JP2021502322A - ブタのFc断片と融合した抗原およびこれを含むワクチン組成物 - Google Patents

ブタのFc断片と融合した抗原およびこれを含むワクチン組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2021502322A
JP2021502322A JP2019521699A JP2019521699A JP2021502322A JP 2021502322 A JP2021502322 A JP 2021502322A JP 2019521699 A JP2019521699 A JP 2019521699A JP 2019521699 A JP2019521699 A JP 2019521699A JP 2021502322 A JP2021502322 A JP 2021502322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antigen
promoter
fragment
expression vector
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019521699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6877788B2 (ja
Inventor
イ、ヨンチク
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bioapplications Inc
Original Assignee
Bioapplications Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bioapplications Inc filed Critical Bioapplications Inc
Publication of JP2021502322A publication Critical patent/JP2021502322A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6877788B2 publication Critical patent/JP6877788B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/385Haptens or antigens, bound to carriers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/39Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the immunostimulating additives, e.g. chemical adjuvants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/555Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by a specific combination antigen/adjuvant
    • A61K2039/55511Organic adjuvants
    • A61K2039/55516Proteins; Peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/58Medicinal preparations containing antigens or antibodies raising an immune response against a target which is not the antigen used for immunisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/04Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing an ER retention signal such as a C-terminal HDEL motif
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/30Non-immunoglobulin-derived peptide or protein having an immunoglobulin constant or Fc region, or a fragment thereof, attached thereto
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2770/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
    • C12N2770/00011Details
    • C12N2770/32011Picornaviridae
    • C12N2770/32111Aphthovirus, e.g. footandmouth disease virus
    • C12N2770/32134Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein

