JP2021514816A - 脂質系コーティング組成物及び脂質系コーティングを有する物体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、医療機器を被覆するための脂質系コーティング組成物の使用であって、コーティング組成物は、a)脂質ベシクルであって、i)85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);ii)5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);iii)任意選択で、0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)からなる脂質ベシクル;b)0〜5重量%の水溶性添加剤(D);及びc)少なくとも95重量%の水を含み、脂質ベシクルは、50〜140nmの数平均サイズ(動的光散乱によって測定)を有し、脂質ベシクル濃度は、0.025mg/ml〜2mg/mlの範囲であり、脂質(A)、(B)及び(C)のmol%は、脂質系コーティング組成物中の脂質(A)+(B)+(C)の総モル量に対して計算され、水溶性添加剤(D)の重量%は、組成物全体の重量に対して計算される、使用に関する。好ましくは、医療機器は、コンタクトレンズ、カテーテル又は医療用インプラントである。

Description

本発明は、脂質系コーティング組成物の使用、コーティング組成物で処理された医療機器(コンタクトレンズ、カテーテル及び医療用インプラントなど)及び脂質系コーティングを有する医療機器に関する。
基材の被覆は、当技術分野で公知である。一般的に、コーティングは、表面又は基材に適用可能な被膜である。コーティングは、例えば、装飾性、機能性又は両方であり得る。装飾性コーティングには、例えば、塗料及び又はラッカーがある。機能性コーティングには、例えば、接着、光学、触媒、光感受性、磁気、電気、導電性、絶縁性、芳香性及び又は保護がある。機能性(保護)コーティングには、例えば、耐食性、耐傷性、防水性、抗菌性、抗炎症性、防汚性、抗血栓性、潤滑性及び/又は生物活性がある。支持脂質二重膜に限定されない典型的な脂質系コーティングは、サイズ及び組成が様々であるベシクルを使用して通常施される。SLBは、一般的に、ベシクル融合によって調製され、最初に報告されて以来(McConnel and Tamm 1985)、研究に広く使用されてきた。SLBは、防汚性表面として且つそれらの表面組成及び機能が変更可能であるために調整可能なコーティングとして多大な見込みを示した。SLBの防汚特性及びそれらの調整可能な組成のため、それらは、防汚性、濡れ、潤滑性及び生体機能などの性質が利用される固体材料上の表面コーティングとして機能する理想的な候補である。不適切な濡れ、低い潤滑性及び高い汚染は、医療において且つ医療機器の使用による公知の問題である。
欧州特許第3093661号明細書は、脂質二重層を含む人工細胞膜を記載している。分析装置として、液体環境中の分子間の相互作用を研究するために膜が使用される。
医療機器は、組織接触又は体液との接触に好適である生体材料、天然又は合成の材料(金属又はポリマー)から調製される。医療機器は、表面の性質に対する適切な制御を欠く傾向があるため、医療機器又は生体材料界面上に不適切な濡れ、低い潤滑性並びにタンパク質、細胞及び微生物の付着などの望まれない現象が起こる。これは、最初の使用時でも、装置の使用時間中の交換時でも起こり得る。結果として、医療機器の快適性、安全性及び性能が影響を受け得る。例えば、コンタクトレンズ使用者の半数以上は、不適切なコンタクトレンズ濡れ及び低い潤滑性に関連し得る不快感を経験している。一部の場合、これは、レンズ表面のタンパク質付着によって影響されている。一般的に、濡れ及び潤滑性は、体の開口部に入るか、又は組織界面を越えて頻繁に動く医療機器にとって重要な表面の性質である。さらに、レンズ表面の微生物の付着は、眼の感染症のリスクを増加させる − 現在では、コンタクトレンズ使用者の500人に1人が眼の感染症にかかる。より侵襲性が高い機器での微生物の付着は、高い医療リスクを呈する。入院患者がかかる全感染症、いわゆる医療関連感染の半数は、カテーテルの細菌付着によって起こる。結果的に、入院の増加、医療のコスト及び死亡の増加をもたらす。コンタクトレンズと同様に、カテーテルでは、体の開口部を通って動くため、組織損傷なしに機器を快適に挿入及び除去するために表面の濡れ及び潤滑性も増加させる必要がある。さらに、タンパク質を吸着する傾向(タンパク質付着)は、血液と接触すると凝固反応をもたらすことが多い。心血管カテーテルなどの血液接触機器では、血液凝固は、望ましくなく、抗血栓性が要求される。また、整形外科用インプラントなどの医療用インプラントは、微生物の付着によって影響を受ける。リスクは、一般的に低いと考えられるが(<2%)、細菌付着及びその結果生じる感染があると、ほとんどの場合、インプラントを除去し、組織をきれいにして、新たな機器を患者に配置する再置換手術が必要となる。
コンタクトレンズは、眼の表面に直接配置される薄いレンズであり、その主な機能、その材料、装用及び交換スケジュールによって分類できる。主な機能に基づくと、最も通常には屈折異常を矯正することによって視力を矯正するコンタクトレンズが知られている。美容用コンタクトレンズは、眼の外観を変えるように設計されているが、屈折異常も矯正できる。眼の非屈折疾患の治療及び管理に使用される治療用コンタクトレンズが知られている。
コンタクトレンズは、通常、軟質、硬質又はハイブリッドである。ソフトコンタクトレンズの例は、ハイドロゲル及びシリコンハイドロゲルコンタクトレンズである。硬質コンタクトレンズの例は、硬質の気体透過性コンタクトレンズである。ハイブリッドコンタクトレンズの例は、軟質の材料と硬質の材料とを組み合わせたレンズである。
コンタクトレンズは、様々な期間にわたって使用でき、例えば日中の使用、長期装用レンズの場合には夜間又は一晩中の使用がある。
さらに、コンタクトレンズには、様々な交換間隔があり得るが、例えば、それらは、毎日廃棄でき(1日使い捨てレンズ)、2週ごと、数か月ごと又は半年以上ごとに(ほとんど硬質の気体透過性コンタクトレンズの場合)廃棄できる。特殊な種類の硬質レンズ、いわゆるオルソKレンズは、夜間にのみ装用され、日中の視力が矯正される。1日使い捨てレンズを除いて、ほとんどコンタクトレンズの種類には、洗浄及び保存のためのレンズケア製品の使用が必要である。
カテーテルは、疾患を治療するため、診断目的のため又は外科的処置を行うために体内に挿入できる薄いチューブである。材料を修飾するか、又はカテーテルの製造方法を調整することにより、カテーテルを例えば心血管、泌尿器、胃腸、神経血管及び眼科用途のような異なる用途のために調整することが可能である。
インプラントは、欠けている生体構造に代わり、損傷した生体構造を支持するか、又は既存の生体構造を増大させるために製造される。場合により、例えば、人工ペースメーカー及び人工内耳などのインプラントは、電子機器を含む。埋込型錠剤又は薬剤溶出性ステントの形態の皮下薬物送達装置など、インプラントの一部は、生物活性がある。
インプラントは、おおまかに、用途により例えば知覚及び神経、心血管、整形外科、避妊、美容並びに他の器官及び系のグループに分類できる。
固有の医療機器又は生体材料の表面特性を制御し、それらを用途の要件と合わせるために、コーティング及び新たな材料が研究されている。当技術分野において、医療機器表面コーティングは、前記医療機器の性能を改善し、例えば(生物)付着を減少させるために使用される。これらには、カテーテルに使用するためのComfortCoat(登録商標)(DSM)及びコンタクトレンズに使用するためのTangible Hydra−PEG(商標)(Contamac)などの市販のコーティングがある。
