JP2021508498A - 抗tmem106b抗体及びその使用方法 - Google Patents

抗tmem106b抗体及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、概して、TMEM106Bポリペプチド、例えば哺乳動物TMEM106BまたはヒトTMEM106Bに特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体、抗体断片などを含む、組成物、ならびに、予防すること、リスクを減少させること、または、それを必要とする個体を治療することにおける、それらの組成物の使用に関する。
【選択図】図2

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月29日に出願した米国仮特許出願第61/612,098号の利益を主張するものであり、同出願の全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
ASCIIテキストファイルの配列表の提出
以下のASCIIテキストファイルでの提出物の内容は、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する:コンピューターで読み取り可能な形式(CRF)の配列表(ファイル名称:735022002040SEQLIST.TXT、記録日:2018年12月19日、サイズ:169KB)。
本開示の分野
本開示は、抗TMEM106B抗体、及び、それら抗体の治療的使用に関する。
本開示の背景
膜貫通タンパク質106B(TMEM106B)とは、主に、後期エンドソーム、及び、リソソームの膜内に存在するタイプ2の1回膜貫通糖タンパク質である。(例えば、Lang el al., 2012, J Biol Chem, 287:19355−19365(非特許文献1);Chen−Plotkin et al., 2012, J Neurosci, 32:11213−11227(非特許文献2);Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 22:685−695(非特許文献3)を参照されたい)TMEM106Bは、ヒトの組織で広く発現しており、そして、特に興味深いことに、ニューロン、グリア細胞、それに、脳の内皮細胞、及び、血管周囲細胞で発現している。TMEM106Bは、哺乳動物で高度に保存されており、ヒトのタンパク質は、カニクイザル変異体とは99%の配列同一性を、また、マウスのオルソログとは97%の配列同一性を共有している。
TMEM106Bは、アミノ酸残基1〜92(ヒトTMEM106B;SEQ ID NO:1)の範囲にあると予測されている細胞質ドメイン、アミノ酸残基96〜117の範囲にあると予測されている膜貫通ドメイン、及び、アミノ酸残基118〜274の範囲にあると予測されている内腔ドメインを有する。翻訳後のN−グリコシル化部位(N−X−T/S)の5つの配列モチーフは、その内腔ドメインに及んでいる。単純なグリカンが、3つのアスパラギン残基(N145、N151、及び、N164)に加えられているが、TMEM106Bの局在性に関しては重要ではない。複雑なグリカンが、N183、及び、N256の大部分のC末端モチーフに加えられており;N183に関する複雑なグリカンを損失すると、エンドソーム/リソソームに向かうTMEM106B前方輸送が機能しなくなり、小胞体が保持される。加えて、複雑なN256グリコシル化は、適切なTMEM106Bの選別のために必要である。(例えば、Nicholson and Rademakers, 2016, Acta Neuropathol, 132:639−651(非特許文献4)を参照されたい。)
TMEM106Bの機能は、完全には特徴決定されていない。最近の報告は、樹状突起に沿ったリソソームの輸送を阻害することで、樹状突起の分岐、形態形成、及び、維持における、TMEM106Bの役割を示している。(例えば、Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 126:696−698(非特許文献5);Schwenk et al., 2014, EMBO J, 33:450−467(非特許文献6);Clayton et al., 2018, Brain 141(12):3428−3442(非特許文献7)を参照されたい。)
TMEM106Bは、様々なタンパク質と相互作用することが示されており、同タンパク質として、プログラニュリンタンパク質(GRN)、TMEM106AやTMEM106Cなどのその他のTMEM106タンパク質ファミリーメンバー、クラスリン重鎖(CLTC)、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット(AP2M1)、荷電多胞体タンパク質2b(CHMP2B)、微小管関連タンパク質6(MAP6)、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP1)、及び、液胞ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1(v−ATPaseAp1)などがあるが、これらに限定されない。
TMEM106Bは、様々な障害、及び、疾患、特に、神経変性障害に遺伝的に関連している。そのような障害として、病的TDP−43封入体(すなわち、TDP−43タンパク質症;相互作用反応DNA結合タンパク質43)の存在を特徴とする状態、前頭側頭葉型変性症(FTLD)、プログラニュリン(GRN)、または、C90rf72変異が関与するFTLD−TDPなどのTDP−43封入体が関与するFTLD(FTLD−TDP)、TDP−43プロテイノパチー、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(LBD)、海馬硬化症(HpScl)、老化の海馬硬化症(HS−Aging)、低髄鞘形成大脳白質萎縮症、及び、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの様々な障害における認知機能障害があるが、これらに限定されない。TMEM106Bは、非小細胞肺癌の転移にも関連している(Kundu et al., 2016;Nature Commun. 2018;9: 2731, Cancer Research, Proceedings of the 107th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research, abstract no.688(非特許文献8))。TMEM106Bは、AT8タウ沈着、CD68細胞密度、及び、PSD−95濃度の変化など、CTE患者の慢性外傷性脳症(CTE)関連の神経病理学、及び、認知症とも関連している(Cherry et al., 2018, Acta Neuropathol Commun. 6:115(非特許文献9))。
したがって、TMEM106B活性に関連する様々な疾患、障害、及び、状態を治療するには、TMEM106Bに特異的に結合する治療用抗体など、TMEM106Bを標的とする治療法、及び/または、TMEM106Bのタンパク質レベルまたは機能を低下させて、または、TMEM106Bと、そのリガンドまたは結合パートナーの1つ以上との結合をブロックまたは減少させるか、さもなければ、そのリガンドまたは結合パートナーの1つ以上の有効濃度を調節して、TMEM106Bの活性を阻害することができる治療法が必要である。
特許出願、及び、刊行物を含む、本明細書で引用するすべての文献を、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。
Lang el al., 2012, J Biol Chem, 287:19355−19365 Chen−Plotkin et al., 2012, J Neurosci, 32:11213−11227 Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 22:685−695 Nicholson and Rademakers, 2016, Acta Neuropathol, 132:639−651 Brady et al., 2013, Human Molecular Genetics, 126:696−698 Schwenk et al., 2014, EMBO J, 33:450−467 Clayton et al., 2018, Brain 141(12):3428−3442 Kundu et al., 2016;Nature Commun. 2018;9: 2731, Cancer Research, Proceedings of the 107th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research, abstract no.688 Cherry et al., 2018, Acta Neuropathol Commun. 6:115
本開示の概要
本開示は、一般的に、抗TMEM106B抗体、及び、そのような抗体を使用する方法に関する。本明細書で提供する方法は、神経変性疾患、障害、もしくは状態を予防すること、リスクを減少させること、または、前記神経変性疾患、障害、もしくは状態を有する個体を治療することにおいて使用される。一部の実施形態では、本発明は、神経変性障害、TDP−43封入体の存在を特徴とする障害、TDP−43タンパク質症、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、前頭側頭葉型変性症(FTLD)、前頭側頭葉認知症(FTD)、プログラニュリン変異が関与するFTD、C90rf72変異が関与するFTD、TDP−43封入体を伴う前頭側頭葉型変性症、海馬硬化症(HpScl)、加齢に伴う海馬硬化症(HS−Aging)、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、認知機能障害、加齢性認知機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落など、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、筋萎縮性側索硬化症における認知機能障害、慢性外傷性脳症(CTE)における認知機能障害、TMEM106Bの過剰発現、または、活性の増大に関連した疾患、傷害、及び、状態、低髄鞘形成不全、がん、及び、転移からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療する方法を提供するものであって、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
したがって、本開示の特定の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関するものであり、当該抗TMEM106B抗体は;TMEM106Bの細胞レベルを減少させる、TMEM106Bの細胞内レベルを減少させる、TMEM106Bと、そのリガンドまたは結合タンパク質の1つ以上との間の相互作用を阻害するまたは減少させる、及び、それらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される特性を有する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗体は、TMEM106Bの細胞表面レベルを減少させる、TMEM106Bの細胞内レベルを減少させる、TMEM106Bの総レベルを減少させる、TMEM106Bのエンドソームレベルを減少させる、TMEM106Bのリソソームレベルを減少させる、または、それらの任意の組み合わせである。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TMEM106B分解、TMWM106B開裂、TMEM106B内在化、TMEM106Bダウンレギュレーション、または、それらの任意の組み合わせを誘発する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、インビボでのTMEM106Bの細胞レベルを減少させる。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、脳内のTMEM106Bの細胞レベルを減少させる。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、1つ以上の末梢器官におけるTMEM106Bの細胞レベルを減少させる。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、脳、1つ以上の末梢器官、または、それらの任意の組み合わせにおけるTMEM106Bの細胞レベルを減少させる。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ミクログリアにおけるTMEM106Bの細胞レベルを減少させる。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ニューロンにおけるTMEM106Bの細胞レベルを減少させる。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bとプログラニュリンタンパク質との間、TMEM106B及びTMEM106C、クラスリン重鎖(CLTC)、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット(AP2M1)、CHMP2B、微小管関連タンパク質6(MAP6)、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP1)、液胞ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1、または、TMEM106Bの機能を調節する任意のタンパク質またはポリペプチドなどのその他のTMEM106タンパク質ファミリーメンバー間での1つ以上の相互作用を阻害するまたは減少させる。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、不連続のTMEM106Bエピトープに結合する。前述の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該不連続のTMEM106Bエピトープは、2つ以上のペプチド、3つ以上のペプチド、4つ以上のペプチド、5つ以上のペプチド、6つ以上のペプチド、7つ以上のペプチド、8つ以上のペプチド、9つ以上のペプチド、または、10個以上のペプチドを含む。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該ペプチドのそれぞれは、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列の、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列の、または、SEQ ID NO:315のアミノ酸配列の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上、28個以上、29個以上、または、30個以上のアミノ酸残基を含み;または、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列の、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列の、または、SEQ ID NO:315のアミノ酸配列に対応する哺乳動物TMEM106Bタンパク質に関する5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上、28個以上、29個以上、または、30個以上のアミノ酸残基を含む。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bの立体配座エピトープに結合する。
前述の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−17、TM−22、TM−23、TM−26、及び、TM−27、ならびに、TMEM106Bに対する結合に関するそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のリファレンス抗TMEM106B抗体と競合する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−2、TM−3、TM−5、TM−7、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−18、TM−19、TM−21、TM−25、TM−28、TM−29、TM−32、TM−35、TM−37、TM−39、TM−42、TM−45、TM−48、及び、TM−53、ならびに、TMEM106Bに対する結合に関するするそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のリファレンス抗TMEM106B抗体と競合する。前述の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−4、TM−6、TM−8、TM−14、TM−15、TM−16、TM−20、TM−31、TM−33、TM−34、TM−36、TM−41、TM−44、TM−46、TM−47、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TMEM106Bに対する結合に関するする任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のリファレンス抗TMEM106B抗体と競合する。一部の実施形態では、当該リファレンス抗TMEM106B抗体は、TM−4、TM−6、TM−8、TM−14、TM−15、TM−16、TM−20、TM−31、TM−33、TM−34、TM−36、TM−41、TM−44、TM−46、TM−47、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗体のV及びVを含む。
本開示のその他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関するものであり、当該抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つのHVRを含む。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53からなる群から選択される抗体の6つのHVR(例えば、以下の表4Aに示したような)を含む。
本開示のその他の態様は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53からなる群から選択される抗体の6つのHVRを含むリファレンス抗TMEM106B抗体と本質的に同じTMEM106Bエピトープに結合する単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関する。一部の実施形態では、当該リファレンス抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53からなる群から選択される抗体のV及びV(例えば、以下の表4Bに示したような)を含む。
本開示のその他の態様は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基59〜73、80〜90、5〜19、59〜69、52〜62、64〜74、151〜165、185〜195、139〜149、248〜258、156〜161、202〜207、219〜233、126〜140、185〜195、260〜274、202〜212、151〜161、223〜233、143〜153、223〜228、133〜145、及び/または、198〜212の内の1つ以上のアミノ酸に結合する単離された(例えば、モノクローナル)抗TMEM106B抗体に関する。
本開示の一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、アミノ酸残基151〜165、及び/または、185〜195の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。本開示の一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基59〜73、80〜90、139〜149、及び/または、248〜258の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基5〜19、156〜161、202〜207、及び/または、219〜233内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基126〜140、185〜195、及び/または、260〜274の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基202〜212の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基151〜161、及び/または、223〜233の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基59〜69、143〜153、及び/または、223〜228の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基133〜145、及び/または、198〜212の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基52〜62、64〜75、及び/または、223〜228の内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
本開示のその他の態様は、アミノ酸配列
Figure 2021508498
の内の1つ以上のアミノ酸に結合する単離された抗TMEM106B抗体に関する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、1つ以上のそのリガンド、シグナル伝達タンパク質、または、結合タンパク質との間の相互作用を、a)1つ以上の当該リガンドまたは結合タンパク質との相互作用に利用可能なTMEM106Bの有効レベルを減少させる;b)1つ以上の当該リガンドまたは結合タンパク質との相互作用に必要なTMEM106Bでの1つ以上の部位をブロックする;c)1つ以上の当該リガンドまたは結合タンパク質との相互作用、及び/または、TMEM106Bの適切な処理、及び/または、細胞内局在化に必要なTMEM106Bでの1つ以上の翻訳後事象を予防する;d)TMEM106Bの分解を誘導する;e)TMEM106B、または、両方の配座を変更して、さらに阻害する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B、マウスTMEM106B、カニクイザルTMEM106B、または、それらの組み合わせに対して特異的に結合する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、または、キメラ抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、第1の抗原、及び、第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該第1の抗原は、TMEM106Bであり、そして、当該第2の抗原は、血液脳関門を通る輸送を促進する抗原である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該第2の抗原を、TMEM106B、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1、及び、2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質変換ドメイン、TAT、Syn−B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、angiopepペプチド、ベイシジン、Glut1、及び、CD98hc、及び、ANG1005からなる群から選択する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TGFベータの発現を高める。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、当該抗体は、モノクローナル抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である。一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラスの抗体であり、かつ、IgG1、IgG2、または、IgG4アイソタイプを有する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B、または、哺乳動物TMEM106Bタンパク質に関するアミノ酸残基を含むエピトープに対して結合する抗体断片である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、またはscFv断片である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る一部の実施形態では、当該抗体は、ヒト化抗体、または、キメラ抗体である。
本開示のその他の態様は、前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体をコードする核酸配列を含む単離された核酸に関する。本開示のその他の態様は、前出の実施形態のいずれかの核酸を含むベクターに関する。本開示のその他の態様は、前出の実施形態のいずれかのベクターを含む単離された宿主細胞に関する。本開示のその他の態様は、抗TMEM106B抗体を生産する方法に関するものであり、同方法は、当該抗TMEM106B抗体を生産するように、前出の実施形態のいずれかの宿主細胞を培養することを含む。特定の実施形態では、当該方法は、当該宿主細胞が生産した当該抗TMEM106B抗体を回収することをさらに含む。本開示のその他の態様は、前出の実施形態のいずれかの方法で生産した、単離された抗TMEM106B抗体に関する。本開示のその他の態様は、前出の実施形態のいずれかの当該抗TMEM106B抗体及び医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の傷害、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認知機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落など、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療する方法に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の傷害、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認知機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落など、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防すること、リスクを減少させること、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療することにおける使用のための前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体に関する。本開示のその他の態様は、転移を予防するまたは減少させることにおける使用のための前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体に関する。本開示のその他の態様は、がんを予防すること、リスクを減少させること、または、がんを有する個体を治療することにおいて使用するための前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体に関する。
本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の傷害、外傷、炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性認知機能障害、加齢性脳萎縮、炎症やニューロン脱落など、これらに限定されない加齢関連形質、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害など、公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療するための医薬を製造するための前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体の使用に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、及び、変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療する方法に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、及び、変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療することにおける使用のための前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体に関する。本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性播種性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血症性ショック、細菌感染、関節炎、及び、変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療するための医薬を製造するための前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体の使用に関する。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、2つ以上の抗TMEM106B抗体を含む。
本明細書に記載の様々な実施形態の1つ、一部、または、全部の特性を組み合わせて、本発明のその他の実施形態を形成し得ることを理解されたい。本発明のこれらの態様、及び、その他の態様は、当業者には自明である。本発明のこれらの実施形態、及び、その他の実施形態を、以下にさらに詳細に説明する。
図1には、本開示の様々な抗TMEM106B抗体を添加した後のA549細胞におけるTMEM106Bのパーセントダウンレギュレーション(DR)を示すデータを記載している。 図2には、本開示の様々な抗TMEM106B抗体を添加した後のA549細胞におけるTMEM106Bのパーセントダウンレギュレーションを示すデータを記載している。
本開示の詳細な説明
本開示は、抗TMEM106B抗体(例えば、モノクローナル抗体);それら抗体を作り出す、及び、使用する方法;それら抗体を含む医薬組成物;それら抗体をコードする核酸;及び、それら抗体をコードする核酸を含む宿主細胞に関する。
本明細書で説明または参照した技術や手順は、一般的に、よく理解がされており、そして、当業者であれば、例えば、Sambrook el al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3d edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., (2003);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000)に記載されている方法論など、広く利用がされている方法論である従来の方法論を進んで使用している。
I.定義
本明細書では、用語「TMEM106B」または「TMEM106Bポリペプチド」を、互換的に使用しており、特に断りがない限り、霊長類(例えば、ヒト、及び、カニクイザル)、及び、齧歯類(例えば、マウス、及び、ラット)などの哺乳類を含む、任意の脊椎動物起源の任意の天然のTMEM106Bのことを指す。一部の実施形態では、この用語は、野生型配列、及び、天然に存在する変異配列、例えば、スプライス変異、または、対立遺伝子変異の両方を含む。一部の実施形態では、この用語は、「全長」の未処理TMEM106B、ならびに、細胞内での処理が関与する任意の形態のTMEM106Bを含む。一部の実施形態では、当該TMEM106Bは、ヒトTMEM106Bである。一部の実施形態では、例示的なTMEM106Bのアミノ酸配列は、2006年6月27日現在でのUniprot受託番号:Q9NUM4である。一部の実施形態では、例示的なヒトTMEM106Bのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1である。
用語「抗TMEM106B抗体」、「TMEM106Bに対して結合する抗体」、及び、「TMEM106Bに特異的に結合する抗体」は、TMEM106Bを標的にする診断薬、及び/または、治療薬として有用な抗体であり、TMEM106Bに対して十分な親和性で結合することができる抗体のことを指す。ある実施形態では、無関係の非TMEM106Bポリペプチドに対する抗TMEM106B抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)で決定したように、TMEM106Bに対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、TMEM106Bに対して結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または、<0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗TMEM106B抗体は、異なる種に由来するTMEM106Bの間で保存されているTMEM106Bのエピトープに対して結合する。
標的分子に対する抗体の結合に関して、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」、または、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチド標的に関するエピトープに「特異的」であるとは、非特異的相互作用とは異なる測定可能な結合を意味する。特異的結合は、例えば、コントロール分子の結合と比較して、分子の結合を決定して測定することができる。例えば、特異的結合は、標的、例えば、過剰の非標識標的に類似するコントロール分子と競合させて決定することができる。この事例では、プローブに対する標識した標的の結合を、過剰な非標識標的が競合的に阻害するのであれば、特異的結合を示す。本明細書で使用する用語「特異的結合」または「特異的に結合する」、または、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチド標的に関するエピトープに「特異的」であるとは、例えば、概ね、10−4M以下、10−5M以下、10−6M以下、10−7M以下、10−8M以下、10−9M以下、10−10M以下、10−11M以下、10−12M以下のいずれかの標的に関するKD、または、10−4M〜10−6M、または、10−6M〜10−10M、または、10−7M〜10−9Mの範囲のKDを有する分子として示すことができる。当業者であれば、親和性とKD値は反比例することを理解する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値として表れる。ある実施形態では、用語「特異的結合」とは、分子が、任意のその他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに対して実質的に結合せずに、特定のポリペプチド、または、特定のポリペプチドに関するエピトープに対して結合する結合のことを指す。
本明細書において、用語「免疫グロブリン」(Ig)は、「抗体」と互換的に使用する。本明細書において、用語「抗体」は、最も広い意味で使用しており、特に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成した多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び、所望の生物学的活性を示す限りは、抗体断片を含む。
「ネイティブ抗体」は、通常、2つの同一の軽(「L」)鎖、及び、2つの同一の重(「H」)鎖から構成されている約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合で重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。それぞれの重鎖、及び、それぞれの軽鎖は、規則的な間隔を開けた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一端に、可変ドメイン(V)を有しており、これに、幾つかの定常ドメインが続く。それぞれの軽鎖は、一端に、可変ドメイン(V)を有しており、他端に、定常ドメインを有しており;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列しており、そして、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられる。
異なる抗体クラスの構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
任意の脊椎動物種に由来する軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)、及び、ラムダ(「λ」)と称する2つの明確に異なる種類の内の1つに割り当てることができる。免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには;IgA、IgD、IgE、IgG、及び、IgMの5つのクラスがあり、それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)、及び、ミュー(「μ」)と表記される重鎖を有する。γ及びαのクラスは、CH配列及び機能の相対的にわずかな相違に基づいて、サブクラス(アイソタイプ)にさらに分類され、例えば、ヒトでは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及び、IgA2を発現する。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造、及び、三次元構成は公知であり、例えば、Abbas et al.,CeL1ular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)で概説されている。
本開示のTMEM106B抗体などの抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインのことを指す。当該重鎖及び軽鎖の可変ドメインを、それぞれ、「V」及び「V」と称し得る。これらのドメインは、一般的に、(同じクラスのその他の抗体と比較して)最も変化しやすい抗体の部分であり、そして、抗原結合部位を含む。
用語「可変」とは、可変ドメインの特定のセグメントが、本開示のTMEM106B抗体などの抗体の間で配列が大きく異なるという事実のことを指す。当該可変ドメインは、抗原結合を媒介し、そして、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、当該可変性は、当該可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインの超可変領域(HVR)と呼ばれている3つのセグメントに集中している。可変ドメインにおいて高度に保存されている部分を、フレームワーク領域(FR)と称する。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、3つのHVRで接続した、ベータシート立体配置を主体とする4つのFR領域を含み、それらは、当該ベータシート構造に接続するループ、及び、一部の事例では、当該ベータシート構造の一部を形成するループを形成する。それぞれの鎖でのHVRは、FR領域に非常に近接して一緒に保持され、他方の鎖に由来するHVRと共に、それらの抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。当該定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体集団から得た抗体、例えば、本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体のことを指し、すなわち、当該集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る自然発生の変異、及び/または、翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、1つ以上の抗原部位を指向する。一般的には異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、当該抗原の単一の決定基を指向する。それらの特異性に加えて、当該モノクローナル抗体は、その他の免疫グロブリンによる汚染を受けていないハイブリドーマ培養で合成するという点で有利である。修飾語「モノクローナル」とは、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体の特徴を示すものであって、任意の特定の方法で抗体の生産を必要とするものと解釈すべきではない。例えば、本発明にしたがって使用するモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、及び、ヒト免疫グロブリン遺伝子座、または、ヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部またはすべてを有する動物において、ヒトまたはヒト様抗体を生産する技術などの様々な技術によって生産し得る。
用語「全長抗体」、「インタクト抗体」、または、「全抗体」とは、抗体断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体を指すために、互換的に使用している。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。当該定常ドメインは、ネイティブ配列の定常ドメイン(例えば、ヒトネイティブ配列の定常ドメイン)、または、そのアミノ酸配列変異体とし得る。一部の事例では、当該インタクト抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
「抗体断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原に対して結合するインタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子のことを指す。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)、及び、Fv断片;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)を参照されたい);一本鎖抗体分子、及び、抗体断片から形成した多重特異性抗体がある。
本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体をパパイン消化すると、「Fab」断片と称する2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映した名称を有する残留「Fc」断片とを生成する。当該Fab断片は、軽鎖全体に加えて、重鎖の可変領域ドメイン(V)と、1つの重鎖の第1の定常ドメイン(C1)とからなる。それぞれのFab断片は、抗原結合に関しては一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシン処理すると、単一の大きなF(ab’)断片が得られ、このものは、異なる抗原結合活性を有するジスルフィド結合した2つのFab断片に概ね対応しており、また、依然として抗原を架橋することができる。Fab’断片は、C1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含んだ幾つかのさらなる残基を有する点で、Fab断片と異なる。Fab’−SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’に関する本明細書での表記である。F(ab’)抗体断片は、本来は、その断片間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生産した。抗体断片のその他の化学的カップリングも公知である。
当該Fc断片は、ジスルフィドと共に保持された両方の重鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域は、特定の細胞型で認められるFc受容体(FcR)でも認識される。
本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体の「機能性断片」は、インタクト抗体の一部分を含み、一般的には、インタクト抗体の抗原結合領域または可変領域、または、FcR結合能力を保持する、または、改変したFcR結合能力を有する抗体のFc領域を含む。抗体断片の例として、線状抗体、一本鎖抗体分子、及び、抗体断片から形成した多重特異性抗体がある。
用語「ダイアボディ」とは、可変ドメインの鎖内ではなく、鎖間のペアリングを達成し、それにより、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VドメインとVドメインとの間に短いリンカー(約5〜10個)の残基)を用いてsFv断片(前出の段落を参照されたい)を構築して調製した小さな抗体断片のことを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVドメイン及びVドメインが、異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。
