JP2021512075A - 一過性受容体電位a1イオンチャネルの阻害 - Google Patents

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JP2021512075A JP2020540807A JP2020540807A JP2021512075A JP 2021512075 A JP2021512075 A JP 2021512075A JP 2020540807 A JP2020540807 A JP 2020540807A JP 2020540807 A JP2020540807 A JP 2020540807A JP 2021512075 A JP2021512075 A JP 2021512075A
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Abstract

本発明は、疼痛、呼吸器状態の治療のための、ならびに一過性受容体電位A1イオンチャネル(TRPA1)を阻害するための、式(I)の薬学的化合物またはその薬学的に許容される塩、またはそれらの組成物、およびそれらを使用する方法に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる2018年1月31日出願の米国仮出願第62/624,276号の全体が参照により組み込まれ、利益および優先権を主張する。
本発明は、疼痛、呼吸器状態の治療のための、ならびに一過性受容体電位A1イオンチャネル(TRPA1)を阻害するための、薬学的化合物、組成物、および方法に関する。
一過性受容体電位A1(本明細書では、「TRPA1」)は、ヒトにおける痛覚に関連する非選択的カチオンチャネルである。TRPA1は、感覚ニューロンで見られ、有害化学物質、組織損傷、および炎症の検出を疼痛と結び付けるのに役立つ検出器として機能する。TRPA1の活性化は、侵害受容ニューロンの発射を誘発し、脊髄中の中枢性感作を引き起こすことによって疼痛を引き起こすと考えられている。TRPA1刺激はまた、感覚ニューロンの発射を増加し、NK−A、サブスタンスP、およびCGRP(血管拡張を誘発し、免疫細胞を動員するのに役立つ)等の炎症促進性神経ペプチドの放出をもたらし得る。炎症時に生成される種々の内因性反応性化合物(リポソーム過酸化時に放出される4−ヒドロキシノネナール、COX酵素によって合成されるシクロペンタンプロスタグランジン、酸化ストレスによって生成される過酸化水素を含む)が、TRPA1を活性化する。TRPA1の活性化はまた、低温に対してTRPA1を感作する。さらに、TRPA1における機能獲得の突然変異は、家族性エピソード性疼痛症候群を引き起こし、この状態に苦しんでいる患者は、低温によって引き起こされ得るエピソード性疼痛を有する。したがって、TRPA1は、神経損傷に関連する疼痛、冷感異痛症、および炎症性疼痛の一因となると考えられている。
TRPA1イオンチャネルを阻害する化合物は、例えば、TRPA1イオンチャネルの阻害によって改善、排除、または予防される状態の治療に有用であり得る。例えば、TRPA1を阻害する薬学的組成物は、疼痛を治療するために使用され得る。TRPA1の阻害(例えば、遺伝子破壊および化学的拮抗作用による)は、マウスおよびラットにおける疼痛挙動の低減を生じることが示されている。機能的なTRPA1を欠いているノックアウトマウスは、TRPA1活性化因子(AITC、ホルマリン、アクロレイン、4−ヒドロキシノネナールを含む)に対する侵害受容性反応が減少し、加えて、炎症性メディエーターブラジキニンに反応する熱的および機械的過敏性が大幅に低減している(例えば、Kwan,K.Y.et al.Neuron 2006,50,277−289、Bautista,D.M.et al.Cell 2006,124,1269−1282)。動物疼痛モデルでは、遺伝子特異的なアンチセンスによるTRPA1発現の下方制御は、炎症および神経損傷によって誘発される低温痛覚過敏症を予防および回復させた(例えば、Obata,K.et al.,Journal of Clinical Investigation 2005,115,2393−2401、Jordt,S.E.et al.,Nature 2004,427,260−265、Katsura,H.et al.,Exploratory Neurology 2006,200,112−123を参照のこと)。TRPA1阻害剤化合物は、種々の齧歯類疼痛モデルにおいて有効である。TRPA1阻害剤は、完全フロイントアジュバントによって誘発される炎症後の機械的過敏性および冷感異痛を低減し(未処置の動物における正常な冷覚を変えることなく)、また、ラットモノヨード酢酸変形性関節症モデルにおいて機能を改善することも示されている。Materazzi,S et al.,European Journal of Physiology 2012,463(4):561−9、Wei H et al.,Anesthesiology 2012,117(1):137−48、Koivisto,A et al.,Pharmacol Res.2012,65(1):149−58.TRPA1阻害剤化合物は、AITC(からし油)、ホルマリン、桂皮アルデヒド、アクロレイン、および他のTRPA1活性化因子を注射された齧歯類における疼痛挙動の低減を実証している。TRPA1阻害剤化合物はまた、齧歯類における術後疼痛(例えば、Wei et al.,Anesthesiology 2012,117(1):137−48を参照のこと)、化学療法誘発性末梢神経障害(例えばTrevisan,et al..,Cancer Res.2013 May 15;73(10):3120−31 Online March 11,2013を参照のこと)、および疼痛を伴う糖尿病性神経障害(例えばKoivisto et al.,Pharmacol Res(2011)を参照のこと)における効力も実証している。
本発明は、式Iの化合物であって、
Figure 2021512075
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、NまたはCHであり、
が、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)N(R、−C−Cアルキル−CN、−C−Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、それらの各々が(R1−7で置換されており、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、任意選択で(R1−3で置換されているヘテロアリールであり、
が、独立して、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル(heterarylalkyl)、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRが一緒に原子に結合し、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
が、H、CHD、CHD、またはCDである、化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、式IIの化合物:
Figure 2021512075
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、NまたはCHであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、任意選択で(R1−3で置換されているヘテロアリールであり、
が、独立して、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRが一緒に原子に結合し、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、H、CD、またはC−Cアルキルである、化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、式IIIの化合物:
Figure 2021512075
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、NまたはCHであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRが一緒に原子に結合し、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
が、H、CD、またはC−Cアルキルである、化合物を提供する。
本発明は、式(I)の化合物、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む組成物をさらに提供する。
本明細書に記載の化合物および組成物は、対象における様々な障害を治療するために使用することができる。例えば、対象におけるTRPA1媒介性障害を治療する方法等の治療方法が本明細書に記載されており、本方法が、有効量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。対象における疼痛を治療する方法もまた、本明細書に記載されており、本方法が、有効量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。例示的な種類の疼痛としては、神経因性疼痛、例えば、疼痛を伴う糖尿病性神経障害、化学療法誘導性末梢神経障害、腰痛、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、坐骨神経痛、および複合性局所疼痛症候群;例えば、リウマチ性関節炎、骨関節炎、顎関節症(temperomandibular disorder)からの炎症性疼痛;PDNまたはCIPN;例えば、膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、子宮内膜症、骨盤痛、およびアンギナからの内臓痛;癌性疼痛、火傷性疼痛、口腔内疼痛、圧挫および損傷によって誘発された疼痛、切開疼痛、骨痛、鎌状赤血球病に伴う疼痛、線維筋痛、および筋骨格系疼痛のような群から選択される疼痛;または痛覚過敏症もしくは異痛症からの疼痛が挙げられる。
本発明は、式Iの化合物であって、
Figure 2021512075
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、NまたはCHであり、
が、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)N(R、−C−Cアルキル−CN、−C−Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、それらの各々が(R1−7で置換されており、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、任意選択で(R1−3で置換されているヘテロアリールであり、
が、独立して、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRが一緒に原子に結合し、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
が、H、CHD、CHD、またはCDである、化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシルエチル、ケトペンチル、ヒドロキシメチル、ピリジニルメチル、オキサゾリルメチル、メチルイソオキサゾリルメチル、オキセタニルメチル、オキサジアゾリルメチル、メチルオキサジアゾリルメチル、メトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、メトキシケトプロピル、ケトメチルブチル、ケトプロピル、ケトブチル、アセトアミド、シアノメチル、メチルアセトアミド、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、またはブチニルである。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
である。
いくつかの実施形態では、任意選択で、Rは、(R1−4で置換されているヘテロアリールアルキルである。
いくつかの実施形態では、任意選択で、Rは、(R1−2で置換されている1,2,4オキサジアゾリルメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
である。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、任意選択で、Rは、(R1−3で置換されている6員単環式ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、またはピリダジニルであり、それらの各々は、(R1−2で置換されている。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
である。
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、H、ピロリジニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ハロ、メチル、イソプロピル、シアノ、プロピル、エチル、アザビシクロヘキシル、ジフルオロアザビシクロヘキシル、メトキシ、メトキシエチル、ジアルキルアミノ、またはエトキシであり、それらの各々は、任意選択で(R1−3で置換されている。
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075
である。
いくつかの実施形態では、Rは、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、CFである。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
であり、Rは、CFである。
いくつかの実施形態では、Rは、H、メチル、エチル、またはCFである。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、CDである。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
であり、
は、Hまたはメチルであり、
は、
Figure 2021512075
であり、
は、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075
であり、
は、Hまたはメチルであり、
は、H、メチル、エチル、またはCFであり、
は、HまたはCDである。
いくつかの実施形態では、Xは、Nである。
いくつかの実施形態では、Xは、CHである。
いくつかの実施形態では、任意選択で、Rは、(R1−2で置換されている−CH−ヘテロアリールであり、
任意選択で、Rは、(R1−3で置換されている6員のヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、
は、任意選択で1つのRで置換されている−CH−ヘテロアリールであり、
は、メチルであり、
は、Hであり、
は、
Figure 2021512075
であり、
は、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075
であり、
は、Hまたはメチルであり、
は、H、メチル、エチル、またはCFであり、
は、HまたはCDである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ia)の化合物である:
Figure 2021512075
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib)の化合物である:
Figure 2021512075
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ic)の化合物である:
Figure 2021512075
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
Figure 2021512075
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
Figure 2021512075
別の態様では、本発明は、式IIの化合物:
Figure 2021512075
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、NまたはCHであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、任意選択で(R1−3で置換されているヘテロアリールであり、
が、独立して、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRが一緒に原子に結合し、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、H、CD、またはC−Cアルキルである、化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、任意選択で、Rは、(R1−3で置換されている6員単環式ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、またはピリダジニルであり、それらの各々は、(R1−2で置換されている。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
である。
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、H、ピロリジニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ハロ、メチル、イソプロピル、シアノ、プロピル、エチル、アザビシクロヘキシル、ジフルオロアザビシクロヘキシル、メトキシ、メトキシエチル、ジアルキルアミノ、またはエトキシであり、それらの各々は、任意選択で(R1−3で置換されている。
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075
である。
いくつかの実施形態では、Rは、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、CFである。
いくつかの実施形態では、Rは、
Figure 2021512075
であり、Rは、CFである。
いくつかの実施形態では、Rは、H、メチル、エチル、またはCFである。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、
は、Hまたはメチルであり、
は、
Figure 2021512075
であり、
は、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075
であり、
は、Hまたはメチルであり、
は、H、メチル、エチル、またはCFであり、
は、HまたはC−Cアルキルであり、
は、メチルである。
いくつかの実施形態では、Xは、Nである。
いくつかの実施形態では、Xは、CHである。
いくつかの実施形態では、
は、メチルであり、
は、Hであり、
は、
Figure 2021512075
であり、
は、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075