Abstract

本発明は、ブタのFc断片と融合した抗原に関し、多様な抗原にFc断片を結合させることによって、自己免疫賦活効果を有するワクチン組成物およびその製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ブタのFc断片と融合した抗原、およびこれを含むワクチン組成物等に関する。
感染症の予防のためのワクチンは、病原菌に対して特異的であり、効果的な免疫反応を誘導するものであって、多様な感染症の予防のためにその必要性が次第に増加している傾向にある。最近には、死菌ワクチン、弱毒生菌ワクチン、自家ワクチン等多様な種類のワクチンが開発されているが、生菌または弱毒化した菌から製造されたワクチンは、予防面において非常に効果的であるが、回帰の危険性、自己複製等の問題点によって安定性の問題がたびたび報告されており、死菌を用いたワクチンの場合には、リポ多糖体(lipopolysaccharide)のような毒性物質が含まれているか、生きている菌が存在し得る危険性を有している。したがって、このような限界を克服するために開発されたDNAワクチンもやはり宿主のゲノム上に挿入されて、突然変異を誘発したり、発癌を誘発したりする可能性が提起されている。したがって、最近には、精製された抗原を使用するサブユニットワクチンの開発が活発に行われている。サブユニットワクチンの場合、精製された抗原を使用するので、他のワクチンより安定的であるが、免疫原性が不足するので、このような免疫原性を増進させるために強力な免疫抗原賦活化剤(アジュバント)が要求される。免疫抗原賦活化剤の使用は、使用される抗原の量を顕著に減少させることができるので、伝染病の流行等の状況で迅速なワクチンの生産に決定的な役割をすることができると共に、追加ワクチン接種回数等を減少させることができるので、費用および不便さを顕著に減少させることができる。しかしながら、免疫抗原賦活化剤のうちワクチンに使用可能に許可されたものは、非常に少数である。免疫抗原賦活化剤である「alum」は、1932年にヒトワクチンに使用可能に許可された最初の免疫抗原賦活化剤であるが、現在までも最も多く使用されている免疫抗原賦活化剤である。その後、MF59、AS03等が開発されて使用許可を受けたが、未だに使用可能に許可を受けた免疫抗原賦活化剤は、非常に少数である(韓国特許登録10−0517114号公報)。
したがって、ワクチンの免疫原性を顕著に増加させると同時に、安定した免疫抗原賦活化剤の開発は、ワクチン分野の発達において非常に重要な役割をするものと期待される。
本発明は、前記のような従来技術上の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ブタのFc断片と融合した抗原、これを含むワクチン組成物およびその製造方法等を提供することにある。
しかしながら、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得る。
本発明は、配列番号4で表されるブタのFc断片と融合した抗原を有効成分として含むワクチン組成物を提供する。
また、本発明は、配列番号4で表されるブタのFc断片と融合した抗原を有効成分として含む組成物を個体に投与する段階を含む感染症の予防または治療方法を提供する。
また、本発明は、配列番号4で表されるブタのFc断片と融合した抗原を有効成分として含む組成物の感染症の予防または治療のための使用を提供する。
本発明の一具体例において、前記抗原は、Fc断片と融合することによって、自己免疫賦活反応(self−adjuvanting)効果および増加した溶解性を有することを特徴とする。前記融合は、Fc断片のN末端および/またはC末端に抗原がペプチド結合で連結された形態であってもよいが、Fc断片と抗原が結合している形態であれば、これに制限されない。
また、本発明は、配列番号4で表されるブタのFc断片をコードするポリヌクレオチドおよび抗原をコードするポリヌクレオチドを含む自己免疫賦活効果を有する組み換え抗原の発現ベクターを提供する。
本発明の一具体例において、前記発現ベクターは、プロモーター遺伝子、Fc断片をコードするポリヌクレオチド、および抗原をコードするポリヌクレオチドの順に、またはプロモーター遺伝子、抗原をコードするポリヌクレオチド、およびFc断片をコードするポリヌクレオチドの順に順次に連結され得る。
本発明の他の具体例において、前記プロモーターは、カリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス由来19S RNAプロモーター、植物のアクチンタンパク質プロモーター、ユビキチンタンパク質プロモーター、CMV(サイトメガロウィルス)プロモーター、SV40(Simian virus 40)プロモーター、RSV(Respiratory syncytial virus)プロモーター、EF−1α(Elongation factor−1 alpha)プロモーター、pEMUプロモーター、MASプロモーター、ヒストン プロモーター、Clpプロモーター等であるが、これらに制限されない。
本発明のさらに他の具体例において、前記抗原は、抗体、抗体の断片、構造タンパク質、調節タンパク質、転写因子、毒素タンパク質、ホルモン、ホルモン類似体、サイトカイン、酵素、酵素の断片、酵素阻害剤、輸送タンパク質、受容体、受容体の断片、生体防御誘導物質、貯蔵タンパク質、移動タンパク質(movement protein)、エックスプロイティブタンパク質(exploitive protein)、レポータータンパク質等であってもよいが、生体で抗原として作用して免疫反応を誘導できる物質であれば、これらに制限されない。
本発明のさらに他の具体例において、前記発現ベクターは、BiP(Chaperone binding protein)をコードするポリヌクレオチド、HDEL(His−Asp−Glu−Leu)ペプチドをコードする遺伝子、M17の5′UTR(untranslational region)部位遺伝子等をさらに含むことができる。
本発明のさらに他の具体例において、前記発現ベクターは、Fc断片が融合した目的抗原の発現量を増加させ、溶解性を増加させることを特徴とする。
また、本発明は、前記発現ベクターで形質転換された形質転換体を提供する。
本発明の一具体例において、前記形質転換体は、大腸菌、バシルス、サルモネラ、酵母等のような微生物、昆虫細胞、ヒトを含む動物細胞、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ウマ、ウシ等のような動物、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、植物等であってもよく、前記植物は、イネ、コムギ、ムギ、トウモロコシ、マメ、ジャガイモ、アズキ、エンバク、およびモロコシを含む食糧作物類;シロイヌナズナ、ハクサイ、ダイコン、トウガラシ、イチゴ、トマト、スイカ、キュウリ、キャベツ、マクワウリ、カボチャ、ネギ、タマネギ、およびニンジンを含む野菜作物類;高麗人参、タバコ、ワタ、ゴマ、サトウキビ、テンサイ、エゴマ、ピーナッツ、およびアブラナを含む特用作物類;およびリンゴの木、ナシの木、ナツメの木、モモ、ブドウ、ミカン、カキ、スモモ、アンズ、およびバナナを含む果樹類;およびバラ、カーネーション、キク、ユリ、およびチューリップを含む草花類等であってもよいが、本発明の発現ベクターで形質転換され得る生命体であれば、これらに制限されない。
また、本発明は、(a)前記形質転換体を培養する段階と、(b)前記形質転換体または培養液からFc断片が融合した抗原を分離および精製する段階とを含む自己免疫賦活効果を有する組み換え抗原の生産方法を提供する。前記形質転換体は、好ましくは細胞自体、または細胞を含む培養物であってもよく、前記培養液は、好ましくは細胞を培養した後、細胞を除去した培養液であってもよいが、本発明の組み換え抗原を含んでいる場合、これに制限されない。
