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜14のいずれか1つの方法。
実施態様16:ウイルスが、E1A13Sタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜15のいずれか1つの方法。
実施態様17:ウイルスが、機能的に活性なアデノウイルスE3領域を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜16のいずれか1つの方法。
実施態様18:ウイルスが、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いているアデノウイルスである、実施態様1〜17のいずれか1つの方法。
実施態様19:ウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているアデノウイルスである、実施態様1〜18のいずれか1つの方法。
実施態様20:ウイルスが、アデノウイルス血清型5である、実施態様1〜19のいずれか1つの方法。
実施態様21:アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、実施態様1〜20のいずれか1つの方法。
実施態様22:アデノウイルスが、XVir−N−31である、実施態様21の方法。
実施態様23:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、アデノウイルスE3領域が、機能的に不活性である、実施態様21の方法。
実施態様24:アデノウイルスが、dl520であり、ここで、dl520が、E1B 19kDaタンパク質の発現を欠いている、実施態様21〜23のいずれか1つの方法。
実施態様25:アデノウイルスが、繊維においてRGDモチーフを発現しているdl520である、実施態様21〜24のいずれか1つの方法。
実施態様26:ウイルスが、YB−1をコードする、実施態様1〜25のいずれか1つの方法。
実施態様27:YB−1をコードする遺伝子が、組織特異的プロモーター、腫瘍特異的プロモーター及び/又はYB−1依存性プロモーターの制御下にある、実施態様26の方法。
実施態様28:YB−1依存性プロモーターが、アデノウイルスE2後期プロモーターである、実施態様27の方法。
実施態様29:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRbリン酸化を低下させる化合物である、実施態様1〜28のいずれか1つの方法。
実施態様30:CDK4/6阻害剤が、細胞、好ましくは、腫瘍細胞におけるRb発現を低下させる化合物である、実施態様1〜29のいずれか1つの方法。
実施態様31:CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、実施態様1〜30のいずれか1つの方法。
実施態様32:CDK4/6阻害剤が、細胞をG1で停止させ、E2F1を阻害する、実施態様1〜31のいずれか1つの方法。
実施態様33:方法が、さらに、PARP阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの方法。
実施態様34:PARP阻害剤が、オラパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ及びBMN673を含む群から選択される、実施態様33の方法。
実施態様35:方法が、さらに、ブロモドメイン阻害剤を対象に投与することを含む、実施態様1〜32のいずれか1つの方法。
実施態様36:ブロモドメイン阻害剤が、JQ1、OTX−015、I−BET151、CPI−0610、I−BET762、CPI203、PFI−1及びMS436を含む群から選択される、実施態様35の方法。
実施態様37:アデノウイルス、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤及び/又はブロモドメイン阻害剤が、対象に別々に又は任意の組み合わせとして投与される、実施態様1〜36のいずれか1つの方法。
実施態様38:腫瘍細胞は、CDK4/6シグナル伝達経路が破壊されている、実施態様1〜37のいずれか1つの方法。
実施態様39:腫瘍細胞が、細胞周期の制御されていないG1−S移行を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの方法。
実施態様40:腫瘍細胞が、RB1遺伝子、CDKN2A遺伝子及びCDKN2B遺伝子を含む群から選択される遺伝子において、機能喪失突然変異又は欠失を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの方法。
実施態様41:腫瘍細胞が、遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の活性化突然変異を有する、実施態様1〜38のいずれか1つの方法。
実施態様42:遺伝子が、CCND1、E2F1、E2F2、E2F3、CDK4及びCDK6を含む群から選択される、実施態様41の方法。
実施態様43:遺伝子が、分裂促進性シグナル伝達経路の成分をコードする遺伝子である、実施態様41の方法。
実施態様44:分裂促進性シグナル伝達経路が、PI3K経路及びMAPK経路を含む群から選択される、実施態様43の方法。
実施態様45:腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、実施態様1〜44のいずれか1つの方法。
実施態様46:薬学的に活性な薬剤が、細胞分裂阻害剤である、実施態様45の方法。
実施態様47:耐性が、ABCトランスポーターにより媒介される、請求項46の方法。
実施態様48:ABCトランスポーターが、MRP及びMDR、特に、MDR−1を含む群から選択される、請求項47の方法。
実施態様49:耐性が、多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)、特に、細胞分裂阻害剤及び/又は放射線に対して多耐性(multiple resistance)又は多耐性(polyresistance)である、実施態様45〜48のいずれか1つの方法。
実施態様50:腫瘍細胞が、Rb陽性である、実施態様1〜49のいずれか1つの方法。
実施態様51:腫瘍細胞が、核内にYB−1を有する、実施態様1〜50のいずれか1つの方法。
実施態様52:腫瘍細胞が、誘引後に核内にYB−1を有する、実施態様1〜51のいずれか1つの方法。
実施態様53:YB−1の核への輸送が、放射線照射、細胞分裂阻害剤の投与及び温熱療法を含む群から選択される少なくとも1つの手段により誘発される、実施態様52の方法。
実施態様54:手段が、細胞、臓器又は生物、好ましくは、それを必要とする生物、より好ましくは、腫瘍を患っている生物に適用される、実施態様53の方法。
実施態様55:腫瘍が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項1〜54のいずれか1つの方法。
また、第8の態様において、本発明は、医薬の製造のための組成物の使用に関し、ここで、該組成物は、本発明の第1の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して開示された組成物であり、該医薬は、本発明の第2の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して特定された疾患の治療及び/又は予防のためのものである。
また、第9の態様において、本発明は、医薬の製造のためのアデノウイルスの使用に関し、ここで、アデノウイルスは、本発明の第3の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して開示されたアデノウイルスであり、該医薬は、本発明の第3の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して特定された疾患の治療及び/又は予防のためのものである。
また、第10の態様において、本発明は、医薬の製造のためのCDK4/6阻害剤の使用に関し、ここで、CDK4/6阻害剤は、本発明の第4の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して開示されたCDK4/6阻害剤であり、該医薬は、本発明の第4の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して特定された疾患の治療及び/又は予防のためのものである。
また、第11の態様において、本発明は、医薬の製造のためのPARP阻害剤の使用に関し、ここで、PARP阻害剤は、本発明の第5の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して開示されたPARP阻害剤であり、該医薬は、本発明の第5の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して特定された疾患の治療及び/又は予防のためのものである。
また、第12の態様において、本発明は、医薬の製造のためのブロモドメイン阻害剤の使用に関し、ここで、ブロモドメイン阻害剤は、本発明の第6の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して開示されたブロモドメイン阻害剤であり、該医薬は、本発明の第6の態様(その任意の実施態様を含む)に関連して特定された疾患の治療及び/又は予防のためのものである。
本発明の一態様の各実施態様及び任意の実施態様が、本発明の他の各態様及び任意の態様(その任意の実施態様を含む)の実施態様でもあることが、当業者により認識されるのであろう。
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、驚くべきことに、腫瘍溶解性ウイルス、好ましくは、腫瘍溶解性アデノウイルスをCDK4/6阻害剤と組み合わせることにより、このような腫瘍溶解性アデノウイルスに基づく腫瘍治療の効力が向上することを見出した。より具体的には、CDK4/6阻害剤が、E2F−1を阻害することにより、好ましくは、腫瘍細胞においてその有効濃度を低下させ、細胞におけるG1停止を同調させると推定される。このため、より多くの感染細胞がウイルスのライフサイクル全体を完了させることができる。
本明細書で提供された証拠及び洞察に基づいて、当業者は、任意の−突然変異体−アデノウイルスが本発明の実施における使用に適していると理解するであろう。同使用は、そのようなアデノウイルスにより、少なくとも野生型発現の10%、20%又は30%程度、E1B55K及びE4orf6それぞれの活性が達成されることを許容する。このような突然変異体アデノウイルスは、E1Aを改変することにより生成することができると、当業者により理解されるであろう。例示的な突然変異体アデノウイルスは、アデノウイルスXVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物と結合可能な発現されたウイルス性腫瘍遺伝子を欠いているウイルスである。
アデノウイルスについての名称の由来は、Wallace P. Rowe及びRobert J. Huebnerにより(Rowe, et al., 1953)、1953年にヒトの扁桃及び咽頭扁桃組織からウイルスが初めて分離されたことによる。アデノウイルス科は、5つの属、すなわち、Mastadenoviruses、Aviadenoviruses、Siadenoviruses、Atadenoviruses及びIchtadenovirusesを含む(Modeow, 2013)。げっ歯類の新生児におけるその発がん性のため、それらは、7つのサブグループHAdV−A〜HAdV−Gに分類することができ(Boulanger and Blair, 1991)、全部で62の血清型に分類することができる。それにより、腫瘍溶解性ウイルス療法に関する研究は、主に、Mastadenovirus C型血清型5に焦点が当てられている。
80〜110nmのサイズを有する非被覆の二十面体キャプシドは、キャプシドの頂点にある、ペントンベース及び繊維と呼ばれるスパイク様タンパク質構造から構築される12個のペントンと、ヘキソンと呼ばれる249面とからなる、252個のキャプソメアから構成される(Modrow, 2013)。アデノウイルスの全ライフサイクルは、細胞侵入を伴う初期段階、ウイルスゲノムの核移行、初期遺伝子の転写及び翻訳並びに後期遺伝子の転写及び翻訳を伴う後期段階に細分することができる。それにより、後期タンパク質は、主に、構造タンパク質の構築とビリオンの成熟を担っている(Russell, 2000)。許容細胞では、初期段階に約6〜8時間かかり、続けて、後期段階に約4〜6時間かかる。結合は、少なくともアデノウイルスHAdV−A、−C、−E及び−Fについては、繊維構造のあらゆる末端に存在するノブ構造とターゲット細胞上のレセプターとの相互作用を介して生じる。このレセプターは、コクサッキーBウイルス吸着を担うものと同じものとして検出されたため、このレセプターは、コクサッキー及びアデノウイルスレセプター(CAR)と呼ばれている(Bergelson, 1997)。加えて、ターゲット細胞の表面への結合は、特定のアデノウイルス型の繊維タンパク質の結合を媒介する、体液中の可溶性タンパク質である「架橋分子」、例えば、血液凝固因子VII及びXにより支持される(Modrow, 2013)。この吸着段階の後、ペントンベースにおけるRGDモチーフ(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)は、この過程で共レセプターとして機能するヘテロ二量体インテグリンαvβ3又はαvβ5と相互作用する。この相互作用により、ウイルスの内在化がもたらされる(Wickham et al., 1993)。その後、細胞膜においてクラスリン媒介内在化を介したエンドサイトーシスが起こり、ウイルスは、エンドソームに存在する。細胞内小胞の酸性化後、ウイルス繊維タンパク質は、そのコンホメーションを変化させ、エンドソーム膜を破壊する(Greber et al., 1996)。この時点で、ウイルス粒子は、細胞質中で浮遊している。微小管のダイニンに残存粒子が結合することにより、ウイルスゲノムは核内に移入される(Modrow, 2013)。
アデノウイルスのゲノムは、長さ36〜38kbの二本鎖、線状DNAからなる。両5’末端に共有結合している2つの末端タンパク質(TP)分子の相互作用により、準環状状態が形成される(Modrow, 2013)。一般的には、アデノウイルスゲノムの5つのコード領域は、主に、感染の初期段階に活性な初期遺伝子E1〜E4と、主に、ウイルス粒子形成に必要なタンパク質をコードする後期遺伝子(L1〜L5)に細分することができる(Modrow, 2013)。
アデノウイルス複製は、大型E1Aタンパク質(E1A13S)により強力に誘引される初期ウイルス遺伝子E2の発現に特に依存している。感染後に最初に転写されるウイルス遺伝子は、初期領域1A(E1A)である。一次E1A転写物は、差次的スプライシングによりプロセシングされ、13S、12S、11S、10S及び9Sの沈降係数を有する5つの異なるメッセージを生成する。13S及び12S mRNAは、感染初期に最も豊富に存在する。一方、9S mRNAは、後期に最も豊富に存在する。11S及び10S mRNAは、感染後の後期により豊富になるマイナー種である。13S、12S、11S、10S及び9S E1A mRNAはそれぞれ、289残基(R)、243R、217R、171R及び55Rのタンパク質をコードし、それらは全て、in vitroでのみ検出される9S産物を除いて、in vivoで検出可能である。一般的には、アデノウイルス遺伝子の発現は、感染の過程で高度にレギュレーションされ、その複雑性は高い。これにより、効率的なウイルス複製に必要なウイルスDNAポリメラーゼ及び他のタンパク質をコードするE2遺伝子の転写は、E2初期プロモーター及びE2後期プロモーターの2つのプロモーターの制御下にある。