であり、
は、Hまたはメチルであり、
は、H、メチル、エチル、またはCFであり、
は、C−Cアルキルであり、
は、メチルである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IIa)の化合物である:
Figure 2021512075
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
Figure 2021512075
別の態様では、本発明は、式IIIの化合物:
Figure 2021512075
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Xは、NまたはCHであり、
が、HまたはC−Cアルキルであり、
が、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRが一緒に原子に結合し、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
が、H、CD、またはC−Cアルキルである、化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、H、ピロリジニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ハロ、メチル、イソプロピル、シアノ、プロピル、エチル、アザビシクロヘキシル、ジフルオロアザビシクロヘキシル、メトキシ、メトキシエチル、ジアルキルアミノ、またはエトキシであり、それらの各々は、任意選択で(R1−3で置換されている。
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075

または−OCHである。
いくつかの実施形態では、Rは、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、−CFである。
いくつかの実施形態では、Rは、H、メチル、エチル、または−CFである。
いくつかの実施形態では、
は、Hまたはメチルであり、
は、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
Figure 2021512075

または−OCHであり、
は、メチルである。
いくつかの実施形態では、Xは、Nである。
いくつかの実施形態では、Xは、CHである。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IIIa)の化合物である:
Figure 2021512075
いくつかの実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される:
Figure 2021512075
さらに別の態様では、本発明は、本開示の少なくとも1つの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物中に含む薬学的組成物を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、医薬品として使用するための本開示の化合物を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、対象におけるTRPA1媒介性障害の治療に使用するための、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、TRPA1媒介性障害は、疼痛、炎症性疾患、皮膚障害、および呼吸器状態からなる群から選択される。
さらに別の態様では、本発明は、式:
Figure 2021512075
の化合物であって、化合物が、95%超の純度のもの、またはその薬学的に許容される塩である、化合物を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、式:
Figure 2021512075
の化合物であって、化合物が、95%超の純度のものである、化合物を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、式:
Figure 2021512075
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物中に含む、薬学的組成物を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、式:
Figure 2021512075
の化合物を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物中に含む、薬学的組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、経口投与用である。
さらに別の態様では、本発明は、有効量の以下の式の化合物を投与することを含む、対象の疼痛を治療する方法を提供する:
Figure 2021512075
である請求項2に記載された化合物またはその薬学的に許容される塩。
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の式のものである:
Figure 2021512075
ある特定の実施形態では、式(I)、(II)、または(III)の例示的な化合物としては、表1および実施例に記載の化合物が挙げられる。
Figure 2021512075
Figure 2021512075
本開示は、その用途において、本明細書に記載の方法および組成物の詳細に限定されない。また、本明細書で使用される語法および専門用語は、説明目的のためであって、限定と見なされるべきではない。
化学的定義
本出願における様々な箇所で、本発明の化合物の置換基は、群内または範囲内で開示されている。本発明は、かかる群および範囲の成員の各々およびすべての個々の下位組み合わせを含むものとして、具体的に意図されている。例えば、「C1−6アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびペンチルを個々に開示するように具体的に意図されている。
変数が2回以上現われる本発明の化合物については、各変数は、その変数を定義するマルクーシュ群の中から選択される異なる部分であり得る。例えば、同じ化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造が記述されている場合、2つのR基は、Rについて定義されたマルクーシュ群から選択された異なる部分を表すことができる。
明確にするために、別々の実施形態の文脈において記述されている本発明のある特定の特長を単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることがさらに理解される。逆に、簡略さのために単一の実施形態の文脈において記述されている本発明の様々な特長は、別々にまたはいずれかの好適な下位組み合わせで提供され得る。
本発明の化合物を化学名形式および式として示す場合において、矛盾する場合、式が優先するものとする。
アスタリスクは、部分式において、定義するコア分子に接続する結合を示すのに使用することができる。
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記されない限り、直鎖または分岐鎖を意味し、任意選択で指定された多数の炭素原子を有し得る(すなわち、C−Cは、1〜6個の炭素を意味する)。飽和炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル等の同族体および異性体等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含有し、2〜6個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の炭化水素であり得る(すなわち、C−Cアルケニル)。アルケニル基の例としては、エテニル(すなわち、ビニル)、プロパ−1−エニル(すなわち、アリル)、ブタ−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖のアルコキシ基(例えば、C1−C6アルキル−O−)であり得る(すなわち、C−Cアルコキシ)。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、またはヘキシルオキシ等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、2〜6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの三重結合を含有する、直鎖または分岐鎖の炭化水素であり得る(すなわち、C−Cアルキニル)。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「アミド(amide)」または「アミド(amido)」は、式−C(O)NR−または−NRC(O)−(式中、Rが、HまたはC−Cアルキルである)を有する化学的部分を指す。
本明細書で使用される場合、「アミノ」または「アミン」は、−NHラジカル基を指す。
本明細書で使用される場合、「アリール」は、6〜12個の炭素原子を有する、一緒に融合または共有結合している単環または多環(例えば、1〜2環)であり得る、多価不飽和芳香族炭化水素部分を指す(すなわち、C−C12アリール)。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、および4−ビフェニル等が含まれる。
本明細書で使用される場合、「アリールアルキル」は、アリールおよびアルキル部分が本明細書に開示の通りである、(アリール)アルキル−ラジカルを指す。
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」は、アリール部分が本明細書で定義されているとおりである、−O−(アリール)を指す。
本明細書で使用される場合、「アリールアルコキシ」は、アリールアルキル部分が本明細書で定義されているとおりである、−O−(アリールアルキル)を指す。
本明細書で使用される場合、「シアノ」は、−CNラジカルを指す。
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、炭素および水素のみを含有し、飽和または部分的に不飽和であり得る単環式または多環式ラジカルを指す。シクロアルキル基としては、3〜10環原子を有する基が挙げられる(すなわち、C−C10シクロアルキル)。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロセプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニル等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、独立して、または別の置換基の一部としての、特に明記されない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。「ハロゲン化物」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部としての、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を指す。
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」としては、1つ以上のハロ基またはそれらの組み合わせで置換されているアルキルおよびアルコキシ構造を挙げることができる。例えば、「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」という用語としては、それぞれ、ハロがフッ素であるハロアルキル基およびハロアルコキシ基が挙げられる(例えば、−C−Cアルキル−CF3、−O−C−Cアルキル−CHF)。ハロアルキルの非限定的な例としては、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、トリフルオロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、およびフルオロイソプロピルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含み、単環式または二環式の環系であり得る、5〜14員芳香族ラジカルを指す(例えば、C−C13ヘテロアリール)。多環式ヘテロアリール基は、融合または非融合であってもよい。ヘテロアリールラジカルにおけるヘテロ原子(複数可)は、任意選択で酸化されている。存在する場合、1つ以上の窒素原子は、任意選択で四級化されている。ヘテロアリールは、環(複数可)の任意の原子を通して分子の残りに結合されている。「ヘテロアリール」という用語は、すべての可能な異性体形態を含むよう意図されている。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(フラニル)、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、2〜12個の炭素原子、ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜6個のヘテロ原子を含む、安定な3〜18員非芳香族の単環式、二環式、または三環式環ラジカルであり得る。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、アゼチジニル、アザビシクロヘキシル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリールおよびアルキル部分が本明細書に開示の通りである(ヘテロアリール)アルキル−ラジカルを指す。
本明細書で使用される場合、「ヘーテルアリールオキシ(heteraryloxy)」は、ヘテロアリール部分が本明細書で定義される通りである−O−(ヘテロアリール)を指す。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」は、(ヘテロシクリル)アルキル部分を指し、2〜12個の炭素原子、ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜6個のヘテロ原子を含む、安定な3〜18員非芳香族の環部分であり得る。ヘテロシクロアルキル基の例としては、本明細書で定義される通りである1つ以上のアルキル部分に共有結合している、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHを指す。
本明細書で使用される場合、「ニトロ」は、−NOを指す。
本明細書で使用される場合、「ケト」は、−C=Oを指す。
上で示した用語のうちの多くは、式または基の定義で、および上で示した意味のうちの1つを有する各事例で、互いに独立して、繰り返し使用され得る。
本明細書で使用される場合、「置換されている」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むことを企図している。広範な態様では、許容可能な置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基(例えば、それら自体のうちのいずれかがさらに置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、)、ならびにハロゲン、カルボニル(例えば、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボキシル、またはホルミル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオカルボキシレート、またはチオホルメート)、アミノ、−N(R)(R)(式中、各RおよびRが、独立して、HまたはC−Cアルキルである)、シアノ、ニトロ、−SON(R)(R)、−SOR、およびS(O)(式中、各R、R、およびRが、独立して、HまたはC−Cアルキルである)が挙げられる。例示的な置換基としては、例えば、本明細書に上述のものが挙げられる。許容可能な置換基は、1つ以上であり、適切な有機化合物に対して同じか、または異なり得る。本発明の目的のために、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基、および/または、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の任意の許容可能な有機化合物の置換基を有し得る。本発明は、許容可能な有機化合物の置換基によっていかなる様式でも限定されることを意図されていない。
「置換」または「で置換される」は、かかる置換が、置換される原子と置換基の許容価に従ったものであり、置換が、例えば、転位、環化、排除等により自発的変換を受けない安定な化合物を生じる暗黙の但し書きを含むことが理解されるであろう。
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、およびメタンスルホニルを表す。有機化学の当業者により利用されている略語のより包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の創刊号に掲載されており、このリストは、典型的に、Standard List of Abbreviationsと題される表に提示されている。当該リストに含まれる略語、および有機化学の当業者により利用されているすべての略語は、参照により本明細書に組み込まれる。
上述の化合物の企図される同等物は、上述の化合物に対応し、その同じ一般的な特性(例えば、TRPA1活性を阻害する能力)を有し、化合物の効力に悪影響を及ぼさない1つ以上の単純な変化が置換基に行われた化合物を含む。一般に、本発明の化合物は、例えば、下記の一般の反応スキームに示されている方法によって、またはその変形によって、容易に入手可能な出発物質、試薬および従来の合成手順を使用して、調製することができる。これらの反応では、それら自体が既知であるが、本明細書に記載されていない変形を使用して行うことも可能である。
本発明の目的では、化学元素は、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics,67th Ed.,1986−87の裏表紙に記載の元素周期表に従って同定される。また、本発明の目的において、「炭化水素」という用語は、少なくとも1つの水素および1つの炭素原子を有するすべての許容可能な化合物を含むように企図されている。広範な態様では、許容可能な炭化水素は、非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の有機化合物を含み、これは置換または非置換であってもよい。
定義
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、その冠詞の文法上の目的語のうちの1つまたは2つ以上(例えば少なくとも1つ)を指す。
「約」および「およそ」は、一般に、測定の性質または精度を想定して、測定された量に対する誤差の許容可能な程度を意味するものである。典型的には、例示的な誤差の程度は、所定の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、10%以内、より典型的には、5%以内である。