本発明によるブタのFc断片と融合した抗原は、自己免疫賦活効果を有するので、追加の免疫抗原賦活化剤を使用することなく、抗原自体の免疫原性を増加させることができると共に、抗原の溶解性および安定性を増加させて、抗原の分離および保管が容易である。また、本発明による発現ベクターは、多様な抗原をpFc断片と融合させることによって、目的抗原の生産量を増加させることができるので、ワクチンの高効率生産を可能にするものと期待される。
本発明の一実施例によるpCAMBIA1300ベクターマップを示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合VP1組み換えタンパク質発現のための遺伝子の配列を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合VP1組み換えタンパク質の発現量をウェスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合VP1組み換えタンパク質の安定性をウェスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合VP1組み換えタンパク質の溶解性をウェスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合GP5組み換え抗原の溶解性をウェスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合PCV2組み換えタンパク質の溶解性および生産性をウェスタンブロッティングで確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合E2組み換え抗原の生産量を確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合E2組み換え抗原を1回投与し、免疫原性を確認した結果を示す図である。 本発明の一実施例によるpFc融合E2組み換え抗原を2回投与し、免疫原性を確認した結果を示す図である。
本発明では、多様な抗原をブタの免疫グロブリンFc断片と結合させる場合、前記断片により抗原の発現量および生産性が増加すると共に、溶解性および安定性が増加することを確認し、前記ブタのFc断片と融合した抗原、前記ブタのFc断片をコードするポリヌクレオチドおよび抗原をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよび前記発現ベクターを用いた組み換え抗原の生産方法を提供することを目的とする。
本明細書において、「Fc断片」とは、免疫グロブリンがパパインにより消化されたとき、重鎖(heavy chain;H chain)部分だけがS−S結合で連結され、抗原結合部位を有しない部分をFc断片と言い、本発明のFc断片は、好ましくはブタのFc断片であり、より好ましくは配列番号4で表されるブタのFc断片であるが、目的抗原と融合したとき、目的抗原の発現量および溶解性を増加させるFc断片であれば、これに制限されない。また、本発明のFc断片は、配列番号4の変異体が本発明の範囲に含まれる。具体的に、前記遺伝子は、配列番号4の塩基配列と90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の配列相同性を有する塩基配列を含むことができる。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性のパーセンテージ」は、最適に配列された配列と比較領域を比較することによって確認され、比較領域でポリヌクレオチド配列の一部は、さらに、配列の最適配列に対する参考配列(追加または削除を含まない)に比べて追加または削除(すなわち、ギャップ)を含むことができる。
本明細書において、「抗原」とは、体内で免疫反応を起こすすべての物質を総称し、好ましくはウイルス、化合物質、細菌、花粉、癌細胞、エビ等またはこれらの一部ペプチドまたはタンパク質であるが、体内で免疫反応を起こすことができる物質であれば、これらに制限されない。
本明細書において、「ワクチン」とは、生体に免疫反応を起こす抗原を含有する生物学的な製剤であって、感染症の予防のためにヒトや動物に注射したり経口投与することによって、生体に免疫をつくらせる免疫原を言う。前記動物は、ヒトまたは非ヒト動物であって、前記非ヒト動物は、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ヤギ、ヒツジ等を示すが、これらに制限されない。
本明細書において、「目的タンパク質」とは、本発明による遺伝工学的方法で生産しようとするタンパク質を言うものであり、好ましくは商業的用途に用いられている大量で生産される必要がある抗原等であり、より好ましくは抗原、抗体、抗体の断片、構造タンパク質、調節タンパク質、転写因子、毒素タンパク質、ホルモン、ホルモン類似体、サイトカイン、酵素、酵素の断片、酵素阻害剤、輸送タンパク質、受容体、受容体の断片、生体防御誘導物質、貯蔵タンパク質、移動タンパク質(movement protein)、エックスプロイティブタンパク質(exploitive protein)、レポータータンパク質等であるが、本発明の発現ベクターで製造され得るタンパク質であれば、これらに制限されない。
本明細書において、「発現ベクター」とは、ベクター内に挿入された異種の核酸によりコードされるペプチドまたはタンパク質を発現できるベクターを示すものであり、好ましくはブタのFc断片が融合した目的抗原を発現できるように製造されたベクターを意味する。前記「ベクター」は、試験管内、生体外または生体内で宿主細胞に塩基の導入および/または転移のための任意の媒介物を言い、他のDNA断片が結合して結合した断片の複製をもたらすことができる複製単位(レプリコン)であってもよく、「複製単位」とは、生体内でDNA複製の自家ユニットとして機能する、すなわち自らの調節により複製可能な、任意の遺伝的単位(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス等)を言う。本発明の発現ベクターは、好ましくはRNA重合酵素が結合する転写開始因子であるプロモーター、転写を調節するための任意のオペレーター配列、適合したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列と転写および解読の終結を調節する配列、ターミネータ等を含むことができ、より好ましくはタンパク質の合成量を増加させるためのM17の5′UTR部位遺伝子、目的タンパク質を小胞体に移動させるためのBiP遺伝子、タンパク質が小胞体内で安定的に維持され得るようにタンパク質の分解を最小化するためのHDEL遺伝子等をさらに含むことができ、より好ましくは組み換えタンパク質を容易に分離するためのタグ用遺伝子、形質転換体を選別するための抗生剤耐性遺伝子等の選別用マーカー遺伝子等をさらに含むことができる。
前記タグ用遺伝子は、本発明のタグタンパク質であるFc断片以外にさらに容易な分離のために含まれるものであって、代表的にAviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸タグ、Eタグ、FLAGタグ、HAタグ、Hisタグ、Mycタグ、Sタグ、SBPタグ、IgG−Fcタグ、CTBタグ、Softag 1タグ、Softag 3タグ、Strepタグ、TCタグ、V5タグ、VSVタグ、Xpressタグ等が含まれ得、前記選別用マーカー遺伝子には、代表的にグリホサート(glyphosate)またはホスフィノスリシン(phosphinothricin)のような除草剤抵抗性遺伝子、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハイグロマイシン、クロラムフェニコールのような抗生剤耐性遺伝子、aadA遺伝子等が含まれ得、前記プロモーターには、代表的にpEMUプロモーター、MASプロモーター、ヒストンプロモーター、Clpプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス由来19S RNAプロモーター、植物のアクチンタンパク質プロモーター、ユビキチンタンパク質プロモーター、CMV(サイトメガロウィルス)プロモーター、SV40(Simian virus 40)プロモーター、RSV(Respiratory syncytial virus)プロモーター、EF−1α(Elongation factor−1 alpha)プロモーター等が含まれ得、前記ターミネータは、代表的にノパリンシンターゼ(NOS)、イネアミラーゼRAmy1 Aターミネータ、パセオリンターミネータ、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのオクトパイン(Octopine)遺伝子のターミネータ、大腸菌のrrnB1/B2ターミネータ等であるが、前記例は、例示に過ぎず、これらに制限されない。