その2つの重複した転写制御領域のために、E2−初期プロモーターは、+1位から始まる主プロモーターと、−26位から始まる副プロモーターに細分することができ、両方とも、TATAモチーフを含有する(Swaminathan and Thimmapaya, 1996)。これらのモチーフは、TATAボックス結合タンパク質(TBP)の結合部位として機能する。さらに、−68位と−77位との間の活性化転写因子(ATF)に対する1つの結合部位と、互いに逆向きに並んだ2つのE2F/DP−1結合部位(TTTCGCGC)は、主要E2初期プロモーターの−35位及び−63位に位置している(Swaminathan and Thimmapaya, 1996)。E1Aを介したE2初期プロモーターの活性化は、主に、主要プロモーター部分に局在する2つのE2F結合部位に依存している。
感染の中間段階では、約6hpi(感染後時間)後、E2遺伝子の発現は、E2後期プロモーターにより制御される。その157bp配列の位置nt −33〜−22には、TATAボックスが存在し、これは、細胞TBPに結合することができ、細胞内TBPにより活性化されることができる(Swaminathan and Thimmapaya, 1996)。さらに、2つのSP1認識部位及び3つのCCAATボックスが、E2後期プロモーターに特徴的である。
細胞因子YB−1が、逆方向CCAATボックスに結合可能であることが示されたため、Y−ボックス結合タンパク質1(YB−1)とE2後期プロモーターとの間の相互作用が調査された。Holm et al.は、2002年に、E2後期プロモーターに存在するY−ボックス(逆方向CCAATボックス)とYB−1との特異的相互作用が、このプロモーターの活性を制御する能力を有することを実際に示した(Holm et al., 2002)。そのトランス活性化活性を発揮するために、YB−1は、アデノウイルス複合体E1B−55k/E4−orf6を介して核内に移行しなければならない。これらの初期ウイルス遺伝子は、E1A−13Sのトランス活性化後に発現される(Frisch and Mymryk, 2002)。
YBX1遺伝子によりコードされる細胞因子YB−1は、転写、スプライシング、翻訳制御及びDNA損傷の修復において複数の機能を有するコールドショックドメイン担持DNA結合タンパク質である(Kohno et al., 2003)。さらに、細胞因子YB−1は、がん細胞における多剤耐性表現型の発達に関与するMDR1及びMRP1遺伝子のその活性化により、薬剤耐性に重要な役割を果たしている(Mantwill et al., 2006)。YB−1の発現は、外因性ストレス要因、例えば、アデノウイルス感染、化学療法又はUV照射の暴露を介して、その後の核輸送により誘引される(Mantwill et al., 2006)。
アデノウイルスの初期遺伝子及び後期遺伝子の転写活性化は、ウイルスのライフサイクルにとって極めて重要である。簡潔に、ウイルスのライフサイクルは、E1A転写の活性化により開始され、続けて、E2、E3及びE4遺伝子の活性化のカスケードが起こる。最後に、主な後期プロモーター(MLP)が活性化され、主にゲノムカプシド形成に関与するカプシド及びアクセサリータンパク質の発現を調整する(Turner et al 2015)。非増殖細胞に存在するウイルスDNA複製に対する防御を克服するために、ウイルスは、初期1Aタンパク質(E1A)を発現する。これらの最初期タンパク質は、細胞をS期に移行させ、他の全てのウイルス初期遺伝子の発現を誘引する。感染の間、幾つかのE1Aアイソフォームが、ヒトアデノウイルス5型に存在する289、243、217、171及び55残基のタンパク質として発現される。感染に関して、ウイルス遺伝子発現の主な要因は、大型E1A 289Rタンパク質である(Radko et al 2015)。
感染に際して、アデノウイルスE1Aタンパク質の発現は、ヒトアデノウイルスの主なターゲットである最終分化上皮細胞においてさえも、G0/G1期からS期への細胞周期進行及びウイルス複製を促進する。この過程は、アデノウイルスのライフサイクルに必須であると考えられる。
正常な細胞を温存しつつ、がん細胞に感染し、複製し、殺傷するように、アデノウイルスが設計された。腫瘍細胞における感染及び複製に続けて、腫瘍溶解性ウイルスは、該細胞を殺傷し、その後の増幅サイクルのためにビリオンを放出する。腫瘍細胞内のみでの複製を達成するために、2種類の遺伝子改変がなされ、3つのサブクラスの腫瘍溶解性アデノウイルス(本明細書において、CRAdとも呼ばれる)が設計されており、これらは全て、本発明の実施において使用することができる。さらに、本発明の実施における使用に適した腫瘍溶解性アデノウイルスは、中でも、WO第2003/099859号に記載されている。
I型CRAdは、ゲノムのE1領域における突然変異又は欠失を特徴とし、細胞周期レギュレーター、例えば、p53及び網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)の不活性化を妨害する。その結果、I型CRAdは、活発に分裂している腫瘍細胞内で複製する。例えば、E1B−55kDaタンパク質を発現することができないOnyx−015(dl1520としても公知)は、p53を不活性化することができず、p53誘引細胞周期停止を回避することができない。幾つかの研究から、Onyx−015選択性の分子基盤がp53又はp53経路に関与する遺伝子のうちの1つの発現の欠如によると考えられた。しかしながら、O’Shea et al.では、p53不活化ではなく、後期ウイルスRNA排出により、Onyx−015ウイルス選択性が決定されることが示された。E1A領域に欠失を有する他のI型CRAdは、Rbに結合することができず、S期への進行を誘発することができない。例えば、dl922−947及びΔ24は、E1A領域のCR2ドメインにおいて24ヌクレオチドの欠失を含有し、E1A−Rb相互作用を阻害する。その結果、これらのウイルスは、遊離の非結合型E2Fを利用可能な腫瘍細胞で主に複製する。
アデノウイルス複製を腫瘍細胞に限定する別の方法は、ウイルス複製に必要なウイルス遺伝子の転写をレギュレーションすることである。II型CRAdにおいて、ゲノムは、腫瘍特異的プロモーターの制御下に置かれる。それらのプロモーターは、正常組織と比較して、一部の腫瘍で優先的に発現されることが公知の遺伝子(例えば、テロメラーゼ又はシクロオキシゲナーゼII);又は正常組織と比較して、腫瘍で過剰発現される遺伝子(例えば、前立腺特異的抗原、PSA又はα−フェトプロテイン、AFP)に由来した。III型CRAd、例えば、XVir−N−31(Ad−Delo3−RGD)は、E1A13Sタンパク質におけるトランス活性化ドメインCR3の欠失を特徴とする。XVir−N−31は、正常細胞における複製欠損アデノウイルスである。XVir−N−31は、核内に細胞多機能タンパク質YB−1が存在することにより、その複製能が回復する。したがって、CRAdは、腫瘍細胞においてのみ複製可能であり、このため、それらを最終的に溶解する。p53、ras、RBのいずれの突然変異も、XVir−N−31の複製欠損を補完するのに有効ではない。XVir−N−31は、E1A13Sを欠いているため、E1B55kタンパク質及びE4orf6タンパク質は発現しない。この欠損は、E1A13Sとは独立して、E1B55k及びE4orf6の発現を誘発する腫瘍細胞の核内でのYB−1の存在により補完される。核内でのYB−1の存在によりひとたび誘引されると、E1B55k及びE4orf6は、さらに、細胞YB−1を核内に移入させ、ウイルス複製を推進する。
細胞周期は、ギャップ1(G1)、合成(S)、ギャップ2(G2)及び有糸分裂(M)期を経て連続的に進行する。この進行は、複雑なシグナル伝達ネットワークを介してレギュレーションされる。CDK(サイクリン依存性キナーゼ)タンパク質であるCDK1、CDK2、CDK4及びCDK6は、特定のサイクリンタンパク質と複合体を形成した場合、細胞周期進行の主なレギュレーターとなる。CDKの構成的発現と種々のサイクリンの時間的制御とにより、異なるサイクリン−CDK複合体による特定の細胞周期のレギュレーションが可能となる。CDK活性は、幾つかの阻害性タンパク質によりネガティブにレギュレーションされる。CDKの生物学及び機能の種々の側面は、以前に包括的にレビューされている。
構造的かつ機能的相同性を示すCDK4及びCDK6は、サイクリンDタンパク質と複合体を形成した場合、G1期にある休止細胞のS期への移行をレギュレーションする。サイクリンDタンパク質は、サイクリンD1〜3の3つのサブタイプを有し、有糸分裂促進性刺激の存在下で蓄積する。CDK4/6のネガティブレギュレーターは、CDK4(INK4)タンパク質の阻害因子であるp16INK4A、p15INK4B、p18INK4C及びp19INK4Dを含む。これらは、サイクリンD1との結合を減少させるか又はそれらの触媒ドメインを直接的に占有することによりCDK4/6活性を阻害する。
CDK4/6のキナーゼ活性により、Rb、p107及びp130を含む網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質ファミリーのメンバーのリン酸化がもたらされ、同リン酸化により、それらの機能的不活性化がもたらされる。休止細胞では、活性型低リン酸化Rbが、他のコレプレッサーとともに、DP−1/2と複合体を形成するE2F転写因子ファミリーのメンバーに結合し、E2Fの機能をサプレッションする(Rubin et al 2005)。リン酸化されると、Rbは、この複合体から解離し、中でも、細胞周期のS期への移行に必要なサイクリンA、サイクリンE及びDHFRを含むE2Fターゲット遺伝子の転写が可能となる。したがって、CDK4/6活性の阻害により、Rb脱リン酸化及びE2F活性のレプレッションがもたらされ、これにより、G0/G1停止が促進される。これにより、がん細胞におけるターゲット治療としてのCDK4/6阻害剤の開発が促進されている。
CDK4/6−Rbシグナル伝達経路の破壊及び細胞周期の制御されていないG1−S移行は、がん細胞に共通の特徴である。これは、RB1遺伝子(Rbをコードする)、CDKN2A(p16INK4A及びp14ARFをコードする)又はCDKN2B(p15INK4Bをコードする)の機能喪失突然変異又は欠失を含む種々の分子的変化により起こる場合がある。また、このようなデレギュレーションは、CCND1(サイクリンD1をコードする)、E2F1−3、CDK4、CDK6又は種々の有糸分裂促進性シグナル伝達経路、例えば、PI3K経路もしくはMAPK経路の成分の増幅又は活性化突然変異にもよる場合がある。
幾つかのATP競合性低分子CDK阻害剤が開発されている。しかしながら、第一世代阻害剤、例えば、フラボピリドールは非選択的であり、複数のCDKを阻害することおそれがあり、これにより、限定された効力及び高い毒性をもたらされる場合がある。次世代CDK4/6阻害剤は高選択性を示し、パルボシクリブ(PfizerからのPD−0332991)、アベマシクリブ(Eli LillyからのLY−2835219)及びリボシクリブ(NovartisからのLEE011)及びトリラシクリブ(G1T28)を含む。これらのCDK4/6阻害剤は、白血病、乳がん、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び転移性乳がん(mBC)を含む幾つかのがん実体のin vitro及びin vivoモデルにおいて前臨床試験されている。ほとんどの研究で、それらは、G0/G1停止及び細胞増殖の阻害と相関する、Rbリン酸化、E2Fターゲット遺伝子のタンパク質発現及び転写における用量依存的減少を伴う、一貫した分子的及び機能的表現型を実証された。加えて、これらの全ての報告から、Rb発現は、これらの阻害剤に対する感受性のための前提条件であることが実証されている。
CDK4/6阻害剤、例えば、PD−0332991により、リン酸化Rbの減少と相関する総Rbタンパク質の用量依存的減少がもたらされる。この総Rbの減少は、RB1転写物レベル及びE2Fターゲット遺伝子であるCCNA2及びCCNE2の転写の減少と部分的に相関する。また、E2F発現量も、顕著にダウンレギュレーションされる。
本発明の実施における使用に適したCDK4/6阻害剤を図25に開示する。
実施例部分から明らかなように、任意のCDK4/6阻害剤は、ウイルス、好ましくは、アデノウイルス、より好ましくは、腫瘍溶解性アデノウイルスと組み合わせて使用するのに適している。それにより、CDK4/6阻害剤は、細胞をG1で停止させ、E2F1、より具体的には、E2F1活性を阻害する。
任意のCDK4/6阻害剤が、治療有効濃度で使用されることは、当業者に理解されるであろう。
PARP1は、一本鎖切断(DNAの「ニック」)を修復するのに重要なタンパク質である。ほ乳類では、17のPARPファミリーメンバーが発見されており、これらのうちの6つのみが、ポリADP−リボース(pADPr)を合成する。PARP1、PARP2及びPARP3は、DNA修復に役割を有する。PARP1は、一本鎖切断(SSB)及び二本鎖切断(DSB)を受けたDNAに結合する。ついで、PARP1は、活性部位における重要なアミノ酸残基を整列させるコンホメーション変化を受けることにより、その活性を向上させる。PARP1が活性化されると、PARP1は、pADPrを合成する。pADPrは、タンパク質に結合し、その機能を変化させる。存在するpADPrのレベルがDNA損傷を反映しており、pADPrに対する応答がDNA修復後に終結することを確実にするために、pADPrは、pADPrグリコヒドロラーゼにより急速に分解される。
DNA修復経路を阻害することにより、PARP1阻害剤は、DNA内の一本鎖切断を増加させる。BERがもはや起こらないために、このDNA損傷は修復されず、複製後の娘細胞に引き継がれる。これにより、BRCA1及びBRCA2突然変異を有する腫瘍ではDSBが増加する(Scott et al. 2015, J Clin Oncol., 33(12): 1397-140)。PARP薬剤候補であるルカパリブ、ベリパリブ及びオラパリブを含むPARP阻害剤の化学構造は、全てのPARP阻害剤構造を特徴付けるベンズアミド部分を含めて、図26に示され、Antolin and Mestres 2014, Oncotarget, 30;5(10):3023-8に記載されている。
加えて、YB−1が、PARP活性を増強し、PARP1阻害剤の有効性を低下させることが十分に確立されている(Alemasova et al.2018, Oncotarget, 34, 23349-65)。このことから、YB−1依存性腫瘍溶解性アデノウイルスは、CDK4/6阻害剤及びPARP阻害剤の両方との組み合わせで、がん細胞殺傷において相乗的に作用するであろうことが示唆される。オラパリブ及びBMN673(Talazolarib developed from Pfizer, USA, Clin Cancer Res. 2013, 15;19(18):5003-15)は、PARP阻害剤の例である。
任意のPARP阻害剤が、治療有効濃度で使用されることは、当業者に理解されるであろう。
本発明の実施における使用に適したCDK4/6阻害剤を図25に開示する。
エピジェネティックな状況における異常は、がんの特徴であり、リシン残基のアセチル化は、翻訳後修飾であり、細胞のシグナル伝達及び疾患生物学に広く関連している。アセチル化部位を「書く(wrire)」酵素(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、HAT)及びアセチル化部位を「消去する(erase)」酵素(ヒストンデアセチラーゼ、HDAC)は、現在の薬剤開発における広範な研究領域である。アセチル化リシン残基による巨大分子複合体へのタンパク質のリクルートは、ブロモドメイン(BRD)により媒介される。ブロモドメインは、ε−N−リシンアセチル化モチーフを認識する進化的に高度に保存されたタンパク質相互作用モジュールである。保存されたBRDフォールドは深く、主に疎水性のアセチルリシン結合部位を含有する。同部位は、低分子量の薬学的に活性な分子の開発に魅力的なポケットを提示する。BRDを含有するタンパク質は、多種多様な疾患の発症に関与している。