本明細書で使用される場合、障害(例えば、本明細書に記載の障害)を治療するのに有効な化合物または組み合わせの量、「治療有効量」、「有効量」、または「有効経過」は、対象への単回または複数回用量投与(複数可)時、対象を治療する際に、または障害(例えば、本明細書に記載の障害)を有する対象を治癒、緩和、軽減、もしくは改善する際に、かかる治療の不在下で予想されるものを上回って有効な化合物または組み合わせの量を指す。
上述のように、化合物のある特定の実施形態は、アミノまたはアルキルアミノ等の塩基性官能基を含有してもよく、したがって、薬学的に許容される酸を用いて薬学的に許容される塩を形成することが可能である。この点において「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に開示の化合物の比較的無毒の無機および有機酸付加塩を指す。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中にその場で、または遊離塩基形態の精製化合物を別々に好適な有機酸または無機酸と反応させ、こうして形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩としては、臭酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、ヒドロキシマレイン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、グルコヘプトネート、ラクトビオネート、およびラウリルスルホネート塩等が挙げられる(例えば、Berge et al.(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと。)
別の場合では、本明細書に開示の化合物は、1つ以上の酸性官能基を含有してもよく、したがって、薬学的に許容される塩基を用いて薬学的に許容される塩を形成することが可能である。これらの例では、「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に開示の化合物の比較的無毒の無機および有機塩基添加塩を指す。これらの塩は同様に、化合物の最終単離および精製中にその場で、または遊離酸形態の精製化合物を別々に、薬学的許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩等の好適な塩基、アンモニア、または薬学的に許容される有機1級、2級、もしくは3級アミンと反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、障害を、治癒(cure)、治癒(heal)、緩和、軽減、変化、処置、改善(ameliorate)、改善、または影響を及ぼす目的で、対象、例えば、障害(例えば、本明細書に記載の障害)、障害の症状、または障害を有しやすい対象に、単独でまたは追加の薬剤と組み合わせた、化合物の適用または投与を指す。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むように意図されている。例示的なヒト対象としては、障害、例えば、本明細書に記載の障害を有するヒト対象が挙げられる。本発明の「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(ニワトリ、両生類、爬虫類等)、ならびに非ヒト霊長類、家畜化されたおよび/または農業的に有用な動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ等の哺乳動物が挙げられる。
「アンタゴニスト」および「阻害剤」という用語は、TRPA1等のイオンチャネルの活性を抑制するため等の生物学的活性を減少させるまたは抑制する薬剤を指すために同義的に使用される。TRPA1阻害剤としては、本明細書に開示の構造および/または機能特性の任意の組み合わせを有する阻害剤が挙げられる。
例えば、TRPA1アンタゴニストの「有効量」は、阻害または治療する主題の方法に関して、望ましい投与計画の一部として適用されると望ましい臨床または機能結果をもたらす、調製物中のアンタゴニストの量を指す。理論によって拘束されるものではないが、本発明の方法で使用するTRPA1アンタゴニストの有効量としては、TRPA1チャネルのインビトロまたはインビボでの1つ以上機能を減少させるために有効なTRPA1アンタゴニストの量が挙げられる。例示的な機能としては、膜分極(例えば、アンタゴニストは細胞の脱分極を予防することができる)、イオン流束、細胞中のイオン濃度、外向き電流、および内向き電流が挙げられるが、これらに限定されない。TRPA1機能を拮抗する化合物としては、TRPA1のインビトロまたはインビボでの機能活性を拮抗する化合物が挙げられる。特定の機能活性がインビトロアッセイでのみ容易に観察可能であるとき、そのインビトロアッセイにおいて化合物がTRPA1機能を阻害する能力は、その化合物の活性の合理的な代理物として機能する。ある特定の実施形態では、有効量は、TRPA1に媒介される電流を阻害するために十分な量および/またはTRPA1に媒介されるイオン流束を阻害するために十分な量である。
本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、水と親化合物との結合によって形成された化合物を指す。
「予防する」という用語は、局所再発等の状態(例えば、疼痛)、癌等の疾患、心不全等の複合的症候群(syndrome complex)等の状態、または任意の他の医学的状態に関して使用されるとき、当該技術分野において十分に理解されており、組成物を受けていない対象と比較して、対象における医学的状態の症状の頻度を低減するか、またはその発症を遅延させる組成物の投与を含む。したがって、癌の予防には、例えば、予防的治療を受けている患者の集団において未治療対照集団と比較して検出可能な癌性増殖の数を低減すること、および/または未治療対照集団と比較して治療集団において検出可能な癌性増殖の出現を、例えば、統計上および/または臨床上有意な量で遅延させることが含まれる。感染の予防としては、例えば、未治療対照集団と比較して治療集団において感染の診断数を低減すること、および/または未治療対照集団と比較して治療集団において感染の症状の発症を遅延させることが挙げられる。疼痛の予防としては、例えば、未治療対照集団と比較して治療集団において対象が経験する疼痛感覚の大きさを低減すること、またあるいは遅延させることが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、溶媒和によって形成される化合物(例えば、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせによって形成される化合物)を指す。
「TRPA1」、「TRPA1タンパク質」、および「TRPA1チャネル」という用語は、本出願を通して同義的に使用される。これらの用語は、WO2007/073505号の配列番号1、配列番号3、または配列番号5に記載のアミノ酸配列、または同等のポリペプチド、またはそれらの機能的生物活性断片を含む、イオンチャネル(例えば、ポリペプチド)を指す。ある特定の実施形態では、用語は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む、それからなる、または本質的にそれらからなる、ポリペプチドを指す。TRPA1としては、TRPA1の機能を保持し、(i)配列番号1、配列番号3、または配列番号5に記載のアミノ酸配列のすべてまたは一部、(ii)1〜約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75、またはそれ以上の保守的アミノ酸置換を有する、配列番号1、配列番号3、または配列番号5に記載のアミノ酸配列、(iii)配列番号1、配列番号3、または配列番号5に対して少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(iv)それらの機能的断片を含む、ポリペプチドが挙げられる。本発明のポリペプチドはまた、配列番号1、配列番号3、または配列番号5のホモログ、例えば、オルソログおよびパラログも含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、対象における炎症性疾患を治療することを含み、本方法は、有効量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、対象における神経障害を治療することを含み、本方法は、有効量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、神経障害は、糖尿病、化学的損傷、化学療法、およびまたは外傷からのものである。
いくつかの実施形態では、本方法は、対象における皮膚障害を治療することを含み、本方法は、有効量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。例示的な皮膚科障害としては、アトピー性皮膚炎、急性掻痒症、乾癬、蕁麻疹、湿疹、発汗異常性湿疹、口腔内潰瘍、およびおむつかぶれが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本方法は、対象における呼吸器状態を治療することを含み、本方法は、有効量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。例示的な呼吸器状態としては、慢性閉塞性肺疾患等の閉塞性疾患が挙げられる。追加の例示的な呼吸器状態としては、喘息および咳が挙げられる。
本発明の別の態様は、有効量の式(I)、(II)、または(III)の化合物(またはそれらの塩、または本化合物もしくはそれらの塩の溶媒和物、水和物、酸化代謝産物もしくはプロドラッグ)、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、ヒト患者への使用または家畜への使用に好適な薬学的調製物を特長とする。本発明は、本出願において提供される疾患または状態のうちのいずれかの症状を治療または低減するための医薬品または薬学的調製物の製造における式(I)、(II)、または(III)の化合物の使用をさらに企図する。特定の疾患または状態を治療する際に使用するための式(I)、(II)、または(III)の化合物は、特定の疾患または状態に適切である経路を介した投与用に製剤化され得る。
式(I)、(II)、または(III)の化合物は、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて投与され得る。例えば、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、抗炎症剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗瘢痕剤、抗乾癬剤、抗増殖剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗敗血症剤、抗片頭痛剤、角質溶解剤、または育毛阻害剤のうちの1つ以上と組み合わせて投与され得る。
式(I)、(II)、または(III)の化合物は、局所的に、経口、経皮、直腸、膣内、非経口、鼻腔内、肺内、眼球内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、胸骨内、舌下、または吸入によって投与され得る。
いくつかの実施形態では、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、局所的に投与され得る。
いくつかの実施形態では、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、経口投与され得る。
いくつかの実施形態では、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、非経口投与され得る。
式(I)、(II)、または(III)の化合物は、本明細書に記載の障害の治療、例えば、疼痛の治療をもたらすかまたは生じる経口または非経口(例えば、静脈内)投与に好適な水溶解性を有する分子を含む。いくつかの実施形態では、本化合物は、経口投与に好適な組成物に製剤化される。本明細書に記載の式(I)、(II)、または(III)の化合物のTRPA1イオンチャネルの阻害における有効性を、実施例1の方法を使用して測定した。表2は、(実施例1の方法によって測定される)例示的な化合物のインビトロでのTRPA1阻害有効性について開示している。
式(I)、(II)、または(III)の好ましい化合物としては、約1μM未満の実施例1の方法によって得られる、TRPA1イオンチャネルをIC50値で阻害する化合物が挙げられる。
式(I)の化合物は、TRPA1イオンチャネルを阻害し得る。いくつかの実施形態では、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、治療的に有効な様式で本明細書に記載の障害(例えば、疼痛)を治療するための経口または非経口(例えば、静脈内)薬学的組成物の一部として投与され得る。
本明細書に開示のある特定の化合物は、特定の幾何学的または立体異性体の形態で存在し得る。本発明は、シスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体、ジアステレオマー、(d)−異性体、(l)−異性体、それらのラセミ体混合物、ならびにそれらの他の混合物を含むすべてのかかる化合物を企図し、それらは本発明の範囲内にある。例えば、あるキメラ中心が分子中に存在する場合、本発明は、ラセミ混合物、鏡像異性的に濃縮された混合物、および実質的に鏡像異性的にまたはジアステレオ選択的に純粋な化合物を含む。組成物は、例えば、単一鏡像異性体またはジアステレオマーを50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、または99%超、含有し得る。追加の不斉炭素原子が、置換基、例えばアルキル基中に存在してもよい。かかるすべての異性体およびそれらの混合物は、本発明中に含まれるように意図されている。
組成物の「鏡像体過剰率」または「鏡像体過剰率(%)」は、以下に示される方程式を使用して計算することができる。以下に示される例では、組成物は、一方の鏡像体、例えば、S鏡像体を90%、およびもう一方の鏡像体、すなわち、R鏡像体を10%含有する。
Figure 2021512075
したがって、一方の鏡像体を90%およびもう一方を鏡像体の10%含有する組成物は、80%の鏡像体過剰率を有すると言われる。
組成物の「ジアステレオマー過剰率」または「ジアステレオマー過剰率(%)」は、以下に示される方程式を使用して計算することができる。以下に示される例では、組成物は、一方のジアステレオマーを90%、およびもう一方のジアステレオマーを10%含有する。
Figure 2021512075
したがって、一方のジアステレオマーを90%およびもう一方のジアステレオマーを10%含有する組成物は、80%のジアステレオマー過剰率を有すると言われている。
加えて、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、式(I)、(II)、または(III)中に存在する原子の1つ以上の同位体を含み得る。例えば、式(I)、(II)、または(III)の化合物としては、H(または水素)を、H、HまたはD(重水素)、およびH(トリチウム)を含む水素のいずれかの同位体形態で置き換えたもの、Cを、12C、13C、および14Cを含む炭素のいずれかの同位体形態で置き換えたもの、Oを、16O、17O、および18Oを含む酸素の同位体形態で置き換えたもの、Nを、13N、14N、および15Nを含む窒素のいずれかの同位体形態で置き換えたもの、Pを、31Pおよび32Pを含むリンのいずれかの同位体形態で置き換えたもの、Sを、32Sおよび35Sを含む硫黄のいずれかの同位体形態で置き換えたもの、Fを、19Fおよび18Fを含むフッ素のいずれかの同位体形態で置き換えたもの、等を挙げることができる。一実施形態では、式(I)、(II)、または(III)によって表される化合物は、それらの天然に発生する存在度におけるその中の原子の異性体を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)、(II)、または(III)の化合物)は、重水素に富んでいる。
重水素(DまたはH)は、水素の安定な非放射性同位体であり、原子量は2.0144である。水素は、同位体H(水素またはプロチウム)、D(Hまたは重水素)、およびT(Hまたはトリチウム)の混合物として天然に発生する。重水素の天然存在度は、0.015%である。H原子を有するすべての化学的な化合物では、H原子は、実際にはHとDとの混合物を表し、約0.015%がDであることを、当業者は認識している。したがって、濃縮されたレベルの重水素を有する化合物が、その天然存在度である0.015%を超えると、不自然であると見なされ、その結果、濃縮されていない対応物よりも新規であるはずである。
重水素原子が既知の代謝部位に組み込まれているときでさえ、化合物の代謝特性に対する重水素の修飾による影響は予測不可能である。重水素化化合物を実際に調製および試験することによってのみ、代謝速度が非重水素化化合物の対応物のものと異なるかどうか、およびどのように異なるかを決定することができる。例えば、Fukuto et al.(J.Med.Chem.1991,34,2871−76)を参照のこと。多くの化合物は、代謝が可能な複数の部位を有する。(存在する場)重水素置換が必要な部位(複数可)、および代謝への影響を確認するために必要な重水素化の程度は、各化合物で異なるであろう。
特に明記されない限り、位置が「H」または「水素」として具体的に指定されるとき、その位置は、その天然存在度の同位体組成で水素を有すると理解される。また、特に明記されない限り、位置が「D」または「重水素」として具体的に指定されるとき、その位置は、0.015%である重水素の天然存在度よりも少なくとも3000倍高い存在度で重水素を有すると理解される(すなわち、用語「D」または「重水素」は、重水素を少なくとも45%組み込んでいることを示す)。
本明細書で使用される場合、「同位体濃縮係数」という用語は、本発明の化合物の特定の位置におけるDの同位体存在度と、その同位体の天然に発生する存在度との比を意味する。
化合物(例えば、式(I)の化合物)中に存在する重水素の量が増加すると、「重水素濃縮物」と呼ばれ、かかる化合物は、「重水素濃縮」化合物と称される。特に明記されていない場合、濃縮のパーセンテージは、化合物中に存在する重水素のパーセンテージを指す。
他の実施形態では、本発明の化合物は、少なくとも3500(52.5。%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)の化合物の重水素化の可能性がある部位で、指定された部位に存在する各重水素の同位体濃縮係数を有する。重水素化部位として指定された部位に存在する各重水素の同位体濃縮係数は、他の重水素化部位から独立していることが理解される。例えば、化合物に重水素化の部位が2つある場合、一方の部位は52.5%で重水素化され得、もう一方の部位は75%で重水素化され得る。得られる化合物は、同位体濃縮係数が少なくとも3500(52.5%)である化合物と見なされるであろう。
いくつかの実施形態では、式(I)、(II)、または(III)の化合物は、天然に発生する化合物に存在する重水素濃縮の量よりも多い量の重水素濃縮を含む。
存在する重水素の量に対して与えられるすべてのパーセンテージは、モルパーセンテージである。
