JP2021196588A - 画像形成装置 - Google Patents

Abstract

【課題】オフセット量の変更に起因する先レジずれの発生を抑制することのできる画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成手段１０と、ベルト２１と、内ローラ２６を含む複数の張架ローラと、外ローラ４１と、内ローラ２６の周方向に関する内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置を、第１の相対位置と、第１の相対位置とは異なる第２の相対位置と、に変更可能な位置変更機構１０１と、転写部Ｎ２に記録材を搬送する搬送部材１３と、搬送部材１３を駆動する搬送駆動部１１４と、を有する画像形成装置１００は、１枚の記録材Ｐに対する画像形成に関して、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングから、搬送部材１３による記録材Ｐの搬送開始タイミングまでの時間を、上記相対位置を第１の相対位置として転写を行う場合と、上記相対位置を第２の相対位置として転写を行う場合と、で変更する制御を実行可能な制御部１５０を有する構成とする。【選択図】図７

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。

従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置には、トナー像を担持する像担持体としての無端状のベルト（以下、単に「ベルト」ともいう。）を有するものがある。このようなベルトとして、例えば、第１の像担持体としての感光体などから１次転写されたトナー像を紙などのシート状の記録材に２次転写するために搬送する、第２の像担持体としての中間転写ベルトがある。

中間転写ベルトを用いた画像形成装置では、画像形成部において感光体などに形成されたトナー像が、１次転写部において中間転写ベルトに１次転写される。また、中間転写ベルトに１次転写されたトナー像は、２次転写部で記録材に２次転写される。中間転写ベルトの内周面側に設けられた内部材（２次転写内部材）と、中間転写ベルトの外周面側に設けられた外部材（２次転写外部材）と、によって、中間転写ベルトと外部材との接触部である２次転写部（２次転写ニップ）が形成される。内部材としては、中間転写ベルトを張架する複数の張架ローラのうちの１つである内ローラ（２次転写内ローラ）が用いられる。外部材としては、中間転写ベルトを挟んで内ローラと対向する位置に配置され、内ローラに向けて押圧される外ローラ（２次転写外ローラ）が用いられる。そして外ローラにトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加（あるいは内ローラにトナーの帯電極性と同極性の電圧が印加）されることで、２次転写部において中間転写ベルト上のトナー像が記録材上に２次転写される。一般に、記録材の搬送方向に関して２次転写部よりも上流には、２次転写部に記録材を案内するための搬送ガイドが設けられている。なお、記録材に関して、「先端」、「後端」とは、それぞれ記録材の搬送方向に関する先端、後端のことをいうものである。

ここで、記録材の剛度によって、記録材の搬送方向に関する２次転写部の上流近傍や下流近傍での記録材の挙動が変わり、成果物である画像に影響を及ぼすことがある。例えば、記録材が剛度の小さい記録材の一例である「薄紙」の場合に、記録材の搬送方向に関する２次転写部の下流近傍で中間転写ベルトと記録材とが貼り付いて、中間転写ベルトからの記録材の分離不良によりジャム（紙詰まり）が発生することがある。一方、記録材が剛度の大きい記録材の一例である「厚紙」の場合に、記録材の後端が搬送ガイドを抜けた際に記録材の後端部（後端、あるいは後端に近接する領域）が中間転写ベルトに衝突することがある。これにより、記録材の搬送方向に関する２次転写部の上流近傍の中間転写ベルトの姿勢が乱れ、記録材の後端部に画像不良（記録材の搬送方向と略直交する方向に伸びるスジ状の画像乱れなど）が発生することがある。近年、多様化する記録材への対応が求められる商業印刷市場においては、これらの課題が顕在化することが多い。

そこで、記録材の種類に応じて２次転写部の形状（２次転写部の位置）を変更する構成が提案されている（特許文献１）。

特開２０１４−１３４７１８号公報

記録材の中間転写ベルトからの分離性の向上と、記録材の後端部の画像不良の抑制と、を図るためには、特許文献１に記載されるように記録材の種類に応じて２次転写部の形状（２次転写部の位置）を変更することが有効である。この２次転写部の形状（２次転写部の位置）の変更は、内ローラ又は外ローラを移動させて、内ローラの周方向に関する内ローラと外ローラとの相対位置（後述する「オフセット量」）を変更することで行うことができる。

しかしながら、記録材の種類に応じてオフセット量を変更すると、同時に、中間転写ベルトの張架ローラの位置、典型的には、１次転写部から２次転写部までの間で中間転写ベルトにテンションを与えるテンションローラの位置が変化することがある。テンションローラの位置が変わると、中間転写ベルトの回転方向に関する１次転写部から２次転写部までの長さも変わってしまう。その結果、中間転写ベルト上の画像が２次転写部に搬送されるタイミングがずれて、記録材上に形成される画像の先端位置が所望（本来）の位置からずれてしまう現象（ここでは、「先レジずれ」ともいう。）が発生してしまうことがある。先レジずれが発生すると、例えば、画像の先端又は後端が記録材からはみ出したり、プレプリントされた用紙の記入枠に印字する場合などに印字位置が記入枠をはみ出したり枠線に重なったりする可能性がある。

なお、以上では中間転写ベルトから記録材へのトナー像の転写部である２次転写部を例として従来の課題について説明したが、感光体などの他のベルト状の像担持体から記録材へのトナー像の転写部に関しても同様の課題がある。

したがって、本発明の目的は、オフセット量の変更に起因する先レジずれの発生を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。

上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成され画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する、内ローラを含む複数の張架ローラと、前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外ローラと、前記内ローラ又は前記外ローラの少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外ローラとの相対位置を、第１の相対位置と、前記第１の相対位置とは異なる第２の相対位置と、に変更可能な位置変更機構と、前記転写部に記録材を搬送する搬送部材と、前記搬送部材を駆動する搬送駆動部と、を有する画像形成装置において、１枚の記録材に対する画像形成に関して、前記画像形成手段の画像書き出しタイミングから、前記搬送部材による記録材の搬送開始タイミングまでの時間を、前記相対位置を前記第１の相対位置として前記転写を行う場合と、前記相対位置を前記第２の相対位置として前記転写を行う場合と、で変更する制御を実行可能な制御部を有することを特徴とする画像形成装置である。

本発明によると、オフセット量の変更に起因する先レジずれの発生を抑制することができる。

画像形成装置の概略断面図である。 画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。 記録材の搬送姿勢を説明するための２次転写ニップの近傍の概略断面図である。 オフセット機構を説明するための概略側面図である。 オフセット機構を説明するための概略側面図である。 オフセット量と中間転写ベルトの張架状態との関係の一例を説明するための概略断面図である。 実施例１の制御のフローチャート図である。 実施例２の制御のフローチャート図である。

以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。

［実施例１］
１．画像形成装置の全体的な構成及び動作
図１は、本実施例の画像形成装置１００の概略断面図である。本実施例の画像形成装置１００は、中間転写方式を採用したタンデム型の複合機（複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有する。）である。画像形成装置１００は、例えば、外部装置から送信された画像信号に応じて、電子写真方式を用いて紙などのシート状の記録材（転写材、シート材、記録媒体、メディア）Ｐにフルカラー画像を形成することができる。

画像形成装置１００は、複数の画像形成手段として、それぞれイエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ）の画像を形成する４つの画像形成部（ステーション）１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋを有する。これらの画像形成部１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋは、後述する中間転写ベルト２１の略水平に配置される画像転写面の移動方向に沿って一列に配置されている。各画像形成部１０Ｙ、１０Ｍ、１０Ｃ、１０Ｋにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のＹ、Ｍ、Ｃ、Ｋを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部１０は、後述する感光ドラム１（１Ｙ、１Ｍ、１Ｃ、１Ｋ）、帯電器２（２Ｙ、２Ｍ、２Ｃ、２Ｋ）、露光装置３（３Ｙ、３Ｍ、３Ｃ、３Ｋ）、現像器４（４Ｙ、４Ｍ、４Ｃ、４Ｋ）、１次転写ローラ２３（２３Ｙ、２３Ｍ、２３Ｃ、２３Ｋ）、クリーニング装置５（５Ｙ、５Ｍ、５Ｃ、５Ｋ）などを有して構成される。

画像形成部１０には、トナー像を担持する第１の像担持体としての、回転可能なドラム型（円筒形）の感光体（電子写真感光体）である感光ドラム１が設けられている。感光ドラム１は、駆動源としてのドラム駆動モータ１１１ａを備えた駆動手段としてのドラム駆動部１１１（図２）から駆動力が伝達されて、図１中の矢印Ｒ１方向（反時計回り）に回転駆動される。回転する感光ドラム１の表面は、帯電手段としての帯電器（帯電ローラ）２によって所定の極性（本実施例では負極性）の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理時に、帯電器２には、帯電電源（図示せず）により所定の帯電電圧が印加される。帯電処理された感光ドラム１の表面は、露光手段（静電像形成手段）としての露光装置３によって画像信号に応じて走査露光され、感光ドラム１上に静電像（静電潜像）が形成される。本実施例では、露光装置３は、画像信号に応じて変調されたレーザー光を感光ドラム１上に照射するレーザースキャナ装置で構成されている。感光ドラム１上に形成された静電像は、現像手段としての現像器４によって現像剤としてのトナーが供給されて現像（可視化）され、感光ドラム１上にトナー像（現像剤像）が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム１上の露光部（イメージ部）に、感光ドラム１の帯電極性と同極性（本実施例では負極性）に帯電したトナーが付着する（反転現像）。現像器４は、現像剤を担持して感光ドラム１との対向部である現像位置に搬送する、回転可能な現像剤担持体である現像ローラ（図示せず）を有している。現像ローラは、例えば感光ドラム１の駆動系から駆動力が伝達されることによって回転駆動される。また、現像時に、現像ローラには、現像電源（図示せず）により所定の現像電圧が印加される。

４つの感光ドラム１Ｙ、１Ｍ、１Ｃ、１Ｋと対向するように、トナー像を担持する第２の像担持体としての、無端状のベルトで構成された回転可能な中間転写体である中間転写ベルト２１が配置されている。中間転写ベルト２１は、複数の張架ローラ（支持ローラ）としての駆動ローラ２２、上流補助ローラ２５ａ、下流補助ローラ２５ｂ、テンションローラ２４、２次転写前ローラ２９、及び内ローラ２６に掛け回されて、所定の張力で張架されている。駆動ローラ２２は、中間転写ベルト２１に駆動力を伝達する。テンションローラ２４は、中間転写ベルト２１の回転方向（搬送方向、移動方向、走行方向）に関して１次転写ニップＮ１（後述）の下流かつ２次転写ニップＮ２（後述）の上流に配置され、中間転写ベルト２１に所定の張力（テンション）を付与する。２次転写前ローラ２９は、中間転写ベルト２１の回転方向に関して２次転写ニップＮ２の上流近傍の中間転写ベルト２１の面を形成する。内ローラ（２次転写内ローラ、２次転写対向ローラ、内部材）２６は、外ローラ４１（後述）の対向部材（対向電極）として機能する。上流補助ローラ２５ａ、下流補助ローラ２５ｂは、略水平に配置される画像転写面を形成する。駆動ローラ２２は、駆動源としてのベルト駆動モータ１１３ａを備えた駆動手段としての中間転写ベルト駆動部１１３（図２）から駆動力が伝達されて回転駆動される。これにより、中間転写ベルト２１は、駆動ローラ２２から駆動が入力されて、図中矢印Ｒ２方向（時計回り）に回転（周回移動）する。複数の張架ローラのうち駆動ローラ２２以外の張架ローラは、中間転写ベルト２１の回転に伴って従動回転する。中間転写ベルト２１の内周面側には、各感光ドラム１Ｙ、１Ｍ、１Ｃ、１Ｋに対応して、１次転写手段としてのローラ状の１次転写部材である１次転写ローラ２３Ｙ、２３Ｍ、２３Ｃ、２３Ｋが配置されている。１次転写ローラ２３は、中間転写ベルト２１を感光ドラム１に向けて押圧して、感光ドラム１と中間転写ベルト２１との接触部である１次転写部としての１次転写ニップＮ１を形成する。