近年、BET(ブロモドメイン及び末端外)ファミリーのBRDをターゲットとする2つの非常に強力かつ選択的な阻害剤により、がんにおけるこれらのBRDのターゲット化を支持する説得力のあるデータが提供された。BRD2、BRD3、BRD4及びBRDTから構成されるブロモドメインタンパク質のBET(ブロモドメイン及び末端外ドメイン)サブファミリーは、RNAポリメラーゼII(POLII)による転写レギュレーションにおいて多様な役割を果たし、新しいクラスのエピジェネティックな薬剤ターゲットである。これらのタンパク質は、アセチル化リシン残基において活性化クロマチンに結合することにより、転写の開始期及び伸長期を促進する。これらのいわゆる後成的な「リーダー」による活性化クロマチンの認識により、RNAポリメラーゼII複合体の活性転写部位へのリクルートが促進される。BRD4/P−TEFb相互作用は、有糸分裂後の素早い転写再開に重要である(Muller et al., 2011, Expert Rev. Mol. Medicine, 13, e19)。P−TEFbは、Drosophila細胞由来のin vitro転写系を使用して、ロングラン−オフ転写物の生成に必要な因子として同定され、精製された。P−TEFbは、Drosophilaの触媒サブユニットであるCdk9及びレギュラトリーサブユニットであるサイクリンTを含有するサイクリン依存性キナーゼである。ヒトでは、Cdk9並びに幾つかのサイクリンサブユニットであるサイクリンT1、T2及びKのうちの1つを含有する、複数の形態のP−TEFbが存在する。P−TEFbは、ブロモドメインタンパク質BRD4を含む他の因子と会合し、超伸長複合体と呼ばれる大型のタンパク質複合体と会合することが見出されている(Yang Z, et al.,2005. Mol Cell; 19:535-45;Fu et al., 1999, J Biol Chem., 274:34527-30)。
JQ1(チエノ−トリアゾロ−1−4−ジアゼピン)は、BRD2、BRD3、BRD4を含むブロモドメインタンパク質のBETファミリーの強力な阻害剤である(Filippakopoulos et al., 2010 Nature 468, 1067-1073)。JQ1は、ブロモドメインとアセチル基の間の相互作用を妨げ、特定の遺伝子をダウンレギュレーションさせる。OTOX15、BAY1238097、GSK2820151、I−BET762及びPLX51107を含む更なるBETブロモドメイン阻害剤が記載されている(Perez-Salvia and Esteller 2017, EPIGENETICS, 12, 323-339;Brandt et al., 2015ACS Chem. Biol., 10, 22-39)。JQ−1は、ベンゾジアゼピンに構造的に関連している。式は、C23H25ClN4O2Sである。
近年、BET阻害剤であるJQ1が、アデノウイルス感染及びアデノウイルスベクター媒介遺伝子送達を促進することが示されている。細胞をJQ1で処理すると、転写伸長のP−TEFbのサブユニットであるCDK9とのBRD4会合の増加が誘引される。しかしながら、論文で述べられたように、アデノウイルス感染及び導入遺伝子発現をレギュレーションするために、BED4が利用する機構を精密にするには、更なる研究が必要である(Baojie Lv et al 2018, Scientific reports, 8, 11554)。重要なこととして、ウイルス複製及びウイルス転写は調査されなかった。しかしながら、CDK9は、停止したポリメラーゼの再開を刺激し、転写中のポリメラーゼの数、このため、時間当たりのmRNA合成量を増加させることにより転写を活性化することが公知である(Gressel et al. 2017, eLife, 6, e29736)。加えて、BET阻害剤耐性は、CDK4/6阻害剤により克服することができることが示された(Jin et al. 2018, Mol Cell;71(4):592-605)。近年、細胞周期の有糸分裂後期から初期G1期までのP−TEFb−Brd4相互作用の劇的な増加及びP−TEFbの染色体への能動的なリクルート、続けて、G1進行に重要な遺伝子の転写開始が実証された。重要なこととして、Brd4の枯渇は、必須のG1遺伝子の転写を減少させることにより、プロセス全体を停止させ、G1細胞周期停止及びアポトーシスをもたらした(Yang et al., 2008, Mol Cell Biol., 28:967-976, Kohoutek, 2009, Cell Division, 4. 19)。
しかしながら、CDK4/6阻害剤及びBET阻害剤と併用して、YB−1依存性腫瘍溶解性アデノウイルスを使用することについては何も知られていない。
他のブロモドメイン阻害剤が、ウイルス、好ましくは、アデノウイルス、より好ましくは、腫瘍溶解性アデノウイルス、例えば、XVir−N−31及びCDK4/6阻害剤を使用する三重治療における使用に等しく適切であろうことが理解されるであろうし、本発明の範囲内にある。
任意のブロモドメイン(Bet)阻害剤が、治療上有効濃度で使用されることは、当業者に理解されるであろう。
本発明の実施における使用に適したブロモドメイン阻害剤は、図27に開示されている。
本明細書に記載された本発明のウイルス及び組み合わせにより特に処置することができる腫瘍は、好ましくは、神経系の腫瘍、眼の腫瘍、皮膚の腫瘍、軟組織の腫瘍、胃腸の腫瘍、呼吸器系の腫瘍、骨格の腫瘍、内分泌系の腫瘍、女性生殖器系の腫瘍、乳腺の腫瘍、男性生殖器系の腫瘍、尿排出系の腫瘍、混合腫瘍及び胚性腫瘍を含む造血系の腫瘍並びに白血病を含む群から選択されるような腫瘍である。これらの腫瘍が、特に、本明細書で特に定義されたような、耐性腫瘍であることは、本発明の範囲内にある。
神経系の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.頭蓋の腫瘍及び脳(頭蓋内)の腫瘍、好ましくは、星状細胞腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、神経節腫、上衣腫、神経鞘腫、神経線維腫、血管芽細胞腫、脂肪腫、頭蓋咽頭腫、奇形腫及び脊索腫;
2.脊髄及び脊柱管の腫瘍、好ましくは、膠芽腫、髄膜腫、神経芽腫、神経線維腫、骨肉腫、軟骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫及び多発性骨髄腫;並びに
3.末梢神経の腫瘍、好ましくは、シュワン神経膠腫、神経線維腫、神経線維肉腫及び神経周囲線維芽細胞腫。
眼の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.眼瞼の腫瘍及び眼瞼腺の腫瘍、好ましくは、腺腫、腺がん、乳頭腫、組織球腫、肥満細胞腫瘍、基底細胞腫瘍、メラノーマ、扁平上皮がん、線維腫及び線維肉腫;
2.結膜の腫瘍及び瞬膜の腫瘍、好ましくは、扁平上皮がん、血管腫、血管肉腫、腺腫、腺がん、線維肉腫、メラノーマ及び乳頭腫;並びに
3.眼窩、視神経及び眼球の腫瘍、好ましくは、網膜芽細胞腫、骨肉腫、肥満細胞腫瘍、髄膜腫、網状細胞腫瘍、グリオーマ、シュワン神経膠腫、軟骨腫、腺がん、扁平上皮がん、形質細胞腫瘍、リンパ腫、横紋筋肉腫及びメラノーマ。
皮膚の腫瘍群は、好ましくは、組織球腫、脂肪腫、線維肉腫、線維腫、肥満細胞腫瘍、悪性メラノーマ、乳頭腫、基底細胞腫瘍、ケラトアカントーマ、血管周囲細胞腫、毛嚢の腫瘍、汗腺の腫瘍、脂腺の腫瘍、血管腫、血管肉腫、脂肪腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、形質細胞腫及びリンパ管腫の腫瘍を含む。
軟組織の腫瘍群は、好ましくは、胞巣状軟部肉腫、類上皮細胞肉腫、軟組織の軟骨肉腫、軟組織の骨肉腫、軟組織のユーイング肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、線維肉腫、線維腫、平滑筋肉腫、平滑筋腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、悪性血管周囲細胞腫、血管腫、血管肉腫、悪性間葉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、悪性シュワン神経膠腫、悪性黒色細胞シュワン神経膠腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、リンパ管腫及びリンパ管肉腫の腫瘍を含む。
胃腸の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.口腔の腫瘍及び舌の腫瘍、好ましくは、扁平上皮がん、線維肉腫、メルケル細胞腫瘍、誘導性線維芽細胞腫、線維腫、線維肉腫、ウイルス性乳頭腫症、特発性乳頭腫症、鼻咽頭ポリープ、平滑筋肉腫、筋芽細胞腫及び肥満細胞腫瘍;
2.唾液腺の腫瘍、好ましくは、腺がん;
3.食道の腫瘍、好ましくは、扁平上皮がん、平滑筋肉腫、線維肉腫、骨肉腫、バレットがん及び傍食道腫瘍;
4.膵外分泌腫瘍、好ましくは、腺がん;並びに
5.胃の腫瘍、好ましくは、腺がん、平滑筋腫、平滑筋肉腫及び線維肉腫。
呼吸器系の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.鼻及び鼻腔の腫瘍、喉頭及び気管の腫瘍、好ましくは、扁平上皮がん、線維肉腫、線維腫、リンパ肉腫、リンパ腫、血管腫、血管肉腫、メラノーマ、肥満細胞腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、オンコサイトーマ(横紋筋腫)、腺がん及び筋芽細胞腫;並びに
2.肺の腫瘍、好ましくは、扁平上皮がん、線維肉腫、線維腫、リンパ肉腫、リンパ腫、血管腫、血管肉腫、メラノーマ、肥満細胞腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、オンコサイトーマ(横紋筋腫)、腺がん、筋芽細胞腫、小細胞がん、非小細胞がん、気管支腺がん、気管支肺胞腺がん及び肺胞腺がん。
骨格の腫瘍群は、好ましくは、骨肉腫、軟骨肉腫、傍骨肉腫、血管肉腫、滑膜細胞肉腫、血管肉腫、線維肉腫、悪性間葉腫、巨細胞腫、骨腫及び多小葉性骨腫を含む。
内分泌系の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.甲状腺/副甲状腺の腫瘍、好ましくは、腺腫及び腺がん;
2.副腎の腫瘍、好ましくは、腺腫、腺がん及び褐色細胞腫(副腎髄質腫);
3.視床下部/下垂体の腫瘍、好ましくは、腺腫及び腺がん;
4.内分泌膵臓の腫瘍、好ましくは、インスリノーマ(β細胞腫瘍、APUDom)及びZollinger−Ellison症候群(膵臓のデルタ細胞のガストリン分泌腫瘍);並びに
5.多発性内分泌新生物(MEN)及び化学外胚葉腫。
女性性器系腫瘍の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.卵巣の腫瘍、好ましくは、腺腫、腺がん、嚢胞腺腫及び未分化がん;
2.子宮の腫瘍、好ましくは、平滑筋腫、平滑筋肉腫、腺腫、腺がん、線維腫、線維肉腫及び脂肪腫;
3.子宮頸部の腫瘍、好ましくは、腺がん、腺腫、平滑筋肉腫及び平滑筋腫;
4.膣及び外陰部の腫瘍、好ましくは、平滑筋腫、平滑筋肉腫、線維平滑筋腫、線維腫、線維肉腫、ポリープ及び扁平上皮がん。
乳腺の腫瘍群は、好ましくは、線維腺腫、腺腫、腺がん、間葉系腫瘍、がん、がん肉腫を含む。
男性性器系の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.精巣の腫瘍、好ましくは、セミノーマ、間質細胞腫瘍及びセルトリ細胞腫瘍;
2.前立腺の腫瘍、好ましくは、腺がん、未分化がん、扁平上皮がん、平滑筋肉腫及び移行細胞がん;並びに
3.陰茎及び外陰部の腫瘍、好ましくは、肥満細胞腫瘍及び扁平上皮がん。
尿排出系の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.腎臓の腫瘍、好ましくは、腺がん、移行細胞がん(上皮性腫瘍)、線維肉腫、軟骨肉腫(間葉性腫瘍)、ウィルムス腫瘍、腎芽腫及び胎児性腎腫(胎児性多能性芽腫);
2.尿管の腫瘍、好ましくは、平滑筋腫、平滑筋肉腫、線維乳頭腫、移行細胞がん;
3.膀胱の腫瘍、好ましくは、移行細胞がん、扁平上皮がん、腺がん、ボトリオイド(胎児性横紋筋肉腫)、線維腫、線維肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、乳頭腫及び血管肉腫;並びに
4.尿道の腫瘍、好ましくは、移行細胞がん、扁平上皮がん及び平滑筋肉腫。
造血系の腫瘍群は、好ましくは、以下を含む。
1.リンパ腫、リンパ性白血病、非リンパ性白血病、骨髄増殖性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫。
混合腫瘍及び胚芽腫瘍の群は、好ましくは、血管肉腫、胸腺腫及び中皮腫を含む。
好ましくは、これらの腫瘍は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、骨肉腫、膠芽腫、メラノーマ、小細胞肺がん及び結腸直腸がんを含む群から選択される。更なる腫瘍は、本明細書に記載されるように耐性である腫瘍、好ましくは、多耐性である腫瘍、特に、上記されたような腫瘍群でもある。
また、本発明の組み合わせが投与される対象が、それぞれ特定され、スクリーニングされることも、本発明の範囲内にある。その多様な態様において本発明から利益を受けることができる患者のこのような特定は、対象のサンプルの核におけるYB−1の検出に基づく。
実施態様において、腫瘍組織の検査は、YB−1に対する抗体、YB−1に対するアプタマー及びYB−1に対するシュピーゲルマー(spiegelmer)及びYB−1に対するアンチカリンを含む群から選択される剤を使用することにより行われる。基本的に、対応するマーカーについて同じ手段を作製し、それに応じて使用することができる。抗体、特にモノクローナル抗体の製造は、当業者に公知である。YB−1又はマーカーの特異的検出のための更なる手段は、ターゲット構造、本件では、YB−1又は前記マーカーに高い親和性で結合するペプチドである。従来技術では、このようなペプチドを生成するためのファージディスプレイ等の方法が公知である。典型的には、ペプチドライブラリーを出発点とし、ここで、個々のペプチドは、8〜20個のアミノ酸長を有し、ライブラリーのサイズは、約102〜1018、好ましくは108〜1015の異なるペプチドである。ターゲット分子結合ポリペプチドの特別な形態は、いわゆるアンチカリンであり、これは、例えば、ドイツ国特許出願DE第19742706号に記載されている。
本明細書中に開示されたYB−1又は対応するマーカーの特異的結合のための、そして、細胞核におけるYB−1の細胞周期非依存性局在化の検出のための更なる手段は、いわゆる、アプタマー、すなわち、RNA又はDNAのいずれかとして、一本鎖又は二本鎖のいずれかとして存在し、ターゲット分子に特異的に結合するD−核酸である。アプタマーの生成は、例えば、欧州特許EP第0533838号に記載されている。アプタマーの特別な形態は、いわゆる、アプタザイムであり、これは、例えば、Piganeau, N. et al. (2000), Angew. Chem. Int. Ed., 39, no. 29, pages 4369 - 4373に記載されている。これらは、アプタマー部分とは別に、リボザイム部分を含み、アプタマー部分に結合するターゲット分子の結合又は放出の際に触媒活性を獲得し、核酸基質を開裂させ、この開裂がシグナル生成を伴って進行する限りにおいて、アプタマーの特別な実施態様である。
アプタマーの更なる形態は、いわゆる、シュピーゲルマー、すなわち、L−核酸で調製されるターゲット分子結合核酸である。このようなシュピーゲルマーの製造方法は、例えば、WO第98/08856号に記載されている。
腫瘍組織のサンプルは、穿刺又は手術により得ることができる。YB−1が細胞周期とは無関係に、核内に局在するかどうかの評価は、多くの場合、顕微観察技術及び/又は免疫組織分析を使用することにより、好ましくは、抗体又は他の前述の手段のいずれかを使用することにより行われる。核内においてYB−1を検出するための、特に、YB−1が細胞周期とは無関係にそこに局在することを検出するための更なる手段は、当業者に公知である。例えば、YB−1の局在化は、それらをスクリーニングする場合、染色された組織切片において容易に検出することができる。核内におけるYB−1の存在の頻度は、局在化が細胞周期とは無関係にあることを既に示している。核内におけるYB−1の細胞周期とは無関係にあることの検出のための更なる選択肢は、YB−1に対する染色及びYB−1が核内に局在するかどうかの検出並びに細胞の段階の決定にある。YB−1の検出と同様に、YB−1に対する前述の手段を使用することによっても、これを行うことができる。この手段の検出は、当業者に公知の方法により行われる。YB−1に特異的に結合し、分析されるサンプル内の任意の他の構造、特に細胞には結合しない前記剤により、それらの局在化及びYB−1へのそれらの特異的結合のために、YB−1の局在化も、該手段の適切なラベリングにより検出し、確立することができる。前記手段のラベリング方法は、当業者に公知である。