実験室では、実験室規模の量の化合物(例えばミリグラム以上)の任意の1つの部位で、100%の重水素化を達成することは困難であり得る。100%の重水素化が示されている場合、または構造に重水素原子が具体的に示されている場合、わずかな割合の水素が依然存在し得ると想定される。重水素濃縮は、プロトンを重水素と交換するか、または濃縮された出発物質を用いて分子を合成することによってのいずれかで達成することができる。
本明細書に開示のある特定の化合物は、非溶媒和形態、ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に包含される。本明細書に開示のある特定の化合物は、複数の結晶形態または非晶質形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本発明によって企図される使用で同等であり、本発明の範囲内であることが意図される。
医薬組成物
式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩等の本明細書に記載の化合物を含有する薬学的組成物は、本明細書に記載の障害、例えば、対象(例えば、ヒトおよび動物)におけるTRPA1イオンチャネルの阻害に反応する障害を治療または改善するために使用することができる。
薬学的組成物中の式(I)、(II)、または(III)の化合物の量および濃度、ならびに対象に投与される薬学的組成物の量は、対象の医学関連の特徴付け(例えば、年齢、体重、性別、他の医学的状態等)、薬学的組成物中の化合物の溶解性、化合物の有効性および活性、ならびに薬学的組成物の投与様式等の、臨床的に関連する因子に基づいて選択され得る。投与経路および投薬計画のさらなる情報については、読者は、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board)、Pergamon Press 1990の5巻、25.3章を参照されたい。
本明細書に開示の化合物が単独で投与されることは可能であるが、薬学的製剤として化合物を投与することが好ましく、化合物は、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体と組み合わせられる。本明細書に開示の化合物は、ヒトまたは獣医学で使用するための任意の便利な方式で投与用に製剤化され得る。ある特定の実施形態では、薬学的調製物に含まれる化合物は、それ自体が活性であり得るか、または例えば生理学的環境において活性化合物に変換することが可能である、プロドラッグであり得る。
「薬学的に許容される」という語句は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、または妥当な利益/リスク比に見合う、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すように本明細書で用いられる。
薬学的に許容される担体の例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース、(2)デンプン、例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン、(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウ、エチルセルロース、および酢酸セルロース、(4)粉末状トラガント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤用蝋、(9)油、例えば、落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱物質無含有の水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、(21)シクロデキストリン、例えば、Captisol(登録商標)、ならびに(22)薬学的製剤において用いられる他の非毒性の適合する物質が挙げられる。
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等、(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロール等、(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が挙げられる。
固体剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末剤、顆粒剤等)としては、クエン酸ナトリウムまたはリン酸ニカルシウム等の1つ以上の薬学的に許容される担体、ならびに/または(1)充填材または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/もしくはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/もしくはアカシア、(3)湿潤剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ、もしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(5)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収加速剤、例えば、第4級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリン硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物、ならびに(10)着色剤、のうちのいずれか、を挙げることができる。
液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤を挙げることができる。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(具体的には、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタハイドロキサイド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、ならびにこれらの混合物を含有してもよい。
軟膏、ペースト剤、クリーム剤、およびゲル剤は、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはこれらの混合物を含有してもよい。
粉末剤およびスプレー剤は、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有してもよい。加えて、スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素、ならびにブタンおよびプロパン等の揮発性非置換炭化水素等の特定の通例の高圧ガスを含有してもよい。
製剤は、好都合なことに単位剤形で提示され得、薬学技術分野において周知の任意の方法で調製され得る。担体材料と組み合わせて、単位剤形を生成することができる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与モードに依存するであろう。担体材料と組み合わせて、単位剤形を生成することができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物のその量であろう。一般に、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲であろう。
本明細書に開示の薬学的組成物の錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤等の他の固体剤形は、任意選択で製薬技術分野において周知の腸溶性コーティングおよび他のコーティング等のコーティングおよびシェルを用いて与えるか、または調製することができる。これらはまた、その中の活性成分を徐放または制御放出するように、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための異なる比率のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/または微小球を使用して製剤化され得る。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくは何らかの他の無菌注射用媒体に溶解することができる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって無菌化され得る。これらの組成物はまた、任意選択で不透明化剤を含有してもよく、活性成分(複数可)のみをまたはそれを優先的に、消化管のある特定の部分で、任意選択で、遅延様式で放出する組成物のものであってもよい。使用することができる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが挙げられる。活性成分はまた、適切な場合、上述の賦形剤のうちの1つ以上を有する、マイクロカプセルの形態であってもよい。
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。活性化合物は、薬学的に許容される担体、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴射剤と無菌条件下で混合してもよい。
本明細書に開示の製剤は、デバイスを介して送達することができる。例示的なデバイスとしては、カテーテル、ワイヤ、ステント、または他の管腔内デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的な送達デバイスはまた、パッチ、絆創膏、マウスガード、または歯科用装置が挙げられる。経皮パッチは、本明細書に開示の化合物の体への制御された送達を提供するという追加された利点を有する。かかる剤形は、適切な培地中で化合物を溶解または分散させることによって作製することができる。吸収促進剤は、皮膚を横切る化合物の流束を増加させるためにも使用することができる。かかる流束の割合は、流量制御膜を提供するか、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることのいずれかによって制御することができる。
眼科用製剤、眼軟膏、点眼剤、溶液等はまた、本発明の範囲内にあるように企図されている。
場合によっては、薬物の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物吸収を遅らせることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質または非結晶質材料の液状懸濁液を使用することによって達成し得る。次いで、薬物の吸収の速度は、その溶解速度に依存し、同様に結晶サイズおよび結晶形態に依存する。あるいは、非経口投与された剤型の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。
注射可能なデポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中に対象化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する薬物の比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルソエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポー製剤はまた、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を捕捉することによっても調製される。
本明細書に開示の化合物が、医薬としてヒトおよび動物に投与されるとき、それらは、それ自体で提供することができるか、または例えば、薬学的に許容される担体と組み合わせて0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含有する薬学的組成物として与えてもよい。
製剤は、局所的に、経口、経皮、直腸、膣内、非経口、鼻腔内、肺内、眼球内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、胸骨内、または吸入によって投与され得る。
ある特定の実施形態は、TRPA1媒介電流を1マイクロモル以下のIC50で阻害する薬剤と、シロップ、エリキシル剤、懸濁液、スプレー、ロゼンジ、チュアブルロゼンジ、粉末剤、およびチュアブル錠剤からなる群から選択される水性系液体または口内で溶解する固体の形態の経口に許容される薬学的担体との両方を含む経口投与用鎮咳組成物である。かかる鎮咳組成物としては、抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H3阻害剤、β−アドレナリン作用性受容体作動薬、キサンチン誘導体、α−アドレナリン作用性受容体作動薬、マスト細胞安定剤、去痰剤、ならびにNK1、NK2、およびNK3タキキニン受容体アンタゴニストからなる群から選択される、咳、アレルギー、または喘息症状を治療するための1種以上の追加の薬剤を挙げることができる。
さらに別の実施形態は、TRPA1媒介電流を1マイクロモル以下のIC50で阻害する薬剤を含む肺または経鼻送達用エアロゾル薬学的組成物を含有する定量エアロゾルディスペンサーである。例えば、それは、定量吸入器、乾燥粉末吸入器、またはエアージェット噴霧器であり得る。
投薬量
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物、および投与モードについて所望の治療反応を達成するのに有効である活性成分の量を、患者に毒性がなく得るように変動させてもよい。
選択される投薬量レベルは、用いられる本明細書に開示の特定の化合物、またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、用いられる特定の化合物の排出の速度、治療の期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/もしくは物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康、ならびにこれまでの病歴、ならびに医薬技術分野において周知の因子を含む種々の因子に依存するであろう。
当該技術において通常に技術を有する医師または獣医は、必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、薬学的組成物に用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要であるよりも低いレベルで開始し、所望の効果を達成するまで投薬量を徐々に増加することができる。
一般に、本発明の化合物の好適な1日当たりの用量は、治療効果を生じるのに有効な最も低い用量である化合物の量であろう。かかる有効用量は、一般に、上記の因子に依存するであろう。一般に、患者のための本発明の化合物の静脈内、脳室内、髄腔内、および皮下用量は、1日当たりの体重1キログラム当たり約0.0001〜約100mgの範囲であろう。例えば、用量は、1〜50、1〜25、または5〜10mg/kgであり得る。
所望であれば、活性化合物の1日の有効量は、1日を通じて適当な間隔で投与され得、任意選択で、単位剤形で、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上の下位用量として別々に投与される。
治療方法
本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の障害を治療または予防するために使用することができる。例えば、TRPA1阻害活性を有する化合物は、TRPA1に付随する疾患または状態の症状を予防、治療、または緩和するために本明細書に提供される。式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、または1つ以上の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物を含有する薬学的組成物は、TRPA1の阻害によって治療可能なもの等の、本明細書に記載の障害、状態、または疾患を治療するために投与され得る。例えば、式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む薬学的組成物は、例えば、軽度から中度の急性術後疼痛の管理における周術期の鎮痛剤として、および中度から重度の急性疼痛の管理におけるオピオイド鎮痛薬のアジュバントとして有用である。治療有効用量の式(I)、(II)、または(III)の化合物を含む薬学的組成物は、臨床的に安全かつ有効な様式で疼痛の治療のために患者に投与することができ、これには、式(I)、(II)、または(III)の化合物を含む薬学的組成物の1つ以上の別々の投与が含まれる。追加の例示的な方法は、末梢性糖尿病性神経障害(PDN)および化学療法誘発性末梢性神経障害(CIPN)の治療を含む。例えば、治療有効用量の式(I)、(II)、もしくは(III)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む薬学的組成物は、対象における疼痛を治療するために1日以上の治療期間にわたって1日当たり複数回(例えばBID)、それを必要とする対象に(例えば静脈内に)投与することができる。式(I)、(II)、または(III)の化合物を含む薬学的組成物はまた、例えば、閉塞性疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(例えば、低温誘発性喘息、運動誘発性喘息、アレルギー誘発性喘息、および職業性喘息)、および咳等の呼吸器状態を治療または改善するために使用することもできる。
TRPA1受容体の媒介に関係する疾患の治療では、当業者は、以下に提示される試験結果から式(I)、(II)、または(III)の化合物の治療有効量を決定することができるであろう。一般に、本発明の化合物の好適な1日当たりの用量は、治療効果を生じることが可能な最も低い用量である化合物の量であろう。かかる有効用量は、一般に、様々な因子に依存するであろう。一般に、患者のための本発明の化合物の経口、舌下、直腸、静脈内、局所、経皮、吸入、および脳室内用量は、1日当たり体重1キログラム当たり約0.0001〜約100mgの範囲であろう。例えば、用量は、1〜50、1〜25、または5〜10mg/kgであり得る。例えば、治療有効用量は、治療される患者の体重1kg当たり約0.001mg/kg〜約50mg/kg、より好ましくは治療される患者の体重1kg当たり約0.01mg/kg〜約10mg/kgであろうことが企図される。1日を通じて適当な間隔で、2回以上の下位用量の形態で治療有効用量を投与することが適切であり得る。当該下位用量は、例えば、各々、単位剤形当たり約0.1mg〜約1000mg、より具体的には、約1〜約500mgの活性成分を含有する、単位剤形として製剤化され得る。
投与の正確な投薬量および頻度は、当業者に周知であるように、使用される式(I)、(II)、または(III)の具体的な化合物、治療される特定の状態、治療される状態の重症度、特定の患者の年齢、体重、および一般的な健康状態、ならびに患者が摂取し得る他の薬剤に依存する。さらに、当該「治療有効量」は、治療される患者の反応に応じて、および/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて低下させても、増加させてもよい。したがって、上述の有効な1日当たりの量の範囲は、ただのガイドラインである。当該技術において通常の技術を有する医師または獣医は、必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