上述のように感光ドラム１上に形成されたトナー像は、１次転写ニップＮ１において、１次転写ローラ２３の作用によって、回転している中間転写ベルト２１上に１次転写される。１次転写時に、１次転写ローラ２３には、１次転写電源（図示せず）により、トナーの正規の帯電極性（現像時のトナーの帯電極性）とは逆極性（本実施例では正極性）の直流電圧である１次転写電圧が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム１上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト２１上の同一画像形成領域に重ね合わされるようにして順次１次転写される。本実施例では、１次転写ニップＮ１が、中間転写ベルト２１上にトナー像を形成する画像形成位置である。そして、中間転写ベルト２１は、画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトの一例である。

中間転写ベルト２１の外周面側において、内ローラ２６と対向する位置には、２次転写手段としてローラ状の２次転写部材（転写回転体）である外ローラ（２次転写外ローラ、２次転写ローラ、外部材）４１が配置されている。外ローラ４１は、中間転写ベルト２１を介して内ローラ２６に向けて押圧され、中間転写ベルト２１と外ローラ４１との接触部である２次転写部としての２次転写ニップＮ２を形成する。上述のように中間転写ベルト２１上に形成されたトナー像は、２次転写ニップＮ２において、外ローラ４１の作用によって、中間転写ベルト２１と外ローラ４１とに挟持されて搬送されている記録材Ｐ上に２次転写される。本実施例では、２次転写時に、外ローラ４１には、２次転写電源（図示せず）により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性（本実施例では正極性）の直流電圧である２次転写電圧が印加される。本実施例では、内ローラ２６は、電気的に接地（グランドに接続）されている。なお、内ローラ２６を２次転写部材として用いてこれにトナーの正規の帯電極性と同極性の２次転写電圧を印加し、外ローラ４１を対向電極として用いてこれを電気的に接地してもよい。

記録材Ｐは、中間転写ベルト２１上のトナー像とタイミングが合わされて２次転写ニップＮ２へと搬送されてくる。つまり、記録材Ｐは、記録材収納部としての記録材収納庫（カセット）１１に収納されている。この記録材Ｐは、記録材収納庫１１に設けられた給送ローラ１９などの給送部によって記録材収納庫１１から送り出される。この記録材Ｐは、レジスト調整部１２で姿勢を整えられた後に、レジスト調整部１２によって所定のタイミング（後述する「レジＯＮタイミング」）で２次転写ニップＮ２に向けて搬送される。ここで、レジスト調整部１２は、搬送手段としてのローラ状の搬送部材である一対のレジストローラ（レジストローラ対）１３と、レジストローラ１３を駆動する駆動手段としてのレジスト駆動部（搬送駆動部）１１４（図２）と、を備えている。レジストローラ１３がレジスト駆動部１１４により回転駆動されることで、一対のレジストローラ１３の接触部（ニップ部）において記録材Ｐが搬送される。なお、レジスト駆動部１１４は、駆動源としてのレジスト駆動モータ１１４ａを備えており、レジスト駆動部１１４は一対のレジストローラ１３のうち少なくとも一方（両方でもよい）を駆動する。本実施例では、制御部１５０（図２）は、レジＯＮタイミング変更手段として機能して、レジＯＮタイミング、すなわち、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送開始タイミングを変更することが可能である。また、制御部１５０は、レジスト駆動部１１４のレジスト駆動モータ１１４ａの回転数（回転速度）を制御して、レジストローラ１３の回転数（回転速度）を制御することで、２次転写ニップＮ２における記録材Ｐの搬送速度を変更可能であってよい。記録材収納庫１１から給送された記録材Ｐは、レジストローラ１３によって一旦停止させられる。そして、この記録材Ｐは、２次転写ニップＮ２において中間転写ベルト２１上のトナー像と記録材Ｐ上の所望の画像形成領域とが一致するように、レジストローラ１３の回転駆動が開始（再開）されることで、２次転写ニップＮ２に送り込まれる。なお、記録材Ｐの搬送方向に関してレジストローラ１３の下流側近傍には、記録材Ｐ、特に、本実施例では記録材Ｐの先端を検知するための記録材検知手段（記録材検知部）としてのレジストセンサ１８が設けられている。

記録材Ｐの搬送方向に関して、レジストローラ１３よりも下流かつ２次転写ニップＮ２よりも上流には、２次転写ニップＮ２に記録材Ｐを案内するための搬送ガイド２７が設けられている。搬送ガイド２７は、記録材Ｐのオモテ面（搬送ガイド２７を通過した直後にトナー像が転写される面）に接触可能な第１のガイド部材２７ａと、記録材Ｐのウラ面（オモテ面とは反対側の面）に接触可能な第２のガイド部材２７ｂと、を有して構成される。第１のガイド部材２７ａと第２のガイド部材２７ｂとは対向して配置され、これら両部材の間を記録材Ｐが通過する。第１のガイド部材２７ａは、記録材Ｐの中間転写ベルト２１に近づく方向への移動を規制する。第２のガイド部材２７ｂは、記録材Ｐの中間転写ベルト２１から遠ざかる方向への移動を規制する。

トナー像が転写された記録材Ｐは、搬送ベルト１４により定着手段としての定着装置１５へと搬送される。搬送ベルト１４は、搬送駆動モータ（図示せず）により駆動される。搬送ベルト１４の内周面側には、記録材Ｐを吸着するために吸引ファン（図示せず）が配置され、記録材Ｐを搬送ベルト１４に向けて吸着している。定着装置１５は、未定着のトナー像を担持した記録材Ｐを加熱及び加圧することでトナー像を記録材Ｐの表面に定着（溶融、固着）させる。その後、トナー像が定着された記録材Ｐは、排出装置１６によって画像形成装置１００の装置本体１１０の外部（機外）に設けられた排出トレイ１７へと排出（出力）される。

一方、１次転写後に感光ドラム１上に残留したトナー（１次転写残トナー）は、クリーニング手段としてのクリーニング装置５によって感光ドラム１上から除去されて回収される。また、２次転写後に中間転写ベルト２１上に残留したトナー（２次転写残トナー）や記録材Ｐから付着した紙粉などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置２８によって中間転写ベルト２１上から除去されて回収される。

なお、本実施例では、複数の張架ローラに張架された中間転写ベルト２１、各１次転写ローラ２３、ベルトクリーニング装置２８、これらを支持するフレームなどを有して、ベルト搬送装置としての中間転写ベルトユニット２０が構成されている。中間転写ベルトユニット２０は、メンテナンス又は交換のために装置本体１１０に対して着脱可能とされている。

２．オフセット
図３は、２次転写ニップＮ２の近傍での記録材Ｐの挙動を説明するための模式的な断面図（内ローラ２６の回転軸線方向と略直交する断面）である。なお、図３において、本実施例の画像形成装置１００のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付している。

本実施例では外ローラ４１は、その回転軸線方向の両端部が軸受４３によって回転可能に支持されている。軸受４３は、内ローラ２６に向かう方向及びその反対方向にスライド移動可能とされている。軸受４３は、装置本体１１０のフレームなどに支持されている。軸受４３は、付勢手段としての付勢部材（弾性部材）である圧縮ばねで構成された押圧ばね４４によって内ローラ２６に向かって押圧される。これにより、外ローラ４１は、中間転写ベルト２１を挟んで内ローラ２６に対して所定の圧力で当接し、２次転写ニップＮ２を形成する。また、本実施例では、外ローラ４１は、中間転写ベルト２１の回転に伴って従動回転する。ここで、内ローラ２６を含む中間転写ベルト２１の張架ローラ、外ローラ４１のそれぞれの回転軸線方向は互いに略平行である。

前述のように、２次転写ニップＮ２の形状（２次転写ニップＮ２の位置）や記録材Ｐの剛度によって、記録材Ｐの搬送方向に関する２次転写ニップＮ２の上流近傍や下流近傍での記録材Ｐの挙動が変わる。例えば、記録材Ｐが、剛度の小さい記録材Ｐの一例である「薄紙」の場合に、中間転写ベルト２１からの記録材Ｐの分離不良によりジャム（紙詰まり）が発生することがある。この現象は、記録材Ｐのコシが弱いことによって記録材Ｐが中間転写ベルト２１に貼り付きやすくなるため、記録材Ｐの剛度が小さい場合に顕著となる。

つまり、図３に示す断面において、内ローラ２６と２次転写前ローラ２９とで張架されて形成される中間転写ベルト２１の張架面を示す線をニップ前張架線Ｔとする。なお、２次転写前ローラ２９は、複数の張架ローラのうち内ローラ２６よりも中間転写ベルト２１の回転方向に関して上流で内ローラ２６に隣接して配置された上流ローラの一例である。また、同断面において、内ローラ２６の回転中心と外ローラ４１の回転中心とを通る直線をニップ中心線Ｌｃとする。また、同断面において、ニップ中心線Ｌｃと略直交する線をニップ線Ｌｎとする。なお、図３は、ニップ前張架線Ｔに沿う方向に関して内ローラ２６の回転中心よりも外ローラ４１の回転中心の方が中間転写ベルト２１の回転方向の上流側にオフセットされて配置された状態を示している。

このとき、記録材Ｐは、２次転写ニップＮ２で内ローラ２６と外ローラ４１との間に挟持された状態では、ほぼニップ線Ｌｎに沿って姿勢を保とうとする傾向がある。そのため、概して、ニップ前張架線Ｔに沿う方向に関して内ローラ２６の回転中心と外ローラ４１の回転中心とが近い場合には、図３中の破線Ａで示すように、記録材Ｐの排出角度θａが小さくなる。つまり、記録材Ｐの先端は、２次転写ニップＮ２から排出される際に、中間転写ベルト２１の近くに排出されるような姿勢となる。これにより、記録材Ｐが中間転写ベルト２１に貼り付きやすくなる。これに対し、ニップ前張架線Ｔに沿う方向に関して内ローラ２６の回転中心よりも外ローラ４１の回転中心の方が中間転写ベルト２１の回転方向の上流側に配置されるほど、図３中の実線で示すように、記録材Ｐの排出角度θｂが大きくなる。つまり、記録材Ｐの先端は、２次転写ニップＮ２から排出される際に、中間転写ベルト２１から離れる方向に排出されるような姿勢となる。これにより、記録材Ｐは中間転写ベルト２１に貼り付きにくくなる。