本明細書で使用する「キメラ抗体」とは、本開示のキメラ抗TMEM106B抗体などの抗体(免疫グロブリン)であって、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体、または、特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体での対応する配列と同一または相同であり、かつ、その鎖(複数可)の残部が、別の種に由来する抗体、または、別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体での対応する配列と同一または相同である抗体、ならびに、所望の生物活性を奏する限りは、それら抗体の断片のことを指す。本明細書で対象とするキメラ抗体として、PRIMATIZED(登録商標)抗体があり、当該抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルを目的の抗原で免疫処置して産生した抗体に由来する。本明細書で使用する、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用する。
本開示の抗TMEM106B抗体のヒト化など、非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及び、ヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び、一般的には、2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、HVR(例えば、CDR)のすべて、または、実質的にすべてが、非ヒト抗体のHVRに対応し、そして、FRのすべて、または、実質的にすべてが、ヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体の「ヒト化形態」、例えば、非ヒト抗体とは、ヒト化を受けた抗体のことを指す。
「ヒト抗体」は、本開示の抗TMEM106B抗体のように、ヒトで産生した抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む抗体、及び/または、本明細書に開示したヒト抗体を作り出す技術のいずれかを使用して生産した抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して生産することができる。ヒト抗体は、かかる抗体を抗原接種に応答して生産するように修飾しているが、例えば、免疫処置したゼノマウス、ならびに、ヒトB細胞ハイブリドーマを介して生成させて、その内因性遺伝子座を無効化したトランスジェニック動物に対して当該抗原を投与して、調製することができる。
本明細書で使用する用語「超可変領域」、「HVR」または「HV」とは、配列が超可変性であり、及び/または、構造的に定義されたループを形成する、本開示の抗TMEM106B抗体の抗体可変ドメインの領域などの抗体可変ドメインの領域のことを指す。一般的に、抗体には、6つのHVRがあり;3つが、V(H1、H2、H3)にあり、そして、3つが、V(L1、L2、L3)にある。ネイティブ抗体において、H3及びL3が、6つのHVRの内で最も多様性に富んでおり、そして、特に、H3が、抗体に対して優れた特異性を与える上で独特の役割を果たすものと考えられている。重鎖のみからなる天然ラクダ抗体は、軽鎖がなくとも機能的で、かつ、安定している。
数多くのHVRの記載を、本明細書で使用しており、かつ、本明細書に含んでいる。一部の実施形態では、これらのHVRは、配列変動性に基づいたKabat相補性決定領域(CDR)とし得る、そして、最も一般的に使用している(Kabat eta l.,上掲)。一部の実施形態では、それらのHVRは、Chothia CDRとし得る。Chothiaは、どちらかと言えば、構造的ループの位置を指すものである(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))。一部の実施形態では、これらのHVRを、AbM HVRとし得る。これらのAbM HVRは、Kabat CDRと、Chothia構造的ループとの間の折衷案を示しており、そして、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用されている。一部の実施形態では、これらのHVRを、「接触」HVRとし得る。当該「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づくものである。これらのHVRのそれぞれの残基を、以下に示す。
Figure 2021508498
HVRは、次の「伸長HVR」を含み得る:VLでの24〜36または24〜34(L1)、46〜56または50〜56(L2)、及び、89〜97または89〜96(L3)、及び、VHでの26〜35(H1)、50〜65または49〜65(好ましい実施形態)(H2)、及び、93〜102、94〜102または95〜102(H3)。当該可変ドメイン残基を、これらの伸長HVR定義のそれぞれに対して、Kabat et al.,上掲に従って付番する。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義するHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書で使用する「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、または、ヒトコンセンサスフレームワークに由来するVまたはVフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク、または、ヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、当該フレームワークと同じアミノ酸配列を含み得る、または、既存のアミノ酸配列変化を含み得る。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、または、2つ以下である。既存のアミノ酸変化がVH中に存在する場合、好ましいアミノ酸変化は、位置71H、73H、及び、78Hの内の3つ、2つ、または、1つのみに生じ;例えば、当該位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または、78Aとし得る。ある実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、Vヒト免役グロブリンフレームワーク配列、または、ヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免役グロブリンのVまたはVフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免役グロブリンのV配列またはV配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行う。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)などのサブグループである。例として、Vに関するものとして、サブグループは、Kabat et al.,上掲などのサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、または、カッパIVとし得る。さらに、Vに関するものとして、サブグループは、Kabat et al.,上掲などのサブグループI、サブグループII、または、サブグループIIIとし得る。
例えば、本開示の抗TMEM106B抗体のアミノ酸修飾など、指定した位置での「アミノ酸修飾」とは、指定した残基の置換もしくは欠失、または、少なくとも1つのアミノ酸残基を、指定した残基に隣接するように挿入することを指す。指定した残基に「隣接する」挿入とは、そこから1個〜2個の残基までに挿入することを意味する。当該挿入は、指定した残基のN末端側またはC末端側で行い得る。本明細書における好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
例えば、本開示の親和性成熟抗TMEM106B抗体などの「親和性成熟」抗体とは、当該抗体の1つ以上のHVRに1つ以上の改変を有し、その結果、抗原に対する抗体の親和性が、当該改変(複数可)を有しない親抗体と比較して改善した抗体である。ある実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル、または、ひいてはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で公知の手法で生産する。例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779〜783(1992)は、V−及びV−ドメインのシャッフリングを用いた親和性成熟について記載している。HVR、及び/または、フレームワーク残基のランダム変異導入については、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809〜3813(1994);Schier et al.Gene 169:147〜155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994〜2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310〜9(1995);及び、Hawkins et al,J.Mol.Biol.226:889−896(1992)に記載されている。
「Fv」は、完全な抗原認識部位、及び、抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと、1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みが、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供して、この抗体に抗原結合特異性を与える、6つの超可変ループ(H及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的なHVRを3つしか含まない半分のFv)であっても、全結合部位よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも略称される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖の状態で接続したVH及びVL抗体ドメインを含む、抗体断片である。好ましくは、当該sFvポリペプチドは、VとVドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成する、ことを可能にする。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域、または、アミノ酸配列変異Fc領域)が関与する生物活性のことを指し、そして、抗体のアイソタイプに応じて異なる。
本明細書で使用する用語「Fc領域」とは、ネイティブ配列Fc領域、及び、変異Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用する。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、アミノ酸残基の位置Cys226、または、Pro230から、そのカルボキシル末端にまで及ぶものと定義される。当該Fc領域のC末端リジン(EU付番システムでの残基447)は、例えば、抗体の生産もしくは精製の間に、または、抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することで除去し得る。したがって、インタクト抗体の組成は、すべてのK447残基を除去した抗体集団、K447残基を除去していない抗体集団、及び、K447残基を持つ抗体と持たない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本開示の抗体における使用に好適なネイティブ配列Fc領域として、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び、IgG4がある。
「ネイティブ配列Fc領域」は、自然界で認められるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列のヒトFc領域として、ネイティブ配列のヒトIgG1 Fc領域(非A、及び、Aアロタイプ)、ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域、ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域、及び、ネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに、それらの天然変異がある。
「変異Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)によって、ネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該変異Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域、または、親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有しており、例えば、ネイティブ配列Fc領域、または、親ポリペプチドのFc領域に、約1〜約10のアミノ酸置換、好ましくは、約1〜約5のアミノ酸置換を有する。本明細書での変異Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域、及び/または、親ポリペプチドのFc領域に対して、少なくとも約80%の相同性、及び、最も好ましくは、それらに対して少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらに対して少なくとも約95%の相同性を有する。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことを表す。好ましいFcRは、ネイティブ配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合する抗体であり、そして、FcγRI、FcγRII、及び、FcγRIIIのサブクラスの受容体があり、これらの受容体の対立遺伝子変異体、及び、選択的スプライシング形態を含み、FcγRII受容体として、同様のアミノ酸配列を有し、主にその細胞質ドメインが異なるFcγRIIA(「活性化受容体」)と、FcγRIIB(「阻害性受容体」)とを含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(「ITAM」)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害性モチーフ(「ITIM」)を含む。その他のFcRは、今後同定されるものを含めて、本明細書での用語「FcR」に含まれる。また、FcRは、抗体の血清での半減期を長くすることができる。
ペプチド、ポリペプチド、または、抗体配列に関して本明細書で使用する、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「アミノ酸配列相同性パーセント(%)」は、配列を整列させ、必要に応じて、最大配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後に、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない、指定のペプチド、または、ポリペプチド配列でのアミノ酸残基と同一である、候補配列でのアミノ酸残基のパーセンテージのことを指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該技術分野の技術範囲に属する様々な方法、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、または、MEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要とされる当該技術分野において公知の任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを評価するための適切なパラメーターを決定することができる。
同じエピトープに関して競合する抗体(例えば、中和抗体)の文脈で使用する用語「競合する」とは、試験する抗体が、共通の抗原(例えば、TMEM106B、または、その断片)に対するリファレンス分子(例えば、リガンド、または、リファレンス抗体)の特異的結合を予防または阻害する(例えば、減少させる)アッセイによって決定する抗体間の競合のことを意味する。無数のタイプの競合結合アッセイを使用して、抗体が、別の抗体と競合するか否かを判断でき、例えば;固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242−253を参照されたい);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614−3619)固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);I−125ラベルを使用した固相直接ラベルRIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7−15);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology176:546−552を参照されたい);及び、直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77−82)がある。一般的には、そのようなアッセイは、非標識試験抗体、及び、標識参照抗体のいずれかを担持する固体表面または細胞に結合した精製抗原の使用を含む。競合阻害は、試験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定して測定する。通常、当該試験抗体は過剰に存在する。競合アッセイ(競合抗体)で同定した抗体として、リファレンス抗体と同じエピトープに対して結合する抗体と、立体障害を招くリファレンス抗体が結合するエピトープに対して十分近位の隣接エピトープに対して結合する抗体がある。競合結合を決定するための方法に関するさらなる詳細を、本明細書の以下の記載と実施例で説明する。通常、競合する抗体が過剰に存在すると、共通抗原に対するリファレンス抗体の特異的結合は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、及び/または、ほぼ100%を阻害する(例えば、減少させる)。
本明細書で使用するTMEM106Bタンパク質と第2のタンパク質との間の「相互作用」として、タンパク質−タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及び、イオン結合があるが、これらに限定されない。本明細書において、抗体が、2つのタンパク質の間の相互作用を、攪乱する、減少させる、または、完全に解消する場合、当該抗体は、2つのタンパク質の間の「相互作用を阻害する」。その抗体が、2つのタンパク質の内の一方に結合する場合、本開示の抗体は、2つのタンパク質の間の「相互作用を阻害する」。一部の実施形態では、当該相互作用は、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、及び/または、ほぼ100%のいずれかで阻害することができる。
用語「エピトープ」として、抗体が結合することができる、任意の決定基がある。エピトープは、その抗原を標的とする抗体が結合する抗原の領域であり、また、抗原がポリペプチドである場合、当該抗体と直接に接触する特定のアミノ酸を含む。大抵の場合、エピトープは、ポリペプチドに存在するが、一部の事例では、核酸などのその他の種類の分子に存在することができる。エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル基などの分子に属する化学的に活性な表面を含み、そして、特定の三次元構造特性、及び/または、特定の電荷特性を有することができる。一般的に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、ポリペプチド、及び/または、高分子の複雑な混合物での標的抗原に関するエピトープを優先的に認識する。
「アゴニスト」抗体、または、「活性化」抗体は、抗体が抗原と結合した後に、当該抗原の1つ以上の活性または機能を誘導する(例えば、高める)抗体である。
「アンタゴニスト」抗体、または、「ブロッキング」抗体、または、「阻害」抗体とは、当該抗体が、抗原と結合した後に、1つ以上のリガンドに対する抗原結合を減少させる、阻害する、及び/または、解消する(例えば、弱める)抗体、及び/または、当該抗体が抗原と結合した後に、当該抗原の1つ以上の活性または機能を減少させる、阻害する、及び/または、解消する(例えば、弱める)抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体、または、ブロッキング抗体、または、阻害抗体は、1つ以上のリガンドへの抗原結合、及び/または、当該抗原の1つ以上の活性または機能を、実質的または完全に阻害する。
本開示の単離された抗TMEM106B抗体などの「単離された」抗体は、その生産環境の成分から(例えば、自然に、または、組換えて)同定、分離、及び/または、回収したものである。好ましくは、当該単離された抗体は、その生産環境に由来するその他のすべての汚染成分とは関連がない。組換えトランスフェクト細胞から得られるものなど、その生産環境に由来する汚染成分は、一般的には、抗体の研究、診断、または、治療への使用を妨げる物質であり、そして、酵素、ホルモン、及び、その他のタンパク質性、または、非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい実施形態では、抗体を:(1)例えば、ローリー法で決定した抗体の95重量%を超えるまで、そして、一部の実施形態では、99重量%を超えるまで;(2)スピニングカップシーケンサーを使用して、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または、(3)クマシーブルー、または、好ましくは、銀染色を使用する非還元または還元条件下でのSDS−PAGEで均一になるまで精製する。単離された抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換えT細胞内の元の位置に抗体を含む。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程で調製する。
本開示の抗TMEM106B抗体などの抗体をコードする「単離された」核酸分子とは、それが生産された環境において通常会合している少なくとも1つの汚染核酸分子から同定及び分離された核酸分子である。好ましくは、当該単離された核酸は、その生産環境に関連するすべての構成成分とは会合しない。本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする単離された核酸分子は、自然界で認められる形態または状況とは異なる形態で存在する。したがって、単離された核酸分子は、細胞内に自然に存在する本明細書のポリペプチド、及び、抗体をコードする核酸とは区別される。
本明細書で使用する用語「ベクター」とは、それに結合した別の核酸を輸送することができる核酸分子のことを指す。「プラスミド」は、ベクターの一種であり、さらなるDNAセグメントをライゲーションすることができる環状二本鎖DNAのことを指す。ファージベクターは、別の種類のベクターである。別の種類のベクターとして、ウイルスベクターがあり、さらなるDNAセグメントを、ウイルスゲノムに対してライゲーションすることができる。特定のベクター(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター、及び、エピソーム哺乳動物ベクター)は、導入をした宿主細胞で自己複製が可能である。その他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入すると、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これにより、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、作動可能に連結した遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書では、「組み換え発現ベクター」、または、簡略して「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技法で利用する発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが、ベクターの内で最も一般的に使用される形態であるため、互換的に使用し得る。
本明細書で互換的に使用する「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの重合体のことを指すものであり、そして、DNA及びRNAを含む。当該ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたは塩基、及び/または、それらの類似体、または、DNAもしくはRNAポリメラーゼにより、または、合成反応により重合体に組み込まれ得る任意の基質とすることができる。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクター(複数可)のレシピエントになることができる、または、レシピエントになっている個々の細胞、または、細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、そして、その子孫は、自然発生的、偶発的、または、意図的な変異により、元の親細胞と必ずしも完全に(形態学的に、または、ゲノムDNA相補鎖において)同一でなくともよい。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド(複数可)をインビボでトランスフェクションした細胞を含む。
本明細書で使用する「担体」は、使用する用量及び濃度で、そこに曝露される細胞または哺乳動物に対して無毒である医薬として許容される担体、賦形剤、または、安定剤を含む。
本細書で使用する用語「予防する」とは、個体における特定の疾患、障害、または状態の発生または再発に関して予防を提供することを含む。個体は、特定の疾患、障害、もしくは状態の素因がある、影響を受けやすい、または、そのような疾患、障害、もしくは状態を発症するリスクがあるが、未だに、当該疾患、障害、または状態であると診断されていない。
本明細書で使用する、特定の疾患、障害、または状態を発症する「リスクのある」個体とは、検出可能な疾患または疾患の症状を有し得る、または、有し得ず、そして、本明細書に記載した治療法の前に、検出可能な疾患または疾患の症状を示し得る、または、示し得ない。「リスクがある」とは、個体が、特定の疾患、障害、または状態の発症と相関する測定可能なパラメーターである、当該技術分野で公知の1つ以上のリスク因子を有することを示す。これらのリスク因子の1つ以上を有する個体は、これらのリスク因子の1つ以上を持たない個体よりも、特定の疾患、障害、または状態を発症する可能性が高くなる。
本明細書で使用する用語「治療」とは、臨床病理の経過期間で治療を受けている個体の自然な経過を変えるように設計した臨床介入のことを指す。治療の望ましい効果として、進行速度の低下、病的状態の改善または緩和、及び、特定の疾患、障害、または状態の寛解または予後の改善がある。例えば、特定の疾患、障害、または状態に関連する1つ以上の症状が緩和または解消した場合、個体の「治療」は成功している。
「有効量」とは、所望の治療的、または、予防的結果を達成するために必要な投薬量、及び、期間で、少なくとも有効な量のことを指す。有効量は、1回以上の投与で提供することができる。本明細書に記載の有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び、体重、ならびに、個体において所望の応答を誘発する治療の能力などの要因によって変化し得る。有効量は、治療でのあらゆる毒性または有害な効果よりも、治療的に有益な効果が勝る量でもある。予防的使用の場合、有益または望ましい結果として、疾患の生化学的、組織学的、及び/または、行動的症状、その合併症、及び、疾患の進行過程での中間的病理学的表現型など、疾患のリスクの排除または軽減、重症度の軽減、または、発症の遅延などの結果がある。治療的使用の場合、有益または望ましい結果として、疾患が関与する1つ以上の症状の減少、疾患を煩った方々の生活の質の向上、疾患の治療に必要なその他の薬物の投与量の減少、標的化などを介した別の薬物の効果の改善、疾患の進行の遅延、及び/または、生存期間の延長などがある。薬物、化合物、または、医薬組成物の有効量は、直接的または間接的のいずれかで予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床の文脈で理解すると、薬物、化合物、または、医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または、医薬組成物と組み合わせて達成し得る、または、達成し得ない。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療薬を投与する状況で考慮し得るものであり、そして、単一の薬剤が、1つ以上のその他の薬剤と組み合わせて、所望の結果を達成し得る、または、達成するのであれば、有効量で与えられると考え得る。
治療、予防、または、リスクの軽減を目的とする「個体」とは、ヒト、飼育動物、及び、家畜、ならびに、動物園用動物、競技用または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む、哺乳動物に分類される任意の動物のことを指す。好ましくは、個体は、ヒトである。
本明細書で使用する、別の化合物または組成物との「併用」投与とは、同時投与、及び/または、異なる時点での投与を含む。また、併用投与は、合剤としての投与、または、別個の組成物としての投与を含み、異なる投与頻度または間隔で、かつ同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む。一部の実施形態では、併用投与は、同じ治療レジメンの一部としての投与である。
本明細書で使用する用語「約」とは、それぞれの数値の通常の誤差範囲のことを指しており、当該技術分野の当業者であれば、容易に理解する。本明細書において「約」を付した値またはパラメーターへの言及は、その数値、または、パラメーターそれ自体を対象にした実施形態を含む(及び、説明する)。
本明細書、及び、添付した特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」、及び、「the」は、特に断りのない限り、複数形を含む。例えば、「抗体」への言及は、1つの抗体から、モル量の数多くの抗体までを指すものであり、そして、当業者に公知のそれらの等価物なども含む。
本明細書で使用する本開示の「TMEM106B」タンパク質として、哺乳動物のTMEM106Bタンパク質、ヒトのTMEM106Bタンパク質、霊長類のTMEM106Bタンパク質、カニクイザルのTMEM106Bタンパク質、マウスのTMEM106Bタンパク質、及び、ラットのTMEM106Bタンパク質があるが、これらに限定されない。加えて、本開示の抗TMEM106B抗体は、哺乳動物のTMEM106Bタンパク質、ヒトのTMEM106Bタンパク質、霊長類のTMEM106B、カニクイザルのTMEM106Bタンパク質、マウスのTMEM106Bタンパク質、及び、ラットのTMEM106Bタンパク質の1つ以上の中にあるエピトープに結合し得る。
本明細書で説明する本開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態を「含む(comprising)」、「からなる(consisting)」、及び、「から本質的になる(consisting essentially of)」を含む、ことを理解されたい。
II.抗TMEM106B抗体
本明細書では、抗TMEM106B抗体を提供する。提供する抗体は、例えば、TMEM106B関連障害の診断または治療に有用である。
ある態様では、本開示は、本開示のTMEM106Bタンパク質内のエピトープに対して結合する単離された(例えば、モノクローナル)抗体を提供する。本開示のTMEM106Bタンパク質として、哺乳動物のTMEM106Bタンパク質、ヒトのTMEM106Bタンパク質、マウスのTMEM106Bタンパク質、及び、カニクイザルのTMEM106Bタンパク質があるが、これらに限定されない。
ヒトTMEM106Bは、2型膜糖タンパク質をコードする274個のアミノ酸のタンパク質である。ヒトTMEM106Bの当該アミノ酸配列は、SEQ ID NO:1:
Figure 2021508498
に記載している。
加えて、マウスTMEM106Bのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2:
Figure 2021508498
に記載している。
加えて、カニクイザル(cyno)TMEM106Bのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:315:
Figure 2021508498
に記載している。
一部の実施形態では、TMEM106Bは、細胞で発現する。一部の実施形態では、TMEM106Bは、エンドソーム、及び/または、リソソームで発現する。一部の実施形態では、TMEM106Bは、後期エンドソーム、及び/または、後期リソソームで発現する。一部の実施形態では、TMEM106Bは、細胞表面で発現する。
本開示のTMEM106Bタンパク質として、N末端内腔ドメイン(ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基11〜274の範囲であると考えられる;SEQ ID NO:1を参照されたい)、膜貫通ドメイン(ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基96〜117の範囲であると考えられる)、及び、C末端ドメイン(ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基1〜92の範囲であると考えられる)など、これらに限定されない、幾つかのドメインを含む。加えて、本開示のTMEM106Bタンパク質は、脳、ニューロン、グリア細胞、内皮細胞、血管周囲細胞、周皮細胞など、これらに限定されないが、数多くの組織、及び、細胞で発現する。
TMEM106B結合パートナー
本開示のTMEM106Bタンパク質は、プログラニュリンタンパク質(GRN)、TMEM106B、及び、TMEM106Cなどのその他のTMEM106タンパク質ファミリーメンバー、クラスリン重鎖(CLTC)、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット(AP2M1)、荷電多小胞体タンパク質2b(CHMP2B)、微細管関連タンパク質6(MAP6)、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP1)、及び、液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質など、これらに限定されない1つ以上のリガンド、または、結合タンパク質と相互作用(例えば、結合)することができる。本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、その様々なリガンド、及び、結合パートナーとの相互作用に影響を与える。
プログラニュリン
TMEM106Bは、ニューロン後期エンドリソソームで、プログラニュリンと共局在することが示されており、また、TMEM106Bの過剰発現は、プログラニュリンの細胞内レベルを高める(Chen−Plotkin et al,2012,J Neurosci,32:11213−11227)。
プログラニュリンには、PGRN、プロエピセリン、グラニュリン−エピセリン前駆体、PC(前立腺癌)細胞由来成長因子(PCDGF)、及び、アクログラニンなどの様々な別名がある。プログラニュリンは、593個のアミノ酸のタンパク質であり、同タンパク質は、前駆体PGRNからタンパク質分解的に開裂することができる6〜25kDaの範囲の小さなグラニュリン(エピセリン)モチーフの7.5反復を有する68.5kDの分泌型糖タンパク質をコードする。プログラニュリン開裂産物の例として、グラニュリンA/エピテリン1、グラニュリンBエピテリン2、グラニュリンC、グラニュリンD、グラニュリンE、グラニュリンF、グラニュリンG、及び、プログラニュリンに由来するその他の公知のペプチド産物があるが、これらに限定されない。
プログラニュリンは、広範に発現しており、そして、非ニューロン細胞では、細胞周期の調節や細胞の運動性、創傷の修復、炎症、血管内皮増殖因子(VEGF)などの増殖因子の誘導、腫瘍形成などの様々な事象に関連している。また、プログラニュリンは、初期の神経発生でも広範に発現するが、その後の発生では、大脳皮質ニューロン、海馬錐体ニューロン、プルキンエ細胞などの定義したニューロン集団に限定される。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bとプログラニュリンとの間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bとプログラニュリンとの間の相互作用を、強化または増強する。
その他のTMEM106ファミリーメンバー
TMEM106Bタンパク質は、その他のTMEM106タンパク質ファミリーのメンバーと相互作用することが示されている。例えば、TMEM106BのN末端は、そのファミリーメンバーであるTMEM106Cと相互作用することが示されている。(Stagi et al,2014,Mol Cell Neurosci,61:226−240を参照されたい。)本開示のTMEM106Bタンパク質は、TMEM106Bに結合し、そして、TMEM106Bの機能、及び、活性を改変する。加えて、TMEM106Bタンパク質は、TMEM106Cに結合し、そして、TMEM106Cの機能、及び、活性を改変する。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、その他のTMEM106タンパク質ファミリーメンバーとの間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、別のTMEM106Bポリペプチドとの間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとTMEM106Cとの間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)または減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、その他のTMEM106タンパク質ファミリーのメンバーとの間の相互作用を強化する、または、高める。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、別のTMEM106Bポリペプチドとの間の相互作用を強化する、または、高める。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとTMEM106Cとの間の相互作用を強化する、または、高める。
クラスリン重鎖
TMEM106BのN末端は、エンドサイトーシスアダプタータンパク質クラスリン重鎖(CLTC)と相互作用することが示されている。(Stagi et al,2014,Mol Cell Neurosci,61:226−240を参照されたい。)TMEM106Bのエンドリソソーム局在を伴うタンパク質の相互作用は、TMEM106B細胞質ドメインが、リソソームへのエンドサイトーシス捕捉物の送達に関与し得ることを意味する。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとCLTCとの間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとCLTCとの間の相互作用を強化する、または、高める。
脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット
TMEM106BのN末端は、脂肪細胞タンパク質2のエンドサイトーシスアダプタータンパク質μ1サブユニット(AP2M1)と相互作用することが示されている。(Stagi et al,2014、Mol Cell Neurosci,61:226−240を参照されたい)TMEM106のエンドリソソーム局在を伴うタンパク質の相互作用は、TMEM106B細胞質ドメインが、リソソームへのエンドサイトーシス捕捉物の送達に関与し得ることを意味する。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット(AP2M1)との間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット(AP2M1)との間の相互作用を強化する、または、高める。
荷電多小胞体タンパク質2b
TMEM106Bは、エンドリソソームタンパク質輸送とオートファジー構造形成とを調節するトランスポートIII(ESCRT−III)複合体に必要なエンドソーム分別複合体のメンバーである荷電多胞体タンパク質2b(CHMP2B)に対して直接に結合することが示されている(Jun et al.,2015、Mol Brain、8:85)。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとCHMP2Bとの間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとCHMP2Bとの間の相互作用を強化する、または、高める。
微小管関連タンパク質6
微小管関連タンパク質6(MAP6)のC末端は、TMEM106BのN末端に対して直接に結合する(Schwenk et al.,2014,EMBO J,33:450−467)。MAP6の過剰発現は、TMEM106Bノックダウンと同様に、樹状突起の分岐を阻害する。MAP6ノックダウンは、TMEM106BとMAP6との間の機能的な相互作用を支持する、TMEM106Bノックダウンの樹状表現型を完全に救済する。TMEM106B/MAP6相互作用は、おそらくは、逆行性輸送の分子破壊として作用することで、リソソームの樹状輸送を調節する上で重要であることを示した。リソソームの誤経路は、TMEM106Bリスク変異を有する患者の神経変性を促し得る。MAP6のニューロンが豊富なスプライス変異体のC末端反復領域は、TMEM106Bの細胞質N末端に対して優先的に結合する。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとMAP6との間の相互作用を阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとMAP6との間の相互作用を強化する、または、高める。
リソソーム関連膜タンパク質1
TMEM106Bは、細胞体の後期エンドソーム/リソソーム小胞、及び、樹状突起においてLAMP1と共局在するが、シナプス小胞、または、初期、または、リサイクルエンドソームとは共局在しない。(Stagi et al,2014,Mol Cell Neurosci,61:226−240。)LAMP1(リソソーム関連膜タンパク質1)は、後期エンドソーム/リソソームマーカーである。TMEM106Bの増大は、そのような輸送を阻害して、リソソームを大量にもたらす一方で、TMEM106Bの減少は、軸索輸送リソソームを増加させる(運動性を高める)。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとLAMP1との間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、軸索輸送リソソームを増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、軸索輸送したリソソームの運動性を高める。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BとLAMP1との間の相互作用を強化する、または、高める。
液胞−ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1
TMEM106Bが、液胞ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1(v−ATPase AP1)に、その内腔(C末端)ドメインを介して結合することも示されている(Klein et al.,2017,Neuron,95:281−296)。V−ATPaseは、リソソームの酸性化に関与し;マルチユニットタンパク質複合体の安定化などによる、その機能の調節は、リソソームの機能に影響を及ぼす。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、液胞−ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1との間の相互作用を、阻害(例えば、ブロック)する、または、減少させる。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、液胞−ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1との間の相互作用を強化する、または、高める。