本明細書において、「融合抗原」とは、ブタのFc断片と目的抗原が融合した組み換え抗原を意味するものであり、好ましくは前記Fc断片と融合することによって溶解性が増加し、同時に免疫原性が増加した組み換え抗原を意味するが、本発明のブタのFc断片と結合した組み換え抗原であれば、これに制限されない。
本明細書において、「形質転換」とは、注入されたDNAにより生物の遺伝的な性質が変わることを総称し、「形質転換体」とは、分子遺伝学的方法で外部の遺伝子を注入して製造された生命体であって、好ましくは本発明の発現ベクターにより形質転換された生命体であり、前記生命体は、微生物、真核細胞、昆虫、動物、植物等生命がある生物であれば、制限がなく、好ましくは大腸菌、サルモネラ、バシルス、酵母、動物細胞、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ウマ、ウシ、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、植物等であるが、これらに制限されない。前記形質転換体は、形質転換、トランスフェクション、アグロバクテリウム媒介形質転換方法、パーティクルガン衝撃法(particle gun bombardment)、超音波処理法(ソニケーション)、電気穿孔法(エレクトロポレーション)およびPEG(Polyethylen glycol)−媒介形質転換方法等の方法で製造され得るが、本発明のベクターを注入できる方法であれば、制限がない。
本明細書において、「溶解性」とは、目的タンパク質またはペプチドが人体に投与するのに適した溶媒に溶解することができる程度を意味する。具体的には、特定の温度で所定の溶媒に対して溶質が飽和した程度を示すものであってよい。溶解性は、溶質の飽和濃度を決定することによって測定することができ、例えば溶媒に溶質を過量に添加し、これを撹拌し、濾過した後、濃度をUV分光器またはHPLC等を使用して測定することができるが、これに制限されるものではなく、高い溶解性は、組み換えタンパク質の分離精製に有利であり、組み換えタンパク質の凝集が抑制されて、組み換えタンパク質の生理活性または薬理的な活性を維持するのに長所を有する。
本明細書において、「予防」とは、本発明によるワクチン組成物の投与により感染症、癌等の疾患を抑制させたり発病を遅延させるすべての行為を意味する。
本明細書において、「治療」とは、本発明によるワクチン組成物の投与により感染症、癌等の症状が好転したり有利に変更されるすべての行為を意味する。
本明細書において、「個体」とは、本発明のワクチン組成物が投与され得る対象を言い、その対象には、制限がない。
本発明の「ワクチン組成物」は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル等の経口型剤形および滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。製剤化する場合には、普通使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調製することができる。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等が含まれ、このような固形製剤は、前記レシチン類似乳化剤に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチン等を混ぜて調製することができる。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用することができる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤等を使用することができ、頻繁に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤等が含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水溶性製剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤が含まれる。非水溶性製剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステル等を使用することができる。また、さらに既存に知られている「免疫抗原賦活化剤(adjuvant)」をさらに含むことができる。前記補強剤は、当該技術分野に知られているものであれば、いずれのものでも制限なしに使用することができるが、例えばフロイント(Freund)の完全補助剤または不完全補助剤をさらに含んで、その免疫性を増加させることができる。
本発明のワクチン組成物は、それぞれ、通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル等の経口型剤形、外用剤、坐剤または滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。
本発明によるワクチン組成物の投与経路は、これらに限定されるものではないが、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸が含まれる。経口または非経口投与が好ましい。本願に使用される用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、硬膜内、病巣内および頭蓋骨内注射または注入技術を含む。また、本発明のワクチン組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。
本発明によるワクチン組成物の投与量は、個体の年齢、体重、性別、身体状態等を考慮して選択される。特別な副作用なしに個体に免疫保護反応を誘導するのに必要な量は、免疫原として使用された組み換えタンパク質および賦形剤の任意存在によって多様である。一般的にそれぞれの用量は、本発明の組み換えタンパク質の滅菌溶液ml当たり0.1〜1,000μgのタンパク質、好ましくは0.1〜100μgを含有する。ワクチン組成物の場合には、必要に応じて初期用量に引き続いて任意に繰り返された抗原刺激を行うことができる。
本明細書において、「免疫抗原賦活化剤(adjuvant)」とは、一般的に抗原に対する体液および/または細胞免疫反応を増加させる任意の物質を示し、「自己免疫賦活反応(self−adjuvanting)」とは、既存の抗原と比較して組み換え抗原自体が抗原に対する体液および/または細胞免疫反応を増加させる反応を意味し、好ましくは抗原にブタのFc断片を結合させることによって、抗原の免疫原性が増加したことを意味する。
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるわけではない。
[実施例1:pFc融合VP1組み換えタンパク質発現ベクターの製造]