一方、前述のように、例えば、記録材Ｐが、剛度の大きい記録材Ｐの一例である「厚紙」の場合には、記録材Ｐの後端が搬送ガイド２７を抜けた際に、記録材Ｐの後端部が中間転写ベルト２１に衝突することがある。これにより、記録材Ｐの後端部に画像不良が発生することがある。この現象は、記録材Ｐのコシが強いことによって記録材Ｐの後端部が強い勢いで中間転写ベルト２１に衝突しやすくなるため、記録材Ｐの剛度が大きい場合に顕著となる。

つまり、上述のように、図３に示す断面において、記録材Ｐは、２次転写ニップＮ２で内ローラ２６と外ローラ４１との間に挟持された状態では、ほぼニップ線Ｌｎに沿って姿勢を保とうとする傾向がある。そのため、ニップ前張架線Ｔに沿う方向に関して内ローラ２６の回転中心よりも外ローラ４１の回転中心の方が中間転写ベルト２１の回転方向の上流側に配置されるほど、ニップ線Ｌｎはニップ前張架線Ｔに食い込むような形となる。その結果、記録材Ｐの後端が搬送ガイド２７を抜けた際に、図３中の破線Ｂで示すように、記録材Ｐの後端部が中間転写ベルト２１に衝突するようになり、記録材Ｐの後端部に画像不良が発生しやすくなる。これに対して、ニップ前張架線Ｔに沿う方向に関して内ローラ２６の回転中心と外ローラ４１の回転中心とを近くすれば、記録材Ｐの後端が搬送ガイド２７から抜けた際に中間転写ベルト２１に衝突することは抑制される。これにより、記録材Ｐの後端部の画像不良は発生しにくくなる。

したがって、記録材Ｐの中間転写ベルト２１からの分離性の向上と、記録材Ｐの後端部の画像不良の抑制と、を図るためには、次のようにすることが有効となる。記録材Ｐの種類に応じて、内ローラ２６の周方向（中間転写ベルト２１の回転方向）に関する内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置を変更し、２次転写ニップＮ２の形状（２次転写ニップＮ２の位置）を変更することである。

図３を参照して、この内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置を示すオフセット量Ｘの定義について説明する。図３に示す断面において、中間転写ベルト２１が掛け回される側の内ローラ２６と２次転写前ローラ２９との共通の接線を基準線Ｌ１とする。基準線Ｌ１は、上記ニップ前張架線Ｔに対応する。また、同断面において、内ローラ２６の回転中心を通り基準線Ｌ１と略直交する直線を内ローラ中心線Ｌ２とする。また、同断面において、外ローラ４１の回転中心を通り基準線Ｌ１と略直交する直線を外ローラ中心線Ｌ３とする。このとき、内ローラ中心線Ｌ２と外ローラ中心線Ｌ３との間の距離（垂直距離）をオフセット量Ｘ（Ｌ３がＬ２よりも中間転写ベルト２１の回転方向上流側にあるときを正の値とする）と定義する。オフセット量Ｘは、負の値、０、正の値をとることができる。オフセット量Ｘを大きくすることで、中間転写ベルト２１の回転方向に関する２次転写ニップＮ２の幅が中間転写ベルト２１の回転方向の上流側に広がる。つまり、内ローラ２６と中間転写ベルト２１との接触領域の中間転写ベルト２１の回転方向の上流側の端部よりも、外ローラ４１と中間転写ベルト２１との接触領域の中間転写ベルト２１の回転方向の上流側の端部の方がより上流側に位置するようになる。このように、内ローラ２６又は外ローラ４１の少なくとも一方の位置を変更して、内ローラ２６の周方向に関する内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置を変更させて、２次転写ニップ（転写部）Ｎ２の位置を変更可能である。

ここで、図３においては、外ローラ４１は仮想的に基準線Ｌ１（ニップ前張架線Ｔ）に対して変形せずに接するように表されている。しかし、外ローラ４１の最外層の材質はゴムやスポンジなどの弾性体であり、実際には押圧ばね４４によって内ローラ２６に向かう方向に押圧されて変形している。外ローラ４１が、内ローラ２６に対して中間転写ベルト２１の回転方向の上流側にオフセットされて配置され、内ローラ２６との間で中間転写ベルト２１を挟持するように押圧ばね４４によって押圧されると、略Ｓ字形状の２次転写ニップＮ２が形成される。そして、搬送ガイド２７にガイドされて送られてくる記録材Ｐの姿勢もその２次転写ニップＮ２の形状にならって決定される。オフセット量Ｘが大きくなるほど、記録材Ｐの屈曲量が増加する。そのため、例えば記録材Ｐが「薄紙」の場合には、オフセット量Ｘを大きくすることで、２次転写ニップＮ２を通過した後の記録材Ｐの中間転写ベルト２１からの分離性を向上させることができる。しかし、オフセット量Ｘが大きいと、記録材Ｐの屈曲量が大きいことで、例えば記録材Ｐが「厚紙」の場合には、記録材Ｐの後端が搬送ガイド２７を抜けた際に記録材Ｐの後端部の中間転写ベルト２１への衝突が発生しやすくなる。これにより、記録材Ｐの後端部の画質を低下させる要因となるが、この場合にはオフセット量Ｘを小さくすればよい。

本実施例では、画像形成装置１００は、内ローラ２６又は外ローラ４１の少なくとも一方の位置を変更してオフセット量Ｘを変更する。特に、本実施例では、画像形成装置１００は、内ローラ２６の位置を変更してオフセット量Ｘを変更する。また、本実施例では、画像形成装置１００は、記録材Ｐの剛度と関連する記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材（紙）Ｐの坪量の情報に基づいて、オフセット量Ｘを変更する。例えば記録材Ｐが「薄紙」の場合には、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１となる第１の内ローラ位置に内ローラ２６を配置する。そして、例えば記録材Ｐが「厚紙」の場合には、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１よりも小さい第２のオフセット量Ｘ２となる第２の内ローラ位置に内ローラ２６を配置する。第１のオフセット量Ｘ１は、典型的には正の値であり、第２のオフセット量Ｘ２は、正の値、０、負の値であってよい。本実施例では、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１の場合の内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置が第１の相対位置であり、オフセット量Ｘが第２のオフセット量Ｘ２の場合の内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置が第２の相対位置である。すなわち、本実施例では、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１の場合の２次転写ニップＮ２の位置が転写部の第１の位置であり、オフセット量Ｘが第２のオフセット量Ｘ２の場合の２次転写ニップＮ２の位置が転写部の第２の位置である。

３．オフセット機構
次に、本実施例におけるオフセット機構１０１について説明する。ここでは、剛度の小さい記録材Ｐの一例として「薄紙」、剛度の大きい記録材Ｐの一例として「厚紙」を用いるものとする。図４（ａ）、（ｂ）は、本実施例における２次転写ニップＮ２の近傍を内ローラ２６の回転軸線方向の一端部側（図１の紙面手前側）から該回転軸線方向と略平行に見た要部の概略側面図である。図４（ａ）は、２次転写ニップＮ２を通過する記録材Ｐの条件が「薄紙」の場合の状態、図４（ｂ）は「厚紙」の場合の状態を示している。

図４（ａ）、（ｂ）に示すように、本実施例では、画像形成装置１００は、オフセット量変更手段としてのオフセット量変更機構（以下、単に「オフセット機構」ともいう。）１０１を有する。本実施例では、オフセット機構１０１は、位置変更手段（位置変更機構）として機能し、外ローラ４１に対する内ローラ２６の相対位置を変更して、オフセット量Ｘを変更する。図４（ａ）、（ｂ）には、内ローラ２６の回転軸線方向の一端部の構成を示しているが、他端部の構成も同様（内ローラ２６の回転軸線方向の中央に対し略対称）である。

内ローラ２６の回転軸線方向の両端部は、支持部材としての内ローラホルダ３８によって回転可能に支持されている。内ローラホルダ３８は、内ローラ回動軸３８ａを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット２０のフレームなどに支持されている。このように、内ローラホルダ３８を内ローラ回動軸３８ａの周りに回動させて内ローラ２６を内ローラ回動軸３８ａの周りに回動させることで、外ローラ４１に対する内ローラ２６の相対位置を変更してオフセット量Ｘを変更することができるようになっている。

内ローラホルダ３８は、作動部材としてのオフセットカム３９の作用により回動するように構成されている。オフセットカム３９は、オフセットカム回動軸３９ａを中心に回動可能なように、中間転写ベルトユニット２０のフレームなどに支持されている。オフセットカム３９は、駆動源としてのオフセットカム駆動モータ１０１ａからの駆動を受けてオフセットカム回動軸３９ａを中心に回動可能である。また、オフセットカム３９は、内ローラホルダ３８に設けられたオフセットカムフォロワ（アーム部）３８ｃと接触している。また、後述するように、内ローラホルダ３８は、オフセットカムフォロワ３８ｃがオフセットカム３９と接する方向に回動するように、中間転写ベルト２１のテンションによって付勢されている。ただし、これに限定されるものではなく、オフセットカムフォロワ３８ｃがオフセットカム３９と接する方向に回動するように、付勢手段としての付勢部材（弾性部材）であるばねなどで内ローラホルダ３８を付勢してもよい。

また、本実施例では、画像形成装置１００には、内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置（本実施例では内ローラ２６の位置）を検知する検知手段として、オフセットカム３９の回動方向の位置を検知するオフセットカム位置センサ３７が設けられている。オフセットカム位置センサ３７は、例えば、オフセットカム３９に設けられた又はオフセットカム３９と同軸上に設けられた指示部としてのフラグ、検知部としてのフォトインタラプタなどを有して構成される。

以上のように、本実施例では、内ローラホルダ３８、オフセットカム３９、オフセットカム駆動モータ１０１ａ、オフセットカム位置センサ３７などを有してオフセット機構１０１が構成されている。

図４（ａ）に示すように、「薄紙」の場合には、オフセットカム３９がオフセットカム駆動モータ１０１ａによって駆動されて、例えば反時計回りに回動する。これにより、内ローラ回動軸３８ａを中心に時計回りに内ローラホルダ３８が回動して、外ローラ４１に対する内ローラ２６の相対位置が決められる。これにより、オフセット量Ｘが相対的に大きい第１のオフセット量Ｘ１である第１の内ローラ位置に、内ローラ２６が配置された状態となる。この状態では、２次転写ニップＮ２内で記録材Ｐが屈曲しやすくなるため、前述のように２次転写ニップＮ２を通過した後の「薄紙」の中間転写ベルト２１からの分離性が向上する。