現行のコーティングによって性能を改善することができるが、多くの末端使用者は、依然として厄介な問題に直面している。例えば、コンタクトレンズ材料(PC Technology(商標)、CooperVisionなど)及びHydraPEG(商標)コーティングなどのコンタクトレンズ表面処理においてなされた進歩にもかかわらず、コンタクトレンズ使用者の多くは、タンパク質又は微生物によるコンタクトレンズ表面の付着による不快感及び安全性のリスク、不適切な密着並びに(持続した)濡れの欠乏を依然として経験している。同様に、新たなカテーテル材料及びコーティングにもかかわらず、医療関連感染は、依然として、主に汚染されたカテーテルによって引き起こされている。したがって、医療機器表面特性をさらに改善し、調整する必要がある。医療機器用途に加え、食品、医薬、海事及び民生品が本発明から利益を得られるであろう。
本発明は、医療機器を被覆するための脂質系コーティング組成物の使用であって、コーティング組成物は、
a)脂質ベシクルであって、
i.85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);
ii.5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);
iii.任意選択で、0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)
からなる脂質ベシクル;
b)0〜5重量%の水溶性添加剤(D);及び
c)少なくとも95重量%の水
を含み、
脂質ベシクルは、50〜140nmの数平均サイズ(動的光散乱によって測定)を有し、
脂質ベシクル濃度は、0.025mg/ml〜2mg/mlの範囲であり、
脂質(A)、(B)及び(C)のmol%は、脂質系コーティング組成物中の脂質(A)+(B)+(C)の総モル量に対して計算され、水溶性添加剤Dの重量%は、組成物全体の重量に対して計算され、医療機器は、コンタクトレンズ、カテーテル及び医療用インプラントから選択される、使用に関する。
脂質系コーティング組成物は、医療機器の表面に適用され、
I.85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);
II.5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);
III.任意選択で、0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)
からなるコーティングを生じさせることができ、ここで、脂質(A)、(B)及び(C)のmol%は、コーティング中の脂質(A)+(B)+(C)の量に対して計算される。
驚くべきことに、先に定義されたコーティングが空気中で安定であり、改善された表面特性を示すことが見出された。脂質系コーティングを使用して、表面の濡れ及び潤滑性を改善することができ、タンパク質及び微生物の付着を減少させるように調整することができる。
代わりに、コーティングを、生体活性を含むように調整できる。全ての場合において、脂質系コーティングを、コーティングの質を維持する脂質系コーティング組成物を含むサプリメントと共に使用できる。
本発明は、医療機器を被覆するための脂質系コーティング組成物の使用であって、コーティング組成物は、
a)脂質ベシクルであって、
i.85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);
ii.5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);
iii.任意選択で、0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)
からなる脂質ベシクル;
b)0〜5重量%の水溶性添加剤(D);及び
c)少なくとも95重量%の水
を含み、
脂質ベシクルは、50〜140nmの数平均サイズ(動的光散乱によって測定)を有し、
脂質ベシクル濃度は、0.025mg/ml〜2mg/mlの範囲であり、
脂質(A)、(B)及び親油性化合物(C)のmol%は、脂質系コーティング組成物中の(A)+(B)+(C)の量に対して計算され、水溶性添加剤(D)及び水の量は、脂質系コーティング組成物の総重量に対して計算される、使用に関する。
医療機器は、好ましくは、コンタクトレンズ、カテーテル及び医療用インプラント、より好ましくはコンタクトレンズ及びカテーテルから選択され、最も好ましくは、医療機器は、コンタクトレンズである。
一般的に、リン脂質は、それぞれ親水性の頭部及び2つの疎水性尾部を有する。リン脂質が水に曝されると、それらは、例えば、それらの尾部の全てがシートの中心に向いた2層のシート(二重層)に配列するか、又はそれらの尾部が互いの方に向いているミセルとして配列する。この二重層及びミセルの中心は、非極性であり、したがってほとんど水を含まず、水に溶けるが、油に溶けない分子を排除している。
所与の温度において、脂質二重層は、液相又はゲル(固体)相のいずれかで存在できる。脂質は、全てゲルから液相に転移(融解)する特性温度−相転移温度を有する。いずれの相でも、脂質分子は、二重層を横切る垂直方向の移行がほとんど妨げられているが、液相二重層において、ある脂質は、毎秒数百万回にわたってその隣の脂質と位置を交換するであろう。液相二重層と異なり、ゲル相二重層中の脂質は、運動性が非常に制限されて所定の位置に固定されている。
脂質尾部は、主として二重層の相挙動を調節するが、二重層表面化学作用を決定するのは、脂質の頭部基である。リン脂質のうち、最もよくみられる頭部基は、ホスファチジルコリン(PC)である。ホスファチジルコリンは、ホスフェート基に負電荷を、且つコリンに正電荷を有するため、双性イオン頭部基であるが、これらの局所電荷は、釣り合っているため、正味の電荷は、生理学的pHで存在しない。生理学的pHで正味の電荷がない頭部基の別の例は、ホスファチジルエタノールアミンである。
例えば、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン及びホスファチジルグリセロールなどの他の頭部基は、生理学的pHで負電荷を有する。
その双性イオン性の性質により、ホスファチジルコリン誘導体は、好ましくは、コーティング用途に使用される。ホスファチジルコリン誘導体は、ホスファチジルコリン頭部基を有し、長さ及び飽和度などの組成が様々である天然又は合成の疎水性尾部を有し得る1種の脂質である。天然の疎水性尾部の例は、パルミトイル、オレオイル、ジフィタノイル及びミリストイルである。合成の疎水性尾部の例は、ジアセチレン性及びアクリラート含有尾部である。
リン脂質(A)は、ホスファチジルコリン(PC)頭部基を含む。
リン脂質(A)の例は、1,2−ジデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DDPC)、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジエルコイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DEPC)、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン及び1−パルミトイル−2−(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンなどのジインPC脂質である。好ましいリン脂質(A)は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)からなる群から選択される。より好ましくは、リン脂質は、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される。