目的タンパク質の発現量を増加させると同時に、溶解性を改善して、分離精製効率を高めた組み換えタンパク質を製造するための発現ベクターを製造するために、ブタの免疫グロブリンFc断片(porcine Fc fragment;pFc)のpFc1(配列番号1)、pFc2(配列番号3)、またはpFc3(配列番号5)を用いて発現ベクターを製作した。より詳しくは、図1および図2に示されたように、pCAMBIA1300ベクターのCaMV35Sプロモーター遺伝子とNOSターミネータ(terminator)との間にM17の5′UTR(untranslational region)部位遺伝子(配列番号7)、BiP(chaperone binding protein)タンパク質をコードするポリヌクレオチド(配列番号8)、口蹄疫ウイルス(Foot−and−mouth disease virus;FMDV)のVP1遺伝子(配列番号9);pFc断片をコードするポリヌクレオチド;およびHDEL(His−Asp−Glu−Leu)タンパク質をコードするポリヌクレオチドを順にクローニングして発現ベクターを製作した。pFc断片は、それぞれ、pFc1、pFc2、またはpFc3を挿入して、互いに異なる発現ベクターを製造した。
[実施例2:pFc融合VP1組み換えタンパク質発現実験]
(2.1:pFc融合VP1組み換えタンパク質の発現量の確認実験)
実施例1と同じ方法で製造されたpFc融合VP1組み換えタンパク質発現ベクターのタンパク質の発現量を確認するために、前記ベクターをシロイヌナズナの葉から分離した原形質体(プロトプラスト)にPEG−媒介形質転換法で導入して形質転換体を製造した後に、培養された原形質体を収集および溶解して、これから発現する組み換えタンパク質であるBiP:FMDV−VP1:pFc発現様相をpFcを認識するanti−pig secondary antibody(1:5,000,Abcam)を用いてウェスタンブロッティングで確認した。より詳しくは、細胞溶解液30μLをSDS試料バッファーと混合した後に加熱した。そして、10%SDS−PAGEゲルに電気泳動して、サイズ別にタンパク質を分離し、分離したタンパク質をPVDF膜に移動させた後に、5%スキムミルクを用いてブロッキング段階を経た後に、抗体とタンパク質を結合させ、ECL溶液を製造社で提供する方法によって処理して、pFc融合組み換えタンパク質を確認した。その結果は、図3に示した。
図3に示されたように、多様なpFc断片のうちpFc2断片を結合させた組み換えタンパク質の発現量が最も高いことを確認した。前記結果を通じて、同じ免疫グロブリン断片であるとしても、同じ効果を示さないことが確認できた。
[2.2:pFc融合VP1組み換えタンパク質の安定性の確認実験]
実施例1と同じ方法で製造されたpFc融合組み換えタンパク質発現ベクターのタンパク質安定性を確認するために、組み換えタンパク質を抽出したとき試料(0)と4℃で1時間の間保管した後の試料(1)をそれぞれ実施例2.1と同じ方法でウェスタンブロッティングを実施して確認した。その結果は、図4に示した。
図4に示されたように、pFc2断片が結合した組み換えタンパク質の発現量が最も高く、安定性も高いことを確認した。
[2.3:pFc2融合VP1組み換えタンパク質の溶解性の確認実験]
実施例1と同じ方法で製造されたpFc2融合組み換えタンパク質発現ベクターのタンパク質溶解性を確認するために、前記ベクターで形質転換されたアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)をタバコ植物(Nicotiana benthamiana)の葉に接種する一過性発現(transient expression)方式でpFc2融合組み換えタンパク質(BiP:FMDV−VP1:pFc2)を発現させた後に、植物の葉からタンパク質を抽出して遠心分離した後に、溶液に含まれている可溶性(soluble)形態(S)のタンパク質とペレット(pellet;P)部分にあるタンパク質を用いて実施例2.1と同じ方法でウェスタンブロッティングを実施した。対照群としては、既存に知られているセルロース結合モジュール(cellulose binding module;CBM3)をコードするポリヌクレオチド(配列番号13)をpFc断片の代わりに融合させた組み換えタンパク質を用いた。その結果は、図5に示した。
図5に示されたように、pFc2融合組み換えタンパク質は、ペレット部分では観察されないのに対し、溶液内に含まれていることを確認した。しかしながら、セルロース結合ドメインを融合させた組み換えタンパク質の場合には、ペレット部分で組み換えタンパク質が相当数観察された。前記結果を通じて、pFc2融合組み換えタンパク質は、目的タンパク質とpFc2断片の結合による構造的変形を通じて溶解性が増加したことを確認することができ、これにより、pFc2融合組み換えタンパク質は、分離精製に有利であり、組み換えタンパク質の凝集が抑制されて、組み換えタンパク質の生理活性または薬理的な活性を維持するのに効果的であることを確認することができた。
[実施例3:pFc2融合GP5組み換え抗原溶解性の確認実験]
pFc2断片を豚繁殖・呼吸障害症候群(Porcine Reproductive and Respiratory Syndrome;PRRS)のGP5抗原タンパク質と融合させるために、ブタGP5抗原タンパク質をコードするポリヌクレオチド(配列番号11)を実施例1の発現ベクター内に含まれている口蹄疫ウイルスのVP1遺伝子の代わりに挿入して、GP5:pFc2組み換え抗原を発現する発現ベクターを製造した。そして、前記ベクターで形質転換されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスをタバコ植物(Nicotiana benthamiana)の葉に接種する一過性発現方式でpFc2融合GP5組み換え抗原(GP5:pFc2)を発現させた後に、植物の葉からタンパク質を抽出して遠心分離した後に、溶液に含まれている可溶性形態(S)のタンパク質とペレット(P)部分にあるタンパク質を用いて実施例2.1と同じ方法でウェスタンブロッティングを実施した。対照群としては、pFc断片の代わりにCBM3(配列番号14)が融合したGP5組み換え抗原を用い、CBM3融合GP5組み換え抗原の場合には、ウェスタンブロッティングのためにHA抗体を用いて実験を進めた。その結果は、図6に示した。
図6に示されたように、pFc2融合GP5組み換え抗原は、ペレット部分では若干のタンパク質が観察されるのに対し、ほとんどが溶液内に含まれていることを確認した。しかしながら、CBM3を融合させたGP5組み換え抗原の場合には、ペレット部分で組み換えタンパク質が相当数観察された。前記結果を通じて、pFc2融合組み換えタンパク質は、タンパク質の種類に関係なく、溶解性が増加することが確認できた。
前記結果を通じて、ブタの免疫グロブリンFc断片、特に、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むpFc2断片を目的タンパク質に融合させることによって、目的タンパク質の発現量を増加させると同時に、溶解性を増加させて、目的タンパク質を安定的に容易に分離および保管できることが確認できた。
[実施例4:pFc2融合PCV2組み換えタンパク質の生産性および溶解性の確認実験]
pFc2断片をブタサーコウイルス2型(Porcine circovirus Type 2;PCV2)タンパク質と融合させるために、ブタサーコウイルス2型タンパク質をコードするポリヌクレオチド(配列番号15)を実施例1の発現ベクター内に含まれている口蹄疫ウイルスのVP1遺伝子の代わりに挿入して、PCV2:pFc2組み換えタンパク質を発現する発現ベクターを製造した。そして、前記ベクターで形質転換されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスをタバコ植物(Nicotiana benthamiana)の葉に接種する一過性発現方式でpFc2融合PCV2組み換えタンパク質を発現させた後に、植物の葉からタンパク質を抽出して遠心分離した後に、溶液に含まれている可溶性形態(S)のタンパク質とペレット(P)部分にあるタンパク質を用いて実施例2.1と同じ方法でウェスタンブロッティングを実施した。対照群としては、pFc断片の代わりにHisタグが融合したPCV2組み換えタンパク質を用い、Hisタグ融合PCV2組み換えタンパク質の場合には、ウェスタンブロッティングのために抗His抗体を用いて実験を進めた。その結果は、図7に示した。