図４（ｂ）に示すように、「厚紙」の場合には、オフセットカム３９がオフセットカム駆動モータ１０１ａによって駆動されて、例えば時計回りに回動する。これにより、内ローラ回動軸３８ａを中心に反時計回りに内ローラホルダ３８が回動して、外ローラ４１に対する内ローラ２６の相対位置が決められる。これにより、オフセット量Ｘが相対的に小さい第２のオフセット量Ｘ２である第２の内ローラ位置に、内ローラ２６が配置された状態となる。この状態では、２次転写ニップＮ２内での記録材Ｐの屈曲を低減することができるため、前述のように、「厚紙」の後端部の画質の低下を抑制することができる。

本実施例では、記録材Ｐの坪量Ｍ（ｇｓｍ）に基づいて、オフセット量Ｘ（Ｘ１、Ｘ２）が、例えば次のような２パターンとなるように設定されている。ここで、ｇｓｍはｇ／ｍ^２を意味する。
（ａ）Ｍ≦３００ｇｓｍ：Ｘ１＝＋２．５ｍｍ
（ｂ）Ｍ＞３００ｇｓｍ：Ｘ２＝−１．０ｍｍ

本実施例では、図４（ａ）に示す上記設定（ａ）における内ローラ２６の位置（内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置）が内ローラ２６（内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置）のホームポジションである。ここで、ホームポジションとは、画像形成装置１００がスリープ状態（後述）又は主電源がＯＦＦされた状態のときの位置のことをいう。ただし、これに限定されるものではなく、図４（ｂ）に示す上記設定（ｂ）における内ローラ２６の位置を同様に内ローラ２６のホームポジションとしてもよい。

さらに、オフセット量Ｘ、及び各オフセット量Ｘに割り当てる記録材Ｐの種類（ここでは、記録材Ｐの坪量）も、上述の具体例に限定されるものではない。これらは、前述したような記録材Ｐの中間転写ベルト２１からの分離性の向上や２次転写ニップＮ２の近傍で発生する画像不良の抑制の観点から、実験などを通して適宜設定することができる。例えば、本実施例の構成では、オフセット量Ｘは、−３ｍｍ〜＋３ｍｍ程度が好適である。また、オフセット量Ｘのパターンは２パターンであることに限定されるものではなく、３パターン以上が設定されていてもよい。そして、本実施例に準じて、記録材Ｐの剛度と関連する記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量の情報などに基づいて、３パターン以上の設定から適切な設定を選択するようにすることができる。

本実施例では、図４に示す断面において、内ローラホルダ３８は、中間転写ベルト２１のテンションによって、内ローラ回動軸３８ａを中心に反時計回りのモーメントが常に加えられている。つまり、本実施例では、内ローラホルダ３８は、中間転写ベルト２１のテンションによって、オフセットカムフォロワ３８ｃがオフセットカム３９と係合するように回動する方向のモーメントが常に加えられている。また、図４に示す断面において、内ローラ回動軸３８ａは、内ローラ２６の回転中心と外ローラ４１の回転中心とを結んだ直線（ニップ中心線）Ｌｃに対して、記録材Ｐの搬送方向の下流側に配置されている。これにより、外ローラ４１が中間転写ベルト２１を介して内ローラ２６に当接させられている場合、内ローラホルダ３８が外ローラ４１から受ける反力も、図４中の反時計回りのモーメントとなる。このような構成により、別途ばねなどの付勢部材を用いることなく、カム機構を構成することができる。

また、中間転写ベルト２１の交換などのために、中間転写ベルトユニット２０に対して中間転写ベルト２１を装着する又は取り外す操作の作業性を阻害しないように、内ローラホルダ３８は中間転写ベルト２１の張架面の内側に配置することが望ましい。そのため、図４に示す断面において、内ローラ回動軸３８ａは、上記直線（ニップ中心線）Ｌｃと、ニップ後張架線Ｕとの間の領域Ａに配置することが望ましい。ここで、ニップ後張架線Ｕは、図４に示す断面において、内ローラ２６と駆動ローラ２２（図１参照）とで張架されて形成される中間転写ベルト２１の張架面を示す線である。なお、駆動ローラ２２は、複数の張架ローラのうち内ローラ２６よりも中間転写ベルト２１の回転方向に関して下流で内ローラ２６に隣接して配置された下流ローラの一例である。

図５は、内ローラホルダ３８の近傍を内ローラ２６の回転軸線方向の一端部側（図１の紙面手前側）から該回転軸線方向と略平行に見た概略側面図である。図５中の二点鎖線で示した状態が、「厚紙」の場合の位置に内ローラ２６がある状態である。この状態で、内ローラホルダ３８は、中間転写ベルト２１のテンションと外ローラ４１から受ける反力により、内ローラ回動軸３８ａを中心に反時計回りのモーメントを受ける。また、内ローラホルダ３８に設けられた、内ローラ２６と同軸円筒状の突き当て部３８ｂが第２の位置決め部４０ｂに突き当たる。これにより、第２のオフセット量Ｘ２（＝−１．０ｍｍ）の位置に内ローラ２６が位置決めされる。また、図５中の実線で示した状態が、ホームポジションに対応する「薄紙」の場合の位置に内ローラ２６がある状態である。オフセットカム３９が回転することで、オフセットカム３９が内ローラホルダ３８のアーム部３８ｃに接触してこれを押圧することで、内ローラホルダ３８が内ローラ回動軸３８ａを中心に時計回りに回動する。そして、突き当て部３８ｂが第１の位置決め部４０ａに突き当たる。これにより、第１のオフセット量Ｘ１（＝＋２．５ｍｍ）の位置に内ローラ２６が位置決めされる。なお、第１、第２の位置決め部４０ａ、４０ｂは、中間転写ベルトユニット２０のフレームなどに設けられている。

４．オフセット量Ｘの変更と先レジずれ
次に、前述した、オフセット量Ｘの変更に伴う先レジずれについて更に説明する。図６は、本実施例における、オフセット量Ｘが異なる場合の中間転写ベルト２１の張架状態を示す、中間転写ベルトユニット２０の概略断面図（内ローラ２６の回転軸線方向と略直交する断面）である。図６中の実線は、内ローラ２６が第１のオフセット量Ｘ１の位置にある場合の張架状態、二点鎖線は内ローラ２６が第２のオフセット量Ｘ２の位置にある場合の張架状態を示している。

本実施例では、テンションローラ２４は、付勢手段（テンション付与部材）としての付勢部材（弾性部材）である圧縮ばねで構成されたテンションバネ２４ａからの付勢力を受ける。また、本実施例では、テンションローラ２４は、テンションバネ２４ａの付勢方向に沿う方向（図６中の矢印Ｓ方向）に移動可能なように支持されている。これにより、テンションローラ２４は、中間転写ベルト２１をその内周面側から外周面側に向けて押圧して、中間転写ベルト２１に対して所定のテンションを付与する。そのため、本実施例では、矢印Ｓ方向に関して、テンションバネ２４ａの付勢力が中間転写ベルト２１から受ける反力と釣り合う位置で、テンションローラ２４の位置が決まる。

なお、テンションローラ２４を移動可能に支持する構成は、中間転写ベルトユニット２０のフレームなどに設けられている。本実施例では、テンションローラ２４の回転軸線方向の両端部は、それぞれ軸受部材（図示せず）によって回転可能に支持されている。各軸受部材は、それぞれテンションバネ２４ａによる付勢方向に沿う方向（図６中の矢印Ｓ方向）にスライド移動可能なように、中間転写ベルトユニット２０のフレームに保持されている。そして、軸受部材と中間転写ベルト２０のフレームとの間に圧縮した状態で取り付けられたテンションバネ２４ａによって、軸受部材を介してテンションローラ２４が中間転写ベルト２１の内周面側から外周面側に向けて付勢されている。

オフセット量Ｘの変更に伴い、内ローラ２６の位置が移動した場合には、図６に示すように、中間転写ベルト２１の回転方向に関して内ローラ２６よりも上流及び下流にそれぞれ配置された張架ローラと内ローラ２６との間での中間転写ベルト２１の張架形態や、張架ローラ間の中間転写ベルト２１の周方向の長さが変化する。例えば、内ローラ２６と、内ローラ２６から見て中間転写ベルト２１の回転方向に関して１つ下流の張架ローラである駆動ローラ２２と、の間の中間転写ベルト２１の周方向の長さをＬｄとする。そして、内ローラ２６が第１のオフセット量Ｘ１の位置にある場合（図６中の実線）のＬｄをＬｄ１、内ローラ２６が第２のオフセット量Ｘ２の位置にある場合（図６中の二点鎖線）のＬｄをＬｄ２とする。このとき、本実施例の構成では、Ｌｄ１の方がＬｄ２よりも長くなる（Ｌｄ１＞Ｌｄ２）。これは、本実施例の構成では、第１のオフセット量Ｘ１の場合には、第２のオフセット量Ｘ２の場合と比較して、内ローラ２６が図６中の左方向（中間転写ベルト２１の外周面側に向かう方向）に移動した位置に配置され、Ｌｄが長くなるためである。

一方、中間転写ベルト２１の周長は一定であり、かつ、中間転写ベルト２１には上述のようにテンションローラ２４によって一定のテンションがかけられている。そのため、Ｌｄが変化した場合には、テンションが釣り合う位置が変化し、テンションローラ２４が移動する。すなわち、オフセット量Ｘの変更に伴って、テンションローラ２４の位置が変わることになる。本実施例の構成では、第１のオフセット量Ｘ１の場合（図６中の実線）には、第２のオフセット量Ｘ２の場合（図６中の二点鎖線）と比較して、テンションローラ２４の位置は図６中の左方向（中間転写ベルト２１の内周面側に向かう方向）に移動した位置に決まる。これは、上述のようにそれぞれのオフセット量Ｘの条件でＬｄが変化した分、内ローラ２６よりも中間転写ベルト２１の回転方向に関して上流側のローラと、内ローラ２６と、の間の中間転写ベルト２１の周方向の長さが変化するためである。本実施例の構成では、第１のオフセット量Ｘ１の場合（図６中の実線）には、第２のオフセット量Ｘ２の場合（図６中の二点鎖線）と比較して、該上流側ローラと、内ローラ２６と、の間の中間転写ベルト２１の周方向の長さは短くなる。つまり、ブラック用の１次転写ニップＮ１Ｋから、２次転写ニップＮ２までの、中間転写ベルト２１の周方向に沿った長さをＬｔとする。そして、内ローラ２６が第１のオフセット量Ｘ１の位置にある場合（図６中の実線）のＬｔをＬｔ１、内ローラ２６が第２のオフセット量Ｘ２の位置にある場合（図６中の二点鎖線）のＬｔをＬｔ２とする。このとき、本実施例の構成では、Ｌｔ１の方がＬｔ２よりも短くなる。