ペグ化リン脂質(B)の例は、ポリエチレングリコール(PEG)に結合した飽和及び不飽和(例えば、14:0、16:0、18:0及び18:1)ホスファチジルエタノールアミン誘導体である。ペグ化リン脂質中のPEG基は、好ましくは、200〜10,000のMwを有する。PEG基のMwは、好ましくは、300〜6000ダルトン、より好ましくは500〜4000ダルトンである。この範囲において、組成物の安定性と、基材を被覆する能力とのバランスが最適である。より高いPEG Mwでは、コーティング組成物の安定性が増加するが、この組成物により基材を被覆する能力が減少する。より低いPEG Mwでは、コーティング組成物の安定性が不十分になり得る。さらに、PEG Mwは、濡れ及び潤滑性などの性質に影響する可能性がある。好ましくは、ペグ化リン脂質Bは、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350](DSPE−PEG350)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550](DSPE−PEG550)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750](DSPE−PEG750)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000](DSPE−PEG1000)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG2000)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−3000](DSPE−PEG3000)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](DSPE−PEG5000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350](DSPE−PEG350)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550](DSPE−PEG550)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750](DSPE−PEG750)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000](DSPE−PEG1000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG2000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−3000](DSPE−PEG3000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](DSPE−PEG5000)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350](DSPE−PEG350)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550](DSPE−PEG550)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750](DSPE−PEG750)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000](DSPE−PEG1000)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG2000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−3000](DSPE−PEG3000)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](DSPE−PEG5000)からなる群から選択される。より好ましくは、ペグ化リン脂質Bは、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DPPE−PEG2000)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DOPE−PEG2000)からなる群から選択される。
一般的に、リン脂質は、頭部基及び1つ以上の脂肪酸尾部を含む。リン脂質頭部基の例には、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルセリンがある。脂肪酸尾部組成は、炭素鎖長が12〜22個の炭素原子内で様々であり得、飽和度が様々になり得、C=C二重結合はシス又はトランス異性体をもたらし得る。飽和脂肪酸尾部の例には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸がある。不飽和脂肪酸尾部の例には、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸がある。脂肪酸尾部組成の変化したものは、特定のリン脂質頭部基の誘導体とまとめて称される。
したがって、リン脂質の例には、ホスファチジルコリン誘導体、ホスファチジン酸誘導体、ホスファチジルグリセロール誘導体、ホスファチジルエタノールアミン誘導体、ホスファチジルセリン誘導体、天然リン脂質誘導体、ポリグリセリン−リン脂質、官能化リン脂質、末端活性化リン脂質及びペグ化リン脂質がある。
ホスファチジン酸誘導体の例は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(DMPA)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(DPPA)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(DSPA)である。
ホスファチジルグリセロール誘導体の例は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3[ホスホ−rac−(1−グリセロール)(DMPG)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3[ホスホ−rac−(1−グリセロール)(DPPG)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3[ホスホ−rac−(1−グリセロール)(DSPG)、1−アルミトイル(almitoyl)−2−オレオイル−sn−グリセロ−3[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](POPG)である。
ホスファチジルエタノールアミン誘導体の例は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、ジインPE脂質、例えば1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン及び1−パルミトイル−2−(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンなど、並びに非限定的にペプチド、タンパク質及びフルオロフォアと結合した複合ホスホエタノールアミン、例えばテキサスレッド−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(TR−DHPE)などである。
ホスファチジルセリン誘導体の例は、例えば、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホセリン(DOPS)である。
親油性化合物(C)の例は、ホスファチジン酸誘導体、ホスファチジルグリセロール誘導体、ホスファチジルエタノールアミン誘導体、ホスファチジルセリン誘導体、天然リン脂質誘導体、ステロール、コレステロール、デスモステロール、ラノステロール及びステロールの誘導体、ポリグリセリン−リン脂質、官能化リン脂質、末端活性化リン脂質)、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチル−サルフェート(DOTAP)、タンパク質、ペプチド、両親媒物質、イオン性ポリマー、糖分子、酵素並びに医薬成分から選択され得る。誘導体は、好ましくは、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸尾部であり得、飽和度が様々であり得、C=C二重結合はシス又はトランス異性体のいずれかをもたらし得る。飽和脂肪酸尾部の例には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸がある。不飽和脂肪酸尾部の例には、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸がある。
リン脂質(A)、ペグ化リン脂質(B)及び親油性化合物(C)を含む脂質系コーティング組成物中の脂質ベシクルの濃度は、好ましくは、0.025mg/ml〜2mg/ml、より好ましくは0.05〜1.0mg/mlである。脂質系コーティング組成物中の脂質ベシクルの数平均サイズは、動的光散乱によって測定して40〜140nm、好ましくは80〜120nmである。
任意選択で、脂質系コーティング組成物は、(組成物の総重量に対して)0〜5重量%の、塩、緩衝剤、(ポリ)電解質及び錯化剤などの水溶性添加剤(D)も含み得る。水溶性添加剤(D)の具体例は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、HEPES、NaCl2及びCaCl2である。好ましくは、水溶性添加剤の量は、0〜2重量%又は0〜1重量%の範囲である。
脂質系コーティング組成物を使用して、基材上に脂質コーティングを調製することも、基材上の脂質コーティング中の欠陥を修復することもできる。
本発明は、基材に適用され、
I.85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);
II.5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);
III.0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)
からなるコーティングを生じさせることができる脂質系コーティング組成物であって、脂質(A)、(B)及び親油性化合物(C)のmol%は、脂質コーティング中の(A)+(B)+(C)の量に対して計算される、脂質系コーティング組成物にも関する。
脂質コーティングは、少なくとも、ホスファチジルコリン基を含むリン脂質誘導体及びポリエチレングリコール(PEG)フラグメントに結合したリン脂質を含む。脂質コーティングは、物体を本発明の脂質系コーティング組成物で被覆することにより調製される。脂質コーティングの適用は、当技術分野で公知であり、例えばスピンコーティング、ベシクル融合及びラングミュア・ブロジェットを使用して適用できる。
より好ましくは、脂質コーティングは、(総脂質含量の)90〜95mol%の1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)と、(総脂質含量の)5〜10mol%の、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DOPE−PEG2000)などのペグ化リン脂質とを含む。
脂質コーティングは、リン脂質(A)及びペグ化リン脂質(B)以外の脂質(C)を含み得る。
脂質コーティングは、リン脂質誘導体の単層でも、二重層でも、多層でもあり得る。好ましくは、脂質コーティングは、二重層である。材料又は物体は、脂質コーティング形成のためのあらゆる好適な医療機器若しくは生体材料であり得るか、又は米国特許出願公開第2008/0241942号明細書及び国際公開第2014/184383号パンフレットに記載される通りなどの脂質コーティング形成を可能にするように前処理され得る。
物体の脂質コーティングは、防汚性、抗血栓性、親水性及び潤滑性である利点を有し、それは、コンタクトレンズ及びカテーテル及び医療用インプラントなどの医療機器にとって有利である。
脂質コーティングが、物体に加えられる力のためにすり減り、脂質コーティング中に欠陥が生じ得ることが可能である。先に記載の脂質系コーティング組成物を再適用することによりコーティングを修復することが可能である。
(A)+(B)及び任意選択で(C)を含む脂質ベシクルを含む脂質コーティング組成物を概略的に示す。 (A)、(B)及び(C)を含む脂質二重層である、基材上のコーティングを示す。 分散している脂質ベシクルの実験1〜4のサイズ分布を示す。 基材上のコーティングの乾燥前後の、脂質コーティングの形成における実験1〜4の蛍光顕微鏡法分析を示す。 特定の基材上のコーティングの潤滑性を測定するための構成及び実験6の試験結果を示す。 実験7による潤滑性試験結果を示す。 実験8による潤滑性試験結果を示す。 実験9による潤滑性試験結果を示す。 実験10による細菌試験結果の防汚性を示す。 実験11による潤滑性試験結果を示す。 実験12による血液適合性試験結果を示す。
医療機器のために脂質系コーティングを使用する必須事項は、空気中での十分な安定性を有することである。そのような場合のみ、脂質二重層の有益な性質が医療機器のために利用できる。これ以降、実験のセットを実施して、本発明におけるペグ化リン脂質(B)の重要性を実証した。その後、医療機器上で本発明の組成物を使用して実験を実施して、それによりコーティング適用後の性能改善を示した。
空気中での安定性は、脱水工程前後のコーティング被覆率を観察することにより定義する。脱水前と脱水後との間の差がコーティング被覆率の点で5%未満である場合、コーティングは、空気中で安定であるとみなされる。他の全ての場合、コーティングは、空気中で安定でないとみなされる。コーティング被覆率の観察は、TR−DHPEなどの親油性化合物(C)の添加により達成できる。
実験1(比較):
0mol%のペグ化脂質(B)を使用する脂質コーティング組成物中の脂質ベシクルの形成を評価するために実験1を実施した。この目的のために、エタノール(無水エタノール≧99.8%、VWR)中の総脂質含量の99.8mol%の脂質(A)DOPC(Avanti polar lipids)、総脂質含量の0mol%のペグ化脂質(B)DSPE−PEG2000(Avanti polar lipids)及び総脂質含量の0.2mol%の親油性化合物(C)TR−DHPE(Thermo Fisher)を50mg/mlの濃度で調製した。上述の濃厚溶液をアルゴン下、マイクロ遠心分離容器(VWR)中において−20℃で最長6週間保存した。全脂質を粉末化ストックとして注文し、アルゴン雰囲気下に保ち、−20℃で最長1年間保存した。濃厚溶液を、水溶性添加剤(D)を含む1mLの水に分注した。水溶性添加剤(D)は、0.01M HEPES(Sigma−Aldrich)、150mM NaCl(Sigma−Aldrich)及び2mM CaCl2 pH(Sigma−Aldrich)であった。濃厚溶液を、1秒以内に200の希釈係数でエアーディスプレイスメントP10マイクロピペット(Eppendorf)を使用して分注し、その後、卓上ボルテックス(labdancer、VWR)を使用して撹拌し、定常状態までボルテックスにかけた。生じた脂質コーティング組成物は、95重量%超の水を含み、(A)+(B)+(C)の0.25mg/mlの濃度を有し、動的光散乱(DLS、Nanotrac wave、Microtrac)を利用して特性化した。脂質ベシクルの平均の数重み付け直径(Mn)は、94.80±31.00nmであり、溶液は、目視観察により透明であるように見えた。結果を図3に示す。
実験2:
5mol%のペグ化脂質(B)を使用する脂質コーティング組成物中の脂質ベシクルの形成を評価するために実験2を実施した。この目的のために、エタノール(無水エタノール≧99.8%、VWR)中で総脂質含量の94.8mol%の脂質(A)DOPC(Avanti polar lipids)、総脂質含量の5mol%のペグ化脂質(B)DSPE−PEG2000(Avanti polar lipids)及び総脂質含量の0.2mol%の親油性化合物(C)TR−DHPE(Thermo Fisher)を50mg/mlの濃度で調製した。上述の濃厚溶液をアルゴン下、マイクロ遠心分離容器(VWR)中において−20℃で最長6週間保存した。全脂質を粉末化ストックとして注文し、アルゴン雰囲気下に保ち、−20℃で最長1年間保存した。濃厚溶液を、水溶性添加剤(D)を含む1mLの水に分注した。水溶性添加剤(D)は、0.01M HEPES(Sigma−Aldrich)、150mM NaCl(Sigma−Aldrich)及び2mM CaCl2 pH(Sigma−Aldrich)であった。濃厚溶液を、1秒以内に200の希釈係数でエアーディスプレイスメントP10マイクロピペット(Eppendorf)を使用して分注し、その後、卓上ボルテックス(labdancer、VWR)を使用して撹拌し、定常状態までボルテックスにかけた。生じた脂質コーティング組成物は、95重量%超の水を含み、(A)+(B)+(C)の0.25mg/mlの濃度を有し、動的光散乱(DLS、Nanotrac wave、Microtrac)を利用して特性化した。脂質ベシクルの平均の数重み付け直径(Mn)は、74.80±27.37nmであり、溶液は、目視観察により透明であるように見えた。結果を図3に示す。