図7に示されたように、pFc2融合PCV2組み換えタンパク質の場合には、ほとんどが溶液内に含まれていると共に、Hisタグが融合したPCV2組み換えタンパク質と比較して生産量が顕著に増加したことを確認した。
[実施例5:pFc2融合E2組み換えタンパク質発現実験]
(5.1:pFc2融合抗原タンパク質の分離)
pFc2断片を抗原タンパク質に融合して使用可能であるかを確認するために、ブタコレラ抗原であるE2タンパク質をコードするポリヌクレオチド(配列番号17)を実施例1の発現ベクター内に含まれている口蹄疫ウイルスのVP1遺伝子の代わりに挿入して、BiP:E2:pFc2組み換えタンパク質を発現する発現ベクターを製造した。そして、製造された発現ベクターをアグロバクテリウム−媒介形質転換方法でシロイヌナズナに形質転換させ、カナマイシンに対する耐性を有するシロイヌナズナを選別し、世代促進を通じてpFc2が融合したE2組み換えタンパク質の発現が安定したホモ種子を最終確保して、形質転換植物体を製造した。そして、タンパク質の抽出に普遍的に使用されるタンパク質抽出バッファーを用いて最終確保された形質転換植物体8gからタンパク質を分離し、protein A−sepharose columnを装着したAKTA prime(GE Healthcare)を用いてpFc融合E2組み換えタンパク質を分離した。そして、対照群としては、pFc断片の代わりに、セルロース結合ドメイン(配列番号19)を融合させたBiP:E2:CBD組み換えタンパク質を使用した。CBDが融合したE2組み換えタンパク質は、アモルファスセルロース(amorphous cellulose;AMC)を使用して形質転換植物体5gから分離した。そして、分離した組み換えタンパク質は、リン酸緩衝溶液(phosphate buffered saline;PBS)を用いて透析後に遠心フィルターチューブを使用して濃縮した。そして、分離した組み換えタンパク質の量を定量するために、SDS−PAGEを実施した後に、クマシブルーで染色した。この際、ウシ血清アルブミンを用いた標準曲線を用いて組み換えタンパク質を定量した。その結果は、図8に示した。
図8に示されたように、セルロース結合ドメインが融合したE2組み換え抗原の場合には、植物体1g当たり約30μgが生産されるのに対し、pFc2断片が融合したE2組み換え抗原の場合には、植物体1g当たり302μgが生産されることを確認した。前記結果を通じて、pFc2断片を用いて目的抗原の発現量を10倍以上増加させることができることを確認した。
(5.2:pFc2融合E2組み換え抗原の免疫原性およびウイルス中和能の確認実験)
pFc2融合E2組み換え抗原が生体内で抗体を誘導して免疫原性およびウイルス中和能を有するかを確認するために、6週齢の雄性C57BL/6Jマウスを用いて実験を進めた。より詳しくは、実験群マウスにpFc2融合E2組み換え抗原1μgを1回(6週齢)、または2回(6週齢および8週齢)投与し、陰性対照群のマウスには、リン酸塩緩衝溶液を投与した。そして、陽性対照群としては、セルロース結合ドメインが融合したE2組み換え抗原を実験群と同じ量で同じ時期に投与した。それぞれの抗原投与時には、同量のフロイント免疫抗原賦活化剤(Freund’s adjuvant)を混合して投与し、1回投与群には、完全アジュバントを、2回投与群には、1次には完全アジュバントを、2次には不完全アジュバントを投与した。そして、実験を始める時点と抗原を投与してから1週間後から毎週採血してブタコレラウイルスに対する臨床診断用抗体キット(CSFV−ab ELISA Kit、メディアンダイアグノスティク製)を用いて投与抗原に対する特異抗体の生成の有無および抗体の持続性を確認した。2回投与群は、2次投与をすべて完了した時点から1週間後に採血を始めた。それぞれの群ごとに5匹のマウスを用いて実験を進め、その結果は、表1、図9および図10に示した。表1のS/P値は、0.14以上の値である場合には、陽性と判定し、0.14未満の値である場合には、陰性と判定した。
図9に示されたように、抗原を1回投与したとき、pFc2融合E2組み換え抗原の場合には、投与後1週間が経過した時点から高い反応性を示し、反応性が8週以上維持されることを確認した。他方で、セルロース結合ドメインが融合したE2組み換え抗原の場合には、陽性値を示すが、その反応性がpFc2融合E2組み換え抗原と比較して低いことを確認した。
図10および表1に示されたように、抗原を2回投与したときは、セルロース結合ドメインが融合したE2組み換え抗原の場合にも、反応性が1回投与時と比較して増加したが、pFc2融合E2組み換え抗原と比較したときには、依然として反応性が低いことを確認した。
また、同じマウスの血清試料は、農林畜産検疫本部に依頼してウイルス中和能を確認した。その結果は、表2に示した。
表2に示されたように、セルロース結合ドメインが融合したE2組み換え抗原の場合には、抗原の1回投与時、一部のマウスでは陰性値を示すが、pFc2融合E2組み換え抗原の場合には、1回投与時や2回投与時にいずれも高い役価のウイルス中和能を示すことを確認した。
(5.3:pFc2融合E2組み換え抗原のウイルス中和能の確認実験)
pFc2融合E2組み換え抗原が子ブタ(piglet)においても同一に高い役価のウイルス中和能を示すかを確認するために、ブタコレラ抗体陰性のブタ4頭を選別して、pFc2融合E2組み換え抗原を2回投与し、2週間隔で獲得された血清を農林畜産検疫本部に依頼して、ウイルス中和能を確認した。その結果は、表3に示した。
表3に示されたように、実施例3.2のマウスを用いて進めた実験と同一に、すべての子ブタにおいて陽性値を示すことを確認した。
前記結果を通じて、本発明のpFc2断片を多様なワクチン用ペプチドまたはタンパク質と融合させることによって、目的抗原の生産量を顕著に増加させることができると共に、溶解性および安定性を増加させて、目的抗原の凝集が抑制されて、組み換え抗原の生理活性または薬理的な活性を維持するのに効果的であることを確認することができた。また、抗原をpFc2断片と融合させて組み換え抗原を製造することによって、pFc2断片が自己免疫賦活反応(self−adjuvanting)効果を示して、自己−免疫抗原賦活化剤(self−adjuvant)効果を示して、目的抗原の免疫原性を顕著に増加させることができると共に、生産性および安定性を増加させることができることを確認することができた。
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
本発明は、ブタのFc断片と融合した抗原に関し、より詳しくは、多様な抗原にFc断片を結合させることによって、自己免疫賦活効果を有するワクチン組成物およびその製造方法に関する。本発明のFc断片が融合した抗原は、自己免疫賦活効果を有することによって、ワクチン組成物の予防および/または治療効果を顕著に増加させることができるので、多様なワクチン組成物に適用されて、幅広く使用可能なものと期待される。
本明細書において、「Fc断片」とは、免疫グロブリンがパパインにより消化されたとき、重鎖(heavy chain;H chain)部分だけがS−S結合で連結され、抗原結合部位を有しない部分をFc断片と言い、本発明のFc断片は、好ましくはブタのFc断片であり、より好ましくは配列番号4で表されるブタのFc断片であるが、目的抗原と融合したとき、目的抗原の発現量および溶解性を増加させるFc断片であれば、これに制限されない。また、本発明のFc断片は、配列番号4の変異体が本発明の範囲に含まれる。具体的に、前記遺伝子は、配列番号の塩基配列と90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の配列相同性を有する塩基配列を含むことができる。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性のパーセンテージ」は、最適に配列された配列と比較領域を比較することによって確認され、比較領域でポリヌクレオチド配列の一部は、さらに、配列の最適配列に対する参考配列(追加または削除を含まない)に比べて追加または削除(すなわち、ギャップ)を含むことができる。