以下に、本発明を、図面及びサンプルを参照することにより更に実証するものとする。これらから、新規な特徴、実施態様及び利点を得ることができる。
図1aは、CDK4/6阻害剤LY(LY−2835219)、PD(PD−032991)又はLEE(LEE011)と組み合わせて使用された場合の、XVir−N−31(XVir)、野生型アデノウイルス(WT)及び対照(Ctrl)についての細胞生存率の指標としての相対吸光度を示す棒グラフである。図1bは、CDK4/6阻害剤LY(LY−2835219)、PD(PD−032991)又はLEE(LEE011)と組み合わせられた場合の、XVir−N−31(XVir)及び野生型アデノウイルス(WT)についてのウイルス力価を示す棒グラフである。図1cは、CDK4/6阻害剤LY(LY−2835219)、PD(PD−032991)又はLEE(LEE011)と組み合わせられた場合の、XVir−N−31(XVir)及び野生型アデノウイルス(WT)についての相対的な繊維DNAを示す棒グラフである。 図2は、ウェスタンブロット分析の結果を示す。 図3a〜dは、棒グラフである。 図4a〜dは、棒グラフである。 図5は、棒グラフである。 図6は、一連の顕微鏡写真である。 図7は、パルボシクリブ処理の有無における、GFPを発現しているE1欠失アデノウイルスに感染させたT24細胞の蛍光顕微鏡画像である。 図8は、化合物Nutlin 3a、Lee、Cl1040及びロスコビチン(Roscovertine)を使用した、48時間後のアデノウイルスdl703のウイルスDNA複製を示す棒グラフである。 図9A〜Cは、示された濃度のNutlin−3a及びLEE011(リボシクリブ)(図9A)、ロスコビチン(図9B)及びCI−1040(図9C)で処理されたUMUC細胞のウェスタンブロット解析の結果を示す。Rbは、網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。phRBは、リン酸化された網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。E2F−1は、転写因子E2F−1を意味する。GAPDHは、ローディング対照としての役割を果たした。 図9A〜Cは、示された濃度のNutlin−3a及びLEE011(リボシクリブ)(図9A)、ロスコビチン(図9B)及びCI−1040(図9C)で処理されたUMUC細胞のウェスタンブロット解析の結果を示す。Rbは、網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。phRBは、リン酸化された網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。E2F−1は、転写因子E2F−1を意味する。GAPDHは、ローディング対照としての役割を果たした。 図9A〜Cは、示された濃度のNutlin−3a及びLEE011(リボシクリブ)(図9A)、ロスコビチン(図9B)及びCI−1040(図9C)で処理されたUMUC細胞のウェスタンブロット解析の結果を示す。Rbは、網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。phRBは、リン酸化された網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。E2F−1は、転写因子E2F−1を意味する。GAPDHは、ローディング対照としての役割を果たした。 図10は、処理後48時間で測定されたUMUC3細胞における細胞周期分布を示す棒グラフである。ここで、CDK4/6阻害剤の濃度は、以下のとおりとした。ロスコビチン(Roscovetine):10μM、CI−1040:1μM、Nutlin−3a:10μM及びLEE011:10μM。 図11は、パルボシクリブ処理の有無における、アデノウイルスヘキソン遺伝子発現を示す顕微鏡画像のパネルである。 図12は、XVir−N−31単独、15nM PARP阻害剤PARPi、500nM PD(パルボシクリブ)又は15nM PARPiと500nM PDとの組み合わせに暴露させたT24細胞の効力アッセイの結果を、細胞生存率として示す棒グラフである。ここで、細胞は、感染させなかったか(左欄)、10MOIで感染させたか(中央欄)又は50MOIで感染させたか(右欄)のいずれかとした。 図13は、XVir−N−31(20MOI)、XVir−N−31及び15nM PARPi、XVir−N−31及び500nM PD並びにXVir−N−31、15nM PARPi及び500nM PDでの処理後(1dpi、2dpi、3dpi、4dpi、5dpi及び6dpi)のSRB染色T24細胞の培養物を示す写真のパネルである。 図14は、XVir−N−31(10MOI)、XVir−N−31及び160nM PARPi、XVir−N−31及び400nM PD並びにXVir−N−31、160nM PARPi及び400nM PDでの処理後(1dpi、2dpi、3dpi、4dpi、5dpi及び6dpi)のSRB染色UMUC細胞の培養物を示す写真のパネルである。 図15は、XVir−N−31、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ及びブロモドメイン阻害剤であるJQ−1での感染後5日目のT24細胞に対する効力アッセイの結果を示す棒グラフである。Y軸:% 細胞生存。 図16は、XVir−N−31単独、200nM アベマシクリブ、500nM JQ1又は200nM アベマシクリブと500nM JQ1との組み合わせと共に曝露させた後5日目のSK−N−MC細胞の効力アッセイの結果を、細胞生存率として示す棒グラフである。ここで、細胞を感染させなかったか又は5、10又は20MOIで感染させたかのいずれかとした。 図17は、示された濃度のCDK4/6阻害剤LY−2835219(アベマシクリブ)及びWee阻害剤MK−1775(アダボセルチブ)で処理されたSK−N−MC細胞の、処理後24時間及び48時間でのウェスタンブロット分析の結果を示す。Rbは、網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。phRBは、リン酸化された網膜芽細胞腫タンパク質を意味する。E2F−1は、転写因子E2F−1を意味する。GAPDHは、ローディング対照としての役割を果たした。 図18は、XVir−N−31、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブ及びアダボセルチブ(Wee阻害剤、MK−1775)での感染後5日目のSK−N−MC細胞に対する効力アッセイの結果を示す。細胞生存率として表現。 図19は、SK−N−MC細胞を示された阻害剤で処理した後の細胞周期分布を示す。 図20は、種々の細胞株におけるE2F1発現に対するE2F1指向性siRNAの影響を示す棒グラフである。Y軸:% siCTRLトランスフェクション細胞としてのアクチンに対して正規化されたE2F1発現。 図21は、E2F1阻害により、siRNA−E2F−1で処理されたT24細胞において、E2−初期発現が増加することを示す棒グラフである。Y軸:アクチンに対して正規化されたアデノウイルス遺伝子発現(% siCTRL)。 図22は、アデノウイルスE2初期発現を決定するためのプライマーの位置を示すスキームである。 図23は、アデノウイルスの野生型E2初期プロモーター(上側)及びE2F結合部位に突然変異を有する突然変異型E2初期プロモーター(下側)のヌクレオチド配列の表示である。 図24は、感染後24時間でRT−qPCRにより得られたAdWT−RGD及びAdE2Fm(繊維中にRGDモチーフ(motive)も含有する)感染T24細胞におけるRNA発現を示す棒グラフである。AD−WT遺伝子発現を100%に設定した。 図25は、本発明での使用に適した種々のCDK4/6阻害剤を示す。 図25は、本発明での使用に適した種々のCDK4/6阻害剤を示す。 図26は、本発明での使用に適した種々のPARP阻害剤を示す。 図27は、本発明での使用に適した種々のBet阻害剤を示す。 図27は、本発明での使用に適した種々のBet阻害剤を示す。 図27は、本発明での使用に適した種々のBet阻害剤を示す。 図28は、WT−Ad5及びE1A遺伝子のCR3ドメインの欠失によりE1A12タンパクのみを発現している腫瘍溶解性アデノウイルスであるアデノウイルスdl520の構造を示す。 図29は、E1B19Kタンパクの欠失、E3領域における2kbの欠失、E1A13Sタンパクの欠失、繊維タンパクへのRGDモチーフの導入を特徴とする、XVir−N−31の構造を示す。 図30は、Kleijn et al.(Kleijn et al., PLoS One. 2014; 9(5): e97495)にも記載されており、E1A遺伝子のCR2ドメインの欠失を特徴とするAd−デルタ24及びAd−デルタ24−RGDの構造を示す。それらは、デレギュレーションされた網膜芽細胞腫−経路(Rb)を有する腫瘍細胞においてのみ複製する。Ad−デルタ24−RGDは、さらに、XVir−N−31において示されるように、繊維ノブにRGDモチーフを含有する。腫瘍溶解性アデノウイルスdl922−947は、デルタ24と類似していることに留意されたい。このウイルスにおける欠失もE1A−CR2ドメインに位置し、RB結合(網膜芽細胞腫タンパク質)に影響を及ぼすためである。 図31は、RB経路を欠いた腫瘍で複製するように特異的に操作されている複製能を有するアデノウイルスであるVCN−01の構造が修飾された繊維による感染能の増強を表わし、可溶性ヒアルロニダーゼの発現による分布の改善を表わすことを示す(Pascual-Pasto et al. Sci Transl Med. 2019,11 476)。VCN−01のE1Aにおける欠失は、デルタ24における欠失(E1AにおけるCR2ドメインの欠失)と類似している。さらに、このE1Aタンパク質の発現は、E1AプロモーターにE2F結合部位を導入することによりレギュレーションされる。加えて、それは、繊維ノブにRGDモチーフを含有し、可溶性ヒアルロニダーゼを発現する(Martinez-Velez et al. 2016, Clin Cancer Res. 1;22(9):2217-25. The Oncolytic Adenovirus VCN-01 as Therapeutic Approach Against Pediatric Osteosarcoma)。 図32は、E1Adl1107及びE1Adl1101の構造を示す。ここで、これら2つの腫瘍溶解性アデノウイルスの欠失は、p300(p300 HAT又はE1A関連タンパク質p300としても公知のヒストンアセチルトランスフェラーゼp300)又はpRb(網膜芽細胞腫タンパク質)への結合に影響を及ぼす(Howe et al., MOLECULAR THERAPY 2000, 2, 485-495)。 図33は、腫瘍溶解性アデノウイルスCB016(及び野生型アデノウイルス5(WT−Ad5)のうちの1つ)の構造を示す。ここで、E1A−CR2ドメインにおける欠失は、Ad−デルタ24におけるのと類似している。加えて、CB016は、CR1ドメインにおける欠失を含有する。加えて、CB016は、繊維にRGDモチーフ又は血清型3由来の繊維のいずれかを含有する(LaRocca et al., Oral Oncol. 2016, 56, 25-31)。 図34は、E1A CR2−ドメインにおけるE1AΔ24欠失、E3/19Kタンパク質における効力増強T1突然変異及び感染性増強繊維RGD修飾(Dong et al., Hum Gene Ther. 2014 Oct 1; 25(10): 897-904)を含有するアデノウイルスORCA−010の構造を示す。
実施例1:材料及び方法
細胞培養
ヒト膀胱がん細胞株を、10% FBS(Biochrom AG)及び1% NEA(Biochrom AG)を補充したRPMI又はDMEM培地(Biochrom AG)中において、それぞれ5%又は10% CO2でサブコンフルエントな条件下で培養した。細胞株及び実験条件に応じて、0.2〜1×106、0.5〜1×105、0.25〜0.5×105及び500〜700個 細胞をそれぞれ10cmあたりに、6ウェル、12ウェル及び96ウェルフォーマットに播種した。
細胞株
HeLaP
HeLaP細胞(ATCC CCL−2)は、患者Henrietta Lacksにちなんで命名された子宮頚部腺がん由来の上皮細胞である。この細胞株は、最も広く分布し、最も古い細胞株である(Rahbari et al., 2009)。1951年に確立された最初の永久細胞株であったためである(Gey et al., 1952)。培養は、37℃、10% CO2条件下でDMEM(10% FBS、1% PS)中で行った。
HeLaRDB
HeLaRDBは、HeLaP細胞株の亜細胞株であり、糖タンパク質Pの過剰発現に基づいて、ダウノブラスチンに対する耐性を有する。このアントラサイクリンを含有する培地での培養により耐性が達成された。この細胞増殖抑制剤は、二本鎖DNA配列に介在し、細胞の転写と複製を阻害する(Mizuno et al., 1975)。ダウノブラスチン処理により引き起こされるストレス反応の結果として、細胞因子YB−1は、親細胞株と比較して、より高い核局在化を示す(Holm et al., 2004)。ダウノブラスチンに対する耐性を維持するために、細胞を、0.25μg/ml ダウノブラスチンを含有するDMEM(10% FBS、1% PS)中において、10% CO2条件下、37℃で14日毎に培養した。
A549
A549細胞(ATCC CCL−185)は、1972年にヒト肺胞基底の腺がんから単離された(Giard et al., 1973)。培養を37℃及び10% CO2で、Dulbecco’s MEM(10% FBS及び1% PS)中において行った。
T24
T24細胞(ATCC HTB−4)は、1970年に原発性ヒト膀胱がんから得られた(Bubenik, Baresova et al., 1973)。HRAS遺伝子における点突然変異により(Reddy et al., 1982)、MAPK及びPI3K経路が活性化されている。さらに、この細胞株には、腫瘍サプレッサー遺伝子p53の遺伝子座における更なる突然変異が存在する(Pinto-Leite et al., 2014)。細胞を、10% FCS、1% PS及び1% 非必須アミノ酸を含有するRPMIにより、37℃、5% CO2条件下で培養した。
HEK293
HEK293細胞(ATCC CRL−1573)は、1973年に単離されたヒト胚性腎細胞である。全E1領域を含むアデノウイルス血清型5のゲノムの4.5kbサイズ部分の安定したトランスフェクションのために(Graham and Smiley, 1977)、この細胞株は、E1欠損アデノウイルスの産生及びウイルス力価の測定に使用される。
表1:プライマー
名称 フォワードプライマー リバースプライマー
企業名
繊維
Eurofins AAGCTAGCCCTGCAAACATCA CCCAAGCTACCAGTGGCAGTA
E2初期
Invitrogen
CCGTCATCTCTACAGCCCAT GGGCTTTGTCAGAGTCTTGC
E2後期
Invitrogen CTTCCTAGCGACTTTGTGCC GTCAGAGTGGTAGGCAAGGT
E1A12S
Metabion CGACGAGGATGAAGTCCTGTGTCTG CTCAGGATAGCAGGCGCCAT
E1A12Sショート
Metabion GAGGATGAAGTCCTGTGT CTCAGGATAGCAGGCGCCAT
E1A13S
Metabion TGTTTGTCTACAGTCCTGTGTCTG CTCAGGATAGCAGGCGCCAT
E1A13Sショート
Metabion TTGTCTACAGTCCTGTGT CTCAGGATAGCAGGCGCCAT
E4orf6
Metabion TCCCTCCCAACACACAGAGT GACAGGAAACCGTGTGGAAT
Rb
Life Techno. AGCAACCCTCCTAAACCACT TGTTTGAGGTATCCATGCTATCA
E2F1
Life Technology ACGCTATGAGACCTCACTGAA TCCTGGGTCAACCCCTCAAG
E2F2