本明細書では、TMEM106Bに結合し、かつ、TMEM106Bと、1つ以上のTMEM106Bリガンドまたは結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMTM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用をブロックする抗TMEM106B抗体をスクリーニングする方法をさらに提供する。一部の実施形態では、ペプチドライブラリーを合成することができ、そこでは、TMEM106Bタンパク質を、1つのアミノ酸残基で分離した連続する15−マー、及び、25−マーのペプチドに切断し、次いで、フィルター上にスポットする。次いで、TMEM106Bリガンドまたは結合パートナーの結合が、抗TMEM106B抗体の存在下または非存在下で、TMEM106Bペプチド、または、ペプチド類と相互作用する能力を、SPOT結合分析で試験をすることができる(例えば、Frank, R and Overwin, H (1996) Methods. Mol. Biol. 66, 149−169;Reineke, U et al., (2002) J. Immunol. Methods 267, 13−26;及び、Andersen, OS et al., (2010) J, BIOLOGICAL CHEMISTRY 285, 12210−12222)。一部の実施形態では、セルロース支持体は、N−修飾セルロース−アミノヒドロキシルプロピルエーテル膜として調製することができ、そして、合成の全ラウンドを、ペプチドと膜との間にアラニンリンカーをもたらす9−フルオレニルメトキシカル−ボニルアラニン−ペンタフルフェニルエステルでスポット形成することから始める。例えば、異なるアミノ酸を段階的に加える自動線形合成は、9−フルオレニル−メトキシカルボニルと、成長するペプチド鎖に対する適切な側鎖保護とでN末端を保護している。一部の実施形態では、脱保護、活性化、及び、カップリングのパターンを、16−マーのペプチドを生成するまで継続し、その結果、共有結合で固定化したペプチドのアレイを、N末端遊離端を有する、それらのC末端に、セルロース支持体に均等に分散する。(Scham、D et al.,(2000)J.Comb.Chem.2,361−369)。一部の実施形態では、サイド保護基の除去を、2つのステップで行うことができる。まず、膜を、90%トリフルオロ酢酸(3%トリイソブチルシランと、2% H2Oとを含むジクロロメタンにて)で処理し;次いで、例えば、60%のトリフルオロ酢酸(3%トリイソブチルシランと、2% H2Oとを含むジクロロメタン)で処理することができる。トリフルオロ酢酸塩を除去するために、H2O、エタノール、Tris緩衝生理食塩水、及び、エタノールで、膜を数回洗浄し、そして、乾燥させる。最後に、当該膜を、Tris緩衝生理食塩水(pH8.0)で拡張し、そして、5%ショ糖を、2時間かけて加えたブロッキングバッファーでブロックしてから、所定のペプチドライブラリーを、リガンド結合分析に供する。一部の実施形態では、セルロース結合ペプチドの結合を研究するために、膜結合ライブラリーを、例えば、4℃で、一晩、ブロッキングバッファーで、抗TMEM106B抗体の存在下または非存在下で、S−ペプチド、及び、ポリヒスチジンをタグ付けしたリガンドと組み合わせてインキュベートし、続いて、ブロッキングバッファーで、室温で、3時間、1mg/mlのHRP結合Sタンパク質を用いて、2度目のインキュベーションを行うことができる。その後、当該膜を、Tris緩衝生理食塩水で、10分間、例えば、3回洗浄することができ、その後、UptiLight化学発光基質と、Lumilmager装置とを使用して、結合リガンドの定量的特性評価を行うと、Boehringerライトユニットで、スポット信号強度を提供し得る。あるいは、結合したリガンドの検出は、由来のヒスチジンタグに対する抗体、及び、二次HRP結合抗マウス抗体を用いた免疫化学的アッセイで行うことができる。標準的なウエスタンブロッティング手順と、スポット検出とを利用して、インキュベートすることができる。
本明細書では、TMEM106Bと、1つ以上のTMEM106Bリガンドまたは結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMTM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用(例えば、結合)をブロックする抗TMEM106B抗体をスクリーニングする方法をさらに提供する。
一部の実施形態では、TMEM106Bと、TMEM106Bリガンドまたは結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMEM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用を、表面プラズモン共鳴分析(例えば、Skeldal et al.,2012 J Biol Chem.,287:43798;及び、Andersen et al.,201,J Biol Chem,285,12210−12222)を使用して特徴決定し得る。ブロッキング抗TMEM106B抗体の存在下または非存在下において、固定化したTMEM106Bに対する、TMEM106Bリガンドまたは結合パートナーの直接的な結合の測定を、例えば、CaHBSを標準的な移動緩衝剤(10mM HEPES、pH7.4、140mM NaCl、2mM CaCl2、1mM EGTA、及び、0.005% Tween20)として使用して、Biacore2000機器(Biacore,Sweden)で実行することができる。一部の実施形態では、Biacore(CM5)のバイオセンサーチップは、NHS/EDC法を使用して活性化することができ、続いて、79fmol/mm2のタンパク質の密度にまでTMEM106Bでコーティングすることで、結合パートナーの親和性測定に使用することができる。pro−TMEM106Bを用いたバイオセンサー表面の調製は、同じ手順に従う。リガンド結合実験のそれぞれのサイクルの後のフローセルの再生は、再生緩衝剤(10mM グリシン−HCl、pH4.0、500mM NaCl、20mM EDTA、及び、0.005% Tween20)の2度の10−μlパルスと、0.001% SDSの単回の注入とによって行うことができる。親和性推定のためのセンサーグラムの調整は、例えば、BIAevaluationバージョン3.1を使用して行うことができる。同様のプロトコールに従って、HisS−NGFpro、または、HisS−BDNFproの固定化も、NHS/EDCカップリングキットを使用して、CM5バイオセンサーチップで行うことができ、それにより、固定化したタンパク質の同様の表面密度(約300fmol/mm2)が得られる。TMEM106Bリガンドまたは結合パートナーで固定化したバイオセンサーチップを使用して、競合するTMEM106B抗体の非存在下または存在下において、TMEM106Bの結合を調べることもできる。
一部の実施形態では、TMEM106Bと、TMEM106Bリガンド、及び、結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMEM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用を、プルダウンアッセイを使用して特徴決定することができる(例えば、Andersen et al.,2010,J Biol Chem,285,12210−12222)。例えば、TMEM106Bの発現した細胞内または細胞外ドメインは、TMEM106Bブロッキング抗体の非存在下または存在下において、タグ付けしたTMEM106Bリガンドまたは結合パートナーとインキュベートすることができ、そして、100μlのグルタチオン(GSH)−セファロースビーズを使用して沈殿させる(Amersham Biosciences、カタログ番号17−0756−01)。使用した受容体ドメインの量は、コントロールとしてTalonビーズを使用した沈殿によって決定することができる。結合したタンパク質を、SDS−PAGE分析で分離し、そして、標準的なウェスタンブロット分析で、抗ヒスチジン抗体を使用して視覚化することができる。
一部の実施形態では、TMEM106Bと、TMEM106Bリガンド、及び、結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMEM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用を、セルロース結合タンパク質を使用して特徴決定することができる(例えば、Andersen et al.,2010,J Biol Chem,285,12210−12222)。例えば、膜結合タンパク質を、S−ペプチド、及び、ポリヒスチジンをタグ付けしたプログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(TMEM106A、TMEM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1、または、別のTMEM106Bリガンドまたは結合パートナーとインキュベートすることができ;ブロッキング緩衝剤にて、4℃で、一晩、続いて、ブロッキング緩衝剤にて、2回目のインキュベーションを、1μg/mlのHRP結合Sタンパク質と共に、室温で、3時間行う。その後、当該膜を、Tris緩衝生理食塩水で、10分間、3回洗浄してから、UptiLight化学発光基質と、LumiImager装置とを使用して、結合リガンドの定量的特性評価を行って、Boehringerライトユニットで、スポット信号強度を提供する。あるいは、結合したリガンドの検出は、ヒスチジンタグに対する抗体、及び、二次HRP結合抗マウス抗体を用いた免疫化学的アッセイによって行うことができる。インキュベーションに続いて、標準的なウエスタンブロッティング分析、及び、スポット検出を行うことができる。
一部の実施形態では、TMEM106Bと、TMEM106Bリガンド、及び、結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMEM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用を、近接ライゲーションアッセイを使用して特徴決定することができる(例えば、Gustafsen et al.,2013 The Journal of Neuroscience,33:64−71)。例えば、TMEM106B、及び、そのリガンドまたは結合パートナーを発現する、または、それらに曝露する細胞に対する近接ライゲーションアッセイ(PLA)(DuolinkII)は、一次抗体抗TMEM106B、及び、当該結合パートナーに対する抗体を用いて実行することができ、続いて、その後に加える環形成オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、かつ、40nm以内に抗原が近接するとローリングサークル増幅を開始する、オリゴヌクレオチドと共役した二次抗体とインキュベーションする。増幅した当該DNAは、相補的な蛍光標識オリゴヌクレオチドを加えることで、視覚化することができる。
一部の実施形態では、TMEM106Bと、TMEM106Bリガンド、及び、結合パートナー(例えば、プログラニュリン、その他のTMEM106ファミリーメンバー(すなわち、TMEM106A、TMEM106C)、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1)との間の相互作用を、細胞結合アッセイでのアルカリホスファターゼをタグ付けしたリガンドを使用して、特徴決定することができる(例えば、Hu et al.,2005,J.Neurosci.25,5298−5304;Fournier et al.,2001,Nature 409,341−346;Lauren et al.,2009,Nature 457,1128−1132;及び、Hu et al.,2010,Neuron 68,654−667)。例えば、アルカリホスファターゼ(AP)をタグ付けしたリガンドを作成して、トランスフェクトした細胞、または、初代ニューロンに関するTMEM106Bに対する結合を評価することができる。TMEM106Bを発現する細胞に対するAPをタグ付けしたリガンド結合を検出するために、培養物を、例えば、20mM HEPESナトリウム、pH7.05、及び、1mg/ml ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBH)で洗浄することができる。次に、それらのプレートを、APをタグ付けしたリガンドと共に、TMEM106Bブロッキング抗体の存在下または非存在下において、例えば、HBHにおいて、23℃で、2時間インキュベートできる。AP結合リガンドを、当該技術分野で周知の方法で、検出、及び、定量することができる。
前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では:a)1つ以上のリガンド、または、結合タンパク質との相互作用のために利用可能なTMEM106Bの有効レベルを減少させる;b);1つ以上のリガンド、または、結合タンパク質との相互作用に必要なTMEM106Bでの1つ以上の部位をブロックする;c)1つ以上のリガンド、または、結合タンパク質との相互作用、及び/または、TMEM106Bの適切な処理、及び/または、細胞内局在化に必要であるTMEM106Bに関する1つ以上の翻訳後事象を予防する;d)TMEM106Bの分解を招く;e)TMEM106Bの配座を変更する、または、両方を行うことで、抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bと、そのリガンド、シグナル伝達タンパク質、または、結合タンパク質の1つ以上との間の相互作用をさらに阻害する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B、マウスTMEM106B、カニクイザルTMEM106B、または、それらの組み合わせに対して特異的に結合する。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、または、キメラ抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、第1の抗原、及び、第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該第1の抗原は、TMEM106Bであり、かつ、当該第2の抗原は、血液脳関門を通る輸送を促進する抗原である。前出の実施形態のいずれかと組み合わせ得る特定の実施形態では、当該第2の抗原を、TMEM106B、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質変換ドメイン、TAT、Syn−B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、angiopepペプチド、ベイシジン、Glut1、CD98hc、及び、ANG1005からなる群から選択する。
TMEM106Bタンパク質分解
TMEM106Bは、膜内タンパク質分解を受け、そして、膜貫通ドメインと細胞内ドメインとを含むN末端断片(NTF)へと処理される;この処理は、リソソームプロテアーゼ依存的である。(Brady et al.,2014,J Biol Chem,289:19670−19680)当該GxGDアスパルチルプロテアーゼSPPL2A(そして、小規模のSPPL2B)が、この膜内開裂事象の原因であることが示されている。しかしながら、特徴決定されていないリソソームプロテアーゼ(複数可)、及び、SPPL2Aは、N末端から、それぞれ、約127番目、及び、106番目のアミノ酸でTMEM106Bを開裂して、TMEM106Bの2つのNTFを生成することが報告されている(Brady et al.,2014,上掲);しかしながら、正確な開裂部位は、未だ特定されていない。TMEM106Bの過剰発現は、おそらくは、カスパーゼ活性が媒介するNTF17(1〜127)、及び、NTF13(1〜106)の出現をもたらした。
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bのタンパク質分解を阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bの膜内タンパク質分解を阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bのタンパク質分解を阻害し、それにより、N末端断片へのTMEM106Bの開裂を予防する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BのGxGDアスパルチルプロテアーゼSPPL2A開裂を阻害する。その他の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106BのGxGDアスパルチルプロテアーゼSPPL2B開裂を阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bのカスパーゼ媒介的開裂を阻害する。
疾患標的としてのTMEM106B
TMEM106Bは、様々な疾患、障害、及び状態と関連している。前頭側頭葉型変性症(FTLD)(または、前頭側頭型認知症(FTD))は、アルツハイマー病、及び、パーキンソン病に次いで3番目に多い神経変性疾患であり、そして、老人性認知症の20%を占めている。(例えば、Rademakers et al.,2012,Nat Rev Neurol,8:423−434を参照されたい)。この状態は、脳の前頭葉の進行性の悪化に起因している。時間の経過とともに、当該変性は、側頭葉で進行し得る。臨床症状は多様で、そして、症状として、認知症、行動の変化、ならびに、発話や言語の障害がある。(例えば、Cruts & Van Broeckhoven,2008,Trends Genet.24:186−194;Neary et al.,1998,Neurology 51:1546−1554;Ratnavalli,et al.,2002,Neurology 58:1615−1621を参照されたい。)上部または下部運動ニューロン疾患のさらなる症状が一般的であり、そして、筋萎縮性側索硬化症(ALS)との部分的な重複を示す。FTLD症例の大部分は、核DNA/RNA結合タンパク質TDP−43のニューロン細胞質凝集体(Neumann et al.,2006,Science,314:130−133)と、TARDBPでの病原性変異を示しており、TDP−43をコードする遺伝子は稀であり、そして、主にALSを引き起こす(Sreedharan et al.,2008,Science,319:1668−1672)。TDP−43病理を伴う家族型のFTLDは、主に、C9orf72のヘキサヌクレオチド反復拡張(DeJesus−Hemandez et al.,2011;Renton et al.,2011)、及び、成長因子プログラニュリン(GRN)の主要な機能喪失型変異に起因している(Cruts et al.,2006、Curr Alzheimer Res、3:485−491)。当該疾患の稀な家族性形態に関連する変異を同定したところ、FTLD病因への洞察が得られたが、より一般的な散発性症例の病因は、捉えどころがほとんどなく、臨床、及び、神経病理学的提示における多様性を、さらに複雑にしている。
FTD症例の相当な部分は、常染色体優性遺伝様式で受け継がれているが、1つの家族でさえ、症状は、行動障害を伴うFTDから原発性進行性失語症、大脳皮質基底神経節変性にまで及ぶことがある。FTDは、大部分の神経変性疾患と同様に、罹患した脳における特定のタンパク質凝集体の病的存在をもってして特徴決定することができる。歴史的に、FTDの最初の報告では、神経原線維の絡み、または、ピック小体における高リン酸化タウタンパク質のニューロン内蓄積の存在を認識していた。微小管関連タンパク質タウの因果的役割は、幾つかの家族でのタウタンパク質をコードする遺伝子の変異の同定によって裏付けられた(Hutton,M.,et al.,Nature 393:702−705(1998)。しかしながら、FTD脳の大部分は、過リン酸化タウの蓄積を示さないが、ユビキチン(Ub)、及び、TAR DNA結合タンパク質43(TDP−43)に対する免疫反応性を示す(Neumann et al.,2007,Arch.Neurol.64:1388−1394)。Ub封入体(FTD−U)を有するこれらのFTD事例の大部分では、プログラニュリン遺伝子に変異があることを示した。
7番染色体で同定した一塩基多型(SNP)が、TMEM106Bをコードするゲノム領域のSNPとして、FTLD−TDPの第1の遺伝的リスク因子を突き止めた。(Van Deerlin et al.,2010,Nat Genetics、42:234−239。)
TMEM106B SNPを、FTLD−TDPの疾患リスク因子として評価する最初の研究は、2012年に、C9orf72反復拡張を発見する前に行われた。この発見以来、2つの独立したグループが、TMEM106B SNPが、C9orf72変異に起因するFTLD、及び/または、ALSを発症するリスクにも関連していることを突き止めた。(Gallagher et al.,2014,Acta Neuropathol,127:407−418;van Blitterswijk et al.,2014,Acta Neuropath,127:397−406を参照されたい。)これらのC9orf72変異コホートでは、TMN106B SNPのマイナー対立遺伝子[rs]1990622、及び/または、rs3173615を、LDにて、rs1990622と一緒に保有する個体の頻度は大幅に減少したが、GRN変異キャリアのコホートほどではなかった。FTLD、FTLD−ALS、または、ALSのいずれかの主要な疾患提示に基づいたグループでのC9orf72反復拡張保有者のさらなる分析では、TMEM106B SNPが、ALSではなく、FTLDの発生に対して特異的に保護をするが、リスク対立遺伝子保有者と比較して、保護的TMEM106B対立遺伝子に関してホモ接合性であるC9orf72拡張保有者の脳では、TDP−43の負担が少ないことを示した。これらの知見は、TMEM106B SNP rs1990622、及び、rs1020004が、疾患リスクと関連していなかったが、ALS患者の認知機能と有意に関連していたALS患者の臨床コホートにおけるTMEM106B SNPの以前の検査と一致しており、rs1990622マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である個体は、主要なリスク対立遺伝子についてヘテロ接合性またはホモ接合性である個体よりも認知能力が優れている(Vass et al.,2011,Acta Neuropathol,121:373−380)。
TDP−43凝集体などの神経変性疾患の特徴は、FTLDに固有のものではなく、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症(LBD)、及び、海馬硬化症(HpScl)などのその他の神経変性疾患で認めらており(Amador−Ortiz et al.,2007,Ann Neurol,61:435−445;Zarow et al.,2008,Curr Neurol Neurosci Rep,8:363−370)、また、限定的ではあるが、明らかに健康な個体でも認められる(例えば、Yu et al.,2015,Neurology,84:927−934を参照されたい)。TMEM106Bリスク変異は、臨床神経学的診断が無い場合には、TDP−43神経病理学と関連している。同様に、AD患者の間でTDP−43病変の小ささと関連する保護的TMEM106Bハプロタイプが、ADの病理学的提示に影響を与えることが認められた(Rutherford et al.,2012,Neurology,79:717−718)。海馬硬化症は、FTLD−TDP、及び、ADなどの認知症の高齢患者における一般的な病理学的特徴でもあり、TDP−43病理と共存することが多い。TMEM106B遺伝子型は、原発性海馬硬化症(Aoki et al.,2015,Acta Neuropathol,129:53−64)、ならびに、AD患者の間での海馬硬化症に関連していることが認められており、TMEM106Bは、これまでに公知であったAD−HpScl、及び、HpSclの強力な遺伝的指標となった(Murray et al.,2014,Acta Neuropathol,128:411−421)。これらの研究は、TMEM106B SNPが、AD、及び、HpSclなどの非FTLD障害におけるTDP−43タンパク質症の発症、及び、重症度のリスク因子であることを総合的に示唆している。
1500個を超えるヒトの脳の剖検試料を対象としたゲノミクス研究は、TMEM106Bでの一般的な変異を、ヒトの脳の生物学的老化率の主要なゲノム全体の決定因子として同定した:TMEM106B遺伝子座での2つのリスク対立遺伝子の存在が、その遺伝子発現プロファイルに基づいて、約12歳に見える個体を、実年齢よりも老けたように見せる(Rhinn and Abeliovich,2017,Cell Syst,4:404−415)。TMEM106Bリスク対立遺伝子のこの効果は、公知の神経疾患を持たない個体、ならびに、アルツハイマー病などの神経変性プロセスを持つ個体でも認められる。加齢におけるTMEM106Bの役割は、脳と寿命(小脳ではなく大脳皮質、特に、65歳超)の観点から、非常に選択的であるように考えられる。この効果は、保護的TMEM106Bハプロタイプの保有者が、加齢に伴う認知機能低下を示すさらなるコホートにおいて、独立して確認された(Rhinn and Abeliovich,2017,上掲)。TMEM106B保護的ハプロタイプは、特定の量の脳病変の認知能力の向上に関連することが示されているので、認知能力への影響が確認された(White et al.,2017,PLoS Med、14:el002287)。これらの結果は、神経変性疾患を超えた老化におけるTMEM106Bの多面的な役割を補強する。
TMEM106B変異体が、TMEM106B mRNA、及び、タンパク質発現レベルを高めることで、FTLD−TDPを発症するリスクを高めるという証拠を示唆している。TMEM106Bが増えると、細胞あたりの後期エンドソーム/リソソームの平均数が減少し、リソソームが酸性化されなくなり、そして、リソソームの分解も行われなくなる。
TDP−43封入体を伴う前頭側頭葉型変性症(FTLD−TDP)は、利用可能な治療法が無い致命的な神経発生疾患である。プログラニュリンの生産または分泌障害を招くプログラニュリン遺伝子(GRN)の変異は、FTLD−TDPの一般的な原因である。上述したように、TMEM106Bは、ゲノム全体の関連付けによって、GRN変異を有する、または、持たないFTLD−TDPに対して結合している。TMEM106Bの発現を高めて、疾患をモデル化すると、エンドリソソームの肥大、及び、不十分な酸性化、ならびに、マンノース−6−リン酸受容体輸送の障害を招いた。内因性ニューロンTMEM106Bは、後期エンドリソソームでのプログラニュリンと共局在し、そして、TMEM106Bの過剰発現は、プログラニュリンの細胞内レベルを高める。(Chen−Plotkin et al.,2012,J Neurosci,32:11213−11227。)一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の本開示の抗TMEM−160B抗体を投与することで、FTLD−TDPを予防する、リスクを減少させる、または、治療する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、方法を提供する。
FTLDは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と共通の病理学的背景を有する疾患として認識されている。ALSは、上方と下方の両方の運動ニューロンの喪失を特徴とする、不治の運動ニューロン変性疾患である。FTLD患者の約15%が、運動ニューロン疾患を発症しており、そして、ALS患者の15%以上が認知障害と行動障害とを有する。FTLDとALSの重要な病理学的特徴は、細胞質相互作用性反応DNA結合タンパク質43(TDP−43)封入体である。TDP−43は、FTLD患者(サブタイプFTLD−TDP)の約50%で、かつ、大部分のALS患者が保有している主要成分である。ゲノム規模での研究、及び、コホート研究は、FTLD−TDPの遺伝的リスク修飾因子として、TMEM106B遺伝子領域の3つのSNP(re1990622、rs6966915、及び、rs1020004)を同定した。当該リスク関連性は、GRN、及び、C90RF72変異を有するFTLD−TDP症例において、より顕著である。TMEM106Bの過剰発現は、細胞死を誘発し、酸化ストレス誘発性細胞毒性を高め、そして、細胞をベースとしたモデルを使用して、TDP−43の開裂を引き起こしており、これらのことは、TMEM106Bのアップレギュレーションが、神経毒性を直接に引き起こすことでFTLDのリスクを高めることを示唆している。(Suzuki and Matsuoka,2016,J Biol Chem,291:21448−21460。)加えて、TMEM106Bは、ALSの認知機能障害の発症に関与している(Vass et al.,2011,Acta Neuropathol,121:373−380)。
海馬の老化硬化症(HS−Aging)は、高齢者によく認められる罹病率の高い神経変性疾患であり、海馬の形成において、ニューロンの喪失と星状細胞症が認められた場合に神経病理学的に診断され、そして、アルツハイマー病型のプラークと絡みに寄与するとは考えられていない。アルツハイマー病と同様の臨床経過をたどる。HS−Agingは、TDP−43病理の存在、及び、前頭側頭型認知症の重篤な症状または臨床的兆候の欠如によって、その他の海馬硬化症と区別する。HS−Agingは、SNP rs1990622(TMEM106b)、及び、その他のSNP、ならびに、TMEM106b、ABCC9(FTLDと関連しない)、及び、GRNにおける多型と関連している。(Nelson et al.,2015,J Neuropathol Exp Neurol,74:75−84。)一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の本開示の抗TMEM−160B抗体を投与することで、海馬の老化による硬化を予防する、リスクを減少させる、または、治療する方法を提供する。
最近、TMEM106Bのマウス遺伝的ノックアウト(Klein et al.2017,Neuron 95,281−296)が、グラニュリン経路におけるTMEM106Bに対する効果を示した。具体的には、TMEM106Bタンパク質の遺伝的ノックアウトにより、リソソームタンパク質のレベルの部分的救済、ならびに、過敏性及び脱抑制などの行動変化の救済など、マウスモデルのGRNノックアウトに関連する一部の病原性表現型を救済することができた。その他の研究が報告しているように、当該TMEM106Bノックアウト自体は、マウスでは十分に耐性がある。加えて、この研究は、v−ATPアーゼサブユニットAP1との直接的な相互作用(免疫共沈降を介した)を示すことで、TMEM106Bの考え得る作用メカニズムを示唆した。当該v−ATPアーゼ複合体は、リソソームのpHを低下させ、そして、タンパク質の分解と再利用を開始する上で重要な役割を果たす。したがって、TMEM106Bとの相互作用は、TMEM106Bの過剰発現に関連するリソソーム表現型の一部を招くものであり、そして、この相互作用を逆にブロックする(または、単にTMEM106Bのレベルを減少させる)と、この表現型を改善し得る。
慢性外傷性脳症(CTE)は、頭部への反復衝撃の病歴を持つ個体で病理学的に診断されている進行性神経変性疾患である。TMEM106Bは、CTEの進行、特に、CTE関連の神経病理学、及び、認知症の重要な因子であることが示されている。具体的には、SNP rs3173615(T185Sコード変異)のマイナー(G)対立遺伝子の保有者は、AT8ポジティブのp−タウレベルの低下、CD68ポジティブ細胞の密度の低下、及び、シナプス喪失の検査によく使用しているシナプス後マーカーであるPSD−95のレベルの上昇など、神経病理学のレベルが低下していることが示された。また、G−対立遺伝子は、死亡前の認知症におけるオッズの60%の減少と関連していた。いずれの事例でも、G対立遺伝子の硬化は相加的であり、GG遺伝子型が最も防御的であった。TMEM106B遺伝子型は、疾患のリスクに関する効果を奏しておらず;むしろ、疾患の重症化について効果が認められた。
ミクログリアは、中枢神経系(CNS)の一次自然免疫細胞である。ミクログリアは、健康なCNSや、様々な病状で異なる炎症環境に応じて、休止状態または活性化状態で存在する。TGFベータは、ミクログリアの発達と機能における重要な要素であり、また、ミクログリア特異的な恒常性遺伝子シグネチャーの維持に必要である。TGFベータシグナル伝達、及び、TGFベータ経路の抑制は、神経変性疾患モデルから単離されたミクログリアの一般的な機能である。加えて、TGFベータは、ミクログリア/マクロファージが媒介したCNSの病状と神経変性の予防において重要な機能を有する、と説明されている(Butovsky and Weiner,2018,Nature,19:622−635,Lund et al.,2018,Nature Immunol,19:425−441)。したがって、TGFベータの発現、シグナル伝達、及び/または、機能を、直接的または間接的に高める療法は、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、自閉症スペクトラム障害、認知症などの神経変性疾患、及び、障害の治療に利益をもたらす。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、細胞におけるTGFベータレベルを高める上で有効である。
認知症は、非特異的症候群(すなわち、徴候と症状とのセット)であり、通常の加齢から予想し得る範囲を超えて、前々から健常でなかった方々の全般的な認知能力の深刻な喪失として出現する。認知症は、脳全体の独特な損傷の結果として静的であり得る。あるいは、認知症は、進行性であり、その結果、身体の損傷や疾患が関与する長期的な機能低下を招き得る。認知症は、高齢者の集団でごく一般的であるが、65歳になる前に発症することもある。認知症の影響を受ける認知領域として、記憶、注意持続時間、言語、及び、問題解決があるが、これらに限定されない。一般的に、認知症と診断するまで少なくとも6か月間、症状が存在しなくてはならない。
認知症の例示的な形態として、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、意味認知症、及び、レビー小体型認知症があるが、これらに限定されない。
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TMEM106B抗体を投与することで、認知症を予防する、リスクを減少させる、及び/または、治療することができると考えられる。
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態である。進行するにつれて悪化し、最終的には死に至る疾患であり、治療法は無い。ほとんどの場合、ADは、65歳以上の方で診断される。しかしながら、あまり一般的でない早期発症型アルツハイマー病は、はるかに早期に発症することがある。
アルツハイマー病の一般的な症状として、最近の出来事を思い出せないなどの行動症状;認知症状、錯乱、興奮性と攻撃性、気分のむら、言語の問題、及び、長期記憶喪失がある。この疾患が進行すると、身体の機能が失われ、最終的には死に至る。アルツハイマー病は、完全に明らかになる前は、様々な未知の期間にわたって発症し、診断がされることもなく何年も進行することがある。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または、運動ニューロン疾患、または、ルーゲーリッグ病は、互換的に使用しており、急速に進行する脱力、筋萎縮、及び、束縛、筋痙縮、会話困難(構音障害)、嚥下困難(嚥下障害)、及び、呼吸の困難さ(呼吸困難)を特徴とする多様な病因を伴う衰弱性疾患のことを指す。
TMEM106Bは、低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーにも関与している。(Simons et al.,2017,Brain.)低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーは、早期発症の眼振、運動失調、及び、痙性などの臨床症状を呈する不均一な疾患群である。低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーを有する4名の患者での脳低髄鞘形成は、TMEM106Bにおいて、同じ優性変異(Aps252Asn)を示しており、このことは、おそらくは、リソソーム機能においてTMEM106Bが果たす役割に起因する、低髄鞘形成障害におけるTMEM106Bの関連を示唆している。したがって、一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体での低髄鞘形成障害を治療する方法を提供するものであって、当該方法は、個体に対して、本開示の抗TMEM106B抗体の治療有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体での低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーを治療する方法を提供するものであって、当該方法は、個体に対して、本開示の抗TMEM106B抗体の治療有効量を投与することを含む。
本明細書で提供する方法は、神経変性疾患、障害、もしくは状態を予防すること、リスクを減少させること、または、前記神経変性疾患、障害、もしくは状態を有する個体を治療することにおける用途を見出す。一部の実施形態では、本発明は、神経変性障害を予防する、リスクを減少させる、または、神経変性障害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、TDP−43封入体の存在を特徴とする疾患、障害、状態、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、状態、もしくは傷害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、TDP−43タンパク質症を予防する、リスクを減少させる、または、TDP−43タンパク質症を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、炎症細胞の破片、または、タンパク質凝集体の存在を特徴とする疾患、障害、状態、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、状態、もしくは傷害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、異常な循環骨髄細胞の存在を特徴とする疾患、障害、状態、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、状態、もしくは傷害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、不健康な老化を予防する、リスクを減少させる、または、不健康な老化を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、前頭側頭葉型変性症(FTLD)を予防する、リスクを減少させる、または、前頭側頭葉型変性症(FTLD)を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、前頭側頭型認知症(FTD)を予防する、リスクを減少させる、または、前頭側頭型認知症(FTD)を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、プログラニュリン変異を持った前頭側頭型認知症を予防する、リスクを減少させる、または、前記前頭側頭型認知症を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、C90rf72変異を持った前頭側頭型認知症を予防する、リスクを減少させる、または、前記前頭側頭型認知症を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、TDP−43封入体を持った前頭側頭葉変性を予防する、リスクを減少させる、または、前記前頭側頭葉変性を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、海馬硬化症(HpScl)を予防する、リスクを減少させる、または、海馬硬化症(HpScl)を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、海馬の老化硬化症(HS−Aging)を予防する、リスクを減少させる、または、海馬の老化硬化症(HS−Aging)を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病を予防する、リスクを減少させる、または、アルツハイマー病を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、レビー小体型認知症を予防する、リスクを減少させる、または、レビー小体型認知症を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、認知機能障害を予防する、リスクを減少させる、または、認知機能障害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、加齢性認知機能障害を予防する、リスクを減少させる、または、加齢性認知機能障害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、CTE関連認知機能障害を予防する、リスクを減少させる、または、CTE関連認知機能障害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、加齢性脳萎縮を予防する、リスクを減少させる、または、加齢性脳萎縮を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、炎症、ニューロン脱落、及び、高齢者の前頭大脳皮質の認知障害を含む公知の脳疾患が認められない認知障害などの認知障害を含むがこれらに限定されない加齢関連形質を予防する、リスクを減少させる、または、前記加齢関連形質を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、筋萎縮性側索硬化症に関連する認知機能障害を予防する、リスクを減少させる、または、前記認知機能障害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、TMEM106Bの過剰発現、または、増大した活性に関連する疾患、障害、もしくは状態を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは状態を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、低髄鞘形成障害を予防する、リスクを減少させる、または、低髄鞘形成障害を有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする個体における転移を減少させるまたは阻害する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
一部の実施形態では、本発明は、がんを予防する、リスクを減少させる、または、がんを有する個体を治療する方法を提供しており、当該方法は、それを必要とする個体に対して、治療有効量の抗TMEM106B抗体を投与することを含む。
A.例示的な抗体、及び、特定のその他の抗体の実施形態