実験3:
10mol%のペグ化脂質(B)を使用する脂質コーティング組成物中の脂質ベシクルの形成を評価するために実験3を実施した。この目的のために、エタノール(無水エタノール≧99.8%、VWR)中で総脂質含量の89.8mol%の脂質(A)DOPC(Avanti polar lipids)、総脂質含量の10mol%のペグ化脂質(B)DSPE−PEG2000(Avanti polar lipids)及び総脂質含量の0.2mol%の親油性化合物(C)TR−DHPE(Thermo Fisher)を50mg/mlの濃度で調製した。上述の濃厚溶液をアルゴン下、マイクロ遠心分離容器(VWR)中において−20℃で最長6週間保存した。全脂質を粉末化ストックとして注文し、アルゴン雰囲気下に保ち、−20℃で最長1年間保存した。濃厚溶液を、水溶性添加剤(D)を含む1mLの水に分注した。水溶性添加剤(D)は、0.01M HEPES(Sigma−Aldrich)、150mM NaCl(Sigma−Aldrich)及び2mM CaCl2 pH(Sigma−Aldrich)であった。濃厚溶液を、1秒以内に200の希釈係数でエアーディスプレイスメントP10マイクロピペット(Eppendorf)を使用して分注し、その後、卓上ボルテックス(labdancer、VWR)を使用して撹拌し、定常状態までボルテックスにかけた。生じた脂質コーティング組成物は、95重量%超の水を含み、(A)+(B)+(C)の0.25mg/mlの濃度を有し、動的光散乱(DLS、Nanotrac wave、Microtrac)を利用して特性化した。脂質ベシクルの平均の数重み付け直径(Mn)は、51.90±18.23nmであり、溶液は、目視観察により透明であるように見えた。結果を図3に示す。
実験4(比較):
20mol%のペグ化脂質(B)を使用する脂質コーティング組成物中の脂質ベシクルの形成を評価するために実験4を実施した。この目的のために、エタノール(無水エタノール≧99.8%、VWR)中で総脂質含量の79.8mol%の脂質(A)DOPC(Avanti polar lipids)、総脂質含量の20mol%のペグ化脂質(B)DSPE−PEG2000(Avanti polar lipids)及び総脂質含量の0.2mol%の親油性化合物(C)TR−DHPE(Thermo Fisher)を50mg/mlの濃度で調製した。上述の濃厚溶液をアルゴン下、マイクロ遠心分離容器(VWR)中において−20℃で最長6週間保存した。全脂質を粉末化ストックとして注文し、アルゴン雰囲気下に保ち、−20℃で最長1年間保存した。濃厚溶液を、水溶性添加剤(D)を含む1mLの水に分注した。水溶性添加剤(D)は、0.01M HEPES(Sigma−Aldrich)、150mM NaCl(Sigma−Aldrich)及び2mM CaCl2 pH(Sigma−Aldrich)であった。濃厚溶液を、1秒以内に200の希釈係数でエアーディスプレイスメントP10マイクロピペット(Eppendorf)を使用して分注し、その後、卓上ボルテックス(labdancer、VWR)を使用して撹拌し、定常状態までボルテックスにかけた。生じた脂質コーティング組成物は、95重量%超の水を含み、(A)+(B)+(C)の0.25mg/mlの濃度を有し、動的光散乱(DLS、Nanotrac wave、Microtrac)を利用して特性化した。脂質ベシクルの平均の数重み付け直径(Mn)は、17.11±4.62nmであり、溶液は、目視観察により透明であるように見えた。結果を図3に示す。
実験5:
異なる脂質コーティング組成物を使用する対照表面上での脂質コーティング形成及びそれらの空気中での安定性を評価するために実験5を実施した。この目的のために、96ウェルガラスボトムプレート(SensoPlates、Greiner Bio−one)を使用した。96ウェルガラスボトムプレートを300μLの2v/v% Hellmanex III(Sigma−Aldrich)のmilliQ中の溶液の1時間室温でのインキュベーションにより事前に洗浄し、その後、デミ水ですすいで、洗剤を除去した。200μLの脂質コーティング組成物 − 実験1〜4に記載の通り調製 − を少なくとも5分間インキュベートしたままにして脂質コーティングを形成し、その後、100μLのmilliQの添加及び100μLの溶液の除去による段階希釈により、milliQにより洗浄した。少なくとも16の段階希釈を実施して、脂質コーティング組成物の残りを除去した。ガラス壁を、蛍光顕微鏡法を利用して特性化した。この目的のために、光源としてのXenon X−cite 120PC及び画像取込みのためのOlympus DR70デジタルカメラを備えたOlympus倒立型IX71落射蛍光リサーチ顕微鏡を使用して、蛍光顕微鏡写真を得た。TR−DHPEを、510≦λex≦550nm及びλem>590nmを利用して画像化した。画像化後、試料を空気に曝して、商業的利用に必須である空気中での安定性を実証した。結果を図4に示す。形成のための良好な脂質コーティングは、実験1〜3で観察された。実験4は、おそらくベシクル融合によるコーティング形成を可能にしない脂質ベシクルサイズ分布のため、良好なコーティング形成を示さなかった。実験2及び3由来の脂質系コーティング組成物のみが改善された安定性を示した。
実験6:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用して、被覆されたRGPコンタクトレンズの改善された潤滑性を示すために実験6を実施した。この目的のために、2種の脂質コーティング組成物を実験2(5mol%(B))及び実験3(10mol%(B))に記載の通り使用した。結果を図5に示す。メニコンEXコンタクトレンズを使用して、斜面法を利用して改善された潤滑性を示した。メニコンEXレンズをエタノールにより洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照レンズを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートした。さらに、処理したてのメニコンEXレンズを、5mol%(B)及び10mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)で洗浄した。社内で構築した斜面システム(図5)を使用して、潤滑性改善を示した。ここで、ガラス面を0.1M NaOH溶液中で1時間洗浄し、デミ水ですすいだ。洗浄されたガラスプレートを、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)を含む緩衝液槽内に配置した。ガラスプレートの一端を針金によりステッピングモーターにつないで、ガラスプレートを引き起こし、角度を11.5度に設定した。対照メニコンEXレンズが全く動かないことが観察されたため、この角度を選択した。レンズを、凹面がガラスプレートに向くように配置した。レンズが所定位置に保たれている間、ピンセットを使用して、0.5グラムのスチールフェルールをレンズに加えた。開放すると、動きの速さを、ImageJソフトウェアを使用して実験の動画解析により推測した。結果は、より速い速度によって示される潤滑性の増加が、脂質コーティング組成物中、したがって、レンズ上の脂質コーティング中のより高いmol%の(B)と相関していることを示す。