Ｌｔの長さが異なれば、ブラック用の１次転写ニップＮ１Ｋで中間転写ベルト２１に１次転写されたトナー像が、２次転写ニップＮ２で記録材Ｐに２次転写されるまでに要する時間も異なる。つまり、オフセット量Ｘの変更により、結果として、記録材Ｐの搬送方向に関する記録材Ｐ上に形成されるトナー像の先端位置（ここでは、「先レジ位置」ともいう。）が、所望（本来）の位置からずれてしまう。なお、先レジ位置は、より詳細には、記録材Ｐ上の画像形成領域（トナー像が形成され得る領域）の先端位置で代表される。こうして、記録材上に形成される画像の先端位置が所望（本来）の位置からずれてしまう現象（先レジずれ）が発生する。

上述のように、本実施例の構成では、Ｌｔ１＜Ｌｔ２である。そのため、第１のオフセット量Ｘ１の場合の方が第２のオフセット量Ｘ２の場合よりも、先レジ位置は記録材Ｐの搬送方向に関して下流側にずれることになる。つまり、オフセット量Ｘに応じた先レジ位置のずれ量（ここでは、「先レジずれ量」ともいう。）をΔＲ（Ｘ）（単位（ｍｍ））とする。そして、第１のオフセット量Ｘ１の場合の先レジずれ量をΔＲ（Ｘ１）、第２のオフセット量Ｘ２の場合の先レジずれ量をΔＲ（Ｘ２）とする。本実施例の構成では、実験データに基づいて求められた、オフセット量Ｘに応じた先レジずれ量ΔＲ（Ｘ）は、
ΔＲ（Ｘ１）＝０
ΔＲ（Ｘ２）＝１．５４
である。

ここで、ΔＲ（Ｘ１）＝０となっているのは、本実施例の構成では第１のオフセット量Ｘ１の場合の内ローラ２６の位置が内ローラ２１のホームポジションであり、この条件における先レジ位置を基準として先レジずれ量ΔＲ（Ｘ）を定義しているからである。また、先レジずれ量ΔＲ（Ｘ）は、記録材Ｐの搬送方向に関して上流側へのずれを正方向としている。本実施例の構成とは異なり、仮に第２のオフセット量Ｘ２の場合の内ローラ２６の位置を内ローラ２６のホームポジションとした場合には、先レジずれ量ΔＲ（Ｘ）は上記とは相対的に値が変わり、ΔＲ（Ｘ１）＝−１．５４、ΔＲ（Ｘ２）＝０となる。また、ここでは、簡単のため、ブラック用の１次転写ニップＮ１Ｋで１次転写されたトナー像、すなわち、ブラックの画像を例として先レジずれ量に関して説明した。他の色用の１次転写ニップＮ１（Ｎ１Ｙ、Ｎ１Ｍ、Ｎ１Ｃ）で１次転写されたトナー像に関しても、オフセット量Ｘの変更によって生じる先レジずれ量は同じであるため、重複する説明は省略する。

以上のように、オフセット量Ｘによって先レジ位置が異なる。オフセット量Ｘによって１次転写ニップＮ１から２次転写ニップＮ２までの中間転写ベルト２１の周方向の長さが異なり、記録材Ｐに２次転写される画像の先レジ位置がずれるためである。

そこで、本実施例の画像形成装置１００は、オフセット量Ｘに応じて、レジストローラ１３による記録材Ｐの２次転写ニップＮ２への搬送開始タイミング（ここでは、「レジＯＮタイミング」ともいう。）を変更する。これにより、本実施例の画像形成装置１００は、オフセット量Ｘの変更に起因する２次転写ニップＮ２における先レジずれを抑制する。なお、本実施例では、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度（レジストローラ１３の周速度で代表）は、オフセット量Ｘによらずに一定であるものとする。

本実施例の構成では、第１のオフセット量Ｘ１の場合と比較して、第２のオフセット量Ｘ２の場合には、記録材Ｐ上の先レジ位置がΔＲ（Ｘ２）−ΔＲ（Ｘ１）だけ記録材Ｐの搬送方向に関して上流側にずれる。ここで、オフセット量Ｘに応じたレジＯＮタイミングをＲｔ（Ｘ）（単位（ｓ））とする。そして、第１のオフセット量Ｘ１の場合のレジＯＮタイミングをＲｔ（Ｘ１）、第２のオフセット量Ｘ２の場合のレジＯＮタイミングをＲｔ（Ｘ２）とする。また、中間転写ベルト２１の搬送速度をＶＩ（単位（ｍｍ／ｓ））とする。なお、本実施例では、中間転写ベルト２１の搬送速度（駆動ローラ２２の周速度で代表）ＶＩは、画像形成装置１００のプロセススピードに相当する。このとき、本実施例では、オフセット量Ｘを第１のオフセット量Ｘ１から第２のオフセット量Ｘ２に切り替えた場合には、（Ｒｔ（Ｘ２）−Ｒｔ（Ｘ１））／ＶＩだけレジＯＮタイミングを遅くする。これにより、先レジずれを抑制することができる。つまり、中間転写ベルト２１上の画像形成領域の先端が２次転写ニップＮ２に到達するタイミングと、記録材Ｐ上の画像形成領域の先端が２次転写ニップＮ２に到達するタイミングと、を合わせることができる。なお、本実施例では、ＶＩは４３０（ｍｍ／ｓ）である。そのため、本実施例では、オフセット量Ｘを第１のオフセット量Ｘ１から第２のオフセット量Ｘ２に切り替えた場合には、レジＯＮタイミングを（Ｒｔ（Ｘ２）−Ｒｔ（Ｘ１））／ＶＩ＝３．５４×１０^−３（ｓ）だけ遅くすればよい。

５．制御態様
図２は、本実施例の画像形成装置１００の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。画像形成装置１００は、制御手段としての制御部１５０を有する。制御部１５０は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのＣＰＵ１５１、記憶手段としてのＲＯＭ、ＲＡＭなどのメモリ（記憶媒体）１５２、インターフェース（Ｉ／Ｆ）部１５３などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるＲＡＭには、制御部１５０に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ＲＯＭには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。ＣＰＵ１５１とメモリ１５２とは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。インターフェース部１５３は、制御部１５０とこれに接続された機器との間の信号の入出力（通信）を制御する。

制御部１５０には、画像形成装置１００の各部（画像形成部１０、中間転写ベルト２１及び記録材Ｐの搬送に関する部材の駆動装置、各種電源など）が接続されている。例えば、制御部１５０には、ドラム駆動部１１１、露光装置（レーザースキャナ装置）３、中間転写ベルト駆動部１１３、レジスト駆動部１１４、オフセット機構１０１、各種高圧電源（帯電電圧、現像電圧、１次転写電圧、２次転写電圧）などが接続されている。また、制御部１５０には、オフセットカム位置センサ３７などの各種センサの検知結果を示す信号（出力値）が入力される。オフセットカム位置センサ３７の出力値、すなわち、内ローラ２６の位置（内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置）に関する情報は、メモリ１５２に記憶される。また、制御部１５０には、画像形成装置１００に設けられた操作部（操作パネル）１６０が接続されている。操作部１６０は、制御部１５０の制御によって情報を表示する表示手段、及びユーザやサービス担当者などの操作者による操作によって制御部１５０に情報を入力する入力手段を有する。操作部１６０は、表示手段及び入力手段の機能を有するタッチパネルを有して構成されていてよい。また、制御部１５０には、画像形成装置１００に設けられるか又は画像形成装置１００に接続された画像読取装置（図示せず）や、画像形成装置１００に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置２００が接続されていてよい。

制御部１５０は、ジョブの情報に基づいて画像形成装置１００の各部を制御して画像形成を行なわせる。ジョブの情報は、操作部１６０や外部装置２００から入力される、開始指示（開始信号）や、記録材Ｐの種類などの印刷動作条件に関する情報（指令信号）を含む。なお、記録材の種類に関する情報（単に「記録材に関する情報」ともいう。）とは、普通紙、上質紙、光沢紙、コート紙、エンボス紙、厚紙、薄紙などの一般的な特徴に基づく属性（いわゆる、紙種カテゴリー）、坪量、厚さ、サイズなどの数値や数値範囲、あるいは銘柄（メーカー、品番などを含む。）などの、記録材を区別可能な任意の情報を包含するものである。本実施例では、記録材Ｐの種類に関する情報は、記録材Ｐの剛度と関連する記録材Ｐの種類に関する情報、特に、一例として記録材Ｐの坪量の情報を含むものとする。操作部１６０から印刷動作条件に関する情報が入力される場合は、操作部１６０が、トナー像を転写する記録材Ｐの坪量に関する情報を制御部１５０に入力する入力部として機能する。また、パーソナルコンピュータなどの外部装置２００から印刷動作条件に関する情報が入力される場合は、インターフェース部１５３が、トナー像を転写する記録材Ｐの坪量に関する情報を制御部１５０に入力する入力部として機能する。

本実施例では、より詳細には、制御部１５０には、画像形成装置１００に設けられた図示しないコントローラ（ビデオコントローラ）を介して外部装置２００などからジョブの情報が入力される。コントローラは、ジョブの情報を解析し、印刷動作条件の情報、ビットマップデータに展開した画像情報（ビデオ信号）を、それぞれ制御部１５０に入力する。制御部１５０は、コントローラから入力された印刷動作条件の情報、画像情報に基づいて、画像形成装置１００の各部を統括制御する。本実施例では、制御部１５０は、コントローラからジョブの開始指示（印刷開始コマンド）を受信すると、コントローラにビデオ信号の出力の基準タイミングとなる／ＴＯＰ信号及び／ＢＤ信号を出力する。／ＴＯＰ信号は、ビデオ信号を出力する際の副走査方向の基準となる信号であり、／ＢＤ信号は、ビデオ信号を出力する際の主走査方向の基準となる信号である。すなわち、／ＴＯＰ信号が入力されるごとに新たなページに印刷するためのビデオ信号の出力が開始される。また、／ＢＤ信号が入力されるごとに主走査方向の１ライン分のビデオ信号の出力が開始される。このように、／ＴＯＰ信号は、画像を形成する際の副走査方向の同期信号に対応し、この／ＴＯＰ信号に応じて画像制御部１０による画像の形成が開始される。

本実施例では、コントローラから制御部１５０にジョブの開始指示が入力されたタイミング（コントローラが制御部１５０にジョブの開始指示を出力したタイミング）で、記録材収納庫１１に収容された記録材Ｐが給送ローラ１９などによって給送される。この記録材Ｐは、レジストローラ１３によって更に２次転写ニップＮ２に向けて搬送される。そして、この記録材Ｐの先端がレジストセンサ１８によって検知されると、レジストローラ１３は一時停止されて、記録材Ｐは待機状態となる。また、制御部１５０は、レジストセンサ１８が出力する記録材Ｐの先端の検知信号に同期して、／ＴＯＰ信号をコントローラに出力する。コントローラは、／ＴＯＰ信号に同期して、画像情報を制御部１５０に出力する。そして、制御部１５０は、この画像情報に応じて露光装置３による露光を開始する。また、制御部１５０は、／ＴＯＰ信号から予め決められた時間が経過したタイミングで、レジストローラ１３の回転駆動を開始（再開）して、待機状態にある記録材Ｐを２次転写ニップＮ２へと搬送する。本実施例では、／ＴＯＰ信号は、レジセンサ１８の検知信号に基づいて生成されるが、これに限定されるものではなく、画像形成工程の開始の基準タイミング信号として使用できるように生成されるものであればよい。つまり、本実施例では、／ＴＯＰ信号の生成タイミングを、画像形成工程の開始タイミング（画像形成手段の画像書き出しタイミング）、より詳細には露光装置３の露光開始タイミングと見なすことができる。この露光装置３の露光開始タイミングは、１枚の記録材Ｐに対する全面ベタ画像（画像形成領域の全域が最高濃度レベルの画像）の形成時における画像の先端の書き出しタイミングに対応する。