一部の実施形態では、本明細書では:(a)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3、から選択した少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つのHVRを含む抗TMEM106B抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では:(a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:79のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:80のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:122のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:187のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:81のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:163のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:188のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:124のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:164のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:189のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:83のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:165のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:190のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:84のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:126のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:166のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:191のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:85のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:167のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:192のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:43のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:86のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:168のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:193のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:44のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:87のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:188のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:45のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:88のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:129のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:170のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:194のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:130のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:171のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:195のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:47のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:90のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:170のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:196のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:48のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:132のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:172のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:197のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:49のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:92のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:173のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:198のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:172のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:199のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:174のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:200のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:52のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:95のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:173のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:198のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:175のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:201のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:54のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:97のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:176のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:202のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:174のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:200のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:98のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:203のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:56のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:204のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:177のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:205のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:141のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:171のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:206のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:58のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:101のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:207のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:177のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:205のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:59のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含むH
VR−L1;(e)SEQ ID NO:178のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:208のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:60のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:103のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:167のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:192のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:104のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:209のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:62のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:105のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:210のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:63のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:179のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:211のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:202のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:65のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:180のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:212のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:66のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:213のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:196のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:181のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:214のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:181のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:215のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:70のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:182のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:216のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:71のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:181のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:214のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:182のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:217のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:183のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:218のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:74のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:182のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:219のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:75のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:156のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:220のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:157のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:184のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:74のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:158のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:185のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:222のアミノ酸配列を含むHVR−L3;(a)SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:119のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:159のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:182のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:223のアミノ酸配列を含むHVR−L3;及び、(a)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:78のアミノ酸配列を含むHVR−H2;(c)SEQ ID NO:120のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(d)SEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含むHVR−L1;(e)SEQ ID NO:183のアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(f)SEQ ID NO:224のアミノ酸配列を含むHVR−L3、から選択した少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つのHVRを含む抗TMEM106B抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(b)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(c)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3からなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのV HVR配列を含む抗TMEM106B抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(b)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(c)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3からなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVL HVR配列を含む抗TMEM106B抗体を提供する。
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3からなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3からなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または、3つすべてのVLドメインを含む抗TMEM106B抗体を提供する。
一部の実施形態では、(a)(i)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR−L3を含むVLドメインを含む抗TMEM106B抗体を提供する。
別の態様では、抗TMEM106B抗体は、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、及び、268からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(V)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、及び、268からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の配列同一性を有するV配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対して結合する能力を保持している。特定の実施形態では、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、または、268において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、または、268において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、抗TMEM106B抗体は、SEQ ID NO:225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、または、268のV配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、Vは;(a)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1、(b)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2、及び、(c)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3から選択した1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
別の態様では、抗TMEM106B抗体は、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、及び、314からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。特定の実施形態では、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、及び、314からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の配列同一性を有するVL配列は、リファレンス配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または、欠失を含むが、その配列を含む抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対して結合する能力を保持している。一部の実施形態では、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、及び、314において、合計で1〜10個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、及び、314において、合計で1〜5個のアミノ酸を、置換、挿入、及び/または、欠失する。特定の実施形態では、置換、挿入、または、欠失が、HVRの外側の領域(すなわち、FR)で発生する。任意に、抗TMEM106B抗体は、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、及び、314のVL配列を、その配列の翻訳後修飾と共に含む。特定の実施形態では、当該Vは、(a)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1、(b)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び、(c)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3から選択した1つ、2つ、または、3つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのV、及び、前出のいずれかの実施形態でのVを含む。一部の実施形態では、本明細書では抗TMEM106B抗体を提供しており、当該抗体は、前出のいずれかの実施形態でのV、及び、前出のいずれかの実施形態でのVを含む。ある実施形態では、当該抗体は、その配列の翻訳後修飾と共に、SEQ ID NO:225〜268、及び、SEQ ID NO:269〜314である、V、及び、V配列をそれぞれ含む。
一部の実施形態では、本明細書では、重鎖可変ドメイン(V)、及び、軽鎖可変ドメイン(V)を含む抗TMEM106B抗体を提供しており、当該V、及び、Vを:SEQ ID NO:225のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:269のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:226のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:270のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:227のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:271のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:228のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:272のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:229のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:273のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:230のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:274のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:231のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:275のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:232のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:276のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:233のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:277のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:234のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:278のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:279のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:236のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:280のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:237のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:281のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:238のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:282のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:239のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:283のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:240のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:284のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:241のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:285のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:242のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:286のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:243のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:287のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:240のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:288のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:244のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:289のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:245のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:290のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:246のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:291のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:292のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:247のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:293のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:248のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:294のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:249のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:295のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:250のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:296のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:251のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:297のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:252のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:298のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:253のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:299のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:254のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:300のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:255のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:301のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:256のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:302のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:257のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:303のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:258のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:304のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:259のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:305のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:260のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:306のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:261のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:307のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:262のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:308のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:263のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:309のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:264のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:310のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:265のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:311のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:266のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:312のアミノ酸配列を含むV;SEQ ID NO:267のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:313のアミノ酸配列を含むV;及び、SEQ ID NO:268のアミノ酸配列を含むV、及び、SEQ ID NO:314のアミノ酸配列を含むVからなる群から選択する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53から選択した少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体のTMEM106Bに対する結合を、当該抗TMEM106B抗体の非存在下でのTMEM106Bに対する結合と比較して、約50%〜100%の範囲の量で減少させる場合に、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する。一部の実施形態では、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体のTMEM106Bに対する結合を、当該抗TMEM106B抗体の非存在下でのTMEM106Bに対する結合と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または、100%減少させる場合に、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する。一部の実施形態では、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体のTMEM106Bに対する結合を100%減少させる本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体のTMEM106Bに対する結合を本質的に完全にブロックすることを示す。一部の実施形態では、抗TMEM106B抗体と、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体は、抗TMEM106B抗体と、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体が、10:1比率、9:1比率、8:1比率、7:1比率、6:1比率、5:1比率、4:1比率、3:1比率、2:1比率、1:1比率、0.75:1比率、0.5:1比率、0.25:1比率、0.1:1比率、0.075:1比率、0.050:1比率、0.025:1比率、0.01:1比率、0.0075:比率、0.0050:1比率、0.0025:1比率、0.001:比率、0.00075:1比率、0.00050:1比率、0.00025:1比率、0.0001:比率、1:10比率、1:9比率、1:8比率、1:7比率、1:6比率、1:5比率、1:4比率、1:3比率、1:2比率、1:0.75比率、1:0.5比率、1:0.25比率、1:0.1比率、1:0.075比率、1:0.050比率、1:0.025比率、1:0.01比率、1:0.0075比率、1:0.0050比率、1:0.0025比率、1:0.001比率、1:0.00075比率、1:0.00050比率、1:0.00025比率、または、1:0.0001比率に対応する量で存在する。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体の量と比較して、約1.5倍〜100倍、または、100倍超の範囲の量で過剰に存在している。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体の量と比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、または、100倍超の範囲の量で過剰に存在する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53から選択した少なくとも1つの抗体が結合するTMEM106Bエピトープと同じである、または、重複しているヒトTMEM106Bのエピトープに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53から選択した少なくとも1つの抗体が結合するTMEM106Bエピトープと本質的に同じTMEM106Bエピトープに対して結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための例示的な方法の詳細は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in MolecularBiology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に示されている。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−17、TM−22、TM−23、TM−26、及び、TM−27、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−2、TM−3、TM−5、TM−7、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−18、TM−19、TM−21、TM−25、TM−28、TM−29、TM−32、TM−35、TM−37、TM−39、TM−42、TM−45、TM−48、及び、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−4、TM−6、TM−8、TM−14、TM−15、TM−16、TM−20、TM−31、TM−33、TM−34、TM−36、TM−41、TM−44、TM−46、TM−47、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−2、TM−3、TM−7、TM−12、TM−13、TM−23、TM−24、TM−29、TM−30、TM−51、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−17、TM−22、TM−23、TM−26、及び、TM−27、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−2、TM−3、TM−5、TM−7、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−18、TM−19、TM−21、TM−25、TM−28、TM−29、TM−32、TM−35、TM−37、TM−39、TM−42、TM−45、TM−48、及び、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−4、TM−6、TM−8、TM−14、TM−15、TM−16、TM−20、TM−31、TM−33、TM−34、TM−36、TM−41、TM−44、TM−46、TM−47、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−2、TM−3、TM−7、TM−12、TM−13、TM−23、TM−24、TM−29、TM−30、TM−51、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−17、TM−22、TM−23、TM−26、及び、TM−27、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体と同じである、または、重複するTMEM106Bのエピトープを有する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−2、TM−3、TM−5、TM−7、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−18、TM−19、TM−21、TM−25、TM−28、TM−29、TM−32、TM−35、TM−37、TM−39、TM−42、TM−45、TM−48、及び、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体と同じである、または、重複するTMEM106Bのエピトープを有する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−4、TM−6、TM−8、TM−14、TM−15、TM−16、TM−20、TM−31、TM−33、TM−34、TM−36、TM−41、TM−44、TM−46、TM−47、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体と同じである、または、重複するTMEM106Bのエピトープを有する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−2、TM−3、TM−7、TM−12、TM−13、TM−23、TM−24、TM−29、TM−30、TM−51、及び、それらの任意の組み合わせから選択した少なくとも1つの抗体と同じである、または、重複するTMEM106Bのエピトープを有する。
BIAcore分析、ELISAアッセイ、または、フローサイトメトリーなどの当該技術分野で公知の任意の適切な競合アッセイ、または、TMEM106B結合アッセイを利用して、抗TMEM106B抗体が、TMEM106Bに対する結合について、TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53、及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上の抗体と競合する(または、結合を競合的に阻害する)か否かを決定し得る。例示的な競合アッセイでは、固定化したTMEM106B、または、細胞表面にTMEM106Bを発現する細胞を、TMEM106B(例えば、ヒト、または、非ヒト霊長類)に対して結合する第1の標識抗体、及び、TMEM106Bに対して結合する当該第1の抗体と競合する能力に関する試験に供する第2の非標識抗体を含む溶液でインキュベートする。当該第2の抗体は、ハイブリドーマ上清に存在し得る。コントロールとして、固定化したTMEM106B、または、TMEM106Bを発現する細胞を、第1の標識抗体を含むが、第2の非標識抗体を含まない溶液でインキュベートする。TMEM106Bに対する第1の抗体の結合を許容可能な条件下でインキュベートした後に、未結合の過剰な抗体を除去し、そして、固定化したTMEM106B、または、TMEM106Bを発現する細胞に関連する標識の量を測定する。固定化したTMEM106B、または、TMEM106Bを発現する細胞に関連する標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料で大幅に減少しておれば、TMEM106Bに対する結合について、第2の抗体が、第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harboor Laboratory,Cold Spring Harboor,NY)を参照されたい。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3からなる群から選択されるVLドメインを含む、抗TMEM106B抗体の結合を競合的に阻害する、及び/または、同抗体に対する結合と競合する抗TMEM106B抗体をさらに提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:225〜268、及び、SEQ ID NO:269〜314である、V、及び、V配列をそれぞれ含む。
本明細書では、(a)(i)SEQ ID NO:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、及び、35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;(ii)SEQ ID NO:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、及び、78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び、(iii)SEQ ID NO:79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、及び、120からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含むVドメイン、及び、(b)(i)SEQ ID NO:121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、及び、160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;(ii)SEQ ID NO:161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、及び、185からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、(iii)SEQ ID NO:186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、及び、224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3からなる群から選択されるVLドメインを含む、抗TMEM106B抗体が結合したエピトープと同じである、または、重複しているヒトTMEM106Bのエピトープに対して結合する抗TMEM106B抗体を提供する。一部の実施形態では、当該抗体は、SEQ ID NO:225〜268、及び、SEQ ID NO:269〜314である、V、及び、V配列をそれぞれ含む。一部の実施形態では、ヒトTMEM106Bのエピトープは、抗TMEM106B抗体が結合するエピトープと同じである。