実験7:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用する、被覆されたソフトコンタクトレンズの改善された潤滑性を示すために実験7を実施した。この目的のために、実験6の潤滑性が最も高い組成物、すなわち実験3に記載の脂質コーティング組成物(10mol%(B))を使用した。結果を図6に示す。Midafilcon Aコンタクトレンズを使用して、斜面法を利用して改善された潤滑性を示した。Midafilcon AレンズをmilliQ中で洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照レンズを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートした。さらに、処理したてのMidafilcon Aレンズを、10mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)により洗浄した。社内で構築した斜面システム(図5)を使用して、潤滑性改善を示した。ここで、ガラス面を0.1M NaOH溶液中で1時間洗浄し、デミ水ですすいだ。洗浄されたガラスプレートを、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)を含む緩衝液槽内に配置した。ガラスプレートの一端を針金によりステッピングモーターにつないで、ガラスプレートを引き起こし、角度を5.9度に設定した。対照Midafilcon Aレンズが全く動かないことが観察されたため、この角度を選択した。レンズを、凹面がガラスプレートに向くように配置した。レンズが所定位置に保たれている間、ピンセットを使用して、0.5グラムのスチールフェルールをレンズに加えた。開放すると、動きの速さを、ImageJソフトウェアを使用して実験の動画解析により推測した。結果は、最高の速度が10mol%(B)を有する脂質コーティング組成物で観察される、実験6と比べて類似の傾向を示す。
実験8:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用する、別の種類の被覆された硬質コンタクトレンズの潤滑性の改善を示すために実験8を実施した。この目的のために、実験2の組成物、すなわち5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物を使用した。結果を図7に示す。UV1コンタクトレンズを使用して、斜面法を利用して改善された潤滑性を示した。UV1レンズをmilliQ中で洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照レンズを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートした。さらに、処理したてのUV1レンズを、5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)により洗浄した。社内で構築した斜面システム(図5)を使用して潤滑性改善を示した。ここで、ガラス面を0.1M NaOH溶液中で1時間洗浄し、デミ水ですすいだ。洗浄されたガラスプレートを、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)を含む緩衝液槽内に配置した。ガラスプレートの一端を針金によりステッピングモーターにつないで、ガラスプレートを引き起こした。ここで、ステッピングモーターを使用してガラスプレートを一端で適時引き起こし、それにより角度を徐々に増加させる動的な潤滑性分析を実施した。レンズを、0度で凹面がガラスプレートに向くように配置した。0.5グラムのスチールフェルールをレンズと同時にレンズに加えた。その後、ステッピングモーターを200hzの速度で利用して、ガラスプレートを一端でゆっくりと引き起こした。実験を記録し、ImageJソフトウェアを使用して動画解析を実施した。結果は、5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物により被覆されたレンズが運動性を示すのに対して、被覆していない対照レンズが運動性を示さない、実験6及び7と比べて類似の傾向を示す。
実験9:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用する、別の種類の被覆されたソフトコンタクトレンズの潤滑性の改善を示すために実験9を実施した。この目的のために、実験2の組成物、すなわち5及び10mol%(B)を有する脂質コーティング組成物を使用した。結果を図8に示す。メニコンソフトSiHyコンタクトレンズを使用して、斜面法を利用して改善された潤滑性を示した。メニコンソフトSiHyレンズをmilliQ中で洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照レンズを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートし、2つを含める。さらに、処理したてのメニコンソフトSiHyレンズを、5及び10mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)により洗浄した。社内で構築した斜面システム(図5)を使用して潤滑性改善を示した。ここで、ガラス面を0.1M NaOH溶液中で1時間洗浄し、デミ水ですすいだ。洗浄されたガラスプレートを、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)を含む緩衝液槽内に配置した。ガラスプレートの一端を針金によりステッピングモーターにつないで、ガラスプレートを引き起こした。ここで、ステッピングモーターを使用してガラスプレートを一端で適時引き起こし、それにより角度を徐々に増加させる動的な潤滑性分析を実施した。レンズを、0度で凹面がガラスプレートに向くように配置した。0.5グラムのスチールフェルールをレンズと同時にレンズに加えた。その後、ステッピングモーターを200hzの速度で利用して、ガラスプレートを一端でゆっくりと引き起こした。実験を記録し、ImageJソフトウェアを使用して動画解析を実施した。結果は、脂質コーティング組成物により被覆されたレンズが改善された潤滑性を有する、実験6〜8と比べて類似の傾向を示す。硬質コンタクトレンズでの実験6の結果と同様に、メニコンソフトSiHyレンズに対して最も潤滑性が高い組成物は、10mol%(B)であり、それに続いて5mol%(B)であった。
実験10:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用する、被覆された硬質コンタクトレンズのストレステスト状態における細菌に対する防汚特性を示すために実験10を実施した。この目的のために、実験2の組成物、すなわち5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物を使用した。結果を図9に示す。メニコンZコンタクトレンズを使用して、被覆されたコンタクトレンズの防汚特性を示した。細菌株及びORN208を一晩LB培地中において、テトラサイクリンを選択的抗生物質として使用して成長させた。次いで、これらを5000gで10分間回転させ、上清を廃棄した。細菌を遠心分離及び再懸濁により10×10-3M HEPES、137×10-3M NaCl、pH 7緩衝液によって2回洗浄した。最後に、細菌をこの緩衝液中で再構成し、600nmでのその光学濃度を測定し、1.0、細菌溶液に設定した。メニコンZコンタクトレンズをmilliQ中で洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照レンズを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートした。さらに、処理したてのメニコンZコンタクトレンズを、5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)により洗浄した。対照及び被覆されたメニコンZコンタクトレンズを細菌溶液中で2時間インキュベートして、コンタクトレンズの細菌付着を促進した。その後、レンズを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中で洗浄し、Hoechst(0.1μg/ml)DNA染色を使用して染色した。蛍光顕微鏡法(Olympus IX−71)を利用して試料を画像化し、付着した細菌細胞を、ImageJソフトウェアを使用して数えた。データを図9に表し、被覆されたメニコンZコンタクトレンズは、細菌付着の95%超の減少を示した。