本明細書に記載の化合物または組成物を用いる治療に好適な例示的な障害は、以下に提供される。
疼痛
TRPA1の調節に有用である式(I)、(II)、または(III)の化合物は、哺乳動物、特にヒトにおける疼痛の治療および/または予防に好適な鎮痛剤の製剤化に使用することができる。TRPA1の内因性活性因子は、組織損傷、炎症、および代謝的負荷を含む多くの病的状態時に生成される。本発明の化合物および薬学的組成物は、神経因性疼痛を含むTRPA1の活性化から生じる疼痛を治療するために投与することができる。関連する神経因性疼痛状態としては、疼痛を伴う糖尿病性神経障害、化学療法誘導性末梢神経障害、腰痛、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、坐骨神経痛、および複合性局所疼痛症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される組成物および方法はまた、炎症および炎症性疼痛の治療時の治療に関連して使用され得る。かかる障害としては、リウマチ性関節炎、骨関節炎、顎(temperomandibular)障害が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物および方法は、頭痛、例えば、偏頭痛を治療するために使用され得る。
開示の化合物はまた、内臓痛および炎症の治療に有用であり得る。関連疾患としては、膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、子宮内膜症、骨盤痛、およびアンギナが挙げられる。
本明細書に開示の化合物を使用することができる追加の例示的な疼痛兆候としては、顎障害、癌疼痛(基礎疾患または治療のいずれかによって生じる)、火傷疼痛、口内疼痛、癌治療に起因する口内疼痛、圧搾および損傷誘発性疼痛、切開疼痛、骨疼痛、鎌状細胞疾患疼痛、線維筋痛、および筋骨格痛が挙げられる。TRPA1は、癌関連疼痛(例えば、Trevisan et al.,Cancer Res March 11,2013を参照のこと)、術後疼痛(例えば、Wei et al,Anasthesiology,V 117,No.1(2012)を参照のこと)、病的疼痛(例えば、Chen et al,Pain(2011)を参照のこと)、および化学的損傷に関連した疼痛(例えば、Macpherson et al,The Journal of Neuroscience,October 17,2007 27(42):11412−11415を参照のこと)の一因となることを示している。
痛覚過敏症(例えば、機械的痛覚過敏症、低温痛覚過敏症)、または疼痛(例えば、急性、慢性)に対する感受性の増加。多種化学物質過敏症は、呼吸器症状および頭痛を含む多臓器症状を有する化学曝露に関連する障害である。
異痛症(例えば、皮膚異痛症、例えば、頭部、頭部外)は、疼痛を通常引き起こさない刺激、例えば、温度または物理的刺激に起因する疼痛であり、一般に、通常疼痛を伴う刺激への極端な過度の反応を指す、痛覚過敏症とは異なる。
偏頭痛
TRPA1の調節に有用である式(I)、(II)、または(III)の化合物は、哺乳動物、特にヒトにおける偏頭痛の治療および/または予防に好適な薬剤の製剤化に使用することができる。TRPA1活性因子への曝露は、感受性集団において偏頭痛を引き起こすことが示されている。かかる活性因子としては、ウンベルロン、ニトログリセリン、タバコの煙、およびホルムアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本発明のTRPA1アンタゴニストは、慢性および急性偏頭痛の治療のためにかなり可能性のある治療法を表す。
炎症性疾患および障害
本明細書に提供される組成物および方法はまた、炎症性疾患の治療に関連して使用され得る。これらの疾患としては、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性関節炎、骨関節炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、神経炎症性疾患、例えば多発性硬化症、および免疫系の障害が挙げられるが、これらに限定されない。TRPA1は、膵臓疼痛および炎症の一因となることが示されている(例えば、Schwartz et al.,Gastroenterology.2011 April;140(4):1283−1291を参照のこと)。
末梢性神経障害、例えば、糖尿病性神経障害は、ニューロンおよび炎症性要素の両方に関与する特定の状態である。機械論によって拘束されるものではないが、本発明のTRPA1アンタゴニストは、糖尿病性神経障害が含まれるが、これに限定されない末梢性神経障害を治療するのに有用であり得る。末梢性神経障害の治療(例えば、炎症の低減)でのそれらの使用に加えて、主題の阻害剤はまた、末梢性神経障害に付随する疼痛の低減に有用であり得る。TRPA1は、神経障害および神経障害疼痛の一因となることが示されている(例えば、Wei et al,Anesthesiology 2009;111:147−54およびKoivisto et al.,Pharmacological Research 2011を参照のこと)。
神経性炎症は、多くの場合、神経細胞の興奮性亢進が炎症を引き起こすペプチドの放出をもたらすと発生する。これらのペプチドとしては、サブスタンスPおよびCGRPが挙げられる。
TRPA1の遮断は、ニューロン活性を低減し、したがって、神経性炎症を遮断し得る。例えば、気道中の神経性炎症は、喘息およびアレルギー性鼻炎を生じ得、硬膜での神経性炎症はまた、偏頭痛疼痛を介在し得る。
膵炎
膵炎は、膵臓の炎症である。膵臓は、胃の後ろかつ十二指腸の近くの大きな腺である。通常、消化酵素は、食物の消化を開始する小腸に到達するまで活性化しない。しかし、これらの酵素が膵臓内で活性化する場合、それらは膵臓自体を「消化し」始める。TRPA1は、膵臓疼痛および炎症の一因となることが示されている(例えば、Schwartz et al.,Gastroenterology.2011 April;140(4):1283−1291を参照のこと)。
急性膵炎は、通常は、以下だけではないが、胆石またはアルコール乱用によって引き起こされる。急性膵炎は、通常は、数日間存続し得る上腹部の疼痛から始まる。この疼痛は、重篤であり得、絶えず続くようになる。疼痛は、腹部に隔絶される場合があるか、または背中および他の領域に至る場合もある。時には、およびある患者では、疼痛は突然であり、強い。ある時には、または他の患者では、疼痛は食後に悪化する軽度の疼痛として始まる。多くの場合、急性膵炎を有する人は、重症であるように見え、かつ重症であると感じる。他の症状としては、膨張し柔らかい腹部、悪心、嘔吐、発熱、および頻脈を挙げることができる。急性膵炎の重症例は、脱水および低血圧を引き起こし得、さらには臓器不全、内出血、または死に至る場合さえあり得る。
急性膵炎に罹っている間は、アミラーゼおよびリパーゼの血中レベルは、多くの場合少なくとも3倍増加する。グルコース、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、および重炭酸塩の血中レベルの変化も発生し得る。
現在の治療法は、発作の重症度に依存する。治療は、一般に、重要な身体機能をサポートし、疼痛を管理し、合併症を防止するように策定される。急性膵炎は、典型的には数日で解消するが、多くの場合、発作中の疼痛管理が必要である。本明細書に開示の化合物は、急性膵炎に付随する疼痛を軽減するために使用することができる。
膵臓に対する損傷が続く場合には、慢性膵炎を発症し得る。慢性膵炎は、消化酵素が膵臓および近くの組織を攻撃し、破壊すると発生し、瘢痕化および疼痛を引き起こす。慢性膵炎は、アルコール依存症によって、あるいは閉塞し、損傷し、または狭窄した膵管によって引き起こされ得る。加えて、遺伝因子がこの疾患に影響を及ぼすと思われ、ある特定の症例では、特定できる原因が存在しない(いわゆる特発性膵炎)。
慢性膵炎を有する大部分の人は、腹痛を有する。この疼痛は、飲食すると悪化し、背中まで広がるか、絶えず続き、何もできない状態になり得る。他の症状としては、悪心、嘔吐、体重減少、および脂肪質大便が挙げられる。
疼痛の軽減は、慢性膵炎の治療における最初の段階である。一旦疼痛が管理されると、高炭水化物および低脂肪食事計画が導入される。膵臓の酵素は、損傷した膵臓からの酵素産生の減少の補填に役立つように使用され得る。場合によっては、インスリンまたは他の薬物が血中グルコースを制御するために必要とされる。
疼痛は、典型的には薬物療法を使用して管理されるが、外科手術が疼痛を軽減するために必要な場合もある。外科手術は、膨張した膵管を空にする、または重症を負った膵臓の一部分を10箇所除去するために必要であり得る。
疼痛は、頻繁に慢性膵炎を提示する。例えば、疼痛は、アルコール性慢性膵炎を有する患者のうちのおよそ75%、遅発性特発性慢性膵炎を有する患者のうちの50%、および早期発症型特発性慢性膵炎を有する患者の100%に存在する(DiMagno,1999,Gastroenterology 116(5):1252−1257)。
疼痛を有する少数の患者は、外科手術または内視鏡で治療することが比較的容易である容易に特定可能な病変を有する。他の患者では、疼痛は、多くの場合、高い膵臓内圧、虚血、および線維症を含む、種々の原因から生じると考えられる。しかしながら、理論によって拘束されるものではないが、これらの現象は、疼痛の根本にある原因である可能性が低い。むしろ、疼痛は、神経周膜への損傷、ならびにその後の炎症のメディエーターおよび産物への神経の曝露によって誘発されるニューロン感作の背景に起因し得る。
慢性膵炎を有する患者における有効な疼痛管理の重要性を考慮すると、疼痛を伴う症状を治療するための追加の療法が重要であり、有用である。本明細書に開示の化合物は、慢性膵炎に付随する疼痛を管理するのに使用することができ、それらは、単独でまたは慢性膵炎を有する患者を管理する治療的治療計画全体の一部として使用することができる。例えば、化合物は、慢性膵炎を有する患者を管理するために策定される治療計画の一部として膵臓酵素および/またはインスリンと共に投与することができる。
癌治療は、疼痛を伴うだけでなく、健常組織に対してさえ毒性であり得る。
いくつかの化学療法剤は、疼痛を伴う神経障害を引き起こし得る。したがって、本明細書に開示の化合物は、神経障害を引き起こす癌治療に付随する疼痛および/または炎症の治療のためにかなり可能性のある治療法を表し得る。
プロスタグランジンの主要な機能は、胃粘膜を保護することにある。この機能には、細胞増殖において重要な役割を果たすヒト胃細胞の細胞内カルシウムレベルの調節が含まれる。結果として、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)によるプロスタグランジンの阻害によって、胃細胞へのカルシウム流入を阻害することができる(Kokoska et al.(1998)Surgery(St Louis)124(2):429−437)。炎症を最も有効に軽減するNSAIDもまた、最も重大な胃腸損傷を生じる(Canadian Family Physician,5 January 1998,p.101)。したがって、特定の細胞の種類では、カルシウムチャネルを独立して調節する能力によって、抗炎症療法のかかる副作用を緩和するのに役立ち得る。加えて、またはあるいは、本明細書に開示のTRPA1阻害性化合物の投与は、NSAIDと組み合わせて使用してもよく、したがって低減した投薬量のNSAIDを使用して疼痛の軽減を促進し得る。
TRPA1は、慢性膵炎における進行中の痛覚を媒介し得、膵炎において急性炎症の、慢性炎症および痛覚過敏症への転換に関与し得る。TRPA1はまた、例えば、鼻腔および口腔粘膜内、ならびに呼吸器膜の刺激およびひりつきを媒介し得る。
神経障害
TRPA1の過活性が毒性カルシウム過負荷をもたらし得るため、TRPA1アンタゴニストはまた、糖尿病、化学傷害、化学療法、スタチン等の薬、HIV/AIDS、ファブリ病、ビタミン欠乏、Marie−Charcot Tooth病等の遺伝的多発性神経障害、および外傷に付随する神経障害の予防に有用性を有する。筋萎縮性側索硬化症等の末梢性神経変性疾患はまた、TRPA1アンタゴニストを用いる治療の対象となり得る。
肺疾患および咳
本明細書に提供される組成物および方法はまた、喘息(運動誘発性喘息、アトピー性喘息、アレルギー性喘息を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫)、嚢胞性線維症、気管支拡張症、細気管支炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、閉塞性細気管支炎(ポップコーンワーカー肺)、ジアセチル、ホルムアルデヒド、および他の刺激薬への曝露を含む化学曝露に起因する疾患が挙げられるが、これらに限定されない、肺疾患の治療と関連して使用され得る。これらの状態としてはまた、結核、石綿肺症、放射線性線維症、過敏性肺炎、乳児呼吸窮迫症候群、特発性肺線維症、特発性間質性肺炎 サルコイドーシス、好酸球性肺炎、リンパ脈管筋腫症、肺ランゲルハンス細胞組織球増加症、および肺胞タンパク症を含む拘束性肺疾患;上気道感染症(例えば、風邪、副鼻腔炎、扁桃腺炎、咽頭炎、および喉頭炎)ならびに下気道感染症(例えば、肺炎)を含む気道感染症;悪性(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、腺癌、扁平上皮細胞癌、大細胞未分化癌、カルチノイド、中皮腫、肺の転移性癌、転移性生殖細胞癌、転移性腎細胞癌)または良性(例えば、肺過誤腫、先天性形成異常、例えば、肺分画症および先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM))を含む呼吸器腫瘍;胸膜腔病(例えば、膿胸および中皮腫);ならびに肺血管疾患、例えば、肺塞栓症、例えば、血栓塞栓症、および空気塞栓症(医原性)、肺動脈高血圧症、肺浮腫、肺出血、肺胞への血液漏出をもたらす肺の毛細血管への炎症および傷害が挙げられる。治療され得る他の状態としては、呼吸メカニズムに影響を及ぼす障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、ギランバレー症候群、および重症筋無力症)が挙げられる。
本発明の化合物はまた、咳(痰の産生の有無にかかわらず)、喘息に付随する咳、インフルエンザに付随する咳、喀血(haemoptysis)、未知の病因の咳、および化学曝露に起因する咳を治療、低減、または予防するのに有用であり得る。
皮膚障害
かゆみを引き起こす多数の薬剤は、直接的にまたはTRPA1下流に結合する受容体の活性化を介してTRPA1を活性化する。本明細書に提供される組成物および方法はまた、かゆみの治療に関連して使用され得る。兆候としては、接触性皮膚炎、毒ツタ等の外来化学物質への曝露によって引き起こされる状態、リンパ腫を含む癌によるかゆみ、クロロキン等の薬剤によって引きこされるかゆみ、反応性薬物代謝産物に起因するかゆみ、または乾燥皮膚に起因するかゆみが挙げられるが、これらに限定されない。
追加の例示的な兆候としては、アトピー性皮膚炎、乾癬、蕁麻疹、湿疹、発汗異常性湿疹、口腔内潰瘍、おむつかぶれが挙げられる。
かゆみ
かゆみ、または急性掻痒症は、例えば、環境において有害な薬剤に対して警告することによって重要な保護機能を供するが、例えば、多くの皮膚、全身性および神経系疾患を伴う消耗性状態でもあり得る。かゆみのいくつかの形態は、ヒスタミンシグナル伝達によって媒介され、したがって、例えば、抗ヒスタミン剤を用いる治療の影響を受けやすい。しかしながら、最も病態生理的なかゆみの状態は、抗ヒスタミン剤治療に鈍感になる。本発明の化合物および薬学的組成物は、かゆみを治療するために投与することができる。
アトピー性皮膚炎(AD)は、皮膚の慢性のかゆみおよび炎症障害である。重篤なADを有する患者は、アトピックマーチ(atopic march)としても知られている、喘息およびアレルギー性鼻炎を発症し得る。皮疹および掻痒症は、アトピー性疾患に付随し得る。例えば、ADおよび乾癬において慢性のかゆみとしては、例えば、湿疹、腎不全、肝硬変、神経系傷害、いくつかの癌に由来する強い引っ掻き、広範囲の表皮過形成等の病態生理学的特徴が挙げられる。
アレルギー性接触性皮膚炎は、炎症および持続性掻痒症に付随する一般的な皮膚疾患である。
本明細書に開示の方法は、皮膚浮腫、ケラチン生成細胞過形成、神経の成長、白血球浸潤、および抗ヒスタミン剤耐性引っ掻き挙動を阻害し得る。本明細書に開示の方法は、例えば、外因性刺激物、例えば、ハプテン、オキサゾロン、ウルシオール(例えば、毒ツタからの)へのアレルギー反応を阻害し得る。
疾患および損傷モデル
TRPA1機能を拮抗する化合物は、前述の損傷、疾患、障害、または状態のうちのいずれかの予防および治療に有用であり得る。これらの化合物の活性のインビトロアッセイに加えて、それらの効力は、1つ以上の動物モデルで容易に試験することができる。疼痛を研究するための多くの動物モデルが存在する。様々なモデルは、損傷、疾患、または他の状態をもたらす疼痛を模倣するために様々な薬剤または手段を使用する(Blackburn−Munro(2004)Trends in Pharmacological Sciences 25:299−305(例えば、表1、3、または4を参照のこと))。次いで、障害のある(challenged)動物の挙動特徴を観察することができる。動物における疼痛を低減し得る化合物または手段は、試験化合物(複数可)または手段の不在時と比較して、存在時の障害のある動物の挙動特徴を観察することによって容易に試験することができる。
慢性疼痛を研究するために使用される例示的な挙動試験としては、自発痛、異痛症、および痛覚過敏症の試験が挙げられる。自発痛を評価するために、姿勢、歩行、侵害防御サイン(例えば、足舐め、過剰な身づくろい、過剰な探索挙動、傷害のある身体部分の防御、および自傷行為)を観察してもよい。誘発された疼痛を測定するために、挙動反応は、熱に曝露させた後に調べてもよい(例えば、熱傷モデル)。
疼痛の例示的な動物モデルとしては、Trevisanモデル、ならびにストレプトゾトシン誘発性の疼痛を伴う糖尿病性神経障害、ボルテゾミブ誘発性末梢性神経障害、およびオキサリプラチン誘発性末梢性神経障害を含むKoivisto参照に記載のモデル;Chungモデル、坐骨神経部分損傷モデル、カラゲニン誘発痛覚過敏モデル、完全フロイントアジュバント誘発痛覚過敏モデル、熱傷モデル、ホルマリンモデル、およびBennettモデルが挙げられるが、これらに限定されない。
Trevisanの参照文献では、CIPN表現型の場合、化学療法誘導性末梢性神経障害モデルは、ボルテゾミブまたはオキサリプラチンを用いる治療によってマウスに誘導することを含む(Trevisan et al,Cancer research 73,3120−3131,2013)。TRPA1の阻害剤を用いる動物の治療は、Von Frey hair試験、ホットプレート試験、低温刺激、化学的痛覚過敏症、またはロタロッド試験等の種々の侵害受容性試験のうちのいずれかを使用して評価することができる。