ここで、画像形成装置１００は、１つの開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Ｐに画像を形成して出力する一連の動作であるジョブ（印刷ジョブ、プリントジョブ）を実行する。ジョブは、一般に、画像形成工程（印刷動作、プリント動作、画像形成動作）、前回転工程、複数の記録材Ｐに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Ｐに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の１次転写、２次転写を行う期間であり、画像形成時（画像形成期間）とはこの期間のことをいう。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の記録材Ｐに対する画像形成を連続して行う際（連続画像形成）の記録材Ｐと記録材Ｐとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作（準備動作）を行う期間である。非画像形成時（非画像形成期間）とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置１００の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。なお、スリープ状態（休止状態）とは、例えば制御部１５０（又はその一部）以外の画像形成装置１００の各部への電力の供給が停止され、スタンバイ状態よりも電力消費量が少なくされた状態である。本実施例では、非画像形成時に、オフセット機構１０１が内ローラ２６又は外ローラ４１の少なくとも一方（特に、本実施例では内ローラ２６）の位置を変更してオフセット量を変更する動作（ここでは、「オフセット動作」ともいう）が行われる。

６．制御手順
図７は、本実施例におけるジョブの制御手順の一例の概略を示すフローチャート図である。ここでは、内ローラ２６がホームポジションにあり、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１となっている状態から、１枚の記録材Ｐに画像を形成する１つのジョブを実行する場合について説明する。また、ここでは、操作者が操作部１６０から画像形成装置１００にジョブを実行させる場合を例とする。なお、図７には、オフセット動作やレジＯＮタイミングの変更に注目した制御手順の概略が示されており、ジョブを実行して画像を出力するために通常必要となる他の多くの動作は省略されている。

まず、操作者が操作部１６０を操作してジョブをセットすると、その情報が制御部１５０に通知される。制御部１５０は、その情報に基づいて画像形成装置１００の各部に指令を送ることで、ジョブを開始させる（Ｓ１０１）。制御部１５０に送られるジョブの情報には、記録材Ｐの種類に関する情報が含まれる。本実施例では、記録材Ｐの種類に関する情報は、少なくとも記録材Ｐの坪量の情報を含む。記録材Ｐに関する情報は、記録材Ｐの坪量の情報の他に、記録材Ｐの表面性の情報、記録材Ｐの電気抵抗値の情報などの情報を含んでいてよい。なお、制御部１５０は、操作者の操作により操作部１６０（あるいは外部装置２００）から直接的に入力（複数の選択肢から選択することも含む。）された記録材Ｐの種類に関する情報を取得することができる。また、制御部１５０は、操作者の操作により操作部１６０（あるいは外部装置２００）から入力された、当該ジョブで記録材Ｐを送出する記録材収納庫１１の情報に基づいて、記録材Ｐの種類に関する情報を取得することもできる。この場合、制御部１５０は、例えば複数設けられた記録材収納庫１１のそれぞれに対して予め関係付けられてメモリ１５２に記憶されている記録材Ｐの種類に関する情報から、記録材Ｐの種類に関する情報を取得することができる。ここで、記録材Ｐの種類に関する情報を登録する際には、予めメモリ１５２やネットワークを通じて制御部１５０と接続された記憶装置に記憶されている記録材Ｐの種類のリストの中から該当するものを選択するようになっていてよい。

制御部１５０は、ジョブに用いる記録材Ｐの種類に関する情報を取得すると、ジョブの印刷動作条件を、記録材Ｐの種類ごとに予め定められた印刷動作条件に設定する。表１は、本実施例において印刷動作条件として記録材Ｐの坪量に応じて予め定められた、オフセット量Ｘ、レジＯＮタイミングの設定の一例を示す。表１に示すような印刷動作条件の情報は、予めメモリ１５２に記憶されている。

なお、レジＯＮタイミングは、記録材Ｐ上の所定の位置にトナー像を２次転写するために、画像形成工程の開始タイミング、すなわち、露光装置３の画像書き出しタイミング（露光開始タイミング）からレジストローラ１３が記録材Ｐの搬送を開始（再開）するタイミングまでに要する時間で代表される。本実施例では、より詳細には、レジＯＮタイミングは、制御部１５０が／ＴＯＰ信号を生成してからレジストローラ１３の回転駆動を開始（再開）するまでに経過する時間で代表される。ここでは、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１である場合の条件での上記時間をＲｔ１（ｓ）（第１の時間、第１のタイミング）とし、これを第１のオフセット量Ｘ１の場合のレジＯＮタイミングとする。そして、第２のオフセット量Ｘ２の場合のレジＯＮタイミング（第２の時間、第２のタイミング）は、上記Ｒｔ１を基準として表す。

制御部１５０は、Ｓ１０１でジョブの情報を取得すると、ジョブに用いる記録材Ｐの坪量が３００ｇｓｍ以下であるか否かを判定する（Ｓ１０２）。制御部１５０は、Ｓ１０２で坪量が３００ｇｓｍ以下であると判断した場合は、オフセット量Ｘの変更は行わず、印刷動作を開始する（Ｓ１０３）。この場合は、オフセット量Ｘは内ローラ２６のホームポジションに対応するデフォルト値である＋２．５ｍｍ（第１のオフセット量Ｘ１）のままでよいためである。そして、制御部１５０は、操作者がセットした所定の印刷枚数分の印刷動作が完了した後に印刷動作を終了し（Ｓ１０４）、ジョブを終了する（Ｓ１０５）。

一方、制御部１５０は、Ｓ１０２で坪量が３００ｇｓｍより大きいと判断した場合は、次のようにする。つまり、オフセット機構１０１（より詳細にはオフセットカム駆動モータ１０１ａ）に指令を送り、オフセット機構１０１の駆動をＯＮして、オフセット量Ｘを−１．０ｍｍ（第２のオフセット量Ｘ２）に変更する（Ｓ１０６）。その後、制御部１５０は、オフセット機構１０１に指令を送り、オフセット機構１０１の駆動をＯＦＦする（Ｓ１０７）。また、制御部１５０は、レジＯＮタイミングを、Ｒｔ１＋３．５４×１０^−３に変更するように、メモリ１５２内の設定を変更する（Ｓ１０８）。その後、制御部１５０は、印刷動作を開始し（Ｓ１０９）、操作者がセットした所定の印刷枚数分の印刷動作が完了した後に印刷動作を終了する（Ｓ１１０）。制御部１５０は、印刷動作の終了後に、オフセット機構１０１に指令を送り、オフセット機構１０１の駆動をＯＮして、オフセット量Ｘをデフォルト値である＋２．５ｍｍ（第１のオフセット量Ｘ１）に変更する（Ｓ１１１）。その後、制御部１５０は、オフセット機構１０１に指令を送り、オフセット機構１０１の駆動をＯＦＦする（Ｓ１１２）。また、制御部１５０は、メモリ１５２内のレジＯＮタイミングの設定をデフォルト値であるＲｔ１に戻して（Ｓ１１３）、ジョブを終了する（Ｓ１０５）。

図７の制御手順では、１枚の記録材Ｐに画像を形成するジョブを例としている。複数の記録材Ｐに連続して画像を形成する連続画像形成のジョブにおいて、ジョブの途中で記録材Ｐの種類が変わり、オフセット量Ｘを変更する必要がある場合は、次のようにすればよい。つまり、紙間工程において、オフセット量Ｘを変更して、変更後のオフセット量Ｘに応じてレジＯＮタイミングを変更するようにすればよい。

ここで、オフセット量Ｘは、２次転写ニップＮ２を記録材Ｐが通過している際（２次転写中）に、所望のオフセット量Ｘとなっていればよい。つまり、オフセット量Ｘの変更は、変更後のオフセット量Ｘで画像を形成する記録材Ｐが２次転写ニップＮ２に到達する前に完了するようにする。典型的には、オフセット量Ｘの変更は、レジストローラ１３によるその記録材Ｐの搬送、あるいは記録材収納庫１１からのその記録材Ｐの給送が開始される前に完了するように実行される。また、レジＯＮタイミングは、レジストローラ１３から記録材Ｐを搬送開始する際に所望の値になっていればよい。つまり、レジＯＮタイミングの変更は、変更後のレジＯＮタイミングで搬送する記録材Ｐがレジストローラ１３に到達する前に完了するようにする。典型的には、レジＯＮタイミングの変更（設定の変更）は、記録材収納庫１１から記録材Ｐの給送が開始される前に完了するように実行される。

また、ここでは、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１の場合のレジＯＮタイミングがデフォルト値である場合を例として説明している。そのため、オフセット量Ｘを第２のオフセット量Ｘ２とした場合には、レジＯＮタイミングは該デフォルト値よりも遅くすることとなる。これにより、露光装置３の露光開始タイミングからレジＯＮタイミングまでの時間は、オフセット量Ｘを第１のオフセット量Ｘ１とした場合よりも、オフセット量Ｘを第２のオフセット量Ｘ２とした場合の方が長くなる。これに対し、オフセット量Ｘが第２のオフセット量Ｘ２の場合のレジＯＮタイミングをデフォルト値としてもよい。その場合は、オフセット量Ｘを第１のオフセット量Ｘ１とした場合には、レジＯＮタイミングは該デフォルト値よりも早くすることとなる。

また、本実施例では、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度は一定であるが、画像形成装置１００はレジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度が異なる複数のモードで画像形成（２次転写）を行うことが可能であってよい。このときも、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度が略同一である場合において、オフセット量Ｘに応じてレジＯＮタイミングを変更することができる。

７．効果
このように、本実施例では、画像形成装置１００は、トナー像を形成する画像形成手段１０と、画像形成手段１０により形成され画像形成位置Ｎ１で担持されたトナー像を搬送する回転可能な無端状のベルト２１と、ベルト２１を張架する、内ローラ２６を含む複数の張架ローラと、内ローラ２６と対向して配置され、ベルト２１の外周面に当接してベルト２１から記録材Ｐへトナー像を転写する転写部Ｎ２を形成する外ローラ４１と、内ローラ２６又は外ローラ４１の少なくとも一方の位置を変更して、内ローラ２６の周方向に関する内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置を、第１の相対位置と、第１の相対位置とは異なる第２の相対位置と、に変更可能な位置変更機構１０１と、転写部Ｎ２に記録材Ｐを搬送する搬送部材１３と、搬送部材１３を駆動する搬送駆動部１１４と、を有する。そして、本実施例では、この画像形成装置１００は更に、１枚の記録材Ｐに対する画像形成に関して、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングから、搬送部材１３による記録材Ｐの搬送開始タイミングまでの時間を、上記相対位置を第１の相対位置として転写を行う場合と、上記相対位置を第２の相対位置として転写を行う場合と、で変更する制御を実行可能な制御部１５０を有する。なお、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングから搬送部材１３による記録材Ｐの搬送開始タイミングまでの時間は、典型的には、上記相対位置を第１の相対位置又は第２の相対位置としてそれぞれ実行するジョブにおける、１枚目の記録材Ｐに形成する画像の画像書き出しタイミングから、搬送部材１３による該記録材Ｐの搬送開始タイミングまでの時間を比較すればよい。