Life Technology CGTCCCTGAGTTCCCAACC GCGAAGTGTCATACCGAGTCTT
GAPDH
MWG TGGCATGGACTGTGGTCATGAG ACTGGCGTCTTCACCACCATGG
アクチン
Eurofins TAAGTAGGTGCACAGTAGGTCTGA AAAGTGCAAAGAACACGGCTAAG
L4 33K
Eurofins GAACCAGGGCCGCCCATACTG GGGCTTTGTCAGAGTCTTGC
L4 22K
Eurofins CCGTTAGCCCAAGAGCAAC CGGCCGTGATGGTAGAGAAG
L4HexAss
Eurofins CTGTGGTACTTCCCAGAGAC CAGGTGAGTTATACCCTGCC
ウイルス 特性
Ad−WT+AdWT−RGD 野生型マストアデノウイルス、C型、血清型5及びADWT及び更なるRGD繊維モチーフ
AdWT−E2Fmut. マストアデノウイルス、C型、血清型5、E2初期プロモーターの両E2F結合部位における突然変異、追加のRGD繊維モチーフ及びE3領域における2,7kbサイズの欠失(ΔE3)
XVir−N−31 マストアデノウイルス、C型、血清型5、E1B領域(1.716〜1915、200bp)における欠失、E3領域(28.132〜30.813)における欠失及びE1A領域における12塩基欠失を伴う。核YB−1発現のみを表わすがん細胞中で複製する。
XVir−N−31/E2FM マストアデノウイルス、C型、血清型5
E1B領域(1.716〜1915、200bp)における欠失、E3領域(28.132〜30.813)における欠失及びE1A領域における12塩基欠失を伴う。核YB−1発現のみを表わすがん細胞中で複製する。E2初期プロモーターの両E2F結合部位における突然変異、追加のRGD繊維モチーフ及びE3領域における2,7kbサイズの欠失(ΔE3)
ターゲット遺伝子 siRNA構築物 製造メーカー
対照 対照(非sil.)siRNA、20μM Qiagen、the Netherlands
E2F−1 E2F−1(SASI_Hs01_00162220)、10μM Sigma, Merck、Germany
YB−1 YBX1 siRNA FlexiTube、10μM Qiagen、the Netherlands
方法
siRNAトランスフェクション
特定の遺伝子のダウンレギュレーションを、siRNAトランスフェクションを使用して行った。ここで、リポフェクタミンRNAiMAX(Thermo Fischer)試薬 5μlを一方のチューブ中のOpti-MEM 150μlに加え、36pmol siRNAを他方のチューブ中のOpti-MEM 150μlと合わせた。両チューブの内容物を合わせ、軽くボルテックスした後、この溶液を室温で5分間インキュベーションした。ついで、siRNA−脂質複合体 250μlを前日に6ウェルプレートに播種された250.000〜1.000.000個 細胞に、培地を変えずに加え、ウェル当たり30pmolのsiRNAの最終濃度に達した。37℃、10% CO2で48時間インキュベーションした後、感染又は溶解が起こった。
siRNAと組み合わせたRNA定量
ウイルスをsiRNAトランスフェクションと組み合わせた細胞中のRNAも定量した。ここで、125.000個 細胞を播種し、翌日、30pmol 対照−、YB−1−、及びE2F1−siRNAのsiRNA構築物でトランスフェクションした。48時間のインキュベーション後、感染が起こり、感染後24時間で溶解が起こった。ライゼートを−20℃で保存した。
RNA単離
細胞をPBSですすぎ、溶解バッファー(mirVana miRNA単離キット、Life Technologies)で溶解し、1.5mlの反応チューブに移した。ホモジネート添加剤(mirVana miRNA単離キット、Life Technologies) 50μlをこのライゼートに加え、再懸濁させ、氷上で10分間インキュベーションした。酸−フェノール−クロロホルム 500μlを加え、約30秒間ボルテックスし、氷上で2分間インキュベーションした。室温で14.000g、5分間遠心分離した後、水相と有機相とを分離する。上側の水相を新たなスナップキャップに移し、等量のイソプロパノールと合わせ、転倒混和した。室温で10分間インキュベーションした後、サンプルを4℃及び14.000gで30分間遠心分離した。続けて、上清を除去し、RNAペレットを75% エタノール 1mlで洗浄した。サンプルを7500g、4℃で5分間軽く遠心分離した。上清を除去した後、風乾させたペレットを、ヌクレアーゼを含まない水 20μlに溶解させ、サーモミキサー中において、55℃及び500rpmで10分間インキュベーションした。続けて、RNA濃度を分光光度測定により測定した。DNAのrutの増幅を避けるために、DNAse消化を行った。ここで、デオキシリボヌクレアーゼI,増幅グレードキット(Invitrogen、life technologies製)を使用した。1μg RNAに、10×DNAse I反応バッファー 1μl及びDNAse I 1μlを加え、DEPC処理水で10μlの最終容量まで満たし、室温で正確に15分間インキュベーションする。25mM EDTA溶液 1μlを加えることにより、DNase Iを不活性化し、それにより、DNAse消化の進行を停止させる。サンプルを65℃で10分間インキュベーションし、ついで、逆転写に使用した。
逆転写
RNAをcDNAに書き換えるために、高性能cDNA逆転写キット(Thermo Scientific)を使用した。2μg DNA消化サンプルのRNAを、PCRソフトチューブ中の転写バッファー、100mM dNTP及びRNAse阻害剤を含有するMastermixに加えた。ここで、E2初期プロモーター及びE2後期プロモーターを介して転写されるRNAは、通常、逆転写に使用されるランダムプライマーでは書き換えることができないと考えなければならなかった。これらのランダムプライマーは、二本鎖アデノウイルスゲノムの両鎖に結合するであろうためである。したがって、E2初期定量及びE2後期定量に使用されたサンプルについてのRNAからcDNAへの書き換えを、特異的E2初期リバースプライマー(表1)を使用することにより行った。結果を正規化するのに使用されたハウスキーピング遺伝子であるアクチンについては、ランダムプライマーを使用した。
DNA複製分析
感染細胞内でのウイルス複製を調査するために、DNA複製分析を行った。125.000個 細胞を6ウェルプレートに播種し、10〜20MOIで感染させた。感染後それぞれ2、8、12、24、36及び48時間後、溶解を行った。ここで、培地を除去し、接着細胞をPBS 1mlで洗浄した。DNA溶解バッファー 200μlを加えた後、接着細胞を、細胞スクレーパーを使用してプレートから掻き取った。ついで、ライゼートをスナップキャップに移した。酵素プロテイナーゼK 3μlを加え、サーモミキサーにおいて、56℃及び550rpmで一晩インキュベーションした。翌日、DNA分離を行った。
DNA単離
DNA精製のために、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール 200μlをライゼートに加えた。ボルテックスし、続けて、氷上で5分間インキュベーションした後、相分離を4℃、16430gで3分間遠心分離することにより達成した。上側の水相を、相のより良好な可視化のために、10mM TrisCl中のクロロホルム 200μl及びクレゾールレッド 20μlを含有する新たなスナップキャップに移した。ボルテックスし、氷上で5分間インキュベーションした後、4℃、16430gで3分間遠心分離を行った。再度、上側の水相をエタノール 800μl及び3M 酢酸ナトリウム溶液 50μlと合わせた。より良好な沈殿を達成するために、グリコーゲン 2μlを加えた。チューブを短く転倒混和させた後、この溶液を4℃、16430gで30分間遠心分離した。続けて、DNAペレットを70% エタノール 400μlで覆い、室温で10分間インキュベーションした。室温、4760gで7分間遠心分離した後、DNAペレットを37℃で約5〜10分間乾燥させた。続けて、このペレットを0,1×TEバッファー 100μlに溶解させ、40℃、400rpmで約3時間振とうした。DNAが完全に溶解したら、DNA濃度を、測定用DNA溶液 2μ及びブランク溶液としての0,1×TEバッファーを使用する分光光度計により測定した。ついで、DNAを4℃で保存した。
qPCR
更なる定量のために、リアルタイム定量PCRを使用した。テンプレートDNA又はcDNA 5μlそれぞれを、10ng/μlの最終濃度で使用した。qPCRを、Mastermix GoTaq PCR(Promega Corporation)(Mastermix 7.5μl、プライマー 1.5μl、H2O 1μl) 10μl及びDNAテンプレート 5μlを使用して、ダプリケートでピペットされた96ウェルプレートで行った。相対的定量を、2つの正規化遺伝子を用いた比較CT法を使用して行った。プレートをホイルで閉じ、室温、220gで2分間遠心分離した。ついで、プレートをサーマルサイクラーでの特定の温度−時間プログラムに従ってインキュベーションした。使用されたプライマーを表1に列記する。反応をCFX96リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad Laboratories)で行った。
qPCRサイクル条件
繊維:94℃で2分間、94℃で15秒間、60℃で15秒間及び72℃で15秒間、45サイクル
他のウイルス遺伝子:94℃で1.5分間、94℃で15秒間、58℃で15秒間及び72℃で15秒間、45サイクル
Rb:94℃で2分間、94℃で15秒間、60℃で30秒間及び72℃で1分間、44サイクル
E2F:95℃で2分間、95℃で15秒間、60℃で30秒間及び72℃で30秒間、40サイクル
タンパク質単離
細胞を、1% SDSバッファーを使用して溶解し、核膜の破壊を達成した。タンパク質の変性を避けるために、全プロセスを氷上で行った。培地を吸引した後、細胞を冷PBSで2回洗浄した。ダプリケートのアプローチの1つのウェルの接着細胞を、1% SDSバッファー 200μlで溶解し、細胞スクレーパーにより掻き取った。ついで、ライゼートをダプリケートのアプローチの他のウェルに移し、再度掻き取った。ついで、両ウェルのライゼートを合わせて、スナップキャップチューブに移した。続けて、ライゼートをシリンジで処理して、粘性DNAを破壊し、4℃、31000rpmで30分間遠心分離した。タンパク質が上清中に存在するため、上清を新たなスナップキャップチューブに移し、更なる工程に使用した。
タンパク質定量
タンパク質の量を定量するために、Pierce TM BCAタンパク質キットによるビシンコニン酸(BCA)アッセイを行った。ここで、BCA溶液A+B(50:1) 112.5μl及びサンプル 12.5μlを96ウェルプレートの1つのウェルに加え、37℃で30分間インキュベーションした。タンパク質濃度に応じて、溶液の染色が生じた。既知のタンパク質濃度を有する標準系列により、サンプルのタンパク質濃度をマイクロプレートリーダーにおける562nmでの測光測定により決定した。
SDSゲル電気泳動
後続のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動においてタンパク質を分離するために、計算量のライゼート及び溶解バッファーをローディングバッファー−DDT−混合物(6:1) 15μlと混合した。ついで、タンパク質ロード物質を100℃で5分間加熱した。色タンパク質標準 5μl及びサンプル 40μlをゲル上にロードした。ウイルスタンパク質の検出についてのタンパク質分離のために、10% ゲルを使用した。siRNAによるダウンレギュレートされた遺伝子を研究するために、12% ゲルを使用した。分離ゲル及びスタッキングゲルの組成をバッファー及び溶液のセクションに列記する。約20分間、ゲルをTGS−バッファー中、90Vで泳動させて、全てのタンパク質を1つのバンドに集めた。続けて、ゲルをTGS−バッファー中、150Vで約60分間泳動させて、タンパク質をサイズにより分離した。
ウェスタンブロット
タンパク質をゲルからメンブランに転写するために、ウェスタンブロット技術を使用してブロットした。疎水性PVDF膜を活性化するために、メタノール中で約2分間インキュベーションした。続けて、メンブランをスポンジ、ろ紙及びゲルと共にブロッティングバッファー中において堆積させた。4℃、100Vでの約2時間の電気泳動により、タンパク質をブロッティングバッファー中でメンブランに移した。非特異的な抗体結合を避けるために、メンブランを、細胞タンパク質をそれぞれ分析するために、TBST中の5% 粉乳 10ml中で、その後のウイルスタンパク質を検出する抗体の使用のために、5% BSA−TBST 5ml中でそれぞれ、室温で1時間回転させることでブロッキングした。メンブランをそれぞれ5分間TBST中で5回洗浄した後、メンブランを一次抗体溶液と共に4℃で一晩回転させながらインキュベーションした。抗体GAPDH、E1A、E1B55K、E2A及びE4orf6については、この工程を室温で1時間行った。ここで、抗体を、0.02% アジ化ナトリウムを含むTBST中の5% BSAに、異なる係数で希釈した。更なる5回の洗浄工程後、メンブランを二次抗体の1:10.000希釈中、室温で30分間回転させてインキュベーションした。ウイルス抗体に対する二次抗体(抗マウス)を5% BSA−TBST中に希釈し、他の全ての抗体をTBST中の5%粉乳中に希釈した。これらの二次抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしている。5回の最後の洗浄工程後、ペルオキシダーゼのシグナルを可視化するために、メンブランをEnhanced-Chemi-Luminescence(ECL)溶液中で5分間インキュベーションした。一次抗体DP−1及びE2F−1と共にインキュベーションされたメンブランについては、GE−Healthcare製のAmersham ECL Primeウェスタンブロット検出試薬を使用して、より明るいシグナルを達成した。他の全てについては、研究室において調製されたECL溶液を使用した。使用直前に1:1で混合されたECL A及びECL Bの組成を、バッファー及び溶液のセクションに列記する。最後に、フィルム上にシグナルを呈することによりタンパク質を検出することができた。
抗体:
チェックポイントキナーゼ1(sc−377231、Santa Cruz Biotechnology)
総RB(554136、BD Biosciences)
ホスホRB Ser780(8180、Cell Signaling Technology)
E2F1(sc−251、Santa Cruz Biotechnology)
E2F2(ab138515、abcam)
E2F3(PG37、Thermo FisherScientific)
E2F4(WUF10、Thermo FisherScientific)
E2F5(sc−999、Santa Cruz Biotechnology)
サイクリンD1(92G2、Cell Signaling Technology)
サイクリンE2(4132、Cell Signaling Technology)
CDK2(78B2、Cell Signaling Technology)
GAPDH(14C10、Cell Signaling Technology)
アクチン(A2066、Sigma-Aldrich Chemie GmbH)
E1A(sc−25、Santa Cruz Biotechnology)
E1B55k(M. Dobbelsteinが親切に提供)
E4orf6(M. Dobbelsteinが親切に提供)
E2A(DBP、M. Dobbelsteinが親切に提供)
ヘキソン(ABIN2686029、Antibodies online)
低分子阻害剤処理
PD−0332991 イセチオナート(パルボシクリブ、Sigma-Aldrich Chemie GmbH)及びLY−2835219(アベマシクリブ、Selleck Chemicals)を10mM ストック溶液として滅菌水中に溶解させた。LEE011(リボシクリブ、MedChem Express)及びNutlin−3a(Sigma)をそれぞれ、10mM及び5μM ストック溶液としてDMSO中に溶解させた。作業濃度を直ちに使用するために新鮮に調製した。
ウイルス感染及び併用処理