実験11:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用する、被覆されたカテーテルの改善された潤滑性を示すために実験11を実施した。この目的のために、実験2の組成物、すなわち5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物を使用した。結果を図10に示す。CVCカテーテルを使用して、被覆後の潤滑性の改善を示した。CVCカテーテルをmilliQ中で洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照CVCカテーテルを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートした。さらに、処理したてのCVCカテーテルを、5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)により洗浄した。カテーテルをシリコンセプタムのピンホールに通して、荷重計を使用して引いた。100サイクル後、負荷力を記録した。要求される負荷力の20%減少が、被覆されたCVCカテーテル試料に観察され、改善された潤滑性を示した。
実験12:
コンタクトレンズ上に脂質コーティングをもたらす脂質コーティング組成物を使用する、被覆されたカテーテルの改善された血液適合性を示すために実験12を実施した。この目的のために、実験2の組成物、すなわち5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物を使用した。結果を図11に示す。CVCカテーテルを使用して、被覆後の血液適合性の改善を示した。CVCカテーテルをmilliQ中で洗浄し、乾燥させ、酸素プラズマにより60秒間40ワットで処理した(Plasma Prep II、SPI supplies)。対照CVCカテーテルを0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)中でインキュベートした。さらに、処理したてのCVCカテーテルを、5mol%(B)を有する脂質コーティング組成物中で30分間インキュベートし、その後、0.01M PBS緩衝液(Sigma−Aldrich)により洗浄した。カテーテルを血流回路中でTATアッセイに付し、トロンビン−アンチトロンビン−複合体(TAT)の量を定量化した。TAT複合体形成の45%減少が、被覆されたCVCカテーテル試料に観察され、改善された血液適合性を示した。
実験13(比較):
異なる脂質コーティング組成物を使用する対照表面上での脂質コーティング形成及びそれらの空気中での安定性を評価するために実験13を実施した。この目的のために、4種の脂質コーティング組成物、すなわち総脂質含量の0.1、0.2、1.0及び2.5mol%の脂質(B)DSPE−PEG2000(Avanti polar lipids)(B);並びにそれぞれ総脂質含量の99.7、99.6、98.8及び97.3mol%の脂質(A)DOPC(Avanti polar lipids);並びに総脂質含量の0.2mol%の親油性化合物(C)TR−DHPE(Thermo Fisher)をエタノール(無水エタノール≧99.8%、VWR)中において50mg/mlの濃度の濃度で調製した。上述の濃厚溶液をアルゴン下、マイクロ遠心分離容器(VWR)中において−20℃で最長6週間保存した。全脂質を粉末化ストックとして注文し、アルゴン雰囲気下に保ち、−20℃で最長1年間保存した。濃厚溶液を、水溶性添加剤(D)を含む1mLの水に分注した。水溶性添加剤(D)は、0.01M HEPES(Sigma−Aldrich)、150mM NaCl(Sigma−Aldrich)及び2mM CaCl2 pH(Sigma−Aldrich)であった。濃厚溶液を、1秒以内に200の希釈係数でエアーディスプレイスメントP10マイクロピペット(Eppendorf)を使用して分注し、その後、卓上ボルテックス(labdancer、VWR)を使用して撹拌し、定常状態までボルテックスにかけた。生じた脂質コーティング組成物は、95重量%超の水を含み、(A)+(B)+(C)の0.25mg/mlの濃度を有し、動的光散乱(DLS、Nanotrac wave、Microtrac)を利用して特性化した。脂質ベシクルの平均の数重み付け直径(Mn)を図12に示し、脂質ベシクル形成が達成され、溶液は、目視観察により透明であるように見えた。前記組成物の空気中での安定性を試験するために、96ウェルガラスボトムプレート(SensoPlates、Greiner Bio−one)を使用し、被覆した。96ウェルガラスボトムプレートを300μLの2v/v% Hellmanex III(Sigma−Aldrich)のmilliQ中の溶液の1時間室温でのインキュベーションにより事前に洗浄し、その後、デミ水ですすいで、洗剤を除去した。200μLの脂質コーティング組成物を少なくとも5分間インキュベートしたままにして脂質コーティングを形成し、その後、100μLのmilliQの添加及び100μLの溶液の除去による段階希釈により、milliQにより洗浄した。少なくとも16の段階希釈を実施して、脂質コーティング組成物の残りを除去した。ガラス壁を、蛍光顕微鏡法を利用して特性化した。この目的のために、光源としてのXenon X−cite 120PC及び画像取込みのためのOlympus DR70デジタルカメラを備えたOlympus倒立型IX71落射蛍光リサーチ顕微鏡を使用して、蛍光顕微鏡写真を得た。TR−DHPEを、510≦λex≦550nm及びλem>590nmを利用して画像化した。画像化後、試料を空気に曝して、商業的利用に必須である空気中での安定性を実証した。結果を表1に示す。形成のための良好な脂質コーティングが全組成物で観察された(乾燥/脱水前)。上述の脂質系コーティング組成物のいずれも改善された安定性を示さず、乾燥/脱水後にコーティングの分解を示した。
Figure 2021514816

Claims (15)

  1. 医療機器を被覆するための脂質系コーティング組成物の使用であって、前記コーティング組成物は、
    a.脂質ベシクルであって、
    i.85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);
    ii.5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);
    iii.任意選択で、0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)
    からなる脂質ベシクル;
    b.0〜5重量%の水溶性添加剤(D);及び
    c.少なくとも95重量%の水
    を含み、
    脂質ベシクルは、50〜140nmの数平均サイズ(動的光散乱によって測定)を有し、
    脂質ベシクル濃度は、0.025mg/ml〜2mg/mlの範囲であり、
    脂質(A)、(B)及び(C)のmol%は、前記脂質系コーティング組成物中の脂質(A)+(B)+(C)の総モル量に対して計算され、水溶性添加剤(D)の重量%は、前記組成物全体の重量に対して計算され、前記医療機器は、コンタクトレンズ、カテーテル及び医療用インプラントから選択される、使用。
  2. 前記医療機器は、コンタクトレンズである、請求項1に記載の使用。