Koivistoの参照文献では、末梢性糖尿病性神経障害(PDN)のモデルは、ストレプトゾトシンを用いてラットに真性糖尿病(DM)を誘発すること、およびTRPA1アゴニストの足底内注射によって誘発した軸索反射を評価することを含む。(Pharmacological Research 2011)TRPA1を阻害する化合物を用いる治療は、皮膚軸索反射のDM誘発性減衰の低減について評価することができる。
神経因性疼痛(炎症を伴わない)のChungモデルは、1つ以上の脊髄神経の結紮を伴う(Chung et al.(2004)Methods Mol Med 99:35−45、Kim and Chung(1992)Pain 50:355−363)。脊髄神経の結紮は、熱痛覚過敏、冷感異痛、および進行中の疼痛を含む、動物の種々の挙動変化を生じる。TRPA1を拮抗する化合物を結紮した動物に投与して、化合物の不存下で観察される挙動変化と比較して、これらの化合物がこれらの結紮によって誘発される挙動の変化を減少させるかどうかを評価することができる。
カラゲニン誘発痛覚過敏および完全フロイントアジュバント(CFA)誘発痛覚過敏は、炎症性疼痛のモデルである(Walker et al.(2003)Journal of Pharmacol Exp Ther 304:56−62、McGaraughty et al.(2003)Br J Pharmacol 140:1381−1388、Honore et al.(2005)J Pharmacol Exp Ther)。TRPA1を拮抗する化合物をカラゲニンまたはCFAをチャレンジした動物に投与して、化合物の不存在下で観察される痛覚過敏と比較して、これらの化合物が冷感、機械的、または熱痛覚過敏を減少させるかどうかを評価することができる。加えて、TRPA1機能を拮抗して冷感および/または機械的痛覚過敏を減少させる化合物の能力も、これらのモデルで評価することができる。典型的には、カラゲニン誘発痛覚過敏モデルは、急性炎症性疼痛を模倣すると考えられ、CFAモデルは、慢性疼痛および慢性炎症性疼痛を模倣すると考えられる。
炎症性疼痛の例示的なモデルとしては、足底内にブラジキニンを注射したラットモデルが挙げられる。簡潔に言えば、動物の温度感受性ベースラインは、Hargreave装置を用いて評価する。次いで、TRPA1遮断薬が全身投与される。ブラジキニンは、その後、足に注射され、痛覚過敏を発症させる。次いで、熱逃避潜時が、次の数時間にわたって多数の時間点で測定される(Chuangら、2001、Valeら、2004)。
炎症は、多くの場合、疼痛に対する重要な寄与因子である。したがって、抗炎症剤として機能する化合物を同定するのに有用である。神経活性を低減する多数の化合物はまた、神経性炎症も抑える。炎症を直接測定するために、ラットの足の体積を、プレチスモメーターを使用して評価することができる。ベースライン測定を行った後に、カラゲニンを足に注射し、ビヒクルまたは薬物を用いて治療した動物の足の体積を時間の経過にわたって監視することができる。足の腫脹を低減する薬物は、抗炎症性であると見なされる。
偏頭痛は、著しい疼痛、および普通の仕事を完了する能力喪失が付随する。ラット神経原性炎症モデル(Buzzi et al(1990)Br J Pharmacol;99:202−206を参照のこと)およびBursteinモデル(Strassman et al.,(1996)Nature 384:560−564を参照のこと)を含む、偏頭痛のいくつかのモデルが存在する。
Bennettモデルは、慢性疼痛を反映する足の長期虚血を使用する(Xanthos et al.(2004)J Pain 5:S1)。これは、術後疼痛、複合性局所疼痛症候群、および反射性交感神経性ジストロフィーを含む、慢性疼痛のための動物モデルを提供する。長期虚血は、機械的刺激に対する痛覚過敏、冷え性、疼痛挙動(例えば、足を震わせる、舐める、および/またはかばうこと)、および痛覚異常鋭敏を含む、動物の挙動変化を誘発する。TRPA1を拮抗する化合物を、障害のある動物に投与して、化合物の不存在下で観察される挙動と比較して、これらの化合物がこれらの挙動のうちのいずれかまたはすべてを減少させるかどうかを評価することができる。同様の実験を、術後疼痛を模倣するのに使用することができる熱傷またはUV熱傷モデルで行うことができる。
神経因性疼痛の追加のモデルとしては、脊髄損傷に基づく中心性疼痛モデルが挙げられる。慢性疼痛は、例えば、脊髄の外科的に曝露された領域の上に錘しを落とすことによって脊髄損傷を誘発させることによって生じさせる(例えば、落錘モデル)。加えて、脊髄損傷は、脊髄を粉砕もしくは圧迫することによって、光化学物質を使用して神経毒を送達することによって、または脊髄を片側切断することによって誘発することができる。
神経因性疼痛の追加のモデルとしては、末梢性神経損傷モデルが挙げられる。例示的なモデルとしては、神経腫モデル、Bennettモデル、Seltzerモデル、Chungモデル(L5またはL5/L6のいずれかで結紮)、坐骨神経寒冷神経剥離モデル、下位尾幹切除モデル、および坐骨神経炎症性神経炎モデルが挙げられる。同文献。
特定の疾患に付随する神経因性疼痛の例示的なモデルも利用できる。糖尿病および帯状疱疹は、多くの場合、神経因性疼痛を伴う2つの疾患である。急性帯状疱疹エピソードの後であっても、ある患者は、ヘルペス後神経痛を患い続け、長年の間持続する疼痛を経験する。帯状疱疹および/またはヘルペス後神経痛によって引き起こされる神経因性疼痛は、ヘルペス後神経痛モデル(PHN)で研究することができる。糖尿病性神経障害は、糖尿病性マウスモデル、ならびに糖尿病性神経障害の化学誘発モデルで研究することができる。
上記で概説したように、癌性疼痛は、多数の原因のうちのいずれかを有し得、多数の動物モデルが、例えば、化学療法剤または腫瘍浸潤に関連した癌性疼痛を調べるために存在する。毒素が関連した癌性疼痛の例示的なモデルとしては、ビンクリスチン誘発性末梢神経障害モデル、タキソール誘発性末梢神経障害モデル、およびシスプラチン誘発性末梢神経障害モデルが挙げられる。腫瘍浸潤によって引き起こされる癌性疼痛の例示的なモデルは、癌浸潤疼痛モデル(CIP)である。
原発性および転移性骨癌は、猛烈な痛みが付随する。マウス大腿骨癌性疼痛モデル(FBC)、マウス踵骨癌性疼痛モデル(CBC)、およびラット脛骨癌モデル(TBC)を含む、骨癌性疼痛のいくつかのモデルが存在する。同文献。
疼痛の追加のモデルは、ホルマリンモデルである。カラゲニンおよびCFAモデルのように、ホルマリンモデルは、動物への刺激物質の皮内または腹腔内注射を伴う。ホルマリン(ホルムアルデヒドの37〜40%パーセント溶液)の注射は、足の皮内注射のために最も一般的に使用される薬剤である(ホルマリン試験)。0.5〜15パーセント溶液のホルマリン(通常は、約3.5%)の前足または後足の背面または足底面への注射は、注射後約60分間、強さを増加および減少させる2段階の疼痛を伴う反応を生じる。典型的な反応としては、足を持ち上げる、舐める、かじる、または震わせることが挙げられる。これらの反応は、侵害受容性と見なされる。3〜5分持続する反応の初期段階(初期段階としても知られている)は、恐らくは侵害受容器の直接化学刺激に起因する。これは、10〜15分続き、その間に動物は、痛覚を示唆する挙動をほとんど示さない。この反応の第2段階(後期段階としても知られている)は、ホルマリン注射から約15〜20分後に開始し、20〜40分持続し、最初に侵害受容挙動の数および頻度の両方を上昇させ、ピークに達し、次いで減衰する。これらの侵害受容性挙動の強さは、使用されるホルマリンの濃度に依存する。第2段階は、感作の期間を含み、その間に炎症現象が生じる。ホルマリン注射に対する反応性の2つの段階は、ホルマリンモデルを、侵害受容性および急性炎症疼痛を研究するための適切なモデルとする。それはまた、いくつかの点で、神経因性疼痛のモデルであり得る。
慢性疼痛の前述のモデルのいずれかに加えて、TRPA1機能を拮抗する化合物は、1つ以上の急性疼痛のモデルで試験することができる。Valenzano et al.(2005)Neuropharmacology 48:658−672。化合物が慢性疼痛のモデル、急性疼痛のモデル、またはその両方で試験されるかどうかにかかわらず、これらの研究は、典型的には(限定されないが)、例えばマウス、ラット、またはモルモットで行われる。加えて、化合物は、疼痛のインビトロアッセイを提供する種々の細胞株で試験することができる。
疼痛の治療を求める多くの個人が、内臓疼痛を患っている。内臓疼痛の動物モデルとしては、炎症性子宮痛のラットモデル(Wesselmann et al.,(1997)Pain 73:309−317)、過敏性腸管症候群を模倣するために胃腸管へのカラシ油の注射(Kimball et al.,(2005)Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol,288(6):G1266−73)、過活動膀胱または膀胱炎を模倣するために膀胱へのカラシ油の注射(Riazimand(2004)、BJU 94:158−163)が挙げられる。TRPA1化合物の有効性は、身もだえする胃腸炎症または膀胱興奮性の減少によって評価することができる。
咳の治療のためのTRPA1アンタゴニストの効力を試験するための咳の覚醒モルモットモデルを使用する実験は、容易に行うことができる(Tanaka and Maruyama(2003)Journal Pharmacol Sci 93:465−470、McLeod et al.(2001)Br J Pharmacol 132:1175−1178)。簡潔に言えば、マウスおよびラット等の他のげっ歯類と異なり、モルモットは実際に咳をするので、モルモットは、咳についての有用な動物モデルとして機能する。さらに、モルモットの咳は、咳をする動物の姿勢、挙動、および外観の観点からヒトの咳によく似ていると思われる。
咳を誘発させるために、クエン酸またはカプサイシン等の誘発剤に覚醒モルモットを曝露させる。動物の反応は、咳の回数を計数することによって測定される。鎮咳薬、例えば、TRPA1を阻害する化合物の有効性は、この薬剤を投与し、クエン酸、カプサイシン、または他の同様の咳誘発剤に曝露されることによって誘発された咳の回数を減少させる薬剤の能力を評価することによって測定することができる。このようにして、咳の治療に使用するためのTRPA1阻害剤は、容易に評価し、同定することができる。
また、咳の追加のモデルとしては、意識のないモルモットモデルが挙げられる(Rouget et al.(2004)Br J Pharmacol 141:1077−1083)。前述のモデルのいずれかを、咳をする能力を有する他の動物を用いた使用に適合させることができる。咳をする能力を有する例示的な追加の動物としては、ネコおよびイヌが挙げられる。
本発明の化合物は、喘息の複数のモデルにおいて試験され得る。一例は、喘息のマウスオボアルブミンモデルである(Caceres AI et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2009 Jun 2;106(22):9099−104;Epub 2009 May 19)。このモデルでは、オボアルブミンは、2週間にわたって数回腹腔内腔に注射される。3週目のある時点で、動物に鼻腔内オボアルブミンをチャレンジして、気道過敏反応、炎症、および炎症性サイトカイン産生を測定してもよい。化合物は、モデルのチャレンジ段階中投与される。TRPA1ノックアウトマウスは、Caceresらによって報告されるような上記のモデルに置換してもよい。
喘息の大型動物モデルの一例として、Abraham,W.M.らにおいて記載される覚醒アレルギーヒツジモデルを使用して、喘息の抗原誘発性後期段階反応における化合物の効果を評価してもよい(Abraham WM.,Am J Respir Crit Care Med.2000.Aug;162(2 Pt 1):603−11)。簡潔に言えば、ベースライン気道反応性は、喘息を誘発するために豚回虫抽出物の噴霧投与の前に、覚醒ヒツジにおいてプレチスモグラフによって測定される。ベースライン読み出しを得た後に、動物を、豚回虫の噴霧投与によりチャレンジした。抗原感受性は、ベースラインからの肺血流量抵抗の減少によって決定される。一旦動物が抗原感受性を示すと、気道反応性の変化を評価するために、試験化合物が投与され、追加の肺血流量抵抗の得られた読み出しを得てもよい。また、ウマおよびビーグル犬のモデルを使用する場合がある。
追加のモデルとしては、Raemdonckらに記載されるような喘息のBrown NorwayラットモデルおよびC57BL/6Jマウスモデルを挙げることができる(Raemdonck K et al.,Thorax.2012 Jan;67(1):19−25;Epub 2011 Aug 13)。簡潔に言えば、Brown NorwayラットおよびC57BL/6Jマウスを、感作させ、エアロゾルで送達されたオボアルブミンでチャレンジしてもよい。感受性が全身プレチスモグラフ読み出しによって測定されるように、肺機能の減少によって確認されると、本発明の化合物を投与してもよい。喘鳴を含む呼吸困難の可視的および可聴的兆候もまた、提示され得る。
皮膚炎
皮膚疾患の複数のマウスモデルが現在存在する。例えば、Liuらは、複数のオキサゾロンおよびウルシオール誘発性接触性皮膚炎モデルを説明している(Liu B et al.,FASEBJ.2013 Sep;27(9):3549−63;Epub 2013 May 30)。簡潔に言えば、Trpa1ノックアウトマウスは、皮膚炎およびかゆみ反応を誘発するためにオキサゾロンまたはウルシオールの局所投与を受ける。表皮厚さはまた、耳パンチを行い、未治療の耳と比較した、チャレンジした領域の測定値によって測定され得る。インビボ治療化合物は、オキサゾロンまたはウルシオールでの治療前または治療後に、動物に化合物を投与することによって決定され得る。引っ掻き挙動は、観察チャンバの上に設置したビデオカメラによって記録する。治療群が分からない観察者が、30分の間に動物が引っ掻きに費やした時間を記録する。
かゆみを引き起こす乾燥皮膚の代替的なマウスモデルは、Wilsonらによって報告されるよな、マウスへのアセトン、エーテル、および水の投与を含む(Wilson SR et al.,J Neurosci.2013 May 29;33(22):9283−94)。このモデルでは、治療される領域を剃毛し、観察される領域、例えば頬または尾背面に1日2回アセトンおよびエーテルの局所投与をマウスに与える。治療化合物のインビボ効力は、アセトンおよびエーテル投与前または投与後に、動物に化合物を投与することによって決定され得る。引っ掻き挙動は、20分間カメラによって記録し、治療群が分からない観察者によって定量化する。
加えて、掻痒症は、かゆみを引き起こす薬剤の直接注射によって誘発してもよい。これらの薬剤の例は、Akayimo and Carstens,2013に見い出すことができる。いくつかの例は、クロロキン(Wilsonら、2011)、胆汁酸、TSLP(Wilsonら、2013)、およびIL−31(Cevikbasら、2014)である。典型的には、規定された期間の引っ掻き発作は、治療群が分からない観察者によって記録される。
失禁の多くのマウスモデルが存在する。これらとしては、神経損傷、尿道インピンジメント、および炎症によって誘発される失禁のモデルが挙げられる。尿道インピンジメントのモデルとしては、ラット膀胱流出路閉塞モデルが挙げられる。(Pandita,RK,and Andersson KE.Effects of intravesical administration of the K+channel opener,Z.D6169,in conscious rats with and without bladder outflow obstruction.J Urol 162:943−948,1999)。炎症モデルは、膀胱へのカラシ油の注射を含む。
失禁の治療におけるTRPA1阻害剤化合物の有効性を試験するために、種々の濃度の化合物(例えば、低濃度、中間濃度、および高濃度)が、外科的部分膀胱出口閉塞(BOO)後のラットに投与することができる。種々の用量のTRPA1阻害性化合物の効力は、賦形剤を単独で投与された対照(偽対照)と比較することができる。さらに、効力は、アトロピン等の陽性対照を投与されたラットと比較することができる。アトロピンは、BOOモデルにおいて部分膀胱出口閉塞後の膀胱過活動活性を減少させることが期待される。化合物をBOOモデルにおいて試験するとき、化合物は、膀胱または尿道に(例えば、カテーテルによって)直接に投与してもよいか、または化合物は全身的に(例えば、経口、静脈内に、腹腔内等)投与してもよいことに留意されたい。
膵臓疼痛のいくつかのラットモデルについて、最近説明されている(Lu,2003,Anesthesiology 98(3):734−740、Winston et al.,2003,Journal of Pain 4(6):329−337)。Luらは、ラットにおいてジブチリンジクロリドの全身送達によって膵炎を誘発させた。ラットは、腹部のvon Freyフィラメント刺激後の逃避事象の増加を示し、7日間の熱刺激の後の逃避潜時を減少させた。これらの動物において誘発された疼痛状態はまた、脊髄のサブスタンスPの増加したレベルによっても特徴付けられた(Luら、2003)。このモデルにおけるTRPA1阻害剤の効力を試験するために、TRPA1阻害剤は、ジブチリンジクロリドの送達の後に投与するか、または同時に投与することができる。対照動物に、担体または既知の疼痛軽減剤を投与してもよい。疼痛の兆候は、測定することができる。TRPA1阻害剤の効力は、TRPA1阻害剤を受けている動物で観察された疼痛の兆候を、TRPA1阻害剤を受けなかった動物の疼痛の兆候と比較することによって評価することができる。加えて、TRPA1阻害剤の効力は、既知の疼痛医薬品の効力と比較することができる。
侵害受容性挙動を測定するための手段としてのvon Freyフィラメント効力試験はまた、全身L−アルギニン投与によって膵炎を誘発させることによっても示された(Winstonら、2003)。TRPA1阻害剤の効力は、全身L−アルギニン投与によって誘発された膵炎に続いて同様に試験することができる。
Luらはまた、覚醒し、かつ自由に移動するラットにおける内在管状カニューレを介して膵臓の急性有害刺激を使用する膵臓疼痛について直接挙動アッセイについても説明した。これらのアッセイは、膵内ブラジキニン注入に反応したケージ横断、立ち上がり、および後足伸張を含んだ。D−APV(NMDA受容体アンタゴニスト)またはモルヒネの単独のいずれかの髄腔内投与は、このモデルで内臓疼痛挙動を部分的に低減した。両者の組み合わせは、疼痛挙動をベースラインまで低減した。TRPA1阻害剤の効力は、この系で同様に試験することができる。
前述の動物モデルのいずれも、膵炎に付随する疼痛の治療におけるTRPA1阻害剤の効力を評価するのに使用することができる。効力は、未治療またはプラセボ対照と比較することができる。加えてまたは代替的に、効力は、1つ以上の既知の疼痛を軽減する医薬品と比較して評価することができる。
本発明の例示的な化合物のインビトロ特徴付け
実施例1.TRPA1イオンチャネルの阻害を測定するための方法