ウイルス誘引細胞死の決定のために、細胞を12ウェルプレートに播種した。PD−033299、LY−2835219及びLEE011との併用処理のために、細胞を阻害剤で24時間前処理した。この細胞を、FBSを含まない培地 200〜400μl中において、示されたMOIで示されたウイルスに感染させた。低分子阻害剤を1hpiで含むか又は含まない完全培地を細胞に加えた。
細胞生存(SRBアッセイ)
細胞を10% TCAにより、4℃で1時間固定し、1% 酢酸中の0.5% スルホローダミンB(SRB、Sigma-Aldrich Chemie GmbH)により、RTで30分間染色し、続けて、1% 酢酸で洗浄して、過剰のSRBを除去した。乾燥SRBを10mM Trisバッファー中に溶解させ、定量を590nmでの測光測定により行った。
力価試験
感染性ウイルス粒子産生の決定のために、感染細胞及び上清を、細胞スクレーパーを使用して3dpiで回収した。ウイルスを、複数サイクルの凍結融解、続けて、1600rcfでの遠心分離により、インタクトな細胞から放出させた。細胞ライゼートの上清をAdEasyウイルス力価キットの取扱説明書(972500)に記載されているように、Hek293細胞を使用してウイルス粒子産生について試験した。下記試薬を使用した:ヤギ抗ヘキソン抗体(1056、Chemicon)、ウサギ抗ヤギ抗体(P0449、Dako)、DAB溶液(Dako)。
実施例2:E1マイナスアデノウイルスの複製に対するCDK4/6阻害剤PD0332991の効果
E1欠失アデノウイルスは、非常に低い効力ではあるが、がん細胞において複製することが示された。T24細胞を、100MOI 緑色蛍光タンパク質を発現するE1マイナスアデノウイルス(Ad−GFP)に感染させ、感染の1日前及びインキュベーション時間中に500nM PD0332991で処理した。このような条件下で、GFP発現の増加が観察されたため、E1A非依存性ウイルス複製及びアデノウイルスE2初期プロモーターの活性化により媒介される遺伝子発現が示された。
実施例3:野生型アデノウイルス又はXVir−N−31と種々のCDK4/6阻害剤との併用
E2初期突然変異アデノウイルスAd−WT/E2M及びAd−GFPをPD0332991と組み合わせて使用した結果に基づいて、実験を、種々のCDK4/6阻害剤を野生型アデノウイルスAd−WT又はXVir−N−31のいずれかと組み合わせて使用して行った。これらの薬剤は、細胞をG1期で停止させるため、全ての阻害剤が、ウイルス複製を支持することができたことが見出されたのは驚くべきことであった。
さらに、3つの臨床的に進行しているCDK4/6阻害剤PD−033299、LY−2835219及びLEE011による細胞の処理により、細胞の生存性、ウイルス複製及びウイルス力価産生に対する感染に影響を及ぼし得るかどうかを検討した。
処理に際して、3つの阻害剤は全て、RBの発現及びリン酸化レベルに対して類似の効果を表わす。これは、以前から多数の刊行物に記載されている。24時間でのほぼ完全な脱リン酸化後及び総タンパク質のダウンレギュレーション後にも、リン酸化レベルは、経時的に部分的に回復する。CDK2レベルは、処理時にアップレギュレーションされ、サイクリンD2及びサイクリンE2レベルはダウンレギュレーションされた。
実施例4:CDK4/6阻害剤と腫瘍溶解性アデノウイルスとの組み合わせにより生じる相乗効果
CDK4/6阻害剤PD−033299、LY−2835219及びLEE011を細胞のアデノウイルス感染と組み合わせた。細胞の感染は、処理後24時間に行った。ターゲット分子に対する下流の影響は、処理後8〜24時間の間にしか検出できないためである。
結果を図1に示す。
CDK4/6阻害剤により、細胞生存性、ウイルス複製及びウイルス力価に対して相乗効果が誘引された。(a)細胞を3つのCDK4/6阻害剤PD−033299、LY−2835219及びLEE011で24時間前処理し、XVir−N−31(Moi60)又は野生型アデノウイルス(Moi80)に感染させた。感染後の4日で、細胞生存をSRBアッセイにより測定した。グラフは、最低3つの独立した実験の平均を示す。(b)感染後3日で、ライゼートを細胞から調製し、力価試験をHEK293細胞について行った。ウイルス力価は、対照に対する倍 変化として示す。(c)DNAを感染細胞から4、24、36及び48hpiで抽出し、線維cDNAに対するqPCRを使用することによりウイルス複製について分析した。値を4hpiでのGAPDHに対して正規化する。グラフは、少なくとも2つの独立した実験の代表を示す。エラーバーは、標準誤差を表わす。
図1から明らかなように、3つ全てのCDK4/6阻害剤は、細胞溶解(図1a)、細胞内での複製(図18)及びウイルス粒子の形成(図1b)を劇的に支持した。
実施例5:選択されたウイルスタンパク発現レベルに対するCDK4/6阻害剤パルボシクリブ(PD−033299)の効果
これらの効果をより詳細に分析するために、選択されたウイルスタンパク質の発現レベルを処理された細胞又は処理されていない細胞において決定した。この実験のために、阻害剤パルボシクリブ(PD−033299)を代表的なCDK4/6阻害剤として使用した。細胞を15MOIで感染させた。500nMでのPD処理を、感染24時間及びタンパク質単離を行うまで行った。12、24及び36時間後、タンパク質単離を、1% SDSバッファーを使用して行った。アクチンをポジティブ対照として含めた。ローディング対照は、全ての系統において同じタンパク質レベルの細胞アクチンを示すため、系統間の適切な比較が保証される。hpi:感染後時間。
結果を図2に示す。図2は、CDK4/6阻害剤PD0332991(PD)と組み合わせたAd−WT及びXVir−N−31感染T24細胞のウイルスタンパク質発現の結果を示す。本実験で調査されたウイルスタンパク質(E1A、E1B−55k、DBP(E2A)及びヘキソン)は全て、CDK4/6阻害剤PD−0332991で処理された細胞では、アデノウイルス野生型ウイルスと比較して、より高いレベルで発現していた。この効果は、E1Aについては12hpi、他のタンパク質については24hpiという早い時期に観察することができた。
実施例6:CDK4/6阻害剤により媒介される効果の特異性
実施例5に従うCDK4/6阻害剤のクラスは、RBの発現を必要とする。したがって、3つのRB陽性及び2つのRBマイナス膀胱がん由来細胞株を使用し、これらの細胞を併用療法で処理した。細胞株をIC50濃度のPD−0332991(T24:500nM、RT112:2000nM、253J:100nM)で24時間前処理し、XVir−N−31(T24 MOI50、253J MOI25、RT112 MOI450)に感染させた。値は、少なくとも2つの独立した実験の平均である。エラーバーは、標準誤差を示す。4dpiで、細胞生存を、SRBアッセイ(a、c)を使用して測定した。(b、d)細胞ライゼートを3dpiで調製し、力価試験をHek293細胞について行った。ウイルス力価は、対照に対する倍 変化として示す。
結果を図3に示す。
図3から明らかなように、RB陽性の細胞株のみが、細胞増殖及び細胞生存それぞれの顕著な低下を示した(図3a、c)。また、ウイルス粒子の形成は、PD−0332991処理時にRB陽性細胞株においてのみ増加した(図3b、d)。
実施例7:CDK4/6阻害剤PD−0332991とXVir−N−31との併用処理の効果
RB陽性細胞株におけるウイルス複製に対するPD−0332991の効果を調査するため、繊維DNAコピーの相対定量を、qPCRを使用して行った。膀胱がん細胞株を24時間前処理し、XVir−N−31(T24 MOI40、UMUC3及び253J MOI20、RT112 MOI400)に感染させた。DNAを24〜48hpiで抽出し、qPCRを使用してウイルス繊維について分析した。値をGAPDHに対して正規化する。データは、少なくとも2つの独立した実験の代表である。エラーバーS.D。
結果を図4に示す。
図4から分かるように、CDK4/6阻害剤PD−0332991とXVir−N−31との併用処理により、ウイルス複製が劇的に増大する。
実施例8:CDK4/6阻害剤の時間動特性
RBの脱リン酸化及び分解に対するCDK4/6阻害剤の時間動特性は、細胞の処理後約10時間である。また、上記示された結果から、RB下流ターゲットの経時的で部分的な回復が示された(図1)。この観察は、CDK4/6阻害剤の時間動特性及びウイルス誘引細胞死に対する効果が実施例7に例示されたように、この併用療法の重要なパラメータであることを意味する。併用療法の適用のために、細胞の前処理のための異なる時点を試験した。それに従って、細胞を感染前(感染前日/時間、dai/hai)又は感染後1時間のいずれかで処理し、細胞増殖を、SRBアッセイを使用して測定した。エラーバーは、S.E.を表わし、値は、3つの独立した実験の平均である。
結果を図5に示す。
図5から明らかなように、並行処理は、細胞死の増加に既に十分であった。
実施例9:種々のアデノウイルスとCDK4/6阻害剤PD0332991との併用処理
本実施例を、細胞殺傷のために、種々の腫瘍溶解性アデノウイルスをCDK4/6阻害剤、例えば、PD0332991と共に使用することができ、ウイルス複製及び細胞殺傷における観察された増加がXVir−N−31に限定されなかったという実験的証拠を提供するために行った。それに従い、以下のように、Ad−デルタ24及びOnyx−015によるT24がん細胞:T24膀胱がん細胞を、20MOI 示された腫瘍溶解性アデノウイルスに感染させた。500nM CDK4/6阻害剤PD0332991での処理を感染の1日前及び感染後4日間行った。感染から4日後に撮影した。細胞変性効果(CPE)の発生は、ウイルス複製と細胞殺傷を示す。
結果を図6に示す。
図6から分かるように、RBリン酸化を減少させるCDK4/6阻害剤の代表例としてのCDK4/6阻害剤PD0332991により、他の腫瘍溶解性アデノウイルス、例えば、Ad−デルタ24及びOnyx−015と組み合わせた場合、細胞殺傷が増加した。
実施例10:パルボシクリブと組み合わせたGFPを発現するリコンビナントE1欠失アデノウイルス(Ad−マイナス/GFP)をT24細胞に感染させると、GFP発現が増大する
100.000個 T24細胞/ウェルを6ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するRPMI培地中において、5% CO、37℃で増殖させた。T24細胞を、感染の24時間前及び再度感染後1時間で、500nM パルボシクリブで処理した。GFPを発現するE1欠失アデノウイルス(Ad−マイナス/GFP)の感染を、血清を含まない培地 400μl中で行った。10倍の倍率の蛍光顕微鏡を使用して、感染後48時間で写真を撮った。
パルボシクリブ処理の有無によるGFP発現の蛍光顕微鏡分析の結果を図7に示す。
結果から、T24細胞をパルボシクリブで処理することにより、パルボシクリブによって誘引されるウイルスDNA複製により媒介されるGFP発現が強く増大したことが示される。
実施例11:種々の細胞周期阻害剤で処理されたUMUC細胞におけるE1Aとは無関係のウイルス複製
異なる処理条件下でのdl703(Mantwill et al.2013, Journal of Translational Medicine, 11, 216)の複製の差異を調査するため、DNA複製分析を行った。100.000個 UMUC細胞を6ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するDMEM培地中において、5% CO条件下、37℃で増殖させた。播種後24時間で、細胞を10μM Lee(リボシクリブ)、1μM CI−1040、10μM Nutlin−3a及び10μM ロスコビチンで24時間処理し、感染後、適切な量の阻害剤を培地に再度加えた。50MOI dl703(マストアデノウイルス、C型、血清型5、E1領域に3.2kbサイズの欠失を有する)の感染を処理後24時間後で行った。感染後4時間及び48時間で、DNAを単離し、qPCRを、ウイルス繊維遺伝子に特異的なプライマーを使用して行った。繊維fwd.5’−AAGCTAGCCCTGCAAACATCA−3’;繊維rev.5’−CCCAAGCTACCAGTGGCAGTA−3’。
結果を図8に示す。
図8から明らかなように、UMUC細胞をCDK4/6阻害剤LEE011(リボシクリブ)で処理することにより、E1マイナスアデノウイルスdl703のウイルスDNA複製が劇的に増大した(ほぼ100倍)。この増大から、E2F−1発現の抑制と組み合わせたリボシクリブによる特異的誘引G1停止により、E1とは無関係のアデノウイルス複製が促進されることが強く示唆される。その結果、E1A遺伝子に特異的な欠失を有するウイルスだけが、CDK4/6処理下でアデノウイルスDNA複製の増大を示すのではなく、E1A遺伝子の完全な欠失を有するアデノウイルスであっても、ウイルスDNA複製の増大を示す。
Mek阻害剤GI−1040は、E2F−1発現阻害及びG1停止に関して類似の性質を示したが、その複製は、リボシクリブ処理細胞と比較してはるかに低かった。これは、ウイルス複製に必要な他の重要な細胞周期関連経路、例えば、MEK/ERKが同時に阻害されるという事実によると考えられる。加えて、MEK/ERK経路の阻害は、腫瘍溶解性アデノウイルス複製との併用療法のために、臨床状況において、それを不適当にする、100倍以上の粒子形成を減少させることが示された(Schumann and Doppelstein 2016, Cancer Research, 66, 1282-1288)。
実施例12:示された細胞周期阻害剤で処理されたUMUC細胞のウェスタンブロット分析
示された濃度のCI−1040、ロスコビチン、Nutlin−3a及びLEE011(リボシクリブ)で処理されたUMUC細胞のウェスタンブロット分析。1×106個 細胞を10cm皿に播種した。処理後24時間で、核膜の破壊を達成するために、1% SDSバッファーを使用して、タンパク質を単離した。全てのサンプルをシリンジに数回吸引して、DNAを破壊し、続けて、4℃、30000rpmで30分間遠心分離した。上清を新たな反応チューブに移し、更なる工程に直接使用するか又は−80℃で保存した。タンパク質を分離するために、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。4℃、100Vで約2時間の電気泳動により、40μg 総タンパク質をロードし、示された特異抗体に対してプローブした。
結果を図9A、9B及び9Cに示す。
図9から明らかなように、ロスコビチン及びNutlin−3aは、Rb、phRB及びE2F−1発現に対して顕著な効果を有さなかったが、10μMでのLEE−011(リボシクリブ)及び1μMでのMI−1040により、E2F−1並びにRb及びphRb発現の阻害が誘引された。
実施例13:E1欠失複製欠損アデノウイルスdl703のウイルスDNA複製に対するCDK4/6阻害剤の分析
細胞周期分析のために、細胞を6ウェルプレート(2,5×10E4c/ウェル)に播種した。dl703による感染前8時間で、細胞を示された濃度の細胞周期阻害剤で処理した。10MOI dl703による感染後、細胞を再度48時間処理した。未処理細胞及びdl703感染のみさせた細胞を対照とした。感染後48時間で、細胞をトリプシン処理により回収し、ボルテックスしながら、80% エタノールで固定した。細胞周期の状態を調査するために、固定された細胞をRT及び300gで5分間遠心分離し、エタノールを吸引した。細胞を再懸濁させ、1% BSA−PBS(ウシ血清アルブミン)で洗浄し、再度遠心分離した。細胞をEDUで染色し、細胞周期分析を、Thermo Fischer製のClick-iT(商標)Plus EdUフローサイトメトリーアッセイキット、カタログ番号.C10632を使用して行った。加えて、1% BSA/PBS細胞で3回洗浄した後、PI(ヨウ化プロピジウム、50μg/ml)で染色した。FACScaliburフローサイトメトリーシステムで染色した後、測定を直接行った。データをFlowJoソフトウェアで分析した。
CDK4/6阻害剤の特徴
CI1040:二重特異的スレオニン/チロシンキナーゼであるマップキナーゼキナーゼ(MEK)は、多くの場合ヒト腫瘍で活性化されるRAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達経路の重要な成分である。CI−1040は、MEKを強力に阻害し(Allen et al. 2003, Semin Oncol. (5 Suppl 16):105-16)、G1停止を引き起こすベンズヒドロキサマート化合物である。