Claims (13)

  1. 配列番号4で表されるブタのFc断片と融合した抗原を有効成分として含む、ワクチン組成物。
  2. 前記抗原は、Fc断片と融合することによって自己免疫賦活(self−adjuvanting)効果および増加した溶解性を有することを特徴とする、請求項1に記載のワクチン組成物。
  3. 配列番号4で表されるブタのFc断片をコードするポリヌクレオチドおよび抗原をコードするポリヌクレオチドを含む、自己免疫賦活効果を有する組み換え抗原の発現ベクター。
  4. 前記発現ベクターは、プロモーター遺伝子、Fc断片をコードするポリヌクレオチド、および抗原をコードするポリヌクレオチドが順次に連結されていることを特徴とする、請求項3に記載の発現ベクター。
  5. 前記プロモーターは、カリフラワーモザイクウイルス(cauliflower mosaic virus)由来35Sプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス(cauliflower mosaic virus)由来19S RNAプロモーター、植物のアクチンタンパク質プロモーター、ユビキチンタンパク質プロモーター、CMV(Cytomegalovirus)プロモーター、SV40(Simian virus 40)プロモーター、RSV(Respiratory syncytial virus)プロモーター、pEMUプロモーター、MASプロモーター、ヒストンプロモーター、ClpプロモーターおよびEF−1α(Elongation factor−1 alpha)プロモーターよりなる群から選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項4に記載の発現ベクター。
  6. 前記発現ベクターは、BiP(Chaperone binding protein)をコードするポリヌクレオチドをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の発現ベクター。
  7. 前記発現ベクターは、HDEL(His−Asp−Glu−Leu)ペプチドをコードする遺伝子をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の発現ベクター。
  8. 前記発現ベクターは、M17の5′UTR(untranslational region)部位遺伝子をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の発現ベクター。
  9. 前記発現ベクターは、Fc断片が融合した抗原の発現量を増加させ、溶解性を増加させることを特徴とする、請求項3に記載の発現ベクター。
  10. 請求項3〜9のいずれか一項に記載の発現ベクターで形質転換された、形質転換体。
  11. (a)請求項10に記載の形質転換体を培養する段階と、
    (b)前記形質転換体または培養液からFc断片が融合した抗原を分離および精製する段階とを含む、自己免疫賦活効果を有する組み換え抗原の生産方法。
  12. 配列番号4で表されるブタのFc断片と融合した抗原を有効成分として含む組成物を個体に投与する段階を含む、感染症の予防または治療方法。
  13. 配列番号4で表されるブタのFc断片と融合した抗原を有効成分として含む組成物の、感染症の予防または治療のための使用。
JP2019521699A 2018-09-19 2018-12-06 ブタのFc断片と融合した抗原およびこれを含むワクチン組成物 Active JP6877788B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR10-2018-0112443 2018-09-19
KR1020180112443A KR102200773B1 (ko) 2018-09-19 2018-09-19 돼지의 Fc 단편과 융합된 항원 및 이를 포함하는 백신 조성물
PCT/KR2018/015399 WO2020059961A1 (ko) 2018-09-19 2018-12-06 돼지의 fc 단편과 융합된 항원 및 이를 포함하는 백신 조성물