ここで、制御部１５０は、上記制御において、上記相対位置を第１の相対位置として転写を行う場合と上記相対位置を第２の相対位置として転写を行う場合とで上記時間を変更しない場合よりも、記録材Ｐの搬送方向に関する転写部Ｎ２におけるベルト上の画像形成領域と記録材上の画像形成領域との位置ずれが小さくなるように、上記時間を変更する。特に、本実施例では、上記複数の張架ローラは、ベルト２１の回転方向に関して画像形成位置Ｎ１よりも下流かつ内ローラ２６よりも上流に配置され、ベルト２１にテンションを付与するテンションローラ２４を含み、位置変更機構１０１は、内ローラ２６の位置を変更することで上記相対位置を第１の相対位置と第２の相対位置とに変更し、内ローラ２６は、第１の相対位置の場合の方が第２の相対位置の場合よりも外ローラ４１に対してベルト２１の回転方向の下流側に位置し、制御部１５０は、上記制御において、上記相対位置を第１の相対位置として転写を行う場合の上記時間よりも、上記相対位置を第２の相対位置として転写を行う場合の上記時間の方が長くなるように、上記時間を変更する。また、本実施例では、位置変更機構１０１は、オフセット量Ｘを、第１の相対位置の場合の第１のオフセット量Ｘ１と、第２の相対位置の場合の第２のオフセット量Ｘ２と、に変更し、第１のオフセット量Ｘ１は正の値であり、第２のオフセット量Ｘ２は０又は負の値である。本実施例では、制御部１５０は、上記制御において、搬送部材１３による記録材Ｐの搬送開始タイミングを変更するように搬送駆動部１１４を制御することで上記時間を変更する。また、本実施例では、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングは、画像形成手段１０が備えた静電像を形成するための露光手段３の露光開始タイミングである。また、本実施例では、ベルト２１は、画像形成手段１０が備えた像担持体１から１次転写されたトナー像を転写部Ｎ２で記録材Ｐに２次転写するために搬送する中間転写体である。

以上説明したように、本実施例では、記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量に応じてオフセット量Ｘを変更する。そして、本実施例では、オフセット量Ｘを変更した場合は、オフセット量Ｘに応じてレジＯＮタイミングを変更する。言い換えれば、本実施例では、記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量に応じてオフセット量Ｘを変更すると共に、記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量に応じてレジＯＮタイミングを変更する。これにより、オフセット量Ｘの変更により生じる先レジ位置のずれを補正して、先レジずれの発生を抑制することができる。したがって、本実施例によれば、オフセット量Ｘを変更して複数の種類の記録材Ｐのそれぞれに対する転写性の向上を図ると共に、オフセット量Ｘの変更に起因する先レジずれの発生を抑制することができる。つまり、本実施例によれば、幅広い剛度のメディアに対応しつつ、２次転写ニップＮ２における先レジずれを抑制することが可能となる。

［実施例２］
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例１の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例１の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例１と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。

１．本実施例の概要
実施例１では、オフセット量Ｘの変更に伴う先レジ位置のずれを、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送開始タイミング（レジＯＮタイミング）を変更することで補正した。

これに対して、本実施例では、露光装置３の画像書き出しタイミング（露光開始タイミング）を変更して画像先端位置を変更することで、オフセット量Ｘの変更に伴う先レジ位置のずれを補正する。本実施例では、制御部１５０が、画像書き出しタイミング変更手段として機能して、露光装置３の画像書き出しタイミングを変更する。実施例１で説明したレジＯＮタイミングの変更量を、本実施例では画像書き出しタイミングの変更量と読み替えることができる。

なお、本実施例では、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１の場合の画像書き出しタイミングがデフォルト値である場合を例として説明する。そのため、オフセット量Ｘを第２のオフセット量Ｘ２とした場合には、画像書き出しタイミングは該デフォルト値よりも早くすることとなる。これにより、露光装置３の露光開始タイミングからレジＯＮタイミングまでの時間は、オフセット量Ｘを第１のオフセット量Ｘ１とした場合よりも、オフセット量Ｘを第２のオフセット量Ｘ２とした場合の方が長くなる。これに対し、オフセット量Ｘが第２のオフセット量Ｘ２の場合の画像書き出しタイミングをデフォルト値としてもよい。その場合は、オフセット量Ｘを第１のオフセット量Ｘ１とした場合には、画像書き出しタイミングは該デフォルト値よりも遅くすることとなる。このように露光装置３の画像書き出しタイミングを変更することによっても、露光装置３の露光開始タイミングからレジＯＮタイミングまでの時間を変更することができる。

また、本実施例では、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度は一定であるが、画像形成装置１００はレジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度が異なる複数のモードで画像形成（２次転写）を行うことが可能であってよい。このときも、レジストローラ１３による記録材Ｐの搬送速度が略同一である場合において、オフセット量Ｘに応じて画像書き出しタイミングを変更することができる。

２．制御手順
図８は、本実施例におけるジョブの制御手順の一例の概略を示すフローチャート図である。図８の制御手順におけるＳ２０１〜Ｓ２１３の処理は、それぞれ実施例１で説明した図７の制御手順におけるＳ１０１〜Ｓ１１３の処理と同様である。ただし、本実施例では、Ｓ２０８において、制御部１５０は、メモリ１５２内の画像書き出しタイミングの設定変更を行う。また、本実施例では、Ｓ２１３において、制御部１５０は、メモリ１５２内の画像書き出しタイミングの設定をデフォルト値に戻す。

表２は、本実施例において印刷動作条件として記録材Ｐの坪量に応じて予め定められた、オフセット量、画像書き出しタイミングの設定の一例を示す。表２に示すような印刷動作条件の情報は、予めメモリ１５２に記憶されている。

なお、画像書き出しタイミングは、記録材Ｐ上の所定の位置にトナー像を２次転写するために、ジョブの開始タイミングから画像形成工程の開始タイミング（露光装置３の画像書き出しタイミング）までに要する時間で代表される。本実施例では、より詳細には、書き出しタイミングは、制御部１５０にジョブの開始指示（印刷開始コマンド）が入力されてから制御部１５０が／ＴＯＰ信号を生成するまでに経過する時間で代表される。ここでは、オフセット量Ｘが第１のオフセット量Ｘ１である場合の条件での上記時間をＩｔ１（ｓ）（第１の時間、第１のタイミング）とし、これを第１のオフセット量Ｘ１の場合の書き出しタイミングとする。そして、第２のオフセット量Ｘ２の場合の書き出しタイミング（第２の時間、第２のタイミング）は、上記Ｉｔ１を基準として表す。ここで、書き出しタイミングは、ジョブの開始指示から／ＴＯＰ信号までの間に実行される前回転工程時の処理が実質的に同じである場合で比較するものとする。例えば、定期的にあるいは操作者の指示に応じて実行される前回転工程時の処理が異なることで、同じオフセット量Ｘの条件でもジョブの開始指示を基準とした書き出しタイミングが異なることがあり得る。

図８の制御手順は、１枚の記録材Ｐに画像を形成するジョブを例としている。複数の記録材Ｐに連続して画像を形成する連続画像形成のジョブにおいて、ジョブの途中で記録材Ｐの種類が変わり、オフセット量Ｘを変更する必要がある場合は、次のようにすればよい。つまり、紙間工程において、オフセット量Ｘを変更して、変更後のオフセット量Ｘに応じて書き出しタイミングを変更するようにすればよい。

３．効果
このように、本実施例では、制御部１５０は、１枚の記録材Ｐに対する画像形成に関して、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングから、搬送部材１３による記録材Ｐの搬送開始タイミングまでの時間を、内ローラ２６と外ローラ４１との相対位置を第１の相対位置として転写を行う場合と、上記相対位置を第２の相対位置として転写を行う場合と、で変更する制御において、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングを変更するように画像形成手段１０を制御することで上記時間を変更する。本実施例では、画像形成手段１０の画像書き出しタイミングは、画像形成手段１０が備えた静電像を形成するための露光手段３の露光開始タイミングである。

以上説明したように、本実施例では、記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量に応じてオフセット量Ｘを変更する。そして、本実施例では、オフセット量Ｘを変更した場合は、オフセット量Ｘに応じて露光装置３の書き出しタイミングを変更する。言い換えれば、本実施例では、記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量に応じてオフセット量Ｘを変更すると共に、記録材Ｐの種類に関する情報としての記録材Ｐの坪量に応じて露光装置３の書き出しタイミングを変更する。これにより、オフセット量Ｘの変更により生じる先レジ位置のずれを補正して、先レジずれの発生を抑制することができる。したがって、本実施例によれば、オフセット量Ｘを変更して複数の種類の記録材Ｐのそれぞれに対する転写性の向上を図ると共に、オフセット量Ｘの変更に起因する先レジずれの発生を抑制することができる。

［その他］
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。

上述の実施例では、画像形成装置は、内ローラの位置を変更することでオフセット量を変更する構成とされていたが、外ローラの位置を変更することでオフセット量を変更する構成とされていてもよい。また、内ローラ又は外ローラのいずれかを移動させる構成に限らず、内ローラと外ローラとの両方を移動させてオフセット量を変更するようにしてもよい。ここで、例えば、外ローラを移動させることでオフセット量を変更する構成などでは、上述の実施例とは逆に、中間転写ベルトの回転方向に関して外ローラが内ローラに対して相対的に上流側にある場合の方が、前述の長さＬｔが短くなることがある。この場合、内ローラと外ローラとの相対位置に対するレジＯＮタイミングや書き出しタイミングは、上述の実施例とは逆の関係とすればよい（上述の実施例でタイミングを遅くした場合は早くし、早くした場合は遅くする）。

上述の実施例では、中間転写ベルトの回転方向に関して１次転写ニップから２次転写ニップまでの間にテンションローラが設けられている構成を例として説明した。この構成では、前述のようにオフセット量の変更によりテンションローラから２次転写ニップまでの中間転写ベルトの走行距離が変化しやすいため、本発明の効果を特に顕著に得ることができる。ただし、このような構成でなくても、オフセット量を変更することで中間転写ベルトの回転方向に関する２次転写部の位置が変わることで、本発明に従う制御を行わない場合には先レジ位置がずれる可能性がある。したがって、そのような構成においても本発明は有効に作用し得る。つまり、オフセット量の変更によりベルトの回転方向に関する画像形成位置から転写部までの長さが変わる構成では、本発明を適用することにより、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。