Nutlin−3a:MDM2の低分子アンタゴニストであるNutlin−3は、正常なMDM2発現細胞株並びに野生型p53を伴うMDM2過剰発現細胞株の両方においてp53機能を効果的に回復させ、細胞周期停止及びアポトーシスをもたらす(Wang et al 2012, Acta Biochimica et Biophysica Sinica, Volume 44, Issue 8, 1 August 2012, Pages 685-691)。
ロスコビチン(セリシクリブ又はCYC202)は、薬理学的サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤のファミリーにおける実験的薬剤候補であり、CDK2、CDK7及びCDK9を含む複数の酵素ターゲットを優先的に阻害する。同阻害により、処理された細胞の細胞周期内の増殖期又は状態が変化する(Whitaker et al. 2004, Cancer Research 64, 262-272)。
LEE011(リボシクリブ;商品名Kisqali])は、サイクリンD1/CDK4及びCDK6の阻害剤であり、ある種の乳がんの処置に使用される。CDK4/6の阻害は、細胞周期をG1で停止させ、E2F−1発現を阻害する(Kim S. et al, Oncotarget. 2018 Oct 16;9(81):35226-35240;Yang C et al., Oncogene (2017)36,2255-2264)。
結果を図10に示す。
CDK4/6阻害剤LEE011(リボシクリブ)及びCI−1040により、明確なG1停止が誘引された。ロスコビチンによる処理により、G2/m停止細胞のわずかな増加が示された。Nutlin−3aは、使用された濃度において、細胞周期に対してほとんど又は全く影響を及ぼさなかった。リコンビナントE1欠失(E1Aタンパク質を有さない)アデノウイルスdl703によるUMUC細胞の感染により、細胞周期分布は顕著に変化しなかった。
実施例14:パルボシクリブにより処理後のin vitroアデノウイルスヘキソン染色が増加した
膀胱細胞株RT112、T24及びUMUCを6ウェルプレートに播種した(2×105個/ウェル)。播種後1日目に、細胞を500nM パルボシクリブで感染前24時間及び再度感染後1時間で処理した。示されたMOIのAD−WTによる感染を、血清を含まないDMEM培地 400μl中で行った。ヘキソン染色を、Agilent(cat:972500)製のAdeasyウイルス力価キットを使用して、製造メーカーの説明書に従って、感染後2日目に行った。
結果を図11に示す。
図11から明らかなように、例示的なCDK4/6阻害剤としてのパルボシクリブ(500nM)の処理により、褐色/赤色により示されるように、感染後48時間でパルボシクリブ処理細胞においてヘキソン陽性細胞が顕著に増加した。パルボシクリブ処理下において細胞は、ウイルス粒子をより多く産生可能であり、ウイルスDNA複製の増大を示すとの結論に達した。アデノウイルスのヘキソン発現は、ウイルス複製の排他的開始に起因するためである。
実施例10〜14の対象となる結果から、CDK4/6阻害剤のみが、複製欠損アデノウイルス(E1遺伝子を欠いているdl703)及びAd−GFPの複製及び遺伝子発現を増加させることができ、他の細胞周期阻害剤はできないことが明らかである。さらに、このようなウイルス複製及び遺伝子発現の増加をもたらすために、CDK4/6阻害剤により、(感染した)細胞をG1で停止させ、F2F1発現が阻害されなければならない。
実施例15:XVir−N−31、パルボシクリブ及びPARP阻害剤を含む3剤併用療法を使用するT24細胞の処理
XVir−N−31、パルボクリブ及びPARP阻害剤(BMN673(タラゾラリブ))を含む3剤併用療法を使用するT24細胞の3剤併用療法の有効性を示すために、効力アッセイを行った。
ウェル当たりに12.500個 T24細胞を12ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するRPMI培地中において、37℃で一晩増殖させた。細胞の阻害剤処理を細胞播種後24時間及び再度感染後1時間で、示された濃度を培地に加えることにより行った。細胞の感染を、血清を含まない培地 250μl中において、阻害剤処理後24時間で行った。固定及びSRB染色を感染後4日目に行った。PD、パルボシクリブ;PARPi:BMN673。
SRB染色のために、培地を吸引により除去した。細胞を10% 冷TCA 1ml(ウェル当たり)により、4℃で1時間固定した。TCAを吸引により除去し、細胞層を水道水で4回洗浄した。細胞を1% 酢酸中の0.5% SRB(スルホローダミンB) 1ml(ウェル当たり)で30分間染色した。未結合SRBを1% 酢酸 1ml/ウェルにより、5回の洗浄ステップで除去した。各洗浄ステップの後、酢酸を吸引により除去した。プレートを2時間風乾させた。SRB染色細胞を可溶化するために、10mM Tris塩基 200μlを各ウェルに加えた。その後、それぞれ20μlを96ウェルプレートのウェルに分注した。96ウェルプレートをElisaプレートリーダーにロードし、サンプルの吸光を560nmで測定した。モック処理細胞を100% 細胞生存に設定した。
結果を図12に示す。
図12に示された結果から、パルボシクリブ、BMN673及びXVir−N−31からなる3剤併用療法が細胞殺傷に関して単剤又は併用療法に対して優れた性能を示したことが明確に実証されている。ほぼ90% 細胞殺傷を、10MOI XVir−N−31をPARP阻害剤PARPi(BMN673)及びCDK4/6阻害剤パルボシクリブ(PD)と組み合わせて使用して達成することができた。XVir−N−31を含まないPARPiとパルボシクリブとの組み合わせでは、細胞の65%しか殺傷されなかった。T24細胞及びUMUC細胞は、CDK4/6阻害剤に感受性である(E2F−1ダウンレギュレーションによるG1停止を提供する)。
実施例16:XVir−N−31、パルボシクリブ及びPARP阻害剤を含む3剤併用療法の動力学
XVir−N−31、パルボクリブ及びPARP阻害剤(BMN673(タラゾラリブ))を含む3剤併用療法を使用するT24細胞の3剤併用療法の動力学を示すために、効力アッセイを行い、効力を種々の時点で評価した。
ウェル当たりに3.000個 T24細胞を12ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するRPMI培地中において、37℃で一晩増殖させた。細胞の阻害剤処理を細胞播種後24時間及び再度感染後1時間で、示された濃度を培地に加えることにより行った。細胞の感染を、血清を含まない培地 250μl中において、阻害剤処理後24時間で行った。固定及びSRB染色を感染後1〜5日目(dpi:感染後日数)に行った。15nM PARPiは、T24細胞のIC80値に相当する。
結果を図13に示す。
図13から明らかなように、XVir−N−31以外に、CDK4/6阻害剤(パルボシクリブ(PD)及びPARP阻害剤PARPI(BMN673)を使用した3剤併用療法は、動力学の観点からも、XVir−N−31のみを使用する単剤療法又はXVir−N−31とPARP阻害剤又はCDK4/6阻害剤のいずれかとを使用する併用療法よりはるかに効果的である。重要なことに、腫瘍細胞の再増殖が、CDK4/6感受性細胞株であるUMUC及びT24では、4日目及び5日目(dpi:感染後日数)に顕著に減少した。
実施例17:XVir−N−31、パルボシクリブ及びPARP阻害剤を含む3剤併用療法の動力学
XVir−N−31、パルボクリブ及びPARP阻害剤(BMN673(タラゾラリブ))を含む3剤併用療法を使用するUMUC細胞の3剤併用療法の動力学を示すために、効力アッセイを行い、効力を種々の時点で評価した。
UMUC−3の播種:ウェル当たりに3.000個 細胞を12ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するDMEM培地中において、37℃で一晩増殖させた。細胞の阻害剤処理を細胞播種後24時間及び再度感染後1時間で、示された濃度を培地に加えることにより行った。細胞の感染を阻害剤処理後24時間で行った。固定及びSRB染色を感染後1〜6日目(dpi:感染後日数)に行った。160nM PARPiは、UMUC3細胞のIC80値に相当する。
結果を図14に示す。
図14に示された結果から、パルボシクリブ、BMN673及びXVir−N−31からなる3剤併用療法が単剤又は併用療法に対して優れた性能を示したことが明確に実証されている。重要なことに、腫瘍細胞の再増殖が、CDK4/6感受性細胞株であるUMUC及びT24では、4日目及び5日目(dpi:感染後日数)に顕著に減少した。
実施例18:XVir−N−31、CDK4/6阻害剤及びブロモドメイン阻害剤を含む3剤併用療法
5000個 T24細胞を12ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するRPMI培地 1ml中において増殖させた。翌日、細胞を500nM パルボシクリブ及び300nM JQ−1で処理した。処理後24時間で、細胞を、FCSを含有しないRPMI培地 200μl中において、示されたMOIのXVir−N−31で感染させた。1時間後、10% FCSを含有するRPMI培地 800μlを各ウェルに加えた。加えて、500nM パルボシクリブ及び300nM JQ−1を培地に加えた。SRB染色を感染後5日で行った。モック処理細胞を100% 細胞生存に設定した。
結果を図15に示す。
図15から明らかなように、ブロモドメイン阻害剤JQ1により、低MOIにおいて、CDK4/6阻害剤パルボシクリブと組み合わせたXVir−N−31の細胞殺傷能が向上した。感染後48時間での光学顕微鏡分析から、JQ1/パルボシクリブ/XVir−N−31処理細胞において既に大量の細胞死が認められる。JQ−1により、パルボシクリブ処理細胞において、ウイルス転写が増加することにより、ウイルス複製が増加したという結論に達した。300nM JQ1単独での単剤療法では、10及び20MOIでのXVir−N−31の細胞殺傷を増大させなかったためである。
アデノウイルス感染がん細胞において観察されるJQ−1の増強の前提条件は、パルボシクリブのG1停止誘引能である。パルボシクリブに対して耐性である細胞では(実施例18、同一の処理手順を参照のこと)、細胞殺傷の増加は観察されなかった。この観察は、Baojie Lv et al 2018, Scientific reports, 8, 11554とは明らかに対照的であり、同文献では、細胞を、JQ1の濃度で処理しており、G1停止を引き起こさず、パルボシクリブを併用しなかった。
実施例19:XVir−N−31、CDK4/6阻害剤及びブロモドメイン阻害剤を含む3剤併用療法
100.000個 SK−N−MC細胞/ウェルを12ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するRPMI培地中において、5% CO2、37℃で増殖させた。細胞を、200nM アベマシクリブ+500nM JQ1により、感染前24時間及び再度感染後1時間で、適切な量を培地に加えることにより処理した。XVir−N−31の感染は、血清を含まないRPMI培地 500μl中において行った。SRB染色を感染後5日で行った。モック処理細胞を100% 細胞生存に設定した。
結果を図16に示す。
SK−N−MC細胞は、CDK4/6阻害剤に対して耐性であるため、G1停止を引き起こさないことが確立されている。JQ1の添加によっては、CDK4/6(アベマシクリブ)耐性SK−N−MC細胞の細胞殺傷は増加しなかった。このことは、CDK4/6媒介G1停止が細胞殺傷に対するJQ1媒介効果の前提条件であることを示している。
このため、図16(及び図15)に、BRD2、BRD3、BRD4をターゲットとするブロモドメイン阻害剤により、CDK4/6阻害剤が処理細胞においてG1停止を誘引するという前提の下で、XVir−N−3の細胞殺傷効果がさらに向上することを示す。
実施例20:CDK4/6阻害剤LY−2835219(アベマシクリブ)及びWee阻害剤MK−1775(アダボセルチブ)で処理されたSK−N−MC細胞のウェスタンブロット分析
1×10個 細胞を10cm皿に播種した。処理後24時間で、核膜の破壊を達成するために、1% SDSバッファーを使用して、タンパク質を単離した。全てのサンプルをシリンジに数回吸引して、DNAを破壊し、続けて、4℃、30000rpmで30分間遠心分離した。上清を新たな反応チューブに移し、更なる工程に直接使用するか又は−80℃で保存した。タンパク質を分離するために、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。4℃、100Vで約2時間の電気泳動により、40μg 総タンパク質をロードし、示された特異抗体に対してプローブした。
結果を図17に示す。
SK−N−MC細胞は、アベマシクリブ(Abenaciclib)処理に対して耐性であることが公知である(Dowless M et al.,2018, Clin Cancer Res: 24, 6028-6039)。Wee1は、G2/M細胞周期チェックポイント制御の重要な成分であり、CDC2のリン酸化をレギュレーションすることにより細胞周期停止を媒介する。MK1775によるWee1の阻害は、異なるタイプのがん腫においてDNA損傷剤の細胞傷害作用を増強することが報告されている。幾つかの研究から、低分子キナーゼ阻害剤MK−1775によるWee1の薬理学的阻害により、腫瘍細胞においてTyr15でのCDC2リン酸化が除去されることが実証されている(Kreahling et al 2013, PLoS One. 8(3), e 57523)。強力なG1停止が、併用処理で観察されるが、Rb及びE2F−1発現に変化は観察されない。
実施例21:XVir−N−31、CDK4/6阻害剤アベマシクリブ及びアダボセルチブ(Wee阻害剤MK−1775)を含む3剤併用療法
100.000個 SK−N−MC細胞/ウェルを12ウェルプレートに播種し、10% FCSを含有するRPMI培地中において、5% CO、37℃で増殖させた。細胞を、200nM アベマシクリブにより、感染前24時間及び再度感染後1時間で、適切な量を培地に加えることにより処理した。XVir−N−31の感染は、血清を含まないRPMI培地 500μl中において行った。SRB染色を感染後5日で行った。モック処理細胞を100% 細胞生存に設定した。
結果を図18に示す。
図17(及び図18)に、CDK4/6阻害剤アベマシクリブとWee阻害剤MK−1775との組み合わせにより、E2F−1を阻害することなく、G1停止が誘引されたことが実証されている。図18における効力アッセイから、この組み合わせによっては、腫瘍溶解性アデノウイルスXVir−N−31の細胞殺傷効果が増強されないことが示される。これらの結果から、CDK4/6阻害剤アベマシクリブとWee阻害剤MK−1775との組み合わせによる誘引されるG1停止では、XVir−N−31の細胞殺傷能を促進されなかったことが明確に実証されている。このため、E2F−1発現の阻害は、ウイルス腫瘍溶解を増強するための更なる必要条件である。
実施例22:E2F−1阻害との組み合わせにおけるG1停止はCDK4/6阻害剤との組み合わせにおけるXVir−N−31の細胞殺傷増強の前提条件である
処理後48時間で、細胞をPBS(RNase Aを含有、100U/ml)で2回洗浄した。細胞をトリプシン処理し、1500rpm、4℃で5分間遠心分離した。細胞を、氷冷した80% エタノール 1mlをペレットにゆっくり滴加し、一晩インキュベーションすることにより固定した。染色を、染色溶液(ヨウ化プロピジウム、50μg/ml) 1mlを細胞に加え、穏やかに揺り動かしながらRTで30〜60分間インキュベーションすることにより行った。MK:MK−1775;LY:LY−2835219。
結果を図19に示す。
図19から明らかなように、SK−M−NC細胞をLY(アベマシクリブ)で処理しても、細胞周期の影響はなかった。MK−1775処置単独では、500nMで、G2/Mにある細胞が増加した。両者の組み合わせにより、強力なG1停止が生じた。
実施例23:ウイルスDNA複製に対するE2F−1発現の役割
I.