式(I)、(II)、または(III)の化合物は、表2に示されるデータ表に提供され、del Camino et al.,The Journal of Neuroscience,30(45):15165−15174(November 10,2010)(参照により本明細書に組み込まれる)に概説され、以下に要約される手順を使用して、ヒトTRPA1のインビトロ阻害を測定することによって示されるように、TRPA1チャネルを阻害する。式(I)、(II)、または(III)の示された化合物のTRPA1阻害に対するデータは、以下の表2に含まれる関連データを用いてこの方法によって得た。すべての電流は、EPC−9およびEPC−10増幅器およびPatchmasterソフトウェア(HEKA)または同等物を使用して全細胞構成で記録した。パッチピペットは、1.5〜3Mの抵抗を有し、直列抵抗の最大75%を補正した。標準的なピペット溶液は、140mMのCsAsp、10mMのEGTA、10mMのHEPES、2.27mMの20MgCl、1.91mMのCaCl、および最大0.3mMのNaGTPからなり、CsOHを用いてpHを7.2に調節した。加えて、145mMのCsCl、10mMのHEPES、10mMのEGTA、および最大0.3mMのNaGTP、および1mMのMgCl(CsOHを用いてpHを7.2に調節)を含有する溶液を使用することができる。標準的な浴溶液は、150mMのNaCl、10mMのHEPES、10mMのグルコース、4.5mMのKCl、1mMのEGTA、3mMのMgClを含有し、NaOHを用いてpHを7.4に調節した。場合によっては、2mMのCaClをEGTAの代わりに添加し、MgClの濃度を1mMまで低減した。
データは、−60mVで連続的に記録すること、または保持電位から4秒ごとに−40mVで勾配を付けた電圧を印加することのいずれかによって収集した。連続記録は、400Hzで回収し、提示のために10Hzでオフラインをデジタル的にフィルタリングした。電圧勾配は、400msにわたって−100mVまたは−80mVから+100mVまたは+80mVまで適用し、データは、10kHzで回収し、2.9kHzでフィルタリングした。内向きおよび外向き電流は、それぞれ、−80mVおよび80mVの勾配から分析した。液体接合部電位接続を使用しなかった。
溶液を、重力によって供給する連続的な局所灌流システムを使用して切り替えた。急激な温度変化を達成するために、2つの温度制御および灌流システムを同時に用いた。22℃以上の温度では、Warner Instrumentsバイポーラ温度制御器(TC−344B)およびインライン加熱器(SHM−8)を使用した。22℃未満の温度では、Warner Instruments温度制御器(CL−100)および熱冷却モジュール(TCM−1)を使用した。温度は、サーミスタ(Warner Instruments,TA−29)を使用して確認し、記録された細胞での温度は、報告された温度の+/−2℃以内であると推定した。
全細胞パッチ構成におけるヒトTRPA1(「hTRPA1」)に対する式(I)、(II)、または(III)の化合物のアンタゴニスト効果は、上述のインビトロアッセイを使用して評価した。試験した電流活性化は、10μM AITCであり、試験した濃度は、320pM〜3.2μMの範囲であった。
本発明の化合物はまた、通常のリンガー溶液への溶解性について試験した。簡潔に言えば、化合物の溶解性は、標準範囲の量の10mMのDMSOストックの化合物を通常のリンガー溶液中(室温でpH7.4)に溶解することによって決定した。ボルテックスし、室温で40分間培養した後、溶液を濾過し、アセトニトリルでクエンチし、液体クロマトグラフィーによって分析した。溶解限度は、標準曲線との比較によって決定した。溶解限度は、31.3μM超であると決定した。試験した最後の2つの希釈物の間で観察された増加が2倍超である場合、溶解性は「より大きい」と報告する。
表2に、試験した化合物で達成された溶解性値およびhTRPA1のIC50値を示す。
Figure 2021512075
本発明の例示的な化合物のインビボ効力
実施例2.ホルマリンモデル
本発明の例示的な化合物は、Dubuisson et al.,Pain 1977 Dec;4(2):161−74(参照により本明細書にその全体が組み込まれる)によって報告されたホルマリン誘導疼痛試験において試験することができる。
実施例3.一般実験手順
一般手順
すべての反応を不活性雰囲気、一般に窒素雰囲気下で行った。溶媒を使用して、すべての非水性反応を行った。すべての反応は、磁気撹拌棒またはオーバーヘッド式機械的撹拌のいずれかで撹拌した。すべての飽和抽出溶液は、水性(例えば、飽和NHCl)であると想定する。乾燥剤を用いた有機溶液の乾燥は、乾燥剤が濾過によって有機溶液から除去されたことを意味する。クロマトグラフィーは、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーを指す。分取薄層クロマトグラフィー(TLC)をプレートで行った。反応混合物の濃度は、減圧下での濃度および回転蒸発機器の使用を意味する。最終生成物の乾燥は、高真空条件下の乾燥を意味する。超音波処理は、超音波浴の使用を意味する。すべてのH−NMRデータを400MHzで得た。質量スペクトルを、陽性イオンモードで得、プロトン化種MHとして報告する。LCMSは、SHIMADZU LCMS−2010EV機器(Chromolith SdeedROP、RP−18eカラム。50x4.6mm。移動相:溶媒A:CHCN/HO/HCOOH=10/90/0.05。溶媒B:CHCN/HO/HCOOH=90/10/0.05。10%Bで0.8分。2.7分の勾配(10〜95%B)、次いで95%Bで0.8分。流量:3mL/分。温度:40C)で実施した。分取HPLCを、示された流量で移動相としてHO(0.1%のHCOOH)およびMeOH(CHCN)を用いて、LC溶液のChemstationソフトウェアによって制御されたUV検出を用いて、SHIMADZU LC−8A機器(カラム:YMC Pack ODS−A(150*30mm、10um))またはLC−6AD(カラム:Shim=Pack PREP−ODS−H(250*20mm、10um))のいずれかで実施した。キラルHPLCは、30Cでヘキサン/EtOH(65/35、0.8mL/分、25分の実行時間)で構成された移動相を用いるCHIRALPAK IBカラム(150*4.6mm、5um)を使用し、15uLのサンプル注射体積(MeOH中の1mg/mL)および220/254nmで設定したUV検出器を使用して実施した。
略語
Bn ベンジル
DCM ジクロロメタン
DIC N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EA 酢酸エチル
エーテル ジエチルエーテル
h 時間
HOAc 酢酸
HOAT 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
LAH 水素化アルミニウムリチウム
MeOH メタノール
min 分
n−BuLi n−ブチルリチウム
Pd/C 活性炭パラジウム、一般に10%パラジウム充填
PE 石油エーテル
RT 室温
S.aq. 飽和水性
SEM 2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
TBAI ヨウ化テトラブチルアンモニウム
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
THF テトラヒドロフラン
実施例4.化合物100、101、106、107の合成
Figure 2021512075
Figure 2021512075
DMSO(300mL)中の1(84g、297mmol)の溶液に臭化ベンジル(60g、353mmol)を添加した。混合物を50Cで一晩撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、HCl(300mL、2mol/L)を添加し、混合物を70Cで2時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、濾過し、固形物を水およびエタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、2(55g、収率76.8%)を灰色の固体として得た。
Figure 2021512075
2(40g、166mmol)のHOAc(480mL)および水(60mL)の溶液に、水(10mL)中の亜硝酸ナトリウム(13.8g、200mmol)を50°Cで滴加し、混合物を50Cで1時間撹拌し、次いで室温に冷却し、さらに2時間撹拌した。混合物を濾過し、固形物を水およびエタノールで洗浄し、乾燥させて、3(38g、収率94.6%)を黄色の固体として得た。
Figure 2021512075
DMF(300mL)中の3(28グラム、115.7mmol)、炭酸カリウム(32g、232mmol)の溶液に、SEMCl(19.2g、115.7mmol)を0Cで滴加し、添加後一晩室温で反応物を撹拌した。混合物を氷水に注ぎ、EA(100mLx3)で抽出し、抽出した有機層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、次いで濃縮し、残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(PE/EA=1:1)によって精製し、4(15g、収率34.8%)を白色の固体として得た。
Figure 2021512075
DMF(150mL)中の4(15g、40.3mmol)および炭酸カリウム(11.1g、80.6mmol)の溶液にブロモ酢酸メチル5(12.2g、81mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を水に注ぎ、沈殿物を収集して、6(14g、収率78.2%)を白色の固体として得、これを次のステップで直接使用した。
Figure 2021512075
エタノール(50mL)中の6(8g、18mmol)の溶液に湿式Pd/C(0.8g、HO中50%)を添加し、バルーンにHを充填し、混合物をH雰囲気下で、一晩室温で撹拌した。反応物をセライトパッドで濾過し、濃縮して、所望の7(5.4g、収率85%)を灰色の固体として得、これを次のステップで直接使用した。
Figure 2021512075
トルエン(40mL)中の7(5g、14mmol)の溶液に、N−ヒドロキシアセトイミドアミド(2.07g、28mmol)を添加し、混合物を一晩還流撹拌した。反応物を水に注ぎ、EA(x4)で抽出し、抽出した有機層を濃縮し、残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(EA)によって精製して、8(3g、収率56.7%)を白色の固体として得た。
Figure 2021512075
DMF(30mL)中の8(1.5g、3.97mmol)、9(1.0等量)(X=CHまたはX=Nのいずれか)、および炭酸カリウム(1.1g、8.0mmol)の溶液にヨウ化ナトリウム(1.2g、8.0mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、EA(x3)で抽出し、抽出した層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(PE/EA=1:1)によって精製して、両方とも白色の固体として10(1.5g、収率56.2%)または10’(1.4g、収率52.4%)を得た。
Figure 2021512075
EA(50mL)中の10または10’(10:1.5g、2.23mmol、または10’:1.4g、2.08mmol)の溶液に、HCl/EA(2mol/L、10mL)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮し、残留物を分取HPLCによって精製して、両方とも白色の固体として(化合物101:0.6g、収率73.8%、純度>95%、または化合物100:0.9g、収率79.7%、純度>95%)を得た。
化合物101の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ12.28(s,1H)、11.25(s,1H)、9.66(s,2H)、8.35(s,1H)、8.12(d,J=7.6Hz,1H)、8.05−7.98(m,2H)、5.79(d,J=7.2Hz,1H)、5.27(dd,J=24.0Hz,16.8Hz,2H)、2.26(s,3H)、1.88(d,J=6.8Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 543(M+H)
HPLC:>99.9%(254nm,MeOH)、>99.9%(220nm,MeOH)、>99.9%(254nm,ACN)、99.1%(220nm,ACN)。
化合物100の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ 12.32(s,1H)、11.64(s,1H)、9.70(s,2H)、9.35(s,1H)、9.23(s,1H)、8.38(s,1H)、5.80(d,J=6.4Hz,1H)、5.27(dd,J=22.4Hz,16.8Hz,2H)、2.26(s,3H)、1.90(d,J=6.8Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 544(M+H)
HPLC:97.7%(254nm,MeOH)、98.4%(220nm,MeOH)、97.7%(254nm,ACN)、97.9%(220nm,ACN)。
Figure 2021512075
DMF(30mL)中の(101:340mg、0.63mmol、または100:490mg、0.9mmol)および炭酸カリウム(1.2等量)の溶液にCDI(1.2等量)を添加し、次いで室温で一晩撹拌した。混合物を氷水に注ぎ、沈殿物を収集して、所望の生成物(107:0.21g、収率59.6%、>純度95%、または106:0.37g、収率73.4%、純度>95%)を両方とも白色の固体として得た。
化合物107の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ 12.28(s,1H)、9.66(s,2H)、9.34(s,1H)、9.23(s,1H)、8.47(s,1H)、5.82(s,1H)、5.84−5.79(m,1H)、5.32(t,J=20.0Hz,2H)、2.33(s,3H)、1.91(d,J=7.2Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 560(M+H)
HPLC:96.7%(254nm,MeOH)、96.9%(220nm,MeOH)、98.0%(254nm,ACN)、98.4%(220nm,ACN)。
化合物106の分析データ:
H NMR(DMSO−d 400MHz) δ 11.66(s,1H)、9.70(s,2H)、9.35(s,1H)、9.23(s,1H)、8.38(s,1H)、5.80(d,J=6.4Hz,1H)、5.27(dd,J=22.4Hz,16.8Hz,2H)、2.26(s,3H)、1.90(d,J=6.8Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 561(M+H)
HPLC:99.5%(254nm,MeOH)、99.7%(220nm,MeOH)、99.0%(254nm,ACN)、99.0%(220nm,ACN)。
実施例5.化合物102および104の合成
Figure 2021512075
EtOH(60mL)およびHO(30mL)中の11’(1.0g、1.8mmol、化合物100から化合物106のように合成したが、CDIの代わりにCHIを使用した)の溶液に鉄粉(500mg、9mmol)およびNHCl(480mg、8mmol)を添加し、懸濁液を60Cに加熱し、2時間撹拌し続けた。混合物を室温に冷却し、セライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮して黒色の残留物を得、これを分取HPLCによって精製して102(350mg、収率34.7%、純度>95%)および104(180mg、収率19.3%、純度>95%)を両方とも白色の固体として得た。
化合物102の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ 11.63(s,1H)、11.05(s,1H)、9.70(s,2H)、9.35(s,1H)、8.43(s,1H)、5.85−5.80(m,1H)、4.77(dd,J=25.2Hz,17.6Hz,2H)、3.76(s,3H)、2.51(s,3H)、1.92(d,J=7.6Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 561(M+H)
HPLC:98.4%(254nm,MeOH)、98.5%(220nm,MeOH)、98.4%(254nm,ACN)、98.6%(220nm,ACN)。
化合物104の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ 11.64(s,1H)、9.71(s,2H)、9.36(s,1H)、9.23(s,1H)、8.40(s,1H)、7.50(s,1H)、5.88−5.83(m,1H)、4.36(m,2H)、3.46(s,3H)、1.91(d,J=7.2Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 519(M+H)
HPLC:>99.9%(254nm,MeOH)、>99.9%(220nm,MeOH)、>99.9%(254nm,ACN)、>99.9%(220nm,ACN)。
実施例6.化合物103および105の合成
Figure 2021512075
化合物102および104の合成と同じ手順を使用するが、出発物質として11を使用して、103(310mg、収率30.8%、純度>95%)および105(60mg、収率6.4%、純度>95%)を両方とも白色固体として得た。
化合物103の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ 11.26(s,1H)、11.04(s,1H)、9.67(s,2H)、8.41(s,1H)、8.12(d,J=7.6Hz,1H)、8.05−7.98(m,2H)、5.83−5.79(m,1H)、4.83(dd,J=27.2Hz,17.2Hz,2H)、3.47(s,3H)、2.12(s,3H)、1.90(d,J=7.2Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 560(M+H)
HPLC:>99.9%(254nm,MeOH)、>99.9%(220nm,MeOH)、>99.9%(254nm,ACN)、>99.9%(220nm,ACN)。
化合物105の分析データ:
H NMR DMSO−d 400MHz
δ 11.27(s,1H)、9.67(s,2H)、8.39(s,1H)、8.12(d,J=7.6Hz,1H)、8.05−8.00(m,2H)、7.51(s,1H)、7.01(s,1H)、5.86−5.82(m,1H)、4.38−4.36(m,2H)、3.46(s,3H)、1.89(d,J=7.2Hz,3H);
LCMS(ESI):m/z 518(M+H)
HPLC:95.5%(254nm,MeOH)、96.4%(220nm,MeOH)、96.1%(254nm,ACN)、97.1%(220nm,ACN)。
当量
本明細書において言及される各々およびすべての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により本明細書にそれらの全体が組み込まれる。本発明は特定の態様を参照して開示されているが、本発明の他の態様および変形が、本発明の真の趣旨および範囲を逸脱することなく、当業者により考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのかかる態様および同等な変更を含むと解釈されるように意図されている。