上述の実施例では、内部材としての内ローラと共に２次転写ニップを形成する外部材として、中間転写ベルトの外周面に直接当接する外ローラが用いられていた。これに対して、外部材として外ローラ及び該外ローラと他のローラとに張架された２次転写ベルトが用いられる構成とされていてもよい。つまり、画像形成装置は、外部材として、張架ローラと、外ローラと、これらのローラ間に張架された２次転写ベルトと、を有していてよい。そして、外ローラが２次転写ベルトを介して中間転写ベルトの外周面に当接するようにすることができる。斯かる構成においては、中間転写ベルトの内周面に接触する内ローラと、２次転写ベルトの内周面に接触する外ローラとで、中間転写ベルト及び２次転写ベルトを挟持することによって２次転写ニップを形成する。この場合、中間転写ベルトと２次転写ベルトとの接触部が２次転写部としての２次転写ニップである。なお、この場合も、オフセット量Ｘは、前述と同様に、内ローラと外ローラとの相対位置によって定義される。

上述の実施例では、記録材の剛度と関連する記録材の種類に関する情報として記録材の坪量の情報を用いたが、これに限定されるものではない。紙種カテゴリー（例えば、普通紙、コート紙などの表面性に基づく紙種カテゴリーなど）あるいは銘柄（メーカー、品番などを含む。）が同じである場合、記録材の坪量と記録材の厚さとは略比例関係にあることが多い（厚さが大きいほど坪量が大きい。）。また、紙種カテゴリーあるいは銘柄が同じである場合、記録材の剛度と、記録材の坪量あるいは厚さと、は略比例関係にあることが多い（坪量あるいは厚さが大きいほど剛度が大きい。）。したがって、例えば、紙種カテゴリーごと、銘柄ごと、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせごとに、記録材の坪量、厚さ、あるいは剛度に基づいて、オフセット量を設定することができる。そして、制御部は、操作部や外部装置から入力された、紙種カテゴリー、銘柄などの情報と、記録材の坪量、厚さ、剛度などの情報と、に基づいて、当該記録材に応じたオフセット量となるようにオフセット機構を動作させることができる。また、記録材の種類に関する情報として、例えば、記録材の坪量、厚さ、あるいは剛度といった定量的な情報を用いることに限定されるものではない。記録材の種類に関する情報として、例えば、紙種カテゴリー、銘柄、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせといった定性的な情報のみを用いることもできる。例えば、紙種カテゴリー、銘柄、あるいは紙種カテゴリーと銘柄との組み合わせに応じてオフセット量を設定しておき、制御部が操作部や外部装置などから入力された紙種カテゴリー、銘柄などの情報に応じてオフセット量を決定するようにすることができる。この場合も、それぞれの記録材の剛度の違いに基づいて、オフセット量を割り当てておくことになる。なお、記録材の剛度は、ガーレー剛度（ＭＤ／縦目）［ｍＮ］で代表することができ、市販のガーレー剛度試験機で測定することができる。

また、上述の実施例では、制御部は、記録材の種類に関する情報を、操作者の操作による操作部や外部装置からの入力に基づいて取得するものとして説明したが、記録材の種類に関する情報を検知する検知手段の検知結果の入力に基づいて取得してもよい。例えば、記録材の坪量と相関する指標値を検知する坪量検知手段として坪量センサを用いることができる。坪量センサとしては、例えば、超音波の減衰を利用した坪量センサが知られている。この坪量センサは、記録材の搬送路を挟むように配置された、超音波発生部と、超音波受信部と、を有する。そして、坪量センサは、超音波発生部から発生され、記録材を透過することで減衰した超音波を超音波受信部で受信して、その超音波の減衰量に基づいて記録材の坪量と相関する指標値を検知する。なお、坪量検知手段は、記録材の坪量と相関する指標値を検知できるものであればよく、超音波を利用したものに限定されるものではなく、例えば光を利用したものであってもよい。また、記録材の坪量と相関する指標値は、坪量自体に限定されず、坪量に対応する厚さであってもよい。また、紙種カテゴリーの検知に利用できる記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知する平滑性検知手段としての表面性センサを用いることができる。表面性センサとしては、記録材に光を照射し、正反射光、乱反射光の強さを光量センサで読み取る正乱反射光センサが知られている。記録材の表面が平滑である場合、正反射光が強くなり、粗いと乱反射光が強くなる。そのため、表面性センサは、正反射光量と乱反射光量とを測定することで、記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知することができる。なお、平滑性検知手段は、記録材の表面の平滑性と相関する指標値を検知できるものであればよく、上記の光量センサを用いたものに限定されるものではなく、例えば撮像素子を用いたものであってもよい。記録材の表面の平滑性と相関する指標値は、ベック平滑度などの所定の規格に従う値に換算された値に限定されるものではなく、記録材の表面の平滑性と相関性を有する値であればよい。これらの検知手段は、例えば、記録材の搬送方向に関してレジストローラよりも上流の記録材の搬送路に隣接して配置することができる。また、例えば上記坪量センサ、表面性センサなどが１つのユニットとして構成されたもの（メディアセンサ）を用いてもよい。

また、上述の実施例では、オフセット機構として、カムにより可動部を作動させるアクチュエータを用いたが、これに限定されるものではない。オフセット機構は、それぞれ上述の実施例に準じた動作を実現できるものであればよく、例えば、ソレノイドを用いて可動部を作動させるアクチュエータを用いてもよい。

また、上述の実施例では、ベルト状の像担持体が中間転写ベルトである場合について説明したが、画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する無端状のベルトで構成された像担持体であれば、本発明を適用することができる。このようなベルト状の像担持体としては、上述の実施例における中間転写ベルトの他、感光体ベルトや静電記録誘電体ベルトが例示できる。

また、本発明は、上述の実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。したがって、ベルト状の像担持体を用いる画像形成装置であれば、タンデム型／１ドラム型、帯電方式、静電像形成方式、現像方式、転写方式、定着方式の区別無く実施できる。上述の実施例では、トナー像の形成／転写に係る主要部を中心に説明したが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、ＦＡＸ、複合機など、種々の用途で実施できる。

１３ レジストローラ
２１ 中間転写ベルト
２６ 内ローラ
４１ 外ローラ
１００ 画像形成装置
１０１ オフセット機構
１５０ 制御部

Claims (11)

1. トナー像を形成する画像形成手段と、
   前記画像形成手段により形成され画像形成位置で担持されたトナー像を搬送する回転可能な無端状のベルトと、
   前記ベルトを張架する、内ローラを含む複数の張架ローラと、
   前記内ローラと対向して配置され、前記ベルトの外周面に当接して前記ベルトから記録材へトナー像を転写する転写部を形成する外ローラと、
   前記内ローラ又は前記外ローラの少なくとも一方の位置を変更して、前記内ローラの周方向に関する前記内ローラと前記外ローラとの相対位置を、第１の相対位置と、前記第１の相対位置とは異なる第２の相対位置と、に変更可能な位置変更機構と、
   前記転写部に記録材を搬送する搬送部材と、
   前記搬送部材を駆動する搬送駆動部と、
   を有する画像形成装置において、
   １枚の記録材に対する画像形成に関して、前記画像形成手段の画像書き出しタイミングから、前記搬送部材による記録材の搬送開始タイミングまでの時間を、前記相対位置を前記第１の相対位置として前記転写を行う場合と、前記相対位置を前記第２の相対位置として前記転写を行う場合と、で変更する制御を実行可能な制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
2. 前記制御部は、前記制御において、前記相対位置を前記第１の相対位置として前記転写を行う場合と前記相対位置を前記第２の相対位置として前記転写を行う場合とで前記時間を変更しない場合よりも、記録材の搬送方向に関する前記転写部における前記ベルト上の画像形成領域と記録材上の画像形成領域との位置ずれが小さくなるように、前記時間を変更することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
3. 前記複数の張架ローラは、前記ベルトの回転方向に関して前記画像形成位置よりも下流かつ前記内ローラよりも上流に配置され、前記ベルトにテンションを付与するテンションローラを含み、
   前記位置変更機構は、前記内ローラの位置を変更することで前記相対位置を前記第１の相対位置と前記第２の相対位置とに変更し、
   前記内ローラは、前記第１の相対位置の場合の方が前記第２の相対位置の場合よりも前記外ローラに対して前記ベルトの回転方向の下流側に位置し、
   前記制御部は、前記制御において、前記相対位置を前記第１の相対位置として前記転写を行う場合の前記時間よりも、前記相対位置を前記第２の相対位置として前記転写を行う場合の前記時間の方が長くなるように、前記時間を変更することを特徴とする請求項１又は２に記載の画像形成装置。
4. 前記複数の張架ローラのうち、前記ベルトの回転方向に関して前記内ローラよりも上流において前記内ローラに隣接して配置された張架ローラを上流ローラとし、
   前記内ローラの回転軸線方向と略直交する断面において、前記ベルトが掛け回される側の前記内ローラと前記上流ローラとの共通の接線を基準線Ｌ１、前記内ローラの回転中心を通り前記基準線Ｌ１と略直交する直線を内ローラ中心線Ｌ２、前記外ローラの回転中心を通り前記基準線Ｌ１と略直交する直線を外ローラ中心線Ｌ３、前記内ローラ中心線Ｌ２と前記外ローラ中心線Ｌ３との間の距離をオフセット量Ｘ（ただし、前記外ローラ中心線Ｌ３が前記内ローラ中心線Ｌ２よりも前記ベルトの回転方向の上流側にあるとき正の値）としたとき、
   前記位置変更機構は、前記オフセット量Ｘを、前記第１の相対位置の場合の第１のオフセット量Ｘ１と、前記第２の相対位置の場合の第２のオフセット量Ｘ２と、に変更し、
   前記第１のオフセット量Ｘ１は正の値であり、前記第２のオフセット量Ｘ２は０又は負の値であることを特徴とする請求項３に記載の画像形成装置。
5. 前記制御部は、前記制御において、前記搬送部材による記録材の搬送開始タイミングを変更するように前記搬送駆動部を制御することで前記時間を変更することを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の画像形成装置。
6. 前記制御部は、前記制御において、前記画像形成手段の画像書き出しタイミングを変更するように前記画像形成手段を制御することで前記時間を変更することを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の画像形成装置。
7. 前記画像形成手段の画像書き出しタイミングは、前記画像形成手段が備えた静電像を形成するための露光手段の露光開始タイミングであることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の画像形成装置。
8. 記録材の搬送方向に関して前記転写部よりも上流に、前記転写部に記録材を案内するためのガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載の画像形成装置。
9. 前記ベルトは、前記画像形成手段が備えた像担持体から１次転写されたトナー像を前記転写部で記録材に２次転写するために搬送する中間転写体であることを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１項に記載の画像形成装置。
10. 前記外ローラは、前記ベルトの外周面に直接当接することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載の画像形成装置。
11. 前記外ローラは、前記外ローラと他のローラとに張架された無端状の別のベルトを介して前記ベルトの外周面に当接することを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか１項に記載の画像形成装置。
    

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