ウェル当たりに2×10個 T24、A549及びHeLa細胞を6ウェルプレートに播種し、10% FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン及び非必須アミノ酸を含有するRPMI1640培地(又はDMEM培地) 1.5ml中において増殖させた。翌日、30pmol siRNA−陰性対照siRNA(Qiagen #1022076)又はsiE2F1(Sigma #NM_005225、siRNA ID SASI_Hs01_00162220)のいずれかをOpti-MEM培地 150μLで希釈し、リポフェクタミンRNAiMAX 9μlをOpti-MEM 150μL中で調製した。siRNA溶液及びリポフェクタミンRNAiMAX溶液を混合し、5分間インキュベーションした。この混合物を細胞に滴加した。48時間後、RNAを単離し、RT−qPCRを行った。
結果を図20に示す。図20から明らかなように、E2−初期発現は低下する。
II
6ウェルプレートの各ウェルについて、2×10個 T24細胞を、10% FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン及び非必須アミノ酸を含有するRPMI1640培地 1.5mlに播種した。翌日、30pmol siRNA−陰性対照siRNA(Qiagen #1022076)又はsiE2F1(Sigma #NM_005225、siRNA ID SASI_Hs01_00162220)のいずれかをOpti-MEM培地 150μLで希釈し、リポフェクタミンRNAiMAX 9μlをOpti-MEM 150μL中で調製した。siRNA溶液及びリポフェクタミンRNAiMAX溶液を混合し、5分間インキュベーションした。この混合物をT24細胞に滴加した。感染を、血清を含まない培地 400μl中で10MOI ADWTRGDと共に細胞をインキュベーションし、10〜15分毎にプレートを揺り動かしながら48時間後に行った。1時間後、完全培地 1.6mlを加えた。RNA分離を感染後24時間で行った。
結果を図21に示す。
III
細胞を冷PBSですすぎ、MirVanaキット(Thermo Fisherカタログ番号AM1560)からの溶解バッファー 500μlを加えることにより破壊し、ライゼートをスパチュラで収集し、1.5mlチューブにピペットで移した。有機抽出のために、ホモジネート添加物 50μlを加え、サンプルを氷上で10分間インキュベーションし、酸−フェノール:クロロホルム 500μlを加え、サンプルを60秒間ボルテックスし、氷上で2分間インキュベーションした。サンプルを14000×g、室温で5分間遠心分離して、水相と有機相とに分離した。上相を注意深く新たなチューブに移し、等量のイソプロパノールを加えた。室温で10分間インキュベーションした後、RNAを沈殿させ(14000×g、4℃、30分)、75% エタノール 1mLで2回洗浄した(遠心分離 7500×g、4℃、5分)。RNAを5〜10分間風乾させ、RNaseを含まない水 20〜50μlに再懸濁させ、500rpm、55℃で10分間振とうすることにより溶解させ、Nanodropで測定した。DNA消化(デオキシリボヌクレアーゼI、Invitrogen Cat.No.18068−015)後、1μg RNAサンプルを10×DNAse I反応バッファー 1μl、ヌクレアーゼを含まない水、DNaseI(1U/μl) 1μlと合わせて、9μlの容量にし、室温で15分間インキュベーションした。25mM EDTA溶液 1μlを加え、65℃で10分間加熱することにより、DNAse Iを不活性化する。逆転写を、高性能cDNA逆転写キット(Thermo Fisher/Applied Biosystems(商標)カタログ番号:4368814)を使用して行った。線維及びアクチンPCRの転写にはランダムヘキサマーを使用し、E2初期PCRの転写にはE2初期プライマーを使用する。
使用されたプライマー及びsiRNA
E2初期fw:CCGTCATCTCTACAGCCCAT
E2初期rev:GGGCTTTGTCAGAGTCTTGC
繊維fw:AAGCTAGCCCTGCAAACATCA
繊維rev:CCCAAGCTACCAGTGGCAGTA

アクチンfw:TCACCCACACTGTGCCCATCTACG
アクチンrev:CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG
E2F1fw:CATCCCAGGAGGTCACTTCTG
E2F1rev:GACAACAGCGGTTCTTGCTC

対照siRNA
センス:UUCUCCGAACGUGUCACGUdTdT
アンチセンス:ACGUGACACGUUCGGAGAAdTdT

E2F−1 siRNA
CUGAGGAGUUCAUCAGCCU[dT][dT]
AGGCUGAUGAACUCCUCAG[dT][dT]
RT−qPCRによりE2初期発現の役割を証明するために、適切なプライマーを選択することが絶対的に必要である。プライマーの位置は、E2初期プロモーターとE2後期プロモーターの間にあるはずである。そうでなければ、E2後期プロモーターが、結果に強く影響することになるであろう。プライマーの位置を図22に示す。
図20及び21から明らかなように、siRNAによるE2F1のダウンレギュレーションにより、E2−初期発現が増加する。これは、E2初期発現におけるE2F1のリプレッシブな役割によってのみ説明することができた。E2F−1が活性化因子であるとすれば、結果として、E2初期発現が低下するであろう。加えて、E2F−1に対するsiRNAは、CDK4/6阻害剤の効果を模倣し、これによっても、E2F−1発現が阻害される(Yang C et al., Oncogene 2017, 36,2255-2264)。
実施例24:アデノウイルスE2初期プロモーターにおける2つのE2F結合部位の突然変異を有するリコンビナントアデノウイルスはE2初期発現の増加を示す
アデノウイルスE2初期プロモーターの2つのE2F結合部位に突然変異を有する突然変異アデノウイルスを生成した。野生型E2初期プロモーターと変異型E2初期プロモーターとの両方のプロモーターを図23に示す。
RNA−発現分析をAdWT−RGD及びAdE2Fm(RGDモチーフも含む)感染T24細胞において行い、感染後24時間でのRT−qPCRにより得た。AD−WT遺伝子発現を100%に設定した。この方法は、実施例23のセクションIIIに記載された方法と同一であった。
結果を図24に示す。
図24から明らかなように、E2初期遺伝子発現の発現は、AD−WT感染細胞と比較して、AdE2Fm感染細胞においてより高かった。したがって、E2F−1は、E2初期プロモーター活性化においてリプレッシブな役割を果たしていると結論しなければならない。これは、E2F−1が活性化因子であると仮定される現在の理解とは明らかに対照的である(DeCaprio JA, Virology. 2009 Feb 20;384(2):274-84)。
現在公知の全ての腫瘍溶解性アデノウイルスにおけるE2領域の構造は、図22に示されたように構築されることは周知である。このため、E2F−1の作用機序は、ここで記載されたものと同一である。結果として、それらの全て、すなわち、全ての腫瘍溶解性アデノウイルス(ColoAd1及びデルタ24−RGDを含む)を、CDK4/6阻害剤と組み合わせて使用することができる。
ColoAd1は、以下のように特徴付けることができる。
Enadenotucirev(以前はColoAd1)は、前臨床活性が実証された腫瘍選択的キメラアデノウイルスである。ColoAd1のカプシドは、ヒトにおける血清有病率が限られている血清型であるAd11p由来である。EnAdは、多くのがん細胞に広く発現しているCD46及び/又はデスモグレイン2,6の両方に結合することにより細胞に感染する。EnAdゲノムのほとんどは、E3に大きな欠失があり、E4により小さな欠失があるAd11pに由来する。加えて、E2B領域は、Ad11p及びAd3からの配列のキメラからなる。EnAdにおけるE4欠失は、E4ORF4にあり、Ad5は、タンパク質ホスファターゼ2Aを不活性化するタンパク質をコードし、それにより、タンパク質翻訳機構を活性化すると共に、フィードバック阻害ループにおけるE1Aタンパク質の活性をレギュレーションする。これらの欠失は、おそらく、キメラE2B領域と組み合わせられて、おそらく、EnAdの顕著ながん選択的複製に寄与する(Deyer et al., Mol Ther Oncolytics. 2017, 16; 5: 62-74)。
デルタ24−RGD(DNX−2401)は、以下のように特徴付けることができる。
デルタ24−RGD(DNX−2401)は、p16/RB/E2F経路の異常を有する腫瘍細胞において優先的に複製し、溶解するように操作された条件複製可能な腫瘍溶解性ウイルスである。Fueyo et al., Oncogene. 2000 Jan 6;19(1):2-12。Rb経路をターゲットとする突然変異腫瘍溶解性アデノウイルスは、in vivoで抗神経膠腫効果を生じる。Dai B. et al. Mol Cancer Therapy. 2017 Apr;16(4):662-670。
先の明細書、特許請求の範囲及び図面に開示された本発明の特徴は、個々にかつ任意の組み合わせの両方で、その種々の実施態様における本発明の実現にとって重要であることができる。

Claims (15)

  1. アデノウイルスとCDK4/阻害剤とを含む、組み合わせ。
  2. 組み合わせが、さらに、PARP阻害剤を含む、請求項1記載の組み合わせ。
  3. 組み合わせが、さらに、ブロモドメイン阻害剤を含む、請求項1及び2のいずれか一項記載の組み合わせ。
  4. 腫瘍又はがんの処置のための方法における使用のための、請求項1〜3のいずれか一項記載の組み合わせ。
  5. 対象における腫瘍又はがんの処置のための方法における使用のためのアデノウイルスであって、
    該方法は、対象にアデノウイルス及びCDK4/6阻害剤を投与することを含む、
    アデノウイルス。
  6. 対象における腫瘍又はがんの処置のための方法における使用のためのCDK4/6阻害剤であって、
    該方法は、対象にアデノウイルス及びCDK4/6阻害剤を投与することを含む、
    CDK4/6阻害剤。
  7. アデノウイルスが、腫瘍溶解性アデノウイルスである、請求項1記載の組み合わせ、請求項4記載の使用のための組み合わせ、請求項5記載の使用のためのアデノウイルス及び請求項6記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  8. アデノウイルスが、XVir−N−31、dl520、AdΔ24、AdΔ24−RGD、dl922−947、E1Ad/01/07、dl1119/1131、CB016、VCN−01、E1Adl1107、E1Adl1101、ORCA−010、Enadenotucirev及び機能的Rb腫瘍サプレッサー遺伝子産物に結合可能な発現されたウイルスがん遺伝子を欠いているウイルスを含む群から選択される、請求項1及び7のいずれか一項記載の組み合わせ、請求項4及び7のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  9. アデノウイルスが、XVir−N−31である、請求項1及び7〜8のいずれか一項記載の組み合わせ、請求項4及び7〜8のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7及び8のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜8のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  10. CDK4/6阻害剤が、細胞をG1期で停止させ、E2F1を阻害するCDK4/6阻害剤である、請求項1及び7〜9のいずれか一項記載の組み合わせ、請求項4及び7〜9のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7〜9のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜9のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  11. CDK4/6阻害剤が、PD0332991とも呼ばれるパルボシクリブ、LY−2835219とも呼ばれるアベマシクリブ、LEE011とも呼ばれるリボシクリブ、G1T28とも呼ばれるトリラシクリブ及びディナシクリブを含む群から選択される、請求項1及び7〜10のいずれか一項記載の組み合わせ、請求項4及び7〜10のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7〜10のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜10のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  12. 病的腫瘍又はがんが、Rbを発現しているか又はRb陽性である、請求項4及び7〜11のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7〜11のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜11のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  13. 腫瘍細胞の細胞が、1つ又は複数の薬学的に活性な薬剤及び/又は放射線に対して耐性を有するか又は感受性がない、請求項4及び7〜12のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7〜12のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜12のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  14. 腫瘍又はがんが、細胞周期とは無関係に細胞核にYB−1を含有する、請求項4及び7〜13のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7〜13のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜13のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
  15. 疾患が、膀胱がん、乳がん、転移性乳がん(mBC)、メラノーマ、グリオーマ、膵臓がん、肝細胞がん、肺腺がん、肉腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん及び白血病を含む群から選択される、請求項4及び7〜14のいずれか一項記載の使用のための組み合わせ、請求項5及び7〜14のいずれか一項記載の使用のためのアデノウイルス並びに請求項6及び7〜14のいずれか一項記載の使用のためのCDK4/6阻害剤。
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