本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bの様々な領域など、TMEM106Bの様々な領域に結合し得る。TMEM106Bのそのような領域として、TMEM106Bの細胞質ドメイン、または、内腔ドメインTMEM106Bがある。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bの1つ以上の領域またはドメインに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bの1つ以上の領域またはドメインに対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bの細胞質、及び/または、内腔ドメインに対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106B(SEQ ID NO:1)のアミノ酸残基59〜73、80〜90、15〜24、33〜40、5〜19、30〜40、34〜40、59〜69、52〜62、64〜74、151〜165、185〜195、139〜149、248〜258、156〜161、202〜207、219〜233、126〜140、185〜195、260〜274、202〜212、151〜161、223〜233、143〜153、223〜228、133〜145、及び/または、198〜212での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基151〜165、及び/または、185〜195での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、アミノ酸残基151〜165(NITNNNYYSVEVENI;SEQ ID NO:324)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、T>Sが、ヒトTMEM106Bのリスク対立遺伝子185〜195(TIIGPLDMKQI;SEQ ID NO:325)であるアミノ酸残基での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基151〜165(NITNNNYYSVEVENI;SEQ ID NO:324)での1つ以上のアミノ酸が形成した不連続エピトープ、及び、アミノ酸残基185〜195(TIIGPLDMKQI;SEQ ID NO:325)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基59〜73、80〜90細胞質、139〜149、及び/または、248〜258での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基59〜73(VTCPTCQGTGRIPRG;SEQ ID NO:326)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基80〜90(ALIPYSDQRLR;SEQ ID NO:327)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基139〜149(KRTIYLNITNT;SEQ ID NO:328)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基248〜258(YQYVDCGRNTT:329)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基59〜73(VTCPTCQGTGRIPRG;SEQ ID NO:326)での1つ以上のアミノ酸、アミノ酸残基80〜90(ALIPYSDQRLR;SEQ ID NO:327)での1つ以上のアミノ酸、アミノ酸残基139〜149(KRTIYLNITNT:SEQ ID NO:328)での1つ以上のアミノ酸、及び、アミノ酸残基248〜258(YQYVDCGRNTT:329)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基15〜24、及び/または、33〜40での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基15〜24(EDAYDGVTSE;SEQ ID NO:330)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基33〜40(SEVHNEDG;SEQ ID NO:331)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基15〜24(EDAYDGVTSE;SEQ ID NO:330)での1つ以上のアミノ酸、及び、アミノ酸残基33〜40(SEVHNEDG;SEQ ID NO:331)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基5〜19、30〜40、156〜161、202〜207、及び/または、219〜233での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基5〜19(LSHLPLHSSKEDAYD;SEQ ID NO:332)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基30〜40(SEVHNEDG;SEQ ID NO:333)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基156〜161(NYYSVE;SEQ ID NO:334)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基202〜207(VIAEEM;SEQ ID NO:335)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基219〜233(IKVHNIVLMMQVTVT;SEQ ID NO:336)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基5〜19(LSHLPLHSSKEDAYD;SEQ ID NO:332)、30〜40(SEVHNEDG;SEQ ID NO:333)、156〜161(NYYSVE;SEQ ID NO:334)、202〜207(VIAEEM;SEQ ID NO:335)、及び、219〜233(IKVHNIVLMMQVTVT;SEQ ID NO:336)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基126〜140、185〜955、及び/または、260〜274での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基126〜140(IGVKSAYVSYDVQKR;SEQ ID NO:337)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基T185Sリスク対立遺伝子185〜195(TIIGPLDMKQI;SEQ ID NO:325)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基260〜274(QLGQSEYLNVLQPQQ;SEQ ID NO:338)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基126〜140(IGVKSAYVSYDVQKR;SEQ ID NO:337)、185〜195(TIIGPLDMKQI;SEQ ID NO:325)、及び、260〜274(QLGQSEYLNVLQPQQ;SEQ ID NO:338)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基34〜40、及び/または、202〜212での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bの粘着性アミノ酸残基34〜40(EVHNEDG;SEQ ID NO:339)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基202〜212(VIAEEMSYMYD;SEQ ID NO:340)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基34〜40(EVHNEDG;SEQ ID NO:339)、及び、202〜212(VIAEEMSYMYD;SEQ ID NO:340)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基151〜161、及び/または、223〜233での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基151〜161(NITNNNYYSVE;SEQ ID NO:341)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基223〜233(NIVLMMQVTV;SEQ ID NO:342)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基151〜161(NITNNNYYSVE;SEQ ID NO:341)、及び、223〜233(NIVLMMQVTV;SEQ ID NO:342)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基59〜69、143〜153、及び/または、223〜228での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基59〜69(VTCPTCQGTGR;SEQ ID NO:343)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基143〜153(YLNITNTLNIT;SEQ ID NO:344)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基223〜228(NIVLMM;SEQ ID NO:345)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基59〜69(VTCPTCQGTGR;SEQ ID NO:343)、143〜153(YLNITNTLNIT;SEQ ID NO:344)、及び、223〜228(NIVLMM;SEQ ID NO:345)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基133〜145、及び/または、198〜212での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基133〜145(VSYDVQKRTIYLN;SEQ ID NO:346)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基198〜212(TVPTVIAEEMSYMYD;SEQ ID NO:347)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基133〜145(VSYDVQKRTIYLN;SEQ ID NO:346)、及び、198〜212(TVPTVIAEEMSYMYD;SEQ ID NO:347)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基52〜62、64〜75、及び/または、223〜228での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基52〜62(EFTGRDSVTCP;SEQ ID NO:348)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基64〜75(CQGTGRIPRGQE;SEQ ID NO:349)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基223〜228(NIVLMM;SEQ ID NO:345)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基52〜62(EFTGRDSVTCP;SEQ ID NO:348)、64〜75(CQGTGRIPRGQE;SEQ ID NO:349)、及び、223〜228(NIVLMM;SEQ ID NO:345)での1つ以上のアミノ酸に対して結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸残基
Figure 2021508498
からなる群から選択されるヒトTMEM106Bでの1つ以上のエピトープに対して結合する。
一部の実施形態では、前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体は、ヒト化、及び/または、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、または、F(ab’)2断片である。一部の実施形態では、当該抗TMEM106B抗体は、実質的な全長抗体、例えば、本明細書で定義するIgG1抗体、IgG2a抗体、または、その他の抗体クラス、または、アイソタイプである。
一部の実施形態では、前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体を、以下の第1〜7節に記載したように、いずれかの特徴を、単独で、または、組み合わせて取り込み得る。
(1)抗TMEM106B抗体結合親和性
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または、<0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioのOctet Systemを参照されたい)、等温滴定カロリメトリー(ITC)、示差走査熱量測定法(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップト−フロー分析、及び、比色分析、または、蛍光タンパク質融解分析などの任意の生化学的または生物物理学的技法など、任意の解析技法で決定することができる。一部の実施形態では、Kdを、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)で測定する。一部の実施形態では、RIAを、例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865−881(1999))に記載された、目的の抗体のFabバージョン、または、その抗原を用いて実施する。一部の実施形態では、BIACORE表面プラズモン共鳴アッセイ、例えば、BIACORE−2000、または、BIACORE−3000(BIAcore,Inc.、Piscataway,NJ)を使用するアッセイを使って、約10反応単位(RU)の固定化した抗原CM5チップを用いて、25℃で、Kdの測定を行う。一部の実施形態では、当該Kを、一価抗体(例えば、Fab)、または、完全長抗体を使用して決定する。一部の実施形態では、当該Kを、一価形態の全長抗体を使用して決定する。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bに対して、ナノモルまたはピコモルの親和性を有し得る。一部の実施形態では、当該抗体の解離定数(Kd)は、約0.1nM〜約500nMである。例えば、ヒトTMEM106Bに対する結合に関する当該抗体のKdは、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約75nM、約50nM、約25nM、約10nM、約9nM、約8nM、約7nM、約6nM、約5nM、約4nM、約3nM、約2nM、約1nM、または、約1nM〜約0.1nMである。
(2)抗体断片
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、1つ以上の当該抗体は、抗体断片である。抗体断片として、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)、Fv、及び、scFv断片、及び、後述するその他の断片があるが、これらに限定されない。特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、WO93/16185;及び、米国特許第5571894号、及び、第5587458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつ、インビボでの半減期が延びたFab、及び、F(ab’)断片の考察については、米国特許第5869046号を参照されたい。
ダイアボディは、2価、または、二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)を参照されたい。トリアボディ、及び、テトラボディも、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部または一部、または、軽鎖可変ドメインの全部または一部を含む抗体断片である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号を参照されたい)。
抗体断片は、本明細書に記載した通り、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、ならびに、組換え宿主細胞(例えば、E.coli、または、ファージ)による生産など、これらに限定されない様々な技術で生産することができる。
(3)キメラ、及び、ヒト化抗体
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されている。ある例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または、サルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)、及び、ヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスを、親抗体のものから変更した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、ヒト化抗体である。一般的に、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性と親和性とを保持しながら、ヒトに対する免疫原性を減少させるためにヒト化する。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、標的に対して、ヒト化抗体が由来する別の種に由来する抗体と実質的に同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5530101号、第5693761号;第5693762号;及び、第5585089号を参照されたい。特定の実施形態では、免疫原性を低下させながら、抗原結合ドメインの本来の親和性を減らさずに修飾することができる抗体可変ドメインのアミノ酸を同定する。例えば、米国特許第5766886号、及び、第5869619号を参照されたい。一般的に、ヒト化抗体は、HVR(またはその一部)が、非ヒト抗体に由来し、かつ、FR(またはその一部)が、ヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体での一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換する。
ヒト化抗体、及び、それらを生産する方法は、例えば、Almagro et al.,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)で概説されており、また、例えば、米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び、第7087409号に記載されている。ヒト化に使用し得るヒトフレームワーク領域として、「ベストフィット」法を使用して選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285(1992);及び、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)を参照されたい);ヒトの成熟した(体細胞変異)フレームワーク領域、または、ヒトの生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照されたい)、及び、FRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678−10684(1997)、及び、Rosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996)を参照されたい)があるが、これらに限定されない。
(4)ヒト抗体
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して生産することができる。ヒト抗体は、一般的には、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)、及び、Lonberg Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)で説明されている。
ヒト抗体は、抗原接種に応答して、ヒト可変領域を有する、インタクトなヒト抗体、または、インタクトな抗体を生産するように修飾したトランスジェニック動物に対して免疫原を投与して調製することができる。そのようなマウスが、マウス抗体の非存在下でヒト抗体を生産するものとして予想して、ヒトIg遺伝子座の大きな断片にてマウス抗体生産を欠損しているマウス系統を遺伝子操作することができる。大きなヒトIg断片は、大きな可変遺伝子の多様性、ならびに、抗体の生産と発現の適切な調節を続けることができる。抗体の多様化と選択、及び、ヒトタンパク質に対する免疫学的寛容の欠如のためのマウス機構を利用することで、これらのマウス系統において再現したヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原などの目的の抗原に対する高親和性完全ヒト抗体を生み出すことができる。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトモノクローナル抗体を、生産及び選択することができる。特定の例示的な方法は、米国特許第5545807号、EP546073、及び、EP546073で説明されている。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載している米国特許第6075181号、及び、第6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許番号7041870号、及び、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第US2007/0061900号を参照されたい。そのような動物が生成したインタクトな抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせて、さらに改変し得る。
また、ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づいた方法で生産することができる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒト骨髄腫、及び、マウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001(1984)、及び、Boemer et al.J.Immunol.147:86(1991))。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成したヒト抗体は、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1 03:3557−3562(2006)に記載されている。さらなる方法として、例えば、(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の生産を説明している)米国特許第7189826号に記載されている方法がある。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers et al.,Histology and Histopathology 20(3):927−937(2005)、及び、Vollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185−91(2005)に記載さいている。また、ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択したFvクローン可変ドメイン配列を単離することで生成し得る。次に、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を、以下に説明する。
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、インビトロ法、及び/または、所望の1つ以上の活性を有する抗体に関するコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングして単離されたヒト抗体である。適切な例として、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(かつてのProliferon)、Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイ(Adimab)などがあるが、これらに限定されない。特定のファージディスプレイ法では、VH、及び、VL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で別々にクローニングし、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.12:433−455(1994)に記載されているファージライブラリーでランダムに再結合する。例えば、当該技術分野では、ファージディスプレイライブラリーを生成し、そして、所望の結合特性を保有する抗体に関する当該ライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が公知である。Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299−310、2004;Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093,2004;Fellouse Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及び、Lee et al.,J.Immunol.Methods 284(−2):119−132(2004)も参照されたい。一般的に、ファージは、一本鎖Fv(scFv)断片、または、Fab断片のいずれかで抗体断片を表す。免疫源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要がなく、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、未処理のレパートリーを、(例えば、ヒトから)クローニングして、Griffiths et al.,EMBO J.12:725−734(1993)に記載されているようにして、免疫化処置をせずに、広範囲の非自己抗原、それに、自己抗原に対する単一の抗体源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーは、幹細胞から再配置していないV遺伝子セグメントをクローニングし、そして、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して可変性に富んだHVR3領域をコードし、そして、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381−388、1992に記載されているようにして、インビトロでの再配置を達成した。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許文献として、例えば:米国特許第5750373号、ならびに、米国特許公開第2007/0292936号、及び、第2009/0002360号がある。ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体は、本明細書では、ヒト抗体またはヒト抗体断片と見なす。
(5)Fc領域を含む定常領域
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、Fcを含む。一部の実施形態では、当該Fcは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び/または、IgG4アイソタイプである。一部の実施形態では、当該抗体は、IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である。
本明細書で提供するいずれかの抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、ヒトIgG2定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、1つ以上のTMEM106B活性を誘導し、または、Fc受容体に対する結合とは無関係に誘導する。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc−ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するいずれかの抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、マウスIgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体はヒトIgG1定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc−ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するいずれかの抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、ヒトIgG4定常領域を含む。一部の実施形態では、当該ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、当該抗体は、阻害性Fc受容体に対して結合する。特定の実施形態では、当該阻害性Fc受容体は、阻害性Fc−ガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
本明細書で提供するいずれかの抗体の特定の実施形態では、当該抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番法で定めたヒトIgG2のアミノ酸118〜260、及び、EU付番法で定めたヒトIgG4のアミノ酸261〜447を含む、アミノ酸配列を含む(WO1997/11971;WO2007/106585)。
一部の実施形態では、当該Fc領域は、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む対応する抗体と比較して、補体を活性化せずに、クラスタリングを増加させる。一部の実施形態では、当該抗体は、当該抗体が特異的に結合する標的の1つ以上の活性を誘導する。一部の実施形態では、当該抗体は、TMEM106Bに対して結合する。
本開示の抗TMEM106B抗体を修飾して、エフェクター機能を修飾すること、及び/または、抗体の血清半減期を長くすることも望ましい。例えば、当該定常領域のFc受容体結合部位を修飾または変異させて、FcγRI、FcγRII、及び/または、FcγRIIIなどの特定のFc受容体に対する結合親和性を除去または減少させて、抗体依存性細胞性細胞毒性を減少させ得る。一部の実施形態では、当該抗体の(例えば、IgGのCH2ドメインにおける)Fc領域のN−グリコシル化を除去すると、当該エフェクター機能は低下する。一部の実施形態では、WO99/58572、及び、Armour et al.Molecular Immunology 40:585−593(2003);Raddy et al.J.Immunology164:1925−1933(2000)に記載されているようなヒトIgGの233〜236、297、及び/または、327〜331などの領域を修飾すると、当該エフェクター機能は低下する。その他の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体を修飾してエフェクター機能を修飾すると、ITIM含有FcgRIIb(CD32b)に対する発見選択性を高めて、抗体依存性細胞媒介細胞毒性、及び、抗体依存性細胞食作用などの体液性応答を活性化せずに、隣接細胞でのTMEM106B抗体のクラスタリングを増加させることも望ましい。
当該抗体の血清半減期を長くするために、例えば、米国特許第5739277号に記載されているようにして、サルベージ受容体結合エピトープを、当該抗体(特に、抗体断片)に組み込み得る。本明細書で使用する用語「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、インビボでのIgG分子の血清中半減期の延長に関与するIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、または、IgG)のFc領域のエピトープのことを指す。その他のアミノ酸配列の修飾。
(6)多重特異性抗体
多重特異性抗体とは、同じ、または、別のポリペプチド(例えば、本開示の1つ以上のTMEM106Bポリペプチド)のエピトープなど、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体のことである。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、二重特異性抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、三重特異性抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体を、四重特異性抗体とすることができる。そのような抗体を、完全長抗体、または、抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)に由来する抗体とすることができる。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体は、TMEM106Bでの第1の部位に対して結合する第1の抗原結合領域を含み、かつ、TMEM106Bでの第2の部位に対して結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、当該多重特異性抗体は、TMEM106Bに対して結合する第1の抗原結合領域、及び、第2のポリペプチドに対して結合する第2の抗原結合領域を含む。
本明細書では、第1の抗原結合領域を含む多重特異性抗体を提供しており、当該第1の抗原結合領域は、TMEM106Bに対して結合する本明細書に記載の抗体の6つのHVR、及び、第2のポリペプチドに対して結合する第2の抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、当該第1の抗原結合領域は、本明細書に記載している抗体のVまたはVを含む。
当該多重特異性抗体のいずれかの一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、a)血液脳関門を通る輸送を促進する抗原;(b)トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn−B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプペプチド、及び、ANG1005から選択される、血液脳関門を通る輸送を促進する抗原;(c)アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータプラーク、アミロイド前駆体タンパク質、または、その断片、タウ、IAPP、アルファ−シヌクレイン、TDP−43、FUSタンパク質、C9orf72(第9染色体オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S−IBMタンパク質、反復関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DiPeptide repeat:DPR)ペプチド、グリシン−アラニン(GA)反復ペプチド、グリシン−プロリン(GP)反復ペプチド、グリシン−アルギニン(GR)反復ペプチド、プロリン−アラニン(PA)反復ペプチド、ユビキチン、及びプロリン−アルギニン(PR)反復ペプチドから選択される疾患原因タンパク質;(d)免疫細胞で発現されるリガンド及び/またはタンパク質であって、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4−1BB、CD27、GITR、PD−L1、CTLA−4、PD−L2、PD−1、B7−H3、B7−H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG−3、及びホスファチジルセリンから選択される、前記リガンド及び/またはタンパク質;及び/または、(e)1つ以上の腫瘍細胞、及び、それらの任意の組み合わせで発現するタンパク質、脂質、多糖、または糖脂質である。
血液脳関門を通る輸送を促進する多数の抗原は、当該技術分野で公知である(例えば、Gabathuler R.Neurobiol.Dis.37:48−57(2010))。そのような第2の抗原として、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、CRM197(ジフテリア毒素の非毒性変異体)などのジフテリア毒素、TMEM30(A)(Flippase)などのラマ単一ドメイン抗体、TAT、Syn−B、または、ペネトラチンなどのタンパク質形質導入ドメイン、ポリアルギニン、または、一般的に正電荷を有するペプチド、ANG1005などのアンジオペプペプチド(例えば、Gabathuler、2010を参照されたい)、及び、血液脳関門内皮細胞で濃縮を受けるその他の細胞表面タンパク質(例えば、Daneman et al.PLoS One 5(10):e13741(2010)を参照されたい)があるが、これらに限定されない。
当該多価抗体は、TMEM106B抗原、ならびに、さらなる抗原Aβペプチド、抗原またはα−シヌクレインタンパク質抗原、または、Tau−タンパク質抗原、または、TDP−43タンパク質抗原、または、プリオンタンパク質抗原、または、ハンチンチンタンパク質抗原、または、RAN、グリシン−アラニン(GA)、グリシン−プロリン(GP)、グリシン−アルギニン(GR)、プロリン−アラニン(PA)、または、プロリン−アルギニン(PR)、からなるジペプチドリピート(DPRペプチド)を含む翻訳産物抗原、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体などを認識し得るが、これらに限定されない。トランスフェリン受容体、または、抗体の移動を促進するその他の抗原は、血液脳関門を通る。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、トランスフェリンである。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、タウである。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、Aβである。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、TREM2である。一部の実施形態では、当該第2のポリペプチドは、α−シヌクレインである。
当該多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(及び、好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含み、1つ以上の当該ポリペプチド鎖は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、1つ以上のポリペプチド鎖は、VD1−(X1)−VD2−(X2)−Fcを含み得るものであり、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、そして、nは、0または1である。同様に、1つ以上のポリペプチド鎖は、V−C1可撓性リンカー−V−C1−Fc領域鎖;または、V−C1−V−C1−Fc領域鎖を含む。本明細書の多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つ(及び、好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書の多価抗体は、例えば、約2〜約8個の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書で企図する軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、また、任意に、CLドメインをさらに含む。
多重特異性抗体を作り出す技術として、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの組換え共発現があるが、これらに限定されない(Milstein and Cuello Nature3 05:537(1983)、WO93/08829、及び、Traunecker et al.EMBO J.10:3655(1991))、及び、「ノブ−イン−ホール」遺伝子操作(例えば、米国特許第5731168号を参照されたい)を参照されたい)。また、WO2013/026833(CrossMab)も参照されたい。また、多特異性抗体は、抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作り出す静電ステアリング効果を操作して(WO2009/089004A1);2つ以上の抗体を架橋して(例えば、米国特許第4676980号を参照されたい);ロイシンを使用して;二重特異性抗体断片を作り出す「ダイアボディ」技術を使用して(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照されたい);そして、一本鎖Fv(scFv)二量体を使用して(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい);及び、例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されているようにして三重特異性抗体を調製して作り出し得る。
本明細書は、「オクトパス抗体」などの3つ以上の機能的な抗原結合部位を有する遺伝子操作した抗体も含む(例えば、US2006/0025576を参照されたい)。また、本明細書の抗体は、複数のTMEM106Bに対して結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」を含む(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
(7)抗体変異体
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体のアミノ酸配列の変異を企図している。例えば、抗体の結合親和性、及び/または、その他の生物学的特性を改善することが望ましい。
(i)置換、挿入、及び、欠失変異
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体を提供する。抗体のアミノ酸配列変異は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入すること、または、ペプチド合成により調製し得る。そのような修飾として、例えば、当該抗体のアミノ酸配列での残基の欠失、及び/または、挿入、及び/または、残基の置換がある。
(表A)アミノ酸置換
Figure 2021508498
これらの抗体の生物特性の実質的な修飾は、(a)置換領域内のポリペプチド主鎖の構造、例えば、シートまたはヘリックス構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩を維持することに対する作用が著しく異なる置換を選択することで達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖特性に基づいて、
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe
に分けられる。
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの内の1つのメンバーを、別のクラスのものと交換することを伴う。そのような置換した残基は、例えば、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域、または、当該分子の非相同領域に導入することができる。
本明細書に記載のポリペプチドまたは抗体に変更を加える場合、特定の実施形態では、アミノ酸の疎水性指標を考慮することができる。それぞれのアミノ酸には、その疎水性と電荷特性に基づいて、疎水性指標を割り当てている。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸塩(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸塩(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及び、アルギニン(−4.5)である。
タンパク質に対して相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性アミノ酸指標の重要性は、当該技術分野で理解されている。Kyte et al.J.Mol.Biol.,157:105−131(1982)。特定のアミノ酸では、類似の疎水性指標、または、スコアを有するその他のアミノ酸の代わりに使用することができ、かつ、なおも類似の生物活性を保持することができる、ことは公知である。疎水性指標に基づいて変更を加える場合、特定の実施形態では、疎水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換を含む。特定の実施形態では、±1以内の事例を含み、そして、特定の実施形態では、±0.5以内の事例を含む。
同様に、類似のアミノ酸の置換を、親水性に基づいて効果的に行うことができ、特に、そうして生成した生物学的機能性タンパク質またはペプチドは、本事例のように免疫学的実施形態での使用を意図している、ことも理解されたい。特定の実施形態では、隣接するアミノ酸の親水性が支配するタンパク質の最大の局所平均親水性は、その免疫原性、及び、抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
これらのアミノ酸残基には:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0±1);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5)、及び、トリプトファン(−3.4)の親水性値を割り当てている。類似の親水性値に基づいて変更を加える場合、特定の実施形態では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換を含み、特定の実施形態では、±1以内のアミノ酸の置換を含み、特定の実施形態では、±0.5以内のアミノ酸の置換を含む。親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域を、「エピトープコア領域」とも称する。
特定の実施形態において、置換、挿入、または、欠失は、そのような改変が、抗体が抗原に対して結合する能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVRで起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供する保存的置換)は、HVRで行い得る。そのような改変は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側で行い得る。前出の変異VH、及び、VL配列の特定の実施形態では、それぞれのHVRは改変されておらず、または、1つ、2つ、または、3つ以下のアミノ酸置換を含む。
アミノ酸配列挿入として、1残基〜100以上の残基の長さのポリペプチドまでの範囲のアミノ末端、及び/または、カルボキシル末端融合、ならびに、単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入がある。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体がある。抗体分子のその他の挿入変異体として、(例えば、ADEPTに関しては)抗体のN−またはC−末端への融合、または、当該抗体の血清半減期を長くするポリペプチドがある。
抗体の適切な立体構造の維持に関与しない任意のシステイン残基も、一般的に、セリンで置換することができ、分子の酸化安定性を改善し、そして、異常な架橋を阻止することができる。逆に、システイン結合(複数可)を抗体に付加すると、その安定性を改善することができる(特に、当該抗体が、Fv断片などの抗体断片である場合)。
(ii)グリコシル化変異
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体を改変して、当該抗体がグリコシル化する程度を増大または低下させる。抗体に対するグリコシル化部位の追加または削除は、1つ以上のグリコシル化部位を、生成または除去するように当該アミノ酸配列を改変することで好都合に達成し得る。
抗体のグリコシル化は、一般的に、N結合またはO結合のいずれかである。N−結合とは、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の付着のことを指す。トリペプチド配列であるアスパラギン−X−セリン、及び、アスパラギン−X−スレオニンであり、式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸であり、これらの配列は、アスパラギン側鎖に対する炭水化物部分の酵素的付着の認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作り出す。O結合型グリコシル化とは、糖類N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、または、キシロースの1つが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリン、または、スレオニンに対して付着することを指すが、5−ヒドロキシプロリン、または、5−ヒドロキシリジンも使用し得る。
抗体に対するグリコシル化部位の付加は、(N−結合グリコシル化部位に関する)上記したトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を改変することで、好都合に達成する。また、当該改変は、(O−結合型グリコシル化部位に関しては)当初の抗体の配列に対して、1つ以上のセリン、または、スレオニン残基を追加または置換しても達成し得る。
当該抗体が、Fc領域を含む場合、そこに付着した炭水化物を改変し得る。哺乳動物細胞が生成するネイティブ抗体は、一般的に、Fc領域のCH2ドメインのKabat付番法でのAsn297に対するN結合で一般的に付着している分岐した二分岐オリゴ糖を含む。このオリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及び、シアル酸、ならびに、二分岐オリゴ糖構造の「ステム」においてGlcNAcに付着したフコースを含み得る。一部の実施形態では、本発明の抗体でのオリゴ糖の修飾を、特定の改善した特性を有する抗体変異体を作り出すために行い得る。
ある実施形態では、Fc領域に(直接的に、または、間接的に)付着したフコースを欠いた炭水化物構造を有する抗体変異体を提供する。例えば、米国特許公開第2003/0157108号、及び、第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フチコース欠損」抗体変異体に関連する刊行物の例として:US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;Okazaki et al.,J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.87:614(2004)がある。脱フコシル化抗体を生産することができる細胞株の例として、タンパク質フコシル化を欠損したLed 3 CHO細胞がある(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986);US2003/0157108)、及び、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、及び、Kanda et al.,Biotechnol.Bioeng.94(4):680−688(2006)を参照されたい)がある。
(iii)修飾した定常領域
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体Fcとは、抗体Fcアイソタイプ、及び/または、修飾である。一部の実施形態では、当該抗体Fcアイソタイプ、及び/または、修飾は、Fcガンマ受容体に対して結合することができる。
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該修飾した抗体Fcは、IgG1修飾Fcである。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、1つ以上の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換を、そのアミノ酸位置をEU付番法で定めている、N297A(Bolt S et al.(1993)Eur J Immunol23:403−411)、D265A(Shields et al.(2001)R.J.Biol.Chem.276,6591−6604)、L234A、L235A(Hutchins et al.(1995)Proc Natl Acad Sci USA,92:11980−11984;Alegreet al.,(1994)Transplantation 57:1537−1543.31;Xu et al.,(2000)Cell Immunol,200:16−26)、G237A(Alegre et al.(1994)Transplantation 57:1537−1543.31;Xu et al.(2000)Cell Immunol,200:16−26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185−1192)、P331S(Sazinsky et al.,(2008)Proc Natl Acad Sci USA2008,105:20167−20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択する。
いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのN297A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU番号法でのD265A、及び、N297A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのD270A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、及び、L235A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、及び、G237A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234A、L235A、及び、G237A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異の(すべてを含む)1つ以上を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での1つ以上のS267E/L328F変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、L328E、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのP238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271G、及び、A330R変異を含む。一部では IgG1修飾Fcのいずれかの実施形態、Fcは、EU付番法によるC226S、C229S、E233P、L234V、及び、L235A変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL234F、L235E、及び、P331S変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのS267E、及び、L328F変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのS267E変異を含む。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG1の定常重鎖1(CH1)及びヒンジ領域を、CH1で置換すること、及び、IgG2のヒンジ領域(EU付番法によるIgG2のアミノ酸118〜230)を、カッパ軽鎖で置換することを含む。
いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、2つ以上のアミノ酸置換を含まないFc領域を有する対応する抗体と比較して、補体を活性化せずに、抗体クラスター化を高める2つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、Fc領域を含む抗体であり、当該抗体は、位置E430Gでのアミノ酸置換、及び、EU付番法でのL234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、及び、これらの任意の組み合わせから選択した残基位置でのFc領域における1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、A330S、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、A330S、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、A330Sにアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。
いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、本明細書では、補体の活性化を回避するために、EU付番規定でのA330L変異(Lazar et al.Proc Natl Acad Sci USA,103:4005−4010(2006))、または、L234F、L235E、及び/または、P331S変異の1つ以上(Sazinsky et al.Proc Natl Acad Sci USA,105:20167−20172(2008))をさらに含んでもよく、これと組み合わせられてもよい。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番法でのA330L、A330S、L234F、L235E、及び/または、P331Sの1つ以上をさらに含み得る。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。いずれかのIgG1修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG1修飾Fcは、EU付番でのE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び/または、S440Wの1つ以上をさらに含み得る。
本開示のその他の態様は、修飾した定常領域(すなわち、Fc領域)を有する抗体に関する。FcgR受容体に対する結合に依存して標的化受容体を活性化させる抗体を、FcgR結合を解消するように遺伝子操作すると、そのアゴニスト活性を喪失し得る(例えば、Wilson et al.Cancer Cell 19:101−113(2011);Armour et al.Immunology 40:585−593(2003);及び、White et al.,Cancer Cell 27:138−148(2015)を参照されたい)。したがって、当該抗体が、ヒトIgG2アイソタイプ(CH1、及び、ヒンジ領域)由来のFcドメイン、または、阻害性FcgRIIBr受容体、または、その変異体を優先的に結合することができる別のタイプのFcドメインを有しておれば、適正なエピトープ特異性を有する本開示の抗TMEM106B抗体は、最小限の副作用で、標的抗原を活性化できると考えられる。
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該修飾抗体Fcは、IgG2修飾Fcである。一部の実施形態では、当該IgG2修飾Fcは、1つ以上の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG2修飾Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換を、EU付番規定でのV234A(Alegre et al.Transplantation 57:1537−1543(1994);Xu et al.Cell Immunol,200:16−26(2000));G237A(Cole et al.Transplantation,68:563−571(1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armour et al.Eur J Immunol 29:2613−2624(1999);Armour et al.The Heamatology Journal 1(Suppl.1):27(2000);Armour et al.The Heamatology Journal 1(Suppl.1):27(2000))、C219S、及び/または、C220S(White et al.Cancer Cell 27,138−148(2015));S267E、L328F(Chu et al.Mol Immunol,45:3926−3933(2008));及び、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択する。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置V234A、及び、G237Aでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C219S、または、C220Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fでのアミノ酸置換を含む。
いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC127Sアミノ酸置換を含む(White et al.,(2015)Cancer Cell 27、138−148;Lightle et al.ProteinSci.19:753−762(2010);及び、WO2008/079246)。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する(White et al.Cancer Cell 27:138−148(2015);Lightle et al.Protein Sci.19:753−762(2010);及び、WO2008/079246)。
いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC220Sアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する。
いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのC219Sアミノ酸置換を含む。いずれかのIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体は、EU付番規定でのC214Sアミノ酸置換を含むカッパ軽鎖定常ドメインを持ったIgG2アイソタイプを有する。
いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)と、ヒンジ領域とを含む(White et al.Cancer Cell 27:138−148(2015))。いずれかの当該IgG2修飾Fcの特定の実施形態では、当該IgG2アイソタイプCH1、及び、ヒンジ領域は、EU付番法での118〜230のアミノ酸配列を含む。いずれかのIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該抗体Fc領域は、EU付番法でのS267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、または、その両方、及び/または、N297AまたはN297Qアミノ酸置換を含む。
いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び、S440Wに1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。いずれかのIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、A330S、及び、P331Sをさらに含み得る。
いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、IgG2/4ハイブリッドFcである。一部の実施形態では、当該IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2アミノ酸118〜260、及び、IgG4アミノ酸261〜447を含む。任意のIgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置H268Q、V309L、A330S、及び、P331Sに1つ以上のアミノ酸置換を含む。
いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのA330L、L234F;L235E、または、P331S;及び、それらの任意の組み合わせから選択した1つ以上のさらなるアミノ酸置換を含む。
いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのC127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、及び、それらの任意の組み合わせから選択する残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。IgG1、及び/または、いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。IgG1、及び/または、いずれかの当該IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、A330S、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、A330Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、K322A、及び、P331Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C127Sでのアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG1、及び/または、IgG2修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E345R、E430G、及び、S440Yでのアミノ酸置換を含む。
本明細書で提供するいずれかの抗体の一部の実施形態では、当該修飾抗体Fcは、IgG4修飾Fcである。一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、1つ以上の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に関連して)1つ以上のアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、1つ以上の当該アミノ酸置換は、EU付番規定でのL235A、G237A、S229P、L236E(Reddy et al.J Immunol 164:1925−1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、及び/または、T256Eから選択する。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのL235A、G237A、及び、E318Aをさらに含み得る。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番規定でのS228P、及び、L235Eをさらに含み得る。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、EU付番規定でのS267E、及び、L328Fをさらに含み得る。
いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、EU付番規定でのS228P(Angal et al.Mol Immunol.30:105−108(1993))、及び/または、(Peters et al.J Biol Chem.287(29):24525−33(2012))に記載されている1つ以上の変異と組み合わせて、抗体安定性を高め得る。
いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該IgG4修飾Fcは、ヒト血清での抗体半減期を長くする1つ以上の変異(例えば、EU付番規定でのM252Y、S254T、及び、T256E変異の(すべてを含む)1つ以上)をさらに含み得る。
いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのL235Eを含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法でのC127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、及び、それらの任意の組み合わせから選択した残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、L243A、L235A、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、P331Sにアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430にアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E430G、及び、K322Aにアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置S267E、及び、L328Fにアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置C127Sにアミノ酸置換を含む。いずれかの当該IgG4修飾Fcの一部の実施形態では、当該Fcは、EU付番法での位置E345R、E430G、及び、S440Yにアミノ酸置換を含む。
(8)その他の抗体修飾
いずれかの抗体の一部の実施形態では、当該抗体は、誘導体である。用語「誘導体」とは、アミノ酸(または、核酸)の挿入、欠失、または、置換以外の化学修飾を含む分子のことを指す。特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、または、その他の有機もしくは無機部分を有する化学結合など、これらに限定されない共有結合修飾を含む。特定の実施形態では、化学修飾した抗原結合タンパク質は、化学修飾を受けていない抗原結合タンパク質よりも循環半減期を長くすることができる。特定の実施形態では、化学修飾した抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または、臓器に対する標的化能力を改善することができる。一部の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、または、ポリプロピレングリコールなど、これらに限定されない1つ以上の水溶性ポリマー付着を含むように共有結合的に修飾する。例えば、米国特許第4640835号、第4496689号、第4301144号、第4670417号、第4791192号、及び、第4179337号を参照されたい。特定の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー、または、ランダムコポリマーのいずれか)、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、及び、ポリビニルアルコール、ならびに、そのようなポリマーの混合物など、これらに限定されない1つ以上のポリマーを含む。
特定の実施形態では、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有結合的に修飾する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーを、誘導体の1つ以上の特定の位置、例えば、アミノ末端に対して結合する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーは、誘導体の1つ以上の側鎖に対してランダムに結合する。特定の実施形態では、PEGを、抗原結合タンパク質の治療能力を改善するために使用する。特定の実施形態では、PEGを、ヒト化抗体の治療能力を改善するために使用する。このような特定の方法は、例えば、米国特許第6133426号で論じられており、本明細書の一部を構成するものとして、同文献を、あらゆる目的のために援用する。
ペプチド類似体は、製薬業界では、テンプレートペプチドの特性に類似した特性を有する非ペプチド薬として一般的に使用されている。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」と称されている。本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的のために援用する、Fauchere,J.Adv.DrugRes.,15:29(1986);及び、Evans et al.,J.Med.Chem.,30:1229(1987)。このような化合物は、コンピューター化した分子モデリングを利用して、開発されることが多い。治療的に有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣物を使用して、類似の治療効果、または、予防効果を得ることができる。一般的に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体などのパラダイムポリペプチド(すなわち、生化学的特性、または、薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に似ているが、当該技術分野で周知の方法で:−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH−CH−(シス、及び、トランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−、及び、−CHSOから選択する結合で任意に置換した1つ以上のペプチド結合を有する。特定の実施形態では、コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸を、同じタイプのD−アミノ酸(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)で体系的に置換すると、安定性が高まったペプチドを生成することができる。加えて、コンセンサス配列、または、実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む固定化したペプチドは、当該技術分野で公知の方法(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、本明細書の一部を構成するものとして、あらゆる目的のために援用する)、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を加えることで、生成することができる。
薬物コンジュゲーションは、生物学的活性細胞毒性(抗がん)ペイロード、または、特定の腫瘍マーカーを特異的に標的とする抗体(例えば、理想的には、腫瘍細胞内、または、腫瘍細胞上にだけ認められるポリペプチド)に対する薬物のカップリングに関与する。抗体は、これらのタンパク質を体内で追跡し、そして、がん細胞の表面に付着する。当該抗体と標的タンパク質(抗原)との間の生化学的反応は、当該腫瘍細胞においてシグナルを発生させ、次いで、当該抗体を、細胞毒素と共に、吸収し、または、内部に取り込む。ADCを内部に取り込んだ後に、細胞毒性薬を放出して、がんを死滅させる。この標的作用により、理想的には、当該薬物の副作用が小さくなり、かつ、その他の化学療法剤よりも治療ウィンドウが広くなる。抗体をコンジュゲートする技術は、当該技術分野で公知である(例えば、Jane de Lartigue OncLive July 5,2012;ADC Review on antibody−drug conjugates;及び、Ducry et al.Bioconjugate Chemistry 21(1):5−13(2010)を参照されたい。
III.核酸、ベクター、及び、宿主細胞
本開示の抗TMEM106B抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載の組み換え方法、及び、組成物を使用して生産し得る。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。かかる核酸は、抗TMEM106B抗体のVを含むアミノ酸配列、及び/または、Vを含むアミノ酸配列(例えば、当該抗体の軽鎖、及び/または、重鎖)をコードし得る。一部の実施形態では、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。一部の実施形態では、かかる核酸を含む宿主細胞も提供する。一部の実施形態では、当該宿主細胞は、(1)当該抗体のVを含むアミノ酸配列、及び、当該抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または、(2)当該抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び、当該抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、形質導入している)。一部の実施形態では、当該宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または、リンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。また、本開示の宿主細胞として、単離した細胞、インビトロで培養した細胞、及び、エクスビボで培養した細胞があるが、これらに限定されない。
本開示の抗TMEM106B抗体を作り出す方法を提供する。一部の実施形態では、当該方法は、抗TMEM106B抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を、当該抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。一部の実施形態では、当該抗体を、その後に、宿主細胞(または、宿主細胞培養培地)から回収する。
本開示の抗TMEM106B抗体を組換え生産するために、抗TMEM106B抗体をコードする核酸を単離し、そして、宿主細胞でのさらなるクローニング、及び/または、発現のために、1つ以上のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、当該抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離を行い、そして、配列決定し得る。
本開示の抗TMEM106B抗体、または、細胞表面で発現したその断片、または、ポリペプチド、本明細書に記載したポリペプチド(抗体を含む)のいずれかをコードする核酸配列を含有する好適なベクターとして、クローニングベクター、及び、発現ベクターがあるが、これらに限定されない。好適なクローニングベクターは、標準的技法に従って構築することができ、または、当該技術分野において入手可能な数多くのクローニングベクターから選択し得る。選択するクローニングベクターは、使用予定の宿主細胞に応じて変わり得るが、有用なクローニングベクターは、一般的に、自己複製能を有しており、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を有することができ、及び/または、当該ベクターを含むクローンの選択に用いることができるマーカーの遺伝子を保持し得る。好適な例として、プラスミド、及び、細菌ウイルス、例えば、pUCl8、pUCl9、Bluescript(例えば、pBS SK+)、及び、その誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびに、pSA3、及び、pAT28などのシャトルベクターがある。これらのクローニングベクター、及び、数多くのその他のクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及び、Invitrogenなどの市販業者から入手可能である。
抗体コーディングベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞として、原核細胞または真核細胞がある。例えば、本開示の抗TMEM106B抗体は、特に、グリコシル化、及び、Fcエフェクター機能が必要とされない場合には、細菌において生産し得る。細菌での抗体断片、及び、ポリペプチドの発現については、(例えば、米国特許第5648237号、第5789199号、及び、第5840523号。発現の後に、当該抗体を、可溶性画分での細菌細胞ペーストから単離し、そして、さらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、抗体コーディングベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、これらとして、グリコシル化経路を「ヒト化」して、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体を生産する真菌株及び酵母株がある(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004);及び、Li et al.,Nat.Biotech.24:210−215(2006))。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物、及び、脊椎動物)から得ることもできる。無脊椎動物細胞の例として、植物細胞、及び、昆虫細胞がある。昆虫細胞とともに、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションに使用することができる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。また、植物細胞培養物も、宿主として利用することができる(例えば、トランスジェニック植物で抗体を生産するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号、及び、第6417429号)。
また、脊椎動物細胞も、宿主として使用し得る。例えば、懸濁液で成長するように適合させた哺乳動物細胞株が有用である。有用な宿主哺乳動物細胞株のその他の例として、SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS−7);ヒト胚性腎臓株(293細胞、または、例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980)に記載されたTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ科腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)に記載のTRI細胞;MRC5細胞;及び、FS4細胞がある。その他の有用な宿主哺乳動物細胞株として、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))などのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびに、Y0,NS0、及び、Sp2/0などの骨髄腫細胞株がある。抗体生産に好適な特定の宿主哺乳動物細胞株の総説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255−268(2003)を参照されたい。
IV.医薬組成物/製剤
本明細書では、本開示の抗TMEM106B抗体及び医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物及び/または医薬製剤を提供する。
一部の実施形態では、医薬として許容可能な担体は、好ましくは、使用する用量、及び、濃度でレシピエントに対して無毒である。本明細書に記載の抗体は、固体、半固体、液体、または、気体の形態の調製物に製剤し得る。このような製剤の例として、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及び、エアロゾル剤があるが、これらに限定されない。医薬として許容可能な担体は、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための医薬組成物を製剤するために一般的に使用するビヒクルである、医薬として許容可能な非毒性の希釈剤の担体を含み得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、吸着または浸透を改変、維持、または、保存するための製剤材料を含むことができる。
特定の実施形態では、医薬として許容可能な担体として、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、または、リジンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または、亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または、その他の有機酸など);増量剤(マンニトール、または、グリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリン、または、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど);増量剤;単糖類;二糖類;及び、その他の炭水化物(グルコース、マンノース、または、デキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または、免疫グロブリンなど);着色剤、矯味矯臭剤、及び、希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩を形成する対イオン(ナトリウムなど);防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または、過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、または、ポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトール、または、ソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤、または、湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパルなど);安定性増強剤(スクロース、または、ソルビトールなど);等張化増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど);送達媒体;希釈剤;賦形剤、及び/または、医薬用アジュバントがあるが、これらに限定されない。様々な種類の投与に適した製剤のさらななる例は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Pharmaceutical Press 22nd ed.(2013)に認められる。薬物送達法の簡潔な総説については、Langer,Science 249:1527−1533(1990)を参照されたい。
非経口投与に好適な製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性及び非水性の等張性無菌注射液剤と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び、防腐剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁剤とがある。
製剤を、脳または中枢神経系で保持し、そして、安定化するように最適化し得る。作用物質を頭蓋区画に投与すると、その作用物質が、その区画内に保持され、拡散せず、または、拡散しても血液脳関門を通過しないことが望ましい。安定化技法として、分子量の増大を達成するために、架橋、多量体化、または、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体などの基への結合などがある。
保持を確実ならしめるためのその他の方策として、生分解性または生体侵食性インプラントへの本開示の抗TMEM106B抗体の封じ込めがある。治療的活性物質の放出速度は、ポリマーマトリックスを介した輸送速度、及び、インプラントの生分解速度によって制御される。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラーク、繊維、マイクロカプセルなどとし得るものであり、また、選択した挿入部位に適合する任意のサイズまたは形状とし得る。使用し得る生分解性ポリマー組成物は、分解したときにモノマーなど、生理学的に許容可能な分解生成物を生成する有機エステルまたはエーテルとし得る。無水物、アミド、オルトエステルなどを、単独で、または、その他のモノマーと組み合わせて使用し得る。これらのポリマーを、縮合ポリマーとし得る。これらのポリマーは、架橋したもの、または、未架橋のものとし得る。特に対象となるものは、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかであるヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、それに、多糖である。対象となるポリエステルとして、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、及び、これらの組み合わせのポリマーがある。対象となる多糖として、アルギン酸カルシウム、及び、官能化セルロース、特に、非水溶性であり、分子量が約5kD〜500kDであることを特徴とするカルボキシメチルセルロースエステルなどがある。生分解性ヒドロゲルも、本開示のインプラントに採用し得る。ヒドロゲルとは、一般的に、液体を吸収する能力を特徴とするコポリマー材料である。
V.治療用途
本明細書で開示したように、本開示の抗TMEM106B抗体は、様々な疾患、障害、及び状態を、予防する、リスクを減少させる、または、治療するために使用し得る。一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、前頭側頭葉型変性症、前頭側頭型認知症、プログラニュリン変異を伴う前頭側頭型認知症、C90rf72変異を伴う前頭側頭型認知症、TDP−43封入体を伴う前頭側頭葉型変性症、TDP−43タンパク質症、海馬硬化症(HpScl)、加齢性海馬硬化症(HS−Aging)、様々な障害に関連する認知機能障害(筋萎縮性側索硬化症における認知機能障害などがあるが、これに限定されない)、慢性外傷性脳症に関連する認知機能障害、及び、脱髄障害(低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーなどがあるが、これに限定されない)を、予防する、リスクを減少させる、または、治療する上で効果的である。
本開示のその他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期鬱病、動脈硬化性血管疾患、正常な老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系ループス、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢性疾患、加齢性黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染症、炎症性障害、関節炎、多発性硬化症、代謝障害、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管の傷害、外傷、及び、正常な老化の1つ以上の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療する方法であって、前出の実施形態のいずれかの抗TMEM106B抗体の治療有効量を、個体に対して投与することを含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TMEM106B抗体は、脳内のTDP−43封入体を減少させ、認知機能及び行動機能の低下を減少させ、認知機能及び行動機能を改善し得る。
一部の実施形態では、対象または個体は、哺乳動物である。哺乳動物として、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及び、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、そして、サルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、齧歯類(例えば、マウス、及び、ラット)があるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、当該対象または個体は、ヒトである。
本明細書で提供する抗体(及び、任意のさらなる治療薬)を、非経口、肺内、鼻腔内、病巣内投与、脳脊髄内、頭蓋内、髄腔内、滑膜内、髄腔内、経口、局所、または、吸入経路などの任意の適切な手段で投与することができる。非経口注入として、ボーラスとしての筋肉内、静脈内投与、または、一定期間にわたる持続注入、動脈内、関節内、腹腔内、または、皮下投与がある。一部の実施形態では、当該投与は、静脈内投与である。一部の実施形態では、当該投与を、皮下にする。投与時間の長短をも加味して、投与は、適切な経路、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射で実施できる。本明細書では、単回投与、または、様々な時点に及ぶ複数回投与、ボーラス投与、及び、パルス注入など、これらに限定されない様々な投薬スケジュールを企図している。
本明細書で提供する抗体は、優れた医療行為と一致する方法で、製剤、投薬、及び、投与する。この文脈で考慮すべき要素として、治療する特定の障害、治療を受ける特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び、開業医に公知のその他の要素がある。当該抗体は、必須ではないが、問題の障害の予防または治療のために現在利用されている1つ以上の作用物質を用いて、任意に製剤する。そのようなその他の作用物質の有効量は、製剤に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び、先述した考察でのその他の要素によって定まる。これらは、一般的には、本明細書に記載したのと同じ用量、及び、投与経路で、または、本明細書に記載した用量の約1〜99%、または、任意の用量で、かつ、経験的/臨床的に適切であると決定した任意の経路で使用する。
疾患の予防または治療のための(単独で、または、1つ以上のその他のさらなる治療剤と組み合わせて使用する場合の)本発明の抗体の適切な用量は、治療する疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度と経過、当該抗体を予防または治療のいずれの目的で投与するのかの区別、従前の治療、患者の病歴と抗体に対する反応、及び、主治医の裁量によって定まる。当該抗体を、一度に、または、一連の治療において、適切に患者に対して投与する。
疾患の種類、及び、重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体を、例えば、1回以上の別々の投与、または、持続注入のいずれかで、当該患者に対して投与する最初の候補用量とすることができる。上記した要素に応じて、ある一般的な1日用量を、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲とし得る。状態に応じて、数日以上の反復投与に関しては、一般的に、治療は、疾患症状に所望の抑制が認められるまで続ける。当該抗体のある例示的な用量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または、10mg/kg(または、それらの任意の組み合わせ)の1つ以上の用量を、患者に対して投与し得る。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週、または、3週間ごと(例えば、当該患者が、約2〜約20、または、例えば、約6用量の抗体の投与を受けるよう)に投与し得る。特定の実施形態では、投薬頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、隔日1回、週1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、または、月1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または、それ以上である。最初に高負荷用量を、続いて、1回以上の低用量を投与し得る。しかしながら、その他の投与計画も有用であり得る。この治療法の進行状況は、従来の技術とアッセイで容易にモニターできる。
VI.診断用途
いずれかの抗体の一部の実施形態では、本明細書で提供するいずれかの抗TMEM106B抗体は、試料または個体でのTMEM106Bの存在を検出する上で有用である。本明細書で使用する用語「検出」とは、定量的または定性的検出を含む。本明細書では、個体、または、個体に由来する組織試料でのTMEM106Bの検出など、診断目的で本開示の抗体を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、当該個体は、ヒトである。一部の実施形態では、当該組織試料は、血液、脳、髄液などである。
当該検出方法は、抗原に結合した抗体の定量が関与し得る。生物学的試料での抗体検出は、免疫蛍光顕微鏡、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS分析、免疫沈降、または、マイクロ陽電子放射断層撮影など、当該技術分野で公知の任意の方法で行い得る。特定の実施形態では、当該抗体を、例えば、18Fで放射性標識し、次いで、マイクロ陽電子放出断層撮影分析を利用して検出する。また、抗体結合も、陽電子放出断層撮影(PET)、X線コンピューター断層撮影、単一光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)、コンピューター断層撮影(CT)、及び、コンピューター断層撮影(CAT)などの非侵襲的手法で、患者において定量し得る。
VII.製造物
本明細書では、本明細書で説明した抗TMEM106B抗体を含む製造物(例えば、キット)を提供する。製造物は、本明細書に記載した抗体を含む1つ以上の容器を含み得る。容器は、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えば、密封したMylar、または、プラスチックバッグ)など、これらに限定されない、任意の適切な包装とし得る。これらの容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、または、サブユニット用量とし得る。
一部の実施形態では、これらのキットは、第2の作用物質をさらに含み得る。一部の実施形態では、当該第2の作用物質は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、及び、デキストロース溶液など、これらに限定されない、医薬として許容可能な緩衝剤または希釈剤である。一部の実施形態では、当該第2の作用物質は、医薬として活性な作用物質である。
いずれかの製造物の一部の実施形態では、当該製造物は、本開示の方法に従って使用するための指示書をさらに含む。一般的に、当該指示書は、意図した治療のための用量、投薬スケジュール、及び、投与経路に関する情報を含む。一部の実施形態では、これらの指示書は、本開示の任意の方法に従って、前頭側頭葉型変性症、前頭側頭型認知症、プログラニュリン変異を伴う前頭側頭型認知症、C9orf72変異を伴う前頭側頭型認知症、TDP−43封入体を伴う前頭側頭葉型変性、TDP−43タンパク質症、海馬硬化症(HpScl)、加齢性海馬硬化症(HS−Aging)、様々な障害に関連する認知機能障害(筋萎縮性側索硬化症における認知機能障害などがあるが、これに限定されない)、及び、低髄鞘形成障害(低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーなどがあるが、これに限定されない)から選択される疾患、障害、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、もしくは傷害を有する個体を治療するために、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗TMEM106B抗体)の投与の説明を含む。一部の実施形態では、当該指示書は、抗TMEM106B抗体、及び、第2の作用物質(例えば、医薬として活性な第2の作用物質)の使用に関する説明を含む。
以下の実施例を参照することで、本開示の理解は十分に深まる。しかしながら、それらを、本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。本開示全体でのすべての引用を、本明細書の一部を構成するものとして、明示的に援用する。
実施例1:TMEM106Bは、様々な神経変性障害における危険因子である
FTLDの遺伝的危険因子を突き止めるために、2509名のコントロール対象と、一部にGRN変異を含む、病理学的に確認したFTLD−TDPの515名の対象とで全ゲノム関連研究(GWAS)を行った、(van Deerlin et al.,2010,Nat Genetics,42:234−239)。このGWASでは、染色体7p21.3の68kb領域内に3つのSNPが発見されており、これらは、ゲノム全体で有意なFTLD−TDPの発生に関連している(rs6966915、rs102004、及び、トップマーカーSNP rs1990622;p値範囲=5.00×10−11〜1.08×10−11)。有意に関連する3つのSNPは、名目関連の9つのその他のSNPと同じ連鎖不平衡(LD)ブロック内にあり、そして、そのすべてが、TMEM106B遺伝子座に関係していた。この事例でのコントロールコホートでは、それぞれの有意なSNPのマイナー対立遺伝子が、FTLD−TDP患者で過小評価されており(rs1990622マイナーC対立遺伝子のコントロールについては、32.1対43.6%;p値=1.08×10−11)、このことは、マイナーTMEM106B対立遺伝子を発現する個体では、疾患を発症する可能性が小さいことを示唆している[rs1990622マイナー対立遺伝子のオッズ比(OR)=0.61]。GRN変異ステータスで当初のGWASコホートを層別化すると、上位3つのSNPの関連は、両方のグループで有意なままであったが、非GRN保有者(rs1990622 p値=6.90×10−7;OR 0.68)に対して、GRN保有者でのGRN関連FTLD−TDP(rs1990622 p値=1.34×10−9;OR 0.34)を有する人々で最大であった。これらのSNPは、TMEM106BとGRNとの間の機能的相互作用を示唆するGRN変異も保有する患者に最も強いリスクを与えた。FTLD−TDPを有するTMEM106B変異体の遺伝的関連性を、高い信頼性で再現した(Cruchaga et al.,2011;Finch et al.,2011;Vander Zee et al.,2011)。FTLDのリスクを高めることに加えて、rs1990622での主要な対立遺伝子は、FTLD発症の年齢も若年化する。(例えば、Finch et al.,2011,Neurology,76:467−474;Cruchaga et al.,2011,Arch Neurolを参照されたい。)
TMEM106B SNPを、FTLD−TDPの疾患リスク因子として評価する最初の研究は、2012年に、C9orf72反復拡張が発見される前に行われた。2つの独立したグループは、TMEM106B SNPが、C9orf72変異が関与するFTLD、及び/または、ALSを発症するリスクにも関連していることを発見した。(Gallagher et al.,2014,Acta Neuropathol,127:407−418;van Blitterswijk et al.,2014,Acta Neuropath,127:397−406を参照されたい。)これらのC9orf72変異体コホートでは、TMN106B SNPのマイナー対立遺伝子[rs1990622を有するLDでのrs1990622、及び/または、rs3173615を保有する個体の頻度は、GRN変異保有者のコホートほどではないが、有意に減少した。興味深いことに、FTLD、FTLD−ALS、または、ALSのいずれかの主要疾患の提示に基づいたグループでのC9orf72反復拡張保有者の分析では、TMEM106B SNPが、ALSではなく、FTLDの発生を特異的に保護しており、リスク対立遺伝子保有者と比較して、保護TMEM106B対立遺伝子に関してホモ接合性であるC9orf72拡張保有者の脳でのTDP−43負担が軽いことを示した。これらの知見は、TMEM106B SNP rs1990622、及び、rs1020004が、疾患リスクに関連してはいないが、ALS患者の認知機能と有意に関連しており、rs1990622マイナー対立遺伝子に関してホモ接合性の個体は、主要なリスク対立遺伝子に関してヘテロ接合性またはホモ接合性の個体よりも認知能力が優れていることを示した、ALM患者の臨床コホートにおけるTMEM106B SNPの以前の試験と一致している(Vass et al.,2011,Acta Neuropathol,121:373−380)。
TDP−43凝集体などの神経変性疾患の特徴は、FTLDに固有のものではなく、また、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症(LBD)、及び、海馬硬化症(HpScl)(Amador−Ortizetal et al.,2007,Ann Neurol,61:435−445;Zarow et al.,2008,Curr Neurol Neurosci Rep,8:363−370)などのその他の神経変性疾患でも認められており、限定的ではあるが、明らかに健康な個体でも認められている(例えば、Yu et al.,2015,Neurology,84:927−934を参照されたい)。TMEM106Bリスク変異体は、臨床神経学的診断の非存在下では、TDP−43神経病理学と関連している。同様に、AD患者間での小さなTDP−43病変と関連する保護TMEM106Bハプロタイプが、ADの病理学的提示に影響を与えることが認められた(Rutherford et al.,2012,Neurology,79:717−718)。海馬硬化症は、FTLD−TDP、及び、ADなどの認知症を患った高齢患者での一般的な病理学的特徴でもあり、大抵の場合、TDP−43病理が共存する。TMEM106B遺伝子型は、原発性海馬硬化症(Aoki et al.,2015,Acta Neuropathol,129:53−64)、及び、AD患者間での海馬硬化症に関連していることが認められており、TMEM106Bは、今日までに、AD−HpScl、及び、HpSclの最も有力な公知の遺伝的指標となっている(Murray et al.,2014,Acta Neuropathol,128:411−421)。これらの研究は、TMEM106B SNPが、ADやHpSclなどの非FTLD障害におけるTDP−43タンパク質症の発症、及び、重症度の危険因子であることを総合的に示唆している。
1500個を超えるヒトの脳の剖検試料を対象としたゲノミクス研究は、TMEM106Bでの一般的な変異を、ヒトの脳の生物学的老化率の主要なゲノム全体の決定因子として同定した:TMEM106B遺伝子座での2つのリスク対立遺伝子の存在が、その遺伝子発現プロファイルに基づいて、約12歳に見える個体を、実年齢よりも老けたように見せる(Rhinn and Abeliovich,2017,Cell Syst,4:404−415)。TMEM106Bリスク対立遺伝子のこの効果は、公知の神経疾患を持たない個体、ならびに、アルツハイマー病などの神経変性プロセスを持つ個体でも認められる。加齢におけるTMEM106Bの役割は、脳と寿命(小脳ではなく大脳皮質、特に、65歳超)の観点から、非常に選択的であるように考えられる。この効果は、保護的TMEM106Bハプロタイプの保有者が、加齢に伴う認知機能低下を示すさらなるコホートにおいて、独立して確認された(Rhinn and Abeliovich,2017,上掲)。TMEM106B保護的ハプロタイプは、特定の量の脳病変の認知能力の向上に関連することが示されているので、認知能力への影響が確認された(White et al.,2017,PLoS Med,14:e1002287)。これらの結果は、神経変性疾患を超えた老化におけるTMEM106Bの多面的な役割を補強する。
TMEM106B変異体は、TMEM106B mRNA、及び、タンパク質発現レベルを高めて、FTLD−TDPを発症するリスクを高め得る。TMEM106Bが増えると、細胞あたりの後期エンドソーム/リソソームの平均数が減少し、リソソームが酸性化されなくなり、そして、リソソームの分解も妨げられる。
TMEM106Bのマウス遺伝的ノックアウト(Klein et al.2017,Neuron 95,281−296)は、グラニュリン経路でのTMEM106bに関する効果を示した。具体的には、TMEM106Bタンパク質の遺伝的ノックアウトは、リソソームタンパク質のレベルの一部救済、ならびに、過反応性や脱抑制の除去などの行動変化の救済など、マウスモデルのGRNノックアウトに関連する一部の病原性表現型を救済することができた。当該TMEM106Bノックアウト自体は、マウスで十分に許容されており、そして、TMEM106Bは、v−ATPアーゼサブユニットAP1との(共免疫沈降で証明された)直接的な相互作用を介して機能し得る。当該v−ATPアーゼ複合体は、リソソームのpHを低下させ、そして、タンパク質の分解と再利用を開始する上で重要な役割を果たし得る。したがって、TMEM106Bとの相互作用は、TMEM106Bの過剰発現に関連したリソソーム表現型の一部をもたらし、また、逆に、この相互作用をブロックする(または、単に、存在するTMEM106Bのレベルを減少させる)と、この表現型を改善し得る。
上記した分析、及び、さらなる分析は、関連TMEM106Bと、前頭側頭葉型変性症、前頭側頭型認知症、プログラニュリン変異を伴う前頭側頭型認知症、C9orf72変異を伴う前頭側頭型認知症、TDP−43封入体を伴う前頭側頭葉型変性、TDP−43タンパク質症、海馬硬化症、加齢性海馬硬化症、様々な障害に関連する認知機能障害(筋萎縮性側索硬化症、及び、慢性外傷性脳症における認知機能障害などがあるが、これらに限定されない)、及び、低髄鞘形成障害(低髄鞘形成大脳白質ジストロフィーなどがあるが、これに限定されない)など、これらに限定されない様々な疾患、障害、及び、状態を同定する。したがって、本開示は、TMEM106Bに特異的に結合して、その機能に影響を与える抗TMEM106B抗体など、TMEM106Bを標的とする治療法を提供する。
実施例2:GST、及び、マウス−Fc−コンジュゲートヒトTMEM106Bの生産
様々なヒトTMEM106Bポリペプチド、及び、TMEM106Bポリペプチド融合タンパク質を、以下のように生成した。様々なTMEM106Bポリペプチドの哺乳動物組換え発現は、TMEM106B cDNAに基づいた合成遺伝子を、哺乳動物発現ベクターにクローニングした後に、一過性のトランスフェクションと、HEK293T細胞で発現して行った。それぞれのTMEM106B発現構築物は、異種シグナルペプチドと、Hisタグ、ヒトIgG1 Fc、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、または、融合構築物のためのマウスIgG1Fcのいずれかと含んでいた。一部のTMEM106B発現構築物は、TMEM106BのC末端領域(推定細胞外ドメイン(ECD)(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基122〜274))を含んでいた。その他のTMEM106B発現構築物は、TMEM106Bタンパク質内の(おおよそアミノ酸残基210〜240にある)疎水性パッチの発現を回避するために、ECDの欠失バージョン(SEQ ID NO:1のアミノ酸残基122〜210)を含んでおり、可溶性TMEM106Bタンパク質産物のフォールディングを損ないかねないと考えられる。
当該発現構築物で使用するそれぞれのTMEM106Bポリペプチドのアミノ酸配列を、以下に提供する:
ヒトTMEM106B欠失ECDポリHis(SEQ ID NO:316)
Figure 2021508498
ヒトIgG1Fc−TMEM106B ECD欠失融合(SEQ ID NO:317)
Figure 2021508498
マウスIgG1−TMEM106BヒトECD融合(SEQ ID NO:318)
Figure 2021508498
マウスIgG1−TMEM106Bヒト欠失ECD融合(SEQ ID NO:319)
Figure 2021508498
GST融合ヒトTMEM106B ECD(欠失)(SEQ ID NO:320)
Figure 2021508498
GST融合ヒトTMEM106B ECD(SEQ ID NO:321)
Figure 2021508498
TMEM106B発現構築物のトランスフェクションを、製造業者のプロトコール(ThermoFischerScientific カタログ番号A14524)に従って、Expifectamine−293システムを使用して実行した。すなわち、Expi293細胞のそれぞれの30mLに関して、30μgのプラスミドDNAを、80μLのExpifectamine試薬を加えた1.5mL OptiMEM(ThermoFischerScientific カタログ番号31985070)で希釈した。得られた溶液を混合し、そして、室温で、30分間インキュベートした後に、125mLフラスコ(Fischer Scientific FIS#PBV12−5)内のExpi293発現培地(ThermoFischerScientific カタログ番号A1435101)で培養した30mLのExpi293細胞(ThemoFischerScientificA14527)を加えて、トランスフェクション前に、約3×106細胞/mlにする。培養Expi293細胞を、125rpmでオービタル震盪しながら、37oC、8%CO2で培養した。トランスフェクションの16〜24時間後に、150μLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー1、及び、1.5mLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー2を、それぞれのフラスコに加えて、タンパク質収量を高めた。TMEM106Bタンパク質発現実験の一部では、さらに大量の培養を行っており、すべての試薬を、それらの量に応じた規模にした(すなわち、120mL培養の場合、すべての試薬を4倍にする、など)。トランスフェクションの5〜7日後に細胞培養上清を回収し、濾過し(0.2ミクロン)、そして、TMEM106Bポリペプチドを、プロテインA、Ni−NTA、または、グルタチオンクロマトグラフィーで精製した。
上記したそれぞれのTMEM106B発現構築物(SEQ ID NO:316〜321)の一過性発現に由来するタンパク質収量を決定した。GST融合ヒトTMEM106B欠失(SEQ ID NO:320)は、十分な収率で発現しており、ELISAや表面プラズモン共鳴(SPR)結合アッセイ、SPRをベースとしたビニングアッセイなど、以下の実験で使用するのに十分な純度を提供した。
上記したその他のTMEM106B発現構築物を使用して得たTMEM106Bポリペプチドの量は、抗体生成のための免疫処置での使用には十分ではなかった。したがって、抗TMEM106B抗体生成のための最初の免疫処置は、本明細書に記載したようなプラスミドDNA構築物を使用して行った。
実施例3:DNA免疫処置のためのTMEM106B発現プラスミドの構築
TMEM106Bに対する抗体を開発するために、DNA免疫処置手法を使用した。ヒトTMEM106B、マウスTMEM106B、及び、カニクイザルTMEM106BをコードするcDNA配列(それぞれ、SEQ ID NO:1、2、及び、315)を、DNA免疫処置のために、pCAGGS哺乳動物発現ベクター(KeraFAST EH1017)にクローニングした。それぞれのTMEM106Bポリペプチドの発現を、HEK293T細胞への発現構築物の一過性トランスフェクションに続いて、市販の抗TMEM106B抗体(EMD MiL1ipore MAB−N473、Thermo−Fischer PA5−6338、Abcam abl40185、Abcam abl16023、Protein Tech 20995−1−AP、LifeSpan Biosciences LS−C145601、Abgent A112796、MyBioSource MBS9412982、Sigma SAB2106773、Bethyl Labs A303−439A)を用いたウェスタンブロットと、細胞内及び細胞外FACS分析とを行って確認した。次いで、当該発現構築物を、以下に記載したようにして、マウスでのDNA免疫処置に使用した。
実施例4:抗TMEM106Bハイブリドーマ抗体の生成
TMEM106Bに対する抗体を得るために、以下の手順を用いて、ハイブリドーマを生成した。NZB/Wマウス(JAX100008,Jackson Laboratory,Bar Harbour,ME)、SJLマウス(JAX000686,Jackson Laboratory)、または、TMEM106Bノックアウトマウス(Taconic,Rensselaer,NY)を、乳酸リンゲル液で希釈したmFlt3リガンド(DNA)、及び、mGM−CSF(DNA)(Invitrogen,San Diego,CA)の有無に関係なく、ヒト、カニクイザル、または、マウスの全長TMEM106B(SEQ ID NO:1、2、及び、315)をコードする50μgのプラスミドDNAで、それぞれを、毎週、同時に免疫処置した。DNA免疫処置のために、TMEM106B発現プラスミドの注射を、合計で5〜7回、マウスごとに実施した。最後のDNA免疫処置の3日後に、マウスから脾臓を採取した。マウスから得た血清は、ヒト、カニクイザル、及び/または、マウスのTMEM106Bを過剰発現しているHEK293細胞を使用して、FACS分析で、TMEM106Bに対する反応性について分析した。ヒト、カニクイザル、及び/または、マウスTMEM106Bを過剰発現しているHEK293細胞に対して強力に結合した血清を持つマウスの脾細胞を、電気融合(ECM2001,BTX,Holliston,MA)を介して、P3X63Ag8.653マウス骨髄腫細胞(CRL−1580,American Type Culture Collection,Rockville,MD)と融合させ、そして、37℃/5% CO2で、一晩、Clonacell−HY Medium C(StemCell Technologies,Vancouver,BC,Canada)でインキュベートした。3ラウンドの融合を行った:融合A、免疫処置したTMEM106Bノックアウトマウスから得た脾細胞を使用する;融合B、免疫処置したSJLマウスから得た脾細胞を使用する;及び、融合C、免疫処置したNZB/Wマウスから得た脾細胞を使用する。
翌日、融合細胞を遠心分離し、そして、抗マウスIgG Fc−FITC(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)を含む10mlのClonaCell−HY培地Cに再懸濁し、次いで、メチルセルロースを主成分とし、HATコンポーネントを含む、90mlのClonaCell−HY Medium D(Stemcell Technologies)と穏やかに混合した。これらの細胞を、Nunc Omni Trays(Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY)に置き、37℃/5% CO2で、7日間増殖させた。蛍光コロニーを選択し、そして、Clonepix 2(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、Clonacell−HY Medium E(StemCell Technologies)を含む96ウェルプレートに移し、次いで、5日後に、TMEM106B反応性をスクリーニングした。1205個のハイブリドーマを得た。
実施例5:抗TMEM106Bハイブリドーマの一次スクリーニング
抗TMEM106Bハイブリドーマの最初のスクリーニングを、以下のように行った。最初に、得られた1205個のハイブリドーマ由来の組織培養上清を、トランスフェクト細胞と比較して、親(非トランスフェクト)HEK293細胞に対する結合の程度を比較することで、ヒトTMEM106B一過性トランスフェクトHEK293細胞に対して特異的に結合する能力をスクリーニングした。前出の実施例1に記載のものに変更を加えた製造業者のプロトコールに従って、リポフェクタミンシステムを使用して、TMEM106B過剰発現細胞を、HEK293細胞の一過性トランスフェクションを介して生産した。スクリーニング実験全体の再現性を確保するために、トランスフェクションした細胞の大きなバンク(約1×109)を、一過性のトランスフェクションの単一のラウンドで準備し、そして、以降のすべてのスクリーニング実験のために等分して凍結した。
ハイブリドーマ細胞培養上清のスクリーニングのために、ヒトTMEM106BトランスフェクトHEK293細胞を、96ウェル丸底プレート(2×105細胞/ウェル)に等分し、そして、氷上で、50μLのハイブリドーマ細胞培養上清と、30分間インキュベートした。この一次インキュベーションの後に、遠心分離して上清を除去し、これらの細胞を、175μLの氷冷FACS緩衝剤(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄し;さらに、氷上で、抗マウスIgG Fc−APC(Jackson Labs,カタログ番号115−136−071)(1:500に希釈した)と、20分間、インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び、氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積30μLのFACS緩衝剤+0.25μl/ウェルのヨウ化プロピジウム(BD Biosciences カタログ番号556463)に再懸濁した。セルソーティングを、FACS Cantoシステム(BD Biosciences)、または、iQue(Intellicyt)で行い、ソートゲートは、死滅した(すなわち、ヨウ化プロピジウムポジティブ)細胞を排除するように描画する。TMEM106B+HEK293細胞の抗マウスAPC MFIの中央蛍光強度(MFI)を、それぞれのクローンについて計算し、そして、二次抗体だけと十分な比較を行って、バックグラウンドで少なくとも2倍のシグナルを示すものを、さらなる分析と特徴決定のために使用した。
上記で同定した1205個のハイブリドーマクローンを、3ラウンドの融合で試験した。(例えば、非特異的上清、培地のみ、二次抗体のみを使用する)ネガティブコントロールと比較して、TMEM106B−一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞に対する結合で、2倍を超える差異を示した、合計で53個のクローンを同定した。これらの53個のハイブリドーマクローンの内、32個は融合Aで、18個は融合Bで、そして、3個は融合Cで得た。これらのクローンを、抗TMEM106B抗体TM−1〜TM−53と命名して、以下のように、さらに特徴決定をした。
実施例6:抗TMEM106B抗体交差反応性スクリーニング
上記した選別の最初のラウンドで得た抗ヒトTMEM106B抗体ポジティブクローンを、最初のスクリーニングで使用したのと同様の方法を使用して、マウスTMEM106B、及び、カニクイザル(cyno)TMEM106Bに対する交差反応性についてスクリーニングしたが、マウスTMEM106B、または、カニクイザルTMEM106Bのいずれかを過剰発現するHEK293細胞、ならびに、ネガティブコントロールとして親HEK293細胞を使用した。このスクリーニングの結果に基づいて、ハイブリドーマクローン由来の抗TMEM106B抗体を、ヒト/マウス/カニクイザル交差反応性、ヒトのみ、ヒト/マウス交差反応性、及び、ヒト/カニクイザル交差反応性としてビニングした。この交差反応性スクリーニングの結果を、以下の表1に示しており;このデータは、親HEK293細胞に対する結合を介して、ヒトTMEM106B(hu)、カニクイザルTMEM106B、または、マウスTMEM106B(mo)のいずれかで一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞に対する結合の変化倍率を示している。
(表1)
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
これらの結果は、得られた単離された抗TMEM106B抗体が、TMEM106Bタンパク質に対して特異的であり、そして、一般的に、ヒト、マウス、及び、カニクイザル起源のTMEM106Bタンパク質と交差反応することを示した。一般的に、これらのタンパク質の非常に高い相同性に基づいて予測した通り、これらの抗TMEM106B抗体は、ヒト、及び、カニクイザルに高い交差反応性を示した。マウスTMEM106Bタンパク質に対する交差反応性も、TMEM106Bノックアウトマウスの免疫処置に使用した融合A(TM1〜TM32)から得たクローン由来で高かった(24/31クローン)。野生型(TMEM106B+/+)マウスの免疫処置に使用した融合B(TM33〜TM49)、及び、融合C(TM50〜TM52)のクローンは、クローンの割合が非常に小さく(8/20)、強いマウス交差反応性を示した。
実施例7:抗TMEM106B ELISAスクリーニング
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、組換え生産したGST−TMEM106B欠失タンパク質(SEQ ID NO:321)タンパク質に対する、抗TMEM106Bハイブリドーマ上清の結合について試験をした。要するに、96ウェルポリスチレンプレートを、1〜10μg/mlの組換えGST−TMEM106B欠失タンパク質、または、GST(Pierce)を含むPBSで、37oCで、1〜4時間、または、4oCで、一晩、コーティングした。次いで、コーティングしたプレートを、5%BSAで、1時間ブロックし、TBST(Tris緩衝生理食塩水+0.1% Tween20)で、3×150μLで洗浄し、次いで、それらの抗体を、様々な希釈率(100〜1000倍)のPBSに加えた。1時間のインキュベーション(室温で、震盪しながら)の後に、それらのプレートを、3×150μLのTBSTで洗浄した。二次抗マウスHRP抗体(Jackson Immunoresearch カタログ番号115−035−003)を、1:1000に希釈したTBST(100μl/ウェル)に加え、そして、震盪しながら、室温で、30分間、インキュベートした。最終セットの(3×150μLのTBSTでの)洗浄の後に、100μLのペルオキシダーゼ基質を、1分間かけて加えた;次いで、この反応を、2N硫酸(100μL)で反応停止した。反応停止した反応ウェルを、GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerで、650nmの吸光度を検出した。
同定した53個の抗TMEM106Bポジティブハイブリドーマクローンの内、29個のハイブリドーマクローン由来の上清は、GST−TMEM106B欠失タンパク質に対して強力な結合を示した(すなわち、結合の程度は、100倍希釈と1000倍希釈の上清で同じであった);2つのハイブリドーマクローンの上清は低結合を示した;及び、18個のハイブリドーマクローンの上清は、GST−TMEM106B欠失タンパク質に結合しなかった。4つのハイブリドーマクローン由来の上清の結合データは、決定しなかった。このスクリーニングで使用したTMEM106Bの欠失バージョンでは、ヒトTMEM106Bタンパク質のC末端部分の最後の64個のアミノ酸残基を含んでおらず、これらの結合結果は予想の範囲内であった;したがって、18個の非バインダーの結合部位は、この特定のTMEM106B欠失タンパク質には存在し得ない。試験した抗TMEM106Bハイブリドーマ上清はいずれも、いかなる濃度のGSTにも結合しなかった。ELISA結合実験の結果を、以下の表2に示す。
(表2)
Figure 2021508498
実施例8:TMEM106Bのネイティブ発現細胞株に関する抗TMEM106Bスクリーニング
最初の選別ラウンドで同定した抗ヒトTMEM106B抗体ハイブリドーマクローンも、ヒト由来細胞株でネイティブ発現したTMEM106Bに対する結合能力に関してスクリーニングをした。これらの研究では、以下のヒト由来細胞株を使用した:ヒト腺がん株HeLa(ATCC CTL−2)、ヒト神経膠芽腫細胞株U251(Sigma 09063001)、マウス神経芽細胞腫細胞株Neuro2a(ATCC CCL−131)、及び、A549ヒト肺癌株(ATCC CCL−185)。
HeLa細胞、U251細胞、及び、Neuro2a細胞を、Eagle’s最小必須培地(EMEM、ATCC#30−2003)+10%FBS(ウシ胎児血清)で培養した;A549細胞を、DMEM+10%FBSで培養した。すべての細胞を、T75またはT150フラスコのいずれかで培養した。細胞が、80%超のコンフルエンスに達したら、トリプシン−EDTA(ThermoFischerScientific カタログ番号25200056)を使用して、37℃で、10分間、フラスコから細胞を分離させた。新しい培地を加えて酵素を失活させ、次いで、これらの細胞を、FACS分析用の96ウェルプレートに分配した。
FACS分析を、以下のように行った。それぞれの細胞タイプを、96ウェルの丸底プレート(2×105細胞/ウェル)に等分し、FACS緩衝剤(PBS+2%FBS+1mM EDTA)で1回洗浄し、そして、50μLのハイブリドーマ上清、または、精製抗体(10μg/ml FACS緩衝剤)を用いて、氷上で、1時間、インキュベートした。この一次インキュベーションの後に、遠心分離で上清を除去し、これらの細胞を、150μLの氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、次いで、1:200に希釈した抗マウスAPC(Jackson Labs #115−136−071)と共に、氷上で、30分間インキュベートした。この二次インキュベーションの後に、これらの細胞を、再び、氷冷FACS緩衝剤で2回洗浄し、そして、最終体積50μLのFACS緩衝剤+0.25μl/ウェルのヨウ化プロピジウム(Fisher Scientific #BDB556463)に再懸濁した。分析を、FACSCantoシステム(BD Biosciences)、または、iQue(Intellicyt)で行い、ソートゲートは、死滅した(すなわち、ヨウ化プロピジウムポジティブ)細胞を排除するように描画する。
ヒトTMEM106Bを自然に発現するHeLa細胞、U251細胞、Neuro2a細胞、及び、A549細胞に対して結合する抗TMEM106B抗体のFACS分析の結果を以下の表3に示す。データは、平均蛍光強度(MFI)として示す。
(表3)
Figure 2021508498
Figure 2021508498
TMEM106Bをネイティブ発現するこれらの細胞株を使用した結合データは、抗TMEM106B抗体の結合特異性を確認した。すべてのTMEM106B特異的抗体は、一貫して低い結合を示したネガティブコントロール抗体を使用して認められた結合と比較して、上記した細胞株の少なくとも1つで結合の強化を示した。U251細胞(ヒト)、及び、Neuro2a細胞(マウス)に対する結合は、脳のTMEM106Bに対する結合の代理としても使用しており、これらの細胞株は、両方ともに脳に由来しており;U251細胞は、ヒト星状細胞腫に由来しており、そして、Neuro2A細胞は、ニューロン系に由来していた。
実施例9:抗TMEM106Bハイブリドーマ抗体の分子クローニング
当該ハイブリドーマから得た抗TMEM106B抗体を、以下のようにしてサブクローニングした。5×105個のハイブリドーマ細胞を、0.5ml Trizol溶液(Thermo Fisher Scientific,カタログ番号15596026)に再懸濁した。クロロホルム抽出、及び、エタノール沈殿で、全RNAを、細胞から抽出した。ClontechのSMARTer(登録商標)RACE5’/3’キット(Takara Bio USA Inc,カタログ番号634859)を使用して、製造業者のプロトコールに従って、cDNAを、細胞から抽出した。RACEキットに提供した5’UPMプライマー、及び、重鎖定常領域プライマー(5’−AGCTGGGAAGGTGTGCACA−3’)[SEQ ID NO:322]と、軽定常領域プライマー(5’−CCATTTTGTCGTTCACTGCCA−3’)[SEQ ID NO:323]とを使用するタッチダウンPCRによって、可変重免疫グロブリン領域と、軽免疫グロブリン領域とを個別にクローニングした。PCR産物を、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN,カタログ番号28106)で精製し、そして、pCR2.1(登録商標)−TOPO(登録商標)クローニングベクター(TOPO(登録商標)TAクローニングキット、Invitrogen)に結合し、そして、ONESHOT(登録商標)TOΜ10コンピテント細胞を形質転換した。形質転換したEscherichia coli(E.coli)コロニーを単離し、そして、対応するハイブリドーマ細胞株ごとに、可変重鎖(VH)、及び、可変軽鎖(VL)の核酸の配列決定を行った。配列決定に続いて、可変重鎖領域、及び、可変軽鎖領域を、エンドヌクレアーゼ制限部位(HVに関してはBsrGIとBstEII、LVに関してはBssHIIとBsiWI)を含むプライマーを使用して、PCRで増幅を行い、そして、ヒトIgG1、及び、IgGKを、それぞれコードするpJG哺乳動物発現ベクター(Alector Inc.)にサブクローニングした。
実施例10:組換え抗TMEM106B抗体の生産
精製したハイブリドーマ由来の抗TMEM106B抗体を、それらのハイブリドーマを低IgG培地、または、化学的に定義した培地で培養した後に、ハイブリドーマ上清由来のプロテインAを使用して精製した。ヒトFcドメイン(ヒトIgG1)を含有するキメラ抗体の生産のための組換え発現プラスミドに、それらのハイブリドーマから得た可変遺伝子領域を直接的にクローニングすることで、一部の抗TMEM106B抗体も生産した。当該発現プラスミドを、一時的にExpi293細胞にトランスフェクトし、そして、得られた抗TMEM106B抗体を、プロテインAを介して精製した。
抗TMEM106B抗体の組換え生産は、以下のようにして行った。当該抗TMEM106B抗体VH及びVL鎖をコードする核酸を含む発現プラスミドを、Expi293細胞での組換え抗体発現に使用した。発現プラスミドのトランスフェクションは、製造業者のプロトコールに従って、Expifectamine−293システム(ThermoFischerScientificカタログ番号A14524)を使用して実行した。要するに、それぞれの抗TMEM106B抗体に関して、12μgの軽鎖プラスミドDNA、及び、18μgの重鎖プラスミドDNAを、80μLのExpifectamine試薬を加えた、1.5mL OptiMEM(ThermoFischerScientificカタログ番号31985070)で希釈した。得られた溶液を混合し、そして、室温で、30分間、インキュベートした後に、125mLのフラスコ(FischerScientific FIS#PBV12−5)内にある30mLのExpi293細胞(ThemoFischerScientificA14527)を含むExpi293発現培地(ThermoFischerScientificカタログ番号A1435101)を加えた。トランスフェクションの前に、これらの細胞を、約3×106細胞/mlにまで培養した。Expi293細胞の培養条件は、37oC/8% CO2にて、125rpmでオービタル震盪した。トランスフェクションの16〜24時間後に、150μLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー1、及び、1.5mLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー2を、それぞれのフラスコに加えて、組換え抗体の収量を高めた。トランスフェクションの5〜7日後に、培養上清を回収し、濾過(0.2ミクロン)し、そして、プロテインAクロマトグラフィーで精製した。
実施例11:抗体重鎖、及び、軽鎖可変ドメイン配列
一次スクリーニングで同定したポジティブハイブリドーマ抗TMEM106B抗体の48/53の配列を決定した。標準的な技術を使用して、生成した抗体の軽鎖可変領域、及び、重鎖可変領域をコードするアミノ酸配列を決定した。これらの抗体のKabat軽鎖CDR配列、及び、重鎖CDR配列を、以下の表4Aに示す。これらの抗体の軽鎖可変領域、及び、重鎖可変領域の配列を、以下の表4Bに示す。
(表4A)抗体CDR配列
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
(表4B)V及びV配列
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
実施例12:抗TMEM106B抗体の動力学的特徴決定
精製した抗体の結合動力学的特徴を、以下のようにして、独自のアレイSPR装置(MX−96)を使用して、Carterraで決定した。すなわち、150μ1/ウェルにて、10mM酢酸、pH4.5(Carterra)で、5μg/mlにまで希釈して抗体を調製し、次いで、11μLを100μLにまで滴定して、さらに1:10に希釈した。CFMを使用して、これらの抗体を、CMD50Mチップ(Xantec #SPMXCMD50M ロット番号SCCMD50M0416.a exp31.03.18)に印刷した。このチップを、100mM MES、pH5.5で希釈した、18mM EDC(Sigma Bioxtra)、及び、4.5mM S−NHS(Thermo Fisher)を用いて、7分間かけて活性化し、次いで、これらの抗体を、45μL/分で、10分間かけてカップリングさせた。カップリングした後に、このチップを、MX−96に戻し、そして、1Mエタノールアミン pH8.5(Carterra)を使用して、7分間かけて、反応停止した。
印刷した抗体を、GST−TMEM106B(欠失した)タンパク質(上掲)に対して結合する能力についてプロファイルした。すなわち、2.0mg/ml抗原の2.7μLを、298μLのランニング緩衝剤(1mg/ml BSA、Sigmaを含むHBS−EP+、Teknova)に混合して、GST−TMEM106B(欠失した)抗原を、18μg/ml(500nMの36kDa融合タンパク質)に希釈し、次いで、50μLを200μLにまで滴定して、5倍連続希釈した。加えて、GST(Pierce)に対する結合を、同じ条件下でアッセイして、TMEM106B−GST融合タンパク質のGST部分に対する抗TMEM106B抗体の任意の非特異的結合の程度を決定した。再現性を確保するために、それぞれの抗TMEM106B抗体の重複測定を行った。
48個の抗TMEM106B抗体の内の30個が、欠失したTMEM106Bタンパク質に結合した。当該抗TMEM106B抗体の内の18個は、上記したELISA結合分析で認められた結合と一致して、欠失したTMEM106Bタンパク質に結合しなかった。試験した48個の抗TMEM106B抗体のいずれもが、GSTタンパク質に対する結合を示さなかった。
欠失したTMEM106Bタンパク質に対する結合を示す30個の抗TMEM106B抗体のそれぞれについて、Kon、Koff、及び、KDを算出し、その結果を、以下の表5に示す。
(表5)
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
Figure 2021508498
これらの結果は、当該抗TMEM106B抗体が、大部分のクローンに関して、1〜100nMの範囲内で、ある範囲の親和性があることを示した。TMEM106B抗体TM−2は、約1nMで最も強力な結合を示した;これらの実験に基づいた(平均で)最弱の結合剤は、TMEM106B抗体TM−20であり、約225nMで親和性を示した。
実施例13:一時的、かつ、ネイティブに発現する細胞株に対して結合する抗TMEM106B抗体
精製した抗TMEM106B抗体を、ヒト/カニクイザル/マウスTMEM106Bで一時的にトランスフェクトしたHEK293などの様々なTMEM106B発現細胞株、ならびに、HeLa細胞、及び、A549細胞に対する、それら抗体の結合親和性について評価をした。この実験で試験した抗体は、ハイブリドーマ上清から精製したマウスIgGであった。細胞に対する親和性結合は、以下のように決定した。要するに、1×105個の細胞を、96ウェル丸底プレートのウェルに等分して入れ、そして、様々な濃度(10μg/mlから始める10倍希釈)の50μLの精製した抗TMEM106B抗体を含むFACS緩衝剤(PBS+2%FBS+lmM EDTA)で、インキュベートした。一次インキュベーション後に、遠心分離で過剰の抗TMEM106B抗体を除去し、150μLの氷冷FACS緩衝剤で細胞を2回洗浄し、そして、1:200に希釈した抗マウスAPC(Jackson Labs#115−136−071)と、氷上で、30分間、インキュベートした。二次インキュベーション後に、再び氷冷FACS緩衝剤で細胞を2回洗浄し、そして、生細胞/死滅細胞のゲーティングのために、最終体積が50μLであるFACS緩衝剤+0.25μL/ウェルのヨウ化プロピジウム(BD Biosciencesカタログ番号556463)に再懸濁した。iQue(Intellicyt)で選別を行い、ソートゲートは、死滅した(すなわち、ヨウ化プロピジウムポジティブ)細胞を排除するように描画する。結合データを、蛍光強度の中央値(MFI)を使用して分析し、そして、Prismでグラフ化した。これらの実験のデータを以下の表6に示す。提示した数値は、MFIである。
(表6)
Figure 2021508498
Figure 2021508498
これらのデータから、細胞性TMEM106Bに対する平衡結合定数を、数多くの抗TMEM106Bクローンについて計算した。細胞に対する平衡親和性は、最大の細胞結合の全体的レベルとの相関はあまり認められず、一部の低結合クローン(例えば、TM−1)と、数多くの高結合クローン(例えば、TM−18、または、TM−19)の親和性は、おおよそ1nMであった。A549、及び、トランスフェクトしたHEK293細胞に対する結合は、非線形的ではあるが、高度に相関していた。これらのデータから、抗TMEM106Bクローンを、親和性ではなく、最大結合シグナルに基づいて、「高」、及び、「低」バインダーに分けた。高結合クローンとして、TM−2、TM−3、TM−5、TM−7、TM−9、TM−10、TM−11、TM−112、TM−12、TM−15、TM−18、TM−19。TM−21、TM−24、TM−25、TM−28、TM−29、TM−30、TM−32、TM−35、TM−37、TM−38、TM−39、TM−42、TM−45、TM−48があり、そして、大半が、(TMEM106Bノックアウトマウスを使用する)融合Aに由来していた。
実施例14:抗TMEM106B抗体のエピトープビニング
抗TMEM106B抗体のエピトープビニングを、プレミックスエピトープビニング手法を使用して、Carterra(Salt Lake City,Nevada,USA)で行った。モノクローナル抗TMEM106B抗体を、CMD 50Mチップ(Xantec # SPMXCMD50M ロット# SCCMD50M0416.a exp31.03.18.に固定化した。ランニング緩衝剤は、1mg/ml BSAを含むHBS−EP+であった。GST−TMEM106B(欠失)抗原を、55nM(2μg/mlに対応する)の最終濃度で調製し、そして、333nM(50μg/mlに対応する)の最終濃度で競合する分析物抗TMEM106B抗体と混合し、または、緩衝剤コントロールと比較した。試料をアレイ全体に5分間かけて注入し、そして、サイクルごとに、2部のPierce IgG溶出緩衝剤(ThermoFisherカタログ番号21004)と、1部の10mMグリシン、pH2.0(Carterra)とを用いて再生した。
抗TMEM106B抗体を、競合する様々なビンに選別したが、一般的に、その他のコミュニティの抗体をブロックする能力を示さない2つの「コミュニティ」の抗体に選別されていた。これらの実験のこのような結果を、以下の表7に示す。コミュニティ3とは、これらのビニング実験で使用した欠失GST−TMEM106B融合タンパク質に結合できないため、その他のあらゆる抗TMEM106B抗体に対する結合をブロックする能力を示さない抗TMEM106B抗体のことを指す。すべてのコミュニティ1抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bノックアウトマウスの免疫処置に由来しており、ヒト/カニクイザル/マウス交差反応性があり、そして、ビン(ビン1)としてまとめた。コミュニティ2では、大部分の抗TMEM106B抗体は、共通のビン(ビン2)に属し、両方の免疫処置セットから得た抗TMEM106B抗体の混合物を含み、及び、ヒト/カニクイザル/マウス交差反応性と、ヒト/カニクイザル交差反応性抗体の両方を有する。コミュニティ2には、TM−7、TM−10、及び、TM−28(ビン3)、または、TM−5、及び、TM−29(ビン4)のいずれかを含む幾つかの注目すべきサブグループがある。コミュニティ1でのすべての抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bノックアウトマウス免疫処置に由来していた。ビン3、及び、ビン4でのすべての抗TMEM106B抗体は、TMEM106Bノックアウトマウス免疫処置に由来しており、かつ、ヒト/カニクイザル/マウスTMEM106B交差反応性である。
(表7)
Figure 2021508498
実施例15:抗TMEM106B抗体のエピトープマッピング
抗TMEM106B抗体のエピトープマッピングを、Pepscan(Lelystad,Netherlands)で行った。Pepscanは、独自のCLIPS技術を使用して、線形ペプチドのライブラリー(>2500)と、ヒトTMEM106Bタンパク質のループ状の不連続なエピトープ模倣物を作成した。これらのペプチドは、Pepscanミニアレイの独自仕様のハイドロゲルにてインサイチュで作成しており、また、それぞれのペプチドに対する抗TMEM106B抗体の結合は、ELISAをベースとした方法を使用して測定した。
線形、及び、CLIPSペプチドを、標準的なFmoc化学を使用して、標的タンパク質のアミノ酸配列に基づいて合成し、そして、スカベンジャーを含む三フッ化酸を使用して脱保護した。Chemically Linked Peptides on Scaffolds(CLIPS)技術(Timmerman et al.(2007)を使用して、拘束したペプチドを化学的足場に関する合成を施して、立体構造エピトープを再構築した。例えば、単一の環状ペプチドを、ジシステインを含むように合成して、アルファ、アルファ’−ジブロモキシレンで処理して環化し、そして、当該環の大きさを、可変間隔でシステイン残基を導入して変化させた。新たに導入したシステインとは別のシステインが存在する場合、それらを、システイン−アセトアミドメチルで置換した。当該ペプチドでの複数のシステインの側鎖は、クレジットカード形状のポリプロピレンPEPSCANカード(455ペプチド形式/カード)に、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼンを含む重炭酸アンモニウム(20mM、pH7.9)/アセトニトリル(1:1(v/v))などのCLIPSテンプレートの0.5mM溶液と反応させることで、CLIPSテンプレートに結合した。これらのカードを、溶液で完全に覆った状態で、溶液内で、30〜60分間、穏やかに震盪した。最後に、これらのカードを、過剰のH2Oで徹底的に洗浄し、そして、1%SDS/0.1%ベータ−メルカプトエタノールを含むPBS(pH7.2)を含有する撹乱緩衝剤で、70℃で、30分間、超音波処理した後に、H2Oで、さらに45分間、超音波処理した。それぞれのペプチドに対する抗体の結合を、PEPSCANをベースとしたELISAで試験した。共有結合したペプチドを含有する455ウェルのクレジットカード形状のポリプロピレンカードを、例えば、1μg/mlに希釈したブロッキング溶液、例えば、4%ウマ血清、5%オボアルブミン(w/v)を含むPBS/1% Tweenからなる1次抗体溶液とインキュベートした。洗浄をした後に、これらのペプチドを、1/1000希釈の抗体ペルオキシダーゼコンジュゲートと、25℃で、1時間、インキュベートした。洗浄をした後に、ペルオキシダーゼ基質2,2’−アジノ−ジ−3−エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)と、2μlの3% H2O2を加えた。1時間後に、発色を測定した。この発色を、電荷結合素子(CCD)−カメラと、画像処理システムとで(Slootstra et al.,1996で初めて説明されたようにして)定量した。
合成したペプチドの6つのセットを、以下のようにして調製した。セット1:15個のアミノ酸残基長の線形ペプチドを、オフセットの1アミノ酸残基を有するヒトTMEM106Bのアミノ酸配列から合成した。セット2:15個のアミノ酸残基長の線形ペプチドを、10位及び11位の残基を、Alaで置換して合成した;ネイティブのAla残基が、10位または11位のいずれかの位置で発生すると、それをGlyで置換した。セット3:ネイティブのCys残基を、Cys−アセトアミドメチル(Cys−acm)で置換した、15個のアミノ酸残基長の線形ペプチドを合成した。セット4:17個のアミノ酸残基長の拘束したペプチドを合成しており、2〜16位は、ヒトTMEM106Bのアミノ酸配列に由来する15マーのペプチドである;Cys残基を、1位と17位の位置に挿入し、そして、mP2 CLIPSで結合してループ構造を生成させた。15マーでのネイティブCysを、Cys−acmで置換した。セット5:22個のアミノ酸長の拘束したペプチドを構築しており、2〜21位は、オフセットの1アミノ酸残基を有するヒトTMEM106Bのアミノ酸配列に由来する20マーのペプチドである;11位及び12位の残基を、β−ターン形成を誘導する「PG」モチーフで置換した。Cys残基を、1位と22位の位置に挿入し、mP2 CLIPSで結合して、β−鎖様構造を生成した。これらのペプチドでのネイティブCysを、Cys−acmと置換した。セット6:33個のアミノ酸長のコンビナトリアルペプチドであって、2〜16位、及び、18〜32位は、ヒトTMEM106B配列に由来する15マーペプチドである。Cys残基を、1位、17位、及び、33位の位置に挿入し、T3 CLIPSで結合して、二重ループ構造を生成した。これらのペプチドでのネイティブCysを、Cys−acmと置換した。合成したペプチドは、ヒトTMEM106Bの内腔領域と細胞質領域の両方に対応した。
Pepscan分析の結果を、以下の表8に示す。TMEM106Bの内腔ドメイン内の同一のエピトープを認識したTM−1、及び、TM−23を除いて、大部分の抗TMEM106b抗体は、重複するエピトープを認識した。
(表8)
Figure 2021508498
表8のデータは、特定の配列を、試験した様々な抗TMEM106b抗体が認識することを、幾度も同定したことを示す。例えば、アミノ酸残基219〜233に及ぶ領域を、TM−7(219IKVHNIVLMMQVTVT233)、TM−24(223NIVLMMQVTVT233)、TM−29(223NIVLMM228)、及び、TM−51(223NIVLMM228)で例示している。
TM−1、及び、TM−23(いずれもエピトープビニングでコミュニティ1に属している)の結合データと、構造ホモロジーモデリングとを組み合わせると、これらの2つの抗TMEM106b抗体が、151NITNNNYYSVEVENI165と、185TIIGPLDMKQI195とを含む、TMEM106bの不連続エピトープに対して結合することを示唆した。
実施例16:細胞株での抗TMEM106B抗体による細胞TMEM106Bのダウンレギュレーション
様々な細胞株でのTMEM106Bの細胞表面、及び、総細胞タンパク質レベルを減少させるまたはダウンレギュレートする抗TMEM106B抗体の能力を、以下のように評価する。そのようなダウンレギュレーション実験に有用な細胞株とは、TMEM106Bを発現することが文献で確認されており、かつ、抗TMEM106B抗体に対する有意な結合を示すものとして上記した実験で確認されたものである。実験は、例えば、以下の細胞株を使用して行う:腺がんHeLa細胞(ATCC CTL−2)、神経膠芽腫細胞株U251(Sigmaカタログ番号09063001)、A549ヒト肺癌株(ATCC CCL−185)、及び、マウス神経芽細胞腫細胞株Neuro2a(ATCC CCL−131)。好ましくは、実験は、上記したように、TMEM106Bの高発現を示すA549細胞を使用して行う。これらの細胞株を、様々な濃度または量の本発明の抗TMEM106B抗体と共に様々な期間でインキュベートし、次いで、それらの細胞と関連を保つTMEM106Bのレベルを、FACS(細胞表面TMEM106Bのレベルの変化を測定する)、または、ウェスタンブロット(全細胞TMEM106Bレベルの変化を測定する)のいずれかを使用して測定する。
HeLa細胞、U251細胞、及び、Neuro2a細胞を、Eagle’s最小必須培地(EMEM)+10%FBS(ウシ胎児血清)で培養し、そして、A549細胞を、DMEM+10%FBSで培養し、それぞれの細胞は、T75またはT150フラスコのいずれかで培養した。細胞が、80%超のコンフルエンスに達したら、37Cで、トリプシン−EDTAを使用して細胞を分離させ、培地(FBSを含む)で酵素を失活させ、新鮮な培地で洗浄し、そして、これらの細胞を、FACS分析用の96ウェルプレート(10μLで1×105個の細胞/ウェル)、または、ウェスタンブロット読取用の24ウェルプレート(1mLで4×105個の細胞/ウェル)に分配した。プレートに置いて24時間後に、抗TMEM106B抗体を、ウェルに加え(例えば、0.1〜10μg/mlの最終抗体濃度を使用する)、そして、37oCで、標的細胞と一晩インキュベートする。FACSアッセイの場合、残存TMEM106Bの検出は、先に同定した直接−色素光−650コンジュゲート非競合抗体を使用して行う。ウェスタンブロット検出の場合、A549細胞を、培地の除去の際に分離し、PBSで洗浄し、続いて、トリプシン−EDTAを加える(370Cで、10分)。次いで、トリプシン−EDTAを、培地(DMEM+10%FBS)で反応停止させ、そして、細胞をプレートから除去して96ウェルの丸底プレートに入れ、PBSで洗浄し、次いで、50μLの溶解緩衝剤(RIPA溶解緩衝剤(ThermoFischerScientificカタログ番号89900)+1:100 HALTプロテアーゼ阻害剤カクテル(ThermoFischerScientificカタログ番号87786)を加えて溶解する。溶解物での総タンパク質レベルを、BCAアッセイ(Pierce,カタログ番号23225)で決定することができ、そして、同等レベルのタンパク質を、SDS−PAGEゲルにロードし、次いで、ウェスタンブロット分析(ThermoFischerScientificのiBrightシステムを使用する化学発光)のためのニトロセルロース膜に移す。
FACS実験の場合、TMEM106Bのダウンレギュレーションは、第2の非競合色素光−コンジュゲート抗TMEM106B抗体の結合の減少に関連している。パーセントダウンレギュレーションを、一晩のインキュベーションの間に、抗TMEM106b抗体の存在下、及び、非存在下でのA549細胞に対する結合のMFIの差異から計算する。ウェスタンブロット実験の場合、化学発光シグナルのレベルに基づいて総タンパク質レベルを直接にアッセイし、そして、パーセントダウンレギュレーションを、抗TMEM106B抗体で処理した細胞と、未処理の細胞でのシグナルの比率で決定する。
図1及び図2に示すように、本開示の様々な抗TMEM106B抗体は、A549細胞におけるTMEM106Bレベルを減少させたまたはダウンレギュレートした。
実施例17:初代細胞培養物でのTMEM106bのダウンレギュレーション
本発明の抗TMEM106B抗体が、初代細胞培養物における細胞表面/細胞発現を減少させるまたはダウンレギュレートする能力は、以下のように評価する。マウス初代大脳皮質ニューロンを、生後の早い段階(0〜3日目)で採取し、当該技術分野で標準的な方法に従って培養する(Maximov et al.,2007,J.Neu.Meth.,161 75−87)。次いで、培養したニューロンを、様々な条件(1〜20μg/ml、2〜48時間)で抗TMEM106B抗体とインキュベートし、回収し、そして、FACS(細胞表面TMEM106Bレベルの変化を測定する)、または、ウェスタンブロット(全細胞TMEM106Bレベルの変化を測定する)のいずれかを使用して、総TMEM106Bレベルを定量する。
初代大脳皮質ニューロンを、次のようにして分離する。すなわち、P0マウスの子の大脳皮質、海馬、または、線条体の細胞を、6mg/mlトリプシン(Sigma,カタログ番号T1005−1G)、0.5mg/ml DNAse(Sigma,カタログ番号D5025)、及び、137nM NaCl、5mM KCl、7mM Na2HPO4、及び、25mM HEPES−NaOH、pH7.2を含有する消化溶液で、7分間、37oCでインキュベートして解離させる。次いで、ニューロンを含有する解離した細胞を、20%ウシ胎児血清(FBS)を含むハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で1回洗浄した後に、無血清HBSで2回洗浄し、そして、さらに、12mM MgSO4と0.5mg/ml DNAseとを含むHBSで穏やかにピペッティングして解離させる。当該細胞懸濁液を、160gで、10分間遠心分離し、そして、B27(Invitrogen,カタログ番号17504−044)、グルコース、トランスフェリン、及び、5%ウシ胎児血清を補充したMEM(Invitrogen)でのMatrigel(Collaborative Biomedical Products,カタログ番号871−275−0004)でコーティングした円形ガラスカバースリップ(φ12mm)に置いた。大脳皮質培養では、単一の脳の大脳皮質から得た細胞懸濁液を使用して、24ウェルプレートの12ウェルに播種する。すべての培養で、播種時の初期細胞密度(グリアを含む)は、1500〜2500個の細胞/平方ミリメートルの間で変化する。培養物でのグリア細胞のコンフルエンシーが、約40〜50%(通常は、播種から2日後)に達すると、馴化培地の50%を、4mM Ara−C(Sigma)を含有する新鮮な培地と交換する。これらの培養物は、実験まで(13〜18DIV)、2mM Ara−Cを含有する培地で、37C、及び、5%COで維持する。
抗TMEM106B抗体を用いた治療は、1〜7日間で、かつ、0.001〜10μg/mlの濃度範囲で実施し得る。要するに、抗TMEM106B抗体を、培地で希釈し、そして、細胞培養物に加え、続いて、標準培養条件で、1〜7日間のインキュベーション/培養を行う。次いで、当該神経培養物を、トリプシン−EDTAで分離し、そして、先述したFACS、または、ウェスタンブロット分析のいずれかに向けて準備する。
抗TMEM106B抗体が、TMEM106Bのレベルをダウンレギュレートする能力は、非ブロッキングTMEM106B抗体を使用したFACS分析で決定した低度の細胞表面TMEM106Bレベル、または、ウェスタンブロット分析を使用して検出した低度の全体的な細胞TMEM106Bレベルのいずれかを示す、ことによって決定する。
実施例18:TMEM106B過剰発現からのHEK293細胞の救済
特定の細胞株でのTMEM106Bの過剰発現は、細胞毒性を招きかねない。この毒性が、これらの細胞でのTMEM106Bの過剰発現に関連するTMEM106Bの機能を高めると仮定すると、細胞毒性の規模と程度は、抗TMEM106B抗体活性を調べる上で有用な機能的読出を提供することができる。したがって、細胞毒性を促すことが公知の条件下で、TMEM106B発現プラスミドでトランスフェクトしたHEK293細胞を使用して、アッセイを開発する。細胞毒性は、細胞毒性の影響を受けることが公知である様々なパラメーター:Cell Titer−GLOシステム(Promega)で測定する細胞数、細胞の健康具合、培養中に認められる細胞破片、及び、細胞代謝全体の変化で測定される。トランスフェクトしたHEK293細胞を、様々な濃度の抗TMEM106B抗体の非存在下または存在下で、様々な時間(例えば、24時間、48時間、72時間)かけて培養し、その後に、Cell Titer−GLOシステムを使用して、細胞数と細胞生存率を評価する。
トランスフェクションの24時間前に、HEK293細胞を、96ウェル組織培養プレート(Corning カタログ番号087722C)に、2.5×104個の細胞/100μlのDMEM+10%FBSを含むウェルで播種する;潜在的な周辺効果を減少させるために、外側のウェルは、培地だけで満たす。トランスフェクションは、Lipofectamine 3000システムを使用して実行する。要するに、それぞれのプレート(細胞を含有する60のウェル)に対して、1〜12μgのTMEM106B発現プラスミドDNAを、600μLのOptimem培地に希釈し、次いで、25μLのP3000試薬を加える。これとは別に、25μLのリポフェクタミン試薬を、600μLのOptimem培地に加える。室温で、5分後に、Optimemの2つのアリコートを混合し、そして、室温で、30分間静置して、リポフェクタミン−DNA複合体を形成し、次いで、ウェルあたり15μLのリポフェクタミン−DNAを加える。次いで、抗TMEM106B抗体を、トランスフェクションの前に、または、トランスフェクションの最大6時間後までのいずれかで、1〜10μg/mlで、細胞培養液に加える。次いで、トランスフェクションをして24、48、及び、72時間後に、CellTiter−GLOシステム(Promega カタログ番号G7570)を使用して、トランスフェクションした細胞の生存率をアッセイする。要するに、96ウェルプレートを、1500rpmで、3分間遠沈させ、そして、上清を除去し、次いで、50μLのPBSと、50μLのCellTiter−GLO試薬をウェルごとに加え、続いて、室温で、10分間震盪する。得られた溶解物の75uLを、白色の不透明な96ウェルプレート(Costar カタログ番号3922)に移し、そして、GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerで発光を読み取る。
TMEM106B機能をブロックする抗TMEM106B抗体は、CellTiter−GLO発光の高まりによって検出された細胞の数と生存率で測定した細胞毒性を、予防または減少させるものと予測される。
実施例19:抗TMEM106B抗体によるTMEM106Bのインビボダウンレギュレーション
抗TMEM106Bダウンレギュレーション抗体の活性を、2つのインビボマウスモデルシステムを使用して、さらに研究する。ヒト/マウス交差反応性抗TMEM106B抗体は、野生型マウスで試験するが、その天然エンハンサー下でヒトTMEM106Bを発現するBACトランスジェニック系統は、ヒトのみ、及び、ヒト/カニクイザル交差反応性抗TMEM106B抗体の試験に使用する。抗TMEM106B抗体を腹腔内注射してマウスに投与し、その後、FACSを介して、ウェスタンブロット、及び、分離細胞(肝細胞)によって、様々な組織タイプ(肝臓、及び、前頭大脳皮質分離株)から総TMEM106Bタンパク質レベルの変化を評価する。
実施例20:TMEM106BとTMEM106B結合パートナーとの間の相互作用の特徴決定
TMEM106Bは、後期エンドソーム/リソソーム区画に関連する様々なタンパク質など、様々なタンパク質と相互作用することが示されている。抗TMEM106B抗体と、プログラニュリンタンパク質、TMEM106BやTMEM106Cなどのその他のTMEM106タンパク質ファミリーメンバー、クラスリン重鎖(CLTC)、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット(AP2M1)、CHMP2B、微小管関連タンパク質6(MAP6)、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMΜ1)、及び、液胞ATPアーゼサブユニットアクセサリータンパク質1など、これらに限定されない様々な結合パートナーのいずれかとの相互作用を、ブロックまたは阻害する、抗TMEM106B抗体の使用を試験し得る。TMEM106Bと、いずれかのその結合パートナーとの結合を、抗TMEM106B抗体がブロックする規模または程度を、抗TMEM106B抗体の存在下または非存在下にてTMEM106Bタンパク質を共免疫沈降させ、続いて、当該結合パートナーを、ウェスタンブロットで検出して測定する。あるいは、TMEM106Bを発現する細胞株に抗TMEM106B抗体を投与し、次いで、共局在や蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)などの読み出しを使用して、TMEM106Bと結合パートナーのタンパク質レベルの両方を染色する。
実施例21:TMEM106B発現細胞株におけるリソソーム発現パターンに関する抗TMEM106B抗体の効果
TMEM106Bは、後期エンドソーム/リソソーム細胞区画にある。Strittmeyer et al(Klein et al.2017,Neuron,95:281−296)の最近の研究は、リソソームタンパク質レベルに関する広範な効果が、TMEM106B遺伝子ノックアウトが関与することを示唆している。TMEM106Bタンパク質を発現する細胞株における様々なリソソームタンパク質発現パターンに関する抗TMEM106B抗体の効果を調べるために、以下の実験を行う。抗TMEM106B抗体に対する効果は、TMEM106B抗体を、TMEM106B発現細胞株に投与した後に、公知のリソソームタンパク質のRNAまたはタンパク質レベルをプローブすることで測定し得る。様々なリソソームタンパク質のmRNAのレベルを、RNA−seqによって分析し;リソソームタンパク質レベルは、前出の無標識定量液体クロマトグラフィー質量分析(LFQ−LCMS)(Klein et al.2017,Neuron,95:281−296)、または、その他の同等の手法で決定する。
実施例22:マウスモデルにおけるリソソーム発現パターンに関する抗TMEM106B抗体の効果
様々なリソソームタンパク質発現パターンに関する抗TMEM106B抗体の効果も、野生型TMEM106B+、または、TMEM106B BACトランスジェニックマウスのいずれかに対して抗TMEM106B抗体を投与した後に、公知のリソソームタンパク質のRNAまたはタンパク質レベルをプローブして測定し得る。TMEM106B、または、その他のリソソームタンパク質mRNAのレベルは、RNA−seqで分析し得る;リソソームタンパク質レベルは、前出の無標識定量液体クロマトグラフィー質量分析(LFQ−LCMS)(Klein et al.2017,Neuron,95:281−296)、または、その他の同等の手法で決定し得る。
実施例23:レポーター細胞株におけるリソソーム発現パターンに関する抗TMEM106B抗体の効果
様々なリソソーム発現パターンに関する抗TMEM106B抗体の効果も、ルシフェラーゼレポーター細胞アッセイで測定し得る。最近の報告(Kundu et al.,2016;Nature Commun.2018;9:2731)は、肺癌細胞、及び、患者の試料での連携したリソソーム発現、及び、調節(CLEAR)経路におけるリソソーム遺伝子のTMEM106B誘発発現のレベルの増加を報告している。TFEBは、CLEAR経路のマスター転写調節遺伝子であるので、おそらくは、この発現は、TFEB−CLEAR軸を介して作用する。4X CLEARルシフェラーゼレポーター細胞株は、すでに生成されている(Cortes et al Nat Ncurosci.2014 Sep;17(9):1180−9)。同様の方法を使用して、レポーター細胞株を生成し、TMEM106bノックダウン、過剰発現、または、抗TMEM106B抗体処理によるCLEAR経路活性化の変化を測定する。
実施例24:FTLDマウスモデルにおけるプログラニュリンノックアウトが関与する病理に関する抗TMEM106B抗体の効果
プログラニュリン(GRN)ノックアウトマウスは、ヒトGRN依存型FTLDで利用可能な最も身近な動物モデルである。このマウスモデルは、この障害の表現型の幾つかを備えている。当該マウスは、リソソーム異常、リポフスチン蓄積、網膜変性、前頭側頭型痴呆様行動、及び、神経病理学の進行性の発達を示す。また、当該マウスは、ミクログリアと星状細胞の活性化を促し、そして、海馬と視床ニューロンにおけるリン酸化トランス活性化応答要素DNA結合タンパク質43(TDP−43)のユビキチン化と細胞質蓄積を示す。18ヶ月齢までに、当該マウスは、空間学習と記憶の障害を示す。これらのマウスを抗TMEM106B抗体で処置すると、この障害の様々な表現型、及び、態様を改善するものと期待されている。
GRN−/−マウスを、6〜12ヶ月まで成長させ、そして、抗TMEM106B抗体を、毎週、IV経由で、14週間、注射する。様々な時点で、当該マウスを、グラニュリンノックアウトが関与することが公知である行動異常、及び、表現型異常についてアッセイを行い、そこでは、Open Field Test、または、Elevated Water Mazeなどを使用して測定をする。治療の成功は、行動アッセイでのパフォーマンスの改善、または、低下速度の抑制に関連している。加えて、これらのマウスが死亡した後の脳を、ミクログリオーシス、リソソームタンパク質レベル、一般的なリソソーム活性、TDP−43凝集体、及び、ニューロンにおけるリポフスチン蓄積について検査を行い、PGRNホモ接合型マウスも同様の方法で試験して、ノックアウトマウスで認められたものよりも重症度が低いリソソーム表現型と、その行動に関するTMEM106B抗体の効果の特徴を決定する。
実施例25:老化、発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症、及び、アルツハイマー病の動物モデルにおける抗TMEM106B抗体の効果
抗TMEM106B抗体の治療上の有用性も、様々な障害の動物モデル、例えば、前出の老化、発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症、及び、アルツハイマー病などの動物モデルにおいて試験する(例えば、Beattie,MS et al.,(2002)Neuron 36,375−386;Volosin,M et al.,(2006)J.Neurosci.26,7756−7766;Nykjaer,A et al.,(2005)Curr.Opin.Neurobiol.15,49−57;Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449−1457;Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870−9879;Fahnestock,M et al.,(2001)Mol.Cell Neurosci.18,210−220;Nakamura,K et al.,(2007)Cell Death.Differ.14,1552−1554;Yune,T et al.,(2007)Brain Res.1183,32−42;Wei,Y et al.,(2007)Neurosci.Lett.429,169−174;Provenzano,MJ et al.,(2008)Laryngoscope 118,87−93;Nykjaer,A et al.,(2004)Nature 427,843−848;Harrington,AW et al.,(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101,6226−6230;Teng,HK et al.,(2005)J.Neurosci.25,5455−5463;Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449−1457;Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870−9879;Fan,YJ et al.,(2008)Eur.J.Neurosci.27,2380−2390;Al−Shawi,R et al.,(2008)Eur.J.Neurosci.27,2103−2114;及び、Yano,H et al.,(2009)J.Neurosci.29,14790−14802)。
これらの動物モデルのいずれかを使用して、抗TMEM106B抗体を、様々な量で、様々な期間にわたって動物に対して投与する。その後の様々な時点で、これらの動物を、ヒトの疾患のそれぞれの特定の動物モデルに関連する行動異常、及び、表現型異常の改善についてアッセイする。治療の成功は、行動アッセイのパフォーマンスの向上、または、低下速度の抑制に関連している。
実施例26:抗体のヒト化
抗体のヒト化は、ヒト投与での免疫原性を予防するために、異なる種で生成した抗体を、配列と構造の関係を介してヒト抗体に酷似させる変換のために使用する。異なる種の抗体は、非ヒト抗体の特異性決定領域(SDR)を、ヒト抗体フレームワークに移植できる特徴的な配列と構造的特徴とを共有している。これにより、非ヒト抗体の特異性を維持する。当該ヒト化プロセスは、フレームワーク領域やSDRなど、非ヒト抗体の配列と機能の同定を含む。次の基準を、抗体をヒト化するために使用する:1)非ヒト抗体と公知のヒト抗体と間のフレームワーク領域の類似性パーセント、2)非ヒト抗体と公知のヒト抗体と間のSDRの長さ類似性、3)当該ヒト抗体のフレームワーク領域の生成に使用した遺伝子、及び、4)ヒト化、及び、ヒト抗体フレームワークの治療での従前の使用。同様に、フレームワーク領域とSDRの長さは、それらの差異が、抗体の特異性を改変することができる抗体の構造的な相違をもたらすので、重要である。ヒト抗体のフレームワークを生成するために使用する特定の遺伝子は、抗体の安定性または特異性に対して有益または有害であることが公知であり、そして、それに応じて選択的に使用または回避する。最後に、ヒトの治療に使用するものを含めて、すでに成功しているヒト化フレームワークは、良好な半減期で十分に許容されており、将来的に成功するヒト化の候補となり得る。
様々な方法を使用して、抗体のヒト化をすることができる。例えば、本開示の抗TMWM106B抗体の重鎖可変領域(VH)、及び、軽鎖可変領域(VL)配列を、NCBIウェブサイト(Ye et al.,Nucleic Acids Res,2013,41:W34−W40)でのIgBLASTプログラムへ入力して使用する。IgBLASTは、マウスのVHまたはVL配列を取得し、そして、公知のヒト生殖系列配列のライブラリーと比較する。使用するデータベースは、IMGTヒトVH遺伝子(F+ORF、273生殖系列配列)、及び、IMGTヒトLVカッパ遺伝子(F+ORF、74生殖系列配列)である。適切なVH生殖細胞系列と結合領域(J遺伝子)、及び、適切なVL生殖細胞系列と結合領域(J遺伝子)を、良好なアクセプター配列として選択する。抗体VH、及び、VHの相補性決定領域(CDR)を、AbM定義(AbM抗体モデリングソフトウェア)に従って定義する。親マウス配列に対応する位置にあるヒト生殖系列フレームワーク(すなわち、VH、及び、VLでの非CDR残基)の改変は、当該ヒト化抗体に対する結合を最適化するために必要となり得る。

Claims (29)

  1. ヒトTMEM106Bに対して結合する単離された抗体であって、TMEM106Bの細胞表面レベルを減少させる、またはTMEM106Bの細胞内レベルを減少させる、前記抗体。
  2. ヒトTMEM106Bに対して結合する単離された抗体であって、ヒトTMEM106Bのアミノ酸配列
    Figure 2021508498
    の内の1つ以上のアミノ酸に対して結合する、前記抗体。
  3. 単離された抗TMEM106B抗体であって、前記抗TMEM106B抗体が、
    TM−1、TM−2、TM−3、TM−4、TM−5、TM−6、TM−7、TM−8、TM−9、TM−10、TM−11、TM−12、TM−13、TM−14、TM−15、TM−16、TM−17、TM−18、TM−19、TM−20、TM−21、TM−22、TM−23、TM−24、TM−25、TM−26、TM−27、TM−28、TM−29、TM−30、TM−31、TM−32、TM−33、TM−34、TM−35、TM−36、TM−37、TM−38、TM−39、TM−40、TM−41、TM−42、TM−43、TM−44、TM−45、TM−46、TM−47、TM−48、TM−49、TM−50、TM−51、TM−52、及び、TM−53
    からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つのHVRを含む、前記抗体。
  4. ヒトTMEM106Bに対して結合する単離された抗体であって、前記抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
    SEQ ID NO:3〜35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;
    SEQ ID NO:36〜78からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び
    SEQ ID NO:79〜120からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3
    を含み;ならびに、前記軽鎖可変領域が、
    SEQ ID NO:121〜160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;
    SEQ ID NO:161〜185からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び、
    SEQ ID NO:186〜224からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3
    を含む、前記抗体。
  5. 前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:225〜268からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体。
  6. 前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:269〜314からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体。
  7. ヒトTMEM106Bに対して結合する単離された抗体であって、ヒトTMEM106Bに対する結合について、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体の1つ以上と競合する、前記抗体。
  8. ヒトTMEM106Bに対して結合する単離された抗体であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体と本質的に同じであるかまたは重複するTMEM106Bエピトープに対して結合する、前記抗体。
  9. TMEM106Bと少なくとも1つのTMEM106Bリガンドまたは結合パートナーとの相互作用または結合を減少させるまたは阻害する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗体。
  10. 前記TMEM106Bリガンドまたは結合パートナーが、プログラニュリン、TMEM106A、TMTM106C、クラスリン重鎖、脂肪細胞タンパク質2のμ1サブユニット、CHMP2B、微小管関連タンパク質6、リソソーム関連膜タンパク質1、及び液胞ATPアーゼアクセサリータンパク質1からなる群から選択される、請求項9に記載の抗体。
  11. TMEM106Bのタンパク質分解を減少させるまたは阻害する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体。
  12. TGFベータ発現を増加させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体。
  13. TDP−43封入体を減少させる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の抗体。
  14. 認知機能及び行動機能の低下を減少させ、かつ、認知機能及び行動機能を改善する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の抗体。
  15. モノクローナル抗体である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の抗体。
  16. IgGクラス、IgMクラス、または、IgAクラスの抗体である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の抗体。
  17. IgGクラスの抗体であり、かつ、IgG1、IgG2、または、IgG4アイソタイプを有する、請求項16に記載の抗体。
  18. 抗体断片である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体。
  19. 前記断片が、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、またはscFv断片である、請求項18に記載の抗体。
  20. (a)血液脳関門を通る輸送を促進する抗原;
    (b)トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR−1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn−B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプチド、及びANG1005からなる群から選択される、血液脳関門を通る輸送を促進する抗原;
    (c)疾患の原因となるペプチドもしくはタンパク質または疾患の原因となる核酸からなる群から選択される、疾患の原因となる作用物質であって、疾患の原因となる前記核酸が、アンチセンスGGCCCC(G2C4)反復増幅RNAであり、疾患の原因となる前記タンパク質が、アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータプラーク、アミロイド前駆体タンパク質またはそれらの断片、Tau、IAPP、アルファ−シヌクレイン、TDP−43、FUSタンパク質、C9orf72(第9染色体オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S−IBMタンパク質、反復関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DiPeptide repeat:DPR)ペプチド、グリシン−アラニン(GA)反復ペプチド、グリシン−プロリン(GP)反復ペプチド、グリシン−アルギニン(GR)反復ペプチド、プロリン−アラニン(PA)反復ペプチド、ユビキチン、及びプロリン−アルギニン(PR)反復ペプチドからなる群から選択される、前記作用物質;
    (d)免疫細胞で発現されるリガンド及び/またはタンパク質であって、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4−1BB、CD27、GITR、PD−L1、CTLA−4、PD−L2、PD−1、B7−H3、B7−H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG−3、及びホスファチジルセリンからなる群から選択される、前記リガンド及び/またはタンパク質;ならびに
    (e)1つ以上の腫瘍細胞上で発現されるタンパク質、脂質、多糖、または、糖脂質
    をさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の抗体。
  21. 先行請求項のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸配列を含む、単離された核酸。
  22. 請求項21に記載の核酸を含む、ベクター。
  23. 請求項22に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
  24. ヒトTMEM106Bに対して結合する抗体を生産する方法であって、前記抗体が生産されるように請求項23に記載の細胞を培養することを含む、前記方法。
  25. 前記細胞により生産された抗体を回収することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の抗体、及び医薬として許容可能な担体を含む、医薬組成物。
  27. 神経変性障害、TDP−43封入体の存在を特徴とする障害、TDP−43タンパク質症、前頭側頭葉型変性症、前頭側頭型認知症、TDP−43封入体を伴う前頭側頭葉型変性症、プログラニュリン変異を伴う前頭側頭型認知症、C90rf72変異を伴う前頭側頭型認知症、海馬硬化症、加齢に伴う海馬硬化症、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、認知機能障害、筋萎縮性側索硬化症に関連した認知機能障害、慢性外傷性脳症(CTE)における認知機能障害、及びがんからなる群から選択される疾患、障害、状態、もしくは傷害を予防する、リスクを減少をさせる、または、前記疾患、障害、状態、もしくは傷害を有する個体を治療する方法であって、それを必要とする個体に対して、請求項1〜20のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
  28. 炎症性細胞の破片またはタンパク質凝集体、異常な循環骨髄細胞、不健康な老化、加齢性脳萎縮、加齢関連形質、加齢性炎症、加齢性ニューロン喪失、加齢性認知障害、低髄鞘形成障害(hypomyelinating disorder)、及び転移に関連した障害からなる群から選択される疾患、障害、状態、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、状態、もしくは傷害を有する個体を治療する方法であって、それを必要とする個体に対して、請求項1〜20のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
  29. TMEM106Bの過剰発現または増大した活性により引き起こされる、またはそれらに関連する疾患、障害、状態、もしくは傷害を予防する、リスクを減少させる、または、前記疾患、障害、状態、もしくは傷害を有する個体を治療する方法であって、それを必要とする個体に対して、請求項1〜20のいずれか1項に記載の抗体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
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