  3. リン脂質(A)は、1,2−ジデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DDPC)、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)、1,2−ジエルコイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DEPC)、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン及び1−パルミトイル−2−(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンなどのジインPC脂質から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
  4. リン脂質(A)は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 前記リン脂質(A)は、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
  6. ペグ化リン脂質Bは、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350](DSPE−PEG350)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550](DSPE−PEG550)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750](DSPE−PEG750)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000](DSPE−PEG1000)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG2000)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−3000](DSPE−PEG3000)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](DSPE−PEG5000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350](DSPE−PEG350)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550](DSPE−PEG550)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750](DSPE−PEG750)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000](DSPE−PEG1000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG2000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−3000](DSPE−PEG3000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](DSPE−PEG5000)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−350](DSPE−PEG350)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−550](DSPE−PEG550)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−750](DSPE−PEG750)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−1000](DSPE−PEG1000)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG2000)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−3000](DSPE−PEG3000)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000](DSPE−PEG5000)からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
  7. ペグ化リン脂質Bは、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DPPE−PEG2000)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DOPE−PEG2000)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 親油性化合物(C)は、ホスファチジン酸誘導体、ホスファチジルグリセロール誘導体、ホスファチジルエタノールアミン誘導体、ホスファチジルセリン誘導体、天然リン脂質誘導体、ステロール、コレステロール、デスモステロール、ラノステロール及びステロールの誘導体、ポリグリセリン−リン脂質、官能化リン脂質、末端活性化リン脂質)、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチル−サルフェート(DOTAP)、タンパク質、ペプチド、両親媒物質、イオン性ポリマー、糖分子、酵素並びに医薬成分から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記水溶性添加剤(D)は、塩、緩衝剤、(ポリ)電解質及び錯化剤の群から選択され、好ましくは、水溶性添加剤(D)は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、HEPES、NaCl2及びCaCl2から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
  10. 基材上に脂質コーティングを調製するための、又は基材上の脂質コーティングの欠陥を修復するために使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
  11. 脂質系コーティングを含む医療機器であって、前記コーティングは、
    a.85〜95mol%の、ホスファチジルコリン基を有するリン脂質(A);
    b.5〜12mol%のペグ化リン脂質(B);
    c.0〜3mol%の、脂質(A)及び(B)以外の親油性化合物(C)
    からなる、医療機器。
  12. リン脂質(A)は、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)からなる群から選択される、請求項11に記載の医療機器。
  13. ペグ化リン脂質Bは、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DPPE−PEG2000)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DOPE−PEG2000)からなる群から選択される、請求項11又は12に記載の医療機器。
  14. 前記脂質コーティングは、(総脂質含量の)85〜95mol%の1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)と、(総脂質含量の)5〜12mol%の、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](DOPE−PEG2000)などのペグ化リン脂質と、0〜3mol%の親油性化合物(C)とを含む、請求項11に記載の医療機器。
  15. コンタクトレンズ又はカテーテル、好ましくはコンタクトレンズである、請求項11〜14のいずれか一項に記載の医療機器。
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