参照により本明細書に組み込まれると言及されている、いかなる特許、刊行物、または他の開示資料も、全体または一部において、組み込まれる資料が、本開示に記載の既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない範囲内でのみ本明細書に組み込まれる。そのようなものとして、かつ必要な範囲で、本明細書に記載の明示としての開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料にも優先する。
本発明が特にその好ましい実施形態に関連して示され、かつ記載されているが、形態および細部の様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明においてなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。

Claims (74)

  1. 式(I)の化合物、
    Figure 2021512075
    またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
    Xは、NまたはCHであり、
    が、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−C(O)N(R、−C−Cアルキル−CN、−C−Cハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、それらの各々が(R1−7で置換されており、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、任意選択で(R1−3で置換されているヘテロアリールであり、
    が、独立して、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
    が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRがそれらが結合している原子と一緒になって、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
    が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
    が、H、CHD、CHD、またはCDである、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  2. が、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシルエチル、ケトペンチル、ヒドロキシメチル、ピリジニルメチル、オキサゾリルメチル、メチルイソオキサゾリルメチル、オキセタニルメチル、オキサジアゾリルメチル、メチルオキサジアゾリルメチル、メトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、メトキシケトプロピル、ケトメチルブチル、ケトプロピル、ケトブチル、アセトアミド、シアノメチル、メチルアセトアミド、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、またはブチニルである、請求項1に記載の化合物。
  3. が、
    Figure 2021512075
    である、請求項1または2に記載の化合物。
  4. が、任意選択で(R1−4で置換されているヘテロアリールアルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. が、任意選択で(R1−2で置換されている1,2,4オキサジアゾリルメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. が、
    Figure 2021512075
    である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. が、メチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. が、Hである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. が、Hである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. が、任意選択で(R1−3で置換されている6員単環式ヘテロアリールである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、またはピリダジニルであり、それらの各々が、(R1−2で置換されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. が、
    Figure 2021512075
    である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. が、独立して、H、ピロリジニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ハロ、メチル、イソプロピル、シアノ、プロピル、エチル、アザビシクロヘキシル、ジフルオロアザビシクロヘキシル、メトキシ、メトキシエチル、ジアルキルアミノ、またはエトキシであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
  15. が、C−CアルキルまたはC−Cハロアルキルである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
  16. が、CFである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
  17. が、
    Figure 2021512075
    であり、Rが、CFである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
  18. が、H、メチル、エチル、またはCFである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
  19. が、Hである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
  20. が、CDである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
  21. が、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、Hまたはメチルであり、
    が、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、Hまたはメチルであり、
    が、H、メチル、エチル、またはCFであり、
    が、HまたはCDである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
  22. Xが、Nである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物。
  23. Xが、CHである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
  24. が、任意選択で(R1−2で置換されている−CH−ヘテロアリールであり、
    が、任意選択で(R1−3で置換されている6員のヘテロアリールである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  25. が、任意選択で1つのRで置換されている−CH−ヘテロアリールであり、
    が、メチルであり、
    が、Hであり、
    が、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、Hまたはメチルであり、
    が、H、メチル、エチル、またはCFであり、
    が、HまたはCDである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物。
  26. 前記化合物が、以下の式(Ia)の化合物である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2021512075
  27. 前記化合物が、
    Figure 2021512075
    からなる群から選択される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の化合物。
  28. 前記化合物が、
    Figure 2021512075
    からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
  29. 式(II)の化合物、
    Figure 2021512075
    またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
    Xが、NまたはCHであり、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、任意選択で(R1−3で置換されているヘテロアリールであり、
    が、独立して、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
    が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRがそれらが結合している原子と一緒になって、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
    が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、H、CD、またはC−Cアルキルである、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  30. が、メチルである、請求項29に記載の化合物。
  31. が、メチルである、請求項29に記載の化合物。
  32. が、Hである、請求項29に記載の化合物。
  33. が、Hである、請求項29〜32のいずれか一項に記載の化合物。
  34. が、任意選択で(R1−3で置換されている6員単環式ヘテロアリールである、請求項29〜33のいずれか一項に記載の化合物。
  35. が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、またはピリダジニルであり、それらの各々が、(R1−2で置換されている、請求項29〜34のいずれか一項に記載の化合物。
  36. が、
    Figure 2021512075
    である、請求項29〜34のいずれか一項に記載の化合物。
  37. が、独立して、H、ピロリジニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ハロ、メチル、イソプロピル、シアノ、プロピル、エチル、アザビシクロヘキシル、ジフルオロアザビシクロヘキシル、メトキシ、メトキシエチル、ジアルキルアミノ、またはエトキシであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されている、請求項29〜35のいずれか一項に記載の化合物。
  38. が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    である、請求項29〜37のいずれか一項に記載の化合物。
  39. が、C−CアルキルまたはC−Cハロアルキルである、請求項29〜38のいずれか一項に記載の化合物。
  40. が、CFである、請求項29〜39のいずれか一項に記載の化合物。
  41. が、
    Figure 2021512075
    であり、Rが、CFである、請求項29〜40のいずれか一項に記載の化合物。
  42. が、H、メチル、エチル、またはCFである、請求項29〜41のいずれか一項に記載の化合物。
  43. が、メチルである、請求項29〜42のいずれか一項に記載の化合物。
  44. が、Hまたはメチルであり、
    が、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、Hまたはメチルであり、
    が、H、メチル、エチル、またはCFであり、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、メチルである、請求項29〜43のいずれか一項に記載の化合物。
  45. Xが、Nである、請求項29〜44のいずれか一項に記載の化合物。
  46. Xが、CHである、請求項29〜44のいずれか一項に記載の化合物。
  47. が、メチルであり、
    が、Hであり、
    が、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    であり、
    が、Hまたはメチルであり、
    が、H、メチル、エチル、またはCFであり、
    が、C−Cアルキルであり、
    が、メチルである、請求項29〜46のいずれか一項に記載の化合物。
  48. 前記化合物が、以下の式(IIa)の化合物である、請求項29〜47のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2021512075
  49. 前記化合物が、
    Figure 2021512075
    からなる群から選択される、請求項29〜48のいずれか一項に記載の化合物。
  50. 式(III)の化合物、
    Figure 2021512075
    またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
    Xが、NまたはCHであり、
    が、HまたはC−Cアルキルであり、
    が、H、C−C10ヘテロシクリル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、C−Cハロアルキル、−C−Cアルキル−N(R、ヘテロシクリルアルキル、ハロ、またはシアノであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されており、
    が、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテールアリールアルキル、ハロアルキル、ケト、シアノ、もしくはハロであるか、または2つのRがそれらが結合している原子と一緒になって、置換3〜7員環を任意選択で形成することができ、
    が、H、C−Cアルキル、またはC−Cハロアルキルであり、
    が、H、CD、またはC−Cアルキルである、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  51. が、メチルである、請求項50に記載の化合物。
  52. が、メチルである、請求項50または51に記載の化合物。
  53. が、Hである、請求項50〜52のいずれか一項に記載の化合物。
  54. が、独立して、H、ピロリジニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ハロ、メチル、イソプロピル、シアノ、プロピル、エチル、アザビシクロヘキシル、ジフルオロアザビシクロヘキシル、メトキシ、メトキシエチル、ジアルキルアミノ、またはエトキシであり、それらの各々が、任意選択で(R1−3で置換されている、請求項50〜53のいずれか一項に記載の化合物。
  55. が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    または−OCHである、請求項50〜53のいずれか一項に記載の化合物。
  56. が、C−CアルキルまたはC−Cハロアルキルである、請求項50〜55のいずれか一項に記載の化合物。
  57. が、−CFである、請求項50〜56のいずれか一項に記載の化合物。
  58. が、H、メチル、エチル、または−CFである、請求項50〜57のいずれか一項に記載の化合物。
  59. が、Hまたはメチルであり、
    が、独立して、H、−CF、シアノメチル、臭素、塩素、フッ素、メチル、エチル、イソプロピル、シアノ、
    Figure 2021512075
    または−OCHであり、
    が、メチルである、請求項50に記載の化合物。
  60. Xが、Nである、請求項50〜59のいずれか一項に記載の化合物。
  61. Xが、CHである、請求項50〜59のいずれか一項に記載の化合物。
  62. 前記化合物が、以下の式(IIIa)の化合物である、請求項50〜61のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 2021512075
  63. 前記化合物が、
    Figure 2021512075
    からなる群から選択される、請求項50〜62のいずれか一項に記載の化合物。
  64. 請求項1〜63のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物中に含む、薬学的組成物。
  65. 薬剤として使用するための、請求項1〜64のいずれか一項に記載の化合物。
  66. 対象におけるTRPA1媒介性障害の治療に使用するための、請求項1〜65のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  67. 前記TRPA1介在性障害が、疼痛、炎症性疾患、皮膚障害、および呼吸状態からなる群から選択される、請求項66に記載の使用のための化合物。
  68. 以下の式の化合物であって、
    Figure 2021512075
    95%超の純度のものである、化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  69. 以下の式の化合物であって、
    Figure 2021512075
    95%超の純度のものである、化合物。
  70. 以下の式の化合物、
    Figure 2021512075
    またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物中に含む、薬学的組成物。
  71. 以下の式の化合物を、
    Figure 2021512075
    薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物中に含む、薬学的組成物。
  72. 前記組成物が、経口投与用である、請求項70または71に記載の薬学的組成物。
  73. 対象の疼痛を治療する方法であって、有効量の以下の式の化合物、
    Figure 2021512075
    またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
  74. 前記化合物が、
    Figure 2021512075
    である、請求項73に記載の対象の疼痛を治療する方法。
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