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021502322A true JP2021502322A (ja) 2021-01-28
JP6877788B2 JP6877788B2 (ja) 2021-05-26

Family

ID=69888551

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019521699A Active JP6877788B2 (ja) 2018-09-19 2018-12-06 ブタのFc断片と融合した抗原およびこれを含むワクチン組成物

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP6877788B2 (ja)
KR (1) KR102200773B1 (ja)
CN (1) CN111565747B (ja)
WO (1) WO2020059961A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102557824B1 (ko) * 2020-08-18 2023-07-20 주식회사 바이오앱 식물 발현 재조합 지카바이러스 외피단백질을 포함하는 백신 조성물 및 이의 제조방법
WO2023027402A1 (ko) * 2021-08-27 2023-03-02 주식회사 바이오앱 아프리카 돼지열병 바이러스 유래 항원 단백질을 포함하는 아프리카 돼지열병의 예방용 백신

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100732624B1 (ko) * 2006-01-04 2007-06-27 (주)코리아테크닉스 공구홀더용 아바
CN106519041A (zh) * 2016-11-24 2017-03-22 唐山怡安生物工程有限公司 猪免疫球蛋白Fc片段和猪瘟E2融合蛋白在CHO细胞株的构建方法及其制备方法和应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100517114B1 (ko) 2005-02-25 2005-09-27 주식회사 바이오리더스 폴리감마글루탐산을 함유하는 면역보강제 조성물
KR101830344B1 (ko) * 2010-10-26 2018-02-22 한미사이언스 주식회사 피브로넥틴 단편 및 면역글로불린 단편의 융합 단백질 및 이의 용도
CN103265637B (zh) * 2013-06-04 2015-10-21 江苏众红生物工程创药研究院有限公司 一种重组猪白细胞介素4-Fc融合蛋白及其编码基因和表达方法
MX2016001165A (es) * 2013-07-31 2016-06-29 Amgen Inc Estabilizacion de polipeptidos que contienen fragmentos cristalizables.
KR101572912B1 (ko) * 2013-10-16 2015-11-30 고려대학교 산학협력단 돼지 cd7 유전자 및 이를 이용한 cd7 융합 이뮤노글로불린
CN104262488B (zh) * 2014-09-24 2017-07-28 普莱柯生物工程股份有限公司 一种融合蛋白及其疫苗组合物的制备与应用
KR101732624B1 (ko) * 2014-12-22 2017-05-08 대한민국(농림축산식품부 농림축산검역본부장) 식물 유래의 돼지 열병 백신용 조성물 및 이의 제조방법
KR20160123145A (ko) * 2015-04-15 2016-10-25 인하대학교 산학협력단 인간 IgG Fc 절편을 융합한 인간 베타-글루코세레브로시다제 및 이의 생산방법

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100732624B1 (ko) * 2006-01-04 2007-06-27 (주)코리아테크닉스 공구홀더용 아바
CN106519041A (zh) * 2016-11-24 2017-03-22 唐山怡安生物工程有限公司 猪免疫球蛋白Fc片段和猪瘟E2融合蛋白在CHO细胞株的构建方法及其制备方法和应用

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
GENBANK BAM75542.1, IGG HEAVY CHAIN PRECURSOR, JPN6020039239, ISSN: 0004367405 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP6877788B2 (ja) 2021-05-26
KR20200033037A (ko) 2020-03-27
CN111565747A (zh) 2020-08-21
WO2020059961A1 (ko) 2020-03-26
KR102200773B1 (ko) 2021-01-12
CN111565747B (zh) 2023-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6993650B2 (ja) 豚コレラワクチン用組成物およびその製造方法
KR20180083904A (ko) 면역원성이 증강된 백신 항원
US6730306B1 (en) Parvovirus vaccine as viral coat protein fusions
US10857217B2 (en) Antigen fused with porcine Fc fragment and vaccine composition comprising the same
JP6915908B2 (ja) Bip断片を含む組換えベクターおよび前記ベクターを利用した組換えタンパク質の製造方法
JP2022513056A (ja) 植物体でウイルス様粒子を発現する組み換えベクター及びこれを利用したサーコウイルス様粒子を含むワクチン組成物の製造方法
JP6877788B2 (ja) ブタのFc断片と融合した抗原およびこれを含むワクチン組成物
JP7291973B2 (ja) 豚流行性下痢ウイルスワクチン組成物およびその製造方法
KR102444019B1 (ko) 아프리카 돼지열병의 예방을 위한 항원 생산용 재조합 벡터 및 이의 용도
JP6932393B2 (ja) ブタのfc断片を含む組み換えベクターおよび該ベクターを用いた組み換え蛋白質の製造方法
US20210283241A1 (en) Vaccine composition for preventing rabies, and preparation method thereof
EP2298910A1 (en) Fusion protein that directs vaccine antigens to antigen-presenting cells, and applications thereof
KR102401075B1 (ko) 개 파보바이러스 감염증 치료를 위한 항체 생산용 재조합 벡터 및 이의 용도
US20220323569A1 (en) Plant-produced vlps and ric vaccines
WO2004050692A2 (en) Fusion of the e2 protein of csfv with kdel , vts and/or ubiquitin for expression in transgenic plants for vaccine production
CN117897171A (zh) 包含源自非洲猪瘟病毒的抗原蛋白的用于预防非洲猪瘟的疫苗
Berardi An Investigation into the Use of a Plant-Expressed Virus-Like Particle as an Oral Vaccine Candidate

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190418

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190418

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190418

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20201005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6